防災科学技術委員会(第53回) 議事録

1.日時

令和3年11月11日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 防災科学技術政策の現状等について
  2. その他

4.出席者

委員

上村主査、小原主査代理、大原委員、大湊委員、熊谷委員、小室委員、鈴木(博)委員、鈴木(靖)委員、関口委員、中北委員、永松委員、前坂委員、三隅委員、目黒委員、森岡委員

文部科学省

原大臣官房審議官(研究開発局担当)、鎌田研究開発局地震・防災研究課長、福田研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室長、山田研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室長補佐 他

オブザーバー

国立研究開発法人防災科学技術研究所
山崎企画部次長(説明者)

5.議事録

【山田防災科学技術推進室長補佐】  それでは、定刻となりましたので、第53回防災科学技術委員会を開催いたします。このたびは、委員の皆様におかれましては、お忙しいところ御出席いただき、ありがとうございます。本日は、委員16名中、現時点で14名御出席いただいており、定足数を満たしております。本日はWeb会議となっておりますので、会議資料につきましては、お手元のPCで御参照ください。議事録作成の都合上、御発言の際は、前回同様、冒頭にお名前をおっしゃっていただきますよう、お願いいたします。
 それでは、以降の議事進行は、上村主査にお願いいたします。
【上村主査】  皆さん、おはようございます。上村でございます。早速ですが、進めてまいりたいと思います。
 本日の議題につきましては、防災科学技術の現状等についてということでございまして、特段非公開にすべき事項はないものと思いますので、これ以降の議事につきましては公開とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【上村主査】  特に御異議ないようですので、公開とさせていただきます。  それでは、傍聴される方がおられる場合には、事務局にて接続の手続をお願いします。
(傍聴者入室)
【山田防災科学技術推進室長補佐】  接続の手続をいたしました。 【上村主査】  ありがとうございました。  それでは、早速、議題1に入ってまいります。初めに、本日の配付資料及び審議の進め方について、事務局より説明をお願いします。 【山田防災科学技術推進室長補佐】  御説明いたします。本日の執り進め方といたしましては、御議論いただくテーマは二つあります。前半に防災科学技術分野における分野別研究開発プラン(仮称)及び分野別研究開発プログラムの策定とその評価について御議論いただきまして、後半に防災科学技術分野における総合知について御議論をいただきたいと考えます。  本日の資料としては、資料1の「防災科学技術委員会におけるこれまでの主な御意見」、資料2-1から2-7が分野別研究開発プラン(仮称)及び分野別研究開発プログラム関係があります。続いて、3-1から3-5は、総合知関係となります。  事務局からは、以上です。 【上村主査】  ありがとうございます。  ただいまの事務局の説明について、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。  よろしいでしょうか。では、議論を進めながら、御意見、御質問等をいただきたいと思います。ありがとうございました。それでは、本日はこの段取りに従いまして審議を進めてまいりたいと思います。  それでは、事務局から、資料1から資料2-7について、説明をお願いいたします。 【福田防災科学技術推進室長】  失礼いたします。事務局でございます。  まず、資料1でございますが、これは、これまでの本委員会での御意見ということでございまして、引き続き御参考となれば幸いでございます。  資料2、一連のこのシリーズが、分野別研究開発プラン(仮称)及び分野別研究開発プログラムに関するものということでございます。こちら、前回の委員会においても若干御紹介のみさせていただいたのですが、今回は、改めて御議論いただくということでございますので、少し詳細に、改めて御説明をさせていただきたいと考えております。  まず、資料2-1、今御覧いただいている議論のポイントということでございますが、このそれぞれのポイントについて御説明させていただく前に、少しおさらいということではあるのですけれども、資料2-2を改めて御覧いただきたいと思います。こちら、前回も御紹介させていただきましたが、こういったプラン及びプログラムの策定とその評価というものについて、防災、あるいはそのほかの分野もそうですけれども、委員会において検討というものが求められているものでございます。  それは具体的に何を指すかということでございますけれども、次の2ページでございます。まず、プランとプログラムというのは何が違うかというところでございますが、この基本的な考え方において書かれてありますけれども、分野ごとのまとまりで実施する推進方策、つまり、その全体を分野別研究開発プラン(仮称)というようにしたいと。それをもって現行の「研究開発計画」は廃止するということでございます。この「研究開発計画」というものの詳細は割愛させていただきますが、先般も事業評価について御審議いただいたことがございますけれども、その根っこになっているものが、この「研究開発計画」というものでございます。他方、プログラムにつきましては、考え方の3のところにございますが、プラン全体の中における個々の単位、基本的には事業ということが想定されると思うのですけれども、それをもってプログラムと称するということでございます。  そもそも、今回、こういったようなことを検討することに至った背景ということでございますが、6ページを御覧いただきたいと思います。こちらでございますけれども、いわゆる「研究開発計画」というのを定めた時点におきまして、一度、その評価というものを試行的に実施していくと。当然、それは分野ごとにということでございますけれども、過去において進めていたということがございます。  試行した結果ということですけれども、次のページでございます。上の試行結果でございますが、「様々な形で評価作業がなされたが、概ね各分野別委員会等及びその事務局における評価作業は大変困難であったとの意見が多く示された」ということでございます。下に理由がいろいろと記載されてありますけれども、要は、そういったことで試行ということは行われたわけでございますが、「研究開発計画」に基づく本格的な評価というものは結果として行われなかった経緯があるということでございます。今回のプラン及びプログラムというのは、それを改めて、仕切り直しというか、検討してはどうかと、そういうことだと承知をしております。  その具体でございますが、10ページにフォーマット案というものが示されております。要は、一番上の大目標というところには、また別途御説明させていただきますが、文部科学省は政策評価というのを行うと。当然、これは法令により定められているものでございますが、その中で一定の体系というものがございます。つまり、教育であったり、科学技術であったり、スポーツであったり、文化であったりと。当然、その中で、防災を含む、いわゆる安全・安心といったようなものもくくりがあるというものでございます。それを位置づけ、その中で、下に一定のまとまりのプログラム、これは事業単位でいいのか、それをどういった形でやるのかというところは今後の議論ということになってくるかと思うのですが、それを位置づけるということでございます。  次のページでございます。11ページには、具体の推移ということでございますけれども、こういったような形の矢印がございますが、そこに、課題と書いておりますが、実質的にはこれはプログラムを指すのだろうというふうに思うのですけれども、その事業が行われる期間に応じてということだと思いますが、何らかの指標なり、そういったものを設け、それをフォローしていくということが基本的にはプログラムの中における評価というもののイメージだということのようでございます。このフォーマットを御覧いただいて、御記憶の方もいらっしゃるかと思いますが、もともと各分野における施策というものは別途、施策マップというふうなことで私どものほうでも取りまとめをさせていただいているところでございますので、実質的にはそれに沿って現行走っている事業の全体的なところを何らかの形でフォローしていくということになろうかと考えております。  具体のフォーマットというか、指標ということにつきましても、当然、定めた上でそれをフォローしていくということで、例えば、14ページのところに、字が大変小さくて恐縮でございますが、要は、指標というものを定め、年次ごとにそれを登録し、その推移について確認をいただくというようなことを繰り返していくというふうなことがおおむね想定されるのではないかということでございます。  この資料の最後のページのスケジュールでございますが、今、上から二つ目の白丸のところにある分野別委員会等において、その考え方について御議論いただきたいと。それを親委員会である研究計画・評価分科会のほうにフィードバックをさせていただき、また全体的な作りについて検討を進めていくということでございます。したがいまして、本日の時点では、要は防災分野における具体のフォーマットというのを私ども事務局からお示しして、それについて御了解をいただくという段階にはまだ至っていないと。あくまで、こういったようなことを進めていくということ、そのこと自体についてどう考えるかということを御審議いただきたいというのが、本日の主眼ということでございます。  以上を踏まえ、資料2-1の議論のポイントに戻っていただきますと、一番上の白丸で、「検討に当たり、防災科学技術分野における研究開発の特性をどのように捉えることが適当か。」というように、まず記載をさせていただいております。この特性というのをどのように考えるかというところ、当然、これは御議論いただきたいと思うのですが、資料2-6、先ほど若干申し上げましたフォーマットという際に、いわゆる矢印というのは、防災分野であれば既にこういった事業が走っているという表を作っております。ただ、この全てがそもそも対象になるかどうかというところも現時点ではまだ明らかになっていない、また、御審議いただいているわけではございませんけれども、防災分野の事業というものは、例えば、ほかの分野などと比較いたしますと、必ずしも防災分野というのは、率直に申し上げて、事業の規模だとか、そういった意味においては大きいというものではなかろうかと。つまり、幾つか、文部科学省のいわゆる内局事業と呼ばれる、本省が直轄で行う事業というものがある傍ら、ここには記載しておりませんけれども、文部科学省が所管する防災科学技術研究所の、当然、これは研発法人でございますので、運営費交付金により研究開発が行われているという、言ってみれば、そういった特徴というものがあると。また、防災分野の、間違いなく他分野には必ずしもない特徴としては、下のところを中心にございますが、観測、特にそういったものに関するインフラを着実に維持・管理していくというようなこと。それからまた、追って申し上げますが、一番下のところに、地震調査研究推進本部、いわゆる推本でございますが、これに基づく事業というものが走っていると。