X線自由電子レーザー計画評価作業部会(第3回) 議事録

1.日時

平成20年7月28日(月曜日) 13時30分~16時30分

2.場所

文部科学省 5階 5F4会議室

3.出席者

委員

 雨宮主査、潮田委員、遠藤委員、神谷委員、竹山委員、田島委員、谷口委員、徳宿委員、亘理委員

文部科学省

(研究振興局)
 倉持審議官、林量子放射線研究推進室長、加藤量子放射線研究推進室長補佐

オブザーバー

(陪席者)
 石川X線自由電子レーザー計画推進本部 プロジェクトリーダー
 矢橋X線自由電子レーザー計画推進本部利用グループビームライン建設チーム チームリーダー

4.議事録

【雨宮主査】
 第3回X線自由電子レーザー計画評価作業部会を開始したいと思います。今日は、所用で今野委員と家口委員はご欠席です。中間評価を審議するに当たり、不明な点など適宜ご説明いただけるように石川プロジェクトリーダーと矢橋チームリーダーにはご陪席いただいております。
 7月15日付で藤木審議官から、倉持審議官が新しく着任されました。一言ご挨拶をお願いしたいと思います。

【倉持審議官】
 11日付で藤木審議官の後に着任させていただきました。実はこれまでの1年間、理化学研究所に出向しておりまして、まさにこのX線自由電子レーザーの計画の本部長を務めさせていただきました。理研では理事長以下、この国家基幹技術というのは必ず成し遂げなければいけないプロジェクトだということで取り組んでおりましたが、今回、立場が変わりまして、特にユーザーの声をどう反映していくか、また今までのSPring-8にないユーザーコミュニティというものをどういうふうに反映していくか、といったところもよく考えていきたいと思ってございます。
 先生方におかれましては、ご多忙の中、この評価作業部会の委員をお引き受けいただきまして御礼申し上げます。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

【雨宮主査】
 本日は、前回の作業部会、第2回で議論したこと、更にその後、各委員からいただいたコメントに基づいて報告書の案というものを準備しております。配付資料2の案を具体的に項目ごとに議論していくという作業を行っていきたいと思います。
 最初に配付資料の確認を加藤さんからお願いします。

【加藤室長補佐】
 量子放射線研究推進室、補佐の加藤でございます。配付資料の確認をさせていただきます。議事次第に沿って確認をさせていただきます。
 机上配付資料ですが、各委員からの中間評価に対するコメント(委員ごと)という資料をお配りさせていただいております。
 今回欠席されております今野委員から、追加のコメントを、1枚物の資料もあわせてお配りさせていただいております。
 最後に、第2回時に配付した資料を今回の議論の参考にしていただければということでお配りさせていただいております。

【雨宮主査】
 ご確認いただけましたでしょうか。資料1が前回の議事録の案で、これはメールで皆さんに確認依頼が行っているかと思いますが、何かお気付きの点等ございますでしょうか。今日、最後までにお気付きの点があるようでしたら、コメントをいただき、特にコメントがなければこれを承認させていただきたいと思います。
 今日の議論は、資料2の中間評価報告書(案)、こちらを具体的に議論していきます。これは前回の第2回のときの議論、その後、メールで皆様からいただいたコメント等を反映してまとめた案です。皆様からいただいたコメントについては、委員及び事務局の方のみ机上配付ということで、それを適宜ご参照いただければと思います。
 この議論に入る前に、資料3-1、3-2はこれまでの説明の補足資料として用意しているもので、こちらについて、簡単に石川プロジェクトリーダーからご説明いただければと思います。

【石川プロジェクトリーダー】
 資料3-1、「開発」に関する補足資料でございますが、開発に関して、「計画の推進にあたり、計画的かつ効率的な仕組みが構築されているか」というところに対しまして、「今後、計画外事象が発生したときの仕組みが十分であるかは不明」というコメントをいただいております。我々の建設運営体制の基本的な考え方をここに示してあります。まず、この試験加速器の成果と、SPring-8をつくってきたということで培われた加速器、ビームライン及び放射光利用に係る人的技術的な資源を最大限に生かして、XFELの実現と利用研究の開拓を国家基幹技術としてオールジャパンの枠組みで実施するというのが基本的な考え方です。
 想定外の事象に対しましては、SPring-8の建設で培われたリスクアセスメントとリスクマネジメントの考え方、すなわち、計画の進捗状況や問題点等、情報の共有化と分析、強いリーダーシップ、組織運営の平坦化と柔軟性、製作メーカーに共同開発意識を持っていただくこと、こういうことを基本的な考え方とした上で、専任スタッフが全員参加する定例会議を毎週開催し、情報を共有し、問題点を整理し、小さな芽のうちに対処することで想定外の事象が起こることを回避するということを基本的に考えております。
 想定外の問題が発生した場合、原理・原則に立ち返って最善の方法を考えるチームを臨機応変に編成し、必要に応じてメーカー担当者とも協力して問題点の解決を図ってきました。これはSPring-8で実施していることでございますが、こういうことをしてきたがために今のSPring-8が存在しているわけでございまして、この考え方を継続・踏襲して取り組んでいくというのが基本的な考え方です。
 加速器部分は、想定外のことが起こることが少ないのではないかと思います。もう一つは、いろいろなところを小さく分けておりますので、想定外のことが起こっても、それほど広がらない体制となっていると思っております。一方で光のところは、世の中で初めて出てくる光でございますから、むしろ想定外のことが起こってくれないと困るわけでございまして、その想定外のところにサイエンスがあるのだと思っております。
 参考資料の1-1と1-2でございますが、実はこのプロトタイプの加速器が、本日、『Nature Photonics』のオンライン版に載りまして、それに向けてのプレス発表をしたときの資料でございます。

【雨宮主査】
 どうもありがとうございます。もう一つ、補足説明として資料3-2について林室長からお願いします。

【林室長】
 各委員の先生方の意見の中で、各利用推進研究はXFELのどういう特長を利用しているのか、こういう質問がございました。具体的には先生が、コヒーレンス性、フェムト秒時間分解能、大パルス強度というものを挙げられていたので、利用推進研究課題を実施している下村POとも相談して、前回お示しした資料で共同研究者の欄を削除しまして、そこにXFELの特長というものを書きました。要は、その課題に関係するXFELの特長のところを入れた表を改めて作成致しましたので、ご参考にしていただければと思います。

【亘理委員】
 地震対策はどうやられているでしょうか。大丈夫につくってあるのでしょうか、原子炉みたいに。

【石川プロジェクトリーダー】
 地震に対しては、建築基準法上で建物としては大丈夫ですが、加速器のアライメントが必要になる場合があると思います。

【亘理委員】
 加速器を損傷するとかいうこともあり得るわけでしょうか。

【石川プロジェクトリーダー】
 地震の規模により、全くないとは言えない。建屋自体は建築基準法上は大丈夫です。SPring-8の建屋は、例えば神戸の地震があったときには何ともなかったわけですけれども、その規模の地震が近くであるかもしれません。また、もっと大きい地震があるかもしれない。それへの対応は経済性と兼ね合いと思います。

【林室長】
 普通の建築基準法上の建屋として建設しているということです。例えば原子力とかですと、もっと頑丈につくりますけれども、そこはどこまでお金をかけてやるかということになります。それがどこまで壊れたら危険なものかということの裏返しになるかと思いますが、加速器についてはそういうものではないため、普通の建築基準法の基準に則って建設しているということでございます。

【神谷委員】
 筑波はあまり大きな地震はないのですが、それでも震度4位はあります。安全のために落とすことはありますけれども、大体戻ります。まず、ずれるということはない。もっとそれ以上のものがあったときは、加速器がずれるならアンジュレータもずれてしまうでしょう。

【徳宿委員】
 ビームはすぐ止まるのですか。

【神谷委員】
 ビームは止めるようにしています。

【石川プロジェクトリーダー】
 加速器は何かが起こると、原子炉と違って安全側に動きます。地震があると止まってしまう。それを復旧させる努力は必要になる。

【亘理委員】
 ビームが飛び出るとかは絶対ないのですか。

【林室長】
 それはないでしょう。

【雨宮主査】
 原子炉的な安全に対する問題というのはなく、装置が壊れて高い装置を復旧するのが大変だという、いわゆる計測機器と同じカテゴリーかと思います。

【林室長】
 加速器がずれたら、そこでもう加速できなくなって、ビームが消滅して終わってしまうということだと思います。

【神谷委員】
 原子炉と逆だと思っていただいた方がいいです。原子炉は間違えば暴走する可能性がありますけれども、加速器は逆に止まってしまい困る、動かないで困るという方向に行くものです。

【雨宮主査】
 それでは、議題に入っていきたいと思います。今日の進め方ですが、この報告書(案)の1ページの目次をご覧下さい。構成は、「はじめに」ということで、背景、今後の期待という3つの項目、その後、2から5まで評価項目である4つのポイントについて、それぞれ評価、今後の在り方となっています。今日は開発についてと、それと利用推進研究について詳しく議論していくことになると思いますが、(1)の開発の現状と、利用推進研究の現状については、それぞれ提供していただいた情報をまとめたもので、委員からいただいたものをまとめたのが評価、今後の在り方です。
 次回でまとめるということを考えていますので、特に開発について、利用推進研究についてのところは、本日かなり最終的なところまで議論を進めていきたいと考えています。事務局で音読をしていただくということにします。どういう視点でコメントしていただくかですが、主に3つの大きな視点かと思います。漏れがないかということが第1点。ここに盛られている項目の中で、コメントしたことと違ったことが書かれているかどうか、内容がコメントしたことと一致しているかどうか。更には、表現、文言、こういう文言の方がいいのではないかという、大きく3つの階層の違う視点で見ていただきながら議論を進めていきたいと考えております。

【加藤室長補佐】
 (1.はじめに、の読み上げ。)

【雨宮主査】
 ここは大枠のところで、特に問題はないかと思いますが、宜しいでしょうか。

【林室長】
 今野先生から意見が出されております。2ページで、画期的な成果が創出されることを期待するというところをもう少し具体的に、「レーザー発振波長が0.06ナノメートルという特徴を生かして、他国で進められている同様の施設が達成できない画期的な成果が創出されることを期待する」と具体的に書いては如何でしょうか、ということがあります。

【田島委員】
 これは適切じゃないのではないか。0.06が特別なのではない。

【雨宮主査】
 中を読んでいけば、0.06という具体的な開発のターゲットというのが書かれています。初めのところで、この数値を盛り込む必要があるかどうか。中を読んでいって数値が明確に分かるのであれば、ここに敢えて、この0.06だけを載せるということが特に必要ではないのではないかと思います。逆になぜ0.06なのかという理由付けと一緒に抱き合わせになっているならいいのですが。

【神谷委員】
 この中身ではなくて、後ろの方もそうなのですけれども、少し日本語を直した方が宜しいかと思います。印象を言えば、最初、長過ぎて息が切れしてしまう。それから、その次の段、本計画については云々、「と結論が得られたとともに」というのは、主語がはっきりしないというのと、あとは、「てにをは」はさておいて、最後の「XFELは国費を投入する予定としている」というところ、誰が予定しているのかということと、最後は「何々を期待する」と書いてある。主語、どういう観点、誰が書いたかという点を、統一した方が宜しいかと思います。

【雨宮主査】
 これは誰が書いたかというのは、この部会の委員、我々です。

【神谷委員】
 委員だと思いますが、その書き方も主体的に書くのか、客観的に書くのか。それがちゃんぽんであるような気がします。

【雨宮主査】
 分かりました。国語力の問題。もう少し大きいところで何か抜けている視点、ニュアンスがこれは違うのではないか、食い違っているのではないかという点、ございますでしょうか。

【亘理委員】
 第1節のところ、例えば人類が今まで手にしたことはないとか、そのようなことは言う必要はないでしょうか。ここはどういうようなビームかというのが書いてあり、革新的な成果を出すものである、と書いてありますが、国民向けの一般的な分かりやすい表現は必要ないでしょうか。

【雨宮主査】
 その辺も盛り込む努力を致します。

【遠藤委員】
 誰に一番読ませたいかということ。社会一般に対してアピールするのか、総合科学技術会議に出すのかで、少し視点が違ってくる。そのターゲットをまず絞っていただくと、書き方は全然違ってくると思います。

【林室長】
 なかなか難しいところだと思いますが、国民全般ということになります。どこについて一番効果があるかと言われると、やはり省庁部内、例えば財務省であるとか、総合科学技術会議とかになるのではないかという気はします。

【遠藤委員】
 そうすると、今、日本の産業だとか科学は若干閉塞感がある中で、国が非常に力を入れて科学インフラ、研究インフラを整えて、そういうインフラが整備された中から次の時代を担うような新しい科学技術、あるいは産業技術を生み出すという、そういう熱意を盛り込むべきだと思います。そうなると、今の戦略的な意味だとかというのをもう少し強調してもいいような気もします。
 例えば、この背景のところ、新しい科学技術インフラ、先端的なインフラを欧米に先駆けてつくることによって、我が国のイノベーションを実現する大きな力とするというようなことが、一文あった方が、この大切さを非常にアピールできるような気がします。一言、何となく研究者の広い意味でその利用に供するという最低限の目標ではなくて、もっと積極的に、すごい国費を投じて欧米に先駆けて実現するということは、如何に大事なことかということを謳った方がいい。これは大事なことではないか。

