宇宙開発利用部会(第56回) 議事録

1.日時

令和2年5月19日(火曜日) 15時00分~17時30分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 令和2年度宇宙開発利用部会の運営について 1)部会長の選任及び新任臨時委員の紹介 2)宇宙開発利用部会運営規則一部改正の報告
  2. 宇宙ステーション補給機「こうのとり」9号機(HTV9)に係る安全対策について【審議事項】
  3. 将来宇宙輸送システム調査検討小委員会提言(中間取りまとめ)について【審議事項】
  4. イプシロンロケット H3ロケットとのシナジー対応開発の取組状況について【審議事項】
  5. 日本人宇宙飛行士の米国商業有人宇宙船(USCV)への搭乗について【報告事項】
  6. 宇宙科学ミッション打上げ計画について【報告事項】
  7. その他

4.出席者

委員

部会長 角南 篤
部会長代理 青木 節子
臨時委員 井川 陽次郎
臨時委員 大西 卓哉
臨時委員 芝井 広
臨時委員 鈴木 健吾
臨時委員 髙橋 德行
臨時委員 高薮 縁
臨時委員 鶴岡 路人
臨時委員 永原 裕子
臨時委員 林田 佐智子
専門委員 藤井 良一
臨時委員 松尾 亜紀子
臨時委員 村山 裕三
臨時委員 横山 広美
臨時委員 吉田 和哉
臨時委員 米本 浩一

文部科学省

研究開発局長 生川 浩史
大臣官房審議官 岡村 直子
研究開発局宇宙開発利用課長 藤吉 尚之
研究開発局宇宙利用推進室長 倉田 佳奈江
研究開発局宇宙開発利用課企画官 原田 大地
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 渡邊 真人
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 岡屋 俊一
 
(説明者)
調査・安全小委員会
 主査 木村 真一
将来宇宙輸送システム調査検討小委員会
 主査 遠藤 守
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 理事 布野 泰広
 理事 國中 均
 研究開発部門 第4研究ユニット ユニット長 沖田 耕一
 宇宙輸送技術部門 イプシロンロケットプロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 井元 隆行

5.議事録

○会長には、科学技術・学術審議会令第6条第3項の規定に基づき、委員の互選により角南委員が選任された。
 
※青木部会長代理から、宇宙開発利用部会運営規則について説明された。
 
【角南部会長】それでは、次の議題に移らせていただきます。2つ目の議題ですけれども、宇宙ステーション補給機「こうのとり」9号機(HTV9)に係る安全対策についてです。調査・安全小委員会において「こうのとり」9号機に係る安全対策の調査審査が行われましたので、小委員会の木村主査から御報告をお願いいたします。木村主査、お願いいたします。
 
【木村主査(調査・安全小委員会)】ありがとうございます。木村でございます。それでは、小委員会での検討結果について報告させていただきます。
 資料は資料56-2-1、それから56-2-1の付録、それから56-2-2と3つございます。
 最初に資料56-2-1をごらんいただきたいと思います。調査審議の概要ですが、対象が変わっておりますが、定型的で従前と同じ形式で書かれております。
 次に調査審議の方法なのですけれども、今回は新型コロナウイルス感染拡大防止のために、対面会議をやめて書面審議で行うということにいたしました。小委員会では偶然ではありますが、前回よりメールでの書面審議を併用する方式に変更しておりまして、これがちょうどよい導入になったところでございます。
 今回、各委員の方々が十分御検討いただけるように、資料提供からそれに対する検討期間、質疑応答期間として約7日間をかけて実施したというところが従前と異なる点になります。従来と同様に調査審議ができたというふうに思っております。
 次に調査審議の結果ですけれども、ここから説明させていただく前に、本文の後に付録1、2がございます。その中のページを追って主な点を説明させていただきたいと思います。
 まず付録1の5ページをごらんください。HTVの機体の構成図が描いてありますが、これまでの号機と基本的に同じもので、直径が4.4メートル、質量は約16.5トンという宇宙機でございます。
 左側に宇宙ステーションに接近するところの絵が描いてあります。レーザー光及びRFリンクで宇宙ステーションとコミュニケーションして接近しているということになっています。
 次に6ページをごらんください。ここに宇宙ステーションに軌道上実験装置、NASAの補給物資等が記載されています。これらは今回審議範囲ではありませんが、号機ごとに変わっていくものでございます。補給物資ですので号機によって変わっていきます。
 次に9ページに進んでいただきたいと思います。前回同様に調査審議した評価の対象ですけれども、赤い四角で囲ってある部分で、HTV9号機のISS係留に関わる安全対象の評価に関して調査審議いたしました。付録1資料には、係留フェーズ以外も参考として一応記述させていただいております。
 続きまして付録2に移っていただけますでしょうか。4ページをまずごらんください。ここに9号機が8号機とどういう点で異なっているかがまとめられています。8号機から主要な変更点は全部で6点ありますが、安全上の観点から重要な点をピックアップさせていただきますと、一番右上の箱にあります変更点4のミッション機器としてWLAN Demoのモニタカメラと熱流束センサの推進系モジュールへの搭載、これがまず1点ですね。これは将来のHTV-Xで採用予定のWLAN Demo試験機材及びスラスタ、熱流束計測用のセンサの搭載であります。
 次にその右下に行きまして、変更点5にも同じくミッション機器としてWLAN Demoのデータ処理装置の非与圧キャリアに搭載があります。これも先ほどもWLAN Demo用の別機材の搭載になります。
 それからこの下の変更点6にHTV9にHTV8用の暴露パレットを搭載して廃棄。前回もあったと思うのですけれども、これについても前号機同様に残留していたHTV8用の暴露パレットをHTV9に搭載して廃棄するということです。
 それ以外に照明タイプの変更、ラックの変更等がありますけれども、既に実績がある内容なので、安全上は問題がないかと思っております。
 次に詳細について説明をさせていただきます。
 まず9ページにWLAN Demo実験概要が記載されています。10号機から運用が計画されているHTV-Xですが、そこではこれまでのロボットアームによるISSドッキングではなくて、自動ドッキングシステムを採用予定です。その場合、HTV-Xの推進系モジュール等に搭載したカメラの映像により自動ドッキングを行う計画ですが、ここで得られた画像がいわゆるWi-Fi経由で適切にデータ伝送できるかどうか、ここの確認のための技術獲得実験です。
 同時に熱流束データを取得することで、HTV-X設計のための推進系モジュール部のスラスタ噴射による熱影響データも取得する予定です。
 10ページにはWi-Fiデータ伝送実験時における各システムとの安全上の検討結果が記載されています。ポイントとしては、HTV本体と実験装置間のインターフェースについては、熱構造と電気的インターフェース等の条件が定められており、WLAN Demoはこの条件を満たす前提で開発されているということです。
 第2点として、WLAN Demoのデータが取れなくても、基本的にHTV9号機自体の飛行や安全に影響はないということです。
 11ページに示されているように、デモ実験に関して構造ハザード、それから電気ハザード、電磁放射ハザードに関して、それぞれ安全評価されているということを確認いたしました。また、機器は船外に搭載されておりますが、船外活動の作業範囲外に設置されていることも確認しております。
 続いて13ページをお願いいたします。HTV8号機の暴露パレットをHTV9に搭載して廃棄するプロセスが記載されています。前号機でもあったオペレーションですけれども、前号機同様にHTV8用暴露パレットのHTV9への挿入に関してかみこみがないこと、それから暴露パレットが非与圧キャリアに固定できることなど、ハザードについて安全評価が実施され、適切に検証されているということを確認しております。
 また前回説明しましたけれども、最後、今回のHTV9の暴露パレットはNASA所掌ですけれども、ロボットアームで直接廃棄というような予定になっております。
 14ページ以降はハザードレポート、続いて基本指針に関する適合性評価の全項目が並んでおりますが、非常に細かい内容ですので、説明は省略させていただきたいと思っております。
 以上、HTV本体の大きな変更点ではありませんが、変更点はHTV-Xに向けた実験関連が主体で、他の項目も含めて安全上の対応は十分取られていると判断されました。それを結論としてまとめたのが資料56-2-1本文の2ページ、3項でございます。ここについては読み上げさせていただきます。
 JAXAは、HTV9号機のISSの係留フェーズに際して、号機間横断的な審査結果と「こうのとり」8号機までの審査・運用実績を踏まえた安全対策について、NASAとの役割分担を含む所定のプロセスに即した安全審査を実施し、安全対策の妥当性が確認されたとしている。JAXAの安全対策について調査審議を行った結果、基本指針に定める各要件を満たしていると判断しますと。
 以上のとおり、JAXAによる安全審査により妥当と判断されたHTV9に関わる安全対策は、基本指針に定める各要件を満たしており妥当であると判断するというのが小委員会における結論でございます。
 以上、御説明した資料は資料2-2の調査審議のポイントとしてまとめております。
 私の方からの報告は以上です。よろしくお願いいたします。
 
【角南部会長】ありがとうございました。ただ今の木村主査の報告につきまして御意見、御質問がありましたらお願いいたします。はい、米本先生、お願いします。
 
【米本委員】今回のミッションでWLAN Demoということで、それはHTV-Xの自動ドッキングということに寄与する実験だというふうに思うのですけれども、Wi-Fi経由で伝送されたデータはどこに行って、それはどういうふうな扱いをされて、自動ドッキングということになるのかというシステム的な話が分かれば教えていただきたいのですが。
 
【木村主査(調査・安全小委員会)】それは今回の実験機器についてという意味でよろしいですかね。
 
【米本委員】最終的にどういう形で自動ドッキングになるのかということにつながると思うのですけれども、Wi-Fiで画像伝送したのがどこに伝送されて、そこでどういう役割を持って自動ドッキングということになるのかが今よく分からなかったので、分かる方に教えていただきたい。
 
【木村主査(調査・安全小委員会)】今回議論した中でそこまでフォローできているかというと、HTV-Xの内容も含むのであれなのですけれども、JAXAさん、補足の方お願いしてよろしいですか。
 
【白井室長(JAXA)】JAXAの有人の白井と申します。よろしくお願いします。
 今回のWi-Fiのデモ実験でございますが、まずHTV-Xは後継機になりますが、宇宙ステーションに今後自動ドッキングをするという機能を今、付加しようとしていまして、今後それの開発が進むところでございまして、自動ドッキングするときにおいては、HTVでも同じようにレーザーとかそういったいろいろな技術を使うのですが、ドッキングするときに画像を取得して、クルーから見えるような形、軌道上のクルー及び地上でも見えるようにはすると思うのですけれども、そういった画像を使って運用するということを考えていまして、そういったところで今回、HTV9号機を使って画像伝送ができるかということを実験しようとしてございます。
 今回取得するデータでございますが、これはHTVの画像をISSの方で受けまして、そこからデータを通常行っていますデータリンクをデータ通信の機能を使って、NASA経由で日本の筑波宇宙センターの方にダウンロードするということで、筑波宇宙センターの方で画像を見て、解析を行うということを考えてございます。
 
【米本委員】ありがとうございました。そうするとHTV-Xの将来的なシステムとしての画像のデータ伝送というのは、クルーのモニター用であって、それを使って自動ドッキングする際、画像処理をして、コマンドのやりとりを自動で行うというわけではないということなのですね。
 
【白井室長(JAXA)】画像を直接使って自動的なドッキングの機能に使うということではないということです。
 
【米本委員】分かりました。ありがとうございます。
 
【角南部会長】ありがとうございます。その他委員の先生方何か御質問、御意見等ございますでしょうか。画面で見られないので、手を挙げるということもあるのですけれども、もしあれでしたら御自由に御発言いただければと思います。いかがでしょうか。よろしいですかね。
 そういうことでありましたら、これまでの審議を踏まえて資料56-2-1について、小委員会からの提案どおり決定するということでよろしいでしょうか。御発言がないということはよろしいということで進めさせていただきますので、御異議がないということで決定といたします。ありがとうございました。
 それでは、続きまして3つ目の議題であります将来宇宙輸送システム調査検討小委員会の提言(中間取りまとめ)についてです。これまで将来宇宙輸送システムの調査検討小委員会において議論されてきました提言の中間取りまとめ案の報告でございます。それでは、将来宇宙輸送システム調査検討小委員会の遠藤主査から御報告をお願いいたします。よろしくお願いします。
 
