令和8年4月9日(木曜日) 13時00分~15時00分
文部科学省の会議室及びオンラインによるハイブリッド開催
部会長 山崎 直子
部会長代理 久保田 孝
委員 田中 明子
臨時委員 秋山 文野
臨時委員 大貫 美鈴
臨時委員 小笠原 宏
臨時委員 笠原 次郎
臨時委員 金井 宣茂
臨時委員 木村 真一
臨時委員 神武 直彦
臨時委員 高橋 忠幸
臨時委員 村松 加奈子
臨時委員 山室 真澄
臨時委員 吉井 信雄
臨時委員 吉成 雄一郎
研究開発局 宇宙開発利用課長 梅原 弘史
研究開発局 宇宙開発利用課 宇宙科学技術推進企画官 田渕 敬一
研究開発局 宇宙開発利用課 課長補佐 木元 健一
(説明者)
議題1
宇宙開発利用部会 調査・安全小委員会 主査 木村 真一
議題2
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
理事/宇宙輸送技術部門長 岡田 匡史
宇宙輸送技術部門 H3プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 有田 誠
議題3
文部科学省
研究開発局 宇宙開発利用課長 梅原 弘史
研究開発局 宇宙開発利用課 課長補佐 木元 健一
研究開発局 宇宙開発利用課 課長補佐 島村 佳成
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
理事/研究開発部門長 稲場 典康
一般社団法人宇宙旅客輸送推進協議会(SLA)
代表理事 稲谷 芳文
理事 岩本 裕之
【山崎部会長】 これより、第104回の宇宙開発利用部会を開催いたします。委員の皆様にはいつも御多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。ではまず、事務局より本日の会議について事務連絡をお願いいたします。
【田渕企画官(事務局)】 事務局の宇宙開発利用課の田渕でございます。4月1日付けで近藤の後任で着任いたしました。頑張りますのでよろしくお願いいたします。まず事務連絡ですけれども、今回、文部科学省内での会議室での対面とオンラインでのハイブリッドの開催となっております。16名の委員のうち、欠席は1名、御参加15名ということで定足数を満たしております。8名がオンラインの参加になっております。また、本日の資料については、議事次第に記載のとおりとなっています。オンライン状況について音声が繋がらない等の問題がございましたら、事務局へメールもしくは電話等で御連絡をいただければと思います。会議室にて御参加の皆様におかれましては、ハイブリッドでの進行のため、御発言の際は近くのスピーカーに向かってお話しいただき、はじめにお名前を仰っていただいてから発言いただくようにお願いいたします。
議題に移る前に、資料番号104-4に沿って、最近のトピックスについて御紹介いたします。
まず3ページ目のところ、宇宙戦略基金についてです。第3期の技術開発テーマにつきまして公募開始しますという御報告です。令和7年度の補正予算にてJAXAに造成されました宇宙戦略基金、文科省分950億円を使いまして、下にあります輸送、衛星、探査、そして分野共通といったところで全9テーマについて、第3期の公募を開始いたします。それぞれのテーマ、課題、公募開始予定につきましては資料を御参照いただければと思っております。
次に防災ドリルの第2回の結果報告でございます。災害発生時に我が国の官民衛星が効果的に連携し、迅速な緊急観測等へ対応できる体制を確認することを目的とした訓練ということで実施してございますけれども、令和6年12月の第1回に続きまして、昨年11月に第2回の防災ドリルを開催しております。第2回では政府防災機関からのニーズを具体化した上で、官民の保有する衛星の特徴を踏まえた役割分担を明確化しまして、官民連携による衛星観測シナリオを、より実効的な内容へと更新したということで、自治体も交えまして、より実態に即した訓練を実施したということで、実務担当者からも非常に前向きなコメントが寄せられております。この実施を通じまして、防災関連の民間企業に運営されている衛星ワンストップシステムに、観測立案・画像・解析結果を一元的に集約し、緊急時の情報確認において、情報一元化が非常に有効であることが再確認されたということでございます。今後の課題として、衛星機数の増加ですとか、全体の司令塔機能の確立、即応性の確保、それから、解析プロダクトの提供時間の短縮・精度向上等の課題が整理されてきているということであります。
次はアルテミスについてです。資料7ページ目ですが、アルテミスIIミッションにつきまして、すでに報道等でも御案内のとおりかと思いますが、本年の4月1日の米国時間18時35分、日本時間では2日の7時35分に打ち上げられまして、現在飛行中ということです。4月8日に月の重力圏を離脱しまして、日本時間の4月11日土曜日の9時頃に地球に帰還する予定となっております。
そして最後、アメリカのイベント「イグニション」で発表された、宇宙政策の方向性についての御報告です。様々、打上げがございましたけれども、白四角のところを御紹介させていただきますと、アルテミス計画の関連では、2028年に有人月面探査を行うといったようなこと、それから2つ目として月面基地の構築を進めていくということ、そして3つ目として、低軌道のプレゼンス確保ということで、今後の低軌道の利用計画が示され、そして4つ目として、科学ミッションを進めていくということ、そして5つ目として、今後月面や深宇宙探査の電源として原子力を活用していくということ、そして最後に、人材の確保といったことが、報告、発表されております。私からは以上です。
【梅原課長(事務局)】 続きまして、補足でございますけれども、政府の方で高市総理のもと、今、17分野の成長戦略の取組というものが行われておりまして、宇宙につきましても、航空・宇宙ワーキンググループという形で検討が進んでおります。すでに3回のワーキンググループを開催しておりまして、資料ございませんけれども、1月22日、3月11日、4月2日に開催されております。山崎部会長にも委員として御参加いただいているものでございます。航空・宇宙ワーキンググループにつきましては、小野田内閣府特命担当大臣、経済安全保障担当ということで、取り纏めをいただいておるところでございます。御案内のとおりでございますけれども、航空機の分野は3分野、民間航空機、無人航空機、空飛ぶクルマということで、出口の目標を立てております。宇宙の方につきましても、ロケット・射場、人工衛星・サービス、そして、月面探査・低軌道技術というようなことで進めております。特にロケット・射場については、宇宙へのアクセスというものが全ての基本であるということで、優先分野として、その中でも位置付けており、射場でありますとか、海外流出している需要をいかに取り込むかというようなこと、そしてまた、民間企業の投資予見性をいかに高めていくか、アンカーテナンシー等を通じてというようなこと、そして、それらを支える基盤的な試験研究インフラ、JAXAの大型試験設備なんかが該当すると思いますが、そういったものをしっかり民間も一緒になって使える形で、充実して共用していくというような方向性で議論しているところでございます。また、月面・低軌道や人工衛星につきましても、先ほどの米国の事情を踏まえまして、様々、取組が進んでおりますので、そういったものも、議論を進めております。こうした中で、今後は、官民投資ロードマップというようなものを日本成長戦略会議の方で取りまとめをいたしまして、また、骨太の方針などにも反映されていくことになると思いますので、そういったものと整合して我々も進めていきたいと思っております。事務局からは以上でございます。
【山崎部会長】 田渕企画官、そして梅原課長、どうもありがとうございました。先ほどの成長ワーキンググループに関しましては、本日の議題でも3番目に中長期の議論がありますので、関連してくるかと思います。また本日も盛りだくさんですけれども、よろしくお願いいたします。それでは議題に移りたいと思います。
<議題1.「国際宇宙ステーション(ISS)に提供する ISS 構成要素及び搭載物の安全確認について【審査対象"L3-PO"】」の調査審議結果について>
【山崎部会長】 最初の議題は、ISS構成要素及び搭載物の安全性確認について、審査対象を「L3-PO」とした第60回調査・安全小委員会での調査検討結果の報告になります。小委員会の木村主査から御報告、お願いいたします。
【木村委員(調査・安全小委員会 主査)】 はい、ありがとうございます。資料104-1-1ということで、こちらは調査審議結果ということでまとめられているものですけれども、審議の内容を確認する意味で、この後ろに資料がついておりますので、そこで簡単に概略を説明させていただきます。
ページを進んでいただいて、7ページまで行っていただけますでしょうか。こちらの方で、安全確認の意味合いや位置付けについて説明されています。ISSの構成要素と搭載物については、責任分担として日本とNASAの間での役割分担を以て進めております。日本の中では安全審査の実施、これはJAXAが実施することに対して、安全性要求を満たしていることを確認する、これが文科省の役割となっております。その中で、具体的に安全プロセスをどう確保していくかと言いますと、調査・安全小委員会で安全審査のプロセスが適切であることのチェックを年1回程度行うことといたしております。今回、先ほど御紹介のありましたL3-POの実験装置について、これをイグザンプルとして、安全審査のプロセスが適切であることの確認を私どもの方で実施したという経緯にございます。ごく簡単になのですけれども概略を説明させていただきます。
このL3-POの実験の目的としましては、燃焼実験でございます。ガスの燃焼を実際に実施するということを目的とした実験装置でして、実は、この調査・安全小委員会で、どの搭載機器をイグザンプルとして用いるかというのは、我々ではなくJAXAに選んでいただいているのですけれども、これまでの経緯で、例えばDELIGHTであるとか、HTV-Xそのものであるとか、非常に将来にわたって新たな取組をするようなイグザンプルを毎回担当させていただいて、そういった意味でとても光栄に思っているのですけれど、今回の実験装置は、16ページになりますけれども、これまで、液体の燃焼、それから固体の燃焼の実験装置はあったのですけれど、今回気体についての燃焼実験を行うという、ここが新しいところになるかと思います。そういった意味で、燃焼実験であるということ、それから気体を用いるということ、それから実際の軌道上でクルーによる組み立て作業とか、ガスの交換作業などが発生しますので、そういったところがこの装置のユニークなところというところで、審査を進めさせていただきました。
資料をずっとめくっていっていただきます。もし詳しい内容を知りたい方は、後で資料の方を見ていただければと思うのですけれど、ハザードの識別、これはFTAをもとにハザード識別を行いまして、ハザード識別結果としてここに挙げられております。スタンダードハザードで13個、それからユニークハザードとして5つがピックアップされまして、それぞれについて想定されるハザード、それの制御されている内容として、どのように制御しているか、そして、それが検証結果としてどのように判断されたかということを、JAXAから丁寧に説明をいただきました。これを元にしまして、もう1つの方の資料、資料104-1-2に移っていただきたいのですけれども、こちらに安全確認に関わる調査審議のポイントということで、議論の内容をまとめさせていただいております。まず、本件はここが重要なところなので、全般というところを読み上げさせていただきますけれども、調査審議の結果、部会で定めた評価に適合しており、JAXAが実施したL3-POに関わる安全審査の方法や結果等は妥当であると評価いたしました。このことからJAXAが実施している、これはイグザンプルとして取り上げられておりますので、安全審査のプロセスや考え方は適切に機能していると判断させていただきました。
具体的な中身で言いますと、安全確保の考え方、それから安全審査のプロセス、また先ほどピックアップさせていただきましたけれども、ハザード及びハザード要因の抽出手法、それからそれの対処の仕方、こういったところを個別に議論させていただきまして、全て適合しているという判断をさせていただいております。具体的な中身の一例として、議論になったポイントを2つほど挙げさせていただいていますけれども、今回はガスでありますので、火炎が逆流する恐れがあるのではないかというところは非常に気になるポイントとして、特に委員の方からコメントをいただきました。これは異常燃焼としてハザード識別しまして、供給ラインに多孔板を挿入して、火炎の逆流を防止するという、そういうような機能を行っていますという回答を得て、これは適切であると判断しました。もう1点、実験装置が与圧部内でクルーによって組み立てる、あるいは実験後にガスボトルの交換が行われるといったことが想定されています。クルーはトレーニングされているのですけれど、万が一、誤操作等があると問題になりますので、まずマニュアル、訓練によって運用、管理ができているということが大前提なのですけれども、それだけではなくハードウェア的に対応しているところはありますかというコメントをさせていただいたところ、ボトルが間違って刺さらないように、物理的に間違った接続ができないような構造になっていることによって、このハザードに対しては適切に対応しているというような判断をされています。
