宇宙開発利用部会(第58回) 議事録

1.日時

令和2年9月17日(木曜日) 15時00分~17時30分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. H3ロケットの開発状況について【報告事項】
  2. 我が国の有人宇宙探査に関する考え方について【審議事項】
  3. 陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)運用状況報告【報告事項】
  4. 宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)等状況報告【報告事項】
  5. 宇宙探査イノベーションハブ状況報告【報告事項】
  6. その他【報告事項】
  7. 令和3年度概算要求に向けた研究開発課題の事前評価について【審議事項】(非公開)
  8. 令和3年度新規概算要求事項について【報告事項】(非公開)

4.出席者

委員

部会長 角南 篤
部会長代理 青木 節子
臨時委員 井川 陽次郎
臨時委員 大西 卓哉
臨時委員 芝井 広
臨時委員 白井 恭一
臨時委員 鈴木 健吾
臨時委員 髙橋 德行
臨時委員 高薮 縁
臨時委員 鶴岡 路人
臨時委員 永原 裕子
臨時委員 林田 佐智子
専門委員 藤井 良一
臨時委員 松尾 亜紀子
臨時委員 村山 裕三
臨時委員 横山 広美
臨時委員 吉田 和哉
臨時委員 米本 浩一

文部科学省

研究開発局長 生川 浩史
大臣官房審議官 長野 裕子 
研究開発局宇宙開発利用課長 藤吉 尚之
研究開発局宇宙利用推進室長 国分 政秀
研究開発局宇宙開発利用課企画官 笠谷 圭吾
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 渡邊 真人
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 岡屋 俊一
 
(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 理事 布野 泰広
 理事 佐々木 宏
 新事業促進部長 岩本 裕之
 宇宙探査イノベーションハブ長 船木 一幸
 第一宇宙技術部門 宇宙利用統括 平林 毅
 宇宙輸送技術部門 H3プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 岡田 匡史

5.議事録

【角南部会長】角南でございます。それでは、定刻になりましたので、宇宙開発利用部会の第58回会合を開催したいと思います。
 本日も新型コロナウイルス感染防止ということで、前回同様にオンラインでの開催になっております。委員の皆さまには御多忙のところお集まりいただきまして、ありがとうございます。お礼申し上げます。
 それでは、まず事務局から本日の会議に関する事務の確認をお願いします。また、文部科学省の幹部人事異動があったということなので、御紹介もお願いいたします。
 
【笠谷企画官(事務局)】それでは、事務局から御連絡いたします。
 最初に、8月1日付で審議官の岡村が内閣府宇宙事務局に異動となりました。替わりまして長野が審議官に着任いたしましたので御紹介いたします。長野審議官、一言御挨拶をお願いします。
 
【長野審議官】長野でございます。8月1日付で着任しております。宇宙開発利用について先生方の御議論に参加できますことを楽しみにしてございます。どうぞよろしくお願いいたします。失礼いたします。
 
【笠谷企画官(事務局)】ありがとうございます。事務局でございます。本日は宇宙開発利用部会に御所属いただいている18名の委員のうち、現在17名の皆さまに御出席いただいております。運営規則に定める定足数の要件を満足しております。よって本日の会議が成立していることを御報告いたします。
 次に本日の資料ですが、事前送付の議事次第のとおりです。オンライン状況について音声がつながらない等の問題等がございましたら、事務局へメール、電話等で御連絡ください。オンラインシステムの運用上の注意事項等は、事前送付いたしました運用の手引きを御参照ください。
 なお、本日の議題は8件あります。その中で7件目の議題、令和2年度概算要求に向けた研究開発課題の事前評価について及び8件目の議題、令和3年度新規概算要求事項については、概算要求に向けた事前評価等であり、非公開とすることが適当であると認める案件のため、運営規則の第3条3号の定めにより、当該部分の審議及び議事次第の4ポツで下線を付している資料、58-7-1及び58-7-2及び58-8については非公開とさせていただくことを提案いたします。
 事務連絡及び非公開審議に関わる提案は以上でございます。
 
【角南部会長】ありがとうございます。今事務局の方から提案いただきました議案7及び議題8の審議とあと報告、それから資料の58-7-1、それから資料の58-7-2及び資料58-8は非公開としたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。異議はないようですので、そのようにさせていただきます。
 それでは、本日は議題が全部で8ありますけれども、議題の2が審議事項というふうになっていますが、それ以外は全て報告事項ということであります。議題7も審議事項ということで、報告事項と審議事項が代わる代わるになっていますけれども、よろしくお願いいたします。
 それでは、最初の議題でありますH3ロケットの開発状況についてであります。9月11日にJAXAから報道がありましたが、実証機の初号機の打ち上げが当初予定の今年度から2021年度に変更になりました。本件を含めましてこれまでのH3ロケットの開発状況についてJAXAから御報告いただきます。よろしくお願いいたします。
 
