宇宙開発利用部会(第92回) 議事録

1.日時

令和6年11月22日(金曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 「内閣府宇宙開発利用加速化戦略プログラム」(スターダストプログラム)により実施する戦略プロジェクトの進捗報告・評価について
  2. 商業デブリ除去実証(CRD2)の実施状況について
  3. 今後の宇宙基本計画工程表及び宇宙技術戦略の改訂に向けた宇宙輸送分野における開発方策(案)について

4.出席者

委員

部会長 村山 裕三
部会長代理 田中 明子
臨時委員 秋山 文野
臨時委員 笠原 次郎
臨時委員 芝井 広
臨時委員 白井 恭一
臨時委員 鈴木 健吾
臨時委員 髙橋 德行
臨時委員 鶴岡 路人
臨時委員 松岡 彩子
臨時委員 村松 加奈子
臨時委員 米澤 千夏

文部科学省

大臣官房審議官(研究開発局担当) 橋爪 淳
研究開発局宇宙開発利用課 課長 嶋崎 政一
研究開発局宇宙開発利用課 研究開発戦略官 原田 大地
研究開発局宇宙開発利用課 宇宙科学技術推進企画官 阿部 陽一 
研究開発局宇宙開発利用課 課長補佐 西 隆平
研究開発局宇宙開発利用課 課長補佐 池田 宗太郎
研究開発局宇宙開発利用課 課長補佐 木元 健一

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 理事 稲場 典康
 宇宙科学研究所宇宙機応用工学研究系 准教授 冨木 淳史
 第一宇宙技術部門技術試験衛星9号機プロジェクトチーム ファンクションマネージャ 南 海音子
 第一宇宙技術部門 衛星システム開発統括付 シニアアドバイザー 深津 敦 
 第一宇宙技術部門 衛星利用運用センター 技術領域上席 落合 治
 第一宇宙技術部門 地球観測研究センター 研究領域主幹 田殿 武雄
 第一宇宙技術部門 衛星測位技術統括 小暮 聡
 第一宇宙技術部門 衛星測位システム技術ユニット 主任研究開発員 佐々木 俊崇
 研究開発部門 第一研究ユニット 研究領域上席 新藤 浩之
 研究開発部門 第一研究ユニット 研究領域主幹 岩佐 稔
 国際宇宙探査センター 宇宙探査システム技術ユニット長 田邊 宏太
 研究開発部門上席研究開発員/CRD2フェーズⅡプロジェクトチームプロジェクトマネージャ 山元 透
 研究開発部門 第四研究ユニット ユニット長 南里 秀明
 宇宙輸送技術部門 H3プロジェクトチーム ファンクションマネージャ 寺島 啓太
 宇宙輸送技術部門 事業推進部 計画マネージャ 布施 竜吾

(関係者)
NTTデータ株式会社
社会基盤ソリューション事業本部ソーシャルイノベーション事業部 デジタルソリューション統括部 部長 大竹 篤史

5.議事録

【村山部会長】 それでは、第92回の宇宙開発利用部会を開催いたします。今回も前回同様オンラインでの開催となっております。委員の皆様には御多忙のところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。まず、事務局より本日の会議についての事務連絡をお願いいたします。
 
【阿部企画官(事務局)】 事務局の阿部でございます。本日は宇宙開発利用部会の16名の委員のうち12名にご出席いただく予定になってございます。本日の資料につきましては議事次第に記載のとおりです。オンライン状況について音声がつながらない等の問題がございましたら事務局へメール・電話等でご連絡ください。事務局からは以上です。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございます。本日の議題は3つです。それでは、早速議題の方に移りたいと思います。最初の議題は「内閣府宇宙開発利用加速化戦略プログラム」(スターダストプログラム)により実施する戦略プロジェ クトの進捗報告・評価についてです。スターダストプログラムとして、今年度実施中の文科省所管のプロジェクトは9件あり、これらの進捗状況については、委員の皆様に事前に資料が展開されており、一部の委員からは質問も頂いています。本日は頂いた質問事項を中心に個別の事業内容についてはポイントを絞ってご説明いただき、議論の中で必要があれば各事業担当より追加の御説明を頂きたいと思います。それでは、全体資料の説明を事務局よりお願いいたします。
 
