令和8年6月8日(月曜日) 13時00分~15時00分
文部科学省の会議室及びオンラインによるハイブリッド開催
部会長 山崎 直子
部会長代理 久保田 孝
委員 田中 明子
臨時委員 秋山 文野
臨時委員 大貫 美鈴
臨時委員 笠原 次郎
臨時委員 金井 宣茂
臨時委員 木村 真一
臨時委員 神武 直彦
臨時委員 高橋 忠幸
臨時委員 村松 加奈子
臨時委員 山室 真澄
臨時委員 吉井 信雄
臨時委員 吉成 雄一郎
研究開発局 宇宙開発利用課長 梅原 弘史
研究開発局 宇宙開発利用課 宇宙科学技術推進企画官 田渕 敬一
研究開発局 宇宙開発利用課 課長補佐 木元 健一
(説明者)
議題1
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
研究開発部門第一研究ユニット 研究開発上席 新藤 浩之
第一宇宙技術部門 地球観測研究センター長 落合 治
議題2
文部科学省
研究開発局 宇宙開発利用課長 梅原 弘史
研究開発局 宇宙開発利用課 課長補佐 島村 佳成
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
理事/第一宇宙技術部門長 瀧口 太
宇宙戦略基金事業部 ゼネラルプロデューサー 佐々木 宏
株式会社三菱総合研究所
フロンティア政策本部長 内田 敦
【山崎部会長】 それでは定刻になりましたので、第106回の宇宙開発利用部会を開催いたします。委員の皆様には、御多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
まず事務局より、本日の会議についての事務連絡をお願いします。
【田渕企画官(事務局)】 事務局の宇宙開発利用課の田渕です。今回は文部科学省内の会議室での対面とオンラインのハイブリッドでの開催となっております。16名の委員のうち2名が欠席、7名がオンラインでその他の委員の皆様はこの会議室にて御参加の予定ですが、金井委員は御都合により15分から20分程度遅れていらっしゃるとのことです。また本日の資料につきましては議事次第に記載のとおりとなってございます。オンライン状況につきまして音声が繋がらない等の問題がございましたら事務局へメール等で御連絡をいただければと思います。会議室にて御参加の皆様におかれましてはハイブリッドでの進行のため御発言の際近くのマイクを使ってお話しいただければと思います。初めに御自身のお名前をおっしゃっていただきますようお願いいたします。
そして議題に移ります前に、資料番号106-3に沿って最近のトピックスについて御紹介させていただきたいと思います。資料106-3を御覧ください。直近のトピックスについて、でございます。おめくりいただきまして、本日の御報告事項は4点でございまして、1点目がJAXA-STEPSの2025年度公募の選定結果についてでございます。JAXAの宇宙技術実証加速プログラム(JAXA-STEPS)、今年度も公募を行っておりますけれども6月4日にその公募結果を公表いたしました。今回の公募におきましては全24件の提案、うち研究開発公募21件、教育目的公募3件の御提案をいただきまして、その中から下の表のとおり研究開発公募6件、教育目的公募1件を採択してございます。
次に革新的衛星技術実証4号機の打上げについて、でございます。「革新的衛星技術実証プログラム」は、国内の民間企業や大学、研究機関の技術等々、宇宙で実証するプログラムとして進めてまいりましたが、こちら今は「JAXA-STEPS」に統合されておりますけれども、この革新的衛星技術実証4号機につきましては2025年12月に小型実証衛星4号機「RAISE-4」の打上げに成功いたしまして、次に2026年4月23日、これはロケットラボ社のエレクトロンに搭載いたしましてキューブサット8機の打上げに成功してございます。
おめくりいただきまして6ページ、HTV-X1号機の大気圏再突入についてでございます。HTV-X1号機は2025年10月26日に打上げを行いまして、その後2026年3月7日にISSから離脱し、3ヶ月間にわたりまして超小型衛星放出などの技術ミッションを実施しておりましたけれども、本年5月26日に大気圏に再突入いたしましてミッションを無事に終了したということでございます。
おめくりいただきまして最後です。油井、大西両宇宙飛行士によります高市総理大臣表敬訪問について、でございます。本年5月21日、大西宇宙飛行士と油井宇宙飛行士が高市総理大臣に表敬訪問を行いました。訪問ではお二人それぞれが実施されました長期滞在ミッションについて御報告をいただきますと共に、日本成長戦略等において成長分野として位置づけられているこの航空宇宙分野について、宇宙飛行士お二人のそれぞれの立場、経験から意見交換、御報告をしていただいたということでございます。トピックスについては以上です。よろしくお願いいたします。
【山崎部会長】 田渕企画官、どうもありがとうございました。それでは早速議題の方に移りたいと思います。
<議題1.「内閣府宇宙開発利用加速化戦略プログラム」(スターダストプログラム)により実施する戦略プロジェクトの成果報告について>
【山崎部会長】 最初の議題は、「内閣府宇宙開発利用加速化戦略プログラム」(スターダストプログラム)により実施する戦略プロジェクトの成果報告についてです。昨年12月の第100回部会において進捗報告のあったスターダストプログラム7件のうち、2件が令和7年度中に終了しております。本日はその2件のプロジェクトについて成果を御報告いただきます。
まず、「宇宙機のデジタル化を実現するマイクロプロセッサ内臓FPGAモジュールの研究開発」について、次に「カーボンニュートラルの実現に向けた森林バイオマス推定手法の確立と戦略的実装」について、それぞれ、JAXA研究開発部門第一研究ユニット 新藤上席、そしてJAXA第一宇宙技術部門地球観測研究センター 落合センター長から御説明をお願いいたします。質疑応答の時間は2件の御報告のあとにまとめて設けたいと思います。
ではまず、新藤上席、よろしくお願いいたします。
【新藤上席(JAXA)】 本件の研究代表を務めさせていただきましたJAXAの新藤でございます。資料106-1-1に基づきまして成果の御説明をいたします。
次のページをお願いします。本プログラムの背景・目的でございますが、この研究で対象としてきましたのはFPGAと呼ばれる半導体デバイス技術です。このFPGAと申しますのは、ユーザが中の論理回路を自由に設計することができるということで、非常に重宝されている半導体デバイスでございますが、このスターダストプログラムでは国産の低消費電力半導体技術であります原子スイッチと呼ばれるものと、あと私どもが持っております耐放射線性を強化する技術、これを組み合わせたナノブリッジFPGAと呼ばれる新しいデバイスを、国産技術の組み合わせということで開発することを目的としております。具体的にはここにあります丸1から丸3の三つの整備を進めてまいりました。丸1としてまずFPGAと呼ばれる半導体チップそのものの試作。丸2としまして、JAXAが別途開発を済ませておりますマイクロプロセッサのチップがございます。この二つを接続したMCMと呼ばれるモジュールの試作をしております。それから丸3としまして、これをユーザがお使いになられる時に使用する設計ツール等の整備をしたと、この三つの整備を実施しました。
少し飛んで7ページ目を御覧ください。ここでは、まずナノブリッジFPGA(NB-FPGA)と呼ばれるチップの中にどういう機能を組み込んだかということを図示しております。この回路を決定するにあたってはユーザとなり得る企業の方々に対するヒアリングを行ってこの機能を決めております。この図にお示ししたとおり、NB-FPGAコアという水色にハッチングしたFPGAの機能に加えて、ROMですとか周辺回路機能といったものを全てワンチップの中に含めるような形で設計をしております。
続いて9ページ目をお願いします。先ほどお見せした回路を実際に設計、配置配線と呼ばれる作業をしまして、半導体ウェハ上に構成しまして、実際にウェハを製造してチップを切り出した写真が図4になります。ここで使われております半導体技術はトランジスターの寸法が16nmという宇宙では非常に最先端を行く半導体技術を使っております。大体9mm×7.8mmという半導体チップが出来上がっております。ナノブリッジと申しますのはこのトランジスター同士の配線を繋いだり切り離したりということを自在にできる、銅イオンで架橋を作るようなブリッジの技術です。これがきちんと動作しているということも実物で図5のように確認できているというところでございます。
続きまして11ページを御覧ください。こちらが実際に別途開発しましたマイクロプロセッサのチップと組み合わせて、二つのチップを合わせたモジュールと呼ばれるものを試作したもので、その外観写真が図7になります。このように二つのチップを接続した非常にコンパクトなモジュール品を開発しまして、これをもとに実際に動作中の消費電力を実測した結果を表に示しておりますが、約1.6Wという結果が得られておりまして、競合する海外の製品群に比べて非常に低消費電力なものができているということがお分かりいただけるかと思います。
続いて13ページ御覧ください。こちらが三つ目の整備事項でありました開発ツール、ソフトウェアと評価ボードというものを、先ほどお示ししたモジュールが評価できるように環境を整えております。こちらも実際に整っておりまして、ユーザにお使いいただける状態になっております。
次のページには改めて競合する海外製品群との比較を示しております。特徴としては先ほど申した低消費電力性に加えて放射線耐性も非常に優れているという点です。性能面でも非常に良いものができたのかなと考えております。
以上が成果でございますけれども、15ページ以降に2ページほど今後の取組ということで、今後これをどのように利用を促進していくかという取組について御紹介いたします。16ページですが、まずとにかくユーザの方々に使い込んでいただくということが非常に大事ですので、これを企業にこれからどんどん使っていただくということで、機能の不具合含めてブラッシュアップしていくということを考えております。企業主体で進められるのですけれども、軌道上実証ということはJAXAも協力して企業と共に検討していきたいと考えております。
最後、次の17ページでございます。今ユーザ会と称しまして、27社が集まって、この半導体チップを使いこなすための様々なハードウェア、ソフトウェアの整備をこれから充実化させていくという活動がスタートしております。こちらに関してもJAXAは引き続き支援活動を行っていく予定で考えております。報告以上になります。
【山崎部会長】 ありがとうございました。今後の展開も含めて御説明いただきありがとうございます。続いて落合センター長、どうぞよろしくお願いいたします。
【落合センター長(JAXA)】 JAXAの地球観測研究センター落合の方から、スターダストプログラムのカーボンニュートラルの実現に向けました森林バイオマス推定手法の確立と戦略的実装について成果報告を説明させていただきます。
2ページ目は目次となりまして、3ページ目から御説明します。本件はこれまで3年間実施しておりまして、令和5年の7月6日に衛星開発・実証小委員会で認められた後に3年間のプログラムを実施して、今年度成果としてまとめさせていただきたいと考えております。
次のページをお願いいたします。4ページ目です。背景のおさらいになりますが、炭素循環、炭素収支に関わるカーボンニュートラルの枠組というものが世界的に進んでおります。衛星データというのは、国レベルの広域で取れるという点で活用が非常に期待されていまして、衛星データを使用しての標準化やカーボンクレジット市場への参入・価値創出が今世界各国で始まっております。特にNASAやESAでも同様の動きが始まっておりますが、まだカーボンクレジット市場に対してどの宇宙機関も参入できてはいません。そこで、我々が持っているLバンド合成開口レーダ(SAR)等の技術を用いまして、いち早くこういったところの森林バイオマスデータを作ることによってカーボンクレジット市場に参入していきたいと考えております。そのためには高精度なバイオマスデータを様々な、SARだけではなく、光学データ、ライダーデータ等々から作っていき、それをクレジット市場に対する方法論に繋げていかないといけない、といったものがこの取組になります。一例として下の括弧に書いてありますが、ESAが既にバイオマスマップデータを作っておりまして、それを日本の領域で確認したところ、地上データと比べてかなり過小評価している、7割程度に過小評価になって、これをそのまま使われてしまうと日本の市場取引に対してある意味ちょっと不利益になるのではないかというところから、我々としては独自の開発を行っていきたいというところでございます。