このような議論を元にしまして、安全審査プロセス適切であると、私ども調査・安全小委員会の方では判断いたしましたので、本日の宇宙開発利用部会の皆様で議論いただいて、この報告として上げさせていただけると良いかなと思っております。結果のところ、JAXAが実施したL3-POに関わる安全審査の方法や結果等について、安全審査体制、プロセス、安全解析及びそれへの対処の観点から調査審議した結果、JAXAが実施したL3-POに係る安全審査の方法や結果等は妥当であると評価すること、これをイグザンプルにして、JAXAが実施している安全審査プロセスや考え方は適切に機能していると判断いたしますということ、このような結論を得ております。どうか御審議いただければと思います。私からの説明は以上です。
【山崎部会長】 木村主査、どうもありがとうございました。今回は御説明くださいましたように、安全審査のプロセスが適切であることをチェックする審議事項となっております。御意見、御質問がありましたら委員の皆様からお願いいたします。金井委員、お願いいたします。
【金井委員】 金井でございます。いつもありがとうございます。同じようなコメントになってしまいますけれども、こうした、安全審査のプロセスを確認いただくこと、本当に感謝申し上げます。今回は宇宙飛行士が実際に組み立てに携わるような実験機器ということで、その資料を読ませていただいても、自分の経験上、想像がつきやすいというか、こうした実験をたくさんやってきたなという、そういった実験に対して安全審査のプロセスが確実になされていることというのが、こうやって定期的に確認されていることは、我が国の宇宙開発の体制の上で非常に重要なことだと思います。審査いただいた皆様に感謝いたしますし、またJAXAのS&MAの審査体制を支えてくださっている一人一人の職員の皆様にも敬意を表したいと思います。ありがとうございます。
【木村委員(調査・安全小委員会 主査)】 ありがとうございます。実際我々の方も議論させていただいて、宇宙飛行士の皆さんは非常にスキルが高いので、そこは信頼しているところはもちろんあるのですけれども、万が一のことで考えて対策が取られているというのは、非常に優れた方法だなと我々も感心しました。
【山崎部会長】 どうもありがとうございます。他に御意見、御質問、いかがでしょうか。よろしいでしょうか、それではこれまでの御意見を踏まえて、資料104-1について、委員会からの御提案とおりに決定するということでよろしいでしょうか。
(異議なしを確認)
御異議がないようですので決定といたします。また木村主査におかれましては、本当に御丁寧に安全事項を審査してくださり、またJAXAの関係者の皆様にも御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。それでは次の議題に移りたいと思います。
<議題2.H3ロケット8号機打上げ失敗原因調査状況等について>
【山崎部会長】 次の議題はH3ロケット、8号機の打上げ失敗に関わる原因調査状況についてです。前回第102回の宇宙開発利用部会において、それまでの状況を御報告いただきましたが、それ以降2度にわたって調査・安全小委員会が開催されております。本日もこれまでの報告及び議論された内容と、今後のことに関して御説明をいただくとともに、3月14日から15日に実施されましたH3ロケット30形態の再CFTに関しても御報告いただきます。それではJAXA宇宙輸送部門の岡田理事、H3ロケットプロジェクトの有田プロマネ、よろしくお願いいたします。
【岡田理事(JAXA)】 はい、JAXA岡田でございます、よろしくお願いいたします。今、部会長から御紹介いただきましたとおり、本日2件の御報告をいたします。原因調査状況につきましては、2度の調査・安全小委員会を開催していただきまして、大変お世話になりました。この中で衛星搭載アダプタの製造工程で生じた内部剥離が起点となって、これが進展することで事象に至ったことが、直接の要因である可能性が高いということ、そしてそれを踏まえた是正対策の案について御審議いただきました。また、実機型タンクステージ燃焼試験(CFT)につきましては、当初の目的を達成いたしまして、これをもちまして30形態のフライトに向けて機能性能の検証を概ね完了したと考えております。それでは具体的な内容につきまして、有田プロマネより説明させていただきます。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 よろしくお願いいたします。それでは私の方から、資料104-2、調査状況等についてということで御説明してまいります。
1枚めくっていただきまして、本日の御報告ですけれども、これまで、2月4日の宇宙開発利用部会で状況を御報告いたしました。その後、調査・安全小委員会を2回開いていただきまして、2月25日と3月24日、こちらの方で御審議をいただきました。その内容について、本日概要を御報告いたします。また引き続き原因究明及び対策検討を進めまして、調査・安全小委員会の方で御審議いただく予定としております。概要でございますけれども、まずFTA、それから発生シナリオの検討を行いまして、直接要因の絞り込みを実施してまいりました。また、製造済みのPSS、これは衛星を搭載する部分の搭載アダプタでございますが、この内部に、製造工程で生じた剥離があるということが確認されました。8号機にも同様な剥離が内在した状態でフライトしていた可能性が高いと評価してございます。上記の剥離が起点となりまして、これが進展することで事象に至ったということが直接要因である可能性が高く、その他のフライトデータ、これは映像を含みますけれども、こういったものとも整合しうると評価しております。また、その他のFTAの項目やシナリオは単独ではこの事象に至らないということも確認いたしました。この是正対策としまして、PSSの補修案とファスナ結合案を検討しておりまして、トレードオフを進めているというところです。ここまでが概要でございます。それに続きまして、CFTの実施状況につきましても御報告いたします。
2ページ目、こちらのページがFTAを示しております。一次要因のところを大きく2つに分けてございまして、外的な荷重によって発生したというのが1ポツ、内部構造の損傷、崩壊によって発生したというのが2ポツでございます。1ポツにつきましては、いくつかまだ三角のものが残っておりますけれども、※1に示しますように、先ほどの繰り返しになりますけれども、これらのモードが単独で要因となる可能性はないということが調査の結果分かってまいりました。ただしこれらにつきましては、次に説明します内的要因との複合で要因となる可能性があるということで、現時点ではまだ三角として残しているという状況でございます。また、この2ポツのところ、内部構造の損傷によりというところですけれども、先ほどお話ししましたPSSの内部に剥離があるということから現時点で有力視しておりまして、この括弧の中に~〇※2と書いてございますけれど、※2のところですが、フライト中のこの剥離の進展や最終的な破壊に至るメカニズム、これが明確になりましたら、最終的に〇となり得ますけれど、現時点はまだ評価中ということで、括弧付きとしているという状況でございます。
3ページに行っていただきまして、主にこの内的要因のFTA、製造工程で生じた剥離のところにつきまして、説明してまいります。このPSSと申しますのは左の写真に示しますように、パネルを4分割で製造した後に全形を結合して、これはスプライス接着という工程ですけれど、4枚のパネルを1つに組み上げて、このような円錐台の形状にするといった製造工程としてございます。今回、製造済みの複数のPSSのスプライス箇所付近、左の写真で示します、上下のスプライス部の間にある箇所で、打音検査をしたところ剥離が確認されまして、代表箇所を切除して検査した結果、この真ん中の写真に示しますように、外側にあるCFRPのスキンと、内側にありますアルミハニカムコア、この赤い線で示しておる部分に剥離が発生したということを確認したものでございます。8号機については直接の検査記録はございませんけれども、工場で製造済みの全てのものについて、このような剥離が見られているということを確認しておりますので、8号機もこのような状態でフライトに臨んだ可能性が高いということで、次に示しますようなシナリオで剥離が進展してPSS全体の破壊に繋がった可能性が高いのではないかと評価しておるところです。これはまた、フライトデータの特異性、これは、長時間画像が白飛びするとか、衛星が破損するとか、早期の分離検知があったといったような事実とも整合しうると評価してございます。
4ページに行っていただきまして、これがどのような形でPSS全体の破壊に繋がったかというシナリオで、現在考えているものを御紹介いたします。1つ目は、今申し上げましたようにスプライス接着の工場における接着工程で、想定以上の剥離が発生したというのが起点になります。続きまして、フェアリング分離までの1段の飛行中、これは破壊をせずに達成したと、ただし、飛行中の真空環境等によって、剥離が徐々に進展していき、フェアリング分離時の衝撃により、剥離部を起点としてスキンの局所座屈及び急激な剥離の進展が発生した、そしてこの右下の図で書いております、丸3と書いてあるところでございますが、このスプライスの真ん中のところで座屈が発生して、これが周方向に、青い線のように広がっていったということ、この座屈部の剛性が急激に低下するために、連鎖的に座屈が一気に進展して構造全体が座屈をするということ、そしてこの全周座屈したPSSは衛星の慣性力、重量を支えられずに、剥離部を境に上下に分割されて、PSSの上部が衛星とともに、この下にありますロケットの液体水素のタンク側に落下したというものでございます。これまでに実施しました要素試験や解析は、このシナリオを裏付ける結果となってございまして、現在、解析も含めて、さらに詳細に検討しているというところでございます。
続きまして5ページ、是正対策でございますけれども、現在これの対策として2つの案を候補として検討しております。左に書いてございますのが補修案でございまして、剥離した部分のスキンを除去して、そこに樹脂を充填し、全体を覆うようにスキンと同等のCFRPを接着するという方式です。もう1つが、ファスナ結合案というもので、この結合する部分について、スプライスの板を接着ではなくて、このようなボルト(ファスナ)で結合をするという案でございます。機械的にこれを止めるという案で、こちらはH-IIAで実績のある方式でございます。現在、両案の技術的な成立性やインパクトを検討して、トレードオフを実施しているという状況でございます。
続きまして6ページ、CFTの話題に移りますが、最初に、2回目のCFTの状況、動画で御紹介したいと思います。
(動画上映)
全体としては50秒の燃焼だったのですけれども、今のビデオは20秒ほどに短縮して編集したものでございました。それでは、この試験の実施の結果につきまして御報告いたします。まず試験目的ですけれど、昨年7月に実施しました第1回のCFTで確認されました、1段水素酸素タンクの昇圧不足、こういった事象につき対応いたしました結果について、エンジンの燃焼時のデータを取得してその妥当性を検証するというものでございます。試験結果でございますけれど、実機タンクと1段エンジン、これはLE-9を3基束ねた状態でございますが、これを組み合わせた状態で、打上げ時と同様の手順でLE-9エンジンを燃焼させまして、データを良好に取得いたしました。X-0時刻は3月15日の午前7時で、予定とおり着火することができました。エンジンの燃焼時間も計画どおり50秒間ということで、前回第1回は燃焼時間が25秒でございましたけれど、今回はタンク圧の昇圧データを充実して取得するというために、2倍の燃焼時間としたというものでございます。この1段水素・酸素タンクの加圧制御は正常に行われたということを確認できまして、予測と同等の結果を得ることができました。これによりまして、第1回のCFTで発生しました昇圧不足対策の妥当性を確認することができました。この対策の中身は、前回御報告しておりますけれども、タンクへの加圧ガス流量を増加するというものと、タンクの加圧制御計画を変更するという2種類の対策を行いました。また、機体や設備に関するデータを取得して、検証試験も実施いたしまして、今後の運用性向上につながるデータを蓄積することができました。以上から30形態のフライトに向けまして、機能性能の検証を概ね完了したと考えてございます。