【布野理事(JAXA)】JAXA輸送系を担当しております理事の布野でございます。H3ロケットに関しましては、昨年12月に当部会におきまして開発状況について御報告させていただいたところでございますが、その後、システムの認定試験、開発した各種サブシステムをシステムレベルで統合、検証を行う等の試験を行っているところです。
 先ほど部会長から御紹介がありましたが、本年5月、第1段メインエンジンであるLE-9エンジンの1回目の認定試験におきまして、水素稼働ポンプのタービンに疲労破面が認められるとともに、燃焼室壁面に開口が確認されました。この事象の原因究明を進めるとともに、対応策の検討を進めた結果、ターボポンプのタービンの再設計等が必要と判断し、確実な対応策の実施に十分な時間を確保する必要があるとし、開発計画を見直すこととしました。
 本日は開発計画の見直しを含めて、H3ロケット全般の開発状況について御報告させていただきます。よろしくお願いいたします。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】それでは、H3プロジェクトチームの岡田から御報告させていただきます。今回、オンラインでやらせていただくということで、その関係で聞き取りづらい箇所があるかもしれません。先ほどテストしたのですけれども、少し音声が波打つような現象がありまして、もしお聞き取りづらいところがありましたら、後ほど改めて御説明させていただきますので、御指摘よろしくお願いいたします。
 それでは、内容に入らせていただきます。まず1ページ目を御覧ください。上半分は今、布野理事より御報告させていただいた内容ですので、下半分、本日の御報告内容について御説明します。
 開発進捗全般についてきょうは御説明します。中でも開発試験が随分進んでおりますのでその状況、とりわけLE-9エンジンの状況については、少し時間をかけて御説明したいと思います。それを受けまして開発計画の見直しについて御説明いたします。
 2ページ目と3ページ目は、前回の御報告でも使わせていただいた基幹ロケットの自立に向けた取組でございますので、ここは割愛いたします。
 4ページ目に参りまして、H3の開発進捗全般でございます。前回の御報告以降、システムレベルの試験、後ほど一つ一つ御説明しますが、それによります検証、統合を行いながら、必要なものについては設計にフィードバックをかけまして、最新状態で維持しております。この間、多くのサブシステムの開発が完了していまして、ここにございます構造、推進、電気、そして固体ロケットブースターの中では一番メインのモーター系、この辺りの開発を完了しております。試験機1号機についても後ほど御説明いたしますが、大体完成しておりまして、現在工場で機能点検を実施中でございます。
 また、このプロジェクトと併せまして、現在多様化している国際打ち上げ市場に柔軟、迅速に対応するための施策について、このプロジェクトの外で検討しておるところでございます。
 5ページに参ります。ここから先は開発試験の実施状況でございます。丸1のLE-9の状況、これは6ページ、7ページ以降で御説明しますが、これについては中断を現在しております。丸2から丸8については全て完了したものの御報告をいたします。丸9については種子島で行っておる試験の状況を御報告いたします。
 では、6ページから3ページにわたりまして、LE-9エンジンについてでございます。前回の利用部会におきまして、まずその時点では実機型のエンジン、これは昨年の5月に起きた事象、これは具体的には噴射機エレメントの燃焼特性が従来と異なる、それから液体水素ターボポンプの動翼に疲労破面が確認されたということが昨年の5月に起きまして、それについて2段階の認定計画を見直すということを御説明しました。この2段階の認定計画は下にあるとおりなのですけれども、今回はそのうちのタイプ1のエンジンというものの認定に取り組んでおりました。
 この認定試験では合計8回、約1,100秒累積しまして、8回後の試験、具体的には5月26日に実施した試験なのですけれども、その翌日以降の内部点検で先ほど御説明した2件の事象が発生いたしました。それについて今、7ページ以降、一件一葉で御説明したいと思います。
 まず7ページは燃焼室内壁の開口でございます。状況といたしましては、燃焼室というのは再生冷却構造を取っておりまして、ちょうど右下の図にございますように、燃焼室というのは高温の燃焼ガスを生成されるものですから、金属を適切な状態に保持するために、金属でできた壁の内側を冷却用の水素でクーリングしています。これを冷却溝と称しておりまして、真ん中の図の一番上がその断面、ちくわを横に切ったような断面で、この溝が燃焼室回りに500本切ってございます。この溝方向に沿った形で14か所に大きいもので最大幅0.5ミリメートル、長さ約10ミリメートルの細長い開口が見られました。
 これについてもろもろの調査を実施いたしまして、原因としましてはそもそもこの8回目の試験というのが燃焼室に負荷をかける高温作動条件で実施したということと、その試験において内壁が設計値以上に高温化したということが原因であると。そもそも高温化した要因というのは、定常時にローカルに熱が入った、あるいは移動、又は停止過渡において一時的に冷却が不足したということを推定しております。まだこの2つの原因についての切り分けは完全にはできておりません。
 開口したプロセスにつきましては、下の方の図にございますが、一番左のプロセスと真ん中の絵を少し対比して御覧いただきたいと思いますけれども、まず内壁が高温化する。そうすると内壁が変形してまいりまして、ちょうどうねったような形で青のところが冷却用の水素が流れるのですけれども、そこが内側に膨らんでくるような状況になります。内側に膨らんできますと熱が入りやすい、熱伝達率が高くなっていくということで、燃焼ガスに接した面が少し溶け始める。そうすると板厚が薄くなってまいりまして、最終的には溶けて穴が開くというよりは、どちらかというと圧力によって延性的に穴が開いたというふうに見ております。
 これに対する対応策でございますが、2つの要因がまずありますので、一点一点について対応を今考えております。まず定常時につきましては、壁を守るということで、壁の内側をフィルム、膜状に冷却水素を流すことで保護するという冷却の強化、我々フィルム冷却と言っておりますけれども、を強化するということが1点。そして、起動停止に関しましては、パターンを見直すことで守れるということが検討結果として出ております。結果的に内壁の温度を下げるということを考えておりまして、この2つについての切り分けと、それから効果の確認をこれからエンジンの燃焼試験で技術データを追加取得しながら検討していく予定でございます。
 ここまでが燃焼室の内壁の開口でございます。
 2つ目がタービンの疲労でございます。タービンの疲労に関しては、水素ターボポンプの第2段の動翼、タービンの一部でございますけれども、これの76枚の翼があるうちの2枚に疲労破面が確認されました。左下の図に第2段動翼と書いてあるところがそれに当たります。
 原因調査をいたしまして、その調査の方法としては、従来のいわゆる実態調査、解析に加えまして、翼振動計測を行いました。実際にターボポンプを実作動させまして、そこの動翼にひずみゲージを張り付けて、トランスミッターで信号を飛ばして、それを高周波で受信するということに試みまして、これを8月に行ったのですけれども、それによりまして当初有意な影響があると評価したもの以外の共振が生じて、疲労が蓄積、進行したためということが推定できました。
 この疲労の蓄積、進行に関しましては、右下にプロセスが書いてございます。今回の試験は8回目だったのですけれども、8回目の前の1回目から6回目の試験において、疲労が蓄積したと思われます。これは先ほど御説明した、従来影響があると評価したもの以外の共振が実際に生じ得る条件がこの運転の中にありましたので、そこで疲労がたまっていったと。6回目から8回目の試験で実際、破面の様相からも分かるのですけれども、この間に共振によって疲労が進行していった可能性が、破面と試験の運転履歴の整合性から見てとれました。8回目の試験後の点検で破面を確認したというものでございます。
 これに対する対応策としては、今まで共振を避けていくということを考えておったのですけれども、そもそも構造固有値を運転領域から除外していくという、かなり積極的な設計の見直しによりまして、この要因を全て断ち切るということを考えております。これは水素のターボポンプについて起きたのですけれども、念のため酸素のターボポンプにつきましても、極力同様の方針として今設計変更を実施中です。
 この結果につきましては、先ほど御説明した翼振動試験を後に実施いたしまして、対応策の効果を検証する予定でございます。
 次のページはLE-9の概要でございますので、割愛させていただきまして、ここから少し説明を加速いたします。10ページ以降、これまで行いました試験について簡単に触れております。一件一葉です。
 まず10ページはフェアリングの分離放てき試験。川崎重工さんの播磨工場で実際に実機大のフェアリングを分離して、正常な動作を確認しております。
 11ページ、固体ロケットブースターでございます。これは3回の燃焼試験を行いまして、うち認定型2回、再現性も含めて良好にデータをとれました。この2回のうちの1回は、一番下に書いてございますイプシロンSロケットの第1段に用います推力方向制御機能についても併せて確認ができまして、シナジーとしての取組を行いました。
 12ページ、BFT、圧肉タンクステージ燃焼試験です。これは以前の部会でも御説明を時々させていただいたのですけれども、開発の最難関の1つと我々考えておりまして、模擬のタンクに実際の試験用のエンジンを2機あるいは3機搭載して、ロケットさながらに燃焼試験をするという、左下の写真でございますが、これも全て完了しております。
 13ページ、固体ロケットブースターの分離試験でございますけれども、これも2回、1回は外乱を模擬するような試験を行いまして、定常の動作を確認できました。
 それから、14ページにごく最近完了したのですけれども、第2段の実機そのものを用いて、試験用のエンジンと組み合わせてなのですけれども、先ほど申し上げたBFTのスタンドをそのまま改修する形で燃焼試験を3回行いまして、非常に良いデータがとれました。
 15ページ、16ページは種子島などの準備状況でございますが、15ページは射場系、飛行安全系のインテグレーションがかなり進み、大体完了しております。
 16ページ、正に今種子島で打ち上げ設備のトータルの試験を組み合わせて行っております。
 17ページには試験機1号機の製造状況を御説明しております。御覧いただきましたとおり、工場にはロケットが横たわっておりまして、これの機能試験を実施中でございます。
 18ページ以降は2ページにわたりまして開発計画の見直しについて述べてございます。まず考え方でございますけれども、ターボポンプにつきましては、試験機1号機から先ほど御説明したタービンの疲労への対応策を適用するという計画に見直させていただきたいと考えております。
 下にも少し書いてありますけれども、翼振動試験、それから技術データ取得試験というエンジン試験で段階的かつ着実にリスクを減らしていくということを考えております。その上で認定試験を中断しておりますので、一からやり直しまして、それを経て1号機を打ち上げる計画。下にそれを図で示してございます。これによりまして、1号機の打ち上げ時期は2021年度、2号機については22年度となる見込みでございます。
 最後に19ページを御説明いたします。これは前回御説明したスケジュールをまだ見直しはできておらないのですけれども、上に考え方を述べてございます。まずLE-9エンジン以外については、大体開発完了しています。今後はLE-9エンジンの開発に集中していくということと、最後に総合システム試験という大規模な試験が種子島で残っておりますので、これを極力前倒しする形で開発全体のリスクを低減して、1号機の打ち上げに臨む予定でございます。
 あとは補足でございますので、割愛させていただきます。
 以上でございます。
 
