令和8年1月16日(金曜日)10時00分~12時00分
文部科学省会議室 及び Web会議システムによる開催 ※ハイブリッド開催
岩井主査、畠主査代理、有田委員、大津委員、岡田委員、風間委員、上村委員、木下委員、倉永委員、坂田委員、朔委員、桜井委員、鹿野委員、杉本委員、滝田委員、坂内委員
五十嵐理事長(国立研究開発法人国立成育医療研究センター)
髙橋所長(京都大学iPS細胞研究所)
辻フェロー(国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター ライフサイエンス・臨床医学ユニット)
倉田ライフサイエンス課長、満田ゲノム研究企画調整官、南研究振興戦略官付専門官、村越ライフサイエンス課課長補佐、川井ライフサイエンス課係長
【川井ライフサイエンス課係長】 定刻となりましたので、ただいまより、第120回ライフサイエンス委員会を開会いたします。
本日は、対面とオンラインを併用したハイブリッド形式による開催とさせていただいております。本委員会は、報道関係者と一般の方にも傍聴いただいております。
本日は、天谷委員、大曲委員、鎌谷委員、熊ノ郷委員、武部委員、宮田委員、森尾委員より御欠席、杉本委員、木下委員より途中からの御参加、風間委員より途中退席の御連絡をいただいております。出席委員数が、総委員数23名の過半数12名に達しており、定足数を満たしていることを御報告いたします。
会議の円滑な運営のため、WebexによるWeb会議システムで御参加いただいております委員の皆様にお願いしたいことがございます。委員の皆様におかれましては、表示名は、本名、日本語表記、フルネームとしていただきますよう、よろしくお願いいたします。また、回線の負担軽減のため、通常はマイクをオフにしていただきますよう、お願いいたします。発言される際のみマイクをオンとしていただき、発言が終わられましたら、マイクを再度オフにしていただければと存じます。本日は文部科学省の回線が少し不安定となっておりまして、途中で回線等が切れる可能性もございます。御不便をおかけいたしますが、何とぞ御理解いただけますと幸いです。また、システムの不備等が発生いたしましたら、随時、お知らせいただければと思います。
それでは、以降の進行は、岩井主査にお願いいたします。
【岩井主査】 川井係長、どうもありがとうございます。
それでは、本日の議事と配付資料について、事務局から確認をお願いいたします。
よろしくお願いします。
【川井ライフサイエンス課係長】 議事次第を御覧ください。本日の議題は、6点ございます。
議題(1)につきましては、ライフサイエンス分野に関する政策動向となります。事務局より、ライフサイエンス分野の令和8年度当初予算(案)などについて、御説明いたします。
議題(2)は、ライフサイエンス分野の研究開発プランの改訂についてです。ライフサイエンス分野研究開発プランについては、前回、昨年8月の委員会におきましても改訂いたしましたが、今回は令和7年度補正予算及び令和8年度当初予算案の内容を反映する形での改訂を予定しており、御審議いただければと思います。
議題(3)につきましては、研究開発課題の中間評価等についてです。研究開発課題2件の中間評価について、御議論いただきます。
議題(4)は、ライフサイエンス分野の研究の動向と展望です。JST/CRDSの辻フェローより、話題提供をいただきます。
議題(5)は、ライフサイエンス分野における基盤研究の国際競争力強化に向けた今後の論点であり、事務局より今後の論点について御説明した後、皆様に御議論いただければと思います。
議題(6)は、その他としており、事務局からの連絡事項について共有する予定でございます。また、全体を通して御意見などございましたら、御発言いただければと思います。
配付資料につきましては、議事次第に記載されているとおりでございます。資料番号は議事に対応しております。不足等ございましたら、議事の途中でも構いませんので、事務局までお声がけいただければと思います。
事務局からは、以上となります。
【岩井主査】 どうもありがとうございます。
今日は盛りだくさんですけど、できるだけ早く進めて、皆さんに議論していただくべきところはしっかり議論できるようにさせていただきたいというふうに思いますので、御協力のほど、よろしくお願い申します。
それでは、議事に入りたいと思います。まず、1番目は、ライフサイエンス分野に関する政策動向について、でございます。
事務局から、説明、よろしくお願いします。
【倉田ライフサイエンス課長】 それでは、お手元、資料1に基づきまして、ライフサイエンス分野におけます予算の状況や、関連の動向を簡単に御紹介させていただきます。
まず、表紙をおめくりいただきまして、1枚目でございます。こちらに、昨年末の国会で御承認をいただきました補正予算と、これから国会で審議いただきます令和8年度予算案につきまして、全体をお示ししているものでございます。このうち、次の議題とも関わりますところを中心に、御紹介させていただきます。
まず、バイオバンク利活用プログラム、こちらは新規ということになっておりますが、これまでもバイオバンク事業を行ってきておりましたが、一旦、事業の期間が今年度で終わりますため、全体を見直し、さらに強化をしていくということで、新規とさせていただいております。また、併せて、いろいろな施設、バイオバンクを支えます整備なども行いましたので、そちらは補正予算でも措置をさせていただいております。
また、8月にこちらの会議で御審議いただきましたときにAI for Scienceのお話も紹介させていただきましたが、こちらは、概算要求時点のときにはライフサイエンス分野についての事業として要求しておりましたが、文科省全体で、ほかの分野も含めて、AI for Scienceの新しいプログラムということで、新しい事業ということで始めることとなりましたので、その中にライフサイエンスも含めて取り組ませていただきたいと考えております。
また、右側の上のほうですが、感染症有事に備えた治療薬・診断薬の研究開発拠点ということでございまして、こちらも補正予算のほうで措置をいただきまして、これまではワクチンを中心にしておりましたが、これからは治療薬・診断薬についてもしっかり進めていくということで、新たに進めるものでございます。
今申しましたバイオバンクは5ページ目に、また、この感染症は12ページに詳細もつけておりますので、適宜、御覧いただければと思います。
また、2枚目は政府全体の健康・医療分野を取りまとめたものでございますが、AMED予算全体につきましても、関係省庁分を合計しますと、令和7年度に比べますと増額となっておりますし、また、インハウスという理研など、関係の国研などで行っている取組については、こちらも増額というような予算案になっているところでございます。
1枚おめくりいただきまして、政府全体の動きとしましても、皆様、御案内のところかと存じますけれども、成長戦略について、17の戦略分野について、今後、議論をしていくこととなっておりまして、特に、ライフサイエンスの分野と関わりがございますのは、④の合成生物学・バイオ、⑧のフードテック、⑪の創薬・先端医療が深く関わってくるかと考えております。また、横串を刺していくという観点で、②の人材育成、③のスタートアップなども、こちらのライフサイエンス委員会とも密接に関わるかと思っております。事務局のほうでも、ここでの議論をしっかりフォローしながら、こちらのライフサイエンス委員会の場でも御報告をさせていただきたいと思っておりますし、また、ライフサイエンス委員会の委員の先生方でこのワーキンググループの委員になっていらっしゃる先生方もいらっしゃいますので、ぜひ、コミュニケーションを取りながら、双方、補完的に議論を進めていくことができればと思っております。また、後半の議論でも関わりがございますので、こちらの資料に戻ってくることができればと思っております。
予算等は、以上でございます。
【岩井主査】 どうもありがとうございます。
今の説明につきまして、質問、コメント等がありましたら、よろしくお願いいたします。
いかがでございましょう。
AI for Scienceに関しては、文科省全体になるということでライフサイエンスのプロジェクトからは消えているということでございますが、基本的に前回の委員会でお話しした内容はそのまま予算化されているということかというふうに思います。
よろしゅうございますでしょうか。
どうもありがとうございます。では、次の議題に進ませていただきたいと思います。
次は、議第の2番目ですけども、ライフサイエンス分野の研究開発プランの改訂についてということでございます。まず、事務局から資料を説明していただいて、その後、委員の皆様から御意見いただければと思います。
じゃあ、事務局、よろしくお願い申し上げます。
【倉田ライフサイエンス課長】 資料2-1に基づきまして、御説明させていただきます。こちらは、研究計画・評価分科会のほうでの方針といたしまして各分野で研究開発プランをつくっていくということになっておりまして、こちらのライフサイエンス委員会のほうでもおまとめいただいているものでございますが、先ほど申し上げました、新しく始める、新規という形で進めさせていただく事業ですとか、補正予算で行うこととなりました新しい取組などについて、変更させていただくというものでございます。
まず、1点目につきましては、6ページ目を御覧いただければと思います。先ほど申しました感染症の取組について、新たに診断薬・治療薬等も含めてやっていくことといたしておりますので、ここの辺りを赤字で追記をさせていただいております。
また、次の7ページ目でございますが、バイオバンク事業、先ほど申しましたようにこれまでも行ってきておりますが、今回、令和8年度から新しい期が始まりますので、こういった形で追加をさせていただいております。事業名にも「次世代」というのをつけて、より発展的にやっていくというところも示しております。
11ページでございますが、先ほど申しましたように、AI for Scienceにつきましては、ライフに限らず、全体として取り組んでいくことといたしましたので、夏の時点ではライフのところに追記をしておりましたが、一旦、ここからは取らせていただきますけども、ただ、政府全体、ライフも含めてやっていくというところは変わりませんので、そちらのほうもぜひ、先生方にも御相談をしながら、御意見をいただきながら、進めてまいりたいと考えております。
変更点は、以上となっております。こちらの見え消しを反映したものが、資料2-2となっております。
事務局からの説明は、以上でございます。
【岩井主査】 ありがとうございます。
先ほど申していただきましたように、二つの新しいプロジェクト、新規のものとリニューアルのものをきっちりと記載していただいて、AI for Scienceに関しましては、議題(1)で説明があったように文科省全体でやるということで、このライフサイエンス分野の研究開発プランのところから抜くということで対応したいということでございます。
先生方、御意見がございましたら、御意見いただければと思いますので、修正等がございましたら、修正させていきますので、おっしゃっていただければと思いますが、いかがでございましょう。
よろしいですか。特にはございませんか。
ありがとうございます。では、これで進めさせていただきたいというふうに思います。どうもありがとうございます。
では、次、3番目に行かせていただきます。3番目の議題は、研究開発課題の中間評価についてでございます。今日は評価対象が2件ございますので、課題ごとに、まず事務局から説明いただいて、その後、委員の皆様から御意見いただきたいというふうに思っております。
まず、1題目、「医療機器等研究成果展開事業」の中間評価の案でございます。事務局から説明をお願いします。
なお、オンラインで参加の朔先生におかれましては、この事業に関する利害関係者に当たっておりますので、退出していただく必要は全くございませんけれども、事実関係に関してお答えいただくような場合を除いて、原則的には審議には加わらないという形でさせていただければと思います。よろしゅうございますでしょうか。
では、案につきまして、事務局から説明をお願い申し上げます。
【南研究振興戦略官付専門官】 ありがとうございます。文部科学省振興戦略官付の南と申します。資料3-1を御覧いただければと思います。
