X線自由電子レーザー計画評価作業部会(第2回) 議事録

1.日時

平成20年7月7日(月曜日) 13時~17時

2.場所

文部科学省 17階 研究振興局会議室

3.出席者

委員

 雨宮主査、潮田委員、遠藤委員、神谷委員、今野委員、田島委員、谷口委員、家口委員、亘理委員

文部科学省

(研究振興局)
 林量子放射線研究推進室長、加藤量子放射線研究推進室長補佐

オブザーバー

 石川X線自由電子レーザー計画推進本部 プロジェクトリーダー
 太田 XFEL利用推進協議会 PD
 下村 XFEL利用推進協議会 利用推進研究課題選考・評価PT PO
 山内(やまのうち) XFEL利用推進協議会 委員
(同席者)
 矢橋X線自由電子レーザー計画推進本部利用グループビームライン建設チーム チームリーダー

4.議事録

【雨宮主査】
 それでは、時間になりましたので、第2回の評価作業部会を開催したいと思います。本日は、竹山委員と徳宿委員が所用のため欠席となっております。今日の作業ですが、前回、第1回目の後、各委員から出していただいたコメントに基づいて修正した評価すべき項目ということ、既にメールで回っていますが、資料2についてまとめられています。
 今野委員は初めてなので、1回目は一言だけ、30秒ぐらいで自己紹介をお願いします。

【今野委員】
 お茶の水女子大学の今野でございます。私はX線を使ったタンパク質の結晶構造解析をやっております。新しいX線レーザーですので、利用の方から何か私なりの意見が言えればいいと思っております。よろしくお願いいたします。

【雨宮主査】
 よろしくお願いします。
 それでは、配付資料に従って今日の議事を進めていきたいと思いますが、資料1ですが、これは前回、第1回目の議事録(案)で、6月12日にここで行われたものですが、既にメールでそれぞれご確認いただているかと思いますが、何かまたコメント等ありましたら、この会議の後にでもコメントいただければと思います。
 資料2ですが、前回、評価すべき項目(案)という形で出ていたものに、委員の皆様から更に付け加えるべき項目ということで、付け加えたものがこの資料2ですが、新しく付け加わったものが最初赤になっていましたが、今日の配付資料では全部色が統一されているかと思います、それをご確認ください。
 資料3が同じく各委員からいただいた質問事項です。前回の委員会の後にお願いした項目が、1番目がこの評価すべき項目でつけ加えるべき項目、2番目が今日第2回目のときにプロジェクトを進めている側にいろいろ質問したいという項目があれば、あらかじめということで、それは資料3にまとめられています。本日は、この資料2、資料3をベースにしながらヒアリングを行うわけですが、大体あと2回ぐらい、第4回ぐらいで中間報告書をまとめるということがありますので、ヒアリングの前にどういう形で最後まとめるかという、少しイメージの案を資料4に私なりにここで準備させていただきました。
 基本的には、この評価項目の開発、利用推進研究、情報発信、運用という、その項目についてそれぞれ評価を行って、それを最後、総合評価でまとめるということですが、まとめる報告書の分量としては、参考資料を除いて10ページ程度という位の分量を想定しております。
 それから、資料2に戻っていただきたいのですが、2.が「利用研究」となっていたのが、今回は「利用推進研究」と改訂されています。それは今、行われているものが将来できたときに利用研究を進めるための研究を推進するための研究ということですので、少し正確を期して「利用推進研究」とさせていただきました。前回の議論で利用推進研究に対する評価と将来できたときの利用研究に対する評価というのは少し混在していたような感じがしまして、それをあえて分離する必要があるかと考えております。将来できたときの利用研究については、むしろ、後ろの3.、4.、できたときにどういうような体制を整えていくか、そのためにどういう情報を発信するかというのが情報発信と運用かと、そちらに係ってくることが多いかと思います。
 2.の利用推進研究については、本日、太田主査と下村主査に来ていただいて、利用推進研究を評価する側での立場で、どういうことが行われているかということについてお話を聞くということを考えていまして、この委員会でまとめていくという形になるかと考えています。
 まず、全体、この中間報告書のまとめのイメージについて、何かコメントがあれば、まとめ方の大枠について何かご意見があればいただきたいと思います。基本的には資料2の評価すべき項目ということに沿ってまとめていくということですが、如何でしょうか。

【潮田委員】
 開発に関するレビューがマイナーな部分になるような印象を受けますけれども、実際に大事なのは計画の進捗状況、実際にフィジカルにどこまでできているか、テクニカルなディベロップメントがどうなっているかというところがメインではないでしょうか。情報発信も大事ですけれども、それはサイエンス・テクノロジーという意味から言うと、サイドエフェクトだと思います。ウエートはどういうふうに考えておられますか。

【雨宮主査】
 実際、今進んできている事柄について評価するという意味において、2.の開発についてがメインになるかと思います。それで、今後、利用研究に向けてどういう体制で臨むべしというのが4.の情報発信と運用だと考えておりまして、それについては将来こういう方向で進めるべしという形で、むしろ今まで行われてきている評価、今後のあり方についての要望、メッセージという形になると思いますので、中身の分量としましては、その開発のところが、この中間時点での評価のメインのポイントになるかと思っています。
 それから、3.については、利用推進研究についても、これは別途利用推進研究のプロジェクトを評価する委員会があるわけですから、それを聞いた上で我々が同じことの繰り返しをすることは意味がないので、別な視点から何かコメントがあれば、この開発と絡めて何かコメントをするという形でメッセージを出すということになるかと考えております。

【林室長】
 前回、この項目についてご説明いたしましたけれども、今回、中間評価で前回の事前評価のときに、ここで指摘されている事項についてきちんとフォローされているかという観点からの中間評価を行ってくれというふうに書いてあります。それに加えて評価指針、一般的な国の評価指針の大綱でございますけれども、そこにおいて中間評価する場合、この1.の開発の1-1に計画の進捗状況を評価しろと、ということが大綱に定められておりますので、その2つをくっつけた形で評価項目として書いております。
 したがって、利用推進研究のところ、評価項目が非常に多岐にわたっているのですが、これは事前評価のときに、これだけ指摘されているということで、ある意味で中間評価のときに、ここの1.、2.が非常に重要なところかなと思っております。ただ、2.につきましては、今、雨宮先生からも話がありましたけれども、また別途の枠組みでいろいろ進めているところもありますので、そこも踏まえた形で評価をしていただければと思っているところです。

【神谷委員】
 この情報発信、4.とわざわざ大項目を設けているのは、これは何か意味があるのでしょうか。または情報発信が足りないので大々的にやるべしということで、取り上げているのでしょうか。

【雨宮主査】
 これは私の理解は、このFELが完成したときにこの性能を最大限に活用した利用研究が行われるという土壌をつくるために、情報発信ということをオープンにして、こういうことを使いたい潜在ユーザーに情報が的確に伝わっているという仕組みを最初から意識しておくということで、利用研究という括りにすれば分かりやすいと思うのですが、利用研究を進める上で非常に重要な要素になるという意味で括り出しているというのが私の理解です。

【今野委員】
 装置の開発はすごく立派なものができたとしても、そのときにどういうふうなことに使うのか、それがなかったら意味がないので、この利用推進研究とか、あと、それだけの予算を使っていますので、情報などについて行うべきだと思いますので、私はこれも大事な項目だと思います。

【雨宮主査】
 他に如何でしょうか。
 それでは、評価すべき項目ということの項目に従って、質問事項も含めた情報を含めて、石川プロジェクトリーダーから資料5に基づいて、開発に関してご説明をいただきたいと思います。
 本日の全体をもう一度確認しますと、その後、利用推進研究に関しては、この資料6-1に基づいて、利用推進協議会の主査である太田主査から説明をいただきます。その次に、この利用推進研究課題の選考・評価プロジェクトチームのプロジェクトオフィサーである下村プログラムオフィサーより、資料6-2について説明いただくということになります。さらに資料6-3に東京大学の山内先生から具体的なこのプロトタイプ機及び実機の利用研究に向けた利用推進研究に関して、具体的な例を取り上げながら説明していただくということになります。
 この資料6-1から3までが評価すべき項目の2.の利用推進研究ということに関するご説明になります。その後、資料7では情報発信に関しての説明資料、運用等に関しての説明資料が資料8ということになります。情報量のウエートからしますと、1.と2.がメインということですので、そういうウエートで今回ご説明をしていただくことになっています。あと、この前、現場の方もという潮田先生のコメントがありましたので、1人、矢橋さんが同席されています。
 以上が今日の進め方ですが、基本的にはこの4つの項目についてのヒアリングが終わったところで、それなりのまとめはしますが、そこできっちりまとめるというよりも、ある程度まとめたら次の項目に行って、もう1回最後に戻って全体でまとめ直すというような、形がいいかと思います。1つ1つ完全にまとめていくと、少し齟齬が起こったりするときにまとめ直しというようなこともあり得るかなというので、それぞれの項目で少し、ある締めをした後で全部行って、最後また全体でまとめ直すというような形で質疑応答を進めていきたいと思っています。
 それでは、石川プロジェクトリーダーから、ご説明をお願いいたします。

【石川プロジェクトリーダー】
 お手元の資料5に基づいて説明させていただきます。まず、資料のつくり方でございますけれども、資料2の評価すべき項目というリストの項目の番号がここに出ております。一方、資料3の各委員からの質問事項で挙げられているもの、対応する質問がここにあるという、そういう資料のつくり方をしております。
 まず、進捗状況のご説明でございますけれども、最初にどういう計画であったかというのが、この資料1でございまして、平成18年から22年の途中まででハードウエアをつくって、この後半から試運転をして、23年の後半から共用施設として運用するというのがロードマップでございます。それに対して試験加速器でいろいろなR&Dを行って、だんだんその試験加速器を研究開発として利用するのから、試験加速器自体も共用施設として運用しようということを考えております。
 運営・運転体制でございますが、これはもう最初から共用促進法に則った施設になるということで考えておりますので、共用促進法に基づいた運営・運転体制を考えていくということで進めております。
 施設、建設開始時の建設・要素技術開発の計画表及びその進捗状況ということでございますけれども、上が建物関係の予定で、下が装置関係の予定でございます。勿論加速器が一番長く掛かりますが、加速器、ビームライン、あと制御、電子ビームの輸送系、安全のインターロックで、機器安全、人安全というインターロック系統をこのような計画でつくっていくという予定で始めています。平成22年の中で大体のハードウエア建設を終わりまして、ここに加速管エージング、ビーム調整を入れて、平成23年の秋から利用を開始するという予定で進めております。
 基本パラメータでございますけれども、まず、8GeV(ギガ電子ボルト)で1nC毎パルスで規格化エミッタンスが1πミリメートル・ミリラジアン以下、バンチ長が100フェムトセカンド以下、ピーク電流値3kA(キロアンペア)、スライスエネルギー拡がりが0.01パーセント以下、エネルギー安定度0.01パーセント以下、繰り返し60Hz(ヘルツ)、こういうものをつくると、レーザーとして働くというわけでございますけれども、レーザー波長は0.06ナノメートルで、真空封止アンジュレータで18セグメント、5メートル毎セグメントというものを考える。磁気回路としてはハイブリッド型の磁気回路で、周期長、周期数は18ミリメートル、277が1つのセグメントについている。ギャップはバリアブルですから、いろいろと波長は変えられるというものでございます。
 次に入射器でございますけれども、入射器としては諸外国とは違ってDC Gunを使っています。いわゆる熱電子銃を使って、熱電子銃からのビームを圧縮していくという方式をとっています。今、CeB6(六ホウ化セリウム)のカソードを2万時間使いました。2万時間使ったらヘタッてきたということでございますけれども、2万時間の寿命のある電子銃が出来上がったということでございます。テストスタンドで試験をしますと、規格化エミッタンスとして大体90パーセントで、0.6πミリメートル・ミリラジアンですから、必要な性能の0.6倍よくなっていると言うべきですが、そういうものが出来上がっております。
 次に入射部でございますが、実は我々のフリエレクトロンレーザーの諸外国との決定的な違いは、この入射部にございまして、入射部で長いビームからだんだんパルスを短くして電子ビームを圧縮するということをやっております。試験加速器でいろいろなことが分かりまして、この辺が非常に進んだわけですが、試験加速器ではS-band、238から476に行って一気にS-bandに飛んでいますが、ここに若干の問題があるということが試験加速器で分かりまして、実機ではこの間の周波数のL-bandを入れるという設計に変えております。このために若干入射部の長さが長くなりますが、1GeV(ギガ電子ボルト)までの圧縮率を試験加速器では100分の1にしていたのですが、実機では50分の1にして空間電荷効果がそれほど効かないような形に修正しております。
 加速管及び加速器でございますが、これはC-bandの加速管を使いまして、加速管、あとC-bandのスレッド、パルス圧縮器、こういうものを開発しております。現在、37MV/m(メガボルトパーメートル)というかなり高勾配で日常的に運転しておりまして、例えば試験加速器では37MV/m(メガボルトパーメートル)の加速電界で運転しているわけでございますが、放電等による停止が5日間に3回というLINACとしては非常にいいレベルで運転ができております。
 メインの加速器の高周波機器の製作状況でございますが、C-bandの加速管は、月産5本程度で出来上がっておりまして、全部で七十数本でございますので、2年位で全部揃うというようなものでございます。その他Sスレッド、ダミーロード、導波管等もできまして、S-bandの関係の機器は全部納入が済んでいます。テストスタンドもつくってございまして、このテストスタンドでいろいろなテストを行ってから実機の組み込みを行う予定にしております。
 加速器の電源関係でございますが、電源は50kV(キロボルト)の高電圧インバータ電源というのを主充電器、補充電器方式という新しい方式でつくりまして、この電圧安定度は0.005パーセントピーピーという非常に高い安定性を実現しております。この試験加速器でモジュレータ電源をオイル漬けにした密閉型モジュレータというのをつくったわけですが、本機、実機ではモジュレータだけでなくて、クライストロンタンクも一体型にした一体型モジュレータというのを開発して、これを使う予定でございます。これによりまして設置床面積を今までの分離型の約3分の1に致しましたのと同時に、間をつなぐケーブルが拾うノイズを取ることによって、非常に高い安定性が実現できるものだと考えております。
 電子ビームの診断系、制御系、診断・制御でございますけれども、今、PARMELAとELEGANTというコードを使った3次元トラッキングを行って、Start end simulationを行っています。低エネルギー部をPARMELA、高エネルギー部をELEGANTで行って、8GeV(ギガ電子ボルト)でレージングするための電子ビームの必要性能というのを出しています。勿論、この必要性能を満たすようにいろいろなものをつくっているわけです。
 今、その計算機シミュレーションにより電子ビームの性能評価を行いますと、この部分でそのレーザー発振の要求をほぼ満たす部分というのがございまして、この8GeV(ギガ電子ボルト)でのビーム性能、計算値でございますが、規格化のスライスエミッタンスが1.1πミリメートル・ミリラジアン、スライスエネルギー拡がりが0.006パーセント。ピーク電力、これは間違いでございまして、4.5kA(キロアンペア)でございます。3kA(キロアンペア)以上あると発振するわけでございますが、この発振に寄与する部分が20fs(フェムト秒)程度になるだろうというシミュレーション結果が出ております。
 BPMでございますが、BPMもいろいろな開発が進んでおりまして、このBPMと、あと四極の電磁石の芯を通すということをしなければいけません。この芯を通すことをいろいろ工夫いたしまして、今、10ミクロンの精度でキャリブレーションができて、これはその要求精度50ミクロンというのを十分にクリアしていると考えております。

【雨宮主査】
 BPMとは。

【石川プロジェクトリーダー】
 Beam Position Monitor。
 あと、全系制御及びインターロックでございますが、これはSPring-8でつくりましたMADOCAというシステムをそのまま使うということで進めております。2007年度にアンジュレータの制御を除いた加速器部分のシステムの発注を既に終了しております。アンジュレータですけれども、これもSPring-8でつくりました真空封止用アンジュレータを使います。周期長18ミリメートルで、波長をギャップを変えて、あとエネルギーも変えるともっと変わるのですが、変えることができます。
 今、右側にギャップを変えるとどのように波長が変えられるかというのが書いてあります。この小さいεの値はエミッタンスの値でございまして、エミッタンスが大きいとなかなか難しいわけでございますが、エミッタンスが小さくなるとかなり短波長までいくということがあるわけです。今、1オングストロームを考えますと、1オングストロームはギャップ4ミリメートルが8GeV(ギガ電子ボルト)で、7GeV(ギガ電子ボルト)でも5ミリメートルでいくということでございます。実は最初は15ミリメートルの周期長を考えていたわけでございますが、試験加速器で15ミリメートルにするといろいろな問題が出てきまして、まずはその18ミリメートル、安全側で確実に発振するものをまずはつくろうということで、実機の1号機は18ミリメートルを狙っております。
 アンジュレータでございますが、アンジュレータはハイブリッド型とパーメンジュールの磁極を入れて両側から磁石を付けたような形でございます。これは真空封止型ですので、真空チェンバーの中に磁石を並べたものを入れていくというものでございまして、今、量産に向けたR&Dが終わったところで、量産に向けたR&Dとしては真空槽の中に入れてギャップ長の精密測定・調整装置というのを開発致しました。
 一方で、かなり長いアンジュレータがずっと置いてあるわけでございますので、その磁場測定をSPring-8のときのように一々取り出して磁場測定をするというわけにいかないので、真空槽の中に磁場計測装置を組み込んで磁場計測ができるようなものを開発しております。これをSAFALI:Self Aligned Field Analyzer with Laser Instrumentationと呼んでおりますが、こういうものによって真空に敷いたまま、現場に置いたままでアンジュレータの磁場が計測できるようなシステムを開発しております。
 多分、今後一番問題になりそうなのは、wake fieldの影響でございますけれども、wake fieldの影響、これは今後いろいろ検討するところがまだありますが、RFのトランジションの部分、あと、磁石の表面をどういうふうに覆うか。SPring-8ではニッケルのフォイルで覆って、磁石の表面をフラットに見せるようなことをしているわけですが、多分、ニッケルだと導電率がちょっと悪いので、ニッケルに別のものを付けるようなことを考えなければいけないということで、今、検討しております。

【田島委員】
 フォトン波長の可変性は、0.13から0.06ナノメートルの間ということですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 これで見ていただくと、0.04から0.12でございますので、こういうところで、8GeV(ギガ電子ボルト)で振れる。一方、このエネルギーは可変でございますので、エネルギーでも振れる。

【田島委員】
 それはどの位ですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 7GeV(ギガ電子ボルト)で5ミリメートルというので同じエネルギーに行きますから、これでスケールしていただく。

【田島委員】
 利用研究のときに0.6オングストロームというのは短過ぎて、もっと長いレーザーの方が使い勝手が多いということも多々あると思います。そうすると、DESYみたいに非常に長い波長のレーザーを、今、彼らが出していますけれども、その辺でこの場合、途中から取り出してやるということはできますか。

【石川プロジェクトリーダー】
 DESYみたいに非常に長いところで取り出すというのはプロトタイプの役目でございまして。

【田島委員】
 いろいろな波長での利用はできるのかという質問です。

【石川プロジェクトリーダー】
 そういう意味では、この1つのアンジュレータでは0.6オングストロームから2オングストローム、3オングストロームくらいのところまでは振ろうと考えておりますが、違う波長領域で5本ございますので、違う波長領域のものを別の所につくるというやり方はあるのだろうと思っています。

【田島委員】
 途中から取り出せないのですか、ビームのエネルギーを低いレベルで取り出して使うということはできないですか?

