宇宙開発利用部会(第52回) 議事録

1.日時

令和元年12月10日(火曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 15階特別会議室

3.議題

  1. 温室効果ガス・水循環観測技術衛星(GOSAT-GW)プロジェクト移行審査の結果について
  2. 文部科学省・JAXAにおける衛星開発・運用状況
  3. H3ロケットの開発状況について
  4. 米国提案による国際宇宙探査への日本の参画方針
  5. その他

4.出席者

委員

部会長          白石 隆
部会長代理      青木 節子
臨時委員        井川 陽次郎
臨時委員        大西 卓哉
臨時委員        芝井 広
臨時委員        白井 恭一
臨時委員        鈴木 健吾
臨時委員        高薮 縁
臨時委員        鶴岡 路人
臨時委員        永原 裕子
専門委員        藤井 良一
臨時委員        松尾 亜紀子
臨時委員        吉田 和哉
臨時委員        米本 浩一

文部科学省

研究開発局宇宙開発利用課長           藤吉 尚之
研究開発局宇宙利用推進室長           倉田 佳奈江
研究開発局宇宙開発利用課企画官        原田 大地
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐       渡邊 真人
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐       岡屋 俊一

(説明者)
環境省
  脱炭素化イノベーション研究室
    室長補佐                     磯野 賀瑞夫
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
    理事                        今井 良一
    理事                        布野 泰広
    理事補佐                     舘 和夫
 第一宇宙技術部門GOSAT-GWプロジェクトチーム
    プロジェクトマネージャ              小島 寧
 第一宇宙技術部門衛星システム開発統括    寺田 弘慈
 研究開発部門 研究推進部
    部長                        稲場 典康
 宇宙輸送技術部門 H3プロジェクトチーム
    プロジェクトマネージャ             岡田 匡史

5.議事録

【白石部会長】 定刻になりましたので、宇宙開発利用部会(第52回)会合を開催したいと思います。
まず、事務局から今日の会議についての確認をお願いします。

【事務局(原田企画官)】 本日は、宇宙開発利用部会にご所属いただいている17名の委員の先生方のうち14名の先生方にご出席をいただいております。但し、井川委員と鶴岡委員は少しおくれてご出席をいただく予定となっております。運営規則に定めます定足数の要件は満足しております。したがいまして、本日の会議が成立していることをご報告いたします。
次に、本日の資料でございますが、お手元の議事次第の四ポツのとおりでございます。今回からペーパーレス会議となりますので、各委員の先生方に配付させていただいておりますタブレットから資料へのアクセスをお願いいたします。何か不都合等ございましたら、気兼ねなく事務局のほうまでお申しつけいただければと思います。
本日の議題は四つございまして、一つ目が、温室効果ガス・水循環観測技術衛星(GOSAT-GW)プロジェクト移行審査の結果についてです。こちらは審議事項となっております。その以外の「文科省・JAXAにおける衛星開発・運用状況」、「H3ロケットの開発状況」、及び「米国提案による国際宇宙探査への日本の参画方針」につきましては、全て報告事項とさせていただいております。
事務連絡としては以上でございます。

【白石部会長】 どうもありがとうございます。

1.温室効果ガス・水循環観測技術衛星(GOSAT-GW)プロジェクト移行審査の結果について

【白石部会長】 それでは、最初の議題は、温室効果ガス・水循環観測技術衛星(GOSAT-GW)プロジェクト移行審査の結果についてです。JAXAの中で本技術衛星のプロジェクト移行審査が行われましたので、その審査結果をJAXAから説明していただきます。また環境省の方も同席しておられます。それでは、資料の説明をよろしくお願いします。

【JAXA(今井)】 JAXAで第一宇宙技術部門の部門長をしています今井でございます。本日は、私どものほうで行いました温室効果ガス・水循環観測技術衛星(GOSAT-GW)のプロジェクト移行に対します審査結果についてご報告を申し上げます。報告は、本プロジェクトのプロジェクトマネージャを務めます小島のほうからさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。

【JAXA(小島)】 資料52-1に基づき説明を行った。

【白石部会長】 どうもありがとうございます。
それでは、自由にご意見、質問等、どなたからでもどうぞ。はい、青木部会長代理どうぞ。

【青木部会長代理】 ありがとうございます。18ページのところになりますが、抜粋で主要なリスクの記載があります。一般的に衛星開発などについて長納期部品の問題というのがあるのではないかと思います。特に海外から調達する場合など、技術開発のおくれによるリスクなどがあると思うのです。ここで抜粋にはございませんが、そういう場合についての対処をどういうふうにお考えでいらっしゃるのかということについて教えていただけないでしょうか。

【JAXA(小島)】 回答いたします。
まず、海外ベンダーに対しては、マイルストーンを含むスケジュールの提出、及び計画管理を義務づけまして、定期的な進捗報告での業務管理を徹底するといったような方針です。
次に、開発遅延等のリスク管理としましては、米国、欧州にはプライムメーカーが海外調達エンジニアを配置しまして、逐次ベンダーと直接コンタクトをとりまして、QCD――品質、コスト、納期に関する情報収集をタイムリーに行っているところです。
さらに、プライムメーカーが契約する技術コンサルタントが米国にいますが、これを活用することで、米国輸出ライセンスの制約下においても適切に必要なコミュニケーションがとれるように、技術情報の入手における透明性を確保しております。
最後に、納期遅延、品質問題が発生することも想定しておりまして、そういう場合については、メーカーの海外調達エンジニアが即時現地に赴いて協議、必要に応じてはベンダーに駐在する等、正確な実態の把握と、あとはJAXAを含めたタイムリーな情報伝達を行うことで、スピーディーな課題解決を行うような方針を立てております。

