資料2 核融合研究分野における推進方策について(案)

平成23年9月14日
原子力科学技術委員会

原子力科学技術の推進方策について <中間取りまとめ(案)>

目次

1.基本的考え方

 (1)推進方策の目的・位置付け
 (2)課題領域と検討の視点

2.我が国の重要課題達成に向けた当面の重点的取組

<課題領域1「震災からの復興、再生、安全性の向上」>

    ○放射性物質による汚染からの環境回復に関する技術開発
   ○ロードマップへの対応
  ○原子力施設の廃止措置技術

<課題領域2「環境・エネルギー」(グリーン・イノベーション)>

    ○核融合研究開発

<課題領域3「医療・健康・介護」(ライフ・イノベーション)>

   ○放射線被ばく医療研究
    ○放射線の医学的利用

<課題領域4「安全かつ豊かで質の高い国民生活」>

    ○原子力安全研究
    ○放射性廃棄物の処理・処分

<課題領域5「科学技術基盤」>

    ○量子ビームテクノロジー研究開発・利用促進

<課題領域6「国際的取組」>

    ○保障措置、核不拡散、核セキュリティに関する研究開発 

3.政策の方向性を踏まえながら検討を要する課題について

    ○高速増殖炉サイクル技術
    ○高レベル放射性廃棄物等の地層処分技術
    ○使用済燃料再処理技術

4.原子力科学技術を支える施策

(1)原子力の基盤・安全を支える基礎研究
(2)人材育成
(3)社会との関係・コミュニケーションの深化 

1.基本的考え方

(1)推進方策の目的・位置付け

   我が国の原子力の研究開発は、原子力基本法の定めるところに従い、また「原子力政策大綱(平成17年10月)」とともに、第3期科学技術基本計画の下で総合科学技術会議が策定した「エネルギー分野の分野別推進戦略」や、エネルギー政策基本法に基づく「エネルギー基本計画」等も踏まえながら、進められてきた。
   一方、本年8月に策定された「第4期科学技術基本計画(以下、「第4期基本計画」という。)」において、これまでの重点推進4分野及び推進4分野に基づく研究開発の重点化から、重要課題の達成に向けた施策の重点化へ方針を大きく変換されたことを踏まえ、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の下に置かれた各委員会は、第4期基本計画で示された重要課題の達成に向けた研究開発等の推進方策について検討を行うことが求められている。
このため、本推進方策は、第4期基本計画で示された重要課題のうち文部科学省における原子力科学技術と密接に関連するものに関して、その達成に向けた重点取組を課題領域ごとに提示するものである。

  しかしながら、本年3月11日に発生した東日本大震災、特に東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえ、原子力の研究開発を含む今後の原子力政策の在り方については、全体的なエネルギー政策の検討が進められる中で、政府で議論されることとなり、エネルギー・環境会議において「革新的エネルギー・環境戦略」策定に向けた検討が進められるとともに、その議論を踏まえながら、原子力委員会においても「新原子力政策大綱」の策定に向けた検討が再開され、今後1年を目処に新大綱を取りまとめることとされている。このような状況を踏まえ、第4期基本計画においても、高速増殖炉サイクル等の原子力に関する技術の研究開発については、我が国のエネルギー政策や原子力政策の方向性を見据えつつ実施し、核融合の研究開発については、エネルギー政策や原子力政策と整合性を図りつつ、同時にその技術の特性、研究開発の段階、国際約束等を踏まえながら推進することとされている。
  一方、福島第一原子力発電所事故の早期収束とともに、放射性物質による環境汚染に対する不安の解消に向けて、今回の事故についての科学的な検証等とともに、緊急に解決すべき技術課題への取組の加速、強化が求められている。さらに、第4期基本計画においても、今回の事故を踏まえ、科学技術の現状と可能性、その潜在的なリスク等についての情報を迅速かつ十分に国民に提供していくことや、多層的かつ双方向のリスクコミュニケーション活動等の促進の必要性が指摘されている。

   このような事情を踏まえ、本推進方策では、東日本大震災からの復興・再生、そしてこれまで以上に「社会のための、社会の中の科学技術」という観点を踏まえつつ、第4期基本計画期間(平成23~27年度)のうち当面の間(1~2年程度)、重点的に取り組むべき課題と、政策の方向性を踏まえながら検討を要する課題に分けて、それぞれの対応方策を提示することとし、3年目以降の方策については、政策の方向性を踏まえながら、引き続き検討を進めることする。

(2)課題領域と検討の視点 

第4期基本計画を踏まえ、原子力科学技術において、当面の間、重要と考えられる課題領域を

  1. 震災からの復興・再生の実現
  2. 環境・エネルギー(グリーン・イノベーション)
  3. 医療・健康・介護(ライフ・イノベーション)
  4. 安全かつ豊かで質の高い国民生活
  5. 科学技術基盤
  6. 国際的取組

に大別し、上記6つの課題領域において、重点的に取り組むべき研究開発課題と方策を次章に示す。

なお、各推進方策の検討にあたっては、以下の点に留意しつつ課題等を整理する。

  • 東京電力福島第一原子力発電所事故の収束・検証、被災地の復興支援に係るものについて、重点的に推進すべきもの。
  • エネルギー・原子力政策の方向性を踏まえて取り組むべきもの。
  • 原子力安全確保の観点から取り組むべきもの。
  • 国際競争力や技術基盤の維持等の観点から、継続しないと国益を損ねると考えられるもの。
  • 国際約束に基づくものや国際社会において責任をもって取り組むべきもの。
  • オールジャパンとして、府省間連携、産学官連携、一体としての取り組むべきもの。
  • 必要な人材の投入・確保と、活動拠点の形成・増強に向けての取組み。
  • 課題解決のため学際研究・分野間連携の在り方。
  • 社会・地域との共生の状況、在り方。

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研究開発戦略官付(核融合・国際原子力協力担当)

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