令和8年4月22日(水曜日) 13時00分~15時00分
文部科学省の会議室及びオンラインによるハイブリッド開催
部会長 山崎 直子
部会長代理 久保田 孝
委員 田中 明子
臨時委員 秋山 文野
臨時委員 大貫 美鈴
臨時委員 小笠原 宏
臨時委員 金井 宣茂
臨時委員 木村 真一
臨時委員 神武 直彦
臨時委員 高橋 忠幸
臨時委員 村松 加奈子
臨時委員 山室 真澄
臨時委員 吉井 信雄
臨時委員 吉成 雄一郎
研究開発局 宇宙開発利用課長 梅原 弘史
研究開発局 宇宙開発利用課 宇宙科学技術推進企画官 田渕 敬一
研究開発局 宇宙開発利用課 課長補佐 木元 健一
(説明者)
議題1
宇宙開発利用部会 調査・安全小委員会 主査 木村 真一
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
理事/宇宙輸送技術部門長 岡田 匡史
議題2
文部科学省
研究開発局 宇宙開発利用課長 梅原 弘史
研究開発局 研究開発戦略官(宇宙利用・国際宇宙探査担当) 迫田 健吉
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
理事補佐 川崎 一義
【久保田部会長代理】 それでは定刻になりましたので、第105回の宇宙開発利用部会を開催いたします。委員の皆様には御多忙のところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。まず事務局より、本日の会議についての事務連絡をお願いします。
【田渕企画官(事務局)】 事務局の宇宙開発利用課の田渕です。今回は文部科学省内での会議室での対面の会議となっておりますが、お越しになれない方にはオンラインで御参加いただき、ハイブリッドでの開催となっております。16名の委員のうち2名が御欠席で、本日14名の委員が御参加の予定です。御参加者のうち9名がオンライン、5名が対面での御出席となっております。なお、本日は山崎部会長におかれましてはオンラインでの出席となっておりますため、本日の議事進行は、対面で御出席いただいております久保田部会長代理に行っていただきます。また、本日の資料につきましては議事次第に記載のとおりでございます。オンライン状況について音声がつながらない等の問題がございましたら事務局へメールもしくは電話等で御連絡いただければと思います。会議室にて御参加の皆様におかれましては、ハイブリッドでの進行のため御発言の際に近くのマイクに向かってお話しいただきまして、初めに御自身の名前をおっしゃっていただきますようお願いいたします。事務連絡は以上です。
【久保田部会長代理】 ありがとうございました。早速ですけれども議題に移りたいと思います。
<議題1.「H3ロケット8号機打上げ失敗の原因究明に係る調査・安全小委員会 中間報告書(案)」について>
【久保田部会長代理】 今日は2つの議題がございます。最初の議題はH3ロケット8号機の打上げ失敗の原因究明につきまして、調査・安全小委員会にて調査検討を行っていただいておりますが、その中間とりまとめの報告となります。
小委員会の木村主査から御報告いただきます。木村主査、どうぞよろしくお願いいたします。
【木村委員(調査・安全小委員会 主査)】 ありがとうございます。調査・安全小委員会の主査を務めております木村でございます。こちらの中間報告なのですけれども、位置付けとしては先週もこちらで議論になったかと思いますけれども、H3ロケット8号機の打上げ失敗の原因究明について内容がかなり分かってきたということと、それから是正対策について後続のミッションに対して十分配慮できていることが確認できたというタイミングであるということ、また、原因についてはまだピンポイントでの原因究明は情報的に難しい部分もあるのですけれども、それを追求して前に進まないというのも本末転倒というか、問題があると思いましたので、現時点での中間報告として是正対策までのところをまとめ、報告させていただきます。これは、30形態試験機等での対応をも含めて御検討いただく上での情報として提供できればと思っております。
資料105-1で御説明させていただきます。1のところにそういった趣旨が書いてございます。直接要因の特定と是正対策案につきまして、原因究明に関する技術的評価として一区切り付いた状況でして、背後要因についてより深く検討していく部分がございますけれども、それについては後ほど最終報告書としてまとめさせていただくことにしたいのですが、ここまでのところをまとめさせていただくという趣旨で中間報告させていただきます。
2ページに進んでいただきまして、調査検討の概要、これは既にいくつかの委員会でJAXAからも報告が上がっているかと思いますが、事象の把握ということで、フライトデータの分析から、フェアリング分離以降の飛行状況はこの図2-1のように進行し、意図しない衛星分離が起きているということが確認できています。それに対し直接要因の特定についてFTAに基づいて検討を進めましたところ、シナリオについて直接裏付けるフライトデータが存在しない部分もありまして、可能性は低い要素ではありますが、他にも要因があった可能性はありますけれども、これは後続のトライアルによって確認をする必要があると思っていますので、そのような取り扱いで検討を進めました。直接の要因の一番重要な、可能性が高いと思われるものは、PSSのスプライス間に生じた剥離が、衛星フェアリング分離時の衝撃で進展して、最終的に不安定破壊に至るというメカニズムであると考えられております。その説明の図が図2-2、それから図2-3になります。ここの接着のところで、意図せず高温であること、あるいは多湿であったという条件が重なって、スキンの強度が実現できなかったために剥離が進行し、それがフライト時の衝撃で進展したと考えられるところでございます。
発生事象の時系列について図2-4でまとめられています。これに対して、後続のミッションでどう是正していくかということも、調査・安全小委員会で議論いたしまして、2案提示されております。補修方式、これは剥離部を含むスプライス間のスキン及びハニカムコアを切断してそこに樹脂を充填し、ダブラによる補修を行うという考え方です。これは図2-5に書かれております。もう一つがファスナ結合方式で、4分割されたパネルを、スプライスを介してファスナ、つまりボルトとナットですね、これで締結するという方法で、これが図2-6に書かれております。どちらも強度的には十分な強度余裕を確保できることが可能であるということを確認させていただいたのですけれども、実用衛星に関してはより安定性が高い、またH-IIA等でも実績のあるファスナ結合方式を採用したいと判断されております。基本的にこれを採用していくという方針でいく一方で、30形態試験機については必要な検査と補修を施した上で十分な強度が確保できていると確認が取れた状態で、補修方式のPSSを使って、今回の原因究明の評価の裏付けですね、これはとても重要だと思うのですけれども、不具合が発生した時に、それを特定するデータというのは元々それを想定していないことが多いのでなかなか集まらなくて、今回も決定的な資料、データというのは実はない状態ではあるのですけれども、そこについての追加的な情報を得るということを目的としております。ちなみにこのPSSにかかる荷重ですが、30形態試験機については条件の1/3程度と荷重は非常に低いというところで、マージンは確保可能であるということであり、妥当性を確認させていただきました。
次の5ページ目ですけれども、水平展開ということで、これはこの後より詳しく掘り下げていくことを考えております。現段階で直接的な水平展開の例をとりあえず記載させていただいておりますけれども、直接要因については部品レベルの単体では良好でもその後の工程、今回で言うと組み立て、接着の部分に相当しますけれども、そこでの強度低下や欠陥を招く可能性がないかということについて水平展開を行おうと考えております。
その他こちら、6ページに中間まとめを書いております。ここは読み上げさせていただきます。「H3ロケット8号機打上げ失敗に係る直接要因について、JAXAから、詳細なフライトデータ、製造・検査データ、追加の解析や地上再現試験及び検証試験結果を含む調査結果の提出を受け、委員との間の質疑応答を経て、検討の網羅性についても確認した上で、JAXAの報告の内容は、合理的な説明がなされており妥当であると判断いたします。是正対策として、当面の重要なミッションを確実に打ち上げるために、剥離のリスクを根本から排除したファスナ結合方式を採用することは、妥当な判断であると考えます。また、30形態試験機のフライト機会を利用し、十分な強度が確認された補修方式によるPSSを適用して追加のフライトデータ取得を行うことは、今回の原因究明の評価を裏付けるとともに、当面はファスナ結合方式を基本として、将来的にはスプライス接着方式を適用する可能性も視野に入れた後続ミッションの確実性を増すために、必要かつ重要であると評価いたします。さらに、再発防止に向けた背後要因分析とそれに対する是正対策検討については、イプシロンロケット6号機及びH3ロケット試験機1号機の打上げ失敗等の事例を踏まえ、今後詳細に実施されることが必要である。当委員会としても協力を惜しまないと考えております。最後に、ここまでの調査検討にあたって、JAXAはもちろん、関係する企業が、非常に真摯に協力していただいたことに対し感謝の意を表したいと思います。」