例えば、こういったものが防災分野の一つの特徴というふうに言えるかと思いますが、それを踏まえて、今、検討が求められているプランというものをどのように捉えていくことが適切であるかということが、一つ目のポイントでございます。  資料2-1に戻っていただきまして、二つ目の白丸でございます。関連する取組ということでございますけれども、先ほど申し上げた推本でございますが、推本につきましては、本日御出席の先生の中でも推本の取組に御協力いただいている先生方はいらっしゃいますけれども、いわゆる第3期の総合的かつ基本的な施策に基づき、フォローアップというものが行われているということでございます。つまり、この本部というのは別の法令に基づいて設置されているわけであり、その関係機関、例えば、気象庁であるとか、国土地理院であるとか、当然、それぞれの所掌に基づいて、また、専門家の先生方も加わった形で、地震の調査に関わるかなり専門的なフォローアップというものが、言ってみれば既に行われている事情というものがあるということ。  それから、その下のポツでございますが、当委員会と同じ、大きな傘で言えば科学技術・学術審議会に当たりますけれども、ただ、その下のレベルの分科会というところでは全く別の分科会になるわけでございますが、測地学分科会というものがございます。こちらにおいてもまた別の形で災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画、つまり、推本よりも少しウイングが広い形で、火山なども含む形での計画というものが取りまとめられ、そして、そのフォローアップが、これは現在既に始まっておりますけれども、行われているというところがございます。つまり、そういったようなところでかなり専門的な見地でのフォローアップというのが行われているということを踏まえ、言ってみれば、一般的にはそれと重なってしまうようなことというのは必ずしも行う必要はないのではないかということは言えるのではないかということでございます。  加えて、三つ目のポツでございますが、防災科学技術研究所、これは研発法人でございますので、その法人評価というものが当然行われているということでございます。これはこれでまた別の枠組みではございますけれども、その中で当然、法人としての運営のみならず、研究開発の内容、中身につきましてもフォローアップというのが行われているわけでございます。  以上を踏まえますと、基本的には防災科学技術委員会が所掌する先ほどの施策マップの取組というのはおおむね何らかの形で既にフォローアップがなされているということでございます。したがいまして、今回のプラン及びプログラムというのは、全く不要であるとまでは申さないまでも、それらと重複するようなやり方というものは非常に慎重に考え、また、役割分担というのを考えていく必要があるのではないかというのが、二つ目の白丸の視点でございます。  もう一つ、その下の視点でございます。「各省庁においては」というものでございますけれども、今回御議論いただくのは研究に関する評価ということでございますが、もともと、それと別の枠組みとして、先ほど若干申し上げた政策評価というものが既に行われてございます。資料2-3でございますけれども、これは、科学技術のみならず、先ほど申し上げた文部科学省の所掌する、教育ですとか、文化、スポーツにおいても、全て何らかの形で、一定の取りまとまりでこれを取りまとめているものでございますが、事前分析表というものがございます。この中で幾つかの達成目標というものを設定し、そして、それに関するフォローアップというものが行われてございます。この1ページのところは少し見にくいですけれども、3ページ目辺りに進んでいただくと、達成目標2というのがイメージとして分かりやすいと思うのですが、上のところに「自然災害を的確に観測・予測することで」云々かんぬんの「高度化を図る。」というような目標が設定されていると。この目標はどのように設定したかというと、右に、先ほど申し上げました「研究開発計画」に基づいて設定していると。非常に字が細かいですけれども、一定の実績というものが登録されていて、この実績というのはどういったインプットから生み出されてきたのかというところが6ページ目の各事業で、先ほど矢印があった、ほぼ全ての事業が登録され、それがアウトプットというものにつながっているというふうな整理がなされているものでございます。したがいまして、これは目標に沿って幾つかの事業がどうそれに貢献しているかということで、視点が少し異なるものではございますけれども、基本的には横断的に各施策の事業というのを捉えた目標というものが設定されているということでございまして、つまり、この事前分析表全体を見れば、ある程度、防災科学技術分野における状況というのを把握することが可能となるわけでございます。したがいまして、今回のプラン及びプログラムの検討に当たっても、参考となる、あるいは参考にしていくべきではないかというようなものが、三つ目の白丸の視点でございます。  議論のポイントに戻っていただきまして、以上が議論のポイントということでございますが、内容が非常にテクニカルであって、また、全容を把握するというのは非常に難しいところがございますので、御意見いただくのも非常に恐縮なところはございますけれども、現時点における防災分野の状況としては大体以上のようなところがございまして、これはほかの分野においても同じような形で議論というのが随時始まっているところでございます。なので、本日は、先ほど申し上げた推本だとか、測地だとか、そういったところに既に関わりがある先生方からもぜひ御意見いただければと思っておりますけれども、こういったようなプラン・プログラムというのをもしやっていくとしたら、どういったところに留意していく必要があろうかといったようなところを中心に、まずは、コメントで結構でございますので、いただければ、それを今後のフィードバックというような形でよりよいものになるように文部科学省の中での調整というものを、最終的には上の分科会での御審議ということになるわけでございますが、進めさせていただければというふうに考えております。  事務局からは、以上です。 【上村主査】  ありがとうございました。  なかなか難しい話でございますので、まずは御質問、この部分がよく理解できないとかあれば、お伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。私自身もなかなかうまく理解できていないところもあるのですけれども、この委員会、何度も委員会の中で申し上げておりますように、研究計画・評価分科会というところの下の委員会という位置づけになっておりまして、こういった研究をどのように計画し、どのように評価するかと、簡単に言うとそういうことになるわけですが、その評価のありようとかいうところは、長年、議論を続けてきてはいるのだけれども、こういう形でやろうという統一したものというのは継続して議論が続いていると理解しております。その中で防災科学技術分野に関してはこれまでも、しっかりとした計画、それから、途中の達成状況の把握のための指標を持って評価をして、フィードバックをかけてということをやってきておりますので、特段、それがどうこうということはないのですが、親委員会から下りてきているこういった分野別研究開発プランとプログラムというところについて、進め方について御意見あればということでございます。フォローしているようでフォローしていない気もするのですが、御質問だけでなく、御意見等でも結構ですが、いかがでしょうか。 【小原委員】  小原ですけれども、質問をよろしいでしょうか。 【上村主査】  よろしくお願いします。 【小原委員】  先ほど主査の先生もおっしゃられていましたけれども、防災科学技術分野においてはかなり、それぞれ個別のプロジェクトが進んでいて、そこでしっかりした評価もされているというふうに思いますので、防災科学技術分野については分野別研究開発プランは必要ないという形で上に戻すということは可能なんでしょうか。 【上村主査】  御意見ありがとうございます。要するに、十分やっていると。とはいえ、全体的にこういう形でというフレームが来れば、それに合わせるぐらいの作業は必要かもしれませんが、特段、大きく変更する必要はなさそうな気が私もしておりますし、小原先生、せっかくの御発言なので、地震調査研究推進本部、先生も関わられていた……。 【小原委員】  私は分科会のほうですね。 【上村主査】  もし、その辺りのところで、こういう計画をして、こういう評価をしてという、大事なポイントみたいなところを私どもに教えていただけると。 【小原委員】  ポイントというか、まず二つ目のポツの、測地分科会と書いてあるところは、測地学の「学」が抜けていますので後で直していただきたいと思いますけど、そこに書かれているように、測地学分科会においては、「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の、フォローアップと書かれていますが、今、5か年計画の3年目ということで自己点検の報告書を作成している段階で、それが今年度中に完成しますので、来年度、外部評価を行って、それに基づいて次の5か年計画を策定する、という形で進めていますので、そこはきちっと分科会の中でフォローアップをしているということになります。それが分野別研究開発プランにどのように位置づけられるのかというのはよく分からないところがあるのですけれども、議論のポイントのところには、「その整合性に留意する」「屋上屋を架すようなものとせず」というふうに書かれているので、それは全くそのとおりだと思うのですが、その際に、このような既に走っている研究計画は、分野別研究開発プランから除外するのか、それとも、逆に、そのままそっくり、そのままの形でそのプランの中の例えばプログラムの一つとして扱われるのか。もし扱われる場合においては、既に評価をきちっと行っていますので、それに重なるような形で別途評価を課されるのは大変なことだなというふうに思いますから、最低限、そういうことはないようにしていただきたいというふうに思います。  以上です。 【上村主査】  ありがとうございました。「屋上屋を架すようなものとせず」、この辺りが高らかにうたわれているという背景でも、何度手間かになってしまっている実情があるのではないかという御意見をいただいていることの反映かなというふうに理解します。 【小原委員】  ただでさえ評価がかなり重複している部分もありますので、さらにそれを重ねるのは大変な負担になるというふうに思います。 【上村主査】  ありがとうございます。 【中北委員】  中北です。手を挙げさせていただいています。 【上村主査】  中北先生、よろしくお願いします。 【中北委員】  三つお伺いしたいのですけど、今、小原委員のお話と重なる部分があると思います。全く新人の委員ですので、という意味でお伺いします。  大枠で言うと、最初に御説明ありましたプラン制というふうに様式というかフレームワークが変わっていく中で、今も既にたくさんの事業がありますけれども、これはこれで今まで動いてきていますが、今後、こういう新しいプランというイメージの中に刷り込ませていくという方針が大きくあるという理解でよろしいでしょうか。  その上で、評価について大変なこと、それぞれ事業について大変な手間と労力というのがかかっていた中で、それも再整理をした中でしていこうと。今日、事例をお示しいただいたように、資料2-1の二つ目みたいに既に重なるようなものがあるので、そういうようなところは労力を割かないでいこうと。