研究開発評価部会(第44回) 議事要旨

1.日時

平成24年10月5日(金曜日)15時~16時30分

2.場所

文部科学省3F2会議室

3.議題

  1. 研究開発評価システム改革について
  2. 研究開発評価部会における作業部会の設置について
  3. その他

4.出席者

委員

室伏部会長代理、佐藤委員、中小路委員、有本委員、伊地知委員、大隅委員、岡村委員、金子委員、小林委員、諏訪委員、東嶋委員、奈良委員、西尾委員、西島委員、吉川委員

文部科学省

土屋科学技術・学術政策局長、田中科学技術・学術政策局次長、磯谷科学技術・学術総括官、阿蘇計画官、鎌田企画官、徳成科学技術・学術戦略官付室長補佐

5.議事要旨

【室伏部会長代理】 
 定刻になりましたので、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会研究開発評価部会を開催させて頂きます。本日は、平野部会長が所用により御欠席ですので、科学技術・学術審議会令第6条第5項に基づき、部会長代理の私、室伏が議事を進行させて頂きます。宜しくお願い致します。

 本日は、御手元の議事次第にありますように、1番目に研究開発評価システム改革について、2番目に研究開発評価部会における作業部会の設置について、これら2つの議題について御意見を頂きたいと思っております。また、御審議頂きますので宜しくお願い致します。

 まず、事務局に人事異動がありましたので德成補佐から御紹介をお願い致します。

【德成科学技術・学術戦略官付室長補佐】  
 紹介させて頂きます。田中科学技術・学術政策局次長です。

【田中科学技術・学術政策局次長】  
 宜しくお願い致します。

【德成科学技術・学術戦略官付室長補佐】  
 鎌田科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付企画官です。

【鎌田企画官】  
 どうぞ宜しくお願い致します。

【室伏部会長代理】  
 続きまして、配付資料の確認をお願いします。

【德成科学技術・学術戦略官付室長補佐】  
 本日の配付資料ですが、議事次第の配付資料一覧のとおりです。資料1が議題1の資料、資料2が議題2の資料です。その他、参考資料1から3、机上資料として1から8を配付しております。また、資料番号は付しておりませんが、論文数と研究者数の各国比較の表を1枚、机上に配付しております。個別に申し上げませんが、資料の欠落等、不備がございましたら、議事の途中でも結構ですので、事務局までお申しつけ頂ければと思います。

 以上です。

【室伏部会長代理】  
 それでは、議題1の研究開発評価システム改革について、議論に入らせて頂きます。本議題では文部科学省の研究開発評価指針を改定していくに当たり、改定に向けてのポイントについて、最新の状況を踏まえて整理するとともに、改めて今後の改定内容、方法、スケジュール等について委員の皆様方の御意見などをお伺いしたいと考えております。

 まず、事務局から資料の説明をお願い致します。

【鎌田企画官】  
 それでは資料1を御覧頂けますでしょうか。前回は7月5日に本部会が開催されましたが、それ以降の状況、その他これまでの研究開発評価に関するポイントについて簡単に事務局から御説明させて頂きます。

 まず、内閣府で行われております「国の研究開発評価に関する大綱的指針」の改定状況です。3ページ目の別紙1を御覧頂けますでしょうか。これは8月31日の内閣府の総合科学技術会議評価専門調査会で配られた資料です。下に記載されている検討スケジュールによると、10月に3回の評価専門調査会による議論、11月の第4回目で大綱的指針の改定案の取りまとめ、それから各府省への照会などを経て12月の総合科学技術会議で大綱的指針の改定を決定する非常に早いスピードで大綱的指針の見直しが行われていくスケジュールが示されております。これに合わせて文部科学省として評価指針の改定をこれから御議論頂きたいと考えております。

 1ページ目にお戻り頂きまして、その改定のポイントについて若干御説明させて頂きます。

 まず、第4期科学技術基本計画です。こちらについては4ページ目を御覧頂けますでしょうか。研究開発評価についても幾つか記述してあります。まずはPDCAサイクルの実効性の確保というところで研究開発の評価の実施について言及するとともに、それにあわせて研究開発評価システムの改善・充実を図るべくというところで、下の推進方策ですが、例えば科学技術イノベーションを促進する観点から、研究開発評価システムの在り方について幅広く検討を行い、見直しを行う。また、ハイリスク研究や新興・融合領域の研究が積極的に評価されるように多様な評価基準や項目を設定する。あるいは、人材養成や科学技術コミュニケーション活動等を評価基準に評価項目として設定することを進める。それから、評価の重複や過剰な負担を避けるため、他の評価結果の活用を通じて、合理化・効率化を進める。その他、研究開発の評価のための人材の育成・養成や、そのキャリアパスの確保なども進めることについても言及されております。

 続きまして、総合科学技術会議の評価専門調査会の作業グループで「研究開発評価システムの充実に向けた検討のとりまとめ」が8月31日に取りまとめられております。本取りまとめにつきましては前回7月5日の部会で行松戦略官から説明させて頂きました。5ページ目の別紙3をお開き頂けますでしょうか。本取りまとめにおいては、内閣府からこのような概要のポイントが出されております。詳細は前回も御説明させて頂きましたので簡単に触れる程度に留めますが、プログラム評価の導入・拡大、アウトカム指標による目標の明確化とその達成に向けたシステムの設計を導入していくという方向性が、大きく2つの推進方向として述べられております。これに付随して、プロジェクトの関連付けによるプログラム化、研究資金制度のプログラム化、その他、事前評価の強化、あるいはプログラムの工程管理、工程表の明確化、更には事業が終わった後の追跡評価の強化も触れられております。今後、各府省においても、あるいは実施する法人においても、これまで事業を推進していた部局が一次的な評価を行ってきたものを、独立性のある評価担当部署が評価を行うべきだという内容にも触れられております。これらについては、今後、内閣府で大綱的指針の改定の議論でどのように求められているか議論されていく予定ですが、文部科学省としてもその議論に際しては意見を述べていきたいと思いますので、本日も委員の先生方の御意見等を頂ければと考えております。

 続きまして、「東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の在り方について」です。これは8月1日に科学技術・学術審議会で、東日本大震災によって顕在化した様々な問題点を踏まえ、科学技術・学術が国民の期待や社会の要請に応え得るよう、現状を真摯に検討し多様な専門家の知の結集をして、課題解決のために行う研究開発システム改革の方向性について取りまとめたもので、今後の研究開発評価の在り方についても多くの提言が盛り込まれております。

 恐縮ですが、机上資料3を御覧頂けますでしょうか。これがその中間まとめの冊子本体です。この本則部分、例えば2ページ目の中ほど、「今後、政策を進めるに当たっては、それぞれの研究段階や研究方法、研究機関の特性を踏まえ、資金配分や評価の手法を最適なものとし、成果の最大化を図るべきである」という記述。それから例えば3ページ目から4ページ目にかけて、「課題解決のためのシステム化を促進するため、施策や研究機関の評価について、知の創造のみならず、成果の受け渡しなど、社会実装に至る全段階を通じた取組を的確に評価するなど、新たな評価方法の確立が必要である」ということが触れられております。