こちらは「医療機器等研究成果展開事業」の中間評価案でございまして、まず、概要、13ページ目の方を御覧いただければと思います。こちらの事業は、令和4年度から令和11年度までの実施期間となっておりまして、アカデミア発の独創的な技術シーズについて、基礎研究や人材育成を支援するものとなってございます。こちらの事業、大きく分けて二つのスキームに分かれておりまして、一つはチャレンジタイプ、もう一つは開発実践タイプとなっております。前者のチャレンジタイプについては、1年間の支援期間となっておりまして、主には若手あるいは女性の研究者の方々に対して研究開発を通じた人材育成を行い、その後の開発実践タイプに参画する研究者の裾野を広げるといったスキームになってございます。後者の開発実践タイプは、3年間の支援期間となっておりまして、こちらはより本格的に実用化を目指した研究開発を支援するようなスキームとなってございます。
この事業全体として、特徴として3点挙げられると考えてございます。1点目は、チャレンジタイプ、開発実践タイプとも、企業の参画を必須としている点です。2点目は、開発実践タイプについては、1年目から2年目、2年目から3年目に移る段階で、それぞれでステージゲート評価を行ってございまして、これによって実用化の確度のより高いものに重点投資するような、スキームになってございます。3点目は、下の方に医療機器事業化・実用化支援機関というものを記載しておりますが、このような支援機関を通じて、知財や事業戦略へのコンサルティング、また、企業とのマッチング等を行う、そういったところに対しての支援を行うことで研究者に対する伴走支援を行ってございます。こうした特徴を生かしながら、他省庁のより実用化に近いような事業とか、あるいは企業への導出を直接行うというものが、この事業の概要となってございます。
続いて、中間評価票の7ページのほうにお戻りいただければと思います。こちらに、事業全体としてどこまで進捗したかという状況を書かせていただいております。ポイントをかいつまんで説明いたしますと、2パラ目のほうに書かせていただいておりますが、この事業全体では、令和4年度以降開始してから累計83課題を採択・支援しております。事業全体のKPIといたしまして、非臨床のPOCの取得、あるいは他事業等への導出を掲げさせておりますが、それぞれ13件、累計で積み重ねてきておりまして、着実に成果を創出していると考えてございます。
また、個別のスキームについて、以降のパラグラフで申し上げますと、開発実践タイプでは、令和4年度以降、累計で46課題、200名の研究者に対して、支援を行っております。特に令和4年度、初年度に開始した研究課題については、13件ありましたが、先ほど申し上げたようなステージゲート評価により、最終的には5件に絞り込まれ、そうした課題に対しての重点投資を行っております。この5課題のうち、1課題は支援期間中に医師主導臨床試験を実施するまでに至っておりまして、また、2課題については、令和7年度、支援が終了した後に製造販売の承認申請の予定に至るまでの実績を上げてございます。このように、本来の文科省事業の支援フェーズを超えたような研究成果を上げることができていると考えてございます。
また、チャレンジタイプについては、累計で37課題、118名の研究者に対して、支援を行っております。下の方に書かせていただいておりますが、チャレンジタイプでの支援を受けた研究者の方々がその後の開発実践タイプに応募した際には採択率が74%となっておりまして、非常に高い採択率が得られております。このため、人材育成という観点でも非常に大きく貢献できるのではないかと考えてございます。
8ページ目以降に、項目ごとの評価を書かせていただいております。ちょっと長文になっておりますので、ポイントだけかいつまんで説明いたしますと、まず、必要性については、医療機器の基礎研究を支援するものは政府全体の中でも限られておりまして、特にアカデミア発の技術シーズを支援するものになると、この事業のみとなっておりますし、また、各種政策文書においても、こういった基礎研究に対する投資の重要性は明確に書かれておりますので、その意味からも必要性は認められるのではないかと考えております。
続いて、有効性の観点でございますが、AMEDのPS・PO等や、あるいは先ほど申し上げた支援機関によって、側面支援を行っており、また、ステージゲート評価等を活用するということで、本事業の支援フェーズを超えたような研究成果を着実に上げられているというところからも有効性は認められるのではないかと考えてございます。
最後、効率性の観点でございますが、今申し上げたような諸々の側面支援や、あるいはステージゲート評価に加えて、事業全体で企業の参画を必須としているというところが大きな特徴となっておりまして、これによって実用化や事業化に向けて効率的な運用が担保されているのではないかと考えてございます。このため、効率性についても認められるというところです。
これらの評価結果を踏まえて、今後の方向性については11ページ目に記載しております。必要性、有効性、効率性、いずれの観点からも高く評価できることから、本事業は継続すべきではないかと考えてございます。
さらに、今後の事業の改善をする上での指摘事項を書かせていただいております。今回の中間評価案をまとめるに当たってAMEDのPS・PO等からも御意見を伺ったところでございますが、今後は、チャレンジタイプの中で、より独創的・革新的な技術シーズを支援できるような形で公募枠を設けるべきではないかと、こういった指摘がございました。具体的に、令和9年度以降にどのような制度設計にするか今後検討をしていく必要はございますが、こういった指摘にも対応していきたいと考えてございます。
以上、事務局からの説明になりますので、御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
【岩井主査】 どうもありがとうございます。
中間の段階で、KPIのところで、非臨床POCの取得が13件とか、企業への導出が13件と、しっかりと進んでいるということと、もう一つは、ステージゲート3まで進んだものの中で、実際に臨床試験まで達したものとか、起業(製造販売承認申請予定)に達したものがあるということで、十分な成果が認められるということで、有効性、必要性、効率性という意味で十分に進んできたということで、継続したいということでございます。
それと、先ほど申されていましたけど、チャレンジのコースで1年間支援した方が次のコースのほうに進む時にかなり採択率がいいということは、チャレンジの効果があるだろうということだと考えられますので、それをもう少し強めたいという考え方だというふうに思います。
以上を踏まえて御議論いただければと思いますが、いかがでございましょう。
どうぞ。
【大津委員】 2点お伺いしたいんですけども、1点目は、実績として非常にすばらしいと思うんですが、実際、2課題が製造販売承認申請予定まで行っているということですけども、医療機器だと結構幅広いと思うので、差し障りのない範囲で、どういった医療機器なのかということをお伺いしたいところが1点目。
2点目は、先ほどのお話で、チャレンジタイプに関しては、起業、自らスタートアップをつくっている方、もしくはスタートアップ企業との連携が取れている方というのが要件になっていたんでしょうか。
【南研究振興戦略官付専門官】 まず、2点目のほうを申し上げますと、チャレンジタイプに関しては、研究代表者はアカデミアの研究者になっていて、その上で、その方が企業の分担研究者と連携した形で応募するというのが要件になってございます。
【大津委員】 企業が分担となっていますが、その方が自ら起業の場合もあるのかなと思うのですけど、それは……。
【南研究振興戦略官付専門官】 それは分担者としての参画で、代表者はあくまで大学の研究者というような形になってございます。
【大津委員】 分かりました。
【南研究振興戦略官付専門官】 1点目の成果例のところは、私、説明をちょっと割愛しておりましたが、資料の19ページ目の方に別添4として書かせていただいております。こちらの方で3例ほど書かせていただいておりまして、左側と右側のものが製造販売の承認申請の予定まで至ったもので、真ん中のものが医師主導臨床試験まで至ったものとなっております。様々ございますが、例えば、AIを使って診断を支援したり、あるいは材料関係では、人工の骨を製造する、その製造法の確立に係る研究などを行っていただいている形になってございます。
【大津委員】 ありがとうございました。大変すばらしいと思います。
【岩井主査】 どうもありがとうございます。
ほかはいかがでございましょう。
どうぞ。
【畠主査代理】 御説明、ありがとうございます。私もすばらしい成果だと思っています。
それを踏まえて、1点だけ御確認させていただきますが、本事業は人材育成というところを重要視されています。特に、チャレンジタイプというのは大変高く評価でき、OJTとまで言えるかは分かりませんが、多くの経験を積める場だと思っています。そういった観点から、今回の取りまとめとかについてのご質問ですが、人材育成の「how」というべき内容、すなわち、いかに人材育成を実施すべきか、ということの経験を蓄積ならびに表現されていますでしょうか。また、そうした人材育成における知見を取りまとめる仕組みがあるのかどうか、その辺りをお聞かせいただければと思います。いかがでしょうか。
【南研究振興戦略官付専門官】 ありがとうございます。人材育成はまさに重要なところでございまして、実際、チャレンジタイプの中でそういった活動をさせていただいております。これは実際にOJTを通じて育成していくというようなものですが、それに加えて、より初期の段階、ここに参画するような研究者の裾野も広げる必要があると考えていまして、そういった意味では、例えば、大学における学部や研究科での教育というのも重要かなと考えています。今後、政府全体の動きとしては、第3期の医療機器基本計画の令和9年度開始を目指して策定していく予定でございますので、総合的に人材育成をどうするか、我々としても考えていきたいと考えてございます。
【畠主査代理】 ありがとうございます。人材育成は本当に重要ですが、一方で、具体的にどうするのかというのは、まだまだ議論の余地が十分あると思っています。本件の内容はこれらを検証できるチャンバーともいえますので、そのような観点からもアウトプットを出していただければありがたいと思います。
以上です。
【南研究振興戦略官付専門官】 ありがとうございます。
【岩井主査】 どうもありがとうございます。
ほかはいかがでございましょう。
どうぞ。
【桜井委員】 桜井です。よろしくお願いします。私も医療機器開発のスタートアップをいろいろ支援していますが、この別添4を見させていただいて、本当に売れる製品なのかどうかというところの検証が実装化のところにおいてはすごく大事かなというふうに思っています。
一つ、これは御提案なんですが、この分野で御活躍されている医療機器メーカーさんがこれを見たときに、本当に欲しいものなのかとか、本当にこれは自分たちが売ってみたいものなのかという観点を評価の一つとして置かれてはいかがかなというふうに思いました。これをぱっと見て、まだまだ実装化には遠いなと思いつつも、早い段階で、物を売るとか、商品として意識してもらうというところも、人材育成という観点では非常に大事かなというふうに思いました。
僭越ながら、失礼いたします。
【南研究振興戦略官付専門官】 ありがとうございます。御指摘、ごもっともかと思いますので、今後、制度設計をする際に検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
【岩井主査】 そうですね。大事な視点ですね、こういう事業では。ありがとうございます。
ほかはいかがでございましょう。
どうぞ。
【滝田委員】 滝田です。評価の部分で、7ページに、開発実践タイプ、チャレンジタイプ、ともに採択率の向上が期待されているというような表記がされております。もともと、採択の枠というのは決まっていると思うので、採択率の向上というのは、採択件数を上げるという意味なんでしょうか。それとも、採択に足るような提案がもっと出てくることが期待されるという意味なのか。
【南研究振興戦略官付専門官】 前者の方でありまして、実際に採択できる件数をもうちょっと増やすことができればというような御意見をいただいているところです。
【滝田委員】 それは予算をもう少し増やすという意味ですか。
【南研究振興戦略官付専門官】 おっしゃるとおりです。
【滝田委員】 次年度以降の予算の中には、これが反映されるんでしょうか。
【南研究振興戦略官付専門官】 そうですね。ただ実際は、基本的にこの事業は大体同規模で推移しているところでございますので、さらに、こういった御指摘を踏まえて、どのぐらいの形にしていけるかというところは、今後検討させていただきたいと考えております。