次、5ページをお願いいたします。大きな目的が二つございまして、まず一つは様々な衛星データを使いまして森林バイオマスマップを作るという目的。二つ目としましては、それをカーボンクレジット市場に売っていくために、そこに使われています方法論の中にいかに我々の衛星データベースの手法が組み込まれるかというところで、この二つを検証いたしました。
次のページお願いいたします。作業的には大きく四つ行っておりまして、丸1としまして航空機等を使った検証データの取得。丸2、丸3でだんだんスケールアップしていくのですけれども、小さい領域から手法を作って、それを国レベルまでの森林バイオマスマップデータを作っていくという丸2、丸3。丸4が最終的にそれをカーボンクレジット市場で使っていくための利用実証で、これらの四つの作業を行ってございます。
1ページ飛ばして8ページに行っていただきまして、丸1の作業として様々な検証データを取ったというところで、一つは航空機を使って、先ほど申しましたSARの観測ですとか、あとはグリーンハウスガスの観測として光学を使った植物蛍光観測などを同時に行いまして、森林、水田、湿地などを同時観測、この同時観測というところは世界初の観測を行ったというものが成果となってございます。次のページ以降9ページあるいは10ページにはそのデータの取得と共に取られたデータなどを掲載しているものでございます。
11ページをお願いいたします。実際に森林バイオマスマップデータを作った成果がこちらになります。先ほど申しました欧州宇宙機関ESAが作りましたバイオマスマップ精度を、まずは超えるということを目標精度としております。国内におきましては様々な地上データ並びに先ほど申しましたSAR並びに光学衛星データ、他のデータなどを使いつつ、森林の樹高ですとか地上部バイオマスマップの推定手法の精度検証を実施しております。これは3年分作ってございます。それを林野庁が持っております地上データ、NFIデータと呼んでおりますけれども、そういったデータですとか、あと航空機のレーザー測距データなどを提供していただきまして精度検証を実施しました。結果的にはESAのバイオマスマップの精度よりは良かったということで、地上データを正としますと全国平均が大体約154Mg/ha、これは我々の衛星データから出てきたものでございまして、真値となりますNFIから出たものは170Mg/ha、ESAのCCIバイオマスは112Mg/haでかなりアンダーエスティメイトしているというものでございます。精度で見ましても79.81Mg/haでESAが持っております88Mg/haよりも若干ですけれども上回る精度を実施したということであります。ただ絶対精度ではまだ20%以内に収まっておりませんで、まだ精度に対する課題は残っているというのが我々の理解でございました。こうした結果は論文発表もしているところでございます。
以降12ページあるいは13ページ、特に14ページに先ほど申しましたESAのバイオマスマップとの違い、あとバイオマスマップの世界的な広がりの図などを掲載しております。
少し飛びまして18ページお願いします。最後の作業でございますが、カーボンクレジット算定に係る利用実証でございます。こちらカーボンクレジット市場の参入促進のために環境省、林野庁と連携をいたしまして、大きくは国内ではJ-クレジットという制度、海外ではJCMという制度がございまして、こちらに対する適用を検討しました。結果から申しますとJ-クレジットはまだ精度が不十分であることから現状で精度の方法論への反映は困難であることが判明しております。一方、二国間クレジット、海外の方のJCMでは、カンボジアで一度ケースとして試したのですが、そこそこ良い結果が出ておりまして、1ケースとしては良い結果が出たというところでございます。
23ページになりますけれども、今回のまとめといたしましては、一つ目は森林バイオマスマップを作りましたということでESAのマップよりは精度が上がったということ、一方二つ目としてクレジット制度に対してはまだまだ課題が多いというところで、引き続きこういったところについては民間企業も含めて連携してやっていかなくてはいけないというところです。
最後24ページになりますけれども、今後もJAXAの重点テーマでございます「自然資本の把握とクレジット創出」という形で、今中期計画中に引き続き作業を続けて、J-クレジットやJCMに対しての方法論に確実に取り込めるような形で民間業者とも連携しながら進めていきたいと思っています。早速、住友林業とも連携して進めていくような形で進めているものでございます。以上でございます。
【山崎部会長】 落合センター長、どうもありがとうございました。それではただいまの両方の御説明につきまして御意見、御質問がありましたらお願いいたします。オンラインの方は挙手でお願いいたします。では木村委員、お願いいたします。
【木村委員】 御説明ありがとうございます。木村でございます。2件とも非常に良い成果で興味深い成果なのですが、特にFPGAの方についてコメントと質問を二つほどさせてください。FPGAは戦略的に非常に重要な技術で、海外の寡占状態にあるところに日本独自の技術で切り込んでいく、しかも放射線耐性が非常に高くて消費電力が圧倒的に抑えられるということで、これは素晴らしい技術だと思います。この成果は非常に高く評価できると思っています。
質問は、この手のFPGAが広がっていく上でとても重要なことが二つあると思っていて、一つは開発環境にまさに取り組んでもらえている、これすごく重要なことだと思います。実際に使われるところを考えた時に、FPGAはいかようにも使えるのですけれども、それを効率的に使うために開発環境は欠かせないと思っています。ただ、ユーザが使っていく上で、私もIPコアを書くのですけれども、既存の環境との違いというか、移行をいかにスムーズにさせるかというところは非常に重要だと思っています。これまでの開発でできたIPコアを捨てて新しいのを作るというのはなかなか敷居が高いものですから、そういったところの移行をどうやってスムーズにされるか、その辺りに工夫があれば是非教えていただきたい。これが1点目でございます。
2点目が、関連するのですがこの手のデバイスが広がっていくことにおいて、軌道上の環境、確かにこれから先はニーズが増えてくるのですけれども、まだまだ個数が出ていかない状況の中で地上との連接というのが非常に重要かなと。安定的に作り、安定的な性能を獲得していく上では、個人的にすごく重要だと思っています。その辺りの戦略的なものについて教えていただきたいというのが質問の2点目です。これは私が担当させていただいている宇宙戦略基金の方にも、この発展型がプログラムとして動いていて、大変興味深い内容だと思いますので、2点質問させてください。
【新藤上席(JAXA)】 コメントと御質問ありがとうございます。JAXAの新藤です。今いただいた二つの御質問についてですけれども、一つ目はおっしゃっていただいたとおり、開発環境、IPコア含めですけれども、やはりユーザとなる皆様方は今まで他社のFPGAをかなり使いこなされてきて、そこで使われているソフトウェアというのは世界的にデファクトスタンダードになっているようなツールを使われているかと思います。そういった観点では今回私たちが選んだ開発ツールも世界大手3社が今のところツールを供給しているのですけれども、このビッグ3のうちの一つを選んできてはおります。ただし今一番世の中で流通しているザイリンクスと呼ばれるFPGA、これとは少しちょっと違うツールになっておりまして、開発していただいたNBS社とも、ここの移植がスムーズにできるようにということを話はしていて、正直これから拡充していくということにはなるのですけれども、そこはしっかりユーザの意見もいただきながら進めていきたいと思っております。
それから二つ目の御質問、数の話もそうですし必然的にそれで製品単価も上がってしまうという宇宙特有の宿命的な問題があるかと思いますけれども、これに関しては、このNB-FPGAの技術、ちょうど今車載半導体としても自動車業界に目をつけていただいておりまして、今プルーフ・オブ・コンセプトをやっている状況だと聞いております。そちらの車載用途で採用が進むと宇宙だけではなし得なかった非常に多数の数が出せるようになって製造安定性も上がってくるかなと期待はしております。そこら辺も企業は頑張っているところですけれども、JAXAも側面支援的な形で他の産業でも採用に行くようにということを、あとは原子力関係ですとかそういったところにも売り込んでいくというところにJAXAもお手伝いしていこうかと考えております。
【木村委員】 ありがとうございます。大変素晴らしい取組だと思います。特にFPGAは、今宇宙だけじゃなくて地上でも輸入等の問題が発生するというところで、市場でも大きな展開になるかと思うので是非頑張ってください。期待しております。
【新藤上席(JAXA)】 ありがとうございます。
【山崎部会長】 では続きまして田中委員、よろしくお願いいたします。
【田中委員】 カーボンニュートラルの方について質問したいと思います。ESAの全球森林バイオマスマップと比較されて非常に精度が上がったということなのですけれども、その大きな要因はLバンドを使っているということなのでしょうか。またESAの全球というのは割と有名なのですけれども、もしも本当にその精度が良いのであれば日本もしくはアジアだけではなくグローバルに展開されるようなことをお考えになっていますでしょうか。以上、お教えいただければありがたいです。よろしくお願いいたします。
【落合センター長(JAXA)】 御質問ありがとうございます。ESAの全球バイオマスマップとの精度の違いなのですけれども、衛星データは地上データとの検証によって精度が上がっていくものですから、地上データの入手とそれとの比較というのは必須になってまいります。ESAの方も世界各地に検証サイトというものを設けておりましてそれぞれ毎に検証しているのですけれども、やはりですね、アジア域の検証サイトというのは、彼らが所有しているものは非常に少ないです。その辺りは我々は林野庁とも協力させていただいて、林野庁が持っている国の検証データ、NFIと呼んでおりますけれども、まさにこれを使うことによって精度を上げることができているという状況になっております。いかにこの地上の検証サイトを持つかということが森林バイオマスマップの精度向上に非常に大きく関わってまいりまして、二つ目の御質問に関しては、まずはアジアの方の検証サイトを見ながらアジア展開の事例を作っていく、特に先ほどのカンボジア等を皮切りに、よりこちらの方の精度が良ければさらにアフリカですとかアメリカの地域の方にも展開していくような手段が今後取れていければ良いと考えてございます。
【田中委員】 ありがとうございました。大変よく分かりました。
【山崎部会長】 他いかがでしょうか。村松委員、お願いいたします。
【村松委員】 御説明をありがとうございました。日本全国のデータを整備されたということで、今後その利用が活用されていくかと思いまして大変素晴らしい結果だと思います。そこで質問なのですが、今回このデータをクレジット市場に向けてどのように組み込んでいくかというお話で、J-クレジットの方はちょっと難しいけれどカンボジアではそこそこ利用できるのではないかという御判断だったと思うのですが、それはカンボジアのクレジットの法律的な制度が今回のこうした解析データに向いているのか、それともカンボジアのバイオマスの推定精度が日本よりもより上手くいったのか、どういった原因でカンボジアが日本よりもクレジット制度に向けて利用可能性が高いという御判断になったのか教えてください。
【落合センター長(JAXA)】 御質問ありがとうございます。クレジット制度の概要ということで19ページに示させていただいておりまして、制度ごとにJ-クレジット、JCM、あともう一つはボランタリークレジットの大きく3種類がございまして、今回、J-クレジットは国内、JCMは二国間のクレジットということで検証させていただきました。J-クレジットの方は、まさにこの方法論というものが、他の二国間のクレジットですとかボランタリークレジットと比べて違ってございまして、そこをどのように当てはめるかというところは違ってまいります。やはりJ-クレジットは森林バイオマスの精度を上げていかないと直接使いづらいというところがある一方で、二国間のクレジットの方は、方法論にもかなり色々使い方があって、例えば森林が、あるところで一定の数があって、今後伐採されたりあるいは生えてきたりと変化が起こった時の差分情報として使うとか、そういった形の違う使い方を使った場合にはこれを当てはめることができるといった意味で、今回カンボジアでは、いわゆる差分を取ったところの値に我々の森林バイオマスマップあるいは衛星のデータを使ったことで1ケースを検討してみたという形になりまして、そこにおいては精度も割といいものが出ているという結果になっております。ただこれを全般的に当てはめるかどうかは、さらに検証していかないといけないと考えております。J-クレジットはまずバイオマスの精度を上げていかないと如何ともしがたいという状況になっているところでございます。