【青木部会長代理】 ありがとうございます。

【白石部会長】 はい、高薮委員どうぞ。

【高薮委員】 AMSR3についてですね。AMSR2は低周波のチャネルを持っている非常にユニークなマイクロ波で、世界でも地表面の情報に対して非常に重要な観測として利用されているということは聞いておりますので、後継機が順調にこのように審査会を通ったということで安心しております。一つ伺いたいことは、設計寿命が7年以上とありますが、ミッション期間があまり明示的に書いていないと思われます。これは何年ということを決められていらっしゃいますでしょうか。

【JAXA(小島)】 7年になります。

【高薮委員】 ミッション期間も7年ということになりますか?

【JAXA(小島)】 ええ、そうですね。正常運用期間としては7年ですので。

【高薮委員】 そうしますと、ミッションとして成功するのは7年観測していけばということになりますね。

【JAXA(小島)】 はい、そのとおりです。

【高薮委員】 ありがとうございます。
それから、低周波はもちろん、今度高周波を積むということで、いろいろ積雪など大事な要素がとれるようになったということは非常に良いことだと理解しておりますが、10ページの「30センチ程度の不確実性」の「3分の1から2分の1の改善効果」という数値は、どういう計算から出てきていますでしょうか。

【JAXA(小島)】 これは30センチ程度の不確実性ということですので、不確実性が3分の1、要は10センチから20センチぐらいになるというところになります。これはいろいろなサイエンティストのシミュレーションとモデルから言われているものでございます。

【高薮委員】 そうですね。10センチ程度は貢献できるだろうということで、ほかにも高周波チャネル測器搭載の衛星はあると思うので、おそらくほかの衛星との相互利用によってというところになるのかなとは思いますが、そのことが書いてあるわけですね。ほかのいろいろな衛星を組み合わせることによって、結果としてこういうことが期待できると捉えているのですが、それでよろしいでしょうか。

【JAXA(小島)】 はい。そのご認識で正しいです。やはり軌道の関係もありますので、AMSR3と同様なマイクロ波放射計を搭載している衛星とのコラボレーションで、様々なデータを相互利用、活用して、最終的にこのような成果を得るという考え方でございます。

【高薮委員】 そうですね。SSMIなどが徐々に打ち切られていく中、世界として、このようなマイクロ波観測の継続性は、気候変動問題に対して非常に重要な結果をもたらすと思います。つまり世界的にも大きな責任があると思います。さらにそのあたりについて、複数の衛星が一緒に使われなければならないところと、これだけで達成できるところということについても、はっきり書きわけられると、よりわかりやすいかなと思いました。ありがとうございます。

【白石部会長】 はい、吉田委員どうぞ。

【吉田委員】 一つ技術的なことを教えてください。今の10ページについて、左側の図ですが、今回、高周波のチャンネルを加えることによって、高緯度の積雪を含む降水データの把握ということが特徴として挙げられております。これが私にはにわかには理解できなかったのですが、これまでの衛星も今回の衛星も太陽同期の極軌道で全球をスキャンしていくものですので、今まで極地方、高緯度地方のデータがとりにくかった理由は、単に軌道の問題ではないと思えます。センサの違いによって今までは高緯度地方の降雪がうまく観測できていなかったという理由を教えていただきたいです。

【JAXA(舘)】 お答えします。これは周波数が高いチャンネルを持った衛星が、GPM搭載のGMIしかなかったものですから、今回そういう高周波を持っているものが新たにできるということが、このAMSR3ということです。

【吉田委員】 今まで高周波のチャンネルを持っていたものは極軌道ではなかったということですか?

【JAXA(舘)】 極軌道でなくて、GMIは軌道傾斜角60度までしかなかったということです。

【吉田委員】 そういうことですね。はい、わかりました。どうもありがとうございます。

【白石部会長】 よろしいですか。はい。どうぞ、鈴木委員。

【鈴木委員】 AMSR2とAMSR3でバンド数の測定できる数が増えたということですね。直感的には増やせるだけ増やしたらいいと思うのですが、おそらくいろいろな難しさがあってサーチ数に限界があったのではないかと思います。今回どのような理由でバンド数を増やすことができたのでしょうか。
加えてもう一つ質問があります。ページ14のエクストラサクセスのところでミッション期間中に新規プロダクトが実利用で社会実装されるというところは、私としても期待しているところですが、そのときに想定されるハードルは何なのか、イメージがあれば教えていただければと思います。

【JAXA(舘)】 最初に、チャンネルをたくさんつければよいと思うのですが、やはり高周波のチャンネルを使う技術はなかなか難しくて、ディテクターも含めて、今までできていなかったということです。従いまして新しい技術ができてチャンネルを加えていったというところがございます。これが1点目の答えです。
2点目は、ある種のオペレーションなどに使うとなると精度が要求されますから、その精度をきちんと保てるということがはっきりとすれば、これは実利用に使えることになると思います。

