令和6年7月31日(水曜日)15時00分~17時00分
文部科学省内会議室とオンラインのハイブリッド開催
【生方補佐(事務局)】 定刻を過ぎましたので、これより第37回原子力科学技術委員会を開催いたします。本日の作業部会は対面とオンラインを併用したハイブリッド形式にて開催しております。これに関連した確認事項などもありますので、議事に入る前まで事務局にて説明させていただきます。
まず、オンラインでご出席されている方への留意事項をご説明いたします。委員の皆さまにおかれましては現在遠隔会議システムのWebex上で映像及び音声が送受信できる状態となっております。ご発言を予定される場合は、挙手ボタンを押していただければ画面の左上に挙手マークが表示されますので、順番に主査よりご指名いただきます。ご発言いただいた後は、もう一度挙手ボタンを押して手を下ろしてください。会議中映像及び音声が途切れている場合、その時間帯はご退席されているものと見させていただきます。遠隔会議システムの接続の不具合等が生じた際は、随時事務局までお電話いただきますようお願いいたします。
議事録につきましては事務局にて会議を録音し、後日に文字起こしを行います。事務局以外の方の会議の録画・録音はお控えいただきますようお願いいたします。以上が本日の進行にあたっての留意事項となります。
続きまして、本日の配布資料の確認をさせていただきます。委員の皆さま及び傍聴の登録をされた方宛てにメールにて配布資料を送付しております。お手元に議事次第を配布しておりますが、本日の議題は「今後の原子力科学技術に関する政策の方向性(中間まとめ)について」です。配布資料として、資料が2つございます。お手元の資料をご確認いただき、不備等ございましたら事務局までお知らせください。また、その他にも何かございましたら、随時お申し付けください。
委員の皆さま方のご出席状況につきましては、ただいま事務局から確認させていただいた通りでございます。本日は委員11名中、9名にご出席いただいております。遠藤委員につきましては、また後ほどご確認させていただければと思います。運営規則の第3条に規定されております定足数である委員の過半数は満たしておりますのでご報告いたします。
また、本日は、原子力研究開発基盤人材作業部会より東京大学名誉教授の寺井隆幸先生、核不拡散・核セキュリティ作業部会より東京大学大学院工学系研究科准教授の出町和之先生にご参加いただいております。
続きまして、事務局参加者についてご連絡いたします。文部科学省からは、研究開発局長の堀内、大臣官房審議官の清浦、研究開発局原子力課課長の有林、研究開発戦略官の井手、放射性廃棄物企画室長の鈴木、廃炉技術開発企画官の川原、原子力課課長補佐の生方がそれぞれ出席しております。
研究開発局長の堀内と原子力課長の有林が、前回の委員会開催から新たに着任しております。初めに堀内より、一言ご挨拶いたします。
【堀内局長(事務局)】 今月の11日に研究開発局長に着任しました堀内です。よろしくお願いいたします。前職は日本原子力機構の総務担当理事をしておりまして、どちらかというと今日ご議論いただくような方向性の実施側で仕事をしておりまして、苦戦することも多かったですけれども、少しでも着実に進めるように頑張ってきております。
今日は、皆さまに忙しい中だけではなく、とても暑い状況で電車に乗って大変なんですけれども、出光主査を始め、委員の皆さまに、本日の原子力科学技術委員会のほうにご参加いただきまして、誠にありがとうございます。本日は原子力分野の当面の進め方についてご議論いただくことになっております。現場にいて思ったことは、原子力の感じが変わってきているということです。JRR-3から始まって、「常陽」が許可を得て令和8年の運転開始に向けて準備を進めておりますし、高温ガス炉もフル出力での試験に成功しました。また、STACYなども準備を進めております。持っている試験炉がどんどん動いて活動して、研究開発を進めていく状態になっているというのは、しばらくいろいろなものがうまく進んでいなかったところで、だいぶ感じが変わったかなと感じております。原子力も進めていけそうな雰囲気というふうに、個人的には思っております。そういった中、当面はどういったところに重点を置いて進めていくことが、一番うまくいくのかというご意見を賜りながら考えていければという気持ちです。本日もよろしくお願いいたします。
【生方補佐(事務局)】 ありがとうございます。続いて有林よりご挨拶いたします。
【有林課長】 局長と同じく、今月の11日に原子力課長を拝命いたしました有林と申します。私の前職は3年間アメリカにあります日本大使館で科学技術担当の参事官を務めていました。その前職は、同じ局で原子力課のもとで廃棄物を担当するということで、バックエンド作業部会の事務局をしておりましたが、やはり日米で原子力関係に携わることで、海外から見た原子力というようなことも、この3年間を通じて学んで参りましたので、そういった経験を、今まさに国内で今後の方向性を決めるという重要な場でございますので、そういったところに生かしていければと考えております。よろしくお願いいたします。
【生方補佐(事務局)】 ありがとうございます。それではこれから議事に入らせていただきます。運営規則第5条に基づき、本会議は公開とさせていただきます。また、第6条に基づき、本日の議事録につきまして、ホームページに掲載いたします。それでは、ここから出光主査に議事の進行をお願いしたいと思います。
【出光主査】 主査の出光でございます。皆さまご協力のほどよろしくお願いいたします。本日は、その他を含めて、議題が2つございます。「今後の原子力科学技術に関する政策の方向性(中間まとめ)について」ということで議論していただきます。既に、それぞれの作業部会で議論をかなりしておりますけれども、今回はその総まとめという形で実施したいと思います。よろしくお願いいたします。17時までを予定しております。
それでは、最初の議題であります「今後の原子力科学技術に関する政策の方向性(中間まとめ)について」に入ります。この中間まとめは、原子力研究開発基盤人材育成作業部会を中心に、原子力バックエンド作業部会、核不拡散・核セキュリティ作業部会の議論もまとめる形で、全体で取りまとめられておりました。初めに内容について、事務局から説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
【有林課長】 原子力課長の有林です。それでは、私のほうから内容についてご説明させていただきますが、まず説明の前に主査からご説明がありましたように、この報告書をまとめるにあたりまして、人材作業部会、バックエンド作業部会、核セキュリティ作業部会の皆さま方に、計9回の委員会を通じて、この案をまとめていただきました。本日は3人の主査の方にご参加いただいておりますけれども、この場をお借りして御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。また、本日はこのたたき台につきまして、科学技術委員会の先生方からご忌憚ないご意見を受け賜れればと思いますので、よろしくお願いいたします。
今回初めて、この内容について説明するということですので、簡単にポイントを絞ってご説明させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
まずは目次のほう構成を説明させていただきます。目次をご覧になっていただくとわかりますように、背景情報を伝えた後、基本姿勢としまして文部科学省としてどういった役割が求められるのかというところを述べさせていただいております。また、その上で今後の原子力科学技術の方向性として、5つのポイントを挙げさせていただいております。その5つのポイントが4章でございますけれども、1ポツ~5ポツという形で、それぞれ詳細について説明をさせていただいた後、「今後に向けて」というまとめになってございます。
それではページをおめくりいただきまして、1ページ目の「背景及び現状」でございます。こちらは(1)から(3)の構成になっております。(1)につきましては国内における原子力を取り巻く現状ということで、原子力は、我々のような資源の乏しい国にとっては重要なエネルギー源の1つということで、これまで行なってきておりましたけれども、一方で福島第一原発の事故を代表しますように、そういった事故の反省と教訓を忘れることなく、原子力の利用にあたっては、安全性の向上や国民対話の促進をしっかりとやっていかなければいけないということを、1つ目と2つ目の丸で述べさせていただいております。
また、3つ目の丸以降につきましては、政府の動きとしまして、GXの基本方針がまとめられましたが、この中において、原子力については、エネルギーの安定供給やカーボンニュートラルの実現という観点から原子力を最大限活用するという方向性が示されてございます。また、それ以外にも、デジタルトランスフォーメーションの普及拡大に向けて電力の需要が逼迫するというような状況がございますので、そういった中で、今後次期エネルギー基本計画が議論されますけれども、そういった中に具体策について検討が行われるということになってございます。
さらに原子力を初めとする原子力の関連技術を含めまして、こういった技術自体は、先ほども申し上げましたように、エネルギーの観点から安全保障上重要であるということに加えまして、先端技術としての技術安全保障や産業競争力の観点から極めて重要かつ不可欠であるということを述べさせていただいております。
