令和4年7月8日(金曜日) 13時00分~15時00分
Web会議
部会長 村山 裕三
部会長代理 鈴木 桂子
臨時委員 井川 陽次郎
臨時委員 大西 卓哉
臨時委員 笠原 次郎
臨時委員 芝井 広
臨時委員 白井 恭一
臨時委員 鈴木 健吾
臨時委員 髙橋 德行
臨時委員 鶴岡 路人
臨時委員 山崎 直子
臨時委員 山室 真澄
臨時委員 吉田 和哉
臨時委員 米澤 千夏
研究開発局長 真先 正人
大臣官房審議官 原 克彦
研究開発局宇宙開発利用課長 福井 俊英
研究開発局宇宙利用推進室長 国分 政秀
研究開発局宇宙開発利用課企画官 竹上 直也
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 溝田 岳
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 横井 奈央
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 木元 健一
(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
理事 佐々木 宏
国際宇宙探査センター月極域探査機プロジェクトチームプロジェクトマネージャ 麻生 大
有人宇宙技術部門ゲートウェイ居住棟プロジェクトチームプロジェクトマネージャ 辻 紀仁
第一宇宙技術部門地球観測統括 平林 毅
【村山部会長】 皆さん、こんにちは。直前に大変なニュースが入ってきまして、私自身もショックを受けていますけれども、委員会自体は定刻になりましたので、宇宙開発利用部会の第67回会合を開催いたします。
本日も、新型コロナウイルス感染防止のため、前回同様にオンラインでの開催になっております。委員の皆様には御多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
まず、事務局に人事異動があったということですので、その紹介をお願いいたします。
【竹上企画官(事務局)】 本日7月8日付で宇宙科学技術推進企画官であった笠谷の後任としてまいりました竹上と申します。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
【村山部会長】 どうもありがとうございます。それでは、竹上企画官、これからよろしくお願いいたします。
それでは、まず事務局のほうから本日の会議に関する事務連絡をお願いいたします。
【木元補佐(事務局)】 本日は、宇宙開発利用部会に御所属いただいている16名の委員のうち14名の委員に御出席いただくことになっています。現時点でお二方ほどちょっと遅れていますが、14名の参加をいただくことになっておりまして、運営規則に定める定足数の要件を満たしております。よって、本日の会議は成立していることを御報告いたします。
次に、本日の資料ですが、議事次第のとおりでございます。3件ございます。
また、オンライン状況で音声がつながらないなどの問題がございましたら、事務局のほうへメールあるいは電話で御連絡をください。
今申しましたように、本日の議題は三つありまして、月極域探査機(LUPEX)プロジェクト移行審査の結果について及びゲートウェイ居住棟プロジェクト移行審査の結果についての2件が審議案件、あと残りの一つが報告案件になります。
事務連絡は以上です。
【村山部会長】 はい、ありがとうございます。
それでは、早速ですけれども議題に入りたいと思います。
最初の議題は、月極域探査機(LUPEX)プロジェクト移行審査の結果についてです。
それでは、JAXAの佐々木理事、お願いいたします。
【佐々木理事(JAXA)】 はい、JAXAの佐々木です。声は大丈夫でしょうか。
【村山部会長】 はい、大丈夫です。よく聞こえています。
【佐々木理事(JAXA)】 国際宇宙探査を担当しています理事の佐々木です。よろしくお願いします。
この月極域探査機(LUPEX)につきましては、この部会でも審議いただいております我が国の有人宇宙探査に関する考え方におきまして、重力天体探査技術の重要な技術獲得を目指したものであるとともに、文部科学省とNASAの間での共同宣言におきまして日本側の貢献として識別されている月面データ共有においても重要な役割を果たすミッションでございます。そういう目的に沿って、我々として丁寧に準備を進めてまいりましたけれども、本委員会におきまして、目的、目標、開発方針、開発計画、経過等について御議論いただければ幸いです。
それでは、担当の麻生のほうから御説明をさせていただきます。よろしくお願いします。
【麻生プロジェクトマネージャ(JAXA)】 JAXA月極域探査機プロジェクトチームのプロジェクトマネージャをしております麻生と申します。本日よろしくお願いいたします。
では、次のページをお願いします。
次のページは、本日の事前評価の位置づけを整理しておりまして、本日JAXAで行ったプロジェクトの移行審査の結果を御報告するとともに、その内容について調査・審議を行っていただくものです。
次のページをお願いします。
目次になっておりまして、ただいま佐々木のほうからありましたような構成になっております。それ以外に別紙も四つつけてあります。必要に応じて参照いただきたいと思います。
次お願いします。
4ページですけども、プロジェクトの目標の設定として、月にある水資源、これをエネルギー資源と見たときに、それを確保するという観点から、今、月の極域が非常に注目されています。国際的に注目されています。その水資源の利用可能性調査というのが今国際的な競争と協力で非常に活発化しております。
そこで、各国に遅れることなく、月極域において水資源の利用可能性、そして日本における重力天体表面探査技術の確立というのを目指して、この月極域探査機(LUPEX)のミッションを進めております。
特に、右側の表ですけども、これは宇宙開発基本計画の工程表の13項のところに、真ん中やや上のところにLUPEXが表示されています。
5ページ目をお願いします。
プロジェクトの目標ですけれども、目的は大きく二つあります。一つは、先ほど言いました月の水資源の利用可能性の調査、これは水の一定程度の存在が分かれば、水を分解してエネルギーとして利用できますので、将来の月面での人類の活動を持続的に行うことができます。
月に一体どれぐらいの水があるのかという定量的な問題については、今までリモートセンシングで得られたデータは、ウエイトに対して8%から20%という非常にばらつきが大きいので、そのばらつきの議論をまず収束させないと、どれぐらいの効率で水を取り出せるのかとかいうのは分かりません。ここを着陸ミッションにて現地で、しかも直接ロボットの手に取って定量的にその含水率というのを計測するというのが我々の目的です。もう一つは、先ほど言いました重力天体表面探査技術の獲得です。これは後ほどまた紹介いたします。
ということで、このLUPEXの意義は、水の資源としての利用可能性、それから重力天体表面探査技術の獲得、そして、もちろん先ほど佐々木からもありましたように、米国のアルテミス計画における有人着陸に向けて、我々の取得データを提供することによって国際宇宙探査に貢献する。この三つの意義があります。
6ページをお願いします。
ミッション要求、先ほど言いました青いベルトで示されている、表の中で示されているところが先ほど言いました二つの要求です。それに対してプロジェクトの大目標というのが四つブレークダウンされています。
ミッション要求1からは、ミッションプロジェクトの大目標の1番のところで水の可用性の調査、それから2番のところで月の水の濃集メカニズムの理解、それから3番のところに着陸地点の揮発性物質を含む表層の構成物の組成データというのがありますが、これは日本の大目標ではなくて、後ほど説明しますインドの目標になります。それから4番目、重力天体表面探査技術の作業というふうになっております。それをさらにブレークダウンしてプロジェクトの目標が定められています。
ページ7をお願いします。
その目標に合うミッションのサクセスクライテリアを私たちはこのように設定しました。時間の関係で全ては割愛しますが、左半分は水の利用可能性の調査のところです。フルサクセスの欄の上から二つ目ですけども、例えば表層付近から1.5メートル程度の複数の深さにおいて観測を行うことというのがフルサクセスのうちの一つです。ですので、1.5メートルということで我々掘削機能も有しております。有する設計にしようとしています。
それから、右半分の重力天体表面探査技術では、例えばフルサクセスのうちの一つは、赤線の2行目ですけども、滑り率と走行抵抗を求めるデータを取得するということが書かれております。この滑り率と走行抵抗というのは、我々のローバ単独のためというよりも、今後LUPEXの後に極域に行く全ての探査機において必要なデータですので、それをまず取得して、データの共有を行っていこうというのがサクセスクライテリアの一つです。
ページ8をお願いします。
アウトカム目標を表にしてございます。例えば(3)の重力天体表面探査技術のところですけれども、列として右から2番目、5年以内というところに重力天体表面探査技術を活用して国際宇宙探査計画が立案される、つまり我々が得たデータによって、持続的な月面活動が可能かどうかというのは規模感が推計できますので、それに基づいて計画を5年後に立て、そして10年後にはそこに月面の拠点を建設して、それを拡大して、国だけではなくて民間企業も含めた月面利用や資源利用などに活用していく、それが我々のアウトカム目標です。
