2008年3月のGEO執行委員会会合において、GEOSS10年実施計画の見直しのためTarget Task Team(T3)が設置された。以後3回の会合において10年実施計画及びその参照文書に示された241のターゲット(2、6、10年目標)の見直し、2015年までのGEOSS実施のための戦略的な目標について議論を行い、戦略目標文書が取りまとめられ、11月の第5回GEO本会合に提出された。
第5回GEO本会合において、本戦略目標はGEOの全ての参加国・機関によるレビューを受けることとされ、2009年1月末までに意見を受付、2月のT3会合において提出された意見の取りまとめを行うこととなった。さらに「2009-2011作業計画」及び「業績モニタリング及び評価フレームワーク」との3者間の調整を経て、2009年の第6回GEO本会合に提出される予定。最終的には、2010年の第5回地球観測サミットにおいて承認を受けることを目指している。
2015年時点で達成可能でありかつGEOSS活動を引き上げることを目的とした、シンプルな達成目標を分野ごとに設定。達成目標と(四角囲みの文章)と補足の説明文章からなる。
構造、データ管理、能力開発、科学技術、ユーザー関与
災害、健康、エネルギー、気候、水、気象、生態系、農業、生物多様性
(事務局仮訳ですので、詳細については原文に当たってください)
GEOSSの展望は、人類の利益のための意志決定や行動が、調整され包括的で持続的な地球観測及び情報によって与えられるような将来を、実現することである。
GEOSSの目的は、地球の状態の監視を改善し、地球プロセスの理解を増進し、そして地球システムの振る舞いの予測を向上するために、包括的で調整され持続的な地球システムの観測を達成することである。GEOSSは、健全な意思決定の基礎となる、適時な、高品質で、長期的な全球情報の必要性を満たし、初期段階では以下の分野において社会への利益の配布を増進させるだろう
GEOSSは「国連ミレニアム宣言」及び2002年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議」によって明確に表現された挑戦に対処するための一歩であり、「ミレニアム開発目標」の実現を含む。GEOSSはまた、国際環境条約上の義務の履行を促進するだろう。
全球地球観測システム(GEOSS)は、地球観測に関する政府間会合(GEO)参加国・機関のボランタリーな貢献による、環境分野における国際条約義務の実施を含む、社会における情報に基づく意志決定を支援する調整され統合された地球観測及び情報システムのネットワークである。
1. データ、メタデータ及びプロダクトを含む世界の主要な地球観測データ等へのアクセスを可能にすることにより、ユーザーコミュニティをサポートするユーザーフレンドリーかつアクセス容易なGEOSSのための共通インフラの開発、運用、維持管理を行うこと。 |
2. 研究段階から運用段階への移行とともに、衛星、航空機、in-situを含む将来の地球観測システムの調整された開発と実施を確実にすること。 |
3. 全てのGEOSS社会利益分野の支援に不可欠な環境、地球物理及び地質に関する基礎的な変数のコアセットための包括的かつ信頼性の高いデータ、メタデータ及びデータと情報プロダクトの継続的長期提供を実現すること。また歴史的データ及び再解析を含むこれら包括的データセットが、GEOSSデータ共有原則に従い継続的に利用可能とすること。 |
4. 全ての社会利益分野における地球観測とその派生情報のための、国家、国際レベルでの個人、組織、インフラの能力向上の取り組みを調整すること。 |
5. 関連の科学技術コミュニティのGEOSS実施への連携及び関与を確実にし、最先端の技術と地球科学知識を継続的にGEOSSの開発と運用に取り込むことを可能にすること。統合されたGEOSSの観測網、モデル、データセットは強固に科学研究と技術開発に寄与するであろう。 |
6. 特に開発途上国において、政策決定と計画のためのユーザーニーズに対応する地球観測システムの主要なデータ情報源としてのGEOSSの認知度を世界レベルで高めること。 |
7. 全てのGEOSS社会利益分野をサポートするデータ、メタデータ及びプロダクトの提供に必要な、分野横断かつ環境、地球物理及び地質に関する基礎的な変数のコアセットをユーザーと協力し明確にすること。 |
8. 災害と関連する危機管理サイクルの全てのフェーズ(緩和と準備、早期警報、対応、並びに再生)をサポートする観測と情報システムの全球規模での調整を可能にすること。 |
9. 健康への環境リスク被害の早期発見、防止、モニタリング、緩和と軽減を可能とする、地球観測情報、指標、モデル及びツールの開発と利用を加速し、世界レベルでのアクセスを可能とすること。 |
10. エネルギー利用の改善、環境影響の最少化、エネルギー政策策定への情報提供に重点をおいた、既存及び新たなエネルギーシステムの計画及び運用のための関連の環境、地球物理及び地質のデータ及び情報の提供及び利用を促進すること。 |
11. 気候関連観測の利用可能性を確実にし、気候変化と変動の評価及び適応と緩和のための政策決定に役立つグローバルに調整された情報を提供すること。 |
12. 環境関連の国際条約における義務のサポートとモニタリングなど政策決定をサポートする包括的な全球炭素観測と解析システムを促進すること。 |
13. 水供給の改善及び全球水管理と国家、地域、河川レベル及び全ての空間分布での気候変化の解明のため、水の量・質を観測する統合され、持続可能な全球水循環観測システムを開発すること。 |
14. 水管理とガバナンス及び水文気象極端現象(例、干害と洪水)のモニタリングと予測のため改良された意志決定支援ツールに重点をおいた、世界規模での統合された水資源管理を容易かつ可能にする局所及び地域レベルでの地球観測の利用を拡大すること。 |
15. 生命の喪失を軽減し、資産の損害を縮小し、気象観測における重要な空白を無くし、他の社会利益分野のための気象データへのアクセスを可能にするため、シビアウェザーの情報を改善すること。 |
16. 全ての生態系とそれらへの人類の影響の包括的なモニタリング能力の設計、実施を通じ、陸域、沿岸、海洋資源の持続可能な管理及び保護を改善すること。 |
17. 食糧安全保障と市場の効率性向上のための調整された全球規模の農業早期警報システム運用を確立すること。 |
18. 天然資源の保護と改良された管理をサポートする政策決定を可能にするため、世界の生物多様化の現状とトレンドを収集、管理、共有及び解析するための世界規模の生物多様性観測ネットワークを確立すること。 |
研究開発局海洋地球課地球・環境科学技術推進室
-- 登録:平成21年以前 --