研究開発評価部会(第55回) 議事要旨

1.日時

平成28年2月8日(月曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省15階特別会議室

3.議題

  1. 科学技術戦略推進費による実施プロジェクトの評価結果のとりまとめ
  2. 科学技術振興調整費による実施プロジェクトの評価結果のとりまとめ
  3. その他

4.出席者

委員

有信部会長、栗原部会長代理、有本委員、伊地知委員、受田委員、内田委員、岡野委員、河合委員、東嶋委員、奈良委員、溝上委員、室伏委員、吉川委員
(各評価作業部会主査等)
相澤プログラムディレクター、井口主査、石田主査、齋藤主査、佐藤主査、杉井主査、腰塚主査、宮浦主査、宮田主査

文部科学省

伊藤科学技術・学術政策局長、岸本科学技術・学術政策局審議官、神代科学技術・学術総括官、村上企画評価課長、唐沢人材政策推進室長、近藤人材政策課長補佐、鈴木企画評価課評価・研究開発法人支援室室長補佐、内野政策課専門職

5.議事要旨

  部会長より、議題1、2について、運営規則第5条第3号及び同規則第6条第2項に基づき、会議を非公開とし議事録を非公表とすることが諮られ、部会において了承された。

○議題1  科学技術戦略推進費による実施プロジェクトの評価結果のとりまとめ

  審議に先立ち、本部会の栗原委員、内田委員については、平成27年6月19日、第54回研究開発評価部会において決定した「平成27年度科学技術戦略推進費による実施プロジェクトの評価の実施について」の利害関係者に当たるため、当該委員については、所属機関の実施プロジェクトについては御発言を控えていただくことにしたい旨、部会長から説明があり、了承された。また、部会長が利害関係者に当たる実施プロジェクトについては発言を控える旨、説明があった。
  相澤プログラムディレクターから、科学技術振興調整費による実施プロジェクトの評価結果までを含めた総括があり、続いて、事務局より資料1-1、1-2、参考資料3に基づき説明を行い、その後、各作業部会主査より事後評価結果の概要説明をそれぞれ行った後、審議が行われた。
  審議の結果、各評価結果について、本部会として了承された。

○議題2  科学技術振興調整費による実施プロジェクトの評価結果のとりまとめ

  審議に先立ち、本部会の受田委員、溝上委員については、平成27年6月19日、第54回研究開発評価部会において決定した「平成27年度科学技術振興調整費による実施プロジェクトの評価の実施について」の利害関係者に当たるため、当該委員については、所属機関の実施プロジェクトについては御発言を控えていただくことにしたい旨、部会長から説明があり、了承された。また、部会長が利害関係者に当たる実施プロジェクトについては発言を控える旨、説明があった。
  事務局より資料2-1に基づき説明を行い、続いて各作業部会主査より事後評価結果の概要説明をそれぞれ行った後、審議が行われた。
  審議の結果、各評価結果について本部会として了承された。

  (傍聴者入室)

○議題3  その他

【有信部会長】
  それでは、議題3のその他ということで進めさせていただきます。科学技術戦略推進費及び科学技術振興調整費による実施プログラムにおけるプログラム評価ということで、今回、プログラム評価を行いましたので、事務局からまず説明をお願いします。

【鈴木評価・研究開発法人支援室室長補佐】
  プログラム評価についてでございますが、科学技術戦略推進費、科学技術振興調整費において実施しているプログラムについて、今回、プログラム評価を試行的に実施してみてはどうかと考え、前回、この部会にもその進め方等について説明させていただきました。具体にはその実施体制、評価の実施の方法、具体的な評価項目の評価の視点等について説明させていただいたところでございます。
  資料3-1の3ページ目を御覧いただければと思いますが、評価の視点につきましては設計面、運営面、成果面である程度整理し、それぞれの中において留意すべき事項を評価項目として盛り込んでみてはどうかという形で整理させていただいたところでございます。この見直し案につきましては、既に部会長の了解を頂いた後に先生方にも既にお送りさせていただいているかと思います。今回のプログラム評価の進め方をもって、8つのプログラムについてプログラム評価を試行的に実施したいというふうに認識したところでございます。
  なお、このまとめでございますけれども、資料3-1の2ページ目の3ポツ、(4)(5)になりますが、作業部会は評価結果を報告書にとりまとめて、この部会に報告する。この部会としては、作業部会からの報告を踏まえて評価結果をとりまとめるというふうにしてございます。
  そのようなことから、まとめとしましては資料3-2になりますが、このような形でプログラム評価についての報告書としてまとめさせていただいたところでございます。
  以上でございます。