【遠藤主査(将来宇宙輸送システム調査検討小委員会)】角南先生、ありがとうございます。ただ今御紹介いただきました小委員会の主査を務めております遠藤でございます。本小委員会においてまとめた提言の中間取りまとめ案について御報告させていただきます。
 昨年9月になりますが、本開発部会におきまして設置が決定されました小委員会ですが、本年1月15日に第1回の小委員会を開催いたしまして、先週5月13日までに書面審議、オンライン開催を受けまして、計6回開催をさせていただきました。途中3月の下旬には書面審議でございましたけれども、本部会の委員の皆さまからも御意見を頂きまして、それらの内容も含めまして小委員会において更に議論を行いまして、提言案としてまとめさせていただいております。
 小委員会では宇宙輸送システムを巡る流れから現状や民間事業者の取組、また産業、安全保障といった政策の面につきまして、関係府省からも情報提供いただきまして、短期間ではありますが、精力的に検討を進めてまいりました。
 宇宙開発利用部会から本小委員会への検討事項として、再使用型宇宙輸送システムを含む将来宇宙輸送システムについてということでありましたので、本小委員会では再使用型に限定せず、幅広い将来の宇宙輸送システム実現の意義や今後の進め方について議論をさせていただきました。
 今回の提言、中間取りまとめは、現在進められております次期宇宙基本計画をその工程表への反映に資するために、大変短い期間ということもあり、我が国として取り組んでいくための方策、体制などの今後の検討プロセスを中心に提言をしております。
 主なポイントとしましては、後ほど事務局とJAXAから更に説明をしていただきますけれども、第1点としましては2040年代前半までに実用システムの実現を目指す研究開発、実用化のためのロードマップをつくり、第2点として産官学にわたるオープンイノベーションによる競争体制の構築、そして第3として将来宇宙輸送システムに関する革新的な研究開発を総合的なプログラムとして実施することなどでございます。
 本小委員会の検討内容は、事務局を通じまして次期宇宙基本計画の検討を進めている内閣府に対しまして検討経過が報告され、宇宙基本計画案においても盛り込まれていると認識しております。
 それでは、中間取りまとめ案を事務局から説明をしていただき、またさらにこの提言に関連する取組として、JAXAから説明をしていただきます。事務局、よろしくお願いします。
 
【原田企画官(事務局)】ありがとうございます。文科省宇宙開発利用課の原田でございます。
 資料56-3-1と56-3-2を開いていただければと思いますけれども、画面をごらんいただいているかと思います。56-3-2が本体の小委員会の提言、中間取りまとめということにさせていただいておりまして、こちらの方が本体資料となっておりますが、内容に少しページ数がありますので、時間の制限から今回利用部会向けに概要版の資料を御用意させていただいておりますので、そちらをごらんいただきながら御説明を差し上げたいというふうに思います。
 まず、先ほど遠藤主査からも御説明を差し上げましたけれども、3月25日に骨子案の方を書面という形で利用部会の委員の皆さまからも御意見を頂いたところです。それを含めまして主にアップデートしたところ、またそれ以降、小委員会での議論になったところなども御紹介させていただきながら、さはさりながら前回書面ということもあったので、若干全体的に大枠の内容も説明をさせていただければというふうに思っております。
 概要版の1枚目でございますけれども、1.緒言でございますけれども、そもそも宇宙輸送システムというのは我が国の測位であるとか、また気象であるとか安全保障全般に関わる宇宙開発利用の根幹となるインフラとして、その自立性確保といったところが我が国の宇宙政策の基本となっているといったところと、宇宙開発利用が安全保障であるとか経済成長、また科学技術イノベーションにつなげていくためには、今般、利用部会から小委員会の設置要領でございます再使用型宇宙輸送システムを含めまして、将来宇宙輸送システムの発展などによりまして、革新的な将来宇宙輸送システムの実現に向けた取組が必要であろうといったところを初めに置かせていただいております。
 以降、2ポツ目、3ポツ目、現状と課題でございますけれども、基本的には現状と課題を対応させていただいておりまして、まず2ポツの(1)でございますけれども、宇宙輸送システムの意義ということで、宇宙輸送システムはあらゆる宇宙活動の根幹となっているということで、我が国のみならずの国におきましても自立性確保は重要となっております。また、その自立性においては、民間事業者の競争力といったところも必要となっておりますし、こちらの前回の部会におきまして御意見を頂きましたけれども、委員の先生からコメントを頂いたところなのですけれども、国民的な理解も必要であるというところを記載させていただいています。
 (2)内外の動向としまして、丸1でございますが、国内における輸送システムの研究開発と運用ということで、これまでの液体ロケットシリーズである液体H2A/Bまた現在開発を進めておりますH3、また固体燃料ロケットであるイプシロンといった基幹ロケットの開発、運用などを進めてきているところでございまして、こちらも前回書面審議で委員の先生から御指摘いただきましたけれども、2000年以降のロケット開発の経緯をしっかり押さえるべきであるといった御指摘を頂きましたので、本文を後ほど御参照いただければと思いますけれども、本体におきましてはロケットの開発経緯につきましてより詳細に記載をさせていただいています。
 2つ目のポツ、民間事業者の役割増大であるとか新たな事業の活性化ということで、これまでのH3であるとかH2A/Bにつきましても、民間事業者の役割が増してきているところ、さらには民間の小型ロケットが出てきているところを記載させていただいております。
 丸2では宇宙利用の拡大と将来のビジネスの可能性ということで、ここ5年、10年のスパンで深宇宙探査、国際宇宙探査の広がりが出てきていることであるとか、また小型衛星のメガコンステレーション、さらには宇宙旅行、高速二地点間といった様々なビジネスの可能性が出てきておりますし、2つ目のポツでございますけれども、一方でスペースデブリの問題であるといったような周辺環境が大きく変化しているといったところでございます。
 丸3でございますけれども、国外の宇宙輸送システムといったものは当然、先進諸国はそれぞれの主軸となるロケット開発を行いながら、維持発展をさせていると。アメリカのSLSであるとかヨーロッパのアリアン、中国、長征ロケットといった形で、精力的にどの国も進めているところでございまして、同時にどの国においても将来宇宙輸送システムの研究開発を同時並行で積極的に進めているといったところでございます。
 また、視点を変えますとスペースXなどの民間事業者も国際的には更に活躍をして、今競争が激化していると。更なる競争激化というのが進展しております。
 そういった現状もありまして、将来宇宙輸送システムの必要性ということで、現在ロケット開発をやっている国のみならず、様々な国でそういった自立性確保のための研究開発が行われているのですけれども、我が国としても将来の宇宙輸送システムの方向性提示が必要ではないかといった点と、次の2ページでございますけれども、国主導による枠組みだけではなく、民間事業者や大学などの競争関係といった自立性につながる輸送システムといったものが必要ではないかといった現状。
 前回小委員会で割愛させていただいたのですけれども、現在、新型感染症といったところもございますけれども、こういった危機的な様々な緊急事態が今後もあるとは思うのですけれども、そこは置いておきましても、宇宙開発利用というのは気象であるとか安全保障、また通信衛星であるとか測位衛星といった重要な国民生活、あるいは経済活動、さらには安全保障のインフラということでございますので、基幹ロケットの維持、強化といったことと併せて、そういった技術的能力、あるいは人的基盤を維持していくためには、将来宇宙輸送システムの研究開発が重要ではないかといった現状を押さえさせていただきまして、それに対応する3.課題でございますけれども、(1)では現状の基幹ロケットをしっかり継続、更に発展させていくといったところを記載させていただいております。こちらは現在、H3ロケットであるとかイプシロンの開発を進めさせていただいているところではございます。
 (2)では新たな政策ニーズであるとか、あるいは新しく創造されてくるだろう市場に対応する宇宙輸送システムの発展といった者が必要だといったことと、あと(3)でございますけれども、それを踏まえて将来宇宙輸送システムの研究開発の進め方としては、将来出てくる政策ニーズへの対応のみならず、市場をつくっていく、あるいは獲得していくといった意味での将来の革新的な宇宙輸送システム技術の獲得が必要であると。
 また、そういった動きというのは非常に早く現在進展しておりますので、宇宙分野のみならず非宇宙分野を含む最先端の技術、知見を取り込んでいって、イノベーションを取り込んでいくことが必要であろうと。
 さらには、(4)でございますけれども、研究開発、技術的な側面のみならず、社会実装、市場獲得に向けては制度的な枠組み、産学官共創であるとか、自立性を重要視しつつ、海外との連携といったものも留意する必要があるだろうということで、4.が本提言のコアとなる部分で、先ほど主査からも御報告させていただいておりますけれども、1つ目の(1)でこういった現状と課題を踏まえまして、基幹ロケットの維持、強化ということをまず1つ目に記載させていただいております。
 前回の部会の書面審議でなぜ将来宇宙輸送システムの提言の最初に現状の基幹ロケットが来るのかという御質問も頂いてはいたのですけれども、基本現在、このシステムが我々としては唯一宇宙にアクセスできる我が国の手段となっておりますので、まずこれをしっかり維持、継承させていくことと、その技術的なレガシーといったものをしっかり将来宇宙輸送システムにつなげていくことの観点から(1)として記載させていただいております。
 (2)で革新的な将来宇宙輸送システムの実現ということで、こちらが本提言の最もコアになる部分でございます。委員の先生からも御指摘を頂いておりますけれども、単なる再使用型や高いシステムでは駄目だといった御指摘も前回頂いておりますけれども、ここにはアンダーラインを引き忘れているのですけれども、抜本的低コスト化といったところが1つの大きなテーマといいますか、重要なポイントとして、それを実現するようなものをしっかり産学官が役割を果たしながら実現していくと。資金分担なども含めた産学官が役割分担していくということを考えております。
 その進め方ということで、研究開発の課題をしっかり設定して、進捗管理をしていくということで、丸1で複数の研究開発課題を設定しまして、様々な観点、技術的な成立性であるとかコストとか優位性などといったものを踏まえながら、選択と集中を図るといったところで、3ページ目となりますけれども、将来のイノベーションを満たすような挑戦的なものも大胆に取り組んでいくといった趣旨を記載させていただいております。
 個別の技術論には踏み込まないという前提で少し検討を進めさせていただいたのですが、そうは言ってもイメージがつきづらいといったところもあったので、前回の骨子の際にも既に記載をさせていただいてはいるのですけれども、個別の技術例も幾つか掲載させていただいております。御指摘いただいているような前回の部会のコメントでも頂きましたけれども、高頻度の運航であるとかそういったものの技術も重要でございますし、小委員会であるとか、あるいは内閣府の基盤部会の御指摘を頂いてはいるのですけれども、有人化に関するところもその重要性に留意するといった記載をさせていただいております。
 丸2でロードマップの策定ということで、後ほど補足をさせていただきますけれども、主査が御説明差し上げましたとおり、今後文科省が中心となって、研究開発の方向性という趣旨でのロードマップの策定をさせていただくと。
 丸3で共創体制をしっかり構築をする。
 丸4としましては、研究開発マネジメントをしっかりやると。ここにはベンチマーキング、調査分析といったものをしっかり行うということを記載させていただいております。
 (3)でございますけれども、留意事項としましては基幹ロケットの維持強化と将来輸送システムといったものを全く別のものとしてやるのではなく、車の両輪として相乗効果を発揮するといったことと、関係省庁との連携強化をしていく。
 また4ページ目の丸3でございますけれども、産学官がしっかり役割を果たしながら、相乗効果を発揮していくということです。
 丸4人材育成と国民理解の充実ということで、こちらの人材育成に関しては、本文中により具体的に記載させていただいておりますけれども、前回の部会で委員の先生から御指摘いただいたのですけれども、熟練労働者、技能者の方といった産業を支える方の重要性というのをしっかり目を向けという御指摘を頂いておりましたので、その旨を本文にも記載させていただいております。また、国民の理解、しっかり広報を行うべしといった御意見を頂いておりますので、その趣旨を記載させていただいております。
 (4)、ここ1~2年かけてしっかり速やかに取り組むべき事項としましては、ロードマップの策定といったことを先ほど申し上げましたけれども、これは本年の秋にも検討に着手して、来年度中に初版を策定するということと、オープンイノベーションの体制を構築し、JAXAの関連施策といったものを総合的なプロジェクトとして行うといったことを考えています。
 5ページ目、最後でロードマップ、前回の部会の方でお示ししてなかったのですけれども、ロードマップをつくっていくに当たっての視点ということで、5回目以降の小委員会におきまして御用意をさせていただきました。
 目標としまして、主査の方から申し上げましたとおり、具体的なタイムスケールを明らかにすべきであるといったところ、小委員会、あるいは部会の先生からも御指摘を頂いております。そういったところで少なくとも2040年代前半までに抜本的な低コスト化を含めた革新的技術といったものを実現するといったことと、2ポツのロードマップの位置付けにございますけれども、2030年頃には技術実証を行いまして、その後、実用システムの事業化を目指していくといった形になろうかと考えております。
 4ポツ目でロードマップの作成、スケジュールでございますけれども、ロードマップ(仮称)でございますけれども、研究開発の政策としてのロードマップにつきましては、当局におきまして機動的に検討を進めていくということで、本年度秋には開始し、来年度には初版を設定させていただきたいと。それに付随するような技術的なロードマップにつきましては、JAXAにおきまして構想を形成し、令和2年度、本年度中頃には検討に着手して、領域ごとに技術ロードマップを作成していくといったことを想定しております。
 概要でございますけれども、以上でございます。JAXAの関連するものがございますので、JAXAの方から御説明を差し上げます。
 