【滝田委員】 承知しました。ありがとうございます。
【岩井主査】 ありがとうございます。
ほかはいかがでございましょう。オンラインの方とか、いかがですか。
【上村委員】 上村ですけど、よろしいでしょうか。
【岩井主査】 お願いします。
【上村委員】 先ほどの人材育成というところなんですけど、私、日本のアカデミアで一番足りてないところは、やっぱりビジネス教育だと思うんですね。企業とやることによって、日本のアカデミアのビジネス教育、若手も含めて、きちんとしたビジネス教育をするというシステムが今まですごく足りてなかったと思うんですが、その辺り、この事業に関してはどのようにお考えか、ちょっと伺いたいんですけど。
【南研究振興戦略官付専門官】 ありがとうございます。少なくともこの事業に関して申し上げますと、今、スライドで示している医療機器事業化・実用化支援機関が、事業化や実用化というところでのコンサルティングを行っています。ただ、これはこの事業に参画できた方々に対してのアプローチとなっていますので、先生の御指摘は恐らく、どうすればアカデミア全体の人材育成に貢献できるかというところだと思うので、それは文科省全体としてまた検討していきたいと考えてございます。
【上村委員】 おっしゃるとおりですけども、OJTでやるのが一番、実際にターゲットを決めてやるというのが非常に現実的だと思うので、その辺を落とし込んでいくというのはどういうふうにやられるかというのをこれから考えていただければ非常にいいと思いますので、よろしくお願いします。
【南研究振興戦略官付専門官】 ありがとうございます。
【岩井主査】 どうも、御指摘、ありがとうございます。
どうぞ。
【坂内委員】 オンラインで坂内のほうから、質問というか、コメントをさせていただきます。
ただいまおっしゃったこととすごく関係するんですけど、これだけアカデミアと企業をつなごうとする試みがあって、すてきな開発もされているんですが、私たち、すごく基礎の研究者から、この事業が全く見えてきませんでした。もう少しこちらの成果が、もちろん、特許とか、大変なことがあるのも存じ上げておりますが、この事業に関しては、プレスリリースまたはSNSなどの発信を増やしていただいて、こんなこともできるんだということを若い学生さんや研究者の方に見せていくことが、先ほどの先生がおっしゃった教育につながるんじゃないかと思います。今は本当に見えてきていませんということを申し上げたいと思います。
【岩井主査】 ありがとうございます。確かに、多くの人をここに引き込むという観点では大事かもしれないというふうに考えます。
どうぞ。
【有田委員】 遺伝研の有田ですけれども、今、OJTとか企業連携の重要性という点が強調されましたが、例えば、学生の立場から見ると、自分が所属する研究室がこの事業をやっていて、教授の先生がやられているベンチャーの事業に従事させられる、またはしなくてはならないという状況になったら、学業との利益相反になるんです。ですので、そういう学生の声をすくい上げる仕組みというのをつくっていただきたいです。僕自身は、利益相反がいけないと言っているのではなくて、利益相反が世の中にも分かるように公開していただかないと、何か問題が生じているときに、それが隠蔽される可能性があるわけですね。ですから、透明性を重要視していただきたいです。
以上です。
【南研究振興戦略官付専門官】 御指摘、ありがとうございます。
【岩井主査】 ありがとうございます。その点、意識させていただきたいと思います。
ほか、よろしゅうございますでしょうか。
いいですか。
ありがとうございます。皆さんにいろんな意見をいただきましたけど、修正意見はなかったというふうに考えますので、このまま進めていきたいというふうに思います。どうもありがとうございます。
では、次の課題について、事務局にお願いいたします。
【川井ライフサイエンス課係長】 続きまして、「再生・細胞医療・遺伝子治療実現加速化プログラム」の中間評価についてでございます。
岩井主査、畠主査代理におかれましては、事務局において、この事業の利害関係者として整理させていただきましたので、本事業の中間評価については、事務局おいて進行をさせていただきます。岩井主査と畠主査代理におかれましては、事実関係についてお答えいただく場合等を除いて、審議に関しては御発言を控えていただきますよう、よろしくお願いいたします。
まず、「再生・細胞医療・遺伝子治療実現加速化プログラム」に係るプログラムディレクターである国立成育医療研究センターの五十嵐理事長より事業の概要について御説明いただいた後に、京都大学iPS細胞研究所の髙橋所長より事業の中間評価までの具体的な成果について御説明をいただきます。最後に、事務局より中間評価案について説明します。
それでは、五十嵐理事長、御説明をお願いできますでしょうか。
【五十嵐理事長】 国立成育医療研究センターの五十嵐と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私は、このプログラムが含まれております、AMEDの統合プロジェクトであります、「再生・細胞医療・遺伝子治療プロジェクト」のPDを務めております。また、このプログラムの中の非臨床PoC取得研究課題のPSも務めます。本日は、両方の立場から、本プログラム全体の講評をさせていただきたいと思います。
このプログラムの目的は、再生・細胞医療・遺伝子治療の実用化に向けて、本分野の研究開発と基盤整備を行いまして、次世代の医療につながる画期的なシーズの創出、さらに、臨床応用、企業への導出を導いて、皆さんから求められている対応及び我が国の本分野における国際競争力の維持・向上を目指したいと考えています。具体的には、再生・細胞医療・遺伝子治療分野の融合研究、次世代iPS細胞の開発、オルガノイドを活用しました研究など、大変革新的な研究開発を進めまして、研究に必要な人材育成、基盤整備及び実用化に向けた、規制面や倫理面、知的財産面などの支援を行うことになっております。
このプログラムの前身事業で育成されましたシーズが、実用化に向けて前進をしています。臨床試験で有望な結果が得られている例がありますし、既に企業へ導出されて再生医療製品として販売や承認申請が行われている例などがあります。例えば、パーキンソン病の薬とか、虚血性心筋症、亜急性期の脊髄損傷への治療、重症の心不全患者さんへの治療、それから、角膜上皮の幹細胞の疲弊症に対する治療、こういうものが成果として上がっていると思います。こうしたシーズをさらに継続的に生み出すために、本プログラムは極めて重要な役割があると思っています。
本プログラムでは、再生・細胞医療・遺伝子治療研究中核拠点で、次世代のiPS細胞、改良型のES細胞、改変型のAAVベクターの開発、閉鎖系の自動培養装置の稼働等の先進的な基盤技術が開発されているところです。中核拠点が持つハブ機能を生かして、ほかの機関への情報提供、あるいは技術供与を行っておりますし、それから、若手研究者を育成して人材の裾野を広げるということ、これも大変重要なことだと思っています。
再生・細胞医療・遺伝子治療研究開発の基礎応用研究課題と非臨床のPoCの取得研究課題、疾患特異的iPS細胞を用いた病態解明と創薬研究課題、再生・細胞医療・遺伝子治療研究実用化支援事業におきまして、研究の進展と研究支援が着実に行われていると判断しております。全体の進捗状況につきましては、研究者がAMEDの支援を受けながら、PS・POとディスカッションをしておりまして、真摯に取り組まれていると思います。成果につきましても、着実なものが見られていると考えております。
本日は、本プログラムのさらなる発展に向けまして、皆さんから御意見をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【川井ライフサイエンス課係長】 五十嵐理事長、ありがとうございました。
それでは、続きまして、iPS細胞研究所の髙橋所長、御説明を5分程度で、よろしくお願いいたします。
【髙橋所長】 ありがとうございます。京都大学の髙橋淳と申します。よろしくお願いいたします。
我々は、ここにございますとおり、次世代医療を目指した再生・細胞医療・遺伝子治療研究開発拠点という名の下に研究を進めております。
次、お願いします。
これは、この前にあったiPS細胞研究中核拠点、これは10年間ございましたが、先ほど五十嵐先生からもお話ありましたけれども、iPS細胞を使って医療応用、特に再生医療を進めるということで、ここにありますとおり、14以上の疾患に対しまして既に臨床試験が開始されているところであります。既に、パーキンソン病と虚血性心筋症につきましては、薬機法の申請が行われているところまで進んできたということです。
次、お願いします。
それと並行しまして、国内でどんどんと遺伝子治療の成功例を含めて進んできたという状況があります。
次、お願いします。
次の中核拠点としましては、細胞医療、遺伝子治療、それぞれ進んできたものの、その課題を克服しながら、さらにこれを融合させるというところを目指しております。例えば、細胞医療でありますと、分化誘導効率が低かったり、不安定であったりします。遺伝子治療であれば、組織特異性が低かったり、免役応答が見られたり、べクター産生効率が低い。こういったようなことがあります。これらの課題を解決しながらさらに融合させていくというところであります。
次、お願いします。
ここにございますように、それぞれの開発を進めながら、次世代の医療をつくる。それから、先ほどもお話ありましたけども、これがハブとなって、人材・技術・情報をそれぞれ共有しながら、さらに若い研究者を育てていくということを行っています。
お願いします。
iPS細胞研究所、国立成育医療研究センター、自治医科大学、京都大学iPS細胞研究財団、この四つがこの体制をつくっております。
次、お願いします。
特に細胞医療の融合型の治療戦略について御説明しますと、まず、iPS細胞そのものをさらに効率のよいものにするということと、ドナー細胞を強化するためにゲノム編集などを使う。それから、ホスト側の環境もよくするために、遺伝子治療等々の融合を図るということになります。
次、お願いします。
特に、iPS細胞をさらに効率のよいものに高めるということで、iPS細胞2.0というふうに称しておりますけれども、ナイーブ状態を経たiPS細胞を作るということに取り組んでおります。
次、お願いします。
ちょっと分かりにくいので絵を使って説明いたしますと、御存じのとおり、iPS細胞というのは、体を構成している細胞を受精卵に近づけて、それによっていろんな細胞に変化できる性質を獲得させるというものですが、実は、現在使っている細胞というのは、受精卵の近くまでは行っているんですけども、まだ少し距離があります。なので、もともとの細胞の性質が多少残っていたりすることがあって、それによって分化誘導が不安定だったりするんですが、これをより受精卵に近いところまで持っていく、この状態をナイーブ状態と言うんですけども、それをすることによって、次のiPS細胞2.0、すなわち樹立効率が高く、分化誘導効率が高くて安定している細胞を作るというところを目指しております。
お願いします。
既に2.0型のiPS細胞の製造には成功しておりまして、現在、いろいろな組織について分化誘導効率を確認しているところであります。例えば、大脳皮質の神経であるとか、心筋、肝臓の細胞、このように、外胚葉、中胚葉、内胚葉、それぞれの細胞でiPS細胞をナイーブ化して、2.0にすることによって分化誘導効率が上がるといったようなことが確認されています。現在、中核拠点だけではなくて、様々な方々に細胞を配りながら、この現象を確認しているところであります。
次、お願いします。
それと同時に、遺伝子改変をして細胞をより効率のよいものにするということですけど、これは成育医療研究センターで行っています。酵素欠損によりいろんな病気が起こることがありますが、特に先天性などで致死的である場合は、胎児のうちに治療をします。iPS細胞を使って、あるいはES細胞を使って、酵素を発現するような細胞を遺伝子改変で作り、それを胎児のうちに投入することによって患者を救うということです。既に、ここにありますように、モデルマウスを使った研究においては非常に有効な結果が出ておりますので、これも近いうちに臨床試験に持っていきたいというふうに考えております。
次、お願いします。
同様な試みですけれども、これはiPS細胞を使って赤血球を作るものです。普通、iPS細胞から赤血球を作ると、胎児型のやや幼弱なものができるんですけども、これに遺伝子改変を加えて、成人型の赤血球を作る。それによって、これを輸血に供するというところであります。こういう試みも行っています。