次に(2)としまして、国内外の諸状況ということで、ロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫した状況、また、中国やインドなどの新興国の経済発展ということで、エネルギーの安定供給に不安が生じているというような状況について説明させていただくとともに、このような状況を受けて、国内外においてカーボンニュートラルの観点から、やはり原子力発電を積極的に活用するという方針が打ち出されているということ、そして最近では、ドバイで開かれましたCOP28において、2050年までに、2020年比で世界全体の原子力発電容量を3倍にするというような共同宣言が発表されたことについて言及をさせていただいております。
次の2ページ目ですけれども、このような中で原子力を進めるにあたって、サプライチェーンの維持強化を含めて進めることが重要だというふうに述べさせていただいております。(3)で、こういった背景の中で原子力科学技術を、今後どのように進めていくかという現状と課題ですけれども、単なる原子力をエネルギーの利用だけではなくて、医療応用または中性子を使った材料分析、構造分析、新素材など、産業面においても利用していくということで、エネルギー以外の幅広い領域への展開というものが期待されているということを述べさせていただいております。
また、それ以外に人材の観点では、原子力自体の科学技術力が近年相対的に国際比較をした時に停滞しているということであったり、我が国の大学においても、人材育成の観点から原子力科学技術を支える人材について、停滞しかねない状況にあるというようなことを述べさせていただいております。
このような現状に対して、今後の基本方針というところが3ページ目ございますけれども、こちらにつきましては、まさに、今申し上げたような前提条件の中で、我々としましては、下に基本姿勢ということで①~③について述べさせていただいていますけれども、このような状況の中で安全確保を前提として、しっかりと進めていくということ、また、原子力の科学技術に関して中核的な基盤の構築や発展を目指していくこと、そして、社会との共創による課題対応に向けた取り組みの強化といったところを、文部科学省として取り組んでいく必要があるというようなことを述べさせていただいております。
次の4ページ目ですけれども、今申し上げた3つの基本方針に則り、文部科学省として今後の原子力科学技術の方向性として、5つの重点政策を述べさせていただいております。
1つ目が、新試験研究炉の開発整備の推進。
2つ目が、次世代革新炉の開発及び安全性向上に資する技術基盤の整備及び強化。
3つ目が、廃止措置を含むバックエンド対策の抜本的強化。
4つ目が、原子力科学技術に関する研究・人材基盤の強化。
最後が、東京電力福島第一原子力発電所事故への対応という5つを、文部科学省の重点政策として取り組んでいくべきだということで挙げさせていただいております。また、その下になりますけれども、この政策を進めるにあたり、経済産業省や原子力規制庁などとの関係をしっかりと考慮していくということについても述べさせていただいております。
それでは、個々の5つの点について、かいつまんでご説明させていただきます。まず5ページ目のところで、1つ目の新試験研究炉の開発・整備の推進というところですけれども、こちらは大きく2つの項目で成り立っております。1つ目は「もんじゅ」の跡地を活用しました新試験研究炉の開発整備、そしてもう1つがJRR-3の活用でございます。まず「もんじゅ」の新試験研究炉につきましては、5月の本原子力科学技術委員会において、細かく議論させていただきましたので、内容については簡単にかいつまんでご説明をさせていただきたいと思います。最初に現状としまして、京都大学のKURが令和8年5月までに運転を終了するということになっておりますので、できる限り研究基盤の空白期間が短くなるように、新試験研究炉の整備が求められているということで、この新試験研究炉の内容自体は5ページ目の下半分にございますけれども、熱出力10MWの中性子炉ということで、現状においては、原子力機構、京都大学、福井大学が中心になって概念設計・運転方法等を検討しております。この運用にあたっては、しっかりとした利用ニーズを踏まえるということで、コンソーシアムを形成し、幅広いユーザーからの意見を聞くような体制も整えております。
近況の動きとしましては、下から2つ目の丸になりますけれども、昨年11月に、この新試験研究炉を整備していく主体としまして、三菱重工を選定し、設計・製作及び据付を実施する機関として選ばれたところでございます。また、今年の6月の人材作業部会においては、原子力機構から、この新試験研究炉の設置にかかる資金としまして、全体資金が1,500億円規模、詳細設計Ⅰ期の資金としましては160億円というような数字が示されているところでございます。この内容につきましては、6ページ目の表1に細かく示されておりますけれども、こちらの説明は割愛させていただきます。
また、6ページ目の一番下の4行になりますけれども、原子力機構につきましては、今年中に設置許可申請の見込み時期の提示に向けて全体計画を策定する予定となっているところでございます。
次に7ページに移らせていただきます。②設置場所につきましては、今年中に設置場所の選定を行うこと、そして③実験装置の検討推進につきましては、京都大学を中心に優先と認められる5つの装置について整備計画などが検討されているところでございます。また、④建設費用を見据えた総工費等につきましては、先ほど申し上げました数字がございますけれども、それをさらに精緻化していくということが言及されてございます。
次に、⑤人材育成・拠点の形成につきましては、先ほど申し上げましたように、様々なコンソーシアムなどを通じて、たくさんのユーザーの意見が吸い上げられるような状況になってございますので、そういったものを吸い上げながら、拠点だけではなく複合拠点も活用するような形で進めていくということが言及されてございます。以上が「もんじゅ」の跡地に整備する新試験研究炉の概要でございます。
次に8ページ目の(2)になります。こちらはJRR-3の運用についてです。8ページ目の下をご覧いただきますと、こちらは出力20MWの研究炉でございますけれども、令和3年2月に新規制の適合の審査を経て運転を再開しているところでございます。こちらのほうにつきましては、9ページ目の方になりますけれども、再開したJRR-3を使いまして、今後の取り組み方針としては、5つほど示されておりますけれども、その中でも特に重要なところにつきましては、まさにこのJRR-3を使って安定的な運転や人材育成をしっかりと行なっていくことに加えて、国内において医療用RIが不足しているというような事態がございましたし、また、原子力委員会のほうにおいてもアクションプランが示されたところでございますので、そういったものに応える形として原子力機構において、JRR-3を使ったRI製造というところについて取り組んでいるところでございます。それ以外にも、他の中性子施設との連携というようなところとして、J-PARCなどの施設との連携というところについても言及させていただいているところでございます。
次に10ページ目をご覧ください。2つ目の柱でございますけれども、次世代の革新炉の開発及び安全性向上に資する技術基盤の整備・強化ということで、こちらにつきましては、大きくは「常陽」の話と高温ガス炉の話と安全研究の話で構成されております。このうち「常陽」につきましては、これも同じく5月の科学技術委員会のほうで説明させていただきましたので、簡単に説明をさせていただきます。
現状と課題につきましては、先ほどもございました通り、GXなどにおいて、こういった高速炉の重要性というところが明記されておりますけれども、それを受け政府としても、高速炉開発会議において戦略を示し、それに従って実施しているところでございます。その中で、文部科学省としては高速炉及び燃料技術開発のための基礎基盤的な研究開発をするということで、「常陽」の再稼働及び照射能力等についてしっかりと維持していくということが、喫緊の課題として位置づけられているところでございます。
次のページをご覧ください。「常陽」につきましては、11ページ目に、これまでの実績と評価がございますけれども、今後の動きとしましては、昨年8月に規制委員会のほうに原子炉設置の変更許可を届け出まして、現在は令和8年半ばの再稼働に向けて安全対策工事を実施しているところでございます。この「常陽」が再稼働しますと、OECD諸国で唯一の稼働中の高速中性子照射炉となるということで、「常陽」の位置づけ自体は、国内外に対して重要な意義になるというふうに考えられているところでございます。また、「常陽」につきましては、運転を再開するだけではなく、11ページ目の下のほうの②にございますが、医療用等のラジオアイソトープの製造というようなことで、アクチニウム225というα線の治療を行うRI製造についての取り組みも、現在検討しているところでございます。このように、エネルギー面だけではなく、医療応用などへの利用も「常陽」の再開の1つの目的として位置づけられているところでございます。④に、「常陽」の今後の運転に向けて、新燃料の確保供給というところがございますけれども、こちらは、5月の会議で出させていただきました内容をそのまま記載させていただいております。
次に、12ページ目の下のほうに移らせていただきます。(2)HTTR(高温ガス炉)につきましても、GXの方針の中において、次世代革新炉の1つとして高温ガス炉の開発・建設に取り組むということが示されております。