【村松委員】 どうもありがとうございました。最近いろいろな環境調査とか環境データに関して、ユーザとか一般人からのデータ提供とか、そういったものを収集するような流れもあると思うのですけれども、本件に関しても例えばJ-クレジットに申請した時のデータを利用するとか、もう少し現場データを集めるような方向性は何か考えられていますでしょうか。
【落合センター長(JAXA)】 ありがとうございます。先ほど最後に述べさせていただいたとおり、今まさに次のステップとして住友林業との共同研究を予定しておりまして、林野庁が取ったデータのみならず企業が取ったデータというものも検証の中に含めて、これからまさに追加して検証を進めていきたいと考えておりまして、そこが民間のカーボンクレジット市場の参入に関わる重要な起点でもありますから、民間が保有している森林も使わせていただくといったことで今後の相乗効果が出てくるのではないかと考えております。
【村松委員】 どうもありがとうございます。期待していますのでどうぞよろしくお願いいたします。
【山崎部会長】 他に御質問等ありましたらお願いいたします。吉井委員お願いします。
【吉井委員】 吉井でございます。まずFPGAの方は、軌道上実証をいろいろと調整されているということですけれども、民間企業でこうした部品を使うには実証されていることがマストだと思いますので、是非1度や2度ではなく、なるべく多くの軌道上実証の機会を持っていただけたらなと思います。それからカーボンクレジットの方なのですけれども、こちらの衛星データとはどの衛星のデータを使ってらっしゃったのでしょうか。
【落合センター長(JAXA)】 SAR、合成開口レーダを主体にしつつ、あと光学衛星、特に欧州のセンチネル衛星ですとか、あとは我々が自分で作った土地の変化マップですとか、あとはその起伏のデータですとか、そういったものは組み合わせて使っております。
【吉井委員】 分かりました。おそらくJ-クレジットでまだちょっと採用できないというのは、撮影頻度とレゾリューションの問題があるのだと思うのですね。今日本でも商用コンステ、防衛コンステなんかは基金で展開していますし、アメリカではGHGSatとかMethaneSATなどはもう民間のお金で事業に取り組む動きが出ているので、ハードウェアの進展とセットなのだと思うのですね。ですから日本の民間でもこうしたことに取り組む動きもあると聞いていますけれども、是非幅広くハードウェアのプレイヤーの方々とも連携をしながら、クレジットの枠組というのは日本だけではなくて国際的な取組も必要になってくるので、政治的な力というのも必要になってくると思います。一方で間違いなくクレジットの世界では衛星データというのは今後使われてくる世界だと思いますので、是非官民で日本のプレゼンスを高められるようにお取り組みいただければと思います。
【落合センター長(JAXA)】 ありがとうございます。しっかり取り組んでいきたいと思います。
【山崎部会長】 他はいかがでしょうか。久保田部会長代理お願いします。
【久保田部会長代理】 久保田です。FPGAについて御質問させてください。大変素晴らしい成果が出ていると認識しております。資料106-1-1の14ページにベンチマークが出ておりますけれども、これは容量と周波数で色々あるので、なかなか比較しにくいところですけれども、今回開発したFPGAはこの資料に出ている耐放射線、消費電力、消費電力は特にクロックですとかあるいは容量によって変わると思うのですけども、ここに出ている1.6Wというのは500kで600MHzの最大値と理解すればよろしいでしょうか。
【新藤上席(JAXA)】 はい。おっしゃっていただいたとおりです。もう少し正確には、その少し前のページ、11ページの表のところに色々注を入れさせていただいたのですけれども、今回の評価では回路使用率90%という最大に容量を使用した状態で500MHzという動作状態で解析して1.6Wという数値を得ております。消費電力は周波数に比例とお考えいただければよくて、例えば250MHzでしたらこれの半分ぐらいになるといったような感じで、いずれにしてもそのような数値を実測しております。
【久保田部会長代理】 わかりました。是非国内外で使われるように、先ほど木村委員の御質問にもありましたけれどもコストも是非考えて普及できるようにしていただければと思います。どうもありがとうございました。
【新藤上席(JAXA)】 ありがとうございます。
【山崎部会長】 吉成委員、お願いいたします。
【吉成委員】 吉成です。御説明ありがとうございました。FPGAについて再度御質問させていただきたいと思います。成果が出たということは大変喜ばしいことなのですが、本プロジェクトが最後の報告になると思うので、改めて意義について、今後衛星がデジタル化していく等々の文脈も捉えて、衛星開発期間が短くなるとか開発コストが下がるとか運用の柔軟性が上がるとか、色々あると思いますが、我が国としてこの技術を保有することの意義というのをもう一度改めて御説明いただきたいと思うのですがよろしいでしょうか。
【新藤上席(JAAX)】 承知しました。意義に関しましては技術的な側面、それから技術でないところの側面の二つございます。一つまず技術的な面で申し上げますと、このFPGAというのは計算機の中枢を担うデバイスです。この性能が衛星の性能を決めてしまうぐらいの非常に重要なポジションにあるデバイスですので、より性能を上げて、しかもプログラミングを軌道上でもできるようにする、放射線耐性を持たせるというのは軌道上でも安心してプログラミングができるように、ということでこのような形にしておるのですけれども、軌道上でのリプログラミングもできるようになるということで、デジタル衛星の軌道上での運用の柔軟性が非常に上がるかなと思っております。
それからもう一つはその1.6Wで非常に低消費電力でございますので、熱設計が非常に簡素化できるというところで、特に小型衛星を作るにあたっては熱設計が簡素化できるということで恩恵を受けることになるというところがもう一つの技術の意義でございます。
それから技術以外のところですが、御存知のとおり長年FPGAというのは国産部品ができずに海外のデバイス技術に依存してきております。調達が上手くいっている間は問題が顕在化しないのですけれども、実際20年ぐらい前に一度苦い経験がございまして、やはり製品が不具合を出した時に海外製品の場合、日本からどうしようもなくなってしまうということがございます。ですので国産技術で自在性を確保するという意味でこのFPGA技術を私たちが持っているということは非常に意義があることだと考えております。以上が意義になります。
【吉成委員】 ありがとうございます。その観点でこの16nmというのが日本の国内のファウンドリで生産できるという前提かと思うのですが、その辺りの確認等々はされていらっしゃるという理解でよろしいでしょうか。
【新藤上席(JAXA)】 はい。本当の意味での国産という意味では、この16nmというのは現状海外にしか工場がなくて、いずれ熊本等にも出てくるとは聞いておりますけれども、なるべく国内で製造ができるようにというところを意識してこの16nmという技術を選んできているという経緯はございます。現時点では海外で製造しておりますけれども、近い将来国産になる期待があるというところでございます。
【吉成委員】 はい。わかりました。
【山崎部会長】 では続いて高橋委員、お願いいたします。
【高橋委員】 技術的なことをお聞きしたいのですけれども、原子スイッチというのはどのくらいの回数の書込み、読込み、というか耐性を持っているのかというのが一つと、これはどんどん大型化していかないと、ロジックセルの数が既存のFPGAに比べたら少ないと思うのですけれども、将来的に大型化できるということは既に実証されているのでしょうか。
【新藤上席(JAXA)】 まずこの原子スイッチですけれども、半導体デバイスの中の配線と配線の層の間に固体電解質と呼ばれるものが埋め込まれている層がございまして、ここに電圧をかけて銅イオンでブリッジを作ったり、あるいは切り離したりという半分破壊的な操作をしているようなスイッチングですので、無限回というわけにはいかない技術です。大体耐久試験をしている限りですと1万回から10万回ぐらいのスイッチングはできるというところまでは確認しております。
それから今後の大型化について、例えば16nmから先の7nmとか2nmとか、より大きなLSIということに関しては、原理的には可能だろうということ、技術的な検討の目度は立っておりますけれども、実際にそこを試作して確かめたわけではございませんので、そこは将来の課題になるかなとは思っております。
【高橋委員】 ルールが細かくなるのとチップを大型化するのは違う話だと思いますけれども、チップ上に安定して原子スイッチを大面積に作る技術は確立しているかという質問です。
【新藤上席(JAXA)】 失礼しました。そこはできております。このFPGAで使ったものよりももっと大面積を対象に、FPGAではないのですけどROMという形で結構大きな面積上にあれ以上に並べたようなテストチップを過去に作った経験もありまして、それでもしっかりできていまして、当然半導体技術ですので多少の歩留まりは出てきますけれども、ビジネスになるぐらいの歩留まりで製造はできるという目処は得ております。
【高橋委員】 最後の質問なのですが、例えば私が使おうと思った時には、簡単にアクセスできる状況に既になっていると思ってよろしいですか。
【新藤上席(JAXA)】 はい、そうですね。一緒にやりましたナノブリッジ・セミコンダクタ社(NBS社)というところにお問い合わせいただければというところで、評価キット、評価チップ等はそこから入手できるという形になっております。
【高橋委員】 そうするともうすでに書き込みのツールとかそういうものがあり、アクセスできると思ってよろしいですか。そうすると、これは宇宙ばかりではなくて例えば加速器の中のいろいろな測定装置なんかにも使われると思いますし、そちらの方が逆に言ったらマーケット大きいかもしれなくて、CERNなどの大型加速器実験をやっているところはこういうデバイスを求めているのですが、そういうところへのアクセスとかはやっておられるのでしょうか。
【新藤上席(JAXA)】 はい。実際に昨年も学会の展示会等を通じて海外の加速器業界ですとか、国内でもKEK(高エネルギー加速器研究機構)と話をして、こういうデバイス使えるようになるといいねという話は少しずつですけれどもやっております。
【高橋委員】 ありがとうございました。
【山崎部会長】 それではよろしいでしょうか。2件とも是非実装に向けた継続した取組をお願いしたいと思いますし、事務局の方でも折を見て追跡ヒアリングのような形でしてもいいのかなと思います。どうもありがとうございました。それでは次の議題に移ります。
<議題2.文部科学省 中長期の宇宙研究開発の推進方策の検討について>
次の議題は、文部科学省における中長期の宇宙研究開発の推進方策の検討についてです。今回も個別論点の議論を進めていきたいと思います。本日は衛星及び軌道上サービスについて扱うこととします。
この関係での参考情報として、日本成長戦略会議戦略分野分科会の航空・宇宙ワーキンググループにおける議論について事務局より最新の状況を共有いただきたいと思います。お願いいたします。
【梅原課長(事務局)】 宇宙開発利用課長の梅原でございます。政府の日本成長戦略会議においても、前回、前々回ともに簡単に御紹介をさせていただいておりますけれども、ロケット・射場、また人工衛星・サービス、そして月面・低軌道という形で今官民投資のロードマップを書いてございます。そういった中でこの人工衛星・サービスというようなところも本件のものに非常に関与の深いところでございますので、簡単に方向性だけ述べさせていただきたいと思います。
会場におられる方につきましては机上配布資料と書いたものがございますが、最後にカラーのページがあろうかと思いますがそれを御覧いただければと思います。全部読むことはいたしませんけれども、方向性というようなところで、現状認識としましては、日本においては官民で先進的技術・知見を保有しているのが強みである一方、重要部品・中核技術は海外が先行しており、日本は依存している状況もあるということ、またそういった通信やデータ利活用の分野ではサービスが非常に拡大しておるところでございますけれども、我が国においてはまだ途上であるということ。そして課題としましては地上設備、また試験研究設備も含めて脆弱性があって、それが開発スピードの足枷になっている部分もあるというような認識でございます。