【雨宮主査】
 盛り込み方は、議論していくと時間がないので、盛り込む視点をどんどん言っていただいて、またメールで確認し、次回、最後にまとめるという形にしたいと思います。そういう意味で、今の視点、どうもありがとうございます。他に何かご指摘ございますでしょうか。

【田島委員】
 私は今までの意見と逆で、この「はじめに」についてはわりとよくできていると思っておりまして、他のところはまた後で議論になると思いますけれども、このプロジェクトは、世界に先駆けてということを強調し過ぎるのは私は誤りだと思います。つまり、三極でほとんど並んでいるわけで、世界に先駆けて我々がトップに立っているという認識をここで示すと、それに対して傍証して、本当にそうだということを確信していたらいいのですが、ただ、旗を振って世界でトップだというのはちょっと危険だと思います。
 ここは評価なので、どういうことを戦略的にやると、このプロジェクトが非常に世界よりユニークでいい成果が出る、ということを述べるのが我々のミッションだと思います。例えば理研さんとか、文科省さんに対してアドバイスをして、どういうふうにこういう方向に走ると、三極の中でより素晴らしい内容のあるものとしてユニークな結果が出るか、という、もう少し具体的なことが大事なのであり、戦略的指導が大事であって、何か拍手を送るというチアリーダーではないと思います。

【雨宮主査】
 分かります。その辺は2番目、3番目の、開発について、利用推進研究について、ここはよくやっている、ここはもう少しというところ、もうちょっとのところなどでいろいろ注文が盛り込まれてステアリングができるのだと思います。ただ、ここの「はじめに」というところにおいてはやはり、これだけの国費を投入するということの位置付けが、いろいろな視点で明確になっているということが重要で、そういう意味での、それにふさわしい自覚を持って取り組むべしというような表現であり、世界のフロントランナーだということの自覚を持って取り組むべしということであれば両立するのではないかと思います。事務局とも相談し、うまく盛り込めたらいいと思います。
 他にございませんか。

【徳宿委員】
 今後の期待のところで、具体的な国費の投入の金額として390億と書いてありますが、この数字を書く必要があるのでしょうか。

【雨宮主査】
 差し支えないのであればあった方がいいのではないかと思います。文科省から見てどうでしょう。

【林室長】
 このプロジェクト、至るところで総額389億ということは言っておりまして、抽象的に「相当額の」と書くよりもいいのではないかと思いました。

【雨宮主査】
 出すことによる何かネガティブな面で、何か懸念されることは。

【徳宿委員】
 ここの委員会では、金額についての査察はしていないですから、お金が幾らでもそんなに気にしない委員会だというのと、それから、ここにあることによって、例えば経費が足らなくなったとかいうときに、ここにボンとあることによって何か縛りをつけるのであれば止めておいた方がいいかと思ったのですが、そのようなことはないのですか。

【林室長】
 そういう意味と、これだけのお金を投じているので、きちんとやってもらわないといけないという意味と両方だと思います。

【雨宮主査】
 予算規模というのは、丸めた値でも、あった方が自然な感じがすると思いますが、どうでしょうか。これは我々が決めた金額ではなくて最初に決まったということを。

【徳宿委員】
 これには評価していないのは、文章でもそう言っていないので大丈夫だと思います。

【亘理委員】
 オーダーが分からないより分かった方が、責任あるのではないか。

【竹山委員】
 あった方が、いろいろな方がこれを読むということで、一般の人にとって、サイエンスにお金がどの程度使われているかとか、こういうものをつくるときにどのレベルというのはほとんど皆目イメージがわかないので、390というとそれなりの印象を持つ。それなりの内容に対してどの位出来ているのかと、初めの導入部分にしては非常に必要なのではないかと思います。

【雨宮主査】
 では、そういう方向で。
 それでは、次の2.の開発に入っていきたいと思います。一番重要な所は、(2)の評価と(3)の今後の在り方です。(1)の開発の現状のところは少しスピードを速めて読んでいただいて、見始めると、かえって議論が散漫になるので、ここでお互いにリマインドして進むという形にさせていただきたいと思います。それでは、開発について、宜しくお願いします。

【加藤室長補佐】
 (2.開発についての読み上げ)
 …(プロトタイプ機の活用)…昨年4月には同機を活用して実験をするための実験棟--「を」になっていますが、これは「が」だと思います。…このプロトタイプ機の主要な目的は、実機建設に向けた各種研究開発であり、これにより--「高品質」ではなくて、「高品位」電子ビーム生成の確認。…また、プロトタイプ機での利用研究により認識されてきたスペクトルのショットごとの変化やさらなる短パルス化等への対応のため--「する」は要らないです。
 …(3)今後の在り方。…本施設のビームラインの本数は最大5本設置可能であるが、現在、計画において具体化されている本数--「は」を入れていただいて、は2本である。

【雨宮主査】
 大きなところで、評価、今後の在り方で、指摘すべきことで何か漏れていることがあるかどうか。それから、ニュアンスで、こういうことではなくて自分はこうだといった、その食い違いがあるかどうか、その辺のところをお願いします。

【亘理委員】
 プロトタイプ機のことで、それ自体が価値があるというようなことを書いてありますけれども、前回、太田先生が名前はどうかというようなことを言っておられましたけれども、プロトタイプとして、実機をつくるための試作機という位置付けとともに、真空紫外レーザーとして、存在価値があるのだということを、真空紫外レーザーとか何か、「プロトタイプ」という名前とともに何か、独自の存在意義があるというネーミングを少し入れたら如何でしょうか。

【雨宮主査】
 ネーミングすべしということですね。我々がここでネーミングするのではなくて、「プロトタイプ機」というままだと、それを本当に使い尽くすというニュアンスが現れない。

【亘理委員】
 真空紫外レーザーというのは他にあるのですか。

【田島委員】
 あります。そのため、そこを強調すると危険だと思います。プロトタイプとしての役割は戦略的に非常に明らかですが、真空紫外レーザーとしての先駆性があるかといったら、それはないです。

【雨宮主査】
 プロトタイプで出るエネルギーは、20エレクトロン。大体60ナノで。

【石川プロジェクトリーダー】
 20eV(電子ボルト)位。

【雨宮主査】
 強調の仕方ですけれども、プロトタイプ機をつくって、それで使わずに本機というのではなくて、やはりプロトタイプはプロトタイプで使いこなしてほしいというコメントはあったかと思います。

【田島委員】
 それはいいことだと思います。

【亘理委員】
 どこかに実態を現す言葉を併記したら如何でしょうか。

【田島委員】
 その辺は、本当に深く討議しないとミスステップになると思います。例えばDESYの場合はFLASHという機械がもう既に出来ていて、非常に進んでいる。プロトタイプを競争させようとすると、そこの評価が入ってくる。だから、そこまでの評価はしていないわけです。してもいいですけれども。そうすると、FLASHとの比較をすると虻蜂取らずになってくる。だから、利用し尽くすというのは全く、私は本当にそうしなければいけないと思いますが、それの文言はきちっと評価した上でやらないといけないと思います。

【亘理委員】
 先程の最初の、背景の第1節の、どんなビームなのかというのは、一口でとらえられるような言葉が入っているといいと思ったのですけれども、いろいろと分析が可能であるようなX線のレーザー、それから、革新的なものと書いてありますけれども、国民からして、一口で国民の心をキャッチする、そういう言葉が最初の第1節に入っているのがいいかと思います。それとともにプロトタイプも、実体が何なのかというのは、どこかで分かっていてもいいのではないかと思います。

【神谷委員】
 今言われたとおりで、パラメータは加速器とかアンジュレータのパラメータであって、光のパラメータの量を言うのは難しいと思いますが、それは初めに書かれるべきだと思います。

【雨宮主査】
 パルス当たりのフォトン数。

【神谷委員】
 加速器とかバンチを書いてもあまりしようがないのではないか。

【雨宮主査】
 でも、これはこれで。

【神谷委員】
 あってもいいですけれども。

【雨宮主査】
 プラス、もう少し。

【田島委員】
 レーザー波長はありますが、例えばスポットとか、インテンス。

【神谷委員】
 インテンシティとかと、40パルスとは絶対通じないと思います。

【林室長】
 40p。

【神谷委員】
 40pがパルスとは通じないのではないでしょうか。あと、細かいところですが、セグメントはしようがないのでしょうか。これも普通には分からないでしょう。周期数も、セグメント当たりですか。

【林室長】
 単位がないと分からない。

【神谷委員】
 周期数ですから難しいでしょうけれども。前にいただいたバージョンはギャップ長が書いてありましたが。

【石川プロジェクトリーダー】
 可変ですか。

【神谷委員】
 ギャップ長というか、ギャップ幅。可変でしょうけれども、最低と書くかどうか。

【石川プロジェクトリーダー】
 1オングストロームを出すときの値が書いてあるので、それはあまり必要ないのでは。

【神谷委員】
 分かりました。ですが、普通は、加速器のパラメータというか、アンジュレータのパラメータだとすると、ミニマムのギャップというのは書くのではないでしょうか。

【石川プロジェクトリーダー】
 それはある意味でチャンバーがあるからです。

【雨宮主査】
 では、ギャップ範囲を書くのでしたらどうですか。何ミリから何ミリ、ギャップが。

【神谷委員】
 全部書かなくてもよいのでは。

【雨宮主査】
 もしあった方がいいというコメントがあるなら、差し支えないわけですので。

【神谷委員】
 それよりも光ではないでしょうか。細かいのは書かなくてもよいのでは。

【林室長】
 本文中に入れるのには細かいのではないかと思っていますが、更にこの光のパラメータを入れると長くなってきそうですけれども、もう少し絞った方がよろしければ、こういうところもなくてもいいのではないかと思います。参考資料には、説明で使った資料を付けようと思いますので、本文中にどこまでの特徴を入れたらいいかというのは少し精査してもいいのではないかと思います。

【神谷委員】
 減らしたければピーク電流値というのは、アンジュレータのところも磁気回路と入れる必要があるのかどうか。

【雨宮主査】
 参考資料とは別にこの中に表を入れることはできると思います。本文の後ろに付けるところに入れてもよいのではないでしょうか。

【神谷委員】
 表にすればもっと小さくなります。

【雨宮主査】
 プロトタイプのことも、プロトタイプも活用すべしということであれば、プロトタイプのパラメータも別表などに入れてもよいのではないでしょうか。

【林室長】
 同じ位必要でしょうか。

【雨宮主査】
 光です。

【林室長】
 波長の長さだけは書いてあります。光の部分だけでも入れましょうか。

【神谷委員】
 プロトタイプについては、利用体制は本機とは違うということですか。

【林室長】
 本機とは違います。本機の方が共用法上の共用施設に位置付けられているのに対して、こちらはあくまでも理研の施設ですので、そこは自ずと違いが出てくるとは思います。

【神谷委員】
 波長の違う利用者かもしれませんが、利用者から見れば十分使える。

【林室長】
 似たような環境で使うようにすることは、今後の検討次第かと思います。

【亘理委員】
 ペアで使える、大きな波長範囲がカバーできるというのはメリットだと思います。

【田島委員】
 光学系の評価で、大体進捗しているという評価を与えたのですが、もう少し細かく言いますと、目標を理研が掲げてやられていることについてきちっと進んでいるように私は思いました。ただ、目標自体が出ていないような問題はあると思っていて、例えば前回にも申し上げましたが、強度を高めようとすると、光学系、X線のこういう波長で、強いX線を発生しようとすると、そういう光学系はほとんど存在していないわけで、そういうものの開発というのがどうなっているのか、というのが質問としてもありまして、それはここには取り上げられていないので、特にそれについての評価はしなかったのですが、例えば光学系の劣化とか、そういう問題というのはどうなのでしょうか。 例えばSLACの場合は、非常に強いX線に対してはリバモアという連結している、隣の国研がそういうX線のオプティクスをやっているとか、その辺は、ここに入れるか入れないか特にこだわらないのですけれども、どうなのでしょうか。

【雨宮主査】
 光学系ではスペックルフリー光学系で1つのジャンプがあったということで、そういう意味ではどれだけ平坦度でいいミラーができて、そこはここに盛ってあるわけです。問題は、その強度に対してどれだけ耐えられるか。

【田島委員】
 それと劣化。

【石川プロジェクトリーダー】
 リバモアのクライテリアというのがあって、このスペックルフリーの光学系というのは、斜入射の非球面で使える。リバモアのクライテリアに比べて、100分の1とか、1,000分の1位の密度でも使えるような光学系をつくるということですので、そのあたりはあまり心配していません。

【雨宮主査】
 リバモアは斜入射ではないのでしょうか?