【白石部会長】 よろしいですか。芝井委員どうぞ。

【芝井委員】 4ページのスライドで質問があります。今回、高周波を追加されたということで、技術的な質問があります。おそらくJAXA内で十分審査されたと思うのですが、180、160ギガヘルツ帯のセンサをつけ加えるということですが、どの程度の技術的成熟度になっているかという点は確認されたと思います。それを知りたいということと、もう一つ、同じアンテナを使った場合に、高周波になるほど、構造物の精度を上げないといけない上、そのまま使うと地表の空間分解能が上がる筈なのですが、地表の空間分解能が上がっていないようです。そのあたりどういう検討をされたのかという点が質問です。
以上です。

【JAXA(舘)】 まず、残念ながら日本に今そういう周波数のディテクターがございません。この部分は輸入に頼らざるを得ないと思います。これは実際にアメリカのGPM衛星には載っているものですから、技術的には開発は問題ないと思います。一方で、アンテナ全体を使っているわけではなく、アンテナの一部を使っていますので、当然分解能はそこが高くなるということになります。ただし、アンテナ全体を使うとなると、そのアンテナの共鳴精度が非常に難しいので、全体を使用することはなくなりました。

【芝井委員】 一部ならば大丈夫なのですね。ありがとうございました。

【白石部会長】 よろしいですか。ほかに何かございますか。はい、永原委員どうぞ。

【永原委員】 サクセスクライテリアの設定の仕方なのですが、先ほどもご質問ありました「エクストラサクセス」について、期間中に新たなところで社会実装をされるということですね。これはJAXAの範囲、つまり、このミッション範囲の外にあるように思えるのですが、これをJAXAのサクセスクライテリアとして設定するということの考え方をご説明いただけるでしょうか。

【白石部会長】 どうぞ。

【JAXA(小島)】 社会実装はなかなか難しいところなのですが、現況機関が精度を含めて定常的に利用する状態になったら、これが達成されたといえると思いますが、使っていただく機関から、「はい。定常的に使います」という回答がなければだめで、その途中で、例えば、頻度が悪い、あるいは精度が悪いだなど、おそらくいろいろなコミュニケーションやフィードバックが必要になってくると思います。従いまして、そこに至るまでJAXAがいろいろ連携・協力していくということで、それに向けてJAXAは努力しますという点も含まれているとご理解いただければと思います。

【永原委員】 コミュニケーション以前に、そもそも新たな関係をつくる部分が必要なのではないかと思います。つまりJAXAの努力として今まで何も連携がなかったところを新たに開拓するというのであれば理解できるのですが、その結果に対してJAXAのサクセスクライテリアというと、相手に依存してしまいますので、なかなか評価も難しいと思われます。これはほんとうにこういうクライテリアでよろしいのでしょうか。

【JAXA(小島)】 少し補足しますと、途中でもいろいろビフォー・アフターでご説明したところについては、例えば、気象庁、JAFIC、極地研等とそのようなコミュニケーションをしていて、「こうなれば最終的に実装が可能だ」というビジョンを共有しながらやっていますので、今言ったような方々のところでは、ある程度ゴールが明確にはなっていると思います。ただ一方で、現在全然視野に入っていない方々の開拓については確かに問題で、どのようにAMSRのデータを広げていくかということは、やはりサイエンスコミュニティーや実利用機関、関係省庁と連携しつつ、広げていく活動を行っているところでございます。

【白石部会長】 ほかに何かございますか。
それでは、今までの議論を踏まえて、このプロジェクト移行審査結果については了承ということでよろしいでしょうか。

【各委員】 「了承」

【白石部会長】 どうもありがとうございます。それでは、了承されたということで、これから開発が順調に進むように期待しております。どうもありがとうございました。
二つ目の議題に移ります。