【沖田ユニット長(JAXA)】続きましてJAXAの方から説明させていただきたいと思います。JAXAの沖田と申します。
 資料ですけれども、今回の資料は前回の利用部会からの変更点を主に説明させていただきたいと思います。
 まず2ページ目に参りますけれども、ここは変更点ではないですが、改めて我が国の基幹ロケットということで、詳細はこの資料の付録に付いてございますが、国産技術によりロケットを開発、製造、運用、我が国の自立的な持続可能な宇宙輸送システムを確保するというものと、それから宇宙輸送系研究開発、それから民間事業との共創プログラム、この3つの取組を実施しているところです。
 3ページ目ですけれども、ここではポツ3国の施策のもと、海外では将来の宇宙輸送システムに向けた中長期的な戦略的な研究開発に取り組んでいると。次世代を担う人材育成にも貢献しているというところが重要なポイントだと思っております。
 5ページ目からが追加になってございます。革新的将来宇宙輸送システムの研究開発の共創体制案としまして、研究開発フェーズに応じた共創体制の狙いとして、大きく3つございます。
 1つはオープンイノベーションによるSEEDSづくりと。これは協調領域での研究開発活動。これはこれまで実現できなかった抜本的な低コスト輸送システムの実用化や上段再使用技術のような技術のブレークスルーに向けたSEEDSづくりといったものを、SEEDSを主につくっていきたいと。宇宙探査イノベーションの枠組みを活用した新たなプレイヤーの発掘と。次ページで詳細を説明したいと思います。
 2つ目の狙いとしまして、連携パートナーの明確化による研究開発の加速といったところで、SEEDSから効率的かつスピード感をもって技術実証、事業の掘り起こし、拡大に向けたシームレスな体制を構築していきたいということで、1つ目としまして企業間競争と企業育成をバランスさせ、幅広い産業振興策をベースに研究開発を推進していくと。民間投資も推奨し、より積極的な企業との連携を進めてまいりたい。当然のことながら、連携パートナーの事業計画と国の政策の実現に向けた適切な役割分担のもと推進していくということを考えてございます。
 3つ目としまして、出口戦略の明確化と官民共同開発による実用成果の獲得といったところで、ここでは大きく2つ考えてございます。1つは効果です。社会実装による国際競争力の強化と、実用成果の獲得により、技術成熟度を早期かつ格段に向上させていくといった効果を狙ってございます。もう1つは、部品レベルからシステムレベルまで、各事業計画に応じた出口戦略とセットで連携パートナーのコミットメントを明確にする。これは基幹ロケット、それから民間事業者双方に対してです。
 以上の取組を通じて、人材育成の拡大、それから産業基盤の維持拡大に資してまいりたいと考えてございます。
 6ページに先ほど説明した狙いをもとに考えている体制案を示してございます。赤い枠は共創体制でございます。真ん中にある黄色いところがJAXAのところです。まず文科省によってロードマップを設定され、それを受けて技術ロードマップ等を設定し、J-SPARCの枠組み、それからオープンイノベーションの枠組み、それから基幹ロケット事業者とのセキュリティを確保したクローズイノベーションといったところで事業を回していきたいと考えてございます。
 それから、続きまして10ページ目が新たに追加したところです。今後の取組方策(案)になります。これは今年度、次年度に向けた取組についてです。大きく2つで、1つは革新的将来宇宙輸送技術の共創体制の構築準備としまして、1つはJAXA内体制の整備、これは先ほども企画官の方から御説明がありましたが、プログラム化を進めてまいりたいということで、JAXA内である研究、LNGの推進系、基盤的研究、それから宇宙輸送デブリ対策など、一元的なマネジメントを実施していきたいと。
 2つ目としまして、徹底した調査分析、ベンチマーキングの戦略立案としまして、ここに方策がいろいろ書いてございます。ただ、国際連携に関しては、自立性の確保及び産業基盤状況を踏まえながら戦略調整を行ってまいりたいと考えてございます。
 3つ目ですけれども、制度や基準など社会的課題の内容の洗い出しということで、これはシステム構想ごとに国内制度、基準の早期課題の洗い出しを行いまして、技術ロードマップでのフォローアップが可能な仕組み、いわゆる可視化を構築していきたいと。これは得てしてシステムを幾ら考えても実用化に至らないという大きな問題に直面しちゃうというのがございますので、これは早期にそういった洗い出しをしていきたい。
 2つ目としまして、オープンイノベーションによるSEEDSづくりへの着手ということで、ここでは3つございます。
 1つは民間企業や大学関係者の産学主体の多様化を促すインセンティブの検討。要は幾ら頑張っても民間事業者、大学にとって苦労しかないというのではなくて、そこにはインセンティブといったものを加えてまいりたいと思っております。
 2つ目としまして、共創体制を生かした革新的将来宇宙輸送系の企画、アイデア募集の取組ということで、広く国内企業、研究者に技術情報照会を通じて、共同研究等に向けて公募課題の練り上げを実施してまいりたい。
 2つ目としまして、共創体制における研究開発プロセス概要に基づきまして、システム構想、技術ブレークダウンを通じて、広く国内の研究者、詳細は次ページで説明したいと思います。
 3つ目ですけれども、宇宙探査イノベーションハブの枠組みを活用した共同研究の推進ということで、これは識別される各研究テーマに対する共同研究パートナーを選定してまいりたいということで、11ページをお願いします。取組全体をプロセス案として示したものでございます。国で制定、見直ししていくロードマップ、それから調査、分析、事業者の声、一般コンテスト等受けて、基幹ロケット戦略、J-SPARC関連の事業に加えて、革新的宇宙輸送システムの候補として、Aシステム、Bシステム、Cシステムといった構想をまず設定しまして、技術ブレークダウンを通じて個別技術ロードマップごとに提示してまいりたいと思います。この際には、安全保障技術及び知財情報等に配慮して、技術ロードマップは設定してまいりたい。公募に対してRFI、情報提供要請を行いまして、JAXA、それからタスクフォースで公募課題の練り上げを行いまして、最終的に研究提案募集を実施していきたい。
 その先に共同研究開発を実施してまいります。先ほどもシームレスといったところから提案企業、JAXA、事業者の共同など体制を組んで実施していくと。ここにはオープンとクローズの枠組みがあると思いますので、そこも十分配慮しながら進めてまいりたいと思います。
 研究開発成果としましては、研究開発成果に基づきまして、当初設定したAシステム、Bシステム、Cシステムの見直し、絞り込み、それから技術ロードマップの加速、見直し、さらに重要技術については地上・飛行実証を実施していくといったようなサイクルを早期に回しながら、革新的将来宇宙輸送システムの実現、それから基幹ロケットをより磨いていくといったことを進めてまいりたいと考えてございます。
 説明は以上です。
 
【遠藤主査(将来宇宙輸送システム調査検討小委員会)】ありがとうございました。角南先生、御報告は以上でございます。
 
【角南部会長】ありがとうございます。それでは、ただ今の遠藤主査、それから事務局の原田さん、JAXAの沖田さんからの御説明につきまして御意見、御質問等があればお願いいたします。それで挙手をされているのは米本先生ですかね。米本委員からお願いいたします。
 
【米本委員】米本です。御説明ありがとうございました。第54回の部会のときの提言案よりもかなり深く検討が進みまして、比較して見てみましたら分量的にも倍になっておりまして、アジアのいろんな問題もやっぱり背景を書いていただきたいということも取り上げていただいたということで、その後の取組にまずは感謝申し上げる次第です。
 その中で、今まで小委員会の資料というのをフォローさせていただいて、全部きちっと読み込めていないところもあると思うのですが、その辺について小委員会の議論ということで、遠藤さんの方に質問ということで投げ掛けてよろしいでしょうか。JAXA時代には随分お世話になって、お話ができるようになったこと、大変光栄に思っております。
 今回、小委員会の方でいろいろ議論になった中に、私も前から有人化技術の取組を我が国としてどうしていったらいいのかというのを真剣に考えていきたいなと思う一人なのですけれども、第4回の資料の中で、将来宇宙輸送システムロードマップ構築に向けた検討の視点という資料がありまして、ここの中で技術革新に向けた研究開発として、有人化技術というものが明確に取り上げられています。その資料のロードマップサンプルの2についても、自立安全飛行という分類だったと思うのですが、ここのロードマップには有人輸送機というものが取り上げられています。
 それで、ここまでいろいろ書いていただいたことで、恐らく宇宙基本計画の案、パブコメに出ている案の中に、有人宇宙輸送に資するという今までにない形での方針を示していただくに至ったかなというふうに思いまして、その流れに関してこういう小委員会の検討が功を奏したというふうには感じています。
 ただ、有人宇宙輸送に資するというのが私としても、個人的な意見だということで聞いていただきたいのですが、やはりアジアの、特に中国、インドも有人宇宙輸送をやると言っている中で、2040代を想定した取組としては、資するではちょっと弱いのではないかというふうに思っていまして、それが小委員会の中でロードマップサンプルの2の中でも有人宇宙輸送機という言葉が出たり、有人化技術というのがはっきり出たりしているときに、それがもうちょっと強いメッセージとして取り上げられなかった経緯というか、委員会の中の議論は一体何だったのかなということをお伺いしたいのですが、質問が長くなっちゃったので申し訳ないのですけれども、簡単にその議論の経緯をお話しいただければ有り難いと思いますが、いかがでしょうか。
 
【遠藤主査(将来宇宙輸送システム調査検討小委員会)】いろいろ審議の議論の経過もちゃんと読んでいただき、ありがとうございます。小委員会でも委員の皆さん、単に再使用、このまま今の使い切りロケットが本当に産業としていけるのか、そういうことではないかと。ただ、再使用にすればそれが達成できるのかというと、やはりマーケットというか、出来上がったものがどんな形でインフラとして利用されていくのかという世界をしっかり見据えないと、単なる技術論だけでは駄目でしょうという御意見でした。
 その中で当然のことながら、有人と言わなくても、中間取りまとめの中でもいろんな新しい文字としてP2Pとか、当然有人も視野に入れてなければ、大きなマーケットの変革ができるというのはそういう状況でありましょうから、そうするとやはり当然のことながら、今から有人ということも視野に入れた研究開発をしていかなければいけないということで、大体委員の皆さんの総意でこういうまとめ方にしております。
 米本先生、資するでは弱いという御意見なのですが、私はそこのところは中間報告に書いておりますが、世の中は非常に早く変化しております。この変化に遅れないように、まず大きなもの、ロードマップを国としてしっかりつくってもらいたい。状況に応じて、変化に応じながら、集中する部分をどこにしていくのかというところが絶え間なくステークホルダー、皆さんが意見を戦わせて、方向を合わせていくということによって、おのずとそういう世界が出てくるのだろうと思うのですね。
 だから、まずは国としてしっかり方針を立てて、その中で恐らくここから先の世界は有人、無人と言っても、意味がないような気もしているのです。まずは具体的な姿を、ロードマップをつくることが先決ではないかというふうに思います。
 