ページ9をお願いします。
これは先ほど後ほど説明しますと言ったLUPEXの獲得技術の応用先でして、右側にグラフが書いてありまして、赤枠で囲まれているところが我々LUPEXで獲得しようとしている重力天体表面探査技術です。エネルギー技術、資源探査技術、それから熱制御技術等々ありまして、その結果をどこに応用するのかというのがこの右側の図のロードマップになっています。それを例えばアメリカの曝露ローバですとか、それから日本の有人与圧ローバ、2029年と書いてありますけれども、それ以降、月面拠点の建設等に役立てようということを考えております。
ページ10をお願いします。
LUPEXの概要として、第2章ですけども、探査機システムの概要です。三つのCGが書いてありまして、左側がランダーとローバが結合した状態、それから右側二つがローバがそのランダーから降りた状態のCGです。
国際的な分担をもうちょっと説明しますので、下の表、左側の表に行ってください。H3ロケットで打ち上げまして、ランダーとローバを合わせて約6トン、我々が開発しようとしているローバは350キログラム、これを打ち上げから月着陸後3.5か月間の間運用しようと考えております。
ページ11をお願いします。
探査機システムの概要の2として、観測の例を上げておきました。左半分が粗い観測、疎観測ですね。それから右半分が詳細観測。まず左側半分の疎観測で、レーダとか、それから近赤外分光計を使いまして、およそどの辺りに水があるのか、というのを探ります。この辺りにどうもあるらしいと分かったら、そこに、右側に半分に行きまして、詳細観測として、そのエリアを絞って、地表付近から最大深さ1.5メートルまでを掘りまして、その掘ったレゴリスを採取しまして、自分たちのロボットの中のローバの中の観測装置の中に入れる。熱して水をレゴリスから引き剥がして、どれぐらいレゴリスが軽くなったかというのを電子天秤で測るという仕組みになってございます。
ページ12をお願いします。
探索システムの着陸地点の選定と経路計画について簡単に御紹介しています。
着陸地点の選定の指標ですが、右上に四つの丸が重なっている絵がありますが、もちろん水を含む揮発性物質の存在可能性があるエリアに我々としては降りたいのですけども、それだけではなくて、地球との通信が良好なところ、それから太陽電池で発電するものですから、日照が良好なところ、そして、極度な傾斜がないところ、その四つの条件が重なったところというのは非常に限られている区域でして、その区域に降りようとしています。
南極域であれば、そういう区域、全部この四つの条件を合わせるようなところは10か所ちょっとしかありませんので、この右下の絵はそのうちの1か所の例を示したところです。一番左下に着地しまして、その後、山の尾根みたいに高くなったところが黄色い絵で色づけされていますけども、この高くなったところをずっとあらかじめウェイポイントというのを我々決めておいて、そこを探査するという計画になっております。
ページ13をお願いします。
ローバシステムの特徴として、四つ今日は挙げさせていただきました。まず1つ目は、含水率を直接計測する、リモートセンシングではなく、レゴリスを自分の機械に入れて、直接水の量あるいは分子量とか分子種の特定を行うという、これは月面上でこれができれば世界初です。
それから、2番目が高精度な垂直探査、これはレゴリスを採ったときに、その採る場所をどれぐらいの精度でできるかと。1.5メートル掘れば、そのドリルの周りには1.5メートル分の砂が下から出てきて全部混じってしまうわけですけども、我々はそのドリルの先端に採集部を持っていますので、誤差3センチ未満で何センチの深さから採った砂かということを特定することができます。これも月面でできれば世界初です。
多様な環境の水平探査ということで、これはいろんな環境のところに行って、例えばクレーターの底ですとか、あるいは永久影とか、そういういろんな環境のところに行くために高い走破性が必要でして、四輪クローラ方式を用いてクレーターの底に下りて行くということにも挑みたいと思います。これも月面では世界初です。
最後、サバイバビリティですけども、日本の薄膜太陽電池とか、それから高性能バッテリーセル、これについて日本は非常に優れた技術を持っていまして、これを用いて日照領域の観測や越夜にも挑みたいと思っています。この太陽電池やバッテリーセルも世界最高水準のものを利用する予定です。
ページ14お願いします。
搭載される観測機器はこのようになっていまして、JAXAが開発する水資源分析計、その中にISROが提供する試料分析機器なども入っています。
それから、2行目ですけども、JAXAが開発する近赤外画像分光装置、そのほか、NASA、それからISRO、それからESAの観測機器を提供するという協定になっております。
ページ15をお願いします。
これは国際分担でして、今観測機器の分担を先に御説明しましたが、それ以外にも地上設備も、JAXAだけではなくて、インドISROと、それらアメリカのNASA、それとヨーロッパのESAの地上設備を用いて、4か国の地上設備、追跡局と協力しながらミッションを進める予定です。
絵の左上に打ち上げシステムと書いたのが、日本側の調達するロケットです。H3ロケットを予定しています。
ページ16お願いします。
ロケットの開発計画ですけども、右側に図を書いておきました。真ん中が私たち月極域探査機のプロジェクトチームで、その外枠の大きな長方形がJAXAの中の組織で、これだけの関係する部署があって、協力しながら進めております。枠の下に、国際協力による国際機関とか、それから開発メーカー、そして一番右下に大学などが書かれています。
特徴として、アウトプット創出チームというのが下にありまして、これは科学衛星などのサイエンスチームと相当するチームをプロジェクトの外に置いて共同研究の場を結ぶことによって、このアウトプット創出チームが資源データの作成ということに責任を持ってございます。
ページ17お願いします。
プロジェクトの実施体制として、これは企業を挙げておきました。プライムメーカーだけではなくて、一次のサブコントラクターも含めてあります。これだけ多くのメーカーが参加しておりまして、中には非宇宙産業の企業からも参加をいただいております。例えば右側の表のちょうど真ん中ぐらいにある企業ですと、水を蒸発させて重さを量るという計測において、地上においては実績のあるメーカーですけども、それを宇宙に飛ばしたことがありませんので、そこを何とか協力いただいて、宇宙で使える電子天秤というものの開発を進めております。
ページ18お願いします。
18はサイエンスコミュニティのことを記していまして、我々JAXAだけではなくて、ここに書かれている東京大学、産総研を含む多くの大学、それから機関からサイエンスの専門家に参加していただいて、それぞれ観測機器の開発に携わっていただいております。
ページ19お願いします。
資金計画及びスケジュールですけども、資金計画は総開発費として248億、スケジュールとしては最速25年の1月うちを目標に開発を進めたいと考えております。ただし、ISROの開発計画とも同期しつつ、適切なスケジュール設定とマージン確保を進めるということにしております。
計画に当たって考慮すべき事項として、やはり先ほどちょっと説明しました政策要求、アメリカのアルテミスへのデータ提供、これはアルテミス計画より前に我々がミッションを遂行してデータを提供するということを考えますと、25年の1月までに打ち上げがどうしても必要になります。
一方、ISROもコロナ禍によって非常に開発が遅延、全体のISROの計画が遅延しておりますので、スケジュールの綿密な調整を今進めているところです。この政策要求にミートできるように綿密な調整を進めているところです。
ページ20お願いします。
リスクと対応策ですけども、JAXAの中のプロジェクト移行審査においても、このように各リスクを識別し、その中でリスクレベルというのを評価して、大きいもの、それから中というレベルに相当するものをピックアップして、今回は4点だけですけども、JAXAの経営レベルに特に報告しておくべきというリスクをここに挙げておきました。
ページ21をお願いします。
例えばこの上のCandrayaan-3の不具合・打ち上げ遅延と書いてありますのはどういうことかというと、ISROインド宇宙機関が我々のLUPEXの前に、もう一つ月の着陸ミッションをやろうとしています。それをCandrayaan-3と彼らは呼んでいますが、その不具合等がありますと打ち上げが遅延します。その場合、我々としてどういう対策を打つか、あるいは打ち上げが遅延せざるを得なくなった場合に、我々の意義価値というのが低下しないかというのを常に評価しつつ進めるということにしてございます。
ページ22をお願いします。
JAXAの中で行いましたプロジェクト移行審査の結果を簡単にまとめてあります。2ポツ目で、プロジェクトマネジメント規程というのがJAXAの中にありまして、それに沿ってここに6項目を書いておきましたが、プロジェクト計画の妥当性、それからリスク、人材育成方針、レッスンズラーンドの取り込み状況、教訓・知見のまとめ、整理とその妥当性という観点から、JAXAの中で専門家を交えまして議論いただきまして、結果、ポツ三つ目ですけども、プロジェクト実行段階への移行は妥当というふうに判断されました。