【角南部会長】はい、ありがとうございます。それでは、ただ今の御報告について御意見、御質問があればお願いいたします。米本先生、お願いします。
 
【米本委員】東京理科大学の米本です。岡田さんの方から詳しく現状報告いただきまして、私としてもH3基幹ロケットとして、改めて開発に努力いただいて、是非成功につなげていっていただきたいなというふうに思っております。
 今回、事前に資料を配られたので、少し見させていただいて、細かい質問もあるかと思いますが、可能な範囲で答えていただければというふうに思っています。
 2段階開発のタイプ1のエンジン、QT試験8回目でということなのですが、これは何回実施して、何秒の秒時を燃焼させたら要求に合致するかというのは、どこか明記されているのかというのが1つ最初の質問です。
 それで質問だけ続けさせていただいてよろしいでしょうか。2番目が燃焼機の問題で今7ページを開いていただいていますけれども、冷却能力が不足していて、左のところの流れで壁面が変形して、表層部の溶損が起きて、これが亀裂というか開口の発生に至ったということで、原因が特定できたということで理解しました。
 この対策として、起動停止パターンの見直しというのは、私もエンジンのサイクルのことが詳しく分かっていないので言えないのですが、冷却の強化というのはエンジンのいわゆるサイクルが少し変わってくるということになるので、大分大きな設計変更になるかなというふうに思ったのですけれども、その辺りどうお考えになっているのかというのが2番目の質問になります。
 3番目が今度はタービンの話で、次のページに行きまして、第2弾のタービンというのは、恐らく熱負荷的には第1段よりも楽な方向になっているかなって素人的に思ったのですが、第1段タービンには全く問題がなかったのかということが気になりましたので、もし分かれば教えてください。
 それで、4番目の質問になるかと思うのですけれども、タイプ1のエンジンの疲労というのは、前回御報告いただいた2段開発の2番目の本命と目されるエンジンで問題があったとされる疲労と何らかの関係がなかったのかというふうにちょっと思いました。これが4番目です。
 すみません、たくさん質問があって、あと4つで終わりにします。5番目が疲労の原因とされる振動モードと共振との関係が把握できたということで、その対策がここに書かれていまして、全ての共振点を運転範囲から除外するというふうな言い方をされているのですけれども、これは物理的には無理じゃないかと。つまり振動数は固有値解析すれば理論的には無限に出てくるのですけれども、こういう説明ではなくて、どこまで高い周波数のどういった振動モードまでを運転範囲から除外するというクライテリアをやっぱり説明していただかないと、恐らくこの辺のことが分かっている方に対してはどうしてなのかなというふうな対応について分からない、詳しくは説明が十分じゃないのではないのかなというふうに思いました。恐らくクライテリアができているかなと思いますので、そういうふうな説明が頂ければと思います。
 6つ目なのですけれども、2段階開発の第1段のエンジンというのをこの対策で改善、改良を進めるという理解でよろしいでしょうかというのを確認させてください。
 併せて恐らく2段階目のエンジン開発、3Dプリンターと、私、言葉の使い方が良くないかなと思っていますけれども、共振フリーというものも併せて開発が進んでいると思いますので、その進捗がどうなのかなということが分かれば、口頭でも簡単にお話しいただければと思います。
 最後は前回、やはり共振領域そのものを除外するというような用語に関しては、余り適切な技術用語じゃないかなというふうに思っていまして、先ほど言ったようにどういう高次なモードまでとか、あるいは運転領域にこういう振動数が入らないようにするとか、何かそういうような言い方で説明いただくような用語を工夫していただければというふうに思っていたのですが、今回同じように共振フリーに近い話、御説明だったので、そこについても確認させていただきたいというのが質問になります。
 以上合計8点ぐらい、五月雨式に質問してしまいましたが、大丈夫でしょうか。以上です。
 
【角南部会長】ありがとうございます。それでは、まとめてお答えいただきたいと思います、よろしくお願いします。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】分かりました。私の方で御質問の内容を適切に理解しているかどうかも含めて確認しながら進めていきたいと思います。
 まず1つ目の御質問ですが、これはエンジンとして何秒何回燃焼させると、いわゆるフライト用として認定できるかという御質問だと思ってよろしいでしょうか。
 
【米本委員】そのとおりです。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】10回、約1,000秒です。
 
【米本委員】10回、1,000秒ということですね。時間は達成しているけれども、回数が達成していなかったということなのですか。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】そういう見方もありますが、結局認定という行為は様々なフライトでの厳しい環境をそれぞれ模擬して、ある意味全体を包絡するような試験が完了して初めて成り立ちますので、確かに秒時的には先生がおっしゃるようなことなのですけれども、いろいろ確認するところというのがそのほかにもございますので、そこは併せてということになります。
 
【米本委員】分かりました。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】1番目はよろしいでしょうか。
 2つ目の冷却の強化なのですけれども、フィルム冷却というのはメインの燃焼室の噴射機から一部水素を取り出すような形で、燃焼室内の内壁に膜状に直接つぎ込むと。燃焼室にとっては薄い膜を作るというイメージです。したがって、エンジンサイクルを変えるというよりは、ある部分から水素をタップオフして燃焼室の中に入れるということですので、サイクルそのものは変わらないです。酸素で噴射させる用の水素の一部をタップオフして膜を作るのです。
 
【米本委員】分かりました。冷却を強化というので、量を増やすのかと思ったのですが、そうではないということなのですね。フィルム冷却に回す分増やすという理解でよろしいですか。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】はい、そのとおりでございます。
 それから、3番目はタービンの疲労について。
 
【米本委員】第2段より第1段の方が厳しいかなというふうに思ったので、3番目で第1段タービンというのはそういう同じような問題がなかったのかということです。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】おっしゃるとおり、これは超音速タービンで静翼と動翼の2段式のタービンなのですが、我々は1段というのはかなり、第1段静翼の後ろの動翼というのはかなり注目しておるのですけれども、今の結果的には何も起きていないです。そこはいろいろな励振源との組合せによって、やはり特徴のある共振モードが励起されるということで、結果的には前回も今回も別な、これは次の御質問にも関係があると思うのですけれども、別な疲労のモードで疲労破面が確認されております。
 
【米本委員】分かりました。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】4番目の御質問が温度のことをおっしゃっていたと思うのですけれども、このサイクルのタービン温度というのはそんなに高くなくて、せいぜい400度ぐらいだったと思います。プラス100ケルビン、200ケルビンの世界なので、熱負荷的にはそんなに厳しいものではないです。
 
【米本委員】4番目の質問は分かりました。今のことでも理解しましたけれども、疲労の問題というのがタイプ2のエンジン、本命のエンジンで起きた問題と共通していなかったかどうかなのですが。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】タイプ2のエンジンで疲労は起きておりませんで、前回起きた疲労はエンジニアリングモデルのエンジンで起きた現象です。その起きた現象を積極的に回避するために、2段階のタイプ2のエンジンでそこに取り組もうとしておりました。タイプ1エンジンというのは、打ち上げを確実に行うためということで、ある種運転制約を設けるような形で、エンジニアリングモデルの翼型を大きく変えることなく、打ち上げに臨むということが従来の計画でございました。したがって、タイプ2エンジンというのは、まだ試験をしておりません。
 これから先の話もついでに申し上げますと、今後はタービンにつきましてはタイプ1、そしてタイプ2という区別なく、最終形態を一気に目指すと。それで試験機1号機に臨むということを考えております。
 
