原子力分野の研究開発に関する委員会 原子力基盤強化作業部会(第5回) 議事録

1.日時

平成21年7月13日(月曜日)10時~11時

2.場所

文部科学省 研究開発局会議室1

3.出席者

委員

田中主査、市村委員、井上委員、小川委員、小澤委員、高橋委員、丹沢委員、服部委員、村上委員

文部科学省

櫻井大臣官房審議官(研究開発局担当)、山野原子力計画課長、板倉原子力研究開発課長、中澤原子力計画課課長補佐

4.議事録

【田中主査】

 それでは、定刻になりましたので、第5回原子力基盤強化作業部会を開催したいと思います。

 本日は、お忙しいところをありがとうございます。

 本日の議題や配付資料につきまして、まず事務局からご説明をお願いいたします。

【山野原子力計画課長】

 議事次第にありますように、きょうは、前回議論をしました中間整理(案)につきまして若干直したものについてもう一度議論いただき、まとめていきたいと思っております。

 以上です。

【田中主査】

 ありがとうございました。

 それでは、議題(1)、原子力基盤強化作業部会中間整理(案)についてです。

 まず、事務局から、中間整理(案)について、ご説明をお願いいたします。

【山野原子力計画課長】

 資料1ですが、これにつきましては、前回の各先生方の議論も踏まえて、また、メール等でいろいろコメントをいただいた先生方もございますので、それをもとに修正をしてございます。あわせて、この間に原子力委員会の近藤委員長と田中委員長代理のところにも相談に行きまして、そちらのほうからも若干コメントをいただいて、直したりしているところもございます。

 では、資料に基づいて、前回とほとんど同じところもありますので、端折るところもありますが、説明をさせていただきます。

 まず、「はじめに」ということで経緯を若干書いてますが、基盤強化を図っていくことが重要であるということで、4月に作業部会を設置して、これまで5回の検討を実施してきました。この検討には、多角的な観点から詳細な分析が必要であるが、ある程度課題が出そろってきたので、中間的に整理を行っていくということでございます。それで、早期に実現すべき課題は具体化に移していき、また中長期的な課題は引き続き検討していくということで、基本的な考え方を書いてございます。

 2.で中間整理に当たっての基本的考え方ということで、大もとの考え方は、タイムリーに検討結果を発信して、施策の具体化を促進していくということでございます。そのために、内容的に、理念的・総花的なものよりも、ある程度、全体を網羅してなくても、具体的な施策や検討の方向を明確にしていくということです。また、タイムリーという意味では、例えば早急に対応すべき事項については、8月の概算要求に反映するというようなこと。また、原子力機構の中期目標・中期計画というものが来年4月から新しいものに変わりますので、その議論が今並行して進んでますが、そちらのほうに反映していくということ。中長期的な課題については、原子力政策大綱の見直し議論、また、それ以外に中長期的に実現していくということでございます。それで、作業部会では、具体的に全部詰めて提案をするということでもなくて、他により適当な場があれば、そちらのほうに具体化を促すとか、あと、ほとんどのものは原子力機構に関係する部分ですが、原子力機構にきちんと具体化を促すということでございます。そういう考え方のもとに、人材、インフラ、技術移転・産業化、原子力機構の基盤的機能の強化、その4項目ごとに整理したということでございます。

 そして、この整理の後は、作業部会としては、今後、そういう関係機関による具体化に向けた取り組みをフォローしていくとともに、中期的な課題については引き続き検討を継続していくということでございます。

 その上で、まずベースとなるような基盤強化の基本的考え方といいますか、重要性について、3.で書いているところでございます。現状認識ということでは、まず原子力の今後の展開ということでは、原子力発電というのは、基幹電源でもあるし、今後、温室効果ガス削減の中でより比率を増やしていくという方向にあるとか、あと、核燃料サイクル関係では、プルサーマルとか再処理など関連事業が本格化していくし、高速増殖炉(FBR)についても実証炉に向けた動きが加速していくということです。また、原子力ルネサンスという中で、我が国のプラントメーカーは国際展開を進めようとしているということです。

 そのような中で、国内の関係機関の現状という意味では、大学は、最近の学部の大括り化などに伴って、原子力の専門学科というものが減少してきているというようなこと。また、原子力黎明期からやってきた優秀な人というのがどんどん退職の時期を迎えているというようなこととか、研究炉とかホットラボの老朽化が進んできているということです。また、国、電気事業者、メーカーの三すくみ構造の危険性も指摘されているというような状況があるわけでございます。

 あと、研究開発の状況では、いろいろなリソースの配分がどうしてもプロジェクト型研究に集中する傾向があるというようなこと。また、大きなプロジェクトとしてJ-PARCであるとかITERなども走っているということもあるわけですが、そういうことも重要ですが、全体としての原子力の予算が減少傾向にあるという中で、核燃料とか高レベル廃棄物を用いたようなホットな試験を行うというような、まさに狭い意味の原子力の本流部分が相対的に軽視傾向にあるということで、基礎・基盤的な体制が弱体化しているのではないかということでございます。また、大きなプロジェクトの遂行に際しての産学官連携の不足であるとか、そういうプロジェクトは一定の線形モデルを前提としておって、そのモデルどおりいけば問題はないのですが、周辺部分の基盤が形成されていない危険性であるとか、もう少しいろいろな原子力機構のホット施設の外部利用を進めたらいいのではないかというような指摘がされているというようなバックグラウンドがあるということでございます。

 それをもとに、基盤強化に向けた基本的な考え方ということでは、我が国の原子力の利用は、これまではどちらかというと軽水炉主体、炉主体ということなのですが、今後は多様な核燃料サイクル事業が本格化していくということで、我が国として原子炉から核燃料サイクル全般にわたる広範な原子力技術基盤の維持・強化が必要であるということが、第1点でございます。

 また、第2点としましては、これまでの線形大型プロジェクト偏重から、産学官連携で真の原子力基盤を確立するような、プロジェクトの進め方を改革していくとか、あと、もう少し、そういう大型プロジェクトだけではなくて、横断的な原子力の基礎・基盤を強化していくことが重要であるということです。

