防災科学技術委員会(第45回) 議事録

1.日時

令和元年7月30日(火曜日)13時30分~15時45分

2.場所

文部科学省 3F2特別会議室

3.議題

  1. 次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト中間評価について(非公開)
  2. 防災科学技術に関する研究開発の方向性について
  3. その他

4.出席者

委員

寶主査、山岡主査代理、大原委員、大湊委員、上村委員、鈴木(靖)委員、瀧澤委員、林委員、福和委員、前田委員、三宅委員

文部科学省

岡村大臣官房審議官(研究開発局担当)、工藤研究開発局地震・防災研究課長、齋藤研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室長、石山研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室長補佐、大河原研究開発局地震・防災研究課専門官、三浦科学官

5.議事録


【石山防災科学技術推進室長補佐】  それでは、定刻となりましたので始めさせていただきます。
 ただいまから、第45回防災科学技術委員会を開催いたします。このたびは、委員の皆様におかれましては、お忙しいところ御出席を頂きまして、ありがとうございます。
 本日は、委員15名中、現時点で11名の御出席を頂いております。定足数を満たしております。ありがとうございます。
 本日の文部科学省の出席者に、人事異動によりまして交代がありましたので、先に紹介をさせていただきます。齋藤防災科学技術推進室長です。
【齋藤防災科学技術推進室長】  齋藤でございます。よろしくお願いいたします。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  本日はペーパーレス会議となっておりますので、会議の資料につきましては、お手元のPCで御参照いただきたいと思います。なお、机上に議事次第、配席図、名簿、スケジュールは紙で配付させていただいております。
 本日の資料でございますけれども、資料1-1、次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトと委員の関係について、資料1-2、次時代火山研究・人材育成総合プロジェクト概要資料、デジタルでは火山プロジェクト推進進捗説明資料となってございます。資料1-3、次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト中間評価票(案)、ここまでが議題1に関する資料でございます。資料2-1、第6期科学技術基本計画に盛り込むべき防災科学技術分野の施策等について(案)(提言案)、資料2-2が、見え消し状態で作ってございます、変更履歴付きの提言案となってございます。参考資料といたしましては1から4までを準備してございます。
 本日の議題1に関しましては、研究評価に関する案件のため非公開とさせていただきます。
 それでは、以降の議事の進行に関しましては寶馨主査にお願いいたします。寶主査、お願いします。