【石川プロジェクトリーダー】
 原理的には可能ですけれども、途中で取るのでなくて、アンジュレータの一部を加速フェーズに乗せないとか、減速フェーズに乗せることによって低エネルギーのエレクトロンビームをつくってアンジュレータに持っていけば、低エネルギーは出ます。勿論アンジュレータのピリオドの長いものをつくれば、それは長い波長が出るわけです。
 据え付けとアライメントですが、加速器はジオイドに沿ってアラインして、マグネットで地球の丸さを加速しようと考えています。光は真っ直ぐ飛んでしまうので、X-ray beam based alignment、光を使ったアライメントで真っ直ぐに並べることを考えています。
 ダンプは8GeV(ギガ電子ボルト)のビームが落ちてくる。ダンプの設計もできていて、放射線的な評価も済んでいます。1つだけ言っておかなければいけないのは、永久磁石を1つ入れて、エレクトロンビームが実験室に飛ぶことは絶対にないように、永久磁石で振るということを考えています。
 次に光学系でございますけれども、ESRFのオプティクスのアンドレアスフロインドが、オプティクスはないのが一番いいオプティクスだとおっしゃったわけですが、レーザー、コヒーレントな光というのは、触るとある意味でだめになるわけです。とは言っても、このSASEのX線レーザーでの光学系に対する要請といたしましては、まず、そのコヒーレンスを壊さないこと、スペックルが出ないようなオプティクスでないといけない。
 もう一つは、非常に強いですから、高い強度に対して耐性がなければいけない。これは昔、リバモアのグループがいろいろな計算をやって、ローレンス・リバモアのクライテリアというのが出来上がっています。一般的にはここまでなのですが、このFELでかなり特殊な、面白いことがいろいろできるわけで、その特殊光学素子というのも開発が進んでいるわけです。
 このコヒーレンス保存・スペックルフリーというのは、ある意味でアトミックレベルでフラットな非球面をつくらなければいけない。こういうものをつくると、このローレンス・リバモアのクライテリアから決まる光子の空間密度よりも物をだめにしてしまうような、空間密度よりも低い、下げてあげることができる。一度、EXPANDERできれいに広げてあげれば、あとは従来技術が使えるわけです。
 この原子平面、アトミック・フラットな加工というのは、実は阪大の精密にそういう技術がございまして、この技術を使うと非常にいいEXPANDERができて、そのEXPANDERを通すと、今までのX線光学技術というのがそのまま使えるということで、FEL光をEXPANDERを通して密度を下げて、既存光学系を使ってコンデンサーでまた絞ってサンプルに当てるというのが1つの考え方です。今は、この考え方でやっています。一方で、特殊なものはいろいろございますが、利用推進課題の中で電通大の米田先生がやっているようなのがかなり特殊ではございますが、面白い光学系、光学素子というものの開発が行われています。
 そういうふうに考えますと、光学系の進捗状況でございますが、今、ビームパラメータに対してどのような光学系を組むかというものは大体決まりまして、その設計がほぼ終わっております。実はリバモアのクライテリアというのはかなり厳しいかと思ったのですが、ちゃんと当たってみるとそれほど大したことはないというか、非常に大きい。例えばドイツのDESYでは直入射のミラーで当てて、壊れないで使っているというような例もございまして、あまり耐強度のところは深刻に考えなくていいという感じがしています。
 もう一度、要素技術でございますが、高コヒーレンス性、パルス性、あとSASE起因のフラクチュエーション、いろいろなことを考えると、やっていかなければいけないのはスペックルフリー、あと耐高強度、あとパルス性でございますから時間を考えて外部機器との同期、あとショットごとのビーム診断、ショットごとのデータ計測・解析、こういうことをやっていかなければいけないわけです。先程申しましたようなミラーの話とか、ベリリウムフォイルの話、あとダイヤモンドの単結晶とか、いろいろなことをやっているわけでございますけれども、特にタイミング検出器のあたりは、これは我々だけの問題ではなくて、DESY、スタンフォード、これは全く同じ問題を抱えておりますので、みんなで一緒にやろうというスキームをつくって一緒にいろいろな開発を進めているところでございます。
 細かい話になりますが、光学系としてはスペックルフリーのミラーをつくったとか、スペックルフリーのベリリウムウインドーをつくったとか、それを回折限界の集光ができるような長尺ミラーを今つくっているとか、フェムト秒のタイミングの同期システムを今考えている。あと、シングルショットの光特性の診断システムを考えているといういろいろなことがございます。
 ただ、そのフェムト秒のタイミング同期というのを本当にやろうと思うといろいろな問題がございまして、今はフェムト秒で同期させて制御するというよりは、むしろポストプロセッシングと申しまして、光と何か別の現象がどれだけ時間が経ったかをはかるシステムをつくるという方向で、いろいろなことが進んでいます。これは我々だけでなくてDESY、スタンフォードも、その方向でいろいろなことが進んでいるわけです。
 光学系に関して、今後、開発すべき要素技術、必要な時間、人員、特に光利用技術の開発状況と今後の見通し等について、本プロジェクト以前、このプロジェクトでどうしたか、世界でどうなっているか、今後の見通しというものをまとめてございます。
 次に、実際のX線自由電子レーザー利用経験がない中で、その利用研究を推進する開発研究者に技術支援が必要であるということでございますけれども、今年度から我々の利用グループに3チームつくりまして、利用体制の強化をしております。あと、利用推進課題でお使いになる方々を理研の客員研究員として迎えて、利用推進研究の推進を支援してございます。ユーザーと利用チーム、研究員・加速器運転員が定期的にミーティングを持って、利用推進研究の推進に努めている。
 やはりプロトタイプを使っていくということが今後の開発にとって非常に重要だと考えておりますので、そのプロトタイプを使った経験をいろいろなところに生かすということを考えておりまして、利用に関するワークショップですとか、バイオタスクフォース、これはバイオロジーの人たちとのいろいろな会合でございますが、こういうものを開催していろいろな情報発信をしているところです。
 現在の進捗状況でございますが、建屋がかなり出来上がってまいりまして、アンジュレータの部分、あとLINACのトンネル等々、いろいろ出来上がっております。前にご指摘がございましたように、この非常に重要なアンジュレータ部分はかなり硬い所にあるわけでございますけれども、加速器の部分は一部やわらかい所がございまして、杭を下の岩盤まで立てて支えるという構造になっています。建物はSPring-8と同じ鞘堂構造で、コンクリートのシールドがあって、それを周りから空調されたもので囲うというやり方です。大きなコンクリートの熱容量で中を安定化しようという、考え方です。
 杭の打設から大体4カ月が経ちますと、杭の収縮が大体おさまって、上の変化が少なくなるということが分かっております。その杭によってどう変わるかということでございますが、これはKEKレポートに載っている地盤の振動レベルでございますけれども、大体、どうやってもミクロン、これが0.1マイクロメートルですから、周波数積分値で0.5マイクロメートル以下で、SASE光の安定発振に必要な数ミクロンの値はクリアするわけではございますけれども、ただ、時間が経って変化するとアライメントのやり直しが必要になります。勿論、何もやらなくても頻繁にアライメントのやり直しをすればいいわけでございますけれども、この杭を打つことによって、なるべくアライメント周期を長くしようというのが我々の考え方です。
 電子ビーム輸送系のサイエンティフィックメリットということでございますけれども、これは8GeV(ギガ電子ボルト)の線形加速器から高品位の電子ビームがSPring-8に入射可能になります。そうすると、8msec(ミリ秒)(2,000ターン)の時定数で平衡エミッタンスに達するようなことになりますが、この間は非常にいいビームが使えるということで、このSPring-8でこのビームを回すということを計画しております。この時間を長くするためには、最終的にはSPring-8の磁石配列を変える必要がありますが、そういうことをやると非常に短パルス、いいビームがSPring-8を回り続けるということが理論的には可能です。
 次に予算関係の進捗状況でございますが、各部分の予算と執行予定時期ということで、最初の予算プロファイルは建屋・機器整備のみで、全部で331億円ということで2006年から2010年、進めてきたわけでございます。これが現在、補正予算等々でいろいろ入れ代わっているわけでございますが、約20億円増えまして、20億円増えた1つは電子ビーム輸送トンネル11億円と、電子ビーム制御系9億円の計20億増えていますけれども、この増えた一番の原因は増材料の値段高騰、加速管は全部、銅でございまして、その辺が非常に上がったことと、あと加速器のプロトタイプからの設計変更で、当初、最初の加速器よりも50メートルほど加速器が長くなりまして、そのための建屋の変更等で総額20億円が増えております。
 海外の進捗状況でございますが、先程も申しましたようにスタンフォードとドイツのDESYでやっていますが、第3世代の放射光と違って3つの装置というのが全部違うテクノロジーを使ってFELをつくろうとしています。非常に荒っぽい言い方をすると、スタンフォードはもう既存のLINACを使うことによって、とにかく一番乗りを目指している。DESYは超伝導で非常にハイレピティションのものをゆっくりではあるけれども、ハイレピティションのものをつくろうとしている。
 我々は何をやろうとしているか、インバキュームなアンジュレータのテクノロジーを使って、とにかくコンパクトなものをつくろうとしている。全然違う3つの方向に行っておりますので、利用もある意味で違う3つの方向に行くのではないかと考えています。ですけれども、表に出てくる光の仕様というのは非常に似ていますので、みんながいろいろな開発をして、ドイツ、アメリカ、日本でいろいろな利用を考えている方が最終的には一番いいところに落ち着くのではないかというのが私の個人的な見解です。
 推進体制でございますが、これはこういう体制でやっていて、責任者の名前がこの表に入っています。中の人数の細かいところのご要求がございましたので、中の人数の細かいところを書いたものを付けてございます。次も、その各グループの細かいところまで書いてございますが、1つ注意していただきたいのは、ここの利用のところの客員16名の中には、SCSS試験加速の利用課題実験者というのがここに入っているので、これは利用する方です。
 次に国内外の関連研究機関との連携・協力ということでございますけれども、JASRIとの間に協定をつくり、KEKとの間に協定をつくり、国内ではこういうことでやっております。国際的にもDESY、SLAC、SPring-8、3者の協定をつくって、昨年からその3者のワークショップでいろいろなものを進めている。あと、浦項との協定をつくって、浦項、SPring-8の間でFELに関する協力を進めているという状況でございます。これは昨年に第1回の3者、3極と言っていますが、SPring-8、DESY、SLACのワークショップを昨年10月に行ったわけでございますが、こういうものを毎年1回行って、その共通に開発するものを共通にやっていこうというアグリーができています。
 次に計測手法の開発でございますが、これは前にも出しましたように1つはシミュレーション技術を開発した。あとはシングルパルスで計測する技術を開発して、これはスタンフォードとの共同開発をやっております。
 次にプロトタイプ機でございますけれども、プロトタイプ機はエネルギーとして32分の1のFELをつくるということで、役割としては実機建設のためのR&D、利用研究のための基盤技術開発というのが1つ。もう一つは波長約50ナノメートルの真空紫外線レーザー光源の実用機として利用研究に使用という、この2つの目的でやっているわけです。このプロトタイプ機をどういうところに実機の建設に反映させたかというのがここにまとめてございまして、いろいろなことがあるわけでございますが、特に細かい説明は致しませんけれども、いろいろなところを、実機をつくる上でプロトタイプ機が非常に役に立っております。
 現状、いろいろな高度化を行いました。特に非常に面白かったというか、参考になったのは、冷却水温度を安定化することによってレーザー発振が、パラパラと発振していたのが非常に安定になったとか、あと、37MV/m(メガボルトパーメートル)の高電界強度で非常に安定に運転できるとか、いろいろなことが分かってまいりました。
 もう一つ、プロトタイプ機では、レーザーの中ではおなじみでございますけれども、シーディングという技術を真空紫外で開発しておりまして、このレーザーの高次高調波を使ったシーディングというのをやっています。ただ、これは実機になりますと波長、エネルギーがここまでいかないので、この技術は使えないわけでございますけれども、実機のシーディングとしてはエレクトロンビームにシードをつくるスーパーシーディングというのを今開発中でございます。これはX線まで原理的に行くものでございます。
 次に利用推進研究の状況でございますけれども、利用推進研究というので使っていただくというのを今進めております。分野はAtom Molecule Optics--AMOと呼ばれるところが主でございますが、既に最初の成果がAPLに出て、これは後で山内先生からお話があるかと思います。
 次がプロトタイプ機で認識されたいろいろな問題と実機に向けた対応策、これは特に光の利用のところでまとめてございますが、使ってみるといろいろな問題が出てくるわけでございまして、それに対する対応というのを今いろいろと検討しているところです。
 あと、その周辺技術がどのような波及効果があったのかというご質問がございましたが、加速器を1つつくってみると、いろいろな周辺技術というのが出てくるわけでございまして、下にこのXFEL計画の中から生まれてきました特許の出願の例を出してございます。加速器関係が非常に多いわけでございますけれども、もっと一般的なものもございまして、その周辺技術というものがいろいろ広がっているということを見ていただければと考えております。
 その他にレーザーにするための調整運転予算を十分に確保し、一日も早くレーザー発振を迎えることの必要性でございますが、これはもちろん必要でございまして、いろいろお願いしている最中でございます。
 これが最後になるかと思いますが、XFELと固体物理というご質問があったわけでございますが、物を見るという観点からいきますと、固体物理関係はいろいろ見るものはライバルがたくさんいて、いろいろ埋まっているわけでございますが、ちょうどこの部分の一般メゾスコピックというところに空白領域がございまして、このメゾスコピックのところで動く現象を見るということにはいろいろ使えるのではないかということで、京都大学の松原先生を中心にして合金系の析出過程ですとか、そういうことに向けたイメージング手法の開発が行われております。
 一方で、スペックルを使ってスピンを見るということが、これは東北大学、あと富士通研究所等のコラボレーションで進んでおりまして、ブラッグ反射での磁気スペックルをはかることによって、その微小スピンデバイスの設計に役立てようというようなことが、この両方とも、その利用推進課題の中で進んでいるわけです。
 かなり長くなりましたが、開発の話は以上でございます。

【雨宮主査】
 それでは、ご質問とかコメントとかお願いいたします。

【田島委員】
 最後のページで、これは実機じゃなくてプロトタイプの固体物理への利用ということをおっしゃっているわけですか、実機なのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 これは実機です。

【田島委員】
 実機だと、何で100ナノメートルなどというところに斜線、編み目がついているが、波長は1オングストロームより短いのではないですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 他の方法がないところという意味での編み目です。

【田島委員】
 実際の実機の波長は0.6オングストロームとおっしゃっていましたけれども、そこがない。だから、どういう利用を考えられているのかがよく分からないです。もう少し言うと、ピンクのところというのは、プラズマX線レーザーというのは存在していますよね。だから、存在しないということはないのではないですか。存在していないのは、いわゆる1オングストロームより左側だけれども、そこが書いていないので、どういう固体物理の利用を考えられているのかなと思います。

【亘理委員】
 これは分解能です、ここに書いてあるのは。だから、波長の分解能ではなくて、顕微鏡の装置となると分解能は多分……。

【田島委員】
 観察できる物質の大きさ。

【亘理委員】
 今、X線の顕微鏡の分解能は電子顕微鏡までいきません。

【石川プロジェクトリーダー】
 波長を使うということで言ったら、ブラッグ反射はみんな波長を使うわけで、ここに書いてございますのは、イメージングとしてこういうところに穴があるよ、この穴のところには使えるよということを示したものです。

【今野委員】
 プロトタイプ機で、先程成果があったということですけれども、実際にはもっと性能のいいものができるわけですね。プロトタイプですから、最終的にはできるものでは、もっと強力であるとパルスが何とか、いろいろあるわけですね。それは今のプロトタイプでやったものが、実験がそのまま使えて、もっといい精度になるというような、そういうふうなことですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 プロトタイプは、50ナノ、60ナノ、ですから、600オングストロームの光が出てくるわけです。一方で、今、実機は1オングストローム、0.6オングストローム、そういう光が出るわけです。ですから、その同じレーザーであっても、こちらは紫外のレーザー、紫外の非常に強いレーザー、こちらはXの非常に強いレーザーでございます。

【亘理委員】
 海外ではプロトタイプをつくっているのでしょうか。

【石川プロジェクトリーダー】
 DESYではFLASHというプロトタイプをつくっています。

【潮田委員】
 プロトタイプではどの技術をチェックしているのですか。波長は全然違うところへ行くわけだから、ミラーとかいろいろなところ、違いますよね。プロトタイプをやることによって何を学んで、それが実機に対してどう使えるのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 利用の方では、多分、タイミングのところだと思います。

【潮田委員】
 利用じゃなくて、発生の部分で。

【石川プロジェクトリーダー】
 発生の部分は、SASE、いわゆるSASE方式のレーザーを発振させるというのは、それ自体がいろいろと技術の組み合わせでございますので、そこに対するコントリビューションがプロトタイプは非常に大きかった。

【田島委員】
 波長が長い方がやさしいです。

【潮田委員】
 長い方がやさしいですね。ビジブルはもうとっくに出ている。だから、プロトタイプで100倍ぐらい長いでしょう。実機が0.6オングストロームで、今、こっちが600オングストロームまで行っているわけだから、1,000倍ぐらい違うわけですね。そこで開発した技術で、例えばミラーとかいろいろなところに使えるのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 光学素子技術は、むしろSPring-8で開発したものがXFELに行きます。波長領域からいくと。加速器技術としては、スケーリング則が成り立つ話ですので、どこがどうであれば実機をどうすればいいかというのは、このプロトタイプで分かります。

【潮田委員】
 これは加速器の部分ですね。

【石川プロジェクトリーダー】
 はい。

【潮田委員】
 光学系はだめですよね。

【石川プロジェクトリーダー】
 光学系は、むしろSPring-8の方でつくったものを持っていく。だから、先程従来技術でと書いたのは、SPring-8でつくった技術を使えるようにするにはどうすればいいかというところでございます。

【潮田委員】
 それから、何か利用の方で、利用研究のプロトタイプを使ってというのがありますね。それも何かスケーリングするのですか。何もスケーリングしないような気がしますが。

【石川プロジェクトリーダー】
 利用研究はスケーリングしません。利用研究は、特に今は原子・分子科学の方々が、この波長領域で面白いことをやっていますが、そこでつくった装置は波長が違うところに持っていけば、違う面白いことを見てくれるものだと思っています。

【潮田委員】
 いや、そのプロトタイプで何か物理なり化学なりを実験しているということですよね。

【石川プロジェクトリーダー】
 はい。

【潮田委員】
 だけど、それをやったからといって、実機ができたときにどう役立つのですか、全然別の研究ではないですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 例えばある波長での分子の変わり過程が違う波長でどうなるかとかいうのは同じ装置でできるわけです。同じ測定装置。だから、この測定装置を光源としてのプロトタイプに置くか、実機に置くかでいろいろなことはできるわけなのです。