【有信部会長】
  ありがとうございます。
  それでは、これから各作業部会でのプログラム評価結果について御説明いただくんですが、何せこれだけの大部になっていますので、まとめた形での御報告になると思いますが、よろしくお願いします。

【相澤PD】
  それでは、まず私の方からPDとして御説明させていただきます。
  今年度は、科学技術戦略推進費及び科学技術振興調整費による実施プログラムにつきましてプログラム評価を実施することとし、その評価の実施体制といたしましては、プロジェクト評価を目的として設置されておりましたJSTの評価作業部会を活用して行うこととされました。科学技術戦略推進費及び科学技術振興調整費による各実施プログラムは、プログラム評価を実施することを前提としていないというプログラムでございます。しかしながら、今回、プログラム評価を試行的・段階的に進めるということで、各評価作業部会において対応していただくことになりました。こちらについても、作業部会委員の皆様には大変御努力いただきましたので、私からも改めて感謝を申し上げたいと思います。
  評価結果につきましては、これより各評価作業部会の主査から御報告いただきますが、PDとして私から2点申し上げておきたいと思います。
  第1点は、今回は試行的・段階的に進めるということで、プロジェクト評価のために設置されておりました評価作業部会に、プログラム評価についても対応していただくことになりました。ただ、今回は試行的にプログラム評価を行うということですので、今後のプログラム評価の在り方に、特に評価体制についてはこの研究開発評価部会で十分なる議論をしていただく必要があるのではないかと思います。
  第2点は、プログラム評価では当該プログラムの策定、あるいは制度の設計についての政策面での評価が必要となってまいります。この政策面での評価が今後の政策展開に資するということが極めて重要でありまして、このことは評価大綱、その他に明確に記載されているところであります。そこで、政策面における評価、先ほどの資料にも入っているんですけれども、これをやり得る立場の評価の作業部会、あるいは別途なのか、こういうことが先ほど申し上げました体制にかかわることでありますので、本来のプログラム評価をする目的を十分にこの評価部会でも御検討いただければと思います。
  以上でございます。

【有信部会長】
  ありがとうございました。体制については、要するに今回は突然、作業部会にプログラム評価もということで、相当大変だったことは想像しています。それはまた改めてきちんと体制を作るということで、その体制の中で少なくともプログラム評価は、政策に対して適切にプログラムとして設計され、機能しているかということですが、それも含めてこれは今後議論ですけれども、それをフィードバックしながらなのか、もう少し違う視点で見るのか、あるいは政策そのものの評価をどういうふうにしていくのかという観点の議論も部会として必要だという御指摘だったと思います。
  それでは、今言ったようなある意味で突然降って湧いたプログラム評価を実施いただいた各作業部会の主査の先生方から御説明をお願いします。また、井口主査からよろしくお願いします。

