X線自由電子レーザー計画評価作業部会(第1回) 議事録

1.日時

平成20年6月11日(水曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省 3階 3F3特別会議室

3.出席者

委員

 雨宮主査、潮田委員、神谷委員、竹山委員、田島委員、谷口委員、徳宿委員、家口委員、亘理委員

文部科学省

(研究振興局)
 藤木審議官、大竹基礎基盤研究課長、林量子放射線研究推進室長、加藤量子放射線研究推進室長補佐

オブザーバー

 石川X線自由電子レーザー計画推進本部プロジェクトリーダー

4.議事録

【雨宮主査】
 時間になりましたので、ただいまから第1回のX線自由電子レーザー計画評価作業部会を開始したいと思います。
 この作業部会の主査を務めさせていただきます東京大学の雨宮です。よろしくお願いいたします。
 本日は、このX線自由電子レーザー計画評価作業部会の第1回として皆さんにご参集いただいたわけですけれども、この作業部会では平成18年度から実施していますX線自由電子レーザー、いわゆるXFEL計画の中間評価を行うこととしております。各分野で、第一線でご活躍している皆様、大変お忙しいところ、この委員にご就任いただきましたことをありがたく思っております。ここで皆様のいろいろなご経験とか貴重なコメントを生かして活発な議論をしていただき、報告書をまとめたいと考えておりますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 では、まず、本作業部会の事務局、文科省の藤木審議官のほうからご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【藤木審議官】
 ありがとうございます。おはようございます。研究振興局担当の審議官をしております藤木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。この度、この計画評価作業部会の委員をお引き受けいただきまして、本当にありがとうございます。また、今日はお忙しい中、このように多くの委員の方にご出席いただきまして大変感謝申し上げます。X線自由電子レーザー、私ども大変大きな期待をかけております。私どもよくいろいろな財政担当の役所とか、関係の議員さんとかには、このX線自由電子レーザーというのは大変特別なレーザーで、原子レベルで物がすごくよく見える、あるいは化学反応みたいなとても速い反応が、その動きが刻々と見える、そういうものができると科学全体、ライフ、ナノ、新材料等々、あらゆる科学の進歩が非常に早く展開するというようなことを申し述べるわけです。
 それに対して期待していただくことも大変大きいわけですけれども、一方で、これに技術開発、あるいは施設整備、装置整備等にかけるお金もまた大変大きいわけで、約400億円弱、開発でかかるわけでございますので、それに対して説明責任も果たさなくてはいけないということがありますので、既に17年から18年にかけまして事前評価というのを総合科学技術会議、内閣府と文科省自身で行ったところでございます。その結果、当然、予想されたところではありますけれども、この自由電子レーザーの計画というのは、国として戦略的に取り組むべき大変重要な技術プログラムであるということで、国家基幹技術というステータスを与えられております。もちろん、そのときに合わせてそういった推進をどんどんとやっていけばいいというだけではなくて、いろいろこういうことも考えながらやってくれという、配慮事項、考慮事項もいろいろなご指摘をいただいたところであります。
 そういったことを含めて、18年度からこのプログラム、我々、開始しているわけですけれども、おおむね今まで順調に行っているのではないかと見ておりますけれども、もともと予定では3年目になりましたら、いずれにしても中間的な評価を行うという予定にしておりましたことと、この事前評価においてさまざまな観点から指摘をいただいています。それに対してプログラム側で対応しているだろうかというのを第三者の目できちっと見ていただきたいということ。そして、そろそろ完成が、まだしばらく先ではありますけれども、視野に入ってきたということもあります。欧米でもこの技術に関して大変高度な施設をつくっているという競争状態でもありますので、我が国初のすばらしい成果がこの施設から、この技術から出るように、ぜひとも私どもそうなることを期待しておりますので、施設完成後、実際どういうふうにこの施設を使っていくのかという運用についても、そろそろ視野に入れた議論をぜひしていただきたいと思っております。
 そういったこと、もろもろ含めまして、この度この作業部会をお願いしているわけですけれども、先生方、お忙しい中ではありますけれども、これだけ大きな国家資金を投入して、世界的にも大変有望な、日本が先陣を切れる技術分野である、科学領域であるというふうにも思いますので、その成果がほんとうに出てきて、基礎科学、あるいは社会や国民生活に直結する分野、応用にまでどうかつながって、社会から大変よかった、このプログラムをやってよかったという評価を最終的にしていただけるようなことにしたいと思いますので、この作業部会でそういったこれまでの計画の評価と、これからの行く末についても視野に入れて、ぜひとも活発な議論をお願いと思っているところでございます。
 時間的には、それほど長くかけていただくということではございませんけれども、それでもある程度頻度は持って、議論の場を持っていただくということになると思いますので、ご多忙な先生方ばかりですので、本当に申し訳ないとも思いますけれども、このプログラムの重要性にご容赦いただきまして、ぜひともこの作業部会でよい結果、提案を出していただきたいと思っております。私ども文科省は、いただきましたご意見を真摯に受けとめて、きちっとこれからの計画に生かしてまいりたいと考えておりますので、ぜひともよろしくお願いいたします。今日は、これから1カ月か2カ月か、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【雨宮主査】
 よろしくお願いします。どうもありがとうございました。
 今日は第1回目ということでありますので、各委員の簡単な自己紹介、お1人30秒位でお願いしたいと思います。お手元の資料1の2枚目に委員名簿というのがございますので、それに沿って自己紹介ということで進めさせていただきます。
 まず、私、主査を仰せつかっております東京大学大学院新領域創成科学研究科の雨宮と申します。専門はX線計測学で、主にX線回折散乱に携わる計測学並びにX線小角散乱を用いて、最近、主にソフトマテリアルの動的構造などを研究しております。よろしくお願いいたします。
 名簿に従って、潮田先生。

