宇宙開発利用部会(第60回) 議事録

1.日時

令和3年2月9日(火曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 国際宇宙ステーション(ISS)に提供するISS構成要素及び搭載物の安全性確認について【審議事項】
  2. ISSを含む地球低軌道活動の在り方について【審議事項】
  3. 令和3年度文部科学省宇宙関係予算案について【報告事項】
  4. 国際宇宙探査やISSを含む地球低軌道を巡る最近の動向について【報告事項】
  5. 新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)の開発状況について【報告事項】
  6. 小惑星探査機「はやぶさ2」の現状報告【報告事項】
  7. その他

4.出席者

委員

部会長 角南 篤
部会長代理 青木 節子
臨時委員 井川 陽次郎
臨時委員 大西 卓哉
臨時委員 芝井 広
臨時委員 白井 恭一
臨時委員 鈴木 健吾
臨時委員 髙橋 德行
臨時委員 高薮 縁
臨時委員 鶴岡 路人
臨時委員 永原 裕子
臨時委員 林田 佐智子
専門委員 藤井 良一
臨時委員 松尾 亜紀子
臨時委員 村山 裕三
臨時委員 横山 広美
臨時委員 米本 浩一

文部科学省

研究開発局長 生川 浩史
大臣官房審議官 長野 裕子
研究開発局宇宙開発利用課長 福井 俊英
研究開発局宇宙利用推進室長 国分 政秀
研究開発局宇宙開発利用課企画官 笠谷 圭吾
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 渡邊 真人
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 岡屋 俊一
 
(説明者)
調査・安全小委員会
 主査 木村 真一
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 理事 佐々木 宏
 理事 國中 均
 有人宇宙技術部門 新型宇宙ステーション補給機プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 伊藤 徳政

5.議事録

【角南部会長】それでは、事務局から、本日の会議に関する事務の確認をお願いいたします。
 
【笠谷企画官(事務局)】事務局です。
 本日は、宇宙開発利用部会に御所属いただいている18名の委員のうち17名の委員に御出席いただいております。運営規則に定める定足数の要件を満足しております。よって、本日の会議は成立していることを御報告いたします。
 次に、本日の資料ですが、事前送付の議事次第のとおりです。
 オンライン状況について、音声がつながらない等の問題等がございましたら、事務局へメール、電話等で御連絡ください。オンラインシステムの運用上の注意事項等は、事前送付いたしました運用の手引きを御参照ください。
 本日の議題は6件あります。最初の2件は審議事項で、他の4件は報告事項となっております。
 事務連絡は以上でございます。
 
【角南部会長】ありがとうございます。
 それでは、最初の議題でございます。国際宇宙ステーション(ISS)に提供するISS構成要素及び搭載物の安全性確認についてです。調査・安全小委員会において、軌道上の装填型の小型衛星放出機能、J-SSOD-Rに関わる安全審査について調査、審査が行われましたので、小委員会の木村主査から御報告をお願いいたします。木村先生、どうぞお願いします。
 
【木村主査(調査・安全小委員会)】ありがとうございます。調査・安全小委員会の木村でございます。
 それでは、小委員会での検討結果について御報告させていただきます。
 資料は、資料60-1-1、それから60-1-1の付録1及び2ですね。それから60-1-2と4つございます。
 まず、資料60-1-1を御覧いただきたいと思います。調査審議の概要、それから調査審議の方法ですね。この辺りについてまとめております。この点は定型的で、従前と対象は変わっているのですけれども、形式として同じですので割愛させていただきまして、具体的な審議内容の方に入りたいと思います。
 審議の結果ですけれども、これは説明させていただく前に、まず付録1、2と、こちらの方を使いまして、今回対象となっております機器の概要について、ちょっと説明をさせていただきます。
 まず、付録1の1ページを御覧ください。
 今回の対象となっておりますのが、軌道上装填型小型衛星放出機構でございます。この概要が記されているわけなのですけれども、略称、通称でJ-SSOD-Rというふうに呼ばせていただきます。これまでも軌道上での小型衛星放出、成功をずっとしてきまして実績があるわけなのですけれども、これの機能向上ということと、それから軌道上での再装填ということが今回の変更点になります。
 まず、放出の機能向上という意味では、従来、キューブサットの放出なのですけれども、いわゆる10センチメートル立方のユニットを1Uとカウントしまして、それを3倍、3個連ねた3Uが限界だったのですけれども、今回6Uまで拡張されました。いわゆる1Uのユニットが6個、直列に入るということですね。それから、1回での船外活動、放出機構を船外に出して放出できる量も、これが従前は12Uであったところを最大48Uと、これは6Uの8本分という意味なのですけれども、放出が可能になっています。
 これがあと、今回、再利用というところ、装填型と入っているのは、J-SSOD-Rと付いているところが今回のもう一つの重要なポイントなのですけれども、これまでは放出機構の方は、装填した状態で軌道上に打ち上げられまして、放出後に使い捨てでした。放出が終わったコンテナの方は大気圏に突入させて燃やしておりました。今回は、ここを軌道上で再装填する。再装填して、再度小型衛星を詰めた衛星ケースのみを打ち上げて、軌道上での衛星放出ケースに装填するというような運用に変更しています。装填したものをロボットアームにて実験プラットフォームを把持して衛星を放出すると、ここの部分の操作は同じになります。
 続きまして、2ページ目を御覧いただきますでしょうか。これが衛星放出の仕組みが記載されています。これは実際、これまで実績のある仕組みでございます。
 続きまして3ページ目ですね。こちらが今回の構造を示しているのですけれども、放出される衛星は、衛星打ち上げケースに装填された状態で軌道上まで運ばれます。一番左の図で、打ち上げケースという方に入っている状態ですね。放出ケースというのは、これは軌道上に存在する。今回、最初については放出ケースも一緒に打ち上がるのですけれども、以降の運用としては、これが軌道上に残って、そこの中に打ち上げケースから移動するというようなプロセスになります。
 この打ち上げケースの放出ケースの固定、移行の仕方なのですけれども、打ち上げケースを放出ケースに固定して、打ち上げケースのバックルを外してベルトを引っ張る。この間、衛星はフリーな動きはしないで、テンションの掛かった状態で放出ケースの方に誘導されるという仕組みでございます。移設後、ロックドアを閉めて、衛星打ち上げケースのみ取り出しまして、4ページ目では打ち上げケースのみ取り外すと、そういう仕組みになっております。
 4ページ目は、この一連の流れを運用シナリオとしてまとめたものでございます。このような形になります。
 これ、概要を御説明した上で、付録2の方に移っていただきまして、こちらが、これまでのJAXAでの安全審査が記録されております。これに対して1月27日に調査・安全小委員会にて審議いたしました。
 こちらの書類の5ページ目に、FTAが使用したハザード識別の結果が記載されております。搭乗員、又はISS機能喪失、カタストロフィックハザード及び搭乗員の負傷、クリティカルハザードに至るハザード識別を行って、14件のハザードレポートを起草されました。その結果、7ページ目に記載されています9件の標準ハザード、これ、検証結果ですけれども、8ページから11ページまでに、それから5件のユニークハザード、これに対する検証結果が12ページから21ページまで記載されております。
 これに関しまして、今回のユニークハザードという意味でいいますと、意図しない衛星分離ですね。例えば例でいきますと、J-SSOD-R-02というのが記載されておりますけれども、ここの資料を基にして議論をしながら、結論としては、全ての検証結果が妥当であるというふうに判断できました。
 22ページから28ページまでは、基本指針に対する適合性評価結果が記載されております。詳細は付票5に記載されていますが、非常に細かいので、この個々の説明については省略させていただきます。特に後で、ちょっと毎回戻りますけれども、資料の方で60-1-2。調査審議のところのポイントというところに議論の概要を記させていただいているのですけれども、今回、委員会の方でやはり話題になりましたのが、能力増強という、そのものというよりは、どちらかというと再装填というオペレーションが入るというところに、やはり委員の方の関心がありまして、そこについて、特に最後のところに記しておきましたけれども、再装填時のヒューマンファクターであるとか、低重力作業に対するリスク、それから再装填による放出精度とか、この辺のやり取り、繰り返し使用に対する放出装置が変化しないか、あるいは、これ、固体潤滑を使っておりますので、繰り返し使用に対するリスク、この辺りも委員の方からメンションがありましたし、あと、船内で保管することに伴う船内への影響、こういったことが特に懸念されます。
 これはそれぞれについて解析、若しくは試験によって全てカバーされているということが確認できまして、結論といたしまして、各フェーズにおけるJAXAの安全審査において、ハザード識別、制御方法の設定、検証結果の審査、安全解析の適切な実施といった安全審査のプロセスが適切であるということ、また、安全対策は、基本指針に定めた各要件を満たしているということから、調査審議の結果、JAXAが実施した軌道上装填型小型放出機構、J-SSOD-Rに関する安全審査の方法や結果は妥当であると、小委員会としては評価いたします。
 以上から、JAXAが実施した安全審査のプロセスの考え方が適切に機能していると判断するということが、小委員会における結論でございます。
 先ほど申し上げましたが、この辺りの内容については、概略ですけれども、資料60-1-2の調査審議のポイントとしてまとめております。
 小委員会の方からの報告は以上でございます。
【角南部会長】ありがとうございます。
 それでは、ただ今の御報告について、御意見、御質問があればお願いいたします。前回同様、挙手のマークをぷちっと押していただければと思います。よろしくお願いします。
 青木先生、挙げていますか。青木先生、よろしくお願いします。
 