2ポツ目でございますけれども、この衛星サービスというのはまさにグローバルの前提でございまして、グローバルプレイヤーをしっかり育てていかないといけないというようなこと。その上では政府としましてもアンカーテナンシーが非常に大事になって、それで予見性をしっかり持っていただけるような形に持っていくというところ。そして民間の方々におかれましては、予見性を持って設備投資をやっていただくことが大事なことであろうとおうことを、現状認識としれ捉えられてございます。課題としましては今申し上げたようなところもございますし、先ほど御指摘もございましたけれども、軌道上の実証機会の圧倒的な不足というようなところも我が国の課題であろうと捉えております。
政府の成長戦略の会議においては今後講じるべき施策として、国内外の需要を獲得していくという意味では衛星光通信であるとか、また新たな軌道上サービスとして、燃料補給でありますとかそういったところをしっかりやっていくということ。そしてサービスの社会実装の支援、そして政府はしっかり予見性を民間にお示ししていくというようなところ。そしてあとは地上局はじめ試験研究設備などといった基盤をしっかり強化していくこと。これはJAXAに一番中枢のものがあるわけでございますけれども、そういったところを強化すると共にしっかり共用の体制を作っていこうというようなところでございます。あとは政府のアンカーテナンシーの強化、そしてJAXAの技術を民間に継いでいくことをしっかりやるということでございます。
今後この成長戦略におきましては、国内の民間企業における衛星システムを2030年代に5件以上構築していくというようなものであるとか、新たなサービスを30件以上作っていくといったことを目標にしておるところでございます。また2040年には国内外で12兆円規模の需要獲得をしていくことを目指しております。そういった中で今各省共にこのロードマップの具体化に向けて、それぞれの役割に応じて政策を作り、そしてこれから夏に向けて予算要求に向かっていくといったステータスにございます。以上です。
【山崎部会長】 梅原課長ありがとうございました。それではまず衛星分野につきまして文部科学省 研究開発局 宇宙開発利用課の島村補佐、JAXAの瀧口理事の順に御説明をお願いいたします。
【島村補佐(宇宙開発利用課)】 JAXAの衛星開発及び利用促進に関する主な論点についてということで、島村の方から御説明させていただきます。1ページ目、こちら過去の事が書かれております。ここで重要になっておりますのは、JAXAの研究開発が実利用・ユーザへ成果移転されてきたというところでございます。通信、放送、気象、測位というところでございます。
2ページ目、こちら現状が書かれております。JAXAとなって研究開発品である地球観測衛星の有用性というところを実証してきておりますけれども、実用システムとしての出口に向けて昨年度より衛星地球観測の重点テーマというところに着手してきたところでございます。先ほどの過去の部分でも申し上げたとおり、JAXAは技術の橋渡しや人材育成を行ってきておりましたけれども、引き続き社会に貢献するための新たな技術の獲得に向けた研究開発を実施していくことが必要であると考えております。また民間事業による衛星システム運用が昨今期待されておりまして、宇宙戦略基金等の民間支援策も実施してきたところでございます。
一方で、今まで研究開発機関がプロトタイプをリードして、実用は民間事業者がというところでやってきておりましたけれども、一番重要なデータ利用者による牽引がまだ不足していることや、また研究開発として技術を磨いて利用の可能性を追求して民間もサービスになるようになってきておりますけれども、その先をどうするのかという岐路に現状ございます。
3ページ目にございますのはJAXAにおける開発中、運用中の衛星でございまして、4ページ目に参考に載せていますけれども、申し上げました衛星地球観測重点テーマの推進の詳細を書かせていただいております。
5ページ目、こちらはNASA、ESAの欧米における衛星開発利用促進における機関の役割を示しております。見ていただくと分かるように、やはりNASA、ESA双方とも地球科学というところで科学ミッションをやっているほか、通信、測位というところでも研究開発を実施しております。また公共性の高い長期データ創出のための衛星開発といった公共インフラとしての役割でしたりとか、データ基盤を維持管理するといった役割、また民間支援はNASA、ESA共にやっていることが改めて分かる資料でございます。
6ページ目でございます。こちらALOS-2の衛星データの利用実態を示しております。ALOS-2、国土強靭化や地球規模課題といった公共性の高い衛星でございますけれども、その衛星であったとしても提供数は政府機関が4割、民間企業等を含む一般ユーザが3割、研究者が2割という形で幅広い方々に利用していただいております。
7ページ目移っていただければと思います。先ほど梅原課長の説明でもありましたけれども、JAXAの試験設備が非常に重要であると考えております。衛星試験設備といったときに、下にございます音響ですとか振動、熱真空、電波、特性確認試験がございますけれども、こうした試験設備はJAXAのみならず民間企業の方々も使用していただいております。官民で衛星の開発数がこれから大幅に増加して試験需要が高まる中、既存設備の老朽化も今課題となっております。そういったところによって試験キャパシティの不足が国全体の衛星開発数を制約し、宇宙産業の成長を妨げる要因となり始めているというところが課題としてあるかと思っております。
8ページ目、今申し上げたような現状ですとか課題を、改めて整理して主な論点としてまとめました。衛星利用が広がり国内でも複数の民間事業者が衛星の開発、運用、データ提供及び利活用等の商業活動を行うようになった現在、文科省、JAXAの役割について改めて定義することが必要であると考えております。基本的な立場として文科省としましては、宇宙の開発及び利用にかかる科学技術の水準向上がミッションであることを踏まえまして、特に今申し上げるような観点から技術開発やそれを通じた人材育成を進めるべきではないかと思っております。その観点というのが大きく四つございます。一つ目が、利用ニーズが見込まれるものの技術的困難さから民間企業単独ではその開発が難しいもの。二つ目として、10年後20年後にニーズが明確化することが予想されており将来的な宇宙開発利用を開拓するもの。また国際協力や国際的なプレゼンスの発揮上重要なもの。また科学というところもNASA、ESAもやっておりますけれども、そこへの貢献も非常に重要であると思っています。
そういった今申し上げたものに取り組む際には、今から申し上げるような観点を十分に取り組むことが重要ではないかと思っております。その観点というのはユーザとなる企業、官庁、アカデミアからのニーズの取り込み、ALOS-2でも様々な方々から利用していただきました。そういったもののニーズをきちんと組み込んで仕組みづくりをして着実な運用をすること。また明らかになったニーズについて優先順位をつけて計画的な衛星開発をすること。また得られた技術の民間企業等への技術移転について具体的な道筋をちゃんと検討するということでございます。
9ページ目に移っていただきまして、論点として掲げておりますけれども、運用中の衛星については、何点か重要な点があると考えています。一つ目は、運用から得られた技術的課題や明らかになったユーザニーズへの時期衛星開発への反映の仕組み、もう一つは後期運用のあり方の検討、具体的には後期利用の意義ですとか目的の明確化、民間企業等への橋渡しといったところがございます。これらを実施していく際には、やはり真にJAXAにしか実施し得ない研究開発への注力ということと、民間企業育成の観点からは必ずしもJAXAが全面的に研究開発を行うところではなく、技術開発の一部でしたり全部を民間企業に委ねるということも重要であると考えております。
加えて衛星の施設の部分でございます。衛星開発利用を進めるには基盤的施設の維持、計画的更新が重要であると思っております。JAXAの大型試験設備は、JAXAのみならず民間企業のメーカも利用しておりますので、またJAXA衛星においてもただ作るだけではなくて、民間のデータ利用者もございます。我が国の官民の衛星製造・利用のためのJAXAの設備の整備・共用を推進していくことが必要であると考えております。駆け足になりましたけれども文科省としてはこのようなところが論点として重要だと考えております。以上でございます。
【山崎部会長】 はい、瀧口理事、お願いいたします。
【瀧口理事(JAXA)】 続きましてJAXAとしての説明をさせていただきます。私は、旧NASDAに入社して以来ほぼ30年間衛星に携わっています。通信衛星から地球観測衛星、それからALOSを使った災害対応といったことに、またリーダーとして東日本大震災対応もいたしました。こういったところに色々思いを込めながら話したいと思います。
表紙をめくっていただき2ページ目ですね、およその歩みとありますが、10年単位でマクロに区切ってみたものです。80年代にBS、CS、GMSを導入するという輸入技術に学びながら国産技術を取得していくということをやっている間に、日米90年合意というものがございまして、実用衛星は公開調達をしなさいという米国の政策が適用されている中で、NASDAはどちらかというと実用からは一線を引いた形で研究開発衛星、それから当時この実用衛星には地球観測衛星は含まれておらず、地球観測がサイエンスと見なされていたので、研究開発衛星とサイエンス、地球観測にシフトしています。
2000年代に入りましてNASDAからJAXAになりました。もうこの辺からは不具合も多かった時期でございましたので、まず信頼性向上に取り組みつつ、特に地球観測に関しては継続した監視、GEOSS、全地球観測の大きな地球観測の流れもございましたので、我々としましては技術としては信頼性を確保してなおかつユーザ目線で継続するということを軸にやってまいりました。
それからETS-8を開発しまして、そこからDS2000という三菱電機商用バス、静止化衛星のマーケット参入というところも実現できておりますということで、技術の安定化により少し先に進んだ形になりました。
2010年代に入りますと、まさしく宇宙開発戦略本部による宇宙政策推進ということで研究開発以外の要素もじわじわと入ってきまして、大きな例としましては準天頂衛星の実用システム化、それから防衛省Xバンド通信衛星導入というところで、2020年代に入りますと今度はスタートアップ参入ということで、衛星を軸に考えましても技術の成熟と共にプレイヤーが着実に増えてきたと思っています。
特にJAXA設立以降、繰り返しになりますが信頼性を確保して技術を安定化してきました。地球観測におきましては継続した観測を意識したということで、利用拡大、研究成果最大化というところに努めてまいりました。DS-2000バスに代表されますように実用衛星といったところの貢献、それから政府衛星にも受託という形で貢献をしてまいりました。このような衛星50年の流れを通じて民間への技術移管も進めておりますし、人材が育ってきているという認識でございます。
特に先ほど落合からもカーボンの話をしましたけれども、地球観測の継続観測によって、JAXAの衛星で学んだ学生がJAXAに入社するという還流が始まっています。非常にこれは良いことでございまして、昔みどり(ADEOS)、みどりII(ADEOS-II)が事故した時は、私の恩師の1人である東海大の坂田俊文先生からも、昔「JAXAの衛星では学位が取らせられない、続かないからだ」と言われました。こういった継続観測が、観測データというだけではなくて、人の育成という面でもかなり成果出しているのだと思っています。
3ページに行きます。宇宙の敷居はこういった形で下がってきたこともあり、島村補佐からもありましたように、文科省やJAXAといった研究開発からのアウトリーチだけの宇宙ではなくなってきていると思っております。まさに実利用目線での宇宙が出てきています。
そういった中でJAXAの役割をどう捉えていくかが今後大事だと思っています。まず間違いなく私共は宇宙機関だと思っていますので、宇宙機関として、特に衛星に関してはこの四つの考え方を持って臨みたいなと思っています。
一つは国際的な先端事業ということで、やはり衛星を用いた事業をしていると思っています。特に地球観測の環境観測、それからJAXAが保有し続けていますデータアーカイブ、それから校正検証をはじめとするセンサー研究、これは我々自身がなさねばならぬ事業だと思っています。二つ目はカッティングエッジな技術をリードしていかなければいけないという、将来を見据えたR&D事業。三つ目は、JAXAだけで保有していては国力が保てませんので政府貢献をしていくということと。四つ目は産業競争力強化・基盤維持といったところで、特に通信衛星は昔からもう事業化が見えていますので、JAXAも90年合意以降は民間事業者にリードしていただく形になっていますが、バスを開発したりしております。最近では地球観測の地理空間関係について、高分解能はもう民間プロバイダ事業という中で、JAXAは何ができるかということで、高度計ライダーという3次元方向の計測をしていくという官民役割分担のもと、産業競争力強化の一環だと思って取り組んでおります。それからこの後佐々木の方からもありますが、基金事業といったところが我々としての産業貢献、基盤維持だと思っています。