【潮田委員】
 潮田でございます。今日出られないかと思っていたら、抜け出せることになりましたので、今、茅コンファレンスをやっているものですから。私、専門はレーザースペクトロスコピーとか、表面物性、その辺をやっておりました。「おりました」になったのは、4年前、北陸先端大の学長になりまして、最近、自分で実験はしていないので、専門はと言われたときに困るのですけれども。それから、4月から物質・材料機構のフェローになりまして、近くに参りました。よろしくお願いいたします。

【雨宮主査】
 次の遠藤委員は、今日はご欠席ということです。次、KEKの神谷先生。

【神谷委員】
 高エネ研の神谷です。加速器研究施設長も兼務しております。高エネ研の加速器の面倒を見るということにはなっているのですが、だんだん実際は加速器から離れつつあって、専ら日常的には雑事してやっておりませんが、よろしくお願いいたします。

【雨宮主査】
 次のお茶大の今野委員は、今日ご欠席ということです。次、早稲田大学の竹山委員、お願いします。

【竹山委員】
 早稲田大学の先進理工学部生命科学科の竹山です。よろしくお願いします。ライフサイエンスのほうから、利用者の立場からいろいろ考えさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【田島委員】
 私は実は3月までは原子力機構の関西光科学研究所の所長をやっていまして、専門は光科学、レーザー、SPring-8のほうの物性も面倒を見たりはしておりました。4月からはフェローというのか、特別研究員ということでして、比較的気楽な立場になりまして、そういう意味では、こういう委員を引き受けてくれと言っていただいても何とかできるかなと思っております。
 あと、関係があるとすれば、関西研に来る前にはSLACに何年かおりまして、そのときにはSLACがXFELを立ち上げるときに、利用の用途が足らないというナノ・バイオ利用以外を掘り出すようにとの指摘があったので、それに耐え得るような利用形態を考えろというワークショップを立ち上げろと言われて、そういう立ち上げなどに参画したことがありましたので、もしかしたら、ここの委員会にもそういう形でお役に立てるかもしれません。

【谷口委員】
 広島大学の谷口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。広島では放射光科学研究センターを担当しておりまして、私個人の専門は、分野と申しますと、固体物理を中心とした物質科学研究ということで、とりわけ広島の場合には高分解能の光電子分光とか、あるいはスピン分解能光電子分光とか、そういう固体物理に相当特化したような分野を強力に推進するということでやっております。以前もたしかこの参考資料にあった計画の評価のところでご一緒させていただきました。今回もどうぞよろしくお願いいたします。