【石川プロジェクトリーダー】
 リバモアの計算は直入射で使ったときにどれだけ光があったらだめになるかという話をしています。実はDESYで、FLASHで直入射のマルチレイヤーで行っていて、驚いたことにそれはちゃんと動いているのですが、リバモアの計算よりは低い。リバモアの計算は確からしいと言われている。我々は、その直入射はやめて、X線でもありますから、全部斜入射で使えるようなオプティクスをつくるというのが、このスペックルフリーの光学系です。フットプリントを広げてありますから、デンシティとしては100分の1とか、1,000分の1とか、そういうオーダーで使えます。

【雨宮主査】
 熱のデンシティですね。

【石川プロジェクトリーダー】
 はい。

【雨宮主査】
 いわゆる平坦度などを考えても、X線領域であると斜入射しかあり得ない。直入射だったら、それに耐える平坦度は無理でしょう。

【石川プロジェクトリーダー】
 反射率が出ないですから。直入射で反射率が出ていたらSASEでなくて共振器をつくるはずです。

【雨宮主査】
 そうですね。
 少し議論が細かい方向に行ったのですけれども、文言としてはどういうふうに反映させる可能性があるかですが、いろいろなことに小分けの、ラジエーションハザードの問題に関することも重要なポイントだということができますか。

【田島委員】
 実際にそういう光はまだ存在していないので、どういう研究開発が、どういうことでなされているかというのは直接知らないので、担保されているかどうかというのはよく分からない。

【矢橋チームリーダー】
 そういう意味で、5ページの(2)評価の利用技術のコロンの後に「超平坦ミラーの加工技術」とありますが、今議論になった斜入射にするということに伴って、超平坦ミラーのサイズをかなり大きくしないといけないという問題がありまして、そこについて非常に技術開発が行われて、それがクリアされたということは事実としてありますので、そのあたりの文言を入れていただくのがよろしいのかと思います。

【雨宮主査】
 具体的にどの位の大きさですか。

【矢橋チームリーダー】
 400ミリ。

【田島委員】
 湾曲や集光もできますか。

【矢橋チームリーダー】
 できます。

【石川プロジェクトリーダー】
 湾曲というよりは、最初から非球面を削ってしまう技術です。

【田島委員】
 集光するときはどの位小さくなるのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 目標はナノです。SPring-8の実績としては8ナノまで。

【雨宮主査】
 それは波長幾つに対してですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 波長が17keV(キロ電子ボルト)位。

【雨宮主査】
 ミラーの大きさはどの位ですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 20センチ位のミラーで、楕円鏡で1次元。楕円で光源点をもう一つの楕円のフォーカスに集光するようなミラーです。

【神谷委員】
 日本語の使い方で申し訳ないのですが、ミラーの加工技術でしょう。その後、XFELの輸送・加工というのは何か読みにくい。光の加工。その後、更に「本技術は、スペクトル精密計測する」と続く。本技術によってスペクトル精密計測が実現したのですか、ショット毎の。

【石川プロジェクトリーダー】
 ある意味で。ミラー角度と波長をディスパーズさせる。

【神谷委員】
 超平坦ミラーによってショット毎のスペクトル精密計測が実現した。

【石川プロジェクトリーダー】
 平坦ミラーを使うことによってです。

【神谷委員】
 スペクトル精密計測は分かるのですが、シングルショットの意味が。シングルショットの継続が実現したというふうに読めます。

【石川プロジェクトリーダー】
 シングルショットでスペクトルが、要するにディスパーズさせて、スペクトルを場所の情報にすることができますから、シングルショットで行くわけです。

【神谷委員】
 そうですか。シングルショット、そういう意味ですか。

【田島委員】
 でも、そういう光源はないのでしょう。

【石川プロジェクトリーダー】
 X線ではなくて、この場合にはプロトタイプをディスパーズしてグレーティングに入れたのですが、そのグレーティングのところを結晶に変えれば、X線でもそのまま使える。

【矢橋チームリーダー】
 X線では、1キロメートルのコヒーレントなビームを使って実証実験を行った。XFELはまだ当然ない。1キロは1キロメートルのことです。

【田島委員】
 ボルトじゃない。

【矢橋チームリーダー】
 はい。

【田島委員】
 それは100kV(キロボルト)位ですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 そもそもが20kV(キロボルト)しか出ない装置です。そのあたりで実証はされている。

【神谷委員】
 それを強調する意味があるのかです。

【雨宮主査】
 強調するというか、この評価の中で光学系がどれだけ準備されているのかというご指摘があり、実際に準備していることに関して、説明していただいて、光をどうハンドルするかというのは重要なポイントだと思います。ただ、輸送・加工が少し分かりにくい言葉だということですか。

【神谷委員】
 いや、少し言葉がおかしいのではないでしょうか。ミラーの加工と来て。少し変えた方がいいのではないかという気もします。

【潮田委員】
 操作、実際にはフォーカスするとか、そういう意味でしょう。加工というのは、ビームサイズを変えるとか、そういうこと。

【石川プロジェクトリーダー】
 英語で言うとtailor。

【潮田委員】
 transport tailor。

【石川プロジェクトリーダー】
 はい。

【神谷委員】
 あまりにも近いから、非常に読みにくい。

【石川プロジェクトリーダー】
 ミラーの加工技術とこの加工が。

【潮田委員】
 これは加工ではない。

【雨宮主査】
 fabricateとtailorを日本語で使いこなす。

【石川プロジェクトリーダー】
 「ミラーの製作技術」とか。

【神谷委員】
 そう。その後、フェムト秒のタイミングをあきらめたと言っておきながら、開発され可能となったというのは何か、前は何かあきらめましたと言われましたよね。

【石川プロジェクトリーダー】
 タイミング合わせの話とタイミング配りの話は違うわけで、フェムト秒の時計はみんな持っている。そのフェムト秒の時計に他のものをフェムト秒で合わせ切れるかどうか、そこはしっかりとはやっていない。だけれども、はかるところはやっている。

【神谷委員】
 時計が行けばはかれるという気がしないでもない。

【石川プロジェクトリーダー】
 時計が行っても、その時計にぴったり合わせてレーザーを打つというのは非常に難しい。

【神谷委員】
 難しいですね。そうすると、これは時計システムですね。

【石川プロジェクトリーダー】
 時計システムです。

【神谷委員】
 タイミング同期システムじゃない。タイミング同期というと、それができますということだと思います。言葉の問題かもしれないです。タイミング同期というのはレーザーが打てますよということです。例えば時計システムでしょう。時計システムという言葉はないでしょうけれども。

【雨宮主査】
 確かに、ポストプロセスでやるという話と、このタイミング同期システムと……。

【石川プロジェクトリーダー】
 光コム。

【雨宮主査】
 そのところのつながりが分かりにくいということです。そこをタイミング同期システムとなると、ポストプロセスでやる必要ないのではないかという話になるということですね。そこは適当な文言を考えるようにします。

【神谷委員】
 もう一つ、今野さんも言われている、短パルスとシーディングのところで、短パルス化のためにシーディングが必要というふうに読める。

【雨宮主査】
 5ページ目の4行目、5行目。

【神谷委員】
 「ショットごとの変化」はいいと思いますが。

【田島委員】
 「シーディング」ですね。

【雨宮主査】
 シーディングです。「ド」を落とす。

【田島委員】
 「シーディング技術の研究開発を進められている」。

【神谷委員】
 前の文章と少しニュアンスが違う。「さらなる」、そうなのですか。

【雨宮主査】
 「さらなる短パルス化」と関係していますよね、シーディング。具体的にはシーディングしないでマルチモードが入っていて、シーディングすることによってどうなるのでしたか、数値的には。

【石川プロジェクトリーダー】
 シード光の光の長さで決まるので、短いシード光を入れればできます。

【神谷委員】
 できます、ということだと思うのですが、そのためにそうやっているのですか、シーディング技術は。

【石川プロジェクトリーダー】
 いや、シーディング技術は、まず今の段階では、この領域でシードができること自体が大切ですから、それでやっている。

【神谷委員】
 その目的は?

【石川プロジェクトリーダー】
 第1にはシングルモード化。ですが、短いパルスを使えば短バンチ化もできます、というのは、ここに書いてあるとおりだと思います。そのためにやっているかどうかは別として。

【田島委員】
 この「ために」というところに引っ掛かっているのではないか。

【神谷委員】
 ええ、ちょっと。多分、今野さんもそうだと思うのですが。

【林室長】
 ここは前回の資料5の43ページのところにプロトタイプ機で認識された事項と実機に向けた対応策、43ページのところにありますが、ここを使ってつくったところなので、科学的に変だということであれば直していただければと思うのですけれども、この43ページにシード技術の研究開発を進めると。これはスペクトルがショット毎に変化するというのと、更なる短パルス化というところに引っ掛かっていたので、そういうふうに書いたという話です。要はプロトタイプ機の対応策の例示として挙げているものなので、文章としてもっとよりよいものがあれば、そういうふうに書いていただいた方がいいと思います。

【潮田委員】
 これは、プロトタイプ機でやっているのですよね。

【石川プロジェクトリーダー】
 そうです。

【潮田委員】
 前に聞いたとき、大分上流の方でやる。

【石川プロジェクトリーダー】
 それはスーパーシーディング。

【雨宮主査】
 このシーディングはプロトタイプ用で、スーパーシーディングというのが、今度、実機用で新しい試みです。スーパーシーディングというのは非常にチャレンジングだし、ここでも重要だという話を、今後の在り方のところで6ページの下にまとめてある。

【田島委員】
 日本語は改善の余地はあると思いますが、基本的な論点は合っていると思います。

【徳宿委員】
 ここにわざわざ「実機の製作と並行して」と書かなくていいのではないでしょうか。実機と関係ない。こう書いてあると、実機でもシーディング技術を使うように逆に思ってしまいます。

【潮田委員】
 「製作と並行して」か。

【神谷委員】
 これ、消せばいい。シーディング技術。

【田島委員】
 でも、実機でもシーディングをやるのでしょう。

【徳宿委員】
 でも、実機はスーパーシーディングですよね。

【田島委員】
 スーパーシーディングしかしない。

【林室長】
 そこの関係、ちょっとあいまいなのかもしれないです。

【石川プロジェクトリーダー】
 実機ではシード光がレーザーでつくれるところ、波長領域では勿論このシーディングができるのですけれども、Xだとそれを超えてしまうわけです。Xのところはエレクトロンを変調させてやるしかないだろうと思っている。

【雨宮主査】
 エレクトロンをいじるシーディングのことをスーパーシーディングと言っているわけですね。

【石川プロジェクトリーダー】
 スーパーシーディング。

【潮田委員】
 普通にシーディングと言うと、アンジュレータのところに入れて。

【石川プロジェクトリーダー】
 種光を入れてやる。

【潮田委員】
 フェーズを合わせてやるのでしょう。

【石川プロジェクトリーダー】
 はい。

【潮田委員】
 スーパーシーディングというのはエレクトロンの。

【石川プロジェクトリーダー】
 低エネルギーのところで、エレクトロンのところにレーザーで粗いモジュレーションをつくって、それを加速器で縮めていく。アンジュレータの中を走る光の波長と同じところまで縮めて、アンジュレータの中を走らせる。

【田島委員】
 ハイヤーモニックなどはどちらに入るのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 レーザーのハイヤーモニックですか?

【田島委員】
 HHGなどを入れてやるのはどちらに入るのですか。普通のシーディングですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 多分、普通のシーディング。

【雨宮主査】
 普通のシーディングですよね。

【田島委員】
 それはやるのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 それはもうフランスチームがやっています。実機でもやることになると思います。

【亘理委員】
 シーディングというのはどんなものかというのはこれを読む人は分かっているわけですか。

【徳宿委員】
 言葉を入れないと厳しいです。

【亘理委員】
 神谷先生がおっしゃったのは、対応するためというところに、そのシーディングの目的と、これは何かまた別なそういう技術開発だと思うのですが、混同する。何のためというのが、シングルモードと言いましたか、コヒーレンシーとか、そういうことだと思うのですけれども、空間的、時間的。そういうような、一言、どこか入れなくて宜しいですか。

【田島委員】
 SASEモードだと縦方向にいろいろなモードが混在すると、前回そういう議論を私が申し上げて、山内先生がお答えされていましたけれども、そういうSASEモードに特徴的な、ある意味で、そういう問題点はある。それを取り除こうとするときにシード光を入れると、それが単一モードとか、より使い勝手のよいレーザーに化ける。更にそれをこの何十keV(キロ電子ボルト)領域で実現しようとすると、普通のシーディングのテクニックではできないので、それを超えたスーパーシーディングというテクニックを利用して、それは多分、日本で最初にできる技術なので、是非やったらどうかという、そういう議論だったわけです。そういう議論を解説として入れるかどうか。

【亘理委員】
 シーディングからスーパーシーディングへの移行のところは、ここに書いてあるからいいと思うのですけれども、最初のシーディングというのが。

【田島委員】
 シーディングはやはりそうです。だから、種を入れると……。

【亘理委員】
 それを一言入れなくていいのかということです。

【神谷委員】
 入れた方がいいかもしれないのと、「さらに、通常のSASE方式で」と文章が来ています。もう少し整理を。SASEでは、方式を克服するためにスーパーシーディングと読めます。

【潮田委員】
 普通のシーディングをやるには、同じ波長の光がもともとないとだめでしょう。だから、こちらには絶対だめです。

【田島委員】
 だから、HHGなどでやる。

【石川プロジェクトリーダー】
 だけど、それも限界がある。

【潮田委員】
 そうですね。普通のシーディングは、何でやるのですか。YAGを上げていくとか?