【青木部会長代理】ありがとうございます。
 これまで、2002年からJ-SSODをずっと使ってきたと思うのですけれども、J-SSODの使用において、今のお話ですと、J-SSOD自体はずっと同じものを使っていたと思うのですが、それで何らかの不具合があったということはあるのでしょうか。
 
【木村主査(調査・安全小委員会)】委員会の方でも、これまででトラブル等ないか、あるいは問題等ないかということは確認させていただきまして、これまでは特に問題は発生していないというふうに確認しております。
 
【青木部会長代理】ありがとうございます。
 そして、すみません。もしお分かりでしたら、ナノラックスの方のキューブサット・デプロイヤーも使われていると思うのですけれども、この上に乗せられて。そちらの方との問題も一切、ちょっと今回の審査とは関係ないと思いますけれども、そういうことは報告されていないというふうに考えてよろしいのでしょうか。
 
【木村主査(調査・安全小委員会)】私の方で把握している限りではないと理解しているのですけれども、JAXAさん、どうですか。そこ、補足いただけますか。
 
【白井室長(JAXA)】JAXAの白井と申します。よろしくお願いします。
 そうですね。ナノラックス社の方は、実は初期の頃に幾つか不具合がございまして、実際、同じようにこの「きぼう」のロボットアームを使って放出したりするケースがあったのですが、初期の頃に少し不具合というのが発生しておりまして、一部衛星が放出しないといった不具合が実際ありました。
 
【青木部会長代理】フレックスコンステレーションというものについてでしょうか。
 
【白井室長(JAXA)】すみません、ちょっとそこは。
 
【青木部会長代理】いいえ、すみません。これはこの件に関係ありませんから結構です。幾つか、衛星が放出できずに地球に持ち帰ったものもあったり、他のところから出したものがあったりというふうにも、やり直したということも、打ち上げ記録を調べたときにございました。分かりました。結構です。すみません。ありがとうございました。
 
【角南部会長】よろしいでしょうか。
 
【青木部会長代理】はい、ありがとうございます。
 
【角南部会長】すみません。
 他に委員の方、ございますでしょうか。よろしいですかね。
 それでは、審議事項ということで、これまでの審議を踏まえまして、資料60-1-1について、小委員会からの御提案どおり決定するということでよろしいでしょうか。
 特に御異議がないようですので、決定といたします。ありがとうございました。
 
【木村主査(調査・安全小委員会)】ありがとうございました。
 
【角南部会長】ありがとうございました。
 それでは、次の話題へ進めます。議題(2)ですが、ISSを含む地球低軌道活動の在り方についてです。
 こちらも、国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会においてISSを含む地球低軌道活動の在り方について審議されましたので、その内容について事務局から御報告をお願いいたします。
 
【国分室長(事務局))宇宙利用推進室の国分と申します。よろしくお願いいたします。
 前回、この利用部会で御説明差し上げた後に、また小委員会で継続して審議を続けて、この中間取りまとめ(案)というところまで作ったのですけれども、結果的に、前回利用部会で御説明した11月の段階から、本質的に大きく変わったところはございません。ですので、改めての御説明にはなりますが、なるべく簡単かつ丁寧に御説明しようと思います。
 まず「はじめに」のところでございますように、この中間取りまとめに当たりまして、1つ目の丸ですけれども、2025年以降の国際宇宙ステーションを含む地球低軌道活動について、各国の検討状況も注視しつつ、具体的に検討を進めるということが新しい宇宙基本計画の中で示されております。ただ、これを踏まえましても、現時点ではまだISS計画の参加している5極の間でISS運用延長に関する方針が決定されていない状況ですので、今回、中間取りまとめに当たっては、今後の意思決定に当たって検証すべき項目の整理というところまでとさせていただいております。
 中の1ポツにございますとおり、ちょっと背景といいますか、経緯をここに記載、まとめてありますが、2021年以降、2024年までの延長については、2015年当時に日本として延長を決定したというのが1つ目の丸です。
 2つ目において、その後、ISSは、費用対効果の向上と、それから利用の促進と、これを両立させるべく進めていく一方で、新たに国際宇宙探査における有人活動を推進するプラットフォームとしての役割というのを、これまで担ってきたところでございます。
 また、一昨年10月に、我が国はアルテミス計画に参画するということを政府として決定いたしまして、昨年の夏には文部科学大臣とNASAの当時長官との間で共同宣言に署名し、さらにその具体的な協力を進めているという状況でございます。
 それから、このような状況を踏まえまして、昨年6月に改訂された新たな中期基本計画において、次のページにありますとおり、ISSを含む地球低軌道における我が国の2025年以降の活動について、各国の検討状況も注視しつつ、その在り方について検討を進め、必要な処置を講じるようにということが示されております。
 2ポツですけれども、このような状況の中、アルテミス計画を踏まえて、先ほど簡単に申し上げましたが、ISSの新たな方向性といたしまして3つ例示させていただいていますが、ISECGという宇宙機関間の協働グループにおいても、それから、米国における政策ペーパー、前政権のものではございますが、においても、そして我が国の宇宙基本計画においても、それぞれISSというのを更なる国際宇宙探査の技術実証の場として位置付けるということが強調されてきているところですという御紹介が2ポツでございます。
 それから、次のページの3ポツになりますが、こちらでは、ISSのこれまでの活動と成果の総括、それから2024年までの今後の取組といったことをまとめてございます。冒頭にあります部分で御説明しますが、2015年頃の状況と、それから2020年、現在の状況を比較した場合に、国際宇宙探査で必要となる技術の実証の場としての活用、それから利用の拡大といった、それぞれについて大きな進展が見られております。また、残りのISS運用期間、2024年までの運用期間を通じて、更なる進展が計画されております。
 「一方で」といたしまして、これらの活動は、「きぼう」が飽くまで国やJAXAによって運用されていることが前提となっており、ポストISSを見据えた民間事業者の参画拡大に向けた取組が始まっているものの、制度面の整備を含め、今後も中長期的な取組が必要であるというふうにしております。
 その中身が(1)、(2)、(3)として、(1)は深宇宙探査技術の獲得・蓄積状況、それから、(2)として「きぼう」利用の拡大状況ですとか、(3)において民間事業者の参画拡大に向けた取組状況と、これらを具体的にまとめさせていただいているところです。こちら、ちょっと割愛させていただきます。
 また、4ポツのところでございますが、将来のISSを含む地球低軌道の利用ニーズ及び期待といたしまして、今後の地球低軌道活動において、ISSの寿命を踏まえた国際的な協力枠組みの展開ですとか輸送等の技術の進展などに関して、将来的な見通しが必ずしも明らかではないのですが、宇宙基本計画に基づく方向性を踏まえ、現段階で想定される利用ニーズや期待は、以下のように考えられるといたしまして、まず、2040年の地球低軌道における活動の姿としては、深宇宙探査等に向けた持続可能な研究開発基盤として宇宙環境利用が定着していること、そして、有人宇宙滞在の場として多様な宇宙活動の進展が図られていることが想定されるのではないか。また、これに向けた地球低軌道の活動においては、3つ、国際宇宙探査活動に寄与する技術の実証の場、2つ目は社会的課題解決ですとか知の創造・人材育成等につながる継続的な成果の創出の場、そして3つ目といたしまして、民間による商業利用の場と、こういった3つが持続的な形で整備されていくことが考えられる。これらの3つの場に対する具体的なニーズや期待としては、以下が挙げられるとして、それぞれ具体的なニーズや期待、これは産業界等にもヒアリングして、こういった期待があるということを確認した次第でございます。
 また、5ポツにおきまして、これらを踏まえまして、では、将来のISSを含む地球低軌道における活動の在り方を、今後検討していくに当たってということで5ポツをまとめさせていただいています。
 先ほど申し上げましたとおり、まだ他の国でもISSの運用延長を決めていないという状況もありますので、飽くまで今後、そういった他国の状況も見ながら、2025年以降のISSの運用延長可否を判断していくに当たってはということで、次のページにありますように、次のページの下、6ページの下の方ですけれども、可否判断に当たって必要な検証項目をまとめさせていただいています。
 1つ目といたしまして、国際宇宙探査を見据えた地球低軌道活動のビジョンが明確に設定できていること。この際、ISSの寿命を踏まえた国際的な協力枠組みの展開等が必ずしも明らかになっていないことも踏まえた柔軟なビジョンであること。2つ目といたしまして、更なる国際宇宙探査に必要な技術の獲得が見込まれること。3つ目は、社会的課題の解決、科学的知見の獲得、国際協力等のために、ISSの利用価値が高く見込まれること。4つ目としまして、若手が宇宙環境で実験・研究を経験する場としてISSを活用することで、宇宙活動を担う人材を長期的・継続的に育成する好循環を構築できること。それから、5つ目といたしまして、民間が主体となった利用へのシームレスな移行が見込まれること。そのための方策が実施可能であること。最後に、費用対効果向上のためにコスト削減方策の実施が見込まれることと、この6項目について、この中間取りまとめを踏まえまして、今後、最終取りまとめに向けて検証をしていくことが必要なのではないかということで、今回の中間取りまとめでの区切りというふうにさせていただいております。
 次のページに今後の展望、ございますとおり、米国議会でISS運用延長が決定された後、先ほどの6つの検証項目に沿って、最終取りまとめに向けた検討ですとか議論を行っていく予定としております。
 一応その次のページに各国の状況をいろいろアップデート、書いておりますけれども、こちらも割愛させていただきたいと思います。
 以上でございます。よろしくお願いします。
 
