防災科学技術委員会(第55回) 議事録

1.日時

令和4年4月22日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 分野別研究開発プラン等について
  2. 防災科学技術政策の現状等について
  3. その他

4.出席者

委員

上村主査、小原主査代理、大原委員、大湊委員、熊谷委員、小室委員、鈴木(博)委員、鈴木(靖)委員、関口委員、永松委員、前田委員、三隅委員、目黒委員、森岡委員

文部科学省

真先研究開発局長、原大臣官房審議官(研究開発局担当)、小林研究開発局地震・防災研究課長、福田研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室長、山田研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室長補佐 他

オブザーバー

国立研究開発法人防災科学技術研究所
西田企画部長
内閣府
塚参事官補佐

5.議事録

【山田防災科学技術推進室長補佐】  定刻となりましたので、ただいまより第55回防災科学技術委員会を開催いたします。このたびは、委員の皆様におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。本日は、委員16名中14名の御出席をいただいており、定足数を満たしております。中北先生は欠席とご連絡いただいております。
 最初に、文部科学省に人事異動がありまして、4月1日付で小林地震・防災課長が着任しております。また、4月1日付で、三隅委員につきましては、日本大学文理学部教授並びに国立研究開発法人防災科学技術研究所客員研究員に御所属が変更となっております。引き続き、よろしくお願いいたします。なお、兵庫県より参加いただいておりました前阪委員が4月1日付で異動になりましたところ、4月1日付で後任の奥見様に委員を引き受けていただくことになりました。追って委員の変更をいたしますが、本日はオブザーバー参加いただいております。また、内閣府防災担当及び内閣府科学技術政策担当の方にも、オブザーバー参加いただいております。
 本日、ウェブ会議となっておりますので、会議資料につきましては、お手元のPC(パソコン)で御参照ください。議事録作成の都合上、御発言の際は、前回同様、冒頭にお名前をおっしゃっていただきますよう、お願いいたします。
 それでは、以降の議事の進行は、上村主査にお願いいたします。
【上村主査】  皆さん、おはようございます。お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。新年度になりましたけれども、昨年度と同じメンバーで、同様の体制で進めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 まずは、本日の議題ということですが、分野別研究開発プラン等について及び防災科学技術政策の現状等についてでございまして、特段非公開とすべき事項はないものと思います。これ以降の議事につきましては公開とすることとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
【上村主査】  特に御異論等なさそうですので、公開ということで進めさせていただきます。
 それでは、傍聴される方がおられる場合には、事務局にて接続手続をお願いします。
(傍聴者入室)
【山田防災科学技術推進室長補佐】  承知いたしました。傍聴者の入室につきまして、完了いたしました。 【上村主査】  ありがとうございました。  このたび事務局におきまして小林地震・防災研究課長が着任されたということですので、一言、御挨拶をよろしくお願いいたします。 【小林地震・防災研究課長】  失礼いたします。4月1日より地震・防災研究課長を鎌田の後任で着任しております、小林と申します。委員の先生方には大変お世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。 【上村主査】  ありがとうございます。  頂いたシナリオにはないのですけれども、兵庫県の奥見さん、本日はオブザーバーということですが、実質としては新たな委員ということで加わっていただきますので、一言、御挨拶いただければと思います。 【奥見兵庫県危機管理部防災支援課長】  兵庫県の奥見でございます。このたび、会議に初めて参加させていただきます。この1年、先生方の御意見等を聞きながら、勉強してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 【上村主査】  よろしくお願いいたします。  次に、本日の配付資料及び審議の進め方等について、事務局より説明をお願いします。 【山田防災科学技術推進室長補佐】  御説明いたします。本日の執り進め方といたしましては、「分野別研究開発プラン等について」、そして、「当面の防災科学技術政策のあり方に関する提言(案)」の2点について、それぞれ事務局より御説明し、御意見をいただければと考えております。  事務局からは、以上です。 【上村主査】  ただいまの事務局の説明について、御質問等ございましたら、よろしくお願いします。  進め方ということですので、この2点について、本日、進行させていただきたいと思っております。よろしくお願いします。  それでは、この段取りに沿って審議を進めてまいりたいと思います。早速ですが、議題(1)の資料1について事務局より説明をお願いします。 【福田防災科学技術推進室長】  事務局でございます。まず、最初の議題でございます。今、画面に映っている、資料1を御覧いただければと思います。委員の皆様方におかれましては、私ども事務局のほうから、今回は比較的早い段階で一度、資料などを御覧いただいているところでございますので、その際にいただいた御質問、あるいは、その後に資料を変更した点などございますので、そういったところを中心に御説明させていただきたいというように思っております。  まず、今、画面に映っている1枚目でございますが、こちらに関しては、特に御意見は頂戴しておりません。本日、中北委員が欠席されているわけでございますけれども、今表示されている、特に一番下の白丸につきましては、中北委員、これまでも何回かこの件について御審議いただいた際に、俯瞰的な視点というものを持って見ていくということが重要ではないかというようなお話をいただいていたところでございます。他方で、これまで事務局から御説明させていただいているとおり、このプランというのをどのように進めていくのかに関しましては、いろいろなルールなどがございます。そういったような中で、一定の条件の中で、今回、試行的にまずは進めるというようなことで、他方で、必ずしもプランという形でなくても俯瞰的な視点から御議論いただくということが決して妨げられるものではございません。したがいまして、この白丸にあるように、これまで以上に、私ども文部科学省のみならず関係省庁の取組状況等を積極的に取り上げ、審議の充実に資することとしてはどうかというように記載させていただいているところでございまして、御欠席の中北委員からも、大変すばらしいことであるというようなコメントを頂戴しているところでございます。  1枚下に行っていただきまして、具体の中身でございますけれども、これが文字で主な概要について記載したもの、そして、もう1枚下に行っていただきますと、これは、いわゆる事業評価をどのようにやっていくかというふうな、これにかなり似たようなペーパーというのはこれまでも何度か御覧いただいていると思いますが、これを実質的にはフォローしていくような形になっているところでございます。このペーパーにつきまして、以前、先生方に御覧いただいた後から変更点が若干あるのですけれども、その前に、このペーパーにつきましては、幾つか委員の皆様から頂戴したコメントの中で、まず、ここに記載されている事業、プロジェクトという名前などが比較的多いですが、一部のものに限られているのではないかと。これはどういったような形でこのような整理がされているのかというふうな御質問を頂戴してございます。これに関しましては、このプランというものは、これまでやってきた事業評価をある種、新たに整理して位置づけるものであると。その際に、これは本当にルールということではあるのですけれども、事業に始まりがあり、終わりがあるというような事業であると。そしてまた、一定規模の事業であるというようなものが一つのメルクマールというようになっているというものでございます。そうしますと、いわゆる終期というのを特段設けていないようなもの、これは例えば、防災科学技術研究所の運営費交付金のようなものであるだとか、あるいは、地震・防災研究課は、いわゆる推本、地震本部があるわけでございますが、そういった関係予算とか、そういったものは対象外というようなことになる。そういったようなものを除外していくと、今、ここに記載のあるような事業というものが対象になってくるということでございます。  したがって、実際のところはそれしか議論できないのかというふうなことに関しましては、先ほど申し上げたとおり、当然、様々な取組というのはこれ以外にもあるわけでございますので、今、この紙の上のところに米印がございますが、特に今回、プランあるいはプログラムというものをやっていくことによりまして、小さい字で恐縮でございますけれども、「現在実施中の事業の中間評価については、毎年度本委員会において実施状況に関する資料の提出を受け、質疑の時間を設けることをもって、中間評価の実施に代えるものとする。」ということでございます。したがいまして、ここで言う質疑、これをどのようにやっていくかということは、今後、私ども事務局のほうで検討したいというふうに思っておりますけれども、そういった際にまた、様々な観点あるいは視点で御議論をいただければというように思っている次第でございます。  この点に関しまして、今日御欠席の中北委員から、先ほどの白丸のところと基本的には同様の趣旨でございますけれども、例えば、この紙を見るだけでも、下のほうに「次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト」という、基本的には火山に関する事業というのがございます。他方で、実際、火山に関して研究する際には、例えば、いろいろな土石流だとか、そういったものをどのように見るかというのがあるわけでございますけれども、そういった知見というのは、いわゆる火山の事象に伴うものでなくとも、様々な地滑りだとか土砂災害、そういったようなものにも当然役立つ。なので、横断的に見ていく。あるいは、火山なり、地震なりといった分野別の事象というのを総合的に防災という軸で捉えていくとか、そういったようなことが、ここで言う質疑、意見交換のところでできるといいのではないかというような御意見を頂戴しているところでございます。これが、この線表に関するものでございます。  次ページ以降に関しましては、これはかなり参考情報に近いものでございますが、ルールに沿って各プロジェクトの概要を記載することというようなことでございます。特に新しい情報というものは、これに関してはございません。  また、9ページ目から、非常に細かい情報で見にくいところがございますけれども、これがプランの下のプログラムというふうなものでございます。実際、これはまだ、フォーマットというのも確定はしていない。正確に言えば、上村先生が参加しておられる、この防災科学技術委員会の上部組織に当たる研究計画・評価分科会のほうで今後決定されるというものでございますけれども、ただ、いずれ検討することには変わりはございませんので、こういった形で公開で議論することは差し支えないというふうなことで、事務局のほうからも確認を得ております。いずれにしろ、これを一体的にというふうなことではございますが、基本的には、ここに書くものはこういった詳細な情報でございます。ただ、先生方に御意見いただきたいというのは、細かい指標がどうというよりは、先ほどの中北委員からもあったような、横断的、俯瞰的、全体としてどういった形で、プログラムと申しますか、分野全体の様々な取組をフォローしていくかというようなことを御議論いただきたいというようなものでございますので、先ほど申し上げた「毎年度本委員会において実施状況に関する資料の提出を受け、質疑の時間」、これをどういった形で充実したものにできるかということは、また私どものほうでも検討をしてまいりたいというように思っております。