2.文部科学省・JAXAにおける衛星開発・運用状況

【白石部会長】 次は「文部科学省・JAXAにおける衛星開発・運用状況」についてでございます。事務局及びJAXAから資料の説明をお願いいたします。

【事務局(原田企画官)】 お手元の資料52-2をごらんください。
1ページ目を事務局のほうから簡単にご説明した後に、2ページ目以降、個別の衛星プロジェクトの開発・運用状況につきまして、JAXAのほうから説明をいたします。
1ページ目ですが、全体表を示しております。これらの衛星は、主に民生利用分野の衛星を一覧とさせていただいております。このほかJAXAプロジェクトとしては、ロケットあるいはサイエンス関係衛星、宇宙ステーション等ございますが、今回は民生分野の衛星開発の状況を示させていただいております。
左上にありますとおり、水色のバーになっているものが開発中の衛星でございまして、緑色のバーが運用中、また赤色のバーは既に運用が終了しているものです。2019年度のところに書いてあるものが現時点でございまして、点線で打ってあるところが現在「後期運用」となっているところですが、将来につきましては、なるべく長く運用していきたいという半分願望を込めて記載しているものでございます。
これらの打上げ年度につきまして、下に注記を打たせていただいておりますが、現在、宇宙基本計画の工程表の改定作業が内閣府の宇宙政策委員会で進められております。今取りまとめ案ということで、現状の計画案は宇宙政策委員会で取りまとめられたものに合わせてございます。こちらの工程表でございますが、今後、政府全体で宇宙開発戦略本部が開催され、そこでファイナライズされることとなっております。その計画に合わせたものとなっておりまして、平成30年度の工程表に少し修正を加えさせていただいているところでございます。
上から、まず、地球観測(リモートセンシング)分野でございまして、防災・災害、あるいは安全保障分野に関する衛星としては、これまで「だいち2号」の運用を継続してきておりますが、まず、来年度に先進光学衛星(ALOS-3)の打上げを控えております。また、先進レーダー衛星でございますが、こちらは打上げ年度を変更させていただいております。ALOS-4は2021年度の打上げを目指して開発を進めさせていただいております。
上から二つ目でございますが、日米協力を進めております降雨レーダーGPM/DPRにつきましては、引き続き運用を継続しております。また、先ほど説明のあったAMSR3の現状バージョンとしましてGCOM-W「しずく」でございますが、こちらも現在運用を継続しております。先ほどご了承いただきましたGOSAT-GW/AMSR3につきましては、2023年度の打上げを予定しております。
真ん中で、多波長放射計雲レーダーで「しきさい」(GCOM-C)がございますが、引き続き運用をしております。EarthCAREのCPR衛星でございますが、こちらはヨーロッパとの協力事業ということで、現在開発を進めております。こちらも平成30年度の工程表から打上げ年度変更をさせていただいております。これはヨーロッパ側の都合ということで変更しております。
下の分光計でございますが、温室効果ガス、二酸化炭素などの観測で、先ほどご了承いただいたGOSATの前型機になるGOSAT-2が現在運用中で、後継機としてGOSAT-GWを令和5年度の打上げを目指して開発を進めております。
通信技術実証関係ですと、現在、ETS-9と我々が呼んでおります「技術試験衛星9号機」につきまして、打上げ年度を変更させていただいております。これはロケットのやりくりの都合でございますが、令和4年度の打上げを目指して開発を進めさせていただいております。
データ中継衛星につきましても、現在開発を進めております。JDRSですが、光通信で地球観測衛星などのデータを中継する衛星で、こちらも昨年度の工程表から打上げ年度を変更させていただいています。
超低高度衛星として「つばめ」ですが、こちらは赤いバーになっておりまして、ミッションを終了しておりますが、次回以降の部会におきましてご報告させていただきたいと思っております。
最後の「革新的衛星技術実証プログラム」でございますが、こちらの1号機を今年の1月に打ち上げておりまして、その成果を踏まえまして2号機につなげていきたいと考えております。こちらも打上げを少し修正させていただきつつ、着実に開発を進めています。
続きまして、JAXAから説明をさせていただきます。

【白石部会長】 よろしくお願いします。

【JAXA(寺田/稲葉)】 資料52-2 2ページ以降について説明を行った。

【白石部会長】 どうもありがとうございます。
これについて何か質問等がございますか。はい、高薮委員どうぞ。

【高薮委員】 特に問題というわけではないのですが、1ページ目の文部科学省の工程表につきまして、衛星計画が最低10年はないと実用に移せない、打ち上げに移行できないということを考えますと、後ろをもう少し長く書いておいていただいたほうが、将来が見通せてよいのではないかと思った次第です。よろしくお願いします。

【白石部会長】 ほかに何か。どうぞ、藤井委員。

【藤井委員】 「つばめ」の件について、この高度で観測するということは世界的にも非常にユニークで、地球惑星科学的には非常に重要な高度だと思うのですが、高度を150キロメートル以下にさらに下げて、例えば120キロの高度等で定常的に運用することも可能なのでしょうか。

【JAXA(寺田)】 今回、最低の高度で167キロでの観測が一つ実績になっているのですが、さらに低高度になりますと、相当な大気抵抗による周回速度の減衰もあり、今回はそこまでの高度での実証できませんでした。大気抵抗がかなり多くなって、停波した後すぐに再突入してしまうぐらい厳しい環境でした。

【藤井委員】 高度167キロにはどのくらいの期間とどまることができたのですか。

【JAXA(寺田)】 7日間です。
観測ショットは撮ったのですが、ここでいうイオンエンジンで軌道を保持した状態で撮ったというところまではまだいけなかったですね。

【藤井委員】 楕円軌道で高度150kmぐらいのものはアメリカであるのですが、こういう軌道でやったという事例は世界であまりないと思うので、非常に重要な実績ではないかと思います。

【JAXA(寺田)】 ありがとうございます。

【白石部会長】 ほかに何かございますか。よろしいですか。
どうもありがとうございます。
それでは、三つ目の議題に参ります。

3.H3ロケットの開発状況について

【白石部会長】 三つ目の議題は、H3ロケットの開発状況についてです。これもJAXAから資料の説明をお願いいたします。

【JAXA(布野)】 JAXAで輸送系を担当しております布野でございます。
H3に関しましては、当部会におきまして、昨年の11月に開発状況をご報告させていただいておりますが、その後、第1段エンジンの実機型エンジンの燃焼試験の継続や固体ロケットブースターの認定モーターの燃焼試験、電気系のシステム試験、タンクとエンジンを組み合わせた厚肉タンクステージ燃焼試験等の開発試験を継続して取り組んできております。厚肉のステージ燃焼試験に関しましては、既にエンジンが2基形態の試験は完了してございまして、昨日から初めてエンジン3基形態の厚肉ステージ燃焼試験を開始したところでございます。本日は、それらの取り組みを中心に、プロジェクトマネジャーの岡田からご報告をさせていただきます。

