資料1-4 追跡評価の実施について(案)

1.平成23年度における追跡評価の位置付け

 追跡評価については、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成20年10月31日 内閣総理大臣決定)及び「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」(平成21年2月17日 文部科学大臣決定)において、主要な研究開発施策、研究開発課題については、終了後、一定の時間を経過してから、その波及効果や副次的効果の把握、過去の評価の妥当性の検証等を行い、その結果を次の研究開発課題の検討や評価の改善等に活用するため、追跡評価を実施することが求められている。

 これらを踏まえ、科学技術振興調整費についても、平成17年度より、追跡評価の仕組みを導入しており、これまで、「総合研究」プログラム、「知的基盤整備」プログラム、「流動促進研究」プログラム、生活・社会基盤研究制度実施に向けたプログラム、「先導的研究等の推進」プログラム及び「新興分野人材養成」プログラムについて、追跡評価を実施してきた。

 科学技術振興調整費は、平成22年度で廃止されたが、平成13年度より、特に質の高い研究開発を確保する観点から重視してきた、科学技術システムの改革に資するプログラムを実施してきた。これらプログラムで支援したプロジェクトを契機としたイノベーションの創出や社会における価値の創造の成果の波及効果や副次的効果を把握することは、科学技術施策の効果を測るためにも極めて重要である。特に、平成23年度から新たに創設された、科学技術イノベーション政策を戦略的に推進するための手段である科学技術戦略推進費のプログラムの実施等に、大いに活用できると考える。

 そこで、平成23年度は、過去の追跡評価の実績等を踏まえ、「産学官連携共同研究の効果的な推進」プログラムについて追跡評価を実施することとする。本プログラムは、優れた成果の創出・活用のための科学技術システム改革の一環として、経済社会ニーズに台頭した産学官の共同研究を効果的に促進することを目的として実施されたものである。本プログラムを対象に、実施されたプロジェクトがもたらした成果について、プロジェクト終了後数年を経過した今、追跡評価を行うことは有意義と考えられる。

 なお、追跡評価に当たっては、実施プロジェクトの波及効果や副次的効果の把握に際して、プログラム設計に即した調査設計となるよう留意し、追跡評価の結果として、評価対象プログラムが果たした役割や成果を明らかにするとともに、今後のプログラム設計や評価手法に関する改善事項を分析・提案するよう努めることとする。また、得られた追跡評価の結果については、科学技術戦略推進費の制度運用等に活かしていくとともに、将来の政策・施策の形成や、研究開発マネジメントの更なる高度化のために活用することとする。

2.平成23年度における追跡評価の対象プログラム

  1. 対象プログラム:「産学官連携共同研究の効果的な推進」プログラム
  2. 採択された全プロジェクト数:76(別添:追跡評価対象プロジェクト一覧)
  3. プログラムの概要:
     本プログラムは、経済社会ニーズに対応した産学官の共同研究を効果的に促進するため、民間企業が自らの研究資金を活用し、大学、独立行政法人などの研究開発機関と共同研究を行う場合に、当該研究開発機関に対してその分担に応じた経費を助成する仕組みを導入し、大学、独立行政法人等の研究開発機関の研究シーズと民間企業の研究ニーズの積極的なマッチングを推進する。
     公募要領に関して、費用が年度により若干異なるものの、平成14年度から17年度に関しては、概ね下記のような分類である。
  4. 公募対象分野:自然科学全般並びに自然科学と人文・社会科学との融合領域
  5. プログラム実施期間:平成14年度から19年度(公募最終年度:平成17年度)
  6. 対象機関・組織:
    • 大学、大学共同利用期間及び高等専門学校
    • 国公立試験研究機関
    • 独立行政法人、特殊法人及び認可法人
    • 民法34条により設立された法人
  7. プロジェクト実施期間:3年間を限度
  8. 費用:1プロジェクトあたり年間2千万円程度から1億円程度

3.追跡評価の方法

 優れた成果の創出・活用のための科学技術システム改革として実施された本プログラムの追跡評価の実施に際しては、プロジェクト終了時に得られた成果について、

  1. 研究開発成果の発展状況や活用状況(特に、目標とした経済社会ニーズに対応した産学のマッチング効果)
  2. 研究開発成果がもたらした科学技術的、社会的及び経済的な効果・効用及び波及効果

 などを指標として分析し、アウトカム及びインパクトを具体的に検証する。このため、本プログラムに関する追跡評価については、以下の手順・内容にて実施する。 

  1. 対象プロジェクトにヒアリング実施を行う事前調査により、各プロジェクトにおいて得られた成果とその後の展開の状況を把握する。
  2. 各プロジェクト成果のアウトカムやインパクトの調査にあたっては、研究代表者、運営委員会等に係わった教職員、外部評価委員会等に参加した外部有識者を対象にアンケート調査を実施し、必要に応じて関係者等のインタビューなどによる補足的な調査を行う。
  3. 本プログラムの実施が、どのようなアウトカムやインパクトをもたらしているかを中心に、評価結果を取りまとめ、本プログラムの果たした役割等について考察を加える。

4.追跡評価の実施者

 追跡評価は、科学技術振興調整費及び科学技術戦略推進費のプログラム・オフィサー(PO)が実施する。調査の実施に際しては、「総括担当PO」を配置することにより、各POが有する知見を最大限に活かしつつ、各POの知見等をとりまとめて総合的に調査・分析を実施する。

5 .追跡評価のスケジュール

8月下旬 追跡評価の進め方を決定

9月中旬まで 予備調査開始(各種資料・データ収集等)

9月中旬 アンケート等追跡調査実施

11月  追跡評価報告書のとりまとめ

12月 研究開発評価部会への追跡評価書作成

以上

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(調査・評価担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(調査・評価担当))