参考資料2 合同コアチーム中間報告を受けての核融合研究作業部会の見解

合同コアチーム中間報告を受けての核融合研究作業部会の見解

平成26年6月24日
科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会
原子力科学技術委員会 核融合研究作業部会

 

 核融合研究開発の目標である核融合エネルギーの実現のためには、ITER(実験炉)の主要な基本性能が達成される時期までに原型炉設計段階に移行することを目標とした具体的な検討が不可欠であり、世界の主要国においても、ITER計画等の進捗を踏まえつつ、それぞれ原型炉開発に向けた動きが見られるところである。

 我が国においても、第6期の本部会において取りまとめた、「核融合原型炉開発のための技術基盤構築の進め方について(平成25年1月)」において、原型炉開発に向けて解決しなければならない重要課題を整理し、核融合研究開発に関わるコミュニティに、さらに検討を進めることを求めた。これを受けて、核融合コミュニティ内に「核融合原型炉開発のための技術基盤構築の中核的役割を担うチーム」(以下、「合同コアチーム」という。)が昨年7月に結成され、予備的な検討活動を開始しており、本年2月の作業部会において合同コアチームから中間報告の説明がなされたところである。

 当作業部会として、この中間報告に対するコミュニティの代表的意見も聴取した上で、今後の原型炉開発の技術基盤構築の在り方について審議を行い、以下の意見をまとめた。

 中間報告では、まず、原型炉の概念について、「原型炉は核融合エネルギーが他のエネルギー源と競合可能な経済合理性と社会的合理性を達成できる見通しを示すことを目的とし、核融合エネルギーの実用化に備え、数十万kWを超える定常かつ安定な電気出力、実用に供しうる稼働率、燃料の自己充足性を満足する総合的なトリチウム増殖を実現することを目標とした上で、マイルストーンを定めた計画(ロードマップ)を構想すべきではないか。」とされているが、この方針は妥当と考えられる。合同コアチームにおいては、今後、次の点に留意し、原型炉開発技術基盤構築に関する総合的な戦略の構築に向け、引き続き検討を進めていただきたい

・原型炉が満たすべき条件として、経済的合理性と社会的合理性は当然のことながら、最も基本的な条件である技術的成立性についての厳しい吟味が前提となることに留意すべきである。
・ITER、BA活動などの現行のプロジェクトの成果がいつ、どこまで見込めるのかについても、しっかりとした議論が行われ、コミュニティの中で共通認識が形成される必要がある。
国際協力で進めることと国内で進めることを選別し、手順と時系列、その実施主体を明らかにすべきである
・核融合コミュニティ内の閉じた議論にとどまらず、原子力・材料・工学をはじめ、社会経済分野なども含めた広い分野の専門家をもっと巻き込み、研究開発や人材育成において緊密な協力関係を構築すべきである。
実現可能性を十分に考慮した原型炉概念を主案として追求するとともに、(プラズマ運転、保守などにおいて)飛躍的なイノベーションの源となる画期的な工夫や新材料の開発などにも注力すべきである。

 今後、合同コアチームが特定した重要技術課題を解決していくためには、今以上に関連学協会との連携を強化するなど全国の大学及び産業界を巻き込み、オールジャパン体制で研究開発活動を戦略的に調整することが不可欠である。さらに、安全・環境に関わる社会の要請の観点からの核融合エネルギーの評価を進めることが、原型炉概念を構築し、発展させていく中で産業界の参画、ひいては国民の理解を得るためにも不可欠である。これらの取組を実施していくためには、コミュニティ全体を俯瞰(ふかん)する視点を持って、常に全体戦略の最適化が図られる体制の構築が緊要であり、このため政府のリーダーシップを期待する

 また、今後、我が国が原型炉実現に向けて世界をリードしていくためにも、核融合コミュニティが原型炉開発の技術基盤構築にオールジャパン体制で取り組むことで、早期に原型炉開発のロードマップ作成段階へと移行していくことを期待する。

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齊藤
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