【角南部会長】ありがとうございます。
 それでは、ただ今の説明について、御意見、御質問等をお願いいたします。いかがでしょうか。
 高薮さんですかね。よろしくお願いします。
 
【高薮委員】すみません、ありがとうございます。
 最後、各国の状況というところがあるのですけれども、各国、日本以外の国で民間利用の進み方なんかはどのようなふうになっているか分かりますでしょうか。というのは、今後、ですから、産業利用に経費も含めて拡張していけるのかどうかというポテンシャルについて知りたいのです。
 
【国分室長(事務局)】ありがとうございます。もしよろしければお答えさせていただきます。
 民間利用に関しては、例えばアメリカではナショナルラボラトリーという形、プログラムで民間利用を図るという取組をしているところでございます。ちょっとここにはまだ書いていなくて、正に先ほどの検証項目の3つ目にあるとおり、ISSの利用価値が高く見込まれることですとか、それから、5つ目にあります民間が主体となった利用へのシームレスな移行が見込まれること、この3個目、5つ目の項目のときに、もっと丁寧に検証していこうと思っていますが、そういったアメリカの取組ですとか、カナダとかも、いろいろそれぞれの民間利用を推進するための取組というのをやっておりますので、そういうものも比較しながら、じゃ、日本の取組というのは今後どういうことが可能かとか、これまでの制度というのは比較したときにどうなのかとか、そういった検証を丁寧にやっていこうというふうに考えているところです。
 
【高薮委員】ありがとうございます。この辺を参考にして、将来的なことが具体的に考えられるといいかなと。
 
【国分室長(事務局)】ありがとうございます。
 
【角南部会長】他に委員の方、どなたか御意見、御質問等ございますでしょうか。
 鈴木委員、どうぞ。
 
【鈴木委員】鈴木です。
 5ポツの部分の宇宙基本計画における記載というところの点線で書いてある部分の最後の部分というのが、とても大事かなと思っていて、特に質問としては「我が国の強みを活かした形での国際協力による対応の可能性」というところの強みというものを具体的にどういうふうに認識しているか。あとは、システムの開発みたいなところの、具体的につなげるとしたときには、2025年以降、どういう計画が考えられるかみたいなところについて、イメージがありましたら御共有いただければと思います。
 
【国分室長(事務局)】ありがとうございます。
 まず、強みという意味では、国際宇宙探査の方の文脈でも同じなのですけれども、4つの技術というのを小委員会の方では特定していまして、最終的にはアルテミス計画に参加すると政府全体で決めるときも、その4つの技術でとしているのですが、それが有人滞在技術ですとか、それから補給技術、それから重力天体への離着陸の技術、そして重力天体の探査技術と、この4つがある中で、ISS関係だと最初の2つですね。有人の滞在技術と、それから補給していくという技術、これがまず我が国にとって強みを有している技術だと認識しています。これに限らずですけれども、我が国の強みを生かした形で国際協力による対応というのは、国際宇宙探査、ISSも含めてですけれども、やはり巨額の投資が必要であり、大きなプロジェクトとして動いていく中で、我々日本として、なるべく費用対効果の高い形で国際協力の方法というのを模索していく必要があると思っていますので、先ほど申し上げた、その2つ、若しくは4つの技術を使って、どういうふうに国際協力をしていくかというのを、これからもっと深掘りして議論していきたいと考えています。
 こういった4つの技術を提供していくことによって、我が国として、民間も交えた形でのプラットフォームを提供していくという、例えば月探査に向けた形でも、そういう4つの技術を軸に、我が国として民間企業の方々も含めて参加しやすいようなプラットフォームを提供していくということが必要なのかなと思っておりますし、ここで指摘されていることもそういうことだろうと理解しています。
 
【鈴木委員】ありがとうございます。正に運用延長の可否判断とかがなされる際には、そういったところ、重要になってくるかと思うので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【国分室長(事務局)】ありがとうございます。
 
【角南部会長】ありがとうございます。
 その他、御意見、御質問等ございませんでしょうか。よろしいですかね。
 それでは、特に修正意見等ございませんでしたので、資料60-2について、小委員会からの提案どおり決定するということでよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、決定といたします。ありがとうございました。
 それでは、次の議題へ進みます。ここからは報告事項になります。
 3つ目の議題ですが、令和3年度文部科学省宇宙関係予算案についてです。文部科学省における令和3年度の宇宙関係予算がまとまっておりますので、福井課長より報告をお願いいたします。
 
【福井課長(事務局)】福井でございます。資料60-3を御覧いただければと思います。
 2ページ目をお願いいたします。
 文部科学省の宇宙関係予算案の総額は、令和2年度補正予算で580億円、令和3年度当初予算で1,544億円、合計で2,124億円ということでございまして、対前年度比でいいますと259億円増、14パーセント増という形になっております。
 JAXA予算案の合計は、航空部門も入れますと、ちょっとその右下に書いてございますが、2,144億円ということでございまして、JAXA発足後、初めて2,000億円の大台を突破して最高額という形になりました。こういった額の要求額ができたというのも、皆さんのおかげというふうに思っております。
 下の方を御覧いただきますと、このうち一番大きな増額となっていますのが、右側に書いていますけれども、宇宙科学・探査による新たな知の創造ということで、特に点線の枠で囲んでいますアルテミス計画のところで394億円増の514億円が計上された形になっております。詳しくは3ページ目以降にございますので、あと、左側に書いてございます宇宙安全保障の確保/災害対策・国土強靱化や地球規模課題の解決への貢献ということで、271億計上ということでございます。あと、下のボックスのところですが、イノベーションと実現と産業・科学技術基盤の強化ということで631億円ということになってございます。
 このボックスそれぞれにつきまして、詳しくは3ページ以降ということでございますが、まずSSA、宇宙状況把握システムということで、令和3年度に整備を完了ということで37億円の予算を計上しております。あと、先進レーダー衛星、令和4年度の打ち上げを目指しますものに123億円ということで、100億円増ということでございます。あと、新型のマイクロ波放射計を搭載して環境省と共同で開発を行っていますGOSAT-GWは7億円増の10億円という形になってございます。
 4ページ目でございますが、宇宙科学・探査による新たな知の創造ということで、先ほど申し上げましたように大きく伸びましたので、3ページ目にわたって記載してございますが、まずアルテミス計画に向けた研究開発等ということでございまして、514億ということでございますが、まず月周回の有人拠点に対して我が国が優位性を持つ有人滞在技術等を提供していくためのものということで61億円、あと、ISSの補給に加えまして、将来のゲートウェイへの補給にも活用するHTV-Xの開発ということで370億円ということで、約300億円増ということでございます。
 下ですけれども、ピンポイントでの月面着陸技術実証を行う小型月着陸実証機(SLIM)に34億円ということで、令和4年度の打ち上げ予定を目指して開発をしているというところでございます。
 5ページ目に行っていただきまして、インドとの国際協力で実施します月極域探査計画(LUPEX)で28億円、これも令和5年度の打ち上げを目指しているということでございます。
 宇宙探査オープンイノベーションの研究、これは、JAXAで国内外・産学官から意欲ある優秀な研究者・技術者を一堂に招集しました「宇宙探査イノベーションハブ」を構築しまして、社会実装に有用な先端的技術の掘り起こしや国際的優位性を持つインパクトのある探査記述を獲得するということで、これは6億円ということでございます。
 あと、ISS「きぼう」の運用等ということで、ほぼ前年同で112億円ということでございます。
 あと、火星の衛星からの観測及びサンプルリターンを目指して、令和6年度打ち上げ予定の火星衛星探査計画(MMX)に26億円という形でございます。
 6ページに行っていただきまして、X線分光撮像衛星、令和4年度の打ち上げを目指して、宇宙の構造形成の解明を目指す日米欧での国際ミッションということで、40億円ということでございます。
 あと、国際的な共同計画ということで、木星の衛星ガニメデなどを探査します技術計画や、二重小惑星探査計画、ESA主導の「Hera」に対する国際共同計画ということで9億円ということでございます。
 あと、話題になりました、大きな成果を上げました、はやぶさ2でございますけれども、サンプル、カプセルが地球に帰ってきたわけですが、その分離後に新たな小惑星への到達を目指した惑星間飛行を継続しまして、新しい小惑星に接近し、そこの観測を行う拡張ミッションということで3億6,000万円ということでございます。
 7ページに参りまして、H3ロケットの開発・高度化の費用ということで189億円ということでございます。H3ロケットにつきましては、2021年度に試験機初号機、2022年度に試験機2号機を確実に打ち上げるよう、万全を期して開発を進めておるところです。また、この開発に加えまして、開発後の民間衛星の打ち上げ受注にもつながるよう、高度化にも着手してまいるというものでございます。
 あと、ロケット再使用に向けた飛行実験(CALLISTO)の研究開発、ドイツとフランスとの共同でございますが、これに2億3,700万円、あと、将来的な我が国の宇宙輸送システムの自立的確保と産業発展を目指した将来宇宙システムの実現のための民間、大学を交えた研究開発を行うということで、将来宇宙システム研究開発プログラムということで1億7,600万円ということでございます。
 8ページに行っていただきまして、次世代の静止通信衛星用バスを開発し、総務省開発の通信機器等を搭載します技術試験衛星9号機に45億円と、民間企業、大学等が開発する小型・超小型衛星の実証機会提供等を行います革新的衛星技術実証プログラムに80億円、あと、デブリ除去技術の実証ミッションの開発ということで、大型デブリ除去の実証を目指した研究開発に8億円。
 最後、小型衛星の開発のサイクルを短くして開発していこうという小型技術刷新衛星研究開発プログラムに新規で3億円ということで、こういった形で令和3年度の予算案がまとまっておるところでございます。
 皆さまの御協力もありまして、最初に申し上げましたが、これまでにない形の予算ということでなっております。
 説明は以上でございまして、皆さま方におかれましても、引き続き御指導、御鞭撻いただきますようよろしくお願いいたします。
 以上です。
 