【池田補佐(事務局)】 文部科学省宇宙開発利用課の池田です。よろしくお願いいたします。たくさんのテーマについての御説明になりますので、やや長丁場になりますが、よろしくお願いします。まず、内閣府の宇宙開発利用加速化戦略プログラムいわゆるスターダストについては、委員の皆様については既に御案内かと思いますが、内閣府宇宙事務局の方で一括して予算を計上しまして、各省が連携して取り組むような宇宙の技術開発に関して予算を振り替えて行うような事業となっておりまして、今回文部科学省が担当していますいくつかのプロジェクトの進捗についてご報告するということになっております。
 資料をおめくりいただきまして、2頁目です。今回、事業番号を上からざっと見ていきまして、合計9件ございます。米印が一番下のところについておりますが、今回赤字で記載しているところで、上から3つ目のものと下から2つ目のものについては令和6年度で完了というふうになっておりますので、今回の説明で最後になるかと思っております。では早速一番上の方から順にご説明していきます。
 頁をおめくりいただきまして、まず、月面活動に向けた測位・通信技術開発です。主担当庁として文科省、連携省庁として通信の関係で総務省に入っていただきまして、事業期間は6年程度としております。昨今のアルテミスを皮切りに、月面活動の基盤整備をするといったことですとか、そこへの貢献あるいは日本としてのリーダーシップの発揮に向けて、月のナビゲーションシステムいわゆる測位ですとか月と地球間の通信システムのコアの部分を獲得していくといった内容になっております。目的としましては、事業計画のところ、本事業の最終目的としてという2段落目でございますが、単独測位として航法精度を40 m(水平)ということを目標として、NASA/ESA以上の測位の精度を達成するということを目的にしています。また、TRL4まで上げるということにしておりまして、これが測位の目的です。
 もう一つ、通信の方につきましては、月-地球間の高速通信は1 Gbpsを目標として、こちらもTRL4まで上げていくということをして、最終的にはこうした技術を獲得しつつ、標準・デファクトスタンダード化等を狙っていくということで、NASA/ESAとの調整・合意を得ることを目標にするとしております。
 下の方のスケジュールを見ていただければ分かるとおり測位と通信に分かれておりまして、測位については文科省がメインでやってきまして通信の方は総務省がメインで見ているということでございますが、測位の方につきましてはR5年度で全て技術開発が終了しておりますので、今回ご説明するのは主に通信の方になってきます。次の頁をお願いします。
 先ほどの線表にあった7から8、9、10といったところの技術開発について、開発の作業ですとか性能評価、設計といったものをそれぞれ行っていくといったところでございます。来年度の事業計画としましては7、8、9、10いずれも地上の検証モデルを構築するといった形となっております。次の頁をお願いします。
 こちらは前回の令和6年2月9日の当部会においてコメントいただいた内容についての対応状況です。丸1、より大きな測位・通信システムへと統合する開発シナリオを具体化するということと、実現可能性について引き続き検討を行うということ。また、丸2として、しっかり今後の実証を進めるとともに、標準化文書の改訂ですとか、NASA/ESAと協調したインターフェース・インフラ構築に主体性を持って参画すると。戦略を練ってしっかりやっていってくださいということで、それに対する対応状況として右側、丸1の部分。具体的な開発シナリオ、スケジュールの部分につきましては、まず2030年代前半におきまして、月測位の実証及び遠距離の光通信データ伝送の段階的な実証実験を行うと。その後2030年代半ばにおきまして、大型月面ユーザへの光通信ターミナルの実装等ということで、実現性の見込める開発シナリオとして具体化を図っている状況でございます。
 また、丸2の点、こちらも引き続きとなりますが、月測位・通信に係る標準化文書の改訂に向けた議論に主体的に参画しておるところですとか、NASA/ESAとの協働実証ミッションの具体化検討を引き続きやっているということ。また、文科省の担当を担っている月測位の技術開発については、既に技術開発は終了していると記載しておりますが、実は先ほど1時間ぐらい前にこの月測位に係る宇宙戦略基金の方のテーマの採択結果が公表されておりまして、ここともしっかり連携していくとしております。次の頁をお願いします。
 こちらの青い表は、今回の部会に先立ちまして事前に委員の皆様から頂いた意見に対する回答となっております。主な質問・コメントとしましては、宇宙戦略基金の公募の課題、月測位システム技術や月-地球間通信システム開発・実証で採択される課題との連携の予定はあるか?ということで、正にそのとおりですということで、本事業における月測位に関しましては、スターダストの方ではTRL4までをやるということにしておりまして、宇宙戦略基金のテーマに関しましてはその先、TRL5相当までを目指すとしておりまして、先ほど14時に公表されたように、アークエッジ・スペースが採択されております。
 また、月通信の方になりますが、こちらは全体のアーキテクチャの検討を行った上で、衛星の搭載の光通信ターミナルの技術開発をスターダストでは進めている一方、基金の方では電波通信に係るアンテナ局ですとか機器開発のFSまでを行うということで、こちらはTRLというよりかは全体のシステムの中でそれぞれの別のパーツをやっているといった形で対象範囲が区別されているといった整理になっております。1つ目のテーマは以上でございます。続いて、また次の頁をお願いいたします。
 次は、宇宙機のデジタル化を実現するマイクロプロセッサ内蔵FPGAモジュールの研究開発でして、衛星の高度化に伴いまして半導体のデバイスといったものを国産技術として作っていくことが必要であり、かつシステム・オン・チップ化された半導体モジュールを開発していくといった内容でございます。こちらは元々こちらのスターダストのテーマの前からスターダストで2年間実施したという実績がございまして、JAXAと関係する企業が培ってきたナノブリッジFPGAというものを使いながら、その放射線耐性が高いとか消費電力がよいということがございますので、これをもっとスケールアップしつつ実際に使えるように昇華していくような取組となっております。
 やることとしては丸1、丸2、丸3とございますが、元々開発をしていたナノブリッジのFPGAというものをシステム・オン・チップ化して大規模化するといったもの。また、そうしたナノブリッジFPGAと次世代MPUを統合してMCM化するということで、更に大きくしてモジュール化すること。また、こうしたものに関する開発ツールの設計・整備を行うという、3つの取組になっております。開発の項目の下のスケジュールを見ていただきますと、令和6年度につきましては3年間のうちの真ん中になっておりまして、来年になれば実際の評価サンプルが出てくるといったところでございます。次の頁をお願いいたします。
 記載のとおり当該年度2024年度につきましては、システム・オン・チップの16 nmのナノブリッジFPGAの試作をやっているということで、これまで65とか20いくつといった少し大きめのものをやっていましたが、それを16 nmのもので試作するといったところでございます。また、マルチ・チップ・モジュールの試作と評価ですとか、開発ツールの整備をやっている状況でございまして、来年度につきましては実際の試作の続きですとか試作の評価の続きで、耐宇宙環境性の試験とか電気性能評価を完了させるとか、後は開発ツールにつきましても、今回やっている改修や要反映事項の抽出の成果を踏まえて、そのフィードバックを掛けてアップグレードしてアルファ版の構築を完了する等を想定しているところでございます。次の頁をお願いいたします。
 こちらは昨年度のコメントに対する対応の状況となっておりまして、丸1、地上ユーザ及び宇宙ユーザへの技術・製品情報の提供、サンプル供給、あるいは宇宙実証機会の創出等によりユーザの試行回数を増やす取組を検討してほしいということ。また、丸2、国内外の市場動向を調査し、非宇宙産業への展開を見据えながら実用化・商用化に向けた検討を進めることということ。前回も少しお話しさせていただいたとおり、こちらについてはナノブリッジFPGAのユーザ会という形で複数の事業者に入っていただいてそのフィードバックを掛けるというような体制を構築しているということで、引き続き定期的に最新の技術情報を提供しているということで、実績としては7月・12月の2回実施で、企業は13社が参加しているということでございまして、7月には開発ツールの仕様説明を行い、12月には開発ツールの試行結果について共有するという予定になっています。次に、衛星システムメーカー1社と部品メーカー1社が開発する、もしくは試行を開始するということで、こうしたかたちでフィードバックが掛かっていくということで考えております。また、16 nmのナノブリッジFPGAに関しましては令和7年度の評価サンプル供給と衛星搭載評価計画の擦り合わせを、実際に小型衛星を手掛ける企業2社と実施して、実装に向けて検討を進めている状況です。
 また、非宇宙分野への展開につきましては、ナノブリッジセミコンダクター社(NBS社)を通じて開拓を継続中ということで、特に自動車メーカーから問い合わせがあるということで関心が高まっていると判断されています。また、宇宙市場の動向調査はNASA/ESAの協力も得て継続的に最新化をしておりまして、結果として依然として超低消費電力ですとか高い放射性耐性といったものは他社を凌駕しており、実現の意義・価値は失われていないと判断しているというところでございます。こちらのテーマにつきましては事前に今回御意見・御質問を頂いておりませんので次の頁に行かせていただきます。
 次に、衛星オンボードPPPの実証機開発ということで、こちらは内閣府との連携となっております。オンボードPPPですので準天頂衛星の搭載を想定しながら研究しているというところでございます。事業期間は2年としております。高分解能のセンサを搭載する地球観測衛星の撮像に際し、高分解能な衛星画像の処理につきましては、高精度な衛星の軌道暦が必要になり、その生成には通常数時間から数日必要となります。これをリアルタイムで対応することによって、そこに掛かる時間的なコストを一気になくすというような試みとなっております。
 やることにつきましてはこちらに書いてあるとおり丸1、丸2、丸3ということで、衛星オンボードPPPの演算処理の装置開発ですとか、あるいは準天頂衛星の複数のGNSSの対応の受信機を搭載すること、あるいは衛星オンボードでMADOCAの補正情報を使用したPPP。今回はサブシステム設計開発を行っているということでございます。こういったものを最後統合して丸4のところということで、衛星搭載PPPの実証機の開発を進めるというふうになっております。先ほど私は事業期間2年とお伝えしましたが、こちらは元々令和5年度から7年度の3年間のスケジュールだったところ、今回赤バーで記しているところは全て年度計画を前倒ししております。こちらは研究開発の進捗が極めて優れていたということでございまして、3年ではなく2年で済みましたということでございます。
 また、軌道上実証に向けましては、JAXAの運営費交付金の中で実施しております刷新プログラムといったものの中でこうしたオンボードPPPの宇宙実施をやれるパートナーをRFIで探しているような状況でして、順調に行けばそちらの交付金の事業の方で実証が行われるという見込みでございます。次の頁をお願いします。
 長くなりますのでかいつまんでご説明しますと、本年度につきましては衛星オンボードPPPの演算処理装置開発ということと、準天頂衛星のL6信号対応GNSS受信機開発、サブシステム設計開発、そしてPPPの実証機の開発を行っているといった状況でございます。先ほどお伝えしたとおり次年度の事業計画につきましては無しということで前倒しをしたということになっております。次の頁をお願いいたします。
 前回頂いたコメントに対する回答です。丸1、事業実施にあたりまして衛星地球観測のベンチャー等をはじめとしたユーザ候補にヒアリングを実施しニーズを確認するとともに、国内外の市場動向についても注視しつつ研究開発を進めてほしいと。また、グローバルなエリアで利用可能な方式について検討し、そういったグローバル利用を見据えた研究開発を進めること。
 丸2、準天頂衛星信号の受信機メーカーが宇宙用受信機を製品化する際に本プロジェクトで実施したソフトウェアを実装してもらえるよう共同研究等の機会を通じて働き掛けてほしいということでございまして、こちらの対応状況としましては、丸1、衛星事業者や受信機メーカーとも定期的に打ち合わせを実施しておりまして、タイムリーにニーズを取り込むような活動を実施しています。例えば、グローバル利用の観点からすれば、海外のインマルサット経由でリアルタイム暦を利用するとか、あるいはオンボード上で高精度なGNSS暦を生成してPPPを実施する等の検討を行うことによって国際展開を図っていくと。
 また、丸2につきましては、先ほども少しお伝えしましたが、JAXAの研究開発部門が推進しております刷新Pというものの中で、オンボードPPP技術に関するRFIをしまして、日本の受信器メーカーを中心に現在製品化について声がけを実施しておりまして、順調にいけばこの中で宇宙実証が行われていくといったことを想定しているということで、共同研究もやっておりますという回答でございます。次の頁をお願いします。
 こちらは今回事前に頂いたコメント・質問への回答となっておりまして、準天頂衛星システムのサービスエリアはアジア・太平洋地域であるが、グローバルな利用を念頭に開発を進めるというふうに資料にありますが、これは今回画像の提供時間短縮というメリットが浸透すれば当然日本国外の地球観測衛星の事業者も採用するのでしょうか? ということ。また、そういうことであれば、このシステムがあるということでアジアの地域で地上局を運用する可能性が増えるというようなニーズが高まるということでしょうか? と。そうした波及効果があるのであれば、そういった説明も頂ければということでコメントいただいております。
 回答としましては、こうしたオンボードPPPを採用することによりまして画像データ提供までの期間短縮のメリットが浸透すれば、当然日本国外の事業者が出てくる可能性があると考えておりまして、これが実現する場合はアジア地域で地上局を運用するということで引き込めるという可能性もあると考えているということでございます。次の頁をお願いいたします。
 次も測位の関係になってきますが、高安定レーザーを用いた測位衛星搭載時計の基盤技術開発ということで、こちらは総務省と一緒にやっているものでございます。事業期間は4年程度となっております。こちらは衛星搭載時計の国産化ですとか、原子時計を超えるようなレーザーによる時計というものを研究開発して、安定度10-15ぐらいを目指すような研究開発となっております。
 取組としましては、1年目、2年目、3年目、4年目というふうに分割されておりまして、少し長いので飛ばさせていただきますが、一連のプロセスに伴って、だんだんと丸1から丸8に行って研究開発をしていくということでございますが、今回先ほどのテーマとは逆なのですが元々令和7年度で終了予定だったところ事業期間を1年延長しまして、令和8年度にも研究をするというふうにさせていただきました。こちらの研究開発の進捗ということではなくて、実際のところ予算の獲得状況によって申し訳ないことに1年後ろ倒しとしているような状況でございます。また、これによる影響といったところが少し気になる方も多いかと思いますが、準天頂衛星の搭載といった面でのスケジュールとしては変わりないといったところもございますので、事業者の意見としてはさほど大きな影響はないということで伺っております。次の頁をお願いいたします。
