ここからサイトの主なメニューです

宇宙開発利用部会(第48回) 議事録

1.日時

令和元年5月30日(木曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 3階2特別会議室

3.議題

  1. 宇宙分野に関する次期(第6期)科学技術基本計画に盛り込むべき内容について
  2. 強化型イプシロンロケットプロジェクト終了審査の結果について
  3. 再使用型宇宙輸送システムの検討状況について
  4. その他

4.出席者

委員

部会長         白石 隆
部会長代理      青木 節子
臨時委員        井川 陽次郎
臨時委員        大西 卓哉
臨時委員        芝井 広
臨時委員        白井 恭一
臨時委員        鈴木 健吾
臨時委員        永原 裕子
臨時委員        横山 広美
臨時委員        吉田 和哉
臨時委員        米本 浩一

文部科学省

大臣官房審議官                    岡村 直子
研究開発局開発企画課長              林 孝浩
研究開発局宇宙開発利用課長           藤吉 尚之
研究開発局宇宙開発利用課企画官        原田 大地
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐       佐々木 裕未
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐       岡屋 俊一

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
第一宇宙技術部門
 理事                                  布野 泰広
 イプシロンプロジェクトチーム プロジェクトマネージャ     井元 隆行
研究開発部門
 研究戦略部 部長                          張替 正敏
 1段再使用飛行実験プリプロジェクトチーム長         石本 真二

5.議事録

【白石部会長】 それでは、時間が参りましたので、宇宙開発利用部会(第48回)の会合を開きたいと思います。
最初に、事務局から今日の会議についての確認をお願いします。

【事務局(原田)】 事務局でございます。
本日は、宇宙開発利用部会に所属いただいております17名の委員の方々のうち11名の先生方に出席いただいておりますので、運営規則に定める定足数の要件を満たしております。
次に、本日の資料です。お手元の議事次第の4.のとおりお配りしております。もし過不足がありましたら、適宜、事務局までお申しつけいただければと思います。

(1)宇宙分野に関する次期(第6期)科学技術基本計画に盛り込むべき内容について

【白石部会長】 それでは、議事に入りたいと思います。
最初の議題は、総合政策特別委員会「論点取りまとめ」と宇宙分野との論点提示です。文部科学省総合政策特別委員会では、「次期(第6期)の科学技術基本計画に向けた論点取りまとめ」をもとに検討を進め、来年3月、最終取りまとめを作成することになっております。
では、事務局から論点案についてご説明をお願いします。