以上のように中間まとめをさせていただきました。これを御審議いただければと思います。次の打上げ再開に向けて非常に重要なステップかと思いますので、御議論いただければと思います。私から以上です。よろしくお願いいたします。
【久保田部会長代理】 木村主査ありがとうございました。それではただいまの御説明について御意見、御質問がありましたらお願いします。秋山委員お願いします。
【秋山委員】 秋山です。御説明ありがとうございます。中間報告のまとめができたこと、大変な御審議にあたった皆様、大変お疲れ様でした。6ページの今後のことについて、少し小さな質問というか確認なのですけれども、当面はファスナ結合方式が基本で、将来的にスプライス接着方式を適用する可能性も視野にというところですが、接着に戻す可能性というのは、その方が時間面、それからコスト面で有利であるという御判断にも基づくものでしょうか。その確認です。お願いいたします。
【木村委員(調査・安全小委員会 主査)】 詳しくはJAXAの方で御共有いただければと思うのですけれども、小委員会での理解としては、今後もずっとファスナ結合方式を使うのかどうかはまだ今の時点では決定しているわけではなく、秋山委員がおっしゃっていただいたように、質量あるいは様々な面でスプライス接着方式の方にメリットがある面もございます。そういった面を併せて検討していくことを考えていると理解しております。今からもう全てファスナ結合方式に切り替えることを考えているわけではなく、そこは先々検討すると理解しています。少し補足させていただくと、この委員会の時にも議論になったのですけれども、スプライス接着方式はある種、今回チャレンジとして取り組まれた内容だと思います。往々にしてそういったところに問題が発生することが多いのですけれども、やはり質量であったり製造工程であったりを最適化する中でチャレンジをされたところであり、そのチャレンジを実践できるような形で将来的に答えが見つけられるのであれば、それを採択することもあり得るかと思っています。このようなことでよろしいでしょうか。JAXAから補足がありましたらお願いします。
【岡田理事(JAXA)】 JAXAの岡田でございます。先生のおっしゃられる通りでして、まず暫くはこのファスナ結合方式を使ってまいりたいと思いますけれども、本当にどういう形態が良いかというのは、今回いろいろなことを学びましたので、それを以て恒久的に使える仕様というのは何なのか、少し時間をかけて検討してまいりたいと思っております。
【秋山委員】 ありがとうございます。もう少し伺いたいのですが、この中間報告からもしかしたら外れるかもしれないのですが、同じPSSでも、HTV-X向けの海外製のものは、そもそも一体的に製造されているのでこのようなパネルの結合が必要ない形であると認識しています。例えばコストや製造の時間など色々勘案して、将来的にH3の高頻度打上げということに適していくのであれば、大幅にそういった形に変更していくような検討というのも今後視野に入ってくるのでしょうか。そのあたり、もし今お答え可能なことがありましたらお聞かせいただけないでしょうか。
【木村委員(調査・安全小委員会 主査)】 これは戦略的なことですのでJAXAにお願いした方がいいですね。
【岡田理事(JAXA)】 はい、分かりました。まだそういったことを具体に検討しているわけではありませんけれども、これから高頻度打上げの時代を迎えるにあたって、いろいろなアセット、我々が持ち合わせている道具を大きく変えながら対応していかないと、成り立たない面もこれに限らずあります。そこを優先度つけて対応してまいりたいと思っておりますが、やはりロケットの製造は物理制約の多い世界で、例えばすごく大きなものなのでH3ロケットの直径がH-IIBと同じ5.2mであったりするわけで、そういうことをよく考えながら、これから手を入れていきたいと思っております。
【秋山委員】 はい。ありがとうございました。
【久保田部会長代理】 その他いかがでしょうか。オンラインで参加の小笠原委員、お願いいたします。
【小笠原委員】 小笠原でございます。短期間にまとめていただきましてありがとうございます。関係者の皆様の大変な御苦労に感謝いたします。2点ほど教えてください。一つは、フライトで確認するという関係でお聞きしたく、もう一つは、次のリターン・トゥ・フライトの号機の強度裕度を確認したとおっしゃっていたのですが、その確認の仕方について聞かせてください。
初めにフライトデータで確認するというお話なのですが、フライトデータで追加データを取得とか確認と言いますと、テストフライトの扱いにリターン・トゥ・フライトをしたいのかということが一つと、それから、データを取ろうとすると、トラブルが起きたのは剥離がスプライスのところで起きたわけでしょうから、実際にフライト中に剥離をモニタするような計測を新たに追加されるのか教えてください。
【木村委員(調査・安全小委員会 主査)】 まず質問二つともJAXAからお答えいただいた方が良いかとも思うのですけれども、まず一つ目については、剥離を起こすリスクのない状態で、とりあえずは充填方式の場合にもそのリスクはないことを確認した上で実施すると。30形態試験機といえども、これは信頼度高く打ち上げますというのがJAXAの立場だと思います。ただその構造的な変形等の情報というのはこれまで実はきちんと取れていない部分もあるので、そこをきちんと抑えるようにしましょうということを、今回の試験機の機会を活用していくと私の方では理解しています。ですので、リスクのあるまま打ち上げるというわけではないということがまずは大前提かと思っています。対策を取った上で打ち上げるということです。2点目も含めてJAXAの方でお願いしても良いですか。
【岡田理事(JAXA)】 はい、分かりました。1点目につきましては木村先生がおっしゃられる通りでして、我々今回この原因への対策を講じるにあたって、これをフライトで改めて実証しなければならないというスタンスではなく、確実な手を講じられていると思っています。ですから、それに対しての試験機としての位置付けは特に必要ではないと考えています。データとしては先生がおっしゃられる通り、例えば歪データとかそういったものを追加で取りまして、今回の原因究明の評価をある程度裏付けていけるようなデータが取れると良いなと思っています。
それから、次の打上げをこの補修方式で行うにあたりどのような確認をして打ち上げるかということの御質問だと思うのですけれども、基本的に設計でまず抑えた上で、部分的な構造を作りまして、それで認定試験(QT)でかなりの荷重をかけて、部分的な構造として設計検証します。その上でフライト品、実際に打ち上げるものについては、そのフライトで遭遇する環境に対して1.25倍ほどの荷重をかけて現物も確認して打ち上げるということで万全を期したいと思っています。
【小笠原委員】 ありがとうございます。後者のところは、質問の前に答えていただいてありがとうございます。後者の件で、オーバーロードの試験はされたのでしょうか。
【岡田理事(JAXA)】 オーバーロードの試験はまさに今、部分的な構造としては進行中で、最終的な現物の検証はまだこれからです。
【小笠原委員】 なるほど。そこまで確認してやられるということですね。分かりました。ありがとうございます。
【木村委員(調査・安全小委員会 主査)】 そうですね、その点もQTをやられるというところで非常にしっかり、前もって検証された上で次の30形態試験機の打上げにも望まれると我々も理解しております。
【久保田部会長代理】 その他はいかがでしょうか。高橋委員お願いします。
【高橋委員】 いろいろまとめていただいてありがとうございます。実は前回の部会でも質問させていただいたのですけれども、宇宙に持っていくこういうハニカムでは、時々、空気の膨張の圧を逃すための小さな穴を開けることがあると思うのですけれども、これに関しては設計時によく検討されていて、穴を開けなくて大丈夫だったということでよろしいでしょうか。
【木村委員(調査・安全小委員会 主査)】 実は小委員会の方でも、利用部会の方で頂いた意見が私も非常に印象に残っていて議論させていただいたポイントになります。そこはまず、今回の対応で十分であると確認されているというところが一つ、それから、これは少し踏み込んだ言い方になってしまうかもしれないですけれども、理想的には穴の開いたハニカムコア、空気のベント穴が開いている状態の構造体の方がより良いことは確かであろうと思うのですけれども、それに変更することによるインパクトや製造的なあるいは納期的なことを考えると、今の時点でそこに踏み込むというのはなかなか難しかろうと。ただし現状の2つの改修案について十分信頼性は確保できるということを確認した上でやりましょうという方針だと理解しております。JAXAからいかがでしょうか。