 今年度実施しているのは先ほどの丸1から丸8のうちの丸4、丸5、丸6になりまして、宇宙利用部品の調達ですとか、部品の置き換え、性能評価、そして設計・試作になっております。そして、来年度は宇宙用部品のBBMの生産・設計・製作を行いまして、そして再来年に宇宙環境の耐性評価ですとか反映事項の検討を行っていくスケジュールになっております。次の頁をお願いいたします。
 こちらは前回の部会で頂いたコメントへの回答になっております。準天頂衛星後継機での本運用に向けて、宇宙事務局の準天頂システム戦略室との連携構築に努めるとともに、軌道上実証の機会確保に向けてJAXAや内閣府等の宇宙実装プログラムとの連携等を検討すること。もう一つは、事業終了後の製品化企業候補のリサーチを継続的に実施すること、ということで、こちらへの対応状況としましては、当然内閣府宇宙事務局の準天頂室との連携体制の構築というものを、こちらは本運用に向けて検討しているということでございます。また、軌道上実証の機会確保に向けては、JAXAあるいは内閣府等の宇宙実証プログラムの連携について調査しているというところでございます。また、丸2の製品化企業候補リサーチについても今後実施していく予定となっております。こちらについても事前の御質問を頂いておりませんので次のテーマへ行かせていただきます。
 次は、スペース・トランスフォーメーションの実現に向けた高分解能光学衛星データの解析技術の研究と利用実証ということで、こちらは連携省庁として経産省、国交省が入って、事業期間は5年程度となっております。民間主体の光学衛星の観測のソリューションを加速するためのプログラムと捉えていただくことがよいかと思っておりまして、取組としては丸1、丸2、丸3と分かれております。
丸1のテーマにつきましては、いわゆる行政DXということで、いくつかの分野に対してパッケージ化されたソリューションを提供するためのDXの研究開発ということ。丸2につきましては、光学衛星による地形情報の3D化を行いまして、それをデジタルツインとして落とし込んでいくための研究開発。丸3につきましては、光学とSARの融合ですとか、複数の衛星データを融合的・統合的に使って新しい情報を生み出すための研究開発とご理解いただければというふうに思っております。ある程度息の長い研究開発となっておりまして、今回2年目になっております。また、実施体制のところで黄色でマーカーしているのですが、今回NTTデータの再委託のパスコ、RESTECに加えてMarble Visionsという会社が入っております。こちらは2025年の1月から再委託先に追加予定となっておりまして、こちらはNTTデータの子会社になっておりますが、機能も業務を一部移管するということも踏まえまして、こうした体制に移行するというふうに聞いております。次の頁をお願いいたします。
 先ほどお伝えした丸1、丸2、丸3の取組につきまして、丸1の行政DXにつきましては現在5つの分野、農業、都市、防災、森林、土地利用におきまして国内外のユーザ機関と共にAIのデータ解析技術を適用したツール開発手順書案を作成している状況でございます。連携先として国内は岡山、名古屋、広島、長野。海外はタイ、インドネシア、ベトナム、ウガンダ、ケニアの実証ユーザと共に試作を行っているところでございます。
 丸2のデジタルツインに係る研究開発でございますが、こちらは国内の小型衛星等を活用しながら3次元の時系列変化及びシミュレーション予測技術を開発して、デジタルツインプラットフォームの試験をするための場のようなものを構築しているとところでございます。また、小型衛星を用いて時系列の3次元データの生成及び変化抽出予測シミュレーション技術を開発し、性能を検証するということで、時間の頻度をたくさん取ることによって、過去から未来を予測するような研究開発もできるということでございます。
 丸3、光学とSARの融合でございますが、災害、都市、地理空間、沿岸環境等の分野において、光学とSARとのデータを融合した技術開発と利用実証を行っているということでございます。また、農地、ため池の災害状況把握ですとか光学とSARの3次元データ融合ですとか、あるいは、両方とも光学ですが、衛星と航空ライダーによる測量技術というものを開発している状況でございます。
 来年につきましては、行政DXの分野につきましては業務適用の実証を行っていくということで、各種手順書の作成とツールを用いた実証に着手していくということでございます。丸2のデジタルツインにつきましては、小型衛星を活用した3次元データの生成・4D化の技術について、標準フォーマットとの互換性に対応し、航空機・地上等とのデータ融合手法を開発し実証するとか、あるいは試験プラットフォームにアプリケーション・インターフェースを開発して、都市、災害、VR/AR等の想定利用者を含めたプラットフォームの実証を行うということ、また光学とSARの融合につきましては今年度行っている技術開発の成果を踏まえて、実際に国内実証を行いまして技術を磨いていくということでございます。
また、ライダー、衛星画像の統合による沿岸域の高さデータの抽出技術を検証するということ。また、将来の国産衛星ライダーを見据えてシミュレーションデータを作成し、適用可能性を検証するということで、こちらは以前の部会でもご説明させていただいたとおり、ALOS-3の後継となるような民間の光学コンステレーションの構想、こちらを宇宙戦略基金の方でもテーマとして立てておりますが、それらとまたJAXAの方で研究開発を行っている衛星ライダーの方、こうしたことも踏まえながら先んじてソリューションの方を開発するというような作戦になっております。次の頁をお願いいたします。
 前回の部会で頂いたコメントへの回答です。丸1、ユーザの意見を取りつつ、スピード重視でプロトタイプの開発を進めてほしい。また、実証サイクルの段階ではセミナー等の開催を通じて広く周知しながら啓発活動を含むニーズ喚起と開発成果のフィードバックを行うこと。丸2、可能な限り国内の衛星を活用してほしいという御意見。そして、今後衛星の機数増加に伴って、今はもしかしたら海外かもしれませんが、国内の衛星が増えてきたときには、それを活用する方法に行ってほしいということ。また、今後デジタルツインを活用したビジネスをグローバルに展開することを見据えて取り組んでほしい。その際、作成したガイドラインやデータ資料を公開して、業界での利用促進を図ることというコメントを頂いております。
 これらの対応状況につきましては、丸1の部分、世界の市場、技術動向を調査しまして、プロトタイプ開発をスピード重視で進めているということで、適宜ユーザからのフィードバックを掛けている状況でございます。令和5年度にバンコクで1件、名古屋で1件のセミナーも開催しております。また、令和6年度にナイロビで1件のセミナーを実施し、広く情報を周知しながらユーザからの意見の収集作業を実施中ということで、こちらの名古屋のセミナーに私も行かせていただきまして、大変な反響があったということでございます。また今年度中に国内で1件セミナーを実施予定としております。
 丸2、3次元観測が可能な国産衛星を活用しているということで、今後、先ほどもお伝えしたとおり宇宙戦略基金での支援に伴いまして光学のコンステレーションは国産のものが増えていくと想定されますので、そうしたところに伴いまして活用を増やしていきます。また、そうした本実証の成果を基に国内の衛星等を活用したデジタルツインのビジネスというものを当然ながらグローバルで商業化していくということを考えております。また、本研究で作成したガイドラインやデータ・資料につきましては公開ということとして、関連する業界への利用促進を図っていきたいと考えているという状況でございます。次の頁をお願いします。
 こちらは今回事前に頂いたコメントでございまして、丸1、光学とSARの融合とは具体的にどういうことか、ということでございます。こちらは順に回答させていただきます。丸1につきまして、この光学とSARの融合につきましては、画像を合成するということと、撮った情報をオーバーレイするという2つの手法について技術開発を進めているということでございます。1つ目の画像の合成につきましては、性質の異なるSARと光学と両方扱うために、光学の画像のデータをSARに擬似的に転換するような技術というものを検討しているところでございます。あるいは2つ目の情報のオーバーレイという観点では、SARからの変位情報と光学の3次元情報をオーバーレイして統合的に情報抽出・可視化する技術を検討しているというところでございます。
 次の質問・コメント丸2、デジタルツインで考えられる利用例について、風環境や熱環境のシミュレーションが考えられますが、いかがでしょうかということということでございます。また、ソリッドな都市とかのデジタルツインのみならず、そうした環境データのシミュレーションもどうかということでございまして、現在回答としましては、考えられる利用例の中として考えておるところでございます。今年度の技術開発の中でデジタルツインの3Dのシミュレーション予測技術として風環境や熱環境のシミュレーションの解析の検討を行っているという状況でございます。
 丸3、再委託先として参加する予定のMarble VisionsはNTTデータの関連企業として設立間もない企業だと思いますが、どんな役割分担でございましょうということ。また、Marble Visions側からのコメントがあれば教えてくださいということで、こちらの回答。まず上の段がNTTデータからのコメントとなっております。Marble Visionsは小型衛星コンステレーション及びそれを活用した3次元地理空間情報サービスの提供を目的としており、本プログラムの中でMarble Visionsは主として小型衛星を活用した3D地形データの解析に関する技術開発について役割分担を行う予定です。一方で親会社のNTTデータは、主として3D地形データを活用したデジタルツインのプラットフォームに関する技術開発について役割分担をするということで、データ解析をMarble Visionsが行い、それを統合してプラットフォームに入れてやっていくというのはNTTデータでやっていくというような分担を想定しているということでございます。
 また、下の部分、Marble Visionsからのコメントということで頂いていますが、デジタルツインの実現に資する高頻度かつ高精度な撮影が可能な観測衛星システムを整備し、衛星画像提供から利用者の判断支援までワンストップで提供できる仕組みの構築を目指しています。Marble Visionsとしては本プロジェクトに参画することによって小型衛星を活用した3D空間地形情報に基づくデジタルツインの利用実証を行い、ユースケース作成とユーザ展開を行い、観測衛星システムの利用を加速したいと考えておりますという回答です。こちらは以上でございます。次の頁をお願いいたします。
 次はデジタル信号処理に対する高効率排熱システムの研究開発ということで、総務省との連携です。事業期間は4年程度ということでございます。通信衛星のデジタル化に伴いまして、計算機資源も必要ですが、その計算による発生する熱の負荷というものが激しいということでございまして、そうした衛星の高度化に伴って排熱能力の高度化も必要だろうということで、今回二相流の排熱システムの研究開発を行っております。
 中身としましては丸1と丸2。高効率な熱の伝達技術の開発ということで、熱を送り届けるような技術開発、そして丸2が二相流排熱システムの開発ということで、二相流というのは気体と液体が混ざったような状況のことをいっておりまして、その方が熱放散も効率が高いといわれていることから、扱いは難しいですがこれにチャレンジしているといったものでございます。
 スケジュールとしましては、青いところのとおり現在丸1の高効率熱伝達技術については調達・製造・組立を実施しているところでございまして、排熱システム自体の開発につきましては概念検討・設計と調達と試験評価というものをパラレルで行っているような状況でございます。次の頁をお願いいたします。
 今回の進捗状況を改めてご紹介しますが、高効率な熱伝達技術の開発については、今年度は設計検討及び試験用供試体の製造を実施する計画です。丸2の二相流排熱システムの開発に関しましては、今年度設計検討及び試験用供試体の製造を実施する計画ということで同じでございます。また、丸3として、実際の通信領域分解能の向上に関する動向及び実現性検討ということで、マーケットも踏まえてしっかりとその効果があるのかといいますか、しっかりと刺さるのかといったところについてもしっかり評価をしていただいているといった状況でございます。
 来年度につきましては、丸1の高効率熱伝達技術の開発につきましては、今回の成果を踏まえまして早期に維持設計の作業に着手しまして、検証試験の実施に向けた検討作業を実施するとともに、調達・製造を行い、試験用供試体の組立を行うとともに評価試験を実施すると。二相流排熱システムの開発につきましては、同様に成果を踏まえ維持設計作業に着手ということと検討作業を実施するところは同じでございます。また、テストベッド組立を実施するということになっております。また、こちらは以前もコメントがあったかと思いますが、小型・中型衛星の適用可能性として、大型のみならずマルチな衛星のサイズに刺さるのかということで、過年度の成果に基づきまして設計検討及び調達を含めた試験用供試体の試作を実施するとなっております。
 また、丸3、通信領域分解能向上に関する動向調査及び適合性確認ということで、引き続き動向調査を継続し、この仕様の有効性が維持されることを確認するというふうになっております。次の頁をお願いいたします。
 前回の部会で頂いたコメントとして、丸1、熱制御方式の特徴、能力分析を実施し、その評価結果により適宜適用する衛星サイズや開発スコープを調整すること。丸2、本技術の小型・中型衛星の適用可能性検討において、キー技術の国産化についても検討することというコメントを頂いております。いずれも今後の開発戦略に係るコメントでございまして、対応状況としまして丸1、衛星の熱制御方式の特徴・能力分析結果から小型・中型衛星へのアクティブ熱制御システムの適用の有効性を見いだしたということでございまして、正にコメントを頂いたとおりやってみたら有効性があることを見いだしましたということで、今回、キーコンポーネントであるポンプ、アキュムレータの国産化の可能性について試作に着手するということでございます。
 丸2、小型・中型衛星への適用可能性検討において、先ほどの上記のとおりでございますが、キー技術の国産化の検討を実施するということで、皆様からのコメントを踏まえまして実際に事業者において検討したところ、有効性があるかもしれませんということなので、実際にキーコンポーネントの国産化も含めてやっていきますということで、大変有り難いコメントだったと思っております。次の頁をお願いいたします。
 事前のコメントでございます。「将来の小型・中型衛星への適用も見据えて」と戦略に示されています。この小型・中型とはどのくらいのものですかということでございまして、一辺が1~2 m角程度の衛星サイズを有し、1 kW級の熱を5~6 m以上輸送する排熱要求がある小型・中型衛星に対して適用可能と考えておりますということです。以上でございます。次の頁をお願いいたします。
