ライフサイエンス委員会(第121回)議事録

1.日時

令和8年4月27日(月曜日)13時00分~14時57分

2.場所

文部科学省会議室 及び Web会議システムによる開催 ※ハイブリッド開催

3.出席者

委員

岩井主査、畠主査代理、天谷委員、有田委員、大津委員、大曲委員、岡田委員、風間委員、鎌谷委員、上村委員、木下委員、熊ノ郷委員、倉永委員、坂田委員、朔委員、桜井委員、鹿野委員、杉本委員、滝田委員、武部委員、坂内委員、宮田委員、森尾委員

外部有識者

竹邊助教(京都大学情報環境機構データ運用支援基盤センター)

文部科学省

倉田ライフサイエンス課課長、村越ライフサイエンス課課長補佐、吉田ライフサイエンス課係長、満田ゲノム研究企画調整官、岩佐研究振興戦略官(先端医科学研究担当)付先端医科学研究企画官

4.議事録

【吉田ライフサイエンス課係長】  定刻となりましたので、ただいまより、第121回ライフサイエンス委員会を開会いたします。
 本日は、対面とオンラインを併用したハイブリッド形式による開催とさせていただいております。本委員会は、報道関係者と一般の方にも傍聴いただいております。
 本日は、対面で11名、オンラインで12名の総委員数23名に御参加いただいており、定足数を満たしていることを御報告いたします。なお、14時半にはオンラインの坂田委員が御退席されると伺っております。
 会議の円滑な運営のため、WebexによるWeb会議システムで御参加いただいております委員の皆様にお願いしたいことがございます。委員の先生方におかれましては、表示名は、本名、日本語表記、フルネームとしていただきますよう、お願いします。また、回線の負担軽減のため、通常時はマイクとビデオをオフにしていただき、御発言を希望される場合は、ビデオをオンにしてください。また、発言される際のみマイクをオンにしてくださいますよう、お願いいたします。発言が終わられましたら、両方を再度オフにしてください。
 そのほか、システムの不備等が発生いたしましたら、随時、お知らせください。Web会議システムの音声が切れてしまった場合には、事務局より事前にいただいておりますお電話番号に御連絡させていただきます。表示名や音声・映像については、事務局により操作する場合がありますこと、御承知おきください。御不便をおかけすることがあるかもしれませんが、何とぞ御理解いただけますと幸いです。
 それでは、以降の進行は岩井主査にお願いいたします。
【岩井主査】  どうも、皆さん、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。一部、連休に入っている方もおられると思いますが、ぜひ、日本のライフサイエンスの未来ということで、皆さんと一緒に議論できればと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。
 それでは、まず、本日の議事と配付資料について、事務局のほうから確認をお願いいたします。
【吉田ライフサイエンス課係長】  では、まず、議事次第を御覧ください。本日の議題は、5点でございます。
 議題(1)は、ライフサイエンス分野に関する国内外の政策動向です。事務局より御説明いたします。
 議題(2)は、研究開発課題の事後評価についてです。研究開発課題1件の事後評価について、御議論いただきます。本日、議論いただくのは、「ゲノム医療実現バイオバンク利活用プログラム(B-cure)」です。
 議題(3)は、作業部会からの中間報告等です。二つの作業部会より、それぞれ御報告をいただきます。本日、御報告をいただくのは、基礎・横断研究戦略作業部会と感染症研究の推進に関する作業部会です。
 議題(4)は、ライフサイエンス分野における基盤研究の国際競争力強化に向けてです。京都大学の竹邊先生及び理化学研究所生命医科学研究センター長の天谷委員より、プレゼンいただきます。
 議題(5)は、その他としており、事務局からの連絡事項について共有する予定でございます。また、全体を通して御意見などございましたら、御発言いただければと思います。
 配付資料は、議事次第に記載されているとおりです。資料番号は議事に対応しております。不足等ございましたら、議事の途中でも構いませんので、事務局にお声がけください。
 事務局からの説明は、以上です。
【岩井主査】  どうもありがとうございます。
 では、これから議事の1番目、ライフサイエンス分野に関する国内外の政策動向の議論を始めたいというふうに思います。まず、資料1を見ていただいて、資料1に基づいて、事務局のほうから説明をお願いできるんですね。よろしくお願いします。
【倉田ライフサイエンス課長】  それでは、資料1に基づきまして、事務局より、最近の動向につきまして、簡単に御紹介させていただきます。
 まず、1ページ目でございますが、皆様、既に御案内のとおり、現在、日本成長戦略会議の下でワーキンググループに分かれての議論が進められてございますが、特にこのライフサイエンス委員会と関係ございますのは、合成生物学・バイオワーキンググループと創薬先端・医療ワーキンググループでございます。分野ごとにおけますワーキンググループにおきまして2ページにお示ししております主要な製品・技術等というところが議論されてございまして、それぞれの技術ですとか製品につきまして3ページ目から6ページ目に事例を示しておりますが、現在、方向性ですとか、我が国の勝ち筋、目指すべき姿といったところが議論されているところでございます。最終的には日本成長戦略会議全体で取りまとめられた後に成長戦略として取りまとまるという動きと認識をしておりますが、例えば、バイオものづくり、再生医療等製品、また、創薬・先端医療ではファーストインクラス・ベストインクラスというような形でまとめておりますが、いずれも革新的な基盤技術の重要性といったところについてしっかりと書き込んでいただいているところでございますし、併せて人材育成の必要性やAIの活用といったところも言及されているところでございます。また、危機管理投資といった文脈では、感染症有事に備えまして、研究開発の持続的な重要性ですとか、製造施設の整備、こういったところについても言及がされているといった状況になってございます。
 また、少し話は変わりまして、7ページから、AI for Scienceということで、こちらのライフサイエンス委員会でも度々御紹介をしておりましたが、文部科学省におきましてAI for Science推進委員会というところで御議論を重ねていただいておりまして、3月31日付で、文部科学省決定という位置づけではございますが、基本的な戦略方針といったものを取りまとめたところでございます。今お示ししております7ページにございますように、日本の強み、日本の課題といったところを確認しつつ、人材、データ、計算基盤、こういった三つの柱に沿って戦略をまとめてきたところでございます。
 8ページ目を御覧いただければと思いますが、こちらが戦略方針の概要になってございまして、今申しました日本の強みを生かして日本としてどう進めていくかというところでございますけども、今後5年の目標といったところのターゲット例の一つに、バイオ分野についても言及をしているところでございます。
 このような議論を踏まえまして、10ページ目でございますが、研究、あるいは、データ基盤、計算資源、電力インフラ、こういったAI for Scienceを支えます重要な要素について、それぞれの今後の具体的な目標例というものも掲げてございます。特に、研究分野につきまして、このようなAI for Scienceの研究を加速させるということで、11ページ目にお示ししておりますが、二つの新しい研究費のプログラムを開始することとしております。一つ目は、既に公募を開始しておりますが、SPReAD 1000ということで、特に若い先生方、あるいは学生さんも含めて、チャレンジングな課題に挑戦していただく、そういった取組を応援させていただくような事業として始めさせていただくこととしております。こちらは、公募は2回に分けて行うこととしております。また、上のほうにございますARiSEという事業につきましては、13ページ目に書いてございますが、先ほどの戦略方針の中にありました具体的なターゲットを目指しまして取り組んでいただく課題を御支援するようなプログラムですとか、あるいは、国際・融合型ということで、ターゲットにとらわれず、国際的な連携体制を組みながら、国際的なトップリーグへの参画を目指す、そういった課題を御支援する、このような二つの大きな構成に基づいて、今後、研究公募を開始する予定としてございます。
 御参考まででございますが、AI for Science、各国とも取組が加速しておりまして、14ページ目でございますが、特にアメリカエネルギー省(DOE)が中心となって、現在、GENESIS MISSIONといった取組が進められております。具体的には、次のページ、15ページ目にございますが、ヒューマンについてはNIHが中心でございますので、エネルギー省のほうは植物ですとか微生物といったところが中心になりますが、ここに掲げております全体として26の課題の中にもバイオ分野の課題が含まれておりまして、また、現在、DOEが公募をしています研究課題公募の中にも、バイオ分野の公募も含まれているところでございます。実際には、例えば、15ページの下にもお示ししておりますが、自動自律ラボのような形で、いろいろな研究の自律的な取組により生命科学的な解明を加速していくというような取組がDOE自身でも既に取り組まれておりますし、また、先ほどの公募を通じてアメリカ全土で加速していくというような計画になっているところでございます。
 また、16ページ目でございますが、NIHのほうでもAIの活用といったところの取組が進められておりまして、計算資源を柔軟に使えるような環境ですとか、そういったデータの共有といった取組を進められておりますが、同時に、リスクへの対応といったところについてもしっかりと取り組まれているというような状況になっております。
 また、詳細は割愛させていただきますが、欧州などにおいても、データ基盤の取組などの検討や、実際に進められておりまして、この後、杉本先生から御紹介いただきます作業部会のほうでも、日本としての今後のデータ基盤の在り方について現在御議論いただいているところでございまして、こういった動きを踏まえて、私ども文部科学省のほうでもしっかり対応してまいりたいと考えているところでございます。
 簡単ではございますが、以上でございます。
【岩井主査】  どうもありがとうございます。
 文科省のライフ課で決めたものじゃないので、ここをこうせいと言われても困るところはあるんですけれども、御質問とか、追加で聞きたいことがあれば、おっしゃっていただければと思います。いかがでございましょう。
 よろしゅうございますか。じゃ、資料を見ていただいて、疑問とかがあれば、事務局のほうに言っていただければと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。
 では、次に行きたいと思います。2番目の議題は、研究開発課題の事後評価についてでございます。今回は一つだけ議題があって、「ゲノム医療実現バイオバンク利活用プログラム(B-cure)」の事後評価ということでございます。これに関しましても、事務局のほうから説明いただければいいのかな。
 じゃ、資料2を御覧ください。事務局、よろしくお願い申し上げます。
【満田ゲノム研究企画調整官】  それでは、御説明をさせていただきます。「ゲノム医療実現バイオバンク利活用プログラム」、略称としてB-cureと呼んでおりますけれども、こちらの事後評価について、御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、資料2の、少し飛びまして13ページ目の横型のポンチ絵を御覧いただければと思います。本事業につきましては、「健康・医療戦略」に基づきまして、令和3年度から令和7年度の5年間の事業として、我が国のバイオバンクを維持・発展・連携させるとともに、それらを活用いたしまして、疾患関連遺伝子の同定ですとか、多因子疾患の発症リスクの予測、個別化医療の実現を目指す研究開発などを推進する事業でございます。