【岡田理事(JAXA)】 はい。高橋先生の御質問は当初なぜそのホールを開けなかったのかということの御説明を最初にした方が良いかと思うのですけれども、よろしいですか。大きくは三つの理由があると思いまして、一つ目は、そもそもロケットのミッションというのは人工衛星ほどに長くなくて、あっという間に宇宙に行ってしまうので、この間持てば良く、それに対して、小さなホールを開けることで1気圧の大気が抜けていくのにもそれ相応の時間がかかっていくという、その時間の長い短いというところで、必要性は大きくないのではないかということ。二つ目は、製造の時に実際に造りにくさというのもありまして、全体を真空にしながら外側から圧をかけてパネルを作っていく中で、このホールが開いているとなかなか造りにくさが出てくるという製造現場からの意見。それから最後に三つ目として、H-IIAで十分に実績がある方式ですので、今回は接着方式との組み合わせでこういう事象が起きていますけれども、それさえ排除すれば十分使える構造であると考えまして、この3点でございます。
【高橋委員】 報告書の図2-3にも分かりやすく書いてありますので、そうではないかと思います。どうもありがとうございます。
【久保田部会長代理】 その他いかがでしょうか。吉井委員、お願いいたします。
【吉井委員】 吉井でございます。御説明ありがとうございます。前回も質問させていただいたのですけれども、8号機にこの事象が起こってその前号機には起こらなかったところというのは、前回御説明いただいた製造時の温度、湿度が高かったからというところで結論付けられたのでしょうか。それともまだ確認中ということでしょうか。
【木村委員(調査・安全小委員会 主査)】 詳しくはJAXAに答えていただいた方が良いのですけれども、我々の解釈としては、温度と湿度が影響を与えた可能性は高いと判断されていて、ただ、接着現象自体が環境要因等によって受ける影響が非常に複雑なので、まだ原因と結果とが1対1に対応しているというところまでは難しいと理解しています。また、これから先を考えると保管時の環境などのこともあり得るので、ここに対して十分な対策を取らなければいけないだろうということはおそらく言えると思っております。お答えとしては、まず温度、湿度の関係によって強度が落ちたということが今回の号機について見られたし、その後の製造済みの機体でもやはり同様の剥離が見られたと理解しております。
【岡田理事(JAXA)】 はい。先生に御説明いただいた資料の3ページの上に図2-3というのがございまして、こういったものも関連しているのですけれども、おっしゃられたように8号機に何か決定的な特異性があるかというと、確かに湿度や温度が高いという傾向はあるのですけれども、それがある・なしだけで今回の現象が起きたかというと、そうは言えないのではないかなと考えています。つまり剥離の状態が各号機まちまちになっているところから考えて、ある種の確率的な話も相まって、今回の結果に至ったのではないかと想像しております。
【久保田部会長代理】 ありがとうございます。それではオンライン参加の山崎部会長、お願いします。
【山崎部会長】 ありがとうございます。まず関係者の皆様に敬意を表したいと思います。前回の御説明でもありましたけれども、一つのプロセスが終わった後でまた別の加工のプロセスがあった時に、一つ目のプロセスでは問題が生じてなかったところが、後から性能を満たしていないことが分かったというようなことがあると認識をしているのですけれども、そうした事象に対して、先ほど水平展開も示してくださっており、最終報告に向けて引き続きまとめていくということでした。ご説明戴いた直接原因への対策については今回の方法に賛同いたしますので、その背景要因や、プロセスの検証の仕方という意味での背景要因の検討について、是非引き続き取り組んでくださればと思います。以上です。
【木村委員(調査・安全小委員会 主査)】 ありがとうございます。先ほどの御説明にもありましたように、特に接着現象は非常に複雑で難しいところがあると感じており、そういう状況の時には、まさに山崎部会長のコメントに関連するのですけれども、重要なのは検査だと認識しておりまして、フライト前にどう検査をしていくのかは非常に重要な要素かと思っています。これは調査・安全小委員会の中でも議論しておりまして、今後水平展開の中で具体的に詰めていければと思っております。
【岡田理事(JAXA)】 おっしゃる通りです。ロケットという大きなシステムの場合、重要品質管理項目というのを予めはっきりさせて、そこを1機1機の製造でもしっかり見ていくわけですけれども、今回は開発、製造の中で、そこに対して目が向かなかったことについては我々が振り返らなくてはいけないと思っています。したがって今回のことを教訓に、このH3ロケットにいかに磨きをかけていくかということは、徹底的に手厚く品質管理をすれば良いだけではなくて、重要なところは何であるかというのをしっかり見極めることも必要ですので、それを背後要因分析も通じまして、突き詰めてまいって、打上げに至る前に全部終わりきるとは思っておらず、H3を磨き続ける活動の中で定常的に取り組んでいきたいと思っています。
【高橋委員】 高橋です。超音波検査やタッピング検査をするとかという話が出ていたのですけれども、これらの検査の空間的な分解能は、剥離が許容される一番小さい単位になるのだと思うのですけれども、それを十分にカバーすると思ってよろしいでしょうか。
【岡田理事(JAXA)】 非破壊検査の時の解像度と、それから検出限界を見極めた上で、品質管理の基準を考えておりますので、そこは問題ございません。
【高橋委員】 ありがとうございます。
【久保田部会長代理】 それではオンラインで参加の神武委員、お願いします。
【神武委員】 御説明ありがとうございます。私も調査・安全小委員会に参加をさせていただいて、ここまで中間報告という意味では非常に入念な調査と、今後に向けてのまとめを進めていただいていると思います。どうもありがとうございます。その時の議論でJAXAの有田プロジェクトマネージャもおっしゃっていましたが、「Test as you fly, Fly as you test」、まさに飛ばしてみないと分からないところはありますけれども、飛ばす環境に近づけて進めていく必要があると思うのですが、そういう意味ではやはりロケットなので、どこまでを地上試験で保証して、どこからフライト事象に委ねるかですとか、誰がどのように意思決定をするのかというあたりを、今一度明確にしていただくと良いと思うのですが、それは最終報告までにご検討いただけると思うのですけれども、そのような理解でよろしいでしょうか。
【木村委員(調査・安全小委員会 主査)】 小委員会の方でも議論させていただいたと思うのですけれども、ここはあくまでも打上げ再開に向けてのここまでの対策が十分であるかというところを判断した上で、背後要因分析に入っていくと思いますので、背後要因はこれから継続的に議論していくことになります。最終報告ではそこを含めていきたいですが、さらに、先ほどJAXAのお話でもありましたけれども、それは例えば打上げ再開の号機などによって今回の事象のまとめが完結するものでもなく、継続的にこのプロジェクトの中で動かしていく部分も存在すると思います。そこのスタートのところまでを、我々小委員会としては伴走して、水平展開が今後正しく行われていくであろうかというところを確認していくと、そういう役割と思っています。
【神武委員】 分かりました。そのあたり、中間まとめなのでよろしいかと思うのですが、今後の計画という意味ではそのあたりも共有していただけると良いかなと思いました。どうもありがとうございます。
【久保田部会長代理】 その他いかがでしょうか。他に無いようでしたら、今までの審議を踏まえまして、資料105-1につきまして小委員会からの御提案通り、宇宙開発利用部会として決定するということでよろしいでしょうか。
(異議なしを確認)
【久保田部会長代理】 御異論ないものと認めます。今後、誤字がないかなど、事務的な確認はしたいと思いますが、修正が必要となった場合には御一任いただければと思います。木村主査はじめ調査・安全小委員会、JAXA、それから関係者の皆様の御尽力に敬意を表したいと思いますし、引き続きの御検討をよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
【木村委員(調査・安全小委員会 主査)】 ありがとうございました。
【久保田部会長代理】 それでは次の議題に移りたいと思います。
<議題2.文部科学省 中長期の宇宙研究開発の推進方策の検討について>
【久保田部会長代理】 次の議題は「文部科学省における中長期の宇宙研究開発の推進方策の検討について」です。前回から個別論点の議論を進めているところですけれども、本日は月・探査について扱うことにします。この関係で最初に、日本成長戦略会議戦略分野分科会の航空・宇宙ワーキングにおける議論につきまして、事務局より最新の状況を共有いただきます。梅原課長、お願いいたします。
【梅原課長(事務局)】 宇宙開発利用課長の梅原でございます。現在政府の方でも、日本成長戦略会議の戦略分科会等で17分野のうちの一つで航空・宇宙ワーキンググループという宇宙の議論が進んでおります。山崎部会長が委員として入っていただいているところでございます。今後は文部科学省における推進方策を議論するにあたりましても、この政府全体の動き、また内閣府で行われておりますような宇宙基本計画や技術戦略といった動きとも整合しながら進めていきたいと思っておりますので、簡単に動向だけ御説明させていただければと思います。