ただ、その際、その資料というものがもし非常に詳細かつ大部なものになってまいりますと、結果的にそれはある意味、これまで中間評価でやっていたものを毎年度やらねばならないという形になってしまっては本末転倒のところもございますので、そういった関係者の負担、つまり、そういった資料を作るのは私ども事務局だけではなくて事業をやっている先生方の御負担にもつながるわけでございまして、そういったところも見ながら、また考えていきたいというように思っております。  以上、若干まだ不確定な事項というところもあるわけでございますけれども、当面はこういった形で、プランあるいはプログラムというような形で、事務局としてはまずは試行という形で進めてまいりたいというように思っているということ。それから、これを上部組織の研究計画・評価分科会のほうに報告し、そちらでほかの分野も含めて提出を受け審議を行うのは、今年の夏というふうに聞いております。そうしますと、本日、この後、御審議を頂戴した後で、私ども事務局のほうで特に細かい記載などは調整するようなところというのはあるかとは思いますけれども、そういったところは、適宜、私どものほうで調整をしていきたいというように思っているところでございまして、基本的には、この委員会としてはこういった形で進めていくという大きな方向性につきまして、本日、御意見を頂戴し、ある程度の共通の御理解というものを賜れればありがたいと、事務局としては考えております。  以上でございます。 【上村主査】  ありがとうございました。  毎回この話題が出てまいりまして、何かと、説明する側もいろいろ苦労しながら、皆さんもなかなか御理解が難しいというところもある議題でございます。繰り返しになりますが、若干だけフォローさせていただきますけれども、これも何回か申し上げておりますが、防災科学技術委員会の親委員会に当たる研究計画・評価分科会、まさに研究の計画、研究の成果に対する評価、この取りまとめをやっている親委員会がありまして、様々な分野の皆さんが集まっておられますけれども、そこで共通のプラットフォームで、国として科学技術政策の大きな方向性だとか、それに対してどう評価をしていくかということを議論しているわけですが、後ろのほうについていますような共通の評価のフォーマットに書き込んでいくわけですけれども、それぞれの分野でそれぞれ御事情ありますので、共通のというところが非常に難しい。と言いつつも、やはり国として一貫性を持ってというところがありますので、この議論を重ねてきているところでございます。  3ページを出していただきたいのですけれども、これが一番分かりやすい図でございまして、一番上の見出しのところに、これも言葉がなかなか難しく、「プラン」と記載しております。全体は防災科学技術分野研究開発プラン。その中に、下の図にありますように、プログラム2-1、2-2というのがある。その中に、今度はプロジェクトが入っている。そういう立てつけになっております。  親委員会のほうで長年議論をしてきている部分としては、よりよい評価をして、よりよい研究の推進を進めていきたいというのは当然ですが、先ほど室長のほうからもお話がありましたように、評価のための準備、それから、評価のための研究のような、本末転倒のような事態になりかねないということがありまして、極力無駄なく、不必要とは言いませんけれども、簡素化できる部分は簡素化しつつ、効果的な評価をしていかなければいけないという議論を積み上げてきているところでございます。ですので、毎年の評価にならないようにしつつも、しっかりと我々の立場としてはモニタリングをしていくということを考えていかなければいけないということでございます。  この資料に対しての御質問をこれから皆さんから伺いたいと思いますけれども、どの部分についてどうというコメントをしにくい部分もあろうかと思います。ですから、最後のほうでありましたように、それぞれの分野がそれぞれでやるのではなく、防災分野の中でも、津波と火山、土砂災害と火山とかという話もありましたが、それぞれの分野でもちろん御努力をされているのですれども、大きな視点で俯瞰的に、あるいは横断的にという視点の中で、どういう方向性でやっていくべきなのかとか、それに対して有効にしていくにはどんな評価の考え方が必要なのかというところについて、率直な御意見をいただきたいということでございます。補足が長くなってしまいましたけれども、委員の皆様から御発言をお願いしたいと思います。遠慮なく、ミュートを切って、お願いします。 【福田防災科学技術推進室長】  失礼します。事務局でございます。1点だけ、説明が抜けておりました。ちょうど、今、画面で見えているところで、中間評価を変えるというふうに言いつつ、2022年のところの下のほう、「次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト」のところだけ、赤印、つまり中間評価を行うというふうに描かれております。ここの説明が抜けておりました。この点に関しましては、これもルールですけれども、この火山のプロジェクトは、矢印を御覧いただくとおり、比較的長いプロジェクトでございます。中間評価を端的に省略することができるというものは、ルール上、課題の実施時期が5年程度になっているということでございまして、この事業に関しましては10年でございますので、さすがにこれを5年程度というふうにはなかなか整理は難しいのではないかということでございまして、この事業に限っては、既に一度、中間評価を2019年にやっているところでございますが、今年度、中間評価というのを行うというように整理をさせていただいているところでございます。  以上でございます。 【上村主査】  ありがとうございます。赤い三角がついているということでございます。  それでは、委員の皆様から、ミュートを切っていただいて、御発言いただければと思います。いかがでしょうか。もしかすると今の議論から多少外れるようなことでも構いませんので、遠慮なく、こういう方向に進めていくべきではないかとか、評価の指標としてこの辺りはもうちょっとよく考えるべきではないかとか、もしお気づきのことがあれば、お願いします。  鈴木さん、よろしくお願いします。 【鈴木(靖)委員】  では、私から少しお話させていただきます。  今日お聞きして、中間評価をなくして、その代わりに進捗を毎年チェックしていくということで、お互いにとって効率的に評価する仕組みに変えるというのは、非常に賛成です。ただ、一つ懸念されるのは、中間評価というプロセスがあることによって、途中段階でその後の研究のアウトプットを、もう少し新たな目標を追加していただくとか、そういうことをこれまではやっていたと思います。そのフィードバックが、毎年の進捗確認だけで終わってしまうと、研究の方向性を途中で社会の動きに合わせて少し変えていくとか、そういうプロセスを残しておく必要があるのではないかと思っていますが、いかがでしょうか。 【上村主査】  ありがとうございます。  事務局、いかがでしょうか。 【遠藤防災科学技術推進室係長】  文部科学省の遠藤でございます。そういった形も含めて引き続き検討をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 【鈴木(靖)委員】  ぜひ、よろしくお願いします。 【上村主査】  効率という部分も当然大事だし、あまり評価のために過度の御負担を費やすのもどうかと思います。とはいえ、機動性を高めていくだとか、柔軟性を高めていくだとか、そういうところの視点も持ちつつ、ちょうどいいバランスを見ていかなくてはいけないということかと思います。ありがとうございます。  そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。この部分については、コメントしにくい議題でして、親委員会のほうも悩みながら作業を進めているというところもございます。いろんな研究分野、全て関わってくる話なので、それぞれの皆さんのお立場とかを考慮しつつ、これからも調整が行われるということのようですし、本年7月に研究計画・評価分科会のほうに最終的な提出となるということですので、この間にもし何か調整が必要になった場合には、基本的には私主査と事務局にお任せをいただきたい。ただ、大きな変更があって、ここの考え方、思想が変わってしまう、そこまで行くかどうか分かりませんけれども、この評価指標を入れるというのは大きな変化だと思われるような変更が生じる場合には、改めて委員の皆さんに御連絡をさせていただいて、御意見を求めるようにしたいと思っております。  永松先生、コメントありますでしょうか。 【永松委員】  少し教えてほしいのですけれども、プログラムを二つに分けている、プログラムの分け方の意図ってそもそも何なんだろうかということが大変気になって、何となくこれは、2-2が基礎研究で、2-1が防災の研究という理解でいいのでしょうか。 【上村主査】  事務局のほう、いかがでしょうか。 【福田防災科学技術推進室長】  失礼します。事務局でございます。まさに鋭い御指摘、ありがとうございます。これは若干、私ども内輪の経緯というのもあるのですが、もともと、この指標をどういう割り方にするかということに関しては、私ども文部科学省が別の枠組みでやっている、政策評価という枠組みがございます。その中で、当課の関係であれば安全安心ですとか、そういった枠で文部科学省全体として、教育、科学技術、文化、スポーツといったものを評価する枠組みがあるのですが、その中で数字で割り振っているものがちょうどこの割り方になっているというようなものでございます。逆に、それ以上の大意があるというわけではございませんので、実際は、二つに分けたものであっても、それを統合的に見ていくだとか、あるいは、より細かいところを見ていくだとか、そういったところは柔軟に考えることは可能かというふうに思っております。 【永松委員】  ありがとうございます。多分、そういったいろんな御事情でこれが分かれているのだろうなというふうに思ったのですけれども、本来、プログラム評価というのは、プログラムとして実現したい何かがあって、それに必要な事業があって評価ということになってくると思うのですが、2-1と2-2の分け方の理念みたいなものというか、政策目標みたいなものがきちっと共有されないと、なかなかその評価って難しいんじゃないかなという、極めて一般的な感想を持ちました。  以上です。 【福田防災科学技術推進室長】  ありがとうございます。全く御指摘のとおりでございまして、実際のプログラムの細かい書きぶりというところに関しましては、当然これは、文部科学省でどういう予算をつくっていくか、殊概算要求の時点でどういったものを提出するかというところに左右される部分というものもございます。ですので、これは研究計画・評価分科会のほうの御審議になってくるわけでございますが、プログラムのほうの記載ぶりというのが最終的に固まるのは、これはまだ検討中のところもありますけれども、今、4月でございますので、今度の概算要求というのが出て、概算要求を公表した後に、私どもの中では行政事業レビューという、これもいろいろと似たようなものばかりで大変恐縮でございますが、そういったものを公表するというようなものがございます。そこにおける記載というのも踏まえて、最終的にはプログラムというものが決まっていく。なので、今回、かなり早い段階でプログラムというのもお見せしているわけではございますけれども、状況によっては、その辺りの割り方、あるいは記載の仕方というのは、夏あるいは秋にかけてかなり変わっていく可能性というのもあり得るかなというふうには思っております。 【永松委員】  ありがとうございました。 【上村主査】  2ページを出していただけるとよろしいかなと思うのですが、ここの2-1と2-2というところに概要というのが、2-1だと5行分ぐらいありまして、2-2だと1行の半分ぐらいということで、2-1のほうは、プログラムとしてまとまっているものの、大きな方向性としてはこの5行に集約されていると。ここを何となく読んでいってみますと、最後のほうは、実効性向上、社会実装の加速というところにつなげていくというのが一つのゴールの見せ方なのかな。