原子力科学技術委員会 核融合研究作業部会(第30回) 議事録

1.日時

平成24年5月31日(木曜日)13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省13階3会議室

3.議題

  1. 今後の核融合研究開発の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

小森主査、疇地委員、石塚委員、岡野委員、小川委員、尾崎委員、金子委員、笹尾委員、髙津委員、東嶋委員、平山委員、堀池委員、森委員(予定)

文部科学省

坂本研究開発戦略官、中田補佐、飯嶋核融合科学専門官、山田科学官、門学術調査官

5.議事録

【小森主査】  それでは、ちょっと時間が早いようですけれども、ただいまから第30回核融合研究作業部会を開催させていただきます。

 今日の出欠ですが、今日は大島先生から御欠席という連絡をいただいております。それから、堀池先生は少し遅れて来られるということですので、よろしくお願いします。

 委員の交代があります。3月31日付けで日本原子力研究開発機構の二宮先生が退職されたため、今回から本作業部会の委員としまして、日本原子力研究開発機構の森委員(予定)に審議に加わっていただくことになります。それから、事務局の方にも異動がございます。片岡戦略官の後任としまして、坂本研究開発戦略官、それから西山専門官の後任としまして、飯嶋核融合科学専門官が新たに着任されましたので御紹介します。

 それでは、まず、森先生の方から一言お願いします。

【森委員】  日本原子力研究開発機構核融合研究開発部門長をやっております森でございます。今回初めて参加させていただくということで右も左も分かっておりませんので、よろしくお願いいたします。

【坂本戦略官】  文部科学省研究開発戦略官の坂本です。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。私、核融合を担当するのは初めてでございますが、核融合エネルギーというものを今一生懸命勉強を、各プロジェクト、あるいはさまざまな研究現場での活動を勉強させていただいているところでございます。そういった中で、核融合という分野は、はっきり言いますと、原子力を取り巻く状況は非常に厳しいものがございますけれども、この核融合エネルギーというものは水素を使う、資源的にも非常にすぐれた特徴を持ち、かつ、固有の安全性を持つということで有望なエネルギー源であると。将来、世界の人口が今急増しておりますけれども、エネルギー需要もどんどん伸びていくことが予想される中で、気候変動問題の対応も含めて、どうエネルギー問題を解決していくかという中で、この核融合エネルギーは非常に重要な選択肢であるということを、これは政策的にはこれまでもたびたび議論され、その意義は強調されてきたと。その意義は全く変わっていないと。今後ますます重要になるだろうというふうに私は考えております。

 そういった認識は、今、国際協力プロジェクトで進められておりますITER計画というものにも反映されていると思いますけれども、そういった政策的にいいというものを、さまざまな現場で御活躍されている先生も活動の状況と結びつけながら、着実に研究が進展していくように、政策的な意義もきちっと社会的に認められて、この研究が発展していくように、さらには、エネルギー源としての実現というのも重要でございますけれども、核融合というのは、私の理解では高エネルギー物理といいますか、高エネルギー密度の科学のための総合技術であると、そういった側面を持つと。それは言いかえれば、非常に幅の広い応用展開というものの可能性も秘めた研究分野であるというふうに理解しておりまして、さまざまな側面からこの分野の研究の発展、あるいは人材の育成というものを進めていくように努力したいというふうに思っておりますので、引き続き委員の先生方の御指導を是非よろしくお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【飯嶋核融合科学専門官】  4月1日付けで核融合科学専門官として着任いたしました飯嶋でございます。よろしくお願いします。

【小森主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、本日の議事について御紹介いたします。本日は最初に、今後の核融合研究開発の在り方についてを、(2)でその他を御審議いただく予定になっています。

 それでは、配付資料の確認を事務局からお願いします。

【飯嶋核融合科学専門官】  お手元に資料をお配りしておりますが、議事次第に4.配付資料とあります。資料1から参考資料4までございますが、御確認いただきまして、過不足等ございましたら、お申し出いただければと思います。お願いいたします。

【小森主査】  最初の議題は、今後の核融合研究開発の在り方についてです。原型炉に向けた9項目の技術課題について今後議論を進めていく予定ですが、まず、今後の作業部会の進め方、審議スケジュールにつきまして、事務局から、資料1及びお手元にありますファイルにより説明をお願いします。

【飯嶋核融合科学専門官】  それでは、御説明いたします。ただいま小森主査からお話がございましたけれども、本日から各個別課題の議論に入らせていただきたいと思ってございます。今回は、前回の部会からしばらく時間があいてございますので、若干なぜこのような議論が必要なのかというようなことを復習させていただきたいと思います。

 まず、核融合科学研究を進める過程におきまして、実験炉の段階から原型炉への移行に向けて重要な部分があるわけでございますけれども、お配りしております机上ファイルの4番に今後の核融合研究開発の推進について、方策についてという資料の60ページを御覧いただけますでしょうか。本日、説明者としてお越しいただいている先生方には、机上配付資料として、その部分のコピーを一部置いてございますので、封筒の外に置いてあったと思いますけれども、御覧いただければいいかと思います。

 資料によりますと、「今後の核融合研究開発のチェック・アンド・レビュー項目」というのが示されてございます。この項目の1から3につきましては、基本的にこれからITERで実施していくということになるかと思います。4につきましては、JT-60SAによって取り組んでいくと。5につきましては、BA活動などによって取り組んでいくということになるわけでございますけれども、6番の原型炉の概念設計というものにつきまして、具体的にどのように取り組んでいくのかというのが明確になっておりませんでしたので、その点を今回、核融合研究作業部会で課題等を含めて議論していくということにさせていただくことになっておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、今後どのような課題をどのようなスケジュールでやっていくかということにつきましては、資料1を御覧いただけますでしょうか。「今後の審議予定日及び審議事項」で整理させていただいております。本日が5月31日、第30回でございます。具体的な審議課題につきましては、本日の参考資料2におきまして、前回了承いただきました「今後の核融合研究開発の在り方に関わる審議事項」という1から9までの課題につきまして議論していくことになるかと思います。本日は、1.原型炉概念の構築と設計作業、5.にあります理論・計算機シミュレーション研究、6の炉心プラズマ研究を実施させていただきたいと思います。

 7月12日以降、31回目以降ですけれども、そのスケジュールにつきましては、小森先生と御相談させていただきまして、この資料のとおり決めさせていただいております。九つの具体的な課題を7月31日の第32回までに行いまして、9月に第33回、本日行います1の原型炉概念の構築と設計作業につきまして再度議論させていただくとともに、それ以外の積み残しの議論があれば、この回で議論させていただきたいと思います。11月の34回、12月の35回で中間報告書を審議させていただきまして、1月の36回で報告書の承認というようなスケジュールにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

【小森主査】  ありがとうございました。

 今の御説明に対しまして、御質問や御意見がありましたらお願いします。よろしいですか。

 それでは、討議に入らせていただきます。先ほど御説明がありましたように、今日は原型炉概念の構築と設計作業、理論・計算機シミュレーション研究、炉心プラズマ研究の3項目について議論する予定です。各項目を説明していただくために、JAEAから飛田先生、NIFSから相良先生、レーザー研・乗松先生、京大・福山先生、JAEA・鎌田先生、NIFS・竹入先生に有識者としてお越しいただいておりますので、よろしくお願いいたします。

 早速、最初の原型炉概念の構築と設計作業について、JAEAの飛田先生からお願いいたします。15分でお願いします。

【飛田グループ長】  原子力機構の飛田でございます。

 トカマク型の原型炉概念の構築と設計作業について説明いたします。事前に具体的な検討事例を念頭にという御指示をいただきましたので、そこで取り上げられていたいくつかの検討課題の背景とその考え方について御紹介したいと思います。

 まず、2ページを見ていただきたいと思いますが、「一定の経済性」をどう理解するかということです。「一定の経済性」は、推進方策の中に文言として書かれるもので、この「一定の」の理解が非常に難しいと。設計の立場から「経済性」と言ったときに、まず頭に思い浮かぶのはCost of electricity、COEでございます。核融合炉のエネルギーコストを総発電量で割ったものでございますが、分母のところのfavというのを見ていただくと分かるように、設備利用率をどう高めるかというのが一つの重要になります。設備利用率は、保守、あるいは定期交換に要する所要時間と定格運転の割合にブレークダウンすることができます。

 この定義だけでは建設コスト、運転を維持するためのコストと電気出力が結びつきませんので、炉設計から導いたCOEのスケール則というのがありまして、その下にあるように、ベータ値、磁場強度、熱効率が深く関与していることがわかっております。これ以外に、廃棄物の処分のコストを入れるとか、あるいは環境対策のために社会が負担するコストを入れるとかいう考え方もありますが、通常はそれらのコストはわずかなもので、大体は右に書いてあるような四つの要素で決まると考えてよろしいかと思います。

 次のページは、エネルギー利用の多様性にどう対応するかという考え方の例がまとめてあります。原型炉では発電実証がまず第1の目標であり、これ自体、非常に重要な意義があって、決して過小評価されるべきものではありませんが、一方で将来のエネルギー利用形態の多様性に対応するために、発電以外の利用を核融合炉でも考えるべきだという議論は以前からあります。

 例えば、水素製造や、石炭のガス化・液化などが多様性の例というふうに言うことができます。このようなエネルギー利用の多様性を考える場合には、炉から取り出す冷却材の温度がキーになっていまして、原型炉では、フェライト鋼、固体ペブル、それから加圧水を組み合わせたブランケットで高温蒸気を取り出し蒸気タービンを回すというのが基本的な設計になるわけですけれども、多目的利用のためには1,000℃程度の冷却材を取り出す必要があります。したがって、ある段階で原型炉を改造して多様性に対応しようと思うと、構成材料も含めブランケットを大々的に変更する必要があります。

 このときの問題は、改造の影響はブランケットだけにとどまらず、炉の外回りにある膨大な配管の集合体も同時に置きかえることが必要になり、現実味が薄れることです。個の問題に対処するには、ITER-TBMと同じような考え方で、ブランケットの一部だけ先進ブランケットに入れ替えて多目的利用に向けた技術開発を行うという考え方があろうかと思います。

 次のページを御覧ください。もう一つの重要な要素は、安全と保守にどう配慮して、設計に反映していくかということでございます。安全性はITERと同様の考え方になるでしょうが、保守という観点では原型炉は視点が変わってまいります。ここでいう保守は信頼性、利用率、保守、検査を含めて広義で言っております。例えば4番目の項目の加熱・電流駆動というところを見ていただくといいと思いますけれども、原型炉では年オーダーの連続運転が求められます。その結果、これらの機器にはメンテナンスフリーであるとか、CW運転のための信頼性が必要になります。

 もう一つの保守の視点として、ブランケットとかダイバータを見ていただくといいのですが、放射化を伴うアクセス性の制約のもとでの定期交換があります。ここでも信頼性が求められるのですが、その実現のためには、機器にかかる荷重や応力、繰り返し負荷、故障モードを理解して、適用すべき規格や基準を定め、信頼性を高めるような設計・製作をしていく必要があります。

 これらの規格や基準の運用は、原型炉設計の初期段階から考慮する必要がありますが、実は研究開発側はあまり詳しくないという事情があって、メーカーが設計の初期から関わってくることが不可欠です。

 次のページからはBAとそれ以降の設計活動と体制、人材育成を説明する資料になっております。まず5ページですが、既存の原型炉概念の考え方と、BAでの進め方の違いを説明しています。これまでの原型炉設計は、SSTRはちょっと時代が古いので事情が違いますけれども、推進方策で基本的にこれらの条件を満足してほしいという要求があって、それを満足するような炉設計が行われてきたわけです。一方、ブローダーアプローチの活動ではむしろボトムアップのアプローチをとっており、ITER、JT-60SA、あるいはR&D開発によってどのような技術基盤が与えられて、さらに今後の技術の伸びしろを見込んだときに、どこあたりの原型炉が実現可能かというような概念検討作業をしているわけです。