 それから7ページを御覧頂けますでしょうか。課題解決のための分野間連携・融合や学際研究というテーマですが、例えば中ほどの「研究の目的や体制は多様であり、それぞれについて最も適切なマネジメントがなされるべきである。その重要な要素の一つが評価であり、研究者個人のみならず、研究統括責任者や研究機関の長のその対象に含まれることは当然である」とか、その後の新たな評価システムの構築についてはもう少し具体的に評価システムの改革の中身が触れられております。例えば「一般的に課題解決には多様な研究者等の参画が必要であるが、価値観がしばしば異なるため、政策責任者、研究統括責任者がインセンティブを与える必要がある。特に論文主義に偏する研究者コミュニティーの意識改革を促す必要がある。このため政府や公的研究機関は分野間連携・融合や学際研究など、科学技術イノベーション政策の推進に資する研究を奨励するための研究者評価システムを構築すべきである」ということが書かれており、取り組みの視点についても以下で触れられております。このような考え方に基づく評価結果を「高い評価を得た研究者の処遇や資金配分に積極的に反映させるなど、研究者の意識を課題解決に向け誘導していくことが重要である」とか、「新たに開発すべき評価手法は、多方面からの評価軸を設定するなど評価の多様性に配慮したものであり、研究開発活動の改革、進展につながり、且つ、被評価者が肯定的に受け入れるものでなければならない。また、いわゆる「評価疲れ」への十分な配慮が必要である」ということや、次のページでは「発表論文数や論文引用数に限った評価を行わないよう配慮が必要である」ということ、あるいはマネジメントの評価についての重要性について触れられているほか、研究機関の評価についても、研究体制づくり、実用化や社会実装まで考慮した取り組みなどを積極的に評価するということが必要である。それは施策の評価についても同様に重要であり、専門家による評価が必要であるという旨が述べてあります。これらを踏まえ文部科学省の評価指針も改定すべきであると提言されております。

 それから研究者の能力が最大限発揮される環境の整備についても、若手研究者の国際人脈網の重要性、若手研究者が活躍できる仕組みづくり、女性研究者の割合を高める必要性、あるいはハイリスクな研究などにも挑戦して研究に打ち込めるような環境を整えていく旨が提言されております。

 また9ページについても分野間連携・融合や学際研究を支える人材育成の観点から評価することの重要性が述べられております。また10ページについても公的研究機関における技術者の適切な評価などについて触れられております。最後ですが、研究推進事業における審査や評価に、外国の研究機関への若手研究者の中長期派遣を積極的に評価する視点の導入などにも触れられております。

 以上、本文につきましてこの中間まとめで明示的に評価の在り方についてご提言頂いている部分について説明させて頂きましたが、これら以外につきましても今後の研究開発評価の在り方に関係する貴重な提言がこの中に取りまとめられております。今後の文部科学省の研究開発評価指針の改定においても、これらの視点が積極的に盛り込まれていく観点から、委員の先生方にも御意見、御議論を頂きたいと考えております。

 続きまして4番目ですが「リスク社会の克服と知的社会の成熟に向けた人文学及び社会科学の振興について」、これは科学技術・学術審議会の学術分科会で7月25日に取りまとめられた報告書です。7ページの別紙5を御覧頂けますでしょうか。人文学と社会科学の振興に関する評価の視点ですが、人文学・社会科学の評価はこれまで内在的なものであって、定量的ではない定性的な評価が行われていたところです。ここにつきましても研究評価の在り方を人文学・社会科学自ら積極的に提起すべきであろうという旨が述べられているほか、研究が社会とどのような結節点を持つのかという観点を踏まえて評価を行う必要があることも述べられております。また、中ほどに「理工系プロジェクトの中に人文学・社会科学が積極的に参加することとあわせて、分野間で成果の求め方や評価の視点が異なることに留意しつつ、実社会からの視点を意識することが必要である」という提言もされております。

 また、7ページ目の下から次のページにかけて、これまで文部科学省の評価指針においても人文学・社会科学の研究評価について言及があり、「人類の精神文化や人類・社会に生起する諸々の現象や問題を対象とし、これを解釈し意味付けていくという特性を持った学問であり、個人の価値観が評価に反映される部分が大きいという点に配慮する」と記述されておりますが、学術研究の評価においても、「公平さと透明性の確保に努め、創造へ挑戦する研究を積極的に評価するなど、評価を通じて研究活動を鼓舞・奨励し、その活性化を図るという積極的・発展的な観点を重視することが肝要である」ことについても触れられております。また、新たな領域開拓を目指す分野間連携の研究への適切な評価についても言及があり、これらについて、やはり文部科学省の評価指針の改定に当たっては吟味されるべきという提言がされております。

 続きまして「審議のまとめ」です。この研究開発評価部会で3年前にまとめて頂いたものですので、この場では多くの御説明は控えたいと思います。改めまして、その場で評価システムの再構築とか、評価の観点・基準・視点から効率的・効果的な評価、あるいは評価専門人材の育成、評価文化の醸成などについて非常に具体的に、3年を経過してなお本質的なご提言を頂いているところですので、今回の評価指針改定に当たってもこれらの視点をどのように盛り込んでいくか、また委員の先生方の御意見を賜りたいと考えております。

 それから、最後は「研究開発方策」です。これは11ページ以降を別紙7として附属させております。これは第4期科学技術基本計画を踏まえて、文部科学省科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会で、また関係の部会等で、今後、研究開発を計画的に推進していく観点から、環境・エネルギー、医療・健康・介護、安全かつ豊かで質の高い国民生活、科学技術基盤の各課題領域において、文部科学省が推進すべき研究開発方策をまとめたものです。御覧頂けますように大目標から目標、課題、施策などを体系的に取りまとめており、第4期計画を踏まえた文部科学省の研究開発の方策が取りまとめられているところです。今後、研究開発評価の指針を改定するに当たり、こうした研究開発の具体的な方向性と評価との整合性をとって進めていくという観点からも、科学技術・学術審議会の研究計画・評価分科会等でこの様な議論が行われていることを御参考として御紹介させて頂きます。

 以上が改定のポイントです。続きまして今後の改定に向けての具体的なスケジュールについて御説明させて頂きます。

 2ページ目は今後の改定スケジュールの案ですが、先ほど御説明したとおり、右側に総合科学技術会議・内閣府での今後の検討スケジュールが記載されております。10月中旬に第1回と書いてありますけれども、具体的には現時点では10月19日に評価専門調査会を開催する予定でおりまして、その議論も踏まえて、文部科学省と致しましても、議題2で御議論頂きますとおり、もし設置が認められましたら、作業部会を設置した上で、今後、評価指針の改定に向けて集中的に3回程度御議論頂き、12月にこの研究評価部会で改めて御意見を賜りまして、その後、様々なパブリックコメント等の意見を踏まえて、1月の科学技術・学術審議会の総会での改定と取りまとめというスケジュールを御提案させて頂いております。この1月下旬と申しますのは、科学技術・学術審議会の第6期の去就期ですので、ここで委員の改選が行われる予定ですので、可能でしたらこれを一つの目安として文部科学省の評価指針の改定も進めさせて頂きたいと事務局は考えているところです。

 以上、簡単で駆け足でございましたけれども、事務局からの説明とさせて頂きます。

【室伏部会長代理】  
 それでは、皆様に御議論頂く前に土屋局長から一言頂きたいと思います。お願い致します。

【土屋科学技術・学術政策局長】  
 科学技術・学術政策局長をしております土屋でございます。いつもお世話になりまして、ありがとうございます。

 今回、評価指針の改定というか、新しい評価システムの御検討を頂くに当たり、私ども事務局、文部科学省としての危機感、危機意識を持っております。今、鎌田企画官からの御説明で内容的には尽きておりますが、日本の科学技術に関する危機感がありますので、そこを政策的にこの評価システムを的確に設定して頂くことによって、是非、改善を図ることができればと思っております。その危機意識は2つの面についてあります。1つ目は、日本の研究活動における効率性の低さの点、2つ目は日本の科学技術・学術界の問題だと思いますが、研究成果がなかなかイノベーションに結びついていない点、国として最大課題であるイノベーションにどう貢献していくかという2つの観点が必要かと思っております。