同時に、参考的になるような実績評価というのもあるので、それを見ていこうと。そういう流れだと理解したのですけれども、結局、この委員会の役割はどうなるのですか。というのも、全体が分かっていないので、今までやってきたことがなくなるのだったら、何をするのでしょうかという質問をさせていただいていいですか。  すみません。以上でございます。 【上村主査】  ありがとうございます。これは事務局からお答えいただいたほうがよろしいかと思います。 【福田防災科学技術推進室長】  事務局でございます。まず、新しいプランをやる方針、それが全体的に、端的に言えば決まっているのかというような御質問と捉えたほうが分かりやすいかと思いますけれども、私どもの理解としては、そういった方向で検討をお願いしたいというふうに要請はされているものの、ただ、少なくともそこから一切合切何も変えられないというものではないと理解しております。実は、ほかの分野におきましても、防災とはまた別の形で、つまり、それぞれの分野においては当然、その中で別途いろいろ動いている政策であるだとか、あるいは、その分野における学術のコミュニティだとか、いろいろな取組が既に走っているというものがございます。当然、分野によってもその実情というのは異なるところがございますので、まずは各分野の立場から見たときにどう思うかというところを、率直にと申しますか、ぜひ教えてほしいというのが、この要請事項ということでございます。したがって、例えば、各分野のほうから、こういったものがそれぞれの分野にあるので、こういったことはもうやらないでほしいという強い意見があれば、かなり、大きな方向性というか、いろいろな変更というのは、私どもの立場で確定的には申し上げられませんけれども、今後の調整次第というところはあり得るのかなあと思っております。  もう一つ、二つあった中北先生からの御質問、実際、その結果次第でこの委員会は何をやることになるのかということでございますけれども、実はこの点も、若干、先ほど説明を省きましたが、このプログラムというのを行うのであれば、例えば、事業を行う際に、事前評価、中間評価、事後評価というのがありますけれども、そのうち中間評価については一定の条件で省くということも考えてはどうかというようなことなどが言われているところでございます。つまり、このプログラムというところに乗せる・乗せないにもよるかもしれませんけれども、もともと事業の評価というのに関して防災科学技術委員会の中で審議をお願いしている役割との関係で何らかの変更というものはあるかもしれないと。ただ、それがどういう形になるのかというところは、正直、まだきちんと決まっているわけでは必ずしもないというところが現状でございます。今、議論をしているものはそもそも、事業を単位として見ていくのか。あるいは、必ずしも役所がやっている取組というのは事業だけではございません。つまり、法令を所管し、それを適切に維持するだとか、あるいは、予算に基づかなくても様々な形での施策というのはあり得るわけでございますけれども、実は、「研究開発計画」に基づく試行的評価というのが頓挫したというのは、「研究開発計画」の中には事業単位ではなかなか対応できないような横断的な事項なども掘り下げて見ていこうみたいなこともあったようでございますが、当然、それは物すごい労力を要すると。誰がそういったことをフォローしていくのかということについても、当然、その担当者も替わったりだとか、いろいろな事情の中でなかなかうまくいかなかった。つまり、仮に分野ごとのプランなりプログラムというものがあったとした場合に、それを単に、一つの事業、それぞれの集積という形で見るのか、それにとどまらない、全体的な形だから見えてくるものがあるのか。当然あるのかもしれないけれども、では、それをどのようにしっかりとフォローすることができるのか。また、それをやったとしても、それがどれだけの意味があるのか。つまり、先ほど小原先生からもありましたが、そういった横断的な観点という点では既に、推本だとか、測地学だとか、そういったところでしっかりと専門的に見ていただいているという枠組みもあったりという中で、それをどう考えるのかというところはなかなか、正直申し上げると議論がまとめられないというのが現状というふうに承知をしております。  なかなか明確なお答えになってないところは恐縮でございますが、以上でございます。 【中北委員】  ありがとうございます。何となく、最後のほうが分かったような気がします。事業間とか分野間、全体を見渡すということも十分し切れてきたとは限らない。そういうようなところも今回のプランとかの枠組みの中で考えていく。そんな感じですかね。ちょっとよく分からなかったのですけど、最後のところ。分かったつもりで、今、確認しているのですけれども、例えば、僕がしつこく言っている地震防災絡みと気候変動絡みとかっていうのは、地震防災じゃなくて、防災と気候変動とか、そういう枠組みの横の連携もという話をしつこく言っていますが、そういうのとも関係するということですか。 【福田防災科学技術推進室長】  事務局でございます。そういった背景・経緯というものもあるというようには考えております。他方で、現時点においてプランないしプログラムとして要請されているものは、どちらかというと、まずは各事業をベースにというような色合いが濃いということのようでございます。逆に言えば、そういった形でないとなかなかうまくいかないのではないかというような考えで、今、要請がされているということではないかというように思っております。  以上です。 【中北委員】  分かりました。ありがとうございます。今回はまず、事業評価の枠組みをよりよいものにするということでいいですね。それも当たっていませんか。すみません。本当に分からなくなってきたので。 【上村主査】  ありがとうございます。こうして中北先生から御意見いただけるということの中で委員の皆さんの理解も少しずつ深まっているかと思います。 【中北委員】  すみません。本当にとんちんかんな質問をしまして。 【上村主査】  私自身もやり取りの中で少し、分からなかった部分が見えてきたということもございます。ありがとうございます。 【中北委員】  恐れ入ります。よろしくお願いします。 【上村主査】  あるべき姿を国が定めていると。それに向かってということでブレークダウンするトップダウン的な側面もありつつも、個別の事業という非常に専門的な中でのボトムアップ的な立ち上げもある中での、それぞれ、防災だけでもこれだけ広いわけですが、親委員会としては全分野を網羅しておりますので、それを俯瞰的に見つつといった、非常に、鳥の目どころか、もっと上かもしれませんけれども、アリの目と、いろんな視点の中でどう評価するかと、悩みながらもがいているというようなところかなあと私は理解しておりまして、事務局的にもなかなかクリアに答え切れない部分があるのですが、そういう中で理想の部分と現実の部分との折り合いをつけながら、防災科学技術分野としてはこうしていきたいという何かしらの意見を取りまとめていきたいということでございます。  どうぞ、遠慮なく御発言いただければと思います。 【目黒委員】  目黒ですけど、よろしいでしょうか。 【上村主査】  目黒先生、お願いします。 【目黒委員】  今、お二方の先生方の御意見を伺っていて、私もつくづくそのとおりだと思いました。その上で、さらに私が感じたことは、国全体としての研究の方向性を考える上では、もう少し多元的に物を見たほうがいいという点です。つまり、今日の朝日新聞で京都大学の山極先生もおっしゃっていましたけど、短期特定目的達成型の研究が国として重要なのはもちろん分かるが、一方で、研究者の自由な発想や興味に基づく研究も、大きな壁のブレークスルーのためには絶対に重要だということ。歩留りは低いかもしれないが、これが科学技術の本質でもあるという話です。私もそのとおりだと思います。一方で、研究者の興味だけを尊重すると、直面する重要課題への取り組みが遅れるようなこともあるので、そのバランスが大事です。ゆえに、大きな予算の中で研究者の自由な発想に基づいた研究に当てる割合と目的志向型で出口を強く意識する研究に当てる割合を、それぞれどれくらいにすべきかの議論をもっとすべきだと感じます。最近では、後者の割合が大きくなりすぎて、研究活動が一般の業務のような扱いになっています。結果として研究の評価も、短い時間と小さなプロジェクト単位での評価になってしまい、局所最適解を狙うようなものになり、全体最適解としての評価になっていない感じがします。もっとひどい場合は、研究成果は業務の結果として上がってくるので、成果以上に予算を正しく使っているかどうかのチェックが厳しくなっている印象を持ちます。これでは、何を評価しているのかわかりません。もう少し全体を俯瞰して、研究の質やプロジェクト間のバランスを踏まえた評価をしていくべきだと思います。特定のプロジェクトだけを見て、いい悪いの評価をしてしまうと、全体として適切ではない方向に向かってしまう危険性を感じます。このような理解の下で、今回の委員会が位置付けられ、我々が貢献できるであればうれしいし、意味があると思います。まずは、私のこの理解が正しいのか、間違っているのかを確認させてください。 【上村主査】  ありがとうございます。これは、事務局にお答えいただくというよりは、私の個人的な考えも含めてお話しさせてもらいたいと思うのですが、全く同感でして、局所解を探しているような場面があまりに多い気がしていて、もう少し上から俯瞰して見たら思いがけないところにブレークスルーの芽があったとか、そういう可能性とか、予知とかは、研究や産業でも本当に大事だと思います。ですので、そういうところの予知というのが、今のプランとか評価という観点では、なかなか入れにくい、あるいは見いだしにくいと。本当に、御指摘の部分は同感です。  事務局のお答えを一応聞いてみたいと思うのですが、いかがでしょうか。 【福田防災科学技術推進室長】  ありがとうございます。目黒先生、大変的確な御指摘、ありがとうございます。事務局としても、先ほど申し上げた「研究開発計画」の試行的な評価というのが挫折したというところは、目黒先生からもあった、ボトムアップというか、自由な研究、まさにそういったものもフォローしようというふうなことで、「研究開発計画」の防災科学技術分野の例として挙げると、アウトプット指標として、査読付論文数だとか、研究成果報道発表数だとか、あるいは、防災リテラシー向上のための手法開発、それによる効果の定量化だとか、そういったようなものが実は指標として掲げられていた。つまり、今御指摘あったような事業ごとの局所的なものではなくて、全体としてのアウトプット、あるいは、さらに言ってアウトカム、そういったものを摘出して最大化というのを狙っていくというようなことが、少なくとも「研究開発計画」を策定した時点では意図としてはあったのであろうと。ただ、それを実際にフォローしていくというのは、当然、私ども事務局の努力というところもあるとは思うのですけれども、なかなかそれがうまくいかなかった。これは防災分野だけではなくて全体的にそういったようなところがあろうかというふうに思うのですけれども、なかなかこれがうまくいかなかったからには、まずは事業単位でというふうなところに少し戻っているというか、そういうような現状があるのではないかと。これは、率直に言って、事務局としても感じるところというのはございます。