< これより非公開 >

 < これより公開 >

【寶主査】  続きまして、議題2「防災科学技術に関する研究開発の方向性について」に入ります。傍聴の方がおられるようでしたら、入室させてください。
(傍聴者入室)
【寶主査】  それでは、事務局の方から資料2に基づいて御説明いただきたいと思います。
【齋藤防災科学技術推進室長】  続きまして、議題2「防災科学技術に関する研究開発の方向性について」御説明をさせていただきます。資料は2-1と2-2がございます。2-2は、前回御議論いただいた論点整理からの見え消し、2-1がそれを溶け込ませた形の資料でございます。今回、2-2を用いまして主に前回からの変更点を中心に御説明をさせていただければと思います。
 基本的な資料の構成ですけれども、赤字が見え消し、緑色の文字は、前回の資料では別のところに書いてあったものを位置を変更して記載したものでございます。
 第6期科学技術基本計画に盛り込むべき防災科学技術の分野の施策等について、提言案、提言素案と言ってもいいのかもしれませんけれども、提言案としてございます。この提言案は、この委員会におきまして次期科学技術基本計画に盛り込むべき重要事項を取りまとめていただいて、それをこの上の科学技術学術審議会総合政策特別委員会に提示をするという予定になっております。
 まず、「はじめに」というところですけれども、前回は4の「論点の例」の項目の中の基本的な考え方として記載していた部分でございます。ここでは、次期の基本計画における防災科学技術の分野のキーワードといいますかフレームワークとしての基本的な考え方を提示するものでございます。
 29行目からのパラにございますように、日本学術会議が各国の学術団体を取りまとめました、「持続可能な発展を支える災害レジリエンスの強化」、このような考え方が基本となるのではないかというふうにしておりまして、前回の御議論も踏まえまして、次の36から38行目のあたりですけれども、次期科学技術基本計画期間における防災科学技術のフレームワークは、「持続可能な発展のための防災力の高い社会(仮称)」とさせていただいております。
 続きまして2ポツの「防災科学技術の現状と課題」でございます。内容としては変更ございませんけれども、全体としてこれまでの研究開発によって、防災の各分野における研究開発が一定程度進んでまいりましたと。しかしながら、これまでのところの開発された技術によってカバーされる部分は、全体から見るとまだまだ足りないと言わざるを得ないのではないかということを書かせていただいております。
 50行目から防災対策の基本的な考え方として、まず、ハザードを理解して、そのハザードへの効果的な対応策を考えていくと。被災後に早期に復旧していち早く立ち直っていく、この一連の流れ全般を強化することでレジリエンスが高まるというような考え方を述べさせていただいております。その上で63行目からですが、ハザードの予測、脆弱性・曝露量の把握と改善、災害対応の在り方、その他ということで大別して整理させていただいております。
 続きまして99行目からの3ポツでは、「防災科学技術をめぐる環境の変化と課題」としてまとめさせていただいております。
 最初のパラグラフは、現行の科学技術基本計画にもございますけれども、南海トラフ地震あるいは首都直下地震の確率が高いということ、こうした国難災害に対して備える期間というのは残り少なくなってきているということを述べさせていただいております。
 修正点として121行目あたりから、高齢者、障害者の避難等に困難を伴う可能性がある方を考慮したインクルーシブな防災という視点が重要であるということを折り込んでおります。このインクルーシブという言葉、障害者権利条約でも規定されておりますけれども、包容するあるいは包摂するというような、包み込むというイメージで、よく障害のある子供もない子供も可能な限りともに一緒に学校に学ぶインクルーシブ教育ということが言われているところですけれども、このあたりインクルーシブも含めて、ほかにも片仮名語がございますけれども、一般の方が見て分かりやすくするために用語の解説という形で今後脚注に記載してもよいかなというふうに思っております。
 それから126行目から、仙台防災の枠組やパリ協定に触れながら、地球規模での災害リスクへの対応が求められていること等を記載しております。また、「自助」「共助」「公助」について触れながら、136行目あたり、人材の問題として、若手研究者に加えて女性研究者の自立促進・キャリアパスの安定等についての対策強化、こういったことを記載しております。
 その次の138行目、ここでも若手研究者とありますけれども、ここも先ほどの女性研究者等も含めて若手研究者等というふうに入れた方がいいかと思っております。