最後のページ23で、このJAXAのプロジェクト移行に先立ちまして、外部評価というものを行っています。これも外部の有識者の方に我々のプロジェクトの概要を御説明しまして、その中で、特に国際宇宙開発シナリオにおけるプロジェクトの位置づけ、重要性ですとか、あるいは国際的産業競争力の観点とか国際プレゼンスの観点から、このプロジェクトの意義があるかということを評価いただきました。
唯一の日本の宇宙のコンサルテーションの会社でありますシー・エス・ピージャパンの金山社長から評価をいただきました。結果、三つにまとめてありますが、四角のポツにまとめてありますが、先ほど言いました観点からも本プロジェクトに取り組む意義はあるというふうに評価をいただいております。
あとは別紙になりますので、私のプレゼンテーションを終わりとさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【村山部会長】 はい、どうもありがとうございます。
それでは、ただいまの説明について御意見、御質問がありましたらお願いいたします。挙手でお願いいたします。いかがでしょうか。
鈴木委員から手が挙がっています。鈴木委員、どうぞ。
【鈴木委員】 鈴木でございます。よろしくお願いします。
P23の金山委員のコメントをちょっと引用させていただく中で、一つ目の本プロジェクトの位置づけ・重要性というところの、本リスクを適切に管理していくことが肝要であるということで、リスクに関しては分かるんですけど、リスクを管理するということを具体的にどのように行うことができるのかみたいな部分でイメージがあれば教えていただければなというふうに思います。
【麻生プロジェクトマネージャ(JAXA)】 リスク管理の方法として、先ほどのページちょっと挙げてもらえますか。はい、そのページ。ありがとうございます。リスクについてはこれはもう本当にほんの抜粋でして4項目しか挙げていませんが、実際には27項目、これを私たちは挙げて、それぞれ予期できるリスクというものに、これはリスクの影響度、あるいは、発生の可能性がこのぐらいのレベルですから、全体としてこれは重点的に取り組まなければならないというものから、すごくリスクレベルが小さくて、これは飛ばしにしてもいいものというふうにレベルをそれぞれまず決めます。
その次に、そのリスクはずっと監視していくべきなのか、それとも我々はそれを許容するべきなのか、あるいは緩和する対策を打つべきなのかという、それのどれに当たるのかというのを決めます。そして処置方針を具体的に決めて、その処置を継続的に執行する、あるいは発生してから対応する。そのように対応することになってございます。そのような方法でリスクを管理、それからリスクをミニマムに抑えるような活動を常に行っております。
【鈴木委員】 ありがとうございます。特に国際協力の観点でリスクを管理しにくい側面があるポイントだったかなと思って聞かせていただきました。注視されるような形でいろいろな御対応を検討されているということで、御準備なさっているということで理解しました。
あとは、もう一ついいでしょうか。P30の、今回の計測の目的が次の月面推薬製造プラントの規模の決定などに役立つということ、こちらはやっぱりほかのプロジェクトの中でも具体的にデータが役立ちそうだなと思うんですけれども、これを担当されるチームと、あとは計測が終わった後のスケジュールみたいな部分で分かっているものがあれば、具体的な決定のプロセスなどを教えていただければなと思います。
【麻生プロジェクトマネージャ(JAXA)】 はい、私たちの隣の部署が中心となって行っております月面プラントの検討の中でも、月面プラントの機能、具体的には我々プラントを建設するための重量で考えていますけども、その重量がどれぐらいなのかというのはこの砂の中に何%水が含まれるかというのに大きく依存します。例えば工場まで運ぶ量、レゴリスを運ぶ量にしても、その砂の中に2倍水が含まれていれば、運ぶ砂は半分で済むわけですので、その規模を決めるために、まず我々はこの砂の中に何%入っているかという数値を決めます。決めた後、先ほど言いましたアウトカムのところでも御説明しました5年後にプラントはこのぐらいのレベルで、これぐらいの規模で、何トンの物資を運んでプラントを建てればその後の持続的な活動につながることができるでしょうという、そういう計画を5年後に私たちの国際宇宙探査センターというところが決めていく、そういうプランになってございます。
【鈴木委員】 ありがとうございます。特に優先的に取れたデータをどのように活用するか、そのあたりのアウトカムとしての情報の利用から次のアクションまでイメージし切っておいていただくことがとても有効なのかなと思っていますので、御検討を継続してお願いできればなと思います。ありがとうございます。
【村山部会長】 はい、どうもありがとうございました。
続きまして、山崎委員、お願いいたします。
【山崎委員】 はい、御説明どうもありがとうございます。非常に大切なミッションで、アルテミス計画にもタイムリーに貢献ができるように、ぜひ先ほど御説明があったリスクの軽減を図りながら進めていただければと私も期待しております。
質問としましては、17ページ目にいろいろな企業の体制と、また、アウトカムのところでも月の移送技術の獲得ということが挙げられていますけれども、この後に続く、例えばJAXAとトヨタとで共同開発をしていらっしゃるような与圧ローバのようなところにもつながる技術の獲得ができるようにと思うのですが、逆に言えば、そうしたローバで必要な基礎データをここできちんとLUPEXのローバでも取るような、そうした連携が図られているでしょうかということでお願いいたします。
【村山部会長】 はい、いかがでしょうか。
【麻生プロジェクトマネージャ(JAXA)】 連携取られております。私たちが公表しました日本の国際宇宙探査シナリオ案2021という中にも、そのLUPEXの取得したデータを、どんなデータを取ってそれをどのようにその先有人与圧ローバなどに活用していくかということが3ページぐらいにわたって整理されています。
そこの概要は、ありがとうございます、ちょうどP9に示しておりますような、我々が例えば走行技術、それから操作、制御、後方誘導系なんかもそのまま有人与圧ローバに適用できるものもありますし、それから例えば車輪の形式はちょっと有人与圧ローバと違うので、先ほど言った滑り率とか沈下率とか、そういうものはローバには適用できますけども、車輪そのものの構造はまた違ったものになるよねとか、そういうどの部分が有人与圧ローバに適応できて、どの部分はできない、あるいは、どの部分を発展させれば有人与圧ローバをもっとよくできるというものが検討できるようにロードマップを敷いております。
【山崎委員】 承知いたしました。ありがとうございます。
【村山部会長】 はい、ありがとうございます。
続きまして、笠原委員、お願いいたします。
【笠原委員】 笠原です。ちょっとビデオが。あ、映りました。すいません。
【村山部会長】 大丈夫です。はい。
【笠原委員】 大変高い技術目標を立てられて、世界初チャレンジング、かつ、様々なリスクを管理されて、非常に期待をする内容だというふうに理解しております。
1点、ただし、逆に直接計測をするということは、観測するポイント、ウェイポイントのこの図を見ても、それなりの距離や高度差を含めて完走されるというふうには理解できるんですが、じゃあこれがどれだけの一般性、月のある領域全てを含んだ情報となり得るのか。その普遍性、一般性、また、その科学的な根拠、そういったところがやはり私はすごく問題になってくると思うんですが、直接的であるがゆえに、逆にどれだけの広い応用性があるのか、普遍性があるのか、そういった観点では今どのような見解をお持ちなのかというのをちょっと質問させていただきます。以上です。
【麻生プロジェクトマネージャ(JAXA)】 御質問ありがとうございます。まさしく、まさしくその点は私たちも認識しておるところでありまして、我々例えばこのウェイポイントを、12ページの右下の図ですけども、ここでじゃあ3か所しか我々は調査しないのかというと、それはそんなことはございません。これは一例ですので、ここはさらにこの先とか、あるいは違う方向とかの調査はできると思います。ただし、御指摘のとおり、じゃあ3か所じゃなくて6か所測ったとして、その6か所測ったデータのみで月の水の全体の分布を計り知るとか、あるいは濃集原理全体のメカニズムを解明するとか、そんなことは3か所や6か所ではできることではありません。
ですので、そこはやはり今国際宇宙探査でほかのプロジェクトも月探査を行っていますので、そういうところと連携しつつ、先ほど競争と協力と言いましたけども、条件のいいところに早く行きたい、でも、自分一人のデータでは、一般性、普遍性というのを証明するには足りない。そこで、その後者の部分は国際協力によってデータを持ち寄ることで、月全体の濃集原理や、それから全体の分布図をつくっていく、そういう活動につなげていきたいと考えております。
【笠原委員】 ありがとうございました。科学コミュニティも巻き込まれていますが、御活用されて、ぜひ良いデータの活用を期待します。以上です。ありがとうございました。
【村山部会長】 はい、どうもありがとうございます。
続きまして、山室委員、お願いいたします。
【山室委員】 はい、聞こえていますでしょうか。
【村山部会長】 大丈夫です。