 もちろん、最終的には推進方策で求められるところを満たそうと努めることになります、このボトムアップアプローチで重要なことは、どの項目が厳しい要求なのか、あるいは易しい要求なのかを理解することにあります。この要求項目をちょっと緩めてやると設計の領域がこんなに広がるとか、あるいはこの技術の開発を進めるとほかの技術の問題が解消されますよというように、設計を拡がりで理解できるようになるということです。

 次のページはブローダーアプローチ計画で進めている原型炉設計の状況ですが、2011年から日欧共同作業に入りました。現在は共同作業の2年目ということで、今後設計で使うシステムコードの整備と、それから設計でキーになる重要課題の分析、比較検討を行っているところです。最終的には原型炉概念案を構築しようとしていますが、今のところヨーロッパはパルス炉に非常に関心を持っていて、他方、日本は定常炉を目指すべきと考えておりますので、なかなか意見を集約できなくて、最終的には複数の原型炉概念が出てくると予想しております。

 7ページの左側にある項目は、今後この作業部会で議論していく項目になりますけれども、これらに対して原型炉設計の立場からどういうインプットを期待しているかというのをまとめたものです。全部は説明いたしませんが、例えば3番目にあるダイバータ、これは原型炉設計で非常に重要と考えています。原型炉ではITERと比べるとハンドルする熱量が数倍になりますので、ITERのダイバータをそのまま適用することはできなくて、何らかの改良、あるいは拡張が必要になります。この試験をどこで行うかというのが現在の核融合の開発計画の中でクリアに見えません。もちろん、JT-60SAを改良して対応する案も考え得ると思いますので、実施可能かどうかも含めて、その辺は十分に開発戦略を練ることが必要になります。

 あとは、ダイバータに関係しますけれども、下から2番目のプラズマ対向材料をどのように開発していくかということでございます。原型炉ではイオンと中性子の同時照射、しかも重照射環境になりますので、このような対向材料の試験環境をどこに求めるかというのが、まだ核融合の計画で十分見えていないところです。あと理論・シミュレーションです。これは括弧付きで書いてあって、原型炉設計からの要望が弱いように見えますが、そうではなくて、炉設計に使えるシミュレーションコードが存在しないという実情を考慮して括弧書きしてあるわけです。そういう意味では、理論・シミュレーションを現在よりも数段強化して、整備を図っていく必要があると思います。原型炉設計のある段階ではシミュレーションによる炉心プラズマの予測が必要になってまいりますので、ここをぜひ強化していただきたいと思います。理想を言えば、可及的早期にシミュレーションコードが開発されて、JT-60SAや、あるいはITERを使ってコードの検証ができ、そこを起点にして原型炉の予測精度を高めていくというような状況が実現して欲しい。そうすれば、設計は非常にしやすいし、信頼性も上がってまいります。

 次のページは原型炉設計の展開を示したものです。BAの後は概念設計、工学設計段階というふうに進んでまいります。下の図は、仮想的に2040年に原型炉の運転を開始するとして、概念設計、工学設計はどのフェーズでやるべきかというスケジュールを書いたもので、それほど精度はありませんが、このように段階が進むにつれて設計は細部に入ってまいりますし、精度も要求されるようになります。したがって、重要なことは、図の太い矢印で書いてあるとおり、実際の機器開発や製作、あるいは設計で経験を積んだ人が原型炉の設計に流れてくるという人材のフローとそれに伴う技術のフローです。例えば、JT-60SAの建設で経験を積んだ人をBAの原型炉設計の終盤に取り込む、あるいはITER建設の経験者を概念設計の本格化する時期に取り込むというような人材のフローが非常に重要であろうと思います。

 最後のページは、BA後を見据えて、どのような組織体制と人材が必要かというのを示したものです。上に書いてあるのは、ITERとその前段階になるINTOR設計活動の事例であり、ここで言いたいのは、スタッフの規模とメーカーがどのように関与してきたかということでございます。ITERの概念設計が3年という短期で完了したのには、その前にINTORという設計段階があって、その資産である組織と人材をそのまま利用できたことが効いていると思います。

 したがって、原型炉でもこういう流れが必要なのですけれども、現在の体制は、規模、それからメーカーの参画という意味で非常に限定的であって、概念設計段階への移行は困難な状況と言わざるを得ません。5年から10年中長期のスパンで考えると、先ほども申しましたが、建設あるいは設計で経験のある人の人材のフローに留意することがまず重要ですが、それ以外に原型炉の後は実用化を視野に入れる必要がありますので、どうやって技術を産業界に移行するかという視点も重要になります。したがって、BA後は産業界が中心になって技術継承を行いながら、設計、建設を含めて体制を考える必要があります。

 ロードマップ等検討ワーキンググループの受け売りになりますけれども、実施機関と連携して設計・製作等を行う総合調整会社を組織するというのも一つの考え方でございます。あと短中期、これは5年以内ということで言っているのですが、国内のリソースというのは現在限られておりますので、さまざまな専門性を持った研究者、あるいはメーカーの技術者が連携して設計に取り組める状況をつくるのが重要であろうと思います。共同の設計オフィスを考えるというのも一案です。例えば原型炉をつくるとなるとある段階には、トカマクでいくのか、あるいはヘリカルにするのかという議論が必要になるでしょう。

もし、共同設計オフィスが中立な立場で炉概念の評価を行えるならば、共同設計オフィスに議論のための材料の提供の役割を担わせることも可能ではないかと思います。

 以上で説明を終わります。

【小森主査】  ありがとうございました。

 引き続きまして、相良先生からお願いします。10分でお願いします。

【相良教授】  それでは、同じく原型炉概念の構築と設計作業ということで、ヘリカル炉についてお話しさせていただきます。

 初めにヘリカル炉の特長を生かした設計指針を話させていただきます。これは我々が進めています活動事例でございますが、これにつなげまして、今回、具体的な検討事例に対応するような形でお話ししなさいということでございますので、できるだけそれに対応した形で、まず設計での重要な概念、BAとの接続性、工学設計に向けたR&D項目の絞り込み、工学設計活動に入るための評価と検証、および設計体制の構築と規模、という順序でお話ししたいと思います。

 次のページでございますが、まず、ヘリカル炉の特長を生かした設計指針ということで今我々進めているところでございますが、大きくは三つありまして、高いエネルギー増倍率。これは電流駆動等の還流エネルギーが不要ということでございまして、これは下のポンチ絵の左側のところに細かく書いてございますけれども、プラズマ電流を必要としないということで、定常運転が可能であるということで、よく御存じのことだと思いますが、この2点が大きな特長でございます。

 もう一つは、材料への負荷が非常に低いということで、ポンチ絵の右側で、一番下に大型化という言葉で書いてございますけれども、要するにブランケットへの負荷が低くできるということで長寿命化ができる。もう一つは、右上のところにありますが、ダイバータに関しましては、中性子の遮へいがうまくできる構造になっておりまして、直撃を回避するということで、同じく低負荷ということで、結論としまして、「長寿命」という言葉が出てくるわけでございます。

 これに関しまして、次のページで御説明いたしますが、ここで申し上げたいのは、概念設計で重要な概念はという問いがありましたが、ここでは長寿命化へのシナリオが設計の中に含まれているかという点が重要であると申し上げたいと思います。これはいわゆる堅牢性、それから保守交換に伴う作業頻度が少なくなるということに伴ういろいろなリスクが低減できるということがまず一つ安全性の向上につながります。

 もう一つは、長寿命化でございますので稼働率を上げられる。交換保守に時間を割かない。それから、もちろん廃棄物が減らせるということで、ともにこれも経済性の向上につながるということでございまして、現在の設計の一つの例で示してございますけれども、先ほど申しましたように中性子壁負荷が低減できるということで、我々一貫しまして、非常に低い壁負荷を設計の指針にしてきてございます。もう一つ、ダイバータについて申し上げましたけれども、中性子遮へいができるということで、これも長寿命化につながります。熱負荷に関しましても、いわゆる放射冷却、デタッチをしなくても現在低くできていますので、これがさらに低減できる可能性があります。

 コストに関しましては、先ほど飛田さんの方からCOEの話がございましたけれども、我々が見積もっていますのは、おおむね5,000~7,000億ということでございますけれども、これは普及後のコストでございまして、実際は開発の場合はもっと上がるでしょうということです。この辺はロケット開発でのコスト低減に非常に類似していると私は考えていまして、商用に向けてはいわゆる安全というだけではなくて、「一定の経済性」というのが当然あるだろうと考えております。

 次のページ、これらを具体化するためのR&Dというのが必要でございまして、我々の研究所は五つの大規模実験研究による工学基盤の構築というものを目指しまして、ヘリカル炉に固有、それからLHDの特色を生かしまして長寿命化に向けた、原研機構さんと相補的な取り組みを長期的に進めようということで計画してございます。一つは、(1)でございますが、低放射化材料、それから2番目の超伝導ヘリカルマグネット、3番目の高熱流プラズマ対向壁研究、いずれも安定で長寿命な設計概念が必要になってくるということでございます。それから固体増殖・水冷却コンセプトと相補的な、いわゆる先進長寿命液体ブランケットシステムの提案ということと、それから微量トリチウムに関する取り扱いということでございます。これらが国産の世界標準、人材育成につながるということになるわけですけれども、これらを共同利用・共同研究によって進めるというのが次のページでございまして、広く大学ネットワークによる工学基盤を構築ということをこれまでも進めてきておりますし、これからもより強化していきたいというふうに考えているところでございます。

 この場合に、次のページでちょっとお話ししたいのは、こういうNIFS・大学等とITER、BAとの互恵的関係というのを、すべてではないですけれども、例として書きましたのがそのページでございまして、いわゆる学術研究と開発研究ということで相補的に進めてきているということでございます。細かい話になりますけれども、マグネットに関しては、大学関係は各種の導体を対象とした幅広い学術研究とか、R&Dに関しましては、工学基盤の構築とか、先ほど申しましたけれども、長寿命液体ブランケットという点、等々の学術研究で相補的に進めていきたいというふうに考えてございます。

 次のページは、二つ目のBAとの接続性、それから次の工学設計に向けたR&D項目の絞り込みについてはどうですかという問いがありますけれども、このページは我々のスケジュールを、大まかですけれども書いてございます。一応6年計画で概念設計、基本設計というのを考えておりまして、これは工学基盤の構築と車の両輪ということで進めておりまして、2020年代に次の工学設計に入るときには、当然そのためのチェック&レビューが必要でしょうというわけですが、そのところは、先ほど大学連合とのネットワークを話させていただきましたけれども、そういった連携、それから人材育成の基盤構築が必要です。もちろん、それは一時的なものではなくて、ベースとなって継続していくことが必要です。その前の段階に実規模・実環境の工学実証というのがどうしても必要であろうという計画でございます。

 最後のページは、これらを進める設計体制の構築と規模についてはどうですかというのがありますけれども、一つ例でございますが、現在進めておりますのは、先ほど申しました設計作業とR&D一括作業とが車の両輪で、人的資源にも制約がありますので、同じスタッフがやってございますが、比較的これは効果が高く上がっていると考えてございます。

 最後に申し上げたいのは、工学設計はもちろんですけれども、概念設計の段階でも調達・建設行程を考慮した設計段階というのは必須でございまして、大型装置の建造経験のある技術系スタッフとの連携が必要だと言うことです。これは先ほど飛田先生からもありましたように、メーカーさんとの連携も視野に入れた意味での技術系との連携がどうしても必要であると考えてございます。

 以上でございます。

【小森主査】  ありがとうございました。

 次に、乗松先生、5分で、よろしくお願いします。

【乗松教授】  それでは、お手持ちの資料2-3で急いで行います。表紙の次のページ、こういう項目について評価しなさいということですが、超伝導コイルに関しましては、チェンバーでは不要でございます。レーザーに関してはファラデーローテータで使っているところがありますが、これは現在の技術で間に合うということで、今回は省略いたしました。

 あとブランケット開発に関しましては、本格的な研究は今後を待たないといけないのですが、幸いにして、レーザー核融合の場合は全立体角の95%くらいブランケットに使うことができまして、設計によれば、トリチウムブリーディング率を1.5くらいまで上げることも可能ですので、これは何とかなるのではないかなと考えております。そして、本体は液体リチウム鉛を使ったブラケットを想定しております。