ただ、他方で、「研究開発計画」で目指したようなものをもう一度目指すべきというところは果たして適当であるのかどうか、この辺りはぜひ、また先生方からも御意見賜れればというふうに思っております。  以上です。 【上村主査】  いかがでしょうか、目黒先生。 【目黒委員】  あまりよく分からなかったです。しかし、私が言ったことを許容していただけるのであれば、我々の役割も重要になってくるし、ここにおられる先生方に時間を割いていただく意味があると思います。しかし、既に評価されたものを同じ目線で再度評価するのでは意味がないし、それは先に評価している方々に対しても失礼だと思います。ですから、評価するとしても、これまでの評価とは異なる視点や評価軸からの評価とすべきであると思います。同じことを繰り返すのは、無駄以外の何物でないと思います。  以上です。 【上村主査】  ありがとうございます。今の御指摘、「屋上屋を架すようなものとせず」という、まさにそこに当たってくる、評価のための評価みたいなことにならないようにというのは、この委員会としても上のほうに上げていきたいと思っております。  それから、分野別研究計画だった時代にチャレンジしようとした、その哲学みたいなものに関しては、やっぱりすごく大事だと思います。ただ、具体的にどうやるんだ、誰がどうやってやるんだというところが見いだせなくて断念したという経緯なんだろうなというふうに理解をしております。とは言いつつも、その辺りのところはやっぱり大事だという意見は何とか残していきたいかなというふうに思います。ありがとうございました。 【中北委員】  すみません、もう1回だけ、中北、よろしいでしょうか。 【上村主査】  中北先生、お願いします。 【中北委員】  目黒先生がおっしゃったところでもう少し具体的なイメージで思ったのは、基礎の部分から、出口、あるいは実践というところまで幅広いスペクトルがある中で、事業としては、例えば、SIPがあったり、あるいは、すごい未来関係も含めてJSTがあったりとか、いろんなものがあります。そこのところがひょっとして変に林立してしまっていないかと時々思うことがあって、そこが別で、本来、自分たち、あるいは、そういうのを研究者の方も思われると思うのですけれども、それぞれ関係していて、事業の目的に応じて言われているような幾つかの目的に対して、その方向でも進めたい、この方向でも進めたいと。それがある程度束ねられている感覚で、フレームか何か、うまく全体像みたいなのが描かれている中であると非常にいいと思うのです。その全体像みたいのを描く役割というのをここでされるのもありなのかなと思いました。一つは内閣府で出されている部分があって、もちろん内閣府なので省庁集まっての話なんですけれども、例えば、そこと防災というところを束ねるとしたら、どういううまい文科省事業とのつながりとかいうのがちゃんと議論し切られてできているかどうかというのが少し見えるようになったらいいかなというふうに思います。  すみません。最後は何を言っているか分からなかったと思いますが、感覚的には、幾つかの大きな事業が林立しているところでいろんなお金を無駄に使っているんじゃないかみたいな気持ちもあるという中での質問でございました。  以上です。 【上村主査】  ありがとうございます。  事務局のほう、これについて何かコメントありますでしょうか。 【福田防災科学技術推進室長】  ありがとうございます。中北先生が御指摘のとおり、SIPにおいても防災のプロジェクトというのはございますし、JSTでもいろいろな事業の中で防災分野においても公募の対象になったりだとか、そういったものがあるというのは、私どもとしても承知しております。そういった、言ってみれば国費で行われている、文部科学省、あるいは内閣科技、そういったところも含めて全体というのを把握する。それも御指摘のとおり非常に重要なものであるというふうに思うところでございますけれども、他方で、防災分野の特性として、これは防災分野の担当として申し上げるのも何ともというところもございますが、そもそも防災というのがどこまでを指すのか。つまり、インフラだとか、あるいは、様々な、ほかにも関連する概念というのがございますけれども、恐らくその辺りについても、それぞれの先生方の御専門だとか、あるいは行政の立場だとか、そういったところでも、かなり広がり、幅があるというところはあろうかと思います。したがいまして、そういったところをいろいろ整理した上でそれをフォローしていくというのは実務的にはなかなか難しいところもあるのかなというのが、正直なところでございます。 【中北委員】  そういうのは考えないということですか。今の御返答の最後の結論は、考えないという結論のように聞こえるのですけれども、ちゃんと裾野の部分として考えておくべき、あるいは情報を委員会の中で共有していくべき大事なことだと思いますという、コメントとさせてください。  以上です。 【上村主査】  ありがとうございます。本当に事務局の立場もよく分かりまして、非常に大きな話、防災という言葉だけで関連する領域が非常に大きいということで、全体像をきれいに描き切るというのは誠に難しいというところの理解は、私もそう思います。一方で、何とかそれを描く努力をするということは、今までもやられていると思いますし、今後もそうだと思いますし、特にこれから、分野を横断してとか、総合知という後段の議論にもつながってまいりますが、難しいけれども描く努力をするということは必要なアプローチになってくるかなというふうに思います。ありがとうございました。  時間がほぼ1時間近くになってまいりましたが、前半の議論の部分について、そのほか御意見等ございましたら、よろしくお願いします。 【三隅委員】  防災科研、三隅ですけど、よろしいでしょうか。 【上村主査】  三隅先生、お願いします。 【三隅委員】  今、先生方から議論のあったところは、多分、資料2-1の最初の丸の防災科学技術分野における特性というところと絡んでくると思うのですけど、防災の場合というのは、社会に役に立って何ぼというところがあって、評価という観点から、例えば、論文が何本出ましたとか、インパクトファクターが幾つでしたとかっていうことではないと思うのですね。その一方で、ほかのいろんなプロジェクトの中で社会実装を厳しく言われているようなものもありますけど、そういうのは往々にして、こう言ったらあれですが、非常に小さな社会実装で、例えば、5年でできるような社会実装でとどまっていて、目黒先生のおっしゃった局所解みたいなところで、社会に役立ちましたというところを強調していたりして、本当は、研究開発が防災にもっと役立っていくのは、10年とか、20年とか、大きいスパンの中で役に立っていくようなものを適切に評価するというところが、恐らく防災分野の特性だと思います。中北先生からの問いにもありましたけど、内閣府がやっているように、まさに今すぐ社会に役に立つというふうなものと、文科省が進めていく防災分野って、何か違いがあるのか、ないのかというところはちょっと明確にしていただきたいということが1点と、あともう1点、瑣末なテクニカルな話ですが、2番目の丸で、推本の計画とか火山の計画については小原先生がおっしゃったとおりですけど、それと並列して防災科研の中長期が挙げられているというのはちょっとおかしくて、本来、文科省の推進プランがあって、そこの一部を切り出して防災科研の中長期計画ができるべきですから、地震火山以外の分野についてはきちんとしたプランをここでつくっていく必要があるのかなというのが2点目です。  以上です。 【上村主査】  ありがとうございます。  これは事務局からお答えいただいたほうがいいかなと、特に前半については思います。よろしくお願いします。 【福田防災科学技術推進室長】  ありがとうございます。今、三隅委員からもあった、内閣府、文部科学省、基本的には御指摘のとおりではあるのですが、他方で、内閣府は当然、科学技術全体の取りまとめという中で、文部科学省、あるいは防災科研にしてもそうですけれども、コミットをして、一緒にやっているような取組というのは多々あるところでございます。したがって、社会実装にしても、5年でできるものとそうではないものというのを明確に切り分けた、あるいは役割分担した上でやっていける部分もあれば、それが一体となってやっているところというのもあるのかなあと。なので、その辺りはどういった形で整理をしていくのが全体としていいものになるのかというところは、また検討していくということが必要ではないかと考えているところでございます。  それから、防災科研の評価というのをここに載せていることの意味ということでございますけれども、御指摘のとおり防災科研の中長期目標・計画というのは全く別の文脈で策定されて行われているというものでございますが、同じ研究開発というのが行われているという意味においては共通する部分もあるわけでございますので、そういったものをどう見ながらやっていくかというところの一つの参考にはしていく。実際、防災科研というのは防災科学技術分野においては非常に大きな存在でございますので、一つの留意点ということで掲げさせていただいたものでございます。  以上でございます。 【上村主査】  よろしいでしょうか。 【三隅委員】  ありがとうございます。了解しました。 【上村主査】  なかなか難しいものですね。複数の文脈で一つの法人を何度も評価しているという実情があるということですね。ありがとうございました。 【大原委員】  すみません。土木研究所の大原ですが、手を挙げていたのですけど、よろしいでしょうか。 【上村主査】  お願いします。 【大原委員】  私も理解不十分なところが多々ありますけれども、新型コロナウイルス感染症の経験から、我々の社会というのは予測してなかったことでこんなにも大きく変動するというのを学んだと思っています。研究開発プランというのは、あくまでこれを立案したときの理解に基づくものでしかないため、大きな社会変動とかにはすぐに対応できるものではないと認識しています。自然災害はコロナよりは見通しが立っているかもしれないのですけれども、どうしても、抜け・漏れがある部分とか、直近の社会的な変化に対応できない部分というのが出てきてしまうものです。防災科学技術委員会の立場としては、抜け・漏れがあるのか、ないのかとか、社会変動を踏まえてカバーすべきところはどこにあるのかとか、常にチェックしていくという役割があるんじゃないかなというふうに思っています。理解不十分かもしれませんが、コメントいたします。  以上です。 【上村主査】  ありがとうございます。今、すごく大事な視点をいただいたと思っております。本当にコロナで、世の中のというか、皆さんの考え方とかいうところもすごく大きく変わった部分もあり、そのような長期の計画の中で我々自身の物を見る目が変わってきたというところは全くおっしゃるとおりなので、こういった評価を通じて、社会変動というところを繁栄しつつ評価していかなくてはいけないなというのは、本当にそう思いました。  それから、抜け・漏れというお話もありましたけれども、先ほどの中北先生の部分も関わってきますが、難しいのだけれども全体像を描く努力をしていく。その中で、抜け・漏れという部分、あるいは、触れてこなかったけれども大事なのではないかという部分、重複している部分とかを見る努力をする。完全には無理だし、きれいに分けることが目的ではないのだけれども、そういう全体像を把握する努力をしつつ進めるということは非常に大事なんだということを改めて思いました。ありがとうございました。  