続きまして8ページ、結果の概要でございますけれど、まず、準備の機能として推進薬の充填でございますが、1、2段ともに良好に推進薬を充填することができました。また、カウントダウンの機能ということで、着火時刻は予定とおり着火ができました。最後に飛行中の機能ということで、LE-9(3基)の燃焼につきましても良好でございました。そして、主要な目的でございました推進系の機能につきましても、図に示しますように良好であることを確認いたしました。左側のイメージ図でございますけれど、黒い太線がタンクの圧力の履歴を示しております。これが制御圧の下限を下回りますと、加圧弁が開いて上側に上昇を始めて、制御圧の上限に行きますと加圧弁が閉じて下降していく。こうしたサイクルを繰り返すのが設計の意図なのですけれど、前回はこれが、タンクの上部の空間が増える燃焼の後半で昇圧速度が遅くなって改善が必要な状況でございました。今回は、この部分の昇圧速度が改善して、計画とおり昇圧制御可能になったということが確認できたというものでございます。
最後に9ページ、特別検証結果の概要というところについて、まず1段のエンジン部の空調流量とターボポンプの予冷の感度のデータ取得でございますけれども、これを良好に取得できまして、エンジンの予冷を効率化して作業時間の短縮につなげるデータを取得することができました。続きまして、スローダウン制約の改善データの取得でございますけれど、これは、打上げの直前に不測の事態が発生した場合に打上げ時刻を遅らせるスローダウンという手順がございますけれども、その制約となっている手順の一部を削減するためのデータを取得しました。これによって、打上げ機会の拡大に繋げることができると考えています。最後に、2段水素補充填オペレーションの改善ですけれども、この一部の手順を見直しまして、作業の効率化のためのデータを取得することができました。
以上、御報告で、その後、これまで御報告しております内容、それから小委員会で御議論いただいている資料を添付しておりますので、御参照いただければと思います。私からの御報告は以上になります。
【山崎部会長】 御説明ありがとうございました。調査・安全小委員会の木村主査からもコメント、補足等お願いできますでしょうか。
【木村委員(調査・安全小委員会 主査)】 はい、ありがとうございます。JAXAには、事故発生以来、非常に色々検討していただいていて、非常に真摯に取り組んでいただいて、大分原因の方は追い込んできたなという感じでおります。少なくとも対策をとるべき部分というのは非常に明快になってきたので、そこに対してすでに検討を始められているという状況と思います。引き続き私たちの方でも協力しながら進めていきたいと思いますけれども、ここの事象を知ることによってよりレジリエントなシステムになっていくという非常に良い機会でもあるのかなと思っております。ぜひ、この先も検討を進めていただければと思います。ありがとうございます。
【山崎部会長】 どうもありがとうございました。それではただいまの御説明に対しまして、御意見、御質問等ありましたらお願いいたします。高橋委員、お願いいたします。
【高橋委員】 技術的な質問でもよろしいでしょうか。1つ質問があるのですが、PSSの剥離の件で、コア材に小さな穴が開けてなかったというのは、何か設計上の理由があるのでしょうか。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 御質問ありがとうございます。おっしゃるとおり、今回このPSSにつきましてはコア材に穴が開いていないという仕様のものを使っておりました。こちらは、この接着の強度が十分あるということで、中の空気が真空下で膨張したとしても、50倍程度の余裕のある接着力があると考えて、穴のないものでも大丈夫だと考えておったというのが1点。それからもう1つは、これをキュアする時点で、この中が真空に引かれてしまいますと、スキンが内側に落ち込んでしまうリスクがあるということで、製造現場の方から、できれば穴あきは使いたくないという声があったと聞いておりまして、これが2点目の理由でございます。
【高橋委員】 はい、分かりました。
【山崎部会長】 はい、ありがとうございます。それでは秋山委員、お願いします。
【秋山委員】 秋山でございます。2点、お願いいたします。まず1つが、H3 ロケット8号機のファスナ結合案の解説について、ちょっと細かいところなのですけれども、3月の調査・安全小委員会の後に伺ったところでは、ファスナ結合案の場合、4分割されたパネルを従来どおりファスナで結合する形なので、途中から再製造ことと近い手順を踏むと伺っております。その場合の、時間的な影響というもの、数字等は難しいかもしれませんが、どのように御覧になっているかを補足いただければと思います。もう1つが、30形態のCFTでは意図されていたデータを良好に確認されたということで、それは良かったと思うのですけれども、そうしますと、この30形態の実際のフライトスケジュールを立てるにあたって、今は8号機で発生したPSSの問題の対策待ちという段階と理解してよろしいでしょうか。その2点です。お願いいたします。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 ありがとうございます。まず、最初の御質問でファスナ結合案につきまして、製造上の時間的な問題はないかというところでございますが、今御指摘いただきましたとおり、補修案に比べると若干時間がかかる案となっています。ただし、それもできるだけ短くすることを考えておりまして、例えばこのパネルにつきましてはすでに製作済みのものがございますので、これを活用することで、できるだけインパクトを少なくするということを考えております。それに基づきまして、打上げ計画がどのような形になるかというのは、併せて検討しているところでございます。それから2つ目の御質問につきまして、30形態試験機につきましては、CFTを無事に終えたということで大きな開発上のハードルを越えたと考えておりまして、フライトに対しては、御指摘いただきましたようにPSSの対策をどのようにするかというのを待っている状況とお考えいただいて結構かと思います。30形態試験につきましてもまだ若干開発試験が残っているところもございますので、これを並行して実施しているところですが、大きくは御理解いただいたとおりと考えております。
【山崎部会長】 高橋委員、お願いします。
【高橋委員】 ありがとうございます。先ほど答えていただいた際、キュアする時にコア材が潰れる可能性があるというのは、定量的な試験をされていると思ってよろしいでしょうか。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 今おっしゃっていただいたのは、コア材が潰れることについて対策を打つ・・・
【高橋委員】 そうではなくて、先ほど穴が空いたコア材を使わなかった理由の1つは、キュア時にコア材が潰れる可能性があるからと答えていただいたと思うのですけれど、そこは定量的に試験をされた結果だと思ってよろしいでしょうか。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 すみません、私の話し方が悪かったかもしれませんけれども、コア材が潰れるということではなくて、スキンがコアのセルの中に吸い込まれて落ち込むということを気にしたというものでございます。そういうことは現場で一度は試したことがあるようなのですけれども、そういうことがあって、若干作りにくかったという経験があったと聞いております。お答えになりましたでしょうか。
【高橋委員】 分かりました。ありがとうございます。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 はい、ありがとうございます。
【山崎部会長】 オンラインから小笠原委員、よろしくお願いいたします。
【小笠原委員】 ありがとうございます、小笠原でございます。大変丁寧な原因究明、対策、それから皆さまの大変真摯な活動に大変敬意を表したいと思います。本当にありがとうございます。2つほど、H3の8号機の件で質問させてください。1つ目は、剥離の話がございましたが、スプライスの接着工程で想定以上の剥離という話だったのですが、つまりこれは製造過程で剥離を検査しきれなかった、ないしは検査するプロセスになっていなかったということでしょうか。
2つ目は、今回はPSSでしたが、こういったハニカムは別の構造体、例えばフェアリングの一般部でも当たり前に使われているのではないかと思うのですが、そのフェアリング等に対しても同じような対策ないしはチェックはきちんとされているでしょうか。その2つ教えてください。以上です。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 ありがとうございます。まず1点目につきましてですけれども、先ほど御説明は割愛させていただきましたが、3ページ目に製造検査工程の概要を示しております。これまでの考え方といたしましては、4分割のパネルの単体ができたところで、このオレンジ色の範囲全面について、超音波検査によって剥離がないということを確認するということ。それから、その後4つのパネルを合わせてスプライス接着をしていくということなのですけれども、この接着部についても超音波検査をやって確認をするということ。この2つを合わせて、全面の検査ができていたと考えておりました。しかしながら今回分かったことは、このスプライスの接着工程で加熱したことによって、この前に検査をしていたオレンジ色の範囲にも影響があるということについて思いが至らずに、このスプライスの間、このオレンジ色の部分になりますけれども、この部分については、スプライス接着後に検査ができていなかったということで、ここに大きな剥離が確認されたということでございます。それがまず1点目の御説明です。
それから2点目は、おっしゃるとおりこのハニカムパネルのサンドイッチ構造につきましてはフェアリングでも同様の構造をとっております。こちらにつきましても現在点検を進めておりまして、幸い、フェアリングの外面につきましては、剥離が発生していないということが確認できました。これは先ほどの議論にもございましたけれども、フェアリングにつきましては、実はH-IIAまでは海に浮かんでしまう仕様で、中の空気が抜けない仕様だったものですから、これは船の航行にも影響があるということで、H3ではこれを水没できるような仕様に変更いたしました。その結果、ハニカムコアの内面に貫通するようなスロットが開けられているということで、結果的に、製造工程で、仮に内圧が上がったとしても剥離が生じないような形になっていたんではないかと現在は推定しております。引き続き、この点検については進めている状況でございます。
【小笠原委員】 ありがとうございます。前者のお話は、検査をすることによってコンフィギュレーションが変わってしまって、後からコンフィギュレーションが変わったことに気づかず出荷してしまったということと理解しました。先ほど木村主査から、よりレジリエントになっていくというお話がございましたが、新しい発見だということで、よりレジリエントとなっていくきっかけだと、まさにそういうことだと思いました。ぜひ継続的によろしくお願いいたします。ありがとうございます。以上です。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 ありがとうございます。
【山崎部会長】 続いて笠原委員、お願いいたします。
【笠原委員】 改めまして非常に真摯な取組に敬意を表します。今の小笠原委員と近い質問で恐縮ですが、今回対策を打った場合に、最終的な検査というのは、全てが完成した後に、おそらく超音波検査でしょうか、それを実施するという理解でよろしいでしょうか、というのが1つ目の質問です。
2つ目の質問は、調査・安全小委員会の方で実機大の強度試験を実施したとお伺いして深く納得した次第なのですが、その時に、各部の歪みや、どれぐらい応力が加わっていたのか、あるいはその安全率など、そのあたりの調査というのは併せて行われていたのでしょうか。また、今回の破壊に至ったモデルがあった場合に、破壊するまで力を加えて一種の破壊試験をすれば、その破壊の方法等、新しい知見も獲得できるかと思うのですが、そのあたりの考え方を御教示いただければありがたいと思います。以上でございます。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 ありがとうございます。まず最初の御質問ですが、仮にファスナ結合案をとるということになった場合に検査をするのかという御質問かと思います。お答えとしてはイエスでございまして、ただ、このファスナを結合してしまった後には検査がしにくくなるという部分につきましては、あらかじめ検査をするというようなことはございます。具体的に言いますと、スプライスをボルト結合するためにパネルを一部補強しないといけないということで、ダブラと称しておりますCFRPのスキン板を接着する工程がおそらく出てくると考えております。この部分についてはやはり接着工程が必要になりますので、この部分をしっかり検査して剥離がないということを確認した上でファスナ結合の工程に入り、最終的にもしっかり検査を経てフライトに臨むという姿勢で考えております。それが1点目です。
