参考2-3 宇宙開発の現状報告(平成24年7月19日~平成24年9月5日)

平成24年9月6日
宇宙開発利用部会事務局

宇宙開発に関する国内の動向

・H-ⅡBロケット3号機/宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機について

 7月21日(土曜日)、JAXAは7月21日11時06分18秒(日本標準時、以下同じ)に、種子島宇宙センターから宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機(HTV3)を搭載したH-ⅡBロケット3号機(H-ⅡB・F3)を打ち上げたと発表した。
 ロケットは正常に飛行し、打上げ後約14分53秒にHTV3を分離したことを確認した。また、HTV3分離後、第2段機体の2回目の燃焼を行い、計画通り制御落下実験が行われたことを確認された。
 さらにHTV3は、国際宇宙ステーション(ISS)に向けて最終接近を実施した後、7月27日21時23分にISSロボットアームにより把持され、その後、7月28日2時31分にISSロボットアーム運用によりISSとの結合を完了した。

・観測ロケット(S-310-41号機)の打上げ結果について

 8月7日(火曜日)、JAXAは、小型インフレータブルカプセルの飛行実験を目的とした観測ロケットS-310-41号機を2012年8月7日16時30分00秒に、内之浦宇宙空間観測所から上下角81度で打ち上げたと発表した。
 ロケットの飛翔および搭載機器の動作は正常で、191秒に最高高度150kmに達した後、内之浦南東海上に落下した。
 搭載実験機の小型インフレータブルカプセルは、計画どおりロケットから分離・射出され、射出後約20分間にわたり、温度、圧力、加速度、姿勢等のデータおよび画像データを正常に地上局へ送信しながら降下を続けた。
 今回取得されたデータを用いて、詳細な解析が今後実施される予定。

・水循環変動観測衛星「しずく」の定常段階移行について

 8月10日(金曜日)、JAXAは、平成24年5月18日に種子島宇宙センターから打ち上げた水循環変動観測衛星「しずく」について、計画どおり初期機能確認を終了し、定常観測運用に移行したと発表した。
 今後は、地上観測データとの比較などによるデータの精度確認やデータ補正等を行う、初期校正検証を実施していく予定。

・JAXAシンポジウム2012「宙から視る、宙をつかう」開催について

 8月10日(金曜日)、JAXAは、JAXAシンポジウム2012「宙(そら)から視(み)る、宙(そら)をつかう」を、札幌(9月21日18時30分から道新ホールにて)及び福岡(9月19日18時からエルガーラホールにて)で開催する予定であると発表した。本シンポジウムでは、第一部『“水の惑星(ほし)”のメカニズムにせまる「しずく」』、第二部『宙(そら)を匠(つく)るひと~星出飛行士、宙(そら)に』の2つのテーマを取り上げ、今までに得られた成果やその先に目指す将来像が紹介される予定。

・北極海氷の面積観測史上最も速い速度で縮小中9月にも史上最小の恐れ 

 8月22日(水曜日)、JAXAは、5月18日に打ち上げられた水循環変動観測衛星「しずく」搭載の高性能マイクロ波放射計2(AMSR2)で、7月から8月にかけて北極海氷の様子を観測し、8月に入り急速に融解・消失していく様子を捉えたと発表した。観測史上最も速い速度で北極海氷の縮小が続いており、このまま縮小が続けば、9月には2007年の最小面積記録を更新する可能性も考えられると発表した。

・北極海海氷の観測データ解析結果について~北極海海氷の面積 観測史上最小に~

 8月25日(土曜日)、JAXAは、水循環変動観測衛星「しずく」搭載のマイクロ波放射計が観測した海氷データを解析した結果、今年の北極海の海氷が観測史上最も小さい面積を記録したことを確認したと発表した。北極海氷の面積は、衛星観測史上最小だった2007年(425万平方キロメートル)より下回り、8月24日現在で、421万平方キロメートルまで縮小した。

・星出彰彦宇宙飛行士による2回目の国際宇宙ステーション(ISS)における船外活動の実施と、これに伴う宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機(HTV3)の係留延長について

 9月3日(月曜日)、米国航空宇宙局(NASA)及びJAXAは、8月30日に行った船外活動に引き続き、星出彰彦宇宙飛行士とNASAサニータ・ウィリアムズ宇宙飛行士による2回目の船外活動(EVA)を実施することを発表した。また、この船外活動の実施に伴い、「こうのとり」3号機(HTV3)の係留期間が延長されることになった。
 9月5日20時6分から実施した2回目の船外活動では、30日に完了できなかった電力切替装置の予備品を取り付ける作業や、ISSのロボットアームのカメラ・照明装置の交換作業を完了し、9月6日午前2時34分、船外活動を終了した。

