宇宙開発利用部会(第81回) 議事録

1.日時

令和6年1月15日(月曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. H3ロケット試験機2号機の開発状況について
  2. マネジメント改革検討委員会の進捗状況について
  3. 令和6年度文部科学省宇宙関係予算について
  4. JAXA宇宙状況把握システムプロジェクト終了審査の結果について

4.出席者

委員

部会長 村山 裕三
部会長代理 田中 明子
臨時委員 秋山 文野
臨時委員 笠原 次郎
臨時委員 金井 宣茂
臨時委員 木村 真一
臨時委員 芝井 広
臨時委員 白井 恭一
臨時委員 鈴木 健吾
臨時委員 高橋 徳行
臨時委員 鶴岡 路人
臨時委員 松岡 彩子
臨時委員 村松 加奈子
臨時委員 山崎 直子
臨時委員 山室 真澄
臨時委員 米澤 千夏

文部科学省

研究開発局長 千原 由幸
研究開発局宇宙開発利用課課長 上田 光幸
研究開発局宇宙開発利用課企画官 竹上 直也
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室室長 鈴木 優香
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 上田 尚之
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 木元 健一 
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 橋本 郁也

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 副理事長 鈴木 和弘
 理事 布野 泰弘
 理事 石井 康夫
 理事 寺田 弘慈
 経営企画部長 川崎 一義
 宇宙輸送技術部門 事業推進部長 佐藤 寿晃
 宇宙輸送技術部門H3ロケットプロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 岡田 匡史
 追跡ネットワーク技術センター センター長 井上 浩一

5.議事録

【村山部会長】 それでは第81回の宇宙開発利用部会を開催いたします。皆様今年もどうぞよろしくお願いいたします。今回も前回同様オンラインでの開催となっております。委員の皆様にはご多忙のところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。まずは事務局から本日の会議に関する事務連絡をお願いいたします。
 
【竹上企画官(事務局)】 事務局の宇宙開発利用課の竹上です。委員の先生方、本年も何卒よろしくお願いいたします。本日は、宇宙開発利用部会の16名の委員のうち現時点で15名にご出席いただいています。残り1名も遅れて出席の予定でございます。
 次に、本日の資料ですが、議事次第の通りです。オンライン状況について音声が繋がらない等の問題がございましたら、事務局へメールや電話等でご連絡ください。事務局からの連絡は以上です。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございます。それでは本日の議題は4件あります。最後の議題であるJAXA宇宙状況把握システム、いわゆるSSAシステムですが、このプロジェクトの終了審査についてのみ審議事項というふうになっております。あとは報告事項です。
 それでは早速議題に入りたいと思います。最初の議題はH3ロケット試験機2号機の開発状況についてです。H3ロケットについては昨年発生した試験機1号機の打上げ失敗について、昨年10月に原因究明結果と再発防止対策についての報告書が取りまとめられました。これを受け本年2月15日に予定されている試験機2号機の打上げに向けて現在準備が進められているところです。本日はその最新状況について説明いただきます。それではJAXA布野理事、H3ロケットプロジェクトの岡田プロジェクトマネージャ、資料の説明をお願いいたします。
 
