研究開発評価部会(第50回) 議事要旨

1.日時

平成25年12月24日(火曜日)15時~17時30分

2.場所

文部科学省3階2特別会議室

3.議題

  1. 科学技術戦略推進費による実施プロジェクトの評価結果のとりまとめ
  2. 科学技術振興調整費による実施プロジェクトの評価結果のとりまとめ
  3. 「安全・安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラム」の再審査継続プロジェクトの決定
  4. 研究開発評価システム改革について
  5. その他

4.出席者

委員

平野部会長、有信部会長代理、有本委員、伊地知委員、受田委員、大隅委員、岡村委員、金子委員、河合委員、栗原委員、五神委員、諏訪委員、田中委員、東嶋委員、奈良委員、福士委員
(各評価作業部会主査等)
相澤プログラムディレクター、杉井主査、三村主査、井口主査、山本主査、西垣プログラムオフィサー、腰塚主査、宮田主査、宮浦主査

文部科学省

土屋科学技術・学術政策局長、小山企画評価課長、林科学技術・学術戦略官、松尾人材政策課長、鎌田企画評価課企画官、高橋企画評価課評価・研究開発法人支援室室長補佐

5.議事要旨

 部会長より、議題1~3について、運営規則第4条第三号及び同規則第5条第2項に基づき、会議を非公開とし議事録を非公表とすることが諮られ、部会において了承された。
 また、審議に先立ち、冨山和彦委員について、一身上の都合により委員を辞退したい旨の申出があり、10月4日付けで辞職が承認された旨、報告があった。

○議題1 科学技術戦略推進費による実施プロジェクトの評価結果のとりまとめ

 審議に先立ち、本部会の受田委員、有信委員、大島委員、五神委員、福士委員については、平成25年3月19日、第46回研究開発評価部会において決定した「平成25年度科学技術戦略推進費による実施プロジェクトの評価の実施について」の利害関係者に当たるため、当該委員については、所属機関の実施プロジェクトについては御発言を控えていただくことにしたい旨、部会長から説明があり、了承された。
 事務局より資料1-1に基づき説明を行い、続いて、相澤プログラムディレクターから、安全・安心プログラムの再審査結果までを含めた全体の総括があり、その後、各作業部会主査等より中間・事後評価結果を、資料1-3に基づき追跡評価結果の概要説明をそれぞれ行った後、審議が行われた。 
 審議の結果、各評価結果について、本部会として了承された。

○議題2 科学技術振興調整費による実施プロジェクトの評価結果のとりまとめ

 審議に先立ち、本部会の有信委員、伊地知委員、金子委員、河合委員については、平成25年3月19日、第46回研究開発評価部会において決定した「平成25年度科学技術振興調整費による実施プロジェクトの評価の実施について」の利害関係者に当たるため、当該委員については、所属機関の実施プロジェクトについては御発言を控えていただくことにしたい旨、部会長から説明があり、了承された。
 事務局より資料2-1に基づき説明を行い、続いて各作業部会主査等より事後評価結果の概要説明をそれぞれ行った後、審議が行われた。
 審議の結果、各評価結果について本部会として了承された。

○議題3 「安全・安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラム」の再審査継続プロジェクトの決定

 事務局より資料3に基づき説明を行い、続いて作業部会主査より再審査結果の概要説明を行った後、審議が行われた。
委員からの主な意見は以下のとおり。
・再審査結果の中で、技術開発期間終了時の評価がbであり、総合評価がAとなっているプロジェクトがあるが、総合的にA評価と判断した理由について、説明が必要ではないか。
審議の結果、評価結果について、記載の一部を追記修正することとし、修正内容については部会長に一任することで、本部会として了承された。

【平野部会長】
 ここからは本部会を公開といたします。傍聴の方がお見えでしたら、入室をお願いします。

(傍聴者入室)