【井口主査】
  「地域再生人材創出拠点の形成」のプログラム評価結果につきまして、簡単に御報告いたします。
  この厚い評価報告書の41ページでございます。本プログラムは、第3期科学技術基本計画において大学と連携した地域の自主的な取組に対する支援措置等を盛り込んだ「地域の知の拠点再生プログラム」を推進することとされたことを踏まえ、平成18年度から創設されました。
  このような背景から、本プログラムは大学等が有する個性、特色を生かし、将来的な地域産業の活性化や地域の社会ニーズの解決に向け、地元で活躍し、地域の活性化に貢献し得る人材育成を行うことを目的としています。この目的の達成に当たり、地域の大学等が地元の自治体と連携し、科学技術を活用して地域に貢献する優秀な人材を輩出する地域の知の拠点を形成し、地方分散型の多様な人材を創出するシステムを構築することとされました。
  本プログラムは、大学等や自治体、企業といった地域における各セクターが地域における産業の活性化や、地域の社会ニーズの解決に向けて協働するきっかけを生んだ事業であり、事業の応募主体である大学や高等専門学校等は人材育成を通じて地域再生に大いに貢献していると認められます。本プログラムがきっかけとなり、大学の地域貢献活動の重要性が認識され、事業終了後の取組が発展・継続していることや、地域のセクター間の連携が緊密になったこと等は高く評価できると考えております。
  時間がないので事例を1つだけ御報告いたします。山梨大学ではフランスの国家資格に準じた試験にて大学が認定するワイン科学士を輩出し、山梨県ワイン酒造協同組合等の甲州ワインをEU向け輸出プロジェクト等におきまして、ここで育成された人材が活躍されております。今後は大学等が本プログラムを契機に、地域の産業や社会を発展させることのできる人材育成に一層本格的に取り組むことを期待しています。
  以上、簡単ながら、プログラム評価の結果の説明を終わらせていただきます。

【有信部会長】
  ありがとうございました。
  それでは、石田主査お願いします。

【石田主査】
  「気候変動の対応した新たな社会の創出に向けた社会システムの改革プログラム」のプログラム評価結果について御説明いたします。資料3-2の11ページから始まってございます。
  本プログラムは、CSTIの環境エネルギー技術革新計画や気候変動に適応した新たな社会の創出に向けた技術開発の方向性等で、これからはミティゲーションだけではなくて、アダプテーションも重要だということで、そこへ向けての要素技術と制度的隘路(あいろ)の解消のためのシステム改革が重要であるということが述べられているわけでございますけれども、それを目的として創設されたものでございます。
  申しましたように、気候変動対策の基礎となる要素技術の開発を行うとともに、その技術の社会実証、あるいは実験が確実に実現されるように、公募目的や条件を設定しております。意欲的、挑戦的なプログラムであったと言えるかと思います。特にプログラムの開始直後に研究者のみならず、民間有識者及び関係府省が参画する社会実証戦略委員会を設置して、そこで制度的隘路(あいろ)をきちんと検討する、あるいはそれを基に各プロジェクトへ具体的示唆を与えるという仕組みを設置されて、これは非常にうまく機能してございます。非常に有効であったと高く評価できます。
  一方、先ほどもございましたように、多くのプロジェクトにおいて実施機関内では対象とする社会システムが大き過ぎるが故に、継続性や他地域への展開等までは進められていないという事実もございました。こういう課題も残っております。
  ですから、これからはシステムの利用者を含めた制度的問題の検討や、社会システムの計画・運用に関わる政策決定過程の可視化、これは例えばマーケットやコミュニティへのアクセプタンスをどうするかということを考えることでございます。そのためのコスト負担をどう考えていくかということについての検討を進める。あるいは隘路(あいろ)そのものを同定する方法論の検討も必要であると考えられます。こういう観点からすると、非常に多くの知見が得られております。実際に大きな成果も得られているという評価でございます。
  以上、簡単ながら、本プログラムの評価結果の説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