【布野理事(JAXA)】 JAXAの布野でございます。H3ロケット試験機2号機に関しましては、1号機の打ち上げ失敗を受けまして、昨年5月に宇宙開発利用部会におきまして、確実な運用を早期に確立することを重視し、第1段で打上げ実績があり、早期に飛行実証が可能となるH3の22形態とし、ロケット性能確認用ペイロードを搭載する形態が適切との2号機計画の方向性についてご議論をいただきました。また、H3ロケット試験機1号機に関しましては、先ほど部会長からご紹介がありました通り、原因究明に関しまして、昨年文科省の調査・安全小委員会において報告書が取りまとめられているところでございます。
 これらを受けまして早期の打上げを目指して2号機の準備を行っているところでございますが、本日は2号機の開発並びに準備状況について、岡田プロマネより報告させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 H3プロジェクトチーム岡田でございます。よろしくお願いいたします。それではお手元の資料に沿いましてご説明をさせていただきます。資料81-1をお開きください。本日ご報告させていただきます内容が1ページにございまして、試験機2号機のミッション、そして試験機2号機に向けた準備状況でございます。さらに3項では今後の予定をご説明いたします。なおこの資料の中で20ページ以降に試験機1号機の原因究明と対策のサマリーを載せていますので、適宜ご参照いただければと思います。
 それでは2ページに参ります。試験機2号機のミッションです。ミッションの概要としましては先の打上げで先進光学衛星を搭載した失敗を受けまして、衛星喪失リスクに伴う影響を考慮するということと、できるだけ早くフライト実証をするということで、今後の打上げ計画への影響を小さくするということを第1の目的にいたしました。このために、1号機のミッション解析の結果をできるだけ活用できる機体形態、すなわち、1号機と同じ機体の形態H3-22S、下にございますけれどもLE-9エンジン2基、固体ロケットブースター2本、そして短いフェアリングの機体形態でございます。この機体形態、そしてペイロードにはALOS-3と同じ質量特性を持つ性能確認用ペイロード、これはVEP-4と我々呼んでおりますけれども、これを搭載するということで、これによりまして軌道投入までの経路は1号機と同様にいたしました。軌道投入というのは、このSECO-1と我々申しておりますけれども、第2段エンジンの1回目の燃焼が停止するところで軌道投入できます。メインミッションでありますH3ロケットの軌道投入をまず実現するということで、飛行実証によりましてH3ロケット開発の妥当性を検証するということ、そしてこの機体に小型副衛星を2基搭載させていただきまして、軌道投入の機会を提供するということをミッションとしております。ロケットのペイロードにつきましては下にご覧いただけますけれども、先ほど申しましたVEP-4に加えまして、小型副衛星1機目がCE-SAT-IE、そして2機目がTIRSATでございます。
 3ページに参りましてこの3ページは試験機1号機の実証の結果をご参考までに載せています。この一覧表は1号機でどの範囲の技術が実証できたかということを一目で示していますけれども、左の縦にイベントとしまして、地上でのカウントダウンからリフトオフに至るシークエンス。そして1段フェーズ、2段フェーズ、制御再突入と大きく分けています。この中で1段フェーズ、特に今回H3での新規開発用要素が多かった部分ですけれども、LE-9そしてSRB-3それぞれの燃焼およびSRB-3の分離、フェアリングの分離1/2段の分離などが実証できております。それぞれの技術的には、例えば推進系でありますとか、電気誘導制御系など列方向にはそれぞれの技術がどの時点で実証できたかというのを載せていますので、ご参照いただきたいと思います。ただ、2段フェーズ以降につきましては1号機で実証できませんでしたので、今回の試験機2号機でここを再挑戦していくというものでございます。
 4ページには2号機の飛行計画を載せています。先ほどご説明しました通り、SECO1までは1号機と同じ飛行経路を適用しまして、その後、この下の図にございますけれども小型副衛星を順次分離いたします。地球を周回した後に、制御再突入を実施するということで、VEP-4につきましては、制御再突入のための再着火後に衛星分離部の動作、つまり衛星の切り離しの動作を実証するのですが、ロケットから離れはしますけれども、ストッパーボルトで2段機体に保持された状態で、これらが一体となって制御再突入するという計画でございます。
 5ページ以降はペイロードについてのご説明です。まずVEP-4ですけれども、この外観は左の図にありますようにアルミニウムで出来ました1本の棒です。高さが3.5mありまして質量2.6tということで重心位置、そして質量を概ねALOS3に合わせています。そのVEP-4を中心に据えた図が右側にございまして、その脇にCE-SAT-IE、そしてTIRSATがこのように搭載されております。衛星分離部分をご覧いただけますけれども、これは通常の人工衛星を分離するための衛星分離部と同じものを使っています。6ページと7ページは小型副衛星についてそれぞれのご説明です。まず6ページCE-SAT-IEにつきましてはキヤノン電子が開発した衛星でございまして、地上解像度0.8mの静止画・8K動画の撮影を新型の検出器を用いて行うというミッションでございます。7ページ、TIRSATにつきましては、取りまとめを宇宙システム開発利用推進機構が行いまして、セーレンなどがそこに参画しているということで、質量5キロの衛星でございますけれども、非冷却の熱赤外センサによりましてリモートセンシングをして世界の主要生産地域の工場などの稼働状況を将来的には把握する仕組みを構築するというのが狙いでございます。8ページは2号機の機体形態でございます。1号機と概ね同じ姿ですけれども、この赤字でありますところが1号機と2号機の違いでございます。ペイロードにつきましては今ご説明した通り。第1段のエンジンは、1号機はタイプ1というバージョンを2基搭載していたのですけれども、後ほどご説明しますが2号機につきましては、タイプ1Aというのを1基搭載しています。ただしこのタイプ1とタイプ1Aというのは、推力が同じでございますので、これを2基合わせて搭載してもロケットへの機体インタフェースとしては問題ないというふうに考えています。
 第2段につきましては失敗の原因となりました不具合の対応といたしまして、第2段エンジンのエキサイタの改修品を搭載しています。これにつきましては既にH2Aロケット2機で飛行がなされているものと同じ対策を講じております。搭載機器その他につきましてはこれも失敗原因の一つと考えておりましたPSC2、推進系コントローラーの改修品、後で少しは触れさせていただきますけれども、これを搭載しております。
 9ページに参ります。ここからは1号機から2号機に向けての準備状況をいくつかの柱でご説明していきます。まず、2-2.1項で1号機からの反映状況です。1号機からの反映状況の中でまず直接原因の対策でございますけれども、エキサイタの改修、そしてPSC2・推進系コントローラーの改修を施しております。エキサイタの改修につきましては、普通共通でございまして絶縁強化ならびにX線CT検査の強化を行っております。またトランジスタの電圧が定格内となるような部品選別を行ったものを搭載しております。以上の対策を施しましてエキサイタの製造は完了しておりまして、2号機に装着して機体点検を完了しております。二つ目、推進系コントローラーにつきましては、これは推進系コントローラーというのは、中が冗長化されておりまして、今回の失敗のシナリオの一つにこの定電圧ダイオードが短絡することによってA系からB系に故障が伝播したという結果でございまして、この定電圧ダイオードは削除しても差し支えないという設計検討を行いましたので、その点ダイオードを削除した状態での機能点検を完了いたしまして、現在工場にて出荷の準備をしているところでございます。なおそれらを全て統合した形で右下図にございますように、この2段の搭載機器部とエキサイタを組み合わせた状態で真空チャンバーにシステムを格納しまして、真空状態でのシステムの動作確認まで昨年行いました。これによりまして、この全系が2段としては正常であることを確認できております。
 10ページは背後要因の対策についてです。背後要因につきましては直接原因から導かれたそれぞれのシナリオから導かれた三つの背後要因ございました。これは26ページと27ページに載せておりますけれども、これらがロケット全機に展開したときに何か設計的に反映事項はないかという目で、だいぶ時間をかけて確認したのですが、結果反映事項がないということを確認できました。3本目の柱としましては信頼性向上です。信頼性向上は直接原因、失敗の原因とは関わっていないですけれども、この原因究明を通しまして我々H3ロケットももっと良くするために何か手立てはないかということで導かれました。大きくは二つです。これにつきましての改善事項を反映して既に機能点検を完了しております。この二つというのは、一つ目は計測データを充実化するということ。計測データそのもののリソース、計測の帯域というものはもう限られておりますので、その限られた範囲の中で何が必要かということを検討しました結果、この当該部分に関してのデータの高速化であるとか、センサの追加などを行っております。二つ目が冗長切り替えロジックの改善です。これも冗長系につきましての基本的な考え方は、我々問題ないというふうに考えておりますけども、その中でできるだけロバストにできないかということで、この右下図にございますように、例えばこの右下のグリーンの部分。B系についての過電流検知から遮断への時間をA系は8ミリsec、B系も以前は8ミリsecだったのですけれども、それを1秒に延長いたしました。これによりまして短時間でのショートなどによる影響は回避できるというふうに考えております。11ページに参りまして、11ページからはLE-9エンジンの開発状況でございます。LE-9エンジンにつきましては、2回の打上げ延期の要因になった難易度の高い開発でありまして、現在でも2段階開発を計画しております。一段階目のタイプ1エンジンは既に完成して、1号機で打ち上げましたが、その後タイプ2というエンジンを恒久対策用に開発を進めておりました。ただしこの二つ目の青のビュレットにございますように、2023年の2月から行いました翼振動の試験で、この時点で更なる改良と試験が必要であると判断した次第です。従いまして当面の打上げに対応させるためにタイプ1とタイプ2の中間に位置づけられるようなタイプ1Aというエンジンを準備することといたしまして、これを認定するということで進めてまいりました。12ページにはタイプ1、そしてタイプ1A、タイプ2の違いについて表にしてまとめてございますが、主だったところといたしましてタイプ2が全て恒久対策型というものに対しまして、タイプ1Aは水素のターボポンプFTP、それから噴射器につきましてタイプ1と同じ。酸素のターボポンプOTPにつきましては、タイプ1Aが既に恒久対策仕様ということができましたので、これをそのまま使います。なおその他のコンポーネントでも、恒久対策仕様。既に開発試験で、これまでの従前の開発試験の中で、確性ができた試験・設計などにつきましてはもうそれを採用するということで、タイプ2に向けて一部前進させました恒久対策仕様を導入したタイプ1Aを設計いたしまして、13ページにございますようにそれを認定燃焼試験で確性いたしました。認定燃焼試験の考え方としましては下に表がございますけれども、1号機のときもこういう策をとったのですけれども、できるだけリスクを低減しながらスケジュールを短縮していくということで、認定試験が全て終わってからフライト用エンジンの領収燃焼試験を行うのではなくて、前半戦にリスクの比較的高い試験を持っていって、そこでこれならいけると考えた後に、両フライト用のエンジンの燃焼試験を一旦挟み込みまして、その両エンジンを機体に引き渡した後に、残りの認定試験を進めるということでありました。結果ですけれども14ページにありますように都合8回の燃焼試験、8月から12月までかかって行ったのですけど、全て計画通りに燃焼試験することができまして、この間10月に領収燃焼試験を挟みまして、エンジンとしては開発を完了することができました。
 15ページにはこのエンジンの作動のマップを載せてございまして、このカラーで載せているプロットが、今回新たに取れたデータですけれども、横軸がエンジンの混合比、縦軸が真空中推力でかなり広範囲にわたりまして、データを取ることができました。16ページにはエンジンの燃焼試験の累積の試験秒時でございますけれども、現時点で総燃焼秒時1万5,000の辺りまで伸ばすことができておりまして、信頼性としてはかなり作り込まれてきたというふうに考えております。17ページにはあの射場での準備状況を載せています。昨年10月半ばに種子島に1段機体、2段機体につきましては既に運び込んでありました状態でして、そこからこの写真にございますように11月の上旬までかけまして1段2段そして固体ロケットブースターの発射台への据付、我々VOSと呼んでおりますけれども完了して、このあと機能点検を行っていたというものでございます。
 18ページ以降今後の予定をご説明いたします。まず今までご説明してきました通り準備は着々と進んでいる状況です。引き続き必要な検証を入念に行った上で、準備作業に移行して参ります。今の状況から考えまして打上げ日設定可能というふうに判断いたしまして、12月28日に以下を公表させていただきました。打上げ日は2月15日、9時22分55秒から13時6分34秒。予備日を3月31日まで設定していただきました。なお先に打ち上がりました48号機との射場設備の取り合いがあったのですが、ここは48号機がほぼ予定通り打ち上がっていましたので、ここの切り替えを現在行っておりまして、実質本日からJAXAの打上げ管制隊のメンバーも徐々に種子島に移動を始めまして、射場作業の準備を開始しております。
 19ページの最後のページ、今後の予定でございます。写真自体は1号機での様子ですけれども、まず左上から推進系コントローラーの交換など必要な最終的なコンフィギュレーションに持っていくという作業とそのリサイクルという確認の作業を行った後に、ここから先は通常の作業といたしまして、各系の機能点検を行います。その後にVEP-4、小型衛星を衛星フェアリングに収めましたものをロケットの本体にVOSします。VOS後には最終的な機能点検・リハーサルなどを終えまして打上げに臨むという予定でございます。長くなりましたけれどもご説明は以上です。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございます。いよいよということですけれども、それではただいまの説明に対してご意見ご質問ありましたらお願いいたします。笠原委員、お願いいたします。
 
【笠原委員】 ご説明どうもありがとうございます。2点ほど質問させていただければと思います。
 まず10ページのロジック改善のところでございますが、ご説明の方ではECBに入るところの検知遮断というのを両方削除して、右下の方に8ミリセカンドから1秒の遮断、これは残しておくというふうに理解いたしました。つまり確認したかったのは、左側のECBに入っていく検知遮断というのはもうこれは削除してしまって、もうなくしてしまう。つまりここの系で何かあったとしても、ここは確実に信号電流が流れるというふうに理解いたしました。ただ、上の青で書いてあるところのいわゆる完全に系統がわかれているところの検知遮断というのは二つとも、この系は、遮断検知系は残しているというふうに理解いたしました。つまり相互に作用するところでは、つまりECBに入っていくところでは片方は検知遮断の系がもうなくしてしまった。こういう理解でよろしいでしょうか。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 先生、私の説明はかなり端折ってしまいましたので、もう一度ご説明させていただいてもよろしいでしょうか。
 
【笠原委員】 お願いいたします。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 それでは28ページをあわせてご覧いただきたいと思います。まずこの10ページの赤の吹き出しの部分の削除の部分ですけれども、この関係は下から3行目にあります、「重複している検知遮断機能の削除」について、でございます。それは制御系の話でして、この系統というのは制御系と駆動電源系統に二つの系で10ページが構成されております。削除したのは制御電源系の方でして、今回の前回の打ち上げの失敗に繋がった可能性のあるものはこの駆動電源の方です。この制御電源系の方の赤の吹き出しをなぜ削除できたかといいますと、この青の吹き出しの部分、V-CONのところで同じ電流の動きについては別な機器で、つまりV-CONの方で監視できております。
 従って同じ流れを二つの場所で監視するのはもしかしたら誤動作したときにマイナス側に働く可能性があるということで、この青の部分だけ残して赤の部分は削除したというのが、この削除の理由でございます。それとは別に今回の失敗の原因に深く関連していた過電流の検知につきましては、A系の考え方は変えていないですけれども、B系は8ミリsecから1秒に時間を延ばしたというこの二つが独立して手を打ったものでございます。
 