○議題4 研究開発評価システム改革について

【平野部会長】 
 それでは、議題4、研究開発評価システム改革についての方に入りたいと思います。きょうこの指針の議論に入る前に、9月に開催いたしましたこの部会での議論、それから、その後、皆さん方からたくさんいろいろな御意見を頂きました。ありがとうございました。そのメール等による意見を入れ、更に修正をしたものについて、学術分科会、それから11月に開催された科学技術・学術審議会の総会で報告をして、また御意見を頂いておりました。そういう御意見を踏まえまして修正した資料が、資料4-1であります。主に前回から修正をしたところを中心に、鎌田企画官から説明をしてもらいます。
 よろしくお願いします。

【鎌田企画評価課企画官】 
 研究開発評価担当企画官の鎌田でございます。資料4-1、4-2を用いまして、前回の部会からの修正点を青字で修正してございますので、その点を中心に説明をさせていただきます。
 1ページおめくりいただきますでしょうか。「はじめに」のところでございます。「はじめに」のところの2ページ目でございますが、ここにつきましては、巻末に評価の概念整理をしてございますけれども、評価の概念は評価指針においてもまさに重要なものでございますので、巻末を見なくても評価というのは多様な概念を含むということを分かるようにすべきという御意見がございましたので、その点を踏まえた修正でございます。
 それから、1ページおめくりいただきまして、「はじめに」の3ページ目の中ほどでございます。こちらにつきましては、前回の本部会で「本指針は、完璧な評価システムを構築すること自体が目的ではない」ということを明記すべきというような御意見を頂き、その旨を反映したところでございます。
 続きまして、目次でございます。目次につきましては、前回の部会で研究不正の評価指針での取扱いを御議論いただきましたが、総論的なところで評価と不正の関係を整理して記述すべきとの方向性を頂きました。それを踏まえまして、第2章の基本的考え方の中の2.5のところで記述するというものでございます。記述の内容につきましては、後ほど御説明させていただきます。
 目次をおめくりいただきまして、目次の最後のところの本指針における用語につきましては、大体の意味内容ごとに順番を再整理させていただきました。それぞれに番号を付し、本文中に当該用語が最初に出てくる箇所に巻末参照という旨を明らかにしているところでございます。
 本文に入ります。2ページ目でございます。上の方のパラグラフでございますけれども、11月8日に開催された科学技術・学術審議会総会で安西委員より、基礎研究・学術研究を行っている研究者も目標や意義を明確に意識して研究を行っているという者が多数いるところであり、ここの部分の表現を再検討すべきではないかとの御意見を頂きました。それを踏まえた修正でございます。本修正案に対しまして、再度、安西委員から机上のクリアファイルでお配りしておりますとおり、緑で修正しているものが再修正意見として提出されましたので、これを御紹介させていただきます。見え消しの部分は見づらいので、下の括弧書きにそれを直した部分がございますので、それを読み上げさせていただきます。
 本指針の対象となる文部科学省内部部局及び研究開発機関等においては、科学技術イノベーションの創出につなげていくような研究開発の在り方を積極的に追求していく必要がある。また、科学技術イノベーション創出の源泉となる基礎研究・学術研究の在り方については、その目標や意義の在り方も一層多様なものとなりつつあり、社会経済情勢、国際的動向等を踏まえて変革を図っていく必要もある。例えば、最新の科学技術・学術の知見をもとに新しい学理・学術領域の創出や既存の学理の再体系化を促すことは科学技術・学術の進歩に資するものであり、こうした成果を効果的に創出していくことも重要である。
 という、修正御意見でございます。こちらにつきましても、後ほど、どのような表現がいいか、御議論いただければと考えております。
 続きまして、3ページ目でございます。こちらにつきましては、先ほど目次2.5で研究不正に関する記述を整理する旨申し上げましたが、第1章の冒頭の最近の諸課題について言及している本箇所につきましても、研究不正に関する記述を追記いたしました。読み上げさせていただきますと、
 昨今、研究活動における不正行為、研究費の不正使用の事案が社会問題として大きく取り上げられる事態となっている。研究不正は、真実の探求を積み重ね、新たな知を創造していく営みである科学の本質に反するものであり、人々の科学及び科学コミュニティに対する信頼を大きく揺るがし、科学の発展を妨げ、冒涜(ぼうとく)するものである。したがって、各研究開発機関等、科学コミュニティを中心として、国を挙げて事前防止に取り組んでいかなければならない極めて重大な課題である。
 研究開発評価システムにおいても、研究開発機関等における研究不正に対応するための規定や組織としての責任体制の整備状況を確認していくこと等を通じて、研究活動の大前提である研究不正の事前防止に貢献していくことが重要である。公正な研究開発活動を通じて、研究者等が互いに切磋琢磨(せっさたくま)し、研究開発の質を高めていくような環境を築いていかなければならない。
 というものでございます。こちらの記述につきましては、文部科学省内に研究不正に関するタスクフォースを設置しておりますが、そこでの議論の方向性とも整合性をとりつつ、表現を記載しているものでございます。
 続きまして、4ページ目の下の1.1.2、それから5ページ目の1.1.3の表題の部分でございますけれども、ここにつきましても、11月8日の科学技術・学術審議会総会で安西委員より、ここで記述されている評価に際して期待される取組は必ずしも文部科学省全ての研究開発施策や課題に適用されるものではないというふうに考えられるため、誤解を招かないような表現を工夫すべきではないかと、御意見がございました。それを踏まえまして、表題の部分に「イノベーション創出を目指した」という修飾語を追記しているところでございます。