【徳宿委員】
 高エネルギー加速器研究機構の徳宿です。私は主に高エネルギーの実験のほうをやっていまして、しかも、日本というよりは、長くドイツのDESY研究所での電子・陽子の衝突実験というのを主にやってきました。ただ、その実験は去年で終わったので、今はCERNのほうの、今年、運転が始まろうとしています世界最高エネルギーの陽子・陽子衝突、LHC実験のほうを主にやっております。そういう意味では、XFELの加速器もまだ少し素人ですし、そこでやられる実験というのもあまりよく分かっているわけではないのですが、頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。

【家口委員】
 コベルコ科研の家口と申します。コベルコ科研といいますのは、神戸製鋼のグループ会社で、総合試験を行っている会社です。総合試験といいますと、物理解析関係、それから、化学分析、引っ張り試験とか疲労などの機械試験、CAE関係、それらを合わせたソリューションというのをお客さんの依頼によって行っている民間会社です。親会社だけではなしに、最近はそれ以外のお客さんのほうが多くなっています。そういったこともありまして、声をかけていただいたのかなと思っていますが、商売で分析、解析をやっていますので、一般的な装置を使うことが多いです。
 それと、私自身も金属材料を専門にしてまいりまして、SPring-8は一度使わせていただいて論文も書いたことがありますが、そういう金属材料ということでかなり泥臭いことをやっていましたので、皆さん方の間でどこまでついていけるか心配ですけれども、そういった目も必要ではないかということで、少しでもご協力できたらと思っています。よろしくお願いします。

【亘理委員】
 北海道大学の歯学研究科の亘理です。もともと私は金属の出身で、今、お隣の家口先生のおっしゃった内容が極めて身近に聞かせていただいたのですけれども、お医者さんの医学というのは、皆さんご存じのように薬で治療するわけですけれども、歯科というのは薬で治療するのではなくて材料で治療するという性格がありますので、それで私は歯学研究科の基礎にいるわけですが、金属の後、電子顕微鏡をやりまして、その後、歯学に移ってからは新顕微鏡と言われる原子間力顕微鏡とか、レーザー顕微鏡とか、X線顕微鏡とか、あるいはMRIとか、そういったものを使ったりしております。
 それで、放射光に関しては共同研究でチタン周囲の組織にチタンの微粉末などに、それがどこから由来して、どういう状態か、金属か酸化物かというようなことを共同研究で、高エネ研で、XAFSで分析させていただいている専門家ではございますけれども、何か貢献できればと思います。よろしくお願いします。

【雨宮主査】
 どうもありがとうございました。次に、この作業部会の趣旨と今後の議論の進め方について、林室長から簡単にご説明いただきたいと思います。

【林室長】
 事務局の量子放射線研究推進室長をしています林でございます。よろしくお願いします。
 説明の前に1点、訂正というか、間違いというか、資料5、「評価すべき項目」となっておりますけれども、これは「(案)」でございますので、審議して、ここで議論していただいて最終的に決めるということで、この段階の資料としては(案)ということでございますので、すみませんが、訂正をしておいていただければと思います。
 それで、資料1、資料2に基づきまして、本作業部会の趣旨、スケジュール、議事の公開についてご説明いたします。
 資料1、まず設置についてご説明いたしますけれども、資料1の1.のところに、X線自由電子レーザー計画は、平成17年8月に科学技術・学術審議会で実施された事前評価を踏まえ推進していると書いておりまして、参考資料4にそのときの事前評価報告書の抜粋が書いてあります。この作業部会の報告書は実は2段構成になっていまして、X線自由電子レーザー計画に対する評価と、あとはリング型放射光施設に対する検討ということで2段評価になっておりまして、1段階目のX線自由電子レーザーの評価、この報告書で20ページを開いていただけると、最終的な総合評価というものが記載されておりますけれども、この総合評価のところで、2段落目には「本作業部会としては積極的に進めるべきものであり、早期に着手すべき」という評価をいただいた上で、その2段後の4段落目に、「また、一定期間経過後には中間評価を行うべき」と指摘がされているところでございます。
 こういった点を踏まえまして、平成18年から進みまして3年目ということになりますので、一度この計画を中間評価して、今後進めていくべき点等について示してもらおうと、こういうことで科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会ナノテクノロジー・材料委員会にこの作業部会を設置して評価をするということでございます。
 それでスケジュールでございますが、大体、この施策の評価というものは来年度の概算要求に間に合うようにということでやっておりますので、8月上旬に行われますナノテク・材料委員会、この設置母体ですが、その設置母体に報告をするということを最終的な目標にして、8月上旬までに4回、5回ぐらい開いていただいて報告書をまとめていただければと思っております。
 議事の公開についてでございますが、資料2に「ナノテク・材料委員会運営規則(抄)」というものを配付しております。これは基本的には抜粋で、第4条で会議の公開ということで、委員会等の会議、会議資料は次に掲げる場合を除き公開するということになっております。また、第5条では、会議の議事録を作成して基本的にこれを公開するということになっておりますので、評価している中で、特に突っ込んだ議論とか、突っ込んだ資料で差し障りがあるもの以外については基本的に公開ということにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

