研究開発評価部会(第48回) 議事要旨

1.日時

平成25年7月22日(月曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省 3階1特別会議室

3.議題

  1. 研究開発評価部会の議事運営について
  2. 研究開発評価システムの改革について
  3. その他

4.出席者

委員

平野部会長、有信部会長代理、有本委員、伊地知委員、大隅委員、岡村委員、河合委員、栗原委員、五神委員、諏訪委員、東嶋委員、奈良委員、西島委員、福士委員、室伏委員、吉川委員

文部科学省

土屋科学技術・学術政策局長、川上政策評価審議官、伊藤科学技術・学術政策局次長、中村官房政策課長、磯谷科学技術・学術総括官、小山企画評価課長、木村評価・研究開発法人支援室長、鎌田企画評価課企画官、高橋評価・研究開発法人支援室室長補佐

5.議事要旨

【平野部会長】  
 定刻になりましたので、第48回の研究開発評価部会を開催いたします。議事次第のとおり、研究開発評価部会の議事運営について、また、研究開発評価システムの改革について、これら二つの議題について、皆様方から御意見を伺いながら進めていこうと思いますので、よろしくお願いします。
 まず、事務局に人事異動がありましたので、御紹介をお願いします。

【高橋評価・研究開発法人支援室室長補佐】  
 それでは、紹介させていただきます。
 6月5日付けで科学技術・学術政策局次長に就任しております、伊藤でございます。

【伊藤科学技術・学術政策局次長】  
 よろしくお願いいたします。

【高橋評価・研究開発法人支援室室長補佐】  
 7月1日付けで企画評価課長に就任しております、小山でございます。

【小山企画評価課長】  
 小山でございます。よろしくお願いいたします。

【高橋評価・研究開発法人支援室室長補佐】  
 同じく7月1日付けで企画評価課評価・研究開発法人支援室長に就任しております、木村でございます。

【木村評価・研究開発法人支援室長】  
 木村でございます。

【高橋評価・研究開発法人支援室室長補佐】  
 また、7月1日付けで組織を再編しておりまして、これまで事務局を務めておりました科学技術・学術戦略官付(調査・評価担当)は企画評価課評価・研究開発法人支援室となっております。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、本日は大臣官房より御出席いただいておりますので、紹介させていただきます。
 大臣官房政策評価審議官の川上でございます。

【川上政策評価審議官】  
 よろしくお願いいたします。

【高橋評価・研究開発法人支援室室長補佐】  
 大臣官房政策課長の中村でございます。

【中村官房政策課長】  
 中村でございます。よろしくお願いいたします。

【高橋評価・研究開発法人支援室室長補佐】  
 以上でございます。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。よろしくお願いします。
 続きまして、配付資料の確認をお願いします。

【高橋評価・研究開発法人支援室室長補佐】  
 本日の配付資料は、議事次第の配付資料一覧のとおりでございます。そのほか、参考資料1から3、また、先生方のお手元には、机上資料としまして、1から17を配付しております。また、机上資料の一番上に、後ほど御議論いただきます資料を別添として、こちらの資料を配付させていただいております。個別に御説明いたしませんが、資料に欠落等がありましたら、議事の途中でも結構でございますので、事務局にお申し付けいただければと思います。
 以上でございます。

【平野部会長】  
 それでは、議題1の研究開発評価部会の議事運営についての審議に入ることにいたします。事務局から説明をお願いします。

【高橋評価・研究開発法人支援室室長補佐】  
 それでは、資料1を御覧いただきたいと思います。こちらは、研究計画・評価分科会研究開発評価部会の公開の手続の案でございます。先ほど冒頭で説明いたしましたとおり、組織の再編によりまして、本部会を庶務いたします事務局が、7月1日付けで科学技術・学術戦略官付から企画評価課評価・研究開発法人支援室に変更になっております。資料1のとおり、本部会の公開の手続については、本年3月19日に開催いたしました第46回研究開発評価部会におきまして既に決定していただいておりましたが、先ほど説明いたしましたとおり、組織再編に伴いまして、赤字で書きました課名の部分について、修正を行っております。
 説明は、以上でございます。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。組織等に関わる部分を含めた修正でございますが、何か御質問ありますでしょうか。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、公開の手続については原案のとおり決定して、当部会としては、引き続き、この規則等に則りまして会議を進めていきたいと思います。
 では、議題2、研究開発評価システム改革について、に入ります。本日は、この議題2が二つに分かれております。前半の約1時間は、文部科学省評価指針の改定案についてであります。後半で、研究開発法人の評価について、これも約1時間、御議論いただきたいと思います。
 まず、文部科学省研究開発評価指針の改定についてであります。これは、これまでの委員の方々や作業部会、総会での御意見を踏まえまして、事務局の方で「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針(改定案)」として準備をしていただいております。委員の皆様方には事前に御覧いただいているところでありますが、本日は、まず事務局から資料に基づいて説明をしていただきまして、その後、委員の方から御自由に御意見を頂きたいと思います。
 では、事務局から説明をお願いします。