私共、国の研究機関、宇宙機関としては一つ目、二つ目あたりがコアだとは思っていますが、軌道上の衛星から得られた校正検証とか新しいセンサニーズのフィードバック、それから衛星を用いたい利用ユーザとの調整を通じて研究開発課題を抽出していくのが不可欠だと思っていまして、そういった中で三つ目、四つ目に対する我々の力というのも養われていくものだと思っています。中核と言われていますが、我々も自分のコアなくして委託は来ないと思っておりますので、自分自身の力を上げつつ三つ目、四つ目といったところにも貢献していきたいと思っております。
そういった理念を元に今年何を頑張るかと言いますと、まず技術試験衛星9号機(ETS-9)、それから降水レーダ衛星(PMM)と、地球観測として20年利用実証をやってきましたけれども、出口戦略の一つとして重点テーマに取り組みたいと思っております。
次のページめくっていただきますと、少し絵を入れた形で1番2番3番4番の項目に沿った御紹介をさせていただいております。特に1番、先週NASAのフォックス局長、それからカレン・サンジェルマン地球部長がいらっしゃいました。この写真中央の女性お二人なのですが、長年の地球観測パートナーとしてのJAXAということと、文部科学省と内閣府にも表敬いただいて地球観測の重要性を御説明いただき、今この左にありますPMM、これは雨を観測するレーダでTRMM/GPMの後継となるものですが、昨年NASA予算が変動する中で、PMMについてNASAの負担するロケットランチャーがウィズドロー(撤退)するかもしれないという中、やはりPMMは大事だと言って復活していただきましたということで、今後NASA、JAXAの深い協力でこのPMMをやっていくという決起集会をしております。
それからこの右の方はそういった降水レーダのデータと気象衛星、それからマイクロ波放射計といったところのデータをフュージョンさせましたGSMaPと言われているものです。世界中の雨を観測しておりまして、これとさらに地形データ等を組み合わせたアプリケーションで洪水対策等にも活用しているというものでございます。
2番は先駆的な取組ということで、今取り組んでおりますのが大気吸い込み型VLEO衛星、低軌道衛星です。SLATS以降、今、低軌道衛星の流れが見えないという御指摘もよく受けるところですが、まずその低軌道衛星の新しいエンジン、それからシステムの開発に取り組みたいと思っております。
次のページに進みまして3番は政府事業で、今年みちびき7号機の打上げがあると思っていますが、そういったところの貢献、それから防災活動、MDA(海洋状況把握)は、海上保安庁とか海洋政策推進事務局と組んでやっている話で、この辺が政府貢献の領域だと思っております。
4番は光通信ですね。これも最近トップイシューになりつつあるということで、光通信は産業を意識してやらねばならぬと思っております。
6ページにまいりまして、重点テーマと言われているものが四つあります。これも何度か御紹介しておりますが、代表的なのは先ほど落合の方から説明させていただきましたカーボンクレジットの話です。水田の話と森林の話と二つやっています。それから右横の海洋政策推進事務局とやっていますMDA(海上状況把握)。それから左下の水災害・水資源管理といったところは、先ほどPMMの御紹介をいたしましたけれども、こうした洪水系の全球マップデータから地形等アプリケーションを組み合わせた洪水予測をやっています。そして右下が防災系です。防災系につきましては、先々週フィリピンのマルコス大統領が来日された時の晩餐会で、日本の宇宙技術データ利用の貢献、昨年もセブ島で大きい地震あったかと思いますけれども、日本の衛星による災害対応というところが御紹介されておりまして、もはや衛星による防災対応は日本のソフトパワーではないかとも思っておりまして、早くシステム化をと、もう研究開発のアウトリーチだけでは済まなくなっているのではないかと思っているところでございます。
7ページにまいりますと、将来、文科省、JAXAとしてプロトタイプを良いねと言ってもらえたら、その先をどうするかをまさに議論する時期に来ておりまして、科学技術という面で貢献をしてきましたが、実用化、国のインフラ化をどうしていきますかという状況に来ています。出口が整ったものは引き渡して新しい研究開発に回していくということで「循環」ということと、JAXA自身もやはり新しいことを常に取り入れていかなくてはいけないことで「強靭化」というメッセージを出しております。代表例としてALOS、これもシリーズ化してまいりましたがその先どうしていくかと、防災でも森林でも非常に性能の良い仕事はしているのですが、では国のインフラとしてどうしていきますかと議論をしながら、研究機関としての役割も同時に議論させていただきたいということと、技術試験衛星ですね、これも商用バスとして発展していますし、ETS-9につきましても研究成果が防衛省次期通信衛星にも採用されるというところまで来ています。こうした技術プログラムにつきましてもその先どうしていくかというのが、今工程表上からは見えないというところは一つ課題かなと思っております。
8ページにまいります。黄色いエリアがNASDA/JAXAがやってきたプロトタイプで、横軸は時間軸になっていまして、色が変わっていくということはNASDA/JAXAの手を離れて実用化されていく様子を、地球観測、通信、測位といったところのビジュアル化したものでして、50年近くかけてじわじわとインフラとしての浸透ができているのだろうなと思っていますし、黄色いところはこの先色を変えていきたいという所存でございます。
次のページはETS-9の御紹介、それからその次のページはPMMの御紹介ということで、当面利用系衛星が注力する2点をここでハイライトさせていただいております。説明としては以上でございます。
【山崎部会長】 ありがとうございました。それではこれまでの御説明を踏まえまして、JAXAにおける衛星開発の中長期的な観点で今後取り組んでいくべきことなど、忌憚のないディスカッションができればと思います。最初に委員の皆様から一通り意見をお伺いして、その後御説明者の皆様から回答いただければと思います。ではいかがでしょうか。神武委員、お願いいたします。
【神武委員】 ありがとうございます。御説明ありがとうございます。お二つの御説明について、大きな異論はもちろんないですし、まさに衛星の数が爆発的に増えている中でいかに日本が世界に伍していけるかというところでは、重要な岐路に立っているのではないかと思います。その中で私からのコメントとしては、利用者の立場を考えた時に、衛星利用のアイデア出しを実際にやっていただくことを考える時には、世界中にいろいろな衛星がありますので、当然我が国の衛星を使っていただいた方が良いところではあるのですが、必ずしも日本の衛星の範囲で考えていただくとか経験をしていただくということではなくて、宇宙開発、衛星データ利用という意味では、まずは色々な知見を持っていただくということが大事なので、そういった利用者に機会を提供するという意味ではJAXA並びに日本の衛星に限らない知識をつけていただくことは重要な点かと思います。
もう1点は、それにも関係しますし最近私たちの間で話題になっているのは「AI for Science」という取組で、文部科学省が主導されていて、1,000の案件を採択しますということで、とにかくAIをそんなに使ったことがない人でも良いので使ってみたいのであれば応募してくださいと、AIを使ういろいろなアイデアをまずはみんなで考えていただいて、日本としてのAI利用を拡大していきましょうという取組があります。それと同じというわけではないですが、衛星データもコモディティ化していますので、衛星データを使ったことがなくてもとにかくやってみましょうという気運を作ることが大事なので、それこそ「Space Data for Science」ではないですが、もう少し参入障壁を下げられるような取組をしていくのが良いのではないかなと思っています。一方、小学生などの何も分からない子にとにかく衛星データを使ってもらうのは少し飛躍があるので、そこまでではないにせよ、衛星データには少し難しそうというだという印象が多くの方にありますので、いかに参入障壁を下げて、やってみようと思ってもらえる、間口を広げる、敷居を下げるというところが大事ではないかなと思います。以上です。
【山崎部会長】 ありがとうございます。では続いて山室委員お願いします。
【山室委員】 今の神武先生の御指摘と繋がるところがあると思うのですけれども、資料の106-2-1の2ページ目、「一方で」と書かれた下のところに「一番重要なデータ利用者による牽引がまだ不足」という表現があります。神武先生がおっしゃったようなものがこの表現ではわかりづらいと思います。例えば6ページのところに衛星データの利用者が実際はどのようになっているのかの御説明がありましたが、そこでは政府機関や民間、研究者が幅広く利用しているという御紹介があり、まだまだデータの利用が少ないとかそういったイメージが、先ほどの内容では伝わらないです。8枚目、9枚目に、それではどう対策していくかが書かれているのですけれども、これも神武先生がおっしゃったような、「具体的にデータをまだ使ったことがないような人が利用できるような仕組みにする」という観点が見えてこないので、論点の中にはそういうことも入れた方が良いのではないかと思いました。以上です。
【山崎部会長】 続いて高橋委員、お願いいたします。
【高橋委員】 今回の御説明は非常にそのとおりだと思うし、素晴らしい発展を遂げてこられたのだと思うのですが、今回の発表が第一宇宙技術部門の立場で発表されているのをよく理解した上でのちょっとした質問なのですけれども、JAXAには宇宙科学という取組もあって、宇宙科学のミッションをやることで技術開発にも繋がっていると思います。また、宇宙観測という意味においてはユーザの数、実際にデータを扱うコミュニティの大きさもそれなりなのではないかと思います。その点と今日話されたこととの関係や、JAXAとしてどのようにやっておられるのかについてコメントをいただけたら幸いです。
【山崎部会長】 続きまして笠原委員、お願いいたします。
【笠原委員】 笠原でございます。私も今の御発言と近いのですが、輸送系の観点から三つほど発言させていただきます。まず、内容が非常に素晴らしくてこれまでの取組が、非常に歴史ある、また多くの成果を出されていることをよく理解できました。その上で、基盤という長期的なものが五つ目に位置付けられているというのは、輸送系もそうなのですが、もっと前の方に、つまり最も重要な部分ではないのかなというのがまず指摘事項の一つでございます。
二つ目です。輸送系との取組の中で、今回ALOSのお話が出ましたが、ALOS-3のことを忘れることが全くできないという気持ちを部外者の私でも強く感じております。ALOS-3がH3の1号機に搭載された経緯やその時のレッスンズ・ラーンドというのは、今後も極めて重要なのではないかなと思っておりまして、そういう意味での輸送系との関わり方というのは、どのようにお考えになられているのかというのは今一度この場でお聞きしたい点でございます。
三つ目には、非常に極めて先駆的な取組であるVLEOは、ヨーロッパの方でも活発に議論されている新しい低軌道衛星の取組かと思います。この点に個人的に非常に興味がございまして、一体JAXAではどのような角度で戦略的にVLEOの開発をされようとしているのでしょうか?衛星側というと大変失礼なのですけれども、これこそ輸送系と衛星とで融合されるべき分野かと思いますが、どういう取組をされるのかということをこの場でお聞きしたいと思っています。以上でございます。
【山崎部会長】 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。大貫委員、お願いいたします。
【大貫委員】 大貫です。私の方からは、御発表の中にも既ににあったのですけれども、研究開発だけではなくて利用の視点が重要だということは、まさに私も強く感じているところです。開発に目が向きがちで、開発が目的ではあるのですけれども、利用や運用の視点というのが開発の段階から非常に重要になってくるというのは、特にこれだけ衛星を利用した産業が進んできて、あるいは衛星が宇宙インフラ、社会基盤になっていく過程においては今後ますます大きくなっていくと感じております。また、インフラとして開発されたものが個々で存在するのではなくて、ネットワークで繋がれたりして社会インフラとして貢献していくということにおいては、今宇宙産業、宇宙インフラに求められる役割というのは増している状況にあるのかなと思います。そういう中で先ほどの御説明の中では利用の視点が非常に重要であることが聞けたので、私としては感銘を受けたところです。ありがとうございます。