【雨宮主査】
 以上、どうもありがとうございました。
 それでは、早速議題へ入っていきたいと思いますが、本日の議題は1ページ目にあります(1)から(3)、その他を含めれば4ありますが、今日は第1回ですので、まずプロジェクトの状況についてご説明いただいて、このプロジェクトの現状についてイメージを持つということになります。それが(1)のX線自由電子レーザー計画の現状についてと(2)の利用推進研究の現状についてということであります。これは合同推進本部の石川プロジェクトリーダー及び事務局から説明をいただきますが、それを踏まえて(3)の計画の評価についてということを議論していきたいと思います。どういう項目で評価するか、先ほど林室長からありました、たたき台と資料5、評価すべき項目(案)ということがありますが、これをもとにこの作業部会で評価の項目についての議論を深めていきたいと考えています。
 それでは、早速ですが、(1)のこの計画の現状について、石川プロジェクトリーダーから、これは配付資料の3に沿ってご説明いただければと思います。よろしくお願いします。

【石川プロジェクトリーダー】
 理化学研究所の石川でございます。資料3に基づいて説明させていただきます。
 X線自由電子レーザー計画の現状について、まず1枚めくっていただいて、この資料の目次を付けてございます。最初は計画の概要でございますが、まず1枚めくっていただいて2に行きます。この概要でございますけれども、今のSPring-8、ピーク軌道で10億倍上回るような高輝度のX線レーザー、ですから、コヒーレントなX線を出して、先程審議官からお話がございましたように原子レベルでの構造、あと化学反応の超高速動態・変化を瞬時に計測・分析することを可能にするようなレーザーをつくろうというのがこの計画でございまして、特徴といたしましてはX線である。
 短い波長だから細かいものが見える。非常に短いパルスである。フェムト秒だから速いものが見える。強力な光である。これはSPring-8の10億倍以上ですから、非常に薄いものが見える。質のよい光、コヒーレントであるから、これも非常にシャープな像ができるというような特徴がございます。X線自由電子レーザーのハードウエアはライナック、線形加速器に長いアンジュレータを組み合わせるというのが基本でございまして、こういうものをSPring-8に隣接してつくろうとしております。
 次のページに行きます。具体的にはSPring-8に向かってライナックが走って、アンジュレータがあって、ここに実験装置が来る。FELの光はここで使えますけれども、同時に可能性としてSPring-8の光もここに持ってきて、両方の光でいろいろなことをすることができる。一方で、ライナックから電子線をSPring-8まで持っていって、SPring-8にこのライナックでできた非常に質のいい光を回すことができるという特徴を持っています。今現在の計画では、1本のライナックから将来的には5つの異なるFELラインに電子線を導いて、5つの装置を使うようなことができる計画になっております。
 次のページに行きます。年次計画でございますけれども、平成18年に始まって5年計画で建設を行います。今、3年目を迎えたわけでございますけれども、加速器の建屋関係が今年度に終わって、ビームラインの建屋関係が今年度に始まるというようなことでございますけれども、加速器のコンポーネントは順調につくっておりまして、できたものからどんどん並べていく。平成22年には調整運転を始めて、平成22年のどこかでその光を見たいというのが今の計画でございます。平成22年までがその整備でございまして、平成22年以降は使っていくフェーズに入ってまいります。
 次に参ります。5ページは計画の実施体制でございますが、文部科学省のもとに理化学研究所とSPring-8を運営しております高輝度光科学研究センター、ここで合同、ジョイントの建設チームをつくって、それに高エネ研にいろいろ助けていただきながらつくっている。これが開発、建設の体制でございます。一方で、利用研究推進体制は、文部科学省の内局の予算で利用推進課題、利用推進協議会というのを形成して、ここで全国の先生方にいろいろなことを考えていただいているというのが現状でございます。ここまでが簡単な現状でございますが、次に現在の進捗状況をお話しいたします。