【鎌田企画評価課企画官】  それでは、資料2に基づきまして、文部科学省研究開発評価指針の改定案について、事務局より概要を説明させていただきます。
 ただいま部会長から御説明がありましたとおり、本改定案は、参考資料2の基本的方向性、それから参考資料3の論点整理、これらの内容を文部科学省研究開発評価指針全体の用語や表現の整合性などにも留意しながら盛り込んだものとなっております。以下、本文を順次御参照いただきながら、その他のポイント、あるいは事前に委員の先生方から御意見を頂いたものもございますので、それにつきまして事務局より順を追って説明をさせていただきます。
 まず、1ページをお開きいただきますと、「はじめに」がございます。ここにつきましては、文科省指針の改定の経緯等が触れられているところであり、下線部分の箇所ですが、今般の文部科学省研究開発評価指針のポイント及びその経緯等について盛り込まれている形にしてございます。
 それから、もう1ページおめくりいただきますと、次は目次でございます。今回の改定においては、これまで本文中に個別に記載されていた用語や略語、こういった概念や定義につきましては、見やすさ、確認のしやすさなどの観点に配慮いたしまして、巻頭に整理をいたしております。また、基本的方向性、論点整理等でおまとめいただきました今般の指針改定の主要部分につきましては、序章と第1章にまとめて記載いたしまして、最近の特筆課題としてクローズアップされる形としております。加えまして、これまでの指針で記述されてきた基本的考え方あるいは対象別事項につきましても、第2章以降で必要な追記・修正等を行いながら記載をいたしております。
 2ページおめくりいただけますでしょうか。そこに、本指針における用語・略称等について、触れている部分がございます。こちらにつきましては、これまで指針の文中に定義・解説されてきたものや、平成21年の本部会でおまとめいただいた「審議のまとめ」などに盛り込まれているものを、巻頭に定義等としてまとめたものでございます。
 これらにつきまして一部の委員の先生方より御意見を賜っておりますので、紹介させていただきます。例えば、冒頭の「研究開発施策」につきましては、「概して」でありますとか「基本的に」という多少曖昧な表現が含まれているので、もう少しシャープに書いた方がいいのではないかというような御意見。あるいは、「研究開発課題」、その下の方でございますけれども、ここにつきましても、例えば1行目に「個別の具体的な研究開発活動」とありますが、その前に「実現が目指される科学的・技術的目標が明確であって、その実現のために計画は実施可能であって、機関と資金、規模が有限な」というような修飾語を入れるとより明確になるのではないかというような御意見も頂いております。
 それから、1ページおめくりいただきまして、「評点法」、これもこれまで文部科学省指針に書かれてきたそのままの記載でございますけれども、多少修正した方がいいのではないかという御意見。
 それから、次のページの「アウトリーチ活動」「アウトプット」「アウトカム」「インパクト」、ここら辺の用語につきましても、もう少し精査が必要なのではないかという御意見を頂いております。それから、「プログラムディレクター」「プログラムオフィサー」、これにつきましても、今までは、「研究経歴のある高い地位の責任者」あるいは「研究経歴のある責任者」という定義付けでしたが、「研究経歴のある」というのは本当に入れた方がいいのかどうか、もう一度精査すべきという御意見も頂いております。
 続きまして、数ページおめくりいただきまして、ページ番号が振っておりますページ1を御覧いただけますでしょうか。ページ1の序章でございます。序章につきましては、今般の改定で第1章に研究開発評価に関わる特筆課題をまとめることとした背景事情について、触れております。序章は、1ページから3ページにわたって、その後の各論に入る前の事情について記述しておりますけれども、その部分は、参考資料3、論点整理でおまとめいただいた、指針改定に当たっての時代認識・課題等の部分を原案としているところでございます。委員の先生方からは、例えば、1ページ目の下から8行目でございますけれども、「科学者コミュニティ」という表現が使われておりますが、これは、scientific communityという英訳に鑑み、「科学コミュニティ」とした方がいいのではないかというような御意見でありますとか、それから、2ページ目の上から3行目でございますが、「これまでの科学の常識にとらわれず」とございますけれども、ここは例えば「旧来の科学界の常識にとらわれず」というような表現の方がより適切なのではないかというような御意見。それから、二つ目のパラグラフでございますが、「ゴール(目的)」とありますけれども、これは「目標」の方が適当なのではないかというような御意見。それから、三つ目のパラグラフでございますが、日本学術会議におけるアンケートの結果が具体的に書かれている部分がありますけれども、このような具体的な部分は本文ではなく脚注などに落としていくということも考えられるのではないかというような御意見を頂いております。それから、例えば3ページ目の上から2行目でございますが、「これまで研究開発評価の導入・システムを図ってきた結果」とありますけれども、「優先的に図ってきた結果」などという修飾語を入れた方がよいのではないかというような御意見も頂いております。
 それから、3ページ目でございますけれども、下の方に参考1として点線で囲みの記事があります。今回の指針の改定においては、指針の改定の内容について理解を深めていただく関連情報をこのような囲みの形で参考として記述することを御提示させていただいております。この部分については、委員からの御指摘も踏まえまして『Nature』の記事を記載することを事務局案とさせていただいておりますが、委員からの御指摘もありました著作権との関係もありますので、本日は、ここには直接盛り込まずに、委員の先生方には机上資料10-1の方で原文とその日本語訳について添付させていただいているところでございます。このような形で指針に参考として関連情報を盛り込むということを、委員の先生方に御意見を賜りまして、もしその方向ということでありましたら、事務局の方で出版社等に掲載の確認等をとらせていただくことといたしたいと考えております。
 それから、3ページの下の方でございますけれども、1.1 科学技術イノベーション創出、課題解決のためのシステムの推進に関する部分でございます。以降につきましては、先におまとめいただいた論点整理を、誰がどのように評価に当たって留意するべきかという、主体や客体をなるべく明確にするような形でおまとめさせていただいております。委員の先生から具体的に頂いている御意見といたしましては、例えば、4ページ目の上から8行目、「国は適切にサポートする」というようなことを、「サポート」ではなくて「支援」とすべきというような御意見でありますとか、あるいは、1.1.1の部分ですが、論文指標につきましては、「客観的な評価指標であるが」というような表現、あるいは「論文関係の数値だけに頼り安易に目的化することは適当でなく」の部分につきましては、「安易にこれらの数値を挙げること自体が目的化することは適当ではなく」というような表現にしてはどうかというような御意見。あるいは、その下の行ですけれども、「必ずしも論文主義に偏重しすぎないようにする」、この部分につきましても、「論文至上主義」というような表現の方がいいのではないかというような御意見も頂いております。それから、1.1.2につきましても、これは研究開発施策の評価に関する部分ですけれども、透明性の確保についても触れるべきではないかというような御意見を頂いております。
 それから、5ページ目でございます。1.1.5ですが、「研究者等の評価に際して特に期待される取組」というふうに表題で掲げてございますけれども、これはこれまでの研究開発評価指針の並びをとりまして、「研究者等の業績評価に際して特に期待される取組」とした方がいいのではないかというような点。それから、1.1.5の(a)の部分の下から3行目、「全てを加点方式により評価するシステムの導入」とございますけれども、この加点方式がイメージするものが分かりにくいということで、説明を加えたらどうかというような御意見を頂いております。また、(b)の部分の3行目、「研究者自らが期間について明確に意識しながら」とありますけれども、この期間について明確に意識するという意味について、もう少し丁寧に説明をした方がいいのではないかというような御意見も頂いております。
 それから、5ページの下にあります参考2ですが、こちらにつきましては、ここの部分の内容と関連する、「論文主義に偏重しない」ということに係る、米国や英国の取組について記載をしているところでございます。
 続きまして、6ページの1.2、ハイリスク研究、学際・融合領域・分野間連携研究等の推進でございますが、こちらについては、まず、「領域」という言葉と「分野」と言葉、使い方がまちまちであり、これを例えば「領域」に全部統一した方がよいのではないかというような御意見がありました。それから、4行目ですが、「二つ以上の学問分野を統合して学問横断的に進めて行く」とありますけれども、「統合」というのは少し言葉が強過ぎではないかというような御意見がありました。それから、下から4行目ですが、「評価基準も不明確であり」と。これまで評価基準もハイリスク研究等に不明確であるが、本当にそうなのかという部分もあるので、もう少し表現は気を付けた方が良いのではないかという御指摘もございます。
 それから、7ページ目、1.2.1の(c)では、「ハイリスク研究については、評価者の立場からすると、客観的で明確な評価基準をもって評価・判断することは困難である」とございますけれども、これは「ハイリスク研究の性質上、困難である」というような補足をしたらどうかというような御意見を頂いております。
 次のページ、8ページ目につきましては、参考3、ハイリスク研究に絡む海外の取組事例といたしまして、NSFのCREATIV、INSPIREの事例を掲載しているところでございます。
 それから、9ページ目、1.3の次代を担う若手研究者の育成・支援の推進ですが、こちらにつきましても、この冒頭の部分の具体的な数字の部分は脚注に落とし込むということも考えるべきではないか。あるいは、これは学校基本調査のデータから取っているものでございますけれども、出典を明示すべきではないかというような御意見も頂いております。
 10ページ目、1.3.1の(c)ですが、「若手研究者、女性研究者、外国人研究者が研究代表者となっているような研究開発課題を積極的に評価する」という部分につきましては、内容に関わらずこの部分が評価に優先されるということを引き起こしかねないということで、もう少し丁寧に言葉を足した方がよいのではないかというような御意見も頂いております。それから、同じような部分は、例えば11ページの一番上の1.3.2(c)についても、御意見を頂いております。
 それから、11ページ目の1.3.3の(d)ですが、「業績評価結果を常勤の若手研究者の人事や処遇」というような表現がありますけれども、「常勤の」という限定が適当かどうかについても精査すべきではないかという御意見を頂いております。
 それから、12ページ目については、まず、一番上の1.3.3(g)で「研究開発機関等は、シニアの教員」とありますけれども、この「シニアの」というのは「指導的立場にある教員」というような表現に改めた方が良いのではないかという点。続きまして、1.4 評価の形式化・形骸化、評価負担増大の改善ですが、この表題につきましても、「評価負担増大の改善」ではなく、「評価負担増大に対する改善」というような表現にした方が意味・関係が明確になると、御指摘を頂いております。それから、1.4の6行目でございますが、「研究費の基盤的資金から競争的資金へのシフト等により」という部分がありますけれども、今般、必ずしも競争的資金でない資金も増えているということで、「基盤的資金から競争的資金へのシフト」という表現だけで十分なのかというような御指摘も頂いております。
 それから、12ページの中ほどの部分、参考5につきましては、委員の御指摘も踏まえまして『Science』の記事を掲載する予定として準備をさせていただいておりますが、これにつきましても、先ほどと同様に、机上資料10-2に原文と日本語訳を添付させていただいております。
 それから、13ページ目ですが、中ほど、1.4.1(d)の箇所に丸を先頭に付した記載がありますけれども、ここの「メリット」という言葉につきましても、指針で用いる場合は別の表現などを用いた方がいいのではないかというような御意見。それから、1.4.1(e)ですが、ここでは評価に関わる人材のことについて触れているところですけれども、評価人材については、「文部科学省内部部局及び研究開発機関等」だけでなく、例えば大学評価・学位授与機構など、この指針ではその他の評価実施主体という概念で入るべき主体についても入れた方がいいのではないかという御意見を賜っております。
 続きまして、15ページのPD・PO制度の改善に係る部分ですけれども、1.4.5の9行目に、「多くが非常勤であることから、2~3年で交代してしまう」という記述がありますけれども、非常勤であるのは実態としてあるが、2~3年で交代するという表記については、それほど短くもないのではないかというような御指摘も頂きました。また、その下の(c)の二つ目の丸でございますが、活動の中長期化ということで「少なくとも10年程度」とありますけれども、例えば、5年程度を目安にして、その研究開発内容の制度や特性に応じて就任期間を設定するなど、多少、10年というのは長いのではないかというような御意見も頂きました。
 それから、17ページ目の1.5研究開発プログラム評価については、1行目から2行目に、「ゴールが明確に設定出来る場合」とありますけれども、「ゴール及び時間軸が明確に設定出来る場合は」というようにしてはどうかというような御意見を頂きました。
 また、18ページ目ですが、上から4行目、「指標・目標を設定することを含め」とありますけれども、これは、「目標・指標」と、順番を逆にした方がよいのではないかというような御意見を頂いております。
 以上が、第1章の部分でございます。
 続きまして、21ページ目からは、基本的考え方や個別的な内容について、これまでの指針の改定の修正・改善という部分ですけれども、例えば、23ページに、2.4関係者の役割がございます。ここにつきましては、今は文部科学省内部部局、研究開発機関等、評価者、研究者という区分になっておりますけれども、例えばPD・POの役割などもここに位置付けていくことも考えてみてはどうかという御提案も頂いております。
 また、25ページ目の2.6評価人材の養成・確保等ですけれども、こちらにつきましても、先ほどと同様、評価人材の養成については、大学評価・学位授与機構のような、その他の評価実施主体を盛り込むべきではないかという御意見を頂いております。
 27ページ目の2.7データベースの構築・活用等についても、今記述されている内容以外にも、もう少し盛り込むべき内容等があるのではないかという御指摘も頂いております。
 それから、30ページですが、29ページから続いている3.1.3.2評価者の幅広い選任、利害関係者の取扱いの文脈中に、「その理由を明確にするとともに」という記述について、評価者、利害関係者を排除しない理由だけではなく、利害関係の内容自体も明確にするということをつけ加えたらどうかというような御意見も頂いております。
 それから、3.1.4の評価の実施時期の二つ目のパラグラフの「また」の部分、事後評価につきましては、事後に評価するということを原則として、「次の施策につなげていくために必要な場合は、施策終了前に実施し」という記述になっておりますけれども、これは本当に事後に行うのが原則という形でいいのかという問題意識も御提起いただきました。
 それから、35ページ目、3.2研究開発課題の評価については、これまで、「競争的資金による研究開発課題」「重点的資金による研究開発課題」「基盤的資金による研究開発課題」という、三つの大きな分類で分けて評価のポイントを整理していたところですけれども、今般、この三つの分け方をそのまま継続して良いのかどうか精査が必要ではないかという御指摘も頂いております。
 続きまして、42ページ目、3.2.1.7評価結果の取扱いの下から二つ目の丸、「中間評価では」という部分ですけれども、この中間評価のポイントとして、「効果・効用(アウトカム)の暫定的確認」ということも加えた方が良いのではないかという御指摘も頂いております。
 それから、52ページですけれども、51ページから続く3.4研究者等の業績評価の二つ目のパラグラフに、「このため、評価実施主体である研究開発機関等の長は」という文脈の中で、4行目に、「また、あらゆる研究活動に共通する評価軸と、研究段階、研究方法、研究目的、潜在的発展可能性などの特性を踏まえた評価軸を組み合わせた評価の推進などにも留意する」という記述がありますが、「あらゆる研究活動に共通する評価軸」というのがもしあるのであればこの指針にも書くべきであり、表現に留意した方がよいのではないかという御指摘も頂いております。
 最後に、56ページ目ですが、55ページから続く4.2.1.4.2評価の方法の二つ目のパラグラフに、人文・社会科学研究に係る記述を付け加えたものです。ここは、科学技術・学術審議会学術分科会でおまとめいただいた「リスク社会の克服と知的社会の成熟に向けた人文学及び社会科学の振興について(報告)」から引用しているところですけれども、もう少し内容を要約した方がよいのではないかというような点と、あるいは、これについても具体的な事例については脚注などに記載するというような工夫もあるのではないかというような御指摘も頂いております。
 以上、事前に委員の先生方から頂いた意見と改定案の概要について、説明させていただきました。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
 委員の皆様方におかれましては、忙しい中、大変丁寧に読んでいただき、的確な御指摘を頂きまして、ありがとうございます。
 また、加えて本日御意見を頂きまして加筆・修正等を行い、再度御提案をしたいと思っておりますが、非常に多くの点があるものですから、特に、字句等については御指摘を踏まえてまた修正をさせていただきながら、議論をしておかなければならない問題を先に御指摘いただければと思いますが、いかがでしょうか。 西島委員、どうぞ。