 そういう中で、3つ目のポイントとしましては、我が国唯一の総合的な原子力研究開発機関である原子力機構を中心に、産学官が真の意味で連携を図って、オールジャパン体制で我が国としての原子力基盤の強化を図っていくことが必要であるということで、まず原子力基盤の強化が必要だということを説明しているわけでございます。

 その上で、4.から具体的な取り組みということでございまして、ここらにつきましては、前回議論いただいたものから、それほど大きくは変わってございません。より明確にしたのは、例えば、Actionの下に、だれがということと、いつまでにということで、whoとwhenをそれぞれアクションプラン的にもう少し明確にしたということが、全体として少し変えているところでございます。

 そういうことで、まず人材の中では、個々の細かい説明は前回と重複しますので省きますが、まずAction1としては、初等中等教育段階から原子力教育の強化をやるということでございます。これについては、文部科学省が経済産業省などと協力して、具体的に副読本を作成しようということで、事務的に話を進めているところでございます。

 Action2としましては、大学レベルということで、これにつきましても、ご案内のとおり2年前から経済産業省とジョイントで原子力人材育成プログラムという制度をつくっているわけですが、それについては3年目ということで、この夏に中間評価を行うこととしていますが、それをもとに、プログラムの悪いところは直すし、全体パイとしては拡充していくということで、来年度概算要求で具体化していきたいと思ってございます。

 Action3が、若手研究者への支援の拡充ということでございます。これにつきましても、いろんな制度があるわけですが、これは昨年からですが、若手原子力研究プログラムというものをつくって、40歳以下の若手研究者に対する、それほど大きな予算ではありませんが、研究ファンディングをつくったわけですが、これについても概算要求の中で拡充を図っていくということでございます。

 Action4としましては、立地地域における原子力人材育成ということで、ご案内のとおり六ヶ所村に東北大学がブランチをつくったとか、東海村には東京大、敦賀市では福井大学が京都大学なんかと連携して原子力の研究所をつくるというような方向にあるわけですが、それらについてそれぞれの関係者で支援をしていくということでございます。

 それで、中期的に検討を要する課題としましては、Action1としては原子力機構と大学間の抜本的な連携ということで、これにつきましては、いろんなレベルで原子力機構と大学というのは連携をしてきているわけですが、今回の作業部会でもいろいろ議論がありましたとおり、それが組織対組織になっていないと、何とはなしにそれぞれ人に依存しているというような指摘もあったわけですが、そういうことについて一遍きちんとレビューを行って、原子力機構中心に考えるわけですが、もう少し大学と組織対組織としてきちんと連携していくというような、新たな仕組みについて検討を行うということでございます。

 Action2が退職者人材の戦略的な有効活用ということで、これは、引き続きこの作業部会において、どのような活用策があるかということを検討していくということでございます。

 5ページ目の研究インフラというところでは、早急に対応すべき課題というところでは、まず1つは、既存のいろいろなインフラの状況、それと改善策を検討するということですが、これは、基本的には原子力機構が中心に、作業部会でもフォローしながらということですが、いろんな施設がほんとうにどうなっているのかということを、ハードの状況だけではなくて、使い方なんかにつきましても一遍きちんとレビューをして、改善策を検討するということでございます。

 Action2は、そのような整理の中で、役目を終えた施設については計画的にきちんと廃止措置を進めていくということでございます。これについては、原子力機構の中で早急に具体化を図ってもらって、次期中期計画などに反映してもらうというようなことでございます。あわせて、関連するところとして、最後のところの廃棄物の処理・処分についても、具体的にきちんと着実に進めていくということでございます。

 Action3はユーザーの利便性向上と施設の外部利用促進の取り組みということで、これは、今までのAction1にも絡む話ですが、そういう施設が使い勝手が悪いという指摘がいろいろあるわけなので、そこらについて原子力機構のほうできちんとフォローしていただいて、その中で、いろんな窓口機能を強化するとか、そういうような改善策を検討して、中期計画に反映ということでございます。

 Action4は、旧核燃料サイクル開発機構(旧サイクル機構)のホットラボなんかの有効活用をもう少し考えたらどうかということでございます。これは、今までの旧日本原子力研究所(旧原研)の研究炉のようなものと違って、旧サイクル機構系のホットラボなんかは外部利用が非常に限定的であるということがあるわけでして、そこらについても、そういうニーズをもう少しきちんと把握するとか、産業界とのプロジェクト研究の進め方をどうやっていくか、なんかの中でそういう施設の活用策というものを検討して、中期計画に反映するということでございます。

 Action5は、そのようなインフラを活用するための、外部利用を促進するためのファンドの拡充ということで、昨年度からそういうファンディングをやったわけですが、これにつきましても具体的に概算要求で拡充を図るということでございます。

 Action6は、前回の議論ではなかった新しい話ですが、これは、近藤委員長などと話している過程で、それらの意見も参考にしながら新たに加えたところでございます。計算機を用いたシミュレーション技術の維持・強化ということで、原子力はほかの分野と比べてもシミュレーション技術というのはかなり進んでいるというようなところがあるわけでして、当然ホット試験というのも裏表で要るのですが、それと別に、そういう計算機を用いたシミュレーションの有効活用ということが非常に重要であるというようなことなので、これにつきましても、実際にそういうことをやっている原子力機構のほうで今後のそういうシミュレーション技術の戦略的な維持・強化の方策について検討を行って、次期中期計画に反映してもらうということでございます。

 あと、中期的に検討を要する課題ということでは、これは今後の引き続き検討の主要テーマになるであろうと思いますが、戦略的に我が国として、特にホットな施設としてどういうインフラを持つべきかということにつきましては、この作業部会できちんと検討をしていきたい。それは別にハードだけではなくて、そのハードをつくる際の具体化に向けた設計とか整備も、オールジャパン体制でどうやったらいいかとか、できた後の使い方もどうやったらいいかということまで含めて、作業部会で検討をしていったらどうかということでございます。