次、お願いします。
遺伝子の編集技術についてですけれども、細かいところは省略しますが、これは日本で開発されたCas3技術というものなんですけれども、これを用いて、これまで以上にゲノム編集が効率的にできるということが確認されております。
次、お願いします。
それと同時に、細胞を作るというところを機械化する。それによって、コストを抑える、早く作るといったようなことにも取り組んでおりまして、これは京都大学iPS細胞研究財団がメインで行っております。このように、自動培養装置を使って、iPS細胞を樹立する。あるいは、そこから分化誘導する。そこまで一気通貫でクローズのシステムで作るということに取り組んでおりまして、既に、このクローズドシステムでiPS細胞を樹立し、そこから心筋を誘導することに成功をしております。
さらに、ここにもありますけども、DXシステムを導入して、これまで手書きで作っていた品質管理もデジタル化するといったようなことを進めています。
次、お願いします。
それから、若手研究ですね。この研究費を通じて、若手の研究を、例えば、インターンであるとか、あるいは若手研究者を呼び入れるといったようなことも行っています。先ほどの赤血球の研究ですけども、これは、CiRAで幹細胞の研究をした研究者が自治医科大学に移って、今度は遺伝子編集の研究をする。このように、細胞も分かる、遺伝子も分かる、こういった若者をこの中核拠点を通して育てていこうというふうにしております。
同時に、このようにシンポジウムをたくさん行って、国内外の研究者を呼び入れて、セミナーを行う。そこで個人的なつながりもつくる。こういったような形で、若手の育成とか、あるいは国内外との連携づくりというものにも努めております。
以上です、どうもありがとうございました。
【川井ライフサイエンス課係長】 髙橋所長、ありがとうございました。
それでは、最後に、事務局より中間評価について説明いたします。
【満田ゲノム研究企画調整官】 まず、資料3-2の12ページを御覧いただければと思います。本プログラムにつきましては、左側の下のほうの1から4の四つのプログラムから構成されてございます。一つ目の中核拠点事業につきましては、京都大学iPS細胞研究所を中心に、国立成育医療研究センター、自治医科大学、京都大学iPS細胞研究財団が連携をいたしまして、共通の基盤研究や融合研究、ネットワークの構築ですとか、若手研究者の人材育成などに取り組んでございます。二つ目と三つ目につきましては、公募型の研究科開発課題となってございます。四つ目の実用化支援課題につきましては、規制や倫理面などの伴走支援ですとか、事業化戦略の支援、こういったことに取り組んでいる事業でございます。
少し資料を戻っていただきまして、6ページ目を御覧いただければと思います。こちらに各課題の進捗について記載をしてございます。②のところでございますけれども、一つ目の中核拠点事業につきましては、先ほど髙橋所長からも御説明がありましたとおり、次世代iPS細胞の開発、改良型ES細胞の開発、改変型アデノ随伴ウイルスベクター、閉鎖系自動培養装置の稼働など、先端的な基盤技術が着実に実施されている。また、若手研究者の育成やキャリアパス支援なども着実に実施されているという状況でございます。
また、二つ目の研究開発課題につきましては、基礎応用研究課題と非臨床PoC取得研究課題の二つがございますけれども、独創的な新規性の高い最先端の基礎・応用研究が実施されているとともに、例えば、若手枠の設定ですとか、挑戦型、こういった公募を開始して、支援を強化しているという状況でございます。非臨床PoCの課題につきましても、実際に取得している実績なども出ているところでございます。
7ページ目を御覧いただければと思います。三つ目の疾患特異的iPS細胞を用いた病態解明・創薬研究課題につきましても、疾患発症のメカニズムの解明ですとか、病態解析技術の高度化、創薬研究などを実施しており、順調に研究が進捗しているという状況でございます。
最後の実用化支援課題につきましても、基礎研究が臨床試験に早期に橋渡しできるように、伴走支援や実用化支援、こういったところを切れ目なく実施しているところでございます。
以下、個別の課題の必要性、有効性、効率性などを記載しておりますが、また戻っていただきまして、3ページ目にまとめて書いておりますので、そちらを御覧いただければと思います。3ページ目の3.研究開発の必要性等のところで、本事業の必要性の観点につきましては、世界的に再生・細胞医療・遺伝子治療分野の研究開発と市場の拡大が進む中で、我が国の優位性を維持・向上させ、患者の皆様に新たな医療を届けるために、引き続き、基礎的・基盤的な研究開発の強化が必要であると、こういうふうに評価をしてございます。
有効性の観点につきましても、中核拠点をハブとした研究体制の下、革新的な基盤研究や遺伝子治療との融合研究を実施するとともに、事業化戦略の策定支援ですとか、企業連携などを進めており、今後も研究成果の創出や実用化促進が期待できるというふうに評価をしてございます。
4ページ目でございます。効率性の観点では、研究の初期から規制・倫理・知財面の伴走支援を行うとともに、細胞やベクターの製造機関とのマッチングですとか、若手研究者の交流促進、バーチャルラボの活用などにより、効率的な研究、実用化支援を推進していると、こういうふうに評価をしてございます。
最後に、10ページ目のところを御覧いただければと思います。(5)の今後の計画開発の方向性というところですが、これらを踏まえまして、本事業は、必要性、有効性、効率性がいずれも高く、今後も継続をすべき事業と考えてございます。
本事業の改善に向けた指摘事項につきましては、先ほど髙橋所長からも御説明ありました開発中の次世代iPS細胞につきまして、開発目標の明確化や、従来技術と比較した定量的な評価の充実化、将来の医療応用に向けて、コストの削減目標の設定ですとか、臨床でどのように役立つのかの明瞭化、こういったことが期待されること。また、iPS細胞の製造と分化培養の自動化の仕様や、品質保証手法の検討が期待されること。組織特異的な遺伝子送達技術に関しましても、実用化に向けたさらなる研究の進展が期待されること。中核拠点のハブ機能を一層発揮して、我が国から世界水準の医療創生につながる成果創出を強力に牽引していくことが期待される。このようにまとめているところでございます。
御説明は、以上でございます。
【川井ライフサイエンス課係長】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明内容につきまして、御質問やコメント等がございましたら、お願いいたします。
木下先生、よろしくお願いします。
【木下委員】 どうも、御説明、ありがとうございます。何点かお伺いしたいんですけども、目的のところで企業への導出ということを書かれてあるんですが、私が聞き漏らしただけかもしれないんですけど、具体的に、既に企業への導出としてうまくいった事例みたいなことがあったら教えていただきたいというのが1点目。
それと、課題のところで既に述べられたので十分に意識されているんだと思いますけど、この技術はとってもすばらしくて、将来的にもどんどんやったらいいと思うんですが、コストがすごく高いなというので、社会実装の面でコスト面の努力が必要なのかなあと思うんですけど、現時点でどれくらいまで行っていて、将来的にどこまで行くようなことを目指していらっしゃるのかなというのが2点目。
3点目は、先ほど、たしか髙橋先生のところでDXの話の御説明をいただいたんですけども、品質管理という意味では工程の管理を全部するというのはとっても重要だと思うんですね。そこで、PDFで電子化して管理というのはもう少しやれることはないのかなというのを感じたので、その辺り、将来展望みたいなことがもしあれば、教えていただければと思います。
以上です。
【満田ゲノム研究企画調整官】 先に髙橋先生のほうから説明いただいて……。
【髙橋所長】 私からですか。
【満田ゲノム研究企画調整官】 先ほど、品質管理の話がちょっとあったかと思います。
【髙橋所長】 品質管理につきましては、そもそも自動培養にするということ自体がDX化を含んでおりますので、そういったような形で進めているという状況であります。
【木下委員】 工程管理を記録みたいなことは全部取られているような状況ですか。
【髙橋所長】 そのとおりでございます。
【木下委員】 分かりました。
【髙橋所長】 これまでは例えば培養を横で見ている人が手順を確認しながら紙にチェックをしていたということなんですけれども、自動培養装置にするということは、それが全て自動的に機器でログが取れるということですし、同時に、例えば、細胞内の温度であるとか、pHであるとか、そういった条件も全て記録することができるということであります。それによって、コスト面でもかなり抑えることができるということになります。
【木下委員】 よく分かりました。ありがとうございます。
【五十嵐理事長】 五十嵐から、よろしいでしょうか。企業への導出の点では、既に遺伝子治療製品等が三つ、先進医療として行われています。それから、非臨床のPoCを得る段階で複数の研究が進んでおり、企業と協力した開発も進んでおります。今後、遺伝子治療製品等が出てくることが期待されます。
以上です。
【木下委員】 ありがとうございます。
【髙橋所長】 それに追加しますと、細胞医療もそのとおりで、これは前回の中核からの延長にもなるかと思いますけれども、例えば私どもですと、既に住友ファーマに技術的にはトランスファーしておりますし、それから、幾つかのベンチャー企業も立ち上がっておりますし、かなりの部分でアカデミアから出たシーズが企業に技術移転している。もちろん、知財も含めて、そういう状況にあります。
【川井ライフサイエンス課係長】 大津委員、よろしくお願いします。
【大津委員】 大津でございますけども、成果も上げられて大変すばらしいと、評価に関しては異論ございません。
その上で2点、評価というか、お願いということで、1点目は、8ページ目のところにも書いてはあるのですけど、今、遺伝子編集技術を用いて、私、専門はがんのほうなので、がん分野において、いわゆるin vivoでのCAR-Tであるとか抗体生成といったことが急速に進んできていまして、海外、欧米のほうでは、既に治験に入って、それなりの成績が出始めています。ここにも「mRNA-LNPデリバリー技術を組み合わせた」という話で記載されているのですけれども、今後、ここをかなり強化してやっていくと大きな領域になります。その辺がin vivoでできちゃうという話になると、さっきのコストの話とかもかなり大きく変わる可能性がありまして、やはり、ここの部分を強化していくというのは非常に重要なポイントかなあと考えています。その辺を、ちょうど医薬品と再生の境界領域というか、薬品側でもDDS製剤はかなりいろんな開発をしていますが、そこは、がんの領域で両方担当していますので見ていると、ちょうど境界的な話になるので、漏れやすいのではないかと思います。ここはかなり強化していく必要性があるんじゃないかなと思いまして、ぜひ次のところでそういったものを組入れていただきたいと思います。それから、そういった技術の教育、人材育成というか、そこも併せてお願いできればいいかな。再生の場合は大がかりな部分が多いので、がん分野で見ると、若手がなかなか増えてないんじゃないかなという心配もありまして、限られた施設でしかできない部分がありますから、ぜひ、さっきお話ししましたin vivoの遺伝子治療技術というものは、むしろ広く、いろんなところに入りやすいのかなと思いまして、そこをぜひ強化いただきたいということと、同時に人材育成もよろしくお願いしたいという、意見でございます。
【川井ライフサイエンス課係長】 ありがとうございました。
そのほか、御質問等ございます先生はいらっしゃいますでしょうか。オンラインで御参加の方、もしコメント等ございましたら、「挙手ボタン」を押していただくか、御発言いただければと思います。
それでは、本プログラムの中間評価案については、修正意見はなかったと承知しておりますので、今後は、本案を研究計画・評価分科会にお諮りして、決定されることとなります。
五十嵐理事長、髙橋所長、御発表、ありがとうございました。
【五十嵐理事長】 ありがとうございました。
【髙橋所長】 ありがとうございました。
【川井ライフサイエンス課係長】 それでは、進行を岩井主査にお返しいたします。
【岩井主査】 ありがとうございます。