2-2のほうは、そういう意味で言うと、これ自身が独立しているというふうに見ればいいのかなと読めます。趣旨という部分での内容はこのページにございますし、あとは、先ほど事務局のほうから説明があったように、様々な政策評価等の兼ね合いを見つつ、このプログラムとしてやっていると。ですから、ここについては、今、お話あったように、ぜひ先生方からも御意見いただければありがたいと思います。これは、今日でなくても結構ですので、お気づきのことがあれば、お知らせいただければと思います。よろしくお願いします。よろしいでしょうか。 【遠藤防災科学技術推進室係長】  文部科学省の遠藤ですけれども、先ほど室長の福田からも話がありましたが、秋頃、こういった形の政策評価体系につきましては整理を行う形になっています。毎年の話ですけれども、そういうところで、そもそも文部科学省として達成したい政策があり、政策を進めていく上で施策があり、施策を進めていくために事業が要る。そういった形の体系となっておりますので、そこの体系をいま一度改めて整理しつつ、今後、全体を俯瞰していければいいかなと思っていますので、引き続き、御意見いただければと思っております。 【上村主査】  この委員会の立場としましては、我々は国の政策に過度に引きずられる必要はないと思っておりますので、我々は、我々の意見として、こういう考え方でこういうふうにプログラムを構成すべきじゃないかと、本当に皆さんから率直な意見をいただいて、そこも踏まえた形で仕上げていければなと思っております。ありがとうございました。  熊谷さん、手が挙がっていますが、いかがでしょうか。 【熊谷委員】  質問ですけれども、プロジェクトの表の中でいろいろなプログラムがあるのですが、かつてのプログラムのほうでは、「シミュレーション等を実施」とか、「解明等を実施」とか、敷設と書いてある。何かをするということがプログラムになっているのですけど、今年度にかかっている防災対策に資する南海トラフのとか情報科学のというところは「推進」とか「創出を図る」となっていると、評価するときにどういう評価をされるのかなと。素朴な疑問ですけど、書き方が違うのは何か理由があるのか、教えてください。 【上村主査】  確かに、語尾の書き方によって評価は変わってきますね。ありがとうございます。  事務局のほう、いかがでしょうか。 【福田防災科学技術推進室長】  失礼します。全く御指摘のとおりであります。これは、それぞれの事業の趣旨に沿った形でこのように記載していると。なので、まさしく事業そのものが言ってみれば新たな観測インフラのようなものを構築するという場合には、当然、それが有効性のある形で、あるいは、効果的、効率的に構築することができたかというような評価になる部分というものもございましょうし、事業を通じて、例えば、大学の先生方ですとか、あるいは防災科研のような研究機関において研究を行うという場合には、そのアウトプットあるいはアウトカムを見たりというような形で、軸というものも当然変わってき得る部分というのがあろうかと思います。そうしますと、それを俯瞰的に見るというふうにした場合、当然、いろんな視点が、複眼的というか、複合的というか、なってくる。それはある意味、全体を見れるというメリットもあれば、逆に分かりにくくなるという部分もあるかもしれません。その辺りをどういう形でやっていく。ただ、他方で、先ほど鈴木委員からもあったように、中間評価に代わるような形でというところからしますと、単に報告を受けたというだけではどうなのかというところも当然あろうかと思います。少しその辺りは、私どものほうでも、ほかの委員会だとか、あるいは研究計画・評価分科会全体の審議だとか、そういったところも見ながら、どういった形でやっていくのがいいのかというのは引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。 【上村主査】  ありがとうございます。  「実施」と書いてあると、評価としては実施したかどうかということになりますし、「推進」と言うと、推進したかどうかという評価になりますし、「創出を図る」と言われると、創出できたかどうかと。ですので、この辺りの書きぶりがまさに評価の指標とか評価の仕方というところに直接関係してくることになります。まさにそのとおりですね。その辺りも、どういうふうに評価するかというところも、共通な部分もありつつも、我々としてどういう部分をしっかり見ていきたいかということも、皆さんから率直に御意見いただきながら進めたいと思っております。ありがとうございました。  熊谷さん、よろしかったでしょうか。 【熊谷委員】  大丈夫です。ありがとうございました。 【上村主査】  そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、この議題についてはここまでとさせていただきまして、先ほどのように、これから入る調整に関しては主査と事務局のほうで決めさせていただいて、大きな変更については皆様に御意見を伺うということで進めさせていただきたいと思います。  それでは、事務局のほうで引き続き調整を進めていただければと思います。よろしくお願いします。  次に、議題(2)に入ってまいりたいと思います。事務局から、資料2の説明をお願いします。 【福田防災科学技術推進室長】  それでは、御説明させていただきます。資料2でございます。こちらに関しましても早い段階で先生方に一度御覧いただいておりますので、その際にいただいたコメント、あるいは、それを踏まえて変えた部分もかなりございます。また、当然、これは本委員会としての文書でありますけれども、私ども文部科学省、つまり政府としての文書という性格もございます。したがいまして、私ども文部科学省あるいは関係省庁なども含めまして事務局のほうで様々調整をし、先生方に御覧いただいた後に加えたような文言などもございます。そういったところを中心に、何点か御説明させていただきたいと思います。  まず、文書全体の構成ですが、いただいた御意見の中で、既にこの文書はかなりの長さになっているわけでございますけれども、全体が分かるような、例えば概要ですとか、あるいは、この文書がどういうものなのかというのが分かるような、最初に前文のようなものだとか、今も「はじめに」というふうに書いておりますが、「はじめに」だけでも結構長い文章になっておりまして、そういったものを作るといいのではないかというような御意見を幾つか頂戴しております。当然、私ども事務局のほうでも、この種の文書を作成する際、最終的には、俗に言うポンチ絵のようなものですとか、概要、そういったものを作るというのが一般的ではございますが、今回につきましては、この文書を御紹介させていただき、文書という形でまとめて御審議いただくのは今日が最初の機会であるということ。それから、私ども事務局として、今日だけをもってこの文書を取りまとめる、あるいは確定いただきたいというふうなものではなくて、まだこの先、審議を進めるというふうなことで考えているようなところでございまして、したがいまして、一度、文書を通して、そこに盛り込むべきこと、あるいは、そうではないようなことなりも含め、御審議いただければというように思っております。その上で、そういったような、全体をまとめるような、あるいは趣旨を明らかにするようなものを作るというのは、また事務局のほうで考えてまいりたいというように思っております。  あとは、文言の主立った変更点につきまして、上から簡単に御紹介さしあげます。例えば、数字で言うところの32行目のところでございます。ここで、今、「基礎研究及び基盤的研究開発等」、こういったところは、文言を整理させていただき、このようにさせていただいております。その下の「理事長のリーダーシップに基づくトップマネジメント」なども、同様でございます。  それから、次のページへ行っていただきまして、この文書全体を通じて社会実装を志向した部分というものがかなり多いわけでございますけれども、基礎研究に関しても重要性というのをもっとしっかり書き込んだほうがいいのではないかというような御意見を頂戴しております。当面、42行目のところに「基礎研究を含めて様々な研究」というふうに記載してはおりますが、あるいは、さらに様々な形での記載ぶりというのもあり得るかもしれないというふうに思っております。その辺り、また御意見を頂戴できればと思います。  それから、45行目から、「ムーンショット型研究開発制度においては」という文章がございます。これは新たに加えたものでございますが、これは私ども文部科学省もタイアップしてやっております。基本的には内閣府のほうの事業になりますけれども、こういった事業というのがあります。この中で、ここに記載されているような、将来的には台風や豪雨を制御するような取組というものも始まっているところでございます。これについて記載をしているところでございます。なお、今日の参考資料としても、このムーンショットに関するものを配付させていただいているところでございます。  それから、48行目の「本提言は」というところでございますけれども、ある意味、ここは肝になるところでございますが、この文章というのが、誰に対するもの、あるいは誰に対して具体的な取組を求めるものなのかというところでございますけれども、基本的には、ここに記載しているような、文部科学省あるいは関係府省、それから、防災科研をはじめとする国立研究開発法人や大学ということでございますが、この文書の最後のほうで防災科研に関する記載というのが幾つかまとまって書いてあるのですけれども、端的に言えば、防災科研の今後ということだけをもって記載しているようなものではないということでございます。ですので、「本提言は」のところは若干、防災科研のところだけを考える文章ではないというのを明確にするために、今の文章の形に修正・整理をさせていただいているところでございます。  それから、真ん中下、60行目のところでございますけれども、これは、これまでも御意見を何度か頂戴しておりますが、国による支援だけではなくて、防災ビジネスというものを育成あるいは展開していくことが重要だという御意見を何度か頂戴しております。それをかなり踏まえた記載というのをしていたところはあるのですけれども、他方で、当然、それだけではない。やはり国による支援・取組というのも重要であるということなので、バランスを取るような記載、例えば、60行目におきましては、「これらの取組を支える研究開発の推進や」ですとか、そういったところを、ここだけではございませんが、何点か記載をしております。この辺り、国の役割、あるいは民間の役割といったところというのは、全体に横串を通して、あるいは個々の項目ごとのところでも、若干、バランスを欠いているところはあるかもしれません。その辺り、また御審議いただければというように思っております。  それから、次のページへ行っていただきまして、80行目の「一人一人へ」で始まるところでございますけれども、ここの書きぶりにつきましては、例えば、「「これから何が起こるのか」を具体的に想定できるような情報提供の仕組み」と。つまり、少し未来形のようなものをもっと記載したほうが研究開発という側面ではいいのではないかというような御意見を頂戴しました。それを踏まえて、このように修正したところがございます。  それから、83行目に消防団の記載がございますけれども、消防団だけというわけではございません。なので、「自主防災組織等」というのを加え、また、後段に「国民や地域団体等」という記載がございますが、ここで言う消防団なり自主防災組織というのは、ある意味、地域団体そのものみたいな取られ方というのもあるかもしれませんけれども、そうではなくて、ここでは、防災に関連する消防団や自主防災組織のような方々が国民や地域団体にそれを伝えていく、つなげていくというようなことでございますので、「を通じて」という文言を追加したところでございます。  それから、92行目以降でございますが、本日、中北先生は御欠席でございますけれども、中北先生から、ここのところに関しまして、先ほどの分野別でもございましたが、俯瞰的なアプローチというものをきちんとやっていくというふうなことを書き入れてはどうかということで、その際の軸ということで、例えば、「基礎的・実践的、グローバル・ローカル、イノベーション・知識の蓄積や再発見」といった、複数の軸の観点から俯瞰的に政策上のアプローチを見定めていくようなことが重要だというふうな御意見を頂戴しているところでございます。  