【JAXA(岡田)】 資料52-3にて説明

【白石部会長】 どうもありがとうございます。
これについて何かございますか。はい、米本委員どうぞ。

【米本委員】  資料の7ページ目に関して3つ質問させていただきます。
エンジンを2段階開発しなければいけなくなった原因として、3Dプリンターで製造された噴射器のエレメントが、当初の性能を出せなかったためと伺いました。それがどのような性能のことなのか、またどういう原因によるものなのかをお話しいただけないでしょうか。
次は、ターボポンプの共振点についてです。その問題とは、共振点が設計点から外れていたということでしょうか。エンジンの共振点フリーという設計について説明いただきたいと思います。
最後ですが、2段階開発そのものをよく理解できません。その場合でも、最初の段階で従来の噴射器やターボポンプを使ったエンジンを新規開発するということになると思います。いずれにしても、この最初の段階のエンジンであってもH3ロケット初号機に使用するための開発試験が必要であり、それに伴う開発費も必要になるのではないでしょうか。私としても2020年に打ち上げていただきたいと思うものの、本番では使用しなくなるようなエンジンを途中開発することによる開発費増は、むだになりませんか。2020年に間に合わないですが、目標とするエンジンを本腰を入れて開発し切ってから、初号機を打ち上げるという選択肢がなかったのかをお伺いします。

【白石部会長】 どうぞ。

【JAXA(岡田)】 まず、噴射器のエレメントの話になりますが、3Dプリンター製のものでは推力は100%出せます。また比推力としても遜色がなく、トータルの推力としても遜色のない状況です。機械加工品と異なる特性は、やや燃焼圧力に依存した感度を持っているという点です。例えば、吸熱特性等が少し感度を持っていて、これは現在並行してサブスケールレベルの燃焼試験などをやっており、何がその特性に影響しているかということを今詳細に検討しているところです。まだ最終的な設計の確定までは至っていませんが、トータルの性能としては発揮できているものです。例えば、比推力が低いことや推力が出ないというものではなく、ここで機械加工と異なる特性と書いたことは、今申し上げた意味であります。

【米本委員】 わかりました。

【JAXA(岡田)】 それから、二つ目の共振点の話ですが、共振点自体の予測と外れていたかというご質問だと思いますが、これは外れてはいません。これは共振点そのものが新しく見つかったと言ったほうがよくて、従来のタービン設計では、直近の動翼と静翼との関係の中で共振が起こるということで検討していましたが、それについては外れていなかったですが、今回のターボポンプの特徴として、2段式タービンであり、静翼、動翼、静翼という構造となります。今回新たに共振が起きた理由は、1段の静翼と2段の静翼の枚数差が励振源になっているという非常に複雑な状況の中で発生している共振モードであり、これは実際に試験をしてみないとわからなかった現象です。

【米本委員】 ブレード関係の振動数であれば、その振動数は高い側の周波数になるのですか。

【JAXA(岡田)】 運転としては、ターボポンプの100%の推力と66%のスロットリングのちょうど間ぐらいです。通過領域に共振点があります。

【米本委員】 わかりました。

【JAXA(岡田)】 2段階開発につきましては、おっしゃることはよくわかります。いろいろな方向、アプローチがあると思います。ただ、エンジンというものは、一つの課題でそこが解決することを待って開発計画を練り直すと、ほかのコンポーネントの検証が全部そこに引きずられて遅れてしまいます。従いまして、エンジンシステムを検証するアプローチとして、なるべく早くエンジン完成体のレベルでの検証していくことが採用されています。その結果として、確実な方法で、例えば、噴射器や共振点回避を組み込んだ形でその他のコンポーネントを検証すると、自然にタイプ1が認定できるという考え方になっています。このアプローチで、残りの部分をタイプ2として追加認定するという形を今回採用しました。

【米本委員】 2段階開発といっても、基本的には同じ型式のエンジンとして運用していくということでしょうか。

【JAXA(岡田)】 そうです。

【米本委員】 岡田さんからのご説明で大体理解いたしました。ロケットはエンジンだけではないので、それに引きずられて計画が遅れるというのは避けなければいけないという理由もわかりました。2段階開発と言われているエンジンそのものも、同じ型式のエンジンとして最終的な認定過程の途中段階の認定を受けて、初号機を打ち上げると理解しました。エンジンの構成要素は違っている部分はあるが、その違いは2段階目で是正されるという理解で良いのでしょうか。

【JAXA(岡田)】 はい、そうですね。一部、私の説明の仕方がよくなかったと思いますが、ほかのコンポーネントと言っておりますものは、エンジンの中の少なくともほかのコンポーネントは早く検証したほうがいいと思います。
機械加工の噴射器につきましては、資料7ページ目に示しております試験回数・試験秒時グラフの中で、左から#1、#2、#3、#4という箇所が4台のエンジンになりますが、これは全部機械加工で、相当な燃焼試験をさまざまな回数やっておりますので、既に実績があるものです。