【事務局(原田)】 資料48-1-1をごらん下さい。(資料48-1-2は参考資料集)
タイトルは、「総合政策特別委員会論点取りまとめと宇宙分野との論点提示について(主な視点案)」です。
ご承知のとおり、2021年度からとなる第6期科学技術基本計画に向け、本利用部会を含む分科会の親委員会となる科学技術・学術審議会のもとに、現在、総合政策特別委員会が置かれておりまして、「次期科学技術基本計画に向けた論点の取りまとめ」をもとにした検討が進められております。6月下旬に骨子案を提示し、8月中旬に中間取りまとめを作成し、来年3月に最終取りまとめを作成することとなっております。
本利用部会を含む研究計画・評価分科会の関係委員会及び部会等におきましては、個別分野に関する第6期科学技術基本計画に向けた検討を行いまして、10月中に検討の結果を総合政策特別委員会、当省では略して総政特と呼称しておりますが、こちらに提示することが求められています。
宇宙分野に関する第6期科学技術基本計画に向けた検討につきまして、本年1月に総政特での論点取りまとめが示されていますので、示された今後の検討項目及びその方向性に即して検討する論点を事務局案として次ページ以降に示します。
本日は、科学技術イノベーション政策としての5か年計画となる第6期科学技術基本計画に向けまして、宇宙分野として科学技術イノベーション政策全体にどういった面で貢献できるか、またどういった課題があるかといったものをご議論いただければと思います。また、科学技術イノベーション政策全体の中で改良すべき事項がございましたら、本日は比較的自由にご発言いただければと思っております。
次ページをめくって下さい。科学技術イノベーション政策の進め方は、システム改革における人材と資金と研究環境、あと大学改革といった四つの論点、また未来社会デザインとそれに必要な基盤技術や先端技術といったものを含めまして論点を示させていただいております。
3枚めくっていただき、「総政特の論点とりまとめ」の資料をご覧ください。3項は、今年1月に総政特で示された今後の検討項目及びその方向性となっておりまして、左側は研究力向上に向けたシステム改革、右側は未来社会デザインとシナリオへの取組、またデザインを実現する先端・基盤研究、技術開発という形になっております。
左側には、例えば若手への支援の仕方をどうするかといった研究人材の改革、研究者の継続的な活動を支援するような研究資金の改革、さまざまな施設設備を効率化また高速化するような研究環境の改革、さらには大学改革ということで、四つの検討項目がございます。
右側には、未来社会デザインとシナリオへの取組ということで、個別分野の内容となっています。
一番下には、今後重要となる観点ということで人文科学、社会科学の視点や人材(初等中等教育、リカレント教育含め)が記載されています。
さらに補足になりますが、また紙を3枚めくっていただき、横書きで、先日行 われた総政特でこのような「検討論点(システム関連)」、より新しい形での論点が示されています。このエッセンスとしましては、現状認識として、知識集約型社会への大転換が進んでいる、また社会システムにパラダイムシフトが起きているといったことがありまして、基本理念として、価値創造の源泉となる基礎研究力が重要であり、そして目指すべき方向性として、先ほど申し上げた人材や資金や研究環境の内容が左下の黄色い部分に記載されています。右側には、イノベーションシステムの構築に関することが記載されています。
2枚目にお戻り下さい。
研究力向上に向けたシステム改革ということで、事務局案として提示させていただく議論の視点としまして、(1)研究人材の改革、研究者を魅力的なものとするために、世界で活躍し、挑戦できる支援体制を構築し、次代を担う研究者を確保、支援することがあります。
総政特では、若手研究者のポストの確保、流動性確保、海外での研究機会、ネットワークの形成といったような視点が示されています。
宇宙分野では、特に国家ミッションに基づく政策志向の強い研究者が集まる傾向が見られるとともに、また、宇宙分野でも、研究者の好奇心や内在的動機に基づく研究への理解についても比較的社会から得られやすいという特徴があります。ほかにどのような議論の視点があるかということで、下に幾つかの例を記載しています。
宇宙分野でも、現在、特任助教(テニュアトラック型)の制度などの導入を進めていますが、若手研究者の安定的なポストの確保に向けた必要な取組は何かといった視点を掲げています。
2ポツ目、クロスアポイントメントの活用など、流動性の確保を進めていますが、これがどのような波及効果を出したかといったところを提示しました。
その下、宇宙分野の研究活動は長期間にわたるといった特徴がありますが、そういった分野において、次代を担う学生の在学期間などを踏まえたプロジェクトへの参加をどのように促していくかといったことを提示しています。
4ポツ目、文部科学省の内局事業である宇宙航空科学技術推進委託事業やJAXAの人材育成活用推進事業及び理解増進活動を進めていますが、これらの成果は何かといった視点を提示しています。
さらに、国際プロジェクトへの参画や海外留学など、国際連携する部分もあれば、国際競争となっている部分もありますが、宇宙分野の幅広い視野や国際感覚を養うための機会の確保をどのように図っていくかという視点を提示しています。
その下、高度な技術の開発は大規模になりがちですので必ずしも頻繁にはできない、10年に1度や数年に1度の大規模プロジェクトになるといった特徴がありますが、例えば基幹ロケット、H3の開発が現在進行中ですが、こういったもので人材育成という観点からどういった技術の伝承効果があったと考えられるかといった視点を提示させていただいております。
宇宙分野に求められる役割が多様化していく中で、次代を担う研究者のみならず、どのようにそういった人材を増やしていくかといった視点もあります。
その下、人文社会科学を含む宇宙分野以外での他機関との連携、交流にどう取り組むかという視点もあろうかと考えています。
次ページをごらん下さい。
(2)研究資金の改革としまして、新たな発想を追求、創造する活動を支える研究フェーズに応じた研究資金の強化、連携を行い、研究者の継続的な挑戦を支援するといった総政特の記述がありますが、こちらでも、幾つかの視点としまして、若手研究者への重点的な支援、新興・融合領域への取組の強化、競争的資金のつなぎなどが示されています。
宇宙分野につきましては、特に長期的な研究フェーズに応じた研究資金の確保が課題となっていますが、どのような議論の視点があるかということで、下に幾つか視点の例を記載しております。
人材の件と同様ですが、研究開発が長期化する宇宙分野の特性を踏まえ、若手研究者に対してどのような重点支援を行っていくべきかといった視点を提示しています。
近年、オープンイノベーション的な取組としての宇宙探査イノベーションハブ事業やJ-SPARC事業を進めていますが、他機関とも連携して、宇宙分野における新たな発想を追求、創造する活動をどのように発展させていくかといった視点を提示しています。
また、その下、学術・基礎研究としての宇宙科学分野を発展させていくために、他分野との融合をどのように図っていくべきかという視点を提示しています。
宇宙分野には特有の研究開発リスクがありますが、現状の運営費交付金や補助金を現在JAXAに移行していますが、これらに加えまして、他の柔軟な研究資金をどのように確保していくかといった視点もあります。なお、現在、フロントローディングといった取り組みも行われています。
一番下、JAXAと政策投資銀行及び投資機構との連携による外部民間資金を取り入れることを推奨していますが、現在、JAXAで行っている大型プロジェクトにこういった資金を活用することによって、ひいては基礎的な活動にどのように資金を充当していくかといった視点があろうかと考えています。
ページをめくっていただいて、(3)研究環境の改革です。研究者が教育、研究、社会貢献活動等の知的活動に100%従事できるように、組織全体で効率化、高速化を実現していくといった論点が記載されています。
総政特では、研究施設設備の共用の促進、ラボ改革、研究支援人材の充実、研究者の事務負担の軽減などといった視点が示されています。
宇宙分野におきましても、研究施設、実験施設等の活用が行われていますが、準備作業・期間が膨大で相当な事務負担となっていますので、効率化が急務になっています。これに関してどのような議論の視点があるかということで、下に視点の例を書いています。
JAXAにある燃焼試験施設や風洞施設といった大型研究施設の共用化におけるメリット、これらは社会的な産業利用もされていますが、社会貢献をどのように評価していくかという点を提示しています。
今あるスペースチャンバーなどの大型研究設備のラボ改革、効率的に設備を使っていくためにどのような工夫が必要で、財源をどのように確保するかといった視点があろうかと思っています。
国際宇宙ステーション「きぼう」が日本の大きな実験棟としてありますが、微小重力実験施設としての「きぼう」の実験の自動化など、ラボ改革をどのように図っていくかといった視点を提示しています。
先ほど申し上げた探査ハブやJ-SPARCといったオープンイノベーションに係る取組がありますが、こういったものに拡大にするということは、翻ってみますと研究者の事務的な負担もあるわけで、こういったものの軽減をどのように図っていくかといった視点もあります。
最後ですが、大型研究設備の膨大な準備作業やメンテナンスがありますので、研究支援人材の活用も見据えつつ、どのようにこれらを効率的に進めていくかといった視点を提示しています。
次のページをごらん下さい。
(4)大学改革です。大学改革に関しては、大学の運営や経営にかかわるものが多くありますので、もし宇宙分野としてのご意見が特段ありましたら、自由にご意見をいただければと思っています。
次は2.の未来社会デザインとシナリオへの取組です。総政特では、将来の不確実性や多様性が高まる中、地球規模課題や社会課題の解決、将来の未来社会を科学技術によって前向き、主体的にデザインし、その可能性や選択肢を広げるとともに、領域やセクターを超えた関係機関、関係者と積極的に共有しながら、調和、共創によってつなぐシナリオを描き、その実現に向かって取り組んでいくといったことが記載されています。
現在、既にある技術を将来に向けてフォアキャストしていくといった考え方、あるいは今考えられる未来社会といった未来像を描きながら必要な技術は何か、必要な取組は何かといった形でのバックキャストといった取組がそれぞれあるかと思いますが、こういったことをしっかり検討していくべきではないかということが記載されています。
項目イメージとしては、宇宙に関しては一番下にありますが、月面資源といった例示がされています。
なお、下に米印がありますが、月面資源などに関しては、現在、本利用部会のもとに国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会が設置されていますので、そちらの検討結果も参照するものとします。
もう一枚めくって下さい。
3.デザインを実現する先端・基盤研究、技術開発です。未来社会デザインとシナリオの実現に向けてキーとなる先端・基盤研究、技術開発についての検討といったことが検討項目として示されています。
項目イメージとしましては、新興・融合領域や国家基幹技術、STI for SDGsといったようなものが例示されています。
宇宙分野は、第2期科学技術基本計画においてはフロンティア分野という形で位置づけられていましたが、第5期基本計画においては気候変動対応を含む幅広い分野で位置づけられているところです。宇宙は、その広域性、多様性から社会経済的な波及効果が大きく、現在推進されているSTI for SDGsなどの複数にまたがる基盤領域との親和性が高いと考えられますが、どのような議論の視点があるかということで、下に幾つかの視点例を記載しています。
一例としては、気候変動対策やSDGs達成等に貢献する地球観測衛星、その他宇宙関連技術について、他の関連する委員会などとの連携も踏まえながら、今後のシナリオをどのように描いていくかという視点を示しています。
新たな技術、デジタル制作技術をロケットや衛星等の開発、実装に活用していくための制度的な課題、また隘路事項は何か、対応策があるかといった視点を提示しています。
国の基盤インフラとしての基幹ロケットや大型から超小型を含む衛星、探査技術といった宇宙分野の多岐にわたる技術のうち、新興・融合領域を含めまして今後特に必要となる戦略的な宇宙科学技術は何か、これらの検討に関しては、海外の技術動向も踏まえてどのように考えられるかといった視点があろうかと考えています。
その他宇宙技術を用いた未来社会の発展、新たな価値創出に貢献する取組は何かという視点を提示しています。
こちらに関しては、その他ということで、第6期科学技術基本計画では価値創出というのが一つの大きなキーワードになっていますが、そこにかかわる宇宙科学技術の応用といった意味で、幅広いご議論をいただければと思っています。
説明は以上となります。