それから、次のページに行きまして、119行目でございます。ここで観測網のところの記載がございますけれども、これに関しまして、観測網というのを実際に整備し、また管理しているのは、様々なところがあるわけでございます。それをきちんと明記したほうがいいのではないかということで「防災科研や関係省庁、大学等が」というものを加えたとともに、119行目に「源泉」という言葉がございますけれども、どういった意味での源泉なのかだとか、その後に続く文章について少し整理したほうがいいのではないかということで、このように修正をしているところがございます。この辺り、中北先生からは126行目の「風水害等」から始まる気象分野のところでもいろいろ御意見を頂戴しておりますので、文言を修正したところがございます。  それから、下に行きまして総合知のところでございますが、141行目のところから、「例えば、生態系を活用した防災・減災」、いわゆるEco-DRRの話などがございますけれども、これも中北先生から事前に頂戴したコメントでございます。こういったような視点、要は、いわゆる人為的なというのでしょうか、あるいは人工的に様々な環境に改変を加え防災・減災をやるというだけではない観点というものを、Eco-DRRだけではないかもしれませんけれども、入れていくということが、一つ、総合知の出番ということにもつながるのではないかと、そういう御趣旨の御意見を頂戴したところでございます。  それから、次のページの145行目のところでございます。ここは、先生方にお送りした際には「人材」だけを記載していたところはあるのですけれども、それだけではないと。その方々が生み出した研究成果であるとか、あるいは、その方々が所属する研究機関というのも、当然、大学なり、あるいは研究開発法人なりの評価というのを組織的に受けているわけでございます。そういった中においても総合知というものに取り組んだということがしかるべく評価されるような手当てというものが重要なのではないかという御意見、これも中北先生から頂戴したところでございます。  それから、下に行きまして、165行目以降、気候変動と防災というところの記載がございますが、ここの段落でございますけれども、先生方に御照会させていただいた後、全体的に見直したところがございます。エッセンスは変わってはいないのですけれども、論理構造ですとか、細かい記載ぶりというところで、かなり変えさせていただいたところがございます。これは、私ども事務局の中の調整というものがあったというところもございますが、ただ、大きな方向性というものは変わっていないというふうに思っております。  それから、次のページの196行目のところからでございます。「あわせて」で始まるところでございますけれども、少し長い文章で恐縮ですが、198行目に「事前復興」という言葉が出てまいります。実は、先生方にお送りした際は「事前復興」とだけしか書いていなかったのですけれども、中北委員のほうから、事前復興だけではなく、2行下がって200行目に「適応復興」という言葉がございますが、単に事前のものだけではなくて、気候変動に適応、つまり、適応というのと復興というもの、それから、事前に取り組むべき事柄という、その両方が相まっている。これは今、環境省、内閣府防災担当のほうなどでもこういった形で政策を進めていこうという動きがあるので、その辺りを丁寧に書いたほうがいいのではないかと。一般には、「事前復興」「適応復興」という言葉自体、必ずしも知られていないところもあるかと思いまして、少し長くなってしまうのですけれども、それぞれがどういうものかというのを形容詞で引くような形で記載をさせていただいたところでございます。  それから、気候変動のくだりでは、201行目の「これらの取組についても」の「も」というのは、もともと防災の最初の総論のところだけに書いてあったのですが、コストとして捉えるのではなく、価値に置き換えていくということ、この点は特に気候変動の適応においても極めて大事なので、繰り返しでもいいのでここにも記載していただきたいというふうなことを中北先生から事前に頂戴した次第でございます。  それから、次のページに行きまして、防災科研の関係でございますけれども、222行目でございます。ここに「デジタルツイン」という表現が出てまいります。もともとの記載では「データ解析」とだけ書いてあったのですけれども、データ解析だけにとどまるものではないのではないかというお話をいただいております。「情報提供」、それに「等」というのを加えております。若干ここは、デジタルツインというもの自体が今オン・ゴーイングで進んでいる部分がございますので、もっといい表現があるかもしれません。この辺りはまた御審議いただければというように思っております。  少し細かく御紹介さしあげましたので長くなってしまいましたけれども、事務局からは以上でございます。必ずしも今の文書で確定いただきたいだとかいうものではなく、また幅広に御意見を頂戴できればというように思っております。  以上でございます。 【上村主査】  ありがとうございました。  少し背景といいますか、補足をしたいと思いますけれども、昨年、本委員会のミッションであります研究プログラムの事前・中間・事後評価という作業が比較的少なかったということ。それから、新しいメンバーで、新しい体制で、新しい考え方でということで、なるべく皆さんから御自由に御発言をいただける時間を長く取ろうということで、1年間進めてまいりました。事務局のほうで、皆さんの意見ができる限り反映されるような形で、要は、この委員会としての思想といいましょうか、考え方といいましょうか、これからどういうふうに進めていくべきかという考え方の柱をまとめようということで、この提言の文書を作成しております。具体的にいつまでに作ってどう活用するかというよりは、しっかりとそれをまとめていくという作業を通じて我々自身の考え方の整理とか共通認識とかを作りながら、これは、この委員会内にとどまらず、文部科学省、あるいは関係省庁、今日も内閣府防災の担当の方も御参加いただいておりますけれども、そういったいろんな方々にもお目通しをいただきながら、直接どう影響するかというよりは、今後、国の施策であるとか、様々なプロジェクトの立ち上げだとかいうときに、こういう考え方というところが反映されたりだとか、影響を与えたりだとか、そういうふうになっていったらありがたいかなと考えつつ、取りまとめているものでございます。今御説明いただいたように最初の案からかなり変わってしまった部分もありますが、それだけ委員の先生方にしっかりとお目通しいただいて、関係省庁とか関係者のほうにもお目通しをいただいて、いろんな御意見を反映した結果として、変わったというよりは、磨かれてポリッシュアップしてきたかなと思っております。とはいえ、よく読んでいただいて、改めて皆様から、この部分はどうなんだろうとか、この辺りのロジックの立てつけはどうなんだろうとか、全体構成はどうなんだろうとか、残り時間を使いまして率直な御意見を御発言いただきたいと思っております。いかがでしょうか。 【三隅委員】  三隅でございますけれども、よろしいでしょうか。 【上村主査】  よろしくお願いします。 【三隅委員】  このペーパーは、昨年1年間のこの委員会での議論を事務局あるいは主査の先生がまとめてくださったものだと思います。いろんな方の御意見をうまく取り入れてまとめられていて大変すばらしいと思いましたし、私から事前に出した意見についても取り入れてくださっておりますので、その点、まず感謝申し上げます。  少し遅れた意見といいますか、後出しの意見で申し訳ないのですが、2点ほど加えたい意見がございまして、153行目からの段落なんですけれども、これは研究開発と社会実装の関係が書かれている段落で、主に民間部門での実装といったところを中心に書かれています。それはそれで大変結構なんですけれども、研究開発、公的な防災組織、例えば、今日いらっしゃっています内閣府防災等も含まれると思うのですが、そういったところでの実装という部分を考えますと、成果を実装する側、別に内閣府に限らず、地方公共団体とか、そういったところでもそうですけれども、成果を実装する側にも体制整備とか予算措置が必要になると考えられます。例えば、158行目のところに1行ほど、もし可能であれば、「公的な災害対応組織においても成果を導入するための予算措置や体制整備が必要となる」といったことを入れていただくことを考えていただけないかというのが、1点目でございます。  もう1点なんですけれども、私が申し上げるのもちょっとあれということもあるのですが、前に戻っていただきまして、123行目のところに地震観測網の件があります。地震調査研究推進本部のほうで計画に沿って検討を進めていくということで、ここに書かれていることは全くそのとおりなんですけれども、地震観測網が整備されて30年近く経過しておりまして、老朽化の問題が非常に問題になっているというふうに聞いております。ですので、123行目の「今後のあり方等については」の後に「老朽化を見据えて」といった言葉を一言入れていただけないかというふうに考えました。  私からは、以上の2点でございます。よろしくお願いします。 【上村主査】  ありがとうございました。  事務局のほう、何かコメントございますでしょうか。 【福田防災科学技術推進室長】  ありがとうございます。1点目につきましては、当然、御指摘、おっしゃるとおりというふうに思われるところはございますけれども、他方で、この委員会というのは防災科学技術委員会ということでございますので、実際に実装を担っていただく、先ほど先生からもあった内閣府防災ですとか、あるいは自治体だとか、そういったところに直接何かを求めることができるというふうなものでは基本的にはないところではございます。なので、もし記載するとすれば、そういったようなことをぜひお願いしたいというか、そういうような意思をお伝えするような表現だとか、そういったところはあり得るのかなというところはございます。今日はオブザーバーとして内閣府防災担当の方にも来ていただいているところではございますので、その辺りの御見解なり、あるいは調整なりというものも丁寧にしていく必要があるのかなというように思うところでございます。  2点目の観測網の件に関しましても、当然、これも重要な観点であるわけでございますけれども、観測網に関しましては政府としての様々な考え方の整理に基づいて整備が進められているところがございます。例えば、海域ということであれば、これも当課が事務局を務めているものではございますが、地震調査研究推進本部におきまして平成28年に「地震調査研究における今後の海域観測の方針について」というものがまとめられ、それに基づいて整備が進められているというものがございます。したがいまして、そういったしかるべきところでどういった形の議論をしていくのかというところは丁寧に考えていく必要があるというところ。それから、実際にそういったようなものを整備あるいは管理・維持しているところの機関、当然、防災科研をはじめとしてあるわけでございますけれども、そういったようなところというのが、今、現状をどのように考えておられるか、あるいは今後の展望というのはどういったような形で考えておられるか、そういったところを丁寧に私ども事務局のほうでも把握させていただいた上で考えていく必要があろうかというように思っております。御指摘のあった老朽化というのは、年数が過ぎれば、当然、それに伴って、老朽化と申しますか、いずれ手当てが必要になり得るというふうな意味においては御指摘のとおりでありますけれども、その表現なり何なりというのも含めて、ここは慎重な整理というものが必要かなというように思っております。  以上でございます。 【上村主査】  ありがとうございました。  1点目のコメントなんですが、私も今見ていて思ったのですけど、153行目から2行~3行のところですが、研究開発機関や研究者、民間という、この2者しかないのですけれども、確かに、自治体とか、国とか、政治的なとか、政策的なとか、行政的な立場での社会実装って当然あり得る話なので、少しここは足りてないような気がしました。これは検討させてください。  