【白石部会長】 よろしいですか。はい、どうぞ。

【米本委員】 話は戻りますが、7ページの語句について、「共振領域自体を排除する設計」という表現がわかりにくいです。少し言い方を変えたほうがよいのではないでしょうか。

【JAXA(岡田)】 共振を排除するためには、ダンピング効果というか、そういったものを設けることが一案としてありまして、ダンピングの効果を設計上盛り込むことを意味しています。

【米本委員】 そちらのほうがわかりやすいと思います。

【白石部会長】 はい、吉田委員。

【吉田委員】 今の米本委員からの質問に関連するところなのですが、ターボポンプのタービン翼に疲労破面という言葉を見ますと、かつて起きたHⅡの8号機の失敗事故というのが想起されます。あの事故は水素ターボポンプのインデューサーがキャビテーション破壊をして事故を起こしたという事例でした。そのときは海中から拾い上げて原因が特定されて、キャビテーションに対する理解が不十分だったということが原因であったと理解しています。今回起きたことは、基本的には、設計においてまだわかっていなかったことがあったということが先ほどのご質問に対する答えと理解したのですが、過去の事例に照らして、今回起きた不具合はどういう位置づけなのかという点をもう少し教えていただけるとありがたいです。

【JAXA(岡田)】 過去の事例でH-Ⅱロケットの8号機の場合は、液体水素のターボポンプのインデューサー周りで発生するキャビテーションで疲労破壊を起こしたということで、今回の現象とは別なものになり、位置づけ的には別となります。私も8号機のときに関わっていたのですが、それ以来、メカニズムを徹底的に究明して臨んでいくという姿勢は、基本動作としてJAXAも、それからメーカーも持つようになりました。そういう中での今回の話で、今まで知見の及んでいないことが起きたわけですが、そこに関しては、徹底的に調べ抜いて、対策として確実な手を打つという姿勢は共通のところがあると考えます。

【吉田委員】 一つだけ補足させてください。一般論として、「基本的に液体水素が絡む流れとタービンとの関係性において、まだまだ完全に理解できていない、あるいは設計上難しい部分がある」と広い意味でまだそういう課題があるとイメージしてしまったのですが、そういったイメージは当たっているのでしょうか。

【JAXA(岡田)】 ここの作動は液体水素ではなくてガスの水素ですので、直接的な関連性は少ないと思います。

【吉田委員】 はい、わかりました。ありがとうございます。

【白石部会長】 ほかにございますか。はい、芝井委員どうぞ。

【芝井委員】 8号目というところですごく大変だなと思っているのですが、二つ質問させていただきます。
一つは、共振領域以外で運転するということですが、100%推力まで上昇するためには必ず共振点を通過するのではないかと思います。それはどういうふうに回避されるのかという点が1点目です。
もう一つは、もう少し広い意味で、H3開発計画全体を見たときに、全体の最終的なコストがどうなるのか、あるいは、最終的なコストは定常運用のときに想定しているコストであるという計画をお聞きしていたのですが、今回のことが広い意味の計画全体にどういう影響を及ぼす可能性があるかをお聞きしたいです。
以上2点です。

【JAXA(岡田)】 まず、一つ目のご質問ですが、運転制約の回避は、トランジェントのところは許容可能だと思っています。ですから、そこで定常に運転しなければ問題ない、即ち避けられるという話です。
それから、二つ目のコストですが、これには「開発コスト」と「実機コスト」という二つの意味のコストがありまして、米本先生も先ほどおっしゃられて、私がお答えをしていなかったのですが、開発コストに関しては、これから残りの開発計画をどう進めるかというところの精査をしながら、しっかりとマネジメントできるようにしていく必要があると思っています。それから、実機コストに関しましては、実機コストそのものが我々にとってのミッション要求となっておりますので、ここに関しては、定常運用段階ではある一定の条件のもとでそこを満たすように、今、三菱重工、その他メーカーと非常に大きな目標として取り組んでおります。常に設計パラメーターという形でそこを取り扱いながら進めます。

【芝井委員】 エンジンが2タイプになりますね。そうすると、定常運用と呼べる時期が後ろにずれたりはしませんか。

【JAXA(岡田)】 タイプ2エンジンの適用目標時期は試験機2号機ですので、この開発の中で試験機2号機迄にはそこは取り組んでいきたいと思っています。

【白石部会長】 ほかにございますか。
ないようです。どうもありがとうございました。

【JAXA(岡田)】 どうもありがとうございました。

【白石部会長】 それでは、四つ目の議題に参ります。

4.米国提案による国際宇宙探査への日本の参画方針

【白石部会長】 次は「米国提案による国際宇宙探査への日本の参画方針」についてです。8月27日の第50回宇宙開発利用部会で審議いただいた件の宇宙開発戦略本部決定内容についての報告でございます。まずは事務局のほうからお願いいたします。