【米本委員】了解しました。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】それから、5番目の構造固有値の話ですけれども、私も構造の専門家ではないので、余り正確にお答えできないかもしれないのですけれども、少なくとも視野に入れるべき高次のモードまで含めて確認した結果としては、固有値は全て外した状態で運転ができるということを確認しております。先生がおっしゃるように無限の固有値というところまでは、もう一度確認をしてお答えする必要があるかなと思っております。それによってクライテリアというのが必要かどうかというのは、そこでもう一度考えさせていただこうと思います。そこはこれからの開発に生かしたいと思います。
 
【米本委員】分かりました。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】それから、だんだん私の記憶が怪しくなってきておるのですけれども、6番目が3Dプリンターの件。
 
【米本委員】6番目は先ほどおっしゃったことで、引き続きタイプ1のエンジンの改良を進めて、試作1号機を打ち上げて、それで次のタイプ2のエンジンと言われている3Dプリンターの燃焼機を持つエンジンを並行していろいろ開発を進められていると思うのですが、そういった2段階開発というのをこのまま引き続き進めていくのかなというふうな質問になります。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】おっしゃるとおりです。基本的に2段階開発は残っておりまして、タービンに関してはタイプ1と2は統合してしまうと。残る部分のメジャーなところは、やはり3Dプリンターを筆頭にした最終的なコストダウン製造方法を適用したものがタイプ2に適用されます。これが試験機2号機に向けて今開発を進めようとしているところでございます。
 
【米本委員】分かりました。ということは、第1段階、第2段階というのがタービンに関しては融合していくという理解でよろしいですか。
 それで7番目の質問まで行っちゃったので、最後は共振フリーという言い方が良くないかと感じたので、何らかの技術用語を工夫していただけないかなと思ったのですが、その辺どうでしょうか。最後の質問はそういう意図です。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】そこは今回お答えができませんので、今頂いた御意見を踏まえて、一度開発チームの中で議論した上で、次回御報告の際に改めて御報告したいと思います。
 
【米本委員】ありがとうございました。岡田さんにおかれましては、是非今後とも成功に向けて頑張っていただきたいというふうに思っております。以上です。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】はい、ありがとうございます。
 
【角南部会長】ほかにどなたか御質問、御意見等ございますでしょうか。米本先生から技術的な面もいろいろと聞いていただきましたけれども。どうぞ。

【芝井委員】手短に御質問させていただきます。今回2つの点に関して対応策を御提示されています。両方ともエンジンの運用パターンを少し変えるということと理解いたしました。そのことによる飛行運用に与える制約は、これまでのものと変わったりするのでしょうか。以上です。
 
【角南部会長】はい、岡田さん。
 
【岡田プロジェクトマネージャ(JAXA)】エンジンが飛行運用に影響を及ぼすものとしては、エンジン性能というのがまず1つありまして、この設計変更がエンジンの性能に影響を及ぼす部分もなきにしもあらずですので、それはトータルとして今までの運用が実施できるように考えていこうと思っているところです。ですので、今のところ大きな影響はないと考えています。
 
【芝井委員】はい、了解しました。
 
【角南部会長】芝井先生、よろしいですか。
 
【芝井委員】はい。
 
【角南部会長】では、ほかにどなたかございますでしょうか。大丈夫ですか。それでは、きょうはありがとうございました。今後のH3ロケットの開発、よろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題ですが、これは審議事項となっておりまして、我が国の有人宇宙探査に関する考え方についてということであります。ISS国際宇宙探査小委員会において議論されているということで、その内容につきまして宇宙開発利用部会にて内容を御審議いただきたいと思います。それでは、事務局から御説明をお願いします。
 
【国分室長(事務局)】宇宙利用推進室の国分と申します。よろしくお願いいたします。
 こちらはこれまでISS国際宇宙探査小委員会で我が国の国際宇宙探査の考え方ですとか、科学探査活動との関係ですとか、過去に脈々といいますか、累次にわたり整理してきた内容がございまして、こちらを一度総括するという作業を行ってきておりました。こちらを参考資料1としてまとめておりますが、この中でアルテミス計画への参画ですとか、この7月に文科大臣とNASA長官が署名したJEDIなど、特に有人宇宙探査という観点からの関心が高まっているということを踏まえまして、同じように過去の取りまとめ、これまでの議論からどういうことが導き出されるか、導出として案を作成したものでございます。
 今回、この資料58-2の後ろ4ページ目以降に、3年前にこの利用部会でISEF2への参加、開催に当たって整理した内容のうち、特に有人宇宙探査に関する部分を抜粋しております。今回こちらの案は、3年前の整理をベースに作成したものでございます。
 改めて本体の御説明をいたしますが、まず1段落目ですけれども、後半、これまで無人でしか成し得なかった活動が有人で行われるようになり、その範囲もISSを含む地球低軌道から月、火星など更なる深宇宙への広がりを見せており、今後も有人宇宙探査の潮流が国際的に大きく展開していくことが予見されております。
 有人探査とそのために先行して行われる無人探査、この表現はこちらの利用部会でも3年前に整理させていただいた国際宇宙探査の定義としていますが、こちらにつきましては外交安全保障ですとか産業競争力、科学技術、人材育成、様々な観点からの意義をこれまで確認してきております。
 もちろんAIとかロボット技術等でどんどん無人技術も高度化しておりまして、今後も最大限活用していくべきものだと考えておりますが、例えば今回のアルテミス計画への参画といったところで、無人のみではなかなか技術的にもコスト的にも実現できないような質の高い計画が今回立案できるようになっていることですとか、それから特に臨機応変の事項等のときの臨機応変な対応が可能であること等々を考えますと、今後人類は有人宇宙探査活動の拡大によって、より広範な成果を得ていくことが想定されます。
 3段落目ですけれども、一方、各国の有人宇宙探査に関するアプローチというのは様々であって、中国、それからインドについては独自の有人計画を持っていて、特に中国は有人宇宙ステーションを建設するとか、月探査を目指すといったことをやっているところです。
 一方、次のページの2段落目に当たりますが、我が国はこれまで費用対効果の観点を踏まえて、可能な限り国際協調の中で有人宇宙探査を進めていくということを基本としておりまして、一国のみで取り組むよりも効果的、効率的に大きな挑戦を進めてきたと考えております。
 さらに3段落目ですけれども、去年の10月に我が国はアルテミス計画に参画を決め、同じように国際協調の中で有人宇宙探査を進展させているところでございます。こちらは欧州とかカナダも同様に進めているところです。
 4段落目ですけれども、これまで同じ表現をずっと使ってきていますが、有人宇宙探査はいわばマラソンのような長期レースでありまして、いったん出遅れると盛り返しは容易ではないものと考えています。これまでISS計画の参加としてやっていましたが、今般、大きな潮流であるアルテミス計画に参画することで、引き続き先頭集団で位置取りが可能になりました。
 一番下の段落ですけれども、このアルテミス計画というものは、有人火星探査を視野に入れつつ、有人による持続的な月面探査の実現を目指す計画であります。一方で、これまで外交安全保障等々、様々な意義を有すると位置付けられておりますが、一方で、アメリカで今、議会で議論されているアルテミス計画というのは、当面数年間で数兆円単位という規模の予算の議論がされておりますところ、我が国単独では到底計画できない予算案が審議されているというところです。これに我が国としては、これまでこの利用部会以下でずっと位置付けてきた4つの重点技術、深宇宙補給技術、有人宇宙滞在技術、重力天体離着陸技術、重力天体探査技術、こちらは宇宙基本計画にも位置付けられておりますが、こちらを中心にやっていくということをこれまでやっておりまして、その実績、蓄積してきたものを活用して、米国との互恵的な協力関係を築き、その上でこれら意義のあるアルテミス計画に参画しているということでありますので、こちらは極めて費用対効果の高い選択であったというふうに考えられると書いております。
 また次のページですけれども、さらに波及効果としましては、アルテミス計画に参画することで4つの技術自体を更に磨くことが可能となったこと、日本人宇宙飛行士の活動機会の確保が見込まれていること、それからさらに今既にJAXAとの共同研究を進めている民間企業と大学等合わせて100社ぐらいありますが、非宇宙産業を含む企業が月探査拠点の構築を想定した共同研究をJAXAと行っていると。こういったことを踏まえますと、大きな波及効果が見込まれていると考えております。
 最後ですけれども、今後アルテミス計画は有人による火星探査に向けて具体化して、これにあいまって各国の有人宇宙活動は様々な形態で更に拡大していくということが想定されております。現時点では具体的な展開は明らかではないのですけれども、一方、我が国としてはきちんと将来にわたる有人活動において、いかなる国際協力の中であっても、我が国にとって意義のある取組を自立的かつ費用対効果の高い形で進められるよう、4つの技術を中心とした有人宇宙技術を引き続き獲得、蓄積し、備えておくことが必要であると、こういった締めくくりにさせていただいております。
 以上、雑ぱくではありますが、考え方の案の御説明です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
 