【西島委員】  
 細かい言葉の部分は全体のバランスを見て決めていただければよろしいと思うんですが、私は、分野が違うのでこの分野についての論文は見てないのですが、机上資料10-1とか10-2というのは、ぱっと見ますと、いずれも米国の状況だと思います。文中には「世界の観点」とかいう言葉がありまして、一方、事例を少し読んだ感じではNIHというのが結構出ています。昨今、日本版NIHという言葉も出ていますから、そういう意味ではよいのですが、例えば欧米ということで、バックグラウンドもなく、事例だけ出してしまうと、これに近づけることを推奨しているのか、という誤解が生じてしまうと思うので、このポジショニングの説明が必要ではないでしょうか。あるいは、こういった論文は、日本と同程度の予算額を持っているような、例えば、ドイツとか、ベルギーとか、そういった国の論文を取り上げることもありうると思います。アメリカの先端研究の場合、軍事予算のことも頭の中に入れておかなければいけない、という問題もあり、どうしても、日本とはかなり事情が違っています。単純に規模が10倍といっても、本当にそのまま、日本の規模の10倍になっているのかというと、そこも微妙なところがあると思います。この事例二つを取り上げている背景を、教えていただきたいと思います。

【平野部会長】  
 事務局、どうぞ。

【鎌田企画評価課企画官】  
 これらにつきましては、昨年12月から1月に作業部会の委員の先生方にどのような内容を今回の指針改定で重点的に盛り込んでいくかというのを御議論いただいたときに、結果の記述だけを書かれていただけでは、読む人が、大学の関係者あるいは研究開発法人、現場の関係者が、何を意味しているのか分かりづらいのではないかという御指摘を踏まえまして、一つの参考事例としてこのような事例と併せて文中の記述を読んでいただければ、より指針の理解が深まるのではないかという御指摘を踏まえて、今、事務局案としては盛り込んでいるところでございます。

【西島委員】  
 私もその辺はよいと思うのですが、もし事務局として可能であれば、バランスを見て、英国のことも書いてありますから、ヨーロッパの状況を踏まえるとか、あるいは、この事例の位置付けですけれども、読者を配慮した客観的な一つの情報提供であり、ここに向かっていくことを推奨しているわけではない、ということを少し明確にした方がよいのではないかと思います。もちろん、アメリカの事例が悪いというわけではないのですが、例えば一般論として、研究者が論文のランキングなどにこだわっていると文中で指摘しながら、あえて『Nature』や『Science』を重んじるような事例を持ってくると、自己矛盾にならないかと、そう思っただけです。

【鎌田企画評価課企画官】  
 御指摘ありがとうございます。今の御指摘の部分につきましては、この資料2の「はじめに」の部分に、「また、これまで本文中に記載してきた、本指針で用いられている用語・略語の概念・定義等については、基本的に巻頭にまとめて整理するとともに、指針の記述内容の御理解を深めていただくものとして、囲みの形で参考となる関連情報についても盛り込んでいくことに努めた」ということで、あくまで参考であり、推奨しているものでないという旨は気を付けて書かせていただいているところでございます。

【平野部会長】  
 分かりました。局長、どうぞ。

【土屋科学技術・学術政策局長】  
 西島委員の御指摘の点に関連して、これは先生方で御議論いただければと思うのですが、確かにアメリカが全て最高・最善であるかどうかというところはいろいろ議論があると思います。ただ、今回の指針の改定の背景でもあるのですが、世界的な競争が行われている科学技術の活動の中における評価というのは、やっぱり世界標準を日本の中にきちっと持ち込まないといけないのではないかということから見ると、我が国はどうも遅れているところがいろいろあるので、今回大きく改正させていただければと考えております。このような背景の中で、アメリカはこうだ、ヨーロッパはこうだ、あれもある、これもあるというふうに紹介するのがよいのか、それとも、これをそのまま入れるかどうかはまた別の議論があるにせよ、ベクトルとして一つの明確な方向性を示しているものについては、やはりそれについての理解をどんどん増していただくように評価指針をまとめていただくか。評価指針はそれ自体がメッセージになると思うので、ある程度、思い切ってメッセージ性を出した方がよいのではないかと思うのですが、これは本日の委員会でも少し御議論いただければと思います。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。それでは、まず意見を聞いていきましょう。
 有信委員、どうぞ。

【有信部会長代理】  
 今の点に関しては、有本さんがもう少し適切にフォローしていただけると思いますけど、作業部会で議論したときの一番のポイントは、いわゆる科学技術について科学者コミュニティが自らきちんと説明責任を果たす必要があるということだったと思います。説明責任を常に果たし続けていかないと、無理解な外部の一定の方向性によってむしろ科学技術の推進そのものが大きく偏向してしまう可能性があると思います。
 本改定案は、いろいろと御指摘を踏まえて修正していただけると思いますが、今までの指摘を伺っていると、これはずっと長く実用側に関わってきた者の意見だと思って聞いていただければと思いますけれども、いわゆる従来のリニアモデルの考え方にすごく影響されているという気がしています。例えば、自由な発想に基づく研究に関して期間を意識しなければいけないという指摘に対して御意見があったということの説明がありましたけれども、科学研究というのは新しい現象や新しい法則性を発見するものであり、その目的を達成するまでに掛かる期間と、それから、その研究で発見された新しい現象や新しい法則性を新しい学術として一般化・抽象化していくために掛かる時間、これは分けなければいけない。それからもう一つは、科学研究によって発見された現象や法則性を具体的な成果として実用化する、そこに掛かる時間ですね。ここには、科学研究で発見された新しい法則性や現象はもちろん非常に重要なコアにはなりますけれども、ほかに様々な技術革新が必要とされてきます。ここにとても時間が掛かり、トータルで見ると基礎的な研究から実用化に結び付くまでの間には相当の時間が掛かる。したがって基礎研究についても時間が掛かるというふうに考えられがちなのですが、基礎研究における新しい現象や新しい法則性を発見するために掛かる時間についても世界との競争であり、できるだけ短くなければいけないはずです。つまり、新しい発見について言えば、誰が発見するかが重要なのであって、もしそれが重要でないとすれば何も日本でそこに資金を投入する必要はないわけですから、日本の誰それが、あるいはどこでその研究が実を結ぶかということが非常に重要であって、そのためには当然、期間や目標を適切に評価をされなければいけないし、世界の動向を見た上で評価をされなければいけないということです。それをさらにイノベーションに結び付けるための様々な実用化のフェーズに当たっては、本当に必要なほかの科学的知識や技術、あるいは技術革新に向けての適切な目標設定、計画ができているかという観点で見ていかなければいけない。多分これが評価のプロセスで、事前評価、中間評価、事後評価についても、このように研究の内容によってもちろん違うということを踏まえながら議論をしてきたつもりでしたが、一般的に書いてしまうとやっぱりそこのところが何となく誤解をされるような気がしています。実用側から見るとそういう印象を非常に受けていますので、そこを少し配慮しながら書いていくと、さらにすっきりまとめられるのではないかと思います。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。有本委員、どうぞ。