 本事業は、左側に四つの柱が立っているかと思いますけれども、一般住民バイオバンクである東北メディカル・メガバンク計画と、疾患バイオバンクでありますゲノム研究バイオバンク事業、こちらはバイオバンク・ジャパンが採択されておりますが、これらの整備・運用。また、バイオバンク横断検索システムの運用・高度化と、公募型の研究開発を行います、ゲノム医療実現推進プラットフォーム。そして最後に、効率的・効果的なオミックス解析を実施する、次世代医療基盤を支えるゲノム・オミックス解析。これらの四つの事業を統合した事業になります。これらの事業につきましては、それぞれ進捗管理を行うAMEDにおきまして、事後評価が既に実施をされてございます。評価コメントにつきましては、14ページ目以降に付しておりますので、適宜、御参照いただければと思います。
 それでは、戻りまして、5ページ目を御覧いただければと思います。まず、課題の達成状況でございますが、アウトプット指標として設定をいたしました、研究成果の科学誌への論文掲載件数は288件。目標は、250件と設定しておりました。また、アウトカム指標として設定をいたしました、新たな疾患関連遺伝子・薬剤関連遺伝子の同定数は42件。目標は、25件と設定しておりました。こちらについてはいずれも目標値を上回る成果が得られておりまして、これらのデータからも、ゲノム医療、個別化医療の実現に資する取組を推進できたと判断しております。
 続いて、評価結果について、観点別に御説明をさせていただきます。まず、6ページ目から7ページ目にかけて、御覧いただければと思います。必要性についてでございます。国費を用いる意義や、科学的・技術的意義の観点で評価をいたしました。東北メディカル・メガバンクでは、約15万人の一般住民から成るバイオバンクを整備いたしまして、三世代コホートの整備や質の高い追跡調査を実施いたしまして、また、12万人の全ゲノム解析を実施するなど、次世代医療基盤の構築を推進しております。
 また、バイオバンク・ジャパンのほうでは、約27万人の多様な疾患を備えた生体試料と医療情報を有する疾患バイオバンクを整備いたしまして、大規模メタボローム情報の人間ドックへの実装や、変異情報の診療ガイドラインへの反映など、個別化医療・予防の先導的なモデルとなる取組を進めております。また、これらの研究基盤を活用した公募型の研究開発も随時進めるとともに、国内9機関・14のバイオバンクが加入するバイオバンク・ネットワークを構築いたしまして、生体試料や解析情報の一括検索を可能とする横断検索システムを構築・運用するなど、我が国のゲノム研究の発展に大きく貢献をしていると、評価をしております。
 以上より、本事業の必要性は十分であると、評価をしております。
 続きまして、8ページ目のおめくりいただきまして、有効性についてです。こちらにつきましては、新しい知の創出への貢献、研究開発の質の向上への貢献などの観点で評価をいたしました。東北メディカル・メガバンクでは、作成いたしましたリファレンスパネルが、疾患原因遺伝子の絞り込みや、がん遺伝子パネル検査の結果の解釈に利用されるなど、ゲノム医療の精度向上に寄与してございます。また、バイオバンク・ジャパンでは、ブレインバンクに登録されている試料を活用した新たな解析を進めるなど、バイオバンク連携を通じた研究基盤の向上に努めております。また、両バンクとも人材育成にも取り組んでいるという状況でございます。
 以上により、本事業の有効性は十分であると、評価をしております。
 最後に、効率性についてです。9ページ目を御覧ください。計画・実施体制の妥当性、目標・達成管理の向上方策の妥当性の観点で評価をいたしました。AMEDのPD・PS・POによる進捗管理や指導・助言、また、各プログラムの進捗状況や課題などを共有するB-cure連絡会の開催など、適切な事業運営を実施しております。
 以上のことから、本事業の効率性は十分であると、評価をしております。
 続いて、10ページ目を御覧いただければと思います。中間評価結果の時の指摘事項として、バイオバンクの認知度の低さや、出口につながる研究事例が乏しいなどの指摘がございました。これらの指摘事項を踏まえまして、例えば、両バンクでは企業と連携したモデル研究を実施したり、また、東北メディカル・メガバンクでは、研究計画の立案段階でも自席のパソコンからデータベースにアクセス可能なプレリサーチの運用を開始し、データ利活用促進に向けた取組などを進めているという状況でございます。
 以上の観点を踏まえまして、(4)において、本事業の総合評価は、「優れている」という形で評価をいたしました。
 最後に、12ページ目の(5)の今後の展望を御覧いただければと思います。バイオバンクは我が国の貴重な研究基盤であり、引き続き、次世代医療・予防の実現に向けて、さらに発展・貢献することを期待すること。具体的には、民間のニーズを踏まえたコホートデザインの構築や、全国のコホート・バイオバンク連携の強化、試料・情報を用いたデータ駆動型研究の推進を期待すること。また、多様な研究者が円滑に研究を実施できる体制を整備すること。このように指摘をしてございます。
 本事業の取組と成果を踏まえまして、令和8年度から後継のプログラムとして「次世代医療実現バイオバンク利活用プログラム」を開始しておりますので、これらの指摘事項も踏まえながら事業を進めていきたいと考えてございます。
 私からの説明は、以上でございます。
【岩井主査】  どうもありがとうございます。
 今、説明いただきましたように後継事業が今年度から始まっているわけですが、それを始めた理由としては、当然、この事業がそれなりにうまくいっていた、非常にうまくいっていたということを踏まえてですけども、その事後評価を今日出させていただいたということかというふうに思っております。
 内容について、修正があるとか、いろんな意見がある、質問があるというふうなことがございましたら、おっしゃっていただければと思います。いかがでございましょう。
 特にありませんか。
 どうぞ、大津先生。
【大津委員】  今後の展望でも挙げられたように、出口戦略として創薬等への活用ということをおっしゃっておられたんですけども、実際に、次のプログラムとしては、枠組みとしては、今までに加えて、実用化・出口を見据えて企業との連携であるとか、そういったところも入ってくるんでしょうか。
【岩井主査】  事務局、よろしくお願いします。
【満田ゲノム研究企画調整官】  ありがとうございます。先ほど申し上げましたとおり、後継のプログラム、「次世代医療実現バイオバンク利活用プログラム」なんですけれども、こちらは、御指摘のとおり、これまで整備した基盤を使って、特に製薬企業の皆様に活用いただいて、それを創薬や診断・予防などの成果につなげるような形で利用していただきたいと考えておりまして、実際、そういったプログラム構成にもしております。例えば、一つ挙げると、公募型の研究開発につきましては、これまでは疾患のメカニズム解明が主体だったんですけれども、企業にも初めから参画いただきまして、創薬等の出口を目指した形で研究開発をしてくださいという形の公募にするとか、そういった形でのプログラム構成としておりますので、御指摘を踏まえて、しっかり意識した形で進めていきたいと考えております。
【大津委員】  ぜひ、出口、成果に行くように、ベンチャーも含めて産学連携が進むと、期待しております。よろしくお願いします。
【岩井主査】  ありがとうございました。「成長戦略」とか見ていますと、やはり出口まで行くということは非常に重要ですので、つなげていただけるとありがたいと思います。
 ほか、いかがでございましょうか。
 武部さん、どうぞ。
【武部委員】  質問なんですけど、予算のところの読み方というか、R5年から徐々に補正と調整費というのがかなり大きくなっていると思うんですが、この見通しとか、これはどういうところによるのかとかいうのは。
【岩井主査】  それについてはどうですか。
【満田ゲノム研究企画調整官】  こちらは5年間の事業になりまして、幾つか、補正予算のところでかなり大きな金額がついております。直近ですと、令和7年度はスパコンのリプレースがありましたので、43億円と、かなり大きな金額がついております。その前の令和6年度も10億円がついておりますけれども、こちらは、全ゲノム解析を追加で2万人程度行った補正がついておりますので、かなり大規模になっております。全体の予算としては、46億円から、徐々に効率化が入っておりますけれども、40数億円程度で平均しているという形になってございます。後継のプログラムも、規模としては41億円ぐらいですので、同じような規模で進めていきたいと考えてございます。
【岩井主査】  よろしいですか。
 ほか、いかがでございますか。
 当然、後継に関しては、幾つかのデータベースと連携をしていただいて、それでまとまっていくというのが重要やと思いますし、逆に、ほかのデータベースとの連携とかということに関しては、何か後継の事業の中に入っているでしょうか。
【満田ゲノム研究企画調整官】  データベースとの直接の連携というわけではないんですけれども、先ほども少し触れたかもしれませんが、バイオバンク・コホート連携という形で、幾つか特色のあるコホートなどと連携をいたしまして、最終的な統合解析を目指すために、まず、下地として、それぞれの医療情報とか、ゲノムの解析情報とかをそろえるといいますか、そういった平準化の取組を進めていこうと考えておりまして、令和8年度から進めていきたいと考えております。
【岩井主査】  すごい大事ですね。いろんなデータを集めているんだから、それを統合していろんな事業ができるような形にしていくというのは重要ですので、ぜひ、その視点を持ってやっていただきたいと思います。
 よろしゅうございますでしょうか。
 どうぞ、森尾先生。
【森尾委員】  ありがとうございます。先ほど創薬への展開と出口いう話があったんですけど、恐らく、国際的な製薬メーカーから、世界展開ということで、自国の欧米中心だけではなくて、アジアデータ、日本のデータということも、アクセスしたいと思っているんですね。ここに対するオープン性というんでしょうか、スタンスというのはあるんでしょうか。海外企業に提供できるような形にする。薬に対する感受性や、副作用とか、いろんなことに関する、公開に関する条件だとか、スタンスとかということがあれば、教えていただきたいと思います。
【倉田ライフサイエンス課長】  まず、大きなルールといたしまして、AMEDで現在行っております公募事業の公募要項にも全ての記載がございますけれども、AMEDで行っている事業で得られましたゲノムデータを海外に提供するといった場合には、まずはAMEDに相談をし、その上で関係省庁と協議をするというのが、一応、公募要項全てに掲げてございます。その際に、その必要性ですとか、その効果ですとか、そういったものを確認しまして公開するということもあり得るというような立てつけになってございます。
【森尾委員】  可能であるということですか。
【倉田ライフサイエンス課長】  そうでございます、制度上は。
【森尾委員】  一定の課金もできるということでよろしいですか。
【倉田ライフサイエンス課長】  そこはどちらかというと契約になりますので、仮に海外の企業というようなことがございましたら、その契約の中でどういう形かというところはございます。そういった全体の共同研究、通常、共同研究で、かつ、相手がそこしかできない、そういった必要性があるような共同研究の中での提供というのが想定されますが、そういった枠組みの中で金額も含めて確認をさせていただくというような形になってございます。
【森尾委員】  ありがとうございました。
【岩井主査】  よろしゅうございますか。
 ほか、いかがでございましょう。
 有田先生、どうぞ。