【白石部会長】 どうもありがとうございます。
それでは、これにつきまして自由にご意見等をお願いできればと思います。どなたからでも。どうぞ。

【井川委員】 最後のページについて意見を言いたいと思います。「3.デザインを実現する先端・基盤研究、技術開発」の全体としてこういう視点で議論されるのはわかりますが、特にこの幅広い技術について検討しなければいけないと思っています。
たしか前々回に申し上げた3Dプリンターのことも入れていただいていますが、H3の開発において三菱重工さんが3Dプリンターを使って基盤的なコンポーネントを開発していますが、その後どう発展させるのかということを、H3本体のコストダウンに注力されているのに、フォローができていないということを聞きます。これは非常に有望な技術のため、今後発展させたほうがよいのではないかと申し上げた点を発展させた内容で記載していただいたことはありがたいと思います。
さらに発展して、例えば、理研が開発している「富岳」というスーパーコンピューターがありますが、おそらく今後、ロケットの再利用や、ロケットシステムの複雑化、あるいはもっと遠方に行くなどということになると、シミュレーション技術は相当高度なものがあってしかるべきだと考えます。JAXAの中にも、一時期高価・高性能なスパコンがあった時代もたしかあったと記憶しますが、現状、いろいろな予算の制約等もあるでしょうから、今度理研にできる「富岳」等を活用して、より幅広く発展形の様々な技術を開発していくことが、宇宙分野の人材育成でも、あるいは国の安全保障という観点でも非常に重要だろうと思う次第です。
もう一つ、そのような流れの中で、月より先の宇宙に行くとなると、太陽電池電力では十分ではない領域が出てくると考えられます。日本の一般ではタブー視されていますが、原子力やプルトニウムを使った電池などについて考える必要があるのではないかと考えます。NASAをはじめ世界ではそういったものも使って探査を行っているという現状を踏まえると、日本では使えるかどうかわからないにしても、リサーチをしておかなければ、世界から置いてきぼりになってしまうのではないかと危惧しています。色々と神経を使って議論しなければいけない技術を含めて、幅広く検討だけはしておいたほうがよいのではないかと思います。
そこら辺の技術のリストアップを詳細にやっていただけると有用だと申し上げたいと思います。

【白石部会長】 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、吉田委員。

【吉田委員】 1.研究力向上に向けたシステム改革という部分で、(1)研究人材の改革、(2)研究資金の改革、(3)研究環境の改革の三つは非常に大事で、ここに書かれていることはいずれももっともだと思いますが、よくわからなくなってしまったのは、(4)として大学改革が別途に切り分けられていることです。大学改革の部分は、人事給与のマネジメントなど、イノベーティブなことというよりも、法人としてどう経営していくか、そこを改革しなさいという切り口になっていて、何でこうなっているのかよくわかりません。(1)研究人材の改革の冒頭に、研究者を魅力的なものにするため、世界で活躍し、挑戦(失敗)できる支援体制をつくっていく、あるいはそういう人材を育てていくと記載があり、一番下に大学院教育の体質改善による卓越した博士人材の育成と書いてありますが、こういうことを一番実践する現場が大学であると私は思っています。つまり、特に(1)で書かれていることは大学に該当する話であって、それと別途に大学の改革の記載があるという構造自体がおかしいのではないかと感じるところです。それが質問の1番目です。
2番目は、これはコメントにもなりますが、宇宙分野は国家ミッションに基づくと書いてあり、トップダウンの方向性が示されていますが、これから持続可能性や新しいイノベーティブなどということを考えていくと、失敗を許しつつ、いろいろな新しいアイデアを生む、寧ろボトムアップのストリームを強化することが非常に大事だと思います。そのために、大学という教育現場で若手人材を育てながら、新しいことに挑戦していく、それが多様性をもたらすと思うので、その部分をもっと強調していただきたいと思います。記載されている論点はよいですが、その論点を実現するためには、大学の教育現場が人材育成に大事なので、その点をもう少し強化するという視点をいただけたらよいのではないかと思います。
まずは最初の点について事務局よりご回答いただきたいです。

【白石部会長】 いかがですか。

【事務局(原田)】 こちらは総合政策特別委員会で整理されたと承知しています。広い意味での研究人材としての整理をされた上で、さらに大学がイノベーションを生み出す源泉として重要であるといった問題意識から、大学の組織全体を見てどういうふうに改革していくかという視点で書かれていると承知しています。人事給与マネジメント改革や経営と教学の機能分担といったところも、よりイノベーティブな組織となるための大学改革のあり方といったところで記載されています。まさにイノベーションのハブとなるといいますか、源泉となる意味で、より強い大学となっていくための大学改革が必要という視点で一つ整理がされています。研究人材というのは、広く一般の若手研究者です。ここは大学にかかわらず、国立研究開発法人も含めて研究者をしっかり確保し、あるいは、流動性の低さや国際的なネットワークから日本は外れているというところも論文などのデータから示されていますので、そういった意味で、研究人材の改革はどうあるべきかという視点が整理されていると承知しています。