 続きまして、6ページ目の1.1.5の(b)でございます。こちらにつきましても同様に、総会で安西委員よりございました。それを踏まえた削除等の修正でございます。
 それから、8ページ目でございます。1.3の若手研究者の育成・支援の推進関係の記述におきまして、「研究活動のみならず生活基盤そのものが」と、「研究活動のみならず」を追記しているところでございます。
 それから、9ページ目の1.3.1の(c)、それから1.3.2の(c)の部分でございますけれども、こちらは、11月8日の科学技術・学術審議会で渡辺委員より、これまでも公平性の担保というのは適切になされてきたことであり、当然なことであるが、多様で優れた研究者の活躍を促進するという観点からすると、表現を少し再考すべきではないかという御意見がございましたことを踏まえまして、本年4月22日に決定されました机上資料7にございます「我が国の研究開発力の抜本的強化のための基本方針」の内容も踏まえ、当初の本部会での案に戻した形の修正をしているところでございます。
 それから、11ページ目の1.4.1の(a)でございます。こちらにつきましては、やはり11月8日の総会で安西委員より、会議形式による評価の重要性を、その在り方について誤解を与えるような表現等をすべきではないという御意見がございましたことを踏まえ、表現を修正しているものでございます。
 それから、14ページ目の1.4.5の中ほどより少し下のPD・POに関する記述におきまして、「プログラム、プロジェクト等の期間、目的に応じた適切なPD、POの在り方を検討する時期にきている」旨も追記しているところでございます。
 それから、第2章以降に入りますが、20ページ目の2.4.2の評価者でございますけれども、前回の部会で御意見が出ましたことを踏まえまして、評価者のところに「評価者としての倫理を意識して」という表現を追記いたしまして、この評価者としての倫理の解説、概念整理を巻末の(18)ということで61ページのところに整理をしてございます。この61ページの方で、部会でも御提示がございました、日本評価学会が出している「評価倫理ガイドライン」についても言及をしているという整理でございます。
 それから、20ページにお戻りいただきまして、2.5でございます。これは先ほど申し上げた研究不正に関する記述でございます。改めまして読み上げさせていただきますと、
 研究不正は、研究活動に対する信認を失墜させ、科学技術・学術の健全な発展を阻害するものである。研究活動の大前提として、研究不正を事前に防止する取組を強化するとともに、研究開発機関等の管理責任を明確化することが重要である。
 研究開発評価システムにおいても、研究開発機関等における研究不正に対応するための規定や組織としての責任体制の整備状況を確認していくこと等を通じて、研究不正の事前防止に貢献していくことが重要である。なお、研究開発評価の過程で研究活動における不正行為又は研究費の不正使用の事案が発覚した場合は、それぞれ、各研究開発機関等において、「研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて」「研究機関における公的研究費の管理・監査ガイドライン」等を踏まえて厳正に対処する。
 旨を記述しているところでございます。
 続きまして、43ページ目で42ページから続く3.2.2.3の評価者の部分でございますけれども、こちらにつきましては、重点的資金による研究開発課題の評価者につきましては、昨今、PMやPDが施策や課題の推進に係る役割がまた変化をしてきているところでございますので、「外部の専門家等を評価者とする外部評価により実施する」という部分に「原則として」という表現を追記したものでございます。
 それから、54ページ目の人文・社会科学の部分の記述でございますけれども、前回部会で出た御意見等を踏まえまして、ここにございますような修正をしているところでございます。
 概念整理の部分に入ります。59ページの(5)の研究開発機関等の定義のところでございますけれども、ここに、「なお、「資金配分機関」には、法律上は研究開発を実施する機関であっても、他の機関に対して広く研究開発資金を配分している機関を含む」という記載により、日本学術振興会(JSPS)や科学技術振興機構(JST)を考慮し、どういうものが資金配分機関の定義に入るかを明確にする概念整理を追記しているところでございます。
 それから、60ページの(10)のハイリスク研究でございますけれども、改めましてハイリスク・ハイリターン研究にした方がよろしいのではないかというような御意見もございましたが、概念整理の中に「不確実性」という表現を追記することでハイリスク研究の概念をより明確化するための修正をしたところでございます。
 それから、参考以降でございます。65ページからの『NATURE』のコラムについての和訳に関する掲載でございますけれども、67ページをごらんいただけますでしょうか。一番下の部分に、「本文は」等と、「当該社より、翻訳の正確性を担保されたものでもない。重要な事柄においては、Nature Publishing Group社により出発されたオリジナルの英語版を御参考いただきたい」という旨を記載するということでこの翻訳文を掲載してもよいということを、Nature社から了解を取ることができましたことを御報告させていただきます。同様に、『Science』の記事につきましても、72ページのその旨を付けることで掲載することを御了解いただいているところでございます。
 以上が修正の説明でございますが、最後に資料4-2で今後のスケジュールにつきまして説明をさせていただきます。
 本日、研究開発評価部会で御議論いただきました内容を踏まえまして、できれば12月の終わりから約1か月間、パブリックコメントの手続に付して、それを踏まえた研究開発評価部会、それから研究計画・評価分科会、3月の総会と、一連の手続を経て、3月頃に、今年度中に文部科学大臣決定として出せるように考えているところでございます。
 以上でございます。