 そして以上を踏まえまして、5ページの164行目からでございますけれども、ここでは次期基本計画に盛り込むべき事項として、まずは総論として、防災科学技術のみならず科学技術一般に関する論点を4点ほど挙げさせていただいております。
 一つ目がSDGsについてということで、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のためという文言を追記しております。
 それから二つ目、異分野共創が有効な領域について、それを特に推進していくべきではないかということ。引き続きですけれども、その際、単に複数の分野の研究者が集まるというのではなく、様々なステークホルダーにも参画いただいて、これもTrans-Disciplinaryというような考え方でやっていくべきではないかということを書かせていただいておりますけれども、この基盤となるドメイン別の研究も引き続き重要であるということを178行目から書かせていただいております。そうしてこのドメイン別の研究を進めることが、Trans-Disciplinaryを進めることにつながるものであって、両方の拡充を目指すべきことであるということを追記しております。
 四つ目の人材の問題につきまして、既存の研究成果から得られているデータ等を維持できなくなる可能性を認識すべきであるといったことについて追記をしております。
 次に、193行目からの各論でございますけれども、まずは各ハザードに関する研究開発についてということで、これは前回の御議論を踏まえて、ドメイン知の拡充ということで整理をさせていただきました。
 その上で引き続き、地震火山現象の解明予測といった研究を進めていく必要があるということ。そのほか203行目からでございますけれども、各ハザードについてこうした研究が必要ではないかということを書かせていただいております。
 その上で次の7ページ目の234行目からということでございますけれども、ここでは分野融合型の研究開発ということを、分野横断知の拡充という形で整理させていただきました。
 243行目は、観測データ、ハザード関連データの利活用推進のための共通のプラットフォームの構築について追記をしております。
 また、255行目、これは、新たな科学技術の積極的な活用でございますけれども、8ページの265行目、これは若干細かいのではないかということで、記載を削除しております。
 最後、274行目、これは持続可能な発展を支える防災科学技術ですけれども、インクルーシブな防災のほか、この緑色の部分は前のページに記載していたものからの位置変更でございますけれども、そのほか自然災害の研究と環境問題の研究の融合によるSDGsへの貢献について追記をさせていただいております。
 288行目の「誰一人取り残さない」の部分ですけれども、これは前の5ページ、168行目に同様のことを記載しておりますので、ここでは削除しております。
 提言案の説明は以上でございますけれども、この提言案に関する今後の予定でございますが、次回の会議を10月10日に予定をさせていただいておりますので、本日のこの後の議論を踏まえて修正をさせていただきます。
 併せて、次期科学技術基本計画の策定に関する全体的な動きや状況も踏まえながらの修正ということも必要になってくるかと思っております。いずれにしましても今回いただいた意見等を踏まえながら、また修正をし、次回10月10日の会議の場で改めて御議論を頂いて取りまとめ、総合政策特別部会に提示をするというような予定を今のところ考えているところでございます。説明は以上でございます。
【寶主査】  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして何かお気付きのことがありましたら承りますが、いかがでしょうか。
【上村委員】  感想みたいな話でいいですか。
【寶主査】  どうぞ。
【上村委員】  片仮名多いなというのが。これは普通の人は読むの大変ですね。やっぱり注釈が要るかなと思いました。
 それとインクルーシブな防災という言葉がどうにもすーっと入ってこないんですよね。いや、意図はすごくよく分かるのですけれど、言葉としてインクルーシブな防災という新しい概念提案をしているように読めるのですけれど、言葉として入ってこないんです。ちょっと何か違った、もうちょっと分かりやすい表現ないかなと思いました。
 Trans-Disciplinaryだけ、これ英語で書いてあるのは何か意図があるのですか。済みません、くだらない話ですけれど、難しいなと、それだけです。
【寶主査】  事務局の方、いかがでしょうか。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  Trans-Disciplinaryに関しましては、前回御議論いただいた中で、ふさわしい日本語訳がなかなか見当たらないなという議論だったかと思います。
