研究開発評価部会(第45回) 議事要旨

1.日時

平成24年12月4日(火曜日)15時~17時30分

2.場所

文部科学省3階1特別会議室

3.議題

  1. 科学技術戦略推進費による実施プロジェクトの評価結果のとりまとめ
  2. 科学技術振興調整費による実施プロジェクト等の評価結果のとりまとめ
  3. 科学技術戦略推進費「安全・安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラム」の再審査継続プロジェクトの決定
  4. 研究開発評価システム改革について
  5. その他

4.出席者

委員

平野部会長、室伏部会長代理、北澤委員、佐藤委員、中小路委員、有信委員、有本委員、伊地知委員、大島委員、大隅委員、岡村委員、諏訪委員、奈良委員、西尾委員、福士委員、吉川委員
(各評価作業部会主査等)
藤原プログラムディレクター補佐、三村主査、西垣プログラムオフィサー、井口主査、山本主査、佐藤主査、角南主査代理、高橋主査、山下プログラムオフィサー、豊田プログラムオフィサー、井出主査代理、宮浦主査、板生主査

文部科学省

土屋科学技術・学術政策局長、磯谷科学技術・学術政策局総括官、木村科学技術・学術戦略官、阿蘇計画官、板倉基盤政策課長、鎌田企画官、德成科学技術・学術戦略官付室長補佐

5.議事要旨

 部会長より、議題1~3について、運営規則第4条第3号及び同規則第5条第2項に基づき、会議を非公開とし議事録を非公表とすることが諮られ、部会において了承された。
 また、審議に先立ち、事務局の人事異動として、木村科学技術・学術戦略官の紹介が行われた。

○議題1 科学技術戦略推進費による実施プロジェクトの評価結果のとりまとめ

 審議に先立ち、本部会の金子委員が、今回の評価対象となる科学技術戦略推進費による実施プロジェクトの研究代表者を務めていることから、平成24年4月18日、第42回研究開発評価部会において決定した「平成24年度科学技術戦略推進費による実施プロジェクトの評価の実施について」の利害関係者に当たるため、金子委員については、議題1までは退席いただき、議題2から審議に加わっていただくことにしたい旨、部会長から説明があり、了承された。
 事務局より資料1-1、1-2に基づき説明を行い、続いて、藤原プログラムディレクター補佐から、安全・安心プログラムの再審査結果までを含めた全体の総括があり、その後、各作業部会主査等より中間・事後評価結果を、資料1-3に基づき追跡評価結果の概要説明をそれぞれ行った後、審議が行われた。

 委員からの主な意見は以下のとおり。

・「気候変動に対応した新たな社会の創出に向けた社会システムの改革プログラム」について、評価項目の一つとして、「研究プログラムの有効性」とあるが、「プログラム」という文言が、プログラム-プロジェクト・・・、と階層になって使われている「プログラム」と、その構成要素を指す「プロジェクト」と二つの意味で使われており紛らわしいため、表現の修正が必要ではないか。

・国際政策対話について、現状は、国際会議を年度の後半にしか開催できないスケジュールとなっているが、年度の後半は、西欧ではホリデーシーズン、アジアでは旧正月と、あまりいい時期ではない。もう少し長期の準備期間を持てるようなプログラムのタイムフレームができればいいと思う。

・重要政策課題における、「放射性物質による対策」への対応の遅さについては、採択前の対応の迅速化を、本部会の意見として、総合科学技術会議、文部科学省に申し入れるべきではないか。

 審議の結果、各評価結果について、記載の一部を修正することとし、修正内容については部会長に一任することで、本部会として了承された。

○議題2 科学技術振興調整費による実施プロジェクトの評価結果のとりまとめ

 事務局より資料2-1~2-3に基づき説明を行い、続いて各作業部会主査等より中間・事後評価結果の概要説明をそれぞれ行った後、審議が行われた

 委員からの主な意見は以下のとおり。

・プログラムの評価を実施する際は、プロジェクトを、どのように公募し、評価者を選定し、採択課題を決定するか、また、どのように中間報告を行うか、そういったプロジェクトの選定プロセスにおけるメタ的な評価も含めて、実施するべきではないか。特に、プロジェクトを担う研究者は、与えられたミッションの達成を目指すため、プログラムのミッションの立て方には非常に重い責任が伴い、プログラムの責任を負う側がしっかり考える必要がある。公募要項の書き方そのものの反省や、次のプログラムへどういかすか、ということについても、ぜひプログラム評価報告書の中に盛り込んでいただきたい。

・プログラム評価を実施する際には、俯瞰(ふかん)的な視点が必要となるため、国等が、評価者に対して既存の事業から得られた資料等を提供しながら評価を進めてくと良いのではないか。