 次はダイヤモンド半導体デバイスの宇宙通信向けマイクロ波電力増幅デバイスの開発ということで、こちらは経産省が連携に入って5年の研究開発をしております。宇宙の半導体につきましては、次世代のパワー半導体のためにはダイヤモンド半導体というものに一つの脈があるのではないかといわれているということでございまして、このダイヤモンド半導体を用いた宇宙のマイクロ波電力増幅デバイスを開発し、その宇宙実証を実施するというようなものでございます。
 丸1のところにつきましては、ダイヤモンドの半導体を用いた、マイクロ波の増幅デバイスの試作・評価を完了するということと、丸2のところはマイクロ波回路を開発し信頼性及び耐宇宙環境性を確認するということ。そして丸3、コンポーネントを試作して超小型衛星等の飛翔機会を利用してその実証を行うといった計画となっております。開始して今回2年目ですので、今は記載のとおりパッケージ化の研究ですとかデバイスの作製技術の開発、パッケージ化技術、サブミクロンゲートの作製技術の開発ですとか、マイクロ波回路開発ということになっておりまして、まだ実際のコンポーネントの試作には行っていないというところでございます。次の頁をお願いいたします。
 こちらは少々細かくなっていきますので、やや割愛させていただければと思いますが、今年につきましては、ダイヤモンド半導体デバイスの作製技術の開発については、製造プロセスの改良により8 mm角及び4.5 mm角のダイヤモンドの単結晶基板上にサブミクロンTゲート電極構造を有するMOSFETの試作を成功というふうに書いております。また、パッケージ化技術につきましては、来年度までに昨年度整備したボンダを使用しましてMOSFETへの実装試験を予定しているということ。
 また、丸3、サブミクロンゲートの作製技術の開発につきましては、据付及び高精度アライメント露光を完了した電子ビーム露光装置を用いて、3層レジストパターニングを用いたプロセスによってゲートの形成に成功したということでございます。また、(2)のマイクロ波回路の開発につきましては、マイクロ波回路増幅器の設計・試作を行っておりまして、高周波小信号特性測定を実施予定となっております。右側は、着手したばかりの技術でございますので、右側は長いので割愛させていただきますが、記載のとおりの予定となっております。次の頁をお願いいたします。
 前回の質問でございます。丸1、早急な普及、市場育成を目的としてユーザからの協力を仰ぐ他、ダイヤモンド半導体のコンソーシアム等において情報共有やユーザニーズを収集し、将来、デバイスや製品の製造を担うことができる企業等の参画団体を積極的に増やすということ。また、技術移転先の候補企業との共同開発や技術指導について情報収集・意見交換を行う。丸2、国際ワークショップ等を通じて最新の成果発表・情報交換を行い、海外機関の状況について確認を行うこと。また、重要技術については徹底した情報管理をしてほしいということでございます。
 対応状況としましては、まず丸1ですが、丸2も入っていますけれども、佐賀県にございます再生可能エネルギー等のイノベーション共創プラットフォームの傘下にダイヤモンドマイクロ波デバイス分科会といったものを設置しまして、関係団体と一緒にしっかりやっておりますよということでございます。また、丸2の部分で、特許や論文にノウハウや具体的な状況を記載しないということで、外部への製法の漏洩を防いでおりまして、早期に特許出願を予定しておりますということでございます。次の頁をお願いいたします。
 事前に頂いたコメントでございます。事業化について、製品化されれば新しく起業することもできると思いますがどうでしょうかということでございまして、当然企業化も考えています。ただ、それはもちろんのこと、連携・提携可能な企業との交流ついてもコンソーシアムを通じて積極的に行っていくということで、主体的にベンチャーを起こすこともありますし、今ある既存の事業者について連携するといったところも、いろんなパスがあると思っているといったコメントかと思っております。次の頁をお願いいたします。
 時間がなくなってきましたのでやや巻きでご説明させていただければと思いますが、現在の電源システム基盤技術獲得に向けた検討ということで、こちらは経産省と共に2年程度の研究開発になっております。こちらは短いですが電源システムにつきましてスライスができるようなデジタル電源の検討を行うとか、あるいはリチウムイオンバッテリの液式あるいは全固体に関する高度化の技術開発を行うとか、あるいはフラットパックの太陽電池パネルに係る検討・要素技術開発を行うという、3つのデジタル電源、そしてバッテリ、後は太陽電池パネルの3つの技術開発について行うものでございます。
 実施項目につきましては、こちらは最後実証するというよりも、こちらの3つのパーツ、コンポーネントについて、市場の見込みですとか技術的な成熟の見込みについて検討を得るというところを一つのゴールにしておりますので、短い2年間の研究開発となっておるということで、今年度までとなっております。次の頁をお願いいたします。
 今年度の進捗状況ということで、デジタル電源につきましては、双方向コンバータを含めた標準モデルの2次試作モデルを製作しておりまして、予定どおり進捗しているところでございます。丸2のバッテリにつきましては液式のバッテリと全固体のものを二つやっておりますが、液式のバッテリーアセンブリのモジュール試作、全固体電池のサブスケール試作を行いまして、仕様策定と設計方針を得る計画ということで、いずれも目標値の実現のめどを得ておりまして、計画どおり進捗していると。丸3のフラットパック太陽電池パネルにつきましては、こちらも現在部分的なインテグレーション評価を実施しまして、フルサイズの検証モデルに向けた方針を得る計画でございます。こちらも組立検証も終了しておりまして試験も実施中ということで、計画どおり進捗しております。
 こうした技術開発につきましては順調に進んでいるというところでございますので、プラスで国内外の技術調査、海外の競合他社との性能向上のトレンドの調査結果を踏まえ、最後の目標仕様の策定ですとか、技術開発の抽出、対策案の明確化を行いまして、今年度末までに、今後の実用化に向けた実現案を提示するという見込みでございます。次の頁をお願いします。
 こちらは前回の部会の方で頂いたコメントへの回答です。丸1、供給電力のスコープの最適化について、引き続き設計検討を進め、検討結果を計画に反映すること。また、将来の商品化も見据え海外動向調査しながら価格も含めた目標設定値の最新化も検討すること。丸2、国際標準化に係る製品の研究開発においては、我が国が不利にならないように動向を注視し戦略的に取り組むということになっております。
 対応状況としましては、最適化設計につきましてデジタル電源はニーズや競合他社の動向を反映して、22 kWを最適化ターゲットとしまして、元々スライスすることができるということでスケーラブルなデジタル電源を目指しておりますので、そのスケールによって7 kW~29 kWの最適化範囲を設定しているということでございます。また、少し細かいですが、開発目標の下限である3.6 kWにつきましても優位性があるということで、かなり幅が広い対応かつ、いずれのkWのターゲットにおいても優位性が見いだせる状況にあるということでございます。
 丸2、液式リチウムイオン電池でISOの標準化を我が国が主導した経験も踏まえまして、全固体電池につきましても標準化に向けた活動を検討中ということで、これは極めて重要なことであると思っております。また、宇宙用に限らず電池に対するレギュレーションにつきまして、市場規制などの情報ソースを活用しまして、把握できたものについては技術的な観点で対応するということで戦略的にやっていきますという回答になっております。こちらも事前のコメントを頂いておりませんので、次の頁に行かせていただきます。
 カーボンニュートラルの実現に向けた森林バイオマス推定手法の確立と戦略的実装ということでございまして、連携省庁として環境省、林野庁が入っております。3年程度の取組です。こちらにつきましては、森林バイオマスを、衛星を使ってどう測定するかといったところの研究開発を進めるとともに、カーボンクレジットの市場の獲得に向けてそうしたバイオマスの推定手法を確立してしっかりとカーボンクレジット市場にそれを打ち込むことによって最終的に我が国の便益にリターンを返すというような取組になっております。
 順番としては丸1~丸4になっておりますが、まずは小さいスケールから航空機のSAR等を使いまして、いろんな観測の手段を付加しながら複合的なデータの使い方によってバイオマスの推定手法のやり方を構築すると。それを衛星の方に反映して、かつ流域・スケールをどんどん大きくすることによって実績を積み上げて丸2、丸3に流れて、最後は国レベルで森林バイオマスの整備・検証を高精度に行っていくと。これと並行して丸4、森林カーボンクレジット算定に係る利用実証ということで、民間事業者との連携も想定しながらアルゴリズムを作って利用実証に進み、最終的には衛星のデータを使ってカーボンクレジットが算定できる世界観まで持っていきたいというようなものでございます。
 こちらの線表は、黄色のところは少し計画がずれ込んでいるところはございますが、いずれも年度を越えたものでございますが全体の影響はないというふうになっております。次の頁をお願いします。
 これも長いので割愛していきますが、今年については、丸1、陸域炭素吸排出算定手法の開発ということで、昨年度に引き続きましてJAXAの持っている航空機搭載SARのPi-SAR-L2というのがあるのですが、こちらをPi-SAR-L3にバージョンアップをして多偏波・多周波の同時観測機能を追加するということ。また、航空機搭載のGHHG、後はSIFの観測装置の整備を実施して飛行試験をやっていきます。こうしたものも踏まえまして、現在茨城県の龍ヶ崎市の圃場をテストサイトとして選定しているといったところでございます。
 丸2の流域スケールにつきまして、炭素収支算定手法の開発ということにつきましては、現在対象領域において森林バイオマスを高精度に推定する手法の検討を実施しております。今後はそれを国レベルへスケールアップするに伴う誤差伝搬についての検討も進めております。
 丸3、国レベルの森林バイオマスの整備・検証ということで、実は海外のデータも使いながら粗々森林バイオマスのVer.1というのを整備・公開している状況でございまして、こちらは北大との共同研究成果となっております。また、海外においてはカンボジアの環境省と連携をして現地プロット調査を実施しておりますとか、様々CEOSも含めてそういう取組の紹介ですとか、NASA/ESAと連携した相互比較に向けた協力を実施中ということ。
 丸4、森林カーボンクレジット算定に係る利用実証につきましては、令和5年度に実施をした調査を基に方法論の改訂・新設のための実証計画を作成していると。今後、実証地の選定を行う予定でございます。また、国内の実証を進めるとともに海外のクレジット制度における森林バイオマスの実証についても検討中ということでございます。来年度につきましては、こうした取組のスケールを少しずつ大きくしていくとか、研究開発によってその手法の高度化を進めていくというところになっております。次の頁をお願いいたします。
 前回頂いたコメントでございます。丸1、国際会議等の様々な機会を活用して日本のバイオマスマップ開発に係る成果発信に取り組んでほしい。丸2、民間企業や関係省庁との連携によってバイオマスマップの活用可能性について対話を実施してほしい。また、SARに加えて光学ですとかライダーも含めた森林バイオマスの検討をしてほしい。丸3、カーボンクレジット、バイオマスマップ開発に関連する国内外の取組事例やコミュニティの議論を参考にしつつ、衛星と地上のデータの組み合わせですとか衛星のみの手法でそれぞれの持つ優位性とか違いも含みつつ検討を進めてほしいということ。
 これらに対する回答ですが、対応状況丸1として、COP29の日本パビリオンにおけるセミナーにおきまして、日本のバイオマス作成取組を紹介しております。引き続き海外展開を視野に入れ事業を進めてまいります。丸2、国内外の動向調査を実施しまして、民間や環境省、林野庁と連携しながら戦略的に実証を実施しております。また、LバンドのSARに加えて海外の光学衛星やライダー、まだ国内にアセットが余りないので、基金を活用しながら、これがそろってくればそちら側に移管してやっていきたいというふうに考えておりますが、いずれにしても光学やライダーも組み合わせたバイオマスというものを検討して、一旦Ver.1というものも先ほどお伝えしたとおり整備・公開しておりますということでございます。丸3、海洋クレジット制度の方法論の改訂・新設に向けて、地上のデータとの親和性ですとか衛星データの優位性についても実証の中で検討していくということでございます。次の頁をお願いします。
 事前に頂いたコメントです。こちらも順番に回答していきます。丸1、航空機観測の高度化とはどういうものか、ということでございます。回答としましては、航空機SARの改修(Pi-SAR-L3)とGHG/SIFの観測装置の整備を進めておりますので、それができると一つの航空機でSARとGHGの同時観測ができるということでございますので、SARによる高さ方向のみでなくGHGによる炭素収量の収支の測定ができるので、両方のデータをうまく使ったり、それを実際にキャリブレーションに使ったり、というようなことができるということでございます。また、本事業の外ではございますが、今回改修するLバンドと通信総合研究所が保有するXバンドの同時観測が、これもまた同じ航空機に載せてやるというふうに聞いておりますが、LとX両方のSARを同時に使うような高度化もできるというふうに聞いておりますので、なかなか夢が広がります。これが衛星でできればすごいというふうに考えているところでございます。
 丸2、ALOS-4/PALSAR-3のデータ利用の予定はありますか?ということで、現在ALOS-4につきましてはまだ実運用にはフェーズとして至っておりませんが、初期校正検証運用終了後に有力なデータが取得でき次第、利用する想定でございます。丸3、LバンドSARにつきまして、米印NISARの打上げの遅延、欧州では計画自体がまだ先であるなど日本が優位性を発揮しやすい状況にあるということで、その間に精度面で成功するとか、あるいは標準化といった取組ができるのではないかといったご指摘。当然ALOS-2とALOS-4の2機による高頻度観測運用及び、ALOS-4での4偏波の観測を用いた精度向上については、他国のLバンドではできないような大きな強みだと理解をしていますので、これをフル活用しまして、実際に東南アジアの国別のバイオマスマップを作成し、インベントリ報告での利用ですとか、カーボンクレジットでの利用を検証していくということ。また、こうした結果をCEOSですとかGFOIを通じて標準化を行っていくとともに、COPにおいても成果を示すことによって我が国としてのプレゼンスを上げてゲームを作っていくような流れにできればというふうに考えているというところでございます。時間も超過してしまいまして大変申し訳ございませんでした。私からの説明は以上でございます。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございます。それでは、ただ今の説明について御意見、御質問あればお願いいたします。それでは、村松委員、お願いいたします。
 