【上村委員】  それで、片仮名にもしないというのは何か意図はあるのかなと。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  もし可能であれば、この場で御議論いただいて、ふさわしい語があればなというふうに考えております。
【寶主査】  インクルーシブはSDGsでも何回も使われている言葉でして、最近の国際的な公文書あるいは政府系の文書でも、政府系の文書は包摂的と日本語で書いているのが多いのですけれど。
【上村委員】  インクルーシブは多分、それで通りがいいと思うのです。インクルーシブな防災って一体どういう意味なんだろうなと。
【寶主査】  従前から総合防災とかいう言葉もあるんですけどね。それからドメイン知というのも、個別分野の研究を進めて新たな知を得ていくというところですけれども、そのハザード別のというところをドメイン知と、ドメインの中での知というような言い方しているのですけれど、ちょっと分かりにくいかもしれないですね。
 そのほかいかがでしょうか。今のような感想でも結構ですし。どうぞ。
【前田委員】  ICTに関わる産業界からのコメントということで、ちょっとしたいのですけれど、7ページの最後の方から、新たな科学技術の積極的な活用というところに関して、何かこれから先の基本計画に盛り込むべき内容としては、もう既に現状の技術しか書かれてないような気がしていまして、もうちょっと先端的なことが書けないかなとちょっと思いまして。
 例えば5Gの話であるとか、AIももうあらゆることはできるようになってきているのですけれども、AIの書き方もいろいろ要御相談かと思うのですけれども、もう一つは新たな言葉として、例えば量子科学って書いていますけれど、例えば量子コンピューターを用いた組み合わせの最適化問題を解くことで、この避難経路の最適な、瞬時に答え出ますので、そういった活用であるとか、あとは低軌道衛星、これからどんどん小さな衛星打ち上がっていくと思いますので、そういった多数の低軌道衛星を活用したセンシングとか、そういった何かもう少しやっぱりここ、明るい未来じゃないですけれど、次の新しい科学技術を使うようなことをいろいろ書き込んでもらった方がいいのかなと思いまして、感想ですけれども、よろしくお願いします。
【寶主査】  ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。はい。
【福和委員】  まずは一つとても細かいことで、40行目なのですが、災害リスクを理解し活用すると。活用するって意味がよく分からないので、ここはちょっと何か文章直していただいた方がいいと思います。ハザードと、それからバルナラビリティーとエクスポージャーを組み合わせて、災害リスクを、理解するというのは分かるのですが、だめなもの三つをどうやって活用するのかがよく分からないので、文章は少し直した方がいいかなと思います。
 それは細かいことなので直していただければいいのですけれども、多分これから日本って物すごく縮退して、もう細っていくという状況の中で、一方でとっても大きな災害を迎えるわけで、潤沢に金を幾らでも使ってやれるわけでは多分ないですよね。そうすると、費用対効果というか、本当に最大効果的に被害を減らしていくために何をしなくちゃいけないのかというような視点が、ここの中に余りなくて、科学技術だからそれでいいのかもしれないですけれども、夢ばっかり語って、さっきは夢を語ろうとおっしゃったのですけれども、夢ばっかり語るのもいいのですけれども、もう我々が持っているリソースでどこまでやったら、どうやって被害が減らせられるのかという視点も、多少は文科省的にも、持っていてもいいんじゃないかなという気がちょっとしました。それを、研究的に何をすべきかというのは、どう旗を立てればいいか、すぐにいい言葉は出ないのですけれども、視点としては、その念がちょっと欠けている気がします。施策展開できるような研究というのを狙わないと、確実に来ちゃう災害に対してちょっとまずい気が印象としてありました。以上です。
【寶主査】  ありがとうございました。資料2-1と資料2-2で行番号の場所が違いますので、今福和先生おっしゃったのは資料2-1の40行目というところですね。
【福和委員】  2-1の方です。40行目。
【寶主査】  行番号おっしゃるときはどちらで……。
【福和委員】  ごめんなさい。
【寶主査】  いえいえ、最初に私が言っておくべきだったのですけれども。
 そのほかいかがですか、どうぞ。