【平野部会長】  
 ありがとうございました。
 非常に多くの方からの御意見をこの中に反映しながら、修正をさせていただいてきております。今の主な修正点について今から議論いただきたいと思いますが、まず第1章のところ、続きまして第2章の方で当たっていきたいと思います。特に、今説明してもらった2ページ目のところ、それから、3ページ、5ページ、11ページ、そのあたりについて御意見をまず頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。
 どうぞ。

【有信部会長代理】  
 せっかくこの部会でいろいろと議論してきたことが、また様々な意見を受けて、みんな換骨奪胎されてしまい、シビアなところはみんな削られたという印象です。2ページの安西委員からの指摘で修正した部分はそういう感じで、いわゆる科学コミュニティに対する基本的な反省を求める論調がきれいさっぱり消えてしまっています。せっかく『Nature』の文章を後ろにくっつけたのが、余り意味がなくなってしまったように思います。これは、いろんな意味で基礎研究をやっている人たちに対する刺激が強い文章になっていたのかもしれないので、ある程度はやむを得ないと思います。
 ただ、一つ気になるのは、「最新の科学技術・学術の知見をもとに新しい学理・学術領域の創出や既存の学理」等というやつが、「例えば」になっていますね。これは「例えば」じゃないと思います。「例えば」とすると、多様なものの中の一例となってしまいますが、新しい学理・学術領域の創出というのが、基礎研究の基本的な使命の一つなんですから、これはやっぱり独立して重要だ、としておく必要があると思います。これだけ基礎研究に携わっている人に対して刺激を与えたのであれば、修正もやむを得ないかと思いますが。