御参加の方には戦略分野分科会(第3回)の資料2を机上配布として用意しており、それが現在の最新版ということでございます。1枚目、63ページと書いてあるところにもありますように、現状認識を表現しております。特に宇宙の中でもさらに三つの分野の一つとして月面探査・低軌道を位置づけておりまして、この分野については先日イグニションの構想の発表もございましたけれども、また中国の情報などもあるわけですけれども、世界各国で月面開発競争が激化しているところです。イグニションということで米国の政策もそういった状況を踏まえて、高市総理も訪米されましたけれども国際パートナーとしての日本への期待が非常に高まっているような状況で、日本はアルテミス計画の中では有人与圧ローバをはじめ、様々に大きな役割がございますので、そういったところが非常に期待されておるということです。
また、月面ということでは、今後の月面居住というようなところを見据えていくと、通信やインフラといった様々な分野が想定されるということで、日本も様々な非宇宙の企業もございますので、そういった企業にチャンスが出てくるというようなところです。低軌道につきましても、2030年頃の宇宙ステーションの終了というような状況の中で、こちらも官民共創の動きが進展しているというところでして、ここも日本の持つHTVの技術や、「きぼう」で培ったもの、そして軌道上サービスも一部書いておりますけれどもデブリ除去に代表されるようなものも非常に期待が高いというような状況がございます。そういった中で日本としても勝ち筋を見出していくという議論が成長戦略会議でもされているところです。
1枚めくっていただき64ページですけれども、勝ち筋というところは、月につきましては先ほど申し上げましたとおり、月面活動を支える基本インフラ、これは通信、電力、建設、生命維持、居住、資源、食料、モビリティなど様々ありますけれども、そういったところに日本のポテンシャルをいかに投入していくかが課題となろうというところでございます。
そしてまた低軌道につきましても、官主導から官民協働への潮流というような中で、我が国の技術というところをしっかり定めていきたいと思ってございます。
64ページの具体像というところに書かせていただいておりますけれども、これから特に非宇宙企業を巻き込んでいくためには、月面への輸送や実証機会の提供といったところに国としても取り組んでいく必要があるというようなところを書いております。
そういった議論が今、成長戦略会議では進んでいるということで、それを前提として文科省の政策のとりまとめ状況でありますとか、JAXAの状況というようなところを御説明させていただきたいと思っております。私からは以上です。
【久保田部会長代理】 成長戦略会議の最新の情報ありがとうございました。では続きまして文部科学省迫田研究開発戦略官、それからJAXA川崎理事補佐から順に御説明をお願いいたします。迫田戦略官お願いいたします。
【迫田戦略官(文部科学省)】 それでは文科省の迫田から御説明をさせていただきます。この宇宙開発利用部会の下に設置されております、国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会での議論の状況について御説明差し上げたいと思います。
資料105-2-1、3ページ目でございます。一昨年に月面探査においては報告書をとりまとめておりまして、当部会で決定したものでございます。今、小委員会の方で、これをアップデートすべく議論を行っているところでございます。国際宇宙の米国の動向や、また技術や取組の進展もございますので、こういった諸状況に鑑みながら、アップデートをしているところでございます。(1)の月面における調査研究では、LUPEX等の水資源に関する調査や月面参画等の宇宙科学の推進、また(2)のアルテミス計画の構成要素の提供について、有人与圧ローバや月測位システムの確立に向けた技術開発、また最近米国が発表したイグニションで「ポーズ」という言葉が発表されましたが、ゲートウェイへの関連の取組もここに掲げております。(3)に月面への輸送能力・機会の確保ということで、SLIMなどのピンポイント着陸の技術を活用しながら、我が国として輸送する能力を確保していくことが重要であるということで、そういった取組も行っております。また将来の火星探査に向けた取組、持続的な活動のための産学官の連携の取組、非宇宙分野の参画や様々な人材の拡大等も掲げているところでございます。
こういった一昨年にまとめた報告書に対して、どういったアップデートの内容があるのかということが4ページ以降に書かれています。簡単に御紹介させていただきますと、月面への継続的な搭載機会の確保が月面開発には重要だろうということ、また計画的かつタイムリーな搭載機会の確保に留意すべきではないかということも挙げております。また有人与圧ローバを作って終わりでなく、しっかりと使い倒していくということで、国際的な科学実証のプラットフォームとしての活用も期待されるということも御意見としてありました。こちらについて、どういった利用をしていくのかという日米共同フォーラムを最近立ち上げて、本格的に議論する予定でございます。
また月探査・火星探査のみならず、日本の強みを活かしたビジネス展開や、民主体、官民連携といった体制が重要であるといった御意見もございました。また、月面環境に関するデータや月面の重要技術、特に現地の資源利用をおさえていくことも重要でないかという御意見もありました。また、現在は科学的な内容のテーマが多い中で、しっかりと工学的な実験、そして最終的には産業に裨益するような実験をすることも重要ではないかといった御意見もいただきました。また月からのサンプルリターンにかかる要素技術の獲得は急務ではないかという御意見もございました。
次に5ページ目でございます。先ほど官民連携と申し上げましたけども、この官と民の役割分担を適切に配分することが重要ではないかという意見もいただきました。また、ISRUの発想として、月にある材料を使っていくことが将来に向けての技術を作るのではないかという御意見もありました。次に異分野連携です。月面の開発と言いますと地上の様々な、今まで宇宙に関与したことのないような事業者様、我々「非宇宙企業」と呼んでおりますけれども、そういった様々な分野と連携していくことが重要ではないか、そして相乗効果を得ることが重要でないかという御意見もいただきました。また今資源の所有権にかかる国際的なルール作りの議論も国連等で行っていますけれども、そういったことが重要であるという御意見もいただきました。また、御意見がたくさん出たのが国民の理解や支持、次世代の教育です。宇宙開発が本格化する時代には、今の若い世代が主役になるのではないかという前提のもと、中学生以下、月面探査時代の主役になるような方々にもリーチするような宇宙教育も重要ではないかといった御意見もいただきました。
次に6ページ目です。宇宙資源開発やプラネタリーディフェンスなどは共通点が多くありますので、そういった共通点を見据えながら深宇宙探査技術の段階的な開発・獲得をしていくべきという御意見もいただきました。また、産学官で培ってきた強みを有する技術を絶やすことなく最大限活用していくことや、国際競争力につながるような技術開発を戦略的に推進すべきといった御意見もいただきました。事業化に意欲のある民間企業の参画の促進、産学官一体での推進体制の構築といった御意見もいただきました。
そして最後にJAXAや国によるアンカーテナンシーということで、黎明期の段階、またサービス提供の段階では、ある程度アンカーテナンシーによって民間事業者を育てるということや、民間主導での宇宙産業ビジネスへと展開させていく視点も重要ではないかといった御意見もありました。
7ページ目です。火星に関しては月面探査に続く人類の活動領域拡大の長期目標として位置づけられ、アルテミス計画でも目標として見据えていますので、こういったところを見据えながらポストISS時代の地球低軌道活動では、技術プラットフォームとして活用すべきではないかとか、惑星保護技術の推進を念頭に置くべきではないかといった御意見もございました。
8ページ目が、こういった議論を進めつつ、もうすでに実施できるものはしましょうということで、第三期の宇宙戦略基金では月・小惑星の宇宙資源活用に向けた技術として、月面サンプルリターンや、任意の小惑星への高頻度の接近、また採掘技術等に関する課題を立てております。
9ページ目にSX関連の拠点としまして、構造と材料、環境と生存といった月面開発にも関わるような課題も設定されたところでございます。