【事務局(倉田室長)】 それでは、お手元の資料52-4に基づきましてご報告させていただきます。ただ今、部会長からもご紹介いただきましたとおり、8月27日にこちらの部会でご審議をいただきまして、その報告を8月30日に文部科学省のほうから内閣府の宇宙政策委員会のほうに行わせていただきました。その後、内閣府の宇宙政策委員会でも、文部科学省以外の防衛省や外務省も含めた関係部署、からヒアリングが行われまして、その上で、今回こちらにご用意させていただきました資料52-4にありますように、外交・安全保障、あるいは国際競争力、あるいは産業の拡大といった観点も含めてご審議が行われまして、10月17日の宇宙政策委員会で、文末等の文言がやや異なりますが、宇宙政策委員会としての考え方がまとめられました。その後、翌日の10月18日に宇宙開発戦略本部が開催されまして、宇宙政策委員会の葛西委員長から報告があり、それが宇宙開発戦略本部として決定されたという次第でございます。
なお、詳細の説明は省略させていただきますが、先ほど述べたような観点に加えて、火星などさらなる深宇宙探査に向けた実験の場としての意義を確認いただきまして、本計画に参画することとするという形になっております。
当面の取り組みとして、1枚目から2枚目にかけて2ページにわたっておりますが、丸1から丸4の取り組みがこの中に掲げられております。具体的には、まず、アメリカが提唱しています「アルテミス計画」の中で、月を周回するゲートウェイに我が国が強みを有する技術・機器を提供することになります。また、そのゲートウェイに物資・燃料を補給することがあります。丸3として、月面を探査し、そこで得られたデータを共有すること、さらに、丸4としては、将来の月面探査を支える移動手段、いわゆるローバーの開発となっております。このような事項が当面の取り組みとして掲げられておりますが、それ以降の取り組みについては、宇宙基本計画の改訂に向けた議論が内閣府で行われるということでございまして、その中でさらなる取り組みについて検討されるということとされております。
また、最後のなお書きのあるパラグラフの中で留意点が四つ掲げられておりまして、8月27日の宇宙開発利用部会でもご議論がありましたが、厳しい財政状況の中、科学探査も含めて、全体の総合推進に支障が生じないようにめり張りをつけて行うということ、また、官民での対話を深め、官民の役割分担を検討しながら産業界の参画を得ていくということ、日本人宇宙飛行士の活躍の機会を確保する等、プレゼンスの確保を図ること、最後に、国際宇宙ステーションも条約等に基づいて行われておりますので、それと同様に適切な法的な枠組みを整備すること、とこれらの留意事項が付された形で決定をされたところでございます。
なお、先ほど申しましたが、今後の取り組みについては、引き続き宇宙政策委員会でご審議、ご議論いただいているところでございますので、また宇宙開発利用部会でも報告等させていただければと思います。
簡単でございますが、以上でございます。

【白石部会長】 今の説明に対して何かご質問ございますか。井川委員どうぞ。

【井川委員】 素人質問で申しわけありませんが、4番目の適切な法的枠組みというのは何を想定されているのでしょうか。

【事務局(倉田室長)】 国際宇宙ステーション計画では、アメリカ、日本、ロシア、カナダ、欧州が入っての条約がまずありまして、その条約のもとに、MOUと言われますが、アメリカと日本、あるいはアメリカとカナダというような形で、それぞれ覚書のようなものが結ばれております。そのような形で適切な枠組みを構築しながら、お互いの権利義務や、あるいは、例えば、その中で特許も含めた侵害等が行われた場合にどうするのかといった内容が細かく取り決められているわけでございます。そういったものを今回のゲートウェイを建築していくに当たっても適切に整備をする必要がございますので、それが留意点として出されておりまして、今後、米国側とも調整をしていくことになっています。

【白石部会長】 よろしいですか。ほかに何かございますか。鶴岡委員どうぞ。

【鶴岡委員】 1点お聞きしたいのですが、1枚目の「以下の意義を有することに鑑み」として列挙されている項目は、日本の参画にあたっての目的にあたると理解いたします。外交・安全保障が最初に挙げられ、国際競争力・国際的プレゼンスと続くわけですが、各項目は重要な順に並んでいるという解釈でよろしいのでしょうか。または順不同なのか。あるいは、そこはあえて問わないのかについて教えていただきたいと思います。これが日本の参画目的の列挙だとすると、やはり順番が重要かと思いますのでお願いします。

【事務局(倉田室長)】 宇宙政策委員会でのご議論になりますので、政府全体の観点からということになります。現在の宇宙基本計画も安全保障が1番目の柱に来ておりますが、最終的には宇宙政策委員会でのご議論の中でこういう順番になったと理解をしております。外交・安全保障、そして国際競争力や産業ということですが、今の基本計画も、安全保障があり、その次が民生利用の拡大、最後が基盤といった順番のつくりになっておりますので、そのようなことも考慮しながらこの順番になったのかと思います。

【白石部会長】 よろしいですか。どうぞ、青木部会長代理。

【青木部会長代理】 ありがとうございます。直接には今回のご報告とは関係ないのですが、先週5日、6日に東京で、7日、8日に京都で、ムーンビレッジアソシエーションという国際NGOの第3回大会が開かれました。そこは、目標に挙げられていた月の定住社会構造をつくっていくということを目標にしている団体なのですが、どのような技術が必要なのか、ビジネスをどう発達させていくのか、どういう法的枠組みが必要なのかなどということが話し合われています。単なるNGOの活動と言ってしまえばそれまでなのですが、この団体は2020年から国連宇宙空間平和利用委員会のオブザーバーにもなったこともあり、今後意見を出していくということなので、日本で話し合いが行われたということも重要と思い、日本が適切な形でそれに関与しているということも言えるのではないかと思います。