【潮田委員】
 そういうことをやっているのですか。そうすると、ソース自体の問題ではないわけですね。

【石川プロジェクトリーダー】
 ソース自体の問題ではないです。もう一つ非常に大切なのは、タイミングのところです。我々、今までサブピコのタイミングというのは、あまり扱ったことがありません。そういう意味で、あるシグナルと光が来るタイミングをサブピコで合わす技術というのは、光の波長がどのようなものであってもこういうところでできてくるわけです。

【谷口委員】
 例えばシングルパルスで計測する技術とか、実は非常に基本的な技術のうちの1つになると思いますが、現在、平成18年度とか、19年度とか、利用先進研究や実際やっていらっしゃる人たちが1グループでなくて、複数のグループでやっているとすると、そこで共通に使えるような技術になる可能性もあるわけですね。そういうところの取りまとめというか、お互いの利用推進研究をやっているグループ、Aとか、Bとか、Cがあって、おのおの独立で、おれはこんなやり方、こんなやり方と、それもいいのだけれども、Bの方がAとかCとか見れて、結果的には単独でやるよりはよかったと、そういうような仕組みとか、それはここに書いてあるワークショップとか、そういうところがそれに相当するということですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 後でご説明があると思いますけれども、今のようなことが利用推進課題の中の基盤というところに入っておりまして、その基盤のところでオプティクスの共通的なところとか、タイミングの共通的なところをつくって、個々の利用をする方は、そういうところの技術を持ってきてやるという仕組みができています。
 その利用推進課題が来年度から、幾つかの利用推進課題をマージして、実際に使える機械をつくっていくというフェーズに入るわけでございますが、まさに今まで幾つか独立でやっていたものが、いいところをまとめ上げて1つのものにしていくというフェーズに来年から入っていくと考えています。

【谷口委員】
 今まで実際に使ったことのない領域の光を、あるいは時間分解の領域にしても、未知の領域ですから大変だと思うのですけれども、そういう取りまとめをするのを支援だと思うし、それからもう一つは、例えば日本に限定する話ではないので、例えば技術レベルがこの辺まで行っているとか、それから、それに精通した研究者なり研究グループなりとの連携体制を組むとか、そういう支援については、今後、なかなか難しいですよね。誰も見たこともないようなことをやるわけですから。

【石川プロジェクトリーダー】
 3つの施設が全く同じ問題を抱えておりますので、その3つの施設で共通に進めていくということをやっております。
 もう一つは、いろいろなものがベースラインの技術としては、多分、今持っているもので最低限のことはできるのではないかというのがかなり共通の認識でございまして、そのベースラインの技術の上に立って、その上をどうやって進めていくかというのが今後の課題かと思っています。

【田島委員】
 同じことの繰り返しになって申し訳ないけれども、0.6オングストロームというのは、利用から見て本質的な波長だとはとても思えないです。

【石川プロジェクトリーダー】
 違います。

【田島委員】
 そうしますと、利用者から見た場合にいろいろな波長における需要というのはあると思います。先程も質問申し上げたのですが、FLASHみたいに長いところで利用しようという立場もあるし、それから、もう少し短いところもあるし、それから、最終的に0.6オングストローム、使いたいという人もあると思いますが、大抵の人は0.6じゃないと思います。そうすると、その途中から、例えば低いエネルギーのビームから取り出すところ、あるいはアンジュレータのピリオドを長くして、もうちょっと波長の長いところで使うとかいうことができると利用が広がると思います。その辺は技術的に可能なのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 先程申しましたように、まず1つはLINACを途中から加速フェーズから減速フェーズに乗せれば、低いエネルギーの電子が通るから低エネルギーの光は出ます。けれども、そのオプティクスが違うから、そのままでは通らない。

【田島委員】
 プロジェクトとして、そういう考え方はあるのかということを聞いています。原理的に可能だというのは分かりますけれども。

【潮田委員】
 何で0.6なのか。

【田島委員】
 理由は特にないと思います。世界がそうやっている。

【石川プロジェクトリーダー】
 要するにプロジェクトとして最終的には5本のラインをつくるスペース、19ページです、エレクトロンビームを分けて、5つの違うスペックのFELができるような形になっております。今やっているのは、真ん中の1本と端の1本、端の1本はかなり長い波長を狙っているわけでございますけれども、この2本をつくろうとしています。

【田島委員】
 かなり長いというのは、どの位長いという意味ですか。そこにパラメータが書いてある。

【石川プロジェクトリーダー】
 この広帯域というところは、実はまだちゃんとパラメータがフィックスされておりません。皆さんのご要望でこれからフィックスするところだと思っています。

【潮田委員】
 その0.6オングストロームというのは、何でそう決めたのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 光ですから、短い波長であれば細かいものが見える。ただ、このレーザーの難しさはラムダの3乗で難しくなる。どこまでフィージブルかということを考えると、0.6位までいけるだろうというところで決まりました。

【潮田委員】
 つまり、使う方が欲しいからではなくて、できるものの一番短いのは何かというところから決めたわけですね。

【石川プロジェクトリーダー】
 ある意味で。ですけれども、その使う方も短いものがあれば細かいものが見える。あともう一つは、今、郷先生がいろいろ計算してくださっていますが、ラジエーション・ダメージを考えると高エネルギーが得なのです。

【潮田委員】
 タンパクとか。

【石川プロジェクトリーダー】
 はい。そういうことを考えると、その0.6という選択というか、もっといきたいのですけれども、悪くないと思っています。

【神谷委員】
 幾つか質問があるのですが、まずアンジュレータのギャップが5ミリメートルとのことですか、そのとき、実際の磁場の測定、磁場はどんな感じになっているのでしょうか。つまり実際の測定結果は。

【石川プロジェクトリーダー】
 Kパラメータで2位だと思います。

【神谷委員】
 いや、磁場のばらつきのこと、つまりどの位きちっと磁場が揃っているでしょうか。

【石川プロジェクトリーダー】
 磁場の揃い方は、多分、パーセントを切る程度には揃えられる。これは揃えるんです。揃っているのではなくて。

【神谷委員】
 現状は、どこまで行っているのでしょうか。

【石川プロジェクトリーダー】
 現状はその位まで揃えています。今、プロトタイプで使っているものに対しては。

【神谷委員】
 実機ではどの位ですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 プロトタイプと実機はそう変わらないだろうと思います。同じモジュール、ちょっとその磁場の配列が違いますけれども、基本的には同じモジュールを数を増やすわけです。

【神谷委員】
 それを5ミリメートル以下にすると、何か問題があると言われましたけれども、どのような何の問題があるのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 5ミリメートル以下にすると問題があるわけではなくて、今、プロトタイプでは15ミリメートルという磁場周期を使っていますが、15ミリメートルだと若干いろいろ磁場のエラーが、直しにくいところがあって、直しやすい18ミリメートルを実機の最初では採用しようということです。

【神谷委員】
 周期のことを言っているわけですね。分かりました。また、ビームが当たって磁場がおかしくなるということが、8GeV(ギガ電子ボルト)だとあり得るのでは。

【石川プロジェクトリーダー】
 あると思います。

【神谷委員】
 それについての対策というのは、かなりギャップが狭いのでビームが当たってしまうと思いますが。

【石川プロジェクトリーダー】
 まともに当てるようなことをしたら全然だめで、ただ、そのhローだけでもいろいろ問題は出ると思います。そのハローで問題が出ることを想定して、今開発をしているのが真空内での磁場測定装置でございまして、わざわざ外さないで磁場をはかって、悪かったら直すというようなことを今考えています。

【神谷委員】
 悪かったら取り替えるのではなくて、直す?その場で直すということですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 ある限度よりも悪くなってしまったらば、はかっていて、取り替える。

【田島委員】
 SPring-8でもあった、劣化して水漏れの事故というのは。

【神谷委員】
 ビームダンプの負荷は、DESYよりは平均パワーでは大したことないと思うのですが、ビームパワーは高いので、そのパワーに対してビームダンプは耐えられますか。

【石川プロジェクトリーダー】
 一応、もつというご選択をいただいていたものですが。熊谷先生の言うことを信じております。

【神谷委員】
 だけど、材質はカーボンですよね。

【石川プロジェクトリーダー】
 カーボン。

【神谷委員】
 下手をすると爆発することもあり得るのでは。
 あともう1点だけ、少し細かい質問です。スライスエミッタンスのことが資料に書かれてありますが、スライスじゃない通常のエミッタンスはどんな感じになっているのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 スライスでない、こうペタッとインテグレートしたエミッタンスというのは、今ははかれない状況です。

【神谷委員】
 バンチの後方が振られたり、ばたついたりしているのが測れるのではないかと思いますが。

【石川プロジェクトリーダー】
 今はレージングしたところからの情報でいろいろなことを言っているので、はかれないというのは正確でなくて、あまり気にしていない。

【田島委員】
 wake fieldはピックアップするわけでしょう。

【神谷委員】
 wake fieldの測定もありますし、ストリークカメラを使えば、測定できるはずです。

【石川プロジェクトリーダー】
 実機ではローラーを入れようと思っています。

【神谷委員】
 タイミング同期は諦めたということですが、フェムト秒の計測は出たとこ勝負ということですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 ポストプロセッシングでやろうというのが今の考え方です。

【神谷委員】
 せっかくだから、他の分野の将来のためにもやっていただけるとありがたい。

【雨宮主査】
 それはポストプロセッシングというのは、その時間差はどうやってはかるわけですか。それははかって、それで後で補正するということですよね。

【石川プロジェクトリーダー】
 そうです。

【雨宮主査】
 そのタイミングは。

【石川プロジェクトリーダー】
 1つのやり方は、ノンサーマルメルティングといって、レーザーのポンプ光を結晶に当てて、逆側からX線を当て、そうするとレーザーの光はこちら側に進んで、X線の光はこちら側に進みますので、ノンサーマルメルティングが結晶上のどこで起きたかが、場所が時計になります。それで、レーザーとX線のタイミングはどうなったかというのを、フェムトの精度ではかることが、これはかなり完璧にできますので、そういうことを今考えています。

【神谷委員】
 人員表のことですけれども、例えば加速器の欄を縦に足し算すると92名ですが、横の欄の常勤だと、全体ですべてを合わせても28名となっています。これは施設が完成した後、どういう体制を考えておられるのか。やっぱり同じように常勤以外の人を入れて、この人数を維持されるおつもりなのか。

【石川プロジェクトリーダー】
 できた後は、今いろいろな議論があるところですが、これは共用促進法の中に入ると思いますので、多分、今、我々が考えているのはJASRIの中に何らかのチームをつくるのだと思っています。

【神谷委員】
 質問は、人数の規模です。予算のことはさて置いて、どの位の人数であるか、その大体の規模は。

【石川プロジェクトリーダー】
 大体これプラス今のJASRIの加速器を面倒見ている人たち引く、要するに1+1は2にはならないだろう。1+1は2より小さいところで回さないと話にならないので、これプラス今のJASRI引く何がしかで両方の面倒を見るというのが、多分、あらまほしき姿だと思っています。

【神谷委員】
 この施設は、なかなか難しい施設であり、運用に入っていっても、光発生部分を含めてかなり装置の改良やビームの性能向上をやっていく必要がるので、相当数の常勤の職員がいないと大変ではないかと思うのですが。92名というと、十分な人数がいるようにも見えますが、、常勤の数はこの位で十分なのでしょうか。

【石川プロジェクトリーダー】
 余ってはいないです。贅沢を言えば、幾らでも言えますけれども。

【雨宮主査】
 要するに苦しいけど、何とかやっている。できる数ですということですね。あと、Gunのところですけれども、ここは他のDESYやスタンフォードと比べてGunが少し違って、そのGunがうまくするかどうかということについては、このプロトタイプでうまくいく見通しがついたということのメッセージとして考えてよろしいわけですね。

【石川プロジェクトリーダー】
 はい。実はプロジェクトが始まる前に、おまえらが持っていないのは入射部だということは、加速器のいろいろな方から言われておりまして、この入射部がしっかりできて発振に至ったというところが、多分、スタンフォード、DESYはレーザー、RF、Gun、全然違うやり方をしていますから、ここのテクノロジーというのが一番、このプロジェクトを特徴付けるところだと思っています。

【亘理委員】
 CeB6(六ホウ化セリウム)というのは、何か従来はLaB6(六ホウ化ランタン)というのはよく使っていたのですけれども、それに比べて……。

【石川プロジェクトリーダー】
 同じところなのですが、それに比べてもう少し……。

【亘理委員】
 性能がいいのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 同じように電子を出すのですけれども、もう少し丈夫だと。電子顕微鏡のフィラメントというか、電子源に非常によく使われています。

【亘理委員】
 従来、LaB6(六ホウ化ランタン)が使われていますけれども、電界放射を使うという可能性はなかったわけでしょう。

【石川プロジェクトリーダー】
 それは検討したのですが、電界放射を使うとチャージがとれないのでやめました。

【亘理委員】
 この後にマイクロバンチングが出てきますけれども、電子ビームのバンチングに何か向いている方式とか、そうでないとかも少しあるのかなと思いますけれども。

【石川プロジェクトリーダー】
 我々がレーザーRF Gunでなくて、この方式をとったのは、スーパーシーディングという、途中で出てくるのですけれども、レーザーの光でエレクトロンビームをモジュレーションして、その後、加速器的に圧縮してマイクロバンチをつくるという技術を入れようとしたからでございまして、後のシーディングに繋がっていくと考えています。

【今野委員】
 専門的に分からないのですけれども、最初にこう計画すると必ずいろいろ修正するとか、何かいろいろあると思うのですけれども、そういうときの修正のチェック体制とか、必ず計画どおりというのではなくて、先程のプロトタイプとかありましたので、そういうときのチェックする体制というのはどんなふうにされているのですか。それぞれのやったところでするのか、例えば全体の計画を見ていって、ここはもう少しこうした方がいいとか、いろいろ出てくると思うのですけれども、そういうときの全体でチェックするようなシステム、体制というのはどんなふうになっているのでしょうか。

【石川プロジェクトリーダー】
 1つは、2週間に一度ずつ、その全体の打ち合わせと、あと隔週で2つ会議がございまして、その会議の中でいろいろな問題点が出てきて、それを討議して、そのどう行くべきかというのを決定しております。
 入射部のところで476MHz(メガヘルツ)からS-bandは2,856かな、バントを飛ばしていたところが非常にまずかったので、間にもう一つ低いL-bandという周波数帯を入れるとか、GunのダミーロードにあれはX-bandという真空管を使っていたのですが、そこが具合が悪いので抵抗のダミーロードに変えるとかいろいろな、問題が起こるごとにディスカッションをして変えていくということで、実機のスペックをつくっています。

【家口委員】
 今後、このレーザーが発振するために石川リーダーが気掛かりな点とかがありましたら教えていただきたいです。

【石川プロジェクトリーダー】
 一番気掛かりな点は、非常に沢山のコンポーネントを並べるわけです。そのばらつき、クオリティー・コントロールがどこまでできるかというところが、ある意味で一番気に掛かっています。

【家口委員】
 ということは、まずは原理的なところと、それぞれの主なユニットの基本特性は、先程言われました発振だったらプロトタイプで検証されていますし、光学系はSPring-8で検証されているのを少しアップグレードして持ってこられるから、そのあたりは大体自信があるけれども、言われましたようにかなりの数の……。

【石川プロジェクトリーダー】
 これは営業マシンというか、ユーザーの皆さんが来てお使いになる装置です。非常に短い間、100パーセントの性能を出して、すぐ壊れてというのでは話になりません。ですから、沢山のものがそれなりの長い期間、ちゃんと動いてくれるということが絶対に必要な装置になります。そこを確保することが非常に重要だと思っています。

【家口委員】
 それは個々、しっかりとフォローされていると理解してよろしいわけですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 はい。

【遠藤委員】
 今、スタンフォードとDESY、同じような仕組み、システムをつくられつつありますが、3つの機関でコーポレーションとコンペティション、ある一部は協調しつつ、一部は競争する、競合する、こういう構図ですよね。ヨーロッパ、アメリカは、ある意味で非常にインフラ作りがうまいものですから、日本のこのシステムの1つ大きなインパクトのある特徴ということが非常にキーになってくると思います。そういう意味で、多分、皆さん方が戦略的に考えているこの機能、ここだけは絶対、我々、譲歩できない、そこを1つ教えてください。

【石川プロジェクトリーダー】
 多分、我々のマシンが最初にシードされたシングルモードのレーザーになると思っています。その点をとにかく一番乗りでやりたいというところがある。マルチモードのレーザーとシングルモードのレーザーは、普通のレーザーでもある意味で使い方が違いますので、シードしたシングルモードのレーザーにするということが一番、我々のメリットが出せるところかと。

【遠藤委員】
 それは使う上で、例えば日本の科学技術の非常に特徴ある部分が強化できるとか、あるいは産業界の要望に応えられる。それぞれ国の1つのストラテジーが背景にあると思いますけれども、欧米は1つ、特にアメリカはナノ、バイオという方向に非常にシフトしていますし、ヨーロッパもそうですよね。この場合、日本の場合は今の産業構造からいって物質、そういったものに対する1つのターゲットになってくると思いますが、それは今おっしゃっていたことはどんな方向に反映されそうですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 位相制御ができる光ができますので、多分、X線領域のノンリニア・オプティクスというのがそれで発達していくのだと思います。X線領域でノンリニアがしっかりできると、ある意味でアトミック・リゾリューションのノン・リニアができるわけでございますので、これはいろいろな物質の性質を調べる上でいろいろ使えるところが出てくると考えています。

【遠藤委員】
 最後に非常に大事な表が出ていたのですけれども、さっき田島委員からもご質問がありましたが、そういう非常に戦略的な1つのターゲットに向けた、このハードウエアの今、設計、施工が進んでいますけれども、こういう図の中にそういう1つのストラテジーが反映された方がいいですね。ただ、平伏にこの空白域が埋まるという点では非常に弱いと思うので、むしろ戦略的にこれをつくり出せる。それがあると、多分、もっと使う上でも、こういうFELをつくるという国策にうまくおっしゃるとおりアピールできる、そういうものだと。ですから、この図は少し平凡過ぎて、我々にもう少しインパクトのある説明が欲しいように思います。さっきの0.6オングストロームということも、結果的にはそこの分解能ですね。そこが出るという1つの重要な、もっと短い波長が欲しいですけれども、それは限界があるとして、そういうレベルでの分解能もここへ反映された図があってもいいのではないかなと思いますが、如何でしょうか。

【雨宮主査】
 これはFELと固体物理との関係でという限定されたところで出してきたものと思われるので、そういった、今、遠藤委員からあった視点でもつくっていただきたいということだと思います。これは前、こちらから出た委員からのコメントにリスポンスするという形で、多分、FEL全体を俯瞰するような形ではない図だったので、今言ったようなイメージがつくられていないところがあると思いますが。
 それから1点、アンジュレータの周期を15ミリメートルを18にして、安全、確実性を増すためにそっちに変更したということによって、目標であったこの0.6オングストロームという値が変更されるということはないのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 それはアンジュレータのところのエネルギー、先程田島先生からもご指摘があったエネルギーの絵に出ていますが、現在のエミッタンスを考えると、それは変更しなくてもいけるであろうという。