【村松委員】 どうもご説明ありがとうございました。R4-06、光学衛星データの解析技術の研究と利用実証と、ただ今のカーボンニュートラル実現に向けた森林バイオマス推定手法の確立と戦略的実装というのは、部分的には技術的な面で重複する部分もあるようにも思われます。この両者に関して、連携していくとか、カーボンニュートラルの方が3年計画ですので、こちらで得られた結果を例えば光学衛星のデータ解析の方に組み込んで生かしていくとか、そのような計画はございますか。
 
【池田補佐(事務局)】 ありがとうございます。元々光学とSARというところで、こちらに今表示されている方が光学を念頭にしているもので、後ろのカーボンのバイオマスの方がSARというものをイメージしてきましたが、やはり作り込んでいく中でお互い何か光学は光学だけでSARはSARだけで閉じるという話でもないよねということになってきていますので、そこは実は出口は分かれていますが、根は同じところはかなりあると思っております。幸いこちらは両方ともJAXAが協力関係に入っておりますので、事業者それぞれの戦略もあるかと思いますが、当然できる技術の提供ですとか、我々として狙っていくマーケットについては、そういった武器も相互に連携しながら狙っていくといったところが当然想定されるかというふうに思っております。もし事業者の方からコメントがあれば、NTTデータさんですとかJAXAさんの方からあればお願いいたします。
 