・テニュアトラックのプログラムについては、5年間のサポートの経験が、長期間にわたって当該若手研究者のキャリアに対して、どのように影響したか、というのが最も大事な観点であると思うため、追跡評価を実施することによって、このプログラムの有効性もしくは問題点を、きちんとプログラムの評価として取り入れていただきたい。

 審議の結果、各評価結果について本部会として了承された。

○議題3 科学技術戦略推進費「安全・安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラム」の再審査継続プロジェクトの決定

 審議の結果、作業部会の再審査の結果について、本部会における再審査の結果として了承された。

【平野部会長】
 それでは、議題4、研究開発評価システムの改革についての議題に入ります。
ここからは本部会を公開といたします。傍聴の方がお見えでしたら、入室をお願いします。

○議題4 研究開発評価システム改革について

【平野部会長】 
 現在、内閣府の総合科学技術会議におきまして、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」の改定作業を行っております。今回の大綱的指針の改定にあわせて、この部会においても、文部科学省における評価指針の見直しを行うということになっておりまして、改定に関する事項を集中的に審議していただく作業部会の構成については、本日、配付しております机上資料3に記載の方々に、委員としてお願いをしたいと考えております。こちらについては、後ほど事務局からも説明があります。
最初に、事務局から評価指針の改正についての概要を説明いただき、室伏委員から、日本学術会議における評価に関する提言がありますので、それについて簡単に御説明をしていただいた上で、皆さん方の御意見を伺いたいと思っております。
 それでは、事務局から先にお願いします。

【鎌田企画官】
 評価担当企画官をしております鎌田でございます。それでは、国の大綱的指針に関する改定状況につきまして、簡潔に説明をさせていただきます。
 前回10月5日の当部会におきまして、大綱的指針の改定状況につきましては、資料4-1の1にございますように、研究開発政策体系におけるプログラム評価の導入・拡大、それからアウトカム指標による目標の明確化とその達成に向けたシステムの設計、この2つがポイントで改定作業が行われる予定、との御説明をさせていただきましたが、その後、資料4-1の3にございますように、CSTPの方で、10月19日、11月15日、11月21日と3回にわたりまして評価専門調査会の方で具体的な改定案について議論されまして、資料4-2にその概要を付けております。また、資料4-3に改定の新旧対照表を用意しておりますが、当初の予定どおり研究開発プログラムの評価の導入とアウトカム評価の導入、それから、字句の修正、あるいは表現の微修正などがございまして、その点の改正が行われる予定という状況でございます。
 今後について、内閣府の方からは、今月中にCSTPで持ち回りの開催を行って、最終的に大綱的指針の改定の決定という予定でございまして、それを受けて各省庁に大綱的指針の改定について通知をする予定と聞いております。
 文部科学省としては、大綱的指針の改定を受けて、また、前回の会合でも説明させていただきましたが、本資料4-1の2にございますように、研究開発評価システムに係る様々な御提言をいただいているところでございますので、これらも踏まえて、今後、先ほど部会長からも御発言ございましたように、机上資料3にありますように作業部会を設置いたしまして、有信委員、有本委員、伊地知委員、小林委員、冨山委員、室伏委員、それに加えまして、五神教授、それからCSTPでの議論に参加しておられた河合教授、これらの方々に集中的に文部科学省指針の改定の議論をしていただきまして、それを踏まえて、またこの部会で再度御議論いただくというようなスケジュールを考えているところでございます。作業部会の先生方につきましては、今後、日程調整、様々な御連絡をさせていただきますことを、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、研究開発評価部会の先生方につきましては、2月1日以降の次期の会期にずれ込んでしまうかもしれませんが、引き続き御意見を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。