【山室委員】 この図と、それから5ページの図からちょっと教えていただきたいんですけれども、このミッションは最終的には月面推薬プラントを造るということで、そのためには水を電気分解するというふうに書かれています。そうすると、このプラントのエネルギーとして電気をどのようにしているのかなという時には、恐らく太陽光発電なのかなと思うのですが、そういうことを考えると、調べるところというのはこういう月面推薬プラントを太陽エネルギーで維持できるような範囲というのが前提として既に織り込まれて先ほどの12ページの範囲が示されているのかというのを教えていただければと思いました。
【麻生プロジェクトマネージャ(JAXA)】 御質問の意図は、太陽光エネルギーのみでプラントが成り立つというか、そういう試算の下にやっているのかということでしょうか。
【山室委員】 いえ、太陽光エネルギーのみじゃなくてもいいですけれども、要は電気分解をしてと書かれているので、その電気分解のエネルギーとして何を前提とした上で、月面推薬プラントはこういうところに建てられるから、だから探査範囲はここだという説明になっているのかどうかということです。
【麻生プロジェクトマネージャ(JAXA)】 分かりました。ありがとうございます。
はい、我々は日照ということを非常に重視しておりまして、例えば今表示されている12ページの黄色いところ、ここは非常に日照がいい場所でして、このどこかに、例えばこの一番左下にランダーが着陸すると、そのランダーは時期によっては300日近い日照が得られます。短い夜はやってきますけども、ほぼそういうのがない時期が300日近く得られるような場所が月の極域には存在します。ですので、そういう場所にプラントを建てることによって、一部の日陰はありますけども、ほぼ日照で条件のいい場所にプラントを建てることでエネルギーが十分得られるという試算の下にこのストーリーを立てています。
【山室委員】 分かりました。じゃあ、そのストーリーの下にこの探査領域が選定されたということですね。
【麻生プロジェクトマネージャ(JAXA)】 はい、おっしゃるとおりです。
【山室委員】 はい、ありがとうございました。
【村山部会長】 どうもありがとうございます。
ほか御質問いかがでしょうか。大体出尽くしたでしょうか。いいでしょうか。
(「なし」の声あり)
【村山部会長】 それでは、これまでの御審議を踏まえて、資料67-1についてJAXAの評価どおりということでよろしいでしょうか。御異議はありませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【村山部会長】 それでは、御異議がないようですので決定といたします。ありがとうございます。
それでは、次の議題に移りたいと思います。
二つ目の議題は、ゲートウェイ居住棟プロジェクト移行審査の結果についてです。
それでは、こちらも佐々木理事お願いいたします。
【佐々木理事(JAXA)】 引き続きゲートウェイ居住棟のプロジェクト移行審査の結果について御報告させていただきます。
本プロジェクトは、先ほど述べましたように、本部会で議論いただきました我が国の有人宇宙探査に関する考え方におけます重点科学技術、有人宇宙滞在技術を獲得するということと、それから、一昨年結ばれましたゲートウェイのMOU――共同覚書におきまして日本が提供するという国際約束をしましたプロジェクトになります。
こちらにつきましても、JAXAにおきまして準備を進めましてプロジェクト移行の審査を行いましたので、これを踏まえまして、この委員会におきまして、目的、目標、開発方針、開発計画、成果等について御議論いただければと思います。
では、説明のほうはプロジェクトマネージャの辻のほうからさせていただきます。よろしくお願いします。
【辻プロジェクトマネージャ(JAXA)】 それでは、ゲートウェイ居住棟プロジェクトチームプロジェクトマネージャの辻のほうから御説明させていただきたいと思います。本日はよろしくお願いします。
ページめくっていただいて、プロジェクトの事前評価と本資料の位置づけにつきましては、LUPEXと同じように位置づけは同じでございます。また、当報告についてJAXAが実施した居住棟に係るプロジェクト移行審査について、審査については、プロジェクト目標・成功基準の妥当性、実施体制、資金計画、スケジュールの妥当性、リスク識別とその対応策の妥当性について評価をしております。これについて判定機関について御説明させていただきたいと思います。
次のページお願いします。
まず経緯について御説明いたします。
2019年8月に、宇宙開発利用部会ISS国際宇宙探査小委員会にて、ゲートウェイを含む国際協力による月探査計画への参画に向けた方針取りまとめについて報告させていただいております。同年の10月、宇宙政策委員会にて、「米国提案による国際宇宙探査への日本の参画方針」について御報告し、同月、宇宙開発戦略本部にて決定させていただいております。2020年7月には、月探査協力に関する文部科学省とNASAとのJADI――共同宣言署名いたしまして、同月に宇宙開発利用部会にて報告しております。同年12月には、ゲートウェイ了解覚書――MOUが署名されまして、2020年2月に宇宙開発利用部会にて報告させていただいております。
次のページ、はい、次のページ、本プロジェクトに関しましては、LUPEXよりももう少し大きい枠の中のプロジェクトでありますために、まず全体について、背景を含めて御説明させていただきたいと思います。
月周回有人拠点ゲートウェイ(Gateway)計画につきましては、米国、ロシア、欧州、カナダ、日本の多国間で締結されたISSの多国間の基地協定の下、ゲートウェイに関する了解覚書を結び、アルテミス計画の一部として実施しております。
米国が主導し国際協力により構築されるゲートウェイは、高出力の電気推進システム、クルーが滞在するための居住モジュール、ロボットアーム及び船外活動機能が備えられまして、地球と月面の中継基地機能により、科学的に興味深い月裏側や極域の探査に新しい機会を提供するものとなっております。
NASAは、ゲートウェイの建設を2024年の電気エレメントと、それからミニ居住棟の打ち上げにより開始しまして、2028年頃までの組立て完了を目指しております。ゲートウェイには2名から4名の宇宙飛行士が年間30日程度滞在する計画です。
ここで御説明差し上げたいのは、このゲートウェイというのは、地球と月、火星がありまして、そこで月の探査を総合的に行う複合したプロジェクトの中において、このゲートウェイは月を周回するこのプロジェクトの中核とした宇宙ステーションとして機能するものになっております。
次のページお願いいたします。
じゃあ、そのゲートウェイの宇宙ステーションはどういう働きをするかということですけれども、時間もあれですので簡単に特徴的なところだけ御説明しますと、先ほど、2024年に最初に打ち上ると申し上げた部分については、この太陽電池パネルがついているPPEというモジュールと人が住むことができるHALOというモジュールがあります。こちらはいずれもNASAが提供する予定のモジュールです。これが2020年頃打ち上げまして、その後、次に、もう1機人が搭乗できるモジュール、I-HABと呼ばれるモジュール、赤で書いてあるI-HABのモジュールがありまして、こちらはヨーロッパのESAが提供することになっておりますけれども、こちらが2回目に打ち上げられるということになっています。そのときはこのOrionと一緒に結合して打ち上げられて有人化が始まるということになっております。
我々といたしましては、このHALOのモジュールに対しまして、赤で書いてあるとおりバッテリを提供すること、それから、このESAが提供するI-HABの環境制御機能を主に提供するという役割を果たすこととなっております。
次のページお願いいたします。
宇宙基本計画における工程表の位置づけですけども、先ほどLUPEXがありましたけれども、我々のゲートウェイにつきましては、この宇宙探査計画の中のゲートウェイ居住棟への我が国が強みを有する技術を提供するということで、アルテミス計画へ貢献しつつ、このゲートウェイで我々が強みを有する技術を確立していくという位置づけになっております。
次のページお願いいたします。
この提供の流れですけれども、「きぼう」では、この環境制御系においては換気と温湿制御をやっていきますけれども、このI-HAB/ゲートウェイのプロジェクトにおきましては、非再生型のECLSシステムということで、有害ガス除去、CO2除去、全圧・分圧制御機能を提供するということになっております。
最終的には、初期以降の将来構想といたしまして、それをさらに再生してエコなシステムをつくるということで、O2製造、水再生、CO2還元など、今後将来的に確立していくと、そういったアプローチを取ることにしております。
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では、具体的にどういった機能を提供するかですけれども、これについてはそれぞれ後のページで御説明いたしますが、概要といたしましては、各環境整備システムを統合する通信装置や電源装置、それから、圧力や二酸化炭素濃度を調整したり有害ガスを除去したりといったシステム、それから、ポンプやバッテリ、映像系、HALOでは先ほども言いましたようにバッテリを提供するということになっております。