【有信部会長】
  ありがとうございました。
  それでは、杉井主査お願いします。

【杉井主査】
  それでは、「安全・安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラム」のプログラム評価結果について御説明いたします。資料3-2の25ページを見ていただけると、今回のプログラムの特徴が御理解いただけるかと思います。先ほど9つのテーマを発表いたしましたが、25ページの表の一番右側に関係省庁というのがございます。ここが各テーマに対して、どういうものが欲しいというニーズを出した関係省庁でございます。
  もう一つこのプログラムで特徴的だったのは、先ほど岡野委員から御質問がありましたけれども、再審査結果というのを入れています。これは27ページにあります。例えば6番目にB評価というのがあります。化学剤の網羅的迅速検知システムの開発、これが最終的なA評価まで上がったというのがあります。これは要するに余分なものを切ってくださいと。確かに出来上がったらいいかもしれないけれども、それではとてもじゃないけどリソースの中では無理でしょうということで、むしろ切っていただいて、その中で特徴を出していただくということができた。これは今回のプログラムの非常に優れたところだということを感じております。
  それから、別の観点になりますと、今回は実用性ということを強く言いました。実用性というのはリニアなモデルでいきますと、実証機を作って、製品化して、それを商品化するという3つのプロセスがありますが、それぞれ委員の方も企業経験者が多いものですから、このお金でどこまでできるのかなということは考えております。ただ、本質的に危険物とかテロ対策に使うものはそういうリソースネックで、途中でとめていいのだろうかということは非常に疑問に感じております。
  特にこのテーマはみんなそうですけれども、民生品で売れるものはほとんどないのです。ということは、国が責任を持って作り上げ、できれば海外に売っていくというところまで責任を持つべきだと私は思っています。それは省庁の壁を超えたものであることは分かった上で。そうでもしないと、せっかく5年、6年人材が育った、技術が育ったものが、このお金が途絶えた瞬間に恐らく各企業では維持できないと思います。そこに非常にロスが発生するということを感じております。その辺は、もう一つ課題として認識したのがこのプログラムでございました。
  以上です。

【有信部会長】
  ありがとうございます。
  それでは、齋藤主査お願いします。

【齋藤主査】
  それでは、「健康研究成果の実用化加速のための研究・開発システム関連の隘路解消を支援するプログラム」のプログラム評価結果について御説明いたします。このプログラムは、先ほど申し上げましたように、新しい医薬品、医療機器、治療技術の開発における隘路(あいろ)の解消です。隘路(あいろ)というのはどういうことかといいますと、日本は医学の基礎研究は非常に優れていますが、それをヒトの応用まで持っていく間に深い谷、死の谷というのがあり、それをどういうふうにクリアするかであります。
  まず、採択課題は、スーパー特区採択プロジェクトを対象に公募を行い、その中から選びました。再生医療分野が3件、医療機器が2件、抗体医薬が1件の6プロジェクトであります。
  この選択は適切であったかということについては、かなり強い大きなチームを意識して選んだことで適切であったと判断しております。
  それで、実施の早い時期からレギュラトリーサイエンスの専門家とか専門チームと相談をして進めました。実験室レベルからヒトへの応用へ持っていく間にはいろいろな国際標準的な、略語なのですが、GNPとか、GLPとか、GCPとかいう規制をクリアしなければいけないので、それを助けてもらいました。あるいは薬事対応を含めて出口を見据えた効率的な開発をするにはどういうシステム開発が必要か、どういうノウハウが必要かということが得られました。
  また、成果としても、例えば先ほど申し上げましたようなiPS細胞の世界最初のヒトへの応用が実現できたなど、大きい成果を上げたと思います。
  今後は、このような成果を踏まえて、これらのノウハウ、あるいはシステム開発の経験をもっと広い分野に波及させる、一般化させることは重要と思います。さらに研究グループ一つだけでは大きくないけれども、複数の大学が組んでやるプログラムや、小規模の若手支援をするプログラムも今後あった方がいいのではないかと思います。
  以上です。