 まず効率性の点ですが、ご案内のとおり我が国の研究開発活動をどの様な指標で見るかというのはありますが、例えば研究論文の数等を見ても我が国より研究者の数が少ない国、あるいは研究費が少ない国であっても、一定の質以上の論文数で言えば、日本より上に来ている国が幾つかあります。あるいは引用度で言えば更に差がついています。なかなか単純にはいかないのですが、研究投資に対するアウトプット・アウトカムとして単純なところで見ても、やはり非常に効率性が悪いと思っております。日本の研究開発投資25兆円で科学技術基本計画をつくって頂いています。もちろん研究予算の拡大を目指していきますが、この効率性の悪さを改善しないと、なかなか科学技術創造立国と言っても実現が難しいのではないかと思っております。

 それから2つ目のイノベーションとの関係は、今、鎌田企画官が御説明した資料1の6ページに科学技術・学術審議会の総会で御議論頂いております「東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の在り方について」に書いてあります。簡単に言えば論文主義に少し走っているところを、学術としての価値の評価はもちろん必要だと思いますが、これ以外の部分で社会に貢献できるもの、有用なものの研究を奨励するという観点から、分野融合であるとか、出口戦略であるとか、従来の評価ではなかなか評価しきれてない部分があり、その部分についての評価を積極的に行うべきであるというのが科学技術・学術審議会の議論ですので、ここをどの様に上手く評価に盛り込むかというところです。プラスのことは評価し易いと思いますが、6ページの文書に書いてある、一番最初の○の下から2行目のところですが、積極的に評価すべき点を考慮してない研究については、的確に問題点を分析すべきであると、書いてあります。これはマイルドに書いてありますが、はっきり言えばマイナスの評価をしても良いのではないか、というような議論を踏まえて、まだなかなかそこは結論が出ておりませんので「問題点の分析をすべきである」と書いてあり、この辺りのマイナスに評価するというのはなかなか難しいと思います。それから、先ほど私が申し上げた社会に役に立つといっても、どのタイミングで評価するのか。直ぐに役に立つものは分かり易いと思いますが、何年かたって役に立つという研究も当然出てくると思いますので、その様な意味でも非常に難しい課題ではあると思いますが、是非この辺りにポイントを置いて御検討頂ければと考えております。

 どうぞ宜しくお願いします。

【室伏部会長代理】  
 ありがとうございました。2点ほど問題点が提示されたようですが、今の土屋局長のお話を念頭に入れながら、これからの議論を進めさせて頂きたいと思います。

 それでは、ただいま御説明がありました改定の内容とか方法、あるいはスケジュールなどについて、皆様から自由な御意見を頂きたいと思います。西島委員どうぞ。

【西島委員】  
 先ほど論文の問題が出まして、人数の割に論文が出てないと。これはなかなか難しい部分で、論文の数も大事ですが、質も重要ですし、それから産業界、特に私のような業界では、論文を出すということは必ずしも必須ではなくて、むしろ、上手くいっているときほど論文は出てこない。特許を書いてノウハウが進んでいき、途中で挫折すると、仕方がないので論文を書いて学位でも取得しておこうということになります。これは笑い話ではありませんが、薬学会などで産業界が発表しているポスター発表は、先へ進まなくなった、あるいは動物で終わってしまったので論文になっているということも事実であり、それを見て他の競争相手となる製薬企業は、「あれはヒトまで進んでいないのだな」と判断するわけです。創薬プロセスは非常にリスクが高い部分ですね。その辺を少し踏まえて、研究者が萎縮しないような方向が、良いのではないかなと思います。研究者にとって評価疲れが多くて、特に産業界からすると最近の課題解決型、出口志向というのは、非常に解り易くて良いのですが、大体その様になると大学の先生のテーマがこじんまりして出口が見易くなってくる。正直申しまして、その様なものに関しては産業界が沢山投資して行うことが可能です。むしろ、夢はあるがリスクが高く、なかなか産業界は飛びつけないようなものとか、本当に基礎研究だなというようなものを大学の先生は是非行って頂きたい。これは私が言うと語弊がありますが、大学の先生は薬を創るなどということに取り組むよりも、薬に必要な病態メカニズムとか作用メカニズムとか、いわゆる基礎研究あるいは疾患動物モデルなどをじっくり取組むというのが重要と思います。そのような分野は、なかなか産業界はできません。一度良いものが出来るということが解ってくれば産業界は一斉に取組みますし、そこが出来るのが産業界の強みなので、これは極論ですが、例えば、大学の先生が製薬会社と同じようなことを行っていたら、自分たちと同じことを行っているのだから、あんまりお付き合いをする価値がないと考えることもあるわけです。今の話は極論ですけれども、短いスパンで成果の創出について考えるというのは、如何なものかなと思いますので、そこは少し気を付けなければいけないと思います。

 それと東日本大震災を踏まえてとなっておりますが、この6ページに書かれていることは、必ずしも東日本大震災を踏まえたということではなく、これまでも言われたことだと思います。いわゆる在り方に対する評価システムの構築のときに、あえて枕言葉として「東日本大震災を踏まえた」と言うのであれば、なるほどそういうものを踏まえているのだなというものが記載されているべきと思いますが、残念ながらここからは少し読みとりにくいと感じました。

 それと、7ページのリスク社会ということですが、このリスク社会のリスクというのは何を考えているのでしょうか。表面的に見ると、例えば東日本大震災という具合に、これも結局、自然災害を考えているのでしょうか。このリスク社会という言葉は非常に意味が広いのですが、どういうリスク社会を考えているかということによって、当然その振興が違うと思います。このリスク社会の克服の最初の部分を読むと、「東日本大震災は、我が国の…」という書き出しで、要するに震災復興という非常にわかりやすい部分を考えておりますが、さて、リスク社会と言うときはそれだけではないと思います。このリスク社会の定義をよく考えていかないと、評価システムそのものが幾分判り難い。日本では、大学の教員が特許のことをあまり知らない時代には、特許を書いた先生が非常に偉くなったように評価されてしまい、特許を書き過ぎた教員がいると、基礎研究をやっているほうが良い、ノーベル賞が必要だ、といった具合にまた針が振れるということが起こってしまう。その度に、多くの研究者が方向を変えている。その様に、政策に一本筋が通っていない、これが先ほど御意見のあった論文数の結果に出ているのではないかなと、私は思います。

 以上です。

【室伏部会長代理】  
 ありがとうございました。事務方から何かありますか。

【土屋科学技術・学術政策局長】 
 リスク社会の定義については、説明能力がある者から別途、説明をいたしますが、前段の東日本大震災を踏まえた中間まとめについて、フルテキストが机上資料3にあり、別紙4はこの全体の中からピックアップしたものです。震災後の一番の反省事項は、東日本大震災において原子力発電所の光と影の問題が顕在化したというのが一番大きいわけですが、それ以外のところにおいても国民の期待に十分応えることが出来なかったということがありまして、例えば津波の予測、巨大津波の予測が出来なかった。これは色々な理由がありますが、結局、特定モデルに固執し過ぎていた。いわゆるムラ社会が打破できてなかった。地震学であれば、歴史学だとか、地質学だとか、色々なことがあります。そういう総合的なことが社会の問題を解くためには必要であったのに、その様な取り組みが出来ていなかったとか、それから日本の技術開発がコンポーネントに偏り過ぎていたとか、幾つかあり、それらに対する反省点が全体にありますが、それを評価の中においても今後どう改善していくかという部分がここへ出ているという、その様な構造になっておりますので、御理解頂きたいと思います。