次に10ページ目です。これは事務局から提示した資料です。問題意識としましては、この資料の3番目にありますとおり、月面の開発のためにはインフラが重要になってきますが、通信事業者や建設事業者など様々な企業の参画が必要であるものの、なかなかコスト・技術面で月面へのアクセスが困難だという実態がございます。既存施策でもやっているものもありますが、なかなか小規模支援で地球上実証にとどまっていることが多いので、月面上で開発した機器を実証するような場の提供が必要ではないか、また月面機器の開発支援も必要ではないか、という問題意識の下、新しい取組ができないのかという仮説を提案させていただきました。下にあります通り、月面機器開発支援、また月面利用実証の場の提供を行いながら、同時にアンカーテナンシーを実現しながら継続的な月面アクセスを可能とする基盤も確保する仕組みが必要ではないかといったような仮説を提案させていただいています。
11ページ目です。その結果としての御意見をいただきました。国際競争の際にはしっかりと国際展開戦略、どういった技術が通用するのかというような、戦略的な国際展開が必要である、非宇宙企業の参画促進と産業化が重要ではないか、宇宙産業の皆さんがさらに参入しやすいように成功事例の共有や、またオープンアーキテクチャ・標準化も推進していくべきではないか、といった御意見もございました。開発リスク・コストを下げて産業化と民間投資を促すような仕組みが重要ではないかという御意見もあり、御賛同いただいたところでございます。
次が12ページ目、地球低軌道に関する取組です。こちらは昨年8月に、宇宙ステーションが今後民営化をしていくことを見据えて報告書を取りまとめたものでございます。4に当面の取組が書かれています。ISSの取組ではHTV-Xを着実に打ち上げる、またポストISSに向けた取組については民間の重要技術を支援していく、ソフト面に関しましては大学や産業界に様々な共同研究や一部枠を提供するような仕組みをつくるべきなど、そういった提案がされました。
14ページ目にISSの取組の報告書の概要が書いてあります。簡単に申し上げますと、右側に米国宇宙ステーション事業者があって、そこと日本利用サービス提供企業が連携しまして、実験器具をJAXAが自ら利用する、またJAXAがラボ機能を持って研究機能を持たせることで科学ユーザや民間企業と連携するようなスキームを提案しています。
また15ページ目です。低軌道の利用促進技術などハードのみならず、低軌道をどのように利用していくのかといった支援の取組や、また、宇宙ステーションへHTV-X等で補給をしておりますけれども、宇宙ステーションをリブースト、加速するような機能を付加するような技術開発も商業宇宙ステーションでニーズも高いということで課題設定しています。
以上、このように小委員会で議論が進められておりまして、月面に関しては夏ぐらいに最終的な結論を出せればと思います。また、低軌道につきましても、今様々な動きがございますので、また今後必要に応じまして議論などをしていくところでございます。以上となります。
【久保田部会長代理】 限られた時間の中でありがとうございました。では引き続き、JAXA川崎理事補佐からお願いいたします。
【川崎理事補佐(JAXA)】 資料105-2-2にて御説明いたします。本日はこのような機会をいただきましてありがとうございます。我々は国際宇宙探査に日本がどう取り組むかということについては、10年以上前から問題意識を持ってきて、この国際宇宙探査シナリオ案というものの中で、JAXAとしても色々考えてまいりました。2040年代やその少し先を見越した上でどのようなシナリオがあり得るのかということについて、JAXAの抱えているプロジェクト、それから民間の動向、それから国際動向、そういったものを踏まえて、日本がやるとしたらこういうシナリオになるのではないかという提案でございます。これあくまで案であって決まったものではなくて、一つのシナリオとして書き上げておりますけども、これをベースに今日のような場所を使って議論させていただくことによって、色々見通しがつくのではないかということで提案させていただいているものでございます。今回第3版ということで、昨年の11月に改訂版を出している内容を簡単に紹介させていただきます。
3ページをお願いいたします。今回の改訂のポイントを四つほどあげていますが、まず初期の段階、サイエンスと書いておりますけれども、月探査には何があるかということで、いわゆる月の3科学ということに加えまして、今月面拠点の話がありましたけれども、そこに必要な環境の理解だとか、どのような技術開発をやれば良いのかも含めてやることを書いてございます。2番目としましては、ここがポイントだと思いますけれども、2040年代に約40人の人が月に滞在するという前提を置いた上で、その上でどういうアーキテクチャが必要かということを議論してまいりました。いろんなシナリオが立っておりますけれども、我々のシナリオというのは具体的な電力の数値であるとか、それから必要な重量であるとか、そういったものを全て具体的な数字を、トレードオフを踏まえて設定しておりますので、企業からすると数字があるので検討しやすいものになっているかと思います。今回その中でも電力のアーキテクチャと、それから初期に得られるデータをどのように皆様と共有するかというところのデータアーキテクチャというものを定義しまして、そういったものが必要だということを定義しております。技術ロードマップも定義してありますし、重点化するべき技術も書いてございますが、最後に書いていますように、今回アメリカでも色々ありましたように、この国際宇宙探査というものはいつか変わりうる条件がありますので、そこも明確にして皆様のリスクの確認として提供してございます。
4ページお願いします。このシナリオの章立てですが全部で12章あります。総ページ999ページございます。JAXAの職員が分野横断的に100人以上参加して書き上げておりまして、内容的にもかなりのボリュームもあります。
5ページ、これが今回のポイントの2040年代に月に滞在する、これ40人なのですけども、これをまずターゲットとして、どういうものが必要かというものを議論してまいりました。
6ページです。4章では科学で何をやるのかということが書いてございまして、チェックがついていますけれども、上から三つが月のいわゆる3科学というもので、それに加えて4番目は生物学的な理解というところで、宇宙飛行士の健康管理とかを含めての活動の話であるとか、それから下の方には将来の滞在のために必要なデータを捉えることやその技術実証をするという意味での活動といったものを含めて書いてございます。
7ページです。40人の月面拠点というものを構築するためには、ここに書いてございますようにまだまだアーキテクチャで必要になるというところで、政府のアーキテクチャ検討会でも議論されておりますけれども、それに対して具体的な数字を入れて書いているのがこのアーキテクチャで、それぞれについて数字を書いています。
8ページです。もう一つのポイントは、具体的に月に降りようとしている場所を捉えて、そこで拠点を置く時にどれだけ距離が離れておけばいいか、そういった具体的な着陸地点と構築の順番などを書いてございます。これ見ていただけるように拠点を構築するには建設技術や、居住区、燃料区といった新しい技術が必要になるということが分かるかと思います。
9ページお願いいたします。これで得られるデータがどう展開されるかということでございますが、左側の基礎理学に加えて、右側の工学・運用目的に様々なデータが必要だというところで、これはすなわち科学だけではなくて、将来を見越して重要だということで、このようなデータもここでしっかりやっていくということをまとめてございます。
10ページお願いします。必要な技術開発についても、説明割愛いたしますが、技術のロードマップをそれぞれまとめております。
11ページです。このロードマップ、今回改訂した中で付け加えたのが丸5というところなのですけれども、これは将来拠点の建設に向けて必要なインフラである通信・測位であるとか、電力、それから越夜の技術などを具体的に挙げて、これを2030年代前半にはしっかりやっていくということで、それを実証するために丸2のところに書いてございますような宇宙輸送サービスを活用していく必要があるというシナリオを挙げています。
12ページ、現在のプロジェクトの状況です。割愛いたします。
13ページ、11章で今後重点化するべき技術領域を書いてございます。四つありますが、最初が今申し上げた科学探査ミッションで、この中には科学で取れたデータ解析等も含まれます。それから(2)が輸送手段。これは先ほど迫田戦略官からもありましたように、様々な、ランダなどの輸送技術の話でございます。それから(3)としては、今我々2030年代は有人与圧ローバ中心とした活動が計画されておりますけれども、それだけでは活動はできなくて、それを支える基盤インフラとして通信・測位や、電力・熱制御等のエネルギー技術、具体的には太陽電池タワーとかになりますが、そういったものの技術実証、それから四つ目ですけれども、土質調査とか月面拠点の仕様特定といった、施工計画というのも宇宙ではまだやったことのないことでございますので、そういったものを重点化技術に挙げております。
14ページです。12章が先ほど申し上げた色んな変化の可能性があるということで、変曲点という言葉を使っておりますけれども、丸1から5まで挙げてございます。アメリカ等の政策変遷も丸3に挙げていますし、今我々が注目しているのが丸2の資源定義というところで、本当に水がどのくらい、どのような形であるのかというのを把握するのが重要で、この結果によってシナリオが変わっていくというところです。