では、議題(4)、ライフサイエンス分野の研究の動向と展望という議題に移りたいと思います。この議題に関しましては、JSTの研究開発戦略センターの辻フェローから話題を提供していただいて、その後、委員の皆様から質問やコメントをいただきたいというふうに思っています。
辻フェロー、よろしくお願い申し上げます。
【辻フェロー】
よろしくお願いいたします。JST研究開発戦略センターの辻から、ライフサイエンス分野の動向と展望について、十分ほどでお話しさせていただきたいと考えてございます。
1枚おめくりください。
これは目次です。もう1枚めくって下さい。
これは、私どもJST-CRDSにおいて、ライフサイエンス分野というのはどういう分野かといったものを、主なテーマを並べて整理した俯瞰図でございます。一番下のエリアが、研究基盤、インフラ、ELSI、その少し上の辺りがベーシックバイオロジーとかバイオテクノロジー、左上のピンクのところが主にメディカル並びに基礎医学、右上の緑色のところが食料・農業・バイオ生産並びに関連する基礎研究、こういう構造だと考えてございます。
1枚おめくりください。
論文動向について、ざっくり申し上げます。左側のグラフを御覧下さい。アメリカは論文の数で独走しておりましたが、中国が急激に伸びております。研究領域によりけりではありますけれども、アメリカと中国は並ぶか、分野によっては中国の方がさらに増えているところもあります。右側のグラフを御覧下さい。右半分は、論文数の国別ランキングの推移です。中国の伸びが著しいことは先ほど申し上げましたが、もう一つ、少し注目なのは、中国ほどではないにせよ、インドもかなり伸びてきております。一方、濃い青色が日本で、日本は下がっておりますが、さらに下がっているのがフランスとなっております。
次、お願いいたします。
続きまして、ここから4枚ほど、アメリカと中国の主なライフサイエンス関連の政策動向に関しまして、御説明申し上げたいと思っております。
まず、こちらのスライドはアメリカでございます。A)に書いてございます通り、NIHやNSFのライフサイエンスの研究費について、トランプ大統領が大幅に削るぞというメッセージを込めた予算教書を出されましたが、その後、上院・下院で議論が進んでおり、つい先日、NSFのほうは昨年度の予算から少し減額、にて落ち着いたようです。NIHについては、予算教書では39%減となっておりましたが、上院・下院は昨年並みとしておりまして、これからの議論次第かと思いますが、昨年度とあまり変わらない予算規模に落ち着く可能性もあります。
B)を御覧ください。これは来年度の予算の優先事項でございまして、黄色のマーカーがライフサイエンス関連の話題です。アメリカの健康、BiosafetyとBiosecurity、バイオ製造といったところが挙げられておりました。アメリカの健康というところは、アメリカにおけるヒトの健康だけでなく、例えば、農業、畜産なども含めた、地球の健康みたいな視点も含まれているようでございます。
次のスライド、お願いいたします。
C)にお示しする通り、アメリカはやはりAIを非常に重要視していると言えます。
D)について、アメリカがWHOから脱退するといったニュースも耳に致しますが、WHOのような国際機関を介したグローバルヘルスではなく、アメリカと特定の国との二国間協力のかたちで、アメリカにも利益のある形でこういうグローバルヘルス的な活動をする、というのを明確に打ち出しているようでございます。
F)を御覧下さい。ついに先月成立した法律でございます。議論の過程では主に中国の企業が挙げられておりましたけれども、そういったところとの取引を米国政府機関の調達では大きく制限されることとなりました。これはあくまで米国政府機関における調達ルールではありますが、恐らく官民の様々なところへ波及する可能性もあり、中国の企業ではなく他の関連国の企業へとシフトする可能性もあります。
G)を御覧下さい。アメリカに投資を集めたいとトランプ大統領が仰っておりますが、例えばライフサイエンス系では、AstraZenecaとGSKが、アメリカにおける医薬品の製造基盤を強化するだけでなく、研究開発についてもアメリカで投資して実施する、といったことがホワイトハウスのホームページには書かれております。両社ともイギリスの名だたる大手製薬企業ですので、今後、イギリスがどうなるのかなは、要チェックかと思っております。
次、お願いいたします。
中国に関しまして、A)にございますとおり、研究費は非常に多いです。
B)に書いておりますとおり、中国版の科研費でどういう分野の人が採択されているのかを数えてみましたところ、3割ぐらいがライフサイエンスかメディカルの研究者でした。
C)にお示しするとおり、中国もここ5年ほどは研究費における基礎研究費の割合を高めております。これまでは出口偏重なところもあったため、強い中国になるためにはもう少し中長期的な観点から基礎研究を増やそうと掲げられておりました。
D)については、基礎研究だけでなくて、スタートアップや応用開発に関しましても、1.5兆元のファンドと、非常に大きなお金が動いている点が注目されます。
次、お願いいたします。
中国の国家戦略、中長期計画でどういったテーマが掲げられているのかを整理しました。総じて、そんなに特殊な、特異なテーマを進めているといった印象はなく、アメリカ、日本、中国、欧州各国、それぞれが重要と掲げているテーマ群がおよそ入っており、あまり特徴はない印象です。なお、一番下に「人工知能プラス」と書いておりますが、人工知能については、アメリカに追いつけ追い越せで、重要視されているようです。
次、お願いいたします。
ここからは、日本で重要と考えられるテーマについて、4点ほど整理し延べさせていただきます。
次、お願いいたします。
1点目は、生命科学から基礎医学的なフェーズにおける重要な研究開発テーマです。上半分を御覧下さい。免疫システム、発生システム、神経システムと、いずれも巨大な学問分野でございまして、科研費でもたくさん進められておりますし、CRESTでも進められております。さらにAMEDなどでは出口に向けた活動があり、右端に赤と緑で書いておりますように、様々な出口がございます。これら免疫・発生・神経といった巨大な学問分野を基礎~応用までそれぞれ進めていくことは非常に重要で、基礎研究の軸にすべきところです。ただ、トップダウン型の基礎研究という視点で考えますと、免疫・発生・神経という巨大な学問分野を横断的に融合した研究を進めることで、新たな横断的な学問分野として多くの発見がなされるだけでなく、結果的に、免疫システム、発生システム、神経システムのそれぞれにおいて新たな視点がもたらされてそれぞれの学問分野も発展するものと思います。
次のスライド、お願いいたします。
左側のグラフの黒色の線がライフサイエンス全体で、世界の論文数における日本の論文数の割合です。1990年代は日本の論文数の割合は9%ぐらいでしたが、現在は4%ぐらいにまで落ち込んでおります。ただ、これを分野別にもう少し細かく見ていくと、日本全体としては落ち込んでおりますが、一方で、発生、免疫、神経は結構頑張っている学問分野である点は要注目だと思います。
次のスライド、お願いいたします。
もちろん、生命科学と基礎医学が、免疫と神経の発生の3つの学問分野だけで語れるなどと申し上げるつもりは全くございません。さまざまな学問分野があるなかで、どれが大事で、どれが大事ではないと明確に選別することはそもそも非常に難しいところではございますが、今回は、生命システム連関、生命システムの包括的な理解という観点から、免疫システム、神経システム、発生システムに注目して、申し上げさせていただきました。
次のスライド、お願いいたします。
Human Biologyという観点が非常に重要だと考えております。表1、表2を御覧下さい。論文数の順位を見ますと、モデル動物を使った研究について、1990年代は日本は2位でした。2021年~2025年も、モデル動物を使った研究では日本はおよそ3位に位置しており、日本はかなり健闘していると思います。一方、ヒトのサンプルを使った研究、あるいは臨床研究などの論文数を見ると、1990年代は3位ぐらいだったのが、2021年頃には6位、7位など大きく低下しております。日本は、モデル動物研究では今も大きな存在感を示していますが、ヒトを扱った研究では存在感が大きく低下しているのが問題です。モデル動物研究は基礎研究の根幹にあり非常に大事なもの、これからもしっかりと進めるべきですが、それだけでなくて、ヒトを扱った研究もしっかりと進めることで結果的に医療イノベーションにつながると思います。スライド最下段に、重要テーマとして四つ挙げております。大学病院の研究環境をさらに強化する、コホートやバイオバンクなどでより多くの研究者がヒトのサンプルやデータにアクセスしやすくする、などをはじめとした取り組みが大事だと思います。これらの中には、既に文部科学省で様々な支援がなされているものもありますが、もっと強く支援しても良いのでは、とも感じております。
次、お願いいたします。
「合成生物学テクノロジー×AI」についてです。さらに次のスライドをお願いします。Design、Build、Test、Learnというサイクルを回していこう、という話は特に合成生物学では以前から言われておりますが、このスライドで申し上げたい点は、最近、Designが非常に高度化してきていることです。高度化の理由は、たとえば全ゲノム、抗体、タンパク、などの情報を生成AIから次々と生産するようになったところにあります。
しかし、よくよく見ておりますと、生成AIがゲノム配列を次々と生産してきても、実際にゲノム配列を合成して、それを生物学的に評価できるのかというと難しく、ボトルネックになっている印象がございます。5kbぐらいの小さなファージですと、合成費用はかかるものの現実的には合成可能ですが、これが真核細胞やヒト細胞となるとゲノムのサイズが非常に大きく、合成すること自体が国家プロジェクト級のハードルの高いものとなります。そうなってくると、生成AIで次々と設計図が出てくるのはすばらしいものの、そこから先の、Buildして、Testして、Learnしていくところが、深刻なボトルネックになるのかなと感じております。
スライドを1枚お戻し下さい。そういう観点で、スライドの中段付近に「「合成生物学テクノロジー×AI」~レッド&ホワイトバイオの次世代技術基盤へ~」としておりますが、こちらの研究課題①、研究課題②にあるような、実際にモノを合成し分子や細胞を作る技術を洗練させていくことが、結果的に日本が世界で存在感を発揮する急がば回れな戦略だと思います。もちろん、AIはやらなくていいと申し上げるつもりは全くなくて、AIとの融合もとても大事なのですけれども、ウエットな合成生物学テクノロジーは、日本の強みという観点でとても重要だと感じております。
次のスライド、お願いいたします。
下半分が天然物で、上半分は人工物と書いておりますけど、これまでのレッドバイオやホワイトバイオでは、主に天然物、あるいは天然物を少しいじったものをベースとして様々な製品が生み出されてきたのかなと思っておりますし、その方向性はこれからも非常に大事で、産業の中心はこれからもここにあるのだろうと思っております。ただ、それだけでなく、上半分の人工物と書いておりますが、例えば生成AIがさまざまなアイデアを出して、それを参考にしてモノを作っていく。そうすることで、恐らく、天然物にはない、何か新しい機能、新しい性能の分子や細胞が生み出されてくるのかなと思います。そういったところに、レッドバイオ・ホワイトバイオともにこれからの大きなポテンシャルがあり、注目すべきところだろうと思っております。
次のスライド、お願いいたします。
国内外の主なスタートアップを整理させていただきました。これで申し上げたいのは、日本のスタートアップもたくさんある点です。AIそのものですとアメリカの大手ITテックなどが世界を先導しておりますが、無細胞合成やゲノム合成やゲノム編集など、ウエットな合成生物学テクノロジーですと、日本もまだまだ見るべきところはたくさんあるのかなと感じております。
次のスライド、お願いいたします。
最後は創薬モダリティについてです。様々な創薬モダリティが登場し、いずれもとても重要ではありますが、本日は、そのなかでも重要と思われる三つを挙げさせていただきました。①の低分子医薬は、これから改めて重要になるのかなと思っておりますし、AI創薬アプローチで大きく進むものと思います。②の核酸医薬は、日本が技術的に強いモダリティなので重要と思います。③の微生物製剤は、これから大きく伸びる思われる次世代モダリティです。アメリカではブロックバスターが次々と出そうな雰囲気もあり、非常に重要と思っております。これらはかなり出口のキーワードを並べておりますが、スライドに青字で書いておりますとおり、それらの基盤、源泉となる基礎研究としてやることはたくさんあり重要です。