次のページをご覧ください。これまでの実績と評価の3つ目の丸になりますが、HTTR自体については、令和3年7月に10年ぶりに運転を再開しましたが、今年の3月にはブロック型のタイプとして、世界で初めて出力100%運転時からの炉心流量喪失試験に成功したということで、高温ガス炉としての固有の安全性を世界に対して示したというところが、直近の実績として挙げられております。今後のHTTRの動きですけれども、令和12年までに高温の熱源と水素製造プラントとの接続技術の確立実証に向けて、これから設置変更申請を行うことというふうにされているところでございます。また、次の14ページ目の③になりますけれども、高温ガス炉につきましては日本国内だけではなく、ポーランドや英国との共同研究も進んでいるところでございますので、そちらについても述べさせていただいております。
以上のように「常陽」とHTTRについて述べさせていただきましたが、(3)としましては、このような研究を進めるにあたって、安全研究についても極めて重要だというようなことを述べさせていただいているところでございます。
次のページに移らせていただきまして、15ページ目でございます。3つ目の柱としまして、廃止措置を含むバックエンド対策の抜本的強化というところで、原子力機構の廃止措置についての取り組みについて言及させていただいております。今、原子力機構におきましては「もんじゅ」「ふげん」、東海再処理の主要施設について、速やかにリスク低減を行ないつつ優先的に予算を配分して廃止措置を推進しているところでございます。一方で、この主要施設以外にも約36の中小施設がございますけれども、こういった施設について計画的に廃止措置をしていくことが重要でございますけれども、他方で、現状においては、これらの廃止措置にかかる費用に対して、年間約7億円程度しか措置されておらず、このペースで廃止措置を進めた場合は2,600億円以上の維持費がかかるというようなことで、次の16ページ目の真ん中のほうになりますけれども、維持管理の経費を削減するというような観点から、集中的にこういった中小規模施設についても、しっかりと予算措置をすべきだという考え方を述べさせていただいております。表4のほうに中小施設に対する予算措置の方策についていろいろと検討がされておりますけれども、このような資金確保方策を念頭に、しっかりとした中小施設に対する予算を確保し効率的な廃止措置に取り組むことというふうにしております。
次に高速増殖炉「もんじゅ」、「ふげん」、東海再処理という主要施設の廃止措置の状況につきまして、18ページ目に書いてございます。(2)-1が「もんじゅ」、(2)-2が「ふげん」、(2)-3が東海再処理についてでございますけれども、「もんじゅ」につきましては、国の方針に基づいて、大体30年間にわたり4つのフェーズで廃止措置を行うこととなっておりますが、このうち第1フェーズにつきましては令和4年度に終了し、今は第2フェーズに入って、しゃへい体の取り出し及び水・蒸気系の発電設備の解体作業などに着手しているところでございます。今後、使用済み燃料やナトリウムについては、しっかりと海外での処理を念頭に進めていくというようなことを言及しているところでございます。
次に19ページ目の「ふげん」につきましては、平成20年に廃止措置に移行しておりまして、現在着実な廃止措置を実施しているところでございます。これまでの実績の2つ目の丸にございますけれども、平成20年から令和16年までの20年間で廃止措置を終了する予定でしたけれども、様々なリスク低減措置を取る事から、計画が7年間延伸されているところでございます。また、使用済み燃料の処理につきましても、フランスでの再処理を行うよう調整が進められているところでございます。
東海再処理につきましては、平成26年に廃止措置に移行しまして、約70年間という長期間で実施することとしております。その中で、これまでの実績の3つ目の丸になりますけれども、再処理を実施するにあたり、最もリスクの高い高放射性廃液のガラス固化処理を最優先ということで、HAWとTVFについての安全対策を最優先に取り組んでいるところでございます。以上が、主要3施設についての現状及び今後の方針です。
次にバックエンド対策について説明させていただきます。こちらのほうにつきましては、研究施設等の活動(大学や民間企業などを含める)で生じる廃棄物につきましては、平成20年度の原子力機構法の改正により、原子力発電所以外の目的で発生した放射性廃棄物については、原子力機構が埋設処分の実施主体として位置づけられたところでございます。これをうけて、原子力機構では、埋設処分に関する実施計画というものを策定し、受け入れに向けた様々な基準や総コストの見積もりなどを実施しているところでございます。
21ページ目の真ん中になりますけれども、これまでに機構が実施した調査の結果としましては、埋設施設の規模として約75万本、埋設費用としましては、2,900億円という数字が、今年6月に開かれましたバックエンド作業部会で提示されたところでございます。
21ページ目の下のほうにございますけれども、今後、埋設処分の立地選定を円滑に実施するために、埋設施設が地域と共生し、立地地域の持続的な活性化につながる方策などを講じる取り組みを原子力機構が進めるというようなところが記載されているところでございます。
6月のバックエンド作業部会で提示されました内容につきましては、22ページ目のほうに表がございますけれども、詳細は割愛させていただきます。また、それ以外の取り組みとしましては、22ページ目の下のところにございますけれども、高レベル廃棄物の地層処分に関する研究開発ということで、北海道の幌延において500mの坑道を展開すべく活動をしているところでございますし、それ以外にも文部科学省として、使われなくなった少量の核燃料廃棄物について、集約化すべきという議論がされておりますので、それについて、効率的なマネジメント体制や環境整備などを支援する取り組みを進めることというふうにしております。
次に23ページ目の4ポツ、原子力科学技術の研究・人材基盤の強化というところでございます。こちらのほうにつきましては、原子力科学技術分野の基礎研究及び人材育成に焦点を当てております。その中でも、23ページ目の真ん中のほうになりますけれども、近年、原子力に対する厳しい見方を受けまして、国の原子力予算自体が減少傾向になっております。また、大学等においても、学部学科の再編によって、原子力に関する教育研究の基盤が脆弱化するなどの状況が生じております。一方で、国全体としましては、先ほども申し上げたカーボンニュートラルやエネルギー安全保障の観点から原子力の再評価・利活用に対しての期待が高まっているというところですので、その期待に応えるために、それらを支える研究開発や人材技術開発を進めていくことが極めて重要であるということが示されているところです。具体的には、文部科学省において、原子力システム研究開発事業ということで、共創的な公募事業を実施しているところでございます。こちらのほうにつきまして、来年度に向けて、この事業をまさにニーズにあったような見直しというものを行いました。詳細は24ページをご覧ください。この原子力システム事業ですけれども、現状においては産・学・官の知見を結集して、チームで取り組む基盤チーム型、そして、社会実装を目指す上でボトルネックな課題を対象とするボトルネック課題型、そして挑戦的・ゲームチェンジ的な新発想型という3つで実施をしておりましたが、これを再編し、令和7年度からは新たに、新領域開拓型だということで、テーマを設けずに、より優れた研究者を幅広く受け入れる体制を整備したいと考えております。新領域開拓型においては、具体的なテーマの絞り込みは行なわず、異分野融合ということで、情報、医学、薬学、宇宙などの他分野との連携の推進拡大というようなことを念頭に、研究課題の提案を進めたいと考えております。具体的には、大規模チーム型、異分野連携型、若手型というカテゴリーを設けて実施したいと考えているところでございます。以上のように方向性を示させていただきましたが、これらを実施するにあたっては、幅広い研究テーマの適切な支援につながるように、現場の声をしっかりと反映する形で引き続き検討を進め、具体化に取り組んでいきたいと考えております。
25ページは、原子力機構における取り組みでございます。こちらにおいては、理事長のリーダーシップのもと「ニュークリア×リニューアブル」で開く新しい未来というようなビジョンが示されております。こちらについては、原子力の技術を新しいリニューアブル、再生エネルギーと連携させることによって、新たなイノベーションの創出を目指すということで、理事長主導のプログラムがいくつか立ち上がっているところでございます。例としましては、使用済み燃料から生じる熱を利用するためにスピン熱電子素子の開発や耐性評価などを行ったり、高放射性廃液に含まれる様々な放射性核種の中で有益な金属を取り出すような化学分離法の確立、それ以外にJ-PARCのパルス源において、大容量の高性能なビーム照射の実験を達成するというようなことを実現しているところでございます。