 7ページ目で、そういう研究開発施設利用に関する安全確保の合理化への技術的検討ということでして、ここらについては、前回では規制みたいな感じを前面に出していましたが、今回はコメント等ありまして直していまして、安全確保の合理化というようなことで書いてございます。いろんな意味で、そういう研究炉を利用するとか、ホットラボを利用するというようなところで、ちょっと利用したいといっても、規制がどうのこうのといって、非常に手続に時間がかかると。それは海外と比べても非常にかかるということがあるわけなので、そこらの実情について原子力機構のほうでいろんな検討を行っていただいて、安全確保の仕組みの合理化と、そういう施設をもう少し円滑に使えるような方策なんかについて、検討を行ってもらうということでございます。

 Action3は真の意味で外部に開かれた研究開発インフラの活用促進ということで、ここらについては、特に当作業部会と原子力機構が中心になって、原子力機構が持ついろんな施設の外部利用というものをより進めていく抜本的な方策について、検討を行うということでございます。これは、ある意味で言えば、ここに書いていますように、単純に施設を共用していくという方向だけではなくて、それに加えまして、今後、FBRとか再処理みたいな大きなプロジェクトを進めるに当たって、そういう施設を真ん中に置いて、原子力機構だけではなくて、民間とか大学も一緒になって研究開発プロジェクトを進めていくという観点からも、どうあるべきかということも検討するということでございます。

 3番目の大きなポイントが技術移転・産業化ということですが、まず最初の早急に対応すべき事項ということでは、Action1として、既に技術移転をしたものについてのフォローアップを強化するということで、これは、原子力機構とそれぞれの立場あるわけですが、関係者でやってもらうということでございます。これについては、当然、再処理とか、濃縮とか、あと、今進んでおるのは、MOXとか、いろいろあり、それらはいろいろなプレーヤーがいるわけですが、そこの中で本当に移転後のフォローアップがきちんとできているかどうかというようなことも、きちんと一遍評価をしてもらうということでございます。

 その上で、この作業部会の場でもいろいろ議論ありましたように、技術移転以降も、産業化の状況に応じては、原子力機構において継続的に基礎・基盤的な研究への取り組みが望まれるというようなこともあったわけでございます。そういうことも前提に置いて、いろんな制約がある場合にはどうしたらいいかということを関係者で改善策を検討してもらうということでございます。

 Action2が今後の技術移転に向けての関係者間の枠組みの強化ということで、ご案内のとおりFBRについては五者協議会があるということなので、これもまだオン・ゴーイングでどこまでうまいこといくかというのはもちろんありますが、そのような仕組みも参考にして、ほかの分野でも、高レベル放射性廃棄物とか、デコミッショニングとか、そういうことについても、原子力機構と最後の産業化を行うユーザーとの関係がどうなっているかということをレビューして、連携を強化していくということでございます。

 Action3は、そういう技術開発段階から将来のことを見通して知識の集約とか伝承の仕組みを考えていくということでございます。これにつきましても、今までの教訓なども踏まえて原子力機構の中で具体策を検討していただいて、中期計画に反映するということでございます。

 Action4が卓越したプロジェクトリーダーの養成のための環境整備ということで、これは、今までは例えばミスター何とかと書いていましたが、そういう人がいないと大きなプロジェクトというのはきちんと進んでいかないだろうということが背景にあるわけで、それと、原子力のプロジェクトというのは長期間にわたるということなので、そういうトップ人材だけではなくて、将来的にトップ人材になるような中堅・若手なんかも含めて、そういうリーダーを生み出すような職場環境や制度について、今の原子力機構の中でそれが何でできないのかということを反省していただいて、改善策を具体策にして次期中期計画に反映していくということでございます。

 次の中期的に検討を要する課題、これも作業部会の今後の一つの大きなテーマでございますが、今までの濃縮とかいろんな事例も踏まえながら、今後、参考となるようなモデル的なシナリオを検討してみて、それに合わせて、今後、技術移転・産業化を図る上で配慮していく事項について整理を行うということでございます。これも、ひとつきちんとこの作業部会で引き続きやっていくことが重要であろうと思っています。

 次のAction2は、そういう技術開発段階から産業界における評価の強化ということでございまして、これにつきましては、FBRでは五者協議会において、従来以上に原子力機構と三菱FBRシステムズと協力しながらやっておりますが、そういう今の技術開発について、電力サイドも責任を持ってエンジニアリング・ジャッジメント体制を強化していくということで、五者協議会で大体そういう方向になってきておるわけですが、そういうような取り組みを強化していくということでございます。

 Action3は、そういう技術移転とか産業化を考えると、単純に技術ドキュメントを渡して終わりということではだめで、人とか組織なんかもきちんと続いていくということが重要だろうということで、これはAction1とも連携しますが、そのためにどのような方策があるかということを戦略的に検討していくということでございます。これは作業部会の今後のテーマでございます。

 次の4番目の大きな柱が、原子力機構の基盤強化ということでございます。早急に対応すべき事項ということで、Action1、これは前回の議論もあって追加してますが、制度上の隘路の整理ということで、それは、いろんな意味で、何かやろうとすると大体、原子力機構の中ではすぐ、法律がとか、予算がということで、できませんということがいろんな場でよく言われるということなのですが、そういうことについて、本当にそれが制約条件なのか、単純にやりたくないからやらないのかとか、運用の範囲で実は本当の制約条件になっていないというのも結構あるわけなので、そういうことにつきまして、そういう制約条件が本当の制約条件かどうかというのをきちんと整理して、必要であれば改善策を検討すると。原子力機構が中心になって検討をしていただいて、可能なものについては次期中期計画に反映していくということでございます。

 次のページのAction2が総合的マネジメント機能の強化ということで、原子力の研究開発を行うに当たっては、トータルインテグレーションということが非常に重要であるとか、あと、地元とか、国際とか、いろいろ考えることもあるわけなので、原子力機構の中のそういうマネジメント機能であるとか経営機能の強化ということが重要ということで、ここらについても、その改善策について原子力機構で考えていただいて、中期計画に反映ということでございます。