【有田委員】  遺伝研の有田です。バイオバンク連携とかデータの連携といったときに特に重要になるのが、インフォームド・コンセントをどう取ってあるかという点なんです。企業の側から見ますと、インフォームド・コンセントの内容がはっきりしてない場合は、リスクが高くて使えないんですね。じゃあどうやってやるかというのは、個々のバイオバンクに任せてもなかなかまとまるものではなくて、本来は、AMEDなり、どこか担当部署がきちんと、このインフォームド・コンセントでやってくださいというのを初めから打ち出していただく必要があるんです。もちろん、今、AMEDはやってくれているんですけれども、まだまだ難しいところがあります。それは、今までに継続されてきたバイオバンク事業から、新しく倫理審査の申請をするときに、新しい研究計画ではなくて、修正の倫理申請などを行うことが非常に多くなってくると思います。その際に、新しい倫理指針にどういうふうに従えば、どういう修正申請を行えばいいのかとかが、まだ国内でばらばらで、僕自身、遺伝研の中で倫理審査委員会をやっていますけれども、出され書類の文言から、書かれている情報の粒度から、点でばらばらなんですよ。僕が見ているのは遺伝研だけですけれども、日本全国の病院とか機関で、ばらばらのICで、ばらばらの粒度で審査されていて、それを最終的に統合しようとしても、本当に統合していいかどうかも分からないところが多くて、審査し切れないという状況に陥ると思います。ですので、AMEDを中心に、はっきり国として、例えば、こういうICを取らないとグラントをあげないよというぐらい、厳しくコントロールしてもらいたい。
 それから、海外への提供ですけれども、アメリカとかヨーロッパのいわゆる先進諸国だけじゃなくて、今後、いろんな国から依頼が来ると思うんです。3日前ぐらいに中国のAlibabaでUK Biobankのデータが売られているというニュースがありましたけれども、こういうことが日本のところで起きたら、大変なことになるんですね。ですので、どこの国に出せるのかということも含めて、これも各バイオバンクに任せるという姿勢ではなくて、国がこうしますというふうに言ってくれないと、グラントをもらってやっている側は、自分たちの権利であるとか、範疇を超える作業になってくると思うんです。ですので、ぜひ、AMEDが主体的に動いていただきたい。
 以上です。
【岩井主査】  ありがとうございます。
【倉田ライフサイエンス課長】  ありがとうございます。いただいた御指摘も踏まえまして、私どもも、いかにいい形で活用できるかという形にしていきたいと思います。その点で、まさに、倫理審査、インフォームド・コンセントの在り方も含めて、検討してまいりたいと思っております。ありがとうございます。
【岩井主査】  非常に重要な指摘、ありがとうございました。
 ほか、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。では、次の議題に行きたいと思います。
 次の議事は、3番目、作業部会からの中間報告等でございまして、今日は二つございます。まず、一つ目は、基礎・横断研究戦略作業部会に関して、中間報告をしていただくということで、その責任者を務める杉本先生から、よろしくお願いします。
【杉本委員】  それでは、主査を務めております、杉本から報告させていただきます。
 本作業部会は、令和4年から8年までという事業期間で行っておりまして、8年度で事業期間が終了します、ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)、ナショナルライフサイエンスデーターベースプロジェクト(NLDP)、生命科学・創薬研究支援基盤事業(BINDS)、この三つについて、これまでの進捗、成果、効果等を検証しまして、令和9年度以降の在り方を検討するということを目的としております。さらに、データ・AIを活用したライフサイエンス分野の研究の今後の在り方についても検討を行って、各事業の検討に反映させるということを目的としております。
 資料、少し飛びますが、4ページをお願いできますか。事業の概要です。NBRPは、バイオリソースの収集・保存・提供を行うための中核拠点に対する支援を実施する事業です。それから、NLDPは、ライフサイエンスデータベースを機能的に連携・統合化するための基盤技術開発やポータルサイトの開発・運営を実施する事業です。それから、BINDSのほうは、8ページになりますが、先端機器整備による研究技術の高度化、生命科学・創薬研究成果の実用化を促進する事業となっておりまして、いずれも令和4年度から8年度となっております。
 また1ページに戻っていただきたいんですが、今回は本作業部会の中間報告となっておりまして、現在までに、計4回、部会を開催しました。1回、2回では、各事業のPD・PSや有識者からのヒアリング、そして、3回、4回で、論点整理、事業見直しの方向性の整理を行っているところです。今後は、6月頃に作業部会報告書の取りまとめを行いまして、次回のライフサイエンス委員会において報告を行う予定です。
 これまでの論点の整理状況と今後の方向性の案をこれから簡単に御説明しますが、3ページをお願いします。三つの事業でかなり共通した課題・論点がありますので、この3ページ目は共通の部分について示しております。
 まず、持続可能な事業運営を実現していくためには、現在は原則無償あるいは低廉な価格で提供するという基本コンセプトで行っているんですけれども、光熱費、人件費、機器更新などの費用の高騰もありますので、今後を見据えますと、持続可能な事業とするために、利用者にも相応の負担を含めた制度設計をすべきではないかという意見が出ております。また、2点目としましては、AI時代に対応させるということで、AI活用を前提とした研究データ基盤の整備を推進するということ。さらに、かなり多くの委員から指摘があるんですけれども、三つの事業間で横断的にデータを蓄積・利活用する体制を構築することを検討すべきだということです。それから、次の論点としましては、これらの事業は非常に高度な研究支援人材が必要とされておりまして、その人材の安定的な確保、適切な処遇の確保をするために、キャリアパスを考慮した取組を実施する必要があり、また、それについても、選定の際や、中間評価、課題評価の観点にも含めるべきではないかという意見が出ております。このページの最後は、研究の一層の高度化を目指す上で、三つの事業が相互に連携・協力しながら一体的に機能することが大事であると。そのためには事業間の橋渡しを担う人材や橋渡しをする仕組みを整備する必要があるということで、研究者のニーズに応じて各事業のサービスを適切に組み合わせるコンサルティング機能も必要ではないかということでした。
 ここから、それぞれの事業について、簡単に論点をまとめます。
 5ページをお願いいたします。こちらはNBRPについてですけれども、まず、AIが発達したとしても、実験・研究は相互に補完し合う関係であるため、引き続き、質の高いバイオリソースを体系的かつ効率的に収集・保存・提供できる体制の整備というのは必須であると。そこは意見が一致しております。さらに、世界標準のバイオリソースとして、国際ネットワークにおいても中核を果たすべきであると。そのためには、世界標準のモデル生物の支援をすることに加えて、さらに、日本発の独自性や地域性を有するリソースであったり、あるいは特定の生命現象を解析するのに適した先進的なリソースを発掘して収集・保存・提供できるようにするなど、多様なカテゴリーを支援する新たな枠組みを設けることが必要だという意見が出ております。さらに、先ほどもございましたが、AI解析や国際共同研究に接続可能な基盤の高度化ということも必要であります。また、限られた予算の中で、バイオリソースの種類の入替えなども必要に応じて検討するというような、フレキシブルかつ効率的な支援体制とすべきであるという意見が出ております。また、長期維持が必要な小規模なリソースというものも必ずございますので、その支援としては、収集・保存に必要な最低限の予算措置とするなど、めり張りを利かせた支援も検討すべきだということです。このページの最後ですが、事業を通じて得られる配列データやメタデータをAIが利用できる形で集積するために、このデータを情報センターに集積・保存するということと、また、NLDPと連携すべきということも、重要な論点として挙げられております。
 次は、NLDPのデータベースのほうですが、6ページ目です。こちらも、AI技術の進展を踏まえて、これまでの知識グラフを活用した統合基盤を高度化・共用化することをさらに促進することに加えて、AIによる学習・推論、仮説創出、検証までできるような支援基盤へ発展させるべきだというのが共通した意見です。かなり多くの委員から意見が出ておりましたのは、ナショナルデータベースセンターのような、司令塔となるセンターを整備するべきではないかという意見です。アメリカだとNCBI、ヨーロッパだとEBIなどのナショナルセンター的なものがございますけれども、日本にはそれがないということですが、今後、これまでそれぞれ独立に作られてきたデータベースを統合して、戦略的に活用できる基盤を整えるためにはナショナルセンター的なものの設立というのも必要であろうということです。これによってコミュニティの意見を集約するとともに、戦略的に意思決定を行って、どのようなデータがこれから必要であるか、あるいは、先ほどもありましたが、共通のフォーマットをつくっていく際の提案なども立案できるような、ガバナンス体制も整えていくべきだという意見でした。
 それから、9ページになりますが、BINDSについての論点です。こちらは、やはり費用の問題で、これまでサービスは原則無償で提供している状況ですが、計画的に先端機器を導入・更新する、さらに人材育成をしていくためには、修理費や保守費などの実態も把握しつつ、また、産業界との連携なども踏まえて、より持続可能な制度を確立していくべきだろうということが、意見として出ております。また、研究データを体系的に集約することの必要性は非常に高まっておりまして、先ほどのゲノムデータもそうですけれども、バイオリソース、各種のデータベース、それから、BINDSから出てきたデータも統合できるように、研究データの集積・管理を行う新規ユニットを検討する。さらには、事業を横断的に統合できるように検討していくべきだろうという意見が出ておりました。また、人材育成と、高度な技術支援のために伴走型の支援が提供できるように、研究者への助言や、事業間の連携についてもアドバイスできるような、コンサルテーションができる人材の確保・育成が必要だろうという意見が出ております。
 現時点で、中間報告としては、以上になります。また6月頃に取りまとめを行いまして、次回のライフサイエンス委員会において最終的な報告を行う予定としております。
 私からは、以上です。
【岩井主査】  ありがとうございます。
 質問の時間は取りますけども、二つの中間報告が終わってから、まとめて質問の時間を取りたいと思います。
 次は、感染症作業部会からの中間報告、大曲委員から、よろしくお願い申し上げます。
【大曲委員】  よろしくお願いいたします。大曲です。私からは、感染症研究の推進に関する作業部会がございますので、こちらの報告書ということで御紹介をしたいと思います。
 2枚目を御覧ください。まず、この事業を簡単に御紹介しておきたいと思います。「新興・再興感染症研究基盤創生事業」ということで、令和2年から、今年度、8年度まで行われます。新興・再興感染症の流行するリスクは、近年、コロナ以降もですが、非常に高まっている状況で、国としては、対応、あるいは研究開発上の備えが要るわけですけども、国の方針としては、いわゆるワクチン戦略が令和3年に定められましたし、「経済財政運営と改革の基本方針」等でも、海外に拠点を置いて基礎研究をしっかり行うということと、そこで得られた情報等をしっかりとモニタリングしていく、そういう機能をしっかりと高めていくことが重要ということが定められておりまして、それを実現する事業ということで行われているのが、この事業でございます。
 柱は大きく二つありまして、我が国の感染症の研究基盤の強化ということで、現在、海外に11拠点、国内に1拠点ありますけども、研究が行われているところであります。それ以外にも、長崎大学にBSL4の施設が完成しておりますので、ここを中核とした研究を推進するということもございます。
 右には、もう一つの柱である、新興・再興感染症の制御のための基礎研究ということで、海外で得られる検体・情報等を活用した研究の推進というところです。これは年々難しくなってきているところですので、具体的にそれをどうするかというところを検討するのも、実はこの事業がやることの一つでございます。また、多分野融合ということで、ほかの分野と同じように、多様な視点から多くの様々な領域の研究者が関わって感染症領域の研究やっていくということを進めております。