【有本委員】  
 私はこの評価指針というのは、政策決定者、府省レベル、資金配分機関レベル、研究開発実施機関レベル、あるいは研究チームや研究者個人、さらには学会というところのマインドセットや、イノベーションのあらゆる段階における評価の方法も含めて、かなり革命的なことをメッセージとしたい、あるいは実行してほしいということを伝えるものではないかと思っています。そういった意思が、指針という形式になると、どうしても形式的になってうまく伝わらないように思います。そういう視点で二、三、コメントいたします。
 一つは、ここまで一生懸命検討してきたのに、現在の総合科学技術会議にはどれぐらいの実行する意志があるのかどうかというところを確認してほしいと思っています。と言いますのは、我々は、第4期基本計画、また、昨年12月に決定された国の大綱的指針に基づいて、議論してきたわけです。しかしその間に、政治が変わり、総合科学技術会議のメンバーも変わって、ほとんど今度の科学技術イノベーション総合戦略の中に研究評価についてこういった意志がないと私は思っております。ここのところを今の段階できちんと総合科学技術会議と対話をして、総合戦略を実行するためにはこれぐらいのことをやらないといけないんだということを共有しないといけないと思います。
 次に、従来は、評価というのはベクトルが研究の現場の方にずっと向いて来た。研究のプロジェクト、あるいは研究者個人、研究チームに向いて来ましたが、それが、いよいよベクトルが上の階層にも向く。上という意味は、この文部科学省内部部局の方々もそうですし、ファンディングエージェンシーもそうですが、プログラムあるいは施策の作成、プログラムの設計、それを踏まえたファンディングエージェンシーによるPD・POの選任、こういった層の担当者、部局の責任も問われているようになるわけです。これについては、何となく書いてあるような気もしますが、少し曖昧になっているのではないかという気がいたします。もう少し明確に書いた方が良いと思います。
 もう一つは、どこかには少し書いてあるような気がしますが、ここまで思い切って評価の視点、方法を変えるのであれば、あらゆる機会に、学会や政治、行政、研究機関と対話をしてこれを浸透させる必要がある。全体を一体的に動かさないと、研究の現場に必ず負担が掛かるような気がします。
 最後に、さきほどの『Nature』と『Science』の記事を参考として転載することについては、作業部会で議論した後、インターアカデミーカウンシルや、その他の提言等が公表されていますので、そういうものを参考文献として加えて、評価に関与する人たち、内局やファンディングエージェンシーの職員等、それから評価を受けようとする研究者も含めて、標準的に読んでおくべきリーディングスをまとめておく。今、世界中で問題になっていることなので、それらを少し整理してもらえればよいのではないかと思った次第です。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
今御発言のあった『Nature』等の国際的な動きについては、背景をきちんと浸透させる上でも、理解をしてもらった方が良いと思いますので、こういう背景があるということを紹介しておくことができれば、と考えております。また、有本委員が言われたことに関しては、前期の本部会のときにも、PDCAを掛けるときは政策レベルまでやらなければいけないんだということを言われておられたのですが、うまく対応できませんでした。今回は、それも理解した上で、政策あるいはプログラムを実行する側においても、評価にしっかりと対応できるようにしてもらいたいということを頭書きに入れた方がよく分かると思います。これは後で事務局とまた相談します。その点においては、よろしいでしょうか。
それでは、続けて御意見をずっと伺います。五神委員、どうぞ。

【五神委員】  
 まさに、今、部会長から発言のあった点を冒頭にきちんと明確に書く必要があると思います。第3期の科学技術基本計画の議論をしたときと、第4期の途中という今の状況では、科学技術創造立国という言葉そのものの意味が全く違っています。また、東日本大震災もありましたし、国際的に見ても急速に日本の地位が下落しているということを実感しているところです。このような状況において、科学と社会、あるいは学術と社会というものの乖離(かいり)が指摘される中で、「科学技術創造立国を目指して努力していかなければいけない」というようなことを曖昧に書くことの不用意さを、非常に感じています。また、「文部科学省は、科学技術と学術とを総合的に振興することを任務しており」という記述があるのですが、国際社会の中で人類社会全体を見据えて、日本は今、人材育成と科学技術をリンクし、短期的、長期的両方の視点から、どのような責務を負っているのか。どのような立ち位置に立てば、後年見たときに限られた公的資金を正しく使ったと評価されるのか。これを明確にする必要があります。それは、日本の国民だけでなく、人類社会の中できちんと評価され、すなわちそれは、人類社会全体の中で地位を維持するということになると思います。ですから、この冒頭のところを、科学技術創造立国をよしとし、先頭を目指しましょうというようなイメージで表現するのではなく、今の状況を厳しくわきまえた上で、日本の立ち位置を意識して、人材育成と科学技術のためには今、なにをしなかればならないのかをここで述べるべきだと思います。
 なぜ文部科学省の役割をより先鋭的に明確化することが重要かというと、現在、産業との関わりが非常に重要な情勢になっている中で、人材育成というのは本来的に長期課題ですから、そこに責任を担っていることと、最先端の科学技術をどのように活用していくのかを考えるのは、まさに文部科学省の役割だと思うからです。そういう視点で厳しくこの評価指針を作るんだということが頭にあると、今の議論のメッセージを出せるのではないかと思います。今読み直してみると、非常に不明瞭というか、曖昧になっていて、インパクトのない文章になっていると感じました。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
 今の御意見も冒頭部分で強調する重要なものと思います。読む人は、まず冒頭を先に読んで、その位置付け、意識付けを見ますので、事務局とまた相談しますが、御意見を踏まえて冒頭に入れ込んでから各論的な部分に入っていくというふうに提案をさせていただきます。
 大隅委員、どうぞ。

【大隈委員】  
 何回か欠席の回がありましたので、今の段階になって申し上げるのはちょっと心苦しいところがあるんですけれども、先ほど土屋局長が言われましたように、この評価の指針というのは非常に強烈なメッセージとして発されるものだと私も理解しております。その中で決定的に欠けていると思いましたのは、研究不正の取扱いということです。これは、委員及び事務局の皆様もよく御存じだと思いますけれども、大変大きな、特にライフサイエンス系では問題が幾つも懸案事項になっている中で、国民はそういうところを当然のことながら知っているわけです。書きぶりとして、これは性善説にのっとっており、それもすごく大事なことだと本当に思いますが、ポジティブに実行していくにはどうしたらよいかという観点のことしか盛り込まれていないので、何か大変よくないことが起きた場合にはどうするのかということについてのポリシーが全く欠落しているのではないかというふうに思いました。このタイムスケジュールの段階でそれを申し上げるのは大変心苦しいことではありますが、この指針がインパクトのあるものにするためには、その項目はやはり今回盛り込んでいただくということを考えていただけないでしょうか。
 以上です。

【平野部会長】  
 有信委員、作業部会での議論の背景を御紹介願います。

【有信部会長代理】  
 非常に重要な御指摘だと思いますが、作業部会ではその点については全く議論をしていません。したがって、これは相当重要な問題なので、単純に1項目つけ加えなさいというだけでは済まないし、今の論点をつけ加えるとしたら、作業部会でその点に関してだけもう一度議論をしないといけないと思います。改めて事務局と相談しますが、1節、文案を練ってつけ加えて、さあどうでしょうかでは済まない話だと思います。

【平野部会長】  
 事務局、今の点についていかがですか。

【鎌田企画評価課企画官】  
 事務局といたしましては、もちろん、委員の先生方がそうすべきということであれば、作業はさせていただきます。また、研究不正は研究不正で、別に、文部科学省でも評価指針以外でまとめているものがありますので、その辺も評価指針に入れ込むのが適当かどうかについても、検討させていただければと思います。

【平野部会長】  
 大隅委員、いかがですか。

【大隈委員】  
 評価というのは当然のことながら、不正が起きたということに関しても当然評価がなされて、それが適切にフィードバックされなければならないものと思います。もし、今回の指針中に仮に盛り込めなかった場合には、それは別添になりますということをきちんと含めた形で整理していただけたらよいのではないかと思います。

【平野部会長】  
 分かりました。非常に重要な論点だと思います。研究不正の観点を今議論いただいている評価指針の中にきちんと明記した上で、評価指針以外でまとめているものに基づくということにするのか、あるいは、一度再整理し、評価指針に整合するように、研究不正について記載するのか、何かしら文部科学省の考えというのは入れておく必要があると思いますので、今の点については、まず、有信委員と事務局で議論させてください。そのほか、いかがでしょうか。河合委員、どうぞ。

【河合委員】  
 3点ほど申し上げたいことがあるのですが、その前に、有本委員から御意見があった、総合科学技術会議の最近の評価専門調査会の雰囲気はどうなのかということなのですが、実は私、2回開かれたうち、最近の1回を欠席しておりまして、完全にはフォローしていないのですが、確かに以前と比べると、第4期科学技術基本計画に対して、こうやらなくてはという整理はもう一段落ついてしまい、さあ次はどうしようという感じになっていて、これから何かをやるぞ、という意識は形となってまだ見えていない段階かなと思っています。9月に次の会議がありますので、今後もそれに関しては気を付けて見ていきたいと思っています。
 それから、この指針の内容について三つほどコメントしたいと思いますけれども、一つは、特に文部科学省の場合には課題解決型の研究と自発的な研究があるわけです。今回、指針を新しくするというのは、課題解決を推進するというものがあるわけですけれども、それだけではなくて、自発的研究なども非常に重要な意味を持っているということを書き込んであるわけですけれども、その区別が評価の指標としてどういう点に重みをそれぞれつけるか具体的に書かれていません。このままだとそれぞれの評価においてちょっとかいつまんだ評価を、例えば課題解決を標榜(ひょうぼう)した研究でありながら、その評価の段階で、こういうふうに人材を育てたからいいんですよと、終わったときに言う。それが全体の評価として正当なものかというようなものがあったりするのではないかと思います。その区別をもう少しはっきりした方がいいのではないかと、そして、それぞれどこに重みを置くべきかというようなことを、ある程度示した方がよいのではないかと思いました。
 それから、二つ目の点ですけれども、若手の処遇に評価を活用する、これがかなり重要な項目になっていると思います。ただ、これは恐らくプログラムの組み方の問題に関係すると思うのですが、若手が研究活動の中でいろいろ経験を積み、そのうち独立した研究者としてPIになっていけるような、そういう研究者を育てられるかと、そのようなことが評価の観点になっているとは思うのですけれども、例えば、私は本当に基礎的な研究をやっているので、科研費で研究員を雇う。そうすると、その科研費研究員はその研究への専念義務があって、自分の自主的な研究テーマを持って別の課題を申請するとか、そういうことは許されないと、そういうような縛りがあったりするわけです。あるいは、課題解決型の研究の場合では、もっと厳しいことになっていて、代表研究者は、ある課題を解決するために若手の研究者をPDとして雇った場合に、それぞれが自分の問題を見つける能力を育成するより、そのテーマの実行部隊としてできるだけ能率的に働いてほしいと、そういうふうになりがちなわけです。そういった部分が様々なひずみとなっているのは御存じのとおりで、その結果として自立が難しくなるということがあると思います。その自立への促しというようなことをどうにかこの評価指針の中に入れられないかということが二つ目です。
 それから三つ目は、追跡評価であり、これは今回の改定で非常に重要な点になると思うのですけれども、それはアウトカムという片仮名語で書かれていますが、効用とか、波及効果などをプログラム単位で評価すべきであるということが重要な項目になっているわけです。それをある程度中長期的な、例えば、ある研究課題またはプログラムが一区切りついてから数年たったところで評価するというようなことが重要になると思いますが、どのように実施していくのか、また、その際の指標は何にすべきかということについて、もう少し指標を示した方がよいのではないかと思います。例えば、このままだと問題があると思うのは、追跡評価の場合、研究プロジェクトが一つ終わって、5年たつと、なぜ5年前のことをやらなければいけないのか、あるいは研究チームが解散してしまっていると5年後に報告書のようなものを用意せよということは難しくなることが想定されるため、評価側でプログラムの中の一部として追跡評価をする仕組みを初めからプログラムの中に入れておかなくてはいけないのではないかと思いますので、そのような視点が書き込まれてもいいのではないかと思いました。
 以上の三つです。