【西島委員】  
 わかりました。例えば、今御説明にあった、分野間の連合とか融合、学際研究などというのは、そういうことを踏まえているのですね。

【土屋科学技術・学術政策局長】  
 地震との兼ね合いで言えばそうですが、前々から日本の研究開発活動の構造的問題として、既存の分野とか、そういうところにこだわり過ぎていたということがありますので、この際、やはりそこは大きな問題なので改善したいということです。

【西島委員】  
 あまり言葉を丸め過ぎないで、多少その辺が具体的にわかる話の方が良いかもしれませんね。御説明の趣旨はわかりました。

【室伏部会長代理】  
 ありがとうございました。議論はかなり具体的なところまで行っていると思うのですけれど、まとめるところでかなりそぎ落とされているような形になっていると思います。リスク社会についてはいかがですか。

【鎌田企画官】  
 本リスク社会の人文学と社会科学の振興についての報告につきましては、科学技術・学術審議会学術分科会でまとめて頂きましたけれども、細かいリスクの定義、その他の議論が行われたかにつきましては、別途確認させて頂きたいと思います。

【室伏部会長代理】  
 よろしいですか。

【西島委員】  
 はい、結構です。

【室伏部会長代理】  
 それでは、ほかにいかがでしょうか。中小路委員。

【中小路委員】  
 まず、論文の効率が悪いということに関してですが、いつもこういう議論で不思議に思うのは、論文を採択して運営しているのも研究者で、要は、世界一を誇っているジャーナルのエディトリアルボードにどれだけ日本人の研究者が入っているか、それから世界一の国際会議でどれだけプログラムコミッティーやオーガニゼーションコミッティーに日本人が入っているかというところの数字は全く今まで私は見たことがないのですが、恐らく非常に低いと思います。そのような状況で採択数が低いというのは、当然フェアに判断しているとはいえ、自分たちと面識があってディスカッションできる研究者仲間がその運営に関わっているということは、非常に効果的に採択数の高いような研究成果を生み出すということに繋がるわけです。アメリカですと学会運営とかジャーナルの委員といったリサーチコミュニティーの中での運営に関わっていることは、非常に高く評価されて、テニュアトラックでもコミッティーを幾つしたかとかは非常にプラスになりますが、日本ではそれはほとんど顧みられることはなく、あの人も好きだねえという感じで見られて、必死で頑張るというわけです。オーガナイズする側の話がなく、研究論文がどれだけ採択されたかで、論文の効率が悪いという話をしても、少々不毛というか、日本はいつまでもお客さん意識で参加していても仕方ないので、これまでアジアの中の誰かを入れておかねばならないというので、情報系ですと日本からいつも1人2人は入れて頂いた状況が続いてきておりますが、最近では専ら中国の人に置きかえられて日本人は出る幕がなくなってきています。その様な選ぶ側にも入れず完全にお客さんで出し続けても、なかなか通らない。それはそういうリサーチコミュニティーのエコロジーを理解した上での研究評価を行わないと、上手く回らないのではないかと思うのが1つ。特に情報系はデザイン系だと韓国に負けてきていて、理論、アルゴリズムだと中国に負けてきていますので、もうかなり危機的な状況にはあると思います。それが1点です。

 もう1点は、プロジェクトとプログラムということを分けて研究支援制度ということを言われてきていると思いますが、それは非常に良いことだと思います。プログラムのマネジメントとプロジェクトのマネジメントと研究している中でのマネジメントという、3つがどうも混同していて、直ぐマネジメントという言葉で置換えられて、訳が分からなくなりつつある状況を自分が研究者として参加していても強く感じます。プログラムのマネジメントというのは政策がどれだけ上手くいくかを効率の点から見ていくと思いますが、一方、研究プロジェクトのマネジメントというのは研究代表者が行うべきことであると思います。そこでは一つの評価軸では当然無理で、人文・社会系とか、色々なことがあります。今、複雑になっているのは、研究プロジェクトを科学技術振興機構、経産省だったら新エネルギー・産業技術総合開発機構がマネージしようとされていて、そこにもマネージという言葉を使われるので、研究者が行っているプロジェクトのマネジメントの話と、その研究がプログラムにどれだけ上手く結びついたかという部分のマネジメントの話が混同しています。何が起こるかというと、プログラム側の方が研究プロジェクトの中に入り込んで、研究代表者がこれは研究課題だと思って解いているやり方ですとか、皆さん専門家で、研究者が行っている部分に入って第三者的コメントを言うことで混乱しているという状況が、時々ぽつぽつと現れ出しているように思います。

 先日、NSF (National Science Foundation)のような、エンジニアリングリサーチをサポートするところを見ましたら、マネジメントという言葉は使わずに、スチュワードシップとアカウンタビリティーをするのがプログラムマネジメントの人たちの責任ですと書いてある。スチュワードシップというのは、スチュワードという単語に由来していて、恐らくイメージとしては、野球部のマネジャーが野球部の部員を支えるようなスチュワード。研究プログラムを回していく各研究プロジェクトのプログラムオフィサーなどの人たちはその様な精神性で関わるべきで、そうでないと研究者のパフォーマンスが上がらないと思うのですが、どうも管理側のマネジメントに行ってしまっているように思います。これから評価ということでプログラムの評価、プロジェクトの評価、研究内容の評価と、多分その3つのレベルがあると思いますが、全部同じ言葉でマネジメントと言うと、非常に危険なことが起こるように思います。先ほど西島委員もおっしゃっていましたけど、研究者のやる気というのを阻害しないような、もっとプラスに回っていくような研究のフィードバックというものをつくるというような体制を是非考えて頂ければと思います。

【室伏部会長代理】  
 ありがとうございました。

 それでは、有本委員、どうぞ。

【有本委員】  
 今、非常に大事なことを言われたと思いますが、私も二、三、意見を述べたいと思います。

 まず1つ目は、何のために評価を行い、評価方法を改善しようとしているのか、ということです。そこを考えないと、どうも、評価方法の中での合理性やローカライズされた評価に終始してしまう気がします。目的は、生産性を上げるわけですよね。それは、論文生産性でもいいし、質の向上でもいいし、あるいはイノベーションの価値を上げるということでもあると思いますが、上流側を変えていかないと、現場で行われている評価をいくら変えても、現場で一生懸命に評価して、また、非常に評価疲れになるという構造になってしまうように思います。上流側と言いましたが、最も大きな制度としては科学研究費補助金です。この間、政策研究大学院大学で科学技術政策研究の大学のベンチマークに関するシンポジウムを実施した際、二、三意見が出たわけですが、学際、学際と言うけれども、科研費の今の資金配分の方法は、研究者が多いことが基準になっている。科研費はディシプリンベースの事前評価、つまり審査しかしていないから、学際を起こそうとしても非常に難しい。そこで、科研費のレベルをどうするのか、という論点が1つありますよね。そこまで含めて検討するかどうか。これは評価だけの問題ではないので、私が上流側と言ったのはそういう意味です。今、中小路委員からも指摘がありましたが、JSTやNEDOのような資金配分機関は、評価のやり方や、マネジャー、PD・POの選び方を変えないといけないのに、JSTの事業では、科研費しか知らないような大学の偉い先生方がPD・POとなり、科研費と同じようなやり方でプロジェクトを進めていることがかなりあると、個人的には思っています。この辺りをどうするのかということです。その上で、評価をしっかりと行うという構造にしなければ、順序が逆ではないかという気がいたします。