【鈴木(靖)委員】  私、気象を専門としているので、その立場で読んで、ちょっと違和感があったのが、ハザードの予測というところ、資料2-2でいえば66行から先ですか。ここは地震のことしか書いていないような気がするのです。例えば気象であれば、気象の台風の予測とかは結構ある程度、5日前に予報が出るようになっていますし、ハザードの予測自身はかなり達成されているような印象があるのですが、ここの書きぶりだけにしちゃうと、気象とか風水害の予測がまだだめですみたいに読み取れるので、その辺少し文章を工夫していただいて、気象の方が十分予測可能であるが、まだ地震はそこに至ってないとか、そんな書きぶりにしてほしいなというのが印象です。
【寶主査】  ありがとうございました。ここ3行しかないし、ちょっと簡単過ぎる感じがしますね。今のは資料2-2の方の66から69のところですね。
 そのほかいかがでしょうか。Trans-Disciplinaryはどうしますかね。
【林委員】  案を言いましょうか。Trans-Disciplinaryに換わるとしたら、コデザイン、コプロダクションというのがもう少し簡単な言い方としてあるとは思うのですが、それも、でもローマ字なのですよね。だから……。
【福和委員】  いいですよ、このまんまで。
【林委員】  いや、これは直そうという決意の下に、ここだけわざと英語にしてあるとすれば……。
【福和委員】  あるんならいいんじゃないですか。
【林委員】  でも、共創という言葉があって、共同の共に創造の創。今、それがほぼ定訳に使えそうな言葉なので。
【上村委員】  それは後ろの方でも使っていますね。
【林委員】  早めに共創を切り過ぎちゃったので、キーワードに共創が使えていないというのが現状だと思うのです。だから僕は2-1の方でお話しした方が分かりがいいと思うので、そうすると3回Trans-Disciplinaryって書く必要はないと思うと、141行目に「ステークホルダーが研究の設計から実行まで」、これはもうちょっとシンプルに「協力して課題解決を図る共創の体制の確立も必要である」みたいな。それで、ここに共創という難しい方を与えて、ただ体制を作ろうというのを補足してやれば、今度その文書にすると、142行目のTrans-Disciplinaryが要らなくて、「その基盤となるドメイン別の研究も引き続き重要である」と。で、「ドメイン別の研究を進めることが共創の体制の確立を進めることにもつながるのであり、両方の拡充を目指すべきである」で意味は通じるかと思いましたけれど。
 それで、福和先生のご指摘を一番コスパよく直そうとすると、147行目の「コスト減効果」というのを、「減災効果」にしちゃっていいんじゃないかと。要するに、パワフルに減災ができるかどうかということを定量的に評価していくことが大事だというんだったら、そこに妙にコストという概念を入れない方が……。
【福和委員】  そうですね、ちょっと小さく見えちゃいますね。
【林委員】  福和先生から言わんとしていることに近いかなと思います。
 少し余計なこともいいですか。
【寶主査】  はい、どうぞ。
【林委員】  2-1の23行目なのですが、「持続可能な発展のための防災力の高い社会」というのは、「うん、本当?」とか思って。むしろ「持続可能な発展を支える防災力の高い社会」を目指す方が、僕らとしてはよりストレートなのではないだろうか。防災力の高い社会を外してしまうと持続的な発展は危うくなるよというのがメッセージではないのかなと思いましたけれど。
【寶主査】  ありがとうございました。Trans-Disciplinaryはフューチャー・アースの方では超学際とか言っているわけですね。
【林委員】  超学際。
【寶主査】  でも、超学際も分かりにくいんですね。
【林委員】  それはやめたい。
【寶主査】  ええ。もう何年も前に私も学内で研究プロポーザルやるときにその言葉知っていたものですから、超学際というふうに副学長クラスの人たちの前で言うと、その言葉何ですかと言われましたね、やっぱり。それも五、六年前の話なのですけれど。その後もなかなかTrans-Disciplinaryのいい適語が出てきてないですね。中国語では何と言っていますかね。中国の表現がひょっとしたら参加になるときもあるかもしれないです。
【林委員】  それがもしかして共創かもしれない。
【寶主査】  コデザイン、コプロダクションの方で共創を使っている可能性もありますね。
【林委員】  そうですね、括弧してね。でも、コデザイン、コプロダクションって実質言っていることは正しい……。いわゆるユーザーサイドとメーカーサイドというか、プロダクツを作る側と利用する側が常に一緒になるという意味からいえば、Trans-Disciplinaryとほぼ同義でいいんじゃないかと。
【寶主査】  正にそれがね。
【林委員】  あえて、そんなにTrans-Disciplinaryって強調せずに、みんなでやる体制が強まっていくとかいうのもあっていけばいいじゃないというふうにすれば、普通の地の文として読んでもらえるように思うので。