それと、2点目の御指摘のところなんですが、今御説明あったように老朽化という表現がどうかという話も当然あるのですけれども、維持、管理、更新という部分については何かうまくキーワードを入れたいなと、伺っていて思いました。これも検討させてください。  よろしいでしょうか。 【三隅委員】  どうもありがとうございます。 【上村主査】  ありがとうございました。  それでは、大原委員、いかがでしょうか。 【大原委員】  ありがとうございます。私から、3点、コメントさせていただきたいと思います。  まず、1点目ですが、1の「はじめに」のところかと思いますが、国内の潮流は書いてあるのですけど、あまり海外の潮流について言及がなくて、特に「仙台防災枠組」とかの言葉が全く出てこないのですね。「仙台防災枠組」は、まさしく仙台という名前がついていますし、仙台で開催された国連防災世界会議で採択されていて、2030年が目標ということで、今、2022年は非常に重要な年になっています。ですので、「仙台防災枠組」と国際社会の中での日本の防災という部分を少しでも触れていただけるとありがたいなと思っております。  2点目としましては、同様にSDGsも国際潮流としてすごく重要でありますが、SDGsという言葉は、脚注にちょっとだけ出てきて、文献の名前に入っているのですけど、メインの本文に入ってないのですね。SDGsの中で私が個人的に深く賛同しているのは、「誰一人取り残さない」というキャッチコピーなんですね。防災科学技術がどのような立場の人にもあまねく普及して皆さんの命を救うというのが本当に重要だと思っていまして、文面の中で、「誰一人取り残さない」というような部分とか、SDGsにも貢献するという部分とかが読み取れていくとありがたいなというふうに思っております。  3点目は、165行目ぐらいから気候変動の話が始まっているかと思うのですけれども、気候変動が進みつつあり、昨年11月に流域治水関連法が施行されました。言葉として流域治水とかも少し入れていただけると、せっかく法案も施行されているので、大変ありがたいなと思っています。  以上、3点です。 【上村主査】  ありがとうございました。  事務局のほう、いかがでしょうか。 【福田防災科学技術推進室長】  ありがとうございます。領域治水のほうは、当然、国交省、あるいは関係省庁も含めて、一体となって、自治体ですとか、そういったところの実情だとかも見ながら政策を進めていくべきということは、承知してございます。今、いろいろ入れている政策的な動きに合わせてそこは記載するというのはあり得るかなというふうに、御指摘いただいて、思う次第でございます。1点目の国際的な文脈というのがあまり書かれていないのではないかというのは、これも御指摘のとおりだと思っております。事務局から質問させていただくのも恐縮でございますが、「はじめに」ということで例えば仙台あるいはSDGsというのを記載する場合に、「はじめに」の後にいろいろな具体的な記載というのが出てくるわけなんですけれども、私ども事務局で把握する限り、正直、具体的なところでは、今、国際的な取組というのは記載されていないところであるのですが、具体的にこういったことをやっていくというのをもしそちらのほうにも記載するとしたら、どういうようなことが考えられるのか、少し御意見を頂戴できるとよろしいのかなというふうに思いました。  以上です。 【大原委員】  国際社会の中で日本の防災科学技術というのは、すごく注目を浴びているものだと思っております。ですので、例えば、国際社会にとって見本となるような技術開発をすることに加えまして、日本の技術を情報発信するということが非常に重要だと思っています。ですので、グッドプラクティス含めて防災科学技術を海外にも伝えることが「仙台防災枠組」とかSDGsの貢献につながっていくのではないかなと思っています。日本のいろいろな取組については、ほぼ日本語の資料しかないことが多いです。私の研究センターには海外から防災を学びに来た研修生がおりますので防災の取り組みについて翻訳して伝えたりはしているのですけど、英語のリーフレットでも何でもいいので、情報発信されている資料などはすごく重要だと思っています。 【福田防災科学技術推進室長】  失礼します。事務局から、1点だけ。今、海外展開ということですと、先生、御存じかどうかあれですが、内閣府防災担当のほうなどで防災技術の海外展開に向けた官民連絡会(JIPAD)が行われているところでございますが、例えば、そういったような取組などがあり得るというふうな御趣旨でしょうか。 【大原委員】  そういうのも一つの取組だと思いますし、連絡会とかだとそれに入ってないと分からないのですが、普通にホームページとかで情報発信するとか、国際社会がやっているようなイベントとかに出展するなり、参加するなり、セッションを持つとか、いろいろな方法はあると思うのですけど、そのような考えはいかがでしょうか。 【福田防災科学技術推進室長】  ありがとうございます。事務局としては、御趣旨は承知いたしました。 【上村主査】  ありがとうございました。  SDGsの話って本当に大事だと思っていて、世界全体が共通認識を持って、”No one left behind”というすばらしいコンセプトを出してくださっていますので、どうしてもこういう文書の書き出しは「国民の生命・財産・暮らしを守る」で始まるのですけど、ここに「全ての」と書くだけでも随分ニュアンスは変わってきますし、SDGsの背景については、多分、「はじめに」の中の最初の段落にうまく入れ込まなくてはいけないのかなという気がしています。これもまた検討させてください。  それから、国際的なという部分で、世界の潮流というよりは、むしろ日本の努力を世界に還元していかなくてはいけないというお話かなと今受け止めましたので、そうすると、「はじめに」の中の後段のほうで、今お話しいただいたような情報発信という部分、しっかりと世界に対して貢献していかなくてはいけないよというメッセージを入れればいいのかなと受け止めました。この辺りにこういう文言を入れろと、1ページ増やすのは無理ですけれども、数行増やすというところは当然できるかなと思いますので、もし具体的に御提案いただけるようであれば、事務局のほうにお送りいただければと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。  それでは、そのほか、いかがでしょうか。  手が挙がったのは、前田委員ですかね。よろしくお願いします。 【前田委員】  NTTの前田です。非常に細かい点で申し訳ないのですけど、気になるためコメントさせていただきたいのですが、92行目に「高精細なネットワーク」と書いてあるのですけど、我々ネットワーク屋から見て、高精細というのは言葉が合わなくて、観測網のことを言っているのであれば、「高密度な観測網」とか、そういう言い方に変えてもらわないとしっくりこないなと思った次第です。ですので、「高精細」はここには合わないかなと思いましたので、変更・修正いただければと思いました。  以上です。 【上村主査】  ありがとうございます。結構、こういうのは大事なので、ありがたいです。「高密度な観測網」に置き換えるということで、よろしいですか。 【福田防災科学技術推進室長】  文言は整理させていただきたいと思います。 【上村主査】  ありがとうございます。 【前田委員】  よろしくお願いします。 【上村主査】  それでは、JRの鈴木委員、いかがでしょうか。 【鈴木(博)委員】  JRの鈴木です。事前の質問のときに基礎的な研究をするということをもう少し入れたほうが良いのではないかというコメントをしました。それを含めて三つほど質問があります。一つ目は、この文書の表題を見ると「政策のあり方」と書いてあり、「研究のあり方」とは書いてなく、そういったことから社会実装的なことが多くこの文書で書かれているということであれば、それはそれでいいと思います。  二つ目は、研究のこともこの中で含めていくということであれば、もう少し基礎的な研究のことを書かれた方が良いように思います。社会実装は当然重要なことで、最後の目標は実装するということだと思いますが、実装するためには基礎的な研究が多分ものすごくいっぱいあり、その中から良いものが最後に実装されていくということだと思います。そのためには、基礎的な研究がいっぱいないと最後に良いものも出てこないように思います。  三つ目は、先ほど社会実装の項目の156行目ぐらいのところで何点か質問がありましたが、ここに書いてありますように、研究者が考える「良い技術」と民間企業で「使える技術」は、乖離があるというか、違いがあると思っています。社会実装するときのやり方として、一つは良いものができてきて、その技術を私どものような民間企業がどう使うかということを自分たちで考えて、最後、実装させるというやり方です。もう一つは、目標に向かって大学なり研究機関と民間企業が一緒になって、どちらかというと大学ないし国の研究機関で基礎的な部分を担当し、JRのような民間企業で応用や実装する部分を担当して、話し合いながらそれぞれの得意な部分を推進して、最後に実装させるというやり方です。使う側(民間企業)からどうやったら使えるかということを大学や研究機関にお伝えして、大学なり研究機関からは、こういった基礎技術があるので、こういうふうにしたら使えるようになるといったことをお互いに話ながら進めていくというやり方です。、この二つのやり方があると思っていて、そういったことをここで手短に書くというのは結構難しいことなのかもしれません。多分、社会実装するやり方として二つあると思いますし、もしかしたらもっとあるかもしれないですが、大きくはこの二つと思っています。社会実装するやり方についてのコメントです。  以上になります。 【上村主査】  ありがとうございました。  事務局のほう、いかがでしょうか。 【福田防災科学技術推進室長】  ありがとうございます。基礎研究のところは、鈴木委員からもいただいているとおりでございますが、具体的にどういったような記載があるか、これは、実際、学術のほうを携わっておられる委員からもまた御意見を頂戴して、ぜひ参考にさせていただければというように思っております。  それから、最後の実装のところも、御指摘、非常によく理解できるところでございます。今、この文章のところで書いてあるのは、158行目以降でコーディネーターなどが重要でありと。つまり、最初に調整をすればいいんだみたいな、今はそういう体制的なところでの書き方にとどまっているようなところもあり、今、鈴木委員からお話のあったような、ある種、時系列というわけではないですけれども、どういった段取りでそれをやっていくか。その際に、大学なり国なりが一緒になり、分担をしながら進めていくというような考え方もあるという、いろいろな軸をどういった形で記載するのが限られた文章の中でポイントがあり、かつインパクトがあるかというところは、少し改めて整理が必要かなというふうに、今、御意見を頂戴して思った次第でございます。 【上村主査】  ありがとうございます。  いかがでしょうか。 【鈴木(博)委員】  ありがとうございます。最後の部分ですけれども、国の研究所なり大学で基礎的な部分を担当して民間企業で実装的な部分というふうにお話ししましたが、多分、ここで言う基礎的な研究というのは、基礎的な研究と言いつつ、大分応用的な研究になった段階での話ではないかと思っています。さらに、前段としての基礎研究というのが本当はもう一つあるのかなという気はしています。  以上になります。 【上村主査】  ありがとうございます。  冒頭にお話しいただいたように、この委員会としての「当面の防災科学技術政策のあり方に関する提言」ということでございますので、基礎研究の研究者が自由な発想に基づいてチャレンジする研究等については科学技術研究費等ございますので、その辺りのところは大いにしっかり進めていただくとしつつも、当委員会としては、基礎研究を軽く見るわけではないですが、基礎研究だけを推進するという立場ではないということもありますので、バランスよく基礎研究の重要性というところを折り込みつつということになろうかと思います。もうちょっとうまく織り込めよという御意見なのかもしれないので、全体をもう一回見て、入れられそうなところを検討してみたいと思います。  