このモノを提供する範囲に加えまして、提供するシステム機器に運用するに必要な情報・データの整備、それから、初期運用では、提供するシステム・機器に関する技術支援を行うと。そのために必要な地上モニタシステムの整備を含めて、初度の補用品の調達を含む、こちらがプロジェクトの範囲として制定しております。
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プロジェクトの目的ですけれども、目的とその背景がございます。目的は、ゲートウェイ計画の参画を通じて、有人宇宙滞在に係る基幹技術の一つである環境制御・整備の技術――ECLSと呼んでおりますシステムのコア技術を確立することにしております。
背景につきましては、まず、先ほど申し上げた戦略的なECLS技術獲得ということで、我が国にとって今後の有人宇宙探査ミッションにおいて最も重要となる技術をユニークに獲得していくということがまずございます。
また、2番目といたしまして、持続可能が有人月面ミッション実現への貢献、それから、新たな民間事業者の参入、市場創出・拡大への寄与、それから、有人月面探査活動おける国際的プレゼンスの顕示ということで、主要な部分を占めることで我が国のプレゼンスを示すことにしております。
I-HAB ECLSの主要機能ということでございますけれども、1ミッション当たり2から4名、30日程度の滞在を実現するため、キャビン圧力制御、温湿度制御、二酸化炭素除去、有害ガス除去、モジュール間換気等の環境制御・生命維持機能を提供するということになっております。
システムの仕様ですけれども、主要構成機器のシステム仕様といたしましては、ECLSシステムのマネージャということでECLS SM、それから、ECLSローカルコントローラ、それから全圧・酸素分圧制御といたしまして、このようにO2タンク、それからN2タンクを備えた、その圧力を制御するバルブ等を備えた装置があります。
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また、温湿度制御装置といたしまして、THCと呼ばれておりますけれども、宇宙飛行士が活動するために、エアコンのような仕組みを働かせるということで、空気の対流がありませんので、強制的に空気を吐き出しまして適切な風速を維持する、また、空気中の微粒子、微生物を除去するといった機能があります。こちらについては、「きぼう」の技術をベースに、ゲートウェイに向けて制作するのです。
CO2除去装置といたしましては、宇宙飛行士も呼吸しますので、そこから二酸化炭素を除去するといったシステムになっております。こちらについては、空気中の水分を除去する除湿筒とCO2除去する吸着筒それぞれ2筒を交互に運用する方式を採用しております。
また、有害ガス除去装置につきましては、人体から発生するアンモニア、メタン、アルデヒド類やアルコール類など微量の有害ガスを取り除く、そういったシステムを使っております。こちらにつきましては、比較的低温度での有害ガス触媒の燃焼が可能で、エコな有害ガス除去装置になっています。
また、IMVバルブ・ファンということで、これは、ISSと同じようにモジュール間、モジュールを構成するのはHALOとI-HABと申し上げましたけれども、空気循環がありませんので、モジュール間の空気循環を強制的に行うための、また、何かあったときにモジュールを隔離するためのバルブを備えることになっております。
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また、ECLSシステムのほかに、映像電送系ということで、民間の技術を活用いたしました船内カメラユニット、船外カメラユニット、それから、冷媒循環、能動熱制御システムをおける冷媒循環ポンプ、それから、HTV-Xの技術を応用したバッテリ組立というものをI-HABとHALOにそれぞれ提供するという計画になっております。
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サクセスクライテリアですけれども、大きく二つありまして、ECLS以外の機器につきましては、定常的に運用される機器ということで、フルサクセスといたしまして、軌道上の初期チェックアウトと、それから、I-HABの初回の有人ミッションで正常に機能することをフルサクセスとしております。
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また、ECLS機器に関しましては、先ほどクルーが30日間滞在すると申し上げましたけれども、それ以外の期間は無人期間となっております。ですので、最初にI-HABが到着して有人期間があった後、その1年後、1年間無人期間が続きまして、この後また30日の有人期間が続きます。ですので、まずミニマムサクセスは最初のときにきちんと機能することですけれども、フルアクセスといたしましては、無人期間を1回経て、さらに2回目の有人滞在のときにもちゃんと動きますという1サイクルをちゃんとこなした上で、データをちゃんと取得して、ちゃんと15年間運用できますねという確認をするところまでをフルサクセスとしておると。
また、エクストラサクセスといたしましては、JAXAが提供するECLSコア技術について、2度目の有人ミッションを含む技術評価を行い、米国など他国のシステムと比較して高効率な能力を実現できる見込みを得ることをエクストラサクセスとしております。
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アウトカム目標といたしましては、まず、ゲートウェイの組立てにおける計画実現への貢献によって、国際協働で実施される有人月探査活動において国際的プレゼンスを示すこと、また、日本人宇宙飛行士の月周回の飛行権力の獲得につなげること。また、基幹技術であるECLSコア技術を確立して、今後の将来の有人探査ミッションを実現する宇宙船やローバに適用されること。
また、ECLS技術や映像関連技術の分野において、これまで宇宙開発の分野に参画しなかった民間事業者が新たに宇宙分野に活動領域を広げて、宇宙産業の裾野を広げたいということがあります。
また、HALO/I-HAB開発において提供したJAXA機器が共通品と認識され、ゲートウェイのモジュールや各国の国際協働の有人宇宙活動に採用される、さらに、サイエンスコミュニティからの参画を促進し、学術的な分野を含め、ゲートウェイの利活用により科学的な知見を広めていき、それからさらに地上に発展するということをアウトカム目標にしております。
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プロジェクト実施体制に関しましては、有人宇宙技術部門の中にプロジェクトチームにおきまして、ここまでISSを開発しているチームや、その他技術的なチーム、探査センターと協力してプロジェクトを進めるということにしております。
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プロジェクト開発計画の実施体制ですけれども、国際協力体制I-HABに関しましては、NASA、ESA、JAXAのそれぞれで役割が分担されておりまして、NASAにつきましては、ゲートウェイ全体のインテグレーション、ESAについてはI-HABのモジュールの受入れ、JAXAに関しましては提供するECLS機器のインテグレーションについて、それぞれの役割分担をすることにしております。
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国内の実施体制でありますけれども、I-HABのECLSに関しましては、インテグレーションの技術につきましては有人宇宙システム、また、インターフェース通信制御装置やシステムソフトウエア、全圧・分圧装置、CO2除去装置、有毒ガス除去装置については三菱重工業、それから、温湿制御装置については川崎重工業、それから、ポンプについてはIHIエアロスペース、バッテリ組立てについては三菱電機、カメラ等については明星電気ということでここに記載されております。主にJEMの技術を応用した成果物につきましては、それぞれJEMで担当していた企業が担当するということにしております。
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資金計画及びスケジュールですけれども、資金計画については、全体で221億円、スケジュールに関しましては、I-HAB ECLSシステムに関しましては2024年度末としておりますけれども、このほかにつきましては2023年度から順次提供としております。HALOについては、先ほど申し上げたとおり2024年の打ち上げ、それからI-HABについては2026年度の打ち上げというスケジュールになっております。
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リスク識別と対応策ですけれども、ここでは、先ほどLUPEXでもありましたけれど、非常にたくさんのリスクがあるのですけれども、ここでは代表的な二つについて見ております。
一つ目が、ECLSシステムリソースのシステムに対するリソース不足と、リソース不足の課題の解消ということで、こちらについては、ペイロードとシステムということでよくある話ですけれども、必要な質量、それから電力等については、システム側が要求するレベルにまだ入り切っていないということで、そこにそごがあるということで、こちらについては今後基本設計審査に向けましてギャップを埋めていくといった対応を考えております。