【笠原委員】 ありがとうございました。もう一点だけ質問させてください。今回の失敗の原因の探求のときに、やはりデータの量が非常に少なくて、原因の探求にかなり力が要ったように感じております。今回の打ち上げのときには通信データ量というかこの監視するモニターのデータ量というのはやはり格段に増す工夫というのはされているのでしょうか。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 先生、それも28ページでまたこれも先ほどずいぶん割愛してしまいましたので、26ページに文章だけ載せていますが、上から7行目ぐらいにあります。これが具体的な内容でして、2段エンジンの駆動電源電圧等の取得レートの向上。これのレートを上げたというものです。それから高速サンプリング用の電流センサというのを別途つけまして、ここは512Hzですけれども、それで必要なデータをとるということで現在の伝送量が、これも一から再構築すればいろいろなこともできるかもしれませんけれども、既に2号機全体が出来上がっている中で、我々予備という伝送領域を持っております。その予備をフル活用することによりまして、同様の事象が発生した場合にできるだけ事象がはっきりとわかるようにということで、そのような追加をいたしました。
 
【笠原委員】 よくわかりました。ご説明どうもありがとうございました。感謝申し上げます。
 
【村山部会長】 ありがとうございます。続きまして木村委員お願いいたします。
 
【木村委員】 ありがとうございます。調査過程一緒に参加させていただいて、そのときに出てきた原因について適切に対応されていて、いよいよ今回次のステップに進まれるということで本当に感無量で、ぜひ頑張っていただきたいなと思っております。まずそこを伝えたかったのが一つです。先ほどの笠原委員の説明とも関係しますが、後ろの方の参考資料が具体的な内容をご説明いただいていて非常にわかりやすいのですが、私が関心を持っているところが今回の信頼性向上のところです。10ページのところで信頼性向上ということで2行だけ書いていらっしゃいますけど、ここについては参考資料そちらの方に具体的に書かれていて、計測データ充実化っていうところについては今笠原委員の質問に対する答えとして提示されたと思います。私の質問はシンプルで、このような計測データを得る上で付随して必要なこととして運用系およびダウンリンクデータの監視系、それからその後の解析システム、こういったシステムを同時にアップデートする必要があるのではないかと思います。そのあたりの対策も既に取られているという理解でよろしいでしょうか。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 先生のご質問を正しく理解できていない可能性もありますけれども、まず必要なデータがどこにあって、どのぐらいのレートで取るべきであるかっていう議論、そしてその最適化をまずいたしました。その後でフォーマットがあるわけですけども、そのフォーマットに応じてデータの取得のシミュレーションとか実際にデータを取得できるかどうかを確認して、通しでそこは総合システムとしての動作の確認までができております。最後に私がうまく理解できてなかったかもしれないと思うのは、それを用いてどのように分析するとかまでをシミュレーション、その思い描いているかというご質問だったとすると、そこまで私は今はやっていないと思います。ですから出てきたデータというのは確実に取れることまでは確認できているというものだと考えております。
 
【木村委員】 おそらく短期間での対応で、これまでなかったところまで踏み込んで、検討されていて、非常に重要なポイントだなと思います。そのデータをどう使うかっていう部分がもう一つ重要な点かなと思うのです。それと関連して、シミュレーションであるとか、解析手段との突き合わせみたいなところがおそらくは必要と思います。打上げのためのハードウェアを完成していくプロセスが先ずは重要なのですが、付随して得られるデータの取り扱いについても取り組まれると、そのデータを取得するということの意味合いがより出てくると思いますので、ぜひそのあたりご検討いただけるといいかなと思います。私からは以上です。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 先生、ありがとうございます。私、今的確にお答えできなかった部分があると思いますけれども、データを選ぶあるいはそのデータのサンプリングレートを選択する中で何がどのぐらい必要かっていうのはエンジニアとしては検討した上での選択だと思っておりますけど、それがメインにご説明できなくて申し訳ございません。
 
【木村委員】 その辺、整理しておくと多分より安全かなと思いますので、ぜひ検討されてください。ありがとうございます。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 ありがとうございます。
 
【村山部会長】 ありがとうございます。続きまして松岡委員お願いいたします。
 
【松岡委員】 京都大学の松岡です。どうもご説明どうもありがとうございます。私は今いただいた説明資料の右下ページ8ページ目の第2段のところでエキサイタ改修品搭載というものを、H2Aの方で既に実績を積まれたというようなご説明があったところについて、追加で理解のためにご説明いただければと思います。H-IIAの方、残念ながらH3の失敗があった後で、47号機48号機、先日も無事に上がっていますけれども、その二つの号機で、このエキサイタは改修品が使われて無事に動いたというようなことだと理解してよいかという確認です。あと、もしそうだとすれば、ですけれども、やはり違うロケットなので、H2とH2Aと今度のH3で同じような使い方をしているので大丈夫だというご判断をしたのかと、その辺を確認できればと思います。よろしくお願いいたします。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 先生、ありがとうございます。まずエキサイタとしては、設計は同等です。同じものです。おっしゃられるように、その機体とのインタフェースが厳密に同じかという意味で申しますと、厳密には例えば電源供給などは必ずしも同じではないと思いますけれども、今回の失敗原因の追及の中でそこをものすごく気にしまして。徹底的にそこは確認をしましたけれども、エキサイタにとってみると同じであると我々は考えております。従って今回のその失敗原因という観点からしましたところ、使い方は同じであると申して良いのではないかと思っております。ただし念には念を入れてということで、9ページにございますように本当に同じだろうかというところを全部確認するために、この真空状態で実際にエキサイタを動作させるというところまで行いましたので、これがほぼほぼ打ち上げと同じような状況で、確認できたということになるかと思います。
 
【松岡委員】 丁寧なご検討をくださったということで了解しました。次の成功をお祈りいたしております。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 ありがとうございます。頑張ります。
 
【村山部会長】 他のご質問いかがでしょうか。どうもありがとうございました。いよいよ2月15日ということですので、これからの詰めの作業をどうぞよろしくお願いいたします。我々としても無事成功となりますように見守りたいと思います。それではこれから頑張ってよろしくお願いします。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 頑張ります。ありがとうございました。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございました。それでは次の議題に移りたいと思います。
 二つ目の議題は、マネジメント改革検討委員会の進捗状況についてです。既に皆様にもご案内の通り、JAXAではH3ロケット試験機1号機やイプシロンロケット6号機の打上げ失敗、医学系研究に関する倫理指針不適合事案などを受けて、令和4年度の業務実績評価において、マネジメント・内部統制における課題を明確にし、意識改革を含めて改善を行うことが求められております。これを受けて、JAXAにおいては本年9月28日付で鈴木副理事長を委員長とするマネジメント改革検討委員会が設置され、今年度末の報告書取りまとめに向けて組織を挙げての活動が開始されております。本日は同委員会の活動の進捗状況についてJAXAから報告をいただきます。委員の皆様におかれましてはJAXAの活動に対し、ご意見ご助言をいただければと思います。それではJAXA鈴木副理事長、経営企画部の川崎部長、説明をお願いいたします。
 