【白石部会長】 よろしいでしょうか。はい、どうぞ。

【吉田委員】 わからなくもないですが、研究資金の部分で宇宙探査イノベーションハブ事業やJ-SPARC事業が挙げられていますが、これらの事業は実は軸足が大学にはない制度ですね。JAXAあるいはその他の国立研究開発法人を中心にということだと思うのですが、私ども大学に所属する研究者として感じていることは、大学をより直接的に指向した、ボトムアップの幅広い資金制度改革をお願いしたいということです。大学院生、特に博士課程の人材は一番イノベーションの源泉であると私は思っています。国立研究開発法人の研究者も、大学で学び、切磋琢磨し卒業してキャリアアップした人なので。一番の源泉は学生のやわらかい、新しい頭脳だと思います。そこに今はまだ十分にお金が回る仕組みになっていないのではないかと感じていますので、その点を強調させていただきたいと思います。【白石部会長】 どうもありがとうございました。
私自身は大学改革が肝だろうと思っています。残念ながら、日本の大学の国際的な競争力は漸進的に落ちているのが現状でございまして、そこはまた我々としても発言させていただきたいと思います。
では、どうぞ、米本委員。

【米本委員】 改革という言葉を使うのであれば、従来やってきた延長線上で何かを考えるのではなくて、新しいアイデアや今までになかった仕組みを提案すべきだと思います。先ほど吉田委員も指摘されたように、システム改革の対象が、主に従来携わって来たJAXA等々の方々を対象にしているという印象です。そこに改革を求めるのであれば、新しい人材をどの様に発掘するのか、これまで宇宙開発に縁の無かった大学の研究者や民間企業の技術者がその筆頭に来るはずです。それを抜きにして、従来携わって来たJAXA等々の方々をいかに効率よくやってもらうのかという記載だけでは戦術であって、改革ではないと思います。
同じように資金面の改革についても、私は宇宙探査イノベーションハブやJ-SPARCお世話になっている立場でお話しいたしますと、これらのアイデアが目指すところは、国の予算では限りがあるということを前提に、何とか民間の研究予算を導入して国全体として宇宙開発の規模をよくしたいというところにあり、その具体的な施策が改革に繋がるのではないでしょうか。
従いまして、議論の視点例の最後に述べられている、どのように国の限られた予算あるいはあまり伸びない予算の中で宇宙開発を推進したらいいかという論点に対しては、今申し上げました研究資金の調達の仕組みを真っ先に改革していかないといけないと申し上げているつもりです。
最後に、吉田委員それから部会長も発言されたように、大学というところは、教員だけでなく学生も含めて無尽蔵のアイデアがあるはずです。彼らを上手く活用することを考えて戴きたいと思います。NASAは大学に莫大な研究資金を投資していますが、そういう仕組みが、今の日本では十分に機能していないことが残念です。
以上です。

【白石部会長】 これはどなたかに反論を求めますか、それとも、いいですか。

【米本委員】 いや、誰か言っていただければと考えます。

【白石部会長】 どうぞ。

【芝井委員】 私はもう少し初歩的なことでいつも違和感があって、せっかくの機会なので発言させていただきます。この部会は文部科学省の科学技術・学術審議会の下の部会ですね。一方、総合政策特別委員会が出すのは科学技術基本計画なので、学術という言葉が入っていません。その点、以前から何度か個別な意見を申し上げたのですが、やはり間違っていると思います。
具体的に言いますと、宇宙の場合、例えば、「はやぶさ2」がやっている研究やブラックホールに迫る研究などというのは学術に該当するもので、宇宙といえども、科学技術という狭い範囲の言葉では語れない活動がかなりの部分を占めていると思いますが、学術という内容が入っていないということが問題ではないでしょうか。

【白石部会長】 そこは私から補足をさせていただきます。先ほどの事務局からの説明が舌足らずだったかもしれませんので。科学技術・学術審議会というものがございまして、青木委員と私はそのメンバーです。この審議会の下に総合政策特別委員会があって、そこが、基本計画は内閣府で策定されますので、内閣府に提言する内容を、この骨子案みたいなものをつくっています。だから、あくまでもこの部会は科学技術・学術審議会の部会で、先生方にはその部会の委員としていろいろなご意見をいただきたいということです。

【芝井委員】 ありがとうございます。それでしたら、学術の内容が今の回答の中に現実的に入っていないことが望ましくない、というのが意見になります。

【白石部会長】 なるほど、それが非常に重要だということでわかりました。

【芝井委員】 科学技術基本計画に沿って回答すると、このようになってしまうのです。そこが残念です。

【白石部会長】 わかりました。どうもありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ。

【永原委員】 大きい論点が二つありまして、これは先ほどから何度か話にある総合政策特別委員会、上から降ってきているものなのでいじれないわけですが、1.研究力向上に向けたシステム改革に関して、実は昨日も学術分科会で同じ議論をしていたのですが、これは宇宙分野に特化しているわけではなく、日本の学術全体の問題です。従って、宇宙分野で特に何かをピックアップする必要があるかと言われると、私はその点は疑問に思います。
ただし、宇宙分野が他の分野と違うのは、これは幾つかの分野でもそうですが、ミッションが長期のものが多いという点かと思います。そのことは若手のポジション等の問題に関連してきます.すでに議論されているように、若手を長期で雇用できる体制が必要だということです。流動性があってもよいですが、科研費などの3年~5年というものではなくて、宇宙ミッションに特有の10年ぐらいをめどにした雇用の仕方であれば、有能な若手も、「それなら、そこで、試そう」という人も当然出てくるわけで、宇宙科学技術全体にとっても、若手にとっても重要な論点ではないかと思います。その点についてどこかに含めていただきたいというのが一つです。
もう一つは、2.未来社会デザインとシナリオへの取組にかかわってくるのですが、この協議の紙ではJAXAのことだけが書かれているように見えます。先ほど大学問題で吉田委員からも指摘がありましたが、今、日本の宇宙の問題で論点になっているのは、JAXAだけに閉じず、いかに民間を巻き込むかということです。具体的に言うと、未来社会の環境や情報という部分も小型、超小型衛星が世界の大きな動向になっている中で、日本はこの領域がすごく弱く、そこをどう強化していくかということが重要なポイントだと思います。しかしながら、そういう論点が現状では欠けていて、その点をぜひ追加していただければと思います。
以上です。