【寶主査】  そうですね。よろしゅうございますでしょうか。そのほかお気づきのところ、まだこれはきょうは確定版を作るわけではないということなので。
【山岡委員】  一番引っ掛かったのが、2-1の方の209行目からの「新たな科学技術の積極的な活用」というところの212行目に「例えば」というところの後なのですけれども、この「例えば」の後はこれを選んだのは何か根拠があるのかなと思いつつ、逆にここはむしろ委員の先生方からのアイデア頂戴みたいな形で少し構成していった方がいいのではないかというふうに思ったりします。なので、台風とハザードと発電と何とかってよく分からないので、ここの部分を、「例えば」というところをもうちょっと何か中身を検討したらいいんじゃないかなと思います。私も特に今、具体的なアイデアがないので、むしろ持ち帰ったときに何か言ったらいいんじゃないかと思うのですけれど、違いますかね。
【林委員】  よく書いてくれたと逆に僕は思っているのですけれども、今、ムーンショットというのがいろいろなところで話題になっているかと思います。ムーンショットの中でひそかに出そうと考えているのは、平たくキーワードで言うと台風発電なのです。再生可能エネルギーの利用を増やしていこうとしたときに風力が一番期待ができる。だけど現状は、嵐が来ると風力発電機が壊れちゃうといけなので止めちゃうんです。
 ですから、一番のチャンスのときに使えないというのが今の風力発電の典型だから、そこのタブーをあえて犯して、日本みたいにたくさんの台風が来てくれる、これ台風1個で1年分の全国のエネルギー需要が満たされるというぐらいのパワーがあるといっていますから、そういうものを生かすというのも、ホルムズ海峡が危うい現在としては非常に重要じゃないかという気もしています。ムーンショットの例を見ていると、再生エネルギーをもっとうまく利用するという話もあるので、それははまるのではないかと。最初に入れなくてもいいですから、消さないでほしい。防災の科学技術のコミュニティーとしてはアクセプトしているんだ、ということを、気持ちとしては是非残していただけるとうれしいです。地震学の研究を続けるというのを認めるぐらい認めてもらってもいいんじゃないかと。
【山岡委員】  断層が動くエネルギーを使うなんていうこともいいですけれども、済みません、今のはちょっと余談だったのですが、ここは防災のためというよりはその災害科学で得られた知見をエネルギーとかあしたの社会に役立てるみたいなコンテクストで書いてあるところですよね。だからちょっと全体のあれからいうと……。
【林委員】  だから今までの、一言で言うとムーンショットみたいなことは防災でできませんかというのを書いてあるのですよね。だから今風言い方をすればだ、不連続な研究開発、本当にイノベーティブなものの例としてこう書いてくださっていると。
 それから次に書いてある、重要な区画や建物を地震動から完全に遮断する技術というのも実はそのムーンショットの中に書いてある例なのですよ。そこもやろうとしているグループがあるのも知っています。
 だからそういう意味ではここはよく書いたなと思うのですけれど、そういうどちらかというと荒唐無稽に見えるようなチャレンジングなことも防災科学技術の枠の中に入れていくというような姿勢のメッセージだというふうに理解しています。
【山岡委員】  分かりました。ということであれば、ムーンショット的であるということをもうちょっと明確にここに書いた方がいいかなと思います。ムーンショットというのは要するに月に、アポロ計画で1969年にアポロを月に打ち上げたみたいに、大体荒唐無稽なアイデアから実現させるというようなものをムーンショットというのが語源らしいので、だからとてもいいと思いますので、これは、荒唐無稽と言っちゃいけないんだけど、何かそういうムーンショット的なものも大事であるというようなことを少しうまく書き込んでいただくと、この「例えば」以降がうまく生きるというふうに思います。
【寶主査】  ありがとうございます。
【林委員】  従来の精度向上だけではなくて、従来と全く発想の違うような新しい防災科学技術の展開も考えられるという書き方でもいいわけですよね。それで、「例えば」みたいな。空飛ぶまちと台風発電ですから。
【寶主査】  この「例えば」の前の文言と「例えば」の後がちょっとつながりにくいと。
【林委員】  そこに、いわゆる従来の高度化ではなくて、全く新しい発想に基づく防災科学技術の展開も必要であるみたいに書いて、「例えば」というふうに。
【寶主査】  それですと違和感がなくなりますね。今ここの213ですか、ここポツがありますが、資料2-2の方は256行目でこのポツを消しているように見えるのですけれど、細かな話ですけれども。
【事務局】  そろえます。
【寶主査】  256ですかね。これ、普通の段落にしようとしたのかなと、こっち見ていて思ったのですけれども、2-1の方ではポツのままになっていて、「例えば」はもう……。