 Action3が国際対応ということで、海外事務所の有効活用であるとか、関係機関との連携強化などで、原子力機構だけではできないところは、ほかの機関も海外情報とかに接しておるところもあるわけですので、そこらとも情報共有を図りながら、機能強化を図るということでございます。

 Action4は、旧原研、旧サイクルの融合加速ということで、特にFBRとか再処理などについては、基礎研究とプロジェクト研究とか、いろいろありますが、旧原研の人でも炉をやりたい人はFBRとかに参画していくとか、そういうことで連携の体制の強化というのを原子力機構で検討していただいて、次期中期計画に反映していくということです。

 Action5は、原子力エネルギー基盤連携センターの強化。これは、既にこういう制度があるわけですが、ここらについてもより民間側のイニシアチブが強化されるとか、そういう方向でより強化していくということで、検討を行うということでございます。

 最後に、中期的に検討を要する課題ということで、これも作業部会の今後の検討テーマということですが、原子力機構と協力してということになりますが、原子力機構を中心に産学官でほんとうの意味で連携して、例えば目指す方向としては、世界最先端の原子力のCOEになるとか、原子力道場とか、万屋相談所、いろいろな多面的な機能を有する中核機関としてどうやっていくかということについて、戦略的に今後も引き続き作業部会で検討を行うというようなことでございます。

 ということで、日本語の手直しとか、細かなコメントをもとに直したところもありますが、大枠は前回議論したものからそれほど大きく変わってないということでございますが、説明は以上でございます。

【田中主査】

 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局からのご説明を踏まえまして、作業部会中間整理(案)について議論をしたいと思います。ご意見等、よろしくお願いいたします。

 まず初めに、私のほうから事務局にお伺いしたい。これ、対応主体として作業部会が挙がっているのが何件かありますね。今後の作業部会での議事のスケジュールといった話は、どのような感じになるのでしょう。

【山野原子力計画課長】

 それはまさにこの作業部会で検討をしていただければいいと思いますが、まず、この中のテーマで概算要求に反映というようなものはすぐ、この1カ月ぐらいでそれぞれ具体策が出るわけです。あと、原子力機構中心に中期計画に入れてくれというのは、これは原子力機構中心に考えて、それを適宜フォローしていくということになりますが、中期的な課題とかについては、作業部会の運営ですが、今まで4月から今月にかけてそれこそ1カ月に2回とかということでやっていましたが、今後はもっと頻度が落ちるのかもしれませんが、そこは、戦略的にそれぞれ具体化の、役所であるとか原子力機構の具体化の動きを適宜フォローするというのと、中期的な課題については、間延びするのではなくて、こういうのは単純で、勢いがあるときにやったほうがいいと思うので、中期的な課題だからといってちんたらせずに、ある程度短期決戦でやったほうがいいのではないかという感じがしています。

【田中主査】

 わかりました。ありがとうございました。

 あといかがでしょう。高橋委員、お願いします。

【高橋委員】

 広範に非常によくまとめられていると思いますが、例えば原子力機構側から見たときに、中期計画まで非常に時間がないということで、これからずっと5年でやっていこうと思うと、結構重い宿題もあるようですが、これを全部横に並べたときに、今の全体の制度だとか予算だとかという枠組みの中で実現できるものなのかというような、全体の見通しをしっかり立てておかれないと、すぐ次期中期計画が来てしまうような気がするので、中期計画の枠の中でできる話と、それから、その枠の外でもう少し関係者としっかり議論をしていかなければいけないというような、戦略をしっかり見極めて対応をしていく必要があるのかという印象を持っているのですが、どんな進め方になるかというところは、時間もないことですし、もう一歩踏み込んで考えたほうがいいかなというように考えます。

【田中主査】

 重要なご意見かと思いますが、事務局、あるいは市村委員か小川委員のほうからお願いします。

 では、市村委員、お願いします。

【市村委員】

 今、高橋委員からそういうお話あったのですが、この前にいただいた案の段階で少し書きぶりがどうかと思っていたところは、きょう出てきたのは少し直していただいているところがあって、そこはそれでいいと思いますが、今、お話が出たのは、9ページの(4)のマル2のAction1の中で整理されるのかなあという解釈なのですけどね。というのは、ここに「制度上の隘路の整理」と書いてありますが、中を読むと、法律的な話、それから予算的な話、いろいろあって、その中で何ができる、できないという話を制約条件という意味で書かれているのかなと思いますが、いずれにしても幾つか話があって、1つは、動燃からサイクル機構になるときに、整理縮小事業ということで、幾つかの事業を整理しました。それに関しては、要は、民間が実用化に手を染めているから、もう国のほうはいいのではないか。何度も出てきますが、端的な例はウラン濃縮ですね。といったような話があってそうなったのですが、それから時間が大分たって、日本原燃のほうが事業を進めてきていて、またいろいろ課題が出てきているというようなこともあるので、それはこういうところで整理をするのかなと思います。

 それから、きょう板倉課長が出ておられますが、やはり大きな話は予算の話でして、この中にも、5ページの(2)のマル2のAction2、例えば役目を終えた施設について計画的な廃止措置の実施と書いてあって、中に書いてあることは当然やるべきことだと思いますが、これも、進めようとすると、やっぱり予算措置の話が最大の問題になってきます。だから、前も申し上げましたが、そういうのを全体見渡して原子力機構は経営としてどこに重点化していくのかという議論になって、この資料の最初のほうにも書いてありましたが、結局、大きなプロジェクトにお金がかかってしまうというところから抜け出れないというような問題もあるので、その辺も含めて今後ほんとうにどうしていくのかという検討をやっていく必要があるかと思います。それは、先ほど言ったように、9ページのこの中で、あまり時間ないのですが、整理をしていくことが必要かというように考えています。