【平野部会長】  
 重要な御指摘を頂きました。まだたくさんの御意見があると思いますが、時間が限られている状況です。どうしてもという方がいらっしゃれば。では、伊地知委員、その後、栗原委員、手短にお願いします。あとは、皆様方に宿題をお願いします。

【伊地知委員】 
 冒頭、鎌田企画官の方から、事前に私がコメントさせていただきました幾つかについて御説明いただきましたが、これらについて言及させていただきたいと思います。
 今の河合委員の最後の点と関連するところでは、一つ、データベースをきちんと整備するということがあると思いますけれども、もう一つはやはり、今般の改正の重要なポイントというのは、大綱的指針を受けてアウトカムという概念がきちんと出て来たということだと思うのですが、しかしながら、それがきちんと共有されないと、実際動くものにならないということであります。ということで、アウトプットとアウトカムについて、具体的には例えばこのようにしたらいいのではないかということで御提案させていただいたものがあります。それはなぜかというと、今、例示で対象と行為とが結構混同しているようなところがありまして、そこを区別した方がいいのではないかということであります。
 アウトプットについては、研究活動の成果物として、その受け手に向けて提出されるもの。例えば、投稿された学術論文、特許出願された発明、提出された規格原案、作成された設計図、開発されたプロトタイプなど、研究開発の現象的ないし形式的側面として発現するということでよろしいかと思いますが、一方、アウトカムについては、研究活動自体やその成果物、アウトプットによってその受け手に研究開発活動実施者が意図する範囲でもたらされる効果・効用となります。科学技術コミュニティに生じる価値の内容、括弧としてこれらの指標として、目標等に応じて、例えば論文の被引用数、テニュアポストを獲得した研究者の割合等が挙げられる。それから、製品やサービスなどに係る社会・経済的に満たされる価値の内容、括弧して、これらの指標として、目標等に応じて、例えば、新製品・サービスに基づく売上高、特許実施許諾収入、規格の標準化、第三者によるプロトタイプの利用等が挙げられる、などがあります。なお、研究開発の本質的ないし内面的な側面として発現するといった点をもう少し整理する必要があるというのが、一つ提案であります。
 二つ目は、先ほどから、『Nature』と『Science』について御議論がありましたけれども、訳文を拝見させていただいて、誤訳ではないかと思う部分もございましたので、そこは修正していただければと思っています。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。今、具体に文章も言っていただきましたので、その文面を事務局へお送りいただければと思います。
 それでは、栗原委員、どうぞ。

【栗原委員】  
 2ページ目のところの最初のパラグラフですけれども、今回のこの文書は非常に基礎研究・学術研究の在り方を問うているもので、目標や意義が不明確なままの研究は許容されないということを明確に言っていて、どういう研究をやってほしいかというのは、既存の学理の再体系化を促すことなどを意識するというふうな言葉になっているんですが、先ほど有信先生がおっしゃったように、研究には新しい知見と新しい発見というのが大事だと思いますので、もちろん既存の学理の再体系化の中にも入っているかもしれませんが、新しい学理の創出や、新しい学術分野の創出というような言葉を併記した方が良いのではないかと思います。再体系化を促すということだけで基礎研究・学術研究を考えると非常に狭く捉えられる可能性がありますので、その点をコメントさせていただきたいと思います。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。今、栗原委員が御指摘の点はこの部会でも議論されたところですが、書き方が少し簡略化されすぎているのかもしれません。

【栗原委員】  
 そうですね。以前はそうでもなかったんですけど、今回の改定案ではすごく簡略化されているように思います。

【平野部会長】  
 これについては、誤解のないように、今の文章を事務局へ御提案いただければと思います。

【栗原委員】  
 すごく大事なところだと思いますのできちんと記載いただきたいと思います。

【平野部会長】 
 先ほど宿題と申し上げましたが、皆様に是非お願いがあります。もう一度、本日の御議論を踏まえて改定案を見ていただいて、これまで御指摘いただいたところも含めてですが、具体的に文章を修正いただき、事務局へ御提出いただけますでしょうか。ここは不明確であるという御指摘も大事なんですが、具体的な御指摘をお寄せ願いたいと思います。御議論を最大的に採用・反映しながら、まとめに向かって、全体を通して、また見ながら確認していきたいと思っております。各部分については、是非具体的な文面で、ここはこういう文章がいいとか、そういう形で御提案いただけますと幸いです。例えば、先ほども御意見であったように、目的ではなくて、目標という表現の方がよいとか、先ほど河合委員が御発言いただいたことも大変重要で、多分、頭の中で文章を描いた上で発言されていると私は思っていますので、その文章を事務局へお届けいただいて、具体の問題として議論していきたいと思います。
 鎌田企画官、いつぐらいまでにお願いしたらよいでしょうか。

【鎌田企画評価課企画官】  
 現在、委員の皆様方の御日程を調整中ですが、恐らく次回は9月頃になろうと思いますので、もちろん直前まで頂くことでも結構ですが、できれば8月早めにお送りいただければと思います。

【平野部会長】  
 それでは、お忙しいところを大変申し訳ないですが、2週間ぐらい見て、8月15日を一つの目途として、委員の方々から事務局へ文面としてお寄せいただきたいと思います。それをまた整理いただいて、皆様にまた目を通していただいて、次の部会では、修正が見える形で、皆様にお示しし、全体を通して、きちんと方針が抜けていないかを確認していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、本日のもう一つの議題に移りたいと思います。研究開発法人評価の在り方について、御議論いただきたいということであります。
 現在、国では研究開発法人制度の在り方について議論がなされておりまして、その法人の在り方についてもこの部会の委員の皆様方に御意見を賜りたいということであります。事務局から資料を説明していただいて、委員の方々から自由に御意見を頂きたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、事務局から説明をお願いします。