【雨宮主査】
 先程今野委員からの質問にあったところですけれども、Lを入れなければならないということで、そういう形で素早く対処することになったのですが、例えばそういうのはどういう過程で問題が出てきて、どういう体制でやったか、そういうプロセスは非常に重要だと思うので。

【石川プロジェクトリーダー】
 そのLの話については、実は最初のCDR、Conceptual Design Reportのときには、Lでやった方がいいことは分かっていました。ですけれども、いろいろな事情でSを使ったということがあります。Sでも調整できるのではないかといって頑張ったのですが、やはり調整が非常に難しくて、もともと楽なLに戻そうということで戻しました。その過程は、運転をしていて後ろに計算、欲しいだけのチャージが通ってこないというようなところから、どうしようという話になるわけでございますけれども。

【神谷委員】
 予算について、18年度ベースと20年度ベースを比べると、勝手な想像ですけれども、大分苦労されておられるというのが見てとれるのですが、建屋・機器整備のみとわざわざ「のみ」と書いてあるのは、前回に話のあった人件費のことを指しているのか、またはプラス何か利用の方の研究費のようなものがあるのか、どういう意味でしょうか。つまり、プラスの予算があるという意味でしょうか。

【石川プロジェクトリーダー】
 利用推進研究と、あとその人件費のところが除かれているわけです。だから、施設整備にかかるお金という意味で。

【神谷委員】
 利用の方は、現在、どの位の予算を考えておられるのか。

【石川プロジェクトリーダー】
 それは多分、その利用推進のところで出てくると思いますけれども、年間5億ちょっと。

【神谷委員】
 現時点で考えると、プロジェクトは、この総額で収まると思っておられるのか、収まりそうもないと思っておられるのか。

【石川プロジェクトリーダー】
 収まりそうにないと思っても、収めろときつく言われておりますので、これは収める。

【神谷委員】
 このままでは、なかなか大変な苦労をされるのではないでしょうかね。

【今野委員】
 X線の0.6オングストローム、X線領域で、ディテクターとかは、SPring-8のそのままといいますが、非常に強力でいろいろあるので、ディテクターとかという大きな問題があると思いますが、それとこの開発はどういうふうなものなのでしょうか。

【石川プロジェクトリーダー】
 これは実は原子核の方とか、高エネルギーの方と一緒にいろいろ進めさせていただいているところでございますが、ただ、ベースラインとしてSPring-8で使っているものに非常に強いのを当てても、使えそうだということが実証されましたので、ベースラインが確保されたと思っています。

【亘理委員】
 0.6オングストロームというのが先程から出ていますけれども、トップデータだと思いますが、海外と比べてどうなのでしょうか。同じようなレベルなのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 ドイツが0.85、アメリカは1.5と言っています。

【亘理委員】
 もしも0.6とか1とかは大差あるかないか分かりませんけれども、達成できなかったら失敗なのか、それともその辺はどういうふうに考えたらいいのでしょうか。

【石川プロジェクトリーダー】
 タイムコンスタントの問題もあると思いますが、計画している23年秋までに行かなかったら失敗だよと言われると、これは苦しいです。ですけれども、例えばプラス1年くらいの間には間違いなく行くだろうと考えています。

【雨宮主査】
 まだあるかと思いますが、全体のスケジュールを考えると次へ進まざるを得ないので、また後で戻って、この開発のところをまとめるときにご質問させていただくかもしれませんが、次に評価すべき項目の2.の利用推進研究に関して、太田主査からご説明いただきたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

【太田協議会PD】
 利用推進協議会の主査をしています立命館大学の太田でございます。
 最初にこの利用推進協議会の設立の趣旨についてご説明しますが、ご存じのようにXFELが3年前にスタートしたわけです。このXFEL、我々が手にしていない初めての未知の光であり、これをどう利用するかという問題があるわけです。開発については見通しがある程度ついていたのですが、それに対して、利用に関してはあまりはっきりした見通しが立っていない。スタンフォードとハンブルグと西播磨の3者の非常に熾烈な競争になっているわけですが、もしXFELがどんなに早く完成しても利用研究が遅れてしまったら競争に負けてしまうわけです。そういう意味でも、利用推進体制をできるだけ早くつくるということは重要な課題であると思われます。
 実際、このことに関しては、次世代放射光源計画評価部会の中で特に強調する問題として「X線自由電子レーザー完成後、速やかに利用に着手できるよう、利用研究の推進体制の確立が特に重要である。」ということを言っております。それから、その後に開かれました総合科学技術会議の指摘事項として、「利用研究の推進についての中にもっと踏み込んでXFEL装置の開発と並行して準備を進め、運転開始と同時に研究を展開できる体制を整えておく必要がある。具体的には、優れた研究課題を選定するための利用推進専門委員会を立ち上げること。」という提言があります。それを踏まえて18年2月に学識経験者で構成されるX線自由電子レーザー利用推進協議会というのが文部科学省に設置されたわけです。
 ここでの主な審議事項は、利用推進方針の策定と見直し。推進研究課題に関する公募要領の決定及び実施課題の選定。実施課題の進捗状況の把握と評価、そして、シンポジウム開催があります。この推進協議会は大きく2つに分けられまして、1つが利用推進方針策定プロジェクトチーム、私がプログラムオフィサーとなっていまして、もう一つが利用推進研究課題の選考・評価プロジェクトチームで、これは下村さんがプログラムオフィサーになっています。
 この方針策定に関しましては、月原先生が座長を務める12名のライフのワーキンググループと、坂田先生が座長をしますナノ・材料その他のワーキンググループ11名、更に装置側の研究者3名から構成されているものであります。これは具体的なメンバーの表ですが、基本的には放射光、あるいはレーザー専門の学識経験者、あるいは産業界の有識者から構成されてます。
 これまでのこの協議会開催の経緯でありますが、18年2月に設立されて、3月に利用推進方針の骨子(案)が提示されて、その取りまとめが行われ、3月22日に利用推進方針が決定されました。これを受けて課題選考・評価のPTで公募要領が4月6日に決定されて、8月10日、21日に書類審査、面接が行われて、第1回の公募課題が認められています。11課題認められていますが、それから更に翌年、次の課題の追加も認められました。
 今年は3年目になりますが、この5月29日に利用推進研究課題の中間評価、絞り込みに向けた検討を行っています。先程石川さんの話もありましたが、3年目からプロジェクトを絞り込むという作業が行われているわけであります。そこで、7月1日に利用推進研究課題の中間評価・絞り込みに向けたプレヒアリングが18課題について行われました。
 具体的な利用推進方針について説明します。その目的は、研究開発を効果的・効率的に進め、ひいては戦略的な利用研究の実施による、より多大なる成果創出を実現することにあります。利用推進研究について基本的な考え方ですが、XFEL本体の整備及びその研究開発は理研が行います。それに対して利用推進研究の実施者は、理研と共同研究契約を締結して、それから効率的に実施するというスタイルになります。
 年次計画の考え方は、5年間の最初の3年間と後の2年間に分け、前期は個々の要素に関する技術開発を行い、後期ではその技術を統合して実際の利用研究で使用可能な計測システムに組み上げる期間になっています。この利用推進研究の提案については、一定期間ごとに利用推進研究の選考・評価PTによる評価を受けることになっており、今年がその時期になっています。
 この利用推進研究課題の選定の基本的な考え方ですが、第1に目標とする利用研究に独自性、優位性があり、我が国の科学技術の発展に対する貢献と社会・経済への波及効果が期待できること。第2に、利用推進研究による研究成果が利用研究にどのように役立つかが明確であり、その技術的な波及効果が見込まれること。第3に、利用推進研究課題を実施するに当たって、技術的な見通しが十分検討されていること。この3つを基本的な考え方として審査が行われたということであります。
 実施体制としましては、研究代表者のみなさんには利用推進方策のPTの委員になっていただいて、自らの研究課題を含めて一体となって協議し、研究開発を進めていく。それぞれがばらばらでやるのではなくて、相互に情報交換をするということです。それから、もう一つは理研が所有しているSPring-8のビームライン、長尺アンジュレータとか、コヒーレントX線が出る29XU、あるいはFELのプロトタイプを一部利用させてもらうことなどによって公募課題を推進していくことも可能にしています。

【雨宮主査】
 それでは、次に引き続いて下村プログラムオフィサーから説明いただいて、まとめてその後、ご質問と審議をしたいと思います。

【下村協議会PO】
 利用推進研究課題選考・評価PTのプロジェクトオフィサーをやっております下村からご説明致します。
 今、太田さんから説明がありましたように、利用方針策定PTというのはXFELを使うポテンシャルユーザー、あるいはその後の実際に採択された方々も入って、FEL全体をどうしようかということの方策を決める人たちですので、この人たちが自ら課題選定をするというのはまずいだろうということで選考・評価PTがつくられていると思っております。したがって、このPTには利用からは多少離れた立場の人たちが、推進方針策定PTで決められました基本方針に則って公募と選考を行いまして、その課題を利用方針策定PTにお返しするという役割を持っております。
 その基本的な考え方は、今、太田さんからご説明がありました利用推進方針策定PTで決められました。つまり、XFELができたらすぐに成果が出るような環境整備をしなさいということが基本的な考え方になっております。また、利用推進方策PTで、そのような具体的な課題については大きく2つに分けられると判断されており、1つは共通基盤的な技術開発で、もうひとつは、個別の研究課題です。個別研究課題に関してはライフが1つの分野で、それから、ナノ・材料、あるいはその他という大きく2つに分かれるとされておりますので、それに則って公募を行っております。
 最初の公募は18年度の6月から7月の1カ月間行い、40件の応募がありました。書類審査をした上で14件のヒアリングを行い、11件を採択しております。19年度には2月から3月の1カ月間にわたって公募を行い、18件あった中から最終的に8件を採択しております。先程から話が出ておりますように、このプロジェクト自体は5年間のものですが、採択された課題を5年間通して実行するというものではなくて、まず最初の3年間で要素技術開発をするということです。
 すなわち、ここで採択された課題を5年間継続するということではなくて、ここで開発された要素技術を3年間である程度まとめ上げ、残りの2年間でFELが発振したときにすぐに実行できる整備体制を組むということで、この間には非常に大きなギャップがあるということになっております。それが今年度の終わりということになります。最初の18年度に採択した11課題の中の1つはライフ系のところでどのような形で要素技術をまとめていけばいいかというタスクフォースです。19年度にはそのタスクフォースから新しい課題が出ましたので、18年度からの課題は10課題ということになります。現在、18課題が継続しております。
 募集するに当たって、XFELの利用研究のイメージをわかせるようにということで、具体的にこういうことが考えられるという例を示しております。例えば、ナノビーム形成技術、コヒーレント散乱イメージング技術、その他、これが基盤技術の例示です。具体的な個別課題としては、結晶化困難タンパク質の解析、セルマップ、気体吸着素子の開発、ポンプ&プローブだとか、こういうのが考えられるだろし、材料系では、スピントロニクス、相転移の話、光触媒、あるいはコヒーレント光によるドット創製などが、具体的には考えられるであろうということを例示しました。その結果、現在、18年度、19年度合わせて18課題が実行されているわけですが、その18課題を簡単にご紹介いたします。基盤、その他という分類で1つ挙げると、フェムト秒レーザーとFELのポンプ&プローブの実験を目的とするような高分解能の光電子イメージング装置の開発が走っております。それから、フェムト秒のタイミングの信号伝達・計測技術が非常に基本的な技術として展開されております。
 また、先程石川さんは触らないオプティクスがベストだとおっしゃっていましたが、FELという非常に優れた光を更に集光するという技術が大事であろうということで集光システムが行われています。
 それから、材料研究を行うときにコヒーレント散乱というのが非常に有効ですが、それを可視化するための技術が必要だという提案が走っております。また、XFELを試料に照射することによって、低温ホロー原子固体というのができるであろうという想定をされている方がいらっしゃいます。また、非常に強いXFELによる非線形効果が新しいテーマになるので、そういうところの問題が提案されております。
 また、実際にXFELが試料に当たったときになにが起きるかというシミュレーションは非常に大事であるということで展開されております。
 一方、個別の課題に関しましては、フェムト秒時間分解能の顕微鏡とMEM電子化分布の高度化という材料研究を展開するための基礎技術、あるいはガス吸着分子のダイナミクスの解明という材料研究の方向付け、分子クラスタの構造にXFELを照射することによる新たな研究分野や、電子運動量多重計測の研究が展開されております。
 一方、磁性材料の解析のための新しい手法を開発が提案されておられます。また、レーザーショックで高圧を発生させるための手法も出ております。
 ライフ系に関しましては、個別の研究課題というよりは、試料をどのようにしてレーザーに照射してタイミングを合わせるかという、サンプル・デリバリーにウエートを置いた研究テーマに絞られております。
 今年度でこの18課題から、実際に23年度から実験ができるための絞り込みを今年度やらなくてはいけないのですが、この絞り込みについては利用推進方針策定PTでここに示した4点が決められております。これに基づきまして、18課題の中で、どの程度まで計画が進んでいるかということ、どこまで実現性があるかという現状を明らかにして、それぞれの装置がどのようにうまくまとめることによって効率的なシステムができるかということについてのプレヒアリングを先日行っております。実際の絞り込みは11月位に行います。
 また、前回のご質問にありましたように、この情報公開に関しましてはシンポジウムを既に2回行っておりますし、それから、今回のプレヒアリングに関しましては、すべての研究代表者の方に参加していただいて、中には質問もいただいておりますので、お互いにその間の情報交換はうまく伝わっていただろうと思っております。

【雨宮主査】
 どうもありがとうございました。それでは、今、お二方のご説明、この利用推進研究の、これからどういうふうに進んできて、どんな課題が挙がっているのかというところ、この時点でご質問とかコメントがあれば。多分、この後、山内先生にご説明してもらうというところまでが1つのセットかとは思うのですが、この時点で何かご質問とかあれば。

【田島委員】
 先程石川さんが非常に大事なことをおっしゃったので、それに関連しての質問ですが、石川さんの資料の41ページ、このスーパーシーディングの話をされて、先程遠藤先生からご質問があったときに、何が一番キーなのかということで、私も確かにそうだと思います。だから、この機械が仮にスーパーシーディングができるようになると、世界の他のSASEというのは非常に使い方の慣れないといけないような光なので、あまり使い勝手がよくないですよね。だから、そうではないようになると極めて優れたものになると思います。
 だから、そういう国際的なリーダーシップを振るう上でも、これができるととてもすばらしいと思うので、この利用のところに、そういうことを本当に使い込むような利用を持ってこないと宝の持ち腐れになってしまうと思います。そういう意味で、コヒーレントな単一フォトン、フォトンは単一ではないのだけれども、要するにモードとして単一のコヒーレント光を徹底的に使い込むような利用をここにきちっと入れるということが非常に大事だと私は思います。それがないと、結局、SPring-8とどこが違うのという話に最終的にはなりかねないと思います。
 そのときに私は0.6オングストロームに固執すべきでないと個人的には思っています。だから、とにかくそういう本当にいいコヒーレントな光があれば、それでできる固体物理とか、それ以外のサイエンスがいっぱいあるので、そこで独自性を発揮されるのがいいのではないかと少し思ったので、こういうところにそれが本当にあらわれているのかどうかというのはまだよく分からないですけれども。

【石川プロジェクトリーダー】
 その方向は我々も非常に大切だと思っております。多分、山内先生から、その方向のお話をしていただけると思いますし、その0.6オングストロームが絶対かと言われると、0.6オングストロームが絶対ではございませんけれども、ただ、そこはどこでも、シングルモードというのもまた1つの行き方でございますので、0.6に固執することはないけれども、他のところに固執することもないというのが基本的と考えています。

【下村協議会PO】
 先日のプレヒアリングのときにも問題になりましたけれども、SASEモードとスーパーシーディングのところ、区別しているとか、むしろ、スーパーシーディングができるであろうという想定で皆さん提案を出されている方がきっと多いと思います。そういう前提でいろいろな課題は見ているので、それは多分、提案されている方は多少なりとも意識されているのではないかと思います。

【神谷委員】
 先程の石川さんの説明で23年度から共用法が適になると言っておられましたが、この共用法と、今までのご説明の利用推進協議会の利用体制とは非常にマッチングが悪いような気がするのですが、そこら辺はどういうふうに考えておられますか。

【石川プロジェクトリーダー】
 利用推進研究は、22年までです。22年で皆さんが使える装置をつくって、共用体制に移るという、ある意味でどこでもやってきた、例えばSPring-8でも利用ワーキンググループというのが出来上がって、そこで装置をつくって、その装置を共用にするというプロセスをそのまま移してある。

【神谷委員】
 この協議会は22年で解散するという意味ですか。

【林室長】
 多分、予算とのことになるので、そういう意味では、今、この予算を使っている利用推進協議会そのものは、解散ということになるのかもしれないですが、当然、ここでいろいろ利用する人を集めて、いろいろ研究をしていますが、これがうまく理研なり、もしくは登録機関に引き継がれていくだろうと思っております。それで、今少し悩ましいのは、確かにこのXFEL、共用法適用ということは実際決まっていて対象にもなっているわけですけれども、問題はJASRIの役割を果たすところが一体どこになるのかということがまだ決まっていないという現実があります。
 今、SPring-8の方は登録機関ということでJASRIがやっていて、利用者との橋渡しというのは基本的にJASRIがやっていて、利用者協議会みたいのもJASRIの中に重なっているということになっているのですけれども、XFELの場合、登録機関を分けるのか分けないのかという議論は、今後やらなければいけないという話になっていまして、効率ということを考えれば、JASRIがやるのが一番いいと思いつつも、そこのところ、まだ結論が出ていないものですから、うまく引き取り手が見つかっていないという状況だと思っています。したがって、そこがうまくフィックスされれば、当然、そこに移していって、今度、運用の段階ではそういうところは、そういう運用を担う組織がこういう利用者との橋渡しをやってもらうということが一番いいのだと思っております。

【今野委員】
 いろいろな研究課題があって、これはX線自由電子レーザーなので、その特徴としてはコヒーレンスとか、時間分解とか強力であると。そのどれをそれぞれの研究課題がというか、それぞれがどういうこのレーザーの特徴を、どこを使うのかというのがはっきりすると非常によろしいので、そういうところも少しご説明ください。

【下村協議会PO】
 今日は、むしろこの制度の説明と思っていたので、あまりそこの中身は詳しくないのですが、それはまた別途そういうパンフレットも用意されているかと思います。必要であればご説明いたしますが、マテリアルサイエンス、あるいはライフサイエンスのところでは、コヒーレントな光を使ったイメージングというのがポイントになってきます。それは当然、特にタンパクの場合には結晶化できないもののイメージというのは強くなっていくと思います。
 それから、一方で原子・分子の山内先生のされているような分子クラスタのところではポンプ&プローブというタイミングというのは非常に大事なものになってくると思います。それぞれかなりバランスはとれていると思いますし、それから、採択課題の中で見ますと、米田先生であるとか鈴木先生のような、どちらかというとレーザーサイドの先生方からの提案もかなり入っているので、放射光と光のレーザーの両方から、ある程度参加していただいていると思っております。