【田島委員】
 YAGではできないから、やはりハイヤーモニックを使う。

【雨宮主査】
 ハイヤーモニックを使うか、もしくはここで提案されているスーパーシーディングを使うかということ。

【石川プロジェクトリーダー】
 もう一つは、アンジュレータの途中で切って、分光器を入れ、その分光器で後ろ側のアンジュレータに入れるという手があります。

【潮田委員】
 そこでシードをつくる。

【石川プロジェクトリーダー】
 はい。

【雨宮主査】
 でも、それは特に今回、説明の中では言っていません。

【石川プロジェクトリーダー】
 そのようなことはやりません。

【潮田委員】
 弱いシードをつくる。

【石川プロジェクトリーダー】
 はい。エレクトロンを迂回させて、間に分光器を入れてというやり方はあります。

【雨宮主査】
 それを敢えて主張しないのはどうしてですか。合わせてやってみるという可能性は。

【石川プロジェクトリーダー】
 やろうと思えばすぐにできるので、特に主張しません。

【潮田委員】
 スーパーシーディングの方が新しい。

【遠藤委員】
 この文章、少し矛盾しないですか。シーディング技術の環境開発をプロトタイプでやる。後半にはプロトタイプ機を活用してスーパーシーディング、と読むと何か矛盾がある。

【雨宮主査】
 そこは分かりにくくなっています。

【神谷委員】
 全部クリアにした方がいい。

【潮田委員】
 プロトタイプでスーパーシーディングやるわけではない。

【石川プロジェクトリーダー】
 いや、プロトタイプでもエレクトロンモジュレーションの技術を開発する。

【潮田委員】
 手前の方で。

【石川プロジェクトリーダー】
 はい。

【雨宮主査】
 ですので、実機でのスーパーシーディングに備えてプロトタイプで、そういう準備をするという話。

【遠藤委員】
 プロトタイプでスーパーシーディングを開発するように読めます。

【雨宮主査】
 その元となる技術です。

【田島委員】
 だからこそプロトタイプ機というのは、プロトタイプとしてある。利用だけに傾斜するとまずい。

【潮田委員】
 要するに、ファブリックみたいなところに通すのですか。スタンディングウェーブをつくっておくのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 スタンディングウェーブではなくて、縦方向の進行波でエレクトロンを押したり引いたりする。

【潮田委員】
 それで加速したり、減速したりしてフェーズを合わせているのですね。

【石川プロジェクトリーダー】
 はい。

【谷口委員】
 神谷先生がおっしゃるように、この第2パラグラフのところ、SASE方式というタームと、それから、シーディング、それからもう一つはスーパーシーディングと、少し区分けして表現すれば、恐らく解消するのではないかと思います。

【雨宮主査】
 ええ。それと、用語の簡単な説明も後ろに付録で、この文中に入れると長くなるので、キーワードに対して一、二行で、このようなものだというのを書いたらよいと思います。

【林室長】
 最後、用語集を付けます。

【雨宮主査】
 プレス発表のときにも必ず用語集が出ています。一般の人、専門家以外が読むためにはそういう説明を送り出すことは必要だと思います。

【神谷委員】
 全然違う話ですが、5ページの一番上、S-band加速管の間にL-bandを入れるわけではない。

【石川プロジェクトリーダー】
 ではないです。前です。

【潮田委員】
 「上流に」とか直しますか?

【石川プロジェクトリーダー】
 Lが上流。

【谷口委員】
 ここの評価の3ポツのところですけれども、連続して書いてあるからややこしいので、超平坦ミラーそのものが、こういう光のハンドリングに非常にエッセンシャルな要素になっている。それが開発できた、それが1つです。それから、もう一つがシングルショットの光特性診断、これも、Webなどで見させていただきましたが、非常に優れた技術なので、これは加速器だけではなくて、今後の利用する人も、このFELの特性を使い切れない。それからタイミングとか、もう少し切り分けて強調した方がいいような気がします。間違いではないですが、1つ1つ、もう少し切り分けた方が分かりやすい。ここは各々非常に重要なところだと思います。

【雨宮主査】
 他に何かございますか。

【神谷委員】
 5ページの一番下ですが、SPring-8を管理しているのはJASRIなのですか、理研なのですか。

【林室長】
 責任主体は理研、ただ、JASRIは委託を受けて管理している。

【神谷委員】
 JASRIが管理していると言っていいのですか。

【谷口委員】
 委託されている。最終的には理研です。だけども、委託業者として指定されている。

【田島委員】
 指定はされていないのでしょう。

【田島委員】
 競争入札する。

【谷口委員】
 入札で選定された。

【田島委員】
 選定になった、1年前か。

【林室長】
 変わっています。普通何と言うか、確認して反映します。

【雨宮主査】
 そこが正確に読めるように、SPring-8の管理運営を委託しているということにすればいいのですか。JASRIとの共同体制と。
 他にご指摘、ご意見等、宜しくお願いします。

【神谷委員】
 6ページ目の一番下の行、高品位の電子ビームは日本だけだと。諸外国はだめだと言っているようにも見えます。

【潮田委員】
 スーパーシーディングの話。

【田島委員】
 これは本当にそうでしょう。

【石川プロジェクトリーダー】
 スーパーシーディングをやるのには、このやり方だ、と言っているだけで、だめだと言っているわけではないです。

【神谷委員】
 諸外国のビームは質が悪いと言っているように。

【田島委員】
 スーパーシーディングには適さないとおっしゃっている。

【雨宮主査】
 外国ではスーパーシーディングというか、シーディングをやることを考えていないのでしょう。

【石川プロジェクトリーダー】
 別のやり方です。エナジー・ディスパージョンがある。

【雨宮主査】
 話がそれますけれども、LCLSではシーディングは考えていますか? 議論はほとんど出てきていないような気がする。

【石川プロジェクトリーダー】
 議論はほとんど出てきていません。

【雨宮主査】
 ヨーロッパのXFELは。

【石川プロジェクトリーダー】
 先に述べた途中に分光器を入れてというのはDESYです。長いアンジュレータを作って途中に入れるという、ドイツらしく基本に返った考え方です。

【神谷委員】
 問題なければいいです。

【林室長】
 「高品位」じゃない言葉に直すというのはあるかもしれない。

【田島委員】
 これ自体は正しい文章です。

【石川プロジェクトリーダー】
 文章としては正しいと思っています。

【田島委員】
 いいことはいいと言っていいのではないですか。

【雨宮主査】
 他にどうぞ。今、1つ1つ収束させていくというよりも、いろいろ意見を出して、それが収束しているかどうかはメールと次回のところに確認しますので、いろいろご指摘をいただければと思います。

【徳宿委員】
 今のところ、文章ではシングルスペクトルを持ったコヒーレントな光を実現するのが重要で、このためのスーパーシーディング技術というのは高品位のビームがあってというような表現にすれば読みやすいのではないでしょうか。重要なのは単一ピークの光が重要だということです。スーパーシーディングが重要なのではなくて。

【石川プロジェクトリーダー】
 おっしゃるとおりです。

【雨宮主査】
 ええ、そうですね。書き方の問題ですね。

【神谷委員】
 ビームラインのことが書かれているのは、ここが最後ですか。

【林室長】
 最後です。

【神谷委員】
 他では書かれていない。

【林室長】
 書かれていないです。どこか他に適切なところがあれば。

【神谷委員】
 本数もそうですが、どういうスペックのビームラインを将来的に展開するのかというのがなかなか見えなかったのですが、何か言っておく必要はないですか。

【林室長】
 ビームラインの増設を検討するときに、その中に入っていくものかと思いますので、ここにもう少し入れるかどうかという話だと思います。

【神谷委員】
 成果の状況も踏まえつつ云々と書いてあるということは、しばらくビームライン増設はありませんと。文部省用語ではそうですよね。

【林室長】
 そうです。

【徳宿委員】
 2本目のスペックもまだ決まっていないということでしたか。

【石川プロジェクトリーダー】
 ちゃんとは決まっていません。

【亘理委員】
 2本目まで予算の範囲内に入っているのですか。

【林室長】
 入っています。2本目までは入っているので、大まかなアンジュレータの規模などは決まっているはずだと思います。

【石川プロジェクトリーダー】
 これは波長をどこに設定するかで長さは全く変わるわけです。

【神谷委員】
 それについて、決まっていないと言っていましたよね。

【石川プロジェクトリーダー】
 ええ。

【田島委員】
 それはどちらかというと利用者側が発言すべきことでは。

【雨宮主査】
 全体的に読みやすくするようにということ、それから、流れをもう少し明確にするようにというご指摘が大きかったと思いますが、キーワードの補足などを付けるとして、あと何か大きな視点が抜けているとか、ニュアンスが大きく食い違っているとか、大きいところでは特にないでしょうか。
 それでは、今いただいたコメントをまとめてバージョンアップするということにしまして、時間の関係もありますので、3.の利用推進研究について、7、8、9、10の途中までですが、ここに進みたいと思います。お願いします。

【加藤室長補佐】
 (3.利用推進研究について、の読み上げ。)
 …協議会のメンバーには、放射光科学、ナノテクノロジー・材料、ライフサイエンス、レーザー科学等の分野の学識経験者とともに、産業界のメンバーも含まれ、光源開発との連携を図るためにプロジェクトの実施者主体--「実施主体である」です。…しかしながら、従来の放射光研究の延長にある課題が多く、今後は短波長--「コヒーレント」ではなくて「コヒーレンス性」。…

【雨宮主査】
 文言をもう少し精査するとか、もう少し短くする方が読みやすいとか、幾つか感じたところがありますが、まずは大きな点で欠落している視点、食い違っている視点等、ご議論いただければと思います。

【潮田委員】
 1つは、メールで出し損なったのですけれども、推進協議会でしたか、物理の理論家が入っていることが望ましいというのを、入れておいてほしい。たしか実験家ばかりではなかったでしょうか。

【田島委員】
 日本は理論が弱い。

【潮田委員】
 弱いながらも誰か理論の研究者がいた方が、その中にいることが大事だと思います。

【林室長】
 光物理のということですか。

【潮田委員】
 光でも何でもいい。ニュークリアはいるのでしたか。

【石川プロジェクトリーダー】
 広い意味では郷先生が。

【田島委員】
 生命科学。

【石川プロジェクトリーダー】
 計算。

【潮田委員】
 計算は本当の物理屋ではない。だから、素粒子物理か、その辺ですか。レーザー物理は、誰ですか? 田島さんですか?

【田島委員】
 いや、誰ですかね。でも、理論はあった方がいいと思います。

【雨宮主査】
 そのメッセージはどうやって伝えましょうか。この委員会のメッセージとして伝えるというのは、また管轄が違っていまして。

【潮田委員】
 評価としては理論屋がいないのは欠陥であるという評価をする。

【雨宮主査】
 利用推進協議会に対する評価。

【田島委員】
 素粒子の実験などのときには理論屋が必ず入ります。

【潮田委員】
 XFELも未踏のエリア。何かいろいろなところで、分からない光だから、何が出てくるか分からない、と言っていますが、しっかりとした理論をやればかなり予測が効くと思います。どの実験が一番意味があるかとか、そういう判断が可能になると思います。

【雨宮主査】
 そういう理論家、光物理の理論家。

【潮田委員】
 普通に光物理の理論家というとビジブルとか、UV程度でして、X線を光と見て行っている人というのはいるのでしょう。

【石川プロジェクトリーダー】
 ですけれども、最近、いわゆるビジブルから紫外のあたりの光物性の人が、X線が大事だということでかなり入り込んできつつあります。

【潮田委員】
 それをエンカレッジする方がいいです。

【石川プロジェクトリーダー】
 ダイポール近似を使わないところがかなり理論屋さんにはおもしろい。

【潮田委員】
 それと、パータベーションセオリーでやれない部分があるはずです。その辺になるとカスタムダイナミクスになってくる。

【雨宮主査】
 完全に物質と光の混合状態みたいですね。摂動じゃない状態。

【潮田委員】
 摂動じゃないとき、どうなのだろうというのは、あるのですか、田島さん。

【田島委員】
 あります。それはアメリカなど結構やっていると思います。

【雨宮主査】
 これは利用推進協議会に対する注文というか。

【潮田委員】
 注文です。

【雨宮主査】
 他にご意見、お願いします。

【神谷委員】
 今後の運用にも絡むと思うのですが、この論調を見ると、1つはこの利用の、8ページの真ん中、理研と非常に密接にというのは、いろいろなところで謳われているのですが、それからもう一つ、利用推進課題の協議会のところに、(2)の上の方で、研究代表者をそこに取り込んでPTの委員とするなどで、これはほとんど、悪い言葉で言うと談合組織になる。悪い言葉で申し訳ないのですが、そういうやり方をしているのが非常に結構であると書かれている。それと、先程申し上げた9ページの下、理研がこの施設をつくりますと。だけど、利用の方も理研。そういう意味ですか。いろいろな研究者を有する総合研究所なので、それは非常に結構だと思いますが、これは全部、理研がつくって、理研が使いますと。他の利用者もいるのでしょうけれども、それは、共同研究か何かで一緒にやらせてあげると、そういうニュアンスが非常に強い。今の3番のところは強い印象を受けたのですが、この運用はどうやるのですか。