【田中主査】

 山野課長、お願いします。

【山野原子力計画課長】

 おそらく今後の中期計画などでフォローしていくということなのですが、中期計画なり中期目標自体も結構幅広く書いていたり、意外とふわっとしか書かないのです。それもあるものだから、今回の中間整理はどちらかというと具体的に書いたのです。フォローしていくことが重要だと思うのです。だから、今の市村委員の話を聞いてわかるように、ある意味で言うと、やりたくないと言っているんですね。やっぱりそういう体質なのですよ。だから、強い意味でこの作業部会できちんとフォローしていくことが重要だと思います。

【田中主査】

 市村委員、どうぞ。

【市村委員】

 すみません、一言だけ。私は、決してやりたくないと言っているのではなくて、そういった課題を解決しないとJAEAだけではできない部分が多々ありますということを申し上げているので、ぜひ解決したいと思っているのですから、そこはご理解いただきたいと思います。

【田中主査】

 板倉課長、お願いします。

【板倉原子力研究開発課長】

 問題点は、申しわけないのですが、予算が天から降ってくるというのは、今、想定できないのです。特に原子力機構の予算、いろいろ制度上の問題点、例えば特別会計は電力使用量が減ると減ってしまうというところもありますし、一般会計も科学技術振興費という枠組みでなくてエネルギー対策費という枠組みになっていまして、それに対する政府の投資はどうなっていくかというところもあるので、抜本的に予算が倍になるとか、そういうことは想定できないと思うのです。ただ、そうであるから思考停止してしまうということではなくて、例えば廃止措置の話についても、今、原子力機構の事務方とは議論をしているのですが、例えば借入金を利用するとか、借入金がやりにくいのであればPFIの利用とか、あるいは受益者負担の話とか、いろいろできることはまだまだあるのかと思っておりまして、予算がないから考えるのもやめますというと何も動かないと思いますので、そこは原子力機構と文部科学省でいろいろ議論をしながら解決策を、もちろん予算が増えるということも重要ですので、そこも取り組んでいきたいと思っていますが、いろいろ知恵も使っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

【田中主査】

 ありがとうございました。

 高橋委員は、仕事の何割かは原子力機構の仕事をしているような感じのことを時々言っていますが、さらにご意見ございますか。

【高橋委員】

 そういう意味で外部にいろいろ味方をつくっていくというか、中で議論をしていくと効率的に税金を使いましょうという議論になっていくので、そこについては効率的にしっかり使われていますということと、それから、なあなあで全体がうまく入るように、はまるように考えるのではなくて、ここはしっかりやるけれども、ここのところはこういう制約でできないというようなものがあれば、そこをしっかり探していただきながら、皆さんと議論をするということが大事かなというような感じがいたします。

【田中主査】

 ありがとうございました。

 井上委員、どうぞ。

【井上委員】

 予算のことが出ましたので、一言申したいと思いますが、3ページの一番上に、「大型プロジェクト偏重から、真の原子力の基盤を確立する」ということが書かれていて、これはこのとおりであると思いますが、基礎・基盤だけが独立しても、あまり効果的ではないと思います。例えば基礎・基盤だけを漠然と公募しても、効率的ではないということです。両者というのはプロジェクトを支える基盤技術というふうに位置づけることが非常に大事でありまして、予算の配分のあり方の検討ですか、そういうことも今後していく必要があるのではないかというように思います。特に、プロジェクトと基盤の資源配分の考え方、あり方を検討するということを、こういうところのどこかで頭出ししておいていただけると、今後、その辺の検討をするきっかけになるのではないかと思います。

 一つの例としては、例えばプロジェクトがあれば、必ずその予算の1割、2割、何割が適当かわかりませんが、ある一定部分はそれを支える基盤技術に配分するというような仕組みを一つの例として考えられると思います。

 以上です。

【田中主査】

 山野課長、どうぞ。

【山野原子力計画課長】

 これだけ読んでみたらわからないところもあると思いますが、私も井上委員が言うところと同じような感覚を持っていて、単純にプロジェクトと基礎研究というと、それだけで分けてもあまり意味がないことになる可能性があると思っていて、そういう意味で、おっしゃるようにプロジェクトの進め方を改革したりというのが、今までみたいな一定の線形モデルで、その部分だけシャープにやって、そこが倒れたら全部倒れるというのではなくて、そういう中に基盤的なブロード性を多少入れていくとか、そういうことをきちんと考えながらやっていくことが重要かと思っています。そういうことをどうやるかというのがもしも必要であれば、どこかに具体的なActionとして入れて、そういうことを検討するというのを入れてもいいのかもしれません。

【田中主査】

 服部委員、お願いします。

【服部委員】

 課題をよく整理されていて、この4点というのはそれぞれ重要だとは思いますが、よくよくこの全体を見直してみますと、どうも、JAEAがもう少し効率的・効果的といいますか、そういうふうにするための条件整備の議論をしているみたいな感じがしまして、基礎・基盤強化と言われたときに、もちろんそれは大事なのですが、それでいいのかという感じがしたのが、第一印象であります。

 そのきっかけになりましたのは、先ほど近藤委員長からのコメントということでシミュレーションという話を追加されましたね。そもそも原子力機構としてはこういう分野をしっかりやっていくという、分野の話がほとんど出なくて、いろんな制度的な制約というか、問題点をどうやって解決していったらいいのかというようなことだけが書かれているような気がしまして、その辺をもう少し出したほうがいいのではないかなと思います。分野的には、人材の話が明確に出ているという話と、それから基礎・基盤というようなことで、最後に万屋的な機能をしっかりやりますという話、そのほかに、FBRだとか濃縮再処理についてもう一度やりますと書いてあるのですが、ただ、これは既に事業化の段階に入ったものを支えていくというようなことで、どこまでしっかり原子力機構としてこの問題に取り組むのかというようなところがあまり書かれてないのですが、それでいいのかなという感じがしました。

 それで、分野的には、例えば私なんかがしっかりやってもらいたいのは、核不拡散のところはしっかりやってもらいたい。これは一部書いてありますが、書いてあることを見てみると、海外事務所の機能を強化しますと書いてあって、これは違うのではないかと思います。核不拡散の問題について国を挙げてしっかり取り組むような、そういう枠組みというか、そういうものをつくってやっていきますとか、そういうものがあってしかるべきではないかと思って、言いたいことは、要はやる分野についてどういう取り組みをするのかという、そういう視点が少し欠けているのではないかというように思ったのが、全体的な印象であります。