【雨宮主査】
 今の質問を私なりに読みかえると、次の情報発信のところで、こういう利用推進研究がどういうキーワードを持って進んでいるか、そういうようなことを一般の研究者に広く情報発信して刺激するというところにおいて、そういう発信の仕方は重要かとは思います。

【林室長】
 それに関して参考資料に、この前のシンポジウムの要旨集を入れさせていただきました。これは、中身はとても私が説明できるものではないですけれども、その前半に一般的なこのXFELのプロジェクトの全体像を言った上で、その途中、上にこの黄緑の塗ってあるページから、16ページ、17ページから全ての利用推進研究の課題の内容について簡単に説明したものをつけて、これが一般の方、さらには来られる研究者の方にも配っていて、こういうことをやっていますというのを情報発信しております。これは一昨年に始まったばかりですけれども、利用推進協議会シンポジウムということで、それぞれの課題、こんなことをやっていると、そういうような情報発信もしております。

【雨宮主査】
 それでは、山内先生にご説明いただいて、その後でまたまとめて何かあれば、よろしくお願いいたします。

【山内協議会委員】
 東京大学の山内でございます。
 今日は、この利用のことでお話ということですけれども、お配りしました資料のとおりにお話ししますので、手元の資料をご覧になってもと思います。今、ちょうどX線自由電子レーザーについて、それがどういう性質を持っているのか、プロジェクトはどういうそのよいところを使っているのかという今野先生からの非常に的確なコメントがあって、それがはっきりしないと、この国家基幹技術として国の予算を350億使ってやったものは一体何だったのかということを国民に示せないということで大変問題であると考えております。やはり、例えば1億円の予算を配ったら400人、300人が独創的な研究をできるだけのお金を使っているわけですから、それは日本として、これはオリジナルなものとして、これはすごいというものを出していかないといけない。そのためには何をしなければいけないのかということを真剣に研究者の仲間も、それから、国も考えていただきたい。
 それで、先程田島先生がコメントしていらっしゃいましたけれども、まずコヒーレントの考え方をちゃんと理解しておかないとまずいと思います。空間的なコヒーレントの話なのか、時間的なコヒーレンスなのか。それは田島先生がおっしゃっていたのは時間的なコヒーレンスです。先程から「コヒーレントな光で」というふうにお話があったのは、空間的なコヒーレンスの方を先生方は話していらっしゃいました。それからもう一つ、今野先生がおっしゃったように、インテンシティが強いということ、それをどれだけ活用できるかということも、このX線自由電子レーザーをいかにして利用できるかいうことのブレークスルー、その動線になります。
 実際にはコヒーレンスの問題をちゃんと理解した上でX線の回折をするなら、今、スーパーシーディングしなくても非常にきれいな回折像がとれるはずです。更に時間的なことまで含めたらスーパーシーディングは必要だということになると思います。ですから、空間コヒーレンスを使って分子の構造を決める、結晶構造を決める。それを非常に時間分解能を高く観測していくという実験は、このプロジェクトで相当なところまで進むはずです。そういうところを先生方、プロジェクトの皆さんが理解しないといけなくて、各個人の「僕はこれをやりたい」みたいなことで個別のイシューに行ってしまうときに、やはり今、私が最初に申し上げたことは皆さんが理解していただかないと、皆さんがというか、研究者の方が理解しないといけないと思います。
 まず、世界でどうなっているのか。それから、プロトタイプでどうなっているのか。それから、シーディングということが、先程スーパーシーディングという話が出ましたけれども、少し違った意味ですけれども、シーディングが必要だという話を少ししたいと思います。それで、本当に何をしなければいけないのかということをよく考えようと思います。つまり、SPring-8の光を使ってできること、あるいは今、市販のレーザーを使ってできることをやっていては、何のためにX線自由電子レーザーをつくったか分からないということになるのかなと思います。逆に言うと、今あるものは、そのフロンティアを超えたことができるものを石川先生をはじめ、播磨の先生方がおつくりになっていることは、これは確かだと思います。
 これは世界でもDESY、先程FLASHというのがハンブルグにあって、これもプロトタイプですが、本機のできる前に研究をしています。彼らは一歩先を進んでいるので、多光子イオン化の観測というのは2006年にやっています。我々のしているところと波長が違います。しかし、いろいろ工夫していて、その研究の仕方は勉強しなければならないものがたくさんあります。ごく最近、私はちょうど先週、国際会議に行ってきて、今日の朝帰ってきたところですけれども、そのときに発表がありまして、DESYではポンプ&プローブの実験も2ピコ秒のジッターで計測をしていて、レーザーとの同期もとれていますよということをやっていましたし、パルス幅は10フェムト秒。ですから、今、播磨にあるプロトタイプ機よりも1桁くらいパルス幅が短いというような光を使って既に実験をやっているというような現状があります。
 それから、キセノンの多光子イオン化が観測されていて、21価まで見えたということが観測されていまして、これはシークエンシャルに、これは強度が強いことを利用したもので、このもう一つ前の仕事も強度が強いことを利用した仕事です。非常にたくさんのエレクトロンを剥ぎ取るというような新しい現象を見つけました。これは去年です。ですから、タッチの差でFLASHが先を行っています。ですから、日本の研究グループは、先を目指してどんどんやらなくてはいけないわけです。それで、私たちは、この利用研究としては初めて論文を出させていただいて、これは理研の先生方と共同の研究で出させていただいていますが、ちょうど2008年に、これは3光子、窒素の場合、非常に光子をたくさん吸うという話を示しました。これは今野先生が先程指摘された強いということを利用したフロンティアの開拓になります。
 普通は、こういう窒素の分子とかですと、例えば60ナノ吸収しても、ここでそのままイオンになってエレクトロンが出るだけですけれども、あまりにも強いので、もう一つ、さらにもう一つ、光がどんどん吸うという非線形の現象が見える。これ、非線形の現象が見えるかどうかが、線形の分光の現象とは違うところで、強いということが非常に目立ったこの成果になっているものです。ちなみに、どんな研究をしているかをお示しすると、実験室、どんな感じか雰囲気が分かると思うのでお話ししますと、XUVの光が来ます。これが播磨からいただいた光で、それを集光します。そうすると、タイムオブフライト質量分析器を通してイオンが見えるというようなことです。
 実際にはクーロン・エクスプロージョンというのが起こりますので、多価イオンが生成したことが分かります。ここでは、2価の窒素原子イオンが検出されて割れて観測されていますので、これは例えば3価以上の親イオンから出ているというようなことが分かるということになります。これは普通、1本しか出ないですけれども、両側にボーンとエネルギーを持って分かれるので、2価が見えている。更に強度をプロットして、強度ディペンデンスをとると、それも2光子吸収していたということで、2光子が吸収された。
 実際に、ここら辺、少し飛ばしまして、更に3光子以上が観測されている。これは、こういう話をするとFLASHの先生も、本当に3光子見えたのか、すごいねということで、要するに我々としてはFLASHでやっているところというのか、そのレベルには十分到達している。あとはどうやっていくか。ただ、波長が少し違いますけれども。それで、今、先程コヒーレンスの話があって、空間的には非常に干渉性の高い光なので、これで結晶構造解析、タンパクの結晶、時間で見るというようなことが多分できる。ところが、普通、分子とか原子とか、あるいは物質に光を当てて、その後どういうふうに動いていくか、どういうふうになっていくのかを調べるときには、それは時間的にコヒーレンスが高くない光を当ててしまうと、要するにパルスごとに、つまり、時間的に見て位相が揃っていない。
 そうすると、毎回、毎回違った現象を起こしてしまうことになります。そうすると、そのパルスのキャラクタリゼーションができていないので、それは普通のレーザー光と何が違うかというと、レーザーというのはキャビティーがある。そこで必ずいつも同じ格好をした、空間的だけではなくて時間的にコヒーレンスの高い光が出ます。それなので実はいろいろな分光実験をしたりしたときに、レーザーをやったときには誰がやってもちゃんとそのコヒーレンスを生かした実験ができるわけです。X線のこの自由電子レーザーもコヒーレンスを高めるということをやると、もっと使い勝手がよくなるわけです。そのためにどうしたらいいかというと、シーディングという方法がある。これはレーザーの光を出して、それをこのX線自由電子レーザーの発振しているところに種光として突っ込むわけです。そうすると、シーディングによって空間的だけではなくて、時間的にコヒーレンスの高い光が出てくる。
 したがって、これはさっき実は石川先生がお話になっていましたが、波長領域で見ても非常にきれいな光になる。これはシーディングをするということが非常に重要だというので、これは実は著者はフランス人が筆頭著者ですけれども、これは播磨のXFELを使ったサイエンティフィックな仕事として出たものです。これは160ナノメートルでシードしています。
 それで、光を使って最初にポンプする。その後、X線でプローブする。そのときにX線のプローブは今の播磨の先生方が計画しているもので十分良い。空間的なコヒーレンスが高いからです。だけど、最初に物質をいたずらするほうの光は、それはやはりきれいな形にして時間的にもコヒーレンスがあって、毎回、毎回同じパルスが来るようにしないといけない。
 そうすると、私たちのチームには理研の緑川先生をはじめとするレーザーの専門家がいらっしゃって、この高次高調波、レーザーでちょうど軟X線のところを強く出すという技術を持っていらっしゃる方がいらっしゃいます。あと他にレーザーの研究者の方々が私たちのチームにいまして、そういう方々と今何を計画しているかというと、シードしましょうと。そうすると、時間、空間的に高い光が出ますから、ポンプはそれにしましょう。プローブはX線でプローブして回折現象を見たいのでしたら、今の光でもいいですし、更にもう一歩進んで時間的なコヒーレンスを上げたければ、スーパーシーディングという先程石川先生がおっしゃった方法を使う。
 こういうことをすると何ができるかというと、非常に強い光を使った、強い光の科学が展開できる。真空紫外領域で10の16乗W/cm2(ワット毎平方センチメートル)というのは、実はレーザーでは到達することが難しいところですけれども、そこができる。それはX線自由電子レーザーがものすごい強いから、それができる。そうすると、内核の電子を非常にきれいに剥ぎ取った状態をつくる。そこから光を出せる。そういう実験ができる。
 例えばこれは分かりやすいかもしれませんけれども、最初にこういうクラスターでなくても、原子・分子でも何でもいいですけれども、ポンプします。これはシードしてあるのでキャラクタリゼーションはちゃんとできている。それに対して次に今度、X線の本当の0.6オングストロームの光が来ます。回折像がとれます。そうすると、時々刻々、原子がどのように変化していくかが見えます。
 これは、この部分をタンパク質に読みかえていただければ同じことができます。タンパク質を例えば赤外の光で当ててあげる。そうすると、対象は振動し始める。そうすると、振動し始めて、どの位振動したところで、今度、X線の写真を撮るかということができるわけです。そうすると、生物の分野でタンパクがどう動くかを知りたい、局所的に例えば紫外線か可視光で励起した後、どんなふうに動くか知りたい。それはこのセットアップでできるのですけれども、そのときに最初にここの部分をもしシードしておかないと、スパイク状の光がもし来てしまうと、毎回ごとにこの最初のダイナミクスが変わってしまう可能性があります。
 そういう意味では、今、私が申し上げたようなコヒーレンスという観点を入れて研究をすることによって、非常にサイエンティフィックにも重要なことが多分できるだろうと思っています。ですから、こういう高い時間コヒーレンスを利用したことをやっていくのは、これから重要ではないかと思っています。

【雨宮主査】
 では、ご質問とかコメント、お願いします。

【神谷委員】
 今のプロトタイプを使ってやられた実験というのは、いろいろな方がやっておられるのかもしれないですけれども、実験成果としては、今ご説明のあったものだけでしょうか。他にはどのようなものがあるのですか。

【山内協議会委員】
 論文になった成果は、他にまだないです。

【神谷委員】
 論文になっていないものとしては何かあるのですか、どういうことを他にやっておられるのでしょうか。

【山内協議会委員】
 例えば私のところでも、他の分子でやった実験がございますし、他の利用グループがなさっているプレリミナリーなデータはおありだと思います。

【神谷委員】
 このデータを出すのにどの位苦労されているのでしょうか、掛かった時間とか。あと、多分、最初はなかなかうまくいかなくていろいろ苦労されているかと思うのですが、簡単にイメージ的なことを教えていただきたい。

【山内協議会委員】
 最初は何事も大変で、パルスのキャラクタリゼーションを光でするということを私どもは最初したかったのですけれども、実際には光のキャラクターがわりとワイルドに踊るということがございまして、その装置をつくって導入しましたけれども、結局、それがそのまま使えるという状況にならなかった。そのためには半年以上掛かっています。その後、照射するという実験をさせていただいてデータを出して、そのときも何日間もため込んで、その後解析しているということを繰り返して、ですから、マシンタイムをいただいて、2週間で得たデータ、それをその後で解析してということですから、ただ、その前の準備の期間というのは、1年以上掛けているわけですね。
 ただ、それは播磨の先生方が出していただいている光を見ながら、ちょうど出てきたときにすぐ実験できるように待ち構えておいてさせていただけるとかいう、連携をしながらさせていただいていますから、そういう意味では、今、播磨の研究者の方々、技術者の方々は、ユーザーの方と大変よく連携しながらやってくださっているということになります。ですから、多分、今、ひょっとすると、わりと光がどんどん出せるようになったのかもしれませんけれども、それでもパラメータを変えるごとに調整が非常に大変で、スイッチ、ポンというわけにはまだ行っていない。

【矢橋チームリーダー】
 大分よくなった。

【山内協議会委員】
 大分よくなったけれども、まだなかなか難しいということです。

【谷口委員】
 下村先生と関係すると思いますが、この委員会の前に今回の評価をするに当たって、評価項目に関する何かコメントは何かというような、メールで照会がありまして、それで、先生への4.と書いてある、4枚目のところに関係してくると思うのですけれども、メールで送っておいたのは、硬X線であることということと、フェムト秒パルスであるということと、超高輝度であるということと、それから、高い干渉性、この4つについてそれぞれ利用技術が、例えば要素技術開発の最初の3年のところ、それから、絞り込みと言われた、その後、21、22と、この4つがこれまでに採択されている中に--さっき4つの特徴を言いましたけれども、その内、既に解決されているというところは除外してもいいと思いますが、開発要素があるとしたら、そういうものがこれまでの採択された利用推進研究課題の中にうまく入っているのかなというのが1つ。
 それから、2つ目は、前回のこの委員会で出された資料の中に、例えばこういう4つの特徴をピックアップするに非常に的確な、不可欠な技術が幾つか、いろいろな研究グループが推進しているのだと。例えばフェムト秒利用技術といろいろ書いてありますが、それが各グループのところで、少しずつ重複しながら個別のことに取り組まざるを得ないという状況が初期の段階では当然あるわけですけれども、そういうところの絞り込みですよね。恐らくさっきおっしゃっていた、ここの赤の線でずっと書いて、縦線が張っているところに相当するのかなというところで、その2つの状況を少し。

【下村協議会PO】
 幾つかの要素技術のことに関しては、例えばフェムト秒の精度タイミング信号という、ポンプ&プローブ法をやる人たちに関しては共通のことであって、どちらかというと施設の基本的なところですけれども、それは当然、エンドの測定装置に絡むところなので、施設側も巻き込んだ形で行っています。それに加えて東工大からも共通的な研究を展開されているので、タイミングに関しては少なくともあと2年掛かる程のことはなく、大体大筋は見えているのかなというところです。タイミング系に関しては、他の方はこのシステムをうまく利用すればいいであろうと思われます。
 非常に強い強度に対しての対応ということに関して、特にライフ系の方が、壊れる前にはかるのか、はかる前に壊れるのかという話なのですが、それはやはり一番気にされるところで、ライフ系のところではどういうサンプルをはかるかということより、どうやったらはかれるかということがまず問題になるということで、三つの提案があって、それぞれがやはりサンプルをどのようにしたらうまくタイミングを合わせて持っていけるかというところの技術開発をかなり中心としてやられている。
 それから、ナノ系に関しましては、ものすごく応用分野が広いのでいろいろな検出方法があるわけですが、その中でやはり基本的な検出方法というものをどうやって整備していくかということが重要です。非常に小さいサンプルをどうやって短時間に測定していくかというものが大事なので、その辺に関しては共通のベースとなる装置を作って、それにいろいろなアクセサリーを搭載するという技術開発が出来てきていると思います。そういう絞り込みをした上で、実際に何をはかれば本当にXFELとして成果が出るかというところまで繋げていくという作業ができるのではないかというふうに今のところは思っています。

【谷口委員】
 絞り込んだ後に、4つの項目として、特徴が4つほど挙げられている。

【下村協議会PO】
 輝度が高い、それから、パルスとコヒーレントと。

【谷口委員】
 あと硬X線。それに対しては絞り込んだ後も、それぞれに対応する、できそうだというふうに見てよろしい。

【下村協議会PO】
 例えばライフ系に関しては、例えば膜タンパクをはじめとして、いろいろなサンプルをお持ちなわけで、それを具体的にどう測定していくかという話がこれから出てくるだろうと思われます。
 それから、ナノ系に関しては、例えば吸着系のポーラスなサンプルや、磁性材料の表面などのサンプルはかなり幾つか見えてはいますが、それがどうやってうまくはかるかという技術が、この絞り込みのところで整理できるのではないかと考えています。

【谷口委員】
 それから、これは少し観点が違いますが、例えば、5つのビームラインしか最終的にはなくて、SPring-8みたいに60本という話と全然違うと思いますが、SPring-8の場合も初期の頃、共通化できるような技術はきちっと標準化というのか、そういう言葉で整理していくような作業をされましたよね。

【谷口委員】
 この場合は、そういうコンセプトがそもそも当てはまるのかどうか。

【石川プロジェクトリーダー】
 多分、当てはまるのだと思っています。
 例えばイメージングの装置というのは、ナノにもライフにも基盤としては使えるようなものが出来上がって、そのアタッチメントとしてナノ用とか、ライフ用とかいうものを持っていくと、その両方に使えるようなものが出来上がるだろうというイメージを、この前のプレヒアリングを聞かせていただいて、そういう感じがしました。ですから、SPring-8でやったのと似たような作業をやっていくと、かなりまとまった形になるのではないかという感じがしております。

【谷口委員】
 そういう要素は、前回のときに、なかなかそこまでピックアップできなかったのですが、今後、そういうものが導入されていくであろうと思います。

【石川プロジェクトリーダー】
 3年目で課題をマージしていくときに、そういう考え方で基盤的なものに幾つかが上につく形で組み上がってくるだろうという感じがしています。