ということで、後半のほうで議論を進めながら、また、総合知というところで前半の議論とも関わるところも出てまいりますので、その辺りでまた御発言いただければと思います。誠に恐縮ですが、次の議題に入っていきたいと思います。  それでは、事務局のほうから、資料3-1から3-5について、説明をお願いします。 【福田防災科学技術推進室長】  失礼いたします。資料3-1でございますけれども、こちらは二つ目の議題の総合知ということでございますが、まず、その背景となるとところといたしまして、番号が飛びますが、資料3-3のほうを御覧いただきたいと思います。  こちらの次のページでございます。総合知というキーワードにつきましては、既に本委員会でも何回か御紹介さしあげたかと思いますが、科学技術・イノベーション基本計画において総合知というものをしっかりと捉えていくということが規定されているものでございます。特に、このページの一番下のところでございますけれども、「「総合知」に関して、基本的な考え方や、戦略的に推進する方策について2021年度中に取りまとめる。」というようなことで取組がなされているものでございます。  2ページでございます。総合知というものがなぜ必要なのかというところでございますが、これは御覧いただいたとおりでございますが、こういった背景というものを基に総合知というものを捉まえていくべきではないということ。  3ページでございます。その具体的なイメージとして、一般的には、自然科学だけではなく、左にある人文・社会科学の知も含めというふうなことで語られるところが多いわけでございますが、いずれにいたしましても、専門知への分解というものと知の融合というものが相まって社会課題の解決だとか価値の創造につながるというイメージが一つされているというものでございます。  4ページでございます。この点に関しましては、これは参考ということでOECDのペーパーが紹介されておりますけれども、いわゆる学術の議論の中で分野を超えた知というものをどのように考えていくかということにつきましては、これまでも様々な形での議論というものがなされているのではないかと思っております。いわゆる分野、それを右にあるディシプリナリーというもので捉えるのであれば、分野間というようなことでのマルチだとか、あるいは、その間というのをどのように取り持っていくかというインター、それを超えたというトランス、そういったような形容詞をかぶせるような形で様々な議論が既になされているところというふうに承知をしております。  総合知全体ということではなくて、防災分野における捉え方ということでございますが、この資料の中で防災分野における取組が一つ紹介されているものとして、17ページの左上でございますが、東北大学の災害科学国際研究所ということで、防災分野における取組が紹介されている。内容につきましては、既に御承知の先生は多いかと思いますので、ここに書かれているとおりということでございます。いずれにせよ、人文・社会科学の発展なくして実現が困難な課題という、一つ、そういった文脈で捉えていくというようなことも求められているということでございます。  以上を踏まえまして、議論のポイントに戻っていただきますと、こういった検討が進められていることも踏まえ、防災科学技術分野における総合知をどのように捉えていくことが考えられるか。「その際」ということでございますが、ここにあるとおりでございますけれども、防災分野というのはもともと、自然科学、人文科学、社会科学というのを含む、総合科学という言い方が適切であるかどうかは別にして、そういった総合的な側面というものがあるのではないかと思われるところではございますが、それをどのように生かしていくことで、総合知ということを進めていくことに、一つの貢献というか、できるのではないかというようなことでございます。  もう一つ、下の白丸は、より実務的な観点でございますけれども、これは既に先生方にも御紹介さしあげている、私ども文部科学省の来年度の新規予算の概算要求として、「総合知による災害対応DX推進事業」ということで、これは、災害対応のデジタル・トランスフォーメーションを進めていく際に、実際に災害の実務を担うのは人であり、その適切な在り方・対応というのを考えていく上では人文・社会の知というものが重要であるということで「総合知による」というのをかぶせているわけでございますが、そういったような観点。それから、その右に「各研究開発法人の中長期目標における総合知の積極的な活用に関する位置づけ」と記載しておりますけれども、これは、先ほどの科学技術・イノベーション基本計画におきまして、これは防災科学技術研究所だけではございませんが、全ての研究開発法人が次の中長期目標というものを、次の期間ということがいずれあるわけでございますが、その際には総合知というものをそれぞれの所掌の中で位置づけるということが規定されております。したがって、これは防災科研だけの話ではございませんけれども、そういった各法人においても総合知の活用というものが求められているというようなことも含め、当然、これは研究開発法人だけではない、大学等も含め、それぞれの主体あるいは機関なりがどういった形で総合知に貢献していくことが期待されているかというものが、二つ目の白丸でございます。  あくまでこれは議論のポイントということでございまして、当然、総合知は非常に幅の広い概念でございますから、ほかにも様々な視点があり得るかというように思いますので、ぜひ御議論いただければ幸いでございます。  以上でございます。 【上村主査】  ありがとうございます。  引き続きまして、防災科学技術研究所、山崎企画部次長より、資料3-5について説明をお願いします。 【山崎防災科学技術研究所企画部次長】  御紹介、ありがとうございます。防災科学技術研究所企画部次長の山崎律子と申します。よろしくお願いいたします。私からは、防災科学技術レジリエンス研究の国際的な拠点、日本のIRDR ICoEができましたという報告と、その展開について、皆様と御議論できればと思っております。  IRDRとは、資料の後半に説明がありますが、Integrated Research on Disaster Ris、つまり統合的な研究、こちらは総合知につながると思います。IRDRは、国連とISC(国際学術会議)の支援を受けて2008年に設置されたもので、その中のICoEとして、国際的な位置づけを得たことを御説明します。  1番の背景ですが、今、総合知についてお話ありましたように、防災に係る国際的な潮流を簡単にまとめております。災害リスクや経済活動の観点から、国際的な協力、国境を超えた協力というのが求められています。それを受け、2015年には「仙台防災枠組」ができ、その中身は日本が提唱してきた、防災の主流化、事前投資等が優先行動としてまとめられています。2015年は、「持続可能な開発のための2030アジェンダ・SDGs」や「パリ協定」などができた年でもあります。日本は防災大国・先進国というふうに言われていますが、阪神・淡路大震災や東日本大震災での甚大な被害があったことを踏まえると、これまでのアプローチでは足りなかったのではないか。何が足りなかったのかというと、各分野で発展してきた知というものがうまく統合し切れていないのではないかと。先ほど福田室長よりOECDレポートのご説明にありましたように、ディシプリナリーを効果的に統合していく、インターディシプリナリーやトランスディシプリナリーといった観点がちょっと欠けていたのではないかということもあり、災害を乗り越える力、レジリエンスの総合的な向上を目指す科学技術の推進を図る必要があるという認識でおります。今申し上げたように、ポスト2015年の国際的なアジェンダとして3本ありますが、今開催中のCOP26でも防災と気候変動適応について、その統合的推進(Coherence)も引き続き議論されていたと聞いております。このような形で、災害に対するレジリエンスと持続可能な開発や気候変動といった防災に関連する様々な学術分野の知見を統合し、問題解決のために計画・実行・評価が実施されなければいけないという問題意識でいることは、ここに書かれているとおりです。  2番にIRDRの説明があり、先ほど簡単に申し上げたように、こちらのプログラムは国連防災事務局と国際学術会議(ISC)の支援を受けて設置されたものです。IRDRは2008年にできましたが、日本はいち早く2009年に、日本学術会議の下に関連委員会、今はIRDR分科会として発足しており、国内の災害科学研究、防災・減災研究の推進等々、精力的に行ってきております。  3番について、IRDR分科会の継続的な議論と相まって、それをより機動的に推進するために、防災減災連携研究ハブができました。こちらは、防災・減災に関わる国内の15の大学、国研、民間企業の集まりなどが、メンバーとなっております。そのメンバーは、次ページのとおり、防災科学技術委員会の先生方の御所属も入っております。東大地震研、東大情報学環総合防災情報研究センター、京都大学防災研、土研ICHARM、そして、防災科学技術研究所が事務局を担っております。この主な活動としては、昨年9月に日本学術会議から提言として、知の統合オンライン・システム(OSS)の構築とファシリテーターの育成が重要であるということをまとめており、ハブがその実質的な議論の場となりました。  4番、ここからが本題のICoEについて。International Center of Excellenceというように、エクセレンスがないといけないということで、その目的を3行目に書いてありますが、総合的な防災研究の推進、国連機関とのパートナーシップの構築、国際的な拠点として政策決定支援、研究成果の普及、研究者・実践者の育成等、多少盛り込んでおります。実際、ハブの活動というものはこれに即してはいますが、より体制としてしっかりしたものとして積極的に機動的に推進できるようICoEの設置を提案し、IRDR事務局より承認されました。IRDR自身は、2020年に一旦活動に区切りを持ち、今般、コロナ禍のため2021年まで継続していますが、今からまさに次期IRDRというのが立ち上がるところで、その議論を牽引したり、初期段階の活動について日本のイニシアチブを取ることを目指し、このタイミングでICoEの設置を目指し、無事先月承認されました。日本のICoEは何をするかについては、4ページ目の下に書いてありますが、国難級災害を念頭にレジリエンスの総合的な向上を目指して、持続可能な開発や気候変動といった防災に関連する様々な学術分野の総合的推進(Coherence)すること、これが知の統合となっていくのですが、それを国際的に展開していくということを掲げております。  5番目は、ICoEができどうなるか、その期待について書いてありますが、IRDRコミュニティとの関係強化によって、効率的・効果的に国際展開されることが期待されております。そして、発信力も強化されるとともに、逆に日本国内の研究や施策にも反映されて、レジリエンスの向上、双方向でウィン・ウィンな関係での在り方を目指すべきと、私は考えております。どんなことがあるか決まったものについて、これだけではちょっと足りないと思ってはいますが、早速、12月にICoE-Taipeiとの共催で人材育成セミナーを行います。また、IRDR分科会、つまり日本学術会議と連携して2022年6月に学術フォーラムを開催し、年末には提言をまとめ、そして、2023年には関東大震災100年を振り返るような国際フォーラムというものを考えております。  