 それからもう1点は、第1回目にコメントしたと思いますが、国際的な問題についての言及が非常に少ないと思います。最初の問題認識のところでルネッサンスというような話がありますが、研究開発についての国際的な今の動きについて、そういうものを見据えて原子力機構としてどうしていくのかというようなことをしっかり書くべきではないか。私は、国際連携・協調というのはあってしかるべきだと思いますし、この分野は、例えばアメリカが少し後退していても、日本としてしっかりやっていくと、日本としてやっていく場合の中核は原子力機構ですと、そういうようなところが現状認識のところに書かれてもいいのではないかというように思っているところです。例えばインドだとかロシアなんかは、相当しっかり基礎的な研究もやっています。そういうところと伍していくためにはどうするのかというようなところがあまり見えないというのが、コメントとしては大きなところです。

 もう1点は、今、経済産業省のほうで議論をしているところでは、ステークホルダー・インボルブメントというようなことがしきりに言われています。つまり、関係者といかに連携をしていくか、あるいは関係者のニーズをいかに捉えるかというようなところです。ニーズというところは大分いろんなところに入っている、研究インフラのところで入っていますが、ぜひそういう視点を入れてもらって、原子力機構だけで物を考えるのではなくて、ニーズをいかに反映するかというようなことがもう少し書き込まれていいのではないかというように思ったところです。五者協議会というのはまさにその代表格だと思うのですが、現状認識といいますか、基本的な方向性のところで関係者とよく連携をして、ニーズを踏まえてやっていくというようなことを書いていただいたらいいのではないかというように思ったところです。

 あと個別の問題で言わせていただきますと、かなり細かい話ですが、4ページのところに「立地地域における原子力人材育成活動の強化」のところがあります。上から2つ目のAction4ですが、ここで幾つかの例示が書かれていますが、これ以外にもあるので、例えば私が思いついたのは、室蘭工業大学が新しく原子力工学科をスタートさせるということ。ここがJSW(日本製鋼所)と組んでいろんな研究をやろうとしている。これは国のお金もいただいて、これはひょっとしたら経済産業省の制度かもしれませんが、こういう原子力以外の、原子力に大いに関係があるところですが、純粋のメーカーと連携をしてやるような、そういう動きも出ているということをぜひこの中の例示として書いていただければというように思っているところです。

 もう1点は、5ページのところの真ん中のAction1ですが、既存の研究開発インフラの話が出ていますが、ここもニーズの話と関係がありますが、今、カナダのRIの照射炉が止まったことによって、RIが大変不足をしています。日本の中小の医療機関が大変困っている状況にあるというようなことが新聞に出ている。1年半ぐらい前から既にそういう問題が起こっているわけですが、こういう問題について、JMTRの話もありますが、どうしていこうとしているのかというようなところは、まさにここはニーズがあって、そういうものに対して原子力機構としてどう応えていこうとしているのかというようなところは結構大きな問題だと思っておりますので、ここに書き込むかどうかは別にして、忘れないようにしたいと思って、コメントをさせていただきました。

 ありがとうございました。

【田中主査】

 ありがとうございました。何点か重要なご指摘いただきました。

【山野原子力計画課長】

 そうですね。医療用RIの話なんかは既にいろんなところで、検討というか、話し合いはしています。ただ、あれもすぐに解決策はない。研究炉がないから、おそらくそんな簡単ではないと思いますが、やってございます。

 あと、言われたように国際的な視点が抜けているなというのはそのとおりなので、そこらはちょっと工夫したいと思います。それと、核不拡散のようなものは今後確かに重要な課題であると思います。また確かに、ステークホルダー・インボルブメントというのは、物事を進めていく上で今後の基本になることであると思います。今まで原子力機構ではそこがうまいことできていなかったところがあるのだと思うので、そういうところは、全体をカバーするようなところにちょっと加えたいと思います。

 以上です。

【田中主査】

 ありがとうございました。

高橋委員、お願いします。

【高橋委員】

 全体の進め方ですが、これから中期計画に向けて、または予算措置に向けて、いろんな動きがあると思いますが、この部会なのかどうかわかりませんが、今、服部委員のご発言にもあったように、もう少し具体的にこういう方向でいつまでに何をするのかということを聞かせていただいたほうがいいような気がするのですが、そのときに、例えば中期計画というような枠組みの中で聞くと、上からべたっとした議論になって、せっかくいい論点がまとめられているのに、この論点が原子力機構の中期計画の中のどこに反映されているのかというのがともすればわからなくなってしまうという部分があるような気がするので、できればこの部会の中で、こういう論点に沿った中で、予算措置というような話もあるし、短期的にやらなければならない原子力機構の中期計画という話もあるし、もう一歩具体的に踏み込んだところで、こんなことでこういうふうにして具体的にこういう形で反映するというようなことを少し聞かせていただけると、我々としてもこの論点がどういう形で具体的になるかというようなことが見えるような気がいたしますので、ぜひそういう方向で議論を進めていただけたらと思います。

【山野原子力計画課長】

 確かにおっしゃるとおりで、中期計画で議論をしてといっても、アウトプットがどこかでわけわからなくなったり、総論的な話になったりするので、ここに書いたことに沿ってきちんとフォローを具体的にしていくというようなことをやっていきたいと思います。

【田中主査】

 服部委員、どうぞ。

【服部委員】

 先ほど何をやろうとしているのかが見えないということを申し上げたきっかけの一つは先ほどのシミュレーションのところがあるのですが、たしかことし5月のICAPの席だったと思うのですが、アメリカのDOEから来た人が、DOEはどういう方向でこれからR&Dをやっていくのかというときに、2本柱がありますというように言われたのです。1つが、まさに計算技術といいますか、シミュレーションの話をしました。もう1点は、彼の言い方ではスーパーマテリアルというような言い方をしたと思うのですが、材料をしっかりやっていきますということ。これはすべてこれからの基礎でありますから、アメリカとしてしっかりやっていきますと。こういうふうに言われると、どっちの方向を見ているかというのが非常にわかりやすいのです。