続きましてこのPSSの開発過程における、実機大試験での考え方という御質問だったと思いますけれども、元々PSSにつきましては、あらかじめ設けております一般的な構造設計基準に基づいた安全率を設定しておりまして、それに基づいて出てきます終局荷重をこのPSSに対して付加するという試験まで実施しております。その時には当然ながら歪みですとか変位ですとか、こういったデータをしっかり取って、設計の意図どおりにできていることを確認してフライトに臨んできたところでございます。ただ、破壊試験というところまでは、開発段階では実施しておらず、フェアリングが温存されている状況ということで、実は今回実施しましたCFTなどでも使い回してきているといったのが実態でございました。ただ今回の事象に鑑みまして、今後の対策した仕様につきましては、最終的に破壊試験まで実施して、実力値まできちんと把握するというところまで実施したいと考えてございます。
【笠原委員】 はい、よく分かりました。本当にどうもありがとうございます。以上でございます。
【山崎部会長】 続きまして山室委員、お願いいたします。
【山室委員】 5番目のスライドで、製造済みPSSの全ての剥離箇所を補修するという補修案では製造済みのPSSが何台ぐらいあるのかという点、またファスナ結合案というのは、製造済みのものはそのままにして、新しく作ると理解したのですが、その理解で良いかどうかということが質問の1点目です。その場合、残っているPSSがいくつかあっても、補修案を全てに施して試験を行い、またダメでしたということでは困ると思うので、1個にだけ補修案を試してみるということになるのでしょうか。実際にこの両案は、どれぐらい残っているものに対して、もしくはこれから何個作って、そしてそれに対してこういう試験をして、といった対策の進め方がよく分からなかったので、そのあたりを教えていただけますでしょうか。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 はい、ありがとうございます。まず、この製造済みのPSSが何台あるかという点でございますが、62ページは第61回の小委員会に出させていただいた資料のページでございますけれども、左の表で示しますように、シリアルナンバー05、06、09、10、12と、合計5体のPSSがすでに製造済みで工場に保管されているという状況です。もし補修案をとるということになった場合には、こちらのPSSを補修して使うことになります。一方、ファスナ結合案を使う場合には、これらのPSSについては、もうすでに結合されてしまっておりますので使えないということになります。ファスナ結合案につきましては、この4分割されたパネルの状態でH3ロケット2機分のものがすでに製造済みです。こちらにつきましては、ファスナ結合案にしても有効に使えるということで使っていくことになりますが、それより先のものについてはパネルから新たに作り直す必要がございます。ここまでで御質問のお答えになってますでしょうか。
【山室委員】 ありがとうございます。そうすると、ファスナ結合案で試せるPSSは2つあり、補修案については5つあり、これは全部一度に補修案でやってしまわなくても良いということですね。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 御質問の意図を、もう一度お願いできますでしょうか。
【山室委員】 補修案でやれば大丈夫という保証はないわけですから、やり方として、ファスナ結合案に使えるものが2つあり、試験をやるにしてもその2つがあれば十分だということなのか、このPSSなら大丈夫といえる作り方を決定するまでに、何個、補修案とファスナ結合案をそれぞれ実際に作って試験をするのですか、ということを聞きたかったです。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 この開発の考え方としては、いわゆるQTと称している認定試験に必要な供試体が最低1つは必要かなということで、補修案をその後も使っていくということになれば、やはり1体は潰す必要があり、ファスナ案についても同じになります。その後は、それぞれの案のものを作って、あるいは補修して使っていくということになると考えます。どれだけの供試体が必要かといったようなところにつきましては、今まさに検討しているところですので、今後の御報告とさせていただければと思います。
【山室委員】 はい、ありがとうございました。
【山崎部会長】 吉井委員お願いいたします。
【吉井委員】 吉井でございます。過去の打上げで、同様の事象が発生しなかったことについての調査というのはされてますでしょうか。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 はい、行っておりまして、66ページ、前回の小委員会で御説明したところですけれども、この8号機で発生した要因として、8号機のパネルを接着した時期が夏期であって、接着に至る過程で多少他号機の環境よりも湿気が高かったと御説明をいたしております。ただ、その後の調査の結果、この湿度の影響というのは、相対的には、全体としてはあまり大きくなかったのではないかというところもありまして、まさに今調査をしているというところでございます。
【吉井委員】 ありがとうございます。そうしますと、今すでに製造済みのものについても同じ環境で作ったものが残っているということですかね。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 この表の方で示しておりますように、この後のものでも、若干湿気が高かったようなものはございますけれども、8号機ほどのものではなかったと考えてございます。
【吉井委員】 ちなみにその作業は、同じ方が全部作業されているのですか。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 はい、同じ方が作業しております。
【吉井委員】 分かりました。ありがとうございます。
【山崎部会長】 他はよろしいでしょうか。久保田委員、お願いします。
【久保田部会長代理】 久保田でございます。2つ質問があるのですけれども、1つは今回、原因のFTAで剥離が非常に重要だというお話でしたけれども、それ以外の要因も今まだ検討中と理解して良いでしょうか。それとも特定できたとの理解が良いのでしょうか。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 はい。現在、剥離が主要因であった可能性が非常に高いと考えております。これがその他のフライトデータとうまく整合して説明ができるのか、あるいは、これ単独で本当に起こりうるのかというところの詰めを行っているというところでございます。
【久保田部会長代理】 分かりました。複合要因も含めてという理解をしました。それから2つ目は、製造過程の温度、湿度が影響して他の号機と違うというような資料も見ていたのですけれども、今の御回答ですと必ずしもそうでもないというお話だったので、やはり温度、湿度の影響を受けて膨らんでも抜けるような穴というのが本当は重要なのかなと思っていますし、さらにはそういうことが起こったとしても壊れないようなやり方を考えていかないと、なかなか管理は難しいですよね。さらに、製造を終えて保管の時の管理はまたすごく大変になってくるということで、総合的に、今後こういうことがないようなやり方を検討いただければと思います。以上です。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 ありがとうございます。先生がおっしゃるとおりで、保管環境等で左右されるような形は望ましくないと考えてございますので、一方で打上げの環境なども考えますとPSS自体がいろいろな環境にさらされるということはあり得ることでありますので、そういったものに左右されないような工程を考えていく必要があると考えております。
【山崎部会長】 どうもありがとうございます。他によろしいでしょうか。では、今回の原因調査、ありがとうございました。また実機の反映計画の方も御検討くださるということでよろしくお願いいたします。そして、この過程の中で得られた知見などがきちんと引き継がれるような、技術標準などに落としていくなど色々な方法があるかと思いますけれども、そうした方策まで考えていただければと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 承知いたしました。ありがとうございます。
【山崎部会長】 ありがとうございました。それでは次の議題に移りたいと思います。
<議題3.中長期の宇宙研究開発の推進方策の検討について>
【山崎部会長】 次の議題は、中長期の宇宙開発の推進方策の検討についてです。前回の当部会においては、今後の検討すべき事項について総論的な議論を行いました。今回からは、個別論点の議論を進めていければと思います。その中で、本日は共通基盤技術及び将来宇宙輸送について扱うことといたします。まずはじめに事務局より、今後の進め方等について御説明をお願いいたします。
【田渕企画官(事務局)】 事務局でございます。資料104-3-1を御参照ください。御紹介いただきましたとおり、今後の検討ということで、5行目からですけれども、近年の諸外国の動向や国内での宇宙戦略基金の取組状況等も踏まえまして、今後の宇宙開発利用への対応について議論した上で、今後の政策検討に資するエビデンス等を整理することを主たる目的として、中長期の宇宙研究開発の推進方策の検討を進めていきたいということでございます。
おめくりいただきまして、検討事項といたしましては、これまでも御説明させていただいてきたとおりでございますけれども、1つ目は、我が国が目指すべき研究開発の方向性、2つ目は、我が国として保有すべき技術群、3つ目は、中核機関としてのJAXAの役割、そして4つ目が、2040年頃を展望した「中長期の宇宙研究開発戦略」ということでございます。4ポツのところ、今後の検討スケジュールでございますけれども、本日個別論点に関する議論ということで、基盤技術開発と将来宇宙輸送について、それぞれ事務局から概要を御説明させていただいた後に、JAXA及びSLAから状況を御紹介いただき、議論をさせていただくというようなこと考えております。そして次回以降、スケジュールにお示ししておりますとおり、科学・探査、衛星開発、軌道上サービス、そして横断的事項といったものを御議論いただいた上で、骨子案、中間取りまとめ、とりまとめという形で、夏頃にかけてまとめを行っていきたいと考えております。ぜひ活発な御議論のほど、お願いいたします。以上です。
【山崎部会長】 ありがとうございます。それでは、これから個別テーマについて議論を行っていきたいと思います。まずはじめに、共通技術につきまして、文部科学省及びJAXAから御説明をお願いいたします。
【島村補佐(宇宙開発利用課)】 では、私、文部科学省宇宙開発利用課の島村から、資料104-3-2にて御説明申し上げたいと思います。まず「宇宙分野に共通する基盤技術開発について」という議題で説明いたします。1ページ目、基盤技術開発の位置づけでございますけれども、近年、宇宙分野に限らず、科学とビジネスが近接化し、科学に対する官民の投資が巨大化しておりますけれども、政府には引き続き、基礎研究を含む研究開発に対する継続的な投資が求められます。このような中、宇宙分野においてはJAXA、大学、民間企業等も含めて、我が国全体として基盤技術開発の強化が必要であると考えております。また、参考ではございますけれど、宇宙技術戦略の中には、「宇宙機の基盤技術における競争力の源泉はコンポーネント、部品、材料、アプリケーションシステム開発技術である」ということと、TRL(技術成熟度)が分類できない先端技術を、いち早く宇宙分野に応用することも重要だということも記載されてございます。
次に2ページに行っていただきまして、基盤技術開発の背景でございます。諸外国や民間による宇宙活動が活発化しまして、競争環境が激しくなる中、我が国の宇宙活動の自律性を将来にわたって維持・強化し、衛星、宇宙科学・探査等といった各分野のミッションを実現させるためには、各分野共通の基盤技術、特に技術成熟度が低いような先端技術開発も含みます、このような開発に継続的に取り組むことが重要であると考えております。このような中、JAXAは我が国の宇宙開発の中核機関としまして、宇宙分野に直結した基盤技術の開発を主導してきております。例えば国際競争力を有する搭載機器・部品や信頼性・ソフトウェアに係る基盤技術開発を通じて、宇宙プロジェクトの競争力強化や課題解決に貢献してきているところでございます。また文部科学省では、競争的研究費も含めた様々な競争的研究におきまして、宇宙分野を含めた、多様かつ独創的な大学・民間企業等による要素技術開発等を推進することで、宇宙開発のブレイクスルーを目指していることでございます。例えば宇宙戦略基金におきましては、熱制御・電子機器利用、推進・制御、構造・新材料、生命維持・環境制御等の高度化や革新につながるような要素技術開発を支援していきたいというところでございます。なお、JAXAがこのような技術動向を把握しまして、産官学の結節点となること、また、宇宙・非宇宙を含む、裾野の拡大、人材の育成というところが、宇宙での優位性、国際競争力を高める上で重要で、不可欠であると考えております。文科省からは以上でございます。