 それでは、1枚進めていただいて、3枚目でございます。この作業部会ですけども、今年の1月から5回開催しまして、委員は、右にリストを示してございます。これまでにヒアリングを繰り返してまいりまして、第5回でこの報告書が出てきて、検討をしたところでございます。具体的なところは、4枚目以降で御紹介します。
 4枚目をお願いいたします。まず、これまでの振り返りというところでありますけども、本事業、実は1期は20年前なんですね。それ以降、拠点の数を少しずつ増やしながら、日本と比較して感染症が多い、アジア、アフリカ、近年ではブラジルにも1か所立ちましたけども、合計11か国で海外に拠点をつくってきました。そして、この拠点間のネットワークを強化する、あるいは平時からの感染症関連の情報の収集をしっかりするということを目的として、ネットワークコア拠点というものも近年定めまして、これで合計12拠点になります。そこで質の高い多様な研究をやると同時に、研究をする中で様々な形で感染症の情報が拠点から得られてきますので、そのモニタリングを系統的に行う体制をつくってきたところであります。
 また、近年、感染症研究人材の裾野を広げる、感染症ど真ん中を専門とする人だけではなくて、感染症も対象とする方々も入っていただくという観点からも、拠点の外、拠点以外の大学等の研究者の方々にもプロジェクトを持って入っていただいて共同研究をするとか、あるいは、感染症領域以外の異分野の先生方と融合した研究を行うということも、この拠点の中ではやってきております。
 また、拠点で実際どういうことをやるかということに関しては、人材育成が非常に重要で、ここはしっかり頑張っているところと、あとは、基礎研究だけではなくて、感染症流行国における実地疫学の経験を通じたグローバルな視点と、実際、そこで働いたことがある、そのような疫学人材も育成をしております。基礎研究者だけではなくて、疫学人材も育てているところです。特に疫学人材に関しては、有事対応としてはコロナの初期の疫学事業をしっかりやらなければいけない状況で、厚労省の部屋でしっかりと頑張ったということで、有事対応にも貢献したということがございます。
 それ以外ですけども、本事業では、ほかの事業との連携でありますが、成果の加速・展開ということで、例えば、AMED-CRESTの事業との研究の連携等がございますけども、他事業とも連携をして成果が迅速に出るように努めたところです。
 また、長崎大学にBSL4施設が完成しておりますけども、そこをどう活用するかというところで体制整備が必要ですし、そこを使って研究できる人材育成ということが必要でありますので、既に国立健康危機管理研究機構には一種病原体を扱う施設ができてオペレーションが動いておりますので、連携を強化して、このBSL4を使った基礎研究や人材育成も行っているところでございます。
 また、ファンディングに関して言いますと、このような研究成果を基にして、国の内外の外部資金、例えば外部ですとビルゲイツ財団ですとか、そうしたところの獲得もなされて、実際、成果も出ているところでございます。
 その上での課題というところを下半分に示しているわけですが、そもそも、新興・再興感染症の分野ですけども、産業として考えたとき非常に事業性が低いということが一般的に言われています。ということは、企業がなかなか取り組めないところになってきております。一方で、感染症有事を見据えて、感染症対策をしっかり行っていく、研究を行っていくということは、安全保障上も非常に重要であるというところも言われます。となると、どこが主導となるかという観点では、やはりアカデミアではないかという議論となりました。基礎研究だけではなくて、人材育成、あるいはモニタリング、こうしたもろもろの目的は非常に重要になってくるわけですけども、これをやるにも支援が必要でありますので、そのための各拠点への支援の在り方ですとか、拠点の設備というものも、やはり新しい測定方法等を入れていかないとついていけませんので、その拡充というところの検討が必要と、そのような課題が述べられました。
 あと、拠点をどう活用していくかという話に関しましては、拠点はいろいろあるんですけども、それぞれ強みがあります。1拠点だけではなかなか体力がないという話も出ました。という中では、拠点間のコンソーシアムをしっかりと構築して、拠点がそれぞれの特色を持ち寄って研究を連携していくということが挙げられています。研究だけではなくて、疫学人材ですとか医療人材を含めた人材育成の観点からも、魅力的な体制整備が必要ではないかということが言われています。これに関しては、既に芽は出ておりまして、例えば、アフリカに拠点が複数ございますけども、こちらの拠点の先生方で自発的にコンソーシアムを組んで、いろいろと話を進められているところがございます。
 もう一つは、ネットワークコア拠点、これは国立健康危機管理研究機構でありますけども、ここを中心に、感染症の情報を収集して分析する、いわゆるモニタリングの事業というものが行われています。情報はもともとあるわけですけども、それを系統的に集めてくるというところであります。こちらに関しては、国際的な枠組みもろもろ、IHR、近年ですとパンデミック条約の議論がありますが、そうしたところは重々尊重しつつ、平時もしっかりとモニタリングをするだけではなくて、有事にもしっかりとモニタリングができるような、高度なモニタリング体制の整備が必要であるというところが挙げられています。それを効率よくやるという意味でも、海外の感染症研究のネットワーク、これは、日本の国のほかのネットワークもありますし、ほかの国が持っているネットワークもありますけども、これらともしっかりと連携をしていくことが必要ではないかという課題が挙げられていました。
 あとは人材等に関してですけども、国内外の大学院生や若手研究者に対して海外の研究拠点を用いた人材育成を行っていくことが非常に重要じゃないかということが、課題意識として出ています。若手は海外での研究に非常に関心を持っていますが、やっぱり支援がないといけないですし、海外の若い研究者に加わっていただくということは、将来的に彼らは、一緒に働いていただける、協力していただけるパートナーになりますので、非常に重要であるところです。
 それだけではなくて、多分野連携ですね。基礎だけではなくて、臨床、疫学、あるいは、AIやデータサイエンスといった、いわゆる計量科学や人文・社会科学、こうした様々な分野の方々が参加することで、感染症研究が多様で多面的で裾野が広がったものにできるのではないかと、そういう課題意識も出ておりました。
 長崎のBSL4に関しては、特定一種病原体所持施設として指定はされています。ということで地域の方々とのコミュニケーションが非常に重要なわけですが、それはしっかりとやりつつ、このBSL4施設を活用した研究をこれから日本としてどう進めていくかということが、課題として挙がっています。
 これらを踏まえて、まとめますと、次期の事業としては、様々な新興・再興感染症に対応するためにも、継続的に基礎研究の充実をしていく。人材育成を強化していく。そして、情報というのは非常に重要でありますので、感染情報の早期の検知、研究開発動向の把握を目的とした国際ネットワークの構築など、有機的な国際的な連携のさらなる強化を図っていく必要があるということで、課題意識をまとめております。
 では、5枚目に移ってまいります。今後の在り方をどうすべきかということの提言でございますが、引き続き、新興・再興感染症に関する基礎研究は継続する。そして、大事なことは、成果の社会実装を見据えた応用研究や臨床開発への展開を図る。基礎研究だけではなく、ちゃんとつなげていくということです。モニタリングに関しては、感染症有事に備えて、このモニタリング体制をさらに進化させていく。あるいは、拠点間の連携を強化して、要は高度にさせていく必要があるということ。それと、海外の拠点を活用した教育・研究の機会を充実させるなどの支援の在り方。これは人材育成に直接につながると考えていますので、これらに関しても取組を推進する必要がある。そして、BSL4施設の活用。それらを取り扱う高度な研究を担う人材育成が必要でありますので、それは我が国の健康医療安全保障の確保の上で重要なこと。こちらを在り方として挙げております。
 実際に推進すべき項目としては、大きく5項目挙げています。海外の研究拠点における研究は引き続き非常に重要でありますが、それだけではなくて、海外拠点をつなぐ取組と、それによるモニタリングの強化。そして、現状、人材が細ってきているのは非常に大きな問題ですけども、拠点をうまく活用して、ネットワークを活用して、感染症研究人材をさらに獲得して育成をしていく。そして、BSL4施設を活用した一種病原体研究を挙げております。詳細については、資料3-3にお示ししております。
 最終的なゴールとしては、後継する事業において、国際連携をしっかりやる。その下で国内外の研究基盤と人材育成をさらに充実させる。感染症に関する基礎から応用・臨床まで一貫した研究を推進する。そして、有事に備えた高度なモニタリング機能、さらには対応能力を確立して、我が国の健康医療安全保障を強化ということを成果とするということをまとめております。
 私からの説明は、以上でございます。
【岩井主査】  どうもありがとうございます。
 二つまとめまして、御質問、御意見をいただければと思います。いかがでございましょう。
 大津先生、どうぞ。
【大津委員】  BINDS事業に関してお伺いしたいんですが、厚労関係のシーズ開発のところでも時々お世話になったりもしているんですけれども、特に、この事業自体、各アカデミアの機器整備的な側面もあるのかなと思うんですが、実際上、例えば、私はがんが専門なので、がん関係の創薬でいくと、モダリティが日進月歩で、バリエーションがかなり激しくなって、今のBINDSの基盤だと、低分子化合物の開発の基盤としては活用できるんですが、いわゆる新しいバイオであるとか、最近では、RIであるとか、細胞療法であるとか、in vivoの抗体産生であるとか、CAR-Tとか、モダリティがかなり進歩していいます。一方で、アカデミア発ベンチャーとかで、結構、国内でも、二重鎖抗体とか、そういう作成技術的なものができるようなベンチャーとかも立ち上がりつつあるので、もしこの事業自体が全体の創薬支援ということを主眼にやるのであれば、ここにも書いてありましたけれども、産業界との効果的な連携等という意味合いで少し広げていかないと、今のアカデミアの中で、我々も含め、そこまでの創薬の基盤を持っているところというのはほとんどないので、シーズの開発支援ということを考えるのであれば、そういう連携の枠組みというのを書いていったほうがいいのではないかなあと思いまして、その辺の御検討をいただければと思います。
【岩井主査】  ありがとうございます。確かに創薬に関してはそうでして、生命科学の基盤でもあるので、その辺の分け方をどう考えるかということは必要かもしれないですね。
 ほか、いかがですか。
 有田先生、どうぞ。
【有田委員】  遺伝研の有田です。まず、NBRPから行きたいんですけども、NBRPに関しては、もともと研究用のバイオリソースをサポートするグラントだということは自分でもよく歴史的経緯は理解しているんですが、今、希少動物とかを扱かっているような気がしますけども、国のバイオリソースは全て国のものだという概念が国際的に定着しているんですね。ですので、まずは日本の中にどういうバイオリソースがあるのかというのをきちんと押さえておくということを入れていただきたいです。例えば、日本のバイオリソース、何があるか分からないのに自由に海外の人にも使わせますよというのは、勝手に日本に石油を採掘しにきてください。何をやってもいいですよと言っていることと全く同じなんですね。まずは、日本がバイオリソースをどの程度持っているのかということをきちんと把握することが第一に思います。
 それから、次のNLDPとBINDS等について言えることは、これもやはり、データがどこに置かれるかということをもう少し明確にしていただきたい。例えば、今までのスタイルですと、データはパブリックにしなさい、公開しなさいということが条件になっていて、公開されはするんですけれども、でも、その公開のされ方がばらばらなために集約できない、データベースが乱立するという結果を招いているんです。ですので、初めから、ここにデータを置きなさいという形でグラントを出すとか。あとは、BINDSに関しても、機器整備のときに、データセンターという役割、位置づけというのを明確にして、BINDSの整備したデータセンターでしか測定はさせないというぐらいに、国内の測定依頼というのを集約する機能というのを持たせたほうがいいと思っています。