【平野部会長】
 続いて、室伏委員から、日本学術会議からの提言について、御説明をお願いします。

【室伏部会長代理】  
 説明させていただきます。
 日本学術会議では、1年8カ月ほどにわたりまして、研究にかかわる評価システムの在り方について、議論をしてまいりました。10月26日に、お手元にございます資料4-4のような提言書を公表いたしました。これにつきまして、時間もございませんので、簡単に御説明させていただきます。
 今、様々な評価が日本の中でなされておりますが、それが、研究者その他、研究機関に対しても大変な負担になっているという状況があります。日本学術会議では、日本学術会議の会員に対してアンケート調査を実施いたしました。そこから様々な課題が浮き彫りになってまいりまして、それらの課題を解決するための幾つかの提言を行いました。お手許の資料をぜひ一度通してお読みいただきたいと思うのですが、この中で私たちが特に強調したいと思っておりますことを御説明させていただきたいと思います。
 一つは、御手許の資料の3ページをお開き下さい。様々な提言を述べてございますけれども、特に私たちが重要だと思って居りますことは、国の研究評価システム全般に関して、研究にかかわる各種の評価システムの必要性や有効性、効率性等に関してメタ評価を実施するということです。様々な評価に対して、それぞれの研究者や研究機関が対応しており、それが人々の徒労感を招いているわけですけれども、そういったものが本当に必要なのかどうか、有効なのかどうか、効率的にそういった評価が行われるためにはどうしたらよいのかということを、国として各種の評価システムをメタ評価して、それを通じて複数の評価の統合・廃止や、独立した評価組織を設置するということも視野に入れた検討を行うことが重要だろうと考え、提言としてまとめました。
 そのほかにもいろいろな提言がございますが、4ページをごらんください。(2)で若手研究者の育成・支援に資する研究評価システムへの転換方策という形でまとめております。これまでの様々な研究評価が徒労感を招いているということの一つには、それが研究者の育成や支援に結びつかないということがアンケートの結果からも浮かび上がってまいりました。評価というものは、様々な研究者、様々な研究機関に対して、それを応援する、支援する、そして、そこから良い研究を生み出してもらうという、そういう形でやるべきであろうと考えられます。特に若手の研究者には、これからの日本の科学技術を背負っていってもらわなければなりませんので、そういった人たちを育成し、支援していく、そういう形で評価システムを転換していくべきであろうということで、個人評価の在り方、研究課題の評価における若手研究者育成の視点、大学・研究機関の評価における若手研究者育成の視点という三つの視点からまとめてあります。特に大事なことは、大学や研究機関が特に若手の教員や研究者を短期的に結果が出やすいような研究へと誘導するようなことがないようにしなければなりません。つまり、短期的な評価が次々と行われますと、若手の研究者は自分のキャリアのために、すぐに結果の出るような、そういった研究に飛びついてしまうわけです。そうしますと、挑戦的な研究の実施が行われなくなる、それによって、日本ではイノベーションがおそらく進まないだろうと考えられます。挑戦的な研究の実施を促進するような評価方法を構築することが大事であろうと、このような提言をいたしました。
 また、若手にとって非常に不安定な状態が続いておりますので、安定的な資金を確保する努力を大学や研究機関はするべきであると考えます。それで、先ほど大隅委員からお話がありましたが、テニュアトラック制度を構築して、任期つき教員や研究者、ポストドクターが評価結果に応じてテニュアが獲得できるように、大学や研究機関に対して努力を呼びかけております。
 また、研究課題の評価においても、若手研究者が育成され、そこで励まされて、良い成果を上げるということが必要ですので、ここでは、国や資金配分機関に対して、研究課題においてポストドクターや博士課程学生に提供されている処遇や研究環境を確認するということを求めております。それとともに、若手研究者が自立した研究者に成長して多様なキャリアへと進めるように支援する活動、それを積極的に国や資金配分機関は評価するべきであるということを求めております。
 丸3の、二つ目のぽつですが、国や評価機関は、大学・研究機関の活動状況の評価において、若手研究者の研究環境や各種の育成・支援方策についても評価を行う、また、ポストドクターの大学・研究機関内での位置づけが明確化されていることを確認し、キャリア開発のための方針策定や取組を積極的に評価することも提言しております。
 実際に、文部科学省の様々なプロジェクトに関しましては、科学技術・学術審議会の人材委員会からいろいろ提言や要望を出させていただいたということがありまして、若手研究者の育成・支援に資するような研究評価をしようということで、文部科学省の様々なプロジェクトの応募要項には、こういったキャリアパスの開発ということについての項目も入っておりますので、文科省ではこういった施策がかなり進んでいると思っています。学術会議では、国として、他の省庁や、もっと大きな視点からの様々な政策が必要だと考えており、このような提言をまとめさせていただきました。
 内容を読んでいただきますと、国の施策に関する評価の在り方にも触れてありますので、ぜひお時間のある時に全文お読みいただいて、皆様からの御意見をお寄せいただき、これから、文科省指針改定のための作業部会で検討を行う際に活かしていきたいと考えております。
 どうぞよろしくお願いいたします。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
 ただいまの御説明について、何か御質問がありますでしょうか。
 室伏委員には、作業部会の委員にもなっていただいておりますので、ぜひ、いい形で反映をしていただければと期待しております。よろしくお願いします。
 北澤委員、どうぞ。