【角南部会長】ありがとうございます。
 それでは、ただ今の事務局の説明について、御意見、御質問があればお願いいたします。
 米本先生ですかね。お願いします。
 
【米本委員】東京理科大学、米本です。
 御説明いただいた資料の7ページになりまして、ここに将来宇宙輸送システム研究開発プログラムということで、新規に2億円弱のお金が付いたのですけれども、そこで2つ質問があります。
 1つは、革新的将来宇宙輸送システムロードマップ検討会というのが来年度の終わり目途にロードマップを策定するというふうに聞いていますが、その成果を待たずに、この予算を立ち上げているということの関係性について、どういうことになっているのかということと、それから、この内容を見ますと、民間事業者、大学等を交えた共創体制による研究開発を実施ということで、具体的にもうある構想があって、その議論の場というのはどういうところで行われているのかということを伺いたいと思います。
 以上、2点です。
 
【笠谷企画官(事務局)】事務局でございます。事務局の笠谷でございます。お答えいたします。
 将来輸送宇宙システム研究開発プログラムの予算の方ですが、これは来年度から新規で取っているものでございます。今ほど米本委員がおっしゃいました、こちらの利用部会で御報告させていただきましたが、将来輸送検討会というのも、別途そちらの方でロードマップはやっております。
 まず、このプログラムの方なのですが、これ、来年度からではあるのですが、これ、まずは研究開発費用ということではなくて、まずこれはまだ調査費用的なものでございます。実際、ロードマップは今検討中でございますので、まだ抜本的低コストの将来輸送の形というのは、正に今そちらの方で検討しておりますので、まだ何か明確にこれに向かって研究開発するというものはありませんので、来年度については調査費用的なものでございます。ただ、御案内のとおり、ロードマップ検討会、今年度、来年度、来年まず何かしらのものを取りまとめられると思いますので、それも踏まえて、こちらのプログラムの方は、今後研究開発費用という形でバージョンアップしていくというふうなものになるかと思います。
 また、民間事業者、大学等を交えた共創体制、共に創る体制による研究開発を実施というところにございますが、こちらの方についても、これは正にロードマップ検討会ですとか、そういうところで検討していますので、まだ具体的な形というのは、正直、そこは見えておりません。こちらの右にあるパワーポイントの資料の方は、イメージとしてこういうのがありますが、具体的にどう組むかというのが正に重要なところでございまして、こちらについては、何か別途議論してとか、そういうことはありません。正にロードマップ検討会等で議論されていくものというふうに理解しております。
 
【米本委員】分かりました。
 ちょっとつかぬことを伺うのですが、先般行われた将来宇宙輸送系に関する意見交換会とのリンクもあるのですか、この予算というのは。
 
【笠谷企画官(事務局)】そちらの方は、JAXAの稲谷先生ですとか、やっておられるというのは了解しておりますが、それはそちらの方の御検討はやられていて、それはまた御報告等があれば、そこはすみません、直接そちらの方のあれを踏まえて、こちらの予算を取っているというわけではございません。そこはまた別途、そちらは御検討で、また何かしらのインプットがあれば御検討いたしますが、直接そちらの方の対応をしているということではございません、そちらの予算は。
 
【米本委員】分かりました。御説明ありがとうございます。
 
【角南部会長】ありがとうございました。
 他に先生方、大丈夫でしょうか。
 
【米本委員】ないようでしたら手を挙げたいのですけれども、よろしいでしょうか。
 
【角南部会長】じゃ、先に高薮委員、そして、次いで米本先生、お願いします。じゃ、まず高薮委員の方からどうぞ。
 
【高薮委員】すみません。2つあるのですけれども、まず第1に国際協力のところなのですけれども、アメリカの政権が交代したということで、日本に対する期待も多少変わるのかなと思うのですけれども、その辺りはどのように取り入れられていくのか。今後のことかもしれないのですけれども、知らせていただきたいということと、もう一つは、5ページ目なのですけれども、5ページ目の宇宙探査オープンイノベーションの研究というところで、こういう取組は非常に重要だと思うのですけれども、今ちょっとコロナの状況で、具体的にどういうことが昨年度というか、今年度でしょうか、今年度できてきているのかということをちょっと伺いたいなと思っています。よろしくお願いします。
 
【国分室長(事務局)】宇宙利用推進室の国分です。1点目についてお答えいたします。
 米国の政権交代後の話ですけれども、これによって宇宙政策について大きく変更がなされるということには全く今なっていなくて、まず、去年の夏ぐらいのタイミングで民主党のマニフェストのような綱領というものがありますけれども、その中で国際宇宙探査のNASAの計画についてはサポートするという表現がございました。それからまた、つい先日なのですけれども、バイデン政権になってからの報道官から、プレスに対するブリーフィングの中でも同じように、NASAの計画についてサポートしていくといった発言が、ちょうど2~3日前にあったところでございますので、今の段階で何か大きく変更するということには全くなっておりません。
 以上です。
 
【高薮委員】ありがとうございます。
 それから、2点目はこれですね。
 
【国分室長(事務局)】2点目は、オープンイノベーションの研究、探査イノベーションハブというのをここ数年やってきておりまして、産学官が糾合した形で、月というか宇宙探査への応用と、地上への応用と、両方を見た研究開発をやっているところで、これまで約100社が集まってJAXAとの共同研究を実施しているところでございます。こちらについてもしっかりと進めていきたいというふうに思っています。お答えになっていますでしょうか。
 
【笠谷企画官(事務局)】今の国分室長の補足をいたしますと、昨年の9月の宇宙開発利用部会でJAXAの方から探査イノベーションハブについての御報告もさせていただいておりまして、その中で、例えば何か効率的なモーターですとか電池、これは必ずしも昨年度というわけではないのですが、全固体リチウムイオン電池とか、個別のプロジェクト等については御報告いただいておりますので、御参考まで御覧いただければと思います。今、国分室長からもありました個別の対策等々、JAXAの方で組んで使えるようなものというふうにやっておる次第でございます。
 
【高薮委員】ありがとうございます。ちょっとコロナの状況でどうなったかなと思いましたが、問題なく進んでいるということですね。ありがとうございます。
 
【角南部会長】それでは、藤井委員、お願いします。
 
【藤井委員】どうもありがとうございます。予算が増えて非常にうれしく思います。来年度以降も再来年も、この2,000億というのがある程度ベースというか、なって超えていけるといいなと思っております。
 御質問は、中型衛星計画の総開発費についてなんですが、ここではMMXとPRISMの計画について予算案が出ていますが、確か中型計画は、ある程度キャップがあって、300億とかそれ以上というのがあったと思うのですが、MMXの方は464億、それからPRISMの方は269億というふうになっているのですが、これはMMXの方はかなり超えていると思うのですが、フロントローディングが入った予算になっているのでしょうか。
 それと、フロントローディングは非常にいい方式だと思うのですが、令和3年度も、そのフロントローディングという項目は入っているのでしょうかということを御質問させていただきます。よろしくお願いします。
 