 同じように、感染症ネットワークもそうで、たくさんデータが出ているときに、データが分散してしまうのは非常にもったいないんですね。国際ネットワークなので、先ほどのデータ集計の考え方からすると、全部、日本に入れなさいということはできないんですけれども、でも、各国にデータを保管してもらって、そのデータをシェアする、共有するということを初めから明言していただければ、日本を中核としたデータ共有のネットワークができるはずなんです。ですので、データ主権という言葉、英語でdata sovereigntyって言うんですけども、その概念がいずれからも、抜けているとまでは言いませんが、足りないように思うので、ぜひそこを強調していただきたいです。
 以上です。
【岩井主査】  どうもありがとうございます。データの扱いは非常に重要な問題になっているというのは皆さん理解していると思いますので、どの事業にわたってもそうだと思いますので、注意してやっていきたいというふうに思います。
 どうぞ、桜井さん。
【桜井委員】  桜井です。どのプロジェクトも人材育成という言葉がキーワードで掲げられているかなという気がしております。人材育成に関しては、アカデミアの中での人材育成なのか、産業界からの活用まで視野に入れているのか、そこをお聞きしたいということと、あと、日本人のパスポート所持率が18%とかいう2桁の中で、どうやってグローバル人材をこれから育てていくのか。円安の問題もいろいろあるとは思いますが、グローバルを意識せずに人材育成って難しいなと思っている中で、何か取組として考えられていることを教えてください。
【岩井主査】  事務局、いいですか。
【倉田ライフサイエンス課長】  その点につきましては、事務局から補足をさせていただきます。事業の性格や、必要とされている人材も幾つか層がありますので全てではございませんけれども、もちろんアカデミアにおけます人材育成とともに、今後ますます、特にBINDSなんかでもそうですが、産業界との連携というのが重要になってくると思いますので、そういった点では、産業界との人材交流も含め、あるいは産業界と連携をしながら一緒に人材を育てていく、そういった視点も重要かと思っております。少し人材としてまとめているところがございますので、今後の議論の中で少し具体化を図っていくことができればと思います。ありがとうございます。
【桜井委員】  ありがとうございます。
【岩井主査】  どうもありがとうございます。
 よろしゅうございますでしょうか。
 ショートでお願いします。
【木下委員】  データ基盤について明記していただいて、本当にありがたいなと思います。その一方で、全てを集めるということは現実的ではないと思うんですね。だから、持続可能性みたいなことをきちんと議論して、国として何を戦略的に集めていくべきか。それこそ、5年、10年ということをずっと維持しようと思ったときに、やはりそこの戦略が欲しいな。その辺りの視点がもうちょっと盛り込んでいただけるといいのかなと思いながら、伺っておりました。
 以上です。
【岩井主査】  ありがとうございます。それをまとめて、どこかで議論する必要があるのかもしれないと思うんですね。
【木下委員】  そうですね。作業部会に情報系の人があまり入っていらっしゃらないように見えるので、その辺りも入れていただいて、活発に議論いただければ。
【岩井主査】  分かりました。課題として残したいと思います。どうもありがとうございます。
 じゃ、宮田さん、よろしくお願いします。
【宮田委員】  ありがとうございます。先ほどの大津先生のコメントは非常に重要だと思います。私は今、スマートバイオというバイオ事業の臨床ステージアップを、いわゆる出口を見据えた事業のPSをさせていただいております。先ほど倉田課長様がおっしゃったように、我が国も、バイオの基盤研究から、ほぼほぼ社会実装に向けてスタートしていかなきゃいけない時期だと思います。その点、低分子と比べてバイオ医薬品に関しては非常にハードルが高くて、ですから、BINDSに期待したい点が2点あって、1点は、先ほど大津先生もおっしゃっておりましたが、CMCあるいはGLPなどのいわゆるCDMOはかなり少ないし、その辺りのお金が少ないということで、ぜひその辺りを広げていただくこと。また、製薬企業といっても、この分野、アーリーな段階で大学と組めるところはほとんどないというのが実態だと思っていますので、BINDSは製薬企業の代わりにスタートアップともう少し深く連携していただいて、スタートアップとアカデミアの連携、連合チームみたいなものに対しての支援をしっかりやっていただきたい。
 それから、もう1点は、レギュレーションのところが非常に重要で、かなりハイブリッド型のいろんなモダリティが出てきたときに、規制がしっかりしてないところがあるので、支援するほうとしても、その後のレギュレーションも視野に置いて支援いただけると社会実装につながると思います。
 3点、御検討、よろしくお願いします。
【岩井主査】  いずれも重要な点だと思います。ありがとうございます。
 よろしゅうございますでしょうか。
 じゃ、次に進ませていただきたいと思います。
 次は、4番目ですね。ライフサイエンス分野における基礎研究の国際競争力強化に向けてということでございまして、少し話題提供的なところをお願いしたいというふうに思います。一つは京都大学の竹邊先生から電子ラボノートのことについて提供していただいて、その後、天谷先生から次世代創薬シーズについて提供いただいて、その後、まとめて議論という形にさせていただきたいと思います。
 じゃ、竹邊先生、よろしくお願いします。
【竹邊助教】  私、京都大学情報環境機構の助教の竹邊日和と申します。どうぞよろしくお願いします。私から、電子ラボノート、電子実験ノートと呼ばれておりますものの国内外における活用状況について、説明させていただければと思います。
 まず、電子ラボノート、よくELNと略されますが、最近、こちらの導入が非常に活発に議論されておりまして、背景としまして、主に以下のような2点がございます。まずは、知的財産権の保護とか研究公正の文脈として、古くから研究データの証拠として重要視されてきております。研究の課題としましては、下記に挙げたような、RISTEXで行われました、「研究公正推進政策のための電子ラボノート実装ガイドライン作成を通したガバナンス研究」といったものがされております。
 また、近年では、オープンサイエンスですとかデータ駆動型研究の文脈で注目がかなり高まっておりまして、まず、研究データ管理(Research Data management:RDM)の文脈で、フェアなデータを実現する中心的役割として、非常に注目を集めております。また、こちらはまだそこまで議論されてない観点だと私は感じているのですが、機械学習ですとかAIへの応用など、デジタルデータの出発点として、ドライ(計算系)とウエット(実験系)をつなぐ基盤として、注目を集めております。
 次のページなんですけれども、ここから少し、国内外の電子実験ノート導入の傾向を紹介させていただきます。
 まず、海外のほうなんですけれども、全体的な私の感じとしましては、単なる個人の研究ツールとしてとどまるのではなくて、国家的な研究インフラ、分野特化型の支援基盤、次世代育成のための教育ツールとして、多層的に導入が進んでおります。また、研究者が適切に電子実験ノートを選択・運用できるように、ポリシーやガイドラインといったもの各機関の研究データ管理に関するWebページ等に明記されているといったような状況になります。
 次のページからは、代表的な機関等、国等の取組を紹介しております。まず、米国国立衛生研究所(NIH)においての取組です。こちらは、2024年6月30日以降、新規及び進行中の研究記録を全て電子的手段のみで行うことを義務づけまして、下記に挙げたような電子実験ノートを機関として正式調達し、研究者に使っていただいております。
 また、オーストラリアですと、Lab Archivesといった電子ノートを主要なデータセンター上にホストしまして、下記に挙げているような機関が利用できるように、国全体で利用を促進しております。
 次のページは、ドイツに関する紹介でございます。ドイツでは、NFDI4Chemというような組織がございまして、こちらはドイツ国内の電子実験ノート利用状況調査を実施・公開するとか、また、化学系に特化したオープンソース実験ノート、Chemotion ELNの利用を促進しております。Chemotion ELNのほうは、ニーダーザクセン州の全大学・高等教育機関が利用可能であります。
 また、次の実験実習での電子実験ノート活用カリキュラムですが、こちらはRDM教育として多くの大学で取り入れられております。
 次のページは、国内の状況になります。機関単位での基盤整備というのはまだ少数でして、多く見られる方法ですと、商用の電子実験ノートを機関で一括ライセンス契約しまして、各研究室で個別に契約していただくといったようなものになります。代表的なものとしては、有機系でよく使われておりますが、構造式描画ソフトに付随しておりますSignals Notebookというものが生協等で供給されております。
 次は、ELNを全学的な戦略として導入している例になります。奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)のほうでは、リサーチトランスフォーメーションプラットフォームの構築事業において、電子ラボノートの活用を検討されております。こちらは、電子ラボノートフォーラムの開催等をこれまで2回やっておりまして、大学、企業、それぞれからたくさんの参加をいただいております。九州大学では、ARIM事業に電子ラボノートを活用するといった取組をされております。また、沖縄科学技術大学院大学でも、eLabFTWといったような電子実験ノートを採用されております。
 次のページからは、私が所属しております京都大学での導入の取組を少し紹介いたします。京都大学でも、電子実験ノートの取組を始めておりまして、2024年度の3月にNAISTさんがやられていた電子ラボノートフォーラムに参加しました。そちらで、右側にロゴマークが出ているんですけれども、eLabFTWを紹介されておりまして、こちらはオープンソースの電子実験ノートということで、比較的安価に始められるということで取組を始めました。2025年度の4月にインスタンスの運用を開始しまして、5月に学生実験に最初に投入しております。以後、7月に、Campus ICT Labsという電子サービスの試行実験の場所として提供しているものがあるんですけれども、そちらに掲載しまして、学内での宣伝はまだあまり行っていない状況ですが、数件、研究室からも利用したいというような申込みを受けております。9月からは、電気電子工学系の基礎実験のほうにも導入しております。こちらは、2026年4月20日時点で、チーム数は27チーム、ユーザー数は551名程度の利用状況となっております。
 次のページに進みます。京都大学は学生実験での利用を行っておりまして、有機合成化学分野と電気電子工学分野で利用しているんですけれども、有機合成化学分野でいきますと、紙の実験ノートで行っておりまして、完全に手で書いて、手で提出するというような段階から、電子実験ノートに全て切り替えました。レポート提出まで電子上で完結させたので、全部電子上ということで作業効率がよくなったというような声を多くいただきました。
 電気電子工学のほうでは、もともと電子媒体ベースで実験をされていたので、作業効率という点ではメリット等はあまり強調されませんでしたが、もっとこういう機能が欲しいといったような要望をいただいております。
 2026年度からですと、測量学実習、地球工学系になります。また、機械システム学コースの学生実験、物理工学系でも活用を開始していただいております。
 こちらは、学生実験での利用を通して、学内インフラの課題、Wi-Fiが通らないですとか、そういったこと。また、利用者の学生のITスキルに応じたサポート体制の必要性など、全学展開に向けた具体的な課題を明確にしたというような効果が得られました。