【北澤委員】  
 今、幾つかの点を指摘されたと思いますが、ここだけは譲れないという一番の肝はどの辺でしょうか。

【室伏部会長代理】 
 この提言の中にはたくさんの項目を記載してありますが、ここだけは譲れないという所は、評価を効率的に、本当に意味のあるものにするための国としてのメタ評価をやってほしいということと、特に若手に対してエンカレッジするような評価システムを構築すべきであるという点です。この2点はどうしても譲れないところだと、私たちの委員会では考えております。

【平野部会長】  
 よろしいでしょうか。
 ぜひ、文科省指針に反映していただければと思います。3年前に、同じように、文科省指針を改定したときにも、先ほど触れましたように、プロジェクト、プログラム、政策の階層的な連携が必要であるということを議論しました。今度の大綱的指針では、プログラムの評価も取り入れて、と記載されており、最終的には、国の予算体制の在り方まで踏み込んでくることになるかもしれませんけれども、作業部会では、ぜひ積極的な方向で、良い提案をしていただきたいと願っております。
作業部会の委員の皆様におかれましては、よろしくお願いします。
 また、第6期の研究開発評価部会は本日が最後となる予定ですので、交代される委員におかれましても、ぜひ、これまでの思いを委員の方々にお伝えいただきたいと思います。よろしく御協力のほど、お願い申し上げます。
 それでは、事務局からの連絡事項等に続けて、局長がお見えですから、局長からも本部会の最後の委員会に際しての御挨拶をいただきたいと思います。
 まず事務局からお願いします。

【德成科学技術・学術戦略官付室長補佐】  
 事務局から、2点御連絡させていただきます。
 今回の議事録ですけれども、部会運営規則第5条にのっとりまして、非公開の議事部分を非公開といたしまして議事録を作成し、各委員に御確認いただいた後に、ホームページにて公表させていただきます。
 2点目ですけれども、本日の配付資料につきましては、机上資料以外の資料につきましてはお持ち帰りいただいて結構でございますけれども、資料の左肩に「非公開」と記載しております資料につきましては、内閣府の大臣・有識者会合への報告後に公表が行われるまでの間、非公開の取扱いとなりますので、資料の取扱いにつきましては御注意いただければと思います。
 なお、資料につきましては、机の上に置いていただければ、後日郵送させていただきます。

【平野部会長】  
 では、局長、よろしくお願いします。

【土屋科学技術・学術政策局長】  
 担当局長の土屋でございます。
 第45回の研究開発評価部会の閉会に当たりまして、第6期の本部会での御審議に対して、一言、御挨拶、お礼を申し上げさせていただきます。
 平野部会長、室伏部会長代理をはじめ、先生方におかれましては、本日も、予定時刻を15分も過ぎておりますが、大変なエネルギーをこの中に投入していただきまして、大変重要な御意見、御指摘を賜りましたことを、心から御礼申し上げます。
 研究評価につきましては、これまでも、重ねて重要性が訴えられてきたところでございますが、昨今の厳しい経済状況の中で、経済の再生のための研究開発の進め方が非常に注目されております。あるいは地球規模課題への対応のための研究開発をいかに進めるかということも重要になってきておりまして、ますます効果的な研究開発が重要となっております。もう1点は、国としてやはり戦略的に効果的な研究開発を進めることも求められてきておりまして、そういう中で研究評価というのは、本日も先ほど室伏部会長代理から日本学術会議の提言の御紹介をいただいたところですが、若い研究者をエンカレッジするための研究評価、より効果的・効率的な研究評価、これらを求めていくことが重要であるとに認識しておるところでございます。
 委員の皆様からこの2年間いただきました御助言、御指導につきましては、十分にその趣旨を踏まえながら、今後とも研究評価の改善・改革に努めてまいりたいというふうに存じます。今後ともまた御指導賜りますようお願い申し上げまして、簡単でございますが、お礼の言葉とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。

【平野部会長】  
 では、最後でありますが、私も、一、二分いただきまして、皆様方に厚く御礼申し上げます。
 この部会は大変重い任務を担っております。私は今年の3月まで、大学の評価を実施しておりまして、いかに評価が難しいかというのを重々わかった上で、前を向いて次のステップアップのために、ステークホルダーの方々にも御理解いただける進展があるように、と心がけてきましたが、この部会において重責を果たすことができたのは、皆様方の御理解を得て、御協力いただいたからであると思っております。ぜひ、次期の研究開発評価部会においても、前に進んでいけるように、皆様方の御支援を文部科学省へお寄せいただきたく思います。
 同時に、振興調整費及び戦略推進費のプログラムのもとに、プロジェクトの実務に当たってくださったJSTの方々の御尽力に対しても感謝申し上げまして、部会長のお礼の言葉にかえさせていただきます。
 どうもありがとうございました。以上をもちまして、本部会を閉会いたします。

―― 了 ――

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(調査・評価担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(調査・評価担当))