【鈴木副理事長(JAXA)】 村山部会長、ありがとうございます。JAXA副理事長の鈴木でございます。日頃より宇宙開発利用部会の先生には、ご指導いただき大変お世話になっております。また本日JAXAのマネジメント改革検討委員会の検討状況を報告する機会をいただきまして、本当にありがとうございます。私の方から冒頭5分ほどですが、資料の最初の部分を用いまして、全体概況を説明させていただきます。資料めくって2枚目の経緯ですけれども、先ほどもありましたけれども、2022年度の基幹ロケットの失敗。それからこれに伴う重要な衛星の喪失。宇宙政策への工程表への影響といった、厳しい状況を生じさせてしまったことに加えて、医学系研究における倫理指針の不適合というような不祥事も起きてしまったということを踏まえまして、JAXAの組織体制運営を初めとするマネジメント全体に問題がないか、すでに個別問題は検討を進めて対策もとっていますけれども、共通的・横断的に問題はなかったかを組織を挙げて検討しましょうということで、このマネジメント改革検討委員会を9月末に発足させました。この改革検討委員会、4府省の大臣評価でもご指摘いただいております、意識改革もしっかり踏まえた改善要請がありまして、これに対応するものとしてしっかりJAXAの中で意識改革をすべく活動をしておるところです。
 実はJAXAではこのような失敗を契機とした改革というのは、直近では7年前になります。X線天文衛星「ひとみ」が軌道上で突然運用を停止してしまったという不具合に対しても全社的な検討を行っておりました。また基幹ロケットの打上げ失敗とそれに搭載していた重要な衛星の喪失という意味で、ちょうどJAXAが発足した直後、20年前にもそういう事態になり、大きな改革検討を行ったという過去がございます。現在そういった検討の流れの中で、再び大きな失敗が起きてしまったということと、それから20年前からの改革からは大きく時間を経ていることからも、今回組織全体の運営の再見直しという意味でJAXAにとって大変な正念場であるとともに、その将来に向けて前向きにとらえて本腰を入れた検討を進めているところです。検討にあたっては3ページを見ていただくと、この実施体制の図にあるような陣容で、山川理事長のリーダーシップのもとで、下の方に二つ箱がありますけれども、開発マネジメント、プロジェクトマネジメントとリスクマネジメント、それから内部統制環境の再確認を行うという二つの柱を特命として分科会を置きまして、それを全体組織マネジメントとして改革委員会というものを置いております。JAXAとして真摯に反省して、より強い組織に進化すべく集中的に検討を進めているところです。JAXAに籍を置く全ての職員というのが青枠で書いてありますけど、こういった検討に際しては全役職員の意識改革の重要性を本当に強く認識しております。今の時代は特に開かれた議論というのはますます重要でございますので、特に社内のグループウェアなどを使いまして、可能な限り広くオープンな形で、全社で議論をガラス張りにしようということを強く配慮して進めております。
 4ページ目にありますけれども、理事長からはことあるごとに職員に対してメッセージを発せられていまして、内省と改革が必要であるということをお伝えております。私も改革委員会として改革に至る背景ですとか問題の大きさを共有するとともに、組織をより良くするには全職員の当事者意識が重要であるということで徹底しているところです。このページの下にもありますように、こういった活動の反響は大きくて、現場からもこれを自分ごととする意見がいろいろ上がってきております。この一部は後ほど参考としてお時間があれば、紹介させていただきたいと思います。5ページ目をご覧いただくと、これまで昨年中ですが活動していますけれども、急いで答えを出すというような考え方ではなくて真に必要な改革をしようということで、最初の一、二回は経営層が日頃から考えている課題の抽出をすると。それだけではなくて、中堅若手職員がその経営層が持っている課題を見て逆提案する、などといった双方向の検討も進めております。トピック的には3回目にありますが人材問題、これやはり共通的かつ大きな課題となっております。それから試験機1号機への衛星搭載についてどうすべきだった、今後どう考えていくか、についても検討を進めております。この検討状況も後ほどお時間があれば参考としてご紹介できればと思います。今後は、年度内に一定の取りまとめを行う方針で、いろいろ課題はありますけれども、根本的あるいは共通的な解決策を精査して方向づけをしていく段取りとしております。
 本日短いお時間ですけれども、また内容的にも中間段階なので提案ではないですけれども、部会の委員の皆様にも気づき事項があればご指導いただければと思いますのでよろしくお願いします。私からは以上概況の紹介にとどめまして、詳細は本委員会の事務局を務めている川崎から紹介させていただきます。よろしくお願いいたします。
 
【川崎部長(JAXA)】 JAXA経営企画部の川崎でございます。では6ページ目から今の具体的な検討状況についてご報告したいと思います。6ページ目は左側に今副理事長から説明のあった委員会と分科会の役割を書いています。委員会の方は基本的に役員を中心にした委員会でございまして、ここでは経営の視点での課題の抽出であるとか、分科会に対しての検討事項の識別等を行っております。特に課題としておりますのはJAXAの全体マネジメントということで、人材を含むリソース配分であるとかそのスケジュール設定、それから、やはりJAXAという組織の風土を踏まえながら検討のあり方とか精査とか見直しを進めているということをしております。
 またご指摘いただいている中でその共通事項というのはいくつかございます。先ほどありましたALOS3を試験機1号機に載せたときのJAXAとしての振り返りであるとか、JAXAの活動についての戦略グランドデザイン。あるいはその長期視点での総合戦略。それを支える先ほどの内部統制。そういったものがJAXAの規模と社会的重要性を踏まえると不十分ではないかと御指摘がありますので、それに対する議論を進めているところでございます。
 それから下の方に各分科会ということで今回二つ、開発マネジメント改革検討分科会ではプロジェクトのロケットと、それからH3を含めますけどそういったプロジェクトの課題。そういったもののプロジェクトマネジメントであるとか、リスクマネジメント。それからこの中で開発を担当される企業との関係性も含めて、いろいろ議論を進めているところでございます。またここにおいてもJAXA現場における組織風土とか意識面、そういったものの問題とか懸念点をどちらかというと部長級を中心とした管理職を中心に議論しているところでいます。また一番下の内部統制につきましては先ほど医学系指針の違反を例にして、内部統制という体制としてはその中でしっかり環境は整っていたものの、ではなぜあれを医学については見過ごすことになったかということをもう一度振り返ることで、内部統制におけるその課題がないかという視点で進めています。
 先ほど鈴木副理事長から話があった通り、この議論は全てオープンで行っています。その結果として右側にオレンジ色でハッチングしておりますけども、社内のグループウェア、オンライン上で様々な意見が出されております。JAXA職員1500人おりますけども、500人を超える参加者から600を超える意見が出てまいりました。その中でいろんな意見がありましたけども、これをある現場の有志、これ我々が何か指示をしたわけではないですけども、いろんな意見をまとめるとこうなりますよねっていうふうな提言書っていう形で、ここの観点にございます、JAXAに求められる役割の拡大とか変化の対応とかそういったものをいろいろ全部で7項、これについてそれぞれの課題を全部で21件の提言がとりまとめられ、我々の方に届いております。これらの現場からの提言を踏まえ委員会、それから分科会でも議論の対象としまして、基本的には全ての提言が、我々としては経営層としても認識していた課題と多分に重複する部分ございましたので、それに対しても真摯に受けとめて議論をしているというところでございます。
 では次のページから各委員会それから分科会での状況を説明いたします。まず委員会の方では経営レベルでの課題抽出というところで、まず全役員で議論していただきました。この際にはアンケートを実施するなどして、その結果に基づきましてここに書いています五つの課題領域にして議論を、テーマを決めて設定しています。まず1番のマネジメントガバナンスに関する課題。それから相互に関連しますけども、2番として人材に関する課題。それから3番目が組織に関する課題。それから4番目の技術力に関する課題ということで、これがJAXAの形状の組織課題の運営上の課題というふうに設定されたものでいますけども、加えてこの背景として構造的背景。これは航空宇宙の産業基盤に関する課題というところで、JAXAに閉じることなく企業も含めて、こういう課題があるのではないかということを識別し、これについては議論を深めているところでいます。
 もう一例を申し上げますとその人材の話先ほど副理事長からございましたけれども、やはりここ数年のJAXAの期待というのは、プログラムの増加とか多様化。それから求められる役割の拡大。今回来年度からはJAXAの資金供給機能等の強化もありますので、そういういろんな期待が高まる中で、一方で機構を支える一般管理部門への配慮が十分でないところであるとか。それからプロジェクト要員の十分な確保が難しくなっているのは事実でございますので、これは具体的な社内の人事データ等を基にして議論しております。そういった中で既に来年度以降の採用方針について、これは見直した方がいいだろうという議論が生まれていまして、ここは既に来年度に向けての人材の採用について反映しているところもございます。
 それから次のページご覧ください。分科会の方ですけど、まず開発マネジメント改革検討分科会の方はどちらかというと開発プロジェクトのマネジメントの話でございますので、このプロジェクトマネジメント。それからリスクマネジメントそれから開発事業の関係性ということで議論をやっております。これまで6回の分科会会合を行っておりまして、事務局会議も重ねていますけれども、この基幹ロケットの打ち上げ失敗を直接背景とした開発マネジメント等のあり方とか。それからこのミッションを成功させるためにJAXAではいろいろ組織を持っていますけれども、例えばチーフエンジニアリングオフィスとか、あるいは安全信頼性関連を行うS&MAとかそういった組織のあり方。それから技術力も低下しているのではないかということも指摘があるのですが、そういったものの課題をこれは企業の技術力関係も含めて分析をしております。また一方でJAXAの役割が先ほど多様化していることを申し上げましたけれども、その中でJAXAのコアコンピタンスは一体何なのか。あるいは人材のリソースマネジメント業務改善方策等について課題の抽出、それから分析対応を今行っているところです。今後この課題に対して考えていくということを考えております。
 それから内部統制環境改革検討分科会の方ですけども、こちらは医学系の話を中心に議論を始めているところでいます。その中でなぜこの内部統制環境はあるものの、これが見逃されたのかというところについては、どこかに不備があるのではないかという視点でいくつか議論しております。具体的には統制環境のやり方の見直し。いわゆる三線防御という話がございまして、現場、それから我々管理部門、それから独立監査部門、この三つでやっているわけですけども、これだけで本当に足りているのかっていうところを今議論するところでいます。こちらについても具体的な方法について職員の皆様と意見を交換しながら議論をしているところでいます。この中でやはり職員1人1人の意識向上ということもあるのですが、加えてそのコンプライアンスに対するその遵守であるとか。いわゆる心理的安全性の確保。そういったものも議題になっていますので、これもJAXAの組織改善に生かしていきたいというふうに考えています。
 次のページの今後の予定で書いていますが、そういう意味で昨年の秋から始まりましてこれまでは具体的なその問題点の抽出であるとか分析を進めて動いておりますけども、今年度・今年につきましては今後もう少し技術とかマネジメントのところとか、産業基盤の観点の議論を進めてまいりますけども、打ち手について考えていきまとめていきたいと考えています。参考資料を少しつけていますけど、参考資料の1は先ほど申し上げた職員からの自由な900人以上の意見ということで三つぐらいにまとめると、ここに回答を読み上げ割愛いたしますけども、これ生の声として挙げております。この「行き過ぎた上意下達」であるとか、「言ったもん負け」とか、「立ち上げる人だけが評価される」とか、そういった意見がございまして、これはそうだろうなというふうに受け止めているところです。それから参考の2には、少し先ほど触れましたけどもALOS-3のH3の1号機搭載経緯のところでございますけども、JAXAから適切に政府や外部委員会に向けて事前のアラートを行うことができていたかという命題に関しては、詳細は割愛いたしますけれども、最後のポツで書いてございますように、やはり振り返ってみると我々の長年の成功体験というものがあった中で、H3初号機については技術的に評価すると他号機と比べてリスクが高いというふうな認識がなかったということが再確認されたということで、結果として政府や外部委員会に対してJAXAから事前にアラートを行うことができなかったというふうに反省しております。
 それに対してその参考の2の下の方ですけれども、今後どうするかというのを議論しております。基本的には大型の試験機初号機のペイロードについては運用衛星を載せないというところで、衛星性能確認用ペイロードを載せることを原則にするという方向で今後は政府とも調整していきたいというふうに考えています。一方で、例外的なケースバイケースで衛星搭載を判断することもありますので、例えば今後JAXAの方でロケットの搭載においてこのリスクがどのぐらいあるものかっていうものをしっかりやるガイドラインを示したいと思っています。これはH3も今後少しずつ改善等を行っていくロケットでだんだんだんだん成熟していくものですので、この打ち上げ号機ごとのリスクは変わってきますので、そういったものをしっかり説明させていただいた上で合意しながらやっていきたいというふうに思っています。また宇宙研を中心にしている科学衛星については、打ち上げ時期が限られるものもありますので、そういったものについてはJAXAの判断として載せることもありうるというところで、ここは個別に議論していきたいというふうに考えています。私からの説明は以上となります。ありがとうございました。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございます。それではただいまのご説明について質問ご意見がありましたらお願いいたします。まず山崎委員お願いいたします。
 