 そして、ダイバータ、これもレーザー核融合では該当するものはございません。熱負荷がとにかく等方的ですので。それでダイバータの部分で真空排気を担っているところがありますが、レーザー核融合の場合は大体実用炉クラスにおきましても、直径50センチぐらいのポートが四つあれば一応計算上は排気できることになりますので、このあたりのグリーンの部分はまあ何とかなるのではないかなと私自身は考えております。

 そして、理論・計算機シミュレーションに関しましては、点火に至るまでの物理プロセスの解明と統合コードの開発がキーポイントになると思います。この黄色で表示されているところは今後の検証を待たなければならないところでございます。

 あと、炉心プラズマの研究に関しては、中心点火方式では減速時のレイリー・テイラーの影響。そして高速点火では5keVの圧縮プラズマの加熱と20%のレーザーからコアへの結合効率、これを達成するということが最大の研究課題になるかと存じます。

 そして、燃料供給システム、ターゲットをつくって炉の中に投げ込んでレーザーを当てるという、それだけの一連のことですが、一応技術的見通しは私はあると思っておりますが、まだ残念ながら信頼性を議論するレベルにはございません。

 そして、加熱・電流レーザーシステム、これはレーザーと解釈して説明させていただきますと、とにかくレーザーは冷却Yb:YAGセラミックレーザーの出現によって高速点火ならず、中心点火のレーザーでも建設可能だと私は考えております。ただ、唯一検証しないといけないのは、レーザーを当てる場合、大型のビームでちゃんと当たるかということを検証する必要があるかと思います。

 そして、次のページにありますのが、現在考えている実験炉の概念です。点火ビーム100キロジュール1ヘルツくらいで、レーザーとしては100キロワット。そしてこれは高速点火を考えていきますので、加熱用レーザーがやはり100キロジュール1ヘルツで100キロワット。これで100以上程度予想されますので、あとレーザー核融合炉の場合は実験炉の段階でもある程度発電実証もできるということでございます。これでネットの方に大体2メガワットぐらいの送電が可能だと、そういうふうに考えております。

 それで、次のページですが、これはレーザー核融合炉のブランケットはどういうふうに考えているかと。最終的には表面も液体リチウム鉛で覆うことを考えております。そして、表面に連続的な膜をつくらないといけませんので、これに関しましては、双方向の共同研究で京都大学の功刀先生が、左の写真にございますように、水を使ってウェーバー数とレイノルズ数をほぼ近い状態で再現して、シミュレーション等も安定な膜がつくれるということを証明していただいております。そして、ビームポートはここから突き出しますけれども、それは磁場によって遮へいすることは可能だということを梶村先生が数値計算ではございますが、証明されております。

 あと、その次のページに関して、実験炉におきましても、トリチウムの管理が大変重要になります。それで一応商用炉の液体壁では、特に熱サイクルを通してのトリチウムの拡散漏えいというのが非常に厳しくなりますが、二重配管と、例えば酸化ジルコニウムですね、そういうふうなコーティングを併用することによって、何もなかった場合の10の8乗分の1くらいに落とすことができるようになっております。あともう1けたくらい落とすことができれば全く問題ないのではないかな、そういうふうに考えております。

 次にいきますと、これは高速点火に限った話ですが、現在の状況を簡単に説明いたしますと、かつての2002年の実験が最近の実験で再現されまして、一応現時点ではカップリング効率20%くらいが達成されております。あとはこの後、ビームエネルギーの増大が予定どおり行われて、このラインに乗ることができましたら、目的の5keVへの加熱と、そして点火状態にまで持っていけると。そして、右側にありますように、そこまで持ってきますと、あと炉アールさえ大きくしてやれば全体が燃えてくれるというのは、一応シミュレーションでは説明されております。

 そして、次のページは我々が現在やっていることで、高エネルギーの状態においてもカップリング効率をよくするのに磁場を利用しまして、できるだけ精製した電子ビームをWコーンの方に向けるという、そのコントロールの研究を現在やっているということでございます。

 そして次のページにいきまして、これはアメリカの話なのですが、実際にターゲットを落としまして、それで軌道を計算してレーザーを当てるという実験がアメリカで行われております。そして20ミクロンの精度でちゃんと当たりますよということが証明されております。そしてまた、日本製の産業ロボットを使って高速点火ターゲットの自動生産も行われまして、大体10ミクロンくらいの精度で組立が可能だということが証明されております。

 次のページはレーザーに関する現状で、冷却Yb:YAGセラミックレーザーで高速点火に必要なレーザーも設計できるという、そういうふうなデータが得られていると。そして、右側のグラフは冷気に必要なLDレーザーのコストの変化で順調に下がっておりまして、今の炉設計では、そこのコスト評価価格というところが点線で書いておりますが、大体これに迫る勢いで順調に下がっているということで、今後の経過を期待しております。

 最後のページですが、これが私の現在の基本的な考えですが、原型炉に至るまでは現存する材料で建設可能であると考えております。そして、原型炉というか実験炉ですね、我々実験炉と呼んでおりますが、それで本格的な中性子なんかに対する材料の試験も行うと。そういうふうなシナリオを考えております。ただ、そこに至るまでにはいくつかもう少し検証する必要がありまして、単ショットベースでは100以上が出たとしても、平均でそれが出ないといけないので、それがある程度見通すことができるようにならないと実験炉の建設にはなかなかならないのではないかな、そういうふうに考えております。そして、ターゲット製作と投入と追尾のことに関しては、そこに書いてありますような30ミクロンの精度が必要ですので、最終的には大型ミラーのダンピングがうまくいくかどうか、これが技術として検証すべきポイントになるかなと考えております。

 あと、液体壁の炉システムでのシナリオに関しましては、ワンショットごとに蒸発しますから、その後のエアロゾル、微粒子が炉の真ん中で衝突したとき、その後どういうふうに挙動するかというのを研究していくことが最大の課題になるかと考えております。このような課題を明確にするために、今年の3月、正しくは2月29日だったのですが、3月からレーザー核融合実験炉設計委員会がスタートしております。

 以上でございます。

【小森主査】  ありがとうございました。

 今3件ほど御説明いただきましたけれども、御質問、御意見がありましたらお願いします。

【岡野委員】  まず、トカマクの飛田さんのお話についてですけれども、例えば5ページにある原型炉の条件でITERサイズ程度、100万キロワット、それから1年程度の運転とトリチウム自給ですね。この下の二つは当然であると思うのですが、上二つ、ITERサイズであるとか、100万キロワットというのは原型炉の設計条件に制約をかけ過ぎかなという気がするので、ぜひこの場で議論していただいて、原型炉の設計者の最適化を待つということの方がいいのではないかなというふうに思います。多分、この条件を議論した頃とは、原型炉の設計は随分進んだので、100万キロワットにこだわる必要もないかなと思います。

 それからもう一つ、共同設計オフィスというのは非常におもしろいというか、必要だとは思うのですが、これと次の段階の原型炉の建設に向けた総合調整会社のつながりがちゃんと見えなければ、総合設計オフィスを設置しましたと言っただけではメーカーさんは絶対参加してくれないと思います。イメージとしては総合調整会社の準備機関くらいの位置付けにしないと、オフィスができましたと言っただけでは、産業界が振り向いてくれるとは私には感じられないです。

 それから、相良先生の御意見に関してですが、反対して非常に申しわけないと思うのですが、最後の1枚に設計作業と開発研究(R&D)を同じことで進めるのは効果が高いというのは、私の経験ではこれは違うと思います。というのは、一般に同じ組織の中でやると、開発R&Dの方が圧倒的にお金がかかるので、同じ組織の中であっても、お金をたくさん取ってくるところの方が声が大きいので、設計作業はその影響を受けます。まして同じスタッフであれば、自分の研究に都合のいい設計をすることになるのではないかと見えてしまいます。私はこれは、内部的には効率が高く見えても、核融合全体にとって効率がいいかどうかは疑問ではないかというふうに思いました。

 あとは、レーザーの方はたった5分で御説明いただいたので、その内容についてよりは、私の最近お聞きしたいと思っていることなのですが、NIFはうまくいっているでしょうか。全然書いていないことを聞いて申しわけないのですけど、非常に気になっているのでお聞かせください。

【乗松教授】  人類初のメガジュールレーザーで、それ自体はうまく動作しているのですが、実験のところはまだ目標のところまではいっていないみたいですね。あとファクター数倍のところまでというふうに聞いています。

【岡野委員】  計画では今年中に点火燃焼とのことですよね。

【乗松教授】  まあ当初の目的はそうですね。詳しい話はそちらの疇地先生から聞いていただいた方が良いのかなと。実は先日またワークショップみたいなのがあったようなので。

【小森主査】  疇地先生、短くお願いします。

【疇地委員】  今の乗松さんの答えで大体尽くされていると思いますが、NIFの実験が点火実験として開始されたのが2010年9月末ですから、今まだ1年半程度しか経っていないのですね。あれだけの規模の大型計画でそんなにすぐに結果が出るというのは普通は考えられないので、乗松さんがおっしゃられたように、点火を実現するまでには、もうしばらく時間がかかるのではないかと思います。

【小森主査】  ありがとうございました。

 それでは、先ほどのコメントに対して何かお答えすることがありますか。短くお願いします。

【飛田グループ長】  岡野さんのコメント、同感です。推進方策の基本的考え方を見直してもいいのではないかということは確かにそう思っておりまして、基本的考え方は、どちらかといえば、かなり背伸びした要求だと思います。ですから、これをもうちょっと技術の方から見て、この条件を緩和すると、こんなに設計ウインドーが広がるよという方向に持っていけるのがほんとうは正しい設計のやり方だろうと思います。

 あと共同設計オフィスと総合調整会社のつながりですけれども、これもコメントをいただいたとおりだと思います。共同設計オフィスをつくっても、原型炉に向けて大きくかじを取ったというメッセージがメーカーにうまく伝わらないと、メーカーは原型炉を見据えた人材を一向に投入しないというような事態になりますので、やはりその先の調整会社のようなものが見えて、共同オフィスはその準備室みたいな位置づけで考えられるべきなのだろうと思います。

【小森主査】  ありがとうございます。

【髙津委員】  質問しようと思ったのは、その前に今の岡野委員から御指摘あった項目は私も全く賛成でして、推進方策をまとめたときの議論を思い出して、もう一度このテキストを見てみますと、20ページに、先ほど御紹介いただいたところに書いてあるのですけれども、1年程度の連続運転が可能であるとともにトリチウム燃料自給が必要と考えられるということは書いてあるのですけれども、ITER程度の炉心寸法と100万キロワットレベルの発電能力というものを持つことが想定されるという書き方になっていまして、その当時はそういうことをイメージして原型炉というものを議論したように記憶があるのですけれども、必ずしもこれが原型炉の持つべき条件というふうには当時も議論したことはないし、強い要求であるとは私も思っていないので、今、岡野委員が言われたように、上の二つについてはある程度自由度を持って議論して、ほかのパラメータも含めてオプティマムのところを探す、パラメータの一つとして考えていった方が良いのではないかというふうに思います。

 戻りまして、私が質問したいと思いましたのは、原子力機構の人間が飛田さんに質問するのもあれなのですけれども、相良先生の資料にはいろいろなパラメータが書いてあって、今後の議論に分かりやすかったのですけれども、トカマク型では最大経験磁場はどこまで考えて今原型炉の設計を皆さんやっておられるのか。それから、ダイバータの熱負荷がどこまでというふうに考えておられるのか。それから、加熱電流駆動は何を、どういうパラメータを一応今は考えておられるのか。ターゲットと我々がすればいいのかということ、その三つを教えていただけますでしょうか。

【飛田グループ長】  まず、最大経験磁場がいくつになるかということでございますが、16テスラ前後でNb3Alで対処できる領域と考えています。

 ダイバータの熱負荷については、意見がばらついております。楽観的な人は10メガワット/平米の熱負荷を設計目標と言うし、私はそれについては保守的で、6メガワット/平米あたりで設計すべきであろうと思っております。