15ページです。これまでも産学官の皆さんと意見交換を行っていまして、先ほどの利用部会、小委員会の方の議論と重なるのですけれども、三つあって、一つ目は先ほど申し上げたどういうデータアーキテクチャで展開していくのかというところ。これもある重要なインフラなのでそこをしっかり試したいということ。それからこれも繰り返しになりますが、アンカーテナントですね、しっかり国がこれだけやるということを示すのも繰り返し月面に関わって、無人も含めてニーズがあるので、そこをしっかり獲得して欲しいという話。それから三つ目、私たちはこの活動を通じて、宇宙だけではなくて地上事業への貢献をしないと民間とは事業が成り立たないと考えているので、そういったものをしっかり支えたいというところで考えています。
最後に16ページで、補足ですけれども、この活動につきましては、先日4月にワークショップを行っておりまして、年2回ぐらい有識者による意見交換会をやるつもりでございます。4月からJAXAの方で分科会等もやりますけども、基金とも連携して民間の方と議論しながらそのシナリオのアップデートと、また結果につきましてはこういった場で御紹介させていただきます。以上です。
【久保田部会長代理】 川崎理事補佐ありがとうございました。それではただいまのお二人の御説明を踏まえまして、低軌道含めて月探査の観点で今後取り組んでいくべきことなど、委員の皆様からの忌憚のないディスカッションができればと思っております。自由討議の時間を設けておりますので、どうぞ自由に御発言していただければと思います。質問も含めて御意見等ありましたらお願いいたします。オンラインから手が挙がっておりますので、神武委員お願いします。
【神武委員】 ありがとうございます。目の前のロケットの失敗をどう対処するかということはとても大事ですが、一方このようなこれからどうしていくかという議論も力を入れていって、キーワードとして中学生・小学生みたいな方も対象に入れていくというのは、本当にあっという間に彼らは大人になりますので、ロングスパンでの議論を進めていただいているということは素晴らしいと思います。その中でのコメントとして、やはりここまで安全保障の議論がなされているようなところもあって、協調するところと競争するところ、特に日本が勝ち筋を持っていくところみたいなところは、どちらというと明確に議論していく必要があると思うのですが、そのあたりどのように考えられているかというところと、あとは、これはどこまで反映していくかという問題はあるのだと思うのですが、安全保障との関係も切り離せないところだと思うのですが、そのあたりの議論の進め方について教えていただけますでしょうか。
【迫田戦略官(文部科学省)】 文部科学省から御説明させていただきます。協調と競争についてはおっしゃる通り、かなり重要な論点かと思います。例えば、輸送機会の確保として、月面へのアクセス機会、しかも継続的な機会の確保というのは、日本として持っておこうということは報告書にも書かれておりますし、また議論の中で重要な論点としても示されております。インフラでは、日本が地上で強みを持っているような産業界の皆さんを後押しするようなそういった仕組みが重要ではないかといったスタンスで、今議論を進めています。
安全保障につきましては、海外では安全保障の重要なところとして設定しているという状況もございますので、こういった海外の状況を見ながら、様々もう少し上位の観点から議論が出されると考えています。
【神武委員】 ありがとうございます。私はアメリカの大学で教員をしているのですけれども、まさにこの1年で月面の議論も含めた局面が大きく変わっているというのを感じていますので、そのあたりも是非考慮に入れて進めていただけると良いかと思いました。ありがとうございます。
【久保田部会長代理】 それでは引き続きオンラインから木村委員お願いします。
【木村委員】 ありがとうございます。大変包括的な説明をいただきまして方向性が非常に理解できました。概ね、素晴らしい、正しい方向を向いているかと思うのですけれども、いくつかコメントがあって、又聞きの話ではあるのですけれども、イグニションのところで、米国を含めて月面を目指す上でのアーキテクチャがかなり変わってきているという状況がありますので、そのあたりのアーキテクチャが変わってきた時に、どのように作戦を立て直すのかというところが今後議論になっていくのかなと思っています。是非そのあたり継続的な議論を進めていただければ良いのかなというのが、まずコメントとして申し上げます。例えばゲートウェイが凍結された時に、アクセスの手段としても展開していく現地のシナリオとしても、おそらく大きく影響を受けると思われますけれども、そういったところにどう対処するかということはこれから考えていかなくてはいけないかと思います。
あと10ページのところで現状と課題ということで挙げていただいているポイント、これはすごく重要だと思っておりまして、二つの点で、民間の活力を是非後押しするような仕組みというのを継続的に考えられていく必要があると思います。こと月面に関しては、日本ではispaceを含めてアクセス手段、現地でのインフラの検討、あるいは拡充について意欲を持って検討を進められている企業がいらっしゃいます。これは国のプロジェクトを中心に資料としてまとめられているという側面なのだろうと思うのですけれども、こういった活動を国の活動と一体化するというか、後押ししながら進めていくというのはとても重要なことだと思っています。特に現地のインフラということにすでに関心が向かいつつあると聞いていまして、通信であったり電力であったり居住であったり、そういうところも含めて、おそらく民間からの活力を積極的に取り入れていくというのが日本でも重要になってくるかと思いますので、それを後押しするような仕組みというのが必要なのかと思います。
あと、これはもう本当にコメントというか感謝なのですけれども、今回の第三期の宇宙戦略基金で、SX基盤領域発展研究のところで、環境と生存という分野について力を入れていただいていることや、人材育成拠点や小惑星等の宇宙資源活用といったところに非常に手厚く作戦を考えられているかと思います。これもこのお題だけですぐに解決できる問題というわけではなくて、裾野を非常に広げていく必要があると思いますので、第三期に限らず今後の宇宙戦略基金などでも是非積極的にご検討いただけるのが良いかと思いました。以上、3点コメントですけれどもよろしくお願いいたします。
【久保田部会長代理】 木村委員ありがとうございました。もう1件オンラインから山室委員お願いします。
【山室委員】 はい。ありがとうございます。質問が二つあります。一つ目は、資料105-2-1のスライドの4とスライドの11に共通して「日本の強み」という言葉が出てきます。スライドの4の方は「日本の強みを活かしたビジネス展開」で、スライド11の方は「日本の強みを活かした基金テーマ設定」ということで、少し違ったものに修飾語としてついているので、この同じ「日本の強み」という修飾語について、関係者間で共通のイメージを持っているのかなというのが気になります。私は少なくとも日本の強みと言われた時に、ビジネス展開と基金テーマ設定の両方に共通したイメージを持てなかったので、これは先生方から聞き取ったコメントとのことですが、聞き取った時に関係者が共通したイメージをお持ちなのかどうかをお伺いしたいです。そしてお持ちの場合、それは日本が他の国より抜きん出て強いのか、それとも、日本の強みとして一般に言われていることをこの分野にも当てはめましょうということなのかによって目指す方向が違ってくるような気がいたしましたので、これについて教えていただきたいと思いました。
そしてもう一つの質問は、資料105-2-2のスライドの7ですけれども、人類を40名ぐらい滞在させるということで、2040年代なのであと十数年あるわけなのですけれども、例えば、今の宇宙飛行士の方は非常に厳しい選抜を受けて行かれますよね、そういう選抜を受けた方が行くイメージでいるのか、それとも例えば、規模的には南極の夏隊が大体40から60名で、越冬隊が30名ぐらいなのですが、夏隊だと例えば私の学生が修士で行けちゃうというか、行ってきたという状況なのですね。なぜそれが可能かと言うと、極地研(国立極地研究所)の方々が教員としても色々な学生を指導されていて、それに関係する学生は行けるということで裾野が広がるということあるのですけれども、宇宙の場合、例えばJAXAが学生指導しているかどうかを私は知らないのですが、どういう人たちを選んで、それをどう維持していくか。例えば極地研のような感じで若手をどんどん育てるような機能も作るのか。もしもそういうことも考えているのなら、クルー育成ということも考えるとあと十数年というのはそんなに余裕のある期間ではないような気がしましたので、この40名のクルー滞在というのはどのように人的資源を確保するイメージを持ってらっしゃるのか、その二点、気になりましたので、お考えを教えていただけると幸いです。よろしくお願いいたします。