【稲場理事(JAXA)】 それでは続きまして、基盤技術研究開発について、JAXAの稲場から資料104-3-3にて御説明を申し上げます。
次のページお願いいたします。まず、JAXAの基盤技術の研究でございますけれども、昨年度から始まりました第5期中長期期間、この開始に先駆けまして、宇宙戦略に関しては宇宙技術戦略というものが政府統一的に策定されました。加えまして宇宙戦略基金事業が開始になったという変化点を踏まえまして、政策・社会ニーズに応えるということを意識した上で、JAXAならではの研究とは何かという点を念頭において研究を再構成して進めているという状況にございます。技術の結節点としての役割がございますので、産学官との共同研究というものを活発に行っています。昨年度は195件を実施しております。JAXAのアセット、知財、ノウハウ、こういうものを先方の力と合わせまして、オープンイノベーションをしているという活動でございます。その中で、役割が拡大して専門人材が不足している、それからJAXAが持つ多くの設備、これの老朽化等も進んでございます。そういう課題についても御紹介をさせていただきたいと考えています。
次、3ページお願いします。先ほど申しました、「JAXAならではの研究とは何か」ということでございますけれども、私どもの考えとしては、やはり、長期的・挑戦的な取組、あるいは大規模なインフラを要する、採算性が合わないような、技術、ゲームチェンジ、それから自律性を確保することです。その自律性の確保の中には、やはりデュアルユースという点も意識をする必要があると考えています。加えまして、宇宙での実証機会が決定的に足りないという認識がございます。共同研究の成果をいち早く、タイムリーに実証機会を提供するということで、昨年度から、小型衛星技術開発を中心としたJAXA-STEPSという新しいプログラムを開始させていただきました。図にありますのは、私どもの研究の構成です。上の方は、それぞれの宇宙の利用分野、これを目指しまして、利用者様と対話をしながら、これを実現するための一番下の基盤技術、これはそれぞれの用途に限らずに共通的に利用できる技術で、その上の2階建ての部分につきましては、アプリケーションを念頭に置きながら基盤技術をマトリックス的に組み合わせながら仕上げていくという2階建ての構成を取っております。
次、4ページお願いいたします。次のページからは、申し上げました2階建ての研究の中で、まずは利用用途の分野、その次に共通基盤技術の中で特徴的な研究をいくつか御紹介させていただきたいと思います。最初は通信、それから測位の分野でございます。特に測位に関しましては一番左下でございますけれども、長期的な課題ということで、次世代のクロックである光格子時計というものの適用も睨みながら、時計を相互に比較をして時刻を同期するという、極めて難しい技術の取組も開始してございます。
それから次の5ページは、観測分野になりますけれども、観測分野は何しろ新方式のセンサということに注力をしてやってございます。能動的なライダーを用いたセンサ、これが一例でございます。加えまして、左下の共通にございますけれども、宇宙エッジコンピューティングということで、観測対象を、AIを使って人工物の検出等を早期に行って、この情報を圧縮した形で地上に伝送すると。そんな技術の特許を持ちまして、さらにこの製品を作る非宇宙企業と組みまして、サプライチェーンに入れると。実際に、右側にございますけれども、民間のコンステレーション企業に対して機器の提供を始めている、そんな活動もしています。加えまして、違う民間のコンステレーション企業の間で、Tip&Cueということで、検出した人工物をいち早くハンドオーバーするという、日本のコンステレーション企業は数が少ないので、これらの企業と連携したような共同研究もしてございます。
それから6ページに参りますけれども、こちらは軌道上サービスという新しい分野でございます。御案内のとおり、CRD2(商業デブリ除去実証)、これは民間の事業者と共同で実施中でございますけれども、これらに必要な高度な軌道上サービスの技術を、いち早く研究開発をして事業者に提供する、また必要な設備を貸与する、そんな活動をしています。この技術は、単にデブリの能動的な除去にとどまらずに、今後発展が期待されるような、まさに軌道上サービス、状況把握、軌道変換、燃料補給、さらに軌道上組み立てと、このような技術に共通的に使える先端技術であると考えております。
それから次の7ページは、輸送系の研究ですので、これは次のテーマの中で詳細に説明をさせていただきたいと思います。
8ページは、先ほど2階建てと申しました、1階の部分のそれぞれの用途に共通的に使えるような共通技術ということで、JAXAの中では、ここにございますような5項目の研究に分割をいたしまして、実施をしている状況にございます。
次、9ページになりますけれども、最初の共通技術としては、いわゆる計算科学、モデリング・アンド・シュミレーションです。MBSE、MBD、AI、こういった開発プロセスを刷新するような技術、右下にございますような高度なエンジンの中の燃焼をシミュレーションするようなことは、世界トップレベルという御評価もいただいていますけれども、こんな研究をしております。
これから次の10ページ目は戦略的部品ということで、部品はサプライチェーンの問題等があります。必要な部品はやはり自律性を高めるということで、計算機の計算デバイス、それから電源デバイス、こういったところを中心に国産化を進めてきております。それから民生部品を、適正に使うにはどうすればいいかという、そういう使い方に関しての知見というものも研究して、情報発信しているところでございます。
それから11ページの電源系、パワーマネージメントは少し割愛をさせていただいて、12ページ、お願いいたします。こちらは推進系の技術です。推進系の技術は、サプライチェーンに大変な、小型衛星、大型衛星に共通の問題を抱えています。国内で信頼性が高く、コストも比肩するようなものの開発が求められているところですけれども、小型のホールスラスタに関しては非宇宙企業に技術移転をして、コスト、信頼性で引けを取らない、世界レベルのものができています。さらに、マルチモードスラスタとここにありますけれども、こちらは推力の低い電気推進においても、必要な時に加速をして、機敏にマヌーバをするという、そういうミッションの必要性が軌道上サービス等で求められているわけですけれども、こちらもJAXAの特許のもとで、マルチモードスラスタの開発研究が今進んでいるところでございます。
それから13ページの構造マテリアル。この物質も基本的なところで大変重要ですけれども、詳細割愛させていただきますが、具体例として、月の表面の砂の環境というのは非常に厳しいのですけれども、こういう中での長期の潤滑をどうしたら良いか、とそんな研究をしております。
14ページは、これまで申し上げました研究の中で必要な、民間では持たない、たくさんの設備を持ってございます。これらの維持更新というものも大変重要で我々の役割と考えておりますけれども、中には老朽化しているものもございます。こういったものを定期的に更新していくということの必要性を我々は感じているとこです。
最後15ページでございますけれども、申し上げましたとおり、私どもとしては、先端技術、我々のできる技術というものを強化させながら、これは民間の取組を含めて宇宙の開発利用というのを促進していく、ドライバーとしての役割を担いたいと考えております。申し上げたとおり、これを維持するためには、人的な投資、それから設備の投資を継続的にやっていただくということが重要と考えておりますので、ぜひ、御理解、御配慮を引き続きどうぞお願いいたします。私からは以上です。
【山崎部会長】 島村補佐、稲場理事、ありがとうございました。ただいまの御説明を踏まえて、共通基盤技術の観点で、今後取り組んでいくべきことなど、皆様から忌憚のないディスカッションができるかと思います。では、ここで一旦自由討議としたいと思いますので、よろしくお願いいたします。吉井委員、お願いします。
【吉井委員】 吉井でございます。非常に、ポジティブな取組でありますが、一方でデュアルユースを見据えた場合というのは、当然、国際コマーシャル市場できちんと売っていける商品になるかどうかが重要だと思うのですけれども、国際宇宙保険市場の評価の見方から申し上げますと、1回や2回、軌道上で成功したからと言って即売れるかと言えば、全くそうではないのです。特に、スラスタとか重要な部品については、軌道上で累計どれぐらい稼働しているかとか、設計寿命が5年であれば5年間全うしたハードウェアがどれぐらいあるかというのが非常に重要なファクターになってくると理解しております。従いまして、デュアルユースを見据えるのであれば、開発だけではなくて、開発した機器について軌道上でどれだけ運用実績を作っていくかというのも見据えて戦略を立てるのが重要かなと思います。以上でございます。
【稲場理事(JAXA)】 重要な御示唆ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。運用実績の重要性については先ほど私が申し上げたとおりで、1回だけではなく、それを2回、3回、また形を変える形でバックアップというような使いかたもあるかと思いますので、そういうシステムコンフィギュレーションも使いながら、技術を磨いて信頼性を高めていき市場にもそれを理解していただくという、そういう取組が重要だと認識しております。ありがとうございます。
【山崎部会長】 高橋委員、お願いします。
【高橋委員】 JAXAの中でいろいろ技術開発が行われているのは非常に素晴らしいと思いますし、これからもぜひ発展していただきたいのですけれども、JAXAの中でこうした研究に直接携わっている研究者の数というのは、どのくらいになるのでしょうか。
【稲場理事(JAXA)】 私の所属する研究開発部門では、約270名の研究者がおります。270名が12の専門分野のグループに所属をして研究開発をしているところです。研究開発部門以外には、それぞれの衛星、それから科学探査、有人という部門もございますので、その中にもアプリケーションに近い分野の研究をされている研究者がおります。
【高橋委員】 もう1つあるのですけれども、先ほど10ページで、民生部材が使われるようになっていて、それをどのように使ったら良いかということも色々研究されていて、それを発信するようにしておられるという話があったのですけれど、具体的には、これは非常にニーズがある話だと思うのですけれども、どのように発信されているのでしょうか。
【稲場理事(JAXA)】 一部やり始めたところではございますけれど、民生部品に関して、様々な、耐久性に関する試験をして、その結果を安全・信頼性推進部から情報発信するようにしております。あと論文ベースでは、具体的なターゲットに対して行った検査試験の結果を公的なジャーナルの中で発表しているということもしてございます。
【高橋委員】 そうすると、JAXAの安全・信頼性推進部のホームページに行くとそのようなことを学ぶことができるデータベースにアクセスできると理解して良いでしょうか。
【稲場理事(JAXA)】 今後充実させる予定でございまして、今のところは非常に限定的な内容になっています。
【高橋委員】 ありがとうございます。
【山崎部会長】 金井委員、お願いします。
【金井委員】 金井でございます。御説明ありがとうございます。人的投資というところで、御意見いただきたいのですけれども、JAXAが宇宙開発の中核機関というのは元よりそのとおりで、その中に専門的な知識を持つ人材を獲得していく、またその専門性を高めていくというような人的投資は非常に重要だと思うのですけれども、これからの宇宙開発、民間にもどんどん入っていただく必要があると思いますので、民間の人材に対する教育であるとか、例えば、人材交流によってJAXAの中で専門性を高めた方が民間に出て行く、そして民間の方がJAXAに入ってきて、その方たちの知識や技術を活用していくような施策であるとか、今後の見通しであるとか、考え方をお聞かせいただければと思います。
【山崎部会長】 ここで御提案ですけれども、ひととおり皆さんから意見を先に伺って、その後まとめて御回答いただく形でもよろしいでしょうか。効率化のために。
【稲場理事(JAXA)】 はい、承知いたしました。
【山崎部会長】 ではひととおり皆様から伺いたいと思います、ありがとうございます。では秋山委員、お願いいたします。
【秋山委員】 12ページの御説明いただいたところで、推進系の技術に、非宇宙の方に入っていただいて、ホールスラスタのような技術に御協力いただける形になる例があったと伺ったのですけれども、どういう御協力をいただけたのかというところを少し詳しく教えていただけないでしょうかというところと、あと関心を示していただき入ってきていただいた経緯についてもよろしければ教えていただければと思います。
【山崎部会長】 続いて久保田委員お願いします。