【角南部会長】よろしいですか。お願いします。
 
【笠谷企画官(事務局)】MMXにつきましては464億円ということですが、キャップというのは、どういう御理解でしょうか。そういう何か、もちろん個別の衛星ということで、基本的には総額、ある程度は抑制してはありますが。
 
【藤井委員】キャップというのはちょっと表現が悪いかもしれませんが、大体の予算規模があったと思うのですが、この額というのはフロントローディングも入っているというふうに考えてよろしいのでしょうか。
 
【笠谷企画官(事務局)】フロントローディングというのは、どういう御意図でしょうか。要は、実際の打ち上げとか、最初の準備段階とかも含めてということなのですか。
 
【藤井委員】はい。そのやる前に、いろいろ開発事項等、基本になっているものがあれば、それについて項目立てしていくという、そういうのを数年前入れたと思うのですが。
 
【笠谷企画官(事務局)】基本的には、JAXAの総開発費は、一応開発フェーズになってからの総額でございますので、衛星と総開発費用の出し方というのは、そんなには大きく変わらないかとは思います。もしかしたら、若干これ、開発費用全体の打ち上げ費とか、そういうのも含めていますので、そういう観点もあるのかもしれませんが、特に何か、この衛星がいいとか悪いとか、そういう話にはならないのかなと思います。
 
【藤井委員】分かりました。どうもありがとうございます。
 
【福井課長(事務局)】補足いたしますと、こういった衛星の取組を御評価いただいたように、フロントローディング、共通するものを含めてやっておるものでございまして、このMMXも、もちろんフロントローディングを踏まえて開発をしているところというものでございます。
 
【角南部会長】よろしいですか、藤井委員。
 
【藤井委員】大体内容は理解いたしました。どうも。
 
【角南部会長】それでは芝井委員、どうぞ。
 
【芝井委員】芝井です。
 先に、今、藤井先生が御質問された点で私が理解していることを申し上げます。前回か前々回のこの部会で私が質問したときに、宇宙研の國中所長が答えたことは、MMXに関しては、戦略的自由形の枠、300億円と、それを超える分については、確か国際宇宙探査だったと思いますが、その目的も共有しているということなので、宇宙科学ミッション300億円分を超えていることはないという國中所長のお答えでした。
 それから、PRISMに関しては、これは1つ前のX線分光衛星が不具合によってミッション目的を達しなかったので、戦略的自由形の300億円の枠より、できるだけ下回る金額で実行するという約束で始まったので、300億円に達していないということは望ましいことだというふうに理解しております。
 以上、私が理解していることでした。
 
【藤井委員】ありがとうございます。
 
【芝井委員】それと、私の1つ簡単な質問と、もう一つは意見があります。まず簡単な質問の方ですが、資料4ページ目の2番目の丸で、ちょっとこれ、私、読み方が分からないのですが、370.34億円というのと、下に初号機開発351億円と書いてありますが、ということは、この370.34億円は初号機開発費以外の費用も入っているということでよろしいのですね。それが1つの質問です。
 
【国分室長(事務局)】1点目、宇宙利用推進室の国分です。
 こちら、370億というタイトルの方にある方の金額は、1号機、2号機、3号機まで含めたものの一部を計上しているところです。一番下の初号機開発費というのは、初号機の総開発費でございます。
 
【芝井委員】分かりました。それで理解できました。
 それから、お願いなのですが、これは2年ぐらい前も申し上げたのですが、この主なプロジェクトとして書いていただいたものの金額を全て足したとしても最初の2,124億円には達しないわけで、多分7~8割だと思うのですが、やはり文部科学省の宇宙関係予算案というふうにおっしゃっている以上、この2,124億円が全体としてどう使われたとかいうのは、やはり知りたいということがあります。主なプロジェクトだけ挙げられているとすると、それ以外のものがどうか、あるいは、もう少し経常的に、長期的にベースとして作っていかないといけないことはないのかとか、そういうことも気になりますので、やはり主なプロジェクト以外で2,124億円が全体としてどういう配分で使われたのかというのが分かるような円グラフのようなものが1つあれば、より理解がしやすくなるというふうに思いました。これは意見です。
 以上です。
 
【角南部会長】芝井委員、ありがとうございました。是非そういうことで事務局の方も検討していただいて、次回からよろしくお願いいたします。
 
【笠谷企画官(事務局)】はい、了解いたしました。何かしら、分野的なものとか、何かしら、総額がどのような用途に使われているか分かるような形で、JAXAとも相談して、出し方を工夫したいと思いますので、了解いたしました。
 
【角南部会長】よろしくお願いします。
 では、米本委員、どうぞ。
 
【米本委員】理科大の米本です。
 また輸送系で恐縮なのですが、7ページを開けていただいて、CALLISTOの革新的将来宇宙輸送システムの研究開発の中では重要な案件だとは思っています。昨年度の予算が確か2億円で、今年度2億円なので、これ、令和4年度に飛行実証実験をするには全然予算が足りていなくて、計画が一体どうなっているのかというのを、全体予算が確か日本の分担では120億円のうち40億円というふうに前に伺っていたので、この予算の計画では難しいかなという気はしているのですが、現在の開発状況も踏まえて状況を教えていただけないでしょうか。
 
【笠谷企画官(事務局)】お答えいたします。
 CALLISTO計画は、日本、フランス、ドイツの宇宙機関に、この右にもありますような、CNESと、ドイツの宇宙機関とJAXAということで、日独仏の宇宙機関による再使用に向けた飛行実験でございます。こちらの方は、今、JAXAの方で国内においてもRV-X等の試験を行っております。それも再使用の一部の実験を行っておりまして、それらの成果をそれぞれ持ち寄って、ちょっと右の図、分かりづらいのですが、それぞれエンジンがJAXAで、アビオニクスはどうだとか、それぞれ分担がありまして、JAXAは正にエンジンとか、そのようなところを分担するということになっておりまして、それぞれ持ち寄って、それで、このCALLISTO計画を進めるということになっております。こちらの方、まだ国内的な実験もやっておりますし、それぞれそれを持ち寄って、このCALLISTO計画の方はプロジェクトとしてフェーズアップする予定だということになっておりますが、まだこれ、実際このCALLISTOで打ち上げるのは少し先でございますし、また、このプロジェクトとしてどうするかというところには、まだ協議中というふうに聞いておりますので、確かにこの打ち上げに向けては、今後、ちょっとまだ額の方は財務省とも精査が必要ですが、それなりの金額はかかろうかと思っておりますので、プロジェクトのフェーズアップに合わせて、また必要な予算というのを確保して、ちゃんとこれ、できるようにしていく必要があると思っております。
 
【角南部会長】じゃ、よろしくお願いいたします。
 それでは、その他、ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、次の議題へ進みます。4つ目の議題ですが、現在検討が進められている国際宇宙探査及びISSを含む低軌道を巡る最近の動向について、事務局から報告をお願いいたします。
 
【国分室長(事務局)】ありがとうございます。宇宙利用推進室の国分でございます。
 私から、最近の動向について2件御報告させていただきたいと思います。
 まず1点目ですけれども、去年の11月20日に公表させていただきましたが、若田宇宙飛行士が2022年頃、古川宇宙飛行士が2023年頃に、それぞれISSに長期滞在するということが決定しました。お2人は、米国の商業宇宙船ということで、クルードラゴン、又は現在開発中のスターライダーということで搭乗を予定しております。若田宇宙飛行士は5回目の宇宙飛行、それから古川宇宙飛行士は2回目の宇宙飛行ということになります。これが1件目でございます。
 それから2件目ですけれども、2ページの方ですが、日米の間での月周回有人拠点ゲートウェイの了解覚書が去年の年末に署名、発効されました。これは12月31日ですけれども、このMOUは、従来、去年御説明させていただいていた、7月に文科大臣とNASA長官との間で月探査協力に関する共同宣言というものに署名しておりまして、この内容のうち、この共同宣言はゲートウェイと月面と、それぞれについて協力内容を記載しているのですが、このうちゲートウェイ部分の協力内容の実現を可能とする法的枠組みというものでございます。
 具体的には、日本側の貢献事項として、居住能力に掛かる基盤的機能ということで、下の黒い表の中にありますとおり、ミニ居住棟と左側のHALOと呼んでいますけれども、こちらにバッテリー等の機器を提供するということ、それから、右側の国際居住棟には環境制御・生命維持機器を提供すると、こういうことを前提として居住能力に係る基盤的機能を提供するということです。もう一点は、ゲートウェイへの物資補給ということで、こちらを、この2点を日本側の貢献事項としています。
 また、米国側からは、日本に対してゲートウェイの利用機会と、そして日本人宇宙飛行士のゲートウェイの搭乗機会を提供するということになっております。このMOUについては、今年の1月16日にオンラインイベントで、在米大とJAXAのワシントン駐在とかと共同のイベントということでセミナーを開催いたしまして、その中で公表させていただいたところでございます。
 以上です。
 
