昨年6月に閣議決定された新成長戦略においては、強みを活かす成長分野として、グリーン・イノベーションによる環境エネルギー大国戦略を位置づけ、環境エネルギー分野の取組を強力に進めることにより、温室効果ガスの大幅削減と経済成長の両立を目指すとされた。これを受け、総合科学技術会議が策定する科学技術重要施策アクションプランや第4期科学技術基本計画策定に向けた検討においても、成長の柱としてのグリーンイノベーションを強力に推進すると位置づけるなど、環境エネルギー分野の研究開発を強力に推進することが求められている。
一方、東日本大震災により、我が国のエネルギーシステムの歪み・脆弱性が露呈した。中長期的な視野から、安全・安定供給・効率・環境の要請に応えるエネルギー・環境戦略を策定することが重要であり、新成長戦略実現会議において、その検討が開始されたところである。
第4期科学技術基本計画についても東日本大震災を踏まえた再検討が進められており、グリーンイノベーションについては「我が国が強みをもつ環境・エネルギー技術の一層の革新を促すとともに、エネルギー供給源の多様化と分散化、エネルギー利用の革新に向けた社会システムや制度の改革を推進する」とし、重要課題として
を位置づける予定である。
環境エネルギー分野の研究開発方策の策定に当たっては、以上の状況を踏まえて、文部科学省が推進すべき研究開発課題を設定することが重要である。
太陽光発電、バイオマス利用、地熱発電、波力発電等の再生可能エネルギーについて、これまでの技術を飛躍的に向上させるとともに、新たなブレークスルーとなる革新的技術の獲得を目指した研究開発を推進する。
(研究課題の例)
分散エネルギーシステムの革新を目指し、燃料電池や蓄電池等のエネルギーの創出、蓄積システム、超伝導送電技術、スマートグリッド等のエネルギーマネジメント技術、自律分散エネルギーシステムに関する研究開発を推進する。
(研究課題の例)
低炭素社会の実現に向けて、社会システムの改革や研究開発の方向性等、将来に向けた具体的な社会シナリオを提示するための研究を推進する。また、新技術の実証研究を推進し、研究成果の社会還元を促進する。
地球観測、予測、統合解析により得られる情報は、グリーンイノベーションを推進する上で重要な社会的・公共的インフラと位置づけられている。第4期基本計画においては、これらの技術の飛躍的強化に引き続き取り組むとともに、気候変動や大規模自然災害を始めとする多様な領域への活用を可能とするための研究開発を推進する。とりわけ、気候変動問題については、そのもたらすリスクを適正に管理するとともに、リスクに対応した社会を構築していくための精緻な情報を創出することが重要であり、重点的に取り組むこととする。
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