【雨宮主査】
 これも各委員からいただいたものを継ぎはぎにしているので、こういうふうに文章になったときにウエートの問題があると思います。

【神谷委員】
 これが国家プロジェクトかというと、理研プロジェクトと言われてもしようがないところがある。

【潮田委員】
 実際にはそういうつもりではないのでしょう。

【林室長】
 最終的には共用法の枠組みの中で、理研の手を離れて運用されると、こういうことにはなります。ただ、1つは開発の段階で、特に利用推進研究の場合は、装置と一体になってやらなければいけない部分も多いことから、そこは連携をとって下さい、ということは入っているということです。

【神谷委員】
 いい面もあると思いますが、斜に見ると、そういうふうに見られなくもない。

【林室長】
 それともう1点、確かに理研を--9ページの下のところですが、ここはある意味で我々の問題意識なのですが、利用研究の広がりがなかなか広がってこないという中で、やはり理研が開発したり、もっと責任を持って何か考えることがあるのではないのというのは、常に我々、問題意識として持っていまして、石川センター長もなかなか動きにくいというような状況でもあるようなので。

【石川プロジェクトリーダー】
 役所からは理研は何もやらない。外からは理研が独占していると言われて困っている。役所から、要するに理研の使う人の顔が見えないとか、つくっているけれども、本当に理研で使う人がいるのかとか、いつも言われることがここに書かれている。

【林室長】
 理研が独占して使うという意味ではなくて、そのために理研の予算が全体的に減らされている中で、もう少しうまく考えて、使うことも考えたらどうか、という、そういうメッセージです。

【神谷委員】
 そうは読めないです。

【雨宮主査】
 いろいろ継ぎはぎの中なので、そのウエートの問題が見えにくくなっている。基本的にはこうである。しかし、同時につくる側も、使いこなす位の覚悟があってしかるべしと、そういう流れで書くようにするといいと思います。

【谷口委員】
 8ページの(利用推進研究の進め方)の2行目の真ん中あたりから、「後期はそれらの技術を統合して実際の利用研究で使用可能な計測システムを組み上げる期間としている」と、まさにこういう説明だったと思いますし、そうであるべきだと思います。それが9ページの2行目あたりから、足元が少しぐらつくというか、進め方については何かとらえどころがないような形の表現が少し出てきますけれども、今、中間評価して、後期までのところについてまず言っている。9ページの2行目からの「利用推進研究の進め方については」と、それ以降のところで「妥当だと考える」と。この2行のところでも、いつまでのことを言っているのか少しつかみにくい。どこまでの取り組みが妥当だと言っているのか、よく分からない。その後になると、今度は「曖昧な点もあるので」とか出てくると、一体何を主張するべきかと。

【林室長】
 書き方としてあまり明確でなかったのかもしれません。基本的には、これまでの取り組みは妥当だと書いた上で……。

【谷口委員】
 取り組むまではそうだと。

【林室長】
 書いた上で、勿論これまでの取り組みではまだどんなものができるか分からないということもある。ある程度、不明確な中で進めてきた部分もあるので、更にそこは明確にしていって下さい、というような意味で書いているつもりです。

【潮田委員】
 それに関連して、「戦略的」というのが二、三回出てきますが、具体的には何を言いたいのかというのがよく分からない。どうしたらいいのかということ。

【林室長】
 確かに「戦略的に」という意味はよく分からないところではあります。

【徳宿委員】
 戦略が本当にあればいい。

【林室長】
 (2)の評価の最後に、「戦略的に進めていくことが必要である」を受けて、一応、今後の在り方のところで何をすべきかというのは、課題をもう少し分野を広げる。短期的なことだけではなくて、長期的にも考えるということを入れた上で、利用推進研究のやり方を見直して下さいと、それがいわゆる「戦略的」な中身だと書いている。

【潮田委員】
 なるほど。

【遠藤委員】
 「戦略」と「戦術」が混同している。

【田島委員】
 これは戦略なのでしょう。

【遠藤委員】
 ここは戦略でいい。1つの流れ、方向性というものを持って、それに合うテーマをうまく取り入れていくという、そういうことだと思います。

【潮田委員】
 ターゲットをはっきりさせてという意味。

【遠藤委員】
 そういうことです。

【田島委員】
 世界と競争関係にあるから、負けないようにユニークな課題を掘り出すということとか、コミュニティをもっと広げて日本国内でのサポートを強くするとか、そういうことが戦略なのではないのですか。

【田島委員】
 そういう文言を入れればいいのではないですか。

【潮田委員】
 そうすれば、それが戦略だと分かる。国際競争という点と国内の利用。

【田島委員】
 ある程度ユニークな成果。より広いサポートというか、コミュニティの参画。

【遠藤委員】
 「を目指して戦略的に」とか。

【田島委員】
 裾野を広げるというのが戦略。

【潮田委員】
 利用者の裾野を広げる。

【遠藤委員】
 あと、文章の周囲の問題ですが、神谷先生じゃないですが、中で固まるという雰囲気が文章に何となく感じます。例えば8ページの真ん中に利用者、研究代表者同士というのは、「同士」ではなくて「相互」がいいと思います。外へも開かれているという形で、「同士」というのは何となく内にこもったそういう話になってしまう。

【雨宮主査】
 「研究代表者相互間の」と。要するに、研究代表者が自分のテーマしか見えていないというのが困るわけです。お互い、人がやっているテーマも見えてということなので、「同士」という言葉を「相互間」に。

【潮田委員】
 PTというのはどこか定義していますか。プロジェクトチームの意味?

【雨宮主査】
 そうです。太田さんの説明のときも最初からPTで出ていましたけれども、プロジェクトチームだと読みかえています。確かに何もなくてPTというのは、分かりにくい。

【亘理委員】
 この利用推進研究という定義が最初の(1)に書いてあると思いますけれども、読む人が分かっているのかどうか。これで理解できるかどうかというのは、装置完成後は利用研究で、装置完成前は利用推進研究であると。3年間と2年間で分かれているということだと思いますが、読む人がそれに気付くかどうか。それで利用推進研究という言葉が、と出てきます。それは利用研究と区別するためだろうし、あるいは現在実施している利用推進研究とか、現在行われている利用推進研究と、何度か言い直していますけれども、最初に、最初の5年間は「利用推進研究」で、完成後は「利用研究」、それに先行するものだというようなことを端的に書いては如何でしょうか。最初の利用推進協議会の第1節で定義してありますけれども、読む人がすぐ把握できて読むどうか。

【雨宮主査】
 そうするために、7ページの4行目に、(1)の利用推進協議会が何のために設置されたかというのは一応書かれていますが、利用推進研究という言葉自体はきっちり説明されていないところがあるということですね。

【林室長】
 下に書いてある。

【亘理委員】
 書いてはあるのですけれども、もう一度に完成までの5年間と書いてくれた方が読む人ははっきり分かると思います。

【亘理委員】
 確かにここに書いてあります。3行目に「装置完成後直ちに本格的な利用研究を実施し」。だから、装置完成後は利用研究で。

【潮田委員】
 本格的な利用研究とか。

【亘理委員】
 その下から2行目に「利用研究を実施する際に想定される様々な云々の研究開発(利用推進研究)」と定義してありますが、端的に言った方が読む人ははっきり分かると思います。完成までの前期3年間、後期2年間の利用推進研究、完成後の利用研究に先行するとか。

【徳宿委員】
 関連して、利用推進するには今までの技術ではなく、非常に技術革新が大事だというような表現は、この最初のところに必要なのではないでしょうか。非常に高エネルギーの短パルスの高強度のものを使って実験する環境というのは今ないわけです。それがここには明らかにはされていなくて、全然知らない人が読んだら、とにかくレーザーが発振してできた、とにかく実験できるようにするという、まるで何か装置を並べればいいような形にしかとられない。

【田島委員】
 8ページの下にあるのではないですか。従来の放射光研究の延長にある課題が多く、短波長……。

【徳宿委員】
 これは評価ではないですか。最初の現状というところで、何でこういう利用者推進が要るかというと、そういう測定技術のジャンプが必要だから、利用推進協議会というのがある。

【田島委員】
 協議会というのは、その特長を十分にとらえ切れていないというのが。

【徳宿委員】
 それは我々の評価です。それをはっきりさせるには、最初のところにそれを置いておいた方がよいのではないでしょうか。

【田島委員】
 協議会でそれが非常に明確に定義されていたら、そこで選ばれる課題もそういう形で選ばれた可能性はあるわけです。そこまで我々は批判していないですけど。

【徳宿委員】
 評価のところでどう書くかというのは難しいと思います。

【雨宮主査】
 8ページの下の評価のところがクリアになるためにも、最初に定義しておいた方がいいということですね。

【林室長】
 今後の在り方の最初のところにも同じようなフレーズは入っております。

【雨宮主査】
 他に何かございますか。

【谷口委員】
 今後の在り方の10ページの最後のパラグラフに「産業界との連携に関しては」というところで、書いてあることに間違いはないのですけれども、その下から3行目位で、現在の利用推進研究課題の状況とかプロトタイプ機における成果等について適切に情報発信と書いてありますけれども、実際、いろいろ資料を拝見しますと、例えば極小デバイスの磁化挙動システムとか、あるいは結晶化を経ない膜タンパクの構造解析を可能とするような単粒子の解析装置とか、かなり産業利用に近いようなところの具体の推進研究も進んでいるわけです、実際。何かこれだけ見ると、基礎研究が先行して、その後でその成果を踏まえてと、一般的に言えばこうかもしれないけれども、現状でも産業利用に密接に関係するような成果が幾つか出ているわけだから、そういうところを少し表現して、こういう表現を繰り返すとなかなか産業界の人に見えなくなると困ると思います。ここの委員会で出されている資料の中には非常に密接に関係するのが幾つか出ていますけれども、それがここに、今後の在り方に出ていないので、少し表現した方が宜しいのではないかという気が致しました。

【雨宮主査】
 これは文言の問題というより、どう認識するかの問題で、現在ではあまり産業界に直接つながっていることが見えないという指摘に基づいて、しかし、今後はということで、今、谷口委員の場合にはつながっているのではないでしょうか。

【谷口委員】
 非常に近い課題が幾つか現にあるという現状を、表現ができないのかと思いました。

【林室長】
 勿論、前向きに書いていただく方が我々としてはいいのですけれども、皆さんの意見は何となくこんな感じだったので、こういうふうになっています。

【谷口委員】
 非常に微小のデバイスの磁化の挙動を直接観測するシステムというのは、むしろピュアサイエンスの観点も重要だけれども、これからナノテクノロジーの分野そのものにミートしていくようなものがありますよね。それから、単粒子解析の装置も真っ直ぐ、今までなかなか難しいようなもの、これは恐らく創薬の分野かでつながっていくのではないかと思いますが、何かそれに近いようなものが現実に採択されて進行中でしたよね。だから、単に今は何か利用研究だけとか、応用から見ると随分遠くの距離にあるものしかないような状況ではない、という気が致しました。

【雨宮主査】
 そういう形で入れるとすると、具体的なことを1つか2つ位言わないと具体的にならないということになりますね。

【谷口委員】
 例えば産業利用に密接に関係するような成果についても含めて情報発信すべし、と。現実にあるわけですから、言葉としては個別のそのテーマを書かなくても、産業利用に密接に関係する成果も含め、適切に情報発信を行うという位の表現でも構わないと思います。

【雨宮主査】
 現状認識として、アカデミアが中心だと書かれています。

【谷口委員】
 それはそれでよろしい。基本はそう。

【雨宮主査】
 そこをどういうふうに書けばいいですか。

【遠藤委員】
 その前に、少し間違っていると思うのですけれども、今、学術界が基礎研究を先行して、その成果を産業界が使っていくという構図にはない。今は、コンカーレントだと思います。基礎研究と応用研究というのはタイアップして同時に進めるというのが、今の最先端の分野の研究の進め方です。時系列で、アカデミアの成果を産業界が利用するということではなくて、むしろ、同時並行的にやっていく。これは時間の節約です。先行するものが攻めてという時代ですので。ともに開拓していくという、そういう姿勢をここに盛り込むべきで、この段階から産業界とアカデミアが連携して新しく開拓するという、その姿勢がないと、大学の先生や研究機関の成果を、いいものがあったら産業界が利用するというのでは、これだけのツールを有効には利用できなくなってくる。もう少し時代性を取り入れた方がいい。
 むしろ、このプロトタイプのときからでも必要があれば産業界に入っていただいて。おもしろい話があって、アメリカでこういう先端機器を使う委員会とかプロジェクトに入ったのが採択されると株価が動くということもあります。日本はそこまでの関係ではないですけれども、その位アカデミアと産業界がしっかり連携して基礎からつくり上げるという姿勢も盛り込んだ方がいいのではないかと。