【鎌田企画評価課企画官】  
 ただいま部会長より御紹介いただきましたとおり、現在、独立行政法人改革、それと並行いたしまして、研究開発法人制度の在り方につきましても、議論が行われているところでございます。
 まず、机上資料15を御覧いただけますでしょうか。机上資料15は、今般の骨太の方針、あるいは、成長戦略、CSTPの「科学技術イノベーション総合戦略」、ここで研究開発法人について触れられている部分を抜粋しているものでございます。
 まず、骨太ですが、こちらにつきましては、下線を引いておりますとおり、研究開発法人については、独立行政法人制度全体の見直しを踏まえつつ、研究開発の特性を踏まえた世界最高水準の法人運営を可能とする新たな制度を創設する、と記載がございます。
 また、ページをおめくりいただきまして、成長戦略におきましても、「研究開発内容や評価を踏まえたメリハリある予算を実現するなど研究開発法人の機能強化を図る」、また同様に、研究開発の特性を踏まえた法人、新たな制度を創設するということで、次期通常国会に法案提出を目指すというところまで触れているところでございます。
 また、「科学技術イノベーション総合戦略」、3ページ目ですが、こちらにつきましてはもう少し詳しく言及されており、研究開発成果の最大化を第一目的として、研究開発法人を、国家戦略に基づき、大学や企業では取り組みにくい課題に取り組む研究機関であることを制度的に明確に位置付けて、国際競争力の高い人材の確保や国際水準を踏まえた評価指針の下での評価の実施、その他もろもろの内容を含んだ新たな制度を創設するという方針が示されているところでございます。
 次に、机上資料16を御覧いただけますでしょうか。現在、御案内のとおり、独立行政法人評価につきましては、中期目標、中期計画、年度計画を策定いたしまして、それに基づきまして、毎年度の年度評価、業務実績評価が行われ、また、中期目標期間における評価が行われまして、各省に置かれている評価委員会と総務省に置かれている政策評価・独立行政法人評価委員会で2次評価を行い、業務の在り方の見直しや勧告なども行われているのが評価の概況でございます。
 机上資料17ですが、参考として文部科学省の研究開発関係の法人については、独立行政法人評価委員会の科学技術・学術分科会に、九つの研究開発組織とする法人がございます。
 次の机上資料18ですが、独立行政法人評価委員会の年間のスケジュールの概要がありますが、それぞれの法人の年度業務実績評価や中期目標期間の評価などが、年中、実施されているスケジュールとなっているところでございます。
 次に、机上資料19ですが、これはあくまで御参考ですけれども、各法人の5年間の中期目標期間を流れ図で示しているものでございます。
 それらが独立行政法人評価の現時点での概要ですけれども、机上資料14を御覧いただけますでしょうか。内閣府に設置された独立行政法人改革に関する有識者懇談会の「独立行政法人改革に関する中間とりまとめ」です。この11ページに研究開発を行う法人への対応というところがあり、独立行政法人改革の中で研究開発を行う法人の課題ということで特出しして、記載されているところです。この11ページの「しかしながら」の部分ですけれども、研究開発法人については、研究開発の成果の最大化により重きを置くべきであること、あるいは国を代表して国家的に重要な政策課題等に取り組む機関であることが明らかでないこと、研究開発成果について、科学的知見に基づく評価などが不十分であるなど研究開発にふさわしい評価制度になっていないこと、総合科学技術会議の法人に関する制度が不十分であり、司令塔機能が十分発揮されてないというような、このような課題があるという点が御指摘いただいているところでございます。
 それから、もう一つ、机上資料13ですけれども、このような研究開発法人の制度の改革の流れに自民党の方からも御提言を頂いており、この資料の6ページの(5)新たな研究開発法人制度の創設というところでこの課題に触れていまして、その下の方ですが、新たな研究開発法人制度において法的措置が必要な事項ということで、丸1から丸7ですが、まず研究開発成果の最大化を第一目的とするというようなこと、あるいは、研究開発の特性に配慮するということ、研究開発法人に対して主務大臣の要求を可能にすること、それから、給与水準についても国際競争力の高い人材の確保をすべきとすること、審議会への外国人委員の任命を可能とするようなこと、総合科学技術会議が国際水準を踏まえた評価指針を策定して評価を行うべきであること、中期目標期間の上限を7年とする、というようなことを御提言いただいているところでございます。
 このような状況も踏まえまして、今後、研究開発法人の評価というのがどう在るべきかというのを具体的に決めていかなければいけないわけですけれども、委員の先生方におかれましても、率直に御意見を賜りたく、たたき台を作成いたしました。それが机上資料のところに置かせていただいております「研究開発成果の最大化等のための研究開発法人に対する評価システムの在り方(たたき台)」というところでまとめさせていただいたものでございます。2枚紙で4ページにわたっておりますけれども、簡単に概要を説明させていただきます。
 まず、四角囲みの部分でございますけれども、研究開発法人につきましては、大学や企業では取り組みがたい研究開発課題に取り組む主体として、多額の国費を原資として運営される主体として、研究開発成果を最大限に創出していくことなどにより、国民・社会・国家戦略的観点からの期待に積極的に応えていく必要があるというようなこと。それから、研究開発法人の研究開発の特性、競争性、不定型性、予見不可能性、不確実性など、様々な特性がございますけれども、これらに十分配慮された評価体系に現行の独立行政法人制度では必ずしもなってはおらず、研究開発法人の成果を最大限に発揮できるような評価システムを再構築していく必要があるのではないかという点でございます。
 各論ですが、まず、中期目標の期間です。現行の独立行政法人制度では3年以上5年以下という形で一律に設定されているところでございますけれども、研究開発法人につきましては、それぞれの個別の課題(プロジェクト)は始期も終期も期間もまちまちでございますので、そのような外形的一律の5年という期間で区切って、全事務・事業について一括して業績評価を行うということが本当に適当であるのかという点でございます。したがって、研究開発法人については、少なくとも7年など、より中長期の中期目標期間を設定すべきではないかという点でございます。
 それから、目標については、現時点では達成度評価が行われておりますので、まず、目標を設定するに当たっては、リスクをなるべく取りにくい設定になっています。研究開発法人については、そのように実現可能な目標を着実に達成していくというようなことよりも、実現可能性は不透明であってもハイリスクな研究に積極的に挑戦していくというような在り方が大事なのではないかという点でございます。そこについては、目標を設定するに当たり、必ずしも定量的なものに縛られずに、定量的・定性的にかかわらず、実質的な目標を設定するということを推奨していくべきではないかという点でございます。
 それから、2ページ目の達成度評価から成果主義へというところですが、先ほど申し上げましたように、現在の独立行政法人制度では、その目標に達成しなければ、予算を削減させられるとか、業務が廃止されるというような評価がなされているところであり、これではなかなかハイリスクな目標や研究にチャレンジすることができにくい体制となっております。そのため、目標の評価の在り方につきましても、できなかった、目標が達成できなかったことに焦点が当たるような評価ではなく、実際に創出した成果や実施した活動自体のアウトカム、インパクトがどれだけ、国民・社会・国家戦略上に大きな影響があったかというようなことを中心とした評価とすべきではないかという点でございます。
 それから、業務実績評価と事務・事業、組織・体制、予算等の見直しとの関係ですけれども、現在の独立行政法人評価制度においては、業務実績評価の結果で、予算の在り方、事業の組織の在り方が見直されるという形態になっておりますけれども、研究開発法人については、国の科学技術(イノベーション)戦略でありますとか、社会経済情勢、国際的な科学技術動向、これらを踏まえて、随時、柔軟に迅速に対応させていかなければならないという特徴がありますので、年度あるいは中期目標期間という外形的に決められた期間の業績の評価でこれらの組織や予算の在り方が決められるというのは必ずしも合っていないというような状況がございます。むしろ、研究開発法人については、過去の業績というよりも、未来の活動への期待、あるいは国の戦略、財政戦略も含めてですが、このようなマクロな観点から組織の在り方、予算の在り方などが決せられるべきではないかというような点でございます。
 続きまして、業務実績評価の目的ですけれども、現在の独立行政法人評価は、今申し上げましたように、業務実績評価と組織の見直し、予算の見直しがリンクしてPDCAサイクルが形成されておるところですが、それを仮にリンクさせないということになりますと、別の業務実績評価の目的が必要になるところでございます。したがって、3ページ目ですけれども、研究開発法人の業務実績評価については、研究開発法人がきちんと国民・社会に、自らの活動、成果を説明する機会、あるいはその業務を見直す適切な機会というものとして捉えていく。それに当たっては、その評価の結果がマイナスの効果として、削減、廃止されるというものではなく、こうした方が良いのではないかという、プラスの評価のものとして積極的に活用されていくものの方が良いのではないかという点でございます。
 評価指針ですけれども、研究開発法人の最大の目的は研究開発成果の最大化ですので、それを最優先の課題としまして、その評価についても、総合科学技術会議が科学技術(イノベーション)戦略の観点から国際水準も踏まえた評価指針を策定したものをベースとして、主務大臣及び研究開発法人が自ら作成していくのが適当なのではないかという点でございます。
 次に、第三者評価機関でありますが、各省に法人を評価する審議会あるいは評価委員会が置かれるわけですけれども、その業務の効率性や合理性ももちろん含めて、我が国の科学技術(イノベーション)戦略の視点、それから研究開発成果の最大化、多様な視点も含めて、主務大臣に対して助言・意見をする位置付けとすべきではないかという点でございます。その際には、日本国内の有識者のみならず、海外の研究者等の知見も交えて、助言いただく形が良いのではないかという点でございます。
 4ページ目ですけれども、仮に、現在、独立行政法人改革に関する有識者懇談会の方で検討されております評価機関に、勧告権限その他、強い権限を付与するということも議論されておりますけれども、そのような場合については、評価の責任と権限は一体として強い勧告権限が与えられるのであれば、責任を付与しなければいけないという点でございます。
 次に、総務省の行政評価・監視との関係ですけれども、もちろん研究開発法人も例外なく総務省の行政評価・監視の対象となるわけですが、それは別の目的として、業務実績評価とは分けるべきではないかという点でございます。
 次に、その他の研究開発法人評価の改善のポイントとしまして、先ほども若干触れさせていただきましたけれども、マイナスの削減のための評価ではなくて、重点化・加点方式として、より良いものとしていくための評価。それから、二つ目の丸は、現在も事務方・研究者に多量の研究評価のための作業が負荷も掛かっておりますところ、責任者・マネジャーなどがしっかりと責任を果たして、責任を負う形の合理的・実質的な評価とすべきではないかという点。それから、国側の問題ですけれども、財務省、総務省、行政改革、会計検査院、CSTP、第三者機関、主務省、それぞれ研究開発については現在も評価を行っているところですが、これらと業務実績評価の関係の責任や権限関係が明確な評価システムであるべきという点も、論点の一つかと考えております。
 以上をまとめたものを、青い紙で概略をまとめさせていただいたものをお配りしております。このような視点を一つのたたき台としまして、もし委員の先生方から率直な御意見を賜れればと考えております。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。どうぞ、土屋局長。

【土屋科学技術・学術政策局長】  
 一言補足させていただきたいのですが、この新しい制度の対象については、研究開発法人は世界と戦うための体制整備を行うための制度と考えていまして、したがって、現在、研究開発をしている法人が国全体で37あるわけですが、この37法人がそのまま移行するわけではなく、世界と戦う法人を対象にするということで、それを前提に御検討いただきたいと思います。

【平野部会長】  
 確認ですが、私たちが今考えて、皆様から御意見を伺おうとするときの世界と戦う機関というのは、文部科学省で言うと、どういうところですか。ある想定がないと、やはり議論しにくいかと思いますが。

【土屋科学技術・学術政策局長】 
 実は、世界と戦うにふさわしい法人がどこかというのは、まだ決めておりません。決めておりませんが、研究開発法人というのは、今、部会長がおっしゃったように、大学だけ、あるいは企業だけではできない研究テーマに取り組む、そういう法人で、国益のために研究活動を行うための法人です。かつ、いわゆる検査とか、何かを確認するといったようなことは当然これから外れてくるわけで、先ほどから議論になっているような、『Science』や、『Nature』、そういうところで厳しくしのぎを削る。その際に世界標準の研究体制の運営ができなければ、なかなか世界と戦う成果最大化が行われないだろうというふうに思っておりまして、その必要性から、制度改革をしたいと思っています。どれぐらいの範囲に絞るか、というのは、非常に微妙なところで、まだコンセンサスがないため、差し控えさせていただきたいと思います。