【山内協議会委員】
 タイミングのお話がありましたけれども、今既にタイミングは播磨でレファレンス・シグナルを出していただいていますから、レーザーでタイミングをとるというようなことをしますと、それは普通の技術ではもはや、2ピコセカンド位で合いますので、タイミングの話はもう終わっていると思ってもよいことだと思います。ですから、技術開発というよりは、それはそのやり方を播磨の先生がユーザーの方にお教えすれば、もうそれで済む話だと思います。
 それからインテンシーのことで、生物関係で下村先生が今お話になりましたけれども、どちらかというと強いのでちょっと困ったという感じで、それをどうするかという話かとは思うのですけれども、実は先程私が申し上げましたように、光と物質の相互作用は線形の領域でやる分光学と、もう一つは非線形で光が強いために起こる新しい現象が学問の対象になっておりまして、それは強光子場の科学と言われる分野ですけれども、私どもはその強いということを利用して、光と物質を混ぜる、そういう状況を勉強したいということでやっておりまして、そういう方向も1つ、光が強いということを利用したということだと理解していただけるとありがたいと思っています。
 あと、短いということでポンプ&プローブができるということですが、先週まで私のところで実験させていただいていまして、2週間ほどですが、既にポンプ&プローブで、X線自由電子レーザーで、レーザーで励起したものをX線自由電子レーザーでプローブするという実験は初めて成功しておりまして、そういうことももうどんどんできるようになっておりますので、相当進んでいるとご理解いただけるとよいかと思っております。

【雨宮主査】
 そのときのジッターというのはどの位ですか。

【山内協議会委員】
 今の場合は2ピコセカンドまで押さえ込んでおりませんので、12ナノ秒だけずれたところでやっていますが、この時間の中を押さえようと思うと、レーザーのキャビティーを同期させますと、フィードバックかけて押さえ込めばいいので、その技術は、市販のと言ったらちょっと言い過ぎかもしれませんが、よく分かっている技術ですので、それは比較的容易にできます。ですから、ピコ秒の分解能での、時間分解能でのポンプ&プローブはできる。
 それから、短い硬X線であるということの特徴ということが非常に重要だと思います。それは回折ができる、回折像がとれるかどうかということだと思いますが、実際にはまだX線が出ていないので、それをどう使うかというアイデアは、先生方、それぞれ持っていらっしゃると思いますが、そのアイデアをどう評価するかということがこれから重要になっていくのだろうと思っています。
 それから、ビーム5本があるので、5人しか使えないというお話がありましたけれども、それはもっと大変で、5個ありますけれども、硬X線は1個しかありませんから、他のは何に使うかというと、他の長い波長でポンプして、それを硬X線でプローブするという実験ができるために、実は非常にFLASHにはない、それから、スタンフォードもまだそういう計画ではないのではないかと私は思っていますが、ここの播磨のX線自由電子レーザーは自由電子レーザーを5本持って、それでポンプ&プローブができるというので、多分、世界に例のない状況なので、これを利用する研究を先生方、研究者の皆さんが考えていただくというのがよい。
 そのときには硬X線1本だけ当てて研究してくださいではなくて、その前にもともと同期ができる波長の少し紫外線とか、赤外の光が出て、それをポンプして、X線でプローブするということができる。タンパクの構造だけではなくて、タンパクのダイナミクスまで分かるというすばらしい装置を今つくってくださっているというふうに理解しています。

【雨宮主査】
 ポンプはシードされていることが必要だということですか。

【山内協議会委員】
 シードされていた方がベターです。

【雨宮主査】
 ある状態を励起するために。それに対してプローブの方は、空間コヒーレンスを押さえれば十分であるということ、そこは分かったのですけれども、そのときにプローブがシードされていないと、プローブのタイムジッターというのが、プローブ光がシードされているか、されていないかで、そのタイミングのずれというものの違いが出てくるのではないかなと思ったのですが。

【山内協議会委員】
 シードした場合には、そのシードしたレーザーのパルス、フェムト秒のパルスはフェムト秒のパルスでロックがかかります。そこにパルスが乗ってきます。

【雨宮主査】
 こちらのプローブ光がシードされていない場合には。

【山内協議会委員】
 それは多分、石川先生がお話になった方がいいかもしれませんけれども、もとのエレクトロンのバンチのところでトリガーがかかっていますから、最終的に5本出てきたものでポンプ&プローブで加工しますと、こちらはもともと揃ったエレクトロンビームから出ていますので、もともと合っています。

【雨宮主査】
 たとえそこにジッターがあったとしても、ポストプロセッシングのところで補正できるというのは、その話とは別なのですか。

【山内協議会委員】
 ディレイは、後で光学系でディレイをかけられますから、特に長波長側は楽なので、幾らでも精度の高いフェムト秒でディレイをかけながら照射して、それで回折する方をどんどんやるということですから、ジッターはほとんどない。

【潮田委員】
 今の話ですけれども、5本、アンジュレータがパラレルに並んでいる。同時に電子ビームを通してやろうというのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 振り分けている。

【潮田委員】
 ビームを5本に振り分けて、アンジュレータ5本に同時に通すのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 そのタイミングは違うけれども、振り分けて同時に5つの実験が、いかにもパラにできるようになるというのが最終型。

【山内協議会委員】
 ポンプ&プローブもできますね。

【潮田委員】
 今、おっしゃっていたのは、ポンプ&プローブをやろうとしたら、少なくとも2本は同時に行ってなければだめでしょう。

【石川プロジェクトリーダー】
 実は今考えているのはもう少し違うことで、実は違うアンジュレータをタンデムに並べて、同じ電子ビームが2つの光を、その時間がピタッと決まってできます。

【潮田委員】
 できますね。さっきの絵は違いますよね。シリーズにアンジュレータをやっておいて、それで出てくれば、その置き場所の距離さえ決めてあればタイミング、決まりますよね。それをやるためにはアンジュレータの距離を動かさないと、ディレイタイムが決まらないじゃないですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 長い波長は角度広がりが大きいので、周りをとってオプティカルディレイをかませてあげればいいのだと思っています。

【山内協議会委員】
 実際にそういう方向で動いているというのは私も聞いておりまして、それができると、多分、ジッターがフリーのすごくきれいなビームができるのだと思います。

【潮田委員】
 さっきの絵と違うのですね。19ページ。B1からB5。

【石川プロジェクトリーダー】
 いろいろなアイデアがやっていると出てくるもので。

【亘理委員】
 シーディングとスーパーシーディングというのは何が違うのかということと、シーディングに関して日本の優れた点というのは、さっきの5本あるということなのでしょうか。

【山内協議会委員】
 スーパーシーディングの方は、多分、私が説明する立場にないと思いますので、石川先生から説明していただくことにして、シーディングの話で、その5本ということ、シーディングするときには長波長側の光をシーディングしやすいです。X線は今レーザーで出ません。ですから、0.6オングストロームを出そうと思うと、ちょっと無理です。それなので、今、60ナノメートルとか、10ナノメートル位までだったら高次高調波といいまして、もともとレーザー光を気ガス中に集光しますと、高次高調波が出て、その光をインジェクションすればよいので、長波長側のビームラインにはそれを入れるとよいと思います。長波長というのは軟X線とか、それから可視まで全部そうですけれども。スーパーシーディングはX線領域になるので、それは石川先生に説明していただきます。

【亘理委員】
 日本がシーディングに関して、よそと比べてオリジナリティーがあるとか進んでいるというのはどの点なのですか。

【山内協議会委員】
 まず、FLASHのグループは波長が短い方向にどんどん進んでいまして、多分今のプロトタイプ機ではシードをすぐにするという状況には無いのではないかと思います。あと、SLACは入れるのですか、そこら辺は、よく知りませんが、多分、ないのではないでしょうか。

【石川プロジェクトリーダー】
 そもそも普通のシーディングというのは光を入れると、電子からその光と同じ光がたくさん出てくる。種ですから、レーザーでその光をつくってあげないといけないわけです。ということは、その光ができる波長までしかいかない。X線でそんなシードがつくれたら、自由電子レーザーなんてつくる必要はないわけで……。

【山内協議会委員】
 要らないわけですね。

【石川プロジェクトリーダー】
 そのシード光をつくる技術を使えばいいわけなので、シード光ではなくて、エレクトロンビームに種をつくるというのがスーパーシーディングという技術です。これはレーザーで、まず粗いモジュレーションを、エレクトロンビームをつくり、加速器の技術で縮めて、出すX線の波長まで縮めます。そういう技術がスーパーシーディングで、これを行うためには、電子のディスパージョンという量、これはエネルギーの広がりですが、これがきれいに揃っていないとできません。
 というのは、せっかくモジュレーションをつくって縮めても、その中の電子が勝手に動いているような状況だと、後ろの電子が前を追い抜いてばらばらになってしまいます。だから、非常にきれいな状態をつくってあげると、そういう圧縮してX線のモジュレーションをつくることができるわけです。その非常にきれいな電子をつくるのが、元に戻りますが、我々の電子銃、あと入射のシステムのところに戻るわけです。RF Gunでワッと当てて、ワッと加速するようなシステムでスーパーシーディングをやろうと思ってもなかなか難しいから、これは多分、絶対にできないとは言いませんが、我々が非常にアドバンテージを持っているところだと思っています。

【亘理委員】
 スーパーシーディングというのは、日本だけの技術なのでしょうか。

【石川プロジェクトリーダー】
 まだアイデアですが、やれるのは今のところ我々の入射システムにかなり依存する技術だと思っています。

【山内協議会委員】
 普通の光を入れたシードも播磨の装置で初めて行ったという意味で、播磨の先生方がもう既に、ただ光を種光で入れるということに関しても技術の開発をお済ませになっている。ただ、波長が短くなってできるかというのは、これからのチャレンジングなところです。

【雨宮主査】
 13ページですね。

【山内協議会委員】
 それが160ナノです。非常に長いところでやった、デモンストレーションしたものなので、それを今60ナノ、50ナノというかなり短いところでもできるかどうかは、これからやらないといけないところなのですけれども、多分、それは射程範囲内だろうというのが今我々の理解です。

【今野委員】
 今のこういう計画の中で、すぐにできたらやる、そういう計画と、もう一つ、短期と中期というのがあって、先程の話だとすぐにできる研究課題で、でも、その後、短期と中期でそれをどのようにしていくか、どういうふうに発展させて多くの人がそれを利用できるような、そういうことをやはり今から考えておく必要があると思うのですけれども、そこら辺はどうなっているのでしょうか。

【下村協議会PO】
 まずは短期ですぐ成果が出ることをやってもらって、見たことがない光ですから、見てから考えるというのがたくさんあると思います。そういうのがあるから、少なくとも今のこの協議会で決めなさいというのは、ともかく最初にFELを使ってどういう成果が出るかというデモンストレーションが必要ですという、そういう観点で見ているわけです。

【雨宮主査】
 そういう意味では長期の4つの項目、運用ですね。出た後、どういう運用していくかというところが関係するのではないか。

【太田協議会PD】
 長期というよりもファイナルゴールと言えば、このXFELで皆さんが一番注目しているのは膜タンパクなど単分子の構造解析であろうと思います。それに向けての研究が、長期的課題になってくると思います。したがって、バイオの方はそれに関連した基礎研究や基盤技術開発が行われていますし、先程の山内先生が話された分子クラスター研究もある意味ではそれに向かっての基礎研究といえると思います。結晶化が難しい膜タンパクの構造解析がどんどんできるようになれば、産業界というか、日本のタックスペイヤーは満足するのではないでしょうか。

【潮田委員】
 太田先生に質問ですけれども、先生の6ページ、協議会がありますが、委員名簿、この委員は誰がどうやって決めたのでしょうか。

【太田協議会PD】
 委員選定は私がやったわけではありませんが、私がPDに選ばれたのは、その前に次世代放射光源計画評価作業部会の主査をやっており、利用研究の推進体制の確立の重要性を提言したということが理由であると理解しています。他の委員の方々は、基本的にはナノとライフと両方の専門家です。特にライフではタンパクの構造解析の方々が圧倒的に多いです。ナノの方は、いろいろ幅が広いですが、レーザー関連の方と放射光関連の専門家から構成されていると思います。

【潮田委員】
 誰が決めたのですか。

【林室長】
 多分、事務局の方で、これは大分ロングリストになっているので、ある意味、目を引いた人を選んだのかなと。

【潮田委員】
 というのは、レーザーができてルーチンオペレーションになれば、それはそれでいいのだけれども、一番大事なのは、誰がどう使うかというところです。結果に響くのは、アウトプットに響くのは。それを決めているのはこの委員会だと私は今理解したのですが、それをどういう委員をどういう理由で選んだというのがきちんと、つまり、国家プロジェクトで国の金を使っている以上、透明度を持ってこういう人たちが選ばれるのが当然だと思うのですけれども、それがどうやって選んだのか説明がないようだと、ちょっと問題じゃないですか。

【林室長】
 最初は多分、事務局の方で相談しながら選んだと思いますが、先程話がありましたが、その次の段階として、課題を公募して、その課題で選定された人というのはまたこの利用推進協議会に入るということになっています。

【潮田委員】
 それをどこかで公開しているのですか。どういうふうに選んで、誰を委員にしたということは。

【林室長】
 それは多分、あんまりしていないと思います。その次の段階の公募してというのは公表しています。

【潮田委員】
 つまり、大事なところは、公募するのは勿論ですけれども、その公募を選考する人が誰かというのは非常に大事な問題で。そこを公表しないことには、透明性を持って国費を使っているという主張がしにくいでしょう。

【林室長】
 しにくいのですけれども、その後はプロセスの公表で、こういう委員会は、委員を決めるところはパッと事務局が先生方と相談しながら決めて。

【潮田委員】
 どの先生と相談するかというのも大事な問題で、その辺をきちんとやるのが大事だと思っています。しかるべき委員会を、つまり、しかるべき適性のあるグループをどうやって選ぶかというのは大事なことで、その辺がはっきりしないと、これの企画した時点からどのぐらいきちんとはっきりしているのかというのは、僕はいつも疑問に思っているのですけど。どうやって決まっているのかなと。

【雨宮主査】
 それに関して、林室長の前の時代の。

【太田協議会PD】
 前の前、もう一つ前です。私もこういうメンバーでやりますけど、どうですかということは聞かれました。ただ、それに対して基本的には、それで結構ですという話になりました。

【潮田委員】
 それはそうですね。僕だってそうやると思いますけど、僕はいつも不思議に思っています。つまり、それだけの選ぶ資格のある、見識のある人が選んでいるのか、何か思いつきでやっているのか、その辺はシステマチックにやる必要があると思うものですから伺っているわけです。

【太田協議会PD】
 少し遡ってでもそういう情報があればまたよろしく。

【林室長】
 通常のやり方ですと、分野のバランスと領域のバランスと、あと場所的なバランスをとってやっていると思います。

【潮田委員】
 それを誰がやるかが問題。誰がこれでバランスしていると考えるかが。

【林室長】
 それは多分、事務局の方で考えて、最終的に太田先生なりに確認したということだと思います。

【潮田委員】
 ちょっとしつこいようだけれども、事務局はそういうことを判断する情報と見識を持っているかというのがポイント。

【林室長】
 それは我々もいろいろな先生に聞きながら、いつも決めてはおります。

【潮田委員】
 どの先生に聞くかが問題だと言っています。その辺、堂々巡りになるでしょう。分かりました。

【遠藤委員】
 山内先生のご説明、面白かったのですけれども、17ページですけれども、ケミストリーの世界というのは、ナノテクノロジーとケミストリーというのは、今どういう経緯にあるかというと、フィジックスはどんどん微細化の方向で、例えば1つの単分子になったときにフィジックスがどういうふうに推移していくかって、こういう流れなのですけれども、ケミストリーは逆に1つのモレキュールがクラスタをつくってバルクになっていくって、ここが非常に面白くて、それがナノテクノロジー、いろいろなものがケミストリーもフィジックスも融合するという1つの学問の流れなのですね。
 そうすると、ちょうど先生がここにお書きになっているイメージと逆が非常に面白くて、このクーロン爆発するという過程ではなくて、逆の過程ですね。モレキュールがどういう過程を経て、それがクラスタになり、1つのバルクになっていくかって、その過程の変化を見るときに、時間分解能みたいなものはどんな精度が可能ですか。

【山内協議会委員】
 この絵ですけれども、仮にクーロン爆発と書いてありますが、これは分子がゆっくり振動するのでも構わないです。ですから、これはポンプして、その後、プローブをX線回折でしましょうということです。ですから、今、先生がおっしゃったように、凝縮していくプロセス、それが例えば何かをきっかけにして、T=ゼロを与えてゆっくり凝縮していく過程をX線回折で追いかけたいということがあったとします。それは多分、時間スケールとしては、そのきっかけを与えるところからの時間がかなり掛かりそうですので、ミリ秒とかマイクロ秒程度でいいのではないかと思いますけれども、その位のディレイをかけるのは、当然、全く問題なくできるのではないかと思います。

【遠藤委員】
 それは例えばもっと細かい世界、フェムトとか。

【山内協議会委員】
 これは今は時間ディレイだけの話で先生がおっしゃっているとすると、時間遅れをどれだけできるかということですね。その場合に、今の場合ですとレーザーの光とX線自由電子レーザーの光は大体1ピコ秒では合わせることができます。ですから、多分、凝縮しているプロセスであれば、1ピコ秒の時間分解能があれば十分にこういう画像がとれてくるのではないかと思います。多分、それは十分に今の技術でもできる。
 先程石川先生がおっしゃったように2つのビームに同軸で合わせてポンプ&プローブというときには、タイミングがもっと精度が高くなりますので、もう1桁、0.1ピコまでは行くのではないでしょうか。もう少し行くかもしれません。

【遠藤委員】
 プローブの波長も変えることはできるのですか。

【山内協議会委員】
 勿論です。

【遠藤委員】
 それはハイテクにはどの位。

【山内協議会委員】
 プローブの波長は、例えば今のプロトタイプ機ですと、原理的には、30ナノから行きます。30ナノから上はもう少し、60くらい十分に幅がとれます。長さが違うのを5個用意されるとおっしゃっていましたけれども、それは紫外の領域をカバーするビームラインもできますから、そうすると、紫外で例えば溶液をポンと励起しておいて、その後どう変わっていくかというのをX線回折でプローブしていくというのはできるわけです。

【遠藤委員】
 それは結局、物質形成の1つの過程ですが、分解は1つのサイエンスとしては面白いですけれども、そういう部分にもしこれが非常に……。

【山内協議会委員】
 それは先生がおっしゃるとおりに、まさにそれができるような装置が今できつつあるということなので、かなり広がる物質科学というか、一般に物理、化学と、必ずしも切らなくていいと私は思っていますが、両方の方角での時間発展が分かる。

【潮田委員】
 時間発展、ピコ秒ではかるということは、かなり物としては遅い方ですよね。今、アトセカンドとかでやらないと、ケミカルリアクションのタイムディベロップメントは見えないでしょう。

【山内協議会委員】
 アト秒は、私どもはその強い光を使ってアト秒を出して実験をしておりますけれども、今、100アト秒位です。100アト秒位がワールドレコードです。それも実は先程の非線形の効果を使って初めてできます。強い光。それで見れる現象というのは、核は重た過ぎて動かないです。カーボンとか窒素は100アト秒では動かない。