打ち上げ質量に関しましては、これは有人特有のやり方で、乗り切らないものについては別便で打ち上げて取り付けるといったこともできます。そういったオフロードを考えることでマージンを確保することにしております。
それから、I-HABの二つ目の課題ですけれども、I-HABシステム組立工程上のスケジュールのギャップということで、ECLS、I-HABにつきましては、システム側でつまりECLS機器等が欲しい時期と我々が提供できる時期についてまだギャップがあるということになっております。そのギャップを解消するために、具体的にどういった試験が必要であるとか、どういった地上での組立てをしなければならないかということの詳細を今ESAと詰めておりまして、それを詰めることでスケジュールを短縮するといったアプローチを今取り組んでいるところでございます。
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プロジェクト移行審査の判定といたしましては、ここに書かれております審査項目、目標成功基準や実施体制、資金計画、スケジュール等の評価をしまして、評価結果といたしましては、この下記に書かれた課題を解決することで、要処置事項を確実に処置することを条件にプロジェクト実行段階への移行が妥当と判断されております。
一つ目が、ESA/NASAと調整中の移行スケジュール、リソース配分についてプロジェクトとしてのベースラインを明確にすること。ゲートウェイプログラムの役割、責任、調整スケジュールを示して本プロジェクトとの相関関係を明確にすること、ESA/NASAと合意できていない事項についてプロジェクトの対応策及び実現できない場合のゲートウェイプログラムの対応方針を示すことを条件に審査判定しております。
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この審査のプロセスの中で、外部評価委員の方の評価もいただくことになっております。この評価としては、取り組む意義があるかというところで評価をいただきまして、外部委員の大阪府立大学の北宅センター長と、それから慶応義塾大学の白坂教授から、それぞれ妥当というふうに判断をいただいております。
次のページをお願いします。ここまでが資料の説明となります。途中、すいません、せき込んでしまって申し訳ありませんでしたが、説明は以上になります。御審議よろしくお願いいたします。
【村山部会長】 はい、どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について御意見、御質問がありましたらお願いいたします。挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
それでは、笠原委員、お願いいたします。
【笠原委員】 どうも御説明ありがとうございました。やはり最も気になりますのは、「きぼう」の宇宙実験棟との差分というのでしょうか、今回このECLSシステムということで、CO2除去等のより機密性の高い空間での人間の生存活動に対して非常に重要な機能を獲得するというふうに理解はしたつもりではいるのですが、「きぼう」のときにはそういう技術は全くなくて、それはほかのところに依存していたのでしょうか。つまり今回獲得する技術で真に有人活動に必要な技術を完全に獲得するというふうなイメージを持ったのですが、それが一つと、それから、ちょっとサイズ感が「きぼう」のときに比べまして、やはり月軌道に持っていくというだけあって小さいのではないかなと。全体の居住空間のサイズ感が全然分からなくて、そのあたりが小さくなっているのではないのかなという、そのあたりを教えていただきたいと。
あと、ちょっと気になりましたのは、宇宙飛行士の飛行権獲得という言葉がございまして、これはまだ獲得されていないということでしょうか。
この3点について、すいません、回答のほどお願いいたします。
【辻プロジェクトマネージャ(JAXA)】 御質問ありがとうございます。まず一つ目の御質問につきましては、「きぼう」では、二酸化炭素除去技術、有害ガス除去、全圧・分圧制御といった技術がまずありませんでした。「きぼう」にそういった機能はなくて、今回が初めての開発になります。
【笠原委員】 それは、「きぼう」のときは要するにほかのシステムに、ほかのユニット、ほかの国に依存していたという理解でよろしいですか。
【辻プロジェクトマネージャ(JAXA)】 はい、おっしゃるとおりです。NASA側、米国側とロシア側のシステムに依存しておりました。
【笠原委員】 承知いたしました。
【辻プロジェクトマネージャ(JAXA)】 二つ目につきまして、モジュールの大きさですね。ISSは直径4メーターぐらいで、I-HABにつきましては3メーター幅というようなサイズになります。一回り小さいモジュールになっておりまして、その分、二酸化炭素の上がり方がピーキーといいますか、中でクルーが活動したりいたしますと、より早く二酸化炭素がぐっと上っていくということになりまして、そうすると、それだけステーションの二酸化炭素除去装置よりもより高い処理能力が求められますので、そちらが大きな違いということになります。
すいません、三つ目の御質問については文科省から回答をお願いします。
【国分室長】 文科省の宇宙利用推進室長の国分ですけれども、私からお答えしたほうがいいかなと思いますのでお答えしますが、聞こえていますでしょうか。
【村山部会長】 はい、聞こえています。はい。
【国分室長】 日本人宇宙飛行士の搭乗権は獲得されていないのかという御質問だと思いますが、おととしの12月31日に、日本と米国との間でゲートウェイのMOU――覚書を結んでおります。この中では、日本人の搭乗権として、クルーオポチュニティーズを米国は日本に提供するというふうに書かれておりまして、そういった意味では提供を受けること自体は決まっているのですけども、それではいつどのタイミングで、みたいなことは決まっていないので、そこはこれからさらに細かい約束の中で決めていく必要があるといった状況ですので、直接的な御質問への答えといった意味では、複数名いつか行くことは決まっていますということになります。以上です。
【笠原委員】 どうもありがとうございました。理解いたしました。また、空調システムに関しましても、地球近傍よりもより重要なシステムとして開発されているということを理解しました。本当にどうもありがとうございます。以上です。
【村山部会長】 はい、ありがとうございます。
続きまして、大西委員お願いいたします。
【大西委員】 JAXAの大西です。委員としての立場で御質問させてください。
「きぼう」との差分という観点で私もお聞きしたいですけれども、「きぼう」で培った知見がこのI-HABでも生かされるということで期待している一方、「きぼう」と違うのかなと思うのは、恐らく宇宙飛行士が滞在する期間が短期間になることから、無人の期間というのは、恐らくこの環境制御機器というのは一旦遮断するという運用になるのではないかなと思います。であれば、長期間遮断して、またそれを再起動して、その後また長期間遮断するという、通常と、今ISSでやっている運用とは異なる運用になってきますので、そういった運用が流体を扱う環境制御機器にどういった影響を及ぼすかというのは、例えば今後「きぼう」を用いてテストを予定されているとか、既にJAXAとして十分な知見を持っているということでしょうか。何らかの対策がなされているでしょうか。
【辻プロジェクトマネージャ(JAXA)】 「きぼう」の知見でございますけれども、例えば濃集制御装置から出る凝縮水とかがあるのですけれども、それが長時間軌道上で保持されることでどれぐらいの汚れが出るのか、そういったどれぐらい汚れが出ているかというのは「きぼう」である程度データとかが得られていますので、そういったことを踏まえて、ゲートウェイで遮断した期間にどういった対応するか、そういったことを交えての知見を踏まえて検討するといったことをしているところでございます。
【大西委員】 分かりました。私も専門家ではないですけれど、ISSで滞在した経験からすると、ずっと流体が回っているものと、一旦流体が停止している状態というのは、結構、何と言いますか、いろんな観点で違いが出てくるのではないかなという、組織のそのあたりしっかり評価していただければと思います。ありがとうございます。
【村山部会長】 はい、どうもありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。いいでしょうか。ほかの方いかがでしょうか。
(「なし」の声あり)
【村山部会長】 それでは、ほかに御意見がないようですので、これまでの審議を踏まえまして、資料67-1についてJAXAの評価どおりということでいいでしょうか。御異議はありませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【村山部会長】 それでは、御異論はないようですので、決定といたします。ありがとうございました。
それでは、次の議題に移りたいと思います。
次は報告事項です。
三つ目の議題が、衛星リモートセンシングの開発・利用に関わる産学官のコンソーシアム設立についてで、これは先ほど言いましたように報告案件です。
それでは、JAXA第一宇宙技術部門の寺田理事、お願いいたします。