【神谷委員】
 それは言われることはごもっともですが、今の現状からすると、大学関係といいますか、そういうところがこれを使って成果を見せるというものもやっていかないと、多分、産業界も寄ってこないのではないか。

【遠藤委員】
 両方ですね。

【田島委員】
 難しいのは、この最後の文章で提言をしているわけです。産業界の利用機運を高めていくという、要するに適切な情報発信によって産業界の利用の機運を高めるというのが一応提言です。ですので、おっしゃることをもしこの中でやろうとすると、それ以上の何か具体的な施策、リコメンデーション入れないといけないと思いますが、何かありますか。情報発信を超えた、多分、実際に何かやれということをおっしゃっているのだと思いますけれども。

【遠藤委員】
 日本の科学技術、ただ乗り論というのが欧米でまた出てきている。そういうことに対しても、これだけの機械を世界に先行して動かすので、大いに企業も傍観者的立場で出てきた結果をただ使うということではなくて、むしろ結果を出す基礎の部分から積極的に入っていくという姿勢を期待したら如何でしょうかという、そういう提案です。

【林室長】
 産業界に対する期待という形で書けるのではないか。

【遠藤委員】
 意味はそういうことですので。

【雨宮主査】
 もう少し強いメッセージということですよね、産業界の利用に対する。

【遠藤委員】
 これをもっと積極的に使うという姿勢を彼らが持つように。

【田島委員】
 例えばコーディネーターを入れるとか、そういう提言が具体的にないと。

【遠藤委員】
 コーディネーターは入っていないですか、プロジェクトに。

【林室長】
 まだです。

【石川プロジェクトリーダー】
 今、利用推進研究の話と利用研究の話がごちゃごちゃになってしまっているような気がします。

【雨宮主査】
 利用推進研究。その段階でも同時に産業利用をやるコーディネーターを持ってきたらどうかという話だと思います。

【遠藤委員】
 そういう段階でも産業界は入るべきではないかという。

【神谷委員】
 産業界へのメッセージを書けば宜しいですか。これは産業界への情報発信とか、産業界が受け身の文章なので、産業界に期待するというのは、そういう文章にすればいい。産業界から入ってほしいという、そういうリコメンデーションを書く。

【雨宮主査】
 誰が読むかということとの関係で、産業界に入ってほしいという言い方を強くすると、逆に産業界が今入っていないからだという言い方にもなります。

【神谷委員】
 入ってほしい。積極的に関わるべしというか。

【谷口委員】
 私が最初に申し上げましたのは、機運を高めていくというときに、既に利用推進研究の中に具体の成果が二、三出ているわけで、産業利用に密接に関係する成果も含め、適切に情報発信を行うということは実態からそぐわないので、そこは書いても全く問題ない話ではないか。それが機運を高めていくことになる。そういうサイズの話があって、先程遠藤委員がおっしゃったのは、それよりもっと大きい話をなさっているような気が致します。

【雨宮主査】
 今の利用推進協議会において、現在実施している研究課題に産業界の寄与が少ないとの印象がある。これ自身が違うのではないかという話ですか。

【谷口委員】
 少ないが、それなりにあると。具体のものがあるわけです。

【雨宮主査】
 今日の資料3-2で、どの辺の課題のことが産業利用と。

【谷口委員】
 例えばナノのところの東北大学の先生の下から4つ目、上から4つ目、こういうのは何かレポートを見ていますと、これは単にナノサイエンスというようなものではなくて、完全にテクノロジーの世界にも入っているような話。デバイスそのものの研究ととられてもおかしくないような内容を持っている。それともう一つは、ライフサイエンスの分野だったと思います。代表的なこういうナノとかライフのところで具体に産業界の方がかなり、非常に距離感が短いような状況で受けとめられるようなものが現実にここに含まれていると思い、全部見させてもらったのですが、ここまで行っているのかというふうな気がしましたものですから、何もビームが出たらすぐ使うために、ビームラインとか、光学系とかそのようなことばかりやっているのではなくて、エンドステーションのところに対して非常に目配りできていて、こういうものも含まれていると。

【雨宮主査】
 分かりました。産業利用につながる芽があると。

【谷口委員】
 実際にそういうものをやっている。ライフでは慶応大学の先生の開発研究ではなかったか。

【雨宮主査】
 中迫さんの生体単粒子。分かりました。確認してみますが、これはドラッグデザインにつながるところまでの距離感がどうあるかということの見方の問題です。とにかく産業界とアカデミアが同時に利用するというモードが必要である。そういう側面も必要であるということはやはり提言として盛り込んでおくのがよいかと思います。ただ、利用推進研究においては、性格上どうしてもアカデミックなところに重きが置かれているという現実は、事実として私もそうなのかと思うのですが、そういう段階でもアカデミアともう少し同時並行的に関わる姿勢ということの指摘はすべきだと思います。 現在、産業界からそっぽ向かれているというようなニュアンスを与えないように、もう少し産業界が関わるというようなメッセージ性をこの利用推進研究の段階においてもやるべきだということです。他に如何でしょうか。

【亘理委員】
 今後の在り方のところ、利用推進研究、後期の方の現在行われる利用推進研究以外に、もっとこういうことをやるべきであるといろいろ書いてありますが、2年間でできるのか、と私は読んでいて、そういう気もしたのですけれども、多くは利用研究への展望ということが、相当あると思うのですけれども、どこかに利用研究につながる展望のような文章が何かあっては如何かと思います。これは利用推進研究、あと2年間をこうすべきであるということを言っております。
 1つは、今の時点で、あと2年間にいろいろ提言して、どれだけ実現できるのか、私はやや心配というか、そういう感じもすることと、それから、その後の利用研究へどういうふうにつながるのかという展望に関する、利用推進研究で出てきたいろいろな問題点とか提言が、利用推進研究でストップして、次の段階では受け継がれないのかどうかという、そういう印象があり、特に生物、医学の方で見ると、これを読むと何となくあまり希望を持てない。ライフサイエンスという言葉が出てきますが、利用研究への展望というか、その先に未来があるというような感じがなかなか読み取れないような感じがする。

【雨宮主査】
 具体的に記述の中で、今後の在り方について。

【林室長】
 9ページの今後の在り方の2段落目の3行目から、「現在研究が行われていない分野に関する課題や長期的に対応する課題等も含めた戦略的な利用推進研究の在り方」ということで、ここに長期的に対応する課題も含めたというのを入れてあります。したがって、確かに利用推進研究というのは5年間というのがもともとの始まりですけれども、分野を広げたり、すぐには対応できない、もう少し長期的にやらなければいけないというものも含めて考えると、利用研究のところまで少し踏み込んで、利用推進研究の在り方について今後検討することになるのではないか、というような気持ちは持っております。

【田島委員】
 むしろ5年で切ってしまわないで、もっと先も。

【林室長】
 先のことも踏まえて。勿論利用推進協議会をその後どういうふうにしていかなければいけないかという問題は一緒になって考えなければいけないことだと思いますが、そこで切れて、せっかく協議会という形でユーザーを集めたのを、はい、おしまいというわけにもなかなかいかないのではないかとは思います。

【亘理委員】
 いろいろ問題点があって提言されたことが、あと2年間で切れるのではなくて、その5年以降の利用研究の段階に非常に生産的に反映されるというような展望、そういった文章がどこか、最後でもいいのですけれども、何かないでしょうか。

【雨宮主査】
 9ページの下から2番目の段落のところに、それらしきことは書かれていませんか。

【亘理委員】
 「各課題について毎年評価し、それらの分野の進展を反映させるようにすべきである」というのは、これは利用推進研究、あと2年のことですね。

【林室長】
 これはそうです。

【亘理委員】
 私は、2年で本当にできるのかという感じがします。

【田島委員】
 「一層深めるための利用研究の在り方について、更なる検討を期待する」というふうな文章があります。その第1段の一番下の方に。だから、今後の展望を見て言っている文章なのではないですか。2年で切れているわけではない。

【亘理委員】
 そこがちょっと分からないのですけど。ここは利用推進研究のことを言っているわけですね。

【田島委員】
 そんなに細かく厳密に切らないのではないですか。

【亘理委員】
 ここに提言していることが、あと2年間だけのことであったら、本当にできるのですかという感じが、私は読んでいてそう思います。

【田島委員】
 2年間のことではないのではないですか。

【亘理委員】
 ここが、(3)の今後の在り方からの3行目、「こうした観点から、現在行われている利用推進研究の対象としている研究分野に加え」、硬X線領域で云々とあります。

【雨宮主査】
 幅を広げるということですね。

【亘理委員】
 それが利用推進研究のあと2年間で、勿論やるのでしょうけれども、そういったいろいろな問題点とか提言がここに出てくるのですが、それがその後の利用研究に反映されて、利用研究を非常に生産性のあるものにするという。

【田島委員】
 それは、その前の段落の最後の文章がそれではないですか。

【亘理委員】
 今後の在り方は利用推進研究について言っているわけですよね。

【田島委員】
 いや、「利用研究の在り方についても更なる検討を期待する」と書いてある。

【亘理委員】
 私は何となく展望を持てないような。

【田島委員】
 ですので、2年で切れという意味ではないのではないですか。いや、我々がそういうふうに言えばいいだけの話で。

【亘理委員】
 そういったことをはっきり書いていただければいいと思います。少なくとも(3)今後の在り方というのは、利用推進研究の今後の在り方のことを言っているのでしょう。

【雨宮主査】
 ええ、そうですね。ここは利用推進研究。

【田島委員】
 でも、利用研究につながるように利用推進研究を検討しておこうという意図がここにはあるのではないですか。

【亘理委員】
 そういうふうにとってもらえればいいのでしょうけれども。

【谷口委員】
 まず、話が、利用推進研究と利用研究の2つがあって、ここのそもそもの3、利用推進研究についてと書いてあるものだから、これが全部にかぶるという認識だと思いますが。

【亘理委員】
 勿論、そう思っていますけど。

【谷口委員】
 もしそうだとしたら、(3)の今後の在り方のところに、利用推進研究だったら、5年というのだったらあと2年。だけど、書いてある内容は、あと2年でこれが全部できるという話ではないわけだから、そこを少し断りを入れるかですね。

【林室長】
 1段落目の下から5行目のところに「今後は、長期的な視点も含めてより戦略的な利用推進研究の在り方を検討することも必要」と、この辺何か書き足しましょうか。

【谷口委員】
 ブロック移動とか何とかいろいろ工夫できないのですか。

【亘理委員】
 ここは「各課題について毎年評価し」というようなことは利用推進研究。

【林室長】
 1段落目の下から5行目です。今後の在り方の1段落目の下から5行目のところに、「今後は、長期的な視点も含めてより戦略的な利用推進研究の在り方を検討することも必要と考える」と入れてあります。

【田島委員】
 そこは段落を改めるとか。

【亘理委員】
 あるいは最後に持ってきた方が分かりやすいかもしれない。今、産業界のことが書いてありますけれども。

【石川プロジェクトリーダー】
 ここで長期的な視点も含めて、より戦略的な利用推進研究といったことで利用推進研究の定義を変えている。

【林室長】
 定義、変えていますね。

【石川プロジェクトリーダー】
 同じ言葉が2つ、違うものに使われているのは、ここで定義を変えているから分からなくなっていて、ここを「利用推進研究」という言葉でない言葉に。

【林室長】
 新たなというような感じですね。

【亘理委員】
 今後の在り方が利用推進研究、それに引き継ぎ利用研究とか何かしないと。

【林室長】
 それはおっしゃるとおり、確かにこの今後の在り方の中で、利用推進研究の性格を変えていかなければいけないというような感じになっているので、にもかかわらず、同じ言葉を使っているので、確かに亘理先生の言うような話が出てくるということはあります。

【亘理委員】
 それから、利用研究の件で、硬X線のことは、具体的に今後はこういうのが必要であると書いてありますけれども、どうも私たち生物、医学がこれを読んで、あまり希望を持てないです。竹山先生、分かりますか。私はどうもあまり、何か使えるのかという感じがあまり持てないです。

【竹山委員】
 資料のプログラムの最後に創薬の企業の方が書いてあるものを見ていました。読んでいると、逆にSPring-8でさえ、まだどうやって使っていくかを模索して、というような感じの状態です。それで最後にX線自由電子レーザーへの期待といって、ほとんど書かされたという位の文章に近いです。夢はあるのですけれども、あまりまだ現実味がなくて、今、実際にプログラムが動いてはいるのですけれども、そこから出てくるものは本当にやってみなければ分からないというような状況でしかないので、特に創薬のターゲットの解析のところというのは、まだまだこの自由レーザーが、すぐ成果が出てくるものとは誰も思えない状況なのではないですか。
 SPring-8でさえこういう状況で、そこからすごくいいものがどんどんとれてきていて、ターゲットが絞れてきて、物が出てくるというところまでまだ行き着いていないような状況で、その次の段階なので、どちらかというとライフよりももっと基盤技術のところがきちんとしていれば、もう少しそこからアイデアが出て、バイオ系にアプライされるという、その位の状態を感じています。非常におもしろいとは思うのが、距離感がまだすごくあります。ただ、プログラムとして手を挙げていいと言えば、皆さん、絶対手を挙げます。
 だから、今後の在り方といって、ナノテクノロジーとかライフサイエンスの分野の発展にというのは、これはしようがない。いつも付いてくるような文章で、政策的に重点分野は幾つかある、その言葉です。分かるとか、分からないというよりも、夢があって、将来的に使えるように技術が見えてくればいいとは思いますけれども、もっと基礎のところ、すぐ後半の応用というところで、ライフがそこまでまだ入り切れるとは思ってはいないのですけれども、1つの道筋として示していただければ、誰か新しいアイデアを出して使ってくれる。