【角南部会長】ありがとうございます。
 それでは、ただ今の事務局からの説明について、御意見、御質問があればお願いします。大丈夫ですかね。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは次の議題へ進みます。
 5つ目の課題ですけれども、HTV-Xの開発状況についてです。2017年12月6日に開催された第39回宇宙開発利用部会において、JAXAでのプロジェクト移行が了承されました。開発がJAXA内にて進行しております。その状況につきまして、JAXAからの説明をお願いいたします。
 
【佐々木理事(JAXA)】JAXA理事の佐々木です。
 それでは、HTV-Xの開発状況について御説明をさせていただきたいと思います。
 国分の方から御紹介がありましたように、約3年前に開発意向については御了解いただいておりますが、その後、基本設計、詳細設計と進めておりまして、また、周囲状況として、国分室長からも御紹介がありましたように、アルテミス合意とHTV-Xの周りの環境が変わってきております。こういう状況を踏まえまして、プロジェクトマネージャの伊藤の方から詳細を御説明させていただきます。よろしくお願いします。
 
【伊藤プロジェクトマネージャ(JAXA)】JAXA、HTV-Xプロジェクトチームの伊藤でございます。本資料を説明させていただきます。
 2ページ、開いていただいておりますが、本日、目次に沿って、HTV-Xの概要、開発状況、1号機の搭載機器・技術実証ミッションの概要、それから計画中の自動ドッキング技術実証の概要、最後に主な予定、今後について御説明いたします。
 3ページをお願いいたします。
 昨年12月の工程表では、1号機につきましては22年度、2号機、23年度、3号機、24年度と打ち上げを予定されております。
 プロジェクト全般の経緯でございますが、1つ目は、先ほど来説明がありましたが、2017年12月に宇宙利用部会で報告をさせていただいておりまして、開発フェーズへの移行について了承されております。
 丸2番、2018年10月、2年ほど前に基本設計を終了して、詳細設計、フライト品の設計であります詳細設計のフェーズに移行しております。
 丸3番、現在、開発担当の各社における詳細設計審査が終了いたしまして、JAXAとしてまとめの総括の審査会を開く、そういうところでございます。
 4ページ目をお願いします。
 このページはHTV-Xの概要、ミッションの特徴ですが、2つあります。1つはISSへの輸送能力の向上でありまして、HTV「こうのとり」に比べまして、おおよそ50パーセントほど能力を向上している。またユーザサービスの向上をしています。
 2つ目ですが、ISSへの物資補給の機会を活用いたしまして、先端の技術の実証や将来ミッションに活用できる技術の獲得という波及性・発展性の確保を目指しております。
 5ページ目をお願いいたします。
 このページは機体の特徴を示しております。右上の図を御覧いただきたいのですけれども、右上の図の左側、現行HTVの技術を活用しつつ、HTV-Xではサービスモジュール、右の上側ですね。それから、その下、与圧モジュールの2つのモジュールに集約しております。それから、特徴的なものは、下に図が書いてありますが、赤い字を簡単に説明いたしますと、サービスモジュールにつきましては、大型の暴露カーゴが搭載可能であるとか、あるいは推薬が増量できております。それから、左側に寄って与圧モジュールでは、カーゴへの給電機能、それからモジュール間インターフェースにつきましては、将来サービスモジュール、与圧モジュールから単独で提供可能。最後、射場の作業が短縮できること、それから、軌道上の実証のために地上局との通信が可能になったということ、そういうところが大きな特徴でございます。
 6ページ、お願いいたします。このページは開発の状況について御説明いたします。
 (1)番が機体の本体、いわゆるHTV-X本体、それから、(2)番がH3ロケットのうちのHTV-Xに対応したフェアリング等の開発、それから3つ目が地上の運用システム、それから4つ目がISSに搭載されているシステム、通信等のシステムでございますが、いずれも特に大きな課題はなく進んでおりますが、1つ、(1)のサービスモジュールのところで、新型コロナウイルスの影響を受けておりますが、それについては個々に対応しております。一つの例を申し上げますと、海外調達の電子部品の入着スケジュールが遅れまして、それに対しては、国産のメーカーによる代替品の開発の切替えを行いましてスケジュールを確保すると、そういうような対応を取っております。
 7ページ目をお願いいたします。
 これは全体のスケジュールでございます。先ほど申しましたとおり、22年、23年、24年度にそれぞれ打ち上げますが、現在、1号機のフライトの製作を進めているとともに、2号機、3号機についても着手したところというところでございます。
 8ページ目をお願いします。
 こちらは、前回、2017年12月からミッション要求の変更、追加について示しております。左の表で赤字のところが追加したところですが、右の図を見ていただきまして、もともとは、最後に搭載する特殊な給電カーゴですとか冷蔵カーゴについては、打ち上げの24時間前という規定はありましたが、それに加えて、そのカーゴにつきましては、ISSに到着してクルーがカーゴを取り出せるまで120時間、つまり引き渡してから取り出すまで120時間という規定を追加し、よりユーザーに対して要求を明確にしたというミッション要求や追加を行っております。
 9ページ目をお願いいたします。
 こちらは、基本設計及び詳細設計の間にNASAとの調整によりミッション要求を超えるような機能性能の要求について調整を行いまして、ドラゴン等、他の輸送機との互換性やユーザサービスの向上等の観点から、一部取り入れることにいたしました。下に表があって、4つ代表的なものを挙げておりますが、例えば10ページ目を見ていただきますと、2つ例を示しております。1つは、暴露カーゴにつきましては、HTV-Xで輸送するもののみならず、スペースX、ドラゴンが輸送したものについても、これは特別な取付けインターフェースを持っているものなのですけれども、そのカーゴも廃棄できるような共通化のインターフェースを持たせております。
 2つ目につきましては、油圧カーゴ、暴露カーゴに搭載するケーパビリティーを追加しておりますが、例えば左下に書いてありますように、より大きな荷物が搭載できるような、そういう工夫をしております。
 11ページをお願いいたします。
 こちらは、与圧モジュールとロケットに関する変更点ですけれども、左下の図の左側が変更前ですが、これは油圧モジュールにサイドハッチというカーゴを載せるための開口を設けておりましたけれども、開発要素を削減するために、右側のようにロケットとの結合部に開口を設け、さらにISS結合時に使用する、もともとありますメインハッチを経由して打ち上げ前のレイトアクセスを行うことといたしました。
 12ページをお願いいたします。
 こちらはサービスモジュールの開発状況ですが、左の上の写真は、軌道上の熱真空環境を模擬した熱真空試験の様子、右側は、構造系が打ち上げのときに遭遇する環境に耐えられるかどうかの静荷重試験の様子を示した写真です。
 それから、下の図ですが、これはHTV-XがISSに係留中に、ドラゴンですとかCST-100、スターライナー等が来たときに、そのスラスタの噴射がHTV-Xの太陽電池パドルに影響を与えるかもしれないというNASAからの懸念がありまして、太陽電池パドルを補強したという例であります。ヒンジの材料を変えたりとか、パネルの厚さを厚くしたりしております。
 13ページをお願いいたします。
 こちらは与圧モジュールの開発状況でございますが、同じように各種試験の風景を写真で示しておりますが、右上の図ですが、これは金井、大西、両宇宙飛行士に協力を得まして、VRの技術を活用いたしまして、カーゴのアクセス性等の評価を宇宙飛行士の協力を得て操作性の確認を行ったという様子でございます。
 それから、右下、こちらは1号機のフライト品、このような形で製造が行われているという写真でございます。
 次のページ、14ページをお願いします。
 それから、ロケットにつきましては、H3ロケットのうちHTV-X特有のフェアリングやインターフェース部、PAFと呼んでおりますけれども、フライト品の製造をしております。左の図ではちょっと見えづらいかもしれないのですけれども、ロケットのPAFと呼ばれているところに開口部がロケット側にある様子がCGで分かると思います。
 それから、右側の図、特に右側では、その開口を利用して、作業者が最後の打ち上げ24時間前にレイトアクセスを行っている、そういう様子を図として示しております。
 15ページをお願いいたします。
 HTV-Xの特徴として、ISS離脱後、再突入するまでの間、先進的な技術、例えば宇宙機器・センサを搭載いたしまして実証の場として活用することがミッションの一つの大きな柱でございます。1号機については4つ搭載することといたしております。
 16ページに、その4つについて御説明した表をまとめておりますが、1つ目がi-SEEPという暴露カーゴで、これはHTV-Xで輸送した後にISSに移設いたしまして、ISSの暴露部で各種宇宙実験を行う実験プラットフォームでございます。
 それから2つ目、これは軽量のアンテナですけれども、将来の様々なミッションで活用可能となると予想されています軽量かつ大型のアンテナについて、要素技術の展開実証を行うもの。
 3つ目は、レーザーリフレクターの反射器ですけれども、これは将来のデブリ除去運用を支える技術の実証を行うもの。
 最後、4つ目は超小型衛星の放出ですが、ISSよりも高度、具体的には100キロメートルほど高く、500キロメートルほどの高度で衛星を放出する、より長寿命の衛星運用を可能とする、そういう衛星放出の技術の実証をするものでございます。
 次のページをお願いいたします。
 17ページは、その運用の概要を示しておりますが、まずISSに係留中にi-SEEPをISSに移設、離脱した後に高度を上げて衛星を放出、高度を戻してレーザーリフレクター、反射器の実証、アンテナの展開を行いまして、その後、最終的に再突入する。おおよそ3か月間の運用を計画しております。
 18ページをお願いいたします。
 こちらは、政府が進めております国際宇宙探査への参画に際して、HTV-Xにつきましても輸送機としての検討がなされているというふうに理解しておりまして、JAXAとしても、その実現に向けて検討を進めているというところを示しております。その一つの重要技術として、自動ドッキングについても検討しております。これにつきましては、後ほど補足で簡単に御説明させていただきたいと思います。
 それでは、19ページをお願いします。
 今後の主な予定でございますが、現在、詳細設計を行っておりまして、最終的なまとめのJAXAの総括CDRというものを経まして、フライト品の製作をいよいよ最終フェーズとして進めていきます。維持設計フェーズでフライト品の製作を進めます。それから、1号機の製作・試験を継続、2号機についても製作・試験を進めます。それから、運用システムの整備を終えまして、運用管制要員の訓練を開始いたします。それから、自動ドッキング技術実証を含め、将来のミッションにつながる技術の獲得の検討も行う予定としております。22年度につきましては、HTV-X1号機の打ち上げを予定しております。
 次のページをお願いいたします。
 このページ、20ページは補足を示しておりますが、アメリカの民間輸送機との比較です。黄色くハッチングしたところがHTV-Xとしての大きな特徴で、カーゴの与圧と暴露の総合計についてはナンバーワン、それから、与圧カーゴについて大型のラックを輸送・廃棄できるということについてはオンリーワン、それから、暴露カーゴについては、大型のカーゴを搭載するということにつきましてはナンバーワンとなっております。
 それから、21ページをお願いいたします。
 先ほど述べました将来ミッションに備えまして、自動ドッキング技術の実証を、ISSの物資補給のミッションを超えた後にISSへの結合する実証を検討しております。従来は、10メートルほどまでISSに近付きまして、ロボットアームで操作しておったのですけれども、完全に無人でドッキングできるような、そういう実証をISSでの実証について検討しているというところでございます。
 最後、22ページをお願いいたします。
 HTV-Xにつきましては、前号、前の「こうのとり」(HTV)の成果を使っております。その例について3つほどここにまとめておりますが、1つは恒星センサにつきまして、8号機から、それから2つ目、ラック。与圧カーゴのためのラックの先行搭載を8号機、9号機、それから、左側、3つ目ですけれども、「こうのとり」の9号機で自動ドッキングに必要となるモニタ技術、それから無線LAN技術につきまして、これは宇宙機としては世界初の実験を成功させております。これにつきましては自動ドッキングで実証に使おうという計画をしております。
 御説明は以上でございます。
 