【寺田理事(JAXA)】 今御紹介いただきました衛星リモートセンシングの開発・利用に携わる産学官のコンソーシアムの設立について御報告させていただきます。
このコンソーシアムの設立に向けまして、資料のクレジットにあります地球観測衛星コンソーシアム準備委員会を設置いたしまして、コンソーシアムの骨格に関わる基本的な部分や、コンソーシアムでの主要論点、進め方など、現在議論を進めているところでございます。その事務局をJAXAの第一技術部門が務めておりますので、本日はJAXAの平林より御報告させていただきます。
次のページをお願いいたします。
【平林統括(JAXA)】 では、まず初めに経緯について御報告いたします。
新たな宇宙基本計画におきまして構築することとなりました衛生開発・実証プラットフォームの戦略検討の場といたしまして、衛星開発・実証小委員会が設置され、民生用衛星の開発・実証に関わる具体的な戦略議論が行われることとなりました。
この議論に向けまして、産学官の多様なステークホルダーと衛星地球観測に関わる戦略案を検討し、提案する必要があると認識しているところでございます。
そうした中、本年2月の当小委員会におきまして、JAXAより地球観測分野における技術開発と将来展開を御報告させていただきました。その中で、併せまして日本の総合的な地球観測の推進に向けた取組といたしましてコンソーシアムの形成・議論の必要性について報告申し上げました。
そして、本年3月に、このコンソーシアム設立を目指した地球観測衛星コンソーシアム準備委員会を立ち上げました。座長として、笹川平和財団理事長の角南先生にお願いをしているところでございまして、事務局はJAXAが務めております。
また、本年5月の宇宙基本計画工程表重点事項の具体的取組といたしまして、衛星リモートセンシングの開発・利用に携わる産学官の関係企業・機関や有識者等が広く参加するコンソーシアムを立ち上げ、当分野における全体推進戦略案の検討や産学連携の取組等を促進する場の形成を図る旨が記載されたところでございます。
それで、このコンソーシアムにつきましては、本年9月の設立を目指して今進めているところでございます。
次のページお願いいたします。
次に、地球観測衛星を取り巻く環境変化と、それを踏まえた上でのコンソーシアムの設立趣旨、目的について説明させていただきます。
地球観測につきましては、従来から、気候変動対策、国土強靱化、安全保障等の基盤の一部を構成してきているところでございますが、一方で、新たな変化といたしまして、宇宙産業につきましては、官主導から官民連携の時代を迎えているということでございます。
また、さらなるデジタル化、Society5.0、スマートシティー、AI技術発展等に呼応いたしまして、ビッグデータとしての衛星データのICT分野の飛躍的な活用等が期待されているところでございます。
このような社会課題、産業変化などを踏まえつつ、既存ユーザーと潜在ユーザーとともに地球観測衛星の将来戦略を総合的に議論し、宇宙産業にとどまらない衛星利用の拡大を目指す機運が高まってきているところでございます。
このような環境変化を踏まえまして、コンソーシアムを設立し、産学官の議論を通じまして、これから20年から30年先の日本社会を見据えた地球観測衛星の全体戦略に関わる提言を策定するとともに、宇宙・非宇宙分野での衛星開発データ利用に関わる共創を推進していきたいと考えております。
このコンソーシアムにおきまして特に議論するスコープといたしまして5点書かせていただきましたけれども、まず、目指すべき将来像、社会実装に当たっての課題と対策、新規ビジネス創出・産業基盤維持の課題と対策、開発実証・基盤研究の在り方、そして総合的観測プログラムの在り方などでございます。
このコンソーシアムにつきましては、産学官が参加する地球観測分野の国内初のコミュニティでありまして、また、国内最大のコミュニティを目指していきたいと考えております。
新たな非宇宙産業といたしましては、ESG投資ですとか、インフラ監視、保険などが考えられるところでございます。
このコンソーシアムにおきましては、総合的な提言を策定・発信し、多様なステークホルダーとともに地球観測衛星による社会への貢献を飛躍的に拡大させていくことを目的としています。
次のページお願いいたします。
このスライドでは、現在運用中の地球観測衛星とそのデータ利用分野について示したものとなります。
気象庁のひまわり、経産省のハイパースペクトルセンサHISUI、それからアスナロ、また、JAXAの陸域観測技術衛星2号ALOS-2をはじめとする地球観測衛星群に加えまして、右上のほうに青い色で示しておりますように、民間事業者による小型衛星コンステレーションも構築されつつあるところでございます。
また、その利用分野といたしまして、下のほうにございますように、気象予報、災害対策、国土強靱化、農林水産業等々様々な分野で利用され、また、利用者といたしましても、府省庁、地方自治体に加えて、サイエンスコミュニティ、民間事業者といったところが利用を進めていただいているところでございます。
次のページをお願いいたします。
ここからコンソーシアムについて御説明いたします。
目的としましては、先ほど申し上げましたように、産学官が主体となって社会実装、競争力の強化に向けた観測分野の全体戦略に関わる提言を検討し、衛星開発・実証を及びデータ利用に関わる共創並びに新規参入の促進に取り組むことでございます。
コンソーシアムの構成といたしましては、この下の図のほうに書いていますように、最高機関である総会に加えまして、コンソーシアムの運営や総会の企画等を行う幹事会、また、特定のテーマや論点により設置いたします分科会、ワーキンググループなどから構成されまして、JAXAが事務局を担います。
次のページをお願いいたします。
これは御参考までに地球観測に関わるステークホルダーの相関を示したものでございまして、上半分の点線で示したところが地球観測衛星のインフラの構築に関わるステークホルダーでございまして、左側から、衛星開発メーカーやコンステレーションのベンチャー、それへの投資家、金融機関、また、中ほどにありますように、JAXAをはじめとする国の研究開発機関、さらに右側にありますように、学術界の衛生技術の研究者など、また、下半分が衛星観測データの利用に関わるステークホルダーでございまして、データプラットフォーマー、ソリューションの提案事業者、利用省庁、それから地球科学の科学者といったように多岐にわたるステークホルダーが存在しておりまして、これら産学官のステークホルダーの参画を得ながらコンソーシアムを運営していきたいと考えております。
次のページお願いいたします。
次に、コンソーシアムの活動といたしましては、大きく2点挙げてございます。
まず、全体戦略に関する提言等の検討ということで、様々な動向ですとか、将来利用ニーズ、研究開発ニーズを踏まえた上で、産学官の適切な役割分担の下、基盤技術の研究開発、衛星開発・実証、社会実装・利用拡大等に取り組むための主要な課題を抽出するとともに、全体戦略案の提言の取りまとめ、各課題に対する具体的取組等について議論を行ってまいります。
具体的には二つのアプローチで考えておりまして、まず、課題を識別した上で深掘り議論をしていきたいと思っています。その主要論点については後ほど御説明いたします。また、ニーズ・シーズ・体制等幅広い分析に基づいて全体戦略を検討していきたいと考えております。
また、二つ目の柱といたしましては、産学官連携推進のための取組といたしまして、新規プレーヤーの参入促進、利用促進のための取組の推進や紹介、それから、産学官共創プログラムの推進、その他産学官のプレーヤー主体の取組との連携などを考えております。
次のページをお願いいたします。
コンソーシアムでの主要な論点として今取りまとめているものをここで御紹介させていただきます。
大きく五つほどに分かれますけれども、まず1点目、目指すべき将来像・観測区分を推進すべき理由ということで、バックキャスト、あるいはフォアキャスト的なアプローチで、目指すべき社会像ですとか、衛星観測により想定される意義・価値、また、我が国の衛星観測分野の産学官のエコシステムの姿としてどうあるべきか、というのが1点目。
それから2点目といたしまして、社会実装・利用拡大における課題と対策ということで、社会実装・利用拡大における課題の識別と深掘りということで、なぜできないのか、どうしたらできるようになるのかといったような議論の深掘り、それから、現状の施策をマッピングした上で強化すべき施策の識別、また、防災・国土強靱化等に貢献する官民学連携に基づく光学・合成開口レーダ観測システムの社会実装の在り方について議論を深めてきたと考えております。
3点目、新規ビジネス創出・社会基盤維持のための課題対策ということで、目指すべき将来像実現に向けた課題と対策、あるいはビジネス創出・利用拡大における課題の識別、深掘り、さらにはグローバル事業展開支援、ベンチャー支援、新規ビジネス創出支援、それから自立性等のために強化すべき技術の識別、それから産業基盤維持のための課題と対策等について議論をしていきたいと考えております。
それから、4点目として、衛星開発実証・基礎研究の在り方、衛星のベストミックスということで、重点分野の識別、それから選択と集中、産業界ニーズの取り込みなど、また、官民学の役割分担、あるいは官民学の連携ミッション、それから従来ミッションの継続性と未来を見据えた新規ミッションの創出のバランスの在り方、この際には海外とのベンチマーク、日本の強みの生かし方なども併せて検討していきたいと考えております。