【有信部会長】
  ありがとうございました。
  それでは、佐藤主査お願いします。

【佐藤主査】
  それでは、「戦略的環境リーダー育成拠点形成」のプログラム評価結果につきまして簡単に御報告いたします。
  お手元の資料3-2の51ページを御覧ください。本プログラムは平成17年に閣議決定されました「イノベーション25」や、平成20年に総合科学技術会議がとりまとめました「科学技術外交の強化に向けて」の内容を踏まえまして、グローバルな視点を涵養(かんよう)する国際的に開かれた人材育成環境を構築して、途上国の環境課題解決に活躍し、貢献できる人材を育成するシステムの構築を目的として実施されました。
  留学生と日本の学生が共に学ぶ環境において、途上国側のニーズをくみ上げる工夫を凝らしつつ、ニーズに応じた課題解決型の実践的な教育を行い、国際機関や産業界との連携の下に取組を推進して、環境問題に対応するリーダーとしての素養を有する優秀な人材の育成に結果を上げたことから、良好な制度設計に基づく優れたプログラムであったと高く評価されました。
  また、実施ワーキンググループの設置や合同会議の年次開催、文科省や環境省による合同ワークショップやシンポジウム開催などが、各プロジェクトの実施及び本プログラムの推進に有効に機能していたと考えられました。
  大学院教育改革の面でも、ほとんどの取組において組織改革や組織運営の改善が図られました。幾つかの取組では、学位指導教員と環境リーダー教員の複数指導体制の下での学位教育の推進によって、研究者のみならず、社会で活躍が期待される専門性と実践性、実務性の両面を育まれた人材の育成システムとなって成果を上げておりまして、実務性豊かな学位取得者を生む、新たな大学院教育創出に向けたヒントを示す試みとして注目されました。
  結果として、環境リーダーとして活躍する素養を有する優れた人材がプログラムを通じて2,000名以上育成され、輩出された修了生は大学や研究機関、企業、国際機関や行政機関などの環境に関する部門、業務に携わっています。今後は、修了生間や大学と修了生の間のネットワークづくりを推進し、修了生の活躍状況の継続的なフォローアップに努めることが重要かと考えてございます。
  また、1つだけ申し上げますと、本プログラムで雇われまして、優れた教育人材となった任期付き教員がプロジェクト終了後、その組織にとどまることができないということで、優れた教育ノウハウなどが失われる傾向があることは非常に残念だと思っておりまして、教育枠上の工夫や、リサーチアドミニストレーター制度の適用促進などの支援策や工夫などが望まれているところであると思います。
  以上、簡単ですが、戦略的環境リーダー育成拠点形成評価作業部会からのプログラム評価結果の説明を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

【有信部会長】
  ありがとうございました。
  それでは、引き続き、腰塚主査お願いします。

【腰塚主査】
  資料3-2の57ページ、若手研究者の自立的研究環境整備促進です。
  評価結果を申しますと、本プログラムは若手研究者が自立して研究できる環境の整備を促進するため、テニュアトラック制に基づき、若手研究者に競争的環境の中で自立性と活躍の機会を与える仕組みの導入を図ることを目的とし、平成18年から平成22年度に合計40機関42プロジェクトが採択されました。63ページを御覧ください。63、64ページにその機関がございます。国立大学が多く採択されているということがお分かりかと思います。
  各実施機関はテニュアトラック制の基本制度設計と、それを活かして優秀な若手研究者の採用、養成を図るための環境整備を行っており、多くの機関で研究力の高い若手研究者の養成に成功し、またそれが機関全体の研究力の向上につながるなど、テニュアトラック制の導入は我が国の大学などの人事制度改革の契機となったと認められます。
  このような認識から、本プログラムは我が国の大学などに人材養成システム改革の契機を与えたプログラムであり、所期の目的に沿って着実に実施され、テニュアトラック制に基づく若手研究者が採用され、育成されていく研究環境の整備が進み、研究力の高い人材の養成につながっているとの結論に達しました。
  しかし、先ほども御指摘がありましたように、このような人材育成の取組は長い目で見なければいけないといえます。資料3-2では採択期間に行われた取組結果に基づいて整理したところであり、本事業により随分テニュアトラック制が浸透したけれども、一方で、各大学は社会・文科・教育関係系の学部に浸透させるのになかなか苦労しているというのが事実です。それらの部局にも展開したいという大学も多いのですが、実際に実施する段階にはまだなかなか至っていません。
  また、本事業では、若手研究者の人件費と研究費まで補助していましたので、特に補助がなくなったあと、どのように進めるのかという点が審査員の中でも大きな議論になり、分野によっては研究費の助成をしないと、このような人材育成の取組は長く続かないのではないかという懸念の意見も多くの委員から出されました。
  作業部会では以上のような審議を行いましたので、よろしくお願いいたします。