 この8GeV(ギガ電子ボルト)のX線自由電子レーザーをつくるのにあたって、小さいものをつくって、ちゃんとその技術を実証せよということでプロトタイプ機というのをつくっております。これは32分の1のスケール、250MeV(メガ電子ボルト)のライナックで全長60メートルという小さなものでございますが、レーザーの波長としては50ナノメートル近辺をターゲットにして、こういうプロトタイプ機をつくりました。このプロトタイプの中には実機で使うテクノロジーは全部入っています。このプロトタイプが50ナノメートルの真空紫外領域で発振いたしまして、このプロトタイプも、もうかなりいろいろな方にお使いいただいている現状でございます。
 このプロトタイプを使いますと、次のページでございますが、いろいろな実機のパラメータへのフィードバックができまして、特に電子ビームの規格化スライスエミッタンス、ここの値がクリティカルでございますが、我々がつくったエレクトロンガンでこれが十分達成されているということが分かりまして、そこからその必要性能、レーザーとなるための必要性能を満たすものがもうできるということは、ほぼ確実にこれは達成できると考えております。最終的なレーザー波長、ターゲットとするところは、0.6オングストローム、0.06ナノメートルでございますが、それに対して真空封止アンジュレータを使って8GeV(ギガ電子ボルト)及び7GeV(ギガ電子ボルト)でこういう値が出せないかということを今検討しているところでございます。
 次に行きます。次が建設の年次計画でございますが、これは先ほど予算計画をお見せいたしましたが、上にマシンの建物関係が大体でき上がってまいりまして、それに対して下がコンポーネント関係でございますが、コンポーネントをどんどん入れていく。据えつけ開始を2009年の3月、ここで建物ができ上がりますので、建物ができ上がった後にどんどん加速器を並べていくということを考えております。2010年の中ごろまでに並べ終わって、ここで調整を開始して、2010年中にそのビーム、光を出すという計画で今進めているわけでございます。今のところ非常に順調に進んでおりまして、オンスケジュールですべてのことが進んでおります。
 次がマシンの設計・配置、これは非常に細かい絵になりますので、お手元で見ていただきたいのですが、まず入射部がございまして、入射部で最初に1ナノセカンドのパルスを出して、それをベロスティー・バンチングという技術を用いて20ps(ピコ秒)まで縮めて、BC1、これはビーム・コンプレッサでございますが、これはシケインを使ったビーム・コンプレッサで、まず1段目で20ps(ピコ秒)を4ps(ピコ秒)にして、加速して2番目で4ps(ピコ秒)を0.4ps(ピコ秒)にして、また加速して3番目で0.4ps(ピコ秒)を0.133ps(ピコ秒)にするという、こういうバンチ圧縮を行った上で8GeV(ギガ電子ボルト)まで加速して、長いアンジュレータを通してレーザーにするというのが今の計画でございます。
 レーザー光を出した電子は、最終的に電子ビームダンプで落としてあげて、実験ホールにはレーザー光だけが行くという設計になっております。施設の全長は710メートルで、加速部が390、光源部、アンジュレータが260メートル、実験ホールが60メートルという配置になっています。
 次のページでございますが、同じ絵でございますけれども、最初にガンのところで高品質の電子ビームの生成と圧縮を行う。それを加速して、アンジュレータでレーザー光を出すわけでございます。先程も申しましたように、この全てのプロセスが、そのプロトタイプの50ナノメートルの光のところでは非常にうまく動きまして、スケーリングで8GeV(ギガ電子ボルト)、0.6オングストロームまではほぼ行くのではないかという見通しがついております。一方で、プロトタイプで、いろいろシミュレーションコードの整備が行われまして、かなり確度の高いシミュレーションコードができ上がったと考えております。