それから、5点目といたしまして、戦略的・総合的な観測プログラムの在り方ということで、予見性・継続性を確保するための仕組み、重点推進分野、人材育成の在り方、プログラムとしての事業推進の在り方などを論点として議論していきたいと思っております。
次のページお願いいたします。
それで、この準備委員会につきまして、どういうメンバーで行っているかというところでございますが、座長につきましては笹川平和財団の角南先生に担っていただいているところでございます。また、副座長につきましては東京大学の高薮先生、それから、委員につきましては、御紹介は時間の都合もありますので割愛させていただきますけども、ここに書いているような各分野の有識者の方々に参加いただいております。
次のページをお願いいたします。
最後に、コンソーシアムに関わります今年度のスケジュール、活動計画を簡単に紹介させます。
まずは総会につきましては、9月7日に開催いたしまして、会長、副会長等の選出や規約など基本的な枠組みを決定する第1部と、一般にもオープンな形で開催する第2部から構成されます。
第2部では、産学官のそれぞれ基調講演をしていただいた上で、コンソーシアムへの期待などに関わる発表をしていただく予定でございます。
また、9月から12月にかけて、ワーキンググループ、分科会の活動を進めつつ、第2回総会を12月目途で行いまして、3月に第3回の総会でもって全体戦略に関わる最終案の合意、それから、来年度の活動計画案の提示などを行っていきたいと考えております。
説明は以上でございます。
【村山部会長】 はい、どうもありがとうございます。
ただいまの御説明について、御意見、御質問があればお願いいたします。
それじゃ、山崎委員、お願いいたします。
【山崎委員】 はい、やはり今まで、これまで実証実験はたくさん行われてきている中で、それをいかに社会に実装させていくかというのが大切なフェーズだと思っています。ですので、こうしたコンソーシアムをつくるとともに、ぜひ何が壁になっているのかという、アジェンダにも書かれていたとおり、ぜひ識別していただいて、これはたくさんの恐らくステークホルダーの方々と解決していかないといけないと思うのですね。行政側でも何か規制が壁になっていることもあるかもしれないですし、ですので、ぜひこれを一つのまとめた提言という形にしていただければと思うのですけれども、このコンソーシアムの中にはいわゆる利用省庁などのような官公庁の方も入られていく予定でしょうか。
【村山部会長】 その点いかがでしょうか。
【平林統括(JAXA)】 御質問ありがとうございます。また、コメントありがとうございます。
ユーザー省庁につきましては、オブザーバーという形でこのコンソーシアムの総会等に御参加いただきたいと思っております。
また、具体的な個別のテーマにつきましては、ワーキンググループ、それから分科会というのを設置いたしますので、そういった中でも参加いただいて、利用する側からの観点で御意見をいただければと思っております。
【山崎委員】 はい、承知いたしました。オブザーバーで参加いただけるということで、かつ、できるだけ、そうですね、オブザーバーを超えた主体的な関係づくりができることに期待しております。よろしくお願いいたします。
【村山部会長】 はい、ありがとうございます。ほかの方があれば、いかがでしょうか。
それでは、その間に私から一つ質問させていただきます。
これは極めて重要なコンソーシアムで、今までなかったのが不思議なくらいだと思うのですよね。それで、ここで提言を書かれるということですけれども、その提言書きっ放しだとまずいので、それをJAXAのほうで、あるいはほかのところも含めてですけれども、どういうふうに受け止めて実現するかというのが鍵になると思うのですけれども、JAXAの中ではこのコンソーシアムをどういう位置づけで、その提言案をどういうふうに生かしていくというふうになっているのでしょうか。そのあたりお聞かせいただければと思います。
【平林統括(JAXA)】 まず、このコンソーシアムにつきましては、JAXAだけで構成されるものではなくて、産学官のステークホルダーから構成されるものでございまして、そこで取りまとめました提言につきましては、実証小委等に提言としてインプットさせていただければと思っております。その上で、小委のほうで決定されたことを今度JAXAの地球観測のシナリオのほうに、あるいは計画のほうに具体的にフィードバックをかけていきたいと考えているところでございます。
【村山部会長】 はい、ありがとうございます。できるだけ提言を生かせる方向というのは道筋をつけてやっていただければと思います。
【平林統括(JAXA)】 はい、承知いたしました。
【村山部会長】 それでは、この間にもしもほかの方で何か質問があれば、いかがでしょうか、せっかくの機会ですので。
それでは、鈴木委員お願いいたします。
【鈴木委員】 それでは、そうですね、コンソーシアムの目標の中で、定量的な新規のメンバーの数だとか、あと、アウトプットの頻度といったもので進捗を図れるような指標とかがあれば、ぜひ教えていただければなと思います。
【平林統括(JAXA)】 御質問ありがとうございます。そういったようないわゆるKPIといいましょうか、指標みたいなところまで設定するところまでは現状至っていないのが実情でございまして、まずは地球観測衛星をより社会に実装していくために、どういったところに課題、壁があるのだろうか、それを乗り越えていくためにはどういうことをして、どういう姿でそれを実現していったらいいのかといったところの、まずはそういったところの議論から進めていった上で戦略案をまとめて提言として衛星開発実証小委等にインプットさせていただければと思っておりまして、今御指摘いただいたようなKPI等の設定までは現状至っていないというところでございます。
【鈴木委員】 そうですね、まさに参加される人も、どの場にどんなものを持っていくか、みたいな、かっちり決まったものではなくても、具体的なイメージでも共有されていると、それに沿って動きやすいみたいな側面もあるかなと思うので、今後の活動の中でということになるかもしれないですけれども、ぜひ御検討いただければなと思います。ありがとうございます。
【村山部会長】 はい、ありがとうございます。それでは、米澤委員お願いいたします。
【米澤委員】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
【村山部会長】 大丈夫です。はい。
【米澤委員】 すいません、失礼します。
イメージをもう少し持ちたいので、以下教えていただきたいのですけれども、まず、国内最大のということですが、規模感はどの程度を想定されているのかということと、あと分科会を準備されているということですけれども、どのような分科会を想定されているのか。あと、期間は永続的なものになるのか、それとも時限的なものになるのかというあたりも教えていただければ幸いです。お願いいたします。
【平林統括(JAXA)】 まず、数については、カウントの仕方はいろいろとございますけれども、団体の数としては、まずは50とか100とか、その辺からスタートしながら、さらに数を広げていきたいと思っております。
また、個人の研究者についても、個人という形で参画できるような仕組みも併せて設けたいと思っておりまして、そういった方々を含めて、団体で入る方、それから個人で入る方含めて、大きなコミュニティにしていきたいと考えております。
それから、時限的かどうかということでございますけれども、全体戦略として提言をまとめていくわけでございますけれども、様々な環境の変化に応じて、毎年ということではないとは思うんですけれども、定期的にこれはアップデートが必要だと思っておりますので、時限的なものというよりは、できるだけ継続するような形で運営をしたいと考えております。
それから、ワーキンググループの構成について、でございますけれども、今現在は三つほどワーキンググループ、分科会というのを設置することを考えてございます。
一つは社会実装に関わる分科会、それから、産業競争力に関わるワーキンググループ、それから光学衛星・SAR衛星に関わるワーキンググループの三つを現在考えております。
【米澤委員】 すいません、ありがとうございます。民間からも大きな期待が寄せられると思いますので、すごく期待しているところです。よろしくお願いいたします。
【村山部会長】 どうもありがとうございました。
ほかいかがでしょうか。大体これで手が挙がっていませんので、いいでしょうか。
(「なし」の声あり)
【村山部会長】 それでは、本件はこれで終わりまして、議事も本日の議事はこれで終了となります。
それでは、最後に事務局から連絡事項があればお願いいたします。
【木元補佐(事務局)】 はい、事務局です。
本日の会議資料と議事録の公開について申し上げます。
宇宙開発利用部会の運営規則に基づきまして、本日の会議資料は既に本文部科学省のホームページに掲載させていただいております。
また、議事録についても公開となりますので、後ほど委員の皆様に御確認いただいた後、文部科学省のホームページに掲載させていただきますのでよろしくお願いいたします。
事務連絡としては以上です。
【村山部会長】 はい、どうもありがとうございます。
それでは、以上をもちまして閉会といたします。長時間にわたる御審議、誠にありがとうございました。
―― 了 ――
研究開発局宇宙開発利用課