 それから、加熱電流駆動をどうするかですけれども、これは炉の設計パラメータによりますが、私の経験からいうと、ITERで使っているNBI、あるいはECRFと同程度か、あるいはそのちょっとした延長くらいの技術で対応できるところを考えるべきであろうと思います。

【髙津委員】  ありがとうございました。

【小森主査】  ほかにございますか。はい、どうぞ。

【相良教授】  先ほど岡野先生からR&Dスタッフと設計部隊とは別がいいでしょうというコメントでしたけれども、この点説明が不足していまして、私の資料の一つ前のページにちょっと書いてございますが、概念設計も現実的には多分いろいろな段階的に進んでいくのであろうというふうに考えておりまして、今、NIFSでの体制というのは、ある意味でスタート段階での、ある意味準備段階と言ってもいいかもしれませんけれども、そういった段階かもしれません。そういったときには必ずしも完全に分けられる状況ではない可能性がありまして、そのときにはむしろR&D経験を持っているスタッフが同時に設計に加わるという、そういうメリットも多分あるだろうと、そういう意味でございます。

【小森主査】  よろしいですか。髙津先生の質問とちょっと関係がありますが、6ページでヨーロッパと日本が別々の炉を考えて設計するかもしれないと説明されました。日本は定常炉で、ヨーロッパはパルス炉の場合、炉の大きさを全く同じにするのか、先ほどの電流駆動とか、いろいろな関係で、違えるのか教えて下さい。

【飛田グループ長】  パルス炉というふうになった段階で8メートルから10メートル級のプラズマ主半径になると思います。日本の方は推進方策にのっとって、今のところはITER規模、主半径7メートル程度と考えております。

【森委員】  質問いいですか。

【小森主査】  どうぞ。

【森委員】  レーザー関連は不案内なのでちょっと教えてほしいのですが、磁場閉じ込めの場合は実用炉に向けてITERが実験炉、その次原型炉、そして実用炉という開発段階を考えていると理解しています。レーザーの場合には実用炉に向けて、この資料の中では実験炉という言葉と、発電実証という言葉とがありますが、どういうふうな開発ステップを考えているのか。確認の意味も含めて教えていただけませんでしょうか。

【乗松教授】  一応実験炉から発電実証までは基本的には同じレーザーシステムを使ってできると思います。まず、発電を伴わない高繰り返しの試験だけをやって、その後、炉を足すと。そして、その後、最初はドライ壁で燃料供給のテストをして、その液体壁でもって将来の実用炉の基本試験をやると。それだけを一連の流れのシステムの中で考えています。

【森委員】  「一連の流れの中で」という意味は、そういうステップを踏んだ装置をステップごとに建設するということではなくて、その一連のステップ全部を実験炉でやると、そういう意味合いですか。

【乗松教授】  レーザーは例えば共通で使えるということです。

【森委員】  そういうことですか。

【乗松教授】  チェンバーは替えないといけないと思いますけどね。

【小森主査】  それでは、ほかにございますか。どうぞ。

【山田科学官】  3人の先生方、包括的な話、ありがとうございました。これらは今後の議論に非常にいいイントロになったと思っております。それで、体制のことについて、トカマクとレーザーの2人の先生にお伺いしたいのですが、飛田さんの方からブローダーアプローチの炉設計に関しては、一見するとヨーロッパと日本と同じような規模でやっているようにお見受けできて、その一方、ITERの工学設計にはINTORの体制を生かすことができてスムーズにつながったというお話をされました。このあたりの事情はEUと日本の間で違った点はあるのでしょうかということをまずお伺いしたいのです。現状として何か違いがあるのかということですね。

【飛田グループ長】  INTORとの違いということでお答えすれば良いでしょうか。

【山田科学官】  この人材と体制の話が、今日の話だと不足しているという話をされたのですが、そのあたりはEUでも同じ事情なのですか。

【飛田グループ長】  同じような状況です。EUの場合は経験豊富なスタッフがほとんどITERの方に従事していて、原型炉設計に携わっているのは30代が大部分で、EUのポジションも日本と同様、BA原型炉設計をやりながら若手を育成するという状況になっています。

【山田科学官】  ありがとうございました。あと、乗松先生、最後のところで課題を明確にするためにレーザー核融合実験炉設計委員会が発足されたとありますけれども、これはどういう委員会なのでしょうか。

【乗松教授】  これはIFEフォーラムのサポートのもとにつくられた組織でございます。それでレーザー核融合のみならず、磁場核融合関係で特に炉工関係をやっておられる先生方もたくさん参加していただいております。

【山田科学官】  産業界からは。

【乗松教授】  産業界も入っております。まだ数社程度ですけれども、入っています。

【小森主査】  ほかにございますか。

【笹尾委員】  飛田先生にお聞きいたしますが、今回の原型炉概念構築の設計作業にITERの進捗状況とか、あるいはITERでの成果というのが反映されていない。特に6ページに示されているタイムスケジュールでは、ITERが遅れているという事情もあって、そういうことになっていると思うのですけれども、2017年6月以降は、とにかく原型炉概念案ができた後、ITERの結果がそれに対してどう反映されるのか。第2段階で今のところ終わっているので、その続きはどうなるのかというのを教えてもらいたい。

【飛田グループ長】  ITERの成果の反映という点では、今、ITERでいろいろな材料のデータとか設計基準というのがあって、例えばマグネットはこれぐらいの負荷率で、つまり、超伝導線材の臨界電流に対して実際の運転電流はどれくらいにするべきかという指針があり、そういうITERの設計ノウハウを原型炉に生かせています。笹尾先生がおっしゃられる危惧は、ITERが運転する前にどうやって原型炉設計に反映するのかということでしょうか。

【笹尾委員】  具体的に言うと両方です。運転に至るまで、現在調達の重要な段階にあると思うのですが、その段階で出てきたいろいろな課題、それから運転スタート後、それから実際にTBMの結果がぼちぼち出てきた段階と、多分3段階か、あるいはそれ以降4段階くらいに分けるのかもしれませんが、そういうものが今回、2017年を目標としている原型炉概念に対して、それ以降どう反映されるのかというのが知りたい、少し気の長い話なのですが。

【飛田グループ長】  そういう意味では、TBMの結果は、BA原型炉設計の時点ではないわけですけれども、TBMの設計、製作の知見は反映できると思います。原型炉概念を描くと言っても、ブランケットにはいくつかのオプションを残さないといけないかもしれない。その辺はBAの段階では完全に絞り込みはできないのではないでしょうか。原型炉をつくる段階で選べるのは本当に一つですから、確信を持てる段階になるまで待って判断せざるを得ないと思います。

【笹尾委員】  ありがとうございます。

【小森主査】  髙津先生、どうぞ。

【髙津委員】  1点、安全性も非常に重要なポイントだと、原型炉を見据えて大事だと思うのですけれども、3先生にお伺いしたいのですけれども、一番極端な例は、ヨーロッパなどは原子力システムの安全性というのは論理が破綻していると。ああいうものは適用できない。絶対安全な装置をつくるべきだという意見が多くて、飛田さんはきっと共同設計作業をやっていて、話が合うのか合わないのかちょっと分からないのですけれども、そういうことに関しては、推進方策では核融合の安全性というのを社会システムの中で確立していきなさいというような書き方になっているので、我々普通に思えば、いわゆる我が国の原子力システムの中で受け入れられるものをつくっていきなさいという意味だと思うので、ちょっとヨーロッパなんかとは立場が違うように思うのですけれども、その辺の安全性について、今、もし言っていただけることがあれば、どういう考え方でリアクター設計をやっていくというのかということを、特に飛田さんの方から、もし何か今答えていただけることがあれば。

【飛田グループ長】  原型炉の安全性については、今どういうふうに設計で取り組むか、計画の立案中なのですけれども、基本的な考え方は、ITERを誘致する際に日本で安全性の評価をいろいろ行いました。一方、今ITERの安全の規制はフランスのやり方に従っているので、むしろ我々はITERの誘致のときの安全評価に立ち返って、ITERと原型炉ではどこがどう違うのか、違うとすれば、どういう対策、あるいは設計反映を行えば良いのかというようなアプローチで安全性の研究とか開発に取り組んでいきたいと思っています。

【髙津委員】  ありがとうございます。

【堀池委員】  ちょっとその件で飛田さんか髙津先生に確認したいのですけど、昔、日本でITERの誘致の検討をしていたときは、多分、藤家委員会、田中知委員会というのがあって、核燃料取扱施設プラスアルファということで、原子炉よりはもう少し安全性の高い施設であるということで進められてきたと思うのです。それが、今フランスで行われている規制は、それよりもかなり原子炉規制に近い形になっているような感じがするのですが、そういう意味では、日本の考え方とヨーロッパの考え方はかなりずれていると認識しておいてよろしいのでしょうか。

【飛田グループ長】  そのように認識しています。

【髙津委員】  ITERはフランスの規制がニュークリア・インストレーションって1種類しかないので、今、堀池先生がおっしゃったような見方もできると思うのですけれども、実際には許認可当局からいろいろ議論を持ちかけて、議論する中でリーズナブルなところ、落としどころを探ろうとして今規制が進められているので、私の理解するところでは、結局落ち着くところは、昔、ITER誘致のときに我が国で考えていたように障防法プラスアルファ、労基法マイナスビックアルファみたいな、そういうところに実際のプラクティスはなっていくのだと思います。

 ただ、一方、ヨーロッパの中には、ドイツを中心にして非常に安全性に厳しい見方を持っていて、特にグリーンの意見の強いような国は、あらゆる原子力のそういう安全のロジックというのがもう受け入れられない。そういう意見を反映して原型炉の設計をかなりヨーロッパはやっているので、将来の原型炉の考え方はかなり日本の立つ位置とは違うように感じていて、今、飛田さんが、その辺は同じようなことではないかというふうにおっしゃったのだと思いますけど。

【堀池委員】  すみません。ということは、大事なので、その辺はもう少しちゃんと六ヶ所村できっちりと議論するということが大事だということになるのでしょうか。

【髙津委員】  そうだと思いますけど、必ずしもお互いの国のスタンスというのがそれで変わるかどうかは分からないと思います。

【疇地委員】  1点、ロードマップに関して少し質問をします。今日のレジュメを見ると、ロードマップの議論はなくて、いきなり原型炉、それから各論に移っていっているので、今聞かないと聞くところがないと思い聞きます。どなたにお伺いしたらいいのか分からないのですが、飛田先生が先ほど組織体制の課題の中で、原型炉をヘリカルあるいはトカマクにするかを、総合調整会社あるいは共同設計オフィスが判断して進めるというようなことをおっしゃられたので、飛田先生に御質問させていただきたいと思います。

 平成17年の原子力委員会の核融合専門部会のときの議論では、トカマク、ヘリカル、レーザーは、それぞれの固有の発展の法則、発展段階があるので、それぞれの方式に適した研究開発を進めるということになっておりました。ということは、当時実験炉の議論をしていましたけれども、実験炉の次の段階の原型炉はトカマクが想定されておりました。一方で、ヘリカル、レーザーについては学術研究として進めて、どこかの段階で開発研究に移行するかどうかの判断をする、そういうロードマップだったと思うのです。しかし今日の飛田先生のお話だと、その前提とは少し違って、ヘリカル、トカマクに関しては総合調整会社あるいは共同設計オフィスで判断をして進めていくというようなことをおっしゃられたので、今までの路線、ロードマップ、あるいは今までの議論とは少し飛んだ形のやり方を今後していくおつもりなのかをお伺いしたく思います。もちろん8年前にそういうふうに決めたからといって変えちゃいけないということは当然ないのですが、ただ、それを変えるとしたら、ここの委員会でちゃんとした議論をしたうえで、ロードマップを敷き直すべきではないかなというふうに思ったので質問させていただきました。

【小森主査】  疇地先生がおっしゃったことが公式に決まっていますから、それ以上のものは今のところないと思います。

【疇地委員】  ということは、総合調整会社でされるということではなくて、ということですね。

【小森主査】   決まっているわけではなく、御意見を述べたにすぎないと思います。

【疇地委員】  いいですか。飛田先生に聞くのは大変心苦しかったのですが、今の件は飛田先生のお話として承って、ロードマップに関することはここの委員会でもう一度議論をするということで考えたらよろしいのですね。