 それから、先に述べた大学ベンチマークのシンポジウムで議論がありましたが、大学の構造と学会の構造についてです。大学の学部、研究科、これを構成するものが学会を構成し、そのまま直列構造になっている。学会は、本来、個人ベースでもう少し学際的なことに取り組むべきなのに、大学の偉い先生が学会を牛耳って、場合によっては、最近はなくなったかも分かりませんが、学会の事務局をどこかの研究科や研究室が担っているということもありました。こういった構造も、思い切って、政策的に誘導するということが、総会で言われているわけですから、上流側も下流側も、こういった動きをよく見て変えていくべきだと思います。現場だけ変えても、空回りするだけで、決して上手くいかない。というのも、大学はほとんどがディシプリンベースで凝り固まっているわけですから、これを上手に変えていくためには相当慎重に進めなければならないと思います。

 これで最後にしますけれども、もう1点だけ。先日のベンチマークのシンポジウムで、国際共同研究、国際共著論文が日本はほとんど増加していないという発表がありました。国際共著論文ほど質も高いというのは、世界的にも明らかです。これについても、明らかに政策誘導で検討する課題ではないかと思います。

 以上です。

【室伏部会長代理】  
 ありがとうございました。大きな課題が明らかになってきているようですけれども、事務方から回答頂けますか。

【土屋科学技術・学術政策局長】  
 有本委員の御意見のとおりだと思いますが、上流なのか、下流なのか、鶏と卵ではないかと思います。PD・POの体制や、あるいは科研費の分野の問題であるとか、評価の方途ですね。これらを両側から変えていくように、例えば、本部会の中で正式に言っていく、これが重要ではないでしょうか。今まで同様の議論は行われておりましたが、議論の積み上げを行っていかないと、いつまで経っても変わらないと思います。今、御議論があるものを、可能な限り速やかに、より精緻にしていく。ディシプリンベースで実施していくことも、もちろん大事ですが、それだけでなく、どういう観点に立つかということも、あわせて重要であるということを、明確に本部会から提言して頂き、更にそれを実行に移す、またはフィードバックをかける形にして頂いたら良いのではないかと思っております。重ねてですが、スピード感を持ってやっていく必要があると思います。

【室伏部会長代理】  
 ありがとうございます。おそらく、今の論点については随分長いこと議論がなされてきていて、沢山の方が努力なさって様々なまとめや報告などを作っているにも拘らず、それがいつになっても実行されないということが皆様が歯がゆく思っていらっしゃる点だと思います。今回の改定はかなり実行ベースでやるべきであろうと思っておりますので、以後、有本委員の御意見なども取り入れつつ、充分に審議しながら進めたいと思います。

 他にいかがですか。佐藤委員、どうぞ。

【佐藤委員】  
 別紙3で総合科学技術会議の一つの方向が2つ出されて、プログラム評価とアウトカム評価となっています。中小路委員の御意見を伺いますと、プログラムだけでなくてプロジェクトの評価ということも必要だと思いますが、むしろ私はプロジェクト評価のような観点から一つコメントしておきたいと思います。結局は限られたリソースをうまく使っていくということになり、どうしても重点的な活用の仕方という方向が出てきて、研究機関についても、大学についても、機能分化という議論が出てきていると思います。これはある意味で必然だと私は思っておりますが、そのときに機能分化というのは下手をするとリソース、特に人的なリソースをばらばらにしてしまう恐れがあると思います。それは自分のディシプリンを研究してきた人は自分の専門分野で働く場所を見つけるということは必ずしも出来ませんので、色々な場所へ散っていくと思いますが、専門を同じくする知恵を上手くまとめていく、一種のネットワーキングのようなものが実質的に出てきているということが一種のナレッジマネジメントであり、必要になってくると思っております。これは今までの学協会とか、その機能では到底期待できないことですので、むしろプロジェクトマネジメントという観点からネットワーキングというものをどう上手く作っていっているのかということを評価するときの一つの指標にすることも考えられるのではないかというコメントです。 

【室伏部会長代理】  
 大変興味深い御提案、ありがとうございました。大隅委員、どうぞ。

【大隅委員】  
 これは研究開発評価部会の中なので、私が今から申し上げることは必ずしもこの中で実行できることではないとは思いますが、局長が言われた、例えば、なぜお金を投資しているのに論文はむしろ減っているのか。その端的な答えは、人を育ててないからだと私は思います。単にお金を投資しただけで、人を育てるという考えでこの10年、20年施策をとってこなかった結果と思っております。この部会だけでは無理だと申し上げたのは、初等中等教育からの全部の積み上げが研究者の評価指標の一つである論文の創出に結びつくのですが、例えば研究者の数を増やさなければいけない、大学院生を育てなければいけないと考え、大学院生の数を増やしました。今までは大学院に入ってくる人であれば、その後、研究者になりたいと思う人しか入らなかったのでジャーナルクラブで論文を読んで論文はこの様に書くものだと、自ら学び論文を書けるレベルの人が入っていたが、教員の数を増やさずに大学院生の数を増やした結果、ジャーナルクラブは参加しても自分が論文を書くことについて全然イメージがつながらない人たちが実際に大学院生として入ってきています。そこには日本人は初等中等教育で英語を長い期間教えられているにも拘らず、使える英語になっていない、入試でどの様に学生を選んでいるかという大学側の問題、大学院でどの様な指標で採っているかという問題も勿論ありますが、その点が全く考慮されず、お金を投資しているのに論文が出ないと言うのは、この部会だけで考えても全く難しいと思います。

 例えば、この資料の中のどこかにもありましたが、研究支援者の割合が、もともと低いにも拘らず、更に低くなっている。これは何故かというと、例えば大学院の重点化を行うとき、あるいは運営費交付金が削減になったときに誰から削減されたかというと、研究支援者でした。削減したのは大学側ですが、例えば文部科学省が大学を指導する、または国立大学を指導する立場にあるのであれば、そのようなことをしてはいけないと言うぐらいのことをしなければ、国全体の施策として、継ぎはぎ、ばらばらになってしまうと思います。

 それからイノベーションにつながるようなものができない。一番の問題は、理系・文系と分けている入試制度において根源的な問題があると思っています。入試がその体制だと、結局、高校2年生の時点で理系・文系に分かれてしまい、たまたま少し数学が苦手だというだけで、文系に行きましょうということになってしまう。すると専門性を持った数学までは出来ないが、理系の人と話が出来るぐらい、私はいつもこれをのり代と言っていますが、こういった教養レベルの、例えば数学なら数学、あるいはDNAならDNAのことを知らずに入ってきた人たちと何か一緒にやりましょうといっても、私はのり代がないところでイノベーションは生まれないと思っています。

 今、評価という観点とはちょっと違う発言をさせて頂きましたが、効率性の低さ、イノベーションに繋がらないことの根源は、私は人の育て方ではないかと思っていますので、この点を指摘しておきたいと思います。

 以上です。

【室伏部会長代理】  
 実は人材委員会から「人を育てる」ということを評価の項目に入れて欲しいということを大分前に提案させて頂いて、文部科学省の大きなプロジェクトの中では人材育成ということに関する項目をつくり、事前評価も中間評価も事後評価にも反映するという形にして頂きましたので、その点は少し進展していると思いますが、今、大隅委員がおっしゃったように、初等中等教育からの配慮というのもこれからはどうしても必要だろうと思いますので、その点もどうぞ宜しくお願い致します。