【平野部会長】  
 作業部会の主査としての気持ちが出ております。
 どうぞ、有本委員。

【有本委員】  
 何のためにこれだけ大議論をして、原案をシャープに書き、メッセージを強く出したのか、ということです。特に私が言いたいのは、4ページと5ページに書いてあるのだけれども、大事な見出しに、「イノベーション創出を目指した」研究開発施策という微妙な表現が加わって、限定的になっているということ。これは、こういうことは適用除外です、ということを言っているのではないですか。ここにこういう表現を入れた解釈を聞きたい。これまで、この指針の策定に関わって膨大な作業をしてきて、わずかな意見により修正し、これでいいです、というわけにはいかないですよ。

【平野部会長】 
 ありがとうございます。
 今の2点は、当然、今までの議論を踏まえて重要なところではないか、と考えております。まず、1番目の2ページ目の部分であります。これは、ここでも議論をし、あるいは直すところは直しながら来たところであります。特に、総会も含めて恐らく問題となっておりました表現は、「許容される時代は過去のことである」とか、こういうところです。このあたりの記載については、机上資料(資料4-1関係)に御提案もありますが、書き方を少し変えるにしても、重要なところである「新しい学理・学術領域の創出や」というところについては、「例えば」ではなくて、重要な項目として入れておくということではいかがでしょうか。五神委員、どうぞ。

【五神委員】 
 私は、安西委員の意図をもう少し積極的に捉えるべきではないかと思います。基礎科学・学術研究というものをこのように修正してしまうことで、逆にその意義が主張し切れず、基礎科学・学術研究を支えられなくなり、崩れてしまうのではないかと心配です。科学と社会のかい離がこれだけ広く認識されている現状において、基礎研究・学術研究の意義をより明確に示して、それもきちんと評価に反映されるようにしなければならないという文脈で書くべきです。もちろん学理の再体系化というのは学問の進歩の中で非常に必要なことであり、それは基礎科学研究の目的そのものです。しかし、それに付加して、社会との関わりで言えば、課題解決のために開発される技術というものが社会でより広く使えるようにするためには、基礎研究によってその原理を明らかにし、その技術に信頼を与えるということが不可欠であります。そういう意義に沿って研究がきちんと行われているかどうか、これまでの評価システムを反省し、不十分であれば警鐘を促すべきだ、ということが部会としての議論だったと思います。この点をポジティブに書くことにより安西先生の修正の意図も含めて、折り合いを付けることができるのではないかと思います。つまり、基礎研究が大切であるということを逃げた形にするのではなく、どう大切かをより具体的に踏み込んで修正するという提案です。

【平野部会長】 
 私も五神委員の意見に同意でありまして、この文章の中にそういう意味で社会との関係においてということをきちっと対応として出して、安西委員からの提案の文と今までのところをうまく合わせてはどうかと思います。これまでの御議論を聞いており、そのようにまとめていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

【有信部会長代理】 
 はい。

【平野部会長】 
 ほかにありますか。大隅委員、どうぞ。

【大隅委員】 
 3ページ目のところに新たに加わった研究不正の話についての書きぶりですが、「昨今、研究活動における不正行為、研究費の不正使用の事案が社会問題として大きく取り上げられる事態となっている」と書かれているのですが、これは決してこの数年のことではなく、もう10年にわたって大変だと言い続けてきて、例えば日本学術会議の「科学者の行動規範」とか、いろいろなものが出てきておりますので、もう少し出だしの書きぶりのところを、「いろいろあったにもかかわらず」というようなニュアンスがあった方がいいのかなというのが一つです。
 それから、同じ不正に関する、第2章の方にも言及させていただきたいと思うのですけれども、現在、タスクフォースの方で取り上げられているのではないかと思いますが、第三者機関をどうするかということに関していろいろ議論があると思います。現時点の3ページと21ページの書きぶりですと、これは、こういうことが起きたときには本人が所属しているところの機関が何とかする、というふうに読み取れますが、この評価指針というのは、かなり長い間有効といいますか、きちんとしたバイブルとして使われていくものではないかと思いますので、最終的に、閣議決定に持っていっていただくまでに、現時点ではこの書きぶりしかできないということであれば、それはまたパブコメ等のときに反映するようなことも考えていく必要があると思います。私が理事長をしております日本分子生物学会でも、不正の問題に関して、組織的にアンケート調査をしたときに、やはり第三者機関などが必要なのではないか、というのも、そういったことをきちんと訴える場合、所属機関ですといろいろなプライバシーの問題があるので、所属機関とは別の窓口が必要なのではないかと、そういった議論がなされているということを申し上げたいと思います。