【田殿研究領域主幹(JAXA)】 よろしいでしょうか。JAXAの田殿といいます。ご質問ありがとうございます。今ご回答いただいたとおりなのですが、こちらの高分解能光学の方は様々な出口を見据えて広く検討されていて、そのうちの一つはカーボンクレジットだったり森林観測だったりというふうに理解しております。その部分で最後説明していただいたところとうまく連携できればというところを考えており、おっしゃっていただいたとおり進めていければと思っている次第です。以上です。
 
【村松委員】 どうもありがとうございました。
 
【大竹部長(NTTデータ)】 事業者であるNTTデータの方からも一言発言させていただきます。NTTデータの大竹と申します。我々の方としても光学とSARで今のトピックで連携させていただくのはぜひ前向きにやらせていただきたいと思っていますので、ご指摘いただいたとおり連携を深めていければということを考えております。ありがとうございます。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございます。他のご質問はいかがでしょうか。既に文書も渡してありますので、質問がある方は既にされた場合も多いと思うのですが、更なる質問があればぜひともお願いいたします。いかがでしょうか。……よいでしょうか。それでは、御質問も上がってこないようですので、本件はこれで終わりにしたいと思います。池田さん、ご丁寧な説明どうもありがとうございました。
 
【池田補佐(事務局)】 ありがとうございました。
 
【村山部会長】 それでは、次の議題に移らせていただきます。次の議題は商業デブリ除去実証(CRD2)の実施状況についてです。CRD2は企業とJAXAのパートナーシップ契約の下、JAXAが契約相手先からサービスと技術開発成果を調達するという新しい試みです。本日は、軌道上デブリへの接近観測というフェーズ1の成果と今後のフェーズ2の状況について説明いただきます。それでは、JAXA研究開発部門の稲場理事、CRD2の山元プロジェクトマネージャ、御説明をお願いいたします。
 
【稲場理事(JAXA)】 ご紹介ありがとうございました。JAXAの稲場でございます。今部会長からご紹介いただきましたとおり、本日は実施中の商業デブリ除去実証ミッション、CRD2と呼んでいますが、この状況についてご報告させていただきます。本ミッションはご紹介いただいたとおり2つのフェーズに分割して実施しております。フェーズ1は実際の大型デブリ、これは具体的には2009年にGOSATを打ち上げたH-IIAの上段でありますが、これに接近をして近傍飛行により観測を行うものです。あとフェーズ2は、新たに宇宙機を打ち上げまして、フェーズ1で観察・状況把握した大型デブリに接近・捕獲した後に軌道を降下させるというミッションでございます。フェーズ1は2019年に開発を開始いたしまして、今年の2月に宇宙機が実際に打ち上げられ、運用中でほぼミッションを終了したところです。フェーズ2は今年の9月にJAXAの中でプロジェクトを開始いたしました。以上2つの活動について、担当しております山元透プロジェクトマネージャから資料に基づき詳細に御報告をさせていただきます。それでは山元さん、お願いします。
 
【山元プロジェクトマネージャ(JAXA)】 では、ご説明いたします。
JAXAでは、宇宙利用の持続性確保、スペースデブリに関する様々な活動をしてございますが、SSAに関する活動、それから宇宙利用に関する国際標準作りへの貢献に関する活動、それからスペースデブリの脅威・リスクに対処するための研究開発といったことをやってございますが、今日お話するのはこの最後の研究開発のところの1項目に相当します商業デブリ除去実証(CRD2)についてお話をさせていただきます。次の頁をお願いいたします。
 今もご紹介ありましたが、CRD2はデブリ除去を起点に新規宇宙事業を拓き民間事業者が新たな市場を獲得するというのを目指す姿と捉えまして、2段階で行うプロジェクトとしてございます。それぞれフェーズ1で接近して撮影を行う、非協力的ターゲットに対するランデブの技術というのをここで獲得して、フェーズ2でそれに加えてそのターゲットの捕獲と除去ということを行うという、そういう2つの構成になっております。次の頁をお願いいたします。
 また、民間事業者の事業化を後押しする新たな試みというのを、このプロジェクトを通じてJAXAで試行してまいりました。JAXAは衛星ではなくサービスと研究開発成果を調達するという仕組みにすることと、マイルストーンペイメント、つまり事前に定義されたマイルストーンがあって達成されるごとにあらかじめ定められた金額をお支払いしていくような形にするということ。それから、企業とのパートナーシップ型契約として特にJAXAからこの枠組みの中で技術的なサポートを企業側が得ることができるという仕組みにすることです。そういったことによって企業がこれを一つの土台にして事業化をしていくのを強くサポートできるような仕組みというのを試行したということでございます。次の頁をお願いいたします。
 ここからフェーズ1に関する御説明ですが、2020年3月にアストロスケールが企業選定されて契約というのを行ったタイミングでしてプロジェクトをスタートいたしました。そして2024年2月に実証衛星ADRAS-Jが打ち上がって今に至るという状況でございます。次の頁をお願いいたします。
 フェーズ1のプロジェクトの前提条件に相当するところですが、サービス仕様、つまりこの実証衛星に軌道上でどういうことをしてくださいと定義しているかという内容が4つございます。1つは、デブリ接近計画に対する実績の確認サービス。これは遠方から近傍に至るまでのランデブの要求になります。2番目が、対象デブリの定点観測サービス。非常に近くまで行って対象デブリに対して相対的に高精度に制御をして映像を撮るというサービスでございます。3番目が、対象デブリの周回観測サービス。対象デブリと一定の距離を保ちつつ、ぐるっと回って対象デブリの全体像を映像に収めるといったサービスです。4番目が、ミッション終了サービス。対象デブリから安全に離脱をするというサービスで、これらを通じて民間企業が軌道上サービスに必要なランデブ・近傍運用の技術を獲得できることを狙って定義してございます。JAXAからの技術的な要求としては安全の要求がございまして、安全な標準を設定してそれを守っていただくということを技術要求としているという特徴がございます。次の頁をお願いいたします。
 JAXAが定義する4つのサービスに加えまして、衛星を保有している民間企業、この場合アストロスケールもご自分のミッションを実証できるという、そういう枠組みとしてございます。次の頁をお願いいたします。
 また、本プロジェクトは日本において民間事業者が軌道上サービスを実施する初めての機会となることが想定されましたので、これを契機としまして内閣府によって軌道上サービスを実施する人工衛星の管理の許可に関するガイドラインというのが制定されまして、このガイドラインの制定に先立ちましてJAXAではテクニカルな標準の整備でありますとか、あるいはこのガイドライン内容そのものに対する専門的な知見を提供する等して貢献をしてまいりました。今回このフェーズ1が実行されたことによって、軌道上サービスを行う衛星に対してこういうガイドラインに沿った許可申請と許可取得というプロセスが一例できたというところですし、このプロセスでこの規制当局との関わりを通じて軌道上サービスを行う衛星の管理許可を取得するという、産業界の経験というものもこれを通して蓄積されたという、そういう成果も出たということと考えております。次の頁をお願いいたします。
 また、このプロジェクトを通じましてJAXAで様々な技術的な支援というのを行ってまいりました。ランデブ・近傍運用に係る技術アドバイスを計200件以上提供してございますが、その他に例えば一般的な衛星の環境試験設備はもちろんなのですが、そういったものに加えまして研究開発部門の持っている特殊な試験設備、例えば擾乱計測、迷光試験、恒星模擬装置、急減圧試験装置、GPS信号シミュレータ、そういったものはなかなかすぐに使って有益な試験ができるものでもないですので、利用するノウハウを含めてサポートするといったことも行ってまいりました。また、衛星システムレベルでの近傍運用の地上検証というのが大事ですので、これが実施できるようにSATDynと呼ばれる軌道上サービス技術実証プラットフォーム、大型のモーションシミュレータ設備を準備いたしまして、試験・検証にアストロスケールがここに来て使ったということがございます。次の頁をお願いいたします。
 さらに、JAXAでは非協力的ターゲットへランデブするという技術の研究を随分続けてきてございましたが、その中で様々な非協力的ターゲットへのランデブですとか、制御に係る研究成果の知財提供というのも併せて行ってまいりました。光学モデリングですとか、センサーシミュレーション技術ですとか、ターゲットのスラスタプルームに関するテクニカルな取扱いですとか、そういったものを提供してまいりました。次の頁をお願いいたします。
 アストロスケールがADRAS-Jという実証衛星を開発されました。150 kgぐらいの小さな衛星ですが、いわゆるスペースデブリ、非協力的ターゲットにランデブ・近傍運用を行う能力のある衛星です。次の頁をお願いいたします。
 ADRAS-Jは、2024年2月18日に無事に打ち上げられまして、その後ランデブ、接近を行いました。一つここに取り上げてございますのは、非協力的ターゲット、スペースデブリは当然機能してございませんので、相対GPS航法が使えません。そういう中で、絶対的な航法から相対的な航法への引き継ぎ、橋渡しをどうするのかいうことが、この非協力物体については一つポイントであったところですが、Angles-Only Navigationというカメラを用いた相対航法の技術がございまして、それを実際使うことによってその橋渡しに成功してデブリの非常に近くまで接近するということに成功してございます。次の頁をお願いいたします。
 今年の5月でございますが定点観測サービスの実施に成功しました。距離50 mでピタリと止まって、このようなスペースデブリの状況がよく分かる映像というのを取得してございます。次の頁をお願いいたします。
 続いて7月に周回観測サービスの実施に成功いたしました。これはぐるっと1周、距離を保ちながら、そして相対的な位置・姿勢を精密に制御しながら回りつつ映像を撮っていくという運用で、技術的には大変難易度の高いオペレーションでございましたが、実施することができてございます。次の頁をお願いいたします。
 現時点での実証成果としましては、JAXAで定義しているサービス4つのうち主要な3つについて既に達成されたというふうに考えてございまして、元々サービス仕様の設計意図でしたフルレンジ、つまり対象物体の近くだけではなくて地上から実際に飛んでいるスペースデブリをめがけてロケットを打ち上げるところから実際に非常に近くまで到達してちゃんと安全に制御できるという意味でのフルレンジの非協力のRPO、ランデブと近傍運用の技術の実証というのを、民間の軌道上サービス事業者によってこれが達成できたという、そういう成果が得られたかと考えております。次の頁をお願いいたします。
 続いてフェーズ2でございますが、フェーズ2は4月にやはりスタンダードな選定プロセスを経まして、同じアストロスケールが選定されました。8月に契約し9月にJAXAでプロジェクトチームを発足してございます。次の頁をお願いいたします。
 前提条件に類するところですが、サービス仕様としましてはフェーズ1と異なる点は(3)軌道降下サービス、つまり捕獲してスペースデブリを実際に元の軌道より低い軌道に降下させるというのが入っているというのが違いになります。次の頁をお願いいたします。
 企業が衛星を所有しており、企業が自分のやりたい技術実証ミッションもできるというのもフェーズ1と同様です。次の頁をお願いいたします。
 実証衛星ADRAS-J2はこのような衛星になってございまして、ロボットアーム及び電気推進を具備した1 t以下クラスぐらいの衛星になります。次の頁をお願いいたします。こちらは割愛させていただきまして次をお願いいたします。
 JAXAによる技術支援ですが、フェーズ1と同様に技術アドバイス、設備供用、知財提供等を行ってまいります。捕獲に関すること、それから大きな物体を大きく軌道変換するための電気推進に関すること、それから、システムレベルの検証技術に関することを中心に支援をしてまいります。次の頁をお願いいたします。
 実施スケジュールでございますが、プロジェクトはこの9月に始まったばかりでございますが、1年に1回程度マイルストーンがございまして、打上げは2027年の予定でプロジェクトを開始したところになります。次の頁をお願いいたします。
 最後まとめでございますが、フェーズ1のプロジェクトの状況としましては二つ成果が出ているというふうに評価してございまして、民間企業との新しいパートナーシップ型の枠組みの実装を試行と。もう一つは、フルレンジ非協力RPO、ランデブと近傍への技術の実証成功。この両面の価値が創出できたかと考えてございます。フェーズ2はプロジェクトを開始したというステータスでございます。
 今後、軌道上サービスの技術開発への展開ということを書かせていただいていますが、非常にCRD2で獲得される技術は広く軌道上サービスの基盤的技術として応用が可能な成果と考えてございまして、元々この特徴を非常に重要視してプロジェクトを開始しているという背景もございます。この獲得技術と軌道上サービスの宇宙技術戦略を踏まえまして、JAXAの進める研究開発にもフィードバックしていくということを考えてございます。御説明は以上になります。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございます。非常に興味深いプロジェクトですが、ただ今の説明について御質問、御意見があればお願いいたします。鈴木委員、お願いいたします。
 