次に、26ページの原子力に関わる人材育成のところでございます。こちらのほうにつきましては、国内の原子力関係の学科・専攻が減少しているような状況でございますが、文部科学省の役割としましては、国際原子力人材育成イニシアティブ事業を立ち上げているところでございます。この事業の中で、令和3年にANECという組織が立ち上がりましたが、こちらのANECでは大学、産業界、研究機関などが参画するような形で、例えばオンライン教材の製作・公開や大学間の単位互換制度の構築、大学生や大学院生、高専生のための原子力実習、原子力イノベーター育成キャンプやイノベーション留学などの事業を実施しているところでございます。原子力イニシアティブ事業の今後の方向性としましては、やはり人材育成の裾野を拡大していくということで、原子力に関わる人材が原子力専攻だけではなく、それ以外の学生に対しても広がっていく活動が必要であるというようなことを述べさせていただいているところでございます。
28ページ目の(2)−2においては、原子力機構における取り組みとしまして、原子力機構にあります原子力人材育成センターにおいて、原子力機構が7つの大学と連携協定を締結して教育カリキュラムの作成や共同共通講座、集中講義、学生実習などの取り組みや、核不拡散・核セキュリティ総合支援センターを通じて、国内の核セキュリティ人材の確保などに取り組んでおります。
人材の今後の取り組み方針につきましては、29ページ目の上のほうになりますけれども、原子力機構の人材センターのネットワークを使って、より一層取り組みを充実強化していくということ、また、その際に原子力機構が持っているネットワークと文部科学省主体で作ったANECとの連携についても検討を推進していくことが必要であるというふうに述べられているところでございます。
最後に5ポツの「東京電力福島第一原子力発電所事故への対応」でございます。こちらにおいては、現状原子力機構において、CLADSという組織を設立しまして、福島に対しての対策を講じているところでございます。CLADSについては、原子力機構の内部組織の連携だけではなく、大学、研究機関、産業界とのネットワークを活用しまして、福島のオンサイトにおける研究開発や人材育成に取り組んでいるところでございます。また、原子力機構においては、オンサイトだけではなく、復興再生基本方針に基づいて、オフサイトの環境回復のための環境動態研究などにも取り組んでいるところでございます。
今後の福島の活動に関して、CLADSのほうにつきましては、令和6年度に新たな人材拠点を立ち上げたところでございます。また、オフサイトの研究につきましては、来年に福島国際研究教育機構(F-REI)の組織が立ち上がるということで、オフサイトで行なっております研究のうち環境動態研究については、新しく立ち上がるF-REIのほうに移管・統合する予定としております。
最後に被害者の保護と原子力事業の健全な発展ということで、原子力損害賠償についての活動について言及させていただいております。原子力損害賠償につきましては、これまで原子力損害賠償紛争審査会において、様々な中間指針等を策定するとともに、原子力損害賠償紛争解決センター(ADRセンター)において和解・仲介を実施しているところでございます。原賠法自体については、令和11年末に改正予定ですが、それに向けて、これまでの議論も踏まえた損害賠償措置のあり方について、今後事前検討を行うことにしております。
31ページ目の今後の方針につきましては、今申し上げましたように、引き続きADRセンターでの活動を行なっていき、中間指針についてもフォローアップをしっかりとしていくというところでございますが、それに加えて、原賠法の改正やCSCと呼ばれる国際条約への対応についても、引き続き取り組んでいきたいと考えております。
最後に、今後に向けてのまとめでございますけれども、この案を作るにあたって、人材作業部会、バックエンド作業部会、核セキュリティ作業部会の3つの部会において検討いただいた結果を取りまとめたものでございます。先ほど申し上げた5つの重点政策については、文科省として、今後重点的に取り組むべき主要分野を列挙したものであるということで、今後につきましては、今申し上げた説明の中でも特に、新試験研究炉、「常陽」、バックエンド対策、研究人材基盤の強化というところについて、今年5月の科学技術委員会等でも検討が進められてきたところでございます。文科省としましても、概算要求することを念頭に、この中間取りまとめを具体化していくことが期待されているところでございます。実際に今回の取りまとめでございますけれども、今申し上げましたように、3つの部会の意見、そして本日いろいろとご議論いただきますけれども、引き続き、この内容について議論を継続し最終取りまとめに向けて行うことについても言及しているところでございます。その際に5つの政策に含まれないものについても、しっかりと継続して議論をしていく必要があるということについて、継続的な評価検証の見直しをおこなっていくべきだということが述べられております。以上、簡単ではございますが、内容についてご説明させていただきました。
【出光主査】 ありがとうございました。まとめてご説明していただきました。議論については、それぞれの作業部会でどのような審議がされたかという説明の後に行いたいと思います。
まずは、作業部会の議論の経過につきまして、最初に、原子力研究開発基盤人材作業部会のまとめの説明をお願いいたします。
【有林課長(事務局)】 続きまして、原子力課長の有林から説明をさせていただきます。人材作業部会におきましては、6回の作業部会を開催しました。この中間取りまとめの中でも、特に「もんじゅ」サイトを活用した新試験研究炉の開発整備の推進や次世代革新炉の開発、それ以外にも原子力科学技術に関する研究人材の強化にフォーカスして議論を行なってきたところでございます。実際に、3つの作業部会において議論された内容については、本中間取りまとめの中に大部分反映されているところでございますけれども、その中でこの報告書を取りまとめた上で、各先生方から最終的にいただいたコメントをいくつかご紹介させていただきます。
1つは、これまであまりなかった文科省の役割というものを、ある意味、この中間取りまとめの中で、昔は原子力長計というものがあって、国全体がどうしていくべきか、というところが示されておりましたけれども、それがなくなってしまった現状において、この中間取りまとめ自体が、原子力科学技術を進めていく文科省の役割として、ある意味明示的になったというところについては、複数の先生から高い評価をいただいているところでございます。
また、この内容につきましても、原子力というと、真っ先にエネルギーが思い浮かぶところですけれども、エネルギーだけではなく、医療利用や産業界への応用など、エネルギー以外の他分野における原子力の価値というものをしっかりと方向付けていることについても、一定の評価を得たところでございます。それ以外に、研究開発をする上で人材の確保が重要だということは、何人もの先生方からご指摘をいただいたところです。特に原子力ということで、原子力専攻の学科だけに議論が集中しがちですけれども、やはり総合技術ですから、原子力専攻だけではなく幅広い分野から人材が確保できるように努めるべきだというようなご指摘をいただきました。
最後になりますけれども、今後は幅広い分野の方とインボルブしていくために、国民に対して、こういったものをしっかりとメッセージとして発信していく、単に作ったことに満足するのではなくて、この内容について国民の方々にしっかりと伝わるように努めていってほしいというようなご指摘をいただきましたので、そちらについては事務局としても先生方のご期待に答えられるように対応していきたいと考えております。以上が、人材作業部会における主な議論でございます。
【出光主査】 ありがとうございます。続きまして、原子力バックエンド作業部会の事務局のほうから説明をお願いいたします。
【鈴木室長(事務局)】 バックエンド作業部会の事務局でございます。こちらは、出光主査も含めて、バックエンドの関係部分についてご議論をいただいたというところでございます。具体的な場所で申し上げますと、先ほど有林のほうからもご説明がありました通り、15ページ、16ページのところからになります。
主に、主要施設以外の施設の廃止措置の促進に向けた取り組みというところにつきましては、廃止措置の資金的な確保もそうですが、廃止措置についてのルーティン化ができないものは、単に廃止措置をするというわけではなくて技術開発も必要になってくる場合もあるので、そういった場合の検討もするべきではないかというご指摘をいただいているところです。また、資金確保に挙げられているような例というのも、廃止措置の36施設の部分につきましては、特性に応じて何かしらの使い分けができないか、というような形のご指摘もあったというところでございます。また、17ページの廃止措置に関連する課題のご指摘といたしましては、17ページの②の2ポツ目の後段部分ですが、まさに放射性廃棄物の低減という形のクリアランス制度について、付加価値をつけるのはいいのですが、廃棄物全てをゴミとして見るのではなく、一定程度は有価物があるのではないかという視点や、そういったところの資源化について言及はできないかというご指摘をいただいており、そういった部分についてのものも、こちらの文書として反映させていただいているというところでございます。
また、一定程度の廃止措置の取り組みの部分につきましては、JAEA以外の事業者が処分する際のために、JAEAの中でどのような要領やマニュアルで作業を行っていくのかというノウハウを文書化して、その技術の継承を確実にしてほしいというコメントもいただいておりました。また、廃止措置については、比較的な地味な作業なこともあり、モチベーションを維持させるためにも、廃止措置についての魅力を発信していただく必要があるだろうというような形のコメントもいただいたというところでございます。