【角南部会長】米本先生、よろしいでしょうか。
 
【米本委員】ありがとうございました。有人、無人という2つの分け方だとか、使い捨て型と再使用というのは、ある意味でハードルが違うと思っていまして、遠藤さんがおっしゃるように、有人、無人と言っても仕方がないのではないかという論理も1つあると思うのですけれども、やっぱり有人というと、飛行機もそうなのですが、それの取組方の基本が大分違うと思いますので、そこを同じもんじゃないかとか、あるいは後で質問しようと思ったのですけれども、革新的な技術の中に、この提言もそうなのですけれども、何となく茫洋(ぼうよう)とした言い方であると、やっぱり先がはっきりとビジョンが示せないと。
 だから有人、無人というカテゴリー、それから基幹ロケットを含めた使い捨て型と、それから再使用と、そういう形でやっていかないと、ビジョンが非常に明確に描けないかなということもありまして、そういう意味できちっとしたビジョンを掲げるのであれば、いずれどの時点かという国の力や予算の獲得の仕方や諸般の事情があると思うのですけれども。有人というのが見えていないのだったらここで言う必要はないのですけれども、恐らく将来の宇宙輸送の中に有人というのは非常に大きな形で入ってくるだろうというのがある程度見えてくれば、そこをやっぱり明確に言うことが国民の理解につながるでしょうし、それから技術だけじゃないというのは確かなのですけれども、そこで腰の入れ方も違ってくるかなというふうには思っています。これは議論が尽きないので、私のコメントだけなのですが、どこかで遠藤さんとお酒を飲んでしゃべるときがあったらお話ししたいというふうには思っています。
 
【遠藤主査(将来宇宙輸送システム調査検討小委員会)】私からもう一言。米本先生のお気持ち、私、非常によく理解ができるのですが、私も40年以上この世界にずっと関わってきていまして、今回の基本計画案にしましても、この小委員会の中間まとめにしましても、米本先生のお気持ちというか、そういうのが世の中でも認められてきて、ああいう文言が出てきているのではないかと私は認識しております。
 
【角南部会長】ありがとうございます。青木先生と私が出ている内閣府の委員会の方でも有人輸送技術の確保の重要性というのは委員の方々からかなり発言がはっきり出されていますので、今後ロードマップの策定というところで遠藤主査はじめしっかりとまた議論していただくのだろうというふうに思います。
 それで、3人の委員の方が手を挙げていらっしゃるので、順番に行きたいと思います。まず横山さん、お願いします。
 
【横山委員】東大の横山でございます。どうもありがとうございます。
 原田さんが御説明を下さいました資料56-3-1の方で少し簡単にコメントさせていただきます。気になりましたのは、(3)と言っていいのかな、宇宙輸送システムについての留意事項の中に丸4人材育成と国民理解の充実という項目がございます。そちらの文章でございますが、特に2ポツの方、国民の取組を人社の知見を得ながら推進というふうにお書きいただいております。この資料の中では確かにそうだとは思うのですけれども、特に関連して出てくるような話では、やはり科学技術基本法から人社の除外がなくなって、特にELSIという倫理的、社会的な問題を宇宙分野でもやろうという点は、私の周りでも若い人を中心に盛り上がってきているようなところでございます。
 そうしたときにかなり大きな枠組みの話を国民の理解の取組に押し込めてしまうのはもったいないかなというふうに感じておりまして、人社の知見を得ながら社会全体で考えていくというところは、本来は上のロードマップ策定の辺りに入れていただくとよろしいのかなと思った次第でコメントさせていただきました。
 以上でございます。
 
【角南部会長】ありがとうございます。では、その件については原田さん、一言いかがですか。ELSIの問題、御指摘がありましたけれども。
 
【原田企画官(事務局)】ありがとうございます。もし可能でしたら、今回の資料56-3-2を開いていただいて、その中の14ページに別添でロードマップの策定に当たっての視点というのを記載させていただいているのですけれども、資料でいうと15ページになります。15ページ、3ポツでロードマップ策定・実施に係る留意事項ということで、その中に(4)で人材育成と国民への広報と理解の確保ということで、しっかり人を育てることとともに、国民への広報活動、あるいは理解をしっかりやっていく取組というのを留意として進めていきたいと思っておりますので、先生から頂いたコメントを含めながら、科学技術基本法などの動向などもございますので、しっかり取り組んでいきたいと考えております。
 以上でございます。
 
【角南部会長】ありがとうございます。よろしいですか。では、次の芝井委員の方にお願いいたします。
 
【芝井委員】大阪大学の芝井です。意見を述べさせていただきます。
 非常に詳しい、前回よりも格段に詳しい詳細な資料をありがとうございます。ただ、私、1つ心配になってきたのは、一言でいいますと、何を開発しようとしているのかということに関して、定量的なゴールが提示されていないと。現段階ではまだそれはなくていいということなのかもしれませんが、じゃ、今ないのであれば、いつどういう枠組みで誰が何を根拠に定量的なゴールを設定するのかということが大変気になっております。
 要するに、現在ないような新しい宇宙輸送システムを確立していきたい、そこは分かるのですが、じゃ、それが一体どういうものを目指しているのかということに関して、やはり定量的なゴールがないとまずいと思います。しかもそれは性能だけではなくて、コストとか一体何年にできるのか、年に何回上げられるのかというところを、後で変わることはあり得るのですが、目標を量として定量的に正確にしっかりと確立していただきたいというふうに思います。
 以上です。
 
【角南部会長】ありがとうございます。これは遠藤さんにお答えいただいても。
 
【遠藤主査(将来宇宙輸送システム調査検討小委員会)】きょうの御報告の中でも申し上げたのですが、他の基本計画の調整等々を行うタイミング等も併せまして、今の時期に中間報告をさせていただきましたが、この中で申し上げているように具体的なゴール設定というのもこのロードマップの中で、これはある意味国としての大きな政策になると思いますので、まず原案は国として、文科省が所掌だと思います。文科省としてまず原案をつくっていただいて、小委員会としてもそれに対して御意見を申し上げながら、一緒になってつくり上げていきたいと。
 おっしゃるとおり、現時点ではこれはまだまだ入り口だけですので、これでは本当の意味で研究開発のスタートにはまだなっていないという認識でございます。
 
【角南部会長】ありがとうございます。内閣府の方の工程表の中にもロードマップ策定というのが明記されていると思いますし、そういう意味では芝井先生の御指摘を踏まえて、ロードマップの策定の方で遠藤主査を中心としてやっていただくということなのでしょうということでよろしいですか。
 続きまして、鈴木委員、お願いします。
 
【鈴木委員】ありがとうございます。資料4-3今後の取組方策の10ページ目で触れていただいていた部分で、私自身も革新的宇宙輸送技術、こちらはすごく日本国が競争力を持って取り組める分野かなというふうに思っているのですけれども、オープンイノベーションによるSEEDSづくりに着手する部分のインセンティブの検討という項目があるのですが、このインセンティブの設計をうまく行うと、本当にSEEDSが効率的に拡充されると考えています。
 けれども、インセンティブという部分について、言葉ではある程度理解できるのですけれども、具体的にどういったものがインセンティブとして設計されるイメージなのか、これを少し共有いただければ有り難いかなというふうに思います。
 
【角南部会長】御意見ありがとうございます。それでは、JAXAの沖田さん、今の御指摘ですけれども、いかがですか。
 
【沖田ユニット長(JAXA)】先生のおっしゃるとおりだと思っております。そういった意味で事業者、いわゆる技術を提供する者、それからそれを使う者といった声をしっかり聞いて、インセンティブというのはどういったものがいいのかというのを、我々がこうだろうというふうな独断をもって設定するのではなくて、声を聞いて、国としてあるべき形のインセンティブといったものを設定したいと考えてございます。
 
【角南部会長】ありがとうございます。よろしいですか。
 
【鈴木委員】正に研究費というのも1つのインセンティブだと思いますし、あと研究機会みたいな、自分たちが検証した内容を一部、こういった輸送技術の部分で実装のテストをしてもらえるみたいなところも1つのインセンティブかなというふうに思いますので、魅力的な設計を進めていただければと思います。ありがとうございます。
 
【角南部会長】貴重な御意見ありがとうございます。JAXAさんの方でよろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして、井川委員、お願いします。
 
【井川委員】井川です。ありがとうございます。
 追加で資料56-3-2の中に昨今の感染症を踏まえて急きょ追加された部分があると思うのですけれども、大体5ページ目から、またなお新型コロナウイルス感染症の拡大はというところなのですが、この6ページ目の冒頭1行目のところなのですけれども、宇宙開発利用に深刻な影響を及ぼしているとありまして、具体性がよく分からないのですが。
 それがどのぐらいまで継続し、通常のいろんな社会の他の分野でいろいろ問題が起きているのでしょうけれども、これがどのくらい深刻なのかもよく分からないのですが、宇宙開発への影響というものをこういう書き方にする必要があるのかどうかというのはやや疑問に思いまして、具体的にはどういうものがあるのかということを質問したいのと、それでもしここが今後の推移も含めて漠としてまだつかみどころがないということも含めてお書きになっているのだとすると、その後に書いてあることを含めて、社会の情勢がこういう状況でもこういった研究開発は重要なのだということを言いたいというだけであるとするならば、5ページ目の最後の行から、人類の生活、社会経済等にも深刻な影響を及ぼしているというふうに、こっちの方には宇宙開発利用は入れない方がいいかと思った次第です。
 以上です。
 
【角南部会長】ありがとうございます。これは。
 
【遠藤主査(将来宇宙輸送システム調査検討小委員会)】遠藤から申し上げます。御指摘のとおり、これは筆が滑ったといいますか、宇宙開発利用に新型コロナウイルスが直接的な影響を及ぼしたという、世界的に見ても打ち上げ作業が停滞したということはもちろんあるのですが、影響の程度としてはそういうレベルですので、人類の生活、社会経済と一緒のレベルで影響を及ぼしているというような表現ではなくて、これは今後こういう緊急事態が起きると、いろんな国の優先順位だとか予算とか、いろんな意味で、あるいは既に打ち上げ延期とかというのも現実に世界的にも起きましたので、今後大きな影響を及ぼすおそれがある程度ですので、この辺は表現を見直したいと。失礼しました。
 
【角南部会長】今の御説明でよろしいですか。
 
【井川委員】はい、了解しました。よろしくお願いします。
 
【角南部会長】そうしたら、高橋委員、お願いします。
 
【高橋委員】ありがとうございます。高橋です。御説明ありがとうございました。革新的将来輸送システムの実現に向けたロードマップの策定は大変大事なプロセスだと思っています。
 そのロードマップですけれども、目標設定が重要な鍵ではないかなというふうに思います。そこで、目標設定に当たっては、コスト面ですとか性能面ですとか導入時期などで、国際的な競争力ポジションが分かるような、例えば競争力マップのようなものを作成していただくと、戦略的な議論が深まると思いますので、御検討いただければと思います。
 以上です。
 
【角南部会長】ありがとうございます。ロードマップについて、また御意見がありましたので、遠藤さん、何か一言ありますか。
 
【遠藤主査(将来宇宙輸送システム調査検討小委員会)】ありがとうございます。当然、競争力、世界の中で日本がどういう位置にいるのか、どういう強みがあるのか、これが非常にしっかりと分析をしてつくっていかなければと思います。これは文科省とともに十分考えながら、JAXAも含めてなのですが、その他の有識者の皆さんに御意見も伺いつつやっていく必要があると。ありがとうございます。
 