【角南部会長】はい、ありがとうございます。それでは、ただ今の事務局からの説明について御意見、御質問があればお願いいたします。どなたからでも結構ですが、いかがですか。横山さん、よろしくお願いします。
 
【横山委員】御説明ありがとうございます。後ろの方になりますが、4つの重点化技術を基に国際的な協力関係を築いていくというところでございますけれども、昨年でしょうかね、本部会で議論されたときには、具体的にどういった内容で議論していくのかということはまだ明解に説明が伺えなかった時点ですが、しかしながら今年度既に予算は付いて動いているというふうに伺っております。今動いているアルテミス計画に関することと、4つの重点化技術というのはどういうふうになっているかを少し補足して御説明いただけると有り難いなと思います。よろしくお願いいたします。
 
【国分室長(事務局)】はい、承知しました。参考資料1の4ページ目を御覧いただきたいと思います。国際宇宙探査の取組についてという参考資料の4ページ目、さらに参考としてゲートウェイを含む月探査における協力、取組方針イメージという黒っぽいポンチ絵がございます。こちらに去年のアルテミス計画への参画を踏まえての我が国の協力事項が概略的に載っています。丸1、丸2、丸3、丸4という形で書いておりますが、左上の丸1、ゲートウェイ居住棟への我が国の強みを有する機器の提供ということで、こちらは有人滞在技術ですとか、特にI-HABに対する環境制御、生命維持機器の提供、それから左側のHAROに対するバッテリー機器の提供、こういったものが今回、今年度の予算と昨年度の補正予算でアルテミス計画参画を踏まえて付けていただいているところでございます。
 これに加えまして、我が国の今後の協力事項として、アルテミス計画の中でまた今年の7月に大臣が署名しましたJEDIの中で具体的に記載しているのは、丸2の補給技術、それから丸3のSLIMで月面に降り立って、我が国とインドとの協力事項になっておりますが、月極域の探査機でデータをとっていくというところ、それから丸4与圧ローバ、こちらは今現在、民間企業のトヨタとJAXAが共同研究契約で行っておりますが、これを踏まえた与圧ローバの開発、こういったものが先ほどの4つの技術というところに基づいた協力事項になっているところでございます。
 以上です。
 
【横山委員】ありがとうございます。
 
【角南部会長】よろしいですか、では、井川さん、お願いします。
 
【井川委員】ありがとうございます。1点だけお伺いしたい。コメントに近いものですけれども、これを拝見すると何か現状、技術的なチャレンジが余りないようなさらっとした書き方になっているのですが、こちらで書いてある4つの技術の重力天体着陸とかそういったものについては、極めて重力があるかないかの天体にしか余り経験がないような気もしますし、やはり今後の取組という面でも余りにも簡単に進みそうな書きぶりになっているので、できれば最後のパラグラフ等の現時点では具体的な展開が明らかではないものの後辺りに、僕の個人的な感想ではすごく大きな技術的なチャレンジは残っているということを踏まえてというような文章的な、注釈的なものがあってもいいのかなと思いました。以上です。
 
【角南部会長】はい、ありがとうございます。今の修正点については事務局と相談してそのようにしたいと思いますので、よろしいですか。大西さんですか、どうぞ。
 
【大西委員】大西です。アルテミス計画への参画に当たっては、外交安全保障、国際プレゼンス、又は技術的な意味付け、いろいろな面から意義がある計画であること、また現時点で日本が先頭集団に位置取り可能となったというお話でしたが、正にそのとおりだと思っております。
 ただ、ある意味有利な位置でこの計画に参加しようとしている中で、我が国がどのような貢献をしていくかという部分については、主に技術的な貢献が中心になっているのかなという印象を受けました。ただ、今の国際宇宙ステーションは御存じのとおり、様々な国際協力の中で推進してきているので、アルテミス計画においても今のパートナーよりももっとたくさんの国々を巻き込んで推進していくことが重要じゃないかなと思いますので、そういった国際協調の動きを加速させる意味でも、日本が主体となって貢献していけるような外交的な我が国の働きを盛り込んでいくか、若しくはそういった前提で動いていくことが重要ではないかなと思います。以上、コメントでした。
 
【角南部会長】はい、ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。もしないようでしたら、今御指摘いただいた技術的なチャレンジのところと、外交面での話を事務局と私の方で相談をしまして、修正したいと思いますが、それでよろしければ御提案いただいている議題については了承いただいたということでよろしいでしょうか。
 
【国分室長(事務局)】井川委員の御指摘に一言だけ、すみません。4つの技術、これで終わりとかそういうイメージで書いているものでは全くなくて、最後のページの上の方にもありますが、正に我々更なる火星とかそれ以外に向けて4つの技術を更に磨いていくことが必要だと考えており、御指摘のとおり今後更にそこをやらなきゃならない観点からも、更に磨かなきゃならないという認識でおりますので、御指摘のとおり承りました。
 それから、大西委員からの御発言のように、国際的な観点からどんどん日本が中心になって巻き込んでいかなきゃならないということももっともだと承知しておりますので、また引き続き頑張らせていただきたいと思っています。以上です。
 
【角南部会長】はい、ありがとうございます。それでは、その点を踏まえて若干修文等を進めさせていただくということで、この部会としてはこれを御了承いただいたということでよろしいですか。特に御異議がないようですので、決定といたします。
 それでは、次の議題へ進めます。3番目の議題は陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)の運用状況の報告であります。それでは、今回利用部会におきましても、地球観測衛星データを用いたCOVID-19に対する解析状況の御報告がありましたが、昨今の災害等への「だいち2号」運用によります貢献につきましてJAXAの方から報告をお願いいたします。
 