【山崎部会長】 続きまして吉井委員お願いします。
【吉井委員】 吉井でございます。私からは官民投資という観点でコメントをさせていただきます。御説明にもありましたけれども、我が国のハードウェアが海外でもっと売れていくためには、実証機会が圧倒的に少ないというのはそのとおりだと思います。やはり商用の世界では、いかに安定して運用できるかというのが買い手の大きなポイントになっておりますので、そうした観点で今後の衛星の開発というのは主にペイロード側だと思うのですね。ですからなるべくバス部分は標準的なものを作っていく方向性であるべきではないかと思います。特に小型衛星、超小型衛星の時代になってきていますので、小型の衛星標準バスみたいなものが我が国にもあってしかるべきではないかと思います。
それから海外展開ができていないというのも、やはりこの軌道上実証の数が少ないということに繋がっていると思います。海外でもっと売れれば軌道上の実績も重ねていけると思っておりまして、政府としても民間の海外展開をより後押しするような施策が必要だと思います。あとは開発のスピードですね、ETS-9がまさに間もなく打ち上げられるということになりますけれども、当初欧州勢のOneSatとかInspireがもう随分先に行っていたのが、おそらくETS-9が最初に打ち上がるSDS(Software Defined Satellite)になる可能性もあると思いますので、是非そのスピード感も意識しながら今後の開発を進めていただけたらなと思います。以上でございます。
【山崎部会長】 では続きまして秋山委員、お願いいたします。
【秋山委員】 秋山です。よろしくお願いいたします。笠原先生が最初に質問されたところとかなり重なるのですけれども、今回これまでの流れを詳しく御説明いただきまして、ただその中で、ここに出てこなかった衛星というのはやはり気になるところで、ALOS-3が特にその代表ですけれども、ALOS-3を失った後にALOS-3RないしはALOS-5という形で光学高分解能、スペクトルの分解能の大きな衛星を継続することに至らなかったのはなぜか、というところがとても気になります。光学衛星ということでは官民共同ミッションに繋がっているということはよく理解しておりますし、2023年の厳しい状況の中でCONSEOを通じてそのように決定されたということも理解しておりますけれども、民間光学衛星ですとALOS-3の全ての能力を持っているわけでは、特にスペクトルの部分の能力は持っているわけではないと考えておりますので、なぜ発展的な形で次に繋がらないのかというところが気になります。どうしても、言葉が悪いのですけれども、なし崩しに見える部分がありますので、このように決断したということの御説明がいただけないかなと思っております。
同じことは、ちょっと不透明感があるというところでは、GCOM-Cの将来がどのようになっているのだろうと思っているところでして、PMMはTRMMからの流れがしっかり続いていて、それからGCOM-Wの方もいぶき(GOSAT)と結びついて発展してきているけれども、ではGCOM-Cはどうなるのだろうとも思っております。その流れが途切れているように見える背景にはどのようなことがあるのかというのを、何らかの形で御説明いただけないかなと思います。以上です。
【山崎部会長】 続きまして吉成委員、お願いいたします。
【吉成委員】 ありがとうございます。吉成です。今回文科省が示していただいた方向性については、非常に冷静にまとめていただいたなということで昨年来議論してきた成果かなと考えておりまして、この方向性は全く異議がないという状況です。一つお願いとしましては、方向感のみならず方法論について、以前、久保田先生が委員会でもおっしゃっていただいたと思うのですけれども、やはりアジャイル開発というのが世の中の趨勢になってきていて、従来と同じようなやり方で、例えば何年にもわたるような研究開発をセットしてしまうと、世の中の変化についていけないという逆のリスクが出てくると思います。ですので、もう一段踏み込んだ論点としては、従来とは違う方法論での進め方をどうやって国の政策ないしJAXAの運営に活かしていくのか、こういった論点での議論も是非お願いしたいと思います。当然ながら不断の見直しというのが定期的に行われると、場合によっては勇気ある撤退ということも含めたポートフォリオマネジメント、この観点を取り入れた形での衛星開発が必要ではないかなと思う次第です。
あと最後、衛星データの利用の話です。私自身も実際に衛星データをビジネスとしてやっていた経験がある中で申し上げるとすると、なぜ強力な利用者が生まれないのかということに対して、経済合理性で民間ビジネスは動きますので、その辺りの、技術が云々というよりもいかに経済合理性が働くアプリケーションなりユースケースがちゃんとあるのかないのか、それがどうすれば芽生えるのか、こういったビジネスの根源に立ち返った議論をしていただきたいなと、単純に技術があるから使えるとかそういうことではないということは申し上げておきたいなと思います。私から以上です。
【山崎部会長】 ではオンラインから村松委員お願いいたします。
【村松委員】 どうもありがとうございました。最初に地球観測で行なってきて最近実利用の目線の宇宙利用の分野が発展してきたという点、確かに素晴らしいことと思います。その一方で長期の全地球観測という点はやはり民間では行いにくい点であるかなと思っています。また、先ほど意見もありましたけれども現在運用中の衛星に関しても、他の国の衛星が似たような、例えば全地球の温度とか起伏の状態とかを監視するような衛星のプロジェクトがもし中断していくのであれば、そして日本の衛星がもしまだ動いているのであれば、その衛星のデータを継続して観測するということは地球環境を観測するという点でも非常に重要になると思います。もちろん予算が許す範囲内でどれを選んでいくかという問題はあると思うのですけれども、全地球観測の衛星に関する話も出ましたので、私自身からも全地球観測という点で今動いている衛星できちんとセンサーが動いているのであれば、運用時期を少し延ばすような視点も重要なのではないかと思いました。以上です。
【山崎部会長】 ありがとうございます。神武委員お願いいたします。
【神武委員】 ありがとうございます。2巡目になるのですが、宇宙ベンチャー、スタートアップ企業が沢山生まれてきている中で、JAXAでないとできないことや、JAXAが牽引することで周りに波及効果があるというものがあると思うのですね。一方逆もしかりで、民間企業も色々な経験、非常にエッジの効いた取組をしていますので、民間企業が育ててきたアイデアというものをJAXAと連携することで世界に出していけるとか広げていくということができると思います。あとは人材で、人材と技術がうまく循環することで相乗効果が生まれてくると思うのですが、そのあたりはどのように考えられるかというのもコメントいただければと思います。
【山崎部会長】 ではあと田中委員と高橋委員が挙手されているところで一旦締め切りまして回答の方に移りたいと思います。田中委員、お願いいたします。
【田中委員】 もう最後の方なので皆さんがおっしゃったことの取りまとめみたいな感じになると思うのですけれども、御説明にもありましたように、JAXAとして取り組まねばならぬことと、もう民間への橋渡しをする部分に来たよねという部分があると思うのですけれども、きれいな表を作っていただいたので良く分かったのですが、具体的に時間スケール感みたいなもの入れていただければいいのかなと思いました。あと村松委員もおっしゃっていましたが、特に今までの継続が効く分野がやはりあると思うので、もちろんリソースの問題もあることですのでなかなか難しいとは思うのですが、長い目で評価すべきものもあるのかなと感じております。以上です。
【山崎部会長】 では高橋委員お願いいたします。
【高橋委員】 私も2巡目で申し訳ないのですが、JAXAの強靭化という観点でよくNASAとかESAとかと比較されていると思うのですが、最近ASIとかCNESとか、イタリア、フランスといったところのそれぞれの宇宙機関が、非常に元気が良くて技術力も非常に高いという事実を見てきています。それに対しても少しコメントをいただけたらと思います。
【山崎部会長】 ありがとうございます。かなり多岐にわたる御意見が出ましたので、恐縮ですが、文科省、JAXAから、一つ一つの答えというよりはエッセンスをまとめた形で回答お願いできれば幸いです。
【瀧口理事(JAXA)】 沢山御意見をいただいたので、答えきれていない事があれば御指摘ください。まず神武委員から、利用者のアイデアといったところとメイド・イン・JAXAの衛星だけではないのではないかという話がありましたが、御指摘のとおりで、GSMaPは日本の衛星だけではなく欧州やアメリカのいろんなセンサデータを含めたフュージョンです。最近では内閣府でやる防災ドリル、災害監視の時にLバンドSARで広域をしっかり取って、XバンドSARで狭域スポットを取るという官民コンビネーションといった形も出ていまして、我々どうしても研究開発のプロトタイプ1機という範囲で成果の最大化を目指してきたのですが、実はシステムというのは衛星1機だけではなく複数機組み合わせた形でないと成し得ないものだと思っています。そこで最近ではコンステという形が出てきているのだと思うのですが、衛星1機の実力、パフォーマンス、可能性は見せることはできたのですが、いざシステムにする時は購入データも合わせてのソリューションだと思っています。NASAも最近ではNOAAも含めて民間からもサイエンスデータであっても購入することも始まっていますので、そういう自分で運用するセンサの活用だけではない世界が始まっていると理解しています。そういったところを実現していくのが一つは精緻なキャルバル(CAL/VAL)理論式なのですが、最近ではそれを飛び越えたAIという仕組みも出てきていますので、先ほど落合センター長も少し説明しましたが、EORC(地球観測研究センター)の方でも従来ながらの校正検証だけではなく、AIを用いたソリューション型にも少しずつチャレンジをしております。
それからデータ利用における牽引不足という話がありましたが、利用数のグラフ化はしているものの、これもやはりJAXAとの研究パートナーでの利用というのが、特にガバメント系はJAXAと利用実証しているということで、ある種情報バーターみたいな世界なのですが、ボランティアベースではなくシステムとして実現するためには、もう少し利用者から手を差し伸べる、すなわち利用側システムに如何に定着させるか、今は研究開発としての実証実験の際まで来ています。その際をどう飛び越えていくか。よく「魔の川」「死の谷」「ダーウィンの海」と三つくらいハードルがあるといわれる中で、多分今はダーウィンの海を泳いでいる最中なのですが、泳ぎ切るには向こうから手を差し伸べて最後引き上げてもらわないと成し得ないとういう事を、文科省も含めて、利用側の手の差し伸べ方がそろそろ必要ではないかと思います。出口設計として今重点4分野という形で明確に手を差し伸べる人とチーム化させていただき、出口を目指すという活動をしております。
それから高橋先生から宇宙科学との関係というお話がありました。私が全てを語れる立場ではないのですけれども藤本理事とやっている範囲で御説明しますと、宇宙科学と地球観測でもう少し技術の交流を深められないかということで、特にメーカが持続性を持って維持できるバスシステムは、毎回カスタム品だとメーカももう持たないと言っていますので、そういったメーカとISAS、それから第一部門のベクトルが同じ方向に向くような会話を整えていきませんかという話を、ここ2年ぐらいでやっております。NASAでも、観測センサーは地球観測だけではなく探査にも使えますよということを言いながら地球観測センサーを開発しておりますので、我々も同じだと思っています。インストルメントとしては地球パラメータに最適化はしていますけれども、基本原理はレーダとか望遠鏡とかに応用が効く話が沢山あるかと思いますので、宇宙科学研究所とも交流は深めていきたいと思っています。
それから笠原先生からは輸送の視点で基盤という話でしたね。私は1番、2番、3番、4番に序列があるとは全然思っていなくて、むしろこれらは全部複合体で、順番もどれが1番でどれが2番という意味はありません。話す時によって私も時々順番を入れ替えています。今日は地球観測・環境は国がなすべき仕事だという事をメッセージにあげたいので1番に上げておりますが、1番と2番はセットで国の宇宙機関としてやるべき仕事ということを思っています。