それと、後段の153行目辺りのところですが、156行目からの、「例えば民間部門において、ビジネス化につながる前の段階で、どのような検討が行われており、乗り越えるべき具体的な課題として」云々というところは、若干、もやっとしているというか、表現がクリアでないというか、確かにそういう印象を持ちます。産学連携って使い古された言葉ではありますが、「死の谷」を超える非常に有効な手段の一つでもありますので、その辺り、事務局のほうとも相談しながら、書きぶりを考えてみたいと思います。ありがとうございました。  よろしいでしょうか、鈴木委員のほうは。 【鈴木(博)委員】  よろしくお願いいたします。 【上村主査】  ありがとうございました。  それでは、永松先生、お願いします。 【永松委員】  ありがとうございます。私、コメントをする機会を失っていて、そういう照会があったことも気づいておりませんでした。申し訳ございません。今からでもいいということなので、三つほど言わせていただきたいと思います。主に133行目の「総合知と社会実装のあり方」のところなんですけれども、社会科学、人文科学についても触れていただいていることは大変ありがたいのですが、人文・社会科学が担うべき役割というものをもう少し書き込んでほしいなというふうに思いました。先ほど大原先生が指摘されたこと、私ももっともだと思うのですけれども、あの中でおっしゃられた、例えば、「誰一人取り残さない」、あまねく世の人に防災科学技術を伝えるんだ、という考え方は、まさしく価値の問題だと思うんですね。それが正しいかどうかというのは、自然科学だけは判断できないわけです。そうした防災が目指すべき世界像・社会像みたいなものというのは、社会科学の人たちがもっと一生懸命頑張っていただかなければいけないと思います。あるいは、科学技術をどのような組織によって受け止めるのか、活用していくのか、それを担保する制度は一体どのようなものかという、組織、制度の問題もあります。あるいは、それを受容する文化といった問題もあります。人文・社会科学にこういった部分をもっともっと頑張って頂かないといけない。私も今の人文・社会科学が防災科学技術に十分な貢献をできているとは思っていませんので、むしろ尻をたたくような文言にしていただくのが良いかと思います。現在はどちらかというと自然科学の人たちに対して、もっと人文社会科学と一緒にやりなさい、という感じになっているので、人文社会科学に働きかけるような書き方をしていただけるといいのかなと思いました。これが一つ目です。  それから、二つ目は、人文・社会科学の役割と言っていいのかというよりは、科学技術の方向性をどうやって決めるのかという問題なんですね。防災科学技術というものを、どちらかというと今は生まれた科学をどうやって社会に生かしていくかという視点だと思うのですけれども、どんな科学技術開発が求められるのか、それはもう少し社会との対話の中で生み出していくという視点が必要ではないかなと思います。例えば、私が兼務している防災科学技術研究所では、社会的期待発見研究ということで、まさしく科学技術の方向性を、人文・社会科学の総合知を用いて科学としてあるべき方向性を見いだしていこうという研究をしています。そういった視点も、ぜひここの中に盛り込んでいただければというふうに思いました。  三つ目はちょっと大きな話になって、今まであまり出てきてない新しい論点だと思います。ぜひ皆様で御検討いただきたいのは、防災行政とか、あるいは防災に関わる政策決定のエビデンスを提供するということが実は防災科学技術にとって極めて大事なんじゃないかというふうに思っています。この話を、例えば防災科研で科学技術の政策のエビデンスを提供する研究をやりたいというようなことを言うと、大体、財務省の反応というのは、それは各省庁でやるものでしょうというふうになってしまうのですね。例えば、昨年、内閣府の中で、防災のいろんな情報の出し方、避難勧告と避難指示を一本化するという議論をずっとやってきました。気象庁でも災害情報に関する検討会をやっています。しかしながら、あの議論をするときに欠けているのは、今の防災情報というものがどれだけ人的被害の軽減に貢献しているかという、そのエビデンスがほとんどないまま議論をしているように見えます。我々が研究したところによると、実は、避難指示や避難勧告が出た場合と出ない場合では、他の条件を一定にした場合では被害軽減効果は顕著です。ところが、避難指示や勧告にあまり効果がないんじゃないか、だから何とかしなければいけないという前提で議論が進んでいるように見えます。そういったエビデンスがないままに政策決定が今行われているということは大きな問題だと思います。それを各省庁だけに任せておけるのかといったときに、例えば、防災情報一つにしてもいろんな省庁から出ている。それを統合する議論がない。あるいは、そうした分析をするための様々なデータ、例えば、ハザードのデータというのは科学技術が持っているし、実際に避難したかしてないかというのは、各省庁とか、あるいは自治体が持っている。そういうものを統合するところもない。そう考えると、政策決定のエビデンス構築を担当する各省庁だけに委ねるのは限界があると思うんですね。政策決定のための科学技術というのも国際的な潮流で言われている中で、防災政策を決定するためのエビデンスを提供するのはどこがやるかというと、やはり科学技術の側で一定程度の役割を担わなければいけないと思うんです。できれば、それをやるんだというようなことをこの提言の中に大きな柱として盛り込んでほしい。いきなりこれは難しいのかもしれませんけれども、ぜひそういった議論を継続してやっていただければというふうに思っています。  長くなりましたが、以上です。 【上村主査】  ありがとうございました。  事務局のほう、コメントありますでしょうか。 【福田防災科学技術推進室長】  ありがとうございます。1点目、2点目につきましては、これも当然、さらに文章を検討し、また盛り込んでいくというのはあり得るのかなというように感じた次第でございます。3点目は、今、先生からもあったとおり本当に大きなことであるわけでございますけれども、どういう記載があり得るかというのは御議論あるいは検討ということかと思うのですが、一つ留意すべき点として思う次第なのは、そういった意思決定に関するエビデンスというのを提供し、あるいは発信していくというのは、当然、そこで発信する内容というのは公知・周知のものになるということが基本かと思われます。そうしますと、そういった情報を発信した研究者・科学者自身の説明責任、あるいは結果責任というんでしょうか、そういうようなところの議論というものもあり得るかと思う次第でございます。この点に関しては、これまでも様々な災害の際における科学者、あるいはアドバイザーというんでしょうか、そういう方々の中には、政府によって任命されたような方というのもいれば、あるいは自由な立場で御提言される科学者・研究者の方もいらっしゃると思うのですけれども、そういった方々が発信した内容の、これは当然、後になってからというのも含めてでございますが、責任というのが問われる例というのも少なからず、これは日本に限らず海外などでも聞くところでございますけれども、そういったところも含めて、どういったような考え方というのがあるかという辺りはさらに御議論いただけるとよろしいのかなというふうに思った次第でございます。 【上村主査】  ありがとうございます。  永松先生、これもまた、こちらのお願いになって恐縮なんですが、すごく大事な御指摘をいただいたと思っていまして、153行目もそうですし、総合知はどこに記載されていたでしょうか。 【永松委員】  133行目以降です。 【上村主査】  133行目、この辺りですね。人文科学、社会科学、こういったところへの期待がにじみ出るような、べた打ちで結構ですので、たくさんは入れられないのですけど、この辺りにこんな文言を入れてほしいという、何か材料、素材をいただけると非常にありがたいのですが、いかがでしょうか。 【永松委員】  承知しました。 【上村主査】  ぜひ、よろしくお願いします。期待が伝わるような、よいメッセージをいただければと思います。少し我々のほうで調整して、角が取れるかもしれませんけれども。  それと、後段のところですけれども、すごく大事な御指摘で、ただ、大きな話でというところもありますが、エビンデンス・ベースド・マネジメントなり、ポリシーメーキングみたいな、キーワードをうまく入れ込みたい気もしますよね。そういうことを意識しながら政策を進めていかなければいけないと。 【永松委員】  そうしたエビンデンス・ベースド・ポリシーの形成に資するデータなり分析資格みたいなものを提供するというのは、やはり科学技術の役割かなと思います。 【上村主査】  その辺り、1行足すだけでも随分ニュアンスが変わると思いますので、エビンデンス・ベースド何々というところの表現が盛り込めないか、少し検討してみるということでいかがでしょうか。 【永松委員】  それも何か案を作ったほうがいいですか。 【上村主査】  もしいただければ、すごくありがたいです。 【永松委員】  承知いたしました。 【上村主査】  よろしいでしょうか。ありがとうございました。  それでは、小原先生、お願いします。 【小原委員】  ありがとうございます。この提言の文書を最初に読んだときに、誰に対して何を伝えて、何のためにこの提言を出すのかなというのがちょっと疑問だったのですけれども、冒頭で上村主査が、これまでの防災科学技術委員会での議論を集約したとご説明されたことで、それはある程度理解したというふうに思います。ただ、これまでの議論というのは、防災科学技術委員会ではそれぞれ、毎回何らかのテーマがあって、それに関する議論がなされてきたということで、改めてこのような提言という文書にしてみると、全体として、統一感というか、ある部分が抜けていたりとかというところはどうしてもあるのかなと。具体的に言うと、地震・防災の部分についての記述が全体として少ないのかなというふうに思いますので、その辺り、何か補強できればなというふうに思っています。地震観測については、この間も少しコメントをさしあげて、学術の源泉であるというところを明記していただきまして、地震・防災だけではなくて、地震研究や固体地球科学研究に対して非常に重要なデータソースを提供しているということで、これは、先ほど三隅さんからもお話がありましたように、次世代に対してもこの非常に優れたデータを残していくという責務はあるだろうと思います。もちろん、事務局のほうから地震本部での評価も含めて検討する必要があるということですけれども、その辺りは強調して示すべきではないかなというふうに考えています。  あとは、将来的な地震・防災という観点で言うと、今取っているデータ、リアルタイムデータに基づいてシミュレーションを行って地震・火山現象の将来予測を行うであるとか、それはどちらかというと中長期的な形になりますけれども、非常に短期的には、リアルタイム情報、緊急地震速報などに代表されるような、それはかなり社会実装されている部分にはなりますが、それをさらに高度化していくというところも非常に重要な内容になってくるので、そういうところも盛り込んでいくべきではないかなと。でも、それを全部書くと分量が相当多くなってしまいますので、少し組み替えるであるとか、何らかの形で、私も後ればせながら少しお手伝いしたいと思いますので、そういった形で修文すればいいのかなというふうに思っております。  以上です。 【上村主査】  ありがとうございました。  事務局のほう、いかがでしょうか。 【福田防災科学技術推進室長】  ありがとうございます。小原委員から御指摘いただいたとおり、私ども事務局としては、これまでいただいた意見を中心にまとめてしまっているところというのはございます。そういった全体のバランスという観点も含め、ぜひまた御指導いただければというふうに思っております。 【上村主査】  先ほどの議題(1)の中で見ていただいた資料の3ページにありましたように、まさに観測という話は独立したプログラムになっておりますので、この重要性というところをしっかりとこの提言の中でもうたっていくというのは、すごく大事な視点になるかと思います。ただ、私と事務局とでやり取りしていてもなかなか迫力のある文章にならない部分もありますので、ぜひ御指導いただいてよいものに仕上げていければと思いますので、よろしくお願いします。 【小原委員】  よろしくお願いします。 【上村主査】  ありがとうございました。  そのほか、いかがでしょうか。  