ここで、ICoEという仕組・枠組ができたところ、それをどう活かしていくか、日本の防災科学技術コミュニティ全体で考えていくべき問題と思っております。防災科研としても、中長期計画での位置づけを検討している中、このような形で委員会で議論させていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。御助言いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。  以上です。 【上村主査】  山崎次長、ありがとうございました。  それでは、残りの時間、総合知というところの論点を出していただいておりますけれども、これに沿いまして、多少ここから外れていただいても結構ですが、自由に御意見いただければと思います。それから、今、御紹介いただいた山崎次長のお話についての御質問、御意見等でも結構です。どうぞよろしくお願いいたします。 【永松委員】  永松から発言させていただいてもよろしいでしょうか。 【上村主査】  先生、お願いします。 【永松委員】  この防災の総合知、私も今、防災科研でもいろいろと議論をしているところなんですけれども、先ほどお見せいただいた資料3-3の3ページ目の資料をもしよければもう一度見せていただければと思うのですが、前にもこの委員会の中で私は発言をさせていただいたのですけれども、往々にして社会科学というのは、社会実装を担う後方部隊だと、あるいは、社会に研究成果のセールスマンのような扱いをされるのは心外だというふうに申し上げたのですが、私、この図は割とよくできていると思っていて、決して縦軸の社会還元のところに人文・社会科学があるのではなくて、人文・社会科学、あるいは自然科学、どちらも真理の探求をしていくという部分で、ある種、それは対等な立場なのだという位置づけがなされているということは、この図はとてもよくできているなというふうに思っております。ただ、恐らく社会還元みたいなことを研究する分野というのもきっとあるんだろうなという気がしていて、単純に縦軸のそれらが融合したものが社会還元なのかというと、必ずしもそれだけではないかなという気もしますが、いずれにしても、私がここで申し上げたいのは、人文・社会科学というのは自然科学と対等な立場として真理の探求もしていかなければならないということをまず確認したい。  2番目に、もしそうだとすれば、資料3-3の中でも最後のほうに出てきていますけれども、日本って社会科学を大事にしてきてないと思うのですね。例えば、我々が防災の社会科学をやってくれる人材を募集しようとしても、なかなか人がいない。見つからない。分野の広がりがない。私、他分野の選考にも関わったことがありますけど、理系、地震とか火山とかに比べると研究者のマーケットが極めて薄いということを感じざるを得ません。それはどうしてかといったときに、予算もそうなんですけれども、地震とか、火山とか、こういった部分については観測データというものがしっかりある。あるいは実験施設がある。しかしながら、社会科学というのはお金がかからないでしょうといったことで、そういった基礎的なデータを取るみたいなところに対しての支援というものがあまり行われてない。でも、社会科学でも、データを取ろうと思ったら、すごく大変なんですね。アンケート一つを取るにしても、大体、社会科学のアンケートというのはお金がないから自分の手の届く範囲でやって、でも、そういうことをやると、そんな細々した研究をやって世の中の役に立つのかと言われるのだけれども、だったら、私は常々言っているのですが、防災国勢調査みたいなものをやって、社会の防災力が大事だというのであれば、例えば全国的な調査を定期的にやるだとか、そういった形で観測データを取れるような形にしていただかないと、人文・社会科学というのがしっかりと育っていかない。にもかかわらず、そこで総合知みたいなことを求められると、社会科学の立場としてはなかなかつらい。本当の意味での総合知をつくっていける基盤も同時に支えてほしいなというふうに思っております。  それから、3番目に申し上げたいことなんですけれども、社会科学の成果を一体どこで見るかといったときに、物事を観察するフレームだとか枠組みだとかを提供する、つまり、思考フレームそのものをつくるみたいなところが、ある種、社会科学のすごい大きな部分であったり、あるいは政策の効果を評価するという部分であったり、いずれにせよ、社会科学の成果は社会にすぐに役に立つというものでは必ずしもないというふうに思っています。物事の見方とか、考え方とか、価値観みたいなところにつくっていくのが社会科学ですので、そういう意味では、アウトプットの形そのもの、いわゆる評価の形そのもの、そういった部分を社会科学の研究者が評価されるようなものというのを持っていかないと、総合知、総合知と言っても、社会科学は多分ついてこられないだろうなあという感じはしております。  以上です。 【上村主査】  ありがとうございました。まさに、今日議論すべきことの論点をいただいたかなと思っております。ありがとうございます。  事務局、何かコメントありますか。 【福田防災科学技術推進室長】  今のところはございません。 【上村主査】  そうですね。本当に大事な論点に対して、この3ページというところが非常に重要で、このような理解でいいだろうと。私もお話を聞いていてすごく思ったのですが、分野間を専門的に縦割りしていったものを融合していって社会還元となるのですが、その中間は一体誰がやるのかという問題が結局残ってしまう。先ほど人文・社会科学の人材マーケットというお話もありましたけれども、知を融合するところの人材マーケットがあるのか、そもそもないのかもしれないという、この辺りのところをどう担保するかというところが議論として出てこないと、この絵はまさに絵で終わってしまうんじゃないかという御指摘ではないかと理解しました。  まさに私ども、前半の議論からあるように、評価というのがこの委員会の大きなミッションの一つでございます。ですので、評価の考え方というのが、具体例を挙げて恐縮ですけれども、論文が何本出たといった評価軸しか持ち合わせていなかったというところもございますので、この辺りもぜひ、永松先生を中心に、皆さんからいろんなアイデア・知恵を出していただいて、どういう評価軸を持ってきたら、こういう方向に向かうための評価ができて、フィードバックができるのかという御意見をいただけるといいのかなあと、本当に伺いながら思いました。 【上村主査】  永松先生、何か補足があれば、まずはそこを伺ってからと思いますが、何かございますか。 【永松委員】  社会科学というのはさっき申し上げたように思考フレームとか考え方とかを提起する部分がすごく大きいので、短期的な評価だけで縛られると、なかなか難しいかなあという気がします。ある一つの物事の見方とかフレームというものが世の中に普及して、それが利用されるという時間軸というのは自然科学よりも長いのかなという感じはしています。それだけ、ちょっと申し上げておきたいと思います。 【上村主査】  と言いつつも、評価をやらざるを得ない部分もあるので、何とか知恵を出していきたいところですよね。ありがとうございます。  小室先生からコメントをいただきたいと思います。 【小室委員】  失礼します。小室です。 【小室委員】  今の永松先生のお話を聞いて、本当にそのとおりだと思っております。総合知と言いながら、現状のペーパーとかを見せていただくと、全部、永松先生は社会の還元のところとおっしゃってくださいましたけれども、言わばおまけとして人文系の研究をつけて総合知でございますと言っているようなプレゼンしか今のところ見えてないので、もう少し人文系のものを、総合知と言うのであれば、真ん中に据えるものもあっていいのではというふうに思います。  ヒアリングの御紹介が資料3-3の中にあって、その中の8ページに、環境省をヒアリングしていただいたときに、人文系を前面に出したプロジェクトを基に総合知を考えたらいいのではないかという御提言もありました。まさにそうで、人文系はおまけではなく、人文系があり、総合知にするためにサイエンスのほうをつける、そういう研究もあってもいいのではないかというふうに、同じく思いました。まさしく人文系の研究は、今、ヒト・モノ・カネが非常に小さいのだと思います。あまり与えられていない。そこを何とか、人文系だけでやっていくというよりは、国なり、どこか、もうちょっと大きな視野でヒト・モノ・カネが行くように何か方向づけを与えていただかないと、総合知というのが本当の総合知にはならないのではないかというふうに感じております。  そして、同じく資料3-3の10ページにムーンショット目標というのが書いてあります。このムーンショット目標の1から7も、どちらかというと自然科学を中心に出された目標なのかなという気がいたして仕方ありません。例えば、こういう目標を設定して、これを遂行していくとなれば、やはり自然科学のほうが主になり、人文科学はおまけにつけるかなみたいなものになりかねない。そのため、この目標の設定のところから、総合知、あるいは人文・社会系のものも考えていただくというのが、本当の総合知にたどり着くプロセスになるのかなというふうに思いました。  以上、感想です。失礼いたしました。 【上村主査】  ありがとうございます。特にコメントをすることもなく、まさに今、小室先生と永松先生がすごくシンクロして御発言いただいたのかなと思っております。ありがとうございます。  それでは、目黒先生、お願いします。 【目黒委員】  私も永松先生の話に関連する点を、意見として述べさせていただきたいと思います。阪神・淡路大震災の直後ぐらいに、現在、防災科研の理事長をされている林春男先生がよくおっしゃっていたことは、「人文・社会系の研究者が、従来の防災研究者から『防災研究に参加して欲しい』と声をかけられるけど、しょせんは『刺身のつま』なんだよ」ということです。しかし、その「つま」があると刺身が美味しく見えるので呼ばれているが、刺身自体は変わっていない。この状況を変えていきたいということでした。これが20数年たって、かなり変わってはきたが、依然として、今、永松先生がおっしゃったように、防災研究において人文・社会系の研究者がなぜもっと増えていないのか。私は、それを支える産業基盤や市場がないからだと思います。つまり、何が言いたいかというと、その分野の勉強をしても、その先の働き口が競争の激しいごく少数の大学のポストしかなければ、そこには進みにくいということです。では、この状況を改善するために何をすべきか。現在の少子高齢人口減少や財政的な制約を考えると、自助・共助・公助の中でこれまで大きな割合を占めていた公助が減少します。この公助の目減り分を補う仕組みとして、防災ビジネス市場の創造と育成をはかることです。すなわち、自助と共助の担い手である個人や法人の「良心に訴える防災」ではなく、人文・社会系をはじめとして、防災を勉強した人たちにとって、大学や研究所の研究者にならなくても高収入の職場があり、そこで積んだ社会経験をベースにまた大学に戻って研究ができるような仕組みをつくれば、人文・社会系の研究者を含め、防災に関わる人たちが増えていくでしょう。経済に関わる大きな市場があるから経済学を勉強しようとする人たちがいるし、弁護士や政治家として大きな力を発揮できる職場があるので法学部で勉強する人が生まれる。要は潰しの利く生きる市場や職場があるかどうかが大きいのだと思います。私はこの考えに基づいて、「防災ビジネスの創造と育成を考える研究会」を既に20数年間主催しています。