【白石部会長】 どうもありがとうございます。
ほかに何かございますか。はい、どうぞ。

【横山委員】 これまでのご発言とあちこち関連しますが、一つ、若手研究者への重点支援、(2)のところに項目がございますが、これについて少し具体的な案を述べさせていただけたらと思います。
近年、宇宙科学の衛星がどんどん巨大化していると思います。そのこともあって、データセンターが大学に置かれるような状況がこれからますます増えていくのではないかと思います。例えば、「あらせ」では名古屋大学さんが大きなデータセンターを持って解析を非常によく助けていると聞いております。本来は、ISASの中にそうしたデータセンターが潤沢な予算とともに置かれるべきなのではないかと思うのですが、しかし衛星が巨大化する中で、大学が非常に大きないい機会を持つということで肯定的にプッシュしていけば、そうしたデータセンターに一部管理をするかもしれませんが、データの解析の分野で活躍できるような人材を登用する、しかも長い期間で、というような連携が生まれる可能性があるのではないかと思います。大学と協業をしていく上で、データセンターへの若手の人材登用などは一つアイデアとしていかがかなと思いまして提案させていただきます。
もう一つは、(3)研究環境の改革の下のほうの議論の視点例の1ポツのところです。共用化におけるメリットと社会貢献の定量的な評価をどうするかといったものを入れていただいています。宇宙分野は、既存の施設を共用にするにしても、巨額な投資が必要であろうことからそのあたりの設計も必要になると思います。新しいアクターを取り入れながらの議論というのも一つあるかなと拝聴しました。
以上です。

【白石部会長】 どうもありがとうございます。
ほかにございますか。

【芝井委員】 1.研究力向上に向けたシステム改革と書かれていますが、こういうときにいつも記載が避けられているのではないかと思うのはクオリティーの点です。研究力向上のために、研究の質の向上ということをどこかに書くことはできないのでしょうか。(1)はポスト、待遇に関して記載がある、(2)は研究費のことが書いてある、(3)はワーキングに関して書いてあるけれども、それぞれの研究の質の向上を図るということがないので、それをどこかに記載できないのかという意見です。

【白石部会長】 後で事務局からも答えていただければと思いますが、研究力というものをどうつかまえるのかというのはそれ自身が大変な問題でして、指標だけでも八つか十ぐらいすぐ思いつくわけです。その中で、質を図るためにも、例えば引用率10%とかそういうものを使うわけですが、どれがほんとうにいいのか、ほかにどういう手法があるのかということになると、いまだに随分いろいろな議論があるというのが実情ではないかと私は思います。
どうですか、委員の、どなたか。
これはそんなにきちんとした答えがあるとは僕は思いません。質自身を無視しているかというと、そんなことはもちろんない。しようもない研究のために金を出すぐらい無駄なことはないので。

【芝井委員】 現場の研究者はわかっているのです。こういうところに書かれないというのが私には違和感があります。

【岡村審議官】 今の質のところですが、研究力向上の問題意識を我々が皆さんと共有するときには必ず、先生がおっしゃったように、論文の数、トップ10%の数、トップ1%の数とか、そういうものを国際比較してみます。数の減り方よりも質の落ち方のほうが大きいぞとか、そういう議論も往々にしてございます。だから、我々が研究力と言ったときには、当然ながら数だけではなくて質を、これからの動きを考える場においても皆の共通意識であると思っております。
それから、学術のことを先ほどおっしゃっていましたが、実は、第5期科学技術基本計画の中にも、本日お配りしているものにはありませんが、科学技術イノベーションの基盤的な力の強化という項目の中に知の基盤の強化という項目があって、学術というのは当然入っております。
説明が不十分でしたが、今回は、第6期に向けて、今までの視点に加えてこういう視点を幾つか取り出して考えてみようと、まだその程度のものですから、全てが網羅的に書かれているという理解ではございません。特にここのところは、文科省でも、研究力の向上や、若手研究者の方々が長い研究がしにくくなっているなど、今、顕著にピックアップされているものだけが記載されてございます。そのため、全てがここに網羅されているわけではないので、逆に、今日、先生方からさまざまなご意見をいただければ、それを事務局からフィードバックさせていただくこともできます。

【白石部会長】 ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。

(「なし」の声あり)

【白石部会長】 後で何かあったら書面で出すということも歓迎です。どうぞいろいろな意見をいただくには今が一番いいタイミングだと思いますので、よろしくお願いします。
今日の議論と総合政策特別委員会での議論を踏まえて、事務局は次回までに検討の骨子をまとめるという段取りを考えています。

(2)強化型イプシロンロケットプロジェクト終了審査の結果について

【白石部会長】 それでは、次の議題に移りたいと思います。
二つ目の議題は、強化型イプシロンロケットプロジェクト終了審査の結果についてです。これまでに開発が完了した強化型イプシロンロケットのプロジェクト終了審査がJAXAのほうで行われましたので、その結果についてJAXAから報告をお願いしたいと思います。

【JAXA(布野)】 JAXAの布野でございます。
強化型イプシロンロケットに関しましては、2014年にJAXAにおいてプロジェクト移行審査を行いまして、その結果を本利用部会に報告し、プロジェクトとしての事前評価をいただきました。その結果を踏まえ、2016年に2号機、2018年に3号機の打上げを実施し、本年3月にJAXAにおいてプロジェクト終了審査を完了したところです。
本日は、その終了審査の結果についてプロジェクトマネジャーの井元から報告します。

【JAXA(井元)】 イプシロンロケットプロジェクトチーム、プロジェクトマネジャーの井元です。よろしくお願いいたします。
資料48-2に基づき説明を行った。

【白石部会長】 どうもありがとうございました。
これについて何かございますか。まず、横山委員、どうぞ。

【横山委員】 まず、さまざまな世界最高性能を達成されたこと、ほんとうにおめでとうございます。
15ページのご説明、補足をお願いしたいと思います。よくわからなかったのは、燃焼圧力の異常についてです。設計想定と実際の設計が異なっていたということでよろしいでしょうか。というのは、対策のところに「設計変更した」とございます。これは、設計段階からの問題だったのか、そこの意思疎通が、JAXAさんが想定していたような設計想定となぜ違ったのかと、そこの部分が非常に重要だと思うのですが、それはどのようになりますか。

【JAXA(井元)】 まず、当初の設計どおりに試験機と2号機では燃焼しなかったと考えておりますので、設計の不良もしくは製造の不良と考えています。
右側の図の推進薬の上に橙色と緑色がありますけれども、左側が設計想定、それに対して右側が実際の試験機と2号機の作動状況です。推進薬とモータケースの間に燃焼ガスが入らないことにより推進薬に当初の設計に対して過大に応力がかかり変形し、燃焼面積が増加したことで燃焼圧力が増えた、つまり当初の設計想定と実際のモーターが違うということで、設計不良というふうに判断しました。