 小林委員、どうぞ。

【小林委員】  
 少し別の角度から話したいと思いますが、土屋局長の問題意識というのは非常に良く解ります。現実的な現在直面している課題ということですが、一方では、この評価指針の改定に向けての議論は、総合科学技術会議の議論の進め方を見ていても、個人的には1周おくれになっている気がします。例えば、この資料にもありましたが、3年前にこの部会で「審議のまとめ」を平野部会長を中心にまとめましたが、その前の総合科学技術会議の出した大綱的指針が、考えてみれば時代遅れになったわけですね。要するに過去の現実を踏まえた評価の指針を考えているだけで、例えば、あの当時だと第3期ですが、第3期はどうするのかということを踏まえた上で作ったものではなかった。止む無く部会としては、そのときの状況や今後のことを考えてこの「審議のまとめ」をまとめたのですが、総合科学技術会議はまだその段階に留まっていて、とても第4期の基本計画の実現に向けて評価として何が必要かという観点にはなっておりませんし、土屋局長のおっしゃる、R&Dの効率性という根本的問題などを、いかにイノベーションに結びつけるか、社会還元するかという観点からの評価になっているかというとなっていないわけですね。このような進め方をしていると、また周回遅れになるという気がします。その意味では現実の方がどんどん前へ進んでいますから、それを先取りする議論が必要で、例えば、先ほど有本委員が指摘された、基礎研究の評価の仕方にも踏み込まなくてはいけないのではないかということもありましたが、文部科学省の指針では大学、基礎研究、人文・社会は、ある種棚上げしてきたわけです。しかしながら、現実問題としては、そういう世界でもかなり評価が浸透してきているという現実があります。

 あと、もう一つ考えなくてはいけないのは、評価がある意味でかなり浸透しているので、その評価を使って機関を評価したり、高等教育局で行うプログラムの中で、こちらの評価の結果を使ってまた評価をするということ、あるいは来年度の概算要求ですので、今後どうなるかわかりませんが、センター・オブ・イノベーション(Center Of Innovation, COI)などを見ると色々なプログラムが沢山並んでいて相互に何か関係がありそうだとなると、単発の評価を考えればいいというだけではなく、その評価がどの様に使われるかということまで考えていかなければいけない状況になってしまっている。そこを踏まえて、先ほどのワーキンググループが指摘したようなレベルではなく、R&Dの効率性やイノベーションに結びつけるには、どうしたら良いかというレベルの、本当の目的のために評価の議論をしなくてはいけないということだと思います。そのような段取りに是非ともして欲しいと。そうしないと、また同じことをこの部会で行って、次の第5期でまた議論するような話になりかねないので、是非ともそうして欲しい。

【室伏部会長代理】  
 是非、実のあるものにしないといけないと思います。

 他にいかがでしょうか。伊地知委員、どうぞ。

【伊地知委員】  
 これまでの各委員の御発言と重なる部分があると思いますが、3点ほど申し上げたいと思います。

 まず1点目ですが、評価というのは、「審議のまとめ」にも既に書かれておりますが、個々の目的に応じて実施するので、評価結果だけがひとり歩きするようなものではない、ということです。加えて、机上資料で、論文の生産性に関わる指標がありますが、このようなものは一次レベルでは確かに端的によく解りますが、次に二次レベルで考えた場合には、例えば研究者数と考えたときに、その研究者がどのようにカウントされているのか、その国は何をもって研究者とみなしているのか。例えば日本の場合は大学教員であれば研究者というふうに数えられるとなっていますが、他の国ではどうか。あるいはドイツやフランス等の場合は、公的研究機関が比較的大きな役割を果たしていますが、そこと比較してどうか。加えて論文として成果を出してはいけないアクティビティーもある。それから論文だけではなくて、学会の中での様々なアクティビティー、コミュニティーの中の活動も含めて見る必要があり、その状況は非常に多面的に見ていく必要がある。多面的に見ていくためには、そのための道具を揃えて、それを持った上で評価を進めていく必要がある。これを日本の中では行っていないために、ある局面だけでとらえる判断になりがちなのではないか。むしろ、そこを改善していく手だての一つになるのではないかということが1つです。

 それから、2点目です。研究者の業績の評価ということは、いわゆる大綱的指針の前身が最初に出来たときから日本の中で取り入れられていますが、実際に、例えば大学等でどのように研究者の業績評価が行われているのか色々と話を伺うと、かなりコストが掛かっている割に、大多数については中間で、非常にオーバーアチーブされる先生とそうでない先生は若干名程度です。つまり、コストに見合った評価が行われていない、これはもう既に現状としてわかっている。研究者側からすると、その行動を一番左右するのはその研究をするためのリソースがどのような形で与えられるかといった点で、プログラムをどうデザインして、その中でどう事前評価をしていくのか。つまり、研究システムの中で事後的にエバリュエーションするのではなく、事前の段階でいかにアセスメントして、期待される成果が得られそうなプロジェクトなどを選ぶか。あるいは政策に適合するような、レリバントな関連プログラムをつくり、その中でプロジェクトを選定していくのか。そこがもっと強調されて良いのではなかろうかと。それについては、先ほど他の委員の御議論の中でも、例えば科研費の中でも、学際的なということがあれば学際的な領域というのを明示的につくるとか、それは一例ですが、そのような取り組みで実際それにアプライする研究者の行動を変えていくことができるのではないかということがあります。

 3点目です。マイナスの評価をするという観点がありましたが、これと裏腹のことが「審議のまとめ」の中で、17ページの中で評価文化という形があったと思います。あとは、研究者を各大学で分断するのではなく、ネットワーキングという話もありましたが、日本の中にいる研究者といったリソースをいかに有効に日本全体として活用していくかという場合に、まだまだというのがあれば、例えば審査の中でフィードバックを返していって、全体としてより良い研究アクティビティーに繋がるようなことが必要ではないかということもあったと思います。例えば人を育てるという観点も重要ではないか、実はそのようなことも既に「審議のまとめ」で触れられていることなので、折角この部会の中で「審議のまとめ」の中でかなり先を見てまとめられているので、今回の指針の改定においても、これをぜひ参照して頂くと良いのではないかと思います。

【室伏部会長代理】  
 かなり以前からさまざまな議論がなされていますので、それらを無駄にしないようにしたいと思います。

 他にいかがでしょうか。岡村委員、どうぞ。

【岡村委員】  
 イノベーションに結びつくところをどう評価するかという課題ですが、直ぐに製品化されたり、実用化されれば良いのですが、どうしてもタイムラグが出てくるので、直ぐに評価するのは難しいと思います。例えば課題を設定されるときに、よりチャレンジングな、挑戦的なものを前向きに評価する仕掛けが何かあれば、それは直ぐに結果に繋がらなくてもプラスの評価になると、イノベーションという意味合いで、そう感じました。

 もう一つ、論文に偏りがちな点にも関係してくると思いますが、イノベーションという点になってくると、アカデミック以外の部分での評価といいますか、具体的にはなかなか難しいと思いますが、そこが評価自体に何か参考になるような仕掛けをちょっと考えて頂く。学術発表だとか、論文の執筆だとか、その引用だとかというところ以外での評価で、アカデミック以外の、直ぐに何百万人の命を救ったとか何千万台の車で使われたとかいうことになれば良いのですが、多分そこは単純にそうではないと思いますので、なかなかイノベーションの声を拾い出すというのは容易ではないと思いますが、アカデミック以外の部分を取り入れていかないと、イノベーションの創出に関わる部分の評価というのはアカデミックの評価だけだと難しいのではと考えています。