【平野部会長】  
 どうもありがとうございます。
 例えば、3ページ目の「昨今」というところでありますが、「昨今」を消して、「不正使用の事案が社会問題となっているにも関わらず、研究不正は」というふうにここは手直しをしながら、反省も含めていったらいかがかと、こう思いますが、どうでしょうか。
 それから、今の21ページ目の第三者機関の設置ということに関係するところでありますが、これについては、私は個人的に当然そうあるべきだと思いながらでありますが、文部科学省の中では、ガイドラインの中でそれはどこまでこれに入れ込むところができる段階に来ていますか。

【松尾人材政策課長】 
 研究不正のところでございますけれども、現在文部科学省においては、9月に公表いたしました「研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォース」の中間取りまとめで打ち出した方向性について、ガイドラインの見直しや運用改善などに向けた検討を行っているところです。今週、日本学術会議においても、研究不正の防止策と事後措置に関する提言をまとめられる予定だというふうに伺っておりまして、その提言の中でも、科学者コミュニティに研究不正に関する第三者機関を設置することついて言及されております。第三者機関の在り方等については、日本学術会議においても具体的なところはこれから検討するということと伺っておりますので、その検討状況等も踏まえつつ、当省においても論点を整理する含めて精査していくということになろうかと思います。

【平野部会長】 
 ありがとうございます。言及するということでよろしいですか。
 有信委員、どうぞ。

【有信部会長代理】 
 第三者機関というのは非常に微妙な話なので、簡単にここに入れ込むということは、私は余り賛成ではないです。例えば、研究開発独法と大学では事情が違いますし、大学には基本的に教育・研究の自由というのが保障されていて、研究・教育の自由の保障の下に自律的な運営ということが基本的には認められているわけですね。そこは研究開発独法と大きく違うところで、したがって、もちろん不正は悪いのだけれども、不正だからといって他律的な手段を研究開発一般に対して用いるということについては、危険を感じるのです。そこは最終的にどうなるか分からない難しい問題で、大学の中でも第三者機関をやるべきだという意見はありますが、任せるというのは、結局、人に投げてしまうことになるわけですよね。それは大学の自律性を損なうことにならないかという議論はまた済んでいないはずなので、記載には慎重な議論が必要かなという気がします。

【平野部会長】 
 ありがとうございます。原案にあるように、「研究開発機関等の管理責任を明確化すること。」これが大前提であり、加えて、第三者機関の在り方についても、というような言及が、今のところ考え得る段階かなと、私は思っております。
 事務局、どうぞ。

【松尾人材政策課長】 
 第三者機関を設置し、研究不正に関する調査を全て任せるということになると、国として、不正対応を丸投げするような印象も与えかねないので、例えば、不正に関する調査の迅速性や透明性等を担保するため、第三者的視点の導入を図るといった観点を盛り込ませていただくという形で、また御相談をさせていただければと思います。