【事務局】  これはポツがある状態です。
【寶主査】  残しているつもりなのですね。分かりました。細かなことで恐縮です。
 そのほかいかがでしょうか。どうぞ。
【大湊委員】  ムーンショットという高尚な話の後でちょっと水を差すようで申し訳ないのですけれども、2-2の方の84、災害対応の在り方のあたりで、この最後の文章、情報に関してそれを活用する側に立った研究開発等が望まれるということが書いてあって、これは結構重要なことだと思うのですが、後の方でこれに対応して実際何をするかということが書かれているのかなとこう見ていくと、実は余りというかほとんど、どれが対応しているか分からないというか、ないのですよね。それで、今実は科学とかいろいろな技術で分かっていること、できることと、実際にそれが活用されているレベルって実は非常にこう乖離があるというか、格差があって、せっかくもう既にある技術が生かされていないという現状もあると思うのです。
 ですから、どんどんとがっている部分を伸ばすというのはもちろん必要ですけれども、もうできて生かしてほしいなというものが生かされていないという現状を埋める部分を何かできる、そういうことをやるという技術に関しての言及があってもいいのではないかと思うのです。それは恐らく個別の対応という面になってきて、そういうところに例えばAI技術であるとかそういうものが使えるのではないかと思うのですけれども、何かしら、一見地味で目立たなくて、受けが悪いのかもしれないのですけれども、でも実際に防災とか役に立つという視点に立つと、そこを埋めないと、幾ら先端が頑張っても、結局何も誰も助からないという話にならないとも限らないので、そういうことに言及するようなことがあるといいなと思いました。
【寶主査】  ありがとうございました。よろしゅうございますか。そのほか、どうぞ。
【山岡委員】  もう一つだけ。一番最後に「自助」、「共助」を強化する取組へのアプローチの強化が望まれるというふうにまとめてあるのですけれども、まとめてあるというか、これの具体的な例がどこかにあるといいなと思いつつも、文章を見ていても余りうまく、対応がよく分からないなという気がするのです。
 全体に、ここでおっしゃっているように恒常的なところが割と強化されるというところもあるし、文部科学省的にはそこなのかもしれませんけれども、「自助」、「共助」を強化する取組へのアプローチの強化というところを、もうちょっと具体的に対応する部分が何か見つかるといいなと思うのですが、先ほど大湊委員がおっしゃったようなところもひょっとしたらそういう意味合いがあるのかなとも、想像しながら聞いていました。全体の構成をうまく変えて、これに対応する何かが欲しいなというふうに思います。
【寶主査】  ありがとうございました。どうぞ。
【上村委員】  そこ、御指摘いただいたので。「自助」、「共助」を強化するという言い方がやっぱり公助的なのですよね、視点が。だから、「自助」、「共助」の強化を促進する取組、で、アプローチへの強化は要らないのです。強化、強化だから。だから「自助」、「共助」というはお上が強化するものではない、ただそれをサポートはできるというニュアンスにした方が現実味がある気がします。
【寶主査】  ありがとうございました。
【山岡委員】  117行目に書いてありましたね。
【寶主査】  117行目ですか。
【山岡委員】  2-1の117行目にも「自助」、「共助」を促進と書いてあるので、何かそのあたりが全体のつながりの中で一つ見えるようになるといいかなというふうに思います。
【寶主査】  超高齢社会で、かつ一人も取り残さないということを考えるときに、やっぱり公助も捨て難いというか、やっぱり公助が出ていかないといけない社会でもあるのですよね。「自助」、「共助」で早く走れ、早く逃げろっていっても、走れない、逃げられないという場合もありまして、一時期、「自助」、「共助」を強調し過ぎたような気もするのですけれどね。公共事業で皆さんを助けるというところがおろそかになって、で「自助」、「共助」というところを強調されたのですけれど、超高齢社会でもあり、かつ大規模災害のときに何が起こるか分からない、それについては書いてあるのですけれど。ちょっとここのところは補強が必要だと思いますね。
 そのほかいかがでしょうか。どうぞ。
【三浦科学官】  2-1の180行目なのですけれども、火山についてなのですが、前兆現象の把握がかなり進んでいる状況というのはこれは実体とかなり乖離があるように思うので、今後もその的確な把握をしなければならないみたいな文脈にしないといけないのではないかと思いました。
【寶主査】  ここの書き方は、もう大分進んできているから高度化が必要だという書き方なのですけれども、必ずしもそうでもないというところもあって、ただ進んでいるもののと書いてもちょっとおかしいですね。そこはちょっと工夫していただきましょうか。