 個人情報等を隠して学生実験で実際に作っていただいたノートを公開してもいいという許可をいただいたので、こんな感じでページを作っていただいております。
 次のページは、研究室での活用状況になります。こちらは、京都大学内にとどまらず、お聞きしたものを紹介させていただきます。データ管理からデータ活用のためのツールへ移行しているところでして、データ検索を容易にするためにタグやカテゴリーを設定するといったような基本的なことから、APIを用いて計測機器と連動させて自動的にデータをカタログ化したり、ノートをPDFで書き出してAIに読み込ませてディスカッションしたり、また、Python等を用いて実験の内容を取得して、GPTを利用して要約させ、TeamsやSlackにポストするなど、情報共有での活用が盛んにされております。あと、ここには記載していないんですけれども、ロボットと連携しまして、ロボットがした実験内容を電子実験ノートに自動的に書き込んでいく。また、実験ノート側からロボットを操作するといったような取組もされております。
 次のページなんですけれども、これは私が注目した論文の紹介になってしまうんですが、研究室での電子実験ノート活用として、2022年という結構早い段階なんですけれども、早稲田大学だったと思いますが、畠山歓先生の研究グループがやったものなんですけれども、日々の実験データを電子実験ノートに構造化して記録しまして、AIシステムと連携させてメカニズムの解明に成功したといったようなものがございます。
 次ページは今後の見込みと課題ですが、まず、1点目は学生実験等から得られたものになりますけれども、情報リテラシーの差により、電子実験ノートの受入度や活用度が全く違います。オープンサイエンスを志向していく中で、学生のときから研究データを管理していくことの重要性を理解させるとか、研究室配属前にスキルとリテラシーを教育することで教員の負担軽減を図っていくといったようなことが期待できます。
 2点目については、今日もデータのことが多く議論されておりましたが、電子実験ノートというのは研究DXを加速するツールと見ることができます。フェアなデータの第一歩となりますし、AI・データ駆動研究の研究サイクルを加速するものとして期待しております。
 次のページは課題を主に述べているんですが、まず、導入・活用事例の共有が不足しておりまして、関心はあるけれど、どこに情報があって、どこにコンタクトを取ったらいいのか分からないといったような声があります。また、データとかAI駆動をやっていない研究者たちへのアプローチ方法、各種ポリシーやガイドラインの策定ですとか、通信環境などの基盤整備に組織的に取り組む必要性といったようなものがございます。電子実験ノートは、最初にちょっと言ったんですけども、ウエットとドライ、さらにロボットの研究者たちをつなぐハブとなる可能性を担うと私は期待しておりますので、これからも、電子実験ノートの動向について、皆様、少しアンテナを張っていただけるといいかなというふうに思います。
 私からの説明は、以上になります。以降は参考としていろいろつけておりますので、どうぞ自由に閲覧してください。
 以上になります。
【岩井主査】  どうもありがとうございます。
 ちょっと話題は変わりますけど、天谷さん、よろしくお願いします。
【天谷委員】  理化学研究所の天谷です。本日は、抗原特異的治療の現状と未来、そして、最後に医学部病院の状況について話題提供できればと思います。
 次のスライドをお願いします。
 現在、様々な疾患ありますが、免疫が関わっていない疾患はないというぐらいであります。自己免疫疾患、アレルギー疾患、臓器移植などは、治療として免疫を下げたい、がんなどは治療として免疫を上げたいという状況ですが、現在はこれが、抗原非選択的、抗原非特異的に行われています。そのために様々な副作用の問題があります。これを抗原特異的に行えるようになることが、次の医療であり、免疫学者のみならず、医学に関わっている現場の医師の大きな夢・目標であります。その一端が、今回、制御性T細胞を用いて可能になってきたということです。
 次のスライドですけれど、これは私が35年来研究を行っている疾患、尋常性天疱瘡という、皮膚粘膜に水疱やびらんを生じる疾患です。この疾患の本態は、表皮あるいは粘膜の細胞間を接着する因子であるカドヘリン型の接着因子、デスモグレインというものに対してIgG型の自己抗体ができてしまう疾患であります。天疱瘡は希少疾患でありますが、非常に難治性であります。1991年に抗原を同定して以来、この30年間で、血清学的診断法の開発、モデルマウスの開発、デスモグレイン特異的なB細胞、T細胞の単離は、医師主導治験を含む患者コホートの構築などの基礎、臨床研究を通して、自己免疫疾患の中で最もよく理解できる自己免疫疾患となりました。
 次のスライドを見ていただくと、現在の治療法ですけれども、右下のほうに、ステロイド内服、パルス療法、免疫抑制剤、血漿交換、最近では、B細胞のマーカーであるCD20に対する抗体療法等々出てきていて、この治療により疾患の勢いをうまくコントロールすることは可能になったんですが、抗原非特異的であるために様々な副作用が現実の医療的な問題になっております。病態の解明が進んでいるにもかかわらず、いまだに治療は疾患抗原とは関係なく免疫反応を抗原非選択的に抑制するということを現場でやっているわけです。そこで、抗原特異的な治療が開発できないかということが長らくの夢だったわけですけど、新たな治療法として、デスモグレイン3という天疱瘡の抗原に対してCD4+のエフェクターT細胞に対して特異的に抑える治療が可能となってきました。
 坂口志文先生たちが提唱、同定、そして解明して注目を浴びている制御性T細胞です。2017年に坂口志文先生から声がかかって、共同研究を開始しました。その内容は、病原性のあるデスモグレイン3特異的なT細胞を患者さんの末梢血から外に1回取り出して、抗原特異性を保持したまま、iPS細胞のような遺伝子改変をせずに、機能的に安定な制御性T細胞に転換するという技術が開発されました。そして、機能的に安定している制御性T細胞(S/F-iTregs)は抗原特異性なT細胞受容体として持っていますので、これを体に戻すと、制御性T細胞のまま増え、そして抗原特異的に免疫反応を抑制することができるので、治療法として活用できるという提案です。
 次のスライドをお願いします。
 これを7年かけて、一番左側に示している、抗原特異的な病原性を有するCD4+T細胞クローンをiTregに変換し、モデルマウスに投与すると、B細胞全体には影響を与えないんですが、デスモグレイン3特異的なB細胞の数は有意に減少し、そして、実際の治療スコア、症状スコアで見てみると有意に抑制することができました。この成果を2025年に発表することができました。
 次のスライドをお願いします。
 このことによってモデルマウスを使ってin vivoの状態で前臨床試験としてPOCを獲得することができたので、次に、天疱瘡患者の末梢血を用いて、試験管の中で制御性T細胞に変え、その制御性T細胞が抑制活性を示すところまでは確認することができました。次は、これを患者さんに戻すという、First-in-Human Studyを計画しております。その過程においても、様々な実装に向けた整備をする必要があると感じているところです。そして、この坂口先生の方法は、天疱瘡に限ったものではなくて、あらゆる自己免疫疾患に応用が可能です。患者さんの中には病気を起こす悪いT細胞がいるわけで、その抗原が分かっていない疾患に対しても、制御性T細胞に変えて戻すということで、非常にいろいろな疾患に応用が可能な方法であります。
 次のスライドをお願いします。
 今御説明したのは、病気を起こす細胞を体の外に一回出して病気を抑える細胞に変えて患者さんに戻す(ex vivo)というアプローチであり、現在のプロトコルでは大体3週間ぐらいで戻すことができるわけです。一方、理化学研究所の谷内一郎さんたちの研究で非常に面白い結果が出てきていて、腸では制御性T細胞は増殖しているわけですけども、腸から吸収する栄養に対して免疫反応を起こしてはいけないので、食物とか腸内細菌に対しては免疫が起きないような仕組みになっており、それが末梢で誘導される制御性T細胞なのですが、その詳細は、実は抗原提示細胞の中のThetis細胞というものが重要な役割をしていて、そのThetis細胞の中にある転写因子Runx1を発現操作することによって、誘導性の制御性T細胞の分化を増強できるということが分かってきています。このことは、体の外に出すのではなくて、体の中で制御性T細胞を誘導できる可能性を示唆しています。
 次のスライドをお願いします。
 このように、Regulatory T細胞の父である坂口志文先生がノーベル賞を取られたことはすばらしいことで、同時に、制御性T細胞の基礎研究の成果を臨床の場に還元できる体制を強化することが、日本としてもすごく重要だと思います。
 次のスライドをお願いします。
 次に、医学部・病院における現状について少しお話ししたいと思います。Curiosity-driven-researchとMission-oriented-researchは共に大切なんですが、現在、様々な制度改革などによってMission-oriented-researchが整備されてきましたけれども、医学部病院の現場でCuriosity-driven-researchのほうが危機的な状況にあるという感覚を持っています。例えば、私自身を振り返ってみると、自分が研究を始めたのは目の前に天疱瘡の患者さんがいるからで、当時、天疱瘡というものはどういう病気か分からなかった。それを明らかにするというCuriosity-drivenから抗原を同定して、組換えタンパクを作成し、診断薬を作り、モデル動物を作成しという、自分のCuriosityに従い、35年の歳月をかけて天疱瘡の病態を解析したことになります。そして、その過程では、文科省、JST、厚労省、AMEDの研究費に御支援いただいたわけですけれども、研究を開始した当時制御性T細胞に結びつくとは全く思っていませんでした。後半御紹介した谷内一郎さんに関しても、もともと転写因子の機能解析のために作成したCbfb2欠損マウスがなぜか若齢で腸炎を起こし下痢をし続ける現象があり、その機序が分からず、20年の歳月をかけて、Curiosityの導くままに研究を一歩一歩継続して、転写因子が欠損することが、Thetis細胞を欠損させ、それが末梢のTregを欠失させ、その結果、免疫が暴れて腸炎を超すということが初めて統合的に理解できるようになりました。その一連の発見により、今後、抗原提示細胞の操作によるTregの誘導を体内でできるという可能性につながっています。つまり、それぞれのCuriosityを大切に進む先にあるものは必ずしも研究している時点では見えていないことも多く、コミュニティとしてCuriosity-driven-researchの体制にするということが大切だと感じています。そのことが今回の展開を可能にしたと感じています。
 次のスライドをお願いします。
 ライフサイエンスの中で医学研究は重要な領域ですけれども、医学部病院の現場において、研究環境はかなり厳しい状況にあります。医学部の中で、それぞれ重要な課題を改善するために、制度が導入されています。初期臨床研修医制度は、医師が特定の診療科に偏ることなく、幅広い臨床経験を積んで医師としての基礎(プライマリ・ケアなど)を身につけることを目的として、2004年に導入されました。専門医制度は、国民が全国どこでも標準的で質の高い専門医療を受けられるようにすることを目的に導入されました。そして、2024年には、医師の過労死ラインを超える長時間労働を是正し、健康を確保することで医療事故を防ぎ、安全で質の高い医療体制を持続可能にすること目的に、医師の働き方改革が導入されました。
 一方で、副次的な作用として、2年間の初期臨床研修医制度が必須化されたことによって、医学部を卒業して直接に基礎医学の教室に進む人が激減しました。専門医制度によって臨床医を育成するということはもちろん重要なんですけれども、その副次的な結果として、大学院に進む、博士を取得する人が減少しました。そして、今回の医師の働き方改革に関しては、診療は労働であり、研究は基本的に自己研鑽ということで、今度は医師のマインドセットとして、研究をするということが必ずしも魅力的なものでないという状況となりました。今後、新たな制度を導入するときには、研究活動や教育への影響を十分に考慮して施策を導入していただきたいと強く思います。