【有信部会長】
  それでは、引き続き、宮田主査お願いします。

【宮田主査】
  ありがとうございます。イノベーション創出若手研究人材養成プログラムのプログラム評価について、作業部会から報告をいたします。
  これまでのプロジェクト評価なども踏まえ、議論した結果でございます。本プログラムは第3期科学技術基本計画や第4期科学技術基本計画において、ポストドクターや博士課程(後期)学生のキャリア支援の重要性が指摘される中で、実施機関と国内外の企業や研究機関等が、若手研究人材が多様な場で創造的な成果を生み出す能力を身に付けるための機会を提供する実践プログラムを開発し、組織的支援体制の下で効果的な人材養成を行うことを目的といたしております。
  平成20年度から平成22年度に合計23機関が採択されました。各実施機関は5年間の目標を定め、国内外の企業と連携して講義、演習、実習、長期インターンシップなど、ポスドクのキャリアパス構築を支援する仕組みを進めたものと認められました。
  このような認識から、作業部会では、資料3-2、プログラム評価報告の67ページからの3、総括的評価にあるとおり、本プログラムは我が国の大学に人材養成システム改革の契機を与えたプログラムであり、所期の目的に従って着実に実施されて、若手研究者がアカデミア以外のキャリアでも活躍できる能力を身に付けることができる人材養成プログラムの導入が図られ、その結果、若手研究者の活躍促進に寄与しているとの結論に達しました。
  もちろん本事業も同じく、こういった施策がポスドク及び博士後期課程学生を幸せにしたかについては、かなり長期的な追跡が必要だと思います。ただ、幸いにして、文部科学省の関連機関において、博士課程の全数や、キャリアパスに関する調査も始まっていますので、本事業の評価には限界がありますが、そういった別の調査も含め統合的な理解をして是非評価を進めていただきたいと思います。

【有信部会長】
  それでは、宮浦主査お願いします。ちょっと時間になってしまいましたが、申し訳ありません、もう少々延長させていただきます。もし何か御都合のある方は御退席いただいても結構でございます。
  済みません。宮浦主査お願いします。

【宮浦主査】
  それでは、御報告させていただきます。
  女性研究者養成システム改革加速プログラムのプログラム評価でございますけれども、本プログラムは第3期科学技術基本計画に始まります女性研究者の採用数の低さを改善するために、女性研究者の採用と養成を力点に置いた、特に理学・工学・農学系の女性研究者の採用、養成を加速するためのプログラムでございます。
  平成21年度、22年度、合計12機関が採択されました。これら採択機関におきましては、5年間の目標を具体的に定めて優先的に女性研究者を採用し、また人事システムそのものを構築し直し、メンター制度等の様々なサポートにより、養成も力を入れたところが特色でございます。
  我が国の女性研究者の数は諸外国に比べて著しく低いことについて、現在もその状況はなかなか改善されないところではございますが、この12機関の取組が、先ほども話題になっておりますけれども、横への広がりや広報、機関の間の格差を埋めて、波及効果を促すことが極めて重要だろうと考えております。
  総合的評価は、資料3-2の80ページに記載されておりますけれども、我が国の大学に人材養成システム改革の契機を与えた特色あるプログラムでございまして、所期の目的に従って着実に実施され、女性研究者の採用・養成・登用の仕組みが具体的に導入されて、女性研究者の活躍促進に寄与するきっかけを大きく作ったというプログラムであろうと判断しております。
  以上でございます。

【有信部会長】
  ありがとうございました。
  それでは、若干時間を延長させていただくという前提で、ただいまの説明に関して御意見、あるいは御質問等ありましたら。では、受田さんからどうぞ。