【鈴木委員】 鈴木でございます。この度はどうもご説明ありがとうございました。正に官民連携の代表的な成功事例になりそうな予感をさせるご説明だったというふうに思っています。デブリというテーマに限らずいろいろなものに応用可能だというふうに踏んでいるのですが、2点質問させていただければと思います。1点目は、国際的な競争力がこの技術においてどれくらいあるのか。他の国の技術開発との類似性や優位性みたいなものを教えていただきたいと思います。
 2つ目は、デブリを除去するということに関しては、日本国以外のいろいろな国においてメリットがあるものだと考えているのですが、日本の国がデブリの除去というところに大きくインセンティブを設計する他に、他のグローバルなチームがインセンティブ設計に乗っかってくるようなこととかがないかとか、協力して設計することができないのか、その辺りについて教えていただければと思います。よろしくお願いします。
 
【山元プロジェクトマネージャ(JAXA)】 ご質問ありがとうございます。最初のご質問は途中で音声が切れてしまいまして、おそらく国際的な類似の活動との関係性についてご質問いただいたかというふうに理解したのですが。
 
【鈴木委員】 そのとおりです。すみません。
 
【山元プロジェクトマネージャ(JAXA)】 この頁にある程度まとまってございますが、大きく申し上げましてデブリ除去の活動が活発なのは欧州という状況がございます。欧州ではESAがClearspace-1というミッションを既に立ち上げておりまして、これは少し紆余曲折あったのですが、今は100 kgぐらいの小さな人工衛星、これはESAが運用している衛星なのですが、これを捕まえて除去するというプロジェクトをやはり民間企業と一緒になってやっているというものがございます。CRD2、特にフェーズ2との大きな違いは、一つにはCRD2は本当にスペースデブリになっているもの、さらに大型のスペースデブリを対象にしているという違いがございまして、かなり技術的には本質的な違いになると考えています。特にデブリ除去に関しましては、効果のあるデブリ除去というのは、大型のデブリで混雑した軌道にあるものを混雑した軌道から外すと。そうすることによって大規模な破局的衝突が起こる確率を下げていきましょう、ということですので、小さくても1トン、大きかったら9トンといったようなレンジのものを除去するのがデブリ除去ということになりますので、そういう意味ではデブリ除去の実際の形により近い実施を計画しているのは日本のこのCRD2であると。そういった違いは明確にあるかというふうに考えてございます。
 2つ目もそういう意味では重なる部分があるかもしれませんが、欧州が一番活発です。米国もデブリ除去は余りやっておりませんが軌道上サービスは非常に活発、ということはございます。特にやはりCRD2フェーズ1は成果を出したというところで、いろいろシンポジウム等に私が出ておりますと、いろんな海外の宇宙機関の方からお声掛けを頂いて、いろんな将来協力できるといいねといったような会話も始めているというところもございますので、そういった中で、デブリ除去はグローバルなイシューでございますので、デブリ除去を実施する意志のある仲間を広げて実現に向かっていくというのが大事かというふうに考えてございます。
 
【鈴木委員】 ありがとうございます。正に二酸化炭素の排出権取引みたいな形でデブリに関するものに関しても全世界でいろいろ負担を分け合うような形で宇宙での活用が安全に行われるような未来をつくっていくということに日本としても大きく寄与していっていただければと思うので、ぜひよろしくお願いいたします。
 
【村山部会長】 ありがとうございます。それでは、他の方はいかがでしょうか。松岡委員、お願いいたします。
 
【松岡委員】 京都大学の松岡と申します。ご説明どうもありがとうございました。技術的な点に興味があり質問させていただきます。最初の方の3頁目で、デブリについて今3万個くらい軌道上にあること、小さいものも含めると更に大変多くあるというお話がありました。飛んでいるものの軌道が、大変混んでいる場所があるというお話も今ありました。おそらくデブリはいろんな軌道をとっているのではないかと想像するのですが、今回、実際に確立した技術でどのような軌道条件のデブリも取れるのか、それとも特定の軌道条件やデブリの種類によっては、ある一定取れないものが出てくるのか、全部のデブリに対応しようとすると大変技術的にも難しそうな気がするのですが、大体どのくらいの範囲の条件に対応できると期待しているのか、少々ふんわりした質問で申し訳ないのですが聞かせていただければと思います。よろしくお願いします。
 
【山元プロジェクトマネージャ(JAXA)】 デブリはおっしゃるとおり様々な軌道にございますが、将来どういうふうにそれが増えていくか、あるいは増えていって実際に運用している人工衛星に何らかの運用の支障が出たりするのかという観点でいいますと、だんだんデブリが増加していって支障を与えるであろうということが予想されてはいるのですが、増えるメカニズムというのがございます。基本的にはもちろんその軌道に入れてしまったものがデブリになるということがまずございますが、軌道上で衝突によって増えていってしまうということがございます。比較的軌道の高度の低いものは、薄い大気が地球の周りにありますので比較的早く落ちると。だけれどもある程度高い軌道になりますと非常に落ちにくく、ほとんど落ちないようなものになっていくと。
 今、シミュレーション等で予測されている範囲でいいますと、高度800 kmから1000 kmぐらいのところにあるスペースデブリはなかなか落ちず、したがって溜まっていくばかりだけれども、そこの密度が高いので衝突の確率が高くて、そこで破局的衝突が起こってしまうと次の衝突の確率をまた上げてしまうと。そういった形になりますので、そこの程度を下げるということが大事だと。そこの大型デブリを除去するということを直接のシナリオとしてやっているのはこのCRD2ということになりまして、全ての軌道のデブリを取る必要はないということになりますが、申し上げた軌道と、あと静止軌道と。そのくらいが当面の対象だろうと考えます。
 
【松岡委員】 特に混んでいるところを対象とされていて、それは多分赤道軌道だと思うのですが、そういうところのデブリにランデブして、最後は除去する、そのような技術を今進められているということで理解しました。どうもありがとうございます。
 
【村山部会長】 他の質問はいかがでしょうか。よいでしょうか?他に手は挙がっていないので、それでは本件はこれで終了したいと思います。ご説明どうもありがとうございました。
 
【山元プロジェクトマネージャ(JAXA)】 ありがとうございました。
 
【稲場理事(JAXA)】 ありがとうございました。
 
【村山部会長】 それでは、本日最後の議題に移らせていただきます。本日最後の議題は、今後の宇宙基本計画工程表及び宇宙技術戦略の改訂に向けた宇宙輸送分野における開発方策(案)についてです。7月と10月の2回にわたり基幹ロケット及び次期基幹ロケット及び民間が主導する新たな宇宙輸送システムについて、その実現に向けての取組の方向性について、現在の検討状況をご紹介し、様々な御意見、御助言を頂きました。本日はこれらを踏まえて、官民併せた我が国の宇宙輸送システム全体としての開発の進め方について、事務局より文部科学省の考える開発方策案をお示しいただき、委員の皆様からはこれに対して改めて御意見、御助言を頂きたいと思います。それでは、文部科学省宇宙開発利用課の阿部企画官、資料の説明をお願いいたします。
 