ここからは埋設処分の関係の話になりますけれども、2,243億円から2,900億は物価上昇の話であるとか、トレンチ処分の主要な変更で、費用の上昇というのは、一定程度はやむを得ないだろうけれども、JAEAの中でコストを下げる工夫について、合理性を示してほしいというコメントをいただいております。
また、22ページの少量核燃料物質の集約化・安定化に関するところにつきましては、大学や民間の少量核燃料について課題があるというような形の認識が示されておりまして、そういったところの対策というのも考えていくべきというコメントがございました。
全体的なものとしましては、廃止措置というものにつきまして、数年でドラスティックにというよりも、進捗というところについて一定程度のものあるのだけれども、廃止措置の現場の状況を共有してほしいというコメントもありました。例えば、現場で実際にどういうような形の分別作業があって、どのように行われているかなど、そういった現場の声も共有して議論してもらいたいというご指摘をいただいております。事務局からは以上です。
【出光主査】 先ほどの原子力研究開発基盤人材育成部会の主査の寺井先生も来られましたので、寺井先生から、先ほどのまとめの中で、何か追加するようなことがございましたらお願いいたします。
【寺井主査】 ありがとうございます。原子力研究開発基盤人材作業部会の主査を務めております寺井でございます。特段、追加はありません。しっかりとおっしゃっていただいたので、特にありませんけれども、せっかくの機会なので一言だけコメントをさせていただきます。
先ほどご紹介いただきましたように、2ページ目の目次がありましたけれども、その中の1ポツと2ポツと4ポツと5ポツの(1)を技術的な対象として審議させていただきまして、昨年12月から月1くらいの頻度で、ご報告いただいたり、あるいはその内容について議論させていただきました。それ以外の部分も含めて、この報告書全般について、一番直近の作業部会でレビューをさせていただいて、委員の先生方から非常にたくさんの貴重なご意見をいただいたところでございます。
そのご意見を反映させる形で、今日お出していただいている中間まとめをなんとか形にすることができましたけれども、非常にご多忙の時期に、当該作業部会にご出席いただき、たくさんの貴重なご意見をいただくとともにご議論いただいた委員の先生方、詳細な内容に関するご発表いただいた方々、本作業部会を運営し、最後に取りまとめ案の作成にご尽力いただいた文部科学省のご担当官の方々に、主査として厚く御礼申し上げたいと思います。
具体的な内容につきましては、先ほど有林課長さんからご紹介がございましたので、特に追加で申し上げることはございません。今後、ここで書かれている政策を実施していくための具体的な方策、あるいは予算の確保のあたりが大事だと思います。また、一般国民への情報発信が重要だと思いますので、文部科学省殿並びに、JAEA等の関係研究機関、あるいは大学等のご努力に、今後期待したいと思っております。なお、この科学技術研究委員会の委員でおられる石川主査代理、リモートで参加されている黒崎委員も、当該作業部会の構成員でおられまして、いろいろなご意見をいただきましたけれども、もし補足ございましたらお願いしたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、この中間まとめの案につきまして、よろしくご審議のほどお願いしたいということを申し上げまして、私のほうからは以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。
【出光主査】 ありがとうございました。それでは、バックエンド作業部会の主査も務めております私のほうから。先ほどのご説明もうまくまとめられましたので、特に追加はございません。委員の中には、廃棄物を発生させているところの方もいらっしゃいます。あと、取りまとめて、次の処分場に持っていく方もいらっしゃいまして、最終的な処分に向けてのものが進むようにということを、切に望まれていたことは追加しておきたいと思います。あと、JAEAの主要な3つの施設以外の部分の廃止施設につきましても、集中的にやることで慣れてきて少しずつ要領が良くなっていくのではないかという期待も出ていたかと思います。
あとは、先ほど述べられました通り、廃棄物の処分というのは、後始末的で魅力がないように思われがちですけれども、その中でも、今まで価値がないと思っていたものに価値を見出して、実は宝の山が眠っていたというふうな、明るい方向に持っていければいいなという希望も出ておりました。
次に、核不拡散・核セキュリティ作業部会の事務局のほうから説明をお願いいたします。
【河原企画官(事務局)】 原子力の国際協力担当の企画官をしております川原です。よろしくお願いします。私のほうからは、核不拡散・核セキュリティ作業部会における検討状況などについてご説明をいたします。本作業部会におきましては、東京大学の出町先生を主査としまして、本期は昨年の12月と本年6月の2回にわたり開催をされました。部会における主な論点としましては、核不拡散・核セキュリティに関する技術開発や人材育成などの基盤整備、それからIAEAなどとの国際連携、アジアを中心とした国際協力の観点、また、その他の関連する諸課題の対応としまして、研究炉からの高濃縮ウランの変換に関する政府間の取り組みなどについてご審議をいただきました。
今回の中間まとめにおける関連の記載としましては、これまでの作業部会での議論を踏まえまして、中間まとめ本文の14ページから15ページにあります、原子力に関する安全研究等の推進、それから28ページから29ページにあります、原子力に関する人材育成機能の強化の箇所に、それぞれ関連する技術開発や人材育成についての今後の基本方針などが記載されております。
まず14ページ下段から15ページ中段にかけまして記載されております研究開発につきましては、核セキュリティサミットでの日本政府のコミットメントを踏まえまして、2010年に原子力機構に設置されました、核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)におきまして、これまでアメリカなどとも連携しまして、核物質計量管理の高度化に資する測定技術、不正な取引及び核テロなどを防止するための核物質起源の特定に資する核検知・核鑑識に関する技術開発などを実施してきました。今後の取り組みに記載されておりますのは、例えば、国内外のニーズや原子力を取り巻く状況を踏まえまして、核不拡散・核セキュリティに関する技術開発成果の社会実装に向けた取り組みを進めること。特に米国との共同により、新しくプルトニウムの核鑑識技術開発を実施するとともに、国内外の核鑑識能力の強化に向けた技術的な支援を推進し、核不拡散・核セキュリティの強化に貢献することとしております。
作業部会の委員からは、核セキュリティの新たな脅威への対応や社会実装の観点から、産業界の最新動向の把握やISCNの活動の理解増進が重要であるというご指摘、あるいはロシアによるウクライナ侵攻なども踏まえまして、核セキュリティリスクは増大しており、AI、サイバーセキュリティ、ドローンなどの新しい技術への対応を継続的に検討することが必要といったご意見をいただいております。
次に、28ページ下段から29ページ中段にかけまして記載されております人材育成に関しては、ISCNが核セキュリティ分野のIAEAの共同センターに指定されていて、これまで約100か国、6000名以上に対するトレーニングを実施してきております。国内はもとより、特にアジア地域を中心とした核不拡散セキュリティ分野の人材育成支援の国際的な拠点として活動を推進して参りました。今後の取り組みとしまして、本年5月にISCNが新規で加盟したIAEAの核セキュリティ教育ネットワーク(INSEN)とも共同し、トレーニングカリキュラムの開発、インストラクターの養成などを実施するとともに、国内については原子力教育コンソーシアム(ANEC)などとも連携しまして、IAEAと共同で開発する教材を国内人材育成に活用すること、また、核セキュリティ分野の人材育成に関する国際協力の取り組みを積極的に展開することとしております。
作業部会の委員からは、新しく加盟したINSENの活動の中で、これまでISCNが培ってきた経験や知見が貢献されることの期待、あるいは、今年新しくなったISCNの実習フィールドを活用した国内外の一層の人材育成への貢献、それから国内大学や企業との連携も重要といったご意見をいただいております。
今後、中間まとめに記載された事項について具体化を図るべく、文科省としても必要な取り組みを進めるとともに、作業部会においても、ISCNにおける核不拡散・核セキュリティに関する技術開発・人材育成の中長期ロードマップ、あるいは政府として必要な取り組みなどについて、引き続きご審議をいただく予定です。事務局からの説明は以上ですが、もし、よろしければ、オンラインで入っておられます作業部会の出町主査のほうから一言いただければ幸いです。以上です。
【出光主査】 出町主査、よろしくお願いいたします。
【出町主査】 ありがとうございます。核不拡散・核セキュリティ作業部会の主査を務めております、東京大学の出町でございます。今ほど河原さんからご説明ありましたので、特に追加はないですけれども、重点ポイントのみサマリーという形で述べさせていただいてもよろしいでしょうか?