【受田委員】
  ありがとうございます。作業部会で短期間に、集中的にプログラム評価をされたことにまず敬意を表したいと思います。
  プログラム評価全般というよりも、個別のプログラムについて意見を述べたいと思います。
  地域再生人材創出拠点の形成については、もう退席されましたけれども、井口主査からプログラム評価について御説明を頂きました。この地域再生に関しては、私も実施機関の一つとしてこれまで取り組んでまいりましたけれども、地域に対してはこのプログラムは評価が高いものではないかと感じております。先ほど相澤PDから今後の評価体制に関してのお話がございましたけれども、特にこの地域再生に関する人材のプログラム評価についてはステークホルダーである自治体関係、ここを是非体制の中に入れていただきたいと思います。これが1点でございます。
  それから、もともとこういった戦略経費、推進経費というのは、政策誘導的に展開をしていくことと自立をしていくことを、我々はミッションとして課せられておりました。モデルを作って政策誘導的に全面展開、きょうの言葉で言うと横展開という言葉が使われておりますけれども、これによって、特に地域再生に関しては、地方再生法というところで「まち・ひと・しごと」という言葉が出てきて、「ひと」というところで、まさにこのプログラムが果たしている役割、先導的な役割というのが既に見えてきております。
  文部科学省のCOCあるいはCOCプラスの事業にこれがつながっていると感じているんですけれども、プログラム評価がその後の政策に、あるいは国の動向にどういうふうに波及的効果をもたらしているかというところも振り返りつつ、評価をしていただきたいという思いでございます。このことはもって、今後の政策立案において、プログラム評価が有効に活用されていく展開が期待されるのではないかと思っております。
  以上、この点については、まち・ひと・しごと創生本部ともシームレスにつながっていくような話に是非展開されることを期待申し上げます。
  以上です。

【有信部会長】
  伊地知委員、手が挙がっていました。

【伊地知委員】
  冒頭、相澤PDがおっしゃったところは納得いたしまして、そういった限界があるということを留保した上で、全般に係るところで1点の質問と5点のコメントを簡潔に申し上げます。
  1つは、この報告書の著者名はだれになるのでしょうかということです。資料3-1の評価実施方法でとりまとめは本作業部会ということになっているので、この作業部会であろうと思うのですが、そこを確認したいということです。
  コメントですが、この報告書ですけれども、どのように行うのかということは資料3-1には書いているのですけれども、実際どのようなプロセスで行われたかということが書かれていないので、これは事実として評価報告書に書かれるべきだろうということです。
  2点目は、これを拝見して、プログラムの中で情報収集とか分析をされている良い例があるかと思います。そういったことで、このプログラムによるアディショナリティの確認ができると、なお望ましいのではないかと思います。
  3点目のコメントになりますが、短期間でありますので、事前にお送りいただいていましたけれども内容の詳細にまではなかなか確認しづらいところもありますし、我々だけでなく、広く様々な専門家と、あるいはそれぞれの分野の方から見てもらうといいのではないか。そういったところからプログラム評価の改善点も出てくるのではないかと思いますので、それを受けて、続くプログラム評価にこの報告書が活用されるといいのではないか。それを期待したいということでございます。
  4点目は、この報告書がいいリファレンスになるということを期待したいということです。これはこれまで取り組んでいらっしゃった、これはプログラム、プロジェクト両方あると思うのですけれども、それの経験が詰まったものだと思います。これについては先ほど受田委員もおっしゃいましたし、実は先ほどの前の議題で栗原委員がおっしゃったところと関係するのですが、これからのプログラム設計とかプロジェクトの提案、あるいは様々なこういった取組に関する広範な提言等に活用される資料であってほしいと思います。
  5点目になりますけれども、先ほど杉井主査がおっしゃったようなことが一つ、こういったプログラム評価をやっていることの良い成果ではないかと思うのですが。先ほどおっしゃったことというのは、例えば当該プログラムでいうと、公共調達との関連、それに対して国なりプログラムの実施体制側がどのような責任を持っているのか。よく政策の現場では、最近になってから「DARPA型」のようなことを言うわけですけれども、本当の「DARPA型」みたいなもの、本質を我々は持っているのか、そういったレッスンがあるのではないかと思います。そういったものをせっかく頂いているわけですから、それを活用していけるといいのではないかと思います。
  以上です。