【白石部会長】 ほかにございますか。大西委員どうぞ。

【大西委員】 「厳しい財政事情の中」というところについて、現状有人宇宙に関しては、日本は国際宇宙ステーションプログラムに参画していて、これから先、そのゲートウェイを含めた月探査に参画していくということになると、当然国際宇宙ステーションをどうするのかという議論になったのではないかと思うのですが、そのあたりどのような議論がなされたか少し共有いただけますでしょうか。

【事務局(倉田室長)】 ご指摘のとおり、国際宇宙ステーションは、現時点では2024年までの運用が決まっておりますが、それ以降については、今後の議論となっておりますこともありまして、今回のこの国際宇宙探査の参画に向けた取り組みと、今後その国際宇宙ステーション、地球低軌道をどうしていくかという点は、やはり総合的に予算の観点も含めて議論が必要だということで、今後の具体的な方針が決まったというよりも、引き続き検討というような位置づけになってございます。

【白石部会長】 よろしいですか。

【大西委員】 はい。了解しました。

【白石部会長】 ほかにございますか。高薮委員どうぞ。

【高薮委員】 同じところになりますが、「科学探査も含めて宇宙開発利用政策の総合的推進に支障を生じさせないようにめり張りづけを行う」となお書きのところに書いてありますが、誰によって、いつ、どういうタイミングで議論が行われていくのかということについては、どうなっていますでしょうか。

【事務局(倉田室長)】 まずは、現在進行中でございますが、内閣府で宇宙基本計画改訂に向けた総合的な議論が行われております。そこでは、当面20年を見渡してということで議論されていると聞いております。そういう中で、もちろん科学探査の分野でどういう分野が重要かというご議論もあると思いますし、それ以外でも、先ほどの輸送の話等いろいろな分野で、同時並行で進んでいる中で、最終的にこの国際宇宙探査というところをどう進めていくかという点は、全体のバランスとともに議論するという形になるかと存じますが、そこを宇宙基本計画の議論の中でということに、この留意事項ではなっているという状況でございます。

【高薮委員】 はい、ありがとうございます。

【白石部会長】 ほかに。吉田委員どうぞ。

【吉田委員】 実は、この間の土曜日12月7日に相模原でJAXA宇宙研の宇宙理学委員会、工学委員会、それから国際宇宙探査専門委員会の方々を中心に、公開ではないのかもしれないですが、議論がありました。これは日本のアルテミス計画参加に向けたレビュー会という位置づけで、基本的にこのゲートウェイに関連して、アルテミスといっている内容は月に着陸するミッションに関するところでございます。私も傍聴させていただいていたのですが、そこでは月のサイエンスに関してかなり活発な議論がなされていて、単に月に行く、着陸するということではなくて、そこにサイエンスの意義づけを見出そうということで、研究者は非常に頑張っていらっしゃると感じました。おそらく今日の資料はその上位レベルにあるものと理解しますが、そこの中に「月の科学」という言葉が一言も入っていないことに少しショックを受けております。先ほどの四つの大事な丸がありますが、火星などさらなる深宇宙探査という項目は入っているものの、月そのものの科学という要素は、この文面のどこから読み取ればよいのか教えていただければと思います。

【事務局(倉田室長)】 そこにつきましては、火星などさらなる深宇宙探査という中に、もちろん入っているのかなと我々も読んでいるところでございます。まさに先日のレビュー会議が行われた背景とも関係するかと思うのですが、今回はどちらかというと、先ほどご指摘もありましたように、宇宙政策委員会の議論を傍聴している限りの私の理解ではというところでありますが、やはり外交・安全保障や国際競争力といった背景から、この10月18日の決定がなされたと理解しております。そういう中で、宇宙科学・探査小委員会にて、こちらには永原先生も入っていらっしゃいますが、議論として、日本はそういう形での参画にはなるものの、科学としてほんとうにそれでよいのだろうかという投げかけがあって、まさにそのレビュー会が開かれ、そこで出た意見が、今度また宇宙基本計画の改訂に向けた議論につながっていくと。そういう流れになっていると理解をしております。

【吉田委員】 「月」を周回するゲートウェイをつくろうということなのですが、そこの四つの代表的なキーワードの中には「火星など」という論点が中心に謳われており、月はあくまでも「火星など」のおまけみたいな位置づけになっているという点は、少し不思議な感覚を持つということだけは声を大にして発言させていただきたいと思います。

【白石部会長】 ほかにございますか。
では、どうもありがとうございました。
それでは、最後に事務局から連絡事項をお願いします。

【事務局(原田企画官)】 会議資料と議事録の公開について申し上げます。
本部会の運営規則におきましては、会議資料は原則公開となっております。本日の会議資料につきましては、既に当省のホームページに掲載させていただいております。また、議事録等につきましても公開となりますので、委員の先生方にご確認いただいた後に、ホームページに後日掲載させていただきますので、よろしくお願いいたします。
事務連絡としては以上でございます。

【白石部会長】 それでは、これで部会を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
 

(説明者については敬称略)



―― 了 ――
 

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