【小森主査】  そうですね。今、特に炉設計とか材料関係の議論を始めているわけですから、これから議論していくことになります。

【疇地委員】  分かりました。

【小森主査】  それでは、時間になりましたので、次に進ませていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 続きまして、理論・計算機シミュレーション研究について、福山先生からお願いいたします。15分です。

【福山教授】  京都大学の福山です。資料3に沿って説明させていただきます。主に核燃焼プラズマをどういうふうに予測するかというコードの話と、そのコードの開発体制を中心に話をさせていただきます。

 1ページめくっていただきまして、原型炉の構築・設計に向けての理論・計算機シミュレーションの役割について説明しています。これまでの核融合研究における理論・シミュレーション研究というのは、重要な課題として非線形物理を解明するためにシミュレーションを行うということがあったわけですけれども、主に個別的に、乱流現象、MHD現象、高速粒子というものが別々に扱われていました。その一方で、炉心プラズマの予測という意味で,比較的簡単なモデルを使って時間発展解析がされてきて、実際の炉心プラズマはどういう振る舞いをするかという予測が行われてきたということです。これから原型炉を目指すという意味では、それらを統合した形の炉設計統合コードとして、炉心のプラズマに関するコードと、その回りの炉工学に関するコードをそれぞれ統合して、最終的にはそれら二つを結びつけた統合コードを開発しないといけないと考えています。

 核燃焼プラズマの統合解析というのは、今までの経緯もあり、シミュレーションとして大きく分けると二つの両輪があります。多階層連結シミュレーションということで、第1原理的な大規模シミュレーションで非線形現象を解析するという方向と、炉心プラズマで起こるさまざまな現象を取り入れた形の多要素統合シミュレーションを行うという方向の両輪があると思います。

 次のページにいきまして、3ページ目で、左側の多階層連携シミュレーションというのは、主に非線形現象を大規模な第1原理シミュレーションで扱い、非線形電磁流体、あるいは拡張電磁流体、非線形乱流シミュレーションなどが行われます。右側の多要素統合シミュレーションというのは、プラズマの形状、密度・温度の時間発展、それから安定性の解析、加熱のための波動の伝播、それから周辺プラズマ等、それぞれを解析します。ただ、それらはすべての内容が分かっているわけではなくて、非線形現象が絡んだところについては左側の多階層連結シミュレーションの結果を取り入れ、それらをつなぎ合わせる形でプラズマ全体を解析していくという方向で研究が進んでいると考えています。

 そういう意味で最終的には炉設計統合コードとして、すべての現象を入れることが必要で、そのために必要と期待されている特性というのが、その次の4ページ目です。統合コードとして開発が進められているコードでは、いろいろな現象を取り入れるためにモジュラー構造であることや、いろいろなレベルの解析というか、目的に応じた物理モデルが使えるということが必要です。それから標準化されたインターフェース、いろいろなコードをつないでコンシステントな結果を得るというために、コードをつないでいくためのインターフェースを開発しないといけません。あと高速化とか、移植性とか可視化という問題が研究されています。

 今まで国内で行ってきたのが、その次のページの核燃焼プラズマ統合コード構想というもので、BPSI(Burning Plasma Simulation Initiative)として、大学と核融合研と原子力機構の研究者が研究協力という形で進めてきています。これが母体となって日米協力、日韓協力、それからITPAに対して貢献しています。ここで何をやっているかというと、先ほど言いました統合コードのためのインターフェースというコード間連携の枠組みを開発する。それから、そういう連結をすることによって、今までのコードでは出てこなかったような現象を扱うためのモデルを開発する。それから大規模な計算機を使って並列処理をするための計算手法の開発を行っています。その下にありますように、NIFS、それから大学、JAEAが協力できるところをBPSIでつないで、その下のTASK/3D、TASK、TOPICSをそれぞれ統合コードとして開発するとともに、それぞれが開発しているコードと結合して統合シミュレーションを始めているということになります。

 実際にどういう活動を行っているかというと、6ページ目に示しますように、統合コードの開発ということで、TASKコードを京大が開発しており、原子力機構の方でTOPICS-IB、これは炉心プラズマで、その次のSONICが周辺プラズマで、さらにMARG2Dという安定性解析をつないでトカマクのシミュレーションを行っています。ヘリカル系については核融合研が中心になってTASK/3Dを開発していて、ヘリカル系だけでなくて、トカマクの3次元効果も含めた形で解析が進んでいます。それから標準インターフェースの開発を行っており、それぞれのコードを独自に開発するだけではなく、足りないところを補うという形で、京大で開発したTASK/WMというコードを原子力機構のTOPICS-IBと結合してITERの運転シミュレーションを行う。それからTASKとSONICを結びつけるというようなこともしております。TASKというのはトカマクだけではなくて、RFPとか双極子磁場にも適用できるので、そういう形での協力も国内では進んでいます。

 欧米でも同じような統合コードの開発が進んでいます。7ページ目が欧州における統合コード開発ということで、Integrated Transport Modeling Task ForceというのがEFDAの中に組織としてあります。これは2004年からスタートして組織的に統合コードを開発しています。目標として上げているのはフレームワークの開発、それからツール、モデルの開発と実験に基づく検証、それからそれを使ってITERをモデリングすることです。人数的には、そこに書いてありますけれども、60ppy。延べ人数でいうと240名くらいが参加しているということで、大体日本の4倍くらいの規模と考えています。

 それから、それと並行してEUFORIAというのがありまして、これは上のITFの方が炉心プラズマのフィジックスにつながっているわけですけれども、EUFORIAの方は計算科学に重点があって、大規模なシミュレーションを行うための並列処理、あるいはグリッドを使った計算について、計算科学と協力しています。その次のINFSOという情報学会を通して、そのための予算というか人がついているという形で、それを使って計算機の人を巻き込もうとしています。それがヨーロッパの開発の状況です。

 次のページはアメリカの方で、アメリカの大規模計算というのは、SciDACというのがDOEのもとで2001年から5年単位で進めており、現在第3期に入っていますけれども、その五つの分野のうちの一つがFusion Energy Sciences です。主に大規模シミュレーションを行っていて、その中のプロジェクトとしてProto FSP、その下のFusion Simulation Projectはまだ発足していないのですけれども、その前の段階のプロジェクトをサポートしてきました。そのSciDACとは別にFSPというフュージョン・オリエンテッドなコードを開発しようというのが2002年から構想としてあって、何度か提案しているのですが、なかなか認められないという状況にあります。なぜそうなっているかというと、右の図に示すように大規模なコードを徐々に組み合わせていって最終的に一つのコードをつくるという開発手法をとっているのですが、そのために大規模シミュレーションが優先されていて、Whole plasma modelingという、全体を統合しようとする活動に対して評価が低いということと、最初にいくつかのプロジェクトが走っているので、それぞれで互換性がないフレームワークをつくってしまっていて、ある意味で混乱しているようなところがあるというのが米国の状況です。

 それ以外にITER機構で統合コードをつくってITERのシミュレーションをサポートしようということで、ITER機構の中にIMEGという統合モデリング専門家グループというのができ、その統合モデル解析コード、IMASと言っているものを開発しようとしています。これはコードの中のモジュールそれぞれを、ITERでつくるわけではなくて、参加極がモジュールをつくって、それを組み合わせて作成するということで、ある意味でインターフェースを共通化してコードをつなぎやすくして、それを使って解析しようということになっています。今、概念設計が進行中で、それに向けてコードをつくっているのは主にアメリカとヨーロッパ、日本で、そのためのモジュールをこれから整備して提供していくことになると思います。それでも先端的なモジュールというのは、それとは別に独自コードで多分各極が開発していくことになり、それらを使って独自の統合コードに持っていこうというのがそれぞれの思惑と考えています。

 その次が炉設計コードのロードマップですけれども、これは以前に示したもので、第1段階としてはITERのプラズマ統合シミュレーションということで、これはITERのプラズマを予測するために既存の装置のデータと比較をして検証していくという形になります。それが今のBA-IFERC-CSCのタイムスケールで行われるシミュレーションです。その次に、ITERが少し動き出したくらいで、核燃焼プラズマ統合シミュレーションという名前をつけていますけれども、JT-60SAのデータ、あるいはITERの初期のデータを使ってITERの核燃焼プラズマを予測すると考えています。その続きのフェーズとしては、ITERの核燃焼プラズマが実際に動き出したとして、その結果を使って検証した形で原型炉のシミュレーションを行って、それを最終的に設計コードにつないでいくという形を考えています。そのためには計算機が必要で、何らかの計算機設備というのが必要と考えています。

 その次のページが具体的な三つの段階の統合シミュレーションの内容を書いています。今、説明したとおりで、ITERプラズマを予測する。それからITERの核燃焼プラズマを予測する。それから原型炉プラズマを予測するという形です。やはり検証をしないと、もちろん信頼性がないわけで、その段階で利用できる実験データを使って検証していくということになります。

 今までは炉心プラズマの話が中心だったわけですけれども、その次のページで示すように,炉設計コードとして結びつけようとすると、炉工学とも組み合わせないといけません。今、炉設計で使われているシステムコードというのは0次元の定常を扱うコードですが、それを1次元にして、やはり定常を目指しているのが今開発されているシステムコードと理解しています。炉設計でないプラズマシミュレーションの側としては、まず時間発展を解析できて運転シナリオを最適化できるようなコードにして、最終的にそれをブランケットの統合コードを組み合わせる形で炉設計に役立てたいと考えています。実際には計測のモデリングも含めて、制御システムを開発するためのツールとして、一番下の原型炉炉心統合シミュレータという形で示していますけれども、まずそういう形で制御システムの開発に使い、実際の運転ができるようになれば、それを制御に使ったり、あるいは運転予測に使ったりするというような形に持っていくのが最終目標と考えています。

 最後がまとめで、理論・シミュレーションによる予測手段の確保については、その段階で使える実験データで物理モデルを検証していくということによって予測ができると考えています。今の段階でもある程度の予測はできるけれども、かなり予測の幅があるというふうに考えています。デジタルデザインを用いた工学設計について、これについてはそれほど検討を進めているわけではないですけれども、今の段階ではあまりそこまで考えていないのですけれども、統合コードができた段階では、ダイナミックな解析まで含めることで工学設計に寄与できるのではないかと考えています。そういうコードを開発するためには、何らかの組織がないと、特にBAのCSCというのは5年間で止まってしまうので、その後どのようにシミュレーション研究を進めていくかを検討する必要があると考えています。

 以上です。

【小森主査】  ありがとうございました。

 今の御説明につきまして、御質問、御意見がありましたらお願いします。

【平山委員】  ちょっと教えていただきたいのですけれども、最後にあった炉設計システムコードというのは、最初にお話のあった6ページにあるシステムコードと同じものなのでしょうか。

【福山教授】  6ページ。

【平山委員】  飛田先生の御説明の。

【福山教授】  今の設計に使われているシステムコードという。

【平山委員】  こういうシステムコードとシミュレーションの関係、今、最初にお話になったシミュレーションの関係というのは、ある程度別なものなのでしょうか。それともシミュレーションコードがベースになって設計コードに反映していくというふうに考えるべきものなのでしょうか。

【福山教授】  今使われているシステムコードというのは、今のシミュレーションコードをベースにしているわけではなくて、ある程度実験データをベースにして簡略化されたモデルを使っているということになります。次の1Dになりますと、もう少し、今の理論シミュレーションでやってきた成果がある程度入ってくる。時間発展になると、完全にシミュレーショングループで作っているようなコードがベースになるというふうに考えています。

【平山委員】  こういうふうに理解してよろしいでしょうか。今のシミュレーションの状況では、それから情報提供して、設計にいくところまではいかないので、現状では、実験データ等に基づいたモデル化したものを使ってシステム設計をしていると。将来、できればフルシミュレーション的にきちんと理論的に追っかけたものをベースにして炉設計に結びつくようにしていきたいということで。