【角南部会長】ありがとうございます。その他井川委員、まだ挙手されているようですけれども、何か追加で。
 
【井川委員】ごめんなさい、消し忘れていました。
 
【角南部会長】その他ございますでしょうか。大丈夫ですかね。幾つか皆さんの重要な御指摘を頂きましたので、それはロードマップ等でもしっかりと検討していただくということで、本日は将来宇宙輸送システムの調査検討小委員会からの提言ということで、この部会としては了承したいと思いますけれども、もし御意見がなければ了承させていただきたいと思います。いかがでしょうか。たしか先ほど多少表現のところの修正というのもあると思います。そちらの方は私の方で確認させていただくということで一任させていただければと思いますが、それも併せてもし御異議がなければ、この委員会からの提言案を了承したいと思います。
 
(「異議なし」の声あり)
 
【角南部会長】ありがとうございます。
それでは、次に4つ目の議題であります。イプシロンロケットH3ロケットとのシナジー対応開発の取組状況についてでございます。従来のイプシロンシナジー対応開発と呼んでいたロケット開発計画に関するJAXAでの取組状況と展開について、JAXA内でのプロジェクトとしての審査が行われました。説明をお願いしたいと思います。JAXA、よろしくお願いします。
 
【布野理事(JAXA)】JAXAで輸送系を担当している理事の布野でございます。
 イプシロンロケットに関しましては、これまで4機の打ち上げを実施してきているところでございますけれども、基本計画にH2A/BからH3ロケットへの移行完了時期までに、シナジー効果を適用したイプシロンロケットの実運用を開始することとされておりまして、現在、JAXAにおきましては基本計画並びに工程表に基づきまして、イプシロンロケットのH3シナジー対応開発を進めているところでございます。
 本日は、この場をおかりいたしまして、取り組んでおりますシナジー対応開発のこれまでの取組状況につきましてプロマネより御報告をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
【井元プロジェクトマネージャ(JAXA)】イプシロンロケットプロジェクトマネージャの井元と申します。資料の御説明をいたします。
 まず本日の御報告は、今理事が説明したとおりでありまして、宇宙基本計画、工程表に基づいて開発を進めているところでありまして、前回の御報告からの進捗について御報告いたします。
 右下のページでいいますと3ページをごらんください。こちらに政策的位置付けを記載しておりまして、先ほど理事から説明したとおりでございます。
 4ページに移っていただきまして、こちらがイプシロンロケットの全体像、開発打ち上げの全体像を示しております。2010年の宇宙開発委員会の中で2段階開発という進め方が決まっておりまして、まず第1段階が4号機までの打ち上げに成功しているものでございます。今回の開発というものは第2段階のものでございまして、H3ロケットとのシナジー効果を発揮して、国際競争力を強化するものでございます。
 この第2段階におきまして、この技術を民間事業者に移管しまして、民間事業者の自立的な打ち上げ輸送サービス事業展開を支えて、日本の宇宙産業の規模拡大に貢献していくこととしております。
 第1段階で得たもの、成果をこの第2段階の開発に適用するということで、この成果につきましては後ほどまた御説明いたします。
 5ページに移っていただきまして、こちらがその後の進捗状況全般になります。
 まず1つ目ですけれども、H3ロケットの固体ロケットブースター、SRB-3ですけれども、こちらの燃焼試験の機会を活用しまして、イプシロンロケットの1段として使用します固有技術であります推力方向制御、我々TVCと称しているのですけれども、このTVC機能を付加するための試験を実施しました。今年の2月末に試験を実施しまして、TVC機能、性能が良好であることを確認しております。これがまず1つ目の大きな進捗でございます。
 1段モータに加えまして、コンポーネントの検討も並行して実施してきております。これらのコンポーネントのシナジー効果をシステムレベルで統合するということで、国際競争力により高いロケットシステムに発展させることが可能と判断いたしまして、ロケットそのものの民間移管を見据えまして、ロケットシステム開発及び打ち上げ輸送サービス事業を担う民間事業者として、IHIエアロスペースを選定しております。
 その結果及びこれまでの設計結果、あと民間事業者との調整結果を踏まえまして、システム仕様及び開発計画を設定しまして、JAXAのプロジェクト移行審査を経て、プロジェクトに移行したという状況でございます。
 以降につきましては、ロケットシステムに関するプロジェクト移行審査の結果を中心に御説明いたします。6ページに移っていただきまして、こちらがH3ロケットとシナジー効果を発揮する範囲になります。一番右の真ん中に1段モータ、これはもう既に先ほど御説明したとおり、SRB-3の地上燃焼試験の機会を活用しまして、燃焼試験等も実施しております。そういった成果を活用して、2段モータ、3段モータも推進薬を共通化していくと。また、フェアリングですとか、左に移りまして小型液体推進系(PBS)、あとアビオニスク、こういったものも機器の共通化といったものを考えておりまして、火工品も同じであります。
 あと右下の射場施設設備につきましては、効率的な開発ということを目的としまして、機能を共通化できます射場系ですとか飛行安全系設備をH3と共通化していくということで、開発の効率化ですとか価格の低減といったものを実現する計画でございます。
 7ページに移っていただきまして、こちらが第1段階で開発しました強化型と第2段階の本開発、名前が長いのでイプシロンSロケットというプロジェクト名称を設定いたしまして、イプシロンSという形で御紹介させていただきます。
 まず、強化型につきましては、基本形態とオプション形態という2つの形態がありましたが、今回仕様を統一化するということで、製造を簡素化するということを考えています。
 全長はサブシステムの変更に伴いまして1メートル程度長くなります。
 アビオニスクにつきましては、H3と一部共通化しまして、3段につきましては推進薬量を約2倍にして、強化型ではフェアリングの中に入っていたところをフェアリングの外に出すと。我々はエクスポーズ化というふうに称していますけれども、3段の外に出すことによって運用性を向上させる。あと推進薬量を増やして性能を向上させる。
 姿勢制御方式もTVC化するということで、こういったところで競争力を強化していくということを考えています。
 2段は強化型で開発した成果を最大限活用しまして、推進薬をSRB-3と一部共通化するということと、1段につきましてはSRB-AからSRB-3にするといったところで、こういったサブシステムを統合してロケットを開発していくものでございます。
 8ページに移りまして、プロジェクトの目標。こちらは先ほどの工程表と同様な表現になっておりますが、プロジェクトの目標を書いておりまして、1番目としましてH3ロケットとのシナジー効果の発揮と併せて、国際競争力を強化していく。2番目として打ち上げ輸送サービス事業を自立的に展開できる体制を構築して、宇宙輸送システムを自立的かつ持続可能な事業構造に転換するということとしております。
 続いて9ページですけれども、こちらが国際競争力を強化する方策を書いておりまして、まず1つ目としまして、世界標準以上の衛星インターフェースということで、第1段階の成果としまして4つ記載しております。コンパクトな打ち上げ運用、世界トップレベルの衛星搭載環境、高い軌道投入精度、複数衛星同時打ち上げ、こういった成果を引き継ぎまして、さらに他の部分でも競争力を強化させるということで、次のページで御説明いたしますフェアリングのカプセル化ということで、衛星をロケットに搭載してから10日以内で打ち上げると。これはカレンダーデーです。それと3段の姿勢制御方式をTVC化することで衛星の制約を緩和するということで、衛星の負担軽減ですとかユーザーフレンドリネスを更に追求すると。
 2番目としまして、日本の基幹ロケットとしての高信頼性を遺憾なく発揮すると。
 3番目としまして、打ち上げ輸送サービス化するということと、あと民間事業者の営業活動を活用いたしまして、世界の小型衛星打ち上げ市場で競争可能な価格帯を実現していくと。
 あと打ち上げ機会を拡大しまして、年2機以上ということで、あと契約から1年以内に計画どおり打ち上げるシステムを実現いたします。
 10ページに移っていただきまして、こちらがフェアリングカプセル化による運用性向上になっておりまして、強化型につきましては3段モータ、あと3段の電子機器が衛星と一緒になって、フェアリングの中に入っていくものでしたが、それがフェアリングの外、エクスポーズ化することによりまして、運用性を向上させます。
 強化型では、ロケット全段組み立てる前に衛星を受領する必要があったのですけれども、今回のイプシロンSでは全段を組み立てて点検するのと並行して衛星を受領できるという形態になりますので、衛星の作業期間ですとか利便性を向上できるロケットになっております。
 こういったことを反映いたしまして、11ページになりますけれども、ミッション要求を設定しております。商業衛星の需要分析ですとか、競合ロケットの分析をいたしまして、プロジェクト目標達成のための定量的な指標となります要求を設定しております。
 まず打ち上げ能力につきましては、太陽同期軌道に600キログラム以上ということで、強化型は高度500キロメートルで600キロ以上だったのですが、高度の範囲を広げまして、高い高度でも600キログラム以上の能力にするということになります。具体的にいいますと、500キロメートルから700キロメートルに高度を上げることによって基本的に能力は落ちるのですが、能力は同じ形で要求を設定しております。
 それと4行目のところの衛星搭載環境につきましては、強化型での成果を引き継ぐということ。
 あと打ち上げ価格につきましては、世界の小型衛星市場で競争可能な価格とすることとしております。こちらのところの設定根拠のところなのですけれども、民間事業者の需要性の観点から、具体的な数値の公表は差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
 あと打ち上げスロットとしては、3か月に2機以上打ち上げ可能とすること。
 それと下から2行目のところの衛星受領から打ち上げまでの期間としまして10日以下といったような要求にしております。
 12ページに商業衛星需要分析ということで示しておりまして、外部機関から頂いたものになります。ここで言いたいことは、ロケット打ち上げがいろいろあるのですけれども、ロケットの供給が不足している状況ということがまず1つ目でございます。
 2つ目の600キログラム級の衛星なのですけれども、こちらも調べるために需要、ニーズといったものがどんどん増えているということで、イプシロンの使っていただける範囲が広がっているということ。
 あと小型衛星につきましてもどんどん拡大していっておりまして、需要がどんどん見込まれるという形になります。
 13ページに移っていただきまして、競合ロケット分析です。こちらは右からELECTRONという小さなロケットからVEGA、ヨーロッパですね。それとインドのPSLV、それとベンチャーでありますALPHA、これはまだ飛行していないものなのですけれども、そういったものとの競合分析によりまして、機能、性能の要求を設定するものになります。
 14ページに移っていただきまして、ミッションに係る成功基準としましてエクストラサクセスというものを設定しております。こちらSSO、太陽同期軌道の打ち上げ能力というものは先ほど600キログラムということだったのですけれども、高度が低いところについては更に能力を上げるということで、800キログラム以上というものをエクストラサクセスというふうに設定しております。こちらは打ち上げ可能なミッションを拡大していくということでございます。
 それから、1か月に2機以上打ち上げ可能なことということもエクストラサクセスということを設定しておりまして、打ち上げ時期に対する柔軟性をより一層向上させるということを考えております。
 最後に、これはロケットの努力によりまして、現在の工程表以外にミッションを獲得していくというようなエクストラサクセスを設定しています。
 現時点、まだこちらを達成できるめどは得ておりませんが、いま一歩ロケット側の努力をすることで、こういったエクストラサクセスを達成していきたいというふうに考えております。
 続きまして、15ページになりますけれども、アウトカム目標、こちらは先ほどの目標に対しまして、そのままアウトカムを示しております。行動主体と評価タイミングということで、JAXA、民間事業と共同でこういった目標を達成していくということを考えてございます。
 16ページに移りまして、開発体制になります。まず、JAXAのイプシロンロケットプロジェクトチームが中心になりまして、JAXA関係部署の連携、協力のもと、また企業の連携にも一部やっていただくという体制を設定しております。
 17ページですけれども、JAXAと民間事業者でありますIHIエアロスペースとの役割分担を示しております。こちらにつきましては、H3の考え方と同様の考え方にしておりまして、実証機の打ち上げはJAXAが実施します。本開発適用2機目から打ち上げ輸送サービス化するということを今考えております。
 この基本協定というものを設定しているのですけれども、その基本的な考え方として、開発段階と運用段階に分けておりまして、まず開発段階のJAXAの役割はロケットシステムと射場施設設備システムを統合した総合システムを担当するということ。あと、ロケット技術基盤を保持して活用していく。民間事業者につきましては、運用段階における役割を踏まえて、ロケットシステムを開発していく。あと運用段階につきましては、JAXAは技術の維持と研究開発の推進といったところで、民間事業者の事業展開に貢献していくということと、民間事業者につきましては、打ち上げ輸送サービス事業を展開する役割を設定しております。
 18ページに移りまして、3.2項の資金計画でありますが、総合システム開発のところで138億円ということを見込んでいます。この中には実証機の製造打ち上げ費用等の費用につきましては、今は含まないということで、これはペイロードが決まった段階で設定することとしております。
 3.3項の開発スケジュールになりますけれども、基幹ロケットとして切れ目のない運用を可能とするということで、2023年度に実証機を打ち上げる計画を設定しております。
 次のページ、19ページに開発計画を示しておりまして、これまで1段モータの開発ですとか、コンポーネントの開発、設計を実施してきております。現時点、2020年度の初め段階でありますけれども、これから3年間で開発して、実証機を打ち上げるという計画にしております。
 20ページにはリスク評価を実施しておりまして、大きく3つリスクが高い項目を識別しております。
 1つ目は市場動向の変動ということで、現在、世の中ベンチャー企業がロケットの開発を進めていますので、こういった競合ロケットが台頭してきて、イプシロンロケットの競争力が損なわれる可能性があるということに対しては、継続的にモニターをしていく必要があると考えておりますけれども、価格低減といったものも引き続き検討していく計画でございます。
 あと2番目の他ロケットとの打ち上げ干渉ですけれども、こちらはH2A、H3、あと強化型現存イプシロン、その打ち上げと射場作業等が干渉したり、共通する設備を干渉したりする可能性がありますので、そういったものについては事前の計画調整において干渉管理をして打ち上げるという計画にいたします。
 3番目はロケットシステムの開発支援ということで、3年間の開発になりますので、タイトな開発スケジュールになっておりますので、イプシロンロケットにつきましてはこれまで試験機の開発ですとか、強化型開発、あと革新開発といったものを繰り返しておりますので、過去の知見ですとか事例などを開発に反映してリスクを低減していくということを考えております。
 21ページから最後まで、こちらはJAXAの中で実施いたしましたプロジェクト移行審査の結果のまとめを示しておりまして、プロジェクト実行フェーズへの移行が可能であると判断を頂いております。
 23ページ、最後のページなのですけれども、このプロジェクト移行審査の過程の中で、JAXAの外部の先生方から評価を頂いておりまして、いろいろな有益な意見を頂いておりますので、開発の中に反映していきたいというふうに考えております。
 説明は以上になります。
 