【平野部会長】 
 そうですね。よろしいですか。
 今、第2章で議論がありましたが、第1章はよろしいですか。
 どうぞ、伊地知委員。

【伊地知委員】 
 9ページの1.3.1の(c)と1.3.2の(c)、今回、青で修正が入っているところなのですが、これに関連して、この指針と研究政策との関係、あるいは評価指針の原則に関わる点から、コメントを申し上げたいと思います。
 この評価指針の適用範囲ですが、18ページの2.2に示されているとおり、「研究開発の範囲は、国費を用いて実施される研究開発全般とする」というふうにされています。また、この評価指針の原則は、2.3、これは18ページから19ページにありますけれども、「各々の研究開発の特性に適した評価システムを構築する。評価システムの構築に当たっては、評価は、何らかの意思決定を行う目的のために実施される手段であり、その目的に応じて個々の評価システムが構築される必要があることを十分に認識した上で」というふうにされています。ということで、以下、それぞれの評価の対象ごとに評価方法について記述されているということで、やはり評価対象や目的によって評価方法を設定するというのが、原則だろうと思います。
 ということで、この評価システムとしては、2以下に記載されているような原則を1のところで上書きして書き換えるようなことは行われるべきではないのでは、と考えます。そうしたときに、現状に照らして、実際に今の机上資料等もありますけれども、研究政策としてこのようなアファーマティブ・アクションがとられるということは否定することはないというふうに思うわけですが、しかし、この評価指針の原則というのに照らしますと、どのような評価方法とするかということについては個々の評価システムに委ねられるべきではなかろうかというふうに考えます。したがって、原案にある「積極的に評価する」という部分ですが、これは評価システムいかんに関わらず一律に適用されるということではなくて、「多数で優れた研究者の活躍を促進する観点から」ということが、個々の評価システムにおいてこの観点が評価に際して意思決定を行う目的に合致する場合については適用されると、そういった解釈がここの文章として読み取れるということが了解されれば、これでよろしいのではないかと。逆に言い換えると、一律適用されるというのはよろしくないのではないかという趣旨です。

【平野部会長】 
 分かりました。総会のところでも意見があったときに、私も、これは基本的なベースとなる指針であり、本来はプログラム・プロジェクトごとにより詳細に書いた目標に対する評価の在り方が必要であろうと、そういうことは述べましたけれども、ここからそういう意図が読み取れればいいのですが、そうでないとすると、これはきちっと分かるように記述した方がいいのかもしれません。是非、事務局に案文をお送りいただくようお願いします。

【伊地知委員】 
 分かりました。

【平野部会長】
 そのほか、いかがでしょうか。
 基本となる1章はよろしいでしょうか。
 では、第2章で気がつくところを是非お願いしたいのですが、いかがでしょうか。
 どうぞ、栗原委員。

【栗原委員】
 20ページの関係者の役割というところですけれども、私、今回これをもう一度拝見して、実際に、研究をする主体である研究者がこの指針をどのように受け止めて、どう活動するのかということが余り触れられていないな、という印象を受けました。その位置付けは、この関係者の役割のところにようやく出てくるのですが、これを大きくどうこう変えるということではなくて、提案なんですけれども、2.4.1の文部科学省内部部局の下に「優れた研究開発を伸ばすためには、研究開発に関係する全ての者が、評価活動を成熟させ、研究開発における評価の文化を創り上げることが重要である」というふうに書いてある、この2行を2.4.1の前へ入れていただいて、これは関係者全員が共有しなくてはいけない価値であることをお示しいただき、もちろん文部科学省の皆さんもこのように努力していただくのだと思いますが、研究者も含めたみんなにこれを受け止めてもらいたい、という書きぶりをしてはどうかと思いました。先ほどの基礎研究のところでもあるのですけど、研究者にも、研究の意義をクリアに述べてもらうとか、いろいろと受け止めてもらいたいことが記載されていると思いますので。

【平野部会長】 
 分かりました。今の御提案、皆さんがよろしければ、その方がクリアに、何をここで要求するかということが分かると思いますので、今のようにこの部分を修正させていただきます。
 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ、有信委員。

【有信部会長代理】 
 つまらない話だけど、評価者のところに「評価者としての倫理を意識して」と書いてあるんだけど、これは、「意識して」じゃなくて、「倫理を踏まえて」と修正した方がいいと思います。

【平野部会長】 
 分かりました。そのほか、いかがですか。よろしいでしょうか。
 それでは、2章以降のところで御指摘いただけるところがあったら伺いたいのですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、きょうのところは事務局の方ですぐに整理をしていただいて、有信部会長代理と私とで確認しながら、早急に皆さんの御意見を聞きたいと思います。
 事務局、どうぞ。