永松先生、さきほどのお話で、私、コメントを忘れていたのですが、防災科研として取り組まれている、すごく先駆的な研究がおありになるというお話があったかと思うのですが、文書の最後のほうの204行目以降が「防災科学技術研究所における研究開発のあり方」という項目立てになっていまして、その下のほうに具体的な項目が全部出ているのですけれども、ここのところに書き足していただくということは可能ですか。 【永松委員】  承知しました。それは研究所のほうとも相談して。 【上村主査】  実際にやられていることですので、ここのところにうまく織り込めれば、それはそれでいいかなと思ったのですが。 【永松委員】  承知しました。そちらの文案をお送りします。 【上村主査】  お待たせしました。鈴木委員、お願いします。 【鈴木(靖)委員】  ありがとうございます。全般にこの文書は、この委員会の委員の出された意見を、総論としてまとめて、みんなで共通認識を持つとともに、それを各省庁の施策に生かしていくという提言をするということで、理解いたしました。そういう意味で非常によく書かれているのですが、補足のコメントを一つと、あと、少し追記したほうがいいところを一つ、お話ししたいと思います。  まず、補足のコメントは、特に民間と国の役割とか、防災のコストとしての捉え方、その辺のことがちゃんと文章として残されているということは、新たな視点としてよかったのではないかと思います。特に、61行目以降、企業では、防災をコストとして捉えがちです。できるだけコストをかけないで事業をやって収益を上げたいということなので、防災コストがなければないほどいいという観点で物事が全て回っています。この文書では、そうではなくて、平時から何らかの、社会経済活動の質を高めるように防災科学技術を活用していくべきだという視点が書かれており、一番大事ではないかなと思います。というのも、防災にかける対策費というのは国の予算でほとんど賄っている面があるのですが、今後、国のGDPが減っていく中にあって、民間からの投資、その研究開発費の投入などが大事になります。民間の活力を生かすということが必要だと、そういう文言を入れていただいたのは大変ありがたいと思っております。中北先生からのコメントを反映して気候変動への適応についても防災のコストの観点が追記されたというのは、非常によかったと思います。  それから、1点、要望というか、書きぶりをもう少し強化したほうがいいと思う点です。129行目から130行目辺りに、気象データのフォーマットの特殊性とか、プラットフォームの構築云々と書かれているのですが、これはまさにそうなんですね。特に文科省さんに期待したいのは、途中、DIASという文言が出てきますけれども、DIASをぜひもう少し使いやすいものにしていただきたいということです。現状、民間の私どものような立場からすると、DIASは研究者向けのデータをストレージとして使っていくところに特化されているような印象があります。もう少し、いろんな方が使いやすく、データを取り出しやすいインターフェース、例えば、Web APIなどの新しい技術を実装したDIASにしていただきたいと思います。様々なデータプラットフォームを橋渡しするような役割をぜひともDIASには期待したいと思っています。そのような文章にしていただけるとありがたいと思っています。  以上です。 【上村主査】  ありがとうございました。  事務局のほう、いかがでしょうか。 【福田防災科学技術推進室長】  ありがとうございます。後段のDIASの構成に関しましては、私どもまさしく事務局の中では、環境エネルギー課がDIASを所管しているのですけれども、連携しながら文言を調整しているところでございます。環境エネルギー課、あるいは、今、DIASの事業を行っているJAMSTECを含め関係機関のほうでもいろいろ努力いただいているようでございますけれども、今の御意見も伝えさせていただいて、具体的な文言などについてはさらに調整させていただきたいと考えております。 【鈴木(靖)委員】  よろしくお願いします。 【上村主査】  ありがとうございました。129行目のところでフォーマットという指摘がありますが、もしかすると、フォーマットの問題もあるのだけれども、インターフェースの問題というところが大きいのかなという気もしたのですが。 【鈴木(靖)委員】  そうですね。フォーマットだけではないんですね。どんなフォーマットであっても、インターフェースがしっかりしていれば、使いやすくなりますので。 【上村主査】  そうですね。共通化とか標準化という意味ではフォーマットの統一はすごく大事になってくると思うのですが、使いやすさという点ではインターフェースですね。 【鈴木(靖)委員】  そうですね。 【上村主査】  では、この辺も表現の仕方を少し工夫してみたいと思います。 【鈴木(靖)委員】  お願いします。 【上村主査】  ありがとうございました。  目黒先生、お願いします。 【目黒委員】  目黒です。よろしくお願いします。全体を読ませていただいて、人文・社会技術でも、自然科学側の技術でも、そういうものを最終的に社会にうまく実装して使っていただく上では、国民一人一人の防災リテラシーが高くなることが非常に重要だと思います。しかし、この文章の中で取り上げているのは防災対策に関わる人たちの人材育成の支援にとどまっていて、より基本的な、初等教育から大学や、ひょっとしたら今盛んに言われているリカレント教育までの、国民全体の防災リテラシーを高めるような防災教育には触れられていません。またその教育の内容は、自然科学的な知見に加え、人文・社会学的な知見が適切に含まれるべきです。そういうものがここに書かれていないのは大きな問題だと思います。それがまず一つ。  それからもう一つは、私自身がよく分からないので質問することです。先ほど小原先生の話にもありましたが、この文章の中で、それぞれの活動を誰がやるのかという主体に関して言うと、特出しされているのは防災科研のみです。国内の防災に関わる重要な国研であることは承知していますが、我が国の学術界全体で推進して初めて達成される類のものに対して、なぜ防災科研だけが特出しされているかがよくわかりません。もちろん防災科研の役割は非常に重要だと思います。しかし、このままだと、防災科研の皆さんがこの文章を裏づけとして活動しやすくなる側面もあるでしょうが、逆にこれに拘束されて、自由な研究活動が実施しにくくなる側面もあるように思います。永松さんのように防災科研の方がこの場に出席し、防災科研の特出しを進めるのであれば、これを裏づけとして防災科研の活動の保障を得たいという意味にも取れますが、実際のところがどうなのかは私には不明です。我が国の学術界全体で推進すべき内容に対して、防災科研だけを特出しする背景を教えていただければと思います。 【上村主査】  ありがとうございます。  事務局のほう、お願いします。 【福田防災科学技術推進室長】  失礼いたします。ありがとうございます。まず、前段のリテラシーのところは、非常に重要な視点だというふうに思っております。今、私どもの柱立てが、総合知だとか、そういった、たまたま私どもがこれまでテーマとして御審議をお願いしていたようなものにある程度沿う形で記載されている。他方で、今、先生から御指摘いただいた点というのは、さらにそのバックボーンに当たるような部分というのがあるので、全体の構成の中で先生から今いただいたような御指摘をどういった形で書き込むかというところは、上村主査を含めて少し御相談、あるいは、さらに先生方に御審議いただけるとありがたいかなというふうに思う次第でございます。
 それから、後段につきましては、非常に重要な観点ではございますけれども、48行目のところを映していただけると、先ほど申し上げた「本提言は」の文章でありますが、最後のところに「防災科研を含む」というふうに、そこでそもそも防災科研を特出ししてしまっているというのはそうなんですけれども、当然、防災に関わる研究活動をしている国立研究開発法人、これはもちろん防災科研だけではございませんで、「防災科研を含む国立研究開発法人や大学、民間の多様性にも配慮した上で、施策を推進」というように記載をさせていただいているところでございます。ただ、そういった前提の上で記載しているとはいえ、今、一番最後のところには防災科研への期待というふうに書いてあるにとどまっているというのは御指摘のとおりでございますので、さらに項を立てるかどうかは別にして、大学に対する期待だとか、民間に対する期待だとか、あるいは、仮にですけれども、国民の皆様へのお願いだとかいうような、主体別みたいなものを多少なり書き下すだとか、そういったものは構成の在り方としてあり得るのかもしれない。そこはさらに御審議をいただければというのが1点。  加えて、防災科研の扱い、先ほど永松委員を含め防災科研のお立場もある方からの御意見というお話ございましたけれども、以前申し上げたこともあったかと思いますが、この委員会というのは決して、防災科研の今後に関して、ある種の権限なり、そういったものを持って方向性を打ち出すというのがミッションの委員会というわけではございません。それに関しては明確に、全く別のプロセスというものがございます。これは、大学で言えば、私ども文部科学省に高等教育局というところがあって、国立大学法人に関する評価ですとか、あるいは中期目標に関するプロセスというのがあるのと全く同様に、研究開発法人に関しましては文部科学省が所管する研究開発法人の審議会におけるプロセスというものがあり、そしてその上で、最終的には国、つまり、文科省が所管する法人であれば文部科学大臣が中期目標を決めるというようなプロセスというのがあるところでございます。したがいまして、この提言の中で防災科研に関する記載があるというのは、そういったプロセスに何ら権限を持って影響するというふうなものではない。ただ、他方で防災科学技術政策というものを論じるに当たって、当然、防災科研というものは一つの重要なアクターであるということは事実ではないかというようなことで記載をする。実際にそれをどのような形で防災科研あるいはそれを所管する文部科学省なりが政策として推進していくかということに関しましては、また別の政策判断なり、あるいは防災科研としての決定なりに基づいて進められていくというものだというように理解をしているところでございます。  いずれにいたしましても、どうしても防災科研に関する書きぶりというのが割合的にも多くなってしまっているというのは御指摘のとおりかと思いますので、その辺りも含めて、そこはさらに御意見を頂戴できればありがたいというふうに思っております。  以上でございます。 【上村主査】  ありがとうございます。  よろしいでしょうか、目黒先生。 【目黒委員】  だとすると、ほかのグループの人たちにも伝えたいものは、それぞれに分けて説明されたほうが小原先生からの御指摘にも応えることになると思います。また、これを作成しておられる組織、例えば、各省庁に対してもこうあるべきだというのは、ここにおられる委員の皆さんは多分いろいろと考えをお持ちじゃないかと思いますが、それはここには書いてない印象を持ちます。例えば、文科省にはこんなふうにしてほしいとか、内閣府にはこんなふうにしてほしいとか、先ほどは、永松先生から財務省に関わるお話がありましたが、このようなな注文も、今後の防災の研究活動を考える上では非常に重要なことなので、記載があってもいいと私自身は思います。  以上です。 【上村主査】  ありがとうございます。文科省の委員会ですし、文科省が所管する防災という名前がついた研究機関があるということで、特出しはせざるを得ないというか、特出しが前提で、あとは、関係するほかの研究機関、大学、省庁等にいかに影響力を与えられる提言になるかというところかと思います。皆さんが期待されるほどの迫力ある文書にまで仕上げられるかというのは難しい部分もあろうかと思いますが、なるべく皆さんにメッセージが届くような仕上げにしていきたいと思っております。  それと、冒頭の防災リテラシーなんですが、非常に重要な視点ですので、例えばですが、54行目からの基本的な考え方、ここの段落の最初のほうにうまく、例えば、「国民一人一人の防災リテラシーの向上」とか、そんなキーワードを入れられないかなと思って伺っておりました。目黒先生、どうでしょうか。 