【潮田委員】
 つまり、バイブレーショナルなのは見えない。

【山内協議会委員】
 見えないです。

【潮田委員】
 まだ動いていないわけでしょう。

【山内協議会委員】
 動いていないです。

【潮田委員】
 だけど、エレクトロニック・トランスファーはもうフェムト以下でしょう。

【山内協議会委員】
 それは、エレクトロンがどう動くかは光に追従してしまいます。ですから、X線回折というのは、実は先生方、構造を決めるために使われると思っていらっしゃると思いますけれども、実は散乱するものはX線は電子を散乱するので、時間分解能が上がると、電荷分布を直接観測することに実はなるわけです。ですから、時間分解能を上げていく実験というのは、実は非常にプロミシングで、今、潮田先生がおっしゃったような意味で、本当にアト秒まで行ってしまうと、どう計測するかという問題があるので難しいですけれども、多分、ピコ秒を切ったところでやるにはX線回折は十分に意味があると。

【潮田委員】
 プロティンなんかはいいでしょうね。大きいのは遅いから。

【山内協議会委員】
 それは非常にいいと思います。電荷分布の変化も一緒に見ることができいる可能性があります。

【田島委員】
 先程潮田先生が議論された表なのですけれども、この6ページ、前回、最初のときに石川さんにX線天文学などというのも非常にいいよということでおっしゃったら、牧島さんが入っているので、これはこれでいいと思うのですが、あとの例ですけれども、例えば核物理の方、光核物理というのはこれから始まる学問だと私は思っていますが、そういう人が多分入っていないと思うので、今後ぜひ核物理を光で見ていくという、こういう光はそれができると思いますので、ぜひそういう分野を入れていただければ、新しい分野が切り開けるのではないかなと思います。

【石川プロジェクトリーダー】
 話としては、この光をSPring-8に入れてバックスキャッタリング・コンプトンを出して、それで核物理をやりたいというご提案が阪大からあります。

【亘理委員】
 長期の利用の方の、できた後の利用になると思うのですけれども、先程のビームが非常に強いときのライフサイエンスという話がありましたけれども、臨床医学の治療にこれが使えるかどうかは、やってみなければ分からないというところがあって、先程このパンフレットを見たら、最後に創薬という薬学は入っていますが、医学の人が今の段階では必要ないかと思うのですけれども、医学の人が入っているといいと思いますが、これはその中に物理はないけれども、どんな現象が起きるかということ自体が初めてのことだし、それはいずれ外国もやることであるから、日本は少し早目にやった方がいいと思います。物理はないと思いますけれども、もしかして治療に使われるとなれば、これはまた別なドライビングフォースになると思いますから。

【下村協議会PO】
 治療そのものではないのですが、癌研の照井さんのご提案の癌細胞のマッピングの話というのは、これは有効であろうということで、ただ、すぐ治療ということではなくて、むしろ診断です。

【亘理委員】
 診断か治療か、両方ですけれども、先程のビームが強いということが、ライフサイエンスにはむしろ強過ぎるという話がありますけれども、逆に治療に使える可能性もありますから、その辺もここには入っていますけれども、医学の方はいずれ入っていった方がいいと思います。

【林室長】
 先程の潮田先生の話ですけれども、新しいこういう分野がいいといったときに、結局、我々も誰にアプローチしたらいいのか今一よく分からないところもあります。

【潮田委員】
 難しいでしょう。

【林室長】
 こういう人が興味ありそうだという情報があったら、会わせていただけると。我々も単に情報、普通に一般的には情報発信しているのですけれども、なかなか行き届かない人もいるやに聞いています。

【潮田委員】
 大体、何で我々がこの委員になっているのかも分からない。実は、何で呼ばれたのだろうと思ったので。

【林室長】
 潮田先生はナノ・材委員会で。今回、利用推進協議会も評価の対象だということで、ここに入っていない先生方というのがまずあった上で、この事前評価をしてもらった先生と、あとナノ・材委員会に入っていらっしゃる先生から、分野と場所も考慮に入れながら選んだということにはなるのですけれども。あと、新しいことを何か言っていただけそうな人というのも。

【太田協議会PD】
 もし私がPDということで、委員会のメンバー全部を独断で決めたりしたら、その方が問題じゃないかという感じがします。それよりは文科省の方で、いろいろなバランスを考えて決めていただいた方が大きな間違いは起こらないのではないでしょうか。ただ、これはどの委員会でも同じことが言えると思いますが。

【潮田委員】
 そうです。難しいです。

【林室長】
 この利用推進協議会のメンバーでここが足りないというところがあれば、そこはご指摘していただくということも今回の評価の1つの趣旨ではないかと考えております。

【潮田委員】
 ペタコン、ペタフロップスコンピュータの方もユーザーグループを今つくっているところです。あれも何か自然発生的にというか、ヴェイグなコミュニティというのが集まって、ある程度、あれはボランティア集まりです。

【神谷委員】
 先程のお話は、レーザーと放射光をかけ合わせる話になるわけですけれども、現在のこの表にある研究課題とか、研究者の方々の中で、レーザー分野の割合というのは現状でどの位あるのでしょうか。

【下村協議会PO】
 18課題の内、メインにレーザー分野からの参加という意味では、電通大の米田先生、あるいは理研の鈴木先生のあたりがそうかと。

【山内協議会委員】
 それから、レーザーという意味では、鈴木先生はレーザーの開発ではないと思います。私たちのチームには緑川先生をはじめとしてレーザーを専門とする先生方が何人もおられます。そういう先生方の参加は実は重要で、例えばシードするときもレーザーを単に使っているというのではなくて、レーザーを開発している人たち、特に山川先生、神成先生、緑川先生のような先生方の参加が重要です。

【潮田委員】
 ここに入っていない。

【山内協議会委員】
 多分、レーザー分野の方々もこういうふうにできるということが分かると、もっと参加したいというので手を挙げられて、利用の方に参加されるのではないかなと思います。

【下村協議会PO】
 最初の年に40課題、提案があって、その次の年に18課題になって、その中にはレーザーの関係の方もいらっしゃったのですが、XFELの場合に放射光と光のレーザーのちょうど真ん中といいますか、両方のメリットを持っているところが、どちらかというとやっぱり放射光の方がアフィニティが多かったせいか、多少、レーザー関係の人の方が応募が弱かったのは確かだと思います。ただ、それは山内先生が今おっしゃったように、実際にこういうことができるということが分かってくればもう少し出てくると思います。

【山内協議会委員】
 それから、シードができるという実験例が既に論文になりました。そうすると、レーザーのクオリティーを持った光もつくれるということも一方では分かって、長波長サイドですけれども、それはかなりレーザー業界を刺激していることもあるのではないですか。それは田島先生が何となく感じられるかもしれないけれども。

【田島委員】
 MITなんかやっています。高調波、シーディング。

【山内協議会委員】
 それは結構いろいろなところでやっているのだと思います。

【雨宮主査】
 それで、今、利用推進研究のところまで行きましたが、あと、今日プレゼンで残っているところ、3番目の情報発信、今の議題を聞いているとやはり情報発信が今までにおいても、今後においても非常に重要だということを認識しましたけれども、そのポイントとこの運用に関して、石川プロジェクトリーダーにまたご説明いただければと思います。

【石川プロジェクトリーダー】
 資料7でございます。情報発信のところも、資料のつくり方としては同じでございまして、一番上の数字がその評価すべき項目の数字に対応しております。広報の活動状況ということで、ファインスクリプトになって非常に申し訳ないのですが、あちらこちらでこのX線自由電子レーザーの話を聞きたいから出てこいということがたくさんございまして、この2年位の間にあちらこちらにお邪魔させていただきました。物理科学、あと生物と、その分野を問わずいろいろなところにお邪魔させていただいております。
 一方で、このプロジェクトが始まる前に日本総研で経済波及効果についての調査委託をやりまして、そこのレポートをいただいております。そういうことで、社会経済への波及効果、あと産業界等への情報発信ということでは、例えば産業界50社による現地視察及び意見交換が行われたり、経団連の重点化戦略部会に呼ばれて、そこでご説明したり、理研の中でやっております理研と親しむ会というところで、理研と産業界の懇談会があるわけですが、そこで新竹からプロジェクトの紹介をしたりという活動を行ってきたわけです。
 一方で、少年少女、若い世代に向けては、播磨におきましては物理オリンピックの国内選考を兼ねた物理チャレンジというような機会に高校生にプロトタイプを見ていただいて、高校生一同が大人のやることはすごいと言ってくれましたが、一般公開では毎年たくさんの方に見ていただいております。勿論、HPをつくったり、あとタッチパネルをつくったりいろいろしています。もうすぐですけれども、実は野依先生によりますノーベル賞受賞者による高校生講座というのが8月に開催されて、そこに高校生が集まることになっておりまして、そこでもXFELの紹介を行うということで、今、話が進んでおります。
 全般的な状況でございますけれども、一般公開でいつも見せています。タッチパネル式の子供向けのソフトウエアをつくって、SPring-8の広報スペースで展示中でございますし、ここの文部省の旧庁舎展示スペースにも依頼中でございます。あと、電磁波ソフトという、かなり広まっている電磁波のシミュレーションソフトの日本語版をつくってダウンロード可能にしておりますし、地域への情報発信ということでいろいろなことをやっております。あと、建設の様子を連続写真にして公開中でございまして、これは今日お見せした建設の写真などもそこから持ってきたものです。
 その他、兵庫県等、スパコンとFELを繋いで使おうということを兵庫県と一緒にやっております。理研の中でもいろいろなユーザーを抱えているわけでございまして、出張講義に来いということで横浜とか、神戸とか、主にバイオのグループからいろいろなリクエストを受けておりますし、仙台のテラヘルツのグループが、やはりテラヘルツが加速器から出ておりますので、それを使いたいというようなお話もいただいております。
 あと、一般向けのパンフレットをつくるとか、看板をつくるとか、つまらないことですが、あとサイエンスチャンネルでXFEL計画を放映するとか、あとは、ありがたいことに製薬協、薬品メーカーのニュースレターというところでかなり興味を持ってくださって、このXFELのことを3回にわたって取り上げていただいております。
 数字はこんなものでございますけれども、学会・シンポジウム、あと新聞掲載、プロトタイプの見学者が全部で2,000人、一般公開のときに2,000人、計4,000人位ということでございます。雑誌、広報誌、DVD、TV等にもいろいろと取り上げられております。こんな状況で情報公開、情報発信をやっております。

【雨宮主査】
 ここでご質問、コメントを、一度時間をとりたいと思いますが、如何でしょうか。

【山内協議会委員】
 今、例えばプロトタイプのスペックですか、それは多分、最初の公称値とは大分違っていると思うのですけれども、今、どんな状態で光が出ているのかというようなものをWeb上には出していただいていますか。以前、何回クリックしてもずっと変わらないなみたいのがあったのですけれども、今は毎日のように、こんな感じで出ていますみたいな感じで。

【矢橋チームリーダー】
 毎日のは出していません。

【山内協議会委員】
 1週間ごと位?

【矢橋チームリーダー】
 それはない。そういう意味ではティピカルな値しか出ていないです。

【山内協議会委員】
 オペレーションして、今、この位ですみたいなのは。1カ月ごと位に更新していらっしゃるという感じですか。

【矢橋チームリーダー】
 いや、つまり、オペレーション、時々刻々変わっているものでもないので。

【山内協議会委員】
 そうすると、今、10ヘルツオペレーションということになっている。

【矢橋チームリーダー】
 そういうことです。

【神谷委員】
 これはなかなか難しいのではないかと思います。このような装置が出来ましたと言って、新聞などで発表しても、ほとんどの国民は関心を持たないですよね。プロトタイプ機でも何でもよいので、サイエンスを出していけば関心を持ってもらえる。そうすればお金も一番掛からないし、安く宣伝が出来ると思います。

【石川プロジェクトリーダー】
 おっしゃるとおりでございまして、先程の山内先生の最初のユーザー実験の結果というのも、東大の広報を通じてプレス発表させていただきまして、何紙かに載せていただいた。

【山内協議会委員】
 大分新聞にも載りました。

【石川プロジェクトリーダー】
 そこはおっしゃるとおりで、レーザーが出来ましたと言ってもなかなかだめで、レーザーで何ができましたというと取り上げていただけるというところはございます。

【家口委員】
 PRと言っても2つあると思います。1つは同業の研究者の方へのPRと、もう一つは一般国民の素人の方への宣伝で、特に一般の方への宣伝となりますと、科学技術雑誌に発表されたような内容をそのまま言うだけでは全然分からないわけで、新聞とかNHKのニュースとか見ても全然理解されないと思いますから、それを理解してもらうようになるためにはもっと分かりやすく、こんなことができるようになる、というようなコンピュータグラフィックとかを使うとかいうようなことも考えていただいたらいいと思うのですけれども、そのためには先程議論になってきた、本当にこの装置で何ができるのといったところがきっちり整理されていないと、そういう素人に分かりやすいようなものもできないと思いますが、そのあたり、もう少し考えていただいた方がいいのではないかと、このパンフレットを見せていただいても……。

【石川プロジェクトリーダー】
 それはパンフレットではなくて、研究会の要旨集でございます。

【山内協議会委員】
 何かプロモーションビデオみたいのを作ったら良いのでは。

【石川プロジェクトリーダー】
 プロモーションビデオは、建設のものは後でお見せします。

【今野委員】
 ここで産業界にそれぞれ意見交換をやっているという話ですけれども、やはり中期的にすぐという、産業界がすぐ使うというのではないと思いますが、中期的なそういう意味でどう使えるかということをちゃんと言って差し上げないと、と思うので、そこら辺のところはどうなのかなと思います。こういう宣伝をなさっているということですけれども、そこら辺をもう少し、本当にどう使えるかということも言っていらっしゃると思うのですけれども、産業界でやはり使用する方がより増えるということも重要だと思うので、そこら辺の中期的な課題についてこれから考えていかないといけないと思います。

【石川プロジェクトリーダー】
 この光については、産業界の方もSPring-8のように使えるとは思っていてないところがあります。例えば製薬協の方とお話をすると、SPring-8のときには産業界の方だけで行って使うことができたけれども、これは違うだろうと。だから、アカデミーと一緒になって、何か使い方から一緒にやっていくようなシステムをつくってくれないかということを言われています。多分、そのあたりが非常に重要になってくるのではないかと思っています。

【石川プロジェクトリーダー】
 ビデオの中身の説明は致しませんので、適当に流れているものを見ていただくと。

【亘理委員】
 NHKの研究室訪問だか何とかという、ありますよね。あれには乗らないのですか。

【山内協議会委員】
 石川先生の所を訪ねてもらえば良いのではないですか。

【亘理委員】
 あれはかなり少年少女向けというか、まあ、もう少し上ですけれども、女優が司会をしているのですね。なかなか分かりやすい感じですけれども、出せないですかね。

【山内協議会委員】
 爆笑問題がやっているような、ああいうのが良いですね。

【雨宮主査】
 それでは、先に運用の方を。

【石川プロジェクトリーダー】
 2つパンフレットをお渡ししてございますけれども、ピンクの表紙が一般向けで、白い表紙がちょっとプロ向けでございます。

【林室長】
 一般的に役所が使うのは白で。

【石川プロジェクトリーダー】
 ピンクの方はちょっと砕け過ぎかなというご指摘を。
 ご覧いただきながら、運用の話にいきますが、まずこの運転利用体制の検討ということでいろいろなご質問をいただいているわけでございますけれども、先程申し上げましたように、この施設完成後の運営維持体制の具体的な議論に関しては、この施設が特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律、いわゆる共用促進法における特定放射光施設に位置付けられているということを考え、SPring-8キャンパスの運営全体を議論しておりますSPring-8運営会議で検討を開始しております。この中の議論では、このXFELの利用に関してはSPring-8と同じところもあるけれども、かなり違うことがあるだろうと。
 具体的には、今、SPring-8では1シフト、要するに時間のタイムを8時間で区切っておりますけれども、FELはもしかするともっと短い時間を1単位にした方がいいのではないかというような議論をしております。これもご指摘にあることと全く同じですけれども、このX線領域のレーザー光自体が、今のところ誰も見たことがないものでございますので、この施設の最初には相当の技術的な支援を行っていく必要があるだろうということが議論されております。
 そのプロトタイプ機での利用や技術支援などの実績を通して、FEL実機の最適な利用体制を検討することが重要であるということで、まだどうやっていこうという決まった結論は出ていないのですが、大筋としてこういう考え方で、一方、最初に申しましたように共用促進法の中の話であるという認識の下に、利用者の皆様に対してベストな運営方法を検討していくということで今進められております。
 次に参りますと、運転・利用体制の検討といたしまして、22年でハードウエアができて、1年間かけて試験運転を行って、23年の秋以降で共用施設として運用していくというのが基本的な方針でございます。勿論、施設完成後の高度化開発というのは必要でございまして、残ったアンジュレータ、ビームラインをどのように整備していくか。
 あと、先程から出てまいりますスーパーシーディングとか、ビームラインの周りの基本的な計測機器等の開発設置、これはSPring-8のときもPFのときもそうだったわけでございますけれども、実は新しい装置というのは光を見てから出来上がるというところでございまして、光を見てから、その後、どういうふうに高度化をしていくのかというところが重要でございます。
 それに対して、この運営・運転体制というのは、この22年までは共同チームというか、合同チームによる建設体制でいいのでございますけれども、この22年以降、共用促進法に基づく運営・運転体制をどういうふうにつくっていくかという問題と、あとこういう高度化を進めていくときに、まだ建設体制を引きずらないといけないところもございますが、このままいくのか、それとも新たに設定するのか、そういう議論はこれからの話として残っています。いずれにしろ、実機運営も含めて、このXFELの高度化開発研究というのは、施設の一応の完成、22年の中以降も続いていくのだろうと考えているわけです。
 あとは、利用料金をどうするのかというご質問がございましたが、基本的な考え方は同じ特定放射光施設であるSPring-8施設の考え方を参考に決めていくものだろうと考えています。このときの非常に基本的な考え方、一番下に書いてございますが、成果公開利用が原則で、成果を公開しない利用は施設利用料金を徴収するというのが今のSPring-8でとっている考え方でございます。

【山内協議会委員】
 制度を利用すると料金はただですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 成果を公開すると料金がただ。成果を占有すると料金を払う。