ALOS-3のLL(レッスンズ・ラーンド)ですね。ALOS-3の喪失という話が先ほど秋山委員からあり、それについては後ほどお答えしますが、輸送系とも、岡田理事と30年来の付き合いがございますのでよく会話しながらやっております。H3初号機も全社的な問題として深掘りして色々LLも作っており、今回の30形態試験機にも小型衛星ペイロードで行くみたいな話もプログラムとして決めておりますので、十分ALOS-3、H3初号機のLLは浸透しております。
それからVLEO(超低軌道衛星)の話ですね。地球近傍圏、200km以下をいかに活用していくか。これは誰もあまり使いこなせていない軌道ということで戦略的要素は高いし、地表に近ければ近い程いろいろなことができると思っています。多分御存じかと思いますがアメリカではアルベドという会社が小さい望遠鏡ながらも地表に近いので高分解能の画像を取れますと言ってチャレンジしたようですが、どうも今のところくじけてしまったという情報が来ていて、むしろ通信プラットフォームとして価値は高いのかなと思っています。5Gになって、レイテンシーが当然地表に近いほど減りますので、いわゆる戦術情報を時間遅れなく届けるという意味で、いかに近いところでコンステを回すか、特にダイレクト通信がスターリンク380km群で始まっていますけれども、それを覆していくためにはもっと良いサービスが必要という意味ではVLEOは活用できるかなと思っています。誰も使っていない軌道ということで戦略的価値が高いと思っています。政府の実利用系の方々とも話をさせていただいている最中です。
大貫委員からは利用の視点ということですが、JAXAになってから特に利用を強調してやってまいりました。まさに利用を強調した実証、継続観測が良いとこまで来ているのですけれども、その先なのですよね。リソースの話でもありましたが、研究開発、プロトタイプ、実証実験、の先にどう進むか。これは文科省だけではなく、国としての大きなディシジョンがいる話だと思っています。
【島村補佐(宇宙開発利用課)】 文科省からもいくつかお答えしたいと思います。神武委員や山室委員からいただいた、データ利用が大事であるという点はおっしゃるとおりだと思っています。衛星開発について我々衛星開発そのものだけでなく利用が大事だというところを含んでおりましたけれども、あくまでもデータ利用が大事だというところを改めて我々の中でちゃんと検討していきたいと思っています。「データ利用」と一言で言っても、JAXAでの利用として作り上げていくものも、また企業と一緒に作り上げていくものもあると思っていますし、宇宙戦略基金でしたり民間企業主体、大学主体となるような研究開発プログラムに取り組むことによって、JAXAが関与しない形で支援するというやり方もあろうかと思っております。
加えて吉井委員、神武委員より、民間企業への支援や移行という意見がございました。JAXAのプログラムでJ-SPARCですとかJAXA-STEPSという、JAXAと一緒に共同研究して企業等を育成して一緒に作り上げていくというものもありますし、宇宙戦略基金という、民間企業が主体となる研究開発プログラムもあると思っています。
また秋山委員からはALOS-3の後継の話がございました。官民連携による光学観測事業につきましては数年前に議論させていただきまして、秋山委員のおっしゃるように、小型衛星による光学観測という形に舵を切るような形になりました。こちらの議論としては決してなし崩しになったとは思っておらず、宇宙開発利用部会でも数回、内閣府の衛星小委でも数回議論させていただいたと思っております。重要となるのは、GCOM-C、GCOM-Wのこともお話されていましたけれども、利用省庁やユーザが何を求めているのかをきちんと反映させた上で衛星開発していくことが今後重要になると思っています。GCOM-C、GCOM-Wの後継ありきの議論ではなく、今、日本にとって必要になる衛星のニーズというのはどういうところになるのかを考慮した上で衛星開発していくことが必要だと思っていまして、そのような形でユーザ省庁でしたり企業が必要であるというのであればGCOM-C、GCOM-Wの将来というところも今後議論になっていくのかと思っております。
また吉成委員から指摘していただいたアジャイルな開発手法でしたり、吉井委員の標準バスといったところも非常に重要だと思っております。そちらも結局どのような衛星を作るのかをきちんと定めた上での手段かなと思っております。そこは幅広に検討していきたいと思っています。
【瀧口理事(JAXA)】 秋山委員とはまたちょっと深くこの後にでもディスカッションしたいのですが、可視イメジャーと言われるとどうしても最近は民間じゃないかと言われるところがあり、高分解能画像イコール可視リモートセンシングみたいな捉え方をするのは私もそれは納得いっていなくてですね、我々がやっているのは「計測」です。科学計測をやっていますので一番活きてくるのはキャルバル(CAL/VAL)、校正検証、データの品質だと思っています。単に見栄えが良いではなくて、物理量を正しく捉えているかというところが我々研究開発機関のコア・コンピタンスであり、まさに地球観測研究センターの研究テーマでもあります。それの蓄積含めて、JAXAとしてやらねばならない領域、それがある種環境貢献ですし、村松先生からもありましたようにGEOSSといった地球規模の観測をやっていくというのはこういったアーカイブとか科学計測といった要素があるからだと思っています。そこを売れ筋だけでやると虫食いデータになりますし、国の機関としてそういった地球規模課題に取り組む意思の強さがGCOM-CやALOS広域観測といったものをサポートいただけることに繋がっているのかなと思っています。今民間でやれる事はということで、宇宙戦略基金も立ち上がっているわけですけれども、改めて地球規模課題、環境問題は誰がやっていくのかというところの議論とセットではないかと私は思っています。
高橋先生からCNESとASIとの関係はとありましたけど、地球観測の仲間たちとしてパートナーシップ協定等を作って連携しております。
【山崎部会長】 どうもありがとうございました。では本議題につきましてはここで終了したいと思います。次に軌道上サービスの分野について、まずは当分野の議論に入る前の導入として文部科学省研究開発局宇宙開発利用課の島村補佐から簡単に御紹介いただいたあと、軌道上サービス戦略共創フォーラム「StraCOS」(ストラコス)を運営する立場として、JAXA宇宙戦略基金事業部の佐々木ゼネラルプロデューサーと株式会社三菱総合研究所フロンティア政策本部の内田本部長より話題提供をいただきます。それではまず島村補佐、よろしくお願いいたします。
【島村補佐(宇宙開発利用課)】 私の方から軌道上サービスについて今回の議論に入る前の導入をさせていただければと思います。軌道上サービスについては、御案内のとおり宇宙空間での物流効率化ですとか、衛星のリプレースの実現などを通じた宇宙インフラの本質的コスト削減、宇宙運用の革新を生み出し得ることから、今後の宇宙開発の発展に伴う市場の急速な拡大が予想されております。軌道上サービスにおいてJAXAにて商業デブリ除去実証(CRD2)プロジェクトや宇宙状況把握等の研究開発を行っているほか、宇宙戦略基金やSBIRフェーズ3、Kプログラムを通じて、燃料供給、製造、組み立て、デブリ除去、SSA等の民間企業、大学等の技術開発というところを支援しているところでございます。文科省としましては宇宙開発利用部会での議論は勿論のこと、JAXAや民間企業、大学等の方々との対話の中で必要な研究開発を検討してまいりたいと考えております。
そのような中、昨年我が国で初めての軌道上サービスに関する民間企業、大学等を主体としたフォーラムである軌道上サービス戦略共創フォーラム(StraCoS)が立ち上がりました。本日はそのフォーラムの話をヒアリングさせていただければと思っております。ではよろしくお願いいたします。
【佐々木GP(JAXA)】 それでは、資料106-2-3につきまして御説明させていただきます。StraCOSについて具体的な中身は事務局として取りまとめていただいています三菱総合研究所の方からお願いしたいと思いますが、設立の経緯についてJAXAより簡単に説明します。ページをめくっていただきまして経緯についてです。先ほど御紹介ありましたように新たな宇宙産業への期待ということで、宇宙戦略基金第2期の技術開発テーマとして「空間自在移動」「空間自在利用」の実現に向けた技術というのが設定されました。その中で本委員会でも御議論いただきましたけれども、技術開発と実証による実現性の提示がドライバーになるとか、全体が連動した一体的な技術開発が必要になるという議論がありました。一方で宇宙戦略基金事業においては、基本方針にもありますが、活動に対して市場拡大への寄与の的確な把握であるとか、更なる新たな技術開発要素の探索のためのアイデア募集といったような調査研究を行うということになっております。
そのためにこの作業の支援者としては三菱総合研究所を選定させていただいて、この的確な把握及びアイデア募集に向けて必要な全体像を示すビジョンや技術開発シナリオを明確にするという活動を、軌道上サービス全般及びユーザ含むステークホルダとの議論を踏まえて行っていただくということ、それから事業者間の情報共有や議論等の促進、専門人材の育成であるとか、将来の市場獲得に向けた場を提供することを目的にしまして、本軌道上サービス戦略共創フォーラムの活動を開始させていただきまして、三菱総合研究所に事務局取りまとめをしていただいております。
なおアメリカでもCONFERS、それからCOSMICといったコンソーシアムができておりますが、それぞれDARPAであるとかNASAとかが設立もしくは資金出資して立ち上げるといった活動をしてきました。今回基金の活動をトリガーとしてコンソーシアム組織を設置しまして、今後将来自走していただくということを念頭にスタートをしております。
なお2ページ目の方には具体的に宇宙戦略基金でのテーマを御紹介しております。第2期は既にスタートしていて御存じだと思いますが、第3期におきましても物理AI等による宇宙システムの革新技術であるとか、経産省においては宇宙交通管理を見据えた自律性確保に資する事業化加速といった取組もスタートしていますので、これらの活動が進められるように引き続き協力していただきたいと考えております。
それでは具体的な中身は三菱総合研究所の方からお願いします。
【内田本部長(三菱総合研究所)】 三菱総合研究所の内田でございます。それでは御説明させていただきます。かなり押しているとのことで簡潔に御説明できればと思っております。
資料の4ページでございます。軌道上サービス戦略共創フォーラム(StraCOS)という名前を付けております。軌道上サービスは、日本で様々な事業者が出てくださっているのですけれども、一方意外に事業者間での連携が取れていなかったりとか、隣のちょっと違う分野の人はあまりよく分からないということもあったので、業界全体として事業者間での情報共有を行なったり、あるいは業界全体として政府に行動して欲しいこと、強調領域の議論を行なうようなところ、ネットワーキングをしたり新たな連携を作っていったりというところを行う場を作りたいということでStraCOSが発足いたしました。さらに先程佐々木GPからの御説明にもありましたけれども、業界として目指すビジョンや技術開発シナリオを明確化することを目指しました。実はスタートから結構な数の団体が入ってくださっていまして、今の時点でおよそ75団体が入っているということでかなり大規模な形になってございます。
5ページ、構成でございます。全体の75の大学、企業が集まる活動以外に、各企業の関心領域に応じてワーキングを設定しております。ワーキング1の燃料補給・寿命延長からワーキング4の将来技術検討まで四つの分野を設定しまして、括弧の中がそれぞれに入って下さっている団体の数です。ワーキング1、2はかなりもう市場が近いということで企業の方にリーダーになっていただいて、ワーキング3・4については少し先の話ですのでアカデミアの先生に御協力いただきリーダーとして率いていただいているという形でございます。あとは全てのワーキングに横断的な内容としてルール・法制度、あるいは共通的な技術、AI技術みたいな話がありますので、そちらは弊社の方でワーキング5のリーダーをさせていただいて横串機能をしております。
6ページでございます。2025年度の実績ということで、12月に立上げて3ヶ月で全体ビジョンと技術開発シナリオの初版を作りました。本年度はそれのブラッシュアップと対外向けのイベント等をやっているというところです。
7ページ、ビジョンのサマリでございます。まずビジョンを作るにあたって、そもそも軌道上サービスはどのような役割を果たすべきかという所を、メンバーの皆様と議論をして、四つの役割を設定いたしました。2040年頃に軌道上サービスが果たす役割の中で、では日本の軌道上サービスは何をするのでしたっけ、という所を、「創造する」「保護する」「獲得する」という三つの言葉で整理をしたものです。例えば「創造する」ですと、燃料補給なんかをすることによって今使い捨てで終わってしまっているような宇宙利用を、文化自体を変えていこうというようなことを打ち出したところでございます。