【阿部企画官(事務局)】 阿部でございます。よろしくお願いいたします。1枚めくっていただきまして、これまで宇宙開発利用部会の方で、今後の宇宙基本計画工程表及び宇宙技術戦略の改訂、予算要求等に向けて、我が国の宇宙輸送分野の研究開発の在り方についての議論をしてきていただきました。これまでの議論を踏まえまして、新たな宇宙輸送システムの実現に向けた開発方針についての整理を行うというところでございます。今年の7月23日には、文部科学省の方から論点整理、また、JAXAの方から今後の基幹ロケット開発方策についてお話を頂きました。また、10月28日には文部科学省から民間主導の新たな宇宙輸送システム開発についての論点整理、宇宙旅客輸送推進協議会(SLA)からは、新たな宇宙輸送システムの確立に向けた民間動向と重点技術について、JAXAからは次世代の宇宙輸送システムに向けたJAXAの基盤技術研究についてのお話を頂いたところです。その上で本日11月22日は、取組方策の案というものを出させていただいて議論をしていただこう、というところでございます。
 2頁目をご覧ください。第88回の宇宙開発利用部会においてJAXAより説明していただきました基幹ロケット開発方策検討における基本的な考え方でございます。まず1つ目としまして、次期基幹ロケットまで技術・産業・人材基盤を着実に成熟させながら現行の基幹ロケットを段階的に強化・アップグレードするとともに、多様な研究成果による新たな技術開発・技術革新、そういったものにも挑戦するということ。また、持続的なロケット開発機会を通じて、持続的かつ安定した技術・産業・人材、そういった基盤を構築していくということ。更には民間ロケット事業等との共創に貢献すること、というのが1つ目でございます。
 2つ目として、官需衛星の着実な打上げに必要な打上げ能力と高い信頼性を持ったロケットシステムを獲得するということ。そして3つ目、海外競合ロケットと比肩しうる打上げ能力、打上げ能力単価、社会的需要に応えるための打上げの高頻度化、多様化・大型化する衛星への対応等を進めるということと、常に変化する市場の需要動向変化に柔軟性とスピード感をもって対応する、といったことの3点が示されているところでございます。次の頁をお願いいたします。
 また、JAXAより基幹ロケット開発方策の検討ということで、ロケットの性能目標については柔軟に見直し最新化することが重要であるということで、ニーズの変化を踏まえた持続的かつ段階的な開発プロセスを構築し、技術や人材基盤の維持・向上を図るということ。また、基幹ロケットを総合システムとしてアップグレードしながら各システム性能を段階的に向上させること。更には、老朽化した射場設備・試験設備の刷新・拡充、基幹ロケットの打上げ高頻度化に向けた取組、そして我が国の打上げ射場等の在り方、こういったものの検討を進めるといったところを示していただいたところでございます。次の頁をお願いいたします。
 その上で議論をしまして、右下でございますが意見交換の際に頂きました御意見、主な点は3点かと思いますが、基幹ロケットの段階的なアップグレードは技術の伝承の面からもニーズに柔軟に対応していく面からも非常に大切であるということ、体制をしっかりと整えていくことに期待、といった点を頂いております。また、低コスト化と信頼性向上という点は、相反するように見えて、実は効率化という意味において同一のベクトルであるという御指摘。また、アップグレードの目標を考える上ではミッション側(想定されるユーザ等)とのコミュニケーションが重要という点をご指摘いただいているところです。
 また、JAXAからの提案は左の箱のところでございますが、特に下の方で、2025年度から段階的なアップグレードを立ち上げるということと、アップグレード1では複数衛星の搭載構造や衛星の設計・検証を効率化するための国内ロケットの規格統一化に優先的に取り組むといったお話がございました。
 それから、もう一つの話としまして、民間の話になりますが、この頁の資料もJAXAから91回の宇宙開発利用部会で示していただいたものですが、民間事業者による宇宙輸送システムの開発、事業化の促進というところでございまして、民間事業者の新たな宇宙輸送システムの開発、事業化を促進することを目的に、相互の技術適用、連携を考慮しながら技術の獲得戦略案を取りまとめていって、将来像の実現を推進するといったこと。2つ目としまして、事業化の見通しや技術実現性の見通しの低さから、民間等が単独で開発に取り組むことが難しい初期段階の要素技術が複数あるということから、提案に基づく官民での共同研究や今後の基幹ロケットの開発に向けた取組等によって、技術成熟度の向上を促進するということを示していただいているところでございます。次の頁をお願いいたします。
 こういったものを踏まえながらご意見いただいたところとしましては、右下のところでございますが、研究開発の土台となるところを支援いただきたいという、具体的には射場の整備、試験場の整備・維持、多くのエンジニアを育てるということが重要という御指摘、また、抜本的な低コスト化に向けては再使用化技術が必要であるということと、日本らしい勝ち筋を作っていくことが必要だという御指摘。更には、技術成熟度を高めるためにはJAXAのインハウス研究を強化し、要素技術研究だけでなくシステム全体を作る技術やノウハウの獲得をJAXAでも目指すべきではないか。加えて、官民共同で多様な宇宙輸送についても戦略を持つことが大切という点と、制度整備を加速していくことが望まれるという御指摘を頂きました。それに対しまして、SLAとJAXAからの話の中では、2040年代を見据えた宇宙輸送システムの技術開発を戦略的に考える必要があるといった点、また、基幹ロケット開発の連携、官民共同での研究開発を進めるという点、それから、制度整備や支援体制構築等の環境整備が必要というお話があったかと思います。一番下ですが、文部科学省としましては今後取り組むべき技術開発項目につきましては、民間等からの提案も踏まえつつ、宇宙技術戦略のローリングにおいて反映すべく関係府省庁間で調整を進めていくということが必要だという認識でおります。
 こういったところを踏まえた上で最後に7頁目をご覧ください。文部科学省の方でこれまでの御議論を少し整理させていただいた開発方策案でございます。まず上段になりますが、基幹ロケットの開発方策になります。信頼性向上や事業環境の整備、打上げ高頻度化、射場設備の老朽化への対応等の基盤的活動を、一貫性を持って実施することにより、基幹ロケットとしての成功実績を積み重ね、宇宙産業エコシステムの構築を継続して推進するということ。それから、基幹ロケットを総合システムとして、打上げニーズの変化等を踏まえた持続的かつ段階的な開発プロセスにより高度化をする。また、次期基幹ロケットの開発着手に向けて、宇宙輸送系の事業・プロジェクト機能と研究機能を一体化した研究開発体制を構築すること。また、次期基幹ロケットの開発目標については、需要動向、競合分析等を考慮しつつ、想定される利用者等とのコミュニケーションを更に深め、検討に着手する。そして、基幹ロケットの高度化、次期基幹ロケットの開発にも必要な、次世代の宇宙輸送技術の獲得を目指して基盤的研究開発を継続し、民間等との連携を通じて我が国全体の産業・人材基盤の底上げ等にも貢献するということで、まとめてみたというところでございます。
 また、下の枠でございますが、新たな宇宙輸送システム開発方策として、まず国は新たな輸送システムの確立に向けて民間事業者が主体的に実施する個々の事業構想に基づいた技術開発・システム開発に対し支援を加速する。また、JAXAは事業化の見通しや技術の実現性見通し、成熟度の低さから民間等が単独で開発に取り組むことが難しい初期段階の要素技術開発については、JAXA主体の取組範囲を重点化し、引き続き民間等と連携した研究開発に取り組むこと。最後に、我が国の宇宙輸送システムの国際市場における優位性や競争力の確保・向上に向け、技術開発のみならず制度等の環境整備について官民一体となった検討を進めることが必要であるということで、まとめてみたというところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【村山部会長】 ご説明どうもありがとうございます。前回も議論したトピックですが、御質問、コメントがあればお願いいたします。特に文科省の方のこれからの基本的な方策ということでまとめていただいたのですが、いかがでしょうか。笠原委員、お願いいたします。
 
【笠原委員】 どうもご説明ありがとうございます。また、最後の開発方策案は非常に重要な内容が改めて整理されているものとして深く認識させていただきました。前回の繰り返しになってしまうかもしれませんが、今後の基幹ロケット開発方策案の最初の行で、高頻度化、射場設備老朽化への対応等、基盤等の活動をということで、やはり基礎となるところといいますかリソースの部分というのが、長期的にも短期的にもそうなのだと思うのですが、非常に重要だなということを改めて強調されているかと思っておりますし、私も非常に強く、ここが第1行目にあるというのは強く同意するところでございます。やはり基幹ロケットだけではなくてその周りを取り囲む複雑な環境、ルールや正に射場ですね。そこで多くのプロの方々がお集まりになって打上げを実際成功に導いているわけなのですが、やはりその複雑な構造化、それから数、それから費用、それからそれを維持していくというところは非常に大変なことだと思いますし、また、新しい方がそこに加わってくる、特に民間の方が加わってくるときに最大の困難さといいますか、経験の量が非常に必要な部分だと思うのです。文化も必要でしょうし、いろんな長い積み重ねがそこに現れてくるかと思っております。ですので、そういう基盤を整備しつつ新しい方もどんどん迎えていかれるようなところにリソースを積むというところをやはり改めて強調させていだきます。いわゆる教育に一番リソースを注ぎ込むべき、といった考え方と全く同じで、一見直接目立ったことではないのですが、一番の土台といいますか、支える部分に費用をしっかり付けていくということが、長期的には10年後、20年後の宇宙開発にはとても効いてくるのではないかと改めて感じました。本当に超一流にまとめていただきまして本当にどうもありがとうございます。コメントでございます。以上です。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございます。コメントということですが、何かもし追加的なコメントが文科省の方からありましたらお願いいたします。
 
【阿部企画官(事務局)】 ありがとうございます。ご指摘いただいたとおりでございまして、10年後、20年後、更にその先もずっとこうやっていくという中で一番の土台でありますので、もし表現が弱いところがありましたら工夫等をしますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございます。他の御意見、コメントはいかがでしょうか。今まで我々が議論したところを的確にまとめていただいたと思うのですが、よいでしょうか? それでは、御意見はないようですので、ここまでにいたします。文部科学省においては、本日出ました意見も踏まえた上で、今後の宇宙基本計画工程表や宇宙技術戦略の改訂等に向けて更なる取組の検討を進めていただければと思います。大きな進捗がありましたら、適宜本部会にもご報告いただければと思います。これは比較的足の長い話ですので、今後何か変化があれば本部会でも取り上げていきたいと思います。ありがとうございました。本日の議事はこれで終了となります。最後に事務局から連絡事項があればお願いいたします。
 
【阿部企画官(事務局)】 本日もありがとうございました。本日の会議資料につきましては、文部科学省のホームページに既に掲載させていただいております。また、議事録につきましては委員の皆様に御確認を頂いた後、文部科学省のホームページに掲載をさせていただきます。最後に、次回の宇宙開発利用部会につきましては、12月下旬の開催を予定しております。委員の皆様には別途ご連絡いたします。事務連絡は以上となります。ありがとうございます。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございました。本日は通信が乱れまして画面が見えにくかったところ、それから阿部さんが話されている時も若干雑音が入ったりしていますので、この辺りのチェックをお願いいたします。それでは、以上をもちまして閉会といたします。本日も長時間にわたり誠にありがとうございました。それでは失礼いたします。

―― 了 ――

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