 最後のスライドになります。このように、医療制度改革においても、基礎研究力を強化して、その成果を実用化するためにも、政府一体となった推進体制が何よりも重要で、文科省、厚労省、AMED等との省庁横断連携の強化をぜひお願いしたいと思います。そして、研究開発から臨床応用までを一貫して支援すること。特に、先ほども話題になりましたが、今後、細胞療法というものが大きな分野になっていきます。細胞医療基盤の整備と産学連携の強化、臨床試験用細胞の製造、品質管理基盤の整備、CDMOと大学病院の戦略的連携の推進も重要な点です。そして、出口志向の産学連携の加速、研究初期段階から実用化を見据えた連携、大学と製薬企業のより一層の共同開発体制を強化していただければと思います。
 以上です。
【岩井主査】  どうもありがとうございます。
 主査の運営が悪くてちょっと時間は遅れますけど、まず、この二つの話題提供に関して御議論いただければと思います。いかがでございましょう。
 どうぞ、上村先生。
【上村委員】  どうもありがとうございます。まず、竹邊先生のほうから質問させていただきたいんですけど、企業の場合は、発明日というか、それが特許の係争に勝つためには絶対必要で、そういうことがあって高いお金を出して実験ノートを作るんですが、先生はいろいろな使い方をされているんですけど、有機合成とかだとネガティブデータって論文にならないじゃないですか。隣で同じことをやって、やっぱりいかないよねというときに、ネガティブデータがあれば、結局、それはやらないという、すごく効率化になるような気がするんですね。その辺の共有というのはどういうふうにお考えになっているかというのが、一つなんですけど。
【竹邊助教】  ネガティブデータは論文に載らない部分として、でも、再現実験しようとするとちょっと違うみたいなこともよくあるんですけれども、ネガティブデータも電子実験上にみんな残していくということで、紙だと、どこかに捨てられたということはないと考えたいんですが、電子上に残るものとして、検索性の観点とかから見ても、後から見返しやすくなるというのもありますし、ネガティブデータをデータ駆動の研究で使いたいといった点に関しましても、電子上で残しておくと、APIを利用することで簡単にデータを取り出したりとかといったことに使っていけますので、ネガティブデータの活用といったようなことに関しても電子実験ノートを有効に使っていけるような能力はあるかなというふうには考えています。
【上村委員】  そうですね。アカデミアのe-noteの場合、シェアリングが結構重要かなと思うんですね。同様にいかない反応を世界中で何万人の合成の学生や研究者がやっているというのを考えると、情報の共有化で無駄な試みをしなくてよくなる。だから、企業とは違った面でのシェアリングという義務があるのではないかなと思って、その辺を考えていく必要が非常にあると思うんですね。私の経験では、企業で電子ノート導入した場合は、合成は割とやりやすいんですけど、バイオのほうはいろんなプロトコルを考えなきゃいけなくて、結構大変なんですね。バイオのほうは、京大はどうなさっているのですか。
【竹邊助教】  バイオのほうは、私、把握し切れてないので、まだ……。
【上村委員】  合成のほうは割と決まったフォーマットでやれるのですけど、バイオのほうは非常に多くのバリエーションがあるのでフォーマットを作るだけでも難しいのです。その辺もやっていくと、すごく貴重なアカデミア創薬のデータベースになるのじゃないかなというふうに思っております。ありがとうございます。
 あと、天谷先生のほうは、LEAPで坂口先生を天疱瘡のほうに絞らせたのは、PSの私なんです。アカデミアの先生というのは四方八方に興味が広がるので、なかなか出口に行かないんですね。LEAPの場合は5年間なので天疱瘡に絞るようにお願いして、坂口先生はすごく素直にそれをやっていただきまして、それが結果的にはノーベル賞につながったんじゃないかと思って。レグセルが外資に売られちゃったというところがあって、天疱瘡に対する理解というか、外資のほうはどうしても、先ほども申しましたように、どのぐらいお金がもうかるかというか、そういう形になってしまうので、ぜひその辺は頑張って一つ結果を出していただくと、適用拡大という形で、さっきおっしゃったように免疫系に全部関わってくるので、そこはすごくブルーオーシャンにつながるのだと思うんですね。
 あと、臨床を知っていながら基礎研究ができる先生ってすごく重要だと思うのですが、先生がおっしゃったように、時間がないとそこが一番削られるというか、そうなってくるのはゆゆしき事態なので、藤田保健医科大学の学長の方がおっしゃられているのは、あそこは私学なので、ドクターコース行きやすいように経済的に支援するようなシステムをつくっているということなんですが、国立公立ではなかなか難しいかもしれないのですけど、国も、特許教育も併せて、ドクターコースに進む医学生に対して支援して育成するという姿勢が必要だと思うんですね。アメリカなんかは、ビジネスを起こすところまで特許なんかも徹底的に教育指導するのですね。だから、臨床の先生においても、基礎研究志向のある方にとって、そういうことがやれると……。全部じゃなくてもいいと思うんです。選ばれた人材に対しては、決して不公平ではなくて、平等じゃないということにはならないと思うので、そういう志向のある学生を選択して育成するというのは非常に感銘を受けますし、多分、そういうのが大事じゃないかと思うのですけど、武部先生、いかがですか。
【武部委員】  私もM.D.で卒業して研修医制度からしまして、翌年に私は卒業したので、そのまま研究に入ったわけなんですけども、最初から給料が出るというアレンジをしていただけたのでそういう選択ができたという経緯がありまして、おっしゃるとおりかなと思います。
 もう一つは、ロールモデルになる先生の御活躍がもうちょっと広がるといいなというのは思っています。今、病院の経営がすごく大変な中で皆さんやられていますので、臨床ファーストで、臨床業務効率化というふうに、教授の先生方とか、准教授の先生方とか、先輩の先生方がそういうふうな目でおっしゃられていると、臨床の医局の中で研究をやろうと思われる後輩たちというのはどうしても限られてしまうというところがあるので、より働きやすく、前向きな気持ちで研究に取り組めるというような体制にするためにどういう支援ができるかというのを考えると、多分、下を考えるより、まず、ミドル層というんですか、そこら辺の人たちの研究時間の確保と、待遇を含めて改善していくと、大分、節目が変わってくるのかなと思いますし、天谷先生はそういったところもすごくよく御存じだと思いますので、ぜひ、私も応援したいと思います。
【岩井主査】  ほか、いかがですか。
【天谷委員】  最初の天疱瘡に対する状況ですけれども、今、ファースト・イン・ヒューマンに向けて、PMDAの事前相談も終わり、院内の治験審査委員会(IRB)も通っていますので、あとは企業の協力が必要です。また、天疱瘡の治療を開発するというよりは、天疱瘡は最もその病態がよく理解されている自己免疫疾患なので、そのファースト・イン・ヒューマンでの経験、知見を通じてTregの治療法がより最適化される事を期待しており、天疱瘡を自己免疫疾患のモデル疾患としてとらえ、進めて行く事も大切と思っています。今後、日本で得られる経験値を通して、様々な細胞療法が可能になってくるというような考え方で進めていますので、ぜひ、前に進められればと感じているところであります。
【岩井主査】  確かに、ありがたい話で、そうですね。
 じゃ、森尾先生、どうぞ。
【森尾委員】  ありがとうございます。天谷先生がおっしゃったようにキュリオシティドリブンリサーチするような、いわゆる基礎研究者って成り手が本当に少なくなっていると思うんですね。ただ、そういう方は絶対に一定数はいなきゃいけなくて、国の予算としては、基礎研究に3分の1持っていって、臨床とか社会実装に行きそうなところに3分の1持っていって、社会実装にかなり芽があるところに3分の1。これはイギリスの方向性らしいんですけど、基礎にかなりお金をつぎ込むのは重要だというのは、きっと皆さんの方向性だと思います。
 一方、先ほどおっしゃったように、研究者になってから社会実装しようって考えると、遅過ぎるんですね。なので、学生のうちから、スタートアップとか、そういうビジネスプランというのをできるようにしておかなきゃいけないって、本当におっしゃるとおりだと思いまして、これを正規の授業じゃなくて課外で入れる。やりたい人はそこに行って、すばらしい指導を受けられる。そうすると苦労せずに、いい成果が出たときに、これはこうやったら、社会実装、スタートアップできるんじゃないか、さらにスケールアップできるんじゃないかと、そういうマインドができるので、かなりスピードアップした社会展開ができるんじゃないかなと思う。そういうのを取り入れているアカデミアというか大学は、日本はあるんでしょうか。すごく少なくて、一応、科学大はアントレプレナーシップ教育機構というのがあって、それをやってはいるんですけど、全然規模が違って、きっと教授陣とかのあれも全然足りないと思うんですね。だから、それをうまく国としてつくれるというか、モデルをつくれるといいのかなあなんて思ったりしました。
【岩井主査】  ほか、いかがですか。
 坂内先生、どうぞ。
【坂内委員】  ありがとうございます。まず、電子ノートのほうについて、竹邊先生にお伺いしたい点がございます。データベースに取得データのメタデータをつける方法としても、電子ノートというのはとても有望だなというふうに思います。現在は恐らく、内部でデータを、ネットワークといっても想定された人同士でデータを共用するということを考えてつくられていると思います。今後は、データベース、先ほどから議論のありましたNLDPに電子ノートを連携するというようなことはできるとお考えでしょうか。
【竹邊助教】  それは十分できると思います。データベース化に向けての取組というのは、多分、まだ手をつけられていないかなというふうに感じているので、テンプレート機能とかはどこの電子実験ノートにも大体入っていますので、そういうテンプレートを活用してメタデータをどういうふうに取っていくかというのを体系的に決めていったりというのができるかなというふうに、私は考えています。
【坂内委員】  データベースの観点からも、電子ノートを使うんだったら、データベースの整備と一緒に考えていくといいかなということで、委員会のほうに意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。
 天谷先生のほうに質問がございます。最後のほうに、お医者さんはとても忙しいということをお伺いしました。私ども基礎生物学者で言いますと、恐らく、今、先生がお話しになったことは理解できて、実験を基礎の面でやるということは、生物学の分野で学位を取った者、薬学などで取った者でも、できるんじゃないかと思います。人材として、医学部の人じゃないとできないものでしょうか。それとも、理学系で学位を取った者も活躍できる場とお考えでしょうか。
【天谷委員】  そのとおりで、今、医学部病院というのが、ある意味、M.D.に閉じられた系になっているんですけど、これからは、一つの臨床系でも、そこに例えばPh.D.の方が教員として加わっていただいて、学問を進めるという領域になってほしいと思います。
 一方で、いろんな制度のために、今、病院自身が経営的なこともあって本当に余裕がない状況にあります。医学部の中では、診療も研究も教育も一体的な活動であり、分けて考える事が難しい側面があります。医師の働き方改革では、労働と自己研さんを分けて記録をする必要があり、診療は労働だけど、研究は自己研さんというふうに、便宜上、勤務管理のために、記録しなければいけません。お経を唱えることではないですが、それを毎日義務づけられると、医師として研究に対する時間は必ずしも報酬で裏付けられているわけではなく、お医者さんにとっても、若い人にとっても、知らず知らずのうちにマインドセットがされてしまっています。新しい事を見つけることは果てしなく魅力的なことですが、そのことを今後も、医学領域では大切にして行ければと思います。臨床医が基礎研究をしていても、あるいは研究活動をしていてもきちんと報酬としての対価があることも大切ですし、医育機関、基幹病院における医師の給与を上げていくことも大切と思います。臨床医学に関しても、M.D.以外のPh.Dの基礎研究者が入ってこれるような、そのぐらい余裕を持つような機関あるいは大学であってほしいということを強く感じております。