 以上です。

【室伏部会長代理】  
 多様な視点からの評価という御提案ですね。

 吉川委員、どうぞ。

【吉川委員】  
 今までの経緯はわからない部分もあるのですが、総合科学技術会議が提言する研究開発の方向性と課題というのは、言わば総合的に国全体としての研究の方向性ですから、最初に言われたように、産業界というミッション、ゴールのはっきりした分野で行われる研究と、あるいは農水省とか厚労省のように、試験研究機関としてそのときの社会問題を含めた解決型のテーマで取り組む研究開発と、文科省はどちらかというとユニバース、大学ベースで総合的に行う研究ですが、これらの研究はそれぞれ当然に異なります。そのため、ここでテーマにされている文部科学省における研究開発とそれに関する評価がどうあるべきかというのは、総合科学技術会議で全体として出されることと多少異なっていても構わないのではないかと思います。総合科学技術会議がイノベーションと言うから、こちらもイノベーションに応えなくてはいけないとか、向こうがミッションオリエンテッドと言うから、文科省の研究も全てその評価を入れなくてはいけないということはなくて、文科省が大学ベースで、大学というのはユニバースですから、ここの特性のあるというのは自然科学ベースでやってきた研究開発が、実際に失敗したときの影響力が自分たちの範囲を大きく超えるようなものについては、むしろ人文・社会科学を初めから取り込んだようなタイプの研究にしていかないと問題解決に行かないのではないかというのが、今度の福島原発の反省を込めた学術会議の答申だったと思います。つまり、もう少し文部科学省の研究の在り方とその評価の在り方という問題を立てないと、何となく総合科学技術会議で言われた項目を文部科学省が全部受け入れなければならないということになると、皆さんが言われたように随分異なることをしなくてはならなくなり、大学の研究者は萎縮するだけではないか。例えば農水省が持っているミッションと同じように文科省が開発研究しなければならないミッションがどこにあって、それをどう進めて、それは他の部分では出来ない範囲の研究というか、方向性を持った研究があるから文科省が自分の研究費を取ってきて研究を推進するのですから、それに応じた評価方式があって良いのではないかと。

 もちろん、これまで、そういうことを考えて様々なまとめをつくってきたのであれば、今さら言うことではないのかもしれませんが。

【室伏部会長代理】  
 西尾委員、いかがでしょうか。

【西尾委員】  
 先ほど西島委員から、リスク社会の克服のことで、定義についての質問がありましたが、当方はこれが議論されている分科会に出席していました。この報告書の中にある、リスク社会の克服ということについては深掘りされた議論はないですね。ですから、先ほどの東日本大震災を受けてと同じで、あのような危機的な状況も踏まえた上で、この分野全体をどう強化していくのか、という観点での議論であったと思います。

 私からはまず、先ほどイノベーションという言葉が出ましたが、「科学技術イノベーション」という言葉に、ある種の誤解があるのではないかということを指摘させて頂きたいです。日本では、科学と技術が非常に進展すれば、イノベーションが起こるのかと、あるいは起こるという錯覚を持っている。社会におけるイノベーションを起こそうとしたら、まずユーザーをどれだけ巻き込むか。しかも、その上でもう一歩行かなくてはならないのはイノベーションを潰しているのは何かというと法規制です。つまり科学技術におけるイノベーション、ユーザーオリエンテッドなイノベーション、ソーシャルなイノベーションという3段階を経ないと、真の意味のイノベーションは起きないと思います。

 例えば、先ほど情報分野の話が出ましたが、日本が情報分野で、あるメジャーで測ったときの国際競争力というのは、それほど高い位置ではないのです。それでは、どこがトップかというとデンマークです。これはOECDの調査ですが、なぜデンマークなのか。例えば介護ベッドをつくるとしたら、介護ベッドを使わざるを得ない患者のリードユーザーといいますか代表的な患者にそこにいて頂いて、そこから使い勝手、あるいは問題点を指摘しながら作るということを行っている。しかし日本では、携帯電話を一つの例にすると、技術と科学からあり得るものの開発技術を1つの携帯電話にてんこ盛りにしても、それはなかなか売れない。ところが、卓上の電話と同じような機能に絞った「らくらくホン」を作ったら、本当に沢山売れて、これが高齢者社会におけるソサエティーを携帯電話というものでどう変えていくかということに関してのイノベーションを起こしている訳ですね。ですから、科学技術イノベーションという言葉は一体何を示しているのか。そこまで先のソーシャルなイノベーションを起こすところまでのことを言っているのか、それとも科学技術における、ある有望分野の、新たな創造性を持った分野を開拓するような意味で科学技術イノベーションという言葉を使っているのか、これが整理されていません。この部分を明確にしないと、なかなか評価は難しいのではないかということを感じます。

 有本委員にぜひ、この辺の言葉の定義を整理していただきたいですが。

【有本委員】  
 定義については、部会終了後に西尾先生と議論することにして、先ほど室伏部会長代理が、「実行ベース」と言われたかと思いますが、非常に重要なポイントだと思います。この様な抽象的なガイドラインをつくっても、ほとんど実行されてない。我々も皆そう思っていると思いますが、それを踏まえて私は3つ程あると思います。1つは、前回の部会でも議論がありましたが、施策とかプログラムとか研究資金制度やプロジェクトを階層構造的に評価する。つまり、それぞれのPD・PO、あるいは行政官も含めてそれぞれが責任を持ちなさいということですが、この様な抽象的なことだけ言っていては仕方がないわけです。今動いている、実際にあるプログラム、プロジェクト、あるいはその上の施策、それはどういうものですかという点をまず、分類してみることが必要ではないでしょうか。分類において、皆の合意が得られないかも知れませんが、まずそこをやれば皆考え出すと思います。抽象的なことばかり言っているので、ほとんど放置されている。今の研究資金制度やプロジェクトを分類して欲しい。その様にすれば自分の責任になるので皆必死になって考え出すということが1つ。

 2番目は、この部会の領域を超えるのですが、ファンディングの新しいプログラム、あるいは今のCOIでも良いですが、それを創るときに今日の議論を正確に反映させて欲しい。理念ではなく、今日の話で10%ぐらいはネットワーク化する。センター・オブ・エクセレンスでその人だけが、あるいはその集団だけが得をするのではなく、ネットワーク化するということを10%入れる。あるいは社会科学者も動員してテクノロジー・アセスメントとか社会的なインパクトを常に評価する。その様なことを行わない限り、理念的なことばかり言っていては、変えて下さいと言っても動かない。制度としてお金も含めて何か入れる、ということを考えて欲しい。

 3番目は、まとめ方についてです。総合科学技術会議の大綱的指針でもそうですが、理念的なことばかり書いてまとめるのではなく、付録で構わないので、議論された様々な内容や、実践的な内容についての文書を盛り込み、それぞれのレベルにおける責任者が常にそれを読めるようにして欲しい。その様にすれば、自分のところでどの様に適応したら良いのか、真摯な人は必ず考えると思います。この様に抽象的な指針では、どの様に評価を行ったら良いのかなかなか分からないと思います。

 この3つは実践的という意味で、この部会として、是非その様なまとめ方をしてほしいと思います。他の部会や分科会にも関わることですから、非常に難しいかも知れませんが宜しくお願いしたいと思います。

【室伏部会長代理】  
 それでは他にいかがでしょうか。まだ御意見をおっしゃっていない方。どうぞ、諏訪委員。

【諏訪委員】  
 皆様方の御意見とは少し違う観点からですが、私は研究者のモチベーションを如何に保つかという点が非常に重要だと思います。成果が上がらない原因というのは、研究者のモチベーションとプログラムの内容が合致していない、つまりプログラムが上手くフィッティングしていない気がしており、本当に研究者がやる気になれるようなプログラムを如何に、幾つ、どの程度バリエーションを持ってつくれるか、これが重要ではないかと思います。例えばアウトカム指標による目標の評価というプログラムを大筋で出されておりますが、これに対して何年度からこうしますと一気に動かそうとしても研究者全体では動かないと思います。基礎志向の方から、基礎から少し製品化に向かっても良いと思う方、また、製品化に向かって進めている方まで、多種多様なバリエーションが研究者側にありますので、プログラムもそれに合わせ、どれかを選べば必ず自分にフィットする、その様なプログラムが沢山あると良いかと思います。