【平林統括(JAXA)】JAXA第一宇宙技術部門宇宙利用統括の平林より「だいち2号」(ALOS-2)の運用状況について御報告させていただきます。
 次のページをお願いいたします。「だいち2号」は2014年5月に打ち上げられまして、それから6年強過ぎたところでございますが、現在も順調に運用を継続しております。「だいち2号」には表の観測性能という欄で示しますように、幾つかの観測モードを持っておりますけれども、国内におきましては分解能3メートルの高分解能モードで主に観測を行っております。このモードにおきましては一度に50キロメートルもの幅が観測することができます。
 観測方法といたしましては、赤い四角で囲った白いアンテナの部分から地表に対してレーダー波を放射し、地表の対象物からはね返ってくる信号の強度を観測するという形になります。Lバンドのレーダー波は雲を透過することができますので、天候に左右されることなく、また昼夜を問わずに観測可能という特徴を持っております。
 ALOS-2での観測結果につきましては、防災、森林管理、農業、土地被覆、海氷監視、インフラ監視など様々な分野で利用されております。
 次のページをお願いいたします。本日、災害対応を中心に利用状況を御報告させていただければと思います。
 まず、火山監視分野の事例ですが、霧島山でマグマによる山体の変動域を衛星で捉えており、これを赤色で示しておりますけれども、この変動が徐々に収まったことも捉えておりまして、その情報は噴火警戒レベルの引下げ判断の1つとして利用されております。
 また、右側の図におきましては、鬼怒川の降水時の浸水域を赤色で示したものでございまして、この情報につきましては、排水ポンプ車の迅速な配置、運用に活用されております。
 また、右下は徳島県で土砂災害の把握に使われた事例でございます。
 次のページをお願いいたします。昨今のALOS-2での取組状況ということで、災害対応を中心に御説明させていただきます。
 次のページをお願いいたします。令和2年7月豪雨における国土交通省さんからの要請に基づきまして実施して、浸水域の推定結果を防災機関の方に提供しております。動画で7月4日、5日、6日の熊本県人吉市周辺での観測結果から推計したものでございまして、「だいち2号」で行ったものになります。
 次のページをお願いいたします。8月10日、13日、16日の観測結果を示しておりまして、8月10日のところを御覧いただきますと、斜めに白い線状のものが御覧いただけるかと思いますが、これはサンゴ礁を表しております。それから右下の部分が座礁船でありまして、黒いものが流出した油と推定されるものでございます。10日、13、16と見ていただきますと、徐々に流出の油が減ってきている様子が御覧いただけるかと思います。この観測結果につきましては、政府の国際緊急救助隊専門家チームに参加している海上保安庁さんの方に提供させていただいております。また、現地におきましてはモーリシャス政府関係機関と共有され、防除計画の策定等に活用されております。
 次のページをお願いいたします。このページでは西之島の火山活動の監視について簡単に御紹介いたします。2週間ごとにALOS-2で観測を行いまして、その結果を国土地理院さんの方で解析をし、火山活動に伴う地形変化の監視が行われております。真ん中の図を御覧いただきますと、2019年5月の地図に対して、海岸線の位置が赤い線で示しましたように拡大している様子を把握し、その情報が公開されております。
 次のページをお願いいたします。次に予防保全という観点で活用が期待されているものとして、インフラモニター技術、ANATISについて簡単に御紹介をいたします。「だいち2号」でインフラの変位を面的にかつ50キロメートル四方という広範囲に捉える解析システムをJAXAの方で開発をいたしました。例えば上の図で河川堤防や空港の変位を解析した結果を示しておりますけれども、青い寒色系が隆起、オレンジの暖色系が沈下を表しております。ANATISにつきましては従来の測量手法と比較いたしまして、事前の準備が不要ということに加えて、高精度、広範囲、低コストなどの優位性がございます。国交省さんのNETISの方にも登録いたしまして、民間事業者5社との利用許諾契約も締結するなど、実用化に向けた取組を進め・
 
○ICレコーダーの不具合により、この間録音できず
 
・議題(4)「宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)等状況報告」
 
【岩本部長(JAXA)】イベント回数が年200回を超えるほど行われまして、主催団体数は250団体と、ここを拠点に様々な宇宙活動が今進んでいるという状況に発展しております。
 次のページにこれまでの成果の総括としてアウトカムを書いてありますけれども、まずJ-SPARC、2018年5月に始動しましたけれども、約250件以上の問合せと、うち30を超える共創プロジェクト、活動が実施されています。
 さらに実際に双方リソース持ち寄りで実施するプログラムということで、民間企業もお金を出すということを含めた高いコミットメントをしておりまして、うち4割は2年以内に事業化、技術実証を民間資金で実施するということが確定しております。
 さらに3番目、いまだにない市場をつくる動きも特徴的で、先ほど御紹介したヘルスケアですとか食、アバター等々、様々な業界、業種、競合問わず集まるコミュニティ形成がなされております。
 さらに4つ目になりますが、現役職員、これはJAXAの職員ですけれども、クロスアポイントメント制度、それから出向、再雇用、OB職員の活用等々、人材の流動化についても貢献しております。加えてお金の面でもDBJ、INCJさんなど官民ファンドと連携をしておるところです。
 さらに下から2つ目になりますが、10名のJ-SPARCプロデューサー、実際社内の共創メンバー、こちらも200名を超えて活動を行っています。彼らは本業の傍ら、20%ルールということで、自分のリソースの一部を使ってこういった新しい技術、イノベーション活動に参加しているという状況にもなっております。
 一番下に関しましては、今回のJ-SPARC制度自体、いろいろな法人の方々、オープンイノベーションを特にしようとしている機関から問合せが多くありますということを御紹介したいと思います。
 次のページは実際のプレイヤーの共創でやられている顕在市場から潜在市場、宇宙以外から宇宙までと幅広い分野で様々な活動を行っています。例えば打ち上げ機ですけれども、先ほどインターステラを紹介しましたが、そのほかにもPDエアロスペースさん、スペースウォーカーさん、スペースワンさんらと様々な業界の中でもいろいろな企業さんと将来のビジネスを目指して共創活動をしているところです。
 最後のページになりますが、このほかにもJ-SPARCを支える、補完するという形で様々な活動を行っています。JAXA発ベンチャーということで、既に7社起業しておりますけれども、そのほかにもまた新たな起業に手を挙げている人が出てきていたり、業界内外の人材流動を促進するということで、経産省さんと協力してスペースキャリアフォーラムというようなものを開催したり、先ほどお話ししたとおり、DBJ、INCJ、SPARXさんとの連携を取っておりますし、来年度からJAXA自身も出資ができるような状況になりますので、そこの準備を進めているところです。
 最後に右下、共創ワークショップの実施とありますが、先日福岡の方で九州地区の自治体とのワークショップをやりましたけれども、新しい宇宙ビジネスを起こす動きとして、企業さんのみならず地方自治体ともいろいろ活動を進めながら、次の新しい事業を起こすという活動を進めているところです。
 ちょっと駆け足になりましたけれども、以上になります。どうもありがとうございました。
 
【角南部会長】はい、ありがとうございました。それでは、ただ今のJ-SPARCの説明について御意見、御質問等があればお願いいたします。鈴木さんですか、よろしくお願いします。
 
【鈴木委員】鈴木です。よろしくお願いします。着実に広範の領域で具体的な進捗があることを理解できる報告を頂きました。ありがとうございます。J-SPARCの中長期的な目標などがあれば具体的に教えていただいてもよろしいでしょうか。特にKPIなどで継続的に追っている指標などがあれば、それも併せて教えていただける有り難いです。例えば7ページ4つ目のパラグラフにある宇宙ベンチャーの新規資金調達に貢献みたいなところも、具体的な調達金額の合計などというものも数字として積算して示すこともできるかなと思いますので、その辺りも把握しているものがあれば教えていただければ幸いです。
 
【岩本部長(JAXA)】まずKPIの方ですけれども、今具体的な数字としては出てきておりませんが、1,000億円のリスクマネーを投入するというお話もございましたので、かつ1.2兆円から2.4兆円に市場規模を大きくするというところに貢献すべく、我々は活動を進めています。
 特に具体的なものとしては、我々の中長期計画の中に、新しく将来の宇宙産業の中核を担うような事業、それを3分野以上創出するとか、宇宙産業成長の起爆剤となるような案件、共同事業を10件以上創出しようですとか、民間とJAXAが協力して実施するフラッグシップとなるようなプロジェクト、こういったものを3件以上創出する、そういったことを内部では目標として設定しておりまして、進めているところです。
 
【鈴木委員】ありがとうございます。具体的にそういった件数ですとかそういったもののイメージを共有されながら進めているということであれば、その方針でその調子で進めていただければと思いますので、よろしくお願いします。
 