【角南部会長】ありがとうございました。ただ今のJAXA、井元さんの御説明について御意見、御質問等があればお願いいたします。
 
【米山委員】御説明ありがとうございました。イプシロンロケットの開発の動向についても、国の大事な事業だと思って、極めて評価しているつもりでありますが、1つ質問は民間に事業を移転するに当たり、それに必要な射場設備とか、それから運用に必要な地上設備というのは、JAXAさんの持ち物だと思うのですけれども、その運用に対してサービス料を徴収するのか、あるいはそれもまとめて民間に移管してしまうのか、どういう形になるのかというのがまず質問なのですけれども、いかがでしょうか。
 
【井元プロジェクトマネージャ(JAXA)】今後の調整になりますけれども、H3と同様な考え方になるというふうに考えております。基本的に設備の実費、利用料とかそういったものについては頂くことになるというふうに考えております。
 
【米本委員】なぜそういうことを質問したかというと、3か月に2機でしたっけ、割と高頻度になるとその設備は占有されてしまうことになるので、2番目にも質問しようとしたのは、固体ロケット技術というのは国で維持していくべき技術だと思いますので、その次のイプシロンロケットの次がどういうふうに考えているのかなというのは2番目の質問だったのですけれども、そうなると新しく射場設備を作らないといけないことになりますし、そことの関係もあって質問させていただきました。
 2番目の質問は、イプシロンロケットの開発終了後で、開発終了は将来的な話じゃなくて近場ですので、その次って一体どういうふうになるのか。答えにくい部分もあると思うのですが、どうなっていくのでしょうか。
 
 
【角南部会長】今の御質問はJAXAの方でどう考えてらっしゃるかということでよろしいですか。井元さん、よろしいですか。お願いします。
 
【井元プロジェクトマネージャ(JAXA)】これからの検討、今考えていることになるのですけれども、先ほどの革新的ロケットという報告があったかと思うのですけれども、そういったようなことを今考えておりまして、その中で更に国際競争力を上げていくのかとか、より固体ロケットの利便性、利点といったものを更に追求していくとか、そういったようなことを今幅広く考えているところでございます。
 
【角南部会長】ありがとうございます。他に委員の方、何か御質問、あるいは御意見。芝井先生、どうぞ。
 
【芝井委員】大阪大学の芝井です。御説明ありがとうございます。
 今説明していただいた22ページのところに、JAXAにおけるプロジェクト移行審査結果のまとめというところがありまして、例えばここを読ませていただきますと、1番の審査結果の文章、あるいは7番の審査結果の文章のところは、かなり重要なことが書いてあると思います。これに関しては、プロジェクト移行後にモニター、あるいは統一しておかないといけないのではないかという書きぶりになっているのですが、これに対してはどういうふうに対処されるのか、あるいはこのままでよいということなのでしょうか。
 
【井元プロジェクトマネージャ(JAXA)】まず1番目、No.1の件につきましては、今後これは非常に重要な課題であるというふうに考えておりますので、現在も検討しておりますし、今後どのような形で実現していくのかといったところを今検討しているところでございます。
 2番目につきましては、こちらは我々設計フェーズでありますので、その設計フェーズごとにリスクの評価をしていくということで、今回御報告した3つのリスクにつきましては、そのうちの2つが外部の要因に対するリスクになります。こちらはプロジェクトとしてはいかんともしにくいところがありますので、外部の状況をモニターしながら対応していって、時期が近づいてきたらどんどん開発計画に反映したり、打ち上げ計画に反映したりしていくという形になると思っております。いずれにしましても、小まめに開発計画の中に反映していく計画でございます。
 以上です。
 
【角南部会長】よろしいですか。
 
【芝井委員】はい、了解です。
 
【角南部会長】はい、分かりました。他に御意見、御質問ございますでしょうか。特に他になければ、ただ今説明いただいたJAXA内のプロジェクト審査結果内容につきまして本部会として了承したいと思いますが、いかがでしょうか。大丈夫ですか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
【角南部会長】それでは、了承したいと思います。
 これで本日の審議事項は全て終わりになります。
 引き続きまして、報告事項がございます。まず5番目の議題ということで、日本人宇宙人飛行士の米国商業有人宇宙船(USCV)への搭乗についてでございます。これは従来、ロシアのソユーズ宇宙船に乗って、日本人宇宙飛行士がISSへ運ばれておりました。今回は新たに米国商業有人宇宙船に乗って運ばれることが計画されております。その内容につきまして事務局及びJAXAの方から説明をお願いいたします。
 