次のスライド、お願いいたします。
最後はまとめでございまして、アメリカと中国の存在感は非常に大きいのですが、そういう中で日本が何をしていくのか、さらにコスパよく何を進めるのが大事かという観点で①から④を述べさせていただきました。
以上です。
【岩井主査】 どうもありがとうございます。
今の説明を踏まえて、皆さん、質問、意見があれば、ぜひしていただければと思います。いかがでございましょう。
どうぞ。
【大津委員】 全体の動向、ありがとうございました。
今聞いていて、1点目は、中国拠点から米国に開発拠点というふうなお話をされましたが、実際上、AstraZenecaとか、あの辺の大手、グローバルでいくと、今、中国のシーズをかなり買いあさっているというのが現実で、非常に魅力的な、特にドラッグデザインのところは優れた部分があって、どうしても、それを買い取って欧米中心に開発していく、その後日本もそこに入っていくというパターンがあるので、日本もドラックデザインのところをぜひ強化していただきたい。国内企業も結構、優れた技術を持っておられる企業さんも増えているので、ぜひそういった視点で考えていただきたいと思います。それから、AI創薬に関しては、低分子もありますけれども、それだけではなくて、タンパク構造であるとか、抗体系、中分子というところも十分対象になるのかなというふうに感じておりますので、その辺も組入れていただければと思います。がんの分野なので、全体とは違うかもしれませんが、がんの分野の治療開発の全体像でいくと、低分子はどんどん減っていって、抗体、バイオ、中分子という、最近の治験で言うと、新しい薬の開発が入ってくるのはそっちにかなりシフトしてきていますので、そうすると、バイオロジー自体も、今までのようにバルクでゲノム解析とか、そういう話では標的が見つからず、結局、がんと周囲の微小環境等の免役応答であるとか、そういうところを標的にするような薬剤開発とか、ADC(Antibody-drug conjugate)等に主体が動いています。さっき、ヒトの検体のところの論文順位が日本は下がっているって言いましたけど、バイオロジー自体が、動物モデルで見るというよりも、ヒトの検体でもかなり、空間トランスクリプトームをはじめ、すごく詳細なところまで見られるようになっているので、より一層、臨床検体を使った解析というのが創薬標的の探索と創薬デザインを最適化する上ではとっても必要になるのかなというふうに思っておりますので、その辺、強化していただけると大変ありがたく思います。
【岩井主査】 どうぞ。
【辻フェロー】 一つだけ補足させていただくと、おっしゃるとおり、バイオ医薬、とくに抗体医薬は非常に大事だと思っていますし、AI創薬の観点ですと、これまでは化合物ライブラリから有用な化合物を探し出して評価してというプロセスをAIでやることが期待されておりましたが、今はやりの生成AIを使ったAI創薬では、むしろタンパク医薬、抗体医薬をAIが設計するところが一気に進んでおり、非常に大事かなと思っております。すみません。重要じゃないと言うつもりは全くなくて、あれもこれも挙げると、全部挙げることになって散らかってしまいそうに思いましたので。
【大津委員】 おっしゃる通りで、そういうところも広がってきていますので。
【辻フェロー】 ただ、少し気になっておりますのは、タンパク、抗体とかを生成AIで作るというのは若干、はやり感が強い印象もあって、実際のところ、どこまで本当にいい抗体が取れるのかというところは、もう少し様子を見る必要はあると思います。現在、アメリカの巨大な資金力でもって様々なスタートアップがそれらのチャレンジを進めておりますので、それらの動向は要チェックだと思います。
【大津委員】 今、量子コンピューター等を使った創薬、そこの部分の最適化という取組がいろいろ始まっているところで、先生がおっしゃるように、それが本当にいいかどうかというのは時期尚早という意見も多いですので、もう少し見る必要はあるかと思いますけど。
【岩井主査】 ありがとうございます。
【大津委員】 ありがとうございます。
【岩井主査】 じゃ、倉永さん、行きましょうか。
【倉永委員】 こんにちは。倉永です。説明ありがとうございました。私は、基礎研究者の立場から意見を述べさせていただきます。
本資料、特に生命システム連関の部分は、基礎研究・ボトムアップ研究の重要性を説明いただいたところだと思います。免疫、発生、神経などを融合し、生命システムを多層的に理解する研究を、出口研究も意識しながら推進していくという、方向については、必要性の高いものとして賛同いたします。一方で、その推進の在り方については、いくつか懸念があります。先ほど紹介いただきましたように、日本発の論文数は各分野においても必ずしも減っていない一方、全体の論文数シェアは低下しているというご説明がありました。この点については、爆発的に増えている中国の論文などに押されていて論文数シェアが下がっている面が大きいのではないかと理解しております。研究者個々の努力や能力の問題というよりも、ボトムアップ研究を下支えする構造そのものに課題にあるのではないのではないかというふうに考えています。融合研究自体は非常に重要ですが、資料中では、ボトムアップ基礎研究からトップダウン基礎研究、さらにトップダウン応用~臨床研究と、矢印で一方向に進んでいくように示されています。しかし実際には、研究は一方向ではなく、常にサイクルとして回ることが重要であり、ボトムアップ基礎研究があってこそ、その後のトップダウン研究が新しく展開していくものだと思います。この点が、図の表現では重要なポイントがなかなか理解されにくいというか、読みにくい部分があるかなという印象をうけました。また、短期的成果とか分野横断性を過度に求める制度設計の中では、リスクを取ってボトムアップ研究を十分に推進していけないという構造が生じがちです。こうした点が、結果として論文シェアの低下につながっているのではないかと感じています。この後に示されたBとかCとかについては、具体的な政策が提示されていましたが、このAに相当する部分、すなわち融合研究と、それらを下支えする基礎研究の支援がどのように推進されていくのかという部分が、少し曖昧な印象を受けました。ボトムアップ研究をどのように支援していくのか、また、融合研究をどのように発展させていくのかについて、もう少し具体的な説明をしていただけたらというふうに思います。
以上です。
【岩井主査】 ありがとうございます。
【倉田ライフサイエンス課長】 これは文科省から。CRDSのほうには、論文数なども含め、注目すべき動向などを御紹介いただいたということでございますので、今日、私どももまさにこういうそれぞれの分野ごとで進んでいる研究をどう転換していくことが方向性としてあるのかということでお話を伺ったということでありますので、今後、こういった動きにも留意したいと思っておりますし、また、基礎研究のところは、御指摘のとおりでありまして、そういう分野融合とか短期的なところを強調し過ぎるあまり、そこの本当の基礎のところがおろそかにならないように、今回、科研費の拡充なども文科省全体としてはしておりますが、そういったところも留意しながら、今日いただいたお話を含めて、今後の政策も考えていきたいと思います。ありがとうございます。
【岩井主査】 ありがとうございます。どちらかというと次の議題になるかもしれないというふうに思いますので、よろしくお願いします。
【倉永委員】 そうですか。ありがとうございます。よろしくお願いします。
【岩井主査】 ありがとうございます。
ほか、いかがですか。
じゃ、ショートでお願いします。
【木下委員】 俯瞰的な御説明、どうもありがとうございます。2点あります。
1点目は、生成AIということで新しいテクノロジーが出てきて、この先どうやっていくんだということで、これを使っていくというときに、日本としてどこに注力するかというのは、もう遅いかもしれないんですけども、そろそろ考えないといけない時期だと思うんですね。というのは、全てのところを頑張ることは多分無理なんですよ。だから、これが所与の技術として存在している中で、どこを頑張ればいいんだというので、一つ、今日、御提案いただいたかなというか、まとめていただいたのは、合成生成物学との掛け算をしましょうという、これはとてもいい方向だと思うというのが、まず一つ。
それと、今日述べられていなかった中で、あってもいいのかなと思ったのは、データを生産してモデルをつくるところには頑張らずに、データ生産で頑張るというのも多分あってもいいと思うんですね。だから、独自のデータを生産し、もちろんオープン・クローズをバランスよくということになるんですけども、データの国家戦略みたいなことはそろそろあってもよくて、それをきちんと特定のAIに食わせて、それをクローズドなコミュニティで使うということで、あんまりクローズドと言うとよくないんですが、バランス持ってやっていくのが必要なのかなというふうに思いましたし、その先として、もう一つ、物を作らなくても、実は情報だけでも結構、健康に関わるような行動変容みたいなことで、情報薬みたいな、情報そのものが薬になるという概念もありますので、そういう方向にも使うという観点がもうちょっとあってもいいのかなと思います、所与の技術として。その中でどこを日本は頑張るんだという議論をやっていく必要が多分あると思っていて、もちろん、何かモデルを作る。基盤モデルを作るというのは、ロマンではあると思うんですけども、今から日本がそこに注力することが戦略的に本当にいいのかというのは考える必要があるんじゃないかなと、今日改めて思いましたというのが1点目。
それと、もう1点はすごくシンプルで、論文数という指標はそろそろやめたらいいんじゃないかなと思っているんですね。というのは、人口が増えれば、論文は増えるんですよ。日本は人口がどんどん減っているのに何でここで闘うんだろうというので、もうちょっと独自の、きちんとした指標づくりというのを、何かアイデアがあるわけではないですけども、御検討いただくといいんじゃないかと、改めて思いました。
以上です。
【辻フェロー】 ありがとうございます。
【岩井主査】 論文数のほうはどうですか。
【辻フェロー】 仰る通り、論文数だけでは分からないことはたくさんあります。
【木下委員】 人口当たりとか。
【辻フェロー】 かといって、特許だと良い指標だとも言えず、何を指標とすれば正確に表現できるか、非常に悩ましいなと思っています。
【岩井主査】 ありがとうございます。
前半の部分は、次の議題にもつながるのかもしれないというふうに思いますね。
朔先生、どうですか。
【朔委員】 発言の機会いただきまして、ありがとうございます。国立循環器病研究センターの朔でございます。
今のお話を聞いておりまして、他国では、基礎力向上と実用化戦略の中で、研究者の役割分担や事業化における利益の確保はどのように工夫されているのかというのを聞きたいです。と申しますのも、現在、基礎研究者の中途半端な実用化に向けた支援・実用化人材化に向けた支援というところが結構問題だなと思っております。私は、POとして医療機器開発事業の支援をやっていく過程で、実用化支援をしております。たしか採択率が低いという問題が先ほど提起されていましたが、正直言わせていただけると、研究者本人が実用化に向けたエフォートを割く気がない、もしくは割くことを理解できていないために、採択課題であっても、本音は採択しないほうが良いと思う課題が多いことは事実です。現状は、実用化とはこういうものなんですよというのを1年間教え続け、意識が芽生える程度をゴールにするしかない状況を続けています。恐らく、ブロックバスターを生み出す過程では担当するプレーヤーは段階的に変化するのではないかと思っておりまして、それぞれのフェーズにおける主要プレーヤーをお互いに評価し合う文化がない限り、基礎研究者に中途半端な実用化への動きをさせてしまうことになります。研究者から見ると、研究費が大きく取れるから実用化を装って応募してくる状況があるのですが、本来の興味でも仕事でもない実用化を彼らにさせることが、結果として、基礎力向上にむけたエフォートを落としているという問題が今起きているのではないかと思っております。
生意気で、すみません。
【岩井主査】 いやいや、ありがとうございます。実に根本的な問題を指摘していただいたというふうに思っております。ありがとうございます。
鹿野先生、お願いします。
【鹿野委員】 ありがとうございます。鹿野でございます。大変興味深い御説明、ありがとうございました。