【久保田部会長代理】 久保田です。どちらかというと質問よりもコメントになりますけれども、ここに書かれているキーワード、非常に魅力的で盛りだくさんかなと思います。なので、すでに進めていらっしゃると思いますけれども、企業なり大学なりいろいろなところと連携して、JAXAが中心になってやるところと、一緒にやるところと、あるいはお任せするといった、メリハリをつけて進めて開発していただければと思っております。2つ目、搭載ソフトウェアの開発ですとか、運用のための地上系のソフトウェアなりシステム、それから、検証用試験というのはすごく時間がかかりますので、そういう検証というのはいろいろありましたけど、そのあたり何か画期的なやり方もぜひ検討していただけないかなと思っておりまして、多分宇宙システムモデリングの方に入るのかもしれませんけれども、御検討いただければと思います。以上です。
【山崎部会長】 はい。では続きましてオンラインで、神武委員お願いいたします。
【神武委員】 御説明ありがとうございます。宇宙戦略基金との関係について質問したいのですが、かなり大きな規模での宇宙戦略基金があって、民間企業が主体で、JAXAはそれを支援するという立ち位置ではある中、民間企業が宇宙事業に取り組むことで、今まで見えなかった技術的なニーズが見えてくると思うのですけれども、一方JAXAは基本的には自らそこに携わるということができなくて支援するという立ち位置を取るというところでの難しさもあると思います。これだけ大きなお金が動いているので、JAXAの研究開発に結びつくということについて、うまく循環できればと思うのですが、そのあたりの何か戦略的な目論見や今後の新しい仕組み化を考えられているようであれば、教えてください。以上です。
【山崎部会長】 では続きまして田中委員、お願いいたします。
【田中委員】 先ほど久保田委員と神武委員もおっしゃっていたのですけれど、基本的にはJAXAならでは、例えば14ページの試験研究設備の維持などはJAXAしかできませんとおっしゃっていたと思いますし、そうだと思うのですが、やはり民間にどんどん移管していくあるいは共同で開発していくといった仕分けを、もう少しきちんと整理しなくては、限られたリソースがうまく使えなくなってしまうのではないかと感じました。以上、コメントです。
【山崎部会長】 続きまして山室委員、お願いいたします。
【山室委員】 スライドの2ページ目に、専門人材の不足ということが明記されているのですけれども、これについては、具体的にどのような分野が不足していて、そしてそれに対してどう補足していくかというようなビジョンがあるのか気になりました。以上です。
【山崎部会長】 ありがとうございます。大貫委員、お願いします。
【大貫委員】 御説明ありがとうございました。こちらの取組が、基金とかマーケットを広げる政策の需要側と、あとは今もお話に出ていました、人材やサプライチェーンの強靭化というような供給側の、両方を、結果的にはバランスよく刺激するような取組になったら良いなということを全体感として感じつつ、結局この取組でイノベーションが起きることが重要だと思います。個別の技術開発でのイノベーションというのは当然期待したいところなのですけれども、これら、個々のものができた時に、全体の目指す方向性があって、また次のイノベーションを生む方向に進められるものかどうかという視点も常にありながら進められると良いのかなと期待しつつ、そういった視点が盛り込まれているかどうかをお伺いしたいです。
【山崎部会長】 ありがとうございます。他はよろしいでしょうか。私からも1点ですけれども、現在宇宙予算は増えている中ですが、だからこそ、それをきちんと支えるための中核機関としてのJAXAの強靭化が必要で、人的なリソース、それから設備、あとはR&D機能強化なども含めて、きちんと日本としても、世界市場を視野に入れるべきという御意見もありましたが、確かな地位を築いていくことが大事ではないかと考えます。そこで培ってきたJAXAの技術を民間に移転するという方策に関しても、より強化をしていく、両輪でいくことが必要ではないかなと思います。このあたりの御意見をお聞かせください。
では、まとめてで大変恐縮ですが、稲場理事、お願いいたします。
【稲場理事(JAXA)】 はい。たくさんの御示唆、ありがとうございます。金井委員から始まりました御質問に対して、お答えできる範囲でお答えしたいと思います。
まず民間等との交流ですけれども、人的交流はJAXAから排出をしたり、民間から来ていただいたりというものも今あります。それから重要だと考えておりますのは、先ほど共同研究が200件あるという話でしたけれども、やはりこの活動を通じて、宇宙で人工物を作ってそれがきちんと動くようにという、そういう基本の技術があるわけですけれども、これが共同研究という密接な取組の中で、私どもの技術を使っていただいている1つの大きなきっかけかなと考えております。
それから2つ目の御質問ですけれど、非宇宙の企業をホールスラスタに、という話がございました。これはやはり共同研究等、先方からアプローチをしてきてくれるという活動の中で、先方のやる気、実力、私たちの方向性、こういったもののマッチングがうまく取れたところで、うまくいったものは、伸びていると感じているところでございます。それから、いろいろな民間様とのお付き合いの中で、JAXAが主体で引っ張るところ、むしろ私どもは裏に回って、補強させていただくようなところがあるというのは、おっしゃるとおりだと思います。一件一件で、JAXAの求められている役割というのを十分踏まえてやっていく必要があると認識しております。
ソフトウェアに関しての開発、検証のお話がございましたけれども、これはまさに、情報技術の中でMBSE、MBDという、開発のライフサイクル全般にわたるDXの活動ですけれども、これも極めて重要な活動であると認識しております。衛星自体も今、ソフトウェア・ディファインド・サテライトということで、打ち上がった後に運用の仕方、あるいは用途自体も変わってくると、ダイナミックに使い込んでいくという方向性でございますので、それを、検証も含めて、ライフサイクルの中でどうやっていくかというのは重要技術だという認識がございます。ありがとうございます。
それから次の御質問でございますけれど、戦略基金との関係について、いくつか御質問と御示唆をいただきました。戦略基金に関しましては、まずは政府の技術戦略というものが全体の世界地図になると考えています。その中で、宇宙戦略基金のテーマにセットされて、事業者様が主体的に出口の事業化まで見据えた活動をされておりまして、それがスタートされたものについては、JAXAとしては、これは内部の厳しい規律がございまして、そこからはもう企業の方にお任せをし、その上でJAXAは他の部分にリソースを配分していくと、そういう基本的な考え方を持っております。ただ、それが正しいやり方かどうかというのは、今後の活動の中で、もしそういうやり方に多少工夫を加えた方が日本全体として良い方向に回るというような知見が得られれば、反映されていくのかなと考えております。
JAXAならではの考え方は、今申し上げた基金との関係の中だと思います。キーワード単位では今日の資料に書かせていただいたような点が、JAXAならではかと考えているところであります。今後も突き詰めて考えていきたいと考えております。
人材の不足に関しては、これはまずJAXA全社的な問題でございますけれども、文部科学省にお認めいただいて増員をしていくという方向性が出てきております。昨年度もそれに従って、増加をしているところです。需給に対してどういう領域が足りないかということでございますけれども、大きく言えば、電気系、情報系の専門の方が、新卒も含めて足りないということがございますが、ここは関係の大学、あるいは経験者採用の枠組みの中で、そういう専門性を持った方に関してお声がけをして、来ていただくような努力を続けているところであります。
ニーズ、シーズが整ったところでイノベーションが起こるという、そういう活動を続けていくことの重要性、まさにおっしゃられるとおりだと思います。このあたりは、完全に予見ができる世界かと言われればそうではない。PoC(プルーフ・オブ・コンセプト)という言葉もありますけれども、実際に試して、その結果を、市場の様子を見ながら、どういう点がこれは改良する必要があるか、そのためにはどんな技術が必要か、というところを常に見返して必要な手を打ちながら前に進んでいくという試みが必要かと考えております。そのためにも、技術に関してはある程度幅広に棚に用意しておき、それに応じてニーズが発生した時にタイムリーにその技術を投入できるという仕組みが大事かと考えております。以上ですけれども、もしお答えできていなかった質問があれば御質問いただければと思います。
【高橋委員】 私からも良いでしょうか、1つ教えていただきたいのですが、大学との連携、特に大学院生の受け入れとか、JAXAの研究者が客員あるいは兼任で、外の大学に行くような試みというのはされていますでしょうか。学生を受け入れて、修士論文を作るとか博士論文を作るという行為は研究推進の上で極めて有効だと思うのですけれども、その辺のお考えを教えてください。
【稲場理事(JAXA)】 御質問ありがとうございます。連携大学院制度、あるいは、学生様の受け入れ制度というものがございます。結構な数の、そういった取組をしております。
【高橋委員】 ありがとうございます。非常に良い話を聞けました。
【山崎部会長】 闊達な御議論ありがとうございました。では次の、将来宇宙輸送技術についての議論に移りたいと思います。まず文部科学省、JAXA及びSLAから御説明をお願いいたします。
【木元補佐(宇宙開発利用課)】 文部科学省から、資料104-3-4で手短に御説明いたします。
「将来宇宙輸送技術獲得に向けた取組」についてということで、まずめくっていただいて3ページの方に、「革新的将来宇宙輸送システムロードマップ」というものがございます。これはH3の開発が大詰めになっていた2020年11月から約1年半にわたって17回の委員会を開きまして策定したものです。目的としては、H3の後、将来的に輸送ビジネスも視野に入れた2040年代ぐらいまでを見据えた宇宙輸送システムというものの姿を見極めて作り上げて、そこに向かって、どのような開発を進めていくべきなのかということの議論をしたものです。特徴的なのは、ここにあります青い線と赤い線です。基幹ロケット発展型宇宙輸送システム、これは今のH3の後を受けてのプロジェクトですとか、国際協力のミッションですとか、そういったものに進むための、機能の高いロケットであります。そしてもう1つ赤い方が、もっとビジネス寄りの、民間企業による、また別なエリアのビジネスに向かって使われる輸送システムの開発ということで、こういった形の二本立てで進めるのが良いだろうというのが委員会の結論でございました。
これが令和4年の話でして、それに続いて令和5年には宇宙基本計画が作られまして、それの技術面、宇宙活動を自前で技術活用するにはどういった技術が必要なのかといったことをまとめたものが「宇宙技術戦略」でございます。これは衛星、宇宙科学・探査、宇宙輸送、それから分野共通技術の4つの分野がありまして、ここに宇宙輸送も分野として入っております。これについては令和6年、令和7年と、過去2年にわたって2回の改定が行われまして、その時の国内外の最新の技術開発動向を踏まえて、ローリングと言っていますが、最新化を進めて充実化を深めたところであります。
7ページ目です。これをベースに、民間企業・大学等による先端技術開発、技術実証、商業化、これを支援する目的で、宇宙戦略基金というのが設置されました。これについてはすでに御案内済みですが、総額1兆円規模の支援を行うことを目指すとともに、民間投資や宇宙実証の加速、地域やスタートアップ等の国際競争力につながる特色ある技術の獲得・活用や産業の集積等の観点からスタートアップを含む民間企業や大学等の技術開発への支援を強化・加速するものです。これが第3期まで進んできておりまして、令和5年度から令和7年度の補正予算で、今のところ8,000億円まで進められているところでございます。
後ろの方に各テーマの採択事業者のリストが付いておりますが、必ずしも宇宙専門の企業ばかりではなく、非宇宙の企業も入ってきているところでございます。
続いて15ページです。もう1つ宇宙輸送としては、支援プログラムとしてSBIR制度によるスタートアップの新技術の社会実装の推進ということで、SBIR制度のフェーズ3というものがございます。これはフィージビリスタディとか、実用化開発支援といったフェーズ1・フェーズ2に続いて、いわゆる死の谷と言われる実用化に向けての一番難しいところである技術実証などを支援する目的としてフェーズ3として実施しているものです。
16ページです。文科省としては、内閣府の予算の中から、556億円を措置していただきまして、輸送としては350億円、それからデブリ対策としても206億円を割り当てて支援しております。
17ページです。輸送につきましては、最初の採択事業者として、ここにあります4つの企業を採択して、2回のステージゲートを経て、2社にまで絞り込みが行われたというところでございます。以上です。
【稲場理事(JAXA)】 それでは、再びJAXAの稲場でございますけれども、JAXAの輸送系に関しての基盤技術の進め方、現状を御報告します。