【山崎委員】 山崎です。いろいろとまとめてくださいましてありがとうございます。コメントになるのですけれども7ページにおきまして、社内に関する課題の分類および構造的な課題としまして現在取り巻く航空宇宙産業全体への課題もおそらく多々検討してくださっているかと思います。次4月にまたご報告をしてくださると予定ということで資料に書かれてありますけれども、その際にはぜひその構造的な産業全体としての課題の部分についてもせっかく調べてくださった部分はぜひご報告してくださればと思いますが、いかがでしょうか。
 
【川崎部長(JAXA)】 具体的に各企業様と、いろんな意見交換もしております。その中で非常に正直な意見も聞いて伺っておりますので、それをぜひ反映していきたいと思いますのでぜひご報告させていただきたいと思っております。
 
【山崎委員】 ありがとうございます。
 
【村山部会長】 続きまして秋山委員お願いいたします。
 
【秋山委員】 資料の取りまとめありがとうございます。また詳しいご報告は4月以降にいただけるということで、12ページのH3へのALOS3搭載の経緯についてお伺いしたいんですけれども。ALOS4が重要ミッションにも関わらず、立ち上げが困難な状況の中でH3というチャンスを生かすという方向性で当時考えられていたというふうにありますけれども、重要なミッションと認識されていたにもかかわらずALOS4のプロジェクト立ち上げが困難であったというところでこの背景といいますか、もう少し詳しく今可能なところがありましたらご説明いただければというのと。それからその点について何か今後議論されるのであればその辺りも4月にご報告いただけないでしょうかという2点です。新規な開発を優先するのでALOS2から4へのような発展的ではあるけれども継続的なミッションについては難しいといった何かそういう事情があるのかどうかというところを知りたいというのが質問の意図です。お願いいたします。
 
【川崎部長(JAXA)】 本件についてはまた4月にまとめて改めてご報告させていただきたいと思います。あくまで今こういう状況報告とさせていただいております。ここの背景には予算状況もあったというふうに理解しておりまして、重要だけど立ち上がらないのは、今のJAXAに置かれている予算の状況から見ると難しかったという意味で皆さん立ち上げたかったのですけどなかなか財政状況が許せなかったということで書かせていただいております。
 
【秋山委員】 わかりました。では今後詳しいご報告も待ちたいと思います。ありがとうございました。
 
【村山部会長】 他のご意見、コメントいかがでしょうか。それでは他の方が考えられている間に私の方から一言お願いいたします。
 実は私、JR西日本の社外取締役をやっていました。なぜかと言いますとJR西日本が福知山線で非常に大きな事故を起こして、その原因の一つがJRの組織風土にあるということで、組織風土の改革を任せられて社外取締役をやりましたけれども、今日の書類を見ていますと、JRと共通する部分が散見されます。例えば縦のコミュニケーションが悪い。それから経営と現場のギャップが出てきている。それから上意下達という言葉も出てきています。これは危険な兆候です。早めに直しておかないと非常に大きな問題を起こす可能性があるので、この部分どうしたらいいかというのもしっかり考えていただければというふうに思います。これが私のコメントで、従って報告書がどういう形になるかわからないですけれども、出口をどうするかという問題があると思います。こういう意見が出てこうしますって言うだけじゃなくて、おそらくその組織をどう改革していくか。それからガバナンスについての社内での教育をどうするかとか、そういうところまで踏み込まないと実際に組織風土は変えていけないと思います。それをやっても5年10年かかる仕事だと思いますので、報告書は短期的に取りまとめということもあると思いますけれども、長期的な視点を持ってぜひとも取り組んでもらえればというふうに思います。
 
【鈴木副理事長(JAXA)】 村山部会長、ありがとうございます。まさにおっしゃること、心に染みるのですけれども、その組織風土なのか、それともその人材育成なのか。あるいは元々構造的にあるのか、根本的なところもしっかり見極めて何が原因でこういうことになるのかあるいは将来に向けてどういうふうにしていったらいいかっていうのをしっかり分析して、先生おっしゃったようなことを含めて検討していきたいと思いますので、また引き続きご指導よろしくお願いします。
 
【村山部会長】 よろしくお願いします。他の方はいかがでしょうか。
それではご意見がないようですので、これで終了したいと思います。どうもご説明ありがとうございました。
 
【鈴木副理事長(JAXA)】 ありがとうございました。
 
【村山部会長】 本日は進捗状況報告ということですのでJAXAにおかれましては本日委員からいただいた意見などを今後の検討に生かしていただくとともに、報告書をとりまとめられましたらまた改めてご報告をお願いいたします。
 それでは次の議題ですけれども、次の議題は令和6年度文部科学省宇宙関係予算についてです。前回宇宙開発利用部会で今年度補正予算についてご説明をいただきました。今回は昨年正に令和6年度予算案が閣議決定されておりますので、事務局より説明をいただきます。よろしくお願いいたします。
 
【竹上企画官(事務局)】 それでは画面上の資料81-3に基づいて事務局より簡単にご説明差し上げます。令和6年度予算案ですけれども、昨年末に閣議決定されていますので、宇宙関係部分を簡単にご説明できればと思います。この1枚の後ろに個別の主なプロジェクトの詳細解説がございますが、この資料1枚を使って説明したいと思います。右上、令和6年度予算額案ということで宇宙航空分野の研究開発の予算としては1,553億円、昨年度比7億円微減ということです。あと蛍光ラインにあるように宇宙関係予算、航空部分を除いて、宇宙開発利用課以外の宇宙関係予算を少し足してというものでございますが、これが1,519億円ということで、こちらが令和6年度の予算でございます。8月の概算要求時点では、この宇宙航空研究開発予算が2,064億円という形で要求をさせていただいていました。ロケット関係の事項要求を含む形で要求しておりましたが、財務当局との折衝等を経てこの予算額で確保しているということです。
 ご案内の通り、今年は大きな補正予算額を措置いただきまして、資料の右上の4行目にも書いていますけれども2,101億円、これは宇宙関係予算だと2,104億円になりますけれども、そうした予算を足しますと合計3,654億円ということで、要求額を大幅に超える、基金が1500億円ありますので、それを除いても、2,154億円、これはほぼJAXAの予算ですけれども、要求額を大幅に超える予算額を計上しているところでございますので、これをもとに宇宙基本計画をしっかりと進めていきたいと考えています。
 一つずつ簡単にご紹介しますけれども、全体的には要求額を超える措置をいただいて、一部の事業、例えばMMXのように打ち上げスケジュールに変更が入ったものであるとか、あと多少今回JAXAの基金ができたことによって、JAXAの中にも外部の大学や企業を育てるためのプログラムがいくつかございますが、そうしたものについては一部見直しをやっておりますが、そうしたもの以外は、基本的には要求金額通りの措置、補正予算で一部前倒しした場合は補正予算と本予算を足し合わせて要求金額をしっかりと満額措置、といった事業がほとんどですので、まず全体像としてご報告できればと思います。左上からですけれども、H3ロケットの開発・高度化ということで、こちらの補正予算に219億円、本予算としては45億円、これで開発をしていくということ。またイプシロンSロケットの開発、これは昨年は補正予算分しかなかったので本予算はございませんでしたが、こちらに9億円。また将来宇宙輸送システムに向けた研究開発関係、こちらが全体昨年より少し減額で46億円ということで、これは要求段階から、JAXA基金を別途要求していることもあって少し事業見直しをして要求していたということあって、少し減額をしているところです。基金は飛ばしまして左下、宇宙安全保障の確保、国土強靱化・地球規模課題への対応、イノベーションの実現ということで、GOSAT-GW。これも補正予算40億円がありますが、それプラス、しっかりと来年度打ち上げるための経費として79億円。また衛星コンステレーション関連技術開発としては、こちらも30億円ということで、この中には宇宙開発利用部会で夏にご議論いただいた次期光学ミッション、このための技術開発の新規6億円込みで計上をしているところでございます。右側行っていただきまして、宇宙科学探査における新たな知と産業の創造ということで、アルテミス関係で153億円ということですが、かなり補正予算でも計上しておりますので、少し昨年から微減という形に見えておりますけれども、月周回有人拠点のゲートウェイの重要技術開発のところ、ここはしっかりと38億円。また有人与圧ローバ開発のフロントローディングということで6億円、補正予算と足しますと40億円でございます。またHTV-Xの開発費、こちらも44億円、補正予算を足すと、もちろん要求額通りということでございます。MMXに関しましては、要求時は打ち上げ経費込みで要求していたものですけども、打ち上げが26年度ということになりましたので、必要経費として43億円の計上、補正を足して50億円の計上を行っております。また、はやぶさ2拡張ミッションとしては4億円の計上をしているという形でございます。これ以降、詳細解説したものをつけておりますが、ご参照いただければと思います。全体像中心の説明でしたが、私からは以上です。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございました。それではただいまの予算のご説明について、何かあのコメント質問はあるでしょうか。いかがでしょうか。それでは秋山委員、お手が挙がっております。よろしくお願いします。
 