今までも御意見出ているんですが、私が考えたのは、どの分野に注力して、どこの分野はどこまでやるんだというのを考えておかないといけないんだろうなと思います。先ほど出ましたように、研究者の数はどんどん減ってきますので。その中で、特にヒューマンバイオロジーのところを見て思ったんですけども、例えば、システムバイオロジーですね。アメリカなんかでは、臨床データのデータベースを基に病態を数値モデル化していくのを大分前からやっていて、そのモデルの変数を動かして、どこの反応を変えたらどういう薬効があるかみたいなのを予測するなども、随分前からやっているわけですね。日本の場合は臨床データをデータベース化するところから相当遅れていて、今からできるかという問題はありますが、全くやらないのも問題で、基本的なところは日本の中でもある程度できるべきだと思います。この分野についてはここまではやろうとか、この技術については日本が得意な分野なのでここまでやっていこうとか、そういう全体的な科学政策のデザインみたいなものをもっと大きい視野でやっておかないといけないんじゃないかなというのを感じました。
それから、先ほど朔先生からも御意見ありましたが、基礎研究者への実用化の視点について、私はAMEDの関連事業にも関わっているんですけど、例えば、基礎研究から実用化に向けて技術をトランスファーしていくときに、基本的な実験記録の重要な部分が欠けていてトランスファーできないみたいなケースをよく耳にします。実用化に向けた基礎研究者の教育は必要と大分前から言われながら、具体的に何をどうするというところまではなかなか行っていないのが続いているように思います。
3点目は、中国について、私の個人的な感触で恐縮なんですが、30年ぐらい前のアメリカではNIHやいろいろな大学に中国の人がたくさんいましたが、当時は、国に帰ってもポストが少ないからアメリカで職を見つけて契約を更新していかなきゃいけないと、相当頑張っていた。日本人は国内にポストがあるので3年程度で戻る人が多く、しかも、最近の学生は留学したがらないです。必ずしも留学がいいとは限らないんですけど、どうしても視野とかグローバルなコミュニケーションネットワークなどにはマイナスになると感じます。中国は、経済の発展とともに、長く海外で活躍していた人たちが国に帰って国力を伸ばしていく構図があるのではないかなと感じます。次の議題になるのかと思いますが、国際的な視野とか、ライフサイエンスの政策はもちろんなんですけど、その裏にある広い視野での議論というのも併せて進めていく必要があるんじゃないかなと思いました。
以上です。
【岩井主査】 ありがとうございます。大事な問題を指摘いただいた。
じゃ、上村先生、ショートでお願いします。
【上村委員】 すみません。ショートで頑張ります。
分析、ありがとうございました。低分子が非常に重要だということで、私としては、1990年の初頭からコンピューターによるドラッグデザインを製薬会社でやってきた者としては、今、アカデミアソースというか、アカデミアの方がやれるような時代になってきたと思っています。製薬会社でないと買えなかった市販のソフトウエアとかも、今、オープンソースでどんどん出てきておりますし、それから、Chem-TSとかに代表されるような、いわゆる生成AIを使った、特許を取って、合成しやすいとか、そういう化合物がデザインできるようになってきて、やっとアカデミアのin silicoの先生たちがやれる時代になったと。あと、デジタル有機合成とかもできておりまして、そこを流せば、今までメドケムの先生が興味を持たないと作っていただけなかったものが、自動合成機でつくれるようになってきた。そのときに、バリデーションがないと全然駄目なんです。製薬会社ですとその辺はすぐ評価系を用意できるんですけど、興味を持っていただける先生で、バリデーションができないと。そうなると、結局、本末転倒でございまして、デザインはできるんだけど、バリデーションができないというところもあって、そこのドライとのウエットの連携というものを国として考えていくことが、結局、アカデミアのいわゆる先生たちのソーシングをちゃんとバリアブルなものにするということになると思いますので、その辺りは辻先生もおっしゃっていたような形のサイクルをちゃんと国としても考える必要があるのではないかというふうに考えております。以上です。
【岩井主査】 ありがとうございます。そこも大事なポイントだと思います。ありがとうございます。
皆さん、どうもありがとうございました。
辻さん、どうもありがとうございました。
【辻フェロー】 ありがとうございました。
【岩井主査】 時間が大分押しちゃいましたけど、次の議題に行かせていただきたいと思います。
次の議題は、ライフサイエンス分野における基盤研究の国際競争力強化に向けた今後の論点ということで、まず、事務局のほうから説明をお願いします。
【倉田ライフサイエンス課長】 それでは、資料5に基づきまして、御説明させていただきます。
まず、2ページ目でございます。冒頭、動向のところでも御紹介しましたように、今後、国のほうでも成長戦略などの会議でもいろいろな議論が進められていくこととなっておりますし、また、こちらのライフサイエンス委員会の下に設置をさせていただいております作業部会で、令和8年度で事業期間が終了する事業などについても御審議をいただいているところでもございますが、そういったところの御議論なども踏まえつつ、こちらのライフサイエンス委員会のほうで、例えばでございますが、今後の方向性などについて、8月ぐらいをめどにおまとめいただくといったことがもしありましたら、今後、一、二回程度、開催をさせていただきながら、今日も先生方にたくさん論点をいただきましたので、そういったものを整理しながら、議論をまとめていくことができればということで考えております。
なお、参考として、4ページ目に、科学の再興についてということで、第7期に向けて、文科省全体でも、こういった人材の在り方ですとか、研究環境などを議論しておりますので、このライフサイエンス委員会のほうでは、ライフ分野に特化して、加えて留意しておくべきことなども御議論いただければと思っております。
また、8ページ目でございますが、ライフサイエンス委員会で、2年前、令和6年7月にも中間まとめというのを一旦まとめておりますので、ここからの大きな差分としてどういう変化があったか、恐らく、AIの活用が進んだとかいうのが一番の大きな環境の変化かなと思いますが、そういったところを踏まえながら、今後、先生方にもいろいろ御意見いただければと思っております。
1枚目にお戻りいただきまして、これも事務局の勝手な案でございますので、今日いただいた御意見なども踏まえながら、より整理をしていきたいと思っておりますが、まずは、そういった基盤研究に関します、いろいろ日本を取り巻く状況。特に、人材の育成ですとか、処遇などの問題も含めて、あるいは、研究体制や規模感などについて。そして、先ほども御紹介ありましたが、ライフ分野というところで特に今後強化していかなきゃいけない取組や課題、あるいは、AI時代を踏まえてといったところでの、セキュリティーなどの問題も含めた課題など。また、基礎研究をしっかりとやりながらも、それをどうつないでいくかといった、ここの橋渡しも、以前からもいろいろな課題を指摘いただいて、いろんな政策も打ってきていますが、何が本当にボトルネックなのかといったところ等々についても御意見などをいただければということで、1例として挙げさせていただいておりますが、今日は、今後議論していくべき論点などを御示唆いただきまして、今後のライフサイエンス委員会でも、例えば関係の先生方からプレゼンいただくなど、そういった進め方をさせていただければと、事務局としては思っております。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
【岩井主査】 どうもありがとうございます。
基本的には基礎研究があって、そのシーズがあって、それをどう生かしていくかということをやっていかないと、日本から何も出なくなって枯渇すると、追いつこうと思っても、何もなくなってしまうという問題が生まれるので、どういうふうにして基盤技術を、確実に基礎研究を伸ばしていくのか。かといって、先ほどお話がありましたように、基盤技術をどうやってシーズ化して社会実装するのかという、二つの問題があるんだと思いますけれども、基礎研究の先生方、社会実装されている先生方がおられると思いますが、それぞれの視点で、今日は取りあえず、許される時間で思ったことを言っていただきたいというふうに思っていて、それを生かして考えていきたいと思いますので、自由に言っていただければと思います。ぜひ、いろんな御意見をいただければと思います。よろしくお願い申し上げます。
いかがでございましょう。
【大津委員】 じゃあ、1点、よろしいでしょうか。
ぜひ加えてほしいのは、先ほど言いましたように、創薬、再生も含めて、ドラッグデザインというのが非常に高度化してきていて、それによってバイオロジーも見る部分が変わってきちゃうんですね。
あと、もう1点、一番大きなのは、ライフサイエンスだとどうしても医学部の研究者が中心になっているので、今のドラッグデザインを作っていくことを考えると、工学部とか、特に工学系の技術が非常に重要になることが増えてきているので、ぜひ、そういう方が組み込めるような研究の展開を、研究費、グラントとして出していただけるといいのかな。そこの基盤技術、工学系とか、さっきの量子もそうですけど、基礎のところは東大辺りのほうが世界を物すごくリードしているんですが、実用化しているのは米国の企業と日本の企業とでは規模が100分の1以下みたいな感じになっちゃっているので、今、AMED等で実用化の基盤というのがかなりできつつあると思うので、そういう技術を早く実用化のところに取り込んでいけるように、対象範囲ということをお考えいただけるといいかなと。
よろしくお願いいたします。
【岩井主査】 どうぞ。
【木下委員】 何か、言いたい放題言っているみたいなので、申し訳ないと思って。
きれいに論点を整理していただいたかなと思うんですけど、2点あります。1点目は、先ほど申し上げたので、本当に手短に。本当に、論文数とか引用数はそろそろやめていただきたいなというのが1点。
もう1点は、研究環境というふうに書いていただいているので、ここに思いは込めていただいているかなと思うんですけども、今、研究設備にしても、いろんなリソースにしても、物すごく費用が高くなっているんですね。それを、1ラボは絶望的ですし、1大学で持つのも、かなりアップアップだと思うんですよ。国として、この辺り、バイオリソースとか、バイオバンクとか、データベースまで含めてだと思いますけど、きちんとインフラとして位置づけて、その整備というのをやっていただきたいなというのを強く思っています。そのときに、インフラというのは、5年の計画で、5年後はなくなるかもというインフラだとちょっとつらいんですね。特に、インフラって、中で働いている人は、基本、ボランタリーでもないですけども、結構、自分の研究じゃないことに資するために、サンプルを出して、データを出してということをやらざるを得ない局面もあるので、そういう人たちのキャリアパスを考えたときに、せめて安定的に働ける環境ぐらいはあってもいいんじゃないかなと思いますし、そもそもインフラというのは、安定してないというのはインフラじゃなかろうというふうに思います。中長期で重要だと思うのは、日本は今、こういうふうに人口が減りつつも何とか踏みとどまっているのって、高度成長期のときにすごく立派なインフラを造って、道路にしても、電車にしても、本当に世界に誇るべきものがあるからこそ、やられていると思うんですね。だから、こういうのをライフサイエンスの分野でもきちんとインフラとして造ることが、今後、20年、30年先を見据えたときに非常に重要なのかなと思っております。
以上です。
【岩井主査】 ありがとうございます。
どうぞ、どうぞ。どんどん言ってください。
【桜井委員】 アカデミアの先生に私が期待したいのは、やっぱり研究なんですよ。R&Dとか、研究にすごく専念していただきたくて、教授の先生方はぜひ、スタートアップに来ないで、研究に専念していただきたいです。中には私のように、研究をやっていたけども、諦めてインダストリーのほうに来ているという、研究では食べていけないけど、自分はビジネスに向いているなっていう感覚があってこっちに来た人間も、アカデミアの中には、多分、一定数いるんですね。その方たちにアカデミアとビジネスをつなぐ役割をしてほしいって、すごく思っています。そのためには、アントレプレナー教育ですね。こういう世界があるんだよと。自分たちのシーズをというか、研究の実装化をするとこんなに役に立つんだよという、もう少し手前での教育というのがすごく必要かなというふうに、実は思っています。なので、教授の先生方には研究に専念していただいて、株も、90%持ちたいと言わず、せめて10%ぐらいにしていただいて、ぜひそういった意識を、こういう世界はこうだよということの教育をしていただきたいなというふうに思っています。
