宇宙開発利用部会(第54回) 議事要旨

1.日時

令和2年3月25日(水曜日)

2.場所

開催方法:書面審議

3.議題

  1. 将来宇宙輸送システム調査検討小委員会提言骨子案について
  2. 国際宇宙ステーション(ISS)を含む地球低軌道活動の在り方について
  3. 次期科学技術基本計画、次期宇宙基本計画に向けた状況について
  4. その他

4.出席者

委員

白石隆部会長、青木節子部会長代理、井川陽次郎委員、大西卓哉委員、芝井宏委員、白井恭一委員、鈴木健吾委員、髙橋德行委員、高薮縁委員、鶴岡路人委員、永原裕子委員、林田佐智子委員、松尾亜紀子委員、横山広美委員、吉田和哉委員、米本浩一委員、藤井良一委員

5.議事要旨

以下のとおり、議題(1)将来宇宙輸送システム調査検討小委員会提言骨子案についての書面審議を行った。また、議題(2)国際宇宙ステーション(ISS)を含む地球低軌道活動の在り方及び議題(3)次期科学技術基本計画、次期宇宙基本計画に向けた状況についての報告を行った。

1)議題(1)に関し、委員に対して意見を求めたところ、以下の意見等が提出された。

1. 将来宇宙輸送システムの実現に向けた民間事業者のコミットメントに関しては、資金負担等の責任を明らかにしていくべき。

2. 将来に希望を託せるような宇宙輸送システムのビジョンを示すべき。

3. H3ロケット開発においても低コスト化、国際競争力強化は重要な要素であった。H3の結果についても適切に評価していくことが必要。

4. 革新的将来輸送システムの実現について、H-IIA/Bロケット、イプシロンロケット及びH3ロケットが筆頭に書かれているため、今後5年程度先しか見据えていない印象があり、将来のゴールについての議論を先送りしているのではないかとの懸念がある。

5. 宇宙輸送システムを維持・発展・強化する意義についての国民理解に立脚しつつ、今後の取組について人文学・社会科学の協力も得て国民の理解、支持が得られるような戦略、取組が必要。

6. 近年、衛星の打上げ需要が低軌道打上げにシフトしてきており、日本の射場としての地理的弱点が薄れつつある。この場合、射点が低緯度地域である必要性が小さくなるため、日本の宇宙輸送システムの国際競争力を考えるにあたり留意しておくべき。

7. 中国、インドといったアジア諸国でも独自の有人宇宙輸送活動等が展開される中で、アジアにおける宇宙先進国として日本の宇宙輸送システムにおける優位性を確保していくことが困難になっているという危機感を有するべき。

8. 基幹ロケット技術に関し人的基盤の維持・強化を課題として挙げている点を強く賛意。製造の技能については他国でも熟練技術者の引退により信頼性が低下したという指摘もあり、熟練工や職人が宇宙輸送システム技術を支えている視点を持ち続けるべき。

9. ルール設定や資金調達といった制度的枠組みに関する政策、施策について具体的にすべき。

10. 有人化に資する信頼性・安全性技術については、有人化に必須な打上げアボートシステムも輸送システムの設計で必要。

11. 再使用型宇宙輸送システムの確立の延長線上にある信頼性の高い、高頻度運用可能な有人宇宙輸送システム技術実現に向けてのシナリオを議論すべき。宇宙輸送システムの自律性には、衛星等を自前で打ち上げる手段を有することだけでなく、近い将来は、一般乗客が宇宙空間と地上を往還するシステムを有することが含まれることになると考える。

12. 共創体制の構築においては、知見・技術等の移転に関して積極的に情報発信を行い、情報共有から新たなニーズを取り込んでいくべき。

2)議題(2)に関し、委員に対して報告したところ、以下の意見等が提出された。

1.  ISS計画の意義・価値には、人類共通の価値である世界平和に向けて行われたグローバルなプロジェクトとして世界に共有されたことがあり、それが日本の宇宙開発の発展に効果的だったことを認識すべき。

2. ISSの存続を希望する立場から、幅広く今後の活用、活性化について意見・提案を求めるべきはないか。

3)議題(3)に関し、委員に対して報告したところ、以下の意見等が提出された。

1. 宇宙は人類共通のフロンティアであることがその本質的特性でありそのことに留意すべき。

4)議題(1)については、5.の出席委員からの意見等を踏まえて提言骨子案(資料54-1-1)の内容を一部修正することが部会長に一任され、その結果を今後の将来宇宙輸送システム調査検討小委員会の議論へ反映することが了承された。

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研究開発局宇宙開発利用課