【目黒委員】  どんな形であろうが、その点に触れないということは、私はあり得ないと思います。ですから、ここはぜひ入れていただきたくお願いします。 【上村主査】  場所としては基本的考え方が一番いいと思うのですが。 【目黒委員】  そのとおりだと思います。 【上村主査】  そうですよね。では、事務局と検討してまいります。ありがとうございました。 【永松委員】  全く賛同なんですけれども、防災科研では、リテラシーという言葉ではなくて、防災基礎力という言葉を使ってやっています。リテラシーと言うと、防災のことを知っているよというようなことがイメージされるんですけれども、例えば、その後の復旧・復興の備えみたいなことも含めて幅広く防災基礎力という言い方をしておりますので、もし可能であれば、その辺、御考慮いただけると幸いです。 【上村主査】  言葉の選び方も非常に重要ですので、素案というか、修正案を作って、また皆さんに御意見をいただいてということにしたいと思います。ありがとうございました。  小室先生、お願いします。 【小室委員】  小室です。幾つかあるのですが、まず、とにかくすごく大変な作業だったと思いますが、委員の先生方、それから他省庁はじめ、いろいろなところからのご意見等を全部まとめてくださった、その労力に感謝申し上げたいと思います。私が申し上げたかったことも、今日、かなり出していただいていると感じています。でも、改めてもう一度、二、三、お願いしたいと思っております。  1点は、先ほど来、永松先生も御指摘くださっていた133行目辺りの人文・社会科学の扱いです。「社会実装の在り方」という点に限定されているような気がするのですが、もうちょっと広く、あるいは根本的なところでの社会科学の活用というのが総合知の本質的なところにあるのではないかというふうに、私も思っております。では、こういうふうに文言を変えたらいいという修正版のイメージはまだできていません。それが1点です。  それから、119行目辺りで観測網の話が出てきております。いろいろな観測網があって、それが大事で、発展させていくというような記載なのですが、他方で、観測網がそれぞればらばらにあるのを統合したり合体するというのは無理なのでしょうが、それらを総合的に利用していくような方向がもう少し出るようにしていただけたらと思います。それぞれの観測網が発展していくのはもちろんですけれど、それらを効率的により有効に利用していくような方向性というのを書き込んでいただけたらと思います。  それから、3点目なんですが、私が一番お願いしたいのは、一つの文が非常に長過ぎて、何が何だか分からなくなってしまうというところが幾つかあります。いろいろ条件をつけながら書かなくてはならないので仕方ないと思うのですが、例えば、141行目、156行目、196行目の辺りはものすごく長くて、二つのことが一つの文に入っていたりします。そこは切るなりして、読みやすい工夫を最終段階ではお願いできたらと思います。  小室からは、以上です。 【上村主査】  ありがとうございました。小室先生のほうでも、宿題で、この辺り、こういう内容でぜひ織り込んでくれという、いい文章をいただけると大変ありがたいので、よろしくお願いします。  2点目ですが、これはまさにすごく重要なところで、64行目からの「防災のデジタル化と情報の取り扱い」というところは、まさにそれぞれのネットワークがお持ちの財産を共有しましょうという話なんですね。ただ、後の話とつながっているように見えないというところが問題なのかなと思いますので、御指摘いただいた趣旨が伝わるように、少し考えてみたいと思います。ありがとうございます。  文章が長いというのは本当に読みにくくなりますので、読みやすさというところで、これも目を通しながら整理していきたいと思います。ありがとうございました。  本当に皆さんから活発な御意見いただきまして、時間ももう少しありますので、ぜひ御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  先ほど防災科研という話があったので、もし差し支えなければ、今日、西田企画部長もオブザーバー参加いただいていると思いますが、この提言そのものが防災科研の仕事をやりやすくするものでないと具合が悪いのではないかという目黒先生のお話もありましたけれども、何かコメントあれば。 【西田防災科学技術研究所企画部長】  防災科研の企画部長の西田でございます。我々も、こうした提言をいただいた上で、ぜひ防災科研としての取組をこの提言も踏まえながら進めていければなというふうに考えておりますので、そういった意味では、ぜひやりやすいような形でしていただけると大変ありがたいと思っておりますし、あるいは、先生方の御意見をいただいた上で、我が国としてやるべき防災科学技術といったものをこの中に書き込んでいただければ、我々としてはその実現に向けて努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。 【上村主査】  大いに期待するところが文書になっているという面もあろうかと思いますので、ぜひよろしくお願いします。とはいえ、これが仕事をやりにくくするというのでは本末転倒ということになりますので、しっかりとお目通しいただいて、また率直な御意見をいただければと思います。ありがとうございます。  そのほか、いかがでしょうか、委員の皆様。 【福田防災科学技術推進室長】  失礼します。事務局でございます。もしお時間あるようであれば、今日はオブザーバーで関係省庁も来ていただいておりますので。 【上村主査】  内閣府の方も御参加いただいているかと思いますが、もしよろしければ、コメント、何でも結構ですが、いかがでしょうか。内閣府防災、橋田さん、御参加でしょうかね。いかがでしょう。難しいかな。たくさん御参加いただいているかもしれない。いかがでしょうか。難しいですかね。  既に、この提言(案)のところの議論にも御参加いただいて、お目通しいただいているということで、塚さんでしょうか、もし御発言できるようでしたら。  聞こえてないです。ミュートになっています。ミュートが外れても、音声出ないかな。 【福田防災科学技術推進室長】  事務局でございます。もし難しいようであれば、追ってコメントをいただいて、メール等で委員の皆様にお送りしたいと思います。 ※内閣府防災担当の発言内容は以下のとおり。 現在、災害関連情報等を収集・解析・共有する防災デジタルプラットフォームの構築を内閣府で進めているところである。防災科学技術研究所が運用している、災害現場で使用して評判が良かった仕組みを取り込む予定をしているため、まさに良い技術を実務的に使える技術につなげた良い例の1つになるかと考える。 【上村主査】  そうですね。マイクが不調のようですので、そういうことで事務局のほうで対応をお願いいたします。  そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。  関口先生、何かコメントあれば、よろしくお願いします。 【関口委員】  実は、どう考えたらいいか分からなくなっているところがありまして、防災科学技術政策はどの範囲のものまで述べるべきものなのかというところがよく分からなくなっておりまして、防災というとハードのことも重要だと思うのですけれども、あまりハードのことは書かれていないように思います。ただ、それが防災政策と防災科学技術政策でちょっと違いがあるのか。例えば、土木とか建築の話もそうですし、都市計画みたいなことも防災には重要だと思うのですが、そういう分野が入らないのは、抜けているのか、それとも、今、ターゲットにしているところとはちょっと別ということなのかが分からなくて、ちょっと悩んでいますというのが、コメントというか、あります。 【上村主査】  なかなか悩ましいところかなと思いますが、事務局のほうでお答えできますでしょうか。 【福田防災科学技術推進室長】  ありがとうございます。関口先生から防災科学技術委員会の一番最初の会合でも同じような趣旨の御指摘をいただいたことがございまして、今、画面にはすぐに映せないかもしれませんが、昨年6月18日の第50回の資料2の「政府の防災体制について」という資料、これは当然、内閣府防災だとかの了解を得た上でお示しさせていただいているところでございます。要は、全てをきれいに割るというのはなかなか難しいわけでございますけれども、各省庁のそれぞれの所掌に基づく実務的な対応というものが当然あるわけでございます。その中には、先ほどインフラというお話もございましたが、国土交通省のような役所も含めて、基本的には防災というのに全く関わりがない役所というのはあまり想定しにくいと思いますので、何らかそういった実務的対応というのはそれぞれの役所で所掌に基づいてやっていると。他方で、その全体を通じてのバックボーンというのでしょうか、基礎的な研究というのは、それぞれにおいて当然あり得るべきところでございます。そういった基礎的な研究の推進というところについては、文部科学省が基本的には推進をしていく。その際には、先ほど上村主査からもございましたような、この資料の下のピンクの部分ですが、自由な発想に基づく科研費のようなものというのもあるかもしれませんけれども。したがいまして、文部科学省に関して言えば、そういった基礎的な研究における防災分野というところと、上にある実務的な観点での文部科学省という、その両方の立場というものがあるということでございます。  いずれにいたしましても、個々の研究開発プロジェクトのような観点でいけば、なかなか切り分けが難しいところ、あるいは技術の進展だとか環境の変化によって見方が変わってくるようなところというのも、当然あろうかと思います。なので、そういったところを踏まえて、ある種の柔軟性というのを持ちながら考えていくということが基本かなというふうに思いながら私どもはふだん業務を進めているところでございまして、もし先生の観点で見たときに、こういったところが具体的に足りないみたいなところがあれば、当然、そこはさらに御審議を深めていただければというふうに思っております。  以上です。 【上村主査】  ありがとうございました。本質的な話で、どこまでを入れるかというのは本当に難しい話ですけれども、こういう解釈で進めているということでございます。御意見、またいただければと思います。ありがとうございます。  頂戴した時間がほぼ終わりになりました。もう一言発言しておきたいというような御意見があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。  会議の後でも結構ですので、思いついたこと、あるいは、ここで言い切れなかった部分がございましたら、事務局のほうにお寄せいただければと思います。  ということで、本日の議論を通しまして、提言(案)の基本的な考え方とか、記載すべき内容の大筋の部分については、共通理解を得られたかなというふうに思っております。今後の具体的な細かい修正の段取り等については、委員会の進め方にも関連しますので、一旦、事務局で引き取って、事務局のほうで御意見を踏まえて調整・修正していただければと思います。この提言、先ほども申し上げましたけれども、文部科学省内部、それから、ほかの関係省庁と関係していくものでございます。既に、防災科学技術政策、具体的には来年度の概算要求とか、様々な政策決定のプロセスがこれから始まっていく段階になっておりますので、事務局のほうとしましても、こういった提言の趣旨を踏まえて、こういう政策に反映されていくように、この提言、今は案ですけれども、ぜひ御活用いただいて、広めていただければというふうに思っております。  それでは、事務局のほうから、連絡等ありましたら、よろしくお願いいたします。 【山田防災科学技術推進室長補佐】  次回の委員会の日程につきましては、後日、事務局から改めて御連絡させていただきます。  事務局からは、以上になります。 【上村主査】  最後に、どうしてもという御発言があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。  よろしいでしょうか。長時間、ありがとうございました。  それでは、以上をもちまして、本日の委員会を閉会といたします。どうもありがとうございました。 ―― 了 ――

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