その際には、従来の小さな防災マーケットを関係者が食い合うようなことでは魅力的ではないので、防災市場を如何に大きくしていくかを考えてきました。もちろん、私が「防災市場を大きくすべきだ」と言ったところで、急に我が国のGDPが変わるわけではないので、新しい考え方が必要になります。それは何か?  事業化をする際に行うB/Cの費用便益分析において、日本では従来は分母のCを減らすことにより注意を払ってきた感じがしますが、この発想を変えることが重要だと思います。今後すべきことは、新たなBの掘り起こしです。従来は非常に限定的で直観的な便益のみをBとして、それを実現するコストをCとしてB/Cの計算をしてきました。すなわち、これまでは基本となる便益B1のみを考えていたわけですが、頭を柔軟にして一生懸命考えてみると、B1に加えて、B2、B3、B4、B5…が考えられ、これを合わせてCで割れば、B/Cは大きくなるし、もっと言えば、多少、Cが増えても、トータルのB/Cは以前よりも大きくなるということです。このような活動を展開する上で重要なキーワードは、防災に対する意識の改革としての「コストからバリュー」と「フェーズフリー防災」です。 従来は行政も民間も防災対策をコストとして考えてきました。コストと考える防災対策は、「一回やれば終わり、継続性がない、効果は災害が起こらないとわからないもの」になりますが、バリュー型の防災対策は「災害の有無にかかわらず、平時から組織や地域に価値やブランド力をもたらし、これが継続されるもの」になります。災害時と平時のフェーズを分けないフェーズフリーな防災対策は、平時の生活の質を向上させることが主目的で、それがそのまま災害時にも有効活用できる防災対策です。こうすることで、時間的・空間的に非常に限定的な災害時にしか機能しない対策に投資しにくいという課題を改善するのです。 そして、先ほど指摘したB2、B3、B4、B5を見つけるということの意味は、従来は他の分野の仕事やサービルと考えられていたものを防災分野の仕事として位置付けるという意味です。こうすることで、GDPが大きく変わらなくても防災市場の拡大が可能になるのです。このような考え方で、防災市場を拡大し、国内外で魅力的なものにすれば、、そこには若い優秀な才能が入ってきて、公助が目減りする中で我が国あるいは世界の防災が維持できるのです。このような大きなフレームワークを考えた上で、全体として防災研究を進めていくことを考えるべきであると私は思います。このような考えがないので、現在の災害に関わる国際プロジェクトの多くが、人的・経済的な防災効果が非常に低い直後対応ばかり集中するのです。被災した人々の人命救助の効果が限定的で、さらに将来の人的被害や経済的被害を減らす効果も低い直後対応ではなく、より効果の高い事前対策に関わるプロジェクトが少ない2つの大きな理由の1つは、直後対応は相対的に簡単だということと、それからもう一つは、資金の出し手から高いプレゼンスを求められるプロジェクトの責任者にとって、プレゼンスを最も効果的に高める手段であるマスコミによる報道が大規模災害の直後に集中するからです。この状況を改善するには、プロジェクトの真の防災効果、すなわち、今回そして将来の人的物的被害の軽減効果を適切に評価する指標(インデックス)をつくることです。これが明確になれば、防災効果の非常に低いプロジェクトばかりを報道しているマスコミは相手にされなくなります。こういうところにも、人文・社会系の人たちが期待される研究成果であると思いますし、そのような成果が蓄積されてくると、状況は大きく変わると思います。今紹介した事例は一つのサンプルですが、このような国全体としての方向性と、トップダウンとボトムアップのバランスの取れた割合を示した上で、「さあ皆で頑張りましょう」と音頭をとっていくことが今求められていると、私は考えています。これはコメントです。  以上です。 【上村主査】  ありがとうございます。お話を聞いていまして、今出ている3ページの総合知のイメージ図のところを私なりに理解していた部分は、分野に分解されたものが上に向かって統合されていって社会還元というところにつながる、この絵になっているのですが、恐らく下から上に向かっていく山のここにプレーヤーが積層されてレイヤーになっているんだと思うのですけれども、社会還元に近いところ、ここについては、研究者というよりは、恐らく産業が担い手になるのだろうと。産業として担い手が社会還元を実装していき、その結果、お金という意味ではマーケットが生まれて、そこから下に向かってもう一回フィードバックがかかって知のほうに人材とお金が回るという、ただ一方通行で上に上がるのではなくて、下にもう一回戻ってくる、そういう絵を描けということだろうなと思って、お話を伺っておりました。目黒先生、合っていますでしょうか。 【目黒委員】  おっしゃるとおりです。そういうフレームワークがないと、局所最適解のことばかり言っていても、それではすぐ壁にぶつかって、うまくいかなくなってしまいます。これまで私たちはそれを繰り返してきたわけで、そろそろ気づかないといけないと思うのです感。 【上村主査】  ありがとうございます。この絵を還元していく形に少しバージョンアップしないといけないですね、ありがとうございました。  すごくいい議論をしていただいていると思います。ぜひ、この機会ですので、ほかの委員の皆様も御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。 【中北委員】  すみません、再び防災研究所の中北です。 【上村主査】  中北先生、お願いします。 【中北委員】  今の目黒先生のように大きなフレームワークの話ではないのですけれども、こういう総合知に向けた、防災研究所での現状みたいなのを簡単に御紹介させていただくのもいいのかなと思って、手を挙げさせていただきました。  御存じのように、防災研究所は、大きく、地震、洪水、気象災害、斜面災害、加えて総合防災というグループがありまして、総合防災のほうは、人文・社会系の先生方、教授の先生も含めて、若手まで、結構在籍されている分野になります。ある意味、今出ている3ページの自然科学の分野の左のほうを担っていただいている部分で、しかも、上に向けて最近はますます強力になってきてくださっている。強力という意味は、もともと、左の人文・社会という意味で、総合防災あるいは巨大災害を復興も含めてどうしていくかということも含めて、あるいは、避難を強化するとか、それぞれの側面で、そういうところで力を発揮してくださってきている中で、特徴として申し上げたいのは、世代が変わると、より上へ来ているような感があります。例えば、今の総合防災系の若い方たち、30代ぐらいになってきますと、総合防災系、要するに左の人文・社会から自然科学のほうへどんどん声がけをして、これを一緒にやろうというような、サブグループ的なものがよく立ち上がるようになってきています。ということで、自然科学のほうから我々を横につないでくれる人文・社会という意識、僕はもともとそういう意識があって必ず総合防災系とは一緒にいろいろやってきているのですけれども、そういう方向じゃなくて、人文・社会のほうからもやりたいことがいっぱい出てきて、自然科学系のほうに、こういう分析、こういう予測はできないのかとか、いろんな投げかけがあり、それができたらこう利用しようも含めて、というような大きな流れ。あるいは、もう少し哲学的に、安全・安心とは何かというようなところまで一緒に議論していただいているような機会が増えているように思います。ということで、次の世代に向けた仕組みというか、そういうのも非常に大事で、当然、それで変わっていくと僕は信じていますし、自信を持って言いたいと思っております。  それから、今の関連で、融合の話で言いますと、防災研究所のほうで、GADRI(Global Alliance of Disaster Research Institutes:世界防災研究所連合)という、世界で130ぐらいあるんですけど、そこの事務局をさせていただいている経験で言うと、結構、主導は左のほうの分野の人がされている感が特にあります。そういう意味でも、世界との関わりの中で、より左から志向するというような向き。その中で、若い世代の発言というのがどんどん高くなってきている。そういう状況を情報共有としてお伝えしたいと思いました。  以上でございます。 【上村主査】  ありがとうございました。人材が足りないという実情の問題提起もございましたが、一方で、かなり時代が進んできて、今、この図で言うところの左側からのアプローチとか、左側の若手といったところの活躍が随分見えてきているというお話だったかなと思います。ありがとうございました。  そのほか、いかがでしょうか。 【鈴木(博)委員】  JRの鈴木です。よろしいですか。 【上村主査】  鈴木さん、よろしくお願いいたします。 【鈴木(博)委員】  実務面から少しお話しさせていただきます。先ほど三隅先生から防災は使われて何ぼのものというお話がありました。実務面から考えますと、国あるいは大学の研究者が考える良い技術と実務的に使える技術には相当の乖離があると思っています。最近、競争的資金の中には社会実装を前提としたものが結構あり、その研究内容を読んでみますと、何年後にその研究成果を社会実装すると書いてあるのも結構みられます。その中には、実務的な面から考えますと、とてもそんな簡単に社会実装できないと思われるものも見受けられます。それは、競争的資金を獲得するためにあえて背伸びをして記載するのか、あるいは研究者は社会実装が簡単にできると思って書いているのか、その辺はよく分からないところがあります。私は企業で研究していて、企業の中で研究した成果であっても会社の中で実装するのにはものすごいハードルがあり、社内でもそこのハードルは一つの大きな山だと言われています。当然、研究は最先端の技術であり、将来的に使える技術になっていくのだと思いますが、最先端技術が必ずしもすぐ使える技術というわけでもないと思っています。この最先端の技術と使える技術の乖離の部分をどう埋めていくかということは、3ページの「総合知」のイメージの図の中の人文・社会科学のところなのか、あるいはこれのさらに上の方に書いてある社会還元のところなのか、私は社会実装するには人文・社会科学と社会還元の間でやらないとならないことのように思います。これをやらないと、先ほど三隅先生が言われたような、防災は使われて何ぼのものということにはならないと思います。3ページの図の「総合知」のイメージの中に社会還元という言葉は入っていますが、実際に使える技術にしていくといったところをどのように考えられているのか、それを少し教えてもらえればと思い、質問させていただきました。 【上村主査】  これは、一応聞いてみましょうか。事務局のほうでもしお考えがあれば、コメントを。いや、そこは事務局の手に負えないからということでも結構ですが。 【福田防災科学技術推進室長】  事務局です。失礼いたします。この資料自体は、内閣府のほうの資料でございますので、私ども責任を持って御説明するのは難しゅうございますが、単純に考えますと、この図というのは、上に「社会還元」と書いてあり、下には「真理の探究」と書いてある。なので、これを単純に対称的に捉えたということなのかなというふうに思われるところでございます。他方で、そういう図の描き方がそもそも適切なのかと。特に、最近は基礎的な研究自体、即、社会還元が期待されているような分野というのが多々ございます。