・国際宇宙ステーションから世界で初めて回収された新種の地球外物質について

 9月3日(月曜日)、JAXAは、JAXAが開発し、ISSの「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)外部に搭載した微小粒子捕獲実験及び材料曝露実験(MPAC&SEED)において、これまでにない鉱物学的特徴を持つ新種の地球外物質(「Hoshi」と命名)を回収したことが判明したと発表した。
 今回、惑星間塵や微隕石と成因的な関係があり、かつ、今までに見出されていない組織と鉱物組成を持つ微小粒子の発見は世界初となる。

宇宙開発に関する海外の動向

・ロシア、ソユーズロケットによる「カノープスV1」等衛星5機の同時打上げに成功 【露】

 7月22日(日曜日)6時41分(世界標準時、以下同じ)、ロシアはバイコヌール宇宙基地からソユーズFG/フレガトロケットによるロシアの地震予測・大気観測衛星「カノープスV1」、ベラルーシの地球観測衛星「BelKA-2」、ロシアの小型地球観測衛星「MKA-FKI-1」、ドイツ航空宇宙センターの技術実証衛星「TET-1」及びカナダのコムデブ・インターナショナル社の小型通信衛星「exactView-1」の同時打上げに成功した。

・中国、長征3Cロケットによるデータ中継衛星「天鏈1C」の打上げに成功 【中】

 7月25日(水曜日)15時43分、中国は西昌衛星発射センターから長征3Cロケットによるデータ中継衛星「天鏈1C」の打上げに成功した。

・ロシア、ロコットロケットによる通信衛星「ゴネッツM」等4機の同時打上げに成功 【露】

 7月28日(土曜日)1時35分、ロシアはプレセツク射場から、ロコット/ブリーズKMロケットによる通信衛星「ゴネッツM」2機、軍事衛星「コスモス2841」、及び小型技術実証衛星「MiR」の計4機の同時打上げに成功した。

・ロシア、プログレス補給船M-16M(48P)の打上げに成功 【露】

 8月1日(水曜日)19時35分、ロシアはバイコヌール宇宙基地より、ソユーズUロケットによるプログレス補給船M-16M(48P)の打上げに成功した。翌2日1時18分には国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングした。

・仏、アリアン5ロケット、静止通信衛星「Intelsat-20」、「Hylas-2」の同時打上げに成功 【仏】

 8月2日(木曜日)20時54分、仏アリアンスペース社はギアナ宇宙センターより、アリアン5ロケットを打上げ、米インテルサット社の静止通信衛星「Intelsat-20」及び英アバンティ社の静止通信衛星「Hylas-2」の所定の軌道投入(静止トランスファ軌道)に成功した。

・NASAの火星探査ミッション「MSL」のローバ「キュリオシティ」、火星に着陸 【米】

 8月6日(月曜日)5時32分、NASAの火星探査ミッション「Mars Science Laboratory(MSL)」のローバ「キュリオシティ」が、火星のGaleクレータ中央にあるSharp山(高さ約4.8km、直径約154km)の麓に着陸した。

・プロトンM/ブリーズMロケット、通信衛星「エクスプレスMD2」、「テルコム3」の打上げに失敗 【露】

 8月6日(月曜日)19時31分、ロシア連邦宇宙庁(FSA)は、プロトンM/ブリーズMロケットによるロシア衛星通信会社(RSCC)の通信衛星「エクスプレスMD2」及びインドネシアの通信事業者PTテルコム社の静止通信衛星「テルコム3」の軌道投入に失敗したと発表した。

・ブラジル、試験ロケット「FTB」の打上を実施 【伯】

 8月9日(木曜日)、ブラジル宇宙庁(AEB)は、試験ロケット「FTB」の打上げを、8日アルカンタラ打上げセンター(CLA)で実施したと発表した(同打上げは、FTBの打上げ認定証明の獲得と、将来の衛星打上げ用ロケット「VLS-1」等の打上げに必要な技術データの取得を目的に実施)。

・シー・ロンチ社、静止通信衛星「インテルサット21」の洋上打上げに成功 【露】

 8月19日(日曜日)6時55分、シー・ロンチ社はオデッセイ海上プラットフォームより、ゼニット3SLロケットを打上げ、米インテルサット社の静止通信衛星「インテルサット21」の所定の軌道投入(静止トランスファ軌道)に成功した。

・米ULA社、アトラス5ロケットによるNASAの放射線帯探査ミッション「RBSP」の打上げに成功 【米】

 8月30日(木曜日)8時5分、米ULA社はケープカナベラル空軍ステーションより、アトラス5ロケットを打上げ、NASAの放射線帯探査ミッション「Radiation Belt Storm Probes(RBSP)」の所定の軌道投入に成功した。

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-- 登録:平成24年09月 --