【岩井主査】 どうもありがとうございます。何か、個人的にはうれしいんですけど。
坂内先生、よろしくお願いします。
【坂内委員】 お先に失礼します。今、桜井先生がおっしゃったことと関連していて、私は基礎の分野なんですけど、自分が今からアントレプレナーシップを持てという力をつけるのはとても無駄ではあるのですが、今いる若い学生たちはその精神を持っている可能性のある、本学早稲田大学でそのような精神はとても豊富でございますので、希望を感じています。
その上で、障害となっていることを申し上げますと、先ほど医療機器のときにも申し上げましたけれども、大学の現場で自分たちがどういう研究をしたから、将来、どんな実用化につながるかというケースが、ロールモデルがとても見えづらいということがあります。インターンに行けばいいじゃないかと言うけど、インターンというのも機会が限られていたりするということもありまして、ちょっとお願いしたいというか、言いたい放題ということですので、こちらの委員にも先生はいっぱいいらっしゃいますが、創薬現場との行き来をもっとよくできるようにしたほうがいいんじゃないか。特に若い方、学生やキャリアが始まったばかりの研究者の人に行ったり来たりしてもらって、現実はこうであるということと、今の研究の現場はこうであるという、そのギャップ、違いをまず見る、違いを近づけるにはどうしたらいいかというのを考えるアイデアが欲しい。実際、スウェーデンなどでは、企業に行く、企業の人が大学に来るというようなことにファンディングエージェンシーがお金を出している例もございますので、ぜひ御検討いただければと存じます。
ありがとうございます。
【岩井主査】 次、有田先生、行きましょうか。1個1個はコメントしませんので、どんどん言っていただいて構いません。
【有田委員】 遺伝研の有田です。今の坂内先生とほぼ同じなんですけれども、大学における教育というのを変えていただきたいんです。大学の教育って、今までの伝統に倣ってというところが多くて、今のAI時代にもそぐわないところは多いですし、コンピューターの学科ですら、例えば、言語、文法から教えるみたいなことをやっているんですよ。ただし、今のAIだと、言葉でプログラムを書いてくれるとか、むしろ若手のほうがAIを使いこなしてきている、逆転現象みたいなことが起きつつあるんです。ですので、ぜひ若手がやりたいことをやれるような環境を整備する。木下先生もおっしゃっていましたけど、インフラを整備するというところが非常に重要で、そのインフラと教育がリンクしないといけないんです。ですので、大学教育だから課が違うかもしれないんですけれども、ぜひ連携していただいて、大学のカリキュラムの改編、今に合ったカリキュラムの改編とインフラをつなぐというところやっていただきたいです。
以上です。
【岩井主査】 ありがとうございます。大学関係者としては、心に刺さります。
じゃ、倉永先生、よろしくお願いします。
【倉永委員】 先ほどもお話ししたことを補足する形で、二点申し上げます。
まず一点目は、基礎研究に対する長期的・安定的なボトムアップ支援の重要性です。短期成果を求めるのではなく、10年単位とまでは言わないにしても、長期的な視点で研究を育てていく仕組みが不可欠だと感じています。競争的資金に加え、非競争的資金や、大学の基盤的支援なども含めた研究資金全体の拡充をぜひお願いしたいと思います。また、トップダウンで研究テーマが集約されていくような支援のあり方については、できるだけ偏らないように配慮いただき、多様なボトムアップ研究が継続的に支援される仕組みを整えていただきたいというところがあります。
それから、もう一つは、やっぱりポジションだと思います。結構、いろんなところの研究報告会、研究会などに出ていくと、若手の研究資金は潤沢に支援されているんだけれども、ポストはないので、結局、研究者を諦めざるを得ないというケースをよく耳にします。ここで議論することではないかもしれないんですけれども、現場の声として申し上げるならば、博士人材のポストの多様化が重要だと考えています。研究支援人材、テクニシャンですとか、データサイエンティスト、あと、産学官連携を担う人材など、活躍できる若手はすごく多いと思います。こうした人材を受け入れる仕組みについても、ぜひ検討をお願いしたいと思います。
以上です。
【岩井主査】 どうもありがとうございます。同じ大学なので、また大学で話をしましょう。
杉本さん、よろしくお願いします。
【杉本委員】 先ほどから出ているインフラの件なんですけども、インフラと言ったときに、コアファシリティーの物が入るだけでは駄目で、しっかりとコアファシリティーを維持して、あるいは、コンサルティングできるレベルの高度支援人材というのが絶対に必須だということも併せてプランニングしていくことが必要だと思います。コアファシリティーは本当に価格が高騰化していて、1回、何億かかけて入れても、10年たつとまたリニューアルしなきゃいけないので、本当に長期的に計画的に全ての機器を置き換えていって最先端の機器にどの研究者もアクセスできるというエコシステムをつくることが非常に大事ですし、入れただけではなくて、今、若手教員が機械のお世話をしているような状況では、研究時間が奪われ
ているという状況なので、URAというのはかなり定着してきましたけれども、リサーチエンジニアなどの高度な支援人材というポジションをしっかりつくって育てていくということが必要だと思います。
以上です。
【岩井主査】 ありがとうございます。そういう観点で解析手法の共用というところに少し書き込ませていただいたんですけれども、仰せのとおりだと思います。
ほか、いかがですか。せっかくなので、言いたいことは言っておいていただいたほうが。
どうぞ。
【畠主査代理】 AIに関してですが、ライフサイエンスの専門家から見たAIということのみでなく、AIの専門から見たライフサイエンスということも重要ではないかと思います。私も、以前、全くバイオテクノロジー、ライフサイエンスを知らないAIがご専門の方と話したんですけども、たくさんのテーマ設定ができる内容をいただけました。日本人はどうしても、そういう他分野間コミュニケーションが苦手なところがありますので、今回、基盤をつくる意味でも、意識して双方向のコミュニケーションの必要性を提案します。文部科学省もおそらくそういう専門家の方々へのチャネルがあると思いますので、そういった方々にうまくライフサイエンスの話をして、率直にAIの出番は何かなど、双方向のコミュニケーションスタイルが必要であると思いました。
以上です。
【岩井主査】 仰せのとおりで、私たちがずっと考えているのは、ウエットをデータ化するって、すごく難しいんですね。それはどこもできてないので、それをいかに日本でやり出すかということができれば優位性がつくれるのかなと思ったり、考えたりしているんですけど、そういう意味で、かなりいい電子ノートをつくって共用化していくことができればそういうことができないかなと思ったりして、1度、文科省には話したことあるんですけど、そういう感じです。
ほか、いかがですか。
どうぞ。
【滝田委員】 滝田です。今のお話に関連してなんですけれども、論点項目の中にAI時代におけるライフサイエンス研究の在り方というのがございます。おっしゃられたように、ほかの分野の視点というのもやはり必要だと思っておりまして、今年度の補正でも、冒頭、御説明あったように、ライフサイエンスだけじゃなくて、マテリアルとかも含めての予算になったということですので、情報委員会のおとといのまとめなども拝見しますと、そういうのを全部、基盤ですとか、科学研究、基礎研究、また、昨年12月のAI基本計画などにも産業界との連携というのも文科省のほうの枠組みに入っておりますので、幅広に、今回、これからの中間まとめのところでもいろんな意見を入れていければいいかなと思っております。
【岩井主査】 ありがとうございます。
私、データ化のところで高分子化学の方とウエットをどうやってデータ化していくかというのをやっておられて、そういう話したんですが、なかなかいいアイデアが出なかったんですけど、ライフサイエンスとしてどういうふうにデータ化するかって、やっていくことはすごく重要かなというふうに思います。
朔先生、お願いできますか。
【朔委員】 朔でございます。人材のところ、教育のところで様々な意見が出ていたのですけども、医学生って最も効率が高い教育対象じゃないかと思います。それは、医師という職業は患者に接するし、薬なり、医療機器なりのかつてはシーズであった医療技術を用いることが仕事だからです。将来、医師にほぼ確実になる医学生の教育こそが、すべてにつながると思います。ただ、医学部においてもガチガチの基礎研究じゃないと研究として認めないという風潮があります。これは上の世代から変えなきゃいけないことなのですが、医学部教育において、実用化研究の工程やその重要性が認識できるような教育を行うことで、価値観がいい意味で多様化し、本当の基礎をやりたい先生方と医療技術の実用化をやりたい先生たちのすみ分けや互いに尊重する気持ちも芽生えて、効率のよい教育につながるのではないかと思います。少し暴論を言わせていただきました。ありがとうございます。
【岩井主査】 ありがとうございます。刺さるところもあります。
有田先生、どうぞ。
【有田委員】 両方できる人を増やして、医学部生も含め、生命科学の人も、情報科学、コンピューター科学に通じる入り口をつくることが重要なんですけれども、僕は、この点でアメリカとかヨーロッパをお手本にするだけでは足りない部分があると思っています。日本って、ヒトゲノムの利用について国別のサーベイとかなされているんですけれども、欧米とかインドとかと比べても、ヒトゲノムの再利用に関しては国民性が違うというデータが出ているんですね。だから、日本の社会情勢であるとか、国民性に沿った使い方、合成生物学も同じことが言えるんですけど、そこは注意していただきたいです。何でもかんでも合成して、金になるならいいというのはアメリカンな考え方なんですけど、そこと日本とは社会の受け止め方が全然違うので、ぜひ、倫理とか文系の方にも参画していただいて、日本に合ったスタイルというのを打ち出すことが重要です。
以上です。
【岩井主査】 どうもありがとうございます。
大体時間になっちゃったんですけど、まだ言い足りないとかいう方がおられたら、ぜひ言っていただければと思いますが、よろしいですか。
じゃあ、どうもありがとうございます。この議題を終わらせていただいて、次、その他ですけど、私どもで準備したことは、たしかなかったですよね。
【倉田ライフサイエンス課長】 はい。
【岩井主査】 先生方のほうから、何かございますでしょうか。
よろしゅうございますか。
では、今日はいろんな意見いただきましたので、4番と5番の議題のところでいろいろいただきましたので、それを踏まえてライフサイエンス委員会で頑張って話をさせていただきたいと思いますので、これからも、何かございましたら、思いついたというのがあれば、御意見をいただければと思いますので、よろしくお願いします。
【倉田ライフサイエンス課長】 今日も時間が限られておりましたので、何かございましたら、ぜひ、事務局まで御連絡いただければと思います。
今日は、ありがとうございます。
【岩井主査】 よろしゅうございますか。
じゃあ、事務局のほうからお願いします。
【川井ライフサイエンス課係長】 本日は、活発な御議論、ありがとうございました。
議事録につきましては、事務局の案を作成した後に委員の皆様にお諮りいたしまして、最後に主査の御確認をいただいた後、文科省のホームページで掲載をさせていただきます。
また、次回のライフサイエンス委員会の日程につきましては、また改めて御連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【岩井主査】 今日は、どうもありがとうございました。不手際が多々ございましたけど、先生方のおかげで、ほぼ時間に終わることができました。どうもありがとうございます。
今回は、これで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
研究振興局ライフサイエンス課