【大湊委員】  この文は多分火山によって、ほとんど分かっていない火山もあれば、やはり相当分かっているといってもいい火山もあると思うので、そのいろいろな場合があるということが分かるにはその文書にすれは問題がないのではないかと思います。
【寶主査】  ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。どうぞ。
【林委員】  2-1でお話しすると、SDGsのところのインクルーシブというのをここではカットして、「誰一人取り残さない」というので表現しているのだと思うのです。これはきれいな日本語になっているのだけれど、その前に実は片仮名で3ページの208行目に、インクルーシブな防災って出てきちゃうのが何となく違和感があると。
 だから、ここで言っているのは高齢者や障害者や避難等に困難のある可能性がある方を考慮した防災と書いてもいいし、書きたいのだったら「誰一人も取り残さない」と書いてもいいのではないのかなと。インクルーシブというのを書くか書かないかで、もしインクルーシブと書くなら、このSDGsの232のところに、包括性のある社会の実現という所の後ろに、括弧でインクルーシブな社会と書いても、定義になるかなという気はしているので、インクルーシブそこしか、もう最後の方にも出てくるのですけれど、225にも。3ページの108行目の「インクルーシブな」は、何かもう少し普通の言葉にしてもいいのではないでしょうか。
【寶主査】  ありがとうございました。2015年以前はほとんど使わなかった言葉なのですね、インクルーシブというのはね。SDGsとか仙台防災枠組で使われていますから、それ以後よく使うようになったという感じなのですけれど。
【林委員】  今年のジュネーブは全部インクルーシブでしたから。
【寶主査】  そうでしたか。何か、2015年の国際的な合意文書のキーワードとしてそれを濫用しているというか、頻発に使い過ぎているというところはありますね。ここではそんなに頻発しているわけでないですけれど。そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。
 いろいろ御意見頂きましたから、まだまだ改善の余地はあるということで、これを更にアップデートしていくということでよろしいでしょうか。目標の時期はいつ頃でした、これ、さっき10月10日とかおっしゃっていましたか、そこまでには確定したいという、10月10日の委員会で確定するのでしたっけ。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  はい、そうです。次の10月10日の委員会において最終案を確定したいと思っておりますので、その前に修正案を委員の皆様には御紹介したいというふうに思っております。
【寶主査】  ということで、中間評価のときもちょっと議論出ましたけれど、こちらの方はフィードバックを欠席者の方にも掛けまして進めていきたいと思います。
 御意見、御質問等は以上ということでよろしゅうございますか。それでは、ただいま出た意見等について、事務局の方で御対応いただきたいというふうに思います。
 続いて、議題3「その他」、事務局から連絡事項等ありましたらお願いしたいと思います。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  ありがとうございます。次回、第46回委員会の日程でございます。以前、皆様の御都合を御照会させていただいたところ、先ほどから出ておりますけれども、10月10日の木曜日が皆様の御都合がそろう日となっておりますので、つきましては、この日の午後開催させていただく方向で事務の手続の方を進めさせていただきたいというふうに考えてございます。開催場所詳細につきましては、後日事務局から改めて御連絡させていただきます。また、仮の予定として御連絡しておりました9月5日につきましては、開催しないというふうにいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。旅費関係の手続につきまして、色紙の用紙を机上に置いてございます。出欠・旅費確認票でございます。これに御記入いただきましてお席の方に残していただきますようお願いいたします。
 事務局から以上でございます。
【寶主査】  次回は、9月5日はなし、10月10日の木曜日ということでございます。よろしくお願いします。
 それでは、以上をもちまして閉会いたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課 防災科学技術推進室

(研究開発局地震・防災研究課 防災科学技術推進室)