作業部会といたしましても、次世代炉の開発とか原子力を取り巻く動向を踏まえて、その中で特に核不拡散・核セキュリティの研究教育を強化することは、とても重要なことだと認識しているという前提がございます。そのため、この作業部会の中では、核不拡散・核セキュリティの人材育成や研究開発の方向性を、まず議論しているのですが、その中でも取り分け大きな役割を果たすと期待されているISCNさんの活動について審議するとともに、提言をさせていただいてきました。
先ほどご説明ありました通りISCNさんでは、現在でも米国と連携しまして、核鑑識の技術を新規開発するなどの研究についても成果を上げていらっしゃるとともに、主に国内外向けに研修を行っていらっしゃって、約100か国6000人以上の人材育成実績があります。世界においても、核不拡散・核セキュリティにおける人材育成拠点の1つとしての地位を確立されています。
さらに今年の5月に、IAEAのINSENに新規加盟されまして、国内外へのさらなる貢献について、部会として期待しているところでございます。そういったISCNさんの諸々の活動に対しまして、作業部会の委員からも、多数の建設的な意見やコメントが出ておりますので、ご紹介させていただきます。
今まででも十分活発な教育活動をしているのですが、それをさらに拡大するために、2025年にINSENの年次総会が日本で開催されるかもしれないという動きがあります。そのように積極的な調整を努力するよう、コメントをさせていただいています。また、ISCNさんでは、この度の核物質防護実習フィールドをリニューアルされました。これを積極的に活用することによって、より一層の人材育成に努めていただくことをお願いしております。また、委員の方には電力事業者の方もいらっしゃいます。その方からこのような人材育成の活動を見た上で、核不拡散・核セキュリティ分野のインストラクターを電力事業者さんの中で養成するために、産業界と連携するようなことも検討したいという意見も出ております。このように官民が連携するような動きも、この部会の中で始まっているところでございます。
最後に私の希望なのですが、将来的にISCNさんにおける教育を修了することが、我が国における保障措置査察官、または核物質防護検査官の任用にあたって必要条件となることです。そうなるように教育研究の活動を拡大して発展していただくことを、作業部会として大きく期待しております。以上でございます。よろしくお願いいたします。
【出光主査】 ありがとうございました。全ての説明等終わりましたので、これから委員の皆さまに、ご意見を伺いたいと思います。
【生方補佐(事務局)】 事務局から連絡です。遠藤先生にご参加いただけておりますので、事務局のほうからお知らせさせていただきます。
【出光主査】 それでは、皆さまからご意見やご質問を伺いたいと思います。オンラインの方は挙手機能を使ってアピールしていただければと思います。何かご意見あるいはご質問はございますか。
【増井委員】 私は日本原子力産業協会の増井と申します。この度、初めてこちらの委員会に参加させていただいております。よろしくお願いいたします。
原子力産業界からの視点ということで、今後この委員会でもコメントさせていただきたいと思っております。まず、これまで当協会のほうから、何点かこの委員会でも発言させていただいたことがございます。例えば、人材育成の重要性やイノベーションの重要性といったものは、中間まとめのほうに適切に反映されており、とてもありがたいと思っております。
31ページ目を開いていただきたいと思います。31ページの下から2ポツ目に、原賠法の話が書かれてございます。次期の改正に向けて、今後、賠償措置のあり方について今後事前検討を行うというところです。前回の改訂は2018年というふうに理解をしてございまして、そこから原子力を取り巻く位置付けや情勢には、かなり大きな変化があったかなというふうに認識をしてございます。昨年、GX関連法案が成立し、また、今年度中にエネ基の改定もあるということでございます。
一言で言うと、冒頭に有林さんの方からもございましたように、原子力を最大限に活用していこうといった方向に舵を切っているものだと思っています。エネ基を改訂していく中で、この原賠のあり方は課題として認識されております。原賠法の目的の一つは、30ページ目の小見出しで書かれているように、原子力事業の健全な発達ですから、こういった文脈や主旨が読み取れるような形で31ページ目を書いていただければと思った次第でございます。現行の記載では、改訂時期が来るから改訂するんだけれども、ということですが、前回の改訂から今回に至るまでに、いろいろな変化があったというようなこと書いていただければなというふうに思った次第でございます。私からは以上です。
【前田企画官(事務局)】 ご指摘いただいた点については、委員のおっしゃる通りだと思います。現在は、単に「次期改正に向けて」という記載ぶりになっておりますけれども、昨今の原子力を取り巻く状況を念頭に、事務局の中で検討していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【出光主査】 ありがとうございました。他にございますか?
【黒崎委員】 ありがとうございます。15ページから20ページにかけて、廃止措置の話や廃棄物の埋設の話がありました。これは非常に重要な話で、きちんと文科省としてもやっていくんだということが書かれており、本当にいいなと思っているんですけれども、一方で、これをやっていくという対象が、例えば「原子力機構では」とか、主語がJAEAになっているところが多々あります。もちろん、物量としても、そちらが非常に多いと思うんですけれども、一方で、各大学にもさまざまな施設があり、廃止措置あるいは更新していかなきゃいけないものもあるわけです。自分のことを言って恐縮なんですけれども、我々京都大学の複合原子力科学研究所にも、KURという、熱出力5MWの試験研究炉がありまして、これが2026年5月に運転を停止します。運転を停止した後は、廃止措置に入っていきます。それを、どういう形でやっていくかということは、我々自身でも考えてはいるのですが、当然、京大だけでできるわけでなく、国全体で考えていただいた中で我々が動くという位置づけだというふうに理解しています。そういうことが見えるような形で書いていただけると、非常にありがたいと思いました。
もう少しだけ追加すると、先ほどまでたくさんのコメントがあったように、廃止措置というのは、どちらかというと、若干後ろ向きなイメージがあるんですけれども、実はそうではなくて、廃止措置を通じて、いろいろと得られる知見、あるいは廃止措置の高度化というところで、最先端の研究の芽が生み出される場になるものだと思っています。ですから、そちらにうまくエフォートを追加することで、将来はどうせ廃止措置がたくさん出てくるわけですから、そういったところに貢献できるようなものも産み出せると思っています。なぜ、今こんなことを言っているかというと、「もんじゅ」サイトの新しい試験研究炉のところは、新しいのができるということで、非常に夢見がちになって、そういうところで明るい話題ということで出るんですけれども、廃止措置は、そうは言っても、その裏ではきちんとやらなければいけないということですので。特にそういうものを大学でもたくさん抱えているというところを、文部科学省でもご理解いただければと思った次第でございます。以上です。
【鈴木室長(事務局)】 廃企室の鈴木でございます。今、ご指摘いただいたような話につきまして、もちろん、先ほどのご説明でも申し上げましたが、JAEA以外の事業者が処分をする際、JAEAの36施設や、今やっているノウハウみたいなものにつきましては、要領やマニュアルを一定程度文章化するような形にして、技術の伝承をさせていただければと思います。文章化して追加するというところにつきましては、今後検討させていただければと思います。もちろん、JAEAだけを見ているわけではございません。研究機関での廃止措置のあり方につきましても、文科省としてしっかりと見ていきたいと思っておりますので、引き続き、よろしくお願いいたします。
【黒崎委員】 そう言っていただけると非常にありがたいです。これからもよろしくお願いいたします。
【出光主査】 それでは遠藤委員、お願いします。
【遠藤委員】 ありがとうございます。原子力の重要性や価値について、フロントからバックエンドまで、重要な次世代技術の維持のための研究開発・人材、維持開発の問題について、しっかりとまとめていただいているきまして、大変ありがたい文章でございました。
黒崎先生は、JAEAだけではないというふうにおっしゃったのですが、JAEAは中心的で大変重要な役割だと感じております。特に、エネ基の議論でも共通認識として確認されておりますけれども、これからAI、データセンター、半導体によって、爆発的な電力需要の伸びがあります。そういう意味では、電力のオフテーカーの人たちが、原子力を欲するという中において、特に次世代においては、高温ガス炉は非常にコンパクトであること、また水素を比較的容易に作れるということで、非常に注目に値する次世代炉だと考えておりますので、実証に向けた研究開発を進めていただきたいと思っています。
そういう意味で原子力は重要なのですが、私は先週、三菱重工業のも神戸造船所のほうに見学に行ってまいりました。三菱重工は良いとしても、その周辺のサプライチェーンの冷え上がり方というのは、非常に深刻なものであるというふうに認識しております。よく原子力の話になをすると「まずは再稼働が…」という話になりますが、るんですけれども、いわゆる技術開発や人材の維持ということから考えれば、最もリプレースを最も初期段階に着手しなければならない課題だというふうに受け止めています。これは既に自公の閣議決定を経たこと事項が決まったことであるわけです。ですから、そこに向けての施策をについて、文科省としても経産省がと連携をしながら進めていただきたいというふうに思う次第であります。フロントからバックエンドまでというのは、民間事業であるが故に切り離して検討できるものではございません。後ろは特に、科学技術が支える分野が多いですし、文科省が管轄している組織が多いと思いますので、前面に立って国の役割としてしっかりと果たして指導していただきくというような機能を、さらに加速して果たしていただきたいと思っております。