【横山委員】 それは、おそらく何らかのチェックをされていたけれども、どうしても見逃してしまって、これをもって判明したという理解でよろしいでしょうか。

【JAXA(井元)】 そうですね。ただ、ここのところ、燃焼ガスが入らないことに対しては検査ができない、宇宙空間での実際の作動でしか確認できないものです。ここの接着部分は、本来はフィルムを装着して接着しないようにしていたのですが、そのフィルムの機能が十分に働かずに接着してしまったということです。そこのところを地上では見つけることはできず、実際のフライトで発生したということになります。これも推定になってしまいますが、結果は、3号機では対策が妥当であったと考えておりますので、推定原因が正しかったと考えております。

【横山委員】 それでは、業者側やJAXA側のやりとりの齟齬があって何か起きたというわけではなく、できる限りのことをやったけれども、テストで初めてわかった結果という理解でよろしいでしょうか。

【JAXA(井元)】 はい、そのとおりです。

【横山委員】 わかりました。

【白石部会長】 芝井委員。

【芝井委員】 同じところだったのですが、右側に描いてある図と同じことが国内で、あるいは世界的に起こった例がないのかということが一つ目の質問です。
もう一つは、左のグラフを見ますと圧力が上がっていますので、モータケースやノズルの耐圧に関して、どれぐらい余裕があったのかということをお答えできるのであればお聞きしたいと思います。

【JAXA(井元)】 まず一つ目、この推進薬につきましては非常に機微な情報になっておりまして、我々は海外の情報を入手できておりません。そういうことで、海外でそういう前例があったかどうかについてはわからないというのが現状です。
二つ目の、圧力が高くなったことに対しまして、耐圧試験圧力や最大使用圧力というものがありますが、モータケースに関しては、耐圧試験圧力よりも下ですが、予測していた最大使用圧力よりも2号機のデータについては多少上回っている状況になっています。ただし、耐圧試験圧力以下ですので、事なきを得ているという状況です。
ノズルについては問題ありません。

【白石部会長】 ほかに何かございますか。はい、どうぞ。

【鈴木委員】 プロジェクトの目標と達成結果の中の全体サマリで、フルサクセスとされている部分が最も重要な項目かと思いますが、2.3の衛星搭載環境条件と2.4の飛行実証結果については、ほかのロケットの事例なども含めて比較されていて、とてもわかりやすいと思っているのですが、今回の軌道に対してこれだけの質量の物を運ぶということの難易度は、このロケット及びほかのロケットだとどれぐらいの実績があって現在達成されたものはどれぐらいスコアを改善したものなのかなどがわかりやすく提示されているといいと思います。2.2というところに記載されているのかもしれませんが、見当たらなかったので、回答をいただければありがたいと思います。

【JAXA(井元)】 小さいものから大きなものまで世界各国のロケットは多様にあります。今、その中の位置づけとしては、イプシロンロケットは小型ロケットになりますが、これを達成するのが難しいかどうか一概には言えないところがあります。試験機で450キログラムという打上げ能力だったものに対して、それを600キログラム程度に向上するということに関して、しかも短い期間でやるということに対しては非常にハードルが高いと考えております。そちらについては、この能力というよりも開発期間という観点でいくと、普通のロケットですと5年ぐらいかかるところを2年や3年で開発しておりますので、非常に短サイクルで開発できたというふうに評価しております。この能力そのものをほかのロケットと一概に比較することは難しいと思います。

【鈴木委員】 あとは理論値の限界値などがわかっていると、それにどれだけ漸近したかなどでも評価ができるかと思うのですが。

【JAXA(井元)】 そうですね、これは飛行解析理論といいますか、事前予測との一致性という観点になるかと思いますが、それは完全に一致しております。
それは10ページを見ていただくとわかるとおり、飛行経路については、この最新特性飛行経路というものが事前予測になりまして、それに対してフライトが一致しているということと、投入軌道が、ICS規定値と書いてありますが、こちらが言ってみれば事前解析になりますが、飛行経路結果が一致しているということ、これが事前予測と一致しているという証拠になります。

【鈴木委員】 設計をどれだけ突き詰めると最終的にスコアとして700キロまでいけるとか800キロまでいけるとか、こういった見立てがあるのであれば、こういったものも提示していただけるとわかりやすいかなと思いました。

【JAXA(井元)】 それは、どちらかというと、推進薬量や固体ロケットの性能、推力、軽量化、そういったものにもよります。そちらについては、目標を設定すれば、あとはどうやって開発するかという話になりますので、それを提示するのは難しいと思います。

【鈴木委員】 わかりました。ありがとうございます。

【白石部会長】 よろしいですか。
ほかに。はい、どうぞ、米本委員。

【米本委員】 11ページのプロジェクト移行時の目標に対する評価の中で、打上げ需要が2017年7月調査時点では、年14基、2026年から2030年までの間だと年10基と非常に大きな数になっています。この数字はイプシロン打上げ予約だと思っていいのか、打上げてもらいたいという期待値なのでしょうか。

【JAXA(井元)】 まず、予約ではなくて、実際に300~600キログラム級の小型衛星を2021年から2025年の5年間に打上げる計画というか、そういう衛星の計画があるものを載せています。そういうことで、これはイプシロンの顧客ターゲットになり得る衛星の数を書いたものです。

【米本委員】 優秀な小型固体ロケットなので、年14基のうちどれぐらいイプシロンがその需要を獲得できると思ったらよいのでしょうか。

【JAXA(井元)】 これは、交渉事で、ほかのロケットとの兼ね合いもあるので、なかなか難しい話です。強化型の残りの基数も限られておりますし、価格の話もあります。今後実施するシナジー開発、国際競争力を強化する開発、これにも依存しまして、先般、打上げ運用する企業を選定したばかりですので、そういったところが中心となって今後とっていく形になると思いますが、今はこういう顧客があるということです。それを今後どうするかというのはまた次の話だと考えます。

【白石部会長】 よろしいですか。

【米本委員】 はい。

【白石部会長】 ほかにございますか。白井委員、どうぞ。

【白井委員】 参考までに教えていただきたいのですが、今回の計画の中で開発を行ったオプション形態について、今後のイプシロンではどういう運用を行うのか、あるいはどういうラインナップとして持っていくのか、とりわけ衛星分離機構とPBSをどうするのかについて、もし今後の方向性が決まっていたら教えていただきたいと思います。

