第3回GEOSSターゲットタスクチーム(T3)会合の結果概要

平成20年10月24日
石田

1.月日

平成20年10月21日(火曜日)~23日(木曜日)

2.場所

GEO事務局(WMO本部内)

3.出席

ウイッティNOAA長官特別補佐(共同議長)、オワロ・ウガンダGEO代表(共同議長)、アシャシェ事務局長、ウド・ガトナー(独)、ジレス・オリエ(EC)、デイエゴ・フェルナンデス(ESA)、ピータ・コロハン(米)、アレクシア・グセフ(GEO事務局)、クライプ(GEO事務局)、ラーズ・エイデ(ノルウエイ)、石田(JAXA)

4.今回会合の目的

第5回GEO本会合(11月、ブカレスト)に提出するGEOSS戦略目標(ターゲット)案の作成

5.要旨

(1)GEO事務局長の挨拶


アシャシェGEO事務局長から以下の趣旨の挨拶があった。

  • T3に対するGEOの期待が大きい。
  • GEO2009-2011年作業計画T3ターゲット見直し作業、評価指標(インディケータ)検討、の3つの作業が並行で進め、その後、3者間の調整を行う。

ジレスEC代表から、GEO2009-2011年作業計画に、T3の作業結果を反映する必要性が強調された。

(2)GEO2009-2011年作業計画

GEO2009-2011年作業計画第3版の第2版からの変更について以下の説明がGEO事務局よりあった。

  • タスクの管理方法を若干修正した。
    -タスクとサブタスクがあるが、タスクの管理はGEO専門委員会が行う。
    -4つの専門委員会の合同会合を毎年行う。
  • 横断分野と公共利益分野のタスクをGEOメンバー国と参加組織の意見を反映して修正した。(主な修正は以下のとおり)
    -炭素観測タスクを、構造分野から気候分野に移動(日本の意見を反映)
    -炭素観測タスクに、宇宙からの温室効果ガス観測サブタスクを追加(日本の提案を反映)
    -生態系タスクに、生態系の脆弱性の監視を追加

ジレスEC代表から、第5回GEO本会合(11月、ブカレスト)までにT3の作業結果をGEO2009-2011年作業計画に反映するよう要求があったが、第5回GEO本会合の後に、GEO執行委員会がGEO作業計画、T3戦略目標、評価指標の3者の調整を行うことが提案された。

(3)  GEOSS評価指標

GEO事務局から、GEOSS評価指標について以下の説明があった。

  • GEOSS評価指標を策定して、GEOSSの業績の評価を行う。2010年に中間評価を行い、2015年に最終評価を行う。
  • 評価のレベルについては、社会への影響度(Impact)は費用対効果の分析に膨大なリソースがかかるため、結果(Outcome)のレベルで行う。

これに対して、ジレスEC代表からは、通常GEOSSのような大きな計画を立てる前にはその費用対効果分析を行うが、GEOSSはまだそれをしておらず、早期に評価が必要との意見があった。一方、ウド独代表からは、評価の必要性は認めるが、GEOSSはまだできたばかりで、その成果は多くが期待できない、リソースも限られていることから評価もほどほどに行う必要があるとの発言があった。当方からも、T3は2015年時点の達成目標を検討しているが、2010年時点の中間評価になんの評価基準が使えるか検討が必要と問題点を指摘した。

(4)  GEOSSの定義と目的(ゴール)

前回検討したGEOSSの定義と目的について再検討を行った。

  • GEOSSの定義については、「統合のためのフレームワーク」は、弱すぎるとして「地球観測・情報システムのネットワーク」と改められた。
  • GEOSS目的に、タイムリーなデータ提供が追加された。

(5)GEOSS戦略目標案の作成

GEOSS戦略目標の要件として以下があげられた。

  • 2015年時点で達成可能であり、かつGEOSS活動を引き上げるようなもの
  • 結果と影響を含む
  • 計測可能であること
  • 統合を促進すること

戦略目標は、各分野1~2個とし、短い達成目標の記述と、それを補足する説明文書で構成することとした。
GEOSS2009-2011年作業計画の構成に沿って、担当を決めて、GEOSS戦略目標の案を作成、編集を行った。

(6)GEOSS戦略目標案の全体レビュー

作成されたGEOSS戦略目標案をT3全体でレビュー、その結果を反映した修正版を再度レビューし、修正を加えた。
T3全体レビューでの主要コメントは以下のとおり。

  • 構造- 共通情報基盤ばかりでなく、観測の集約を含める。
  • データ管理- 利用者にやさしいインタフェース、ライフサイクルデータ管理を含める。
  • 能力開発- 各国、各参加組織の計画を調整して、GEOSS能力開発活動を策定することを達成目標とする。
  • 災害- 災害管理支援に必要なデータベースの提供ではなく、観測情報システムの構築とする。
  • 健康- 利用者コミュニティネットワーク構築と、環境の健康リスクに関するデータ、情報、モデル、予測等の利用の拡大を達成目標とする。
  • エネルギー- エネルギー消費による環境への影響を含める。
  • 天気- 異常気象の観測、観測ギャップの充足等を含める。
  • 水- 水資源管理と気候変動影響監視のための全球水循環観測システムの構築と、統合水資源管理の応用の拡大の2つを戦略目標とする。
  • 気候- GCOS、WCRP、IPCC等の地球観測に関する組織間の調整を行う、また気候必須変数(ECV)の観測のための観測システムの整備、さらに炭素循環観測システムの構築を達成目標とする。
  • 生態系- 人間の生活圏が環境へ与える影響の監視を含める。

6.今後の予定

10月27日の週:T3メンバー及び外部専門家による戦略目標のレビュー
11月1日の週:前週のレビュー結果の反映(事務局)
11月7日:第5回GEO本会合への戦略目標案の提出
11月19~20:第5回GEO本会合(ブカレスト)
来年3月~4月:GEOSS2009-2011年作業計画タスク/T3戦略目標/評価インディケータの3者間調整

7.所感

第5回GEO本会合へ提出する戦略目標案の策定を行い、今回会合の所期の目的を達成することはできた。 今後、T3メンバー及び外部の専門家によるレビューが必要である。

以上 

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(研究開発局海洋地球課地球・環境科学技術推進室)