【山内協議会委員】
 論文を書けば、ただ。

【石川プロジェクトリーダー】
 はい。

【山内協議会委員】
 分かりやすいですね。

【石川プロジェクトリーダー】
 ただ、その値段の設定は、SPring-8と同じにするとかなり高額になるだろうと。運営費回収方式で試算してみますと、かなりSPring-8よりは高いものになって、本当にそんな料金で使ってくれる人がいるのかというようなものになりますので、全体としてのオプティマイゼーションが多分必要になってくるのだと考えています。
 あと、利用者との協力体制でございますが、今は利用推進協議会と施設者側とこの利用推進協議会という場で、施設者側と利用者側が協力体制をつくっています。現在は、このXFELプロトタイプ機などで協力しながら、この利用推進研究というのを進めているわけでございまして、たくさんの応募があって、あとワークショップをやっているとか、あと、我々の利用グループのもとに3チームをつくって、利用体制を強化していますですとか、あとユーザーの受け入れ体制を整備しているとか、いろいろあるわけでございますけれども、この実機ができて、実機で使っていくときには、先程申しましたように共用促進法の下でやっていく必要がありますので、この共用促進法と整合性のとれた新しい運営方法、運営体制というのを考えていかなければいけないのだと思っています。
 この海外との連携も、前に同じものを一度出しましたが、DESY、SLACとの3者の共同及びPAL、浦項ライトソースとバイラテラルの協力体制というのをつくって、FEL関係の共同研究及び共同開発を進めているところでございます。これも先程出てきた、海外と合同でワークショップをやっている。
 SPring-8との相補・相乗効果でございますけれども、XFELがパルス光であって非常に強い。ある意味で最先端科学の追求をやるところでございますが、SPring-8は非常に安定して、たくさんのビームラインが同時に使えるというような汎用性、経済性が高いものでございますので、ある意味で役割の分担はできるだろうと思います。
 一方で、先程時間発展を追うという話がございましたけれども、FELの光でポンプして、逆側からSPring-8の光でプローブすることをやると、かなりゆっくりした時間発展も追っていくことができるので、実験室をここにつくったというのは、まさに両方の光が使えるロケーションにつくったということでございまして、先程の電子ビームを入れるというのと、もう一つ、両方の光を使うという相乗効果が出てまいります。
 最後になると思いますが、量子ビーム装置間の相互補完ということで、原子力機構、理研、物材機構の間で量子ビームテクノロジーの先導的研究開発に関する研究協力協定というのを結んで、お互いにこの機関横断型で量子ビーム利用による先導的研究の推進ということを行っているわけでございますけれども、こういう枠組みの中でSPring-8やJ-PARCとともにFELというのを使っていただくということで、いろいろな協力ができるのではないかと思っています。
 勿論、研究開発プラットホームという形でいろいろなものが入って、まず、こういう枠組みを使っていろいろな検討を進めていくということが必要だと思っているわけでございまして、この中でもう既にいろいろな研究会とかセミナーとか始まっておりますが、ぜひFELもこの中に入れて、いろいろな議論をしていきたいと考えています。

【雨宮主査】
 それでは、ご質問とか、コメントとか、よろしくお願いします。

【神谷委員】
 お話があったのを聞き逃したのかもしれませんけれども、最終的には5本つくるわけですが、ここの表では言うと残り3本とありますので、建設時には、2本なわけですね。今はまだ完全には決まっていないと思うのですが、残り3本の光のスペックやビームラインのスペック、また、後ろにつく測定装置とかのスペックはどのようなものですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 残りの3本はまだ完璧にアンディファインドです。これは今後の議論になると。

【神谷委員】
 それらは、完全に真っ白な状態なのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 完全に真っ白です。お金的にもまだ真っ白。何も決まっていないし、つくらせていただけるかどうかも決まっていません。

【神谷委員】
 最初の2本についてのスペックというか、どういう実験装置がぶら下がるのか、そういうのは何かあるのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 どういう実験装置をぶら下げるかは、先程の利用推進課題でマージしていって使える装置をつくるというスキームでございますので、我々の側からどういう装置をぶら下げますという話ではなくて、利用者の先生方がどういう使える装置をつくるという話をこれからなさる。

【神谷委員】
 装置の前までのビームラインのスペックはどこかに載っていますか。

【石川プロジェクトリーダー】
 開発のところに示している光のスペックというのがまさにそれでございます。資料5の19ページ。

【神谷委員】
 2本目のスペックはどこを見ると分かるのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 そういう意味では、これは真ん中のX、非常に大変な方のスペックで、2本目の広帯域というのに関しては、今、ユーザーの先生方といろいろなお話をさせていただいて、これから決める。

【神谷委員】
 つまり、イメージもないということですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 イメージは、今のプロトタイプで光るところを出したいと思っています。

【山内協議会委員】
 50ナノメートルとか、60ナノメートル、その位。

【神谷委員】
 そうであるとすると、先程と同じ質問になってしまうのですが、8GeV(ギガ電子ボルト)でこの光を出すわけですか?

【石川プロジェクトリーダー】
 いや、それをやるときには8GeV(ギガ電子ボルト)でないかもしれない。

【神谷委員】
 そこら辺、まだはっきりしていないということですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 その辺、はっきりしていません。いろいろなことを考えています。

【神谷委員】
 ですが、もうあと2年位の間にはつくらないといけませんね。

【石川プロジェクトリーダー】
 そうです。

【神谷委員】
 アンジュレータのスペックも決まっていない。アンジュレータをつくるのだって結構時間が掛かるわけですよね。

【石川プロジェクトリーダー】
 アンジュレータ自体は、中のマグネットの問題なので、アンジュレータの周り自体は長いものと同じものだと考えています。

【神谷委員】
 ですが、中身だって、つくるのに結構時間が掛かるわけでしょう。

【石川プロジェクトリーダー】
 そんなに掛かりません。

【神谷委員】
 スペックが決まっていればつくるのは早いと思うのですが、いまだ決まっていないと言われると、今後検討してつくるわけで、なかなか大変かなと思います。

【石川プロジェクトリーダー】
 そこは先程申しましたような、本当に2本にするのがいいのか、あと時間のことを考えると1本でやった方がいいのか、その辺もよく考えてつくるべきだと思っていて、一番大変なのはXの長いものですので、まず、そこを固めて、その次に付加的につくるのは、それが一段落した後かなと思っています。

【神谷委員】
 だけど、2本目は今の計画の中に入っている。

【山内協議会委員】
 多分、X線の本機の8GeV(ギガ電子ボルト)マシンで硬X線を出すということさえできれば、あとは今のプロトタイプ機でタイミングを合わせる技術はもう出来ていますから、いたずらをする方の光、ポンプの光はレーザーを同期をとらえて入れれば、いろいろな実験ができると思います。

【神谷委員】
 そうすると、後ろの実験装置は、それぞれの人が勝手につくって持って来なさいということ。

【石川プロジェクトリーダー】
 いや、その利用推進研究というのでお金が出ているわけですので。

【神谷委員】
 先程の年間5億円の中で。

【石川プロジェクトリーダー】
 そうです。だから、そこで今の最初の3年間は要素技術をやっていたのが、後ろの2年間でその要素技術をまとめ上げて、ここでつくる装置をつくってくださいねというのがそちらのプログラム。

【神谷委員】
 お金はそこから出すわけですね。年間5億円の中から。

【石川プロジェクトリーダー】
 はい。

【太田協議会PD】
 プロトタイプとか試験機と言っているけれども、これは波長が違うだけで、FELとしてはFLASHと同じように十分立派な装置です。だから、UV-FELとXFELとか名称を変えて、同じような共同利用の運営体制を考えた方がいいのかなという感じもする。

【石川プロジェクトリーダー】
 そのようにしたいと思っています。

【太田協議会PD】
 ぜひこれをプロトタイプというのをやめて、何か劣っているような気がします。

【山内協議会委員】
 最初伺ったときはプロトタイプは壊すというお話はありましたが。

【太田協議会PD】
 いや、壊さないでちゃんと生かして。

【山内協議会委員】
 私はもったいないと、そのときから申し上げていましたけれども。

【石川プロジェクトリーダー】
 最初は壊して、その辺から部品をとって、本体に持っていくという考えもあったのですが、プロトタイプはプロトタイプで非常にいいFELだという、ユーザーの先生方、皆さんそう言ってくださるので、プロトタイプも皆さんに使っていただける形で残したいと思っています。これもぜひ共用施設として残していければいいなというのが我々の希望です。

【亘理委員】
 生物系にはこのソフトX-rayとか、この辺のUVは非常に使いたいところです。生物系には、この辺は使いたいと思います。

【山内協議会委員】
 50ナノメートルで。

【亘理委員】
 数十ナノメートルのところはコントラストが出やすくて使いやすい。

【神谷委員】
 後で実験ホールを追加したわけでしょう。

【山内協議会委員】
 ユーザースペースですね。

【石川プロジェクトリーダー】
 100平米。もう共用として壊す話はございません。

【遠藤委員】
 この宣伝のことですけれども、できるだけ、本機が動き出すときには、申し込みがたくさんあって、しかも、高額を払って使いたいという、そこまで持っていっていただきたいです。そのためにやっぱり今何が大事かというと、山内先生あたりの試行実験、適正なレベルの高いものを出していただいて、本機が動くときには、基本的なところは大体科学ができて、あとテクニカルにいろいろ使えるというのは1つ理想だと思います。今、科学の世界でよく言われていますが、人に先んじることはただ有利なだけでなく、多くの場合全てを消し得るという位、先にやるということはものすごく大事です。
 ですから、今の試行実験で何とかいい成果をたくさん広く出していただいて、それが少々の宣伝をするよりも、かえって効果があると思います。今、研究室とお茶の間が直結するというふうにも言われていまして、少々難しくても、世の中の人々は理解する能力を持っています。難しい報道が意外と、昔の大学の先生の講義みたいなもので、一般の人に人気があるというか、すごい科学だと、こう言ってくださるので、少々難しくても、世界で初めてという成果をぜひ今この先導研究でやっていただくのも絶対的で、スタートダッシュに備えるということは絶対的要件だと思います。ですから、ぜひ先導研究にもっとお金をかけていただいて、それから、できれば少し仲間をいろいろ増やしていただくというのが非常に大事だと思います。

【潮田委員】
 宣伝とはあまり関係ないですが、これを見ていると、利用者の中に物理の理論屋はいないですね。それで、いろいろなところでこんな新しい光源を使って、何が起こるか分からないというのが何回か言われていますが、それで、物理の理論屋にちゃんと考えさせるということはやっていないのですか。つまり、光が出て、光を当てて使うことは考えているけれども、それを当てたときに物質の中でどんなことが起こるということのシミュレーションとか、物性理論はできるはずです。そういう人は誰かいないですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 そのあたりを郷先生のグループの中にアトミック・フィジックスの方がいて、光が当たったら何が起こるかという計算をそこで盛んにやってくださっています。

【潮田委員】
 例えばナノ・材料とか、そういうのは出ているけれども、実験の人が集まっていて、それを理論的に考える人が絶対必要だと思います。それから、レーザー理論とか、その辺ももう少し強化した方がいいのではないかなと。

【神谷委員】
 今言っている理論というのは、光が当たってどうなりますかというか、今までの延長の理論計算では。

【神谷委員】
 多分、潮田先生がおっしゃっているのは、もっと珍奇なというか、何か突拍子もないような、そういうことを考えてもらえる理論の人という意味では。

【山内協議会委員】
 私、強い光を使っていろいろ新しい現象を研究していますが、物理の理論家の人に、こういう現象論で面白いからぜひいろいろ教えてくださいと申し上げると、実は比較的強い光があって、物質とのインタラクションを研究していらっしゃる物理の人は、実は非常に少なくてあまりいらっしゃらない。田島先生はそのパイオニアのお1人で理論家ですけれども、助けてくれる人がいない。むしろ、今、ケミストリーの方で強い光を入れて、物質がどうなるかを計算してくれる理論家がかなり増えている。

【田島委員】
 日本は理論が弱い。

【潮田委員】
 だから、このプロジェクト全体の話を聞いていると、何回か言われました通り、怪しげな光を当てたらどうなるか分からないという話がありましたが、普通、実験をやるときは、ある程度理論で予測しておいてから実験機具をつくるものだと思います。

【石川プロジェクトリーダー】
 先程神谷先生がおっしゃったように、現在の知見からエクストラポーレイトできるところは予測してやっているけれども、皆さんが多分それを超えるものがあるだろうということで見てみないと分からないと言っているわけです。

【潮田委員】
 量子力学がありますし、電磁気学もあります。

【石川プロジェクトリーダー】
 量子力学、電磁気学でやれるところはみんなやっている。

【潮田委員】
 それより先が何かあると思ってつくっているわけですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 多分、量子力学、電磁気学の先ではなくて、量子力学、電磁気学の現在のフレームを超えたところに何かがあるのではないかというのは、いろいろな人がやっています。つまらない絵が出てきましたけれども、出来上がったときのイメージをもう5本つくってございます。こんな感じのアンジュレータが。

【潮田委員】
 アンジュレータが5本並んでいるという絵ですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 ダンプがあって、こちら側に実験室があるというようなものでございます。床を走ってみますと、Gunがあって、バンチャーがあって、試験で縮めて、加速して、また縮めて、ずっと加速して、ずっとC-bandでまたここで縮めて、ずっと加速していって、C-bandスレッドが見えているわけですけれども、450メートル走らせて、ここに振り分けのマグネットがあって、全部で5本に分けてアンジュレータの中でレーザーになって、電子ビームと光と共存して、どんどん光が強くなっていって、電子ビームはここのマグネットでダンプに落ちて、光だけが壁の向こうの実験室に行く。壁の向こうには明るい未来が待っていると、こういうもの。これがかなりイメージとして分かりやすいと思います。

【潮田委員】
 シーディングをやるところはどこでしたか。

【石川プロジェクトリーダー】
 ずっと前の方の小さいところで、これには入っていません。

【太田協議会PD】
 シーディングの予算はあるのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 シーディング、R&Dの予算はいただいておりますけれども、あと実機をつくるものはこれから。

【今野委員】
 共用の促進に関する法律で、これは外国の方にも問わず使えるような、そういう運用ですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 勿論。

【林室長】
 今、5パーセント位使っております。

【雨宮主査】
 これからのスケジュールについて、作業についての確認なのですが、資料4のところで中間報告書のイメージということで、少し試案を書かせていただきましたけれども、今日は2.の開発についてと3.の利用推進研究についてというところを重点的にやりましたし、ここのウエートが中間報告書のメーンなパートになるかと思っています。それで、次回は3週間後の7月28日、月曜日の午後なのですが、それまでにここの2.と3.のファーストドラフトを集めて、次回はそのドラフトについていろいろ議論したいと考えています。それで、今日、情報発信とか運用のことについても短い時間ですが、話していただいたので、そこにおいてコメントがあれば勿論いただきたいのですが、主には2.、3.のところについてこういう観点、更には資料2のところにあります評価すべき項目の観点に従ってコメントをいただきたいということです。
 今日は、評価すべき項目ということに沿ってプレゼンしていただいたこともありますので、資料2の1-1から1-5まで、2-1から2-7までと、こういう項目で委員の皆さんに意見をいただくのがわりと整理しやすいと思っています。勿論、それにハマらないことについても何かコメント等いただければと思いますが、それを1週間位を目安に事務局に集めていただいて、それを文言化してファーストドラフトという形で、次回、持ち寄って、そしていろいろな見落としがないか、それから、表現の問題についてすり合わせを行いたい。
 それと、分量は、トータル10ページの内、この2、3のところが、6割から7割ぐらいは占めるのかと思っています。初めのところに少し、一、二ページの全体のことをまとめますが、2.、3.それぞれ3ページずつ位にはなるのかなと思います。3ページから3.5ページ位になるかなと思います。それはどの位の分量になるかについては、各委員からいただくコメントの内容によるかと思います。こういう形で今後の作業を考えていますが、如何でしょうか。

【林室長】
 クラリファイですけれども、2.、3.の件を中心に、特に技術関係、要は現状のところは我々の方でもドラフトができると思うので、多分、評価と今後のあり方のところを中心に先生方からコメントをいただくというのが第1段階で、これが大体、来週の月曜日ということで、それで、その後、我々の方でそのドラフトをまとめて、また皆さんにお配りしてそれで議論する、そういうようなイメージでございますか。

【雨宮主査】
 それでまたまとめて議論するにしても、でも、メールで議論というのはやはりあれなので、3週間後に会う前にはドラフトを我々がもらって、それを持ち寄ってここでもう一度確認ということが必要かと思います。

【林室長】
 分かりました。こちらで主査ともご相談して、案をまとめて、それでもう1回皆さんに配付して見ておいてもらって議論するという、そんなような感じでよろしいですか。

【雨宮主査】
 そうですね。次回、ここに来たときに初めてドラフトを見るというのだと、議論の立ち上がりが遅れるので。それで、評価と今後のあり方、この評価というところがどういう項目かという、資料2の評価項目があるので、一応、これに則って書いていただくのが整理しやすいかと思いますので、今後のあり方については、その評価と適宜抱き合わせにして書いていただくということでいいのかと思うのですが、如何でしょうか。
 場合によっては、今日補足情報は、質問事項はかなり網羅されて説明していただきましたけれども、また何か情報が必要だというような場合には、そういうことも記入していただいて、場合によっては、その項目が文章で足りるのであれば文章もしくはまた来ていただく必要があるのであれば、来ていただく可能性もあるかもしれませんが、私としては、前回、今回でいろいろなことは大分いろいろと質疑応答でお聞きしたという気はしますが、皆様からの質問事項の数、内容によって次回どうするかということを決めていくことにしたいと思います。
 それが次回の3週間後ですが、第4回目でまとめたいと思っていまして、その4回目は、この前、もう既に日程調整しましたが、その1週間後の8月4日です。殆ど1週間しかないので、作業をする時間は限られていますので、次回の7月28日、月曜日のところでかなり最終的な形にしておく必要があるかと思います。それで、4回目は、この4.と5.のところの情報発信、運用についての文言も確認するというところで、最終的にほぼ出来上がった形の中間報告書を4回目には確認し合うという形に詰めたいと思っています。
 もう一度繰り返しになりますが、2.、3.、開発について、利用推進研究について、資料2の評価項目についての評価、そして適宜それに対して今後のあり方についてまとめていただく。開発の現状とか利用推進研究の現状というのは、今、林室長からありましたように事務局でまとめますので、そこをもう一度まとめ直すことは特にしていただかなくて結構ですので、評価、今後のあり方というところをそれぞれの項目についてまとめていただければと思います。情報発信、運用についても、今日短く説明をしていただいたので、コメントの主だったところはあわせてしていただければと思います。

【潮田委員】
 メールでコメントをお送りすればいいですか。

【林室長】
 評価と今後のあり方についてですね。

【雨宮主査】
 今日、口頭で申し上げたことを事務局でもう一度まとめて、改めて我々に宿題として流していただきたいと思います。
 第4回目で、それを最終回と考えていますが、そこでは全ての形をある程度、全体像が見える形の報告書がここに出てきて、時間はそんなにとらないと思いますが、やはりメールで最後締め括るというのは何か意思の齟齬があるとよくないと思いますので、ある程度の形がまとまった、全体の形がまとまったところで第4回目、8月4日を行いたいと思っています。

【神谷委員】
 要は7月14日までにコメントをしなさいということですね。

【雨宮主査】
 14日中で。

【林室長】
 14日中で結構です。その後まとめて、また雨宮先生とご相談させていただいてから、皆さんにまたドラフトということでお願いしようと思います。

【雨宮主査】
 28日は1時半からを予定しています。4回目の8月4日も同じく1時半からを予定しています。残り2回は、今日のような4時間ということは想定していませんので、長くとも2時間位で終わるぐらいで考えています。

【雨宮主査】
 最後、事務局から補足があれば。

【加藤室長補佐】
 主査からもお話がございましたけれども、念のため日程だけ確認させていただきます。次回、第3回ですけれども、7月28日、月曜日、1時半から3時間位、4時半位まではとってございます。月曜日、28日の1時半から。次々回、第4回が8月4日、1週間後の月曜日の1時半から3時半、これも2時間程とってございます。場所としては、両方とも文部科学省5階の5F4会議室を予定しております。

【雨宮主査】
 それでは、どうもありがとうございました。

─了─

お問合せ先

研究振興局基礎基盤研究課量子放射線研究推進室

(研究振興局基礎基盤研究課量子放射線研究推進室)