【平野部会長】  
 よく理解できました。ありがとうございます。
 どうぞ、諏訪委員。

【諏訪委員】  
 今の質問に関連してですけれども、実は私、以前、産業技術総合研究所という経済産業省の独立行政法人におりました。今の議論は、文部科学省が対象とする独立行政法人だと思いますが、世界と戦うという意味では、省庁を超えたオールジャパン的なものを創っていこうという議論だと思うんですね。例えば文部科学省ですと理化学研究所、あるいは産業技術総合研究所などは、とても大きく、日本の一、二を争うような予算規模ですが、その規模で話すことと、また、いろいろな規模の独立行政法人があり、その予算規模で話すことと、論点が大分変わってくると思いますので、予算規模での話などどのように議論をしたらよいのかということを少し整理していただいた上で、論点をもう一度教えていただきたいと思います。

【平野部会長】  
 事務局、どの法人ということは、今、局長がおっしゃったように決まっていないということですが、どれくらいの予算規模のところか。あるいは、機関の評価でなくて、プログラムを持っていくときの評価を基にするか、それを少し合わせてから、議論を伺いましょう。

【土屋科学技術・学術政策局長】  
 私の方からお答えさせていただきます。予算規模というのは、特にリンクしないかなと思っているのですが、この法人制度の問題意識の一つは、世界の中で行われている国際的な頭脳循環に対応した形でいろんな研究活動が行われているような組織にするということです。したがって、ある研究を行いたいと思ったときに、その研究者を諸外国から確保するといったことが自由にできることが、その組織の研究活動に不可欠であるとか、あるいは、独立行政法人というのは法律上、業務を効率的に行うことが目的になっていますが、一方で、研究開発法人というのは研究成果を最大化するということが必要だろうと考えており、評価を行う際の観点をそのように変更することが適当なところということで、今、諏訪委員が例示で挙げられた理化学研究所や産業技術総合研究所というのは大体それには適合するのだろうと思っております。

【平野部会長】  
 西島委員、どうぞ。

【西島委員】  
 もう少し具体的な話をすると、例えば真ん中に書いてある目標ですけれども、上の方から見ると、研究開発法人というのは、一つには、多額の国費を原資として運営して、国家戦略的に取り組むということですね。

【土屋科学技術・学術政策局長】  
 規模はあまり関係ないと思っています。

【西島委員】  
 規模は関係ないとしますと、問題は目標のところですが、国民・社会から期待されているというのが、「実現可能性が不透明なハイリスクな研究開発に積極的に挑戦して成果を創出していくこと」とありますが、この文章の主体は研究開発法人なのでしょうか。

【鎌田企画評価課企画官】  
 もちろん一連の流れの文脈としてはそうですけれども、国家戦略的観点も含めたものが研究開発法人だと思います。

【西島委員】  
 一般の国民・社会からすれば、多額の国の原資を投入して期待することは、実現可能性が不透明なハイリスクな研究に挑戦していくことではなくて、むしろ国民・社会に還元するような波及効果のあるような基礎・基盤国家戦略的な基礎研究をやってもらいたいという方が一般的だと思います。例えば、私が所属している業界は最もハイリスクだというふうに言われているのですが、製薬企業における創薬というのは実現可能性が非常に不透明で、しかもハイリスクであります。これは大学や製薬企業が取り組む部分だと私は思うのですが、ただし、その基盤となるような、例えば、SPring-8や、XFEL、スパコン「京」等、こういった大型研究開発基盤を民間団体が担うことは非常に難しいですので、そういった国家的な研究基盤を研究開発法人に担ってもらって、ベンチャー等が安心して先端領域のハイリスクな部分を研究していく、そうして成果を出すということが望ましいのではないかなと思っています。この文脈で目標を見ると、少し誤解されるというか、だからこそ何を想定しているのか不明な部分があるかもしれません。私の頭の中では、理化学研究所のことしか考えていませんでしたけど、どうでしょうか。

【平野部会長】  
 土屋局長、どうぞ。

【土屋科学技術・学術政策局長】  
 今、西島委員がおっしゃられた点ですが、一般論として、日本の研究活動は、民間における活動と、官が行っている活動があって、なぜ官が研究を行っているか、それはリスクを負うということが一番の基本だと思っています。ところが、現状を見ますと、我々、反省しないといけないのですが、リスクを負うというところがだんだん弱くなってきていまして、官民分担を考えれば、よりリスクを負うことに我々はもっと注力すべきだと。もちろん、リスクが高ければ何をしてもよいということではなく、その結果として、社会的・経済的に大きなインパクトがあることが重要ではありますが、リスクが大きいものについては、国として積極的に取り組むべきだというふうに思っております。その、最適な例は、研究開発法人が行う活動であり、まさしく国でなければ担えない研究活動を行っていく組織と考えております。

【西島委員】  
 そうすると、ある意味では、課題解決、出口戦略とはちょっと逆行するものですか。

【土屋科学技術・学術政策局長】  
 出口は絶対に必要だと思いますが、例えば、企業における研究リソースの8割以上は商品化まで3年、5年以内とか、よく聞いていますが、一方で国としては、出口といっても、3年、5年というよりは、むしろその先を視野に入れてターゲティングを置くべきだろうと考えています。

【西島委員】  
 そういう御説明があれば、私もそうだと思います。

【有信部会長代理】  
 論点が少し食い違っているんじゃないかと思うのですが、少なくとも国の独立行政法人としての研究所は、要するに国の科学技術イノベーション政策のいわば実行主体であると、これが第一ですよね。つまり、国の科学技術イノベーション政策というのは、いわば政府が国民から委託を受けて日本の将来を考えて作った政策であって、それを具体的に政策として作り上げるのはいわば企画部隊の役割で、これを実行に移すのが実行部隊としての研究所の役割だということがまず第一にあって、先ほどから言われている、いわばハイリスクであるとか、ターゲティングが適切であるかどうかというのは、これは評価側で見るべき問題であって、評価の視点の話なんですね。だから、ここをうまく切り分けていって、つまり、具体的にやろうとしていることが国の科学技術政策あるいは科学技術イノベーション政策を実現する方向になっているかという部分と、それを実現するためのターゲティングが十分にそのリスクを踏まえたものであるか。計画的にやれば実現できるものであれば、それは民間に任せればよい部分もあるわけですから、その役割分担がきちんとできているかというのは、これは評価の視点の話だと思うのです。ですから、評価のところもおそらくそこをきちんと分けるべきだろうと思っており、単純にレベルの問題で国が負担すべき部分というのをこういうふうに書くのはそのとおりだと思いますが、そこから書いてしまうと、そこだけが判断基準になっていて、科学技術イノベーション政策を実現するために適切な提案が十分リスクを抱えてなされているかということも非常に重要なポイントになるんだというふうに思っています。

【平野部会長】  
 室伏委員、どうぞ。

【室伏委員】  
 研究開発法人に対する評価の在り方が、今まで間違っていたといいますか、適切でなかったということが問題だったのだろうと思うんですね。私は、経済産業省の独立行政法人の評価委員会にずっと関わってきていますが、今までは通則法があって、それに基づいて全ての独立行政法人に一律の評価方法が適用されていたという状況がありました。随分昔から、10年近く前から、研究開発法人は別であろうという議論がありました。ですから、こういった通則法をそのまま適用するのは違うだろうということは恐らくいろいろな評価委員会からも出てきていて、総務省との話し合いの中でもそのようなことが行われてきたのですが、なかなかうまくいかなかった。それが、今、こういった非常によい形で改善される、そういう時期になったんだろうというふうに思っています。今までいろいろ課題になっていましたのは、独立行政法人、その前は、様々な機関といいますか、組織だったわけですけれども、そういうもののミッションというのが、先ほどから何度か出ておりますように、大学でも、あるいは民間でもできない部分、いわゆる「死の谷」と呼ばれるような、そういうところを研究開発法人が担うべきであろうと。そういったことで、やはり「死の谷」の部分というのは明らかにハイリスクでありますから、そこで法人がある程度の利益を得るということは難しいので、こういった法人は当然のことながら赤字を出してもよいのだろうという、そういう考え方はあったわけですね。でも、それが今までのやり方でちょっと縛られていたということがあったので、今回、そこをかなり大きく改善しようという動きになっているということで、これはとてもよいことなのだと思っています。
 ただ、この資料を拝見していて少し心配なのは、研究開発法人は例えばハイリスクなものにどんどん取り組むべきであろうとか、いわゆる評価の縛りがかなり緩やかになってしまうというような捉え方をされてしまう嫌いがあるのではないかと思います。ですから、この機関の評価というのが最長7年に延び、その中で行われるものが様々な機関で評価されていくことはとてもよいことだと思いますけれども、ただ、それぞれの機関の中でいろいろな見直しが行われ、改善が行われているということを、年度ごと、ないしは2年ぐらいの期間できちんと評価をしていくということは、とても大事だと思います。研究の進捗状況、進捗段階によっては非常に着実な研究開発というものもあるわけですから、その場合には達成度を評価するということもある意味とても大事だというふうに思います。こういった良い改革を始めようとしているわけですから、この資料がどこまで出ていくか分かりませんけれども、実際に出ていくときには、もう少し分かりやすく、意図を明確にした形で是非まとめていただきたいと思います。
 以上です。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。有本委員、どうぞ。