【秋山委員】 秋山です、よろしくお願いいたします。細かいところの質問ですけれども、宇宙安全保障と国土強靱化というところで、次期光学ミッションに向けた研究開発というところが新規で入ってきたということです。この次期光学ミッションの方向性として、昨年夏にこちらの部会の方でありましたけれども、その方向性というのは決定したのでしょうか。どういう方向になっているのでしょうかということです。三案ありましたけれども、そこの検討状況について可能なことがありましたら教えていただければと思います。お願いいたします。
 
【竹上企画官(事務局)】 ありがとうございます。次期光学ミッションに関しましては、三案現場からいただいた後に、その後の利用部会で、五つの柱、例えば、アジャイルなものにするであるとか、3次元観測を目指していくであるとか、これまでとは違って官民で一緒にビジネスを構想していくとか、あるいは民間コンステを使っていくとか、こうした五つの軸がございました。これはこのまま、その後に開催された内閣府の衛星開発・実証小委員会の方で説明をしてご了解いただいていますので、大きなコンセプトとしてはその通りに進めていきたいと思います。それを受けてJAXAで今回急いでやらないといけない、例えばライダーの技術開発であったり、あるいはコンステのために必要な研究開発、こうした新しい技術開発に必要となるもの、フロントローディングのところ、ここを今回、JAXAの運営費交付金として要求をさせていただきました。JAXAがその後、企画公募を行いまして、先日事業者が選定されておりますので、要は全体としてどういう構想・企画にするかということを選ぶための企画競争ですけれども、今まさに事業者との会話が始まっております。我々も引き続き、JAXAとともにユーザーと会話を続けていきます。
 あと今回、運営費交付金だけでなくて宇宙戦略基金というものができましたので、この構想についても官主導でやる部分と民主導でやる部分が出てきますので、そこをどういうふうに設計するかという議論も今並行して行っております。この3月末までに一定のコンセプトを作るという目標に向けて、関係者間で議論を加速しておりますので、この宇宙開発利用部会でもまた改めてご報告させていただければと思っているところです。以上です。
 
【秋山委員】 ありがとうございます。ではまた3月以降にも、議論の結果を、教えていただけるということで承知いたしました。ありがとうございました。
 
【村山部会長】 ありがとうございます。続きまして米澤委員、お願いいたします。
 
【米澤委員】 ありがとうございます。米澤です。よろしくお願いいたします。拝見していてやはり注目すべきなのは宇宙戦略基金というところだと思います。こちらの後の方の資料も見せていただきまして、総務省、経産省とともになどと書いてありますけども、他の省庁などが今後関わってくる可能性もあるのかと考えますけれども、今後の見通しなどもしありましたらぜひ教えていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
 
【竹上企画官(事務局)】 ありがとうございます。この宇宙戦略基金に関しましては、この委員会でも事前評価を行っていただきまして、そのときにご案内した通り、今回JAXAを共管する4府省である、内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省が、結果的に法律上も基金を持てるということになっております。今回そのうち内閣府を除いた3省が予算計上していると。文科省が1,500、経産省が1,260、総務省が240ということで3,000億円が措置されております。今後この基金を持つ可能性があるのは、その3省に内閣府を加えた4府省、これが基金を持つ可能性があると。この基金の執行、あるいはテーマ選定のベースとなるもの。これもご案内していると思いますが、今内閣府で宇宙技術戦略というものを作っております。これに関しては、そうした4府省のみならず、いわゆるユーザー省庁、あるいは防衛省。関係省庁一体となって内閣府中心に技術戦略を、衛星、輸送、科学探査という三つの分野で3月末までに作る予定にしていますけど、関係省庁がニーズなどを聞きながら戦略を作っていくと。その後技術戦略をもとに、予算を持っている3省がテーマ設定を行っていくというプロセスになります。初年度のテーマに関しましては、既に昨年来、財務当局との間でいわゆる積み上げの議論をやっており、我々としても、大体こうしたものをやろうかなと考えているものはございますけれども、技術戦略が並行して今作られていますので、それを踏まえて最終的には文科省として、この1,500億円のテーマをどうするかという意思決定を、来年度早々行いたいと思っています。この宇宙開発利用部会でもご議論いただく場を取りたいと考えているところでございます。
 
【米澤委員】 どうもありがとうございます。大変丁寧に説明していただきました。
 
【村山部会長】 ありがとうございます。続きまして、いかがでしょうか。それではご説明を終えまして、それでは次の議題に移りたいと思います。最後の議題になります。最後の議題はJAXA宇宙状況把握システムプロジェクト終了審査の結果についてです。こちらは審議事項になります。SSAプロジェクトはJAXAとして初めての防衛省との連携を持つプロジェクトとして立ち上げられ、光学望遠鏡、レーダー、解析システムを含むSSAシステム整備を昨年度末までに達成し、既に防衛省による実運用が行われています。プロジェクト期間の終了からやや時間が経過しておりますが、目標の達成状況などJAXAで行われたプロジェクト終了審査の結果について、改めてご確認いただければと思います。それではJAXA寺田理事、追跡ネットワーク技術センターの井上センター長、資料の説明をお願いいたします。
 
【寺田理事(JAXA)】 JAXAの寺田でございます。ただいま御紹介にあったようにこの報告は、プロジェクトの事後評価を受けるためJAXA自らが評価実施主体となって実施した本システム開発の事業評価結果を報告し、審議をいただくものです。ちなみにこのシステムの立ち上げ時点において、目的・目標・開発方針・開発計画については、2016年の11月のこの部会で事前評価を受けているものになります。詳細の説明につきましては、この本プロジェクトを所掌しました追跡ネットワーク技術センター長、井上より説明させていただきます。
 