【徳宿委員】
 例えばシングルモレキュールでの構造が見えるというのは、本当に画期的ではないのですか。実際にDESYのFLASHでは、モレキュールじゃなくて、シングルセルを見ています。細胞を1つポトッと落として、エレクトロンレーザーをバッと1つの細胞の画像というのをつくっている。これが本当にできれば、モレキュールの一発、一発が見えるのではないかと思っているのですが、それは生物などにはかなり画期的なのではないでしょうか。

【竹山委員】
 生物の生体の反応の中のいろいろなものをすごい小さいところで見ていくというのは、それなりの基礎研究としてライフサイエンスの中ではいいのです。そういうことを今皆さんやっていて、それがもっと解像度高くやれるというのは、それはそれとして、ここから創薬まで来る前というのは沢山あるので、どうもこのライフサイエンスのベーシック・サイエンスとしてのライフサイエンスです。そこに関する貢献度は高いと思いますが、皆さんすぐ創薬とか、出口論まで一足飛びに話をしていて、ここの間というのはすごくあると思います。

【徳宿委員】
 それはそうですね。

【竹山委員】
 ただ、皆さん、これをしゃべるときに必ずこの最後の出口論を言うというのがいつも前提になっていらっしゃるので、薬学系の人はこれが見ることができれば、ここにつながりますと。でも、実際、プログラムが進んだときに、ここまで来ているものというのは、10年以上かかっている。ずっと言い続けているけれども、ここが少しずつ動いているというのが現状なので、すぐ創薬とかいうのは、また言っているなという位しか思っていなくて、そこに異を唱えてもしようがない話で、それほどライフサイエンスのことは、ここにバンバン書いていないので、そのようなものじゃないかと思っています。

【林室長】
 他に何かいい例があれば入れていただければ、ここは先生方から出てきた例を基本的に並べています。

【竹山委員】
 ライフサイエンスでもし具体的なことを言うのは、先生がおっしゃったみたいに生体内の細胞の中の核の分子、生体分子の挙動とか、そういう基礎的なところが分かることによって生体の中の生命活動というものを紐解いていける、そのツールとなり得るのではないかというような文言でライフサイエンスの寄与は考えられる。いずれそれが集約的に知識が蓄積することによって、より発展的な応用につながり、出口論として産業界にも大きく貢献するというようなことだと思います。

【林室長】
 それはある意味、今もある程度とらえている話ですので、もし書くとすれば最初の方ですね。

【竹山委員】
 そうですね。

【林室長】
 X線自由電子レーザーでこんなことができる、というところで書く話で、こちらはそれプラス新たな何か、もっと発展的な、より広いというところなので、更にライフサイエンス分野で、今までやっていないような、何かこういうこともあるという、もしそういう知見があればよいと思います。

【竹山委員】
 研究分野としては生命科学というところでいいのではないですか。

【亘理委員】
 私は竹山先生に加えて、何か新しい現象があるのではないかと。要するに今までの、例えば今の創薬とか単細胞の情報というのは、今まで分かっていることの延長で来ているわけですけれども、それ以外の新しい現象が見つかって、そこで1つの分野がパッと開けるというようなことも、もしかしてあるのではないかと。

【竹山委員】
 生命科学の中で今まで分からなかった分野が広がったことによって、新しい分野ができることはあると思います。

【亘理委員】
 例えば参考資料の1-1だと、「がんやエイズなど難病に対する特効薬」と書いてあるから薬ですけれども、現象によっては、がんやエイズの治療に効くものがあるかどうか分かりませんけれども、やってみないと分からないというのは、やはり私はあると思います。何かそういう夢の持てるようなものが一言入ってもいいかと思います。

【雨宮主査】
 いろいろと意見が出て、それを今言ったこと、ここは文言だけの問題ではなくて、どう受け止めるかという問題で、意見そのものにダイバージェンスがあるような気がします。今出た意見の最大公約数的なところで少しバージョンアップするという作業を事務局としたいと思います。

【亘理委員】
 一言だけ、帰る前に、参考資料1-1、小型自由電子レーザーの「小型」というのが、私には門外漢で、「小型自由電子レーザー」というと、レーザーポインターみたいなものかなというふうに思い浮かべるところがあって、この言葉はどうなのか、というのは感じたところです。

【雨宮主査】
 これは欧米に比べてという意味です。

【亘理委員】
 「加速器の中では」とか、そういう意味だと思いますが、ちょっと言っておきたいことです。

【雨宮主査】
 残り、4.の情報発信と運用等について、約2枚ですが、そこをお願いします。

【加藤室長補佐】
 (4.情報発信についての読み上げ)
 …(1)情報発信の現状。本計画--「の」ではなくて、「が」です。…本計画が具体化した平成17年度以降、これまで3回にわたるXFELシンポジウムの開催、産業界への説明会、各種学会やシンポジウム--「で」を取っていただく。…

【雨宮主査】
 ご意見、お願い致します。どちらも今後のことに対する注文というところです。

【神谷委員】
 最後の文章、「XFELは共用ビームラインしか設置されていないなどのSPring-8との相違も踏まえ」。

【雨宮主査】
 ちょっと分かりにくいですね。

【潮田委員】
 「を考慮して」ですね。要するに、国を代表するような重要な実験から始めますという意味ですか。

【林室長】
 そういうことではなくて、共用ビームラインしかないということは、つまり、理化学研究が自由にできる部分が少ないというか、基本的にないということです。そうすると、理研とDESYとSLACで、利用研究では、装置開発の方の共同研究では勿論できるのですが、利用研究の方も何かやろうと思うと、そこのところをどうやってやるかというのは少し検討が必要になってきます、という話です。本当は理研が少し使えるようなタイムというのも必要なのかもしれないですけれども、別になくても、スペシフィックな話です。

【雨宮主査】
 ビームラインの数が大分違うということですね、基本的には。

【林室長】
 ビームラインの数も違いますし、理研のビームラインというのはないです。

【石川プロジェクトリーダー】
 SPring-8には専用ビームラインというのがあり、理研が何かをやろうとしたら、その専用ビームラインを使えばよかったわけですけれども、ここには共用ビームラインしかない。

【雨宮主査】
 最初、2本は。残りの5本のうちの1本を。

【石川プロジェクトリーダー】
 分かりませんけれども、とにかく最初はない。だけれども、数が少ないからみんな共用になるのではないかと思います。そうすると、使い方が変わってくるわけです。ということが書いてあるのだと思います。

【林室長】
 そういう非常にスペシフィックな話。

【雨宮主査】
 ここは分かりにくいので、表現は変えた方がいいです。基本的には絶対数の違いがSPring-8とはかなり違ってくるということであるわけです。

【神谷委員】
 一般公開でのタッチパネルと、わざわざ記載する必要があるのか。意味がないのだったら要らないという気がします。それと、11ページの下のところは、一方で云々とあります。「登録機関が選定される前においても」、これは理研が中心となってというのはもっと下に持ってこないと意味が通じないのではないか。最初に読んだとき誤解したのは、理研が中心となって利用推進業務を行っているというふうに読まれる可能性があります。JASRIの協力を得つつ、そこへ来て初めて言っていることが分かる。「協力を得つつ、理研が中心となって」という意味かと思います。

【林室長】
 そうです。

【神谷委員】
 ここであまり理研、理研と言うと、今まで理研は何もやっていませんでした、ということですか。

【林室長】
 それはSPring-8の運営会議で一応議論は始めているということです。

【石川プロジェクトリーダー】
 共用施設としては、本当はこれはあってはいけないことです。

【林室長】
 本来は。

【神谷委員】
 だけど、先程の意味合いがあるのかと思って、理研がしっかりせいという意味。

【石川プロジェクトリーダー】
 共用施設の体制が整うまでは理研がやりなさいと。

【林室長】
 理研がしっかりやっていくしかない。

【石川プロジェクトリーダー】
 ということを多分、言っているのだと思います。

【神谷委員】
 だから、先程言われたことですか、もうちょっと理研がしっかりせいと。

【林室長】
 いや、ここはまた違います。ここは今も理研ではされていますけれども、やはり限界は当然ある。ただ、何もしなくていいのかというと、そういうことではない、という、ことです。

【雨宮主査】
 この文章自体が長いです。登録機関が選定される前にやるべきことを言って、そこに対して理研は責任持ってほしいという言い方をすればいいと思います。

【神谷委員】
 JASRIのを取ってもいい。

【林室長】
 JASRIの形容詞を取ってもいいのではないかと思います。理研が中心となってJASRIの協力を得つつで、JASRIの説明はもう前にしていますので。

【遠藤委員】
 今のタッチパネルの考えと似ているのですけれども、ここの情報発信の現状のところ、数が、上から2行目、100件を超えるとか、シンポジウム参加者は1,000名を数えるとか、プロトタイプ機の見学者は4,000名を超える、これらは、かなりアバウトな数字です。多いということだけ言いたいというふうにとられてしまうので、こういうときの報告書とかの正確さというのは、中身の信頼度も上がると思います。正確な数を書くという姿勢が必要ではないかと、いつもこういう報告書を見て思います。ですから、もしできるならば、986人の1の数字が意味があるかどうかというと、意味はないですけれども、少なくともあまりアバウトじゃなくて、数字は把握しているという姿勢を出しておいた方がいいのではないか。読む人も全体に対する1つの信頼度の指標にもなるような気がします。

【林室長】
 分かりました。

【雨宮主査】
 では、数が把握されているのであれば、その数値を載せるということで、ただ、見方によっては……。

【潮田委員】
 言わない方がいいのではないでしょうか。

【雨宮主査】
 こういう数値にどういう意味があるのという視点もまた出てくるかもしれませんけれども、トレンドとしてはどっちなのでしょう。やはり正確に記載した方がいいということでしょうか。

【遠藤委員】
 正確を期した方がいいような気もします。

【田島委員】
 問題は、正確に書くと、今度、時間の関数ですから。

【石川プロジェクトリーダー】
 どの時点までという書き方ならよいのではないでしょうか。

【遠藤委員】
 何々現在でいいと思います。これは少なくとも20年の7月に出る報告ですから、その時点の数値だと。

【石川プロジェクトリーダー】
 7月に出る報告書でしたら、3月まででもいいのではないですか。

【遠藤委員】
 いいと思いますよ。年限を区切って。

【雨宮主査】
 「何名(何日現在)」という括弧に入れて。

【神谷委員】
 全般的なことで、また言葉の使い方で申し訳ないのですが、SPring-8とか、そういうのは半角にした方がいいのではないですか。SPring-8が間延びしてしまっていて。それから、言葉が割れてしまっている。例えばXFELなども、行が変わるときにまたがっている。

【雨宮主査】
 SPring-8だけを半角にするのではなくて、全て半角に。基本的にはすべて半角にするのがいいかと思います。

【徳宿委員】
 3.の利用推進研究に戻って、今後の在り方のところで、今、ここに書いてある提言を行った場合に、理研の人たちがこれを見て何をすればいいかと考えますと、この3.のところを見ると、この利用者協議会にX天文学の人を入れて、原子核の人を入れて、レーザーの人を入れて、産業の人を入れれば済んでしまうような形になっているような気がするのですが、それが本当にこの委員会で我々がしてほしいことなのでしょうか。あと2年間、先程、亘理先生の方でもあったように2年間です。そのときに今からそういう人を入れてディフューズさせるというのが我々がしてほしいということなのかというと、その方向も勿論あるけれども、もう一つ大事なのは、とにかく今、利用の初めに向かってテクノロジーをきちんとやるということが重要です。それは評価のところで、それが弱いとは書いたものの、今後の在り方にそれが全然書いていないような気がする。とにかくビームが出るときに測定できるものをつくる方向で集中してやれということは、ここの意見がどうなるかによるわけですが、それは強く言うべきなのではないかと思います。

【雨宮主査】
 そうですね。

【徳宿委員】
 それが全部抜けていて、これも入れろ、あれも入れろだと、理研側の対応はかえって混乱するのではないかという懸念があります。

【雨宮主査】
 そうです。利用推進研究のところではなくて、今、こういうのを含めるというのは4.の情報発信のところの提言として、もうちょっと範囲を広げるというところをそっちへ持ってきて、利用推進研究自身は、今言ったところがきっちり利用研究までできるというようなメッセージ性を伝えるというのはどうでしょう。今、その限られた1、2年の間で利用推進研究にこういうレーザー科学とか、光核物理を入れろと言っているわけではない。次、利用のときに入るような形であると。