【倉田室長(事務局)】それでは、文部科学省宇宙利用推進室の倉田でございます。よろしくお願いいたします。
 今部会長からもございましたように、野口宇宙飛行士が現在、米国のスペースX社の方で開発中でございます有人宇宙輸送、クルードラゴンの運用初号機に搭乗することが本年3月末に決定されたところでございます。こちらのクルードラゴンは、来週、日本時間の5月28日の早朝でございますが、米国人宇宙飛行士2名が搭乗しての有人飛行試験が予定されておりまして、野口飛行士の搭乗に際しまして、文部科学省としましてもJAXAとともに有人飛行試験の結果も含め、クルードラゴンの安全性、そして信頼性を確認していくこととしております。
 このため安全性の確認につきましては、過去のスペースシャトルですとかソユーズに日本人飛行士が初めて搭乗したときと同様に、本部会にも御報告させていただきたいと思っておりまして、本日はまずその第1段というような位置付けで、これまでの対応状況ですか、今後の予定というものについて報告させていただく、そういったものでございます。
 まず、私の方から資料56-5-1に基づきまして、安全性確認に関します責任や役割分担、位置付け等を説明させていただきたいと思います。
 まず、表紙をおめくりいただきまして、1ページ目を御覧ください。まず、NASAでございますが、ISSの国際約束に基づきまして、日本人宇宙飛行士をISSの方に輸送する責任がありますとともに、この新しい有人宇宙飛行船、クルードラゴンの安全を審査する責任もNASAにございます。その上でJAXAは職員であります日本人宇宙飛行士の安全を確保していく、そして文部科学省は我が国におけますISS事業を円滑に進めていく、そういった役割を有しているところでございます。
 NASAから必要な情報を得ながら、こういった形で安全性、信頼性を確保していくこととしておりまして、具体的なプロセスにつきまして、JAXAさんより資料65-5-2に基づきまして御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
【泉統括(JAXA)】それでは、資料に基づきまして説明させていただきます。米国商業有人宇宙船安全確認状況の報告ということで、本資料は先ほど説明がありました日本人宇宙飛行士の搭乗に先立ちまして、JAXAが実施中の安全確認活動について、現状と今後の進め方を報告するものでございます。中間報告となります。
 1ページに参りまして、内容としましてはそこに記載してあります4項目についての説明をさせていただきます。
 2ページに早速参りまして、まず、米国商業有人宇宙船、USCVと呼んでおりますけれども、この開発の経緯につきまして簡単に紹介させていただきます。
 まず、先ほど御説明ありましたように、ソユーズ宇宙船が現在、宇宙ステーションへ輸送する唯一の手段となっているところでございますが、NASAはコマーシャルクループログラムというものを設立しております。無人の貨物輸送船開発を民間企業に委託したのと同様の手法によりまして、新型有人宇宙船の開発を民間に委託。安全、高信頼性、費用対効果が高い米国商業有人宇宙船の開発と輸送サービスの調達を目標として、民間企業に段階的に出資、開発競争を推進してきたというものでございます。
 2014年までに5回、選考フェーズを経ておりまして、最終的にスペースX社に有人カプセルだけではなくて、無人貨物輸送船も委託するということでございますが、これとボーイング社の2社を選定してございます。この契約では各社最低1回、有人宇宙試験飛行実施、これは今月末にスペースX社が実施するもののことでございますけれども、実施いたしまして、NASAに機能や性能、安全性などを実証するということが要求として定められているという経緯がございます。
 3ページに参りまして、これから2社の宇宙船の概要を簡単に紹介させていただきます。3ページはスペースX社のクルードラゴン宇宙船になります。ページの左上の方にカプセルの写真がございますが、有人カプセルの下に貨物のものが付いているという構成になってございます。
 ロケットは右側になりますが、ファルコン9ロケット、これはこれまで多数の打ち上げ実績を経ておりまして、高い成功率を誇っているものでございますが、こちらを利用するというものでございます。このファルコン9ロケットには1段回収して再利用するというようなものがございますが、有人には再利用するものは使わなくて、毎回新品を使うというものでございます。
 左下の表に参りまして特徴でございますが、乗員としては最大7名、宇宙ステーション向けでは4名ということでございますが、搭乗できるというものです。ケープカナベラルから打ち上げられます。回収につきましては、パラシュートで降下し、海面に着水という構成になってございます。
 4ページに参りまして、こちらはボーイング社の通称スターライナーと呼ばれているカプセルになります。こちらも左上の方にカプセルの構成を記載させていただきました。
 ロケットは右側の絵になりますが、アトラス5ロケットを使用いたします。こちらも高い成功実績を誇っているロケットでございます。これの上にカプセルを搭載して打ち上げをしているものでございます。
 左下の表で簡単に御説明しますと、こちらも乗員は最大で7名、ISS向けでは4名ということでございます。5名搭乗のときには2名程度貨物を積めるような造りになっているというものでございます。打ち上げはこちらも同様にケープカナベラルからの打ち上げで、帰還はパラシュートで降下し、こちらエアバッグで着陸ということは、地面の上に降りるという、陸上で回収するというものでございます。
 それでは、5ページに参りまして、現在の最近の試験状況、それから今後の概要を御説明いたしますが、この表、上半分がスペースX社のもの、下半分がボーイング社のものでございます。左から右に時間が流れておりまして、一番左上、スペースX社の方では無人試験飛行でもある程度成功して、終了しております。その右側に行きまして、今年1月にはインフライトアボートテスト、飛行中にカプセルだけ分離して回収するというテストでございますが、これも成功裏に終了しているというもので、現時点この状態になります。その右側で有人試験飛行、これは今月末に予定されているというもの。その後、実運用飛行1号機ということで、こちらに日本人宇宙飛行士、野口飛行士が搭乗する予定ということになっているものでございます。
 下半分、ボーイングでございますが、ボーイングの方はパッドアボートテスト、こちらはうまくいってございますが、その下の無人試験飛行、OFTと書いておりますが、これが軌道投入に失敗したということで、帰還は成功してございますが、一部の成功にとどまっているということで、現在これの対応策を検討しているところでございます。その右側に行きまして、これからになりますが、無人試験飛行を再度実施、その上で有人試験飛行というような流れで、そこから先につきましては未定という状況でございます。
 カプセルのビークルの概要は以上でございまして、これからは安全確認チームについての説明をさせていただきます。
 6ページでございますが、一番上、先ほど御説明いただきましたように、宇宙飛行士の安全につきましては、JAXAが所属する職員の安全を確保するという観点で責任を持ってございます。これはスペースシャトルやソユーズのときと同様でございます。
 今回のUSCV、クルードラゴンやスターライナーは、いずれも新規開発中の有人宇宙船ということでございまして、JAXAは安全上問題ないことを特に確認するため、必要な事項の調査、分析、検討、評価をするというチーム、JAXA USCV安全確認チームを設置いたしました。宇宙飛行士の搭乗に際しましては、毎回安全の確認はしているところでございますが、今回のような新規開発中の宇宙船、それから過去に例えばスペースシャトルのコロンビア事故からの再開第1号機に野口飛行士が搭乗したとき、それからソユーズ宇宙船、こちらも野口飛行士でしたけれども、初めてソユーズ宇宙船に搭乗するときも同じようなチームをつくり、評価をしてまいったところでございます。
 7ページに参りまして、安全確認の進め方について紹介させていただいています。チームとして確認する実質の安全確認項目は、2つの宇宙船、いずれも同様で、こちらのaからeまで書いてあるものでございまして、要求が妥当であるか。それからハザードの識別とそれに対する制御方法が妥当であるか。無人、有人ともに飛行試験に対しましてNASAの安全確認プロセスが適切であるかどうか。それから試験前後におけるNASAの評価結果が適切なものであるか。eとしまして、試験が終わった後、NASAが認証することになりますが、認証前にNASAの認証プロセスの評価、それからそのプロセスにおける審査の結果の確認、こういうものを実施するということにしております。
 これらの安全確認に関する情報でございますが、NASAから文書やメール等のような形でいろいろ提供されるものがございますが、その他にNASA主催によります多極間技術調整会合、審査会、こちらに我々JAXAも出席しておりまして、こちらで情報を入手しているというものでございます。
 しかしながら、開示される文書では機微な設計情報や検証情報は削除されるものが一部ございます。また、ロケットにつきましてはハザードレポートもリストということで、どういうレポートがあるかは分かるのですけれども、その中身については見せてもらえていないと、こういう条件がございまして、このような輸出管理、知的財産権の中において情報を最大限に入手しているというものでございます。これらにつきましては、後でも簡単に紹介したいと思っていましたが、実際に我々疑問に思っているところ、あるいはNASAで非常に重要だと思っているところにつきましては、フェース・トゥ・フェースの会合等で更に突っ込んだ情報を入手するというような取組をしてきてございます。
 その次でございますが、これら入手しました情報につきまして、我々JEMやHTV等でこれまで開発、運用の経験がございますところ、更にスペースシャトルやソユーズへのこれまでの宇宙飛行士による搭乗に伴います安全評価活動を通じまして蓄積した知見に照らし合わせて、妥当であるかどうかを評価しているところであります。
 さらに、情報収集には限界があり、情報を教えてもらえないものにつきましても、NASAが安全確認プロセスをどのようにしているか、そのプロセスに基づいてNASAの評価結果につきまして、JAXAとして確認するということにより、安全確認活動を実施しているというものでございます。
 8ページに参りまして、JAXAの中のチームの位置付けを簡単に紹介させていただきますが、絵の左下側にある大きな黄色い四角、これが我々のUSCV安全確認チームでございます。こちらが先ほど申した流れにつきまして確認した上で、右斜め上に安全審査委員会というのがJAXAの中にございますが、こちらに付議して審査を受けて了承いただくという形になります。これはまだこれからになります。安全審査委員会で審議、了承経た後に、その結果をJAXAの理事会議に報告しまして、JAXAとしての結果といいますか結論を出すということになります。その結果につきまして、利用部会の方へまた報告するということになります。
 その右側に青点線の四角がございます。これは、定常業務で安全確認しているものでございまして、有人部門の中に有人安全審査会という、これも部門の中で安全を審査するものでございます。通常はこちらの方で宇宙飛行士が搭乗するときに審査をしているというものでございまして、今般も野口飛行士が搭乗するフェーズとしては、この審査を改めてした上で、安全審査委員会に審議するという形になると思っています。
 次、9ページに参りまして、現在の確認の状況、活動の状況についての紹介になります。
 現状の確認状況ですが、まずa、要求については完了しているということでございます。
 bですが、ハザードの識別と制御の妥当性につきましては、スペースX社のクルードラゴン分につきましては完了しておりますが、ボーイング社のスターライナーにつきましては、まだ有人試験飛行にたどり着かないということで、今後の確認になります。
 cのNASAの安全プロセス評価、確認につきましては、現在、最終的な確認を実施しているということでございます。その中の安全審査や運用準備審査等については確認できていますけれども、最終的な整理を待っているという状況になります。
 dのNASAの安全評価結果につきましては、一部完了と書いてございますが、スペースX社のクルードラゴンにつきましては、有人飛行試験前までの分につきましての安全評価を完了しているという状況になります。
 Eですけれども、運用機移行前のNASAの認証審査プロセス評価とその結果の確認ですけれども、これは今後の予定ということで今後確認していくということになります。
 10ページに参りまして、最後のページになりますが、USCVの打ち上げスケジュールは、現在極めて流動的な状況が継続しているというところでございますが、クルードラゴンの有人飛行試験が5月28日と聞いておりますけれども、スペースX社により発表されたということがございます。
 チームの活動としましては、先ほど説明いたしました残作業がまだございますが、当面はクルードラゴンの有人飛行試験の安全と、それからクルードラゴンの認証審査結果の確認をまず注力しているという計画でございます。
 スターライナーにつきましては、準備ができ次第継続していくということでございます。
 最後に、これらの安全に問題がないということをチームとして確認できましたところで、最終的にJAXA内の評価結果を審査、安全審査委員会等で審査していただくということを考えております。
 説明は以上であります。
 
【角南部会長】ありがとうございます。ただ今の倉田室長と、それからJAXAの泉さんからの御説明につきまして、御質問があればお願いいたします。はい、米本委員、どうぞ。
 
【米本委員】米本です。御説明ありがとうございました。
 基本的にNASAの方で全ての技術的な運用に関わるものも含めての安全審査が終了した後なので、JAXAさんの方としては、あるいは文科省さんとしての対応というのは、それぞれのNASAで行われた審査資料に基づいて、技術的には機微な情報はないということですが、確認をしているということが中心になるという御説明だというふうに理解をしたのですけれども、一部審査会には参加できるということではあるのですが、確認の範囲を超えておかしいというような疑義だとか質問に対しては、何かそれを処置するようなルートというのがあるのでしょうかというのが質問です。
 
【角南部会長】ありがとうございます。泉さん、お願いします。
 
【泉統括(JAXA)】NASAとの情報のコミュニケーション、それから我々の意見を言うという場の話かと思いますけれども、審査会等で出席するだけではなくて、我々とNASAとの間で適宜フェース・トゥ・フェースのミーティングを開催させていただいています。そういうような場で先方の情報を伺う、あるいは我々の疑問点を先方に伝えるというようなことはしてございます。
 あと最終的な判断につきましては、これは有人部門の方から補足していただいた方がいいかもしれませんけれども、打ち上げ前に多極間での合意する審査をする場がございますので、そこでJAXAとしての意見を最終的に言う場は存在しているというふうに認識しております。
 JAXAの事務局の方、間違っていたら補足をお願いします。
 
【久留グループ長(JAXA)】JAXAの久留と申します。よろしくお願いいたします。
 先ほど泉様からも御説明がありましたとおり、最終的にこれまで野口飛行士の、日本人宇宙飛行士の搭乗前にJAXAとしての安全確認をしますけれども、先ほど御説明ありましたとおり、これまでの意見確認の中でJAXA、あるいはJAXA以外の他の国際パートナーからの意見を踏まえて、NASAが一部USCVの方の装置等のスペックについて見直しを行っているといったような実績もありまして、我々との意見交換を踏まえて、NASAが必要なものについては対応しているという実績もございます。その上で最終的にJAXAとしての安全確認をした上で、最終的な搭乗の可否に関しては、安全審査委員会等の審査を通じて、JAXAとしての機構として判断を行うということになりますので、JAXAとしての評価、意見が反映されている場はプロセスとして確保できているという理解でおります。
 以上です。
 
【角南部会長】ありがとうございます。我が国としては初めてになるのでしょうかね。民間企業も入った形での安全確認ということでございますので、また最終的なことで別途御報告いただけるのではないかなというふうに思っています。先生、どうぞ。
 
【米本委員】追加なのですけれども、民間の宇宙船ということなので、現在FAAの方で商業宇宙輸送局がレギュレーションを今つくっていると思うのですけれども、そことの関係というのはどうなるのでしょうか。
そこの審査を通らなくても、国の有人宇宙輸送なので、そこでの審査を通ればいいというふうに思うのですが、ドラゴンの方は今後民間の宇宙飛行士を輸送するということにも使われるということなので、恐らく商業宇宙輸送局が今レギュレーションをずっと整備していますけれども、そこもライセンスを取りに行くと思うのですが、その辺の関係って何かご存じでしょうか。
 
【角南部会長】どうでしょうか。泉さん。
 
【泉統括(JAXA)】米国でのUSCVの活動というか、そのものの御質問だと思うのですが、FAAがレギュレーションをつくっているというところは承知をしているところでございますが、米国内でUSCVが活動するに当たってどういうふうに取組をしているか、私は承知していないのですけれども、事務局の方、JAXAの方すぐ答えられますか。
 
【久留グループ長(JAXA)】資料56-5-1の文科省さんからの御説明がありました、添付の後ろの方の3枚目になりますけれども、体制図が出るでしょうか。FAAは基本的にパブリックセーフティ、公衆安全のところに責任を持っておりまして、国際宇宙ステーションに向けての宇宙飛行士の安全の確保につきましては、NASAがクルードラゴン、宇宙船の安全使用としての責任を持っておりますけれども、打ち上げ上でありますとか、あるいはロケットの打ち上げ、それから宇宙船が打ち上がって宇宙から帰還してくる、大都市の上の通過や、そういったようなことの公衆安全に関わるところもございまして、FAAはそのようなところの打ち上げと再突入に関するライセンスを認可するといったような責任を有しております。
 今回の有人のデモンストレーション飛行につきましては、ここまでは開発フェーズということで、NASAが試験打ち上げということで認めておりますけれども、運用段階に入っていきますと、打ち上げについてはFAAのライセンスが認められないと、打ち上げも再突入もできないというフェーズになってまいりますので、そこについてはFAAとNASAと、それからプロバイダーとの間での連携になってまいると、そういう理解でおります。回答になっておりますでしょうか。
 
【角南部会長】ありがとうございます。よろしいですかね。他に委員の方、何か御質問ございますでしょうか。なければ時間も限られていますので、最後の報告事項に移らせていただきます。
最後の報告事項は、宇宙科学ミッション打ち上げ計画についてでございます。JAXAの方から説明をお願いします。
 