 例えば震災が起きた時、それに対応するようなプログラムを見てみますと、それ程バリエーションは多くありません。本当に基礎志向の人でも参加出来るもの、中間の基礎から産業化へ向かうものを考えている人でも対応出来るもの、本当に産業化に興味がある人が対応出来るものという、幾つかのプログラムを用意すれば、モチベーションが上がるのではないかと思いました。この様なことは現実的ではないかも知れませんが、一つの意見として挙げさせて頂きます。

【室伏部会長代理】  
 では、金子委員、お願い致します。

【金子委員】  
 評価の話ではないのですが、先ほど西尾委員から御意見がありました科学技術そのもののイノベーションというのは難しいのではないか、という例として、私たちが行っている慶応大学のプロジェクトについてお話しします。5年前に、慶應大学が共同研究のフィールドとさせていただいていた宮城県栗原市が大きな地震を受けて、丸一日、山岳地帯の地区で通信が完全に途絶えたことがありました。それを契機に、素人でも10分間でインターネット通信を復旧させることができるような、栗原市と共同で、衛星回線を使ったシステムを構築しました。それを納入しようとした矢先に東日本大震災が起こりました。そのプロトタイプを何台か持っていましたので、3.11直後の時期に被災地の沿岸部に運んで、45カ所にそれを設置して、「役に立った」と感謝されたということがありました。これは地味な仕事でしたが、研究者にとって非常に大きなモチベーションになり、博士を取得したばかりの学生と、若手研究者がバンにこの装置を積んで運び、被災地でネットがまったく使えずにいた行政や避難所の人たちに喜ばれることを直接知りました。それだけでなく、情報通信はシステムとして様々な問題があるということも分かりました。水が無くなった時には給水車のような対策があり、他の様々な社会インフラについても、何かしらの代替案がありますが、インターネットに関してはほとんど無いという状態をどうするのか。根本的には、情報インフラを整備するにあたり、衛星という非常に限られたリソースをどう配分するかという大きな問題の提起が必要になる。企業のトップや政治家などが必ず使える衛星回線を保持するということだけではなく、社会的に使える状態にするにはどの様にするべきかという、非常に大きな科学技術の課題を提起したと思います。たまたま我々の行ったプロジェクトを例に出しましたが、現場での得られた発見が、次の研究、ないしは大きな基盤研究に繋がって行き、社会インフラの見直しにつながることがもしあれば、技術者としても大変うれしいことだと思います。

 加えてもう1つ言いますと、我々が今取組んでいる遠隔医療の問題は、丁度そのシステムが上手くつくれた矢先でしたので、実は南相馬市にある14の仮設住宅に持って行き、現在も使って頂いています。先ほど法律の問題がありましたが、科学技術イノベーションと社会イノベーションと政策イノベーション、まさにこれらが同時に存在しなくてはならないのですが、遠隔医療に関しては、遠隔システムを介しての診療は医師法違反になるのではないかという議論が長い間ありました。しかし、4月になって災害関連では急性期で初診でも遠隔診療して宜しいということが医政局から通知が出ました。これは非常時をきっかけとした大きな規制緩和です。この様なこともありますので、社会が変わる時には何かの変化があり、普段なかなか出来ないことが一気に社会的な意味を持ち出すということだと思います。これらは私が経験した2例だけですが、更に他にも沢山の事例があると思います。「東日本大震災の」を単に枕言葉にするのではなく、何が起きたのか、どの様なことを捉まえていけば良いのかを、それぞれの分野で考え、「誰が」、「どうやって」規制の形を変えていくかということを忘れないように、この部会でも議論をしていくと、もう少し納得のいく方向性が出てくるのではないかと思いました。

【室伏部会長代理】  
 それでは、時間も過ぎておりますので、議題1はこの辺にさせて頂きたいと思います。また御意見がありましたら、事務方にメールでお送り下さい。宜しくお願い致します。

 なお、ただ今の御意見等を踏まえて、先ほど御説明ありましたように、来年1月ごろに指針の改定を行うスケジュールですので、それまでに具体的な作業の手続を進めていくことにしたいと思います。その際には、先ほど吉川委員がおっしゃった、文部科学省としての研究の在り方に視点を置いて作業を進めて頂きたいと思っております。

 それでは、議題2に移ります。議題2は、これまで御議論頂きましたが、それに基づき作業部会で改定案を作成して頂きたいと思っておりまして、研究開発評価部会における作業部会の設置について審議させて頂きたいと思います。

 まず、事務局より資料の説明をお願い致します。

【鎌田企画官】  
 それでは、資料2を御覧頂けますでしょうか。「文部科学省研究開発評価指針改定作業部会の設置について(案)」という資料です。

 部会の設置につきましては、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会研究開発評価部会運営規則の第3条第1項で「部会は、研究計画・評価分科会において定められた所掌事務のうち、特定の事項について調査審議を行う必要がある場合は、作業部会を置くことができる」と定めています、また、「作業部会の名称及び所掌事務は、部会長が部会に諮って定める」、それから、「作業部会に属すべき委員、臨時委員及び専門委員は部会長が指名する」と同条で規定されています。

 その規定に基づき、1.設置ですが、これまで御議論頂きましたとおり、第4期科学技術学術基本計画を受けて、大綱的指針の改定が行われております。その改定を踏まえて、あるいは今日御議論頂いた様々なポイントを踏まえて、文部科学省の指針の改定を集中的に調査審議するために、本部会に文部科学省研究開発評価指針改定作業部会を設置すると記述しています。2番目、調査審議事項と致しましては評価指針の改定に関する事項、設置期間につきましては設置された日から科学技術・学術審議会の第6期が終了する平成25年1月31日までとする事務局案を資料2として提示させて頂きました。

 御議論、宜しくお願い致します。

【室伏部会長代理】  
 それでは、ただいま御説明のありました作業部会の設置につきまして、御意見やご質問がありましたらお願い致します。

 特に、御意見、ご質問が無いようですので、資料2のとおり、当部会に文部科学省研究開発評価指針改定作業部会を設置することにしたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【室伏部会長代理】  
 それでは、作業部会に属する委員等につきましては、ただいま御説明がありましたように、部会運営規則第3条第3項に基づきまして部会長が指名するとされておりますので、部会長と相談の上、皆様には追って御連絡させて頂きたいと思います。宜しくお願い致します。

 では、議題2についてはこれで終了させて頂きます。

 本日予定しておりました議題は以上ですが、最後に事務局から連絡事項等がございましたら、お願い致します。

【德成科学技術・学術戦略官付室長補佐】  
 事務局から、3点御連絡させて頂きます。

 1点目、今回の議事録につきましては、部会運営規則第5条に則り、議事録を作成し、各委員にご確認頂いた後に、ホームページにて公表させて頂きます。

 2点目、次回の部会は、12月上旬を目処に開催したいと考えております。主な議題としては、科学技術戦略推進費及び科学技術振興調整費による実施プロジェクトの評価結果の取りまとめ、それから本日御議論頂いた文部科学省研究開発評価指針の改定を予定しております。後日、改めて日程を調整させて頂きます。

 3点目、本日の配付資料につきましては、机の上に置いて頂ければ、後日郵送させて頂きます。

 以上です。

【室伏部会長代理】  
 以上をもちまして、本日の部会は終了させて頂きます。活発な御議論、どうもありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(調査・評価担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(調査・評価担当))