最後に一点、原子力損害賠償制度の話に言及されておられたのですが、10年に1回の見直し時期がやってくるということもありますが、将来的に原子力事業を誰が維持するのかという観点から、原陪法が、新しい原子力事業への参入者にとって非常に問題となるというような議論が起こってきているのんだと思っています。原子力損害賠償制度が協議狭義の専門でありますので、そういう意味で私が思うのは、現行の原賠陪法と支援機構法があるということにおいて、支援のあり方というものは、すでにある種制度化されている状況であります。ですから、有限であるとか無限であるとかというような言葉の定義づけによって、この制度を争うのではなくて、実質的に民間が、その原子力事業を行なうに値するような原子力損害賠償制度かどうかという視点で、そういう実質的な議論が、今後議論が進むということを期待するところでございます。私からは以上です。ありがとうございます。
【有林課長(事務局)】 遠藤先生、ご指摘ありがとうございました。人材については、おっしゃる通りです。サプライチェーンとの連携については大変重要だと思っています。私もこのポストについてから、まだ数人の有識者としか意見交換をしておりませんが、やはり人材を育てる立場の声として、育っていった人材がどこで活躍するのかというところが、原子力は、ある意味目の前に見えているというような、まさに現場に近い教育を行なえるということも聞いております。例えば、バックエンドの分野というのは、まさに目の前にそういった課題がタスクとしてあるわけですので、人材を育てていくことになった時に、まさに抱えている課題やそれに対応するものを、研究機関だけではなく、サプライチェーンや産業界を含め、しっかりと密に連携をしていければというふうに考えております。
また、原子力損害賠償のほうでございますけれども、こちらのほうについても、ご指摘を踏まえて対応させていただきたいと思います。先ほど、増井委員のほうからもご指摘がございましたけれども、原賠法はまさに被災者保護という前提で行っておりますが、一方でエネ基の中において、さまざまな議論が行なわれているところですので、エネ基の議論も視野に入れて原賠法の見直しをどのような形にしていくか検討してきたいと思います。増井委員、遠藤委員、ご指摘どうもありがとうございました。
【出光主査】 ありがとうございます。廃炉に関しましては、最初に廃炉機構のほうでJAEAと情報交換という取り決めが行なわれることになっております。民間施設の炉の廃止と研究炉などの廃止について、ノウハウや情報の共有について、お互いに利用していこうということが締結されて進んでいるという状況について、私のほうから追加させていただきました。他はよろしいでしょうか。竹内委員、どうぞ。
【竹内委員】 ご説明いただきましてありがとうございました。大変網羅的にまとめていただいておりますし、前回のご議論も含めて反映していただいたものだというふうに拝読しておりました。
2点ほど申し上げたいと思います。先ほど遠藤委員から、誰が担えるのかというような話があって、我が国も国策民営という形で原子力発電事業の体制を取ってきたわけですけれども、電力自由化をしました。この体制でやるとすると、民営であるということは、ファイナンスがつかないと事業が存続できないということになるわけです。そうした観点から、損害賠償と安全規制の2点について申し上げたいというふうに思います。全体としては、前回の文科省さんからの資料の中にありましたOECD/NEAの技術と市場での実装をつなぐ、技術プッシュとプルというような形の図があったと思いますが、事業環境整備を網羅的にやらないと、技術開発したものも社会の市場に実装されないんだというようなところ、あの図は非常に重要なメッセージであると前回も申し上げたと思うんですけれども、あの図の中にあった繋ぎの部分というところにおいて、もう一段階文科省さんに、前に出ていただきたいというふうに思います。
まず1点目が、先ほどから出ております原子力損害賠償制度というところですけれども、10年に1度の改訂だけが議論の機会ではありませんし、福島事故からの年数も立ちまして、一定程度この被害の全体像というのも見えてきた中で、原子力災害の被害がどの程度の規模だったのか。当時はよくわからないので、とりあえず、原子力損害という形にして賠償制度にのせるというような部分もありましたけれども、本来の原子力災害による損害というのが、どういったものだったのかというようなところを精査することも含めて、原子力損害賠償制度というものについて、もう少し積極的に議論をリードしていただければありがたいというふうに思っているところです。
もう1点が、今の原子力の利用を見ておりますと、安全規制というようなものが、極めて大きな役割を果たしていると思います。これは、厳しい規制をしてもらっていると国民が感じることによって、国民の理解が得られるというところの意義もありますし、この規制があまりに厳しすぎると、事業として、予見可能性が低下してしまうというようなことになれば、これはこれで問題になるわけです。
先ほど、この文章の中に「規制委員会や経済産業省と連携して」という文言が入っていたと思いますけれども、規制委員会が安全を司る行政機関として独立性が担保されているということなんですけれども、私は逆に、規制委員会の孤立性というようなところを若干懸念しております。同じ行政機関として、ぜひ、原子力規制委員会との情報共有をしていただきたいと思います。例えば、米国の原子力安全規制の姿などを見ますと、極めて効率性の原則というのが重要視されます。費用便益分析を行なって、規制対応のために必要なコストと国民が受ける便益というものの比較較量というものが、行政機関側に求められるといったようなことが大前提になっているわけですけれども、我が国においては、行政機関にそういった考え方があまり浸透していないことに加えて、原子力規制委員会は、むしろ、そういった効率性というところを外して考えているというようなところも懸念しているところでございます。情報共有といったようなところに留まらず、むしろ、もっと文科省さんに前に出ていただいて、先ほどの技術の開発と市場への実装といった間の繋ぎを考える上で、規制というのがどうあるべきなのかという議論を、積極的に規制委員会ともしていただくというようなところで、踏み出していただければありがたいなと思いながら文書を拝読しておりました。私からは以上でございます。
【出光主査】 ありがとうございます。なかなか難しいところがありますね。課長のほうから何かございますか。
【有林課長(事務局)】 竹内先生、ご指摘ありがとうございました。この場での議論で即答は難しいところですが、ご指摘いただいた点につきましては、事務局のほうも留意させていただきまして、今後、経産省や規制庁などと意見交換をする際、先生からご指摘があったことも踏まえながら対応させていただきたいというふうに思っております。ご指摘ありがとうございました。
【竹内委員】 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【出光主査】 大場委員、どうぞ。
【大場委員】 ありがとうございます。今までの議論も網羅いただきながら、反映いただいている内容で、非常に、よくまとめていただいたと思いました。一番大きな感想といたしましては、5つの重点施策というのは良いですし、あるいはその基本姿勢というのも、もちろんアグリーなんですけれども、5つの重点施策そのものも単独、あるいは縦割りだけでは実施していくことができないという中で、それをどのように実施していくのか、横串的な視点や連携工夫をどのようにしていくのかということには、まだまだ検討の余地があるのではないかと感じました。こうしてまとめてしまうと、どうしても縦割り的になってしまうような気もしながら、これを実際的には、というのを非常に考えていたところです。
最初のところですけれども、基本姿勢で、カーボンニュートラルやGXがよく出ているのはそうなんですが、私自身は、原子力は廃棄物に関してもしっかり考えているというのが、1つの強みではないかと感じたりしているところです。他の発電方法、あるいは環境的に優しいと言われるものでも、廃棄物のところまで法律は決まっているけど、実際にはどうなのみたいなものがたくさんある中で、そういうところをしっかり考えていますよね。あるいは、世の中でもSDGsの視点と言われている中で、原子力は、こういうところに書かれないようなというのが、少し疑問に思いながらいつも見ているので、一応意見として伝えておきます、
また、修正いただきたいところですが、「東日本大震災を受けた東京電力福島第一原子力発電所の事故」と書かれていますが、「東北地方太平洋沖地震を受けた」だと思います。狭義では「東日本大震災」というのと「東北地方太平洋沖地震」あるいは「その津波」というふうに言いますが、一般的には東日本大震災は福島事故を含んでいる話になりますので、ここは修正が必要なのではないかと思いました。
あとは細かい意見になりますが、新試験研究炉は学生にとっては非常に大きいので、隙間のないように推進をお願いしたいと思います。廃止措置に関しましては、固定経費の低コスト化のこともありましたが、やり方によってはいろいろと緩めることも必要だと思います。低コスト化・効率化ということをしなければ、安全が実現できないというのも事実だと私自身は感じております。廃棄物の中には宝の山が眠っていると見られるようにと、出町先生や黒崎先生のほうからもお話がありましたけれども、そこにも研究費や人を付けていくことが重要なのだろうという中で、これを全体としてどのようにやっていくのかというのは、すごく難しいと思います。どれもいいんだけどね、ということをご議論いただいているところが、実際にどうするんだろうと思いながら、すごく悩ましさを感じながら聞いていたところです。
核物質防護に関しましては、いろいろな取り組みをやっているのが事実だと思うんですけれども、複雑な攻撃というのが、今後は出てきそうだと思っております。核物質防護はテロから守ることもそうですが、東京電力の事案を見ていても、発電所勤務する方を含めて、核物質防護の意味を理解して核セキュリティを守っていくということに、すごくギャップがあるように感じています。その中で、文科省としてはどのように取り組むのかということに関して、より突っ込んだ議論ができればいいのかなと思いながらお聞きしました。以上です。
【出光主査】 ありがとうございます。事務局のほうから回答をお願いします。
【有林課長(事務局)】 大場先生、ご指摘ありがとうございました。縦割りの件につきましては、我々文科省も、この5つの柱自体に別々の担当がございますけれども、我々もしっかりと横串として行なっております。また、原子力機構においても、この春に組織の改編を進めておりまして、まさに現場横断的なマネジメントができるような体制を引いているところでございます。
一つ一つを強調すると、横の連携が取れないように見えるかもしれませんけれども、そこは先生からご指摘がありましたように、役所側も実施機関や大学側との連携を含めしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。