【有信部会長】
  ありがとうございました。今回のプログラム評価はある意味で試行ということなので、今回のこの評価報告書と今頂いたようなコメントを含めて、今後の在り方を検討するということになると思います。それから、具体的にどういう体制で行うかについても、これもまた今後の検討課題だというふうに理解しています。
  何かほかに特に御発言あれば。
  それから、1つだけ、この報告書はだれが報告主体になるのかという点についても、後で確定をしましょう。これもよく検討しないと何とも言えないところがありますので、これも検討事項とさせていただきたいと思います。

【河合委員】
  このプログラム評価においては、お金がなくなった後に、プロジェクトが終わった後にどういう成果が社会に現れてくるかということが大事なので、3年後、5年後、場合によったら10年後ぐらいにこういうプログラムを振り返る必要があると思うんです。ただ、そのときに、せっかくこういう評価をされたので、是非この機会にプログラムごとに、3年後、5年後あるいは10年後にこういうところをチェックしてほしいというところを残しておいていただけるといいのではないかと思います。

【有信部会長】
  ありがとうございます。これもコメントの一つですね。事後評価というか、追跡評価に関しては室伏委員からも御指摘があって、それをプログラムとして追跡するかという観点ですね。ありがとうございました。
  では、有本委員どうぞ。

【有本委員】
  ちょっとお考えいただきたいのは、これは先行事例として、先ほどから出ておりますように、プログラム評価の一つのモデルになるし、ならないといけないと思いますけれども、私が非常に心配なのは、総合科学技術会議も含めて、政府全体でこういうプログラム評価というのはどこまで浸透しているのかというのが非常に心配で、しかるが故に、これをベースにしてどこかで大きなシンポジウムをやるとか、思い付きなんですけれども、よくデザインしないといけないと思いますけれども、それぐらいの価値があるんじゃないかと思いますので、御検討いただきたいと思います。
  以上です。

【有信部会長】
  この辺は、先ほども広報の話が出ていましたけれども、プログラム評価は前期の総合科学技術会議の大綱的指針の見直しの中で指摘され、それに基づいて文部科学省でも評価指針の見直しをやっていますし、実際にはどういう形でこれが着実に運用されていくかというのは非常に重要だと。これは科学技術・学術審議会でもそういう認識でいたと思いますので、文部科学省におかれましては御検討いただければと思います。
  ほかに特に御意見がないようでしたら、この件に関する議論はここまでとさせていただきます。
  それでは、事務局から何か報告事項ありますでしょうか。

【鈴木評価・研究開発法人支援室室長補佐】
  ありがとうございました。最後に事務局から2点御連絡させていただきます。
  今回の議事録につきましては、部会運営規則第6条にのっとりまして、非公開の議事録部分について非公開とし議事録を作成し、各委員に御確認を頂いた後に、ホームページにて公表させていただきたいと思います。
  2つ目は、本日の配付資料についてでございます。机上資料と資料の左肩に非公開と記載されている資料以外につきましては、お持ち帰りいただいても結構でございますが、お手元の封筒にお名前を御記入の上、机の上に置いていただければ、後日郵送させていただきたいと思います。
  以上でございます。

【有信部会長】
  どうもありがとうございました。本日の審議1、審議2の内容に関しましては、3月1日に予定されております分科会において報告することになっていますので、御承知おきください。
  手際で時間が過ぎてしまい、申し訳ありませんでした。本日はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。



―― 了 ――

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(科学技術・学術政策局企画評価課評価・研究開発法人支援室)