【岩本部長(JAXA)】はい、ありがとうございます。
 
【角南部会長】それでは、そのほかございますでしょうか。よろしいですか。それでは、次の議題へ進めます。はい、ありがとうございました。
 5つ目の議題ですが、宇宙探査イノベーションハブの状況の報告であります。これはJSTによるハブ構築支援事業として、2015年から5年間、JAXAにて推進してきた事業で、今回はJST事業が終了したということでございますので、これまでの成果についてJAXAより報告をお願いします。
 
【船木ハブ長(JAXA)】宇宙探査イノベーションハブの船木と申します。よろしくお願いいたします。
 今委員長の方から御紹介がありましたとおり、JSTの方の支援を受けまして続けておりましたハブの事業、特にハブのスキーム、それからハブで行ってきた研究開発、現在からの取組について順番に御説明してまいります。よろしくお願いいたします。
 このページに宇宙探査イノベーションハブが目指すところということで、探査研究の在り方を変えたいということが書いてございますが、3つのポイントがございます。
 1つ目、効率よく短期間で挑戦的な探査を実現するために、アプローチの転換を図りたいと。それから、技術開発の出口戦略の転換を図りたい。これは探査技術獲得だけではなく、地上産業への波及を同時に担えるような研究開発ができないかということになります。
 2つ目は、少し将来のことまで10年先をイメージした民間企業を含めた多種多様なプレイヤーが例えば月の利用に参画する姿、これを見据えた上で技術革新を狙いましょうと。
 それから3番目ですが、利用ニーズを取り入れるために、研究課題の設定の段階から民間企業等も巻き込んだオープンイノベーション型の探査研究を進めるということで、下の方に図がございますが、従来ですとJAXAが研究開発を担い、JAXAが開発を進める、発注する、これが成果を得られれば産業へ結び付くという社会実装がなされてきたわけですが、これに加えて探査ハブでは研究開発の段階から企業と大学と一緒に、またプロジェクトの段階では共同で機器、あるいはプロジェクトを開発し、これが事業としては地上も含めた宇宙でも両方での事業につながるように目指してございます。
 次のページをお願いいたします。具体的な成果、スキームとしての成果なのですけれども、2つございます。1つ目が研究課題の設定段階から民間企業等のニーズを取り込む参画型のやり方で成果を得られたということ。これは図の方で描いてございますが、ニーズやテーマの掘り起こしのために、情報提供要請、RFIと呼んでおりますが、それから共同研究募集、RFP、こうした2段階の方式を設定しまして、なおかつ次ですが、宇宙と地上の共通の研究課題を解決する研究課題に取り組む、地上と宇宙のデュアルユーティライゼーションという呼び方をしております。こうしたスキームを使いまして、これまで94件の2019年度、昨年度までですが、共同研究を実施しておりまして、特筆すべきは民間企業等の研究に対する自己投資額が増えてきておりまして、民間企業等の自己投資額が国費を上回ったというところがございます。右の方に共同研究参画による自己投資について記載してございますが、上の青並びに紫の部分がJSTでの助成金、それから探査ハブの今回の関連予算は2.1億円ございますけれども、2019年度までに累積で。企業の自己投資はそれらを少し回る8.8億円になっておりまして、宇宙だけではなく地上でも事業化を目指した研究を盛んにすることで、企業の積極的な投資を呼び込むことができたということで、非常にうれしく思っております。
 また、約9割の参画企業、大学が非宇宙分野からということになっておりまして、この様子、下のグラフにも記載してございます。
 もう1つは、人材糾合、異分野融合によるオープンイノベーションの実現ということで、民間企業の参画を促すようなシステム、クロスアポイントメントでは現在7名の方がJAXAにいらして活躍中です。またイノベーションハブ特有の知財制度を確立しまして、結果といたしましては最後の項目ですが、JSTの事業としては非常に高い評価を受けることができました。
 次のページをお願いいたします。様々な参画企業を日本地図の上にプロットしてみましたけれども、日本国内で広く参画していただいているのと、それから左上の方に記載しておりますが、企業が102社なのですけれども、それのうち中小ベンチャー企業が47社になっておりまして、先ほども申しましたが、宇宙以外の分野から全国からの参画が得られているということで紹介させていただいております。
 次のページをお願いいたします。ここからは研究成果について非常に簡単に御紹介させていただきます。7ページ目には我々が探査ハブを始めるときにイメージした異分野からの参画が必要になる探査技術についてイメージ図を描いております。20年後にはここに示しているような宇宙、月の活動がありまして、そこではこれまで重要だった、これからも重要ですが、探るという探査のキーワード以外に、建てる、支援する、作る、住むといった地上での技術がそのまま宇宙で応用できるような技術分野がきっとあるでしょうと。こういった様々な日本の得意とする技術を将来の宇宙探査に盛り込んでいくことができないかというところがスタート地点でございました。
 次のページをお願いいたします。これらに対してこのスライドは得られた成果ですけれども、我々は月面での活動をイメージして研究開発をスタートさせたのですが、それ以外にも様々な成果が得られておりまして、左上にははやぶさ2にも適用されたvSLAMという地図情報を獲得するシステム、上の真ん中では後で紹介しますが、光通信モジュール、それから住宅システムということで、こちらは今南極の方に宇宙でのイメージをさせていただいた持続可能な住宅システムを導入しまして、その検証を行っているところですが、将来は単に宇宙を探るだけはなく、宇宙に住む、宇宙で農業を営む、あるいは左の方には月面で施工を行う等々ありますが、様々な分野の方々が様々な視点から宇宙と、それから地上との適用を目指した研究開発に参画いただいています。
 次のページをお願いいたします。次の2つのスライドでは、具体的な成果として書かせていただいておりますが、詳細は申し上げませんけれども、このページは世界初の小型光通信装置の実証による宇宙通信インフラ構築への貢献ということで、左下の絵が分かりやすいと思いますが、光ディスクの技術を真ん中の下の図にありますが、小型光通信装置、SOLISSという形にまとめることができまして、これをISS、国際宇宙ステーション上で世界初の超小型双方向光通信の軌道上実証という形で設置しまして、非常に廉価な信頼性の高い技術が宇宙に適用されて、宇宙でこの規模の初めての光通信技術を実証することに成功したということで、宇宙でも地上でも使える技術として特筆すべき成果だと思っております。受賞等も頂いておりまして、大変光栄に思っております。
 次のページをお願いいたします。また、こちらには今後、軌道上実証等を計画しております2つの特筆すべき成果、共通技術にまたがる成果について紹介させていただいておりますが、詳細は割愛させていただきますが、上が小型高効率モーターということで、小型でかつ発熱が極めて少ない世界最高性能のモーター、あるいは下の欄には全固体リチウムイオン電池について示させていただいておりますが、全固体のリチウムイオン電池が共同研究の中で完成させることができまして、軌道上実証も含めた研究開発をさせていただいております。
 次のスライドをお願いいたします。次は今後の探査ハブ活動についてまとめてございますスライドです。昨年度の3月をもちましてJSTの事業は終了しておりまして、現在は2つの方向性で事業を継続しております。
 1つは宇宙探査への更なる貢献ということで、アルテミス計画等の国際宇宙探査との連携、あるいは昨今の社会課題も踏まえた新たな研究テーマ、そういったことを設定した上で、現在、6回目の共同研究募集を実施中でございます。
 また、宇宙探査に関わる技術課題については、国際宇宙探査等の具体的なプロジェクトへの反映も念頭に、活動を進めてまいりたいと思っております。
 また(2)のデュアルユーティライゼーション型の研究システムの拡大、発展という意味では、こうしたシステムを他の研究機関、あるいは民間事業者、例えばJAEAさんですとかJAMSTECさんを検討したり、またJAXAの中では探査以外の有人宇宙分野、あるいは衛星・輸送分野との連携も模索したりしているところです。
 また、こうしたシステムを常に飛躍的に発展させるための外部資金の導入等も併せて検討させていただいているところです。
 以上で探査ハブの現状についての御報告を終わりたいと思います。御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。
 