 ではこのペーパーを見て、原子力機構はこれから何をしようとしているのかということについて、内部の仕事がうまくいくようにやっていきますというような話しか見えてこないものですから、ちょっとその点で非常に対照的だったという印象を持ったものですから、先ほど申し上げたようなことをちょっとコメントさせていただいたわけであります。

【田中主査】

 ありがとうございます。服部委員がおっしゃった、原子力機構は今後どっちに向かっていくのか、どういう研究を中心にしていくのかというのは、この作業部会の中間整理にどういう形で書き込めばいいのか、若干質が違うところもなきにしてもあらずなのですが、どのようにしていけばいいのか、何かご提案でもございますでしょうか。

【服部委員】

 私、ちょっと場違いなことを言っているのかもわかりませんが、これがどのように外に向かって発信されるか。結局は、原子力機構の次期中期計画・中期目標というようなところに反映されていくということなのでしょうか。そういうときに、表に向かって、これをやっていきますというようなことがもう少し見えたほうがいいのではないかと思います。必ずしもこの報告書にそのままずばり反映しろということを言っているわけではないのですが、コメントを申し上げた次第であります。

【山野原子力計画課長】

 そうですね。おそらく今回の作業部会は、今の原子力機構とかでやっていることでおかしいところを直していこうというようなこと中心なのです。だから、戦略的に何かメッセージを出そうとかというような議論ではないのですね。戦略的に原子力機構が今後どういう方針でやっていくかというのは、建前で言うと、おそらく次期中期目標とかそういうことなのでしょうが、そういうところでも戦略性が出てくるかどうかというのは、おそらく今やっているやつを止めてとかはなかなかならないでしょうから、そこはちょっと難しいなと思いますが、そういう戦略議論が必要であれば、この中間整理と別に、そういうことを考える場があってもいいのかもしれないという感じがしました。これはむしろ、どちらかというと実利的なところを少しでもよくしていこうというようなことでやってきたという認識であります。

【田中主査】

 ぜひ十分議論できるような場をつくっていただけたらと思います。

 丹沢委員、お願いします。

【丹沢委員】

 いろんなご意見が出まして、私、いろいろ納得するところもございますが、この中間整理の位置づけという点ですが、例えばほかの国の例とかも出ておりますが、米国にしろ、大分前にいわゆる研究所の、国立研究所のやるべきことをきちんと整理しようと。40年、50年の歴史の中で、言ってみれば負の遺産、具体的に申しますと、負の遺産をどのくらいきちんと整理するかといったことで、具体的にかなりの予算をつけて実施してきているという状況があるかと思います。私ども、原子力機構を中心にして、ここで一つきちんと整理するということが、私の受けとめ方としては非常に大事かなと思っています。そういう意味でここの中の議論というのはその辺がメーンになっていて、きちんとレビューした上で必要な整理をして次への出発にしようかというように受けとめておりますので、この辺の中間整理を、あとは実効性の問題で深めた議論ということになるのかなというように、これは、印象といいますか、位置づけとしての私なりの受けとめ方です。

 以上です。

【田中主査】

 ありがとうございました。

 小澤委員、お願いします。

【小澤委員】

 今回の中間整理では、対応主体や期限を明記されて、実態として動かすのにまとまりができているのではないかと思います。

 それから、先ほど山野課長のほうから、今回の議論は、原子力機構の課題を見直すことが主な目的ということですので、今回このようにActionを幾つか書いたことが、原子力機構がこういうことを次期中期計画に書くことによって、いい方向に向きやすくなればいいなと考えているところでございます。

 先ほど高橋委員からありました、具体的にどのように盛り込んでいくかというあたりも、できればどこかで聞かせていただけるとよろしいかと思います。先ほどもありました9ページの制度上の隘路の整理等、具体的な整理がされていくということで、これを書き込むことによって、いろいろといい方向に進んでいけばと思っております。

 以上でございます。

【田中主査】

 ありがとうございました。

 小川委員、お願いします。

【小川委員】

 随分いろいろとイッシューを出していただいて、私たち自身の頭の整理の上でも大変参考になると思います。特に、中にいると、先ほどの市村委員と私も同じですが、とにかくいろいろと制約が見え過ぎてしまうものですから、それで自縄自縛に陥っているというようなところがありまして、この作業部会の中で我々の検討をまたご議論いただいて、少しでもいい方向に動けばいいというように思っております。

 以上であります。

【田中主査】

 ありがとうございました。

 村上委員、どうぞ。

【村上委員】

 何人かの方のご指摘・ご意見を聞きまして、本部会は実質的に原子力機構の業務の効率化の、服部委員の言葉をそのままお借りしますが、そのような印象がぬぐえないというのが、印象でございます。それはそれで重要なことでいいのですが、どちらかというと私はずっと産業界のほうにいた人間ですから、そういう目で見ると、もうちょっと産業界というか、事業化、日本の原子力事業の今後の発展につなげるような議論が聞きたかったというのが、感想でございます。