【角南部会長】ありがとうございます。
 それでは、ただ今の報告内容について、御意見、御質問があればお願いいたします。いかがでしょうか。大丈夫ですか。
 それでは、ありがとうございました。次の議題に進みます。
 6番目の議題ですけれども、「はやぶさ2」の現状報告についてということで、御存じのように、「はやぶさ2」のカプセルは、無事に昨年12月6日に地上にて回収をされました。現在JAXAにて回収サンプルについて調査中ですが、状況等について、今日JAXAの國中理事から御報告をいただくということになっております。國中理事、よろしくお願いいたします。
 
【國中理事(JAXA)】JAXA、宇宙研の方から報告させていただきます。
 ページをめくっていただきまして、本日御報告する内容は、カプセル帰還運用の総括と、それから、現在取扱いを行っております、回収してきましたサンプルの状況、それから、引き続き探査機は健康な状態にありまして、現在拡張ミッションに取り掛かっておりますので、この内容について御報告させていただきたいと思います。
 次のページ、3ページ目からが地球帰還運用についての内容になります。図表を使いながら御説明したいと思いますので、4ページ目にお進みください。
 リエントリ、探査機を地球に誘導するシーケンスをここでは御説明をしております。リエントリの最終誘導フェーズにつきましては、TCM、TCMというのはTrajectory Correction Maneuver、0、1、2、3、4、5という操作を行って地球に持ってきております。一番左側から、探査機が地球に近付いてまいりますが、TCM-0はイオンエンジンを使いまして軌道変換を行います。
 TCM-1からが本格的な誘導フェーズになります。ここからはRCS、ヒドラジンスラスタを使ったマヌーバになりまして、地球突入の40日前にTCM-1、それから20日前にTCM-2、それから10日前にTCM-3というのを実施しました。そのTCM-3までは青い線に乗って探査機は移動してきまして、そのままですと、点線のように延長していただきますと、地球の上空200キロメートルを通過する軌道に乗っておるのですけれども、TCM-3を行うことによりまして緑の軌道に乗り換えます。これによって初めて探査機は地球に落ちる軌道に乗り換えることになります。そして、TCM-4、これは約5日前に実施したものですけれども、これによって、回収班がオーストラリアのウーメラで待ち構えているそばに落ちるように精密軌道誘導を行います。そして、カプセルを12時間前に分離をいたしまして、探査機はさらにTCM-5を使いまして赤い軌道に乗り換えまして、地球に落ちないようなマヌーバを掛けると、こういったシーケンスを実施してまいりました。
 5ページ目が、その軌道誘導の情報になってございまして、左側の白い図の方に青くハッチングした領域が地球に落ちてしまう領域です。白い領域にある分において、探査機は地球に落ちないのですけれども、このはざまをうまく使いまして誘導を行ったというものになります。
 6ページ目が、カプセルを分離する際の詳細なシーケンスを示しております。これも探査機は左から地球に近付いてまいりまして、途中で姿勢を、かなり大きなマヌーバを掛けます。そしてカプセルが地球に落ちる際に正しい姿勢になるような方向に姿勢を向けて、カプセルを分離して、カプセルは緑の線に沿って地球に落ちてくるという手立てになってございます。カプセル自体は、自ら軌道を変えたり、姿勢を変えたりすることが全くできないパッシブな乗り物ですので、全てのマヌーバは探査機自体が実施するというものになります。
 一方、そのままでおりますと、探査機も地球に落ちてしまいますので、更に複雑なマヌーバを掛けて、化学スラスタを3回に分けて噴射し、地球を脱出していくと、こういったシーケンスを取ることに成功いたしました。
 次のページ、7ページ目、これがカプセルの挙動を示した絵になってございまして、日本時間の2時28分に大気、高度120キロメートルに突入してまいります。秒速12キロメートルというような高速で地球に突入してまいりますので、ファイヤーボール、火球と呼んでおりますけれども、光りながら地球に落ちてまいります。そして高度10キロメートルでパラシュートが展開されて、さらにビーコン、電波を出しながら地球に落ちてくる。最後はパラシュートで減速されてソフトランディングをするという手はずでありました。
 この状況を、オーストラリアに派遣しました回収班が、まず火球フェーズを光学カメラで測定することにより軌跡を特定しまして、着地点を予測する。ビーコンシグナルが出ます。電波が出ますので、これを電波方向探査班が上空にあるカプセルを見つけまして、三角測量の方法で空における位置を特定する。それから、漁船に乗せますマリンレーダーというものを改良したものを4基持ち込みまして、パラシュートが電波を反射するような素材になっておりますので、それをレーダーで探すことにも成功しております。さらには、オーストラリア空軍が持っておりますレーダーによる追尾も成功しております。
 次のページに行っていただきまして、最終的にはヘリコプターがビーコンシグナルを捉えまして、夜が明けた以降に着地しているカプセル、それから白い展開されたパラシュートが、そのまま近傍にあるものを上空から発見して回収するという作業が行われております。
 この作業を実施するのに、JAXAから、日本から70名、現地配備した人が15名ほど、それからオーストラリア宇宙庁も、この活動に御参加いただきました。それからオーストラリア空軍のDODの職員は約50名。それから、これは輸出入を伴いますので、オーストラリア側の輸出入の管理官が数名、それから、在郷日本大使館からも3名御帯同いただきました。マスコミも20~30名の参加がありまして、合計200名近くの人が、この活動に寄与しております。
 コロナ状況で、70名のJAXA職員を現地に送り込むのに、事前に1週間の待機、それからオーストラリアに移動した後、アデレードで2週間の自己隔離、そして回収作業を行った上で、日本に帰ってきてからも更に2週間の隔離と、作業以外に5週間の日程を費やした作業を実施しております。この活動にはオーストラリア政府、それからオーストラリア宇宙庁、ウーメラのレジデントの方々等に大変な御協力をいただいて実施ができました。
 そして、カプセル自体は特別あつらえで、すぐさま日本に送り届けることができております。100時間以内に送り届けるという条件の下、57時間でカプセルを日本に届けることができました。その様子が9ページ目に、ウーメラ飛行場から12月7日にチャーター機、特別機で日本に送り、12月8日には相模原の宇宙研のキャンパスに到着させてキュレーションセンターに入れるということができております。すぐさまサンプルの確認作業を実施いたしまして、12月15日にはサンプルが確保されているということが確認できております。
 探査機は、そのまま地球を離れておりまして、10ページ目には、離れる際に地球の写真を撮っております。
 また、工学技術の成果といたしまして、11ページ目に御紹介しておりますが、LIDERという測距装置を載せておりましたが、これを使いました光通信を実施しております。世界中にあります光通信局、ドイツ、フランス、オーストラリア、日本のNICTにあります光通信局から探査機に、はやぶさにレーザーを撃ちまして、その受信したと同期して探査機がレーザーを撃ち返す。それをまた地球で受信するという2リンクの同期通信に成功いたしました。2020年12月21日に600万キロメートルという距離で、このような同期通信が成功させることができました。この距離は、月までの距離の15倍という距離であります。
 実は2005年に、米国、NASAのメッセンジャー探査機が2,400万キロメートルという距離での通信に成功しておりまして、それに次ぐものであります。ただ、このメッセンジャーの実験では非同期というものであったのに対しまして、今回我々は同期通信ができておりますので、同期通信に限りますとナンバーワンの距離での、最長の距離が達成できたものと考えております。