【井上センター長(JAXA)】 追跡ネットワーク技術センター長の井上と申します。よろしくお願いします。資料の次のページをお願いいたします。これは今寺田理事の方から紹介がありましたこれまでの経緯になります。2016年に事前評価を受けまして、今回事後評価をいただくことになります。次のページをお願いします。報告内容は四つあります。システムの概要、それからプロジェクトの目標達成状況。アウトカムの目標達成状況。最後にプロジェクト審査の結果になります。次のページをお願いします。
 まず、SSAシステムの概要ということで、何ページか費やしてご説明いたします。まず開発経緯ですけれども、本システムは2016年から開発に着手しまして、もうだいぶ前になりますが2022年3月に一旦完成しております。その次に2023年度初頭からの実現を目指しまして2022年度1年間は防衛省側の協力を得まして試行運用を防衛省側のシステムと連接して実施しまして、無事12月に終了しております。プロジェクトが定めたクライテリアサクセスについて全てフルサクセス、それからエクストラサクセスについては一部達成しましてプロジェクトの終了について昨年2月の理事会議において了承されました。続く3月に計画より約2週間早く実運用を開始しております。プロジェクトの方は昨年度末で解散しまして、新年度からは我々追跡ネットワーク技術センターにおいて運用を実施しております。
 次のページをお願いします。JAXAのSSAシステム開発の契機になりましたのは平成27年2015年の宇宙基本計画に以下のような文言が提示されたことによります。『日米連携に基づく宇宙空間の状況把握のために必要となるSSA関連施設および防衛省やJAXAを始めとした関係政府機関が一体となった運用体制を、平成30年代前半までに構築する』ということで2023年度、平成でいいますと35年度からの運用開始を目指してJAXAとしてのシステム整備を行いました。本システムの整備によりまして上に掲げられました運用体制の構築に貢献しましたし、主として技術的な観点から政府のSSAの取り組みを支援しております。下に防衛省のシステムとの関係を図示しております。
 次のページをお願いいたします。SSAシステムとしては右下の図にありますように大きく三つのサブシステムから構成されています。光学望遠鏡、これは口径1mのものと口径50センチのものの2基あります。それからレーダーと、筑波宇宙センターにある解析システムこの三つからなります。設備の目標として上の方に説明文の中に五つ事項を掲げています。一つは地球周回軌道上の物体の把握ということで、デブリの観測とそのカタログ化ということになります。二つ目としてはJAXAの衛星を保護するためにスペースデブリ等との接近解析を行い、次の3番、接近解析の結果デブリが接近したという情報を得ましたら、衝突回避運用の支援を行うということになります。それからJAXA由来の軌道上物体が大気圏に再突入する場合の予測解析も併せて行います。最後に将来のSSAシステムの性能機能の向上のための研究開発機能というものも具備しております。
 次のページをお願いします。こちらの表が開発当初に掲げた目標性能ということになります。左側に各事項名で、右側はそれまで存在しました旧来のデブリ観測システムで真ん中に今回整備したJAXAのSSAシステムという形で書いております。レーダーについては現行レーダーと同じ敷地内、それまであった同じ敷地内に能力を向上した新規レーダーを整備するということで、能力としては以前のものが高度650キロにおいて1.6メーター級のものが検出できた状態でしたが、今回整備したシステムでは10センチまで見えるようにしております。それから同時に観測できる物体数も最大10個だったものを最大30個に引き上げています。二つ目の光学望遠鏡については光学望遠鏡本体の能力としては変更ありません。1mのものが約18等級50センチのものが16.5等級のものが見えるというところまで、望遠鏡の老朽化の更新のみを行っております。視野についても変わりありません。ただし、駆動系については大きく更新をしまして、従来は静止軌道にある物体のみ追いかけることができておりましたが、今回は移動速度の速い低軌道の物体も追いかけられるように性能を上げております。最後の解析システムですが、これらのレーダーそれから望遠鏡からもたらされる情報を筑波宇宙センターの方に集約いたしまして、各種解析を行います。こちらの方もレーダー望遠鏡の性能向上に合わせて性能向上を図って新しいシステムに置き換えています。管理可能な対象物体の数も約3万から最大10万まで引き上げておりますし、レーダーの観測パスというのは、観測を始めてから終了するまで、レーダーですと大体10分程度かかりますけれども、これのパス数が200パスから1日当たり1万パスまで引き上げています。それからこのような能力向上に伴って人手での処理は不可能になりましたので、基本的にはシステムによる自動処理等を導入しています。政府、防衛省のシステムと連接した機能を有しております。プロジェクトの総開発経費は101億円でありました。
 次のページをお願いいたします。システムの存在する場所ですけれども、レーダーと光学望遠鏡については岡山県のそれぞれ上齋原スペースガードセンターと、美星スペースガードセンターに引き続き設置しています。解析システムは筑波宇宙センター内に存在しております。
 次のページをお願いいたします。こちらは外とのインタフェースを簡略化して示しております。SSAシステムとしてはここに示しました観測要求・観測計画の管理機能、軌道決定の機能、軌道情報を管理する機能。それから接近解析・衝突回避支援の機能。それからデブリの観測機能と、大気圏再突入予測の機能を持ち合わせております。JAXAの衛星運用情報はJAXAの追跡局から直接観測情報を入手いたします。それから防衛省宇宙作戦群のシステム、それから米国のCSpOC、CSpOCは欄外の方に注を入れておりますけれども、こちらから接近通知を入手いたします。併せてその接近通知に基づいて解析した結果、デブリを回避するという場合には衛星の軌道を変えますので、その変える情報について作戦群とCSpOCの方に通知しております。これらのシステムの出力が右側ですけれども接近情報および回避支援情報を衛星プロジェクトの方に提供し、必要に応じて回避運用を行っていただいています。それから再突入情報については危機管理体制のもと政府の方に提供しております。
 次のページをお願いいたします。こちらは整備スケジュール実績になります。2016年開発着手いたしまして、2020年度までに各サイトの設備整備が完了し、21年にインテグレーションを実施。22年度1年間で試行運用を経て、若干早いですが23年マイナス2週間というところで、実運用の開始にこぎつけております。
 次のページをお願いいたします。プロジェクト目標の達成状況について次に述べます。次の13ページですけれども、本プロジェクトではミッションを達成するために五つのタスク、要求事項を掲げております。ここに五つ書いてありますけど一つ目は既知物体の軌道の把握、二つ目が未知物体の検出とその軌道の把握。三つ目が接近解析と衝突回避運用支援。四つ目が大気圏再突入予測の解析。五つ目がSSAによる研究開発という形をとっています。これら五つのそれぞれのタスクに対して、次のページに示しますサクセスクライテリアを設定しております。
 次のページをお願いいたします。一つ目の既知物体の軌道把握に関してはレーダーにおいて先ほどご説明した通り、高度650キロで直径10センチ級のものが最大30個見えること。それから付帯して高度1,000キロ少し高い軌道ですと直径30センチのものが検出できるという能力をフルサクセスに設定しています。光学望遠鏡の方は新しくリプレースした望遠鏡を用いてここに掲げました性能ですけれども、これについては旧来の望遠鏡と光学的な性能は変わりありませんが、二つ目の高度200キロの物体を追尾可能とするというところが新しく性能向上した部分になります。それから観測手法と画像処理の工夫によって上にあります18等級ないし16.5等級。この検出限界等級をさらに改善することができることということで、エクストラサクセスの欄に書いてあります通り、最大20等級を目指した開発を行っております。二つ目の未知物体の検出等軌道把握についてはレーダーについては未知物体の検出ができること、光学望遠鏡についてもその検出と同時にその同じ夜の観測の間に追観測、それから翌日以降の再帰観測ができることをフルサクセスとしました。レーダーのエクストラサクセスとして、探知した未知物体の軌道データをもとに再帰観測ができ、さらに既知物体と同程度の精度で軌道が決められることというのをエクストラサクセスとして設定しております。三つ目の接近解析と衝突回避運用支援については、独自の接近警報発信ができること。それから軌道を動かす場合、接近回避制御を行う場合は、その立案した結果に基づいて再度新しい軌道においてスクリーニングを行って、安全な軌道に動いていることを確認するというタスクを、フルサクセス基準に設定しています。それから四つ目の大気圏再突入予測解析については予報が発信できること。最後のSSAによる研究開発については各種パラメータの調整であったり、多色測光、これは白色のみではなくて各種色を変えた測光ができること、ということでフィルターを新たに開発して取り付けられるようにしてあります。それから最後に軌道予測に用いる軌道予測精度の向上に資するような各種パラメータの調整ができることというのが解析システムのフルサクセスの基準になります。
 次のページにその達成状況を示します。一つ目の既知物体の軌道把握のレーダーについては、フルサクセスを達成済み。それから光学望遠鏡についてもフルサクセスを達成済みです。エクストラサクセスの20等級の観測については、努力しているところですけれども、プロジェクト存在中は達成困難でした。19.1等級までの光についてはノイズとの分離ができる状況まできております。さらにこれについて引き続き性能向上を目指したいと考えております。二つ目の未知物体の検出と軌道把握についてはフルサクセス・エクストラサクセスともに達成できております。それから三つ目の接近解析、それから四つの大気圏再突入のSSAによる警報発信についても、全てフルサクセスを達成済みとなっております。
 次のページをお願いいたします。アウトカムの設定、達成状況について簡単にご紹介いたします。一つ目、アウトカムについては四つ目標を立てております。最初の二つがこのページにあります。一つ目は政府のSSA活動への継続的な貢献ということで、今回防衛省とタッグを組んでシステム開発並びに運用を行うことになりました。防衛省とプロジェクト開発着手当初から顔を合わせた意見調整・意見交換等を行いまして、両機関のチームワークを非常に深めることができました。今もその活動は継続して運用されておりまして技術で支えるための基盤を構築できたと考えております。それから開発整備の途中においてJAXAのSSAのシステムで開発したアルゴリズム・設計情報・ソフトウェア等を防衛省のシステムに共有させていただいて、防衛省側のシステムの構築に技術で貢献することができました。最後に、これも古い情報になりますが、一昨年の12月に改定されました防衛力整備計画の政策の一つとして、JAXAの人事交流というのが明記されまして、防衛省からの要員の受け入れによって人材育成にも寄与しております。これも現在継続しております。二つ目の目標、国際プレゼンスの向上ですけれども、こちらはJAXAの衛星システムはことあるごとに外部に向けて情報発信をして、国連等においてもその存在を認識していただいているところです。さらに米国と中心とする同盟国のSSA関係機関が参加して行う演習の方にも参加して、日本の国際プレゼンスの向上に寄与したと考えております。最後に現在もこの作業が多いですけれども、防衛省が米国と協力関係を構築するその協議の後押しとなっているというふうに考えております。
 次のページをお願いいたします。こちらの2項目はまだ達成途上ということで、システムがまだできて運用が始まって1年足らずというところですので、今後の運用、それから研究開発を通じて達成すべき目標と考えています。一つ目はデブリ接近警報通知による日本の人工衛星の安定的な運用の貢献ということで、これはもう運用開始当初からJAXAの衛星に対して接近通知警報を必要な場合に通報しておりまして、回避運用に実際に利用されているというところになります。これは引き続き人工衛星を運用している限り達成していくというふうに考えています。四つ目の再突入情報についても、これも実は昨年1年間の間に4月からの運用の間に既に何回か再突入警報についても発信しておりまして、政府の方に情報提供を行っております。これも今後長期にわたって着実に継続していくべき事項というふうに考えております。
 次のページをお願いいたします。最後にプロジェクト終了審査結果ということで、昨年1月の審査になりますけれどもプロジェクトマネジメント規程・実施要領に従って終了審査を実施して、ここに掲げました審査項目に関する審査を受けました。審査結果としてプロジェクト終了は妥当と判断され、SSAプロジェクトについての現状の能力状況についても完遂できているということを確認していただいたところです。以上が報告になります。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございます。ただいまの説明についてご意見ご質問があればお願いいたします。鈴木委員、お願いいたします。
 