 それは感想といたしまして、もし何らかの私の意見を述べるとしたらば、今回、中間整理で、Actionは、早急に取りかかるべきActionと、もう少し長期的に取り組んでいくべき課題に整理していただいて、私としても何を考えたらいいのかなというのが大分整理されてきた感じでありがたいのですが、今後とも本作業部会が対応主体となっている課題というのを幾つか挙げられておりますので、それをちょっとメモに書き出してみたんですが、それを見ますと、大きな4課題、人材育成と、研究開発インフラと、産業化と、JAEAのあり方についてという4つのテーマにほぼ共通して見られるキーワードとして、長期的な人材の活用というキーワードがやはり出てくるような気がいたします。例えば人材育成はまさにそのもので、中長期的に見るとJAEAと大学などがこれからの人材を育成するところと、JAEAとで基盤強化をどうしていったらいいか。もうちょっと上の世代の人まで含めた世代間のノウハウの移行とか、そういうあたりが整理されているような気がします。それは、産業化に当たっても、基礎・基盤の研究開発をずっとやってきた人材が産業化に当たってどのように活用されるか。つまるところは人材活用という観点がすごく大きいとか、重要という観点を出しております。そういう意味でも人材活用というのは、もちろん優秀な人材がたくさんいるのに、それをどうしても組織化できないところで組織的な取り組みが必要だというのはわかるのですが、取り込まれる人材、活用されるべき一人一人の人材のほうの自覚というのをどうやって育てていったらいいかというのが、これから産業界としても、また基礎・基盤研究にかかわる立場としても、考えなければいけないポイントのような気がするので、もし作業部会で人材の活用というのがこれからも話題になるんでしたら、せっかく予算とかにこだわらない中長期的に取り組める分野ですので、そこら辺にもうちょっと重点を当てて掘り下げていけたらいいかと思います。

 以上です。

【田中主査】

 ありがとうございました。

 あと、特に意見ございますか。

 いろいろと意見をいただきまして、中間整理(案)で修正するようなものが若干あるかと思いましたので、それに関する修正につきましては、もしよろしければ私のほうに一任させていただけたらと思いますが、よろしいでしょうか。

 では、若干修正させていただくということをもとに中間整理としてこれでまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 ありがとうございました。

 この修正案はどのように皆さんにお知らせすればよろしいでしょうか。

【山野原子力計画課長】

 今日の議論を踏まえて修正したものをメールでお諮りしたいと思います。それで、最終的には田中主査と相談して、これは、立派なレポートとかという意味ではなくて、あくまで中間整理ですから、ものすごく重い位置づけだとは思っていませんので、直すところは直して、今後フォローアップをしていくということが重要だと思いますので、そういう意味では課題だけはきちんと書いて、今日議論があったように、きちんとフォローアップしていけばいいのかと思います。まさに今日議論があった、何が隘路かとかいうようなところは、1つずつつぶしていけばいいのかと思います。そこもやる気があるかどうかにかかっている。やらない理由にするのであれば、それでもいいわけです。単純に言えば、例えばウラン濃縮についてはやらないと。私、あのとき法律つくったのですが、附則で書いたのです。それはプロジェクト研究としてはやらないというだけであって、安全研究とか基礎研究はやれるわけです。そこは、そういうことをやるのが必要だと思えば、別に制約ではないのですよ、おそらく。昔みたいに人形峠がやっていたみたいに原型プラントをつくってプロジェクト研究としてやるというのは、そこは制約ですけど、ほんとうにニーズがあるのであれば、ステークホルダー・インボルブメントというワーディングも出ましたが、本当に産業界からニーズがあるのであればそういうことをやっていくとか、そういうことで1つずつつぶしていくことが重要かなと思います。

 以上です。

【田中主査】

 ありがとうございました。中間整理(案)については、今、山野課長のほうからあったように進めさせていただきたいと思います。また、課長からご発言がありましたが、隘路の問題とか、今後、作業部会で、時間を置いてだらだらやるのではなくて、スピード感持ってやるということでしたが、それについてもやっていきたいと思います。ありがとうございました。

 本日予定していた議題はすべて終了いたしましたが、その他、ご意見などございますでしょうか。

【櫻井審議官】

 一言。

【田中主査】

 どうぞ、櫻井審議官。

【櫻井審議官】

 まずはお礼でございます。お忙しい中、皆さんに精力的に集まっていただきまして、ある意味フォローの風が吹いている原子力ルネサンス、また低炭素等と言われている中で、この原子力の研究開発の部分を推し進めたいという中での思いの詰まった言葉が多かったと思いますし、それを受けていただきまして、各委員の先生方からもかなり本音のお話をいただけたかと思っております。ここからの話としましては、Actionでございます。期限もきちっと書かせていただいていますので、さらに、高橋委員が言われましたように、次期中期目標・中期家一買うの議論が始まってございます。そことのキャッチボール、それから、先を見たときに、原子力政策大綱の話というのはまだいろいろな議論がございますが、それに向けてのキャッチボールがございます。そういうようなところをどのように足元を対応していくかということ、また、Actionを進めるといろいろなことが見えてくるかと思いますので、それも反映しながら精力的にこの作業部会の議論を進めまして、少しでも物事を動かし進めると。それで、実際、予算になるのか、政策を打ち上げるのか、いろいろなことがあるかと思いますが、できるだけ実際のAction、まさにActionで書いています、これがキーワードになると思いますが、進めたいというように事務局のほうも思ってございますので、引き続きこの作業部会は続くかと思いますが、よろしくお願いいたします。

 いずれにしましても、短い期間で、田中主査を中心に各委員の先生方には、精力的にご議論いただきまして、ありがとうございました。今後とも引き続き、よろしくお願いいたします。これがキックオフ、スタートしたと思っておりますので、よろしくお願いします。

 長々となりましたが、御礼の言葉でございます。ありがとうございました。

【田中主査】

 どうもありがとうございました。

 山野課長のほうから、次回の会合についてお願いします。

【山野原子力計画課長】

 今日の議論を受けて直して、また早急にご相談させてもらいます。次回の具体的な段取りは未定ですが、きちんとフォローをしていきたいと思います。そういう意味では、総花的というよりも、個々の課題を、それは部分、部分でもいいのですが、具体的にきちんとフォローをしていくというようなスタイルでやっていきたいと思っています。それと、将来的なインフラ整備みたいなことは、どちらかというとものすごく前向きな話ですが、それはもっときちんと議論をしていきたいと思っています。また、段取りにつきましては、個々にメールなどで相談させていただきます。

 以上です。

【田中主査】

 ありがとうございました。

 それでは、これをもちまして第5回原子力基盤強化作業部会を終了いたします。どうもありがとうございました。

お問合せ先

研究開発局原子力計画課

遠藤
電話番号:03-6734-4543
ファクシミリ番号:03-6734-4162