【JAXA(井元)】 まず、強化型につきましては、基本形態とオプション形態、二つ持っておりまして、これは衛星の要望に応じて対応するものになります。今考えているのは、おそらくオプション形態のほうが多いであろうというような見込みです。 それから、低衝撃型衛星分離機構につきましては、4号機に搭載した超小型衛星やキューブサットには使いませんが、300~600キログラムの小型衛星には低衝撃型衛星分離機構を使うことを考えております。
具体的に言いますと、4号機で200キログラム弱のRAPIS-1という衛星を打ち上げましたが、そのときには低衝撃型衛星分離機構を使いました。

【白石部会長】 井川委員。

【井川委員】 今後どうするのかという話についてですが、打上げが成功したという発表のときに、私どもメディアの評価はいま一つというか、かなり悪い評価になっておりました。「今回衛星顧客を無償で打ち上げましたよね、今後はどうするのでしょうか?」という質問に対して先ほど来のJAXAさんのご見解では、未だ決まっていないというお話でした。
ロケットの高い技術を追求されることはよいことで、いろいろなマーケットを視野に入れて、こういうような説明となるのもごもっともだと思いますが、一方で、今後、どう商業的に使っていくのか、研究のための実験だけだと宇宙開発の予算が限られて、悪しき事例になってしまわないかと、非常に不安感があります。ほんとうはこの部会はJAXAの活動を応援しなければいけないと思いますが、次にどういうものをとってきてどうやるかという前向きなことへの説明がないので、事実だけの説明でロケットを開発するバックアップが得られるのかというと、大丈夫だろうかという不安感があります。今後、こういうプロジェクトがあり、その際、メディアのこのような批判があったとしてもきちんと応えられるような計画になっていないと、いけなのではないかと不安感をやや感じますというコメントだけをしたいと思います。

【白石部会長】 もし何かございましたら。

【JAXA(布野)】 ご指摘はごもっともですが、4ページに書いてありますが、もともとイプシロンというのは、遡ること宇宙開発委員会時代に、小型で国際競争力のある輸送手段を持ちましょうという議論があった中で、どのように進めますかという議論の結果、最終的に2段階で進めましょうということで始まりました。まずイプシロンで取り組んでいるモバイルなど新しい技術を入れる、最終的には低コスト化、国際競争力を持たせるという2段階でやるという形態です。
今、井川委員がおっしゃった箇所については、その前段階の結果を今ご報告したということで、太陽同期軌道に入れるとか高精度で入れられるとか、その技術的なところになります。ただ課題としては国際競争力をきちんと追求していかなければいけないということで、その2段階目というものが、今、政策的にはH3ロケットとのシナジー対応開発という中で、国際競争力を持たせた強化型イプシロンの次を考えるというものです。強化型イプシロンの結果を踏まえつつ、シナジー開発をやる中で国際競争力を持たせて、機能だけではなくてコスト的にも戦えるようなロケットとして仕上げていく取り組みが今始まるところです。申しわけないですが、特に今日は強化型の結果を持ってきておりますので、委員のご指摘には明確に答えられる内容にはなっておりませんが、方向性としてはそういう中で取り組んでいく所存です。

【白石部会長】 ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。

(「なし」の声あり)

【白石部会長】 それでは、これからもぜひJAXAのほうではイプシロン開発を進めていただければと思います。

(3)再使用型宇宙輸送システムの検討状況について

【白石部会長】 三つ目の議題に移りたいと思います。再使用型宇宙輸送システムの検討状況についてという議題です。宇宙基本計画等に基づいてJAXAで検討が進められている再使用型宇宙輸送システムの状況についてご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【JAXA(張替)】 私は、研究開発部門で研究戦略部長をしております張替と申します。本日はよろしくお願いいたします。
今部会長のほうからご説明がありましたように、我々研究開発部門では、宇宙輸送システム長期ビジョンに基づいて、再使用型宇宙輸送システムを実現するための世界に勝てる要素技術とそれをシステム的に使用する技術の研究を進めております。
本年度は、再使用型エンジンの2回目の実証燃焼試験を行うとともに、高度100メートル程度まで飛行して着陸させるという実験を予定しております。
また、効率的に飛行エンベロープを広げるために、CNES、DLRと共同で高度40キロメートルまで飛翔体を上げて、トスバックして帰ってくるという計画を進めているところです。
本日は、そのプロジェクトのチーム長をしている石本から現状の技術開発状況とその意義について説明させていただきます。

【JAXA(石本)】 石本と申します。よろしくお願いします。
JAXAにおける再使用型の研究状況を説明します。
資料48-3に基づいて説明を行った。

【白石部会長】 どうもありがとうございました。
これについて何かございますか。どうぞ。

【米本委員】 前回CALLISTOについていろいろ質問したことに対して、再度ご回答いただき有難うございます。私の当初からの質問は宇宙科学研究所のRV-Xとの関連性についでです。10ページに記載のCALLISTOについて、複数のエンジンをクラスター化して、サブスケール的と言うも、より大掛かりな飛行実証実験をやるのではないかと思っておりました。しかし、RV-Xのエンジンをそのまま1基積んで行う規模であれば、また更には日本が得意としている誘導制御のほとんどの部分を日本が分担するとのことですので、敢えてCNES、DLRと組む必要性はないのではないかという質問です。すなわち、宇宙科学研究所のRV-Xの機体構造を軽量化する等の方向で改善、発展させ、日本単独でやる研究開発のシナリオの可能性はないのかという指摘です。もう一度その点に関してご説明いただけないでしょうか。
それから、こうした大型の研究開発は、出口戦略が大事だと思います。しかし、H3以降の日本の基幹ロケットに於いてどのような出口戦略をイメージしていますかということに関しては、今、何も考えていないというご回答でした。
資料の15ページを見ていただいて分かる通り、CNESはCALLISTOの実証実験の後にPrometheusエンジンを開発していて、フルスケール実証機を開発して、再使用という形の実用機の開発可否の判定をするというシナリオを描いています。
しかし、JAXAはCALLISTOの実証実験後、その先はどうなるかわかりませんということでした。巨額の税金を使っての研究開発ですので、実用化を想定するようなシナリオを説明して戴きたかったと思っておりました。説明を丁寧に説明していただいたのは非常にありがたいですが、私が聞きたい内容はここには含まれていないと思いました。