また、文言の修正につきましては、ご指摘を踏まえ、事実関係を確認した上でしかるべき修正をさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
また、新試験研究炉のほうにつきましては、我々としましても、できるだけ間を最小化すべく取り組んでまいりたいというふうに考えております。また、廃止措置の低コスト・効率化のほうにつきまして、こちらもご指摘がありましたように、基本的に廃止措置は早く、安価で確実にというようなコンセプトではございますけれども、そういう中でも技術開発要素的なところは、最先端の技術を使って、まさに現場の人的負担や資金的な負担を減らしたなど、さまざまな技術開発要素があると思いますので、そういったところについても原子力機構としてもしっかりと手当てをしていければというふうに考えております。
最後にございましたセキュリティの点につきましては、特に先生がおっしゃっていたギャップの1つの要因としましては、人材的な問題もあると思います。本日の説明の中で、核セキュリティの専門人材をどのように育成していくのかというところを述べさせていただきましたけれども、機構としましても、そういった人材を確保する方針を示させていただきましたが、ISCNなどを通じて、しっかりと対応していきたいというふうに考えております。
先生のご質問に十分に答えられているかわかりませんが、とりあえずの回答とさせていただきます。ありがとうございました。
【出光主査】 鈴木室長のほうからも何かありましたら、お願いします。
【鈴木室長(事務局)】 課長からおっしゃっていただいたので大丈夫です。
【出光主査】 ありがとうございました。藤本委員、どうぞ。
【藤本委員】 ありがとうございます。電気事業連合会の藤本でございます。内容について取りまとめいただきまして、どうもありがとうございました。その中で、今後の進め方にという視点から2点ほどコメントさせていただければと思います。
まずは10ページ、2ポツの次世代革新炉の開発及び安全性向上に資する技術基盤等の整備・強化のうち、(1)高速炉開発に向けた常陽の再稼働の推進の部分でございます。これは現状と課題にも記載いただいております通り、令和6年6月の高速炉開発会議戦略ワーキンググループにおいて、高速炉実証炉開発の概念設計段階では、プロジェクト全体戦略のマネジメント機能を、政府の高速炉開発会議等が司令塔として担いつつ、研究開発統合組織として、7月にJAEA内に高速炉サイクルプロジェクト推進室が設置されました。そこに、事業者からも要員を派遣するということ等で、協力を進めさせていただいているところでございます。
そういうことを踏まえまして、この11、12ページに記載の「今後の取り組みにかかる基本方針」にございます通り、常陽が実証炉開発へ期待される役割は大きいと考えておりますので、この記載の旨に沿って、しっかりとやっていただければと期待するところでございます。
もう1点、常陽への新燃料の確保・供給についてでございます。これは常陽にとどまらず、実証炉の燃料選定によっては、さまざまなシナリオが考えられるというふうに認識しております。そういった意味で、実証炉と連動して検討が必要な場合もあるのではないかということで考えておりますので、そういった点も踏まえて検討を進めていただければと思うところでございます。私からは以上でございます。
【出光主査】 ありがとうございました。
【井出戦略官(事務局)】 私はサイクルの戦略官をしている井出でございます。ご意見ありがとうございました。常陽につきましては、こちらにも書いてあります通り、2026年半ばの再稼働を目指しており、今、期待していただいているところでございますけれども、まさに実証炉に向けた、さまざまな研究開発も再稼働した後に行なえるということでございますので、再稼働に向けて、安全のための対策工事を進めているところでございます。
新燃料の確保につきましても、こちらの人材作業部会のほうでご議論いただきまして、方向性としていろいろな手法はあって、まだ完全にそこというわけではないのですが、新しい燃料製造施設を中心に考えていく必要があるということもございます。もちろん常陽の燃料も1つありますが、それに加えて、実証炉で燃料を作っていくためには、今後いろいろな研究開発を進めていく必要もございますので、そういったことも含めて、できるだけ早く進めていきたいというふうに考えております。引き続き、よろしくお願いいたします。
【出光主査】 石川委員、どうぞ。
【石川委員】 東京大学の石川でございます。取りまとめ、どうもありがとうございました。この中で課長もおっしゃっていたのですが、文部科学省の役割を明確化していただいたことが非常に重要なのではないかと思っております。それに関連して、3ページの4項目のところで「文部科学省は、原子力技術に関する体系的かつ総合的な振興を主たる役割」とし、基礎・応用等の各段階の研究開発や人材育成のことも挙げていただいております。これはおそらく、原子力に限らず、科学技術全般における文部科学省の役割というところもあると思うんですけれども、原子力についても、このように明確に打ち出していただいたのは、非常に意義のあることだと思います。
また、先ほどから人材育成が重要であるということが、多くの委員から出ております。それについては、24ページのところに書かれている「新規性・独創性・革新性・挑戦性」というキーワード、あるいは「イノベーション創出」というところが、学生や若手の研究者を引きつけるキーワードになると思います。あるいは研究の中で学生や若手研究者が育成されていくというところもあると思います。先ほどは「現場の意見を聞いて」ということもおっしゃったんですけれども、重要なのは、取り組む研究者にとって、なるべく手枷足かせが少ないことも重要です。先生が汲々としているのを見て、学生が原子力に進もうと思うはずはありません。やはり、先生が生き生きと研究しているところからイノベーションが生まれて、スタートアップ企業ができて、そこに民間の投資も流れ込むみたいなところが見えてくることが、一番自然に学生が集まってくることになると思います。
これは以前の委員会でも申し上げたんですが、そういう中で、学生や若手研究者を育成するために、例えば、学生をリサーチアシスタントとして雇用できるとか、特任助教や特任准教授などのキャリアアップにつながるような形でも雇用できるように、研究支援の使い方の柔軟性みたいなことも配慮していただければと思います。
もう1つは、先ほどの手枷足かせと関係するところもありますが、22ページの一番下の少量核燃料物質の集約化・安定化に関する取り組みというところです。ここでは、有効活用あるいは集約化について、ご説明いただいたと思います。そもそも、もう研究や教育に使っていない核燃料物質が、自衛組織を持つわけではない大学にあるということが、よく考えると、核不拡散・核セキュリティの面から考えて、国家としてそれでいいのかというところもあると思います。文部科学省さんは、これまで何年もいろいろな方とお話をしていて、十分に認識をして取り組んでいただいていると思いますので、こちらも引き続き、取り組みを推進していただければと思います。私からのコメント以上です。
【有林課長(事務局)】 ありがとうございました。先生からご指摘がありましたが、まさに今いる若い方が、生き生きと研究ができるようにということで、運用の柔軟性というところがございましたけれども、前回のご指摘でもリサーチアシスタントなどがございました。今までの公募事業の中でも、これまで直接的に雇用できなかった費用が、どんどん拡大されていっているような流れではなかったかなと認識しておりますので、状況を踏まえた上で、次年度以降行なう際にどこまでが可能かというところは、いただいたご指摘も踏まえてスタディしてみたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
また、少量核燃料物質につきましても、いただいたご指摘を踏まえ、今後どのような運用をしていくのかというところ、我々は事業の中でも、しっかりと推進していきたいというふうに思っております。そこはステップバイステップかもしれませんけれども、前に進めていけるように対応していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【鈴木室長(事務局)】 廃企室の鈴木でございます。少量核燃料物質の件につきましては、今年度の原シスの事業の中でも、何があるかわからないようなものついて、どうやったら安定化させることができるのかといった形での技術開発も進めているところでございます。ご指摘いただいたような形で、文科省としてもできることにつきましては、何がやれるかということを研究していきたいと思います。あと、バックエンドの作業部会の中でも、大学の先生方や民間企業の方々から、集約についての検討課題についてご意見をいただいておりました。まずは原シスの安定化処理の技術であったり、集約について人材の育成の観点での事業もやらせていただいておりますので、そういった取り組みも横目に見ながら、引き続き何ができるかというところについて検討していきたいと思っております。
【出光主査】 ありがとうございます。石川委員の意見で、人材育成やイノベーションもありましたけれども、仕事の中には、コロナの時にエッセンシャルワーカーが非常に注目を集めたというのもあって、それまでは人目につかなかったことが脚光を浴びることもありますので、そういった目で、ここは重要だということを引き上げていくと、その分野に興味を持つ学生も現れるのではないかと期待しております。
いろいろな意見がございましたけれども、もし、追加の意見がございましたらメールでも結構ですので、事務局のほうまで出していただければと思います。中間まとめの修正につきましては、主査一任という形にさせていただきたいと思います。それでは、事務局の方と、いただいたコメントをもとにしまして、修文したいと思います。
本日の議題は全て終了いたしましたが、その他に何かご意見等はございますか。
中間まとめにつきましては、皆さまから非常にたくさんのご意見をいただきました。本当にありがとうございました。事務局のほうから、連絡事項等がございましたら、お願いいたします。
【生方補佐(事務局)】 皆さま、本日はご議論をいただきまして、ありがとうございました。議事録につきましては、議事録案ができ次第、皆さまにメールにてご確認いただいた後、ホームページに掲載いたします。以上でございます。
【出光主査】 ありがとうございました。それでは、これで、第37回の原子力科学技術委員会を終了いたします。ありがとうございました。
―― 了 ――
研究開発局 原子力課
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