【福山教授】  はい、そのとおりです。非常にたくさんのパラメータを計算しないといけないので、今はわりと簡単なモデルを使っているけれども、将来的には計算機が速くなるのでフルシミュレーションでもできると。フルと言ってもある程度の限界はありますけれども、できると考えています。

【平山委員】  それと、統合システムってものすごく大変なコードだと思うのですけれども、マンパワーのこともあると思いますけれども、お聞きすると、共同で分担してというよりも、3箇所で別々にやっているような印象を受けます。そういう方式で進めていけるような規模のものなのでしょうか。本来であれば、それぞれの持ち味を生かしたところで分担をして、日本なら日本で一つのものをきちんとつくっていく方がいいような印象があります。そのように考えるべきシステムではないということでしょうか。それとも共同で分担を決めて取り組むことが望ましいが、今のところそうできていないというふうに考えたら良いのでしょうか。

【福山教授】  最終的には分担してやらないとできないようなコードです。今までのところは人数が少ないこともあって別々に開発しており、基幹のところは、中心の部分はそれぞれが持っていますけれども、周辺のコードはかなり交換可能なので、やりとりをして開発を進めています。

【小森主査】  ほかにございますか。よろしいですか。

 それでは、次にいかせていただきます。炉心プラズマ研究につきまして、鎌田先生と竹入先生から御説明をお願いします。

 まず、鎌田先生、10分でお願いします。

【鎌田ユニット長】  鎌田でございます。よろしくお願いします。炉心プラズマ研究(トカマク)ということで簡単に御説明をさせていただきます。

 今日いただいている宿題、四つの論点で述べよということで、一つ目が今後必要な研究項目は何か。学理をどのように効果的に原型炉の研究開発に反映させていくか。ITER及びJT-60SAの統一的な物理的理解をどういうふうに行っていくか。それから若手の育成はどうするかと。この四つが答えられるような資料ということで考えてまいりました。

 2ページ目を御覧ください。これが今後必要なトカマク炉心プラズマ研究開発の要点です。私の今日のお話は、ITER、JT-60SA、この二つを述べます。言うまでもなく、ITERは左上ですね。赤で書いてありますが、燃焼プラズマの実現と長時間維持。それからQ~5程度の定常維持。JT-60SAは、やはり赤で書いてあります高ベータ・高自発電流割合のプラズマの実現と定常維持。これがメインミッションです。

 一方、JT-60SAは、もう一つ、臨界条件級プラズマの長時間維持をして、ITERを常に支援していくと。それから、ちょっと右にグリーンの四角で書いてありますが、理論・モデリング、今福山先生がお話しされましたが、この理論・モデリングということを常にITER及びJT-60SAの実験とインテグレートした形で進めていくのが非常に重要でありまして、後で御説明いたします自律系ないしは複合系と呼ばれているプラズマの理解をして、それをどうやって制御していくかと。そういうところにつながっていくために、ITER、JT-60SA、理論・モデリング、この三つが非常に重要であります。

 それで、ITERとJT-60SA、おのおの赤で書いたものを含めて、どういうふうに原型炉に向けて統合していくかといったところのキーワードになりますのが、高い総合性能の達成です。後でお話ししますが、プラズマに必要な性能というのはいくつかありまして、何か一つが良ければいいというわけではない。全体がバランスよくできていないといけない。それにプラスして、先ほど飛田さんからも話がありましたが、ダイバータ、あるいは第一壁の熱負荷というのが許容範囲に入っていないといかんというところが非常に重要なポイントでありまして、それを付加していく。

 もう一つは、たまにプラズマつけたら非常にいいのになったけれど、あとはだめだねとかいうのでは全然使い物になりませんので、100回プラズマをつけたら、100回とも目標にいくようにしないといけない非常に運転及び制御手法を高い信頼性で確立しないといけないということです。これが、科学として進めてくるといったところの、発見だとかチャレンジということから、高い信頼性でみんなが安心だというところに、もう一段高いレベルに上げていくということで、これが今後一番大事な炉心プラズマ研究の目標だと。それができて初めて、我々は原型炉というものを、自信を持ってこれで設計・製作させてくれと言えるのだろうと思うというところがそのページでございます。

 次のページに行きます。3ページはITERに加えて何をどのような装置で、どのようなパラメータで行われければならないかというところを考えてJT-60SAを設計してまいりました。これは既に何度かこの委員会で御議論いただいたものだと思いますので詳細は述べませんが、大事なところが右下の7角形の図です。先ほども申しましたいくつかの大事なパラメータがあるといったものが七つありまして、おのおの書いてあります。赤が目標値。これは原型炉(Slim CS)の目標値であります。それに対して、黒いちょっと縦長になっているのが真ん中にあります。これがITERの定常運転です。そのちょっと外側に緑があります。これがJT-60Uの実験値、我々の同時達成のデータでありまして、それを見ますと、赤のところまでいっていないのです。赤のようにもっとバランスよくとるというところを目指して、ここのページに書いてあるようなITERとは違う高い形状因子を持ったプラズマの断面形状、プラズマのどういう格好しているのかというのを形状因子というのですが、そういうところでJT-60SAは高いベータ値、あるいは高い経済性を持った原型炉に貢献していくというところが書いてございます。

 4ページ目、これがいただいた宿題の三つ目、ITERとJT-60SAをどうインテグレートするかというところであります。表題にありますように、ITER+JT-60SA+モデリングで原型炉プラズマの姿を決定すると。何がキーポイントかといいますと、右上に縦長の図が二つ書いてあります。ITERは燃焼。燃焼というのは何かというと、自分で自分を温めることです。その割合が高いと、つまり外から温める・加熱をするというハンドルを切るという割合が小さいわけです。どこまでこの値を小さくして外から制御できるのか。それから右側は、これはむしろJT-60SAの大きな目標ですが、外部電流駆動割合と書いてありますが、これはトカマクを定常化するためには自発電流というのを7割から8割にしないといかんということです。つまり、残りの2割を外部から駆動する、あるいは3割を駆動するわけです。先ほどのハンドルを切る切りしろからいきますと、全体の2割、3割しかハンドルの切りしろがないぞと。そういう少ない外部からの制御で全体が果たして本当にうまくいくのかと。これを研究するのが、左側の燃焼はITER、自発電流はJT-60SAということです。ちょっとシンプルに言い過ぎているかもしれませんが、大まかな役割分担はそういうところです。

 緑の字で外部制御性、「易しい」から「難しい」と書いてありますが、下に行くほど、外部割合が下がるほど、難しいわけです。ということで、そういう難しい制御ということをやっていくわけですが、しかし、ITERだけでは高自発電流の方は分からない。JT-60SAだけでは燃焼というのは分からない。しかし、両者が一緒にうまくいかなくてはいけないのが原型炉ですので、こういう二つのITERとJT-60SAというのをちゃんと再現できる、そういうシミュレーションコードを福山先生は必要だというお話をさっきなさったわけです。

 その三つを考えながら、本当に最適な領域はどこかというところで、欧州とも随分議論をして、右下はあまり詳しく説明しませんが、JT-60SAはITERよりも高いベータ値、高い自発電流の割合と、二つの図がそれを指していますが、比較的広い範囲でそれが研究できるようにしてございます。その中で一番現実的な、先ほど安全性の話もありましたが、そういうことも含めて、ダイバータの熱負荷も含めて一番良い場所はどこかというのを探っていくというところになります。

 次、5ページ目ですが、その探って行くときに、そういうプラズマで一番良いところはどこかという判断で大切な事は信頼性の高い制御にあるというのを申し上げました。右上の図は詳しく説明いたしませんが、プラズマの中には非常に複雑なものがお互いに自律的に相関し合って、高い複合性があるとかいう言い方をしますが、炉心プラズマはそういうシステムです。それをどう理解するかというところに基づいて、じゃあ何をどういうふうに測って、どういうタイムスケールで制御すればいいかと。10測ってやっと1が判る、これが今のレベルです。最終的には、将来は1を聞いて10を知るような、そういう計測で、足の裏のつぼをちょっとさわれば体中が温まるような、そういう制御をするというのが必要です。原型炉で100も200も計測をいっぱいして、100も200もアクチュエータを使ってプラズマを無理やり制御するというのは、これは非常に非現実的ですので、我々としてはきわめてシンプルな、すなわち信頼性の高い制御にしていかないといかんと考えております。

 そのためには、先ほど申し上げた非常に自律性の高い複雑なシステムをちゃんと理解していないといけない。これがプラズマ研究の学理というところに根差すものであるというふうに我々は理解しておりまして、それを踏まえて、例えば統合シミュレーションというようなもので全体が分かるようになってくると、先ほど申しました非常に少ない点数の計測でも全体の状況がすぐ理解できるとか、どういうタイムスケールで何を制御したらいいのかというのが実時間で分かる。非常に複雑な計算が、将来の計算機はもっと高速になると思いますので、先ほど福山先生がおっしゃられたシミュレータというようなものも、実は実時間で次の0.1秒後のプラズマの制御をどうしたらいいかというのがぱぱぱっと計算できるくらいになればすばらしいなというところであります。そういう信頼性の高い制御にしていくために、先ほど申し上げましたようなITER+JT-60SA+理論・モデリングというところでそういう手法を開発していくのが非常に大事です。

 次のページに行きます。6ページ目ですが、これはプラズマ自身とは関係ないのですが、むしろ炉工学に近いところですが、飛田さんの話の中でもダイバータをどうするのだ、ブランケットをどうするのだという話がありました。一度ITERが出発しますと、途中でダイバータの形状を変えるとか、機器を入れ替えるというのは非常に難しいわけです。ブランケットについてもテストしていく、総合的なテストをするために何か装置がある方がいいだろうということです。もちろんJT-60SAはDDですので中性子のフラックスは小さいわけですが、そのほかのことはほぼ何でもプラズマとの整合性は分かるというところですので、そこの一番上の赤で書いてありますブランケット構造のモックアップ試験、JT-60SAには非常に大きなポートがありますので、そこで試験をすることができます。具体的にはITERのTBMと同じサイズのものを横から入れることができます。そういう試験ができます。

 それからもっと大事なのが、図の右下に書いてありますが、JT-60SAのダイバータはダイバータカセットという形になっておりまして、入れ替えが可能です。この形状も将来もっと良い形状が必要だということになれば、取り替えることができます。それから、黒いタイルが、これは炭素のタイルですが、ちょっと緑で薄くなっているのは、こういうところの材料も全部かえることができることをあらわしています。金属にするか、あるいは将来アドバンスな材料を使ったダイバータという考えがあれば、そういう試験ができると。こういう機動性を持ったトカマク装置を持っているというところが非常に日本の強みになるかなと思います。

 今、申し上げたようなことを7ページに、ITER及びJT-60SA、それから原型炉ということでタイムテーブルが書いてございますが、時間がありませんので割愛いたしますが、そういうことを踏まえて、しかもITERの現在の「レベル0スケジュール」というものを対応させた形でJT-60SAのリサーチプランは考えてきてございます。

 8ページ、最後になりますが、人材の育成というもう一つ大事なポイントがございます。JT-60SAによる人材の育成というふうにここでは書かせていただきましたが、まず現状というのがその真下に書いてあります。JT-60SAリサーチプランVer.3.0という、これは国内の、ここに今日いらっしゃる先生方、あるいはその先生方の研究所の方々に非常にお世話になりまして、Ver.3.0というのが平成23年12月、去年の12月に完成しました。共著者は332名です。日本は原子力機構73名、国内大学等14研究機関72名。合わせて日本は145名です。ヨーロッパは平成23年5月から本格的に参加してきてくれていまして、10箇国、23研究機関182名というところで、既に日欧で300名を超す研究チームができ上がっています。八つの研究領域がありまして、その領域ごとに、特に若手の研究者を中心に、本当にこの装置が動いたときにリーダーになる人たちに今からリーダーシップをとってもらおうというところで進めてきています。