【小山企画評価課長】 
 先ほど有本委員から御指摘がありました、見出しに「イノベーション創出を目指した」が加わった部分ですが、もしよろしければ、もう少し、方向性を御議論いただけないでしょうか。この部分、事務局としては、基礎研究がぼっこり対象から抜けるというのは、評価部会でのこれまでの御議論の結果を踏まえればおかしいだろうと思っております。ただ、安西委員に限らず、総会、分科会等での御指摘、御懸念も踏まえると、基礎か、応用か、開発か、別にリニアなモデルではありませんけれども、多少、研究開発に濃淡はいろいろあるであろうというニュアンスが伺えます。つまり、別に「イノベーション創出を目指した」と書いたから、基礎研究が抜けるということではなくて、むしろ基礎研究とイノベーション創出の関係もよく考えていく必要があるということ自体が大課題なのだろうと思いますけれども、そういう意味で、全体の考え方がより強く反映するところと、それぞれの性質に応じて反映するところと、多少濃淡があるのかなという程度の記述とし、共通理解を図っていけないかと思っております。よって、この文言が付いたからといって、基礎研究が対象から抜けるものではないのではないか、と思って付けているつもりなのでございますけれども、そこは大きな方向性でございますので、もう少し御議論いただき、最終的な調整に当たりたいと思います。

【平野部会長】 
 申し訳ありません。私も指摘しながら、御議論いただきませんでした。この点について、いかがでしょうか。
【有本委員】 
 もう少し記載を工夫すればいいと思います。ここまで積み上げてきたのだから、総会でそういう発言があったので修正する、ということではなくて、こちらが示したい趣旨や意図を文章の中に書き込めばいいと思うんです。

【平野部会長】 
 分かりました。私が理解しますに、基本的なところはそこまで大きな隔たりはないと思っております。書き表し方について誤解のないようにというのか、ミスリーディングのないように、これが一番大事だと思います。

【有本委員】 
 それからもう一つ、基礎研究とイノベーションのステージを二つに分けろと言っているのではないということです。さっき五神委員から御発言があったように、ピュアな基礎研究をきちっと守るためにも、両方がきちっとしてないと駄目なのだということ、それを軸にした上で記載を工夫すればいいという気がします。

【平野部会長】  
 分かりました。是非、有本委員からも、いい言い回し、これだったら誤解がないという文言を、事務局に御助言いただければと思います。要するに、研究者の方あるいは評価をされる方がミスリードしないように、あるいは変な萎縮もしないようにということが大変重要であると思っています。

【小山企画評価課長】 
 承知いたしました。御指導いただきまして、調整します。

【平野部会長】 
 萎縮的なミスリードをしないようにということが背景にはあるのですが、今度はそれが故に逆にプレッシャーで基礎・学術研究が押し込まれるということは避けなければいけないと思っていますので、それも含めてここについてはきちっと必要な部分の修文をお願いしたいと思います。本文の中で、先ほどお話があったように、言ってみれば、審査の段階を含めてここをどうしていくのか、その主体は、「資金配分機関」ですから、当事者にもこの部分を理解していただけるように修文する必要があると思っております。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
 では、これまでの御議論を踏まえて原案を修正し、事務局より送ってもらうことにします。事務局、スケジュールはどうなりますか。

【鎌田企画評価課企画官】
 スケジュール上、年内からパブリックコメント手続をしたいと希望しております。

【平野部会長】 
 年内にパブコメですので、文章としてはここ一両日中で、是非、修正案をお出しいただきたいところです。それをもって皆さんにもう一度諮った上で、御意見がなければパブコメに掛ける、こういう段取りで動いていくという提案でございます。
最後に、事務局から連絡事項をお願いします。

【高橋企画評価課室長補佐】  事務局から、御連絡させていただきます。
 今回の議事録につきましては、部会運営規則第5条にのっとりまして非公開の議事部分を非公開とさせていただきまして議事録を作成し、各委員に御確認いただいた後、ホームページの方で公表させていただきます。
 次回の部会につきましては、2月10日に開催したいと考えております。場所等につきましては、改めて御連絡させていただきます。
 以上でございます。

【平野部会長】 
 大変重要な御報告等を頂きながら審査をし、最後、評価指針の議論を行いました。少し時間が足りなかったことを申し訳なく思っております。評価指針に関しては、是非、ここ一両日で意見を事務局へ寄せていただければ、事務局は非常によく対応してくれておりますので、御意見を反映しながら動いていけると思います。
 きょうはありがとうございました。よいお年をお迎えください。

―― 了 ――

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科学技術・学術政策局企画評価課評価・研究開発法人支援室

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