【白石部会長】 どうぞ。

【JAXA(石本)】 まず、CALLISTOで国際協力をする必要性についてですが、技術成熟度の向上を狙いますと、ある程度の飛行範囲、高度に達する必要があると思っていまして、日本でそういった飛行実験場を確保するのが難しいだろうということで、現在実際にArianeロケットを運用しているギアナ宇宙センター、で、再使用型を運用するという経験を積むことで効率的に、かつ安全を配慮しつつ、彼らの運用方法などを学ぶ機会があるのではないかということです。また、エンジンを増やす等を単独で実施しますと、当然大きな予算が必要となります。残念ながら、そういった多額の予算が今得られる状況ではないと思っていますので、ここはスピードを優先して、3機関でシェアする形で効率的に進めたいというのがこの進め方です。
それから、技術に関しましても、DLRにはInstitute(インスティチュート、研究所)が多数ございまして、それぞれ特色のある技術を持っています。そういった特色のある技術を学ぶ機会があるだろうという点もメリットと考えております。例えば、降着装置です。DLRの中で惑星探査用に研究している部署があって、そこで使っている技術を今回降着装置の設計に使いますが、そういったあたりもJAXAとしては学べるところがあるのではないかという期待を持っていまして、このような狙いもあり国際協力をしているということです。
それから、出口戦略ですが、何もないというのは違っています。当然、H3の後の日本の輸送システムをどういうふうに発展させていくのかということをいろいろなレベルで検討していまして、CALLISTOの成果を使ってシステムを考えているところですが、こういった場でご紹介できるようなレベルには残念ながら達していないと考えていまして、今は入れていないということになります。検討はしていますが、まだご説明できる段階にないと思います。当然、ヨーロッパと似たような進め方をするということはあり得るかと思っています。

【白石部会長】 よろしいですか。
ほかに。はい、どうぞ。

【米本委員】 場所的な問題でしたら、使い捨てのロケットを打上げているという点では、ギアナであろうが種子島であろうが同じではないかと思いますが、いかがでしょうか。

【JAXA(石本)】 ギアナ宇宙センターは射場の広さという意味では全く違っており、その点で差別化しております。

【米本委員】 射場については理由がわかりました。資料の12ページに記載があるように、ほとんどJAXAがエンジンや誘導制御という技術的に大事な部分を分担します。CNESは、日本の技術を研究する機会を得ることになります。その上でCNESは次のステップのサブスケールを実施することになりますので、要するに日本技術を勉強するという戦略をCNESは持っているのではないかと思ってしまった次第です。やれるところはもっと日本独自にやってよいのではないかと思っての発言です。

【JAXA(張替)】 そこは全く違っていると考えております。我々は、分担としてはかなり重要な部分を占めていますが、CNESは、全体のシステム設計から射場に対する飛行安全、軌道計画を立てて飛行安全をどのように確保するか等をきちんと見ております。さらに、射場の整備ということで莫大な予算を費やして、我々の技術開発の成果を実証するためにやっていただいています。少なくとも我々が拠出している金額の2倍以上の金額をCNESは使っていると言っていますので、これを我々だけでやるというのは、スピード、コスト、効率性から考えて今の時代にふさわしくないと考えています。

【白石部会長】 はい、どうぞ。

【米本委員】 JAXAは優秀な基幹ロケットを打上げているわけですから、技術的な条件はそう大差はないと思います。場所的に何か、第三者の安全に関する条件的なものについて、ギアナと種子島は違うのかもしれませんが、飛行安全等の技術に関しては両国で全く同等ではないでしょうか。逆に、CNESのほうが圧倒的に日本以上の技術とノウハウがあるというように説明されるのには、違和感があります。

【JAXA(張替)】 我々のほうの技術が少ないと言っているわけではなく、シェアすることによって効率的に進めると、スピードとコストを下げて進めるということでご理解をいただければと思います。

【白石部会長】 ほかにございますか。

【JAXA(石本)】 将来の競争力につながるようなキーとなる部分、例えば先ほどの推進薬マネジメントのデバイスについては、見た目は相手方にもわかってしまいますが、それを設計する技術の肝の部分は当然開示をしませんので、そういったものは日本に残るとお考えください。

【白石部会長】 同じ質問ですか。これは水かけ論になりますよ。

【米本委員】 私は、JAXAの再使用型ロケットの研究開発を応援しているつもりで、また心配しているつもりで発言したとだけ言わせてください。
以上です。

【白石部会長】 はい、わかりました。
ほかに。はい、どうぞ。

【鈴木委員】 先ほどのイプシロンロケットのプロジェクトでもそうですけれども、例えば、再使用による低コスト化の効果みたいな部分、こちらの1キログラム当たりの値段みたいな部分でノーマライズして表現することもできるのかなと思います。
あとは低コスト化が閾値を超えたときにこういう世界が広がりますよというような点をうまく表現されると、メディアでの扱われ方などもよくなるのではないかと思うので、そこらあたりの考えがあれば教えてください。

【JAXA(石本)】 再使用による低コスト化がどのくらいまで進むかというのは非常に議論になっていまして、実際、スペースXが3年前から1段再使用していますが、10%ぐらいではないかというふうに見ています。一方それは単に価格の問題で、本当はもっと下げられるはずだと思います。現状、再使用による低コスト化については、当然スペースXの人たちはわかっていると思いますが、それ以外の人たちはほんとうに再使用でどれぐらい下がるかというのをわかっていない状況です。ここで一番問題になっていることは、戻ってきた機体やエンジンを整備するときの工数や所要日数などが一番わからないという点でありまして、実際に飛ばしたCALLISTOをもう一回飛ばすためにそういった作業をすることで、再使用だからこそ必要な部分、コストを見きわめたいと思います。

【鈴木委員】 これからこれぐらいまで整備に工数がかかるのではないかというところで幅を持たせてもよいと思います。数字が何もないよりは、これからこれぐらいの部分を見込んでいますぐらいでも、将来像のような部分やどれぐらいすごいことをしているのかみたいな部分の一部は定量性を持って伝えられるのかなと思いますので、ご検討いただければと思います。

【JAXA(石本)】 アドバイス、ありがとうございます。

【白石部会長】 ほかに何かございますか。

(「なし」の声あり)

【白石部会長】 なければ、ぜひJAXAではうまく進めてもらえればと思います。

【JAXA(石本)】 ありがとうございます。

(4)その他

【白石部会長】 それでは、事務局から何かございますか。

【事務局(原田)】 会議資料と議事録の公開について申し上げます。宇宙開発利用部会の運営規則に基づきまして、本日の会議資料は公開となります。後日、文部科学省のホームページに掲載させていただきます。議事録については、委員の皆様にご確認いただいた後、文部科学省のホームページに掲載させていただきますので、あらかじめご了解いただければと思います。
事務連絡としては以上です。

【白石部会長】 では、これで本日の議事は全て終了しましたので閉会したいと思います。どうもありがとうございました。

以上

(説明者については敬称略)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課