燃料電池などにしてもそうですし、あるいは量子などにしてもそうだと思いますけれども、なので、この図の描き方自体、そういった意味でどんどんグレードアップしていくべきじゃないかというふうな議論というのも恐らくあり得るのかなあと思っております。  以上でございます。 【上村主査】  ありがとうございます。  私の考えといいますか、思うところを少しだけコメントさせてもらいますけれども、上に向かって社会還元に向かうという、この絵については、皆さん、そんなに違和感ないと思うのですが、現実、こんなに単純じゃないです。特にインフラを担われている企業さんから見ると社会還元のすぐそこにおられるわけで、現実、社会還元の下のところを担いながらやっていただくのですが、研究者というのはかなり遠いところにいて、皆さんプロジェクトに採択されたいというところもあり、プロジェクトを出している国とか、いろんな機関というところも、基礎研究で終わってほしくないみたいな研究、予算のひもづけの仕方というところもありますので、社会実装まで謳わざるを得ない事情もあると。研究者側も、社会実装すると書かざるを得ない実情もあると。  一方で、軽く見ているんじゃないかという御指摘も、ある意味は正解かもしれない。というのは、研究者が実装までのイメージをできるというのは、期待しても相当難しいだろうなと思います。そこのところはまさに、目黒先生が前回御指摘いただいていましたけれども、研究者は最先端の研究をやりたい。だけど、実装を考えたら全く最先端である必要はないと。こういう乖離もあり、現実問題としては、この絵のようにきれいに上に矢印はつながっていかないのです。人文系を除いて、新技術開発の話だけであっても、途中に「死の谷」というのがあり、それを乗り越えるのは物すごく大変なんだというのは昔から論じられているところです。恐らく、この途中というところをもっとしっかりと議論を詰めていかないと、社会還元って簡単に言える話ではないという認識は共有しておいたほうがいい気がします。だからこそ、中間のところには、ある程度、分野横断の知見を持った、ある意味、下のほうであれば、横断的な感性を持った、知識を持った研究者。その中間的には、ある種のコンサルティング的な方々。そこから先、その方々がうまくいろんなプレーヤーを束ねながら、昔から言われている産学融合というのもありますが、もっと言うと、産も必要だし、官も必要だし、金も必要だしという、そういう多様なプレーヤーで、みんなで寄ってたかって一つの目標に向かうというところまで行かないと、この社会還元のところに近づかないんじゃないかなと思います。ですから、この中間のところのレイヤーというところの議論をしっかり踏まえつつ社会還元と言わないと、言い方は悪いですが、絵に描いた餅になりかねないと思います。全く御指摘のとおりだと思うのです。ですから、この辺り、大いに議論をしていきましょうと、私は思っております。よろしいでしょうか。 【鈴木(博)委員】  ありがとうございます。研究者は最先端の研究をするわけですけれども、その成果が実務者側とうまくつながらないと研究成果の持ち腐れになってしまうと思います。そこをどううまくつなげていくのかというのは重要なことだと思いますし、非常に難しいことだと思います。そこをうまくつなげるような仕組みと言うと簡単かもしれないですけれども、何かできると良いと思いますので、よろしくお願いします。 【上村主査】  ありがとうございます。この委員会のメンバーにインフラ系の企業の方が何人も委員で入っていただいているというのは、まさにそこの議論をするための狙いだと思っておりますので、引き続き、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。  そのほか、いかがでしょうか。どうぞ、遠慮なく御発言いただいて、御自由に御意見を述べていただければと思います。いかがでしょうか。 【山崎防災科学技術研究所企画部次長】  防災科研の山崎です。委員ではありませんが、発言してもよろしいでしょうか。 【上村主査】  どうぞよろしくお願いします。 【山崎防災科学技術研究所企画部次長】  先ほどの資料の補足にもなりますが、昨年度公表した日本学術会議の提言において、この図で言いますと真ん中に当たる部分、知の統合をどのように進めるかにつきまして、知の統合であるOSSと、また、先ほど皆さんからご発言があった、要は人が大事だということで、ファシリテーターというものを推奨しております。ファシリテーターは社会科学分野出身者だけでは決してなくて、工学系の方も、特に、今、ICHARMでは非常に精力的にアジアやアフリカにおいてファシリテーターとして防災を推進・協力されていると伺っております。  先程、目黒先生からのご指摘で、大学を卒業した後ポストが少ないというようなことに関しては、ファシリテーターという仕事も確立できるような形でこの分野が発展していけばと思っております。また、目黒先生からは、防災ビジネスのフェーズフリーのお話があり、それはごもっともと思っているところ、有事と平時のフェーズがないという時間軸の話もあれば、空間軸でクロスボーダー、国境というボーダーを越えるという形での海外への展開という視点で、先ほどの自分のプレゼンに絡ませて、マーケットを増やしていくのもあると思っていますので、引き続き目黒先生には、御自身で国際貢献されていらっしゃいますが、ICoEとしても、御協力いただければと思っております。  また、中北先生からお話がありました、防災研究所やGADRIの国際的な展開も非常に頼もしく思っているところ、引き続き、御一緒させていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  以上です。 【上村主査】  ありがとうございます。まさにこの中間を担う、いろんなチャレンジをされているところになるわけですね。ありがとうございます。  ファシリテーターという表現自体が一つ大きな意味を持っているように私は理解しておりまして、要はエキスパートでは解決できない部分です。エキスパートをそろえても解決できないものがあるし、エキスパートはえてして答えを与えたがるのですけれども、答えを皆さんから引き出すとか、見いだすとか、正解はないからみんなで決めるんだというような意味合いを全て含んでのファシリテーターという人材が絶対にこの中間に必要になるというように私は理解したのですが、合っていますでしょうか。 【山崎防災科学技術研究所企画部次長】  すばらしいです。私も逆に、お話しを伺い納得しました。ありがとうございます。理解が深まりました。 【上村主査】  ありがとうございます。エキスパートを並べておいて、エキスパートを呼んでくれば問題は解決するんじゃないかという、ある種の誤解がかなり長い期間続いてきた気がしていて。それから、防災に関しても、きっと正解があるに違いないという認識の下で動いてきたのだけど、実はたった一つの正解がないことのほうが多いと。そういう中で、限られたリソースの中で、今できる最善のことは何だろうと、みんなでちゃんと話し合って決めていくというところを踏まえてのファシリテーター養成だなという、すごく大事なお仕事をされているのだなというところが本当によく分かりました。ありがとうございました。 【山崎防災科学技術研究所企画部次長】  貴重な御意見、ありがとうございました。ご指摘のとおりですから、是非その方向で進めていきたいと思います。引き続き、御支援、よろしくお願いいたします。 【上村主査】  お願いします。ありがとうございました。  もう少し時間がございます。御遠慮なく、御発言いただければと思いますが。 【大原委員】  土木研究所の大原ですけれども、よろしいでしょうか。 【上村主査】  よろしくお願いします。 【大原委員】  今、御紹介いただきましたように、我々、土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)では、途上国の行政職員から防災のファシリテーターを養成することを目指しており、今はe-learningが主なんですけど、研修活動を展開しています。その際にいつも思っているのは、そもそも総合知というのはどういうパーツで構成されているものであるとか、ファシリテーターはそもそもどういう能力を有しているべきかというのがあまりかっちり定義されておらず、定義されていない中で、我々として、人材育成の取組をやりながら考えているようなところがあります。通常、人材育成とか教育プログラムは、学習指導要領があり、目指すべき人材の形があり、それに対して、講習するパーツ、指導要領のコンテンツが存在しているものなんですけど、今ここで言う総合知とか、ファシリテーターの養成とかについては、そういった通常の学習指導要領的なものが全くない中で手探りで進めているという課題がありまして、我々として、そういう課題に直面しています。ですので、そもそも総合知とはどういう知で構成されるのかとか、どのように人材育成すべきかという、学習指導要領的なものが共通認識として出てこないといけないのかなと思っています。  以上、我々が活動しながら課題として考えていることを共有させていただきました。 【上村主査】  ありがとうございます。すごくよく分かります。  何をどう教えたらいいかという指導要領がないという状況で何かを教えているとか、ファシリテーター養成と言いながら、どんな人材をつくろうとしているのか、いま一つ、しっかりと共有できていないとか、よく起きる問題かなと思います。一方で、定義し過ぎる怖さというのもあり、唯一解が絶対あるんだと思わせてしまうという怖さというのもありつつも、広めていく、普及していく、波及させていくということを考えると、ある種の標準化ということも必要になってくるし、それで学んで、一つの型として身につけていきながら、考えるということを今度は足していくというアプローチになっていくと思うので、この辺りのところもぜひ議論を深めながら、うまくいっている事例というよりは、こういうことに悩んでいるという問題提起も大いにしていただきながら、そのためにはどんなフレームでどんな議論をしていけばいいのか、どんな研究課題を掲げていけばいいのかという、その辺りの次のヒントになろうかと思いますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。  そのほか、いかがでしょうか。まだ、もう少し時間がございます。いかがでしょうか。  ありがとうございました。時間は少々早いのですが、ある程度しっかり御議論いただけたかなあというふうに思っております。本当にありがとうございました。  それでは、本議題に関する意見交換はこの程度にとどめたいと思います。事務局においては、本日いただいた意見を踏まえ、今後の委員会の運営や防災科学技術政策の現状等について検討を進めていただければと思います。  それでは、事務局のほうから、連絡事項等あれば、よろしくお願いいたします。 【山田防災科学技術推進室長補佐】  事務局です。次回の委員会の日程については、後日、事務局から改めて御連絡させていただきます。  事務局からは、以上になります。 【上村主査】  ありがとうございます。  最後ですが、どうしても一言言っておきたいということがございましたら、御発言をお願いいたします。  それでは、以上をもちまして、本日の委員会を閉会といたします。どうもありがとうございました。 ―― 了 ――

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