【坂内委員】  ありがとうございます。Ph.D.のほうは割と人材は豊富でございますし、こういったところに活躍できれば、産業のほうとか、医療のほうにつなぐアイデアも生まれてくると思いますので、ぜひ、文科省様には人材のゆとりを持てるような制度設計をお願いしたいと思っています。
【岩井主査】  文科省に矢が飛んできましたけど、ありがとうございます。
 今の議論も続けながら、これ以外のほかの議論も前半にあったと思いますので、その質問も踏まえて、総合討論できればと思います。
 じゃ、岡田先生、よろしくお願いします。
【岡田委員】  岡田でございます。今見えております、天谷委員によります医療制度改革の件について、お話しさせていただければと思います。
 おっしゃられましたように、お医者さんで大学院に進む人が非常に減っているという事実はあると思います。また、私の立場からは、お医者さんのキャリアから基礎研究者にステップを変える方や、そちらへの大学院の進学の人も、非常にこの辺りは減っているなあというふうに感じております。この時期、ゴールデンウイーク前後は学部生さんとか研修医さんの進路相談に乗ることが多い時期なんですけども、以前に比べると、やはり専門医制度と働き方改革の二つが合わさってから、非常に減ってしまっているなあというのを感じております。もちろん医者が研究しなくてはいけないというわけではありませんけれども、医師出身の人が医学研究に流れたというのは、私たちの国のライフサイエンスの人材育成の供給源の一つの大きなところであったと思いますので、今、ここが非常に減っているということは、10年後、20年後に非常にクリティカルに効いてくると思うので、ぜひ検討が必要かなあと思っております。減っているんですけど、専門医制度と同じようなキャリアをたどる人が増えていて、むしろキャリアの多様性が減っているなあというのをすごく感じます。話をしていると、サンクコストとか埋没費用とか言いますが、ここまで時間を使ってしまった以上、これ以上続けて、専門を取得しなければ元がとれないという、キャリアの柔軟性が非常に難しくなっているということで結果として減っているということもありまして、この場だけで決められることでありませんけれども、若い人が入ってこなければライフサイエンスは絶対進みませんので、こういった制度の影響を考えながら制度を導入するとか、導入の結果、何かしらのフィードバックがあったら、それを反映していくことは非常に重要ではないかなと感じた次第でございます。
 以上です。
【岩井主査】  どうもありがとうございます。全部、そのとおりだと思うことばかりで、すごいつらいんですけど。
 どうぞ。
【木下委員】  総合討論ということで、この二つを最後に持ってきていただいて非常によかったなと思うんですけども、今、いろんなことが電子化されていて、ラボノートなんかを例にすると、電子化された結果、例えば、AIの入力に使えるということをちゃんとテークノートしいただいて、これは非常に重要なポイントだと思うんですね。そうしたときに、一方で、何をAIに入れていいんだろうかというガイドラインが欲しいなあと思っています。例えば、先ほど天谷先生の最後のところで、医師は時間がないということで議論が盛り上がっていますけども、今、AIを使って、ハーネスコーディングとしていろんな解析をしてくれるんですね。ただ、このデータを入れていいんだろうかというのがあります。機微性の高いデータは全然ナンセンスだと思うんですが、その辺のガイドラインが欲しいなと思います。国産にこだわるのがいいのかどうか分からないですけども、環境として、ここでなら機微性の高いデータも使っていいみたいな、そういう拠点を幾つかつくっていただくとか、そういう形で、前半のところでAI for Scienceみたいなことがあったように、それを活用する基盤みたいなことも何か検討いただくといいのかなと思いました。
【岩井主査】  おっしゃるとおりですね。AI for Scienceの検討のところの話をしないといけないですよね。
【木下委員】  そうですね。新しいものつくるのももちろん重要なんですけども、それを活用するという観点がもっとあってもいいのかなというふうに思います。
【岩井主査】  つくるほうばかり言っておられますもんね。
【倉田ライフサイエンス課長】  ありがとうございます。まさにAI for Scienceの議論でもデータの議論は行われていまして、大きな基本的な考え方としては、未公表の研究データですとか、あるいは法律的に、個人情報保護法などに当たる法令的に、既に制約があるデータについては、原則は、AIに学習させるというのは、一般に公開されている環境では難しいというところはありますが、ただ、いろんなところを見ていくと、どうしてもケース・バイ・ケースにならざるを得ないところもありまして、その辺りを分野ごとでどう考えていくかというのはまさにこれからという段階でありますので、BINDSですとか、幾つかのモデル事業の中でそういったところもやっていきたいというふうに考えております。ありがとうございます。
【木下委員】  そうですね。ここの環境であればこの程度のものはやってもいいよというふうに、ある意味、サーティフィケートみたいなことがあって、そこは皆さんが使えるようになるといいのかなと思いますね。
【岩井主査】  おっしゃるとおりですね。この分野はこういうことに気をつけなあかん、この分野はこういうことに気をつけなあかんって、いろんな議論を含めて、ちゃんとガイドラインをつくっていかないと駄目ですね。
【岩井主査】  ほか、いかがですか。
 滝田先生、どうぞ。
【滝田委員】  感染症のほうの話に少し戻ってしまうんですけれども、新興・再興感染症の事業は2005年から始まって、私、現場の記者をやっていたときにこれが始まりまして、そのときに比べて、アジア・アフリカの経済発展は非常に勢いがありまして、その分、人の往来というのも、日本だけに限らず、いろいろなところに増えているので、この新興・再興感染症の事業というのは引き続き非常に重要な問題だと思っております。2005年以来、ずっと研究を続けてこられたので、これはぜひ、この先も続くといいのではないかと思っております。
 その上で一つお尋ねなんですけれども、今回の第4期のところで大きかったのは、長崎大学のBSL4の稼働は、かなり長い間の課題でしたが、ようやく動いて非常によかったと思うんですが、こちらにも「地域住民との相互理解を深めながら」というのが何回か書かれております。現状、どういうふうに地域のほうで受け止められていて、それに対するコミュニケーションというか、長崎の施設を使ってこんな成果が出たよというのはまだ出てないと思うんですけど、今後、どういう形でこの施設の必要性というのを社会に対して示していくかという、何かお考えがあったら、教えていただけますでしょうか。
【岩佐先端医科学研究企画官】  事務局のほうから、お答えさせていただきます。
 長崎は、BSL4施設として認められたという状況ではございます。まだ、特定一種病原体等を搬入しての研究というのは実際には始まっていないというふうな段階にあるところでございます。ただ、そういったことができるようになったということを踏まえて、住民の方々に繰り返し説明会をしたり、また、様々な訓練等もやっておりますので、そういったものについて住民の方々にも見てもらったり、そういった中でいろいろコミュニケーションを取りながら、安全性と、そこで得られる成果というのをどう両立していくのかということを一緒に考えていけるようにというふうに進めております。
 これからというところで言いますと、何らかの形で研究が進めていけるよう、今回の報告書の中でも体制整備をしっかり進めていくべきだというふうなことも言っていただいておりますので、それらを踏まえて、また、地域の住民の方々としっかりコミュニケーションを取りながら、この研究施設は有効であり、安全であるということをしっかり示しながら、文科省としても支援をしていきたいというふうに考えております。
【岩井主査】  どうもありがとうございます。
 よろしいですか。
 じゃ、畠先生、どうぞ。時間がなくなったので、ショートに。
【畠主査代理】  もう時間がないので、手短に。
 今回のは総じて、例えば、コンソーシアムをどうつくるかとか、一つの課題解決をするというところでは道筋が大分出ているんですけども、各プロジェクトが連携をどうするか、はたまた国際競争力をどうつけるかというのがあると思います。そういった意味では、よく人材育成という観点があるんですけども、課題を解決する人材育成のみならず、課題を設定できる人材の育成を、もう少しフォーカスしてやる必要があるんじゃないかなというふうに思っています。先ほどの天谷先生のお話も、臨床現場って課題設定には向いていて、多分、解決する研究者はたくさんいるかもしれませんが、どう適切に設定するかというのは大事ですので、人材育成を一くくりにしても、エキスパート、スペシャリティを持った人を育てるというのはプログラムでできていくんですけども、この委員会でも、課題設定ができる人材をどうつくり上げていくかという、課題設定の仕方というのも重要じゃないかなというふうに思いました。
 以上です。
【岩井主査】  どうもありがとうございます。
【有田委員】  最後、有田からよろしいですか。
【岩井主査】  ちょっと待ってください。
 大津先生、どうぞ。
【大津委員】  1点だけ。データの統合というのは、言うほど簡単じゃないです。特に臨床のアウトカム情報が入ると、それを統合するだけでも膨大な作業になります。一番、そこを国際的に標準化しているのは治験のデータで、CDISC対応というのは大体標準化しています。それから、観察研究も、国際的なフォーマットが結構できてきて、それでやっていくと統合というのはかなりしやすくなります。ですから、先ほど森尾先生がおっしゃっていたように、AMEDなり、そういうところで幾つかのフォーマットがありますので、そういったものを標準化していくとデータ統合というのは非常にしやすくなると思います。いまのようにばらばらな仕組みだったら、最初からつくったほうが早いぐらい大変だと思いますので、その点、御検討いただければと思います。
【岩井主査】  ありがとうございます。
 有田先生、ほんのちょっとしか時間ないですけど、少しだけ。
【有田委員】  今のデータ統合に関しても同様なんですけど、省庁連携をお願いします。厚労省とか、ほかの省庁と密接にやらないと、国際連携もできませんし、データ統合もできないんです。ぜひ、省庁連携をお願いします。
【岩井主査】  どうもありがとうございます。言われてつらいことばかりですけど、そのとおりと思うことばかりですけど、どうもありがとうございました。
 本当はもう少し議論できればいいんですけれども、時間が来ましたので、今日はどうもありがとうございました。
 事務局のほうから、説明、連絡をお願いします。よろしくお願いします。
【吉田ライフサイエンス課係長】  本日は、活発な御議論、誠にありがとうございました。
 議事録については、事務局作成の案を皆様にお諮りし、主査の御確認を経た後、弊省のホームページにて公開いたします。
 また、次回のライフサイエンス委員会の日程につきましては、改めて御連絡させていただきます。
【岩井主査】  どうもありがとうございます。
 今日は、お二人の先生方に話題提供していただいて、いろんな議論ができて、本当によかったと思います。
 先生方からも活発にいろんな意見をいただいて、耳が痛いけど、本当に重要なことを全部言っていただいたので、文部科学省と一緒に頑張ってやっていきたいと思います。どうもありがとうございました。
 これにて閉会させいただきます。本日は、どうもありがとうございました。
 
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