資料2-4 研究開発評価システムの改革に係る検討項目について(案)

※括弧内ページ番号は、研究開発評価システム改革の方向性について(審議のまとめ)

1.研究開発システムの階層構造に対応した評価システムの明確化

○各階層間で整合性のとれた評価の観点・基準の設定

(現状と問題意識)

  • 政策体系(政策-施策-プログラム・制度-研究開発課題)において、上位階層を実現する一つの手段として、下位階層が実施される構造を前提とした場合、評価基準は上位階層との関係から自ずと策定されるが、現状では、階層間の関係が明確になっていない場合もあり、評価基準が抽象的・一般的であったり、評価基準が評価対象の活動内容自体から逆に策定されたりと、評価活動が形式化・自己目的化してきている。(2ページ)

○施策やプログラム・制度の評価の推進を図る

(現状と問題意識)

  • 施策やプログラム・制度の評価については、我が国では、あまり経験を積んでおらず、下位の個別の研究開発課題(プロジェクト)の評価が行われる場合や、研究開発課題(プロジェクト)の評価結果が一覧化されるだけの場合があるなど、施策やプログラム・制度レベルでの有効性の評価が十分になされていない。(3ページ)

○一貫性のある評価とマネジメントの実施

  • 評価は、何らかの意志決定を行う目的のために実施される手段であり、その目的に応じて個々の評価システムが構築される必要がある。
     また、その実施時期により事前評価(アセスメント)、中間評価(モニタリング)、事後評価(エヴァリュエーション)、追跡評価に分類され、これらの評価は、あらゆる階層において、一連のマネジメントの中で設計される必要がある。(4ページ)

2.研究開発の性格に応じた多様な評価基準や項目の設定

○ハイリスク研究や学際・分野融合研究を促すような評価基準が必要

(現状と問題意識)

  • 我が国では、ハイリスク研究や学際・分野融合研究を促進するような基盤が未成熟で、評価基準も不明確であることから、既存の研究分野の研究開発課題(プロジェクト)に比して、過度に低く評価される傾向にある。リスクが高すぎて若い優秀な研究者の参加が困難であることから、こうした挑戦の芽を摘むことなく、その可能性を見出し、支援を行っていく評価基準の設定が必要である。(8ページ)

○基礎研究からイノベーション創出に至るまでの、広範で多様な研究開発の性格を考慮する

(現状と問題意識)

  • 施策やプログラム・制度の目的によって、「研究者の自由な発想に基づく研究」の支援か、「政策課題の解決に直接/間接に結びつく研究」の支援であるのかで、評価方法・評価基準が変わるべきであるが、必ずしも適正に行われていない。
  • 地道な研究活動が、何の役に立つのか、いかに社会に貢献できるかといった短期的で実用的な成果ばかりを求める風潮があり、研究者が長期的な研究、成果が現れにくい研究を敬遠する傾向にあるとの指摘もある。(7ページ)

○国民に夢を与える、次世代の人材育成、アウトリーチ活動など、多様な評価項目を設定する

(現状と問題意識)

  • 現場の研究者が、個人やグループの成果を重視するあまり、次世代の若者の教育・育成への配慮を失っている可能性がある。研究活動の持続的発展のためには次世代の若者の教育・育成、科学技術コミュニケーション活動、科学技術の顕著な業績により国民の関心を高め、信頼を得ることなどが必須であり、研究コミュニティの責任であるという意識を研究者自身や研究開発機関等が共有する必要がある。(9ページ)

○追跡評価の在り方

(現状と問題意識)

  • 第4期科学技術基本計画では、実効性のある科学技術イノベーション政策を一体的に推進していくことが基本方針の一つとされ、研究開発評価においては、研究成果の社会への還元の促進という観点から、追跡評価の役割が重要とされている。追跡評価については、研究開発課題の類型(基礎研究、応用研究、開発研究)によって、得られる効果等が様々であることから、それぞれの観点からの検討が必要である。

○世界的な視点での評価

(現状と問題意識)

  • 国際競争・協調の観点や研究開発水準における国際比較等の観点等から世界的な視点での評価は重要である。世界的な視点での評価を推進するためには、日本と海外との背景の違いを考慮した上で世界的ベンチマークを行うことや、分野による違いを十分に考慮するなど、我が国にふさわしい評価方法の検討が必要である。(12ページ)

3.評価の重複や過剰な負担の回避のための合理化・効率化の推進

○研究開発課題等の特性や規模に応じた評価の簡素化

(現状と問題意識)

  • 評価は、意志決定を行う目的のために実施される手段であり、目的に応じて個々の評価システムが構築される必要があるが、現状では評価自体が目的化している場合や、一つの評価に複数の目的が期待されることにより、評価が過重になったりしており、評価システムの再構築を通じて、いわゆる「評価疲れ」を生じさせないようにする必要がある。(2ページ)
  • 研究開発課題等の特性や規模に応じて、適切な範囲内で可能な限り簡略化した評価を行うなど、評価目的、趣旨を一層明確化した上で、評価の必要性の高いものを峻別し、評価活動を効率的に行う必要がある。

○事後評価の在り方に関する検討

(現状と問題意識)

  • 現行の大綱的指針では、研究開発課題(プロジェクト)評価等について、発展が見込まれる優れた研究開発成果を切れ目なく次につなげていくために、事後評価を、研究開発課題(プロジェクト)が終了する前の適切な時期に実施することとされているが、結果として評価が頻繁に実施されて過重な負担となっている現状がある。(13ページ)

4.評価に関わる専門人材の育成

○評価運営の実務的専門性を有する人材の育成とキャリアパスの確立

(現状と問題意識)

  • 評価者については、評価に従事する者が質・量ともに不十分なため、過重な負担が一部の者にかかっている。また、評価を担当する事務職員がジョブローテーションで数年ごとに異動し、評価の経験・知識が蓄積されにくい傾向があり、人材の集積や人材育成の体制整備が進んでいない。(14ページ)

○PD、PO制度改革

(現状と問題意識)

  • PD、POは、競争的資金制度の特性に応じて、制度毎に整備されており、課題の採択・評価等における専門性・機動性・戦略性の確保、研究費の執行を含むマネジメント等の説明責任の遂行、資金配分機関と研究コミュニティ間のインターフェイスなどの機構が期待されているが、制度によっては、権限と責任が明確でなく、また、多くが非常勤であることから、2~3年で交代してしまうなど、役割等が十分に果たせていない。(15ページ/16ページ)

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科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(調査・評価担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(調査・評価担当))