【有本委員】  
 まず、この資料の位置付けは一体何か、どういう取扱いとなるのかというのがはっきりしない。いろいろと意図があるのかもわかりませんが、それはそれで後から回答いただきたい。研発法人というのはナショナル・イノベーション・システムのどこのポジショニングなのか。それぞれの経緯の中で、今存在しているものがあると思うんですが、まずこの位置付けの部分をはっきり書かないと、ハイリスクだけ書いていると、大学でやればいいではないかとか、そういう話にすぐなってしまうのではないかと思います。
 それから、先ほど西島委員も言われましたけれども、一体この研究開発法人というのは何者かというときに、装置だとか、データベースとか、そういうハードなもの、基盤技術もしっかりやる、それは物すごく時間が掛かるし、開発からオペレーションになっても、運用に資金が掛かるということもあります。しかし、今の独立行政法人の評価では、こういったこと、研究者だけではなくて、技術者等も含めて巨大な人件費を抱えておかなければいけないということが、全然理解されていない。
 それから、仕組みですね。例えば、学部を基礎とする大学ではできないような、これがハイリスクになるか分かりませんけれども、いろんな分野の人を集めて分野横断的に社会科学も含めて大きな研究開発をやってみるとか、そういうようなものも、私は研究開発法人の役割ではないかと思います。いずれにせよ、室伏先生がおっしゃったとおりで、今、独立行政法人というものが非常に見えにくくなっていて、昔は国研と言ったからはっきり分かったんだけれども、80年代に日米摩擦の中で基礎研究、基礎研究と言われて、独立行政法人も全て、論文ベースの評価だということになり、20年間迷いながらここまで来たと私は思っています。しかし、今の独立行政法人が担うべきところは多々あると思うので、そういうスタンスでもう一度、見直すべきだと思います。特に、冒頭の部分ですが、先ほど有信委員もおっしゃいましたけれども、これでは誰も共感しないなという感じがした次第であります。

【平野部会長】  
 どうもありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。五神委員、どうぞ。

【五神委員】  
 私の実感としては、95年の科学技術基本法制定以来、80年代において基礎フェーズにシフトした国研がやっていた仕事の大半を大学でやるようになった。その結果、大学も例えば年間10億円ぐらいのプロジェクトを引き受けるようになりました。しかしながらインフラの部分はそれに見合った形で増強されなかったために、非常に困った状況になっています。たとえば人材を見ると、任期付きの人たちが多数大学に停留している構造になっている。そういう視点から、人材の流動性を促して、研究人材を雇用するプールとして研究開発法人を活用するという行き先を明確化していくことが不可欠だと思います。また、これらを踏まえて、真に大学や企業と相補的なミッションというのがあるのかどうか。あるとしたら、それに見合う規模というのはどのぐらい、今より大きいのか、小さいのかも含めて点検が必要です。そのような大きなリストラクチャリングに資するような評価システムはどういうものなのか。評価システムから改革を誘導するというのは常套(じょうとう)手段だと思うので、それを目指す方向性をはっきりさせることが大切だと思います。現在、独立行政法人にいる人は固定しているという状況がありますから、そこに圧倒的な流動性を持ち込まなければ、国のシステムとして効果的には使えないと思います。人を回せるようなシステム改革につながる評価の戦略が不可欠だと思います。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。伊地知委員、どうぞ。

【伊地知委員】  
 今までいろいろ議論があるように、研究開発法人自体の仕組み、制度、それから国の中での位置付けということが見えない中では、評価システムのところだけ切り出しても、何とも発言しづらいというところがあります。ただ、一般的なこととして、従来、事後的ないわゆる達成度評価だけにかなり着目するような独立行政法人制度から、こういう不確定性が高い研究開発という業務を扱うところでは、この資料等にもう少し触れられてもいいのではないかと思うのですが、中期目標とか中期計画を立てる段階でのいわゆる事前的な評価であるとか、モニタリングですね。先ほど室伏委員がおっしゃったような、そういったことがもう少し明確に言及されても良いのではないかと思います。
 2点目ですが、勧告機能でなくて助言機能でよいのではないかというお話があるところに関連してですけれども、独立行政法人制度というのは国全体一律な制度として導入されて、その経緯としては、当時、イギリスのエージェンシー制度、これは法人格を持ってないわけですが、そこでの独任制という部分を取り入れて、ただし他方で法人格を有されるということで、今のような仕組みがあると。ということは、今の独立行政法人というのは、法人格を有し、ある程度の予算規模とか従業員がいながら、合議制の統治機関を持たない、独任制機関というふうになっているということです。それをある意味補う形で主務省の側に合議規制機関としての独立行政法人委員会が設置されているという解釈もできるのではないかというふうに思っていまして、そうしますと、もしここにあるような助言機関という位置付けになったとした場合に、例えば社会のほかの組織を考えてみますと、株式会社で、ある程度従業員がいれば、当然、統治機関としての取締役会がありますし、それから、社団法人等であれば、当然、理事会等があると、そういう位置付けになるわけですが、そういうものがない、そういう機関が、国の中に、社会の中に、法人として位置付けられているということになります。つまり、助言機関ということになると、主務大臣と理事長が1対1で対峙をするという状況になってくると。こうなったときに、たとえ委員会の側、助言機関の側に、外国から著明な人が来たとしても、そのようにきちんと法人が運営されるのか。一般的には、他国の研究機関の場合は合議制の統治機関を持っていて、そういうところを踏まえながら戦略等を立て、一方で国の施策等とうまく整合させながらやっていくと思うので、助言機関とすることについては、これがよい悪いというのは今の段階ではなかなか判断するのは難しいかと思いますが、少し慎重に考えていただいた方がよいのではないかというふうに思う次第です。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。栗原委員、どうぞ。

【栗原委員】  
 私も独立行政法人評価に関わらせていただいて今年7年目になるんですけれども、その感想を含めて意見を申し上げさせていただくと、評価は最初の頃に比べると非常に進んで、それぞれの法人が自分たちのミッションと目標と成果をきちんと整理して提出するようになって、そういう意味では、例えば、6年前、7年前よりも、現在の法人のマネジメントはすごく良くなっていると思います。目標とかミッションに対してという、まさにその前の研究の評価で、目標を意識して研究する、活動するという、そういう視点に立って、非常によくなっていると思うんですね。
 成果を具体的に表現するということがここ数年非常に言われていまして、例えばSを付けるには具体的な基準がなければSは付けられないということで、報告書の中に定量的・定性的に成果を書き込むということも非常に丁寧にされるようになりました。従って、非常に具体的になっておりますので、かなり負担だろうなという部分も出てきていると思います。そのため、おそらく、多くの研究者のレベルからマネジメントのレベルまでかなりの作業をしないと、具体的な、Sが付くような報告書は作成できないような体制に今はなっていますし、全ての法人に対して、インプット指標とアウトプットというのを書かなければいけないような評価フォーマットになっています。インプットがすごく難しいというのは、そういう意味では室伏委員の言われたように、全部が統一的に作用をするのは難しいのではないかということになっているんですが、研究の部分に関して言えば、非常に具体的に整理されてきているというふうに、私は理解しております。
 そのため、逆に、それだけの作業を毎年毎年やって5年ごとに中期計画を作るのが適切なのかという意見はむしろ、そういうような意味で評価システムがある程度作用して、きちっとそれぞれの法人がマネジメントできるようになってきているので、もう少しインターバルを置いてもいいのではないかというような、むしろそういう方向性で考えることができるのかなと思います。つまり、以前はきめ細かく見る必要があったため、よりショートタームでいろいろなものの計画や評価が必要だったけれども、どういう部分をどのくらい見なくてはいけないのかということを考えた時に、もう少しインターバルを設けるという考え方もあるのかなと。これは、評価する側にも評価される側にも作業が伴うので、どのぐらいの間隔でやるのが適切なのかは、もう少し具体的に考える必要があるかもしれないというのが、私の感想です。この資料を初めて拝見したので、余り具体的な意見にはなっておりませんが、私は、ここ何年か関わらせていただいて、独立行政法人の評価システムと、それぞれの独立行政法人が持つミッションが、実際にマネジメントをする理事長や理事の方たちだけでなく、それぞれの部署までかなり浸透した形でオペレーションされるようになってきたと理解しております。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
 大変貴重な御意見を頂きました。本件は、本日、皆様方から御発言いただいたように、御自由に発言を頂きましたので、ここでどうこう決定をするということはありません。是非、事務局として参考にしながら、また整理をしていただき、どこにどのようなインパクトを与えられるように出せるかというところに注力をして、進めていただければと思っております。また、いずれかの機会に皆さん方の御自由な発言、御意見を聞きたいということがありましたら、また、お諮りしていきたいと思っております。
 それでは、本日も大変重要な御意見頂きまして、ありがとうございました。
 前半の論点である指針の改定案につきましては、申し訳ありませんが、8月15日を目途に是非具体の御提言を頂き、この部会としてまとめていきたいと考えております。有本委員もおっしゃったように、大変重要なターニングポイントだと私も思っておりますので、是非、今後の国の展開に役立つような指針作りに入っていきたいと思っております。
よろしくお願いします。
 最後に、事務局の方から連絡事項をお願いします。

【高橋評価・研究開発法人支援室室長補佐】  
 御連絡させていただきます。
 今回の議事録につきましては、部会運営規則第5条にのっとりまして議事録を作成しまして、各委員の先生方に御確認いただいた後に、ホームページにて公表させていただきます。
 それから、次回の部会につきましては、9月をめどに開催したいと考えております。主な議題につきましては、本日御議論いただきました研究開発評価指針の改定について、改めてまた御議論いただきたいというふうに考えております。後日、改めて日程調整をさせていただきたいと考えております。
 以上でございます。

【平野部会長】  
 本日はどうもありがとうございました。以上をもちまして、本部会を閉会いたします。

―― 了 ――

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科学技術・学術政策局企画評価課評価・研究開発法人支援室

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