【徳宿委員】
 もしビームの人がそういう形であれば。

【雨宮主査】
 そういう人たちに情報発信の仕方が重要だと、産業利用も含めて。ということではないのですか。

【潮田委員】
 それと同時に、協議会。協議会は推進研究ではなくて、実際の利用に対して継続していくわけでしょう。

【林室長】
 それは今後、議論になる。ユーザーコミュニティの核になるというのですか、初めみたいな感じになると思います。

【潮田委員】
 だから、そこにやはり、天文とかを入れろというのは、それはいいと思います。だけど、今やっているものに、あと2年しかないので新しいのを入れても遅いです。それにあまりできないでしょう。

【徳宿委員】
 と思います。

【林室長】
 今の利用推進研究は推進研究でやっていくと。ただ、それにプラスアルファですか、そこは利用推進研究というのか、何というのかよく分からないですけれども、それぞれ勝手にやってくれというのではなくて、もし利用推進協議会の場を使いながら、もう少しやれるのだったら、そういうやり方もあるのではないかと思っております。そこのときに利用推進研究の、石川先生もおっしゃいましたけれども、意味が変わってくる。だから、ある意味で利用推進研究を今の利用推進研究をきちんとやって下さいという話はあった方が、我々としても当然ありがたいです。

【徳宿委員】
 その方が大事なのではないかと思います。

【林室長】
 ただ、プラスアルファの部分で、もう少しいろいろ広がり等、長期的な観点を入れた形で何か対応していく。その何かというのは、利用推進研究そのものを変えるのか、また違った枠組みでやるのかというのは、検討しなければいけないところだと思います。

【田島委員】
 利用推進研究というのはあまり、ザ・利用推進研究と、皆さんわりと言葉にこだわっておられて、「The」を付けられていますが、利用推進研究というのは一般名詞としてもあり得るので、要するに利用研究を推進していこうという一般的な立場というのはあるわけです。それをあと2年しかないというのは、私は非常に硬直した考え方で、潮田先生が前におっしゃっていたように、協議会自体があまりコミュニティに対して広くオープンだったとは私は思っていないので、末広がりにシステムを構築しておかないと、こういう国プロが広がらない。要するにバイオで役に立ちますというのはおっしゃっていますが、本当に役に立つのかという議論もあるわけです。それ自体、よく存じ上げていますけれども、あまりテーマを閉じ込めると非常に危険になってしまうと思います。日本はとりわけ縦割りの社会だから、その危険は一層大きいと思っていて、そこを相当末広にしておかないと、こういう国プロの中身の豊かさが損なわれてしまう。あと2年しかないというようなことをここで、たがをはめてしまうと、研究のスコープ自体が非常に柔軟性を失うというのを危惧してしまいます。

【竹山委員】
 このプログラムを見たときに、前半で例えばバイオなど、ターゲットを見るための機械というか、設定をするのが前半で、実際に見るのが後半という、そういうイメージをとられていた。そうしたときに、ここで採択されている人だけが最後までやるというのは当然ですけれども、前半で見ることができる機械をつくって、こんなものができましたといったときに、後半の2年間でもいい。見れる機械があるのだったら、見るなら2年間で一応見てみるという行為ができるので、彼らだけが見るのではなくて、この段階でもう少し拡大研究してほしいということがあり、特にバイオはターゲットが1個だったりする場合もあるので、そうしたときには2年間で見えるか見えないかというのは、できないことはないのではないかという気はしました。
 外から見ると、「あの先生のあの大きなグループだけがやるのだな」ということはやはりある。中長期というのは勿論ありますけれども、できればこのときに少し小粒でもいいけれども、そういうような単発的なものを入れていただく。それが必ずしも創薬じゃないけれども、ライフサイエンスの基礎になっているところをやりたいと思っている人も当然いるので、そういうところにこういうせっかく大きなお金を使っているのだったら、彼らにチャンスを与えるという、小粒で2年間できるテーマはあると思います。2年間でつくって、あとは見ると言っているのだったら、見えるようになったものでみんなにも見てもらうというのを間に入れてもらうというのがいいかと思います。

【徳宿委員】
 そうだと思います。それはその2年間の後ですね。2年前でビームもないので。

【竹山委員】
 いや、この5年間のプログラムを見たら、皆さんの申請を見ると、前半の2年間で見るように何か設定の場をつくったり、何をつくったりというのが書いてある。後半で、実際、それでその現象を見ていくみたいなイメージを私はとらえたのですが。

【徳宿委員】
 ビームがないです。

【石川プロジェクトリーダー】
 前半の3年間で1つ1つの要素技術をつくります。後半の2年間で要素技術を組み合わせて、光が出たらすぐ見えるような装置に組み上げます。光はその2年が終わったところで出てくる。

【竹山委員】
 では、例えばここにいるバイオ系の人たちというのは、機械しかつくらないということですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 機械しかつくらないわけではない。それを例えばSPring-8でやってみるとか、SPring-8でやると光は弱いから、もっと分解能は落ちるけれども、その装置が動くかとか、絵にするソフトが動くかとか、そういうことはできる。だから、装置として動くものができました、光さえ来ればすぐにできます、というところまでをやっていくのが、後ろの2年間だと思っています。

【神谷委員】
 ここのテーマの人たちは、XFELの光が出始めたら、多分何年かはこのテーマでやるのですか。今は決まっていないにしろ。今、心配されているのは、そうすると、この大グループがやってしまい、そうじゃない、いい試料を持っている人が使えないのではないかという心配を言われた。

【田島委員】
 違うテーマとかも。

【林室長】
 そこは実際は全然違った枠組みで審査して、課題採択ということになるとは思いますので、そこはよく分からないです。ただ、準備している人と準備していない人では、課題採択のときにも有利、不利というのはあるのかもしれない。

【竹山委員】
 それはしようがないと思います。

【林室長】
 当然、幅広に我々としても利用者協議会の場でもそういう議論をしていますが、今後2年間、幅広にもうちょっとやっていった方がいいという議論は勿論あります。

【神谷委員】
 先程の9ページの上で、現在行われている推進研究の対象としている研究分野というのは、これは研究テーマというふうに読まれると、その他、レーザーとか、堅いサイエンスの話ばかりで、ソフトとか、生命科学のいろいろな分野の人たちが排除されているというふうに読まれないこともないという、そういう心配だったのではないかと思います。

【田島委員】
 これはバイオとナノテクのことを言っているわけです。

【林室長】
 現在進めているというのは、バイオとナノテクです。

【神谷委員】
 ここを少し何か……。

【林室長】
 バイオ、ナノテクと書けばいいのかもしれないです。

【神谷委員】
 はい。

【徳宿委員】
 分野を広げるというのは多分重要で、ここに書いておくべきような気はしてきました。ですが、1つ……。

【田島委員】
 コミュニティを広げるということです。

【徳宿委員】
 ええ。

【田島委員】
 分野もですけれども、やはりコミュニティが狭過ぎる、最大の問題は。

【徳宿委員】
 ただ、ポイントは、だからといってビームが出るときに測定できる装置がなかったらどうしようもないので、そこをきちんとやるというのは書いた上でやるべきだということだと思います。

【林室長】
 それを全然書いていない。開発は今後ともしっかりとやって下さいと記載したのと比較すると、利用推進研究のところは確かにそういう文言が書いていない。

【雨宮主査】
 9ページの今後の在り方のところに、その項目を入れ込む。

【徳宿委員】
 その前提を入れていただければ。

【谷口委員】
 先程コミュニティということが出まして、第1回目から気になっていたのですが、ハードウエアの観点からすると、放射光のリング型の光源のストリームにある人と、それから、レーザーのコミュニティと、必ずしも、重なっているわけではない。それで、いわゆる研究の進め方の手法とか、例えば放射光ですと、これはリング型になっているから、必然的に集中型の設備ですから、そこへ行ってしないといけない。でも、レーザーは必ずしもそうではないとか、この情報発信のところにお互いのコミュニティの間で理解し合うというのが、少し読みにくいというのがありまして、実は放射光の人たちは放射光の立場から、その延長線上で見ています、恐らく。
 だけど、放射光の全部じゃない、レーザーコミュニティの全部じゃない。ここのところに関する記述が最初からもう少し表現されていた方がいいのではないかと。先生方は分かっているつもりでも、本当は物の考え方とか、進め方だとか、コミュニティの文化が随分違っているところも沢山あるので、その中で、サイエンスのところばかり言っていても、そこはお互い理解しても、実際に実験を進めていくというようなところでは、これだけ時間的余裕があるわけですから、お互い相当、理解を進めておくというのか、そういうことが将来的に非常に重要ではないかと、そういう気がしておりました。

【雨宮主査】
 具体的にどういう文言でどこに入れるのかということですか。

【林室長】
 情報発信。

【潮田委員】
 情報発信というよりは、むしろ、協議会にしかるべき分野の人を今から入っていてもらうということが大事だと思います。つまり、次の2年間とか何かの問題ではなくて、プロトタイプをどうするかという問題ではなくて、1回つくったら、それこそ戦略的に考えることのできる人を協議会に入れるというのが大事です。その人たちによって戦略的にテーマを選択させる。そこが重要だと思います。広報の問題ではなくて、選択メカニズムの問題。

【雨宮主査】
 そうすると、田島先生の言葉によれば、利用推進研究のこの「The」の付いているのと、付いていないのを分けないといけない。「The」の付いているものは、これはこの協議会で話すわけですから、それについて云々かんぬん言えないので、その枠を超えて、一般的な利用推進研究という枠を広げてやるべきだということの提言です。

【潮田委員】
 利用推進じゃなくて、利用想定研究ですね。

【雨宮主査】
 利用想定。

【潮田委員】
 利用することを考えている。利用を考えている研究を広く集める。

【雨宮主査】
 そうですね。広い分野から。

【潮田委員】
 そこが大事だと思います。

【雨宮主査】
 その部分が今ない。ないということはないけれども。

【潮田委員】
 だから、その「The」が付いていない方は想定研究。

【雨宮主査】
 そこをもう少し付けるということ。それは予算化と関係してくる。

【林室長】
 予算の余裕がないとできない。ただ、協議会を何とかするというのは、予算と関係なしにできます。

【潮田委員】
 そういうところからいろいろないいアイデアが出てきたら、科研費を取ればいい。こちらの予算で出さないで、科研費で通ってくるような研究をやればいい。

【雨宮主査】
 もう時間が5時になりましたので、次回までに--次回といっても来週月曜日ですので、あまり時間がないので、今日いただいたコメントでいろいろバージョンアップして、目標としては金曜日位までに送れるようにしたいと思います。でも、集まる前にフィードバックしてもらえるチャンスを持ってもらえる方がいい。この場へ出てきて、実はこうだとみんなが意見を言い始めるとなかなか時間が足りない。

【潮田委員】
 また元に戻ってしまう。

【雨宮主査】
 水曜日位までに集中的にやって、金曜日位までに意見を一遍戻してもらうというのがよいのではないでしょうか。

【神谷委員】
 今日の文章を送っていただくとありがたい。

【林室長】
 はい。

【神谷委員】
 先週送っていただいたのと、ちょっと中身が違います。今日のバージョンを送っていただければ、少なくともコメントできます。

【林室長】
 それはすぐにでもお送りします。では、今日のバージョンも一応お送りしますので、もし細かい「てにをは」とかで、すぐ直せるような部分はパッともらって、今日の大きな意見、いろいろな意見がありましたので、それも踏まえたバージョンをもう1回、水曜日か木曜日、できれば水曜日にお送り致します。

【雨宮主査】
 水曜日か木曜日に送って、限られた時間ですけれども、次回、月曜日で言いたいことは、できれば前もって金曜日あたりにフィードバックしておいてもらえる方が整理しやすいと思います。

【林室長】
 分かりました。先生方に今日の分も送ります。ただ、「てにをは」みたいな話について、すぐやれる分については、すぐ送ってもらえばいい。それも反映した形でまたもう1回送り直します。

【雨宮主査】
 それができると総合評価というところが自動的に、あとはピックアップした形でサマリーをまとめることになるので、ここは、あとはまとめ方の文言だけの問題になってくると思います。それでは、今日すぐにメールを送っていただいて、そして、今日口頭で意見をいただいたこと以外に、同じことでもいいのですが、文言でコメントする方が直接的だということに関しては、明日中位に文科省にフィードバックして下さい。それ以後また五月雨式にあるとなかなか収束しなくなってしまうので、今日、口頭でコメントしたこと以外で具体的に入れたいものについては明日中位ということで、そして、そうするとやはり2日位かかって、木曜日位には、そのリバイズドしたバージョンを皆さんにもう一度送って、それを至急見ていただいて、何かある場合には月曜日の前にコメントをいただくというプロセスを1回お願いしたいと思います。非常に立て込んでおりますが、逆に、忘れないうちに作業できる効率のよさもあるかと思いますので、宜しくお願いしたいと思います。
 それでは、暑い中、1週間、作業も含めて宜しくお願い致します。どうもありがとうございました。

─了─

お問合せ先

研究振興局基礎基盤研究課量子放射線研究推進室

(研究振興局基礎基盤研究課量子放射線研究推進室)