次、お願いいたします。次世代の、今、木元補佐から御紹介ありましたとおり、次世代の宇宙輸送系、この競争力の獲得のための基盤的な研究開発をしているということになります。
3ページお願いします。進め方は2つ目のポチですけれども、新しい技術のブレイクスルーを狙う、それから技術のアイデアを広く募るということで、こちらも非宇宙企業からも情報をいただくということで、RFI、それに対応したRFPということでオープンイノベーションを活用してございます。得られた知見というのは、次期基幹ロケットのみならず、H3の高度化、それから民間の事業者が実施される独自の輸送系の開発、これに技術、人材基盤の育成という観点でも貢献させていただきたいという心積もりでございます。
次の4ページはその研究開発の基本的な考え方でございますが、これも宇宙技術戦略に基づいて活動をしてございます。今後はやはり多様かつ大量のペイロード輸送というのが世界的に見込まれますので、下の3つの四角にある「輸送能力の強化」、「打上げの高頻度化」、それから重要なのが「ライフサイクルコストの低減」というところが重要と考えております。
次の5ページですけれど、申し上げたとおり、多様化していく輸送系は、現状の使い切りから、再使用型、さらに有人輸送というものもございますけれども、これに広く資するような技術開発の項目として、御覧いただくような絵で、打上げフェーズは緑のところですけれども、やはり軽量化・低コスト化の技術、それから紫のところは、我々まだ持っておりませんが帰還・再使用ということで、こちらは高い高度からピンポイントに降りてくる技術、さらにブルーのところでは、降りてきた機体を再整備して次の打上げに備えるという、そういう整備、モニタリングのような技術がキーワードだと考えています。
6ページは、今申し上げました項目ですけれども、具体的に行っている研究の内容について書いてございます。脚の技術、それから洋上回収、アディティブ・マニュファクチャリングを利用したエンジン、あるいはモニタリング技術と、こんなところが具体例です。
次7ページですけれども、有人輸送ということも政策的な議論が開始されていることを承知しています。JAXAのポジションとしては、今の宇宙基本計画にございます、民間様が主体的に行う有人輸送に関して、JAXAは次期基幹ロケットの研究開発と連携する形での共通技術を提供し、民間の活動を促進させていただくと、そういう基本的なポジションで研究活動をしてございます。四角に書いてあるようなところはそんな内容でございます。
次8ページです。システムレベル実証というのはやはり輸送系では大事でございまして、再使用ではRV-X、それからCALLISTOという国際協力の枠組みを利用した取組をしてございます。RV-Xに関しましては、昨年の末に飛行試験を取り行うべく準備をいたしましたけれど、一部、地上系と機体を結ぶクイック・ディスコネクト・コネクタに課題が発見されました。今、原因究明とその対策をきちんとやっているところでございます。準備ができましたらまた御案内差し上げたいと思っております。御心配をおかけして恐縮でございます。
それから9ページ目でございますが、こちらはCALLISTOと呼ばれる国際協力の再使用プロジェクトの先に、我々が何を行うべきかというところを書いてございます。CALLISTOでは高度15km、それから速度ではマッハ1弱のところの、そういう領域での地上への帰還技術を確かめるわけですけれども、実用を考えますと、もっと速度の高い領域である極超音速、こういう環境の中からのピンポイントの着陸というものが必要になりますので、次はやはりこれを本格的にやる必要があると考えております。10ページはその詳細でございます。
11ページでございますけれども、これが今御説明したような私どもの全ての研究項目の一覧でございます。これがどんな考え方に従って行われているかということを次の12ページで御紹介します。基本は左下にございます。何度か御説明しているかと思いますけれども、座標軸が2つございまして、「技術の難度」と、それから縦軸が「マーケットの見通し」ということです。マーケットの見通しがあるものに関しては、ピンクのところでございますけれども、民間様主体でやっていただきます。一方、技術難度の高いもの、マーケットがまだ見えていない技術については、これはJAXA主体で研究開発をして、それがいろいろな形態の輸送系につながっていくと、そういう基本的な考え方でございます。
それから13ページは、申し上げました民間との研究開発の役割分担というのが大事でございますので、その意思疎通を図るために3つ書いてございますけれど、ワークショップを頻度高く開催して対応させていただいている話です。それから先ほど申しました、研究開発の課題決定、取組に関してはRFI、RFPの形でオープンイノベーションをさせていただいております。それから3番目ですけれど、民間の事業者様では、単独では整備できないようなエンジンの燃焼設備のようなものは国として整備する必要があるということで、角田宇宙センターに官民共創型宇宙輸送システム研究開発センターを今、製造、整備しているところで、今年の夏前には、御利用いただけるところでございます。あと14、15、16ページは繰り返しになりますので、私の説明は以上とさせていただきます。
【稲谷理事(SLA)】 SLAの稲谷と申します。今日は民間の立場100%でお話しさせていただきます。2021年、2022年の頃、先ほどお話にありましたロードマップ検討会というのがありましたが、我々はそれを受けて、民間の皆さんと一緒に活動してまいりました。その経過と現在までに至る民間の活動の状況、それから、ロードマップ検討会の取りまとめで2040年のゴール設定というのがありましたので、それに向けてどこまでのことができて、どれができていないのか、できるようにするためにはどういう課題があるか、そういうことについて資料を作らせていただきました。
中身に入ります。資料104-3-6、コンテンツとしてはスライドの3枚目、先ほどの来歴を少しおさらいし、可能な限り全体を俯瞰して御理解いただくような絵を作りましたので御覧ください。その上で先ほど申し上げましたように、民間が主役になってやるということが、いろいろなスタートアップの皆さん、レガシーの皆さんの独自活動がどういうことになっていくか、あるいはどういうことを目指すかというようなことについてお話をした後で、提言という形で御説明させていただきます。
まず1-1の絵は、上から下に時間が流れていますけれども、H3ロケットはそろそろ完成しますが、2019年、2020年あたりから議論が始まりまして、その動きを取り上げていただいて、文科省の中に「革新宇宙輸送ロードマップ」というのを検討会で作っていただきました。そこでの取りまとめというのは、先ほど文科省から報告があった、2040年に向けて人を運ぶことも含めた大きなマーケットを想定して、そこからバックキャストしてこれからやることを考えるというものです。その後、宇宙基本計画、これは内閣府ですけれども、宇宙基本計画の改定などの際に、こういう未来のビジョンを取り上げていただいたところです。その後、政府の総合経済対策、財政運営の方針というところでも、未来志向でイノベーションを起こす、そういうことの結果として、国からの資金支援ということが、青で示したところで、SBIR、宇宙戦略基金が創設され運用が始まっています。現在においては、さらにその上で日本の成長戦略の重点化項目ということが議論されています。
スライドの4枚目です。ロードマップ検討会の取りまとめの中身というのは、そこでも明示的に書かれていますが、国として基幹ロケットを発展させていくという大きな流れが1本と、もう1つの民間主導で宇宙輸送を革新していくという、その2つの流れで、それぞれが連携しながら、あるいは切磋琢磨しながら進めていくということでした。我々、その後者の民間主導の革新をどうやって動かすかということについて、いろいろな民間の皆さんと、あるいはSLAの独自活動として、いろいろな声を集めたり、意見聴取したりして活動しております。あるいはそのための環境整備として、国からの支援を引き出す、基金のテーマ設定などのところにも、民間の意見を取り入れた形でお願いをするということで活動をしてまいりました。
スライドの5枚目、2ポツですが、前提の図式はこうだということで絵を書いています。横軸が時間の流れです。2040年のロードマップ検討会取りまとめのゴールは先ほどのもので、輸送が発展し、往還飛行、再使用、有人飛行など実現をして、究極には航空機のような安全な運用できる宇宙輸送を作る、それがゴール設定で、それに向けて活動を進めていくものだと理解しています。下の段は、今民間の皆さんがどういう計画を動かされていて、2025年からさらにその次という形で段階的に発展させていく、それから有人輸送・往還飛行については、今、国がISSでやっていることを民間のLEO活動にシフトしていくということで、それのための輸送なども、この流れに沿うものであると考えております。
現在はここに、SBIR、宇宙戦略基金、成長戦略というところで次の施策をどうするかという段階に差し掛かっていると考えておりまして、1つは2030年にKPI30の目標ということで、衛星打上げサービスを日本から30件ということが、宇宙技術戦略の目標に設定されていますが、その次にどういう目標設定にするか、それによっていかに2040年に近づくかという視点で、今日の議論をさせて下さい。
スライド6枚目、3ポツです。ベンチマークという意味で、世界の状況がどうなっているかをきちんと見ましょうということで、補足資料1にもう少し詳細に書いておりますけれども、世界の民間ロケットベンチャー、スペースX、ブルーオリジンの2つのジャイアンツはもちろん、その次のセカンドレイヤーの民間事業者でも、結構いろいろな活動がされています。中国でございますがここでも先端的な開発がかなりされています。2030年の状況を考えるのであれば、そういうことをベンチマークとして日本の目標をどの辺に置くか、日本のポジショニングはどうするか、そういう議論をするべきだと思います。
スライド7枚目、4-1です。技術戦略で言うような技術のことが、列挙されておりますが、SLAとしても皆さんの要望を聞いて、こういうことに取り組みたい、あるいは、こういうことを重点にすべきだ、ということを取りまとめています。これは一昨年の部会でも御紹介させていただいたことで、これの結果として、一部は戦略基金のテーマ設定に反映していただき、大変心強く思っておりますが、まだ、民間側の実行の体制が十分かという課題はあると思います。
スライド8枚目、4-2は、その実績として戦略基金で採択されたテーマ設定をされた課題には、輸送分野のものがあり、それをマップにして、必要技術、これは先ほど前のページに書いたSLA提案の技術課題、それから技術戦略で提示されている技術のことで、この分野ごとにばらしてみて、何がすでにテーマ設定がなされて、このあたりはまだテーマ設定はなされていない、といったように見ていただければと思います。
それらを踏まえて9枚目、5ポツですが、ロードマップ検討会の取りまとめが2022年に出されましたが、それから現在までに、できたこととできていないことの仕分けを我々なりにしてみました。これまでにできたことは、民間のスタートアップ含め、実行者の皆さんが活動をされています。10社から20社程度のロケットエンジンを開発したり、輸送機を開発したり、飛ばしたりする方々がおられるという状況が作られました。国の支援策も、SBIR、宇宙戦略基金も実行されつつあります。SBIRも民間ロケット支援という意味ではあと2年です。それから戦略基金は1期、2期、3期で、今この次と来ております。宇宙活動法についても、衛星の打上げ管理のルールができています。それからKPI30という、大変良い目標を設定していただいて、これはこれで大変良い具体的支援テーマが実行されているのですが、下段に書いたまだ「途上」ということでは、2040年のゴールに向けてという観点では、まだまだできていないことは多いです。現に、一部の民間ロケット事業者では衛星打上げサービスをするということで活動されていますが、まだ、日本の民間ロケットで衛星を打ち上げたという実績は、残念ながらありません。現実に日本の衛星スタートアップの皆さんは海外で打ち上げることとなっていて、KPI 30目標というのはその解消に向けた施策の実現のために設定されたと理解しておりますし、その目標は大変良い目標だと思います。ただしそれが本当に実現するのかというところの施策が、どれほど実行されているかというと、まだまだ不十分なことも多いと思います。その他、より未来志向のこと、往還飛行、再使用、有人輸送などに向けた支援テーマというのが、特に有人とか往還という新しい飛ばし方や輸送システムに向けた安全基準や制度整備といった課題を「できていないこと」として整理しています。
それらの上で、10枚目6ポツですが、我々のネットワークで、民間事業者の方々、SLA会員の皆さん、それからSLAが開くシンポジウムなどで議論し、現状認識や課題を抽出した結果として、11枚目の7ポツに、これは今日一番申し上げたい結論ですが、3つの提言をさせていただきたいと思います。