時間の関係で割愛させていただきますが、それぞれのキーワードに対してどのようなことを考えたかというところを、8、9、10ページに整理をしてございます。
11ページ、技術開発シナリオでございます。こちらは各ワーキングの技術を体系化して技術要素に落とし込み、それぞれについて技術開発のロードマップ的な物を作る活動を行いました。3か月しかありませんでしたので網羅的というよりは特に重要なものを先行して作ってございまして、11ページの括弧で括っている技術については今年度追加的にやっていきたいというところで、あとは1回作ったものについても引き続き議論をしてブラッシュアップしてきたいというところでございます。
実際に作ったものが12ページでございます。これがサマリでございまして、この裏にはもう少し細かい、各ワーキングに作業してもらったものが隠れております。
13ページでございます。今日一番お伝えしたいのがこちらでございまして、少しビジーですので後ほど別のスライドでも御説明させていただきますけれども、一番左の列がワーキングです。左から2列目が技術分野、3列目が注力すべき技術で、いろいろワーキングで議論している中で特に今力を入れるべきじゃないかという意見が上がってきた技術です。その次に理由を書いてございまして、あとはいくつかの技術については既に手を打たれているものもあるのですけれども、それに対して今回我々が必要と御提案するものは何が違うのかという点を整理しております。これが最も早期に注力すべきところでございます。
次に14ページ、15ページが、同じフォーマットなのでわかりにくいのですが、その他にもいろいろ大事な技術がございますので、それらをまとめたものでございます。
16ページでございます。先ほど詳細を割愛しましたが、特にお伝えしたいと申し上げた表を文章で抜き出したものです。ワーキング1の燃料補給・寿命延長のところは特にマニピュレーション技術が最も重要であると考えてございまして、最後の赤字のところ、先端ツールの開発、マニピュレーション技術の高度化を進めて軌道上サービスのコスト構造改革及びサービス多様化を支える必要があると考えてございます。
ワーキング2、デブリ・SSAでございます。ここはかなり広い分野を扱っておりますので、それぞれで挙げております。デブリについては自律的軌道離脱技術、衝突回避方式が最も重要であると考えてございまして、衛星の姿勢や状態に依存せず確実に離脱ができるようにする技術の確立が必要であるとしています。SSAの方は軌道上物体の検知識別能力の高度化と基盤整備、この辺りを引き続きやっていかなくてはいけないというところでございまして、多様な観測データを統合・評価するデータ基盤の高度化に加え、運用者間でのリアルタイムの情報共有、運用調整・衝突回避判断を支援する技術の確立が必要であるというところで、軌道上が大変混雑しておりますので、この辺りの技術開発を進めなければいけないというところでございます。
ワーキング3、軌道間ロジスティクスについては、軌道間輸送機能の共通化に資する技術ということで、インターフェースや基本機能の共通化を進めてOTVの共用化における市場価値の向上を図る必要があるというところでございます。
最後にワーキング4でございます。ここは大型構造システムを宇宙で作るための技術が大事であるとしておりまして、要素技術はこれまでも当然研究をしているのですけれども、実際に大型構造物を作ることができるようにするためのシステム統合技術、この確立が必要であろうということで書いております。
最後のページは今後どういうことをやるかをまとめたもので、説明は割愛させていただきます。以上でございます。
【山崎部会長】 御説明ありがとうございました。ただいまの御説明などを踏まえて、軌道上サービスの中長期的な観点で今後取組んでいくべきことなど、忌憚のないディスカッションが出きればと思います。委員皆様から最初に御意見を賜り、その後に御回答をお願いします。また時間が押してしまっておりまして、早く退出しなければならない委員の皆様は御申告ください。そしてコメント、御質問等はポイントを絞った形で御協力くださると幸いです。ではよろしくお願いします。木村委員お願いいたします。
【木村委員】 ありがとうございます。StraCOSの取組、私も毎回のように参加させていただいていて非常に関心を高く持っております。以前この委員会でもお話しさせていただいたように、軌道上サービスは新しい領域なのですけれども、日本の技術は非常に進んでいるにも関わらず、実際に産業と繋いでインフラを構築していくアプローチが非常に重要かなと思っていて、戦略基金、それからStraCOSの方でこうした軌道上サービスの取組が民間主導で進んでいく方針は高く評価しております。一方、今日の午前中にも宇宙戦略基金の一部、OTVの関連の議論で出てきたのですけれども、二つ、進め方についてコメントがありまして、インフラを構築していく上では提供するサービスを受ける側、それからサービスを受けた衛星が提供する価値、こういったところに新しい市場を作っていく取組が必要ですし、そのニーズのところにこれまでなかったシステムとしての新しい期待が必要になってくるかと思います。そういった意味で民間が主導して進むのは非常に良いことなのですけれども、その中にあってニーズあるいはこれによってもたらされるサービスによって、ある程度のアンカーテナンシーや代表システムをどういう方向で考えていくか、これは民間だけではなくて政府も含めた取組が必要ではないかと考えている次第です。その辺りを是非御検討いただけるといいのかなというのが1点です。
もう1点は、これも実は政府の方で検討をすべき内容だと思うのですが、こうした軌道上でアクションを起こすようなシステムということになりますと、法的あるいは軌道安全等の取組があると思うのですけれども、そういった枠組の整備がどうしても必要になると思います。これはおそらくStraCOSの中でこの先整理されていくのだろうと思うのですけれども、それに対して政府としても世界的な動向を踏まえながら、枠組みあるいは法的構造を整備していくところに是非御協力いただきたいと思っています。民間主導なのだけれども政府として是非サポートしていただきたい部分は非常に大きいと思っておりまして、そういったところをコメントさせていただきます。特にアンカーテナンシーの部分と、法的あるいは枠組的な整備の部分、こういったところを是非御検討いただければ良いと思っています。以上です。
【山崎部会長】 はい、他にいかがでしょうか。私からも1点コメントさせてください。このような形で、宇宙戦略基金の2期、3期といろいろあるテーマを、軌道上サービスという形で横断を図ってくださって社会実装に向ける道筋を作る取組は非常に大切なことだと思います。今回軌道上サービスでこうした取組をされていますけれども、他の分野に関しましてもおそらく応用が効くのではないかと思っているのですが、他の分野に関してもこのような取組を発展していこうとされているのかどうかお伺いできればと思います。
他にいかがでしょうか。大貫委員お願いいたします。
【大貫委員】 この分野だけではないのですが、殊、この分野においてはデュアルユースの観点というのが非常に関係してくると思っていまして、先ほど法制度とかガイドライン、レギュレーションという言葉もありましたけれども、デュアルユースの観点もそうした中に入ると良いのかなと思います。
【山崎部会長】 久保田部会長代理、お願いします。
【久保田部会長代理】 ありがとうございます、久保田です。非常に良く纏まっておりますし、短期間で技術も洗い出されているかなと思います。アウトプットだけでなくてアウトカムも是非いいものを作って欲しいのと、技術実証という観点でいくと全部の技術をやれるミッションというのはなかなか難しいと思うので、何か一つ最初に、早い時期に、いくつかの技術がまとまれるようなミッションができると宜しいかなと思いました。以上です。
【山崎部会長】 そうしましたら、御回答の方お願いいたします。
【内田本部長(三菱総合研究所)】 御質問ありがとうございました。木村先生からの御質問のアンカーテナンシーのところにつきましては、大貫委員からの御意見にも関係しますけれども、安全保障分野での利用というのが結構大きいのではないかと思っておりまして、米軍がインターフェースの規格を導入していたりしますし、産業界としてはある程度実績を積まなければいけないという所もありますので、国として安全保障以外も含めていろいろなところで使っていただいて、宇宙実証の実績を積んでいく、そういったアンカーテナンシーがあると業界の発展に繋がるのではないかなと思っております。
木村先生からの2点目の法制度、ルールのところ、これも非常に重要なものだと思っていまして、協力物体、非協力物体に関わらず、近づいてやることがどう他国に見えるかは重要ですし、何を以て透明性を担保するかというところは非常に重要だと思っております。このあたりは民間企業がどういうことをやろうとしているかということを政府の皆様にきちっとお伝えをして、それに対して必要なルールはどういうものである、というところを政府の皆さんに作っていただくという意思疎通を図ることが重要ではないかなと思っております。
【佐々木GP(JAXA)】 山崎部会長からの御質問に関してですが、他の分野ではというところなのですけれども、基金でもいくつか違う分野でも似たような活動をさせていただいています。その中で、もう既にある分野もあるのでその辺はわざわざ我々が出ることはないと思うのですけれども、無い分野とか足りないところについては状況を見ながら、事業者の方と対応をしながらやっていきたいと思っております。
【内田本部長(三菱総合研究所)】 大貫委員からの御質問は先ほどお答えさせていただきましたので、最後に久保田部会長代理からの御質問でアウトカムを良いものにとはおっしゃるとおりかなと思っています。StraCOSというのはあくまで手段であると思っていまして、その先に日本の軌道上サービスがきちっと社会実装されて世界のマーケットを取っていくということが重要と思っておりますので、そうなるように我々も尽力していきたいと思っていますし、おっしゃっていただいたように早い時期にサクセスストーリーを作ることが極めて大事だと思っていますので、この辺りも政府の皆様に我々StraCOSが積極的に提案をさせていただいて実現させていければと思っているところでございます。以上でございます。
【山崎部会長】 どうもありがとうございました。それでは他によろしいでしょうか。闊達な討議をどうもありがとうございました。次回以降は、宇宙科学の観点及び分野横断的な論点に関して順に議論を深めていければと思いますので、言い残したコメント等がございましたら分野横断的な観点の時にでも是非御指摘お願いいたします。引き続きよろしくお願いいたします。それでは本日の議事はこれで終了となります。最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。
【梅原課長(事務局)】 最初に梅原から、2点御報告させていただきます。1点目、H3の6号機についてでございます。二日後の6月10日に打上げを予定しておりましたが、この会議の途中、14時にプレス発表を行っておりまして、打上げ延期ということで発表させていただいております。理由は純粋な天候でございまして、今梅雨前線があの辺にございますので、明日以降、続報を公表できればと思っております。桜島も今噴火をしておるのですけれども、そちらについては噴煙が東に流れておりまして、打上げには特段影響はないものと思います。
2点目は、先週6月2日に株式会社IHIエアロスペースの競争参加資格の停止5ヶ月というようなことをJAXAの方から公表させていただいております。非常に重要な企業ですので我々も遺憾でございますし重く受け止めておりますけれども、何より今後様々な打上げ等もございますので、そういったところに影響のないように、直近の打上げに関しては、全て物は納められており特に影響は無いのですが、この5か月の間に何か影響のある物については特例的な対応なども取ることによって打上げに影響のないように取り組んでいきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。以上です。
【田渕企画官(事務局)】 それでは事務連絡です。本日もありがとうございました。本日の会議資料につきましては文部科学省のホームページに既に掲載済みです。議事録につきましては委員の皆様に御確認いただいた後、文部科学省のホームページに後日公開をさせていただきます。次回の部会につきましては今後日程を調整させていただきましてお知らせさせていただきます。事務連絡は以上となります。
【山崎部会長】 どうもありがとうございました。以上をもちまして閉会といたします。本日も長時間に渡り、誠にありがとうございました。
(了)
研究開発局宇宙開発利用課