【鈴木委員】 新旧の比較でも素晴らしい進捗があったことを理解することができました。ありがとうございます。ここから質問ですが、光学望遠鏡の老朽化更新で速度の速い物体にも対応できるようになったことが、最近の活動の中、P25に補足資料の中に記載されていると思います。例えばアップデートで対応できるようになったのはこの中で言うとどの項目だ、ということはありますでしょうか。
 
【井上センター長(JAXA)】 ありがとうございます。25ページ参照いただきありがとうございます。実はこちら今ご指摘ご質問ありました低軌道が追いかけられるようになったものについて、2件書いております。一つ目は箇条書きになっております一つ目で、衛星リオービット時の軌道検出、それから衛星との通信途絶時の衛星探索ということで。実際にこれは活動としては実施しておりませんけれども、低軌道の衛星については実施しておりませんけれども、電波が途絶えた後は光学望遠鏡での状況の把握ができるようにというふうに考えております。それから二つ目衛星打ち上げ時にバックアップとして軌道把握実施ということで、これはXRISM/SLIMの昨年9月に立ち上がった二つの宇宙機ですけれども、こちらをロケットからの分離直後に観測しております。特にXRISMについては、軌道高度が550キロという非常に低い軌道ですので、これの観測に成功したことで我々も少し自信を得たところです。次の26ページにそのときの写真を大きく載せています。9月7日に打ち上げられて、9月8日深夜に光学望遠鏡1mの望遠鏡で捉えた写真になります。雲がかかっていてなかなか見づらかったのですけれども、事前に入手していたXRISM軌道のところに望遠鏡を向けまして、追尾ができるということを確認しております。以上でよろしいでしょうか。
 
【鈴木委員】 ありがとうございます。それと関連してですけれども、こういった他の国では実現できないような計測とかも場合によってできているのかと思います。同様のプロジェクトが海外においても存在するのではと思っていますけれども、それらと比較して技術力としてはまずどういうポジションにあると認識されているか、その辺りを教えていただいてもよろしいでしょうか。
 
【井上センター長(JAXA)】 ありがとうございます。光学望遠鏡に関してはやはりもっと大きい口径のものが国内にも実は存在します。東大が持っているものですとか、京大が持っているものですとか、そういうものがありまして。その光学性能の暗いものを見るという点においては、今回我々が整備した望遠鏡はかなり小さめのものの部類に入るかと思います。海外においても大きい望遠鏡はたくさんありまして、検出できる暗さという点では我々の望遠鏡は及ばないと考えています。ただ大きい望遠鏡はさすがに低軌道を追いかけるというのは非常に苦労しますので、小さいなりにできることはそれなりにあるかなというふうに考えております。
 
【鈴木委員】 わかりました。そういった形で国際的に競争力がある分野というものを、今後の運用もまだしばらく継続されるということでプレゼンスを引き続き発揮していただければと思っています。ありがとうございます。
 
【井上センター長(JAXA)】 ありがとうございます。申し遅れましたけども実は今ヨーロッパのフランスですとか、イギリスと共同研究を行っていまして、ちょうど両者からヨーロッパから、それから日本から両方同時に見えるような領域に関する同時観測ですとか、そういった形で協力関係を築いております。
 
【鈴木委員】 追加での情報ありがとうございます。よくわかりました。
 
【村山部会長】 続きまして山崎委員お願いいたします。
 
【山崎委員】 どうもありがとうございます。フルサクセスを上回るということで本当に心強く思っております。質問としましては18ページ目のアウトカム目標のところの3番目です。デブリ接近警報通知による日本の人工衛星の安定的運用への貢献ということで、ご説明の中ではJAXAの衛星に対して接近警報などを出していらっしゃると伺っているのですけれども、これは今後運用されていく中で日本の人工衛星の範囲というものは例えば民間の衛星などにも警報通知を行うようなサービスを広げていくのか対象についてどのように今計画されていらっしゃるのか、教えていただけるでしょうか。
 
【井上センター長(JAXA)】 ご質問ありがとうございます。実はこの開発がスタートして、それからもう既に開発が完了していますけれども、防衛省側のシステムが仕様が決められて開発が行われ、既に運用に移行されております。その中で、防衛省側のシステムが日本国内のいわゆるニュースペースと言われるような会社が打ち上げる衛星に対する予報業務を行うというふうに役割が決められました。一応今のところJAXAのシステムから例えばアクセルスペースへの警報を出すとかそういういった形ではシステムを構築しておりません。そちらに関しては防衛省の方で実施するというふうに伺っております。
 
【山崎委員】 役割分担について理解いたしました。どうもありがとうございます。
 
【村山部会長】 続きまして笠原委員お願いいたします。
 
【笠原委員】 ご説明誠にありがとうございます。非常にレベルの高い技術が完成されて且つ国際的にも非常に重要な地位を築かれているということを認識いたしました。8ページ目の目標性能のところをご質問させていただきたいですけど、10センチ級という非常に小さな物体を把握できる非常に高度な技術だというふうに認識いたしました。しかしながら解析システムの管理対象物体数のところは、3万から10万という形になっておりまして、ここの数の増え方が他のそのスペックに比べましてあまり大きくないのがちょっと気になります。といいますのも昨今の情報が各情報工学の発展を考えますと、ここの物体数もそれなりに桁で大きくなってもおかしくないのではないかなと思いまして、ちょっとご質問差し上げた次第でございます。もしよろしければお答えいただければと思います、以上です。
 
【井上センター長(JAXA)】 ご質問ありがとうございます。レーダーのここに今表示していただいているレーダーの観測能力として10cm、大体ソフトボール程度の大きさのものが一応検出できる能力を備えましたが、実際デブリはもっと小さいものがたくさん存在しております。小さくなればなるほど数が増えるというのが実態で、そういうことについては皆さんもよくご存知かと思います。この10センチ級以上のものが見えますので、それに応じて今回最大10万個という形でスペックを切っています。今ご懸念ご発言された通りで、かなり小さなものを含めますと当然10万という数では足りないわけですけれども、観測できる物体としてはこの程度を今スペックとして切って開発を完了したところです。レーダーで見える範囲のデブリというのは比較的高度の低いもので、軌道上における寿命もそれほど長くありませんので、低い軌道のものはどんどん落ちてくるということをも考慮して、一応今のところ10万という形でスペックを設定していますが、ここを必要に応じてまた状況に応じて性能を拡張しなければならないとなれば、それはあまり難しいことではないと考えております。
 
【笠原委員】 ありがとうございました。実際の実観測の個数に応じたあのスペックであることをよく理解いたしました。ご説明どうもありがとうございました。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございます。他の方いかがでしょうか。私の方から一つだけ質問したいですけれども、この評価するときの評価体制、これはどういう形でやられたのでしょうか。
 
【井上センター長(JAXA)】 今回は評価結果の審査結果のみですけれども、プロジェクト終了審査は経営審査になりますので、ここに署名があります審査委員長石井理事を筆頭に、各理事の方、それからS&MA統括であったりチーフエンジニアの方であったりといった方をメンバーとして経営審査をしていただいております。
 
【寺田理事(JAXA)】 補足いたしますと経営審査の前の段階で、プロジェクトの完了審査というものを部門レベルで行っていまして、そこにおいてはオブザーバーに防衛省の方に参加いただいて審査をしているというプロセスで最終的な審査を行っております。
 
【村山部会長】 そのあたりのことも今後ですけれども、合わせて回答された方が、透明性が高まるのでいいのでないかと思います。
 
【井上センター長(JAXA)】 ありがとうございました。
 
【村山部会長】 他はいかがでしょうか。それはご審議どうもありがとうございました。それでは宇宙開発業界として、資料81-4について特に20ページに記載されたJAXAの審査結果に同意するものとしたいと思いますが、これでいいでしょうか。
 特にご発言がないようですのでこれで決定としたいと思います。どうもありがとうございました。
 
【井上センター長(JAXA)】 ありがとうございました。
 
【村山部会長】 既にこのプロジェクトは追跡ネットワーク技術センターに運用が引き継がれているということですので今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 
【井上センター長(JAXA)】 承知いたしました。
 
【村山部会長】 それでは本日の議事はこれで終了といたします。最後に事務局から連絡事項があればお願いいたします。
 
【竹上企画官(事務局)】 本日もありがとうございました。会議資料と議事録の公開について申し上げます。本日の会議資料は文科省ホームページに既に掲載させていただいております。また議事録につきましては、委員の皆様にご確認いただいた後、文科省ホームページに掲載させていただきます。最後に、次回の宇宙開発利用部会ですが、2月中の開催を予定しております。委員の皆様にはご連絡いたします。事務連絡は以上となります。
 
【村山部会長】 ありがとうございます。それでは以上をもちまして閉会といたします。本日は真摯なご議論、どうもありがとうございました。これで失礼いたします。

―― 了 ――

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