【角南部会長】船木ハブ長、ありがとうございました。それでは、ただ今の御説明について御質問等、御意見がございましたら。はい、村山先生。
 
【村山委員】非常に興味深いプロジェクトで、成果について非常に明確に説明していただいたのですけれども、成果を上げるにおいて非常に苦慮された課題があったと思うのですよね。こういうバリアがあった。特に宇宙の技術を民間にもということに当たっては、やっぱり規制だとかそういうことが非常に壁になる場合がありますので、そういう問題点をまとめておいていただければ、将来に非常に役立つと思うのですよね。特にこういうところの規制を変えれば、もっとスムーズにいったはずだとか、そういう知見にもつながりますので、成果とともに課題の方もまとめていただければ有り難いと思います。以上です。
【船木ハブ長(JAXA)】ありがとうございます。民間とのスタートアップするための課題が確かにございました。きょう御紹介できず申し訳なかったのですが、これらの課題については、ノウハウレポートの形で5年間の活動をまとめてございまして、またの機会に御紹介させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
【村山委員】はい、ありがとうございます。
 
【角南部会長】そのほか、永原さんですかね、手が挙がっていますか。
 
【永原委員】はい、ありがとうございます。永原です。大変興味深い御報告ありがとうございました。いろいろな実績が上がってよかったかと思うのですが、今後のことなのですが、これまでJSTがそれなりの貢献をしてきて、そのことが割とベンチャーや大学が加わりやすかった1つの要素なのかなと思うのですが、先ほど今後の計画も御説明いただきましたが、今までと同じような非常にいい成果を出していけるような仕組みですね。今までJSTが果たしてきた役割みたいなものをどういうふうに総括されておられて、それを今後にどうやって生かしていくか、あるいは今度、JSTが抜けてしまった後、どのようにJAXAがうまく進めていくかというような今後のプランについてもう少しお聞かせいただけると有り難く思います。以上です。
 
【船木ハブ長(JAXA)】御指摘、御質問ありがとうございます。基本的にはJST様との事業が非常にうまく進みましたので、そこでやってきたことを継続するというのが基本的な方針になります。やはりJAXAだけで足りないと思っているのは、民間さんとの研究課題が候補として上がってきたときに、将来の特に地上での事業についてこれが使えるのか、育っていくのかという事業化の判断のところが非常に難しいというのがございました。
 また、知財をまとめていくに当たっても、民間での実績、あるいは経験とかがない方、経験がある方がたくさんJAXAにいるわけではありませんので、知財の活用と、それから事業化の目利きの部分、こういった部分がJSTさんにこれまで支えられてきた部分だと思っております。この部分は是非JAXAの事業としても引き継がせていただきまして、強化させていただきまして、この事業を基本的にはこれまでのやり方、うまくいった部分を伸ばしていく形で進めてまいりたいと思っております。また次の機会に頂ければと思っております。よろしくお願いいたします。
 
【永原委員】ありがとうございました。
 
【角南部会長】はい、ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。それでは、ハブ長、どうもありがとうございました。
 
【船木ハブ長(JAXA)】失礼いたします。ありがとうございました。
 
【角南部会長】それでは、次の議題へ進めます。非公開審議に入る前に、6つ目の議題のその他の事項といたしまして、前回、宇宙開発利用部会で事務局から口頭で報告がありましたH2Aロケット42号機の打ち上げ結果でございます。参考資料2に記載されていますので、事務局から簡単に御紹介をしていただきます。これに続きまして、これも前回の利用部会にてJAXAから報告がありました日本人宇宙飛行士の米国商業有人宇宙船への搭乗進捗につきまして、JAXAから現状についての御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
 
【笠谷企画官(事務局)】文部科学省事務局でございます。まず参考資料2でございますが、こちらの方は先般、7月20日にH2A42号機におきまして、アラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機、HOPEの打ち上げに成功したということの御報告でございます。
 H2Aロケットは計画どおり飛行いたしまして、打ち上げ後約57分で衛星の分離が確認されました。また今回、MHIが受注したミッションではあるのですが、ちょうどこれがUAE建国50周年を迎える節目の年となってきまして、中東初となる無人探査機による火星到着を目指すミッションということで対応しております。
 42号機の成功によりまして、H2Aロケットは今回の打ち上げ成功でH2Bと合わせて45回連続の成功となりまして、52分の51ということで、打ち上げ成功率は現在98%超に達しております。
 以上でございます。
 
【佐々木理事(JAXA)】引き続きまして、日本人宇宙飛行士の米国商業有人宇宙船への搭乗進捗について、JAXA国際宇宙ステーションを担当します佐々木の方から簡単に御報告します。
 前回、前々回と安全確認状況報告につきまして、信頼性統括の泉の方から御報告させていただいていますが、その後、有人試験飛行ミッションが宇宙ステーションの任務を完了して8月2日、ISSから離脱、3日に米国のペンサコラ沖合の海上に着水をして、2名の宇宙飛行士が無事に帰還をしました。
 JAXAはその後、これらの飛行後の評価、それから宇宙船システム認証、米国で行われますが、これの確認を今行っているところです。また、野口宇宙飛行士が搭乗します運用初号機に向けた安全確認を継続して行っております。
 そういう状況の中で、運用初号機の打ち上げ目標につきましては、今10月下旬ということで言われていますが、これに向けて再来週にプログラムレベルの運用確認、準備の確認、それから打ち上げの1週間前に最終的な確認を予定されておりまして、その中で最終的にJAXAとして安全の評価を行う予定にしています。
 また、併せてJAXA独自の安全評価も行いまして、最終確認結果を御報告したいというふうに考えておりますが、本部会のスケジュール調整の中でうまくタイミングが合わない可能性もありますので、我々として最終確認結果については報告書としてまとめさせていただいて、事務局に提出させていただき、事務局の方から皆さんに送付いただくというふうにお願いしたいと考えております。御報告は以上です。
 
【笠谷企画官(事務局)】文部科学省事務局でございます。今JAXAから説明がありましたように、クルードラゴンの安全報告の最終報告書は、こちらの方、受領後、事務局から各委員の先生方にメールにて送信いたしますので、送信いたしました報告書に対して何かコメントがございましたら、時間がなくて恐縮なのですが、メールを送って、一両日中に事務局の方に御連絡いただければと思います。事務局の方からJAXAの方に連絡いたします。よろしくお願いいたします。
 
【角南部会長】はい、ありがとうございます。ただ今の事務局からの説明、JAXAも含めまして御質問があればお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、事務局から何かそのほか御連絡事項があればお願いします。
 
【笠谷企画官(事務局)】事務局から報告いたします。報告に入る前に、1点、先ほど私、H2Aの報告をいたしたのですが、そのとき打ち上げ成功率が52分の51とお伝えしたかと思うのですが、間違っておりまして、H2AとH2B足して51分の50でございます。成功率98%超は変わりません。大変失礼いたしました。1点訂正させていただきます。すみません。
 それで、本日の資料についてですけれども、会議資料と議事録の公開について申し上げます。宇宙開発利用部会の運営規則に基づいて、本日の会議資料は非公開審議資料を除きまして公開となりますので、既に文部科学省のホームページに掲載させていただいております。また議事録についても非公開審議を除き公開となりますので、委員の皆さまにまた後日御確認いただいた後、文部科学省のホームページに掲載させていただきますので、よろしくお願いいたします。以上となります。
 
【角南部会長】はい、ありがとうございます。
 それでは、この後非公開審議に移りたいと思いますので、皆さま、公開オンラインの方では退室いただいて、引き続き非公開オンラインの方にお入りいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
○非公開の説明/質疑あり。
 

―― 了 ――

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