 12ページ目が、「はやぶさ2」が実施できました各工学上の世界初を1番から9番まで書き連ねております。そして、最後の行になりますが、プロジェクトサクセスクライテリアに関しましては、今回大体達成したものと考えております。
 ちょっとページを進んでいただきまして、28ページ目をお願いしたいのですけれども、これが打ち上げ前に設定いたしましたサクセスクライテリアであります。横列の行が4行ありまして、理学目標1、理学目標2、工学目標1、工学目標2となっております。縦の列がミニマムサクセス、フルサクセス、エクストラサクセスと並んでおりまして、このマトリックスの中で緑色に塗りました部分については、今回全て達成いたしましたということを御報告させていただきたいと思います。
 白抜きの部分は、採取試料の初期分析を行うということ、それから、科学的な新たな知見を見いだすということを目標に掲げておりまして、これは現在、これから御説明させていただきます採取物質の分析によって得られる成果でありまして、地球帰還1年後以内にこれを達成したいと考えて、今現在作業を行っておるものでございます。
 元のページに戻っていただきまして、そのサンプル採取の状況を御説明いたします。
 13ページ目になります。これは、現地での作業などを示しておる写真を、ここでは御紹介させていただいております。
 14ページ目、詳しい説明になりますが、12月7日にオーストラリアにて、このコンテナの中からガスの採取に成功してございます。日本に持ってきた後、12月10日にも同様の作業を日本で行いまして、再びガスを認識することができました。この2種類のガスは、内容、コンポーネントとしては同じものであるということが判明いたしまして、採取したサンプルからガスが出ているということが分かってきております。このページの一番下の行になりますが、地球圏外からガスサンプルができたということは世界初の発見であります。
 次のページ、15ページ目から、今度はそのコンテナを開けるという作業の様子を示しております。これは相模原キュレーションセンター内での活動になります。
 16ページ目も、その内容になります。
 それから17ページ目、そして18ページ目は、A室を開けた際に撮られました写真になります。容器の上から内容物を見ておりますものですけれども、黒い石炭のような砂粒、砂れきがたくさん見えております。この容器の直径が5センチメートル弱ですので、缶コーヒーの入れ物よりも小さいような容器になってございまして、その中にたくさんの砂れきを発見することができました。
 その次のページが、A室とC室から採取されました砂れきを示しております。A室は、1回目の着陸で表面から採取した物質でありまして、C室は、人工クレーターを開けた後、その近傍に着陸をした際に採取したもので、大分表情が変わっております。C室の方は大型の砂れきでありまして、1センチメートルほどの大きさがあるものと思われます。トータルで5.4グラムのサンプルの確保に成功いたしました。
 今後、精密な分析に掛かるわけですけれども、当面の計画を20ページ目にお示しします。横軸が時間の流れになっておりまして、一番左側が2020年の12月、カプセルが落ちてきた日程になっておりまして、半年掛けましてカタログ化を行います。そして、今年の6月に、そのカタログの一部を公開するという作業を行っておきます。その中で黄色の部分になりますが、15パーセント分につきましては初期分析という作業に掛かりまして、「はやぶさ2」チームが独占的に、この試料の分析を行いまして、科学的な成果の確保を行うという作業を行います。そして、2021年12月、今年の12月から、紫の矢印を見ていただきたいのですけれども、NASAに10パーセントのサンプルを分与する。これは打ち上げ前にNASAとの協定で決めたことなのですけれども、この10パーセントをNASAに引き渡すという作業を行います。そして、更に半年後の2022年6月からは、ピンク色の矢印、国際公募。15パーセントを、世界の科学者から研究提案を受け付けた上で、審査をした上で、有望な研究提案にサンプルをお渡しするという作業を行います。更に重要なのは、40パーセントにつきましては将来に向けて保管をするという作業を計画しております。その詳細については、まだ検討中でありまして、残りの部分についてはまだ議論中であります。
 拡張ミッションの内容になりますが、21ページ目以降から拡張ミッションの内容になります。
 22ページ目に進んでいただきまして、2つのミッションを想定しておりましたが、この2つの図の右側にあるミッションを選定いたしまして、後続の活動を行っております。ここにEAEEAと書いてありますが、地球、アステロイド、地球、地球、アステロイドという工程を想定しております。更に右側に、オレンジ色に書きました、2026年に2001CC21という小惑星にフライバイした後に、今から10年後になりますが、2031年に1998KY26という小惑星にランデブーするという計画を立てております。
 次ページ、飛んでいただいて、24ページ目になりますけれども、ミッションの意義が中段に書かれております。太陽系長期航行技術の進展、1番。2番が高速自転小型小惑星探査を行うというものです。それから3番目がPlanetary Defenseに資する科学データを取得するということをここでは掲げております。ターゲットとしております、この2つの小惑星は、30メートルほどの大変小さな小惑星でして、地球の軌道近傍にいる関係で、地球に衝突する可能性があります。Potentially Hazardous Asteroidというふうに分類された小惑星で、こういったものが地球にぶつかりますと、非常に大きな被害が発生するわけですけれども、その元となる小惑星がどういうものであるかということを観測するということも大きな目標としておりまして、それをPlanetary Defenseとここでは称しております。
 御説明は以上になります。
 
【角南部会長】改めまして、すごい成果を上げられたということで、おめでとうございます。
 ただ今の説明について、委員の皆さまから御意見、御質問などがあればお願いいたします。よろしいですか。
 ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、最後になりますが、事務局から連絡事項があればお願いいたします。
 
【笠谷企画官(事務局)】申し上げます。
 会議資料と議事録の公開について申し上げます。宇宙開発利用部会の運営規則に基づきまして、本日の会議資料は公開となりますので、既に文部科学省のホームページに掲載させていただいております。
 また、議事録についても公開となりますので、委員の皆さまに御確認いただいた後、文科省のホームページに掲載させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 事務連絡としては以上となります。
 
【角南部会長】どうもありがとうございます。
 それでは、最後に福井課長、お願いいたします。
 
【福井課長(事務局)】皆さま、ありがとうございました。
 本日の会合が、この第10期の最後の会合ということになります。本当に委員の皆さま方におかれましては、こういったオンラインでの会議ということでございましたが、御参加いただきましてありがとうございました。この場をお借りしまして厚くお礼申し上げます。
 10期はこれで最後ということでございますが、また11期になりましても引き続きよろしくお願いしたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。
 以上でございます。
 
【角南部会長】今、課長からお話がありましたように、今回が第11期の宇宙開発利用部会の最終ということになります。また第11期に委員を継続していただく方は多いかと思いますけれども、本当にありがとうございました。
 それでは、これをもちまして本日は閉会といたします。長時間にわたります御議論など、誠にありがとうございました。
 

―― 了 ――

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