【迫田戦略官(文部科学省)】 まず文科省の方から前半の「日本の強み」の解釈について御説明したいと思います。こちらは委員からの御意見ですので、厳密には分からないところではございますが、我々の解釈として申し上げるならば、二つ側面があるのかなと思っております。一つ目は、月面上での強みだと思っています。例えばispaceなどの企業の月面輸送技術は、世界に数社しかない中の一角をなす存在でありますので、まだ成功はしていないという状況ではありますけれども、こういったところは月面開発での日本の強みの技術だと捉えております。もう一つの側面としては、地上産業での強みもあると思っております。例えば、水処理技術の分野は、日本は環境基準が高いので、地上産業としても世界でのシェアが上位で強みがある分野でございまして、そういった技術を使って月面での水処理産業に展開したいという事業者もいらっしゃいますので、こういった地上の強みを発揮していくこともあり得ると思っています。いずれにしましても、この月面での強み、また地上の強みをさらに月面で発揮していきたいということが強みの概念かと思っています。ただ、まだ強みと言った時に解像度は高くないので、今後小委員会で議論して共通認識を醸成していきたいと考えております。
【川崎理事補佐(JAXA)】 宇宙飛行士の件でございますけども、この40人というのは全てが日本人だけではなくて、海外の宇宙飛行士も含めての40人になります。今宇宙飛行士の資質というのは非常に厳しいものがございまして、月に行った時に何かあった場合に生命の危険がありますので、健康上の資質であるとか、あるいは宇宙飛行士としてのコンピテンシー、そういったものの資格をしっかり見極めた上で訓練をしているというところす。また訓練も数年かかるわけで、月に関してはまだその訓練手法もわかっていないという状況になります。ですので、新しい開発要素としてはアメリカとNASA、それから日本、ヨーロッパ等含めて月面宇宙飛行士の育成方法を考えているところなのですけれども、当面は従来の宇宙飛行士と同じような資質の方が対象になるかと思います。学生さんが行くような時代というのはもう少し先の話かなと思っております。
【久保田部会長代理】 よろしいでしょうか。それでは吉井委員、お願いします。
【吉井委員】 吉井でございます。月面開発、非常に夢のあるプロジェクトと感じました。御説明にもございました通り、一方でまだまだ輸送技術の確立などいろいろなハードルがある中で、月面開発をより進めていくためには、低軌道利用をテストベッドとして使っていくという考え方が非常に重要かと思います。資料の11枚目にもありますけれども、技術実証とか人材育成はまずは輸送費が相対的に低い低軌道に人を送る、あるいは低軌道を利用して宇宙環境で月面を模して実証を進めるということが考えられると思います。特に我が国ではHTV-Xがありまして、今現在輸送機というのは世界的に見てもカーゴドラゴン、シグナス、それからロシアのプログレスしかないと。しかも我が国はHTVですでに9機の成功実績があり、さらにHTV-Xで1機の成功実績があるということで、これは国際宇宙保険市場から見ても、すぐにも保険がかかる、我が国の非常に貴重なレガシーになっているのではないかと思います。このHTV-Xの技術を使って有人を目指すのであれば、まずはリエントリーモデルをカプセル等々につなげるとか、さらには有人につなげていくという考え方があるのではないかと思います。以上です。
【久保田部会長代理】 ありがとうございます。では次、高橋委員お願いします。
【高橋委員】 JAXAの資料105-2-2の13ページを見ているのですが、例えば月面天文台であれば低重力下でのアンテナ展開という工学の技術が必要ですし、サンプルという意味ではローバとか掘削の技術が必要です。それから月震計で言うと多地点観測を可能にするネットワークが必要で、それらは建築とか土木とか電気・電子とか、これまで宇宙に出てこなかったような分野の研究者や技術者がちゃんと入ってこないと、そもそも提案が成り立たない可能性もあります。どのように、人的ネットワークを活用するか、昔、理工連携という話がありましたけども、そのようなことをどうやって強化されていこうと思われているか教えていただけないでしょうか。
【川崎理事補佐(JAXA)】 一つのやり方としては、今基金のテーマ設定があります。それから先ほどのワークショップをやっているという話の中には、国土交通省の方々も参加していただいていて、そこでも、どのようにやっていくのかという話を一緒に議論していますので、そういった議論を通じて考えていきたいです。
【高橋委員】 宇宙戦略基金に私もPOとして携わっているのですけれども、実はそこで感じた印象を述べています。今おっしゃったことの通りなのですが、まだ十分ではないという印象を持っています。たくさんの提案者がおられるのですが、必要とされる知識や経験を持たられた方がタッグを組んで出てきているような状況にはなっていないのではないかと思われます。ただ、そこはみんなで考えて良い方向に出来ればと思っていますので、今後とも、こうした議論をさせていただけたらと思います。
【久保田部会長代理】 ありがとうございます。大事な点かと思います。一旦オンラインの方から小笠原委員お願いします。
【小笠原委員】 ありがとうございます。小笠原でございます。最初に資料105-2-1の小委員会の資料で、先ほど木村委員からもございましたが、11ページのところで「非宇宙産業の参画促進と産業化」、まさにこれは民間が入ってきやすいようにとか、活力を使いたいということで、将来市場規模とか明確なビジョンを示すことが大事だという意見が出ているところと、資料105-2-2のJAXAの探査シナリオの15ページで産学官で色々意見交換をされているというところ、ここが大変マッチしていて素晴らしいなと、ある意味必要なことがJAXAのこういう検討課題として認識され議論されているのは素晴らしいと思いました。
それでコメントと半分お願いなのですが、この産業化の議論ないしは民間活力の議論という観点で申しますと、大体市場規模がどのぐらいかとか、いつ頃出来上がるか等の数字が必要になります。是非この15ページの検討課題が、例えばインフラの整備ですとか、アンカーテナントの種類・進め方がございますが、これがそれぞれいつ頃とか、どのぐらいの費用規模、資源の規模かといった数字に直して議論がまとまってくると、産業界としてはそれにつられて動きやすくなると思います。今この議論というのが、大体の数字が議論されているのか、まだされていないのであればいつ頃それができるようになるのか、そのあたりを教えていただきたいのと、もしされていないのであれば是非お願いしたいというコメント兼お願いでございます。よろしくお願いします。
【迫田戦略官(文部科学省)】 文部科学省からお答えいたします。官民投資のワーキンググループについて先ほど課長の梅原から御紹介しましたが、そういったシートにおいて、将来の市場規模や投資は、まだ精度がなかなか高まらない推計ではあるものの、一定の推計をしようと試みておりますので、近々お出ししていけるかと思っております。ただ、今後動向が変わりますので、日々アップデートすべきと考えているというところは申し添えます。
【小笠原委員】 ありがとうございます。
【久保田部会長代理】 会場から大貫委員、お願いします。
【大貫委員】 大貫です。御説明ありがとうございました。今まで出た意見もあったのですけれども、それにプラスする形でお伺いできたらと思います。先ほど来ありましたように、月面だけではなくてLEOも含めましてアーキテクチャが変わってきたということで、戦略の変更も必要になってくるのではないかということがあります。特に月面においては科学探査から、もはや、特にイグニションの内容を見るとインフラ産業になってきたという変化が色濃くありまして、そういった意味でも、全体のアーキテクチャと言いますか、あとはビジネスという言葉も出てきていましたが、非宇宙企業を入れてビジネス的に進めるということにしても、官民連携というのは今後ますます重要になってくると思います。そういった意味で政府と産業界を横断した新しい協力ですとかスキームのあり方というのも、今後求められてくるのかなと思いました。アクセスが重要ということは先ほどから出ているのですが、例えばアクセス一つをとっても、例えばCLPSプログラムの中では桁が違う月面着陸が計画されているということからしても、現在の延長の方向とはまた違う、ドラスティックな官民連携の形がベースになった上で、産業界で広く協力者を得ることが必要になってくると思います。
そのインフラ産業なのですけれども、データのお話もありましたが、データセンタみたいなインフラとしてのデータの話なのか、それともデータそのものとして、今まで積み上げてきたサイエンス的なデータに加えて、エンジニアリングデータというのも、これだけ月にいろんなものが行ったり建設・インフラ産業が始まったりするということにおいては重要になってくると思うのですけども、そういうデータそのもののプラットフォームとしてのものなのか、それとも、両方なのかをお伺いしたいです。あとはインフラ産業においては、通信・測位は色々検討されていると思うのですけども、電力というのも、タワーを立ててという案など色々出てきていますけれども、桁違いのものを目指した開発が行われようとしている中、アメリカからは月面原子力イニシアチブみたいなものも出てきましたが、日本としては電力を考える上で原子力をどう捉えていくのかも今後重要になってくると思いましたので、そういう議論が始まっているのかどうかをお伺いできればと思います。