1つはKPI30の次に、先ほど時間軸の絵がありましたが2030年に向けた次の目標として、未来に向かう目標設定をしていただきたいということが1点目です。
2つ目は、先ほどから議論が出ていますが、民間の方々が活躍できる状況をどう作るかという観点で、資金的な支援の制度はいろいろ整備されるわけですけれども、技術の支援や人材の支援がなかなか現実には実行されていない、あるいは、民間にお金を支援してそれで成果を出せということだけでは、なかなかレベルの高いことはできないだろうという危惧と成果創出が滞るということになってはいけないと思います。JAXAのレガシーなど、これまでに国の計画で蓄積された成果や知財活用が必須であり、官民相互間の人材の能動的流動や技術移転を促進する施策の具体化が必須の要件であると思っております。
3つ目は、これも先ほど議論されましたが、実行インフラということで、研究開発のためのインフラ、これは風洞など試験設備や、エンジン燃焼試験設備などが必要です。30年代を目指して考えると、より規模の大きい、より高度なものが必要になりますので、この実現にぜひ思いを至らせていただきたいということ、及び今後は打上げ・帰還ということが行われますが、それが日本でKPI30の目標のように単に打ち上げるということを超えたようなことができるインフラをどうやって整備していくか、こういうことにもぜひ思いを至らせたい、ということが重要だと考えております。補足資料がありますが見ていただければと思います。
SLAとしましては、これら提言の実現に向けた活動が不可欠と考えております。以上です。
【山崎部会長】 どうもありがとうございます。時間が過ぎてしまいましたけれども、委員の皆様で時間に制約がある方がいらっしゃいましたら、御連絡ください。では、先ほどと同じように皆様からひととおり意見を伺った後に、回答の方を説明者から伺いたいと思います。それでは自由討議に移りたいと思います。いかがでしょうか。はい、吉井委員、お願いします。
【吉井委員】 非常に、長期的な観点では、チャレンジングで我が国のためになる方向性かなと思います。一方で、今現在を含めて、過去も、日本の基幹ロケットが海外で全然売れていないという現実があります。なので、まず優先順位としては、基幹ロケットと、それからSBIRで残っている数社、これをしっかり立ち上げて、まだまだこれら政府の支援が必要な分野だと思いますのでそこを優先していただき、その上で、さらにそこから先の2030年以降の開発ということで、明確にその優先順位をつけていくことが重要かと思います。そうしないと、総花的になって、結局過去20年のように、技術は世界で評価されるけれどもマーケットでは売れないというハードウェアを作ってしまうと思います。
【山崎部会長】 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。秋山委員、お願いします。
【秋山委員】 最後の稲谷先生の御説明の、6番目と7番目の提言のところで、KPI30の次の目標設定というところ、ぜひこれをどのようになっていくのかというところを知りたいと思っておりまして、年間30回の打上げは、現状からするともちろん高頻度ですけれども、それができてさらにその次を目指すとなった時に、具体的にそれをどう進めるのかというところを、できるだけ具体的に示していただけないかと思っておりまして、30回の打上げができるようになったとして、では次何を打上げ、何のために宇宙輸送のサービスをするのかというところが具体的でないと、数を増やす意味がよく分からないということになると思っていて、海外の需要が取れるというようなこともこれまであったと思いますけれども、稲谷先生のおっしゃった、セカンドレイヤーと言われるような企業もすでにある中で、30回を超えてたくさん打上げができたら、もっといろんなコンステレーションが取れると単純には言えないと思います。日本の、例えば内需を満たす衛星コンステレーションのような目標があるとか、そういった具体例があるならば、ぜひ伺いたいなと思います。この目標設定のところについて、お示しいただけるのを非常に期待しておりますという、コメントに近いですけれども、以上です。
【山崎部会長】 他いかがでしょうか。では私からコメントですけれども、やはりKPI30として、まずは日本国内の政府需要、それから民間需要に応じ、きちんと年間30回打ち上げると、そしてその先の目標設定をするということに賛同いたします。これをどう機能させるのかというのが議論だと思いますので、この点、文科省かJAXAか、御意見あったらお願いできればと思います。
またニーズとシーズ、先ほどの議論でもありましたけれども、やはり輸送に関しても同じで、輸送系があるからニーズが広がってくる面と、ニーズがあるから輸送系の業務がある面があるのですが、その中で、輸送系だけではなくて、分野横断でニーズというものを広く捉える必要があると思っています。SLAの資料にもありましたが、国際宇宙ステーションや民間宇宙ステーションなどの中では、今後、大型回収してくるというニーズも出てきています。そうした分野横断のニーズが将来、有人宇宙輸送を目指す時の、中間の出口になるのではないかとも思っています。特に有人宇宙輸送は非常に先が長いプロジェクトです。いろいろ支援策があると言っても、今まで培ってきた技術が、例えばSBIR等に採択されなかった企業が培ってきた技術などが散逸してしまっているという現状もあります。これをどう捉えるかというのが大切で、大きな出口だけではない、要所要所の出口を設けるということが非常に大切になってきますので、このあたりの細かな出口戦略というものも議論していきたいと思います。
またそれだけではなくて大型建造物などの議論も先ほどの共通基盤でありましたけれども、今後新たに出てくるであろうニーズをどう捉えているのかということも踏まえた上でのニーズとシーズのマッチングを考えていく必要があるのではと思っております。
他に御意見はいかがでしょうか、大貫委員お願いします。
【大貫委員】 多分、どこかで検討はされていると思うのですけれども、法整備もかなり時間がかかるところだと思いますので、法整備に関してこの段階でこういったものが整備されていないと、技術が開発されても実行できないということになりますので、開発だけではなくて、運用が持続可能な、しかもプレゼンスを上げていく上で対応できるような、オペレーション全体に合致するような法整備というのも、その場その場で可視化ができている状況だと、もう少し分かりやすいかなというのが、気になるところとしてはあります。
【山崎部会長】 はい、ありがとうございます。久保田委員お願いします。
【久保田部会長代理】 久保田です。コメントになりますが、ロードマップに2本の柱があって、輸送系について言うと、大きく重たいものを持っていきたいということと、頻繁に打ち上げたいという要求と、もう1つはコストを下げたいということと、その3つをまとめたものになっているのかなと思います。特に基幹ロケット発展型と高軌道往還飛行型というものが2本の柱ですけれども、これらが先で連携するというのは、とても重要になっていくのかなと見ておりました。ただ部会長の話のとおり、ユーザーを見据えて、あと海外との位置付けというのはすごく重要になってくるので、そこを見計らいながらぜひ日本の柱を作っていただければと思います。以上です。
【山崎部会長】 ありがとうございます。では、今までの御意見を踏まえて、説明者からの回答をお願いできますでしょうか。
【梅原課長(事務局)】 政府の部分が多かったように思いますので、まず事務局から回答します。まず吉井委員のコメントにございました基幹ロケット、SBIRというところ、まさにおっしゃるとおりだと思います。今、日本成長戦略会議のワーキンググループでやっているようなところが、まさにそういったところだと思っておりまして、とにかく世界のマーケットを取れる事業者をしっかり育てていくというところが、今、政府で最も優先順位の高いことだと認識しておりますので、政府一丸となってやる部分についてはそこにフォーカスした形でやっていき、先ほど30機の話もありましたけれど、30機を打ち上げるためにもまだ射場の問題や製造基盤の問題など、様々にクリアすべき問題がございます。ですので、そこは、文部科学省の範疇を超えるところもございますので、そういったところを政府一丸でやっていくと、方や将来の輸送システムは、なかなか経済産業省や国土交通省だと手がつかないところではございますので、そこはしっかり文部科学省として、基礎研究の部分から実証の部分まではしっかり技術として持っておくということは、我々省庁の責任として実施させていただきたいと思っております。それらの議論につきましては、成長戦略のロードマップの中で考えていきたいと思っておりますので、適宜御報告をさせていただきたいと思いますし、山崎部会長にはその議論に御参加いただいているところですので、こうした文科省でしかできないようなところは、ぜひこの場で議論させていただけると大変ありがたいと思っております。
【稲場理事(JAXA)】 続きましてJAXAからもよろしいでしょうか。たくさんの重要な御示唆をいただきました。政策の今後の御指導も賜りながら、しっかりと研究開発を進めてまいりたいと思います。ありがとうございました。
【稲谷理事(SLA)】 いくつかSLAからも申し上げたいと思いますけれども、吉井委員の件、基幹ロケットとSBIRの支援を優先的にするべきだというのはそのとおりだと思います。今日のお題はロードマップ検討会の取りまとめについて、2040年のゴールに向かってどういう状況にあるのか?ということについてお話をすることでした。現状ではまだ足りていないことも多いので、順番でやるのかパラレルでやるのかというのはあると思いますけれども、後段の民間主導の未来志向の活動がとても大事なのでぜひ支援していただきたいこと、それが1点目です。
それから秋山委員のKPI30の次の目標をどうするのかという件、民間を代表して要望としてコメントをさせていただけるとすると、KPI30は現状の使い切りロケットで良いから年間30件の衛星打上げをせよということなので、より未来に向かった技術、あるいは往還飛行、再使用、有人とか、質的に違うことを始めよという目標設定にはなっていないのだと思います。したがって、その次の目標設定は、これらの質的に違うことが始められるようなものにしていただきたい、と考えるところです。これは我々から特に申し上げたいところです。
それから山崎部会長からの、ポストISSの往還輸送から有人輸送への発展はとても大事な点で、実現性も高いと思います。一方で先ほど申しました本格的にロケット全体を再使用しようという話も、それに勝るくらい2040年のゴールにとって大事なことです。そこをうまく両者の活動の連続性を意識して、スタートアップの方々も含めて、バラバラではなくて全体として未来のゴールに向けて進むような流れを作っていくことや、皆がその大きな方向を共有して前に進めることに、我々も貢献していきたいと思っています。
大貫委員から制度整備の議論がありましたが、今宇宙活動法の改正が進行中です。この議論の途中で、「もうちょっと未来的なものも、この活動に入れるべきかどうか」という議論が昨年来ありました。そこで我々はぜひ往還飛行とか有人のルール作りをしてほしい旨お願いしたのですが、国として資源を投じてやるのはまだ早いということでしたので、今は「SLAの独自活動として勉強します」という形で活動をしています。実はこれはもう成果が出ていまして、皆さんに御覧いただけると思っています。その上で、JAXAの基金部の皆さんとの共同調査研究をSLAと連携して、有人飛行についての環境整備のためのスタディを始めています。この活動には有人輸送など未来志向のことをやるためのプラットフォームをどう作るか、あるいは有人輸送ビジネスが成り立つための状況づくりのようなことをJAXAとSLAでスタディする、というようなことも始めています。そういう形で、2040年のゴールに向けて、我々の自由な立場で今できていないことを先取りしてやっています。すなわち、まだ国として取り組むには尚早であるようなことを、民間の皆さんとSLAが先まわりして活動しているということを御理解いただければ大変ありがたいと思います。以上です。
【山崎部会長】 どうもありがとうございました。貴重な議論ができたと思います。先ほど事務局の方から御説明ありましたように、次回以降、科学探査、衛星、軌道上サービス、横断的事項について議論を深めていければと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
では、本日の部会は終了となります。最後に事務局から、連絡事項をお願いいたします。
【田渕企画官(事務局)】 本日もありがとうございました。本日の会議資料については、文部科学省のホームページにすでに掲載しております。また、議事録については、委員の皆様に御確認いただいた後、文部科学省のホームページに後日、掲載させていただきます。次回の宇宙開発利用部会につきましては、今後調整ののちお知らせいたします。事務連絡は以上となります。
【山崎部会長】 どうもありがとうございました。以上をもちまして閉会といたします。本日も長時間にわたり、誠にありがとうございました。
(了)
研究開発局宇宙開発利用課