 このリサーチプランの構成、基本的に日本とヨーロッパの装置でございますので、これをベースに実験運転の体制というのを考えていこうというところです。左が実験開始後、ここに書いてあるような外国から200名とか、国内も200から250名というような方々が参加していただけるように進めてきております。どういうふうに若手の人材をこういう装置、あるいはITERで活躍させていくかというところは非常に大事なポイントでありまして、例えばJT-60SAで、ITERでもそうなるといいなと思いますが、大学等からの常駐の研究リーダーが居ることができるというのが非常に大事なポイントだと思います。2週間来て、ぱっと帰ってとか、そういうのではなかなか全体のリーダーというところが難しいと思いますので。しかし、人事制度上、こういうことはそんなに簡単ではないのではないかと思いますので、大学、NIFS、それから原子力機構、あるいはITER機構も含めたようなうまい人事システムができるようになると、より多くの大学の方々がリーダーシップをとる機会が増えるかなと。

 それから、JT-60SAは実験提案の公募制をとっております。ITERがどういう形になるかというのはまだ未定だと聞いておりますので、なるべく多くの機会を多くの方にと。JT-60SAの場合は日本分は全体の4分の3、ヨーロッパが4分の1ですので、こういう日本独自のいろいろなことができる装置を使いながらということが人材育成につながっていくかなと。

 右下に大きな字で書いてありますが、ITER・JT-60SAの実験。大学については、大学等研究者の常駐、長期滞在を可能にする制度が必要だと。こういう仕組みを構築する。それと同時に、ITERの実験実施体制をどういうふうにするかが大切です。ITERではどういうテーマ班を置くのか、どういう人がリーダーになるのかというところが明確にまだ決まってきていないと思います。まだ決まっていないということは、非常に我々にとっては良いところでありまして、日本からどんどんこういう組織にしようよというようなことを皆で提案していくというのが良いのかなというふうに思います。組織がしっかりできているということが、若手の人たちがスムーズにリーダーシップをとっていけるのにつながるかなと思いますので、ちょっと抽象的な言い方ですが、そういうふうに思ってございます。

 9ページは参考でありまして、JT-60SAの今の状況が書いてありますが、真空容器は360°のうちの3分の1、120°分まで完成しております。40°セクター3個です。それからポロイダル磁場コイルは6本のうち1本のコイルが完成しています。今年の12月からクライオスタットベースという装置の一番基礎になる下のところ、基礎架台みたいなものがヨーロッパから来るというところで進んでおります。

 以上です。

【小森主査】  ありがとうございます。

 それでは、竹入先生、10分でお願いします。

【竹入教授】  それでは、ヘリカルの方から説明させていただきます。

 今、鎌田さんから炉心プラズマについて、トカマクの方の観点からの御説明がありましたけれども、私からは同じ環状プラズマの、特にヘリカルのほうから報告させていただきます。最初の2ページ目にそのあたりのところを少しまとめさせていただきました。磁場閉じ込め核融合原型炉へ向けた炉心プラズマの課題として、二つの大きな課題が現在あります。一つは核燃焼の実証・制御。これは今説明がありましたように、ITERを用いて行うプラズマ燃焼の制御という課題。もう一つは、発電には当然定常運転が必要であるということから、定常運転の課題があります。今、鎌田さんから説明がありましたトカマクの方ではJT-60SAというプロジェクト、そして、ヘリカルでは大型ヘリカル装置、LHDを用いたプロジェクト、この二つを同時進行する形でこの定常運転の課題を克服しようというのが現在進められている二つの課題克服へのプロジェクトになっているわけです。

 ヘリカル、トカマク、繰り返しになりますけれども、ヘリカルは電磁石のみでプラズマを閉じ込めるという形で、本質的・原理的に定常運転が可能です。トカマクに関しましては、巨大な電流をプラズマ中に流すことで、短時間ではありますけれども、非常に高性能のプラズマが実現しているというのがあります。したがいまして、炉心プラズマの課題としましては、定常性能のあるヘリカル方式ではさらにきちっと点火を見込めるようなプラズマの高性能化が必要であるという事柄。トカマクでは、ただいまも説明がありましたように、定常運転、それからそれを可能にする高効率な電流駆動方式を確立するということが課題として挙げられているわけです。

 ヘリカルとしましては、3ページ目にありますような大型ヘリカル装置(LHD)を用いました研究が14年間にわたって進められています。世界最大の超伝導の定常核融合実験装置という形で稼働率95%以上を誇る世界最大の超伝導装置で、工学的にも大きな貢献を果たしているところです。

 そして、4ページ目にありますように、14年間の実験の中で、機器の整備に伴いまして、温度、ベータ値、あるいは定常性を示す放電時間、順調に伸長してきました。大事なポイントは、安定した超伝導コイルシステムの実験によりまして、14年間で11万回以上のプラズマ放電を全国、国際的にも共同研究の機会として提供してきたということが挙げられると思います。

 5ページ目に、現状の大型ヘリカル装置のプラズマ性能の到達点をまとめさせていただきました。この表の左側のところにあります大型ヘリカル装置の達成値という形で、現状、イオン温度では8,000万℃。電子温度では密度は低いながら2億3,000万℃という温度を達成しています。また、密度としましては、ヘリカル方式特有の非常にすぐれた性能ですけれども、高い密度1,200兆個/ccというものを達成していますし、また、磁場強度としましては低いものの、ベータ値5.1%も達成しています。そして、定常運転としましても、1,000万℃を優に超える高い性能のプラズマを1時間近く保持しているという、そういう達成値を示しています。

 右から2番目の表にありますように、この大型ヘリカル装置の最終目標値として、炉心プラズマを見通せる1億2,000万℃の温度の達成。それから1テスラ程度で非常に高性能プラズマでの高いベータ値5%の達成といったところが最終目標値になっています。この最終目標値を達成するということが、先ほど申しましたヘリカルにおける定常プラズマの高性能化というところの目標になっています。

 それでは、そのヘリカル方式の炉心プラズマの課題を達成する方向性としてどういうものが計画されているかということで、次の6ページ目にありますように、重水素実験を柱としたLHDの最高性能化といったものを計画しております。真ん中の四角のところに示すように、この重水素実験によりまして高性能化を達成する。重水素プラズマを使うことによって、現在行われています軽水素プラズマに対してプラズマの高性能化が図られる。これはトカマクで既に示されていることですけれども、それをヘリカルにおいても示すことで、より核融合条件に近い高性能プラズマの研究を可能にするということがあります。

 二つ目としまして、トカマクで示されている重水素プラズマのプラズマ高性能化、実は閉じ込め物理の質量依存性といったものが学術的に明らかにされていないということで、これを学術的に明らかにしようということが、将来の核燃焼実験を十分な確度で予測する上でも重要であるということがあります。

 そして、三つ目に、核燃焼プラズマを十分ヘリカル方式において展望できることを示す上で高エネルギーイオンの閉じ込め性能をしっかり示すという、そういう課題をもとに、数値目標としましては、先ほど申しました最終目標値10keVのイオン温度、あるいは1テスラにおいてベータ値5%等の最高性能化を図るということが課題克服の目標となっているわけです。そうしたことで、一番上にありますように、LHDの実験計画の基本理念であるヘリカル方式による原型炉設計を確実なものとするデータベースと体系的な理解を築くという事柄。トロイダルプラズマのトカマクも含めた総合的な理解を獲得することで、トカマク方式を含めた学術研究を進め、ITER等のトカマク方式の研究の加速にもつなげていくということ。そして、何よりもこうした課題を共同研究・共同利用、そして大学等における学生教育を含めた人材育成を推進する形で進めていくという形を理念として進めていく予定になっています。

 7ページ目にそのロードマップを示しています。説明させていただきましたように、真ん中にありますように核融合を見通せる1億2,000万℃のプラズマの実現と核融合科学の学術的体系化といったものを図る大型ヘリカル装置の超高性能化を今後10年をめどに図る形で、右側上にありますような、ヘリカル方式をベースとしました工学・製作設計活動にいきたいと。ただし、核融合研は学術研究、大学の研究機関であるということから、実際問題は工学・設計活動に移行する段階においては、原型炉の次を見据えた革新的な概念の学術研究の方向へ進めていく。そういった事柄が原型炉の先の学術研究を発展させるとともに、原型炉の設計・製作活動の学術的な支えになるという形の戦略を考えているわけであります。

 そして、一つの例としまして、学術研究としましては、8ページ目にはトカマクも含めた環状プラズマの学術的体系化として、3次元の物理の理解ということをこのページでは紹介させていただきました。

 9ページ目にこうしたLHDの位置付けを審議会においての審議状況としてまとめさせていただいています。上にありますように、学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会では、高性能核融合プラズマの定常実証研究は、基本的な要件が満たされており、一定の優先度が認められる計画であるとして、大型ヘリカル装置とJT-60SAが並行して進められることが相互のポジティブフィードバックが期待されて、我が国が進めるべき計画であるということが示されています。

 また、下のところでは、この核融合研究作業部会においては、今申しましたように、人材育成を確保するためにも国内唯一の大型実験装置として高性能定常プラズマを実現することが重要であるということが示されているところであります。

 そして、10ページ目には、参考資料としまして、核融合研で大型ヘリカル装置を用いて行われています現在の600名を超える国内の共同研究の実績、それから150名を超える大学院生のLHDプロジェクトへの参加の表をデータとして示させていただきました。

 最後、11ページ目にまとめとして、一番大きなポイントは、LHDは2019年、JT-60SAの運転開始時期ですけれども、2019年まで日本における唯一の大型実験装置であるということで、LHDの役割は今後原型炉の工学設計活動を開始するに当たって非常に大きなものであるというふうに考えています。

 まとめとして、下の四角に4点まとめさせていただきました。重水素実験を軸とした超高性能化を図るという過程の中で、定常ヘリカル型核融合炉の学理・工学に係る学術研究の体系化研究を行うということ。こうすることで点火を見込める高性能プラズマの実証を行うということ。そして、環状プラズマの総合的理解を進める形の中で、ITER及びJT-60SAによるトカマク方式の研究・開発への貢献を行っていくということ。そうした事柄を全国の大学等との共同研究、国際共同研究の推進によって進めていって、原型炉に向けたプラズマ物理と関連理工学に係る学理の集約を行い、そうしたことを通じて、大学院教育を通じた人材育成と供給を図るということで、この上の真ん中にありますように、定常が原理的に可能であるLHDを用いて高性能化を図ることで定常高性能プラズマを、重水素実験を柱とする超高性能化を進めることにより、右側の絵にありますように、LHDの目標を達成する中でトカマク、ITERへ貢献するとともに、その結果をフィードバックさせて総合的理解のもとで原型炉設計の方に、我々としてはヘリカル型原型炉の設計の方向性を進めていきたいというふうに考えているところです。

 以上です。

【小森主査】  ありがとうございました。

 ただいまの2件につきまして、御意見、質問等がありましたらお願いします。

【髙津委員】  鎌田さんに伺いたいのですけれども、鎌田さんの2ページにITERとJT-60SAが両方で次の原型炉に貢献していくという図が書かれている中に、真ん中あたりに高い総合性能の達成でダイバータ熱流束の低減という項目を挙げておられるのですけれども、これは後ろの方で工学的にもいろいろな材料を入れたり、試験ができるというふうに書かれているので、いろいろな将来原型炉で考えられる機器の試験とか、受熱面の工夫とか、いろいろできると思いますけれども、一方、飛田さんの資料で原型炉を見据えて設計されているグループでは先進ダイバータ概念というのですが、磁力線を工夫しないと、なかなか苦しいのではないかという考えがあるように聞いているのですけれども、そういったものはJT-60SAの中で今後、磁力線を変えていくというのはなかなかあれなのですけれども、そういった拡張をやっていこう、貢献していこうという計画は今はないと、あるとは聞いていないのですけれども、可能性はないのでしょうか。

【鎌田ユニット長】  ポロイダル磁場コイルを入れかえるというような形では、それは現実問題は不可能ですので、それは想定していません。X点からダイバータのヒットポイントまでの距離をどうするかということを想定しています。それから、今はITERと同じような形状のダイバータのバーティカルターゲットという形をとっていますが、そこの部分の形を変えてというような、そういうところであればもちろん可能ですが、追加のコイルを入れるというのは非現実的です。そういうことに関しては、世界のほかのトカマクを使うとか、もし本当にそれを何か実証する必要があればというところですが、その際のダイバータを実証するのにどの大きさのトカマク装置が必要かという判断があると思います。実際にコアとダイバータ部分を組み合わせたところで実証しないといけないと思うとITER、あるいはJT-60SAクラスが必要ですが、ダイバータの部分ということだけで考えると、中型のトカマクでも可能かなというふうに思います。非常に重要な御指摘だと思います。