【川崎理事補佐(JAXA)】 データセンタの件は後者の方で、当面は得られたデータをどうプラットフォームとして展開していくかで、具体的に月面上にデータセンタとかそういう話ではなくて、今得られたデータをどう運用していくかという話です。
【迫田戦略官(文部科学省)】 アーキテクチャの全体に関しては、今JAXAの中でアーキテクチャ検討会がありまして、データといえば、地上でもソフトといったデータに囲まれて我々暮らしているわけですから、将来的な居住を見据えると、様々なデータ、科学データのみならず、居住データや環境データなどになってきますので、これらをどう扱っていくのかについて今検討中でございます。電力に関しては色々な手段によるベストミックスというところもありますので、そういった役割分担を行いながら立ち位置を検討していくのかなと思っております。また検討結果が出ましたら報告差し上げたいと思っております。
【久保田部会長代理】 大事な御質問をありがとうございました。それではオンラインで参加の山崎部会長、お願いします。
【山崎部会長】 ありがとうございます。まず資料105-2-2ですけれども、先ほど梅原課長からも御説明がありましたように、成長戦略会議のワーキンググループの中でも官民の投資ロードマップというものが非常に議論されています。そのためには、やはり予見性があることによって官の投資からさらに民の投資がより呼び込むことができて、官民連携で産業とそれから科学的な知見も広がっていくという良い循環を起こしていくことが大切だと思っています。とは言いつつ、資料の中でも変局的要因という形で書いてくださっているように、特に探査の分野においては、月・火星に関してこの10年、20年を見ても変局的要因が非常に大きいです。いろいろ書いてくださっている構想の中で、どれが国際協力として他の国と一緒にできるものなのか、逆に他の国が変わってしまえば我が国も変えざるを得ないものなのか、あるいはどの部分が日本として独自に、他が変わってもできるところなのかというところの識別も意識しながらやっていくことが大切ではないかと思います。逆に言えば、宇宙戦略基金などで今TRLを上げる政策をとってくださっている中で、もちろん事業者さんがその事業化に向けて意志があるところを支援しているわけですが、では途中でそこが終わって、あとは事業化まで頑張ってください、と言っていけるかと言うと、このような先が長い事業の中ではやはり難しい面も正直あるのではないかと思っています。だからこそアンカーテナンシーという言葉が出てきたりするのですけれども、ただ全てを官が面倒見るというのも、それも元々の趣旨では違うと思うので、おそらく大切になってくるのが、こうした宇宙戦略基金やいろいろな施策でやっている事業がどうニーズにつながっていくのか、シーズだけではなくてニーズとシーズのマッチングというのが、おそらく今後5年、10年に非常に大切になってくるのではないかと思っています。先ほど大貫委員からも御発言があった原子力発電所、これが今アメリカで非常に重視をされている中で、ではそこに日本としても何か貢献できるものがあるのか、また貢献もそもそもするのかどうかといったように、これはあくまで一例で、何か国際的なニーズがあった時に、日本で培ってきた技術やデータを持ってくれば貢献できそうだ、など、全てがバラバラではなくて統合して考えていくような形でニーズに結びつけていくと、そうしたことを是非考えてくださればと思います。
その中で、産業の国際的な市場の中で日本として10%ぐらいは取っていきたいというような目標をどこかで掲げ、KPIの一つとして意識をしていくと、保険、IP(知的財産)、官民連携、色んなことを考えていかないといけないと思います。ですから資料105-2-1のページにもありましたように、月面拠点を持続可能なものとして作っていくためには、やはり低軌道できちんとした枠組みを作っていくことが大事だと思っています。これが技術的なテストベッドになるということは小委員会でも議論が出ていました。それもそのとおりだと思います。それに加えてきちんとした経済圏の発達、あるいはエコシステムの構築という観点からも、まず低軌道をテストベッドとして保険のあり方、知的財産のあり方、官民連携のあり方、色んなことをテストベッドにして考えていて、そこでレッスンズ・ラーンドを培って月面あるいはそれ以遠に展開していくというようなステップ・バイ・ステップのアプローチが必要なのではないかなと考えております。
先ほど吉井委員からもありましたけれども、その出口の一つとして、輸送、それから国際的にもニーズが高まっている大型の回収技術があるとは思いますし、低軌道と月面をバラバラに考えるのではなくて、日本の持っている技術をきちんと発展できる道筋で、今後考えていっていただきたいと思っております。以上になります。
【久保田部会長代理】 山崎部会長ありがとうございます。大事なポイントをズバリ言っていただいたかなと思っております。その他いかがでしょうか。村松委員お願いします。
【村松委員】 村松です。色々御検討いただきありがとうございます。今回、2040年という非常に長期的な取組になります。コメントなのですけれども、その長期的な取組の中で、先ほど人材育成という点もありましたが、その際に日本の強みが具体的にどこかというのが、まだ少しはっきりしないというか、もちろんいくつかはあるのですけれども、長期的に学生さんたちが携わりたいと考えた場合に、世界の大きな動向の中で今の日本の立ち位置、例えばどういうところでこういう具体的な技術が期待されるとか、そういうようなこともアピールできれば、より裾野の拡大にもつながるのではないかと思いました。
【久保田部会長代理】 村松委員ありがとうございます。その他いかがでしょうか。吉井委員お願いします。
【吉井委員】 先ほどの補足なのですが、私も月面の投資に興味のある企業と何社もお話をさせていただく機会があったのですけれども、やはり先ほど小笠原委員もおっしゃっていた通り、社内で投資を決断するためには具体的なデータが足りないと悩んでらっしゃる企業が多いです。その代替手段として、まずは低軌道かなと考えてらっしゃる企業もいらっしゃいました。ですから民間の資金を呼び込むという意味でも、先ほど山崎部会長からもありましたけれども、ステップ・バイ・ステップで戦略的に企業が実施できるような絵を描くというのが必要ではないかと思います。
【久保田部会長代理】 ありがとうございます。他はよろしいでしょうか。大変ポイントをついた御意見ありがとうございました。低軌道や月探査というのはここ数年でささっと進むかもしれないという気がしておりまして、日本だけではなく海外も含めて、民間企業が次々と出てくる可能性があるので、日本としてもしっかり戦略を持つということと、宇宙戦略基金を上手く使うことで、相乗効果を働かせてプレイヤーが増えると良いと思っております。皆様今日は活発な御意見をありがとうございました。高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】 海外の動向を見ていくと、例えばヨーロッパでヒッグス粒子を見つけたCERNの衝突型加速器があります。CERNはその技術を積極的に宇宙に展開しようとしています。加速器の中で培われた放射線モニタ装置の技術をスペースという名前をつけて宇宙に展開しています。こうした、例えば素粒子実験などの大きな別のコミュニティが宇宙にちゃんと目を向けているという事例が海外にあります。そのコミュニティも自分たちが大きな加速器を作り続けられないから、という悩みもあるのでしょうけれども、その悩みへの対応が非常に良い形で出てきていると思います。先ほどの「日本の強み」もありましたけれども、日本でも様々な分野で良い研究はたくさん行われていますので、そういうところと上手く繋がるようなことをアレンジできると良いのではないかと思いました。
【久保田部会長代理】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、御討議いろいろありがとうございました。次回以降は衛星等の論点ということで、順に議論を深めていければと思います。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
それでは本日の議事はこれで終了となります。最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。
【田渕企画官(事務局)】 本日も御議論ありがとうございました。本日の会議資料につきましては文部科学省のホームページに既に掲載しております。また議事録につきましては、委員の皆様に御確認いただきました後、文部科学省のホームページに後日掲載させていただきます。次回の宇宙開発利用部会につきましては今後日程を調整させていただきまして、またお知らせを差し上げたいと思います。事務連絡は以上です。
【久保田部会長代理】 ありがとうございました。それでは以上を持ちまして閉会といたします。長時間にわたり、誠にありがとうございました。
(了)
研究開発局宇宙開発利用課