【國中理事(JAXA)】宇宙科学研究所、國中から説明させていただきます。資料56-6になります。
 1ページめくっていただきまして、本日は3つのプロジェクトにつきまして、打ち上げ時期の変更を報告させていただきたいと存じます。
 1番目がX線活動衛星XRISMになります。
 次のページ、3ページ目に行っていただきまして、XRISMにつきましては、2019年度よりハードウェアの開発フェーズに入っております。開発が進んでおったところ、NASAから大変強い要求が来まして、FDIR、Fault Detection Isolation and Recovery機能につきまして、ロバスト性の向上を図るために、スラスタ噴射異常対策を更に厚くせよという大変厳しい要求が入ってまいりまして、それに対応することを宇宙科学研究所としては判断をいたしました。その機能を追加するために、打ち上げ時期を従来の2021年度から2022年度に変更させていただきたいという報告になります。
 このような変更を行って、打ち上げ時期が遅れましても、XRISMのミッション意義、価値、成功基準については当初から変更がないと。それから、世界的な価値についても依然高い競合は見当たらず、高い価値が維持されていると考えております。また、NASAやESAからも強力なサポートを引き続き得られましたので、致し方なくこれを実施したいと考えております。
 具体的にどういう内容かというのが次のページ、4ページ目に記載してございます。実はNASAとJAXAでは大分科学衛星の運用方式に文化的な違いがあります。NASAは多くの衛星をたくさんの地上局でもって追跡しておりまして、ほぼ24時間態勢で各衛星の追跡ができております。さらにスラスタ噴射につきましては、地上監視のもと噴射するというのが彼らのフィロソフィーとなってございます。
 一方、日本の科学衛星では、世界中に地上局を配置してそれを使うという体制になっておりませんので、異常時には衛星が自分で判断し、スラスタも自動で噴射するという機能でこれまで運用してまいりました。最終的な原因としては、スラスタの異常噴射によって衛星が破壊されたという経緯もあるために、NASAからの要求には応ずることができませんで、彼らの要求でASTRO-HのXRISM立ち上げにつきましては、NASAの非常に大きなサポートがあったゆえに再立ち上げができたという事情もありますので、彼らの強い要求を満足するように体制を変えるということを考えておるものです。
 またこれと引換えに、4ページの最後の行になりますが、NASAの地上局を無償で貸していただいて、24時間追跡ができる体制を取ることが可能になっております。これがXRISMの打ち上げ時期のスリップに関する御報告になります。
 次のページ、5ページ目がSLIMに関することでございます。SLIMは小型月着陸実証機であります。このSLIMにつきましては順調に開発が進んでおりますが、SLIMとXRISMは、H2Aロケットによる同時打ち上げでありまして、XRISMの打ち上げのスリップはイコールSLIMの打ち上げのスライドになります。SLIMにつきましても、2021年度から2022年度に打ち上げウインドウのスリップをさせていただきたいと存じます。
 次のページですけれども、6ページ目になりますが、開発の状況でございますが、2021年度から2022年度にスライドしましても、SLIMが目指しております100メートル規模の高精度着陸につきましては、他のコンペティター、競合はいないという認識でおりまして、2022年度にSLIMを実証した上でも、日本は他国に比べて技術的な優位性を有しておると。SLIMは依然として科学的な意義、価値を維持しているものと思慮しております。
 それから、科学搭載機器につきましては、第43回の宇宙開発利用部会で既に御報告済みのことでありまして、マントル由来と考えられる岩石の成分分析のため、分光カメラの搭載につきましては既に御報告済みですが、さらにこれに加えまして、小型分離プローブ、LEVというものの搭載を今考えております。質量は3キログラム程度の超小型のロボットでして、空き重量がある限りにおいて、是非このロボットを搭載したいと考えております。ロボットから離れた場所から、SLIMの着陸状況を撮影するという機能をこの分離ロボットに担わせたいと考えております。
 さらに一番下の行になりますが、NASAから小型のリフレクタ、5センチメートルほどで21グラム程度の大変小さなものですけれども、これの搭載の打診を受けております。これがSLIMに載っておりますので、別の周回機が月に接近した折に、このレーザーリフレクタを管轄することによって、後からやってきました周回機が自分の位置を測定することができるというふうに役に立つということで、NASAがこういったものの搭載を要求してきております。これについても搭載に向けて準備を進めておるところでございます。
 ここまでがSLIM、XRISMの説明になります。
 次のページ、7ページ目がDESTINY+、深宇宙探査技術実証機の開発状況と打ち上げ時期の変更について御報告をさせていただきたいと思います。DESTINY+は赤い四角で囲んだ領域ですが、1番目、小型深宇宙探査機技術の獲得と、2番目が流星群母天体のフライバイ観測と惑星間ダストのその場分析というものを目標に研究開発を進めておるものです。
 中段の左側になりますが、工学ミッションとしては電気推進の活動利用、それからフライバイによる探査技術の獲得。右側は理学ミッション目的で、地球外から地球に物質が運ばれてくる主要な担い手である宇宙塵(じん)、宇宙ダストを調べることによって、地球外から地球への物質移送のメカニズムを調べると。さらに、探査対象はPhaethonという小惑星でして、Phaethonは双子座流星群の母天体と考えられておりまして、これを観測することを大きな目標としてございます。
 次のページ、8ページ目に行っていただきますと、シーケンス・オブ・イベントが描いてあります。まず地球はイプシロンロケットを用いまして、GTOライクな軌道に投入された以降、探査機は自力でスパイラル上昇しまして、月軌道に到達し、月のスイングバイによって地球を脱出し、太陽周回の深宇宙空間において更にPhaethon軌道のフライバイをするといったシーケンスを送ります。
 このページの赤い四角の領域ですが、地球周回低軌道から電気推進により深宇宙に脱出するというミッションはいまだかつて世界では実施しておりませんで、世界初の探査機のシーケンス・オブ・イベントになると考えております。
 次のページですけれども、9ページ目になりますが、こういった技術を使うことによって、電気推進機を用いることによって、太陽系観測のために重要な自由度を高めた高頻度の観測を可能にする技術を獲得することができると考えております。
 次のページ、10ページ目になりますが、搭載機器を示しております。望遠カメラ、マルチバンドカメラを用いまして、小惑星とのフライバイ時に小惑星を観測するというものです。この2つの装置については、日本で開発するものです。それから、青い四角で囲んだものがダストアナライザです。これは、ダストをキャッチして、衝突してくるダストを分離して、原子、分子レベルでの質量分析をする装置であります。これはドイツのシュツットガルト大から提供される機材です。
 11ページ目になりますが、これが開発状況ですが、2019年度、昨年度から開発に着手しております。打ち上げ時期を2021年度から2024年度に変更するという報告をさせていただきたいと思います。その大きな理由は、ドイツが開発しますダストアナライザに関しまして、ドイツ国内での予算獲得に苦労しまして大変遅れたということと、それから製造スケジュールに変更が生じたために、期間を要するということが第1の理由になります。第2の理由は、はやぶさ2の運用を介しまして、イオンエンジン周辺の熱設計に少し足りない部分が発見されまして、これにはやぶさ2の運用知見からフィードバックするために、技術開発に期間を要するという2つの事由から、時期をずらせていただきたいという報告をさせていただきたいと思います。
 概要の説明は以上になります。
 
【角南部会長】ありがとうございます。ただ今の國中所長からの御説明について御質問があればお願いいたします。今芝井先生が挙がっているのですが、時間の関係で他の先生方がもし御質問があればまとめてお伺いして、質問したいと思うのですが、他はよろしいですか。じゃ、芝井先生と米本先生、お願いいたします。まず、芝井委員から。
 
【芝井委員】芝井です。短く話します。
 打ち上げロケットは、この資料を見せていただきますと、イプシロンの強化型からイプシロンのSロケットに変わったということですか。そうしますと変わることによる変更点は何かあれば教えてください。
 以上です。
 
【角南部会長】続きまして、米本先生、何か御質問。それから、永原さんですね。
 
【米本委員】10ページのドイツとの国際協力で、ダストアナライザ、それが遅れているということなのですが、この予算に関しては、DLRは全く関係していなくて、どういう手段で予算獲得をしようとしていたのかということを教えていただきたいと思います。
 
【角南部会長】ありがとうございます。続きまして、永原委員、お願いします。
 
【永原委員】ありがとうございます。永原です。
 2点お伺いしたいのですが、1つはまず全体的な問題ですね。全ての計画がこうやって遅れていくことで、その後への影響というものをどういうふうに考えているか。10年で中型3機、小型とか、いろいろ長期計画があるわけですけれども、それに対する影響をお伺いしたいのが1点。
 それからもう1つはXRISMの問題なのですが、ロバスト性についてNASAから要求があったと。スラスタ噴射問題、ひとみ事故の最大の問題で、これはかなり人為的な部分も大きく、そのことは多分十分に既に日本側としては最大限にいろいろ検討されて、手を打たれたのではないかと思うのですが、それがNASAに受け入れられなかった、更なる要求を受けたということについて、もう少し詳細をお伺いしたいと思います。
 以上2点、よろしくお願いいたします。
 
【角南部会長】ありがとうございます。それでは、國中所長、まとめて御回答いただけますか。
 
【國中理事(JAXA)】おっしゃるとおり、イプシロンSが現在利用するロケットになってございます。イプシロンS側とも十分に調整を行った上で、さらにはキックステージを開発いたしますが、イプシロンSロケット、それからキックステージを使うことによって、230キロメートル、3万7,000キロメートル、ほぼGTOのような軌道に投入してもらうというインターフェースは取れております。
 それから、2番目の質問になりますが、予算獲得の所掌はDLRになります。どちらかというと産業育成に関するような性格付けの予算をDLRが獲得して、それを実証すると、実現するというもので、予算獲得の所掌の主体はDLRになります。
 それから、3番目の質問で、大変申し訳ないことに3つのプロジェクトが遅れているような状態になりまして、大変申し訳なく思っております。これは、XRISMからの再立ち上げ後、予算獲得には宇宙科学部門としては大変苦戦しておりまして、予算獲得の苦戦した結果、当初予定しております中型3機、小型5機というものが現実的には実現されておりません。XRISMを早く打ち出すことによって、当初の目的の5機、3機を実現させていきたい、引き続き努力していく所存でございます。引き続きアドバイスの方をよろしくお願いいたします。
 それから、4番目の質問で、XRISMのロバスト性ですけれども、これにつきましては各種の手当てを打った上で、ASTRO-Hに関するFTAを実施した上で、個々の技術単体で全て潰した上で、XRISMの設計に進んだわけですけれども、NASAの解釈としては、永原先生がおっしゃるようにASTRO-Hの事故の根本原因は人為的なものであったわけですけれども、最終的な事故を引き起こしたものはスラスタの異常噴射ということであるわけで、全ての事象、人知を越えた何かが起きたときに、最終的にスラスタの噴射にならないようなシステミックな判断をしろというのがNASA側の要求で、前回の事情がある状況ではなかなか設置できませんで、最終的なエラーの原因となったスラスタ噴射異常を止めるというソフトを実装するというふうに判断をいたしたところであります。
 以上で回答とさせていただきたいと思います。
 
【角南部会長】國中所長、ありがとうございました。先生方、よろしいでしょうか。特に補足の説明がなければ、これで御説明を終わりにしたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、最後に事務局から連絡事項があればお願いいたします。
 
【原田企画官(事務局)】文科省宇開課の原田です。
 それでは、会議資料と議事録の公開について申し上げます。部会の運営規則におきまして、会議資料は原則公開となっておりますので、本日の会議資料につきましては、既に当省のホームページの方に掲載させていただいております。議事録につきましても公開となりますので、委員の皆さまに御確認いただいた後に、ホームページに掲載させていただきます。よろしくお願いいたします。
 事務連絡は以上でございます。
 
【角南部会長】ありがとうございました。以上で議事は終了いたしました。
 これをもちまして本日は閉会といたします。長時間にわたりましてオンラインでいろいろ審議等、ありがとうございました。また次回はもしかしたらオンラインということではなくて、皆さんと一緒に顔を見ながら御議論させていただけると思いますので、またよろしくお願いいたします。私からは以上です。
 

―― 了 ――

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課