【小川委員】  JT-60SAの件で2点コメントさせて頂きます。鎌田さんがおっしゃったように、私もITERの実験体制が議論され始めた時、JT-60SAの実験体制がどうであったかというのが一つの大きな参考になる可能性があると思います。日欧でリサーチプランの議論が順調に進められていますので、ぜひITERの実験体制のリファレンスになるように、またITERの実験体制の見本となるように頑張っていただきたい。

 なお1点伺いたいのが、アジアをはじめとした日欧以外の国たちが、実験フェーズになると、どう入ってこようとしているのか、または彼らは何を期待しているのか。またITPAのグループはJT-60SAに何を期待しているか。ITPAのグループなんかを見ると、ITERに対して議論はするけれども、JT-60SAに対して何を期待しているのかが見えてきません。先ほどのダイバータの話も、例えばITERで実施する前にJT-60SAではこういうことをやってくれ、というのをITPAの方から要望はないのか、などを含めJT-60SAのステータスを上げていってほしい。

 それからもう1点、いつも言っているのですけれども、JT-60SAが動き出すのが2019年ですので、その時に向けた人材育成、若手育成は必要ですけれども、それプラス、それまでの間、特に原子力機構のJT-60Uをやっていた実験グループの人たちの腕が落ちないように努力する必要があるのではないでしょうか。現時点では建設に苦労するのは分かるのですけれども、やはり世界及び国内のLHDを含めて、実験の腕が落ちないように色々な経験をなるべくキープする、経験を積むように配慮する必要があると思います。これは鎌田さんにお願いするというか、原子力機構さん全体にお願いすることだと思いますけれど。何れにしろ、この点は非常に大事だと思うので、ぜひ留意しておいていただければと思います。その2点です。

【鎌田ユニット長】  大変ありがとうございます。最初に小川先生がおっしゃったJT-60SAの実験運転体制、これに関しては欧州と基本的なところは今議論している最中でございまして、飯嶋専門官や坂本戦略官にもいろいろ御相談しながら、今ヨーロッパと基本的な考え方というのを、日欧でどういうふうにしていくかというところを議論を開始してきているところです。実際にどういう班構成にするかとか、そういうところは、その基本的な概念が決まったら、ITPA等での議論に進んでいけるかと思います。私ども思っていますのは、今のJT-60SAリサーチプランの構成をそのまま、もともとリサーチプランはそれを考えて体制をつくってきておりますので、うまくやっていって、小川先生がおっしゃるように、そういう中でITERの体制の参考になればいいと思いますし、それが似た体制であれば、JT-60SAで育てた若手のリーダーが今度はITERでリーダーシップをとると。滑らかにつながるようにしていきたいというふうに考えております。

【小森主査】  よろしいですか。ほかにございますか。

【山田科学官】  小川先生のおっしゃったことの繰り返しになるのですが、鎌田さんに対して、JT-60SAを進めるに当たって御留意いただきたいということです。鎌田さんは、先ほどの8ページでJT-60SAによる人材育成のところで、リサーチプランをつくるに当たって、日本で145名、欧州は182名が参加されて332名の、言葉じりを捉えるようで申しわけないのですけれども、研究グループができているとおっしゃったと思うのです。正直言ってまだ研究グループとは言えないと思うのです。それと、これから7年間実験がありませんので、その間、要するに研究としてのアクティビティをどうやって保っていくかというのは非常に難しい問題だと思いますので、すぐに答えられる問題ではないと思いますけれども、何かお考えのところがあったらお聞かせください。

【鎌田ユニット長】  分かりました。実質的に研究を進めている、まとまった研究チームという意味では、おっしゃるようにようやく発足したところですが、研究グループという意味では八つのグループがあって、そこにおのおの日本とヨーロッパ、どういう人が参加しているかというのは全部でき上がっています。日本側は核融合エネルギーフォーラムの物理クラスター及び工学クラスターの対応するグループが中心でありまして、それと全く同じ形で欧州はEFDAがやっておりますが、EFDAが同じ構成のグループをつくってヨーロッパ側の代表者を決めて、お互いのグループの共著で今年のEPSは4件、IAEAは2件出します。そういうおのおのの日欧の共同の論文というのは、そのグループごとに今一緒に研究を始めてつくってきているというところなので、そこが母体になって、もっと良いグループになっていけばというふうに考えております。

【小森主査】  進行の不手際で予定の時間が過ぎてしまいましたが、(1)を終わらせていただいて、(2)その他としまして、2件ほど報告させていただきます。参考資料3、第10回BA活動運営委員会の結果概要につきまして、事務局から御報告をお願いします。

【坂本戦略官】  私の方から御説明させていただきます。第10回のBA活動、今もJT-60SA等非常に熱心に御議論いただきましたけれども、その運営委員会が先月の24日に開催されました。日本からは文科省の森山審議官、EUからはカプエITERユニット長が代表として出席いたしまして、現在の進捗をレビューするとともに、事業計画の更新等々審議をしたところでございます。主なポイントだけ申し上げます。

 2ページ目を御覧いただきますと、まず、大きくBA活動は三つの事業に分かれますけれども、まず材料照射施設の工学実証・工学設計活動(IFMIF/EVEDA)につきましては、まず、大洗町のリチウム試験施設、これは震災で損傷を受けたわけでございますけれども、ほぼ復旧いたしまして、本年の7月から実証試験を開始するということが確認されました。

 それから、原型加速器の入射器が来年の3月にいよいよ六ヶ所村に移送されるということでございます。その線形加速器の統合試験の開始というのが欧州側の機器の調達支援によって1年遅れて、統合試験の期間が2年から1年になるということで、これはいたし方ないでしょうということで事業計画を承認したわけでございますけれども、できる限りスケジュールを加速できないかということを、検討を引き続き進めるということにしております。

 二つ目の事業でございますが、核融合エネルギー研究センターということで、こちらについては順調に活動が進められておると。スーパーコンピューターの据えつけ及び運転がスケジュールどおりに行われまして、運用を開始したということ。さらに原型炉のR&D活動のための研究設備についても整備が行われて、運用が開始されているところでございます。さらに核融合も、これはITERも同様でございますけれども、安全性に関する関心も高まっております。特に福島の事故の影響を受けて社会的な関心が高まっておりますので、そういった背景もありまして、安全性研究というものを2012年から3年間行うというふうな提案が出ているところでございます。

 さらに、三つ目のサテライト・トカマク計画でございますけれども、こちらも欧州のトロイダル磁場コイルの調達の遅延によって、事業の期間を2年7箇月延長して2019年末までとすると。プラズマ点火が3年遅れるということになりましたけれども、こういった遅れはありつつも、着実に進めるということは計画が確認されたところでございます。

 さらに、先ほどもちょっと御議論ございましたけれども、このBA活動に日欧以外のITER参加極の参加を得るという、そういった作業が今進められておりまして、参加のためのガイドライン、いろいろな条件とか、そういったものを定めたものを今作成しつつあるところでございますけれども、もう既にアメリカ、韓国、インドがBA活動への参加に関心を有しているということがございました。そういったことが報告されております。

 さらに、JT-60SAの共同利用の体制につきましても、これは先ほど鎌田さんの方からお話がありましたとおり、特に欧州側が非常に関心が高く、これは今後予算を獲得していくという観点からも、こういったフレームを早く確立したいというようなことがございまして、体制の構築を進めておるというところでございます。次回のBA運営委員会は本年の11月、ベルギーにて開催するということで、こういった形で審議を進めているところでございます。

 4ページ目にそれぞれのセンターの整備の状況を線表で書いておりますけれども、詳細は割愛させていただきます。

 以上です。

【小森主査】  ありがとうございました。

 それでは、山田科学官から、実証核融合発電プラントへ向けての戦略的課題とマイルストーンに関するIAEAコンサルタント会合の報告をお願いします。

【山田科学官】  これは前回1月の作業部会で、口頭で御報告した内容をプラズマ・核融合学会のインフォメーションとしてまとめましたので、お手元にお配りさせていただいた次第です。このIAEAが音頭を取るデモプログラムワークショップについては、10月に開かれるIAEA核融合エネルギー会議の、次の週にUCLAで開催されることが決まりました。それで、ちょうどプログラム委員をされている飛田さんがいらっしゃるので、最新の情報でも簡単に御紹介いただければと思います。

【飛田グループ長】  今、デモプログラムワークショップのアジェンダを作成中でありまして、30何件かプレゼンテーションの案がありまして、そこの中から絞り込もうというふうにしているところであります。主なテーマはデモ炉、あるいはデモ炉へ向けたパイロットプラントのような要素がありますかね。そういうニュークリア・ファシリティというトピックスと熱負荷というトピックスと、あとはトリチウム増殖ですかね、その3点について議論することになっています。

 以上です。

【小森主査】  ありがとうございました。

 本日の作業部会の議事は以上ですが、事務局の方から最後に何かございますでしょうか。

【飯嶋核融合科学専門官】  先ほどの資料1にもございますとおり、次回、7月12日に第31回目を開催したいと思います。時間は16時から18時の2時間を予定してございます。次回はブランケット開発とダイバータ開発、この2件のお話をするわけでございますが、ブランケット開発につきましては、JAEAの林さん、NIFSの相良さん、ダイバータ開発につきましては、阪大の上田さん、JAEAの鈴木さんからお話をしていただこうと思います。

 なお、先ほど申し忘れましたが、今回を含めまして、今後の説明者につきましては、核融合エネルギーフォーラムの方から説明者を推薦いただきまして、小森先生と調整させて決定させていただいたことを申し添えます。

 以上です。

【小森主査】  ありがとうございました。

【坂本戦略官】  申しわけございません、時間を超過している中ですが、先生方に今日は熱心に御議論いただきまして、本当にありがとうございました。一つだけ、先生方はこれまでこの作業部会で御議論いただいた中で、もう既に十分先生方で協議されていることかとは思いますけれども、一つだけ改めて確認をさせていただきたいと思うことがございます。このように熱心に原型炉に向けた研究開発の進め方、御議論をいただいておる意味は、改めて行政の視点から述べさせていただきますと、ITERであるとか、JT-60SA、それからLHD、あるいは激光12号といったレーザー核融合の装置もあるわけでございますが、私自身、今日御説明いただいた内容を消化するのはなかなか大変な状況でございまして、まだまだ勉強が足りないということを今日痛感いたしたわけでございますけれども、それぞれ世界最高の今研究活動、あるいはそういった最高性能の装置を今開発中であるということを改めて認識いたしました。

 ここでの作業部会の今後先生方に審議をしていただくのは、こういったすぐれた資産、あるいはそれの利用機会というものを、それぞれの資産、装置が持つミッション、あるいは組織が持つミッション、そういったものをきちっと満たしつつ、いかに原型炉の開発、あるいはそれを担う人材の育成に向けて、その利用機会、あるいは利用の方法というものを統合して最適化していくかと。そのための課題を整理する方針を策定していただくということがこの作業部会に行政としてお願いしたいことであるということを改めて確認をさせていただきたいと思います。そういったことは先生は十分御認識かと思いますけれども、正直いいますと、包括的な課題の整理、あるいは方針策定というのは並大抵なことではないと思いますけれども、少しでもそういった課題を抽出していただきまして、将来的な課題、原型炉の開発に向けた課題に照らして、これから数年のタイムフレームでITER、JT-60SAは建設中であると、あとLHDも今しっかり運転されている。さらには国際協力というものは必然的に内在化されておると。そういったものをどう組み合わせていくかということを、方針を示していただければありがたいというふうに思いますので、ぜひ今後も積極的な御議論をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

【小森主査】   それでは、今日はどうもありがとうございました。

お問合せ先

研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当)

小野
電話番号:03-6734-4163
ファクシミリ番号:03-6734-4164

(研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当))