 次の12ページでございますが、これはかなりディテールの話になってしまうのですが、我々は加速管とアンジュレータはほぼでき上がったものをもうスタート時に持っていたわけですが、一番問題だったのは、この入射部でどれだけいいビームをつくるかということでございまして、これがそのプロトタイプのところでの焦点だったわけでございますが、プロトタイプでのいろいろな経験をもとに、プロトタイプでS-bandを使っていたところをL-bandにして、もう少し確実にいいビームを後ろに送れるようにしたというようなことがございまして、プロトタイプでのいろいろな経験が非常によく生かされた実機の設計になっているということが言えます。
 次はアンジュレータでございますが、アンジュレータはSPring-8で開発いたしました真空封止型アンジュレータというのを90メートルずらっと並べるわけです。もちろん、このアンジュレータの間にはモニターとか、補正のマグネットとか、いろいろなものが入るわけでございますが、とにかく90メートルのアンジュレータが並ぶ形で計画されております。
 次のページでございます。いわゆる土木工事の現状でございますけれども、加速器のトンネルが今建設中でございまして、まだ屋根はかぶっておりませんが、加速器のトンネルができ上がっております。これは最近の写真でございますが、この周りの実験室も骨組みができてきております。こういうわけでSPring-8の脇に箸箱よりももっと細いような建物が今でき上がりつつありまして、これも予定どおりに進んでおりまして、今年度の末に完成して、その後に加速器を並べていくという予定になっております。
 次は、国内外の関連機関との連携・協力ということでございますが、理研、JASRIでジョイントのプロジェクトチームをつくって、そこにKEKにいろいろと教えていただいて進んでおります。国内はこういう形で進んでおりますが、国外は韓国のPALとの協定で協力をしている。また、ヨーロッパ、アメリカで大きな計画が進んでいるわけでございますが、この三者の間で三者協力協定を平成18年に結びまして、平成19年には三者による国際シンポジウムを開催いたしました。この三者による国際シンポジウムは、今後、毎年進めていこうということで計画が進んでおります。
 次に行きます。第1回のX線自由電子レーザー3極ワークショップというのを去年の10月にやっておりますが、これを今後持ち回りで年1回やっていく。一方で、第3世代の放射光に関しましてSPring-8、APS、ESRFで似たようなことをやっているわけでございますが、第3世代の放射光の場合にはハードウエアというか、加速器の考え方、みんな同じ考え方でつくっておりますけれども、このX線自由電子レーザーの場合には加速器のつくり方、施設のつくり方が全部違う考え方でつくっておりますので、これからいかに特許を出していくかというのがポイントになってくるのだと思っております。
 また、すぐにはかれるようなものを整理しておけというご指摘がございましたので、そのシミュレーションコードとか、スペクトルの計測装置とか、こういうものをSPring-8及びプロトタイプを使って準備して、実機が出たらすぐに計測ができるようないろいろな道具について今整備を進めているところです。
 次は利用推進研究でございますが、これは次に話があると思いますが、これは内局の予算で要素技術開発が18年度から20年度まで進み、21、22年度でそれを統合していくようなプログラムで進んでおります。
 その利用研究の推進、広報・理解増進活動ということで右側に細かい字でリストが出ておりますが、いろいろなシンポジウムを開催いたしまして、また、いろいろな学会等に出かけていってご説明する、理解の増進を深めるというような活動を続けております。
 次の20ページでございますけれども、これは運転利用体制の検討でございますけれども、この施設完成後の運営、維持体制の具体的な議論に関しては、このXFEL施設が特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律における特定放射光施設に位置付けられていることを踏まえまして、このSPring-8キャンパスの運営全体を議論するSPring-8運営会議というところで検討を始めております。ここでの議論は、この利用はSPring-8の利用とはかなり違うだろうということを想定して、いろいろな制度設計を行う。
 もう一つは、このX線領域のレーザー光というのが、まだ現時点では誰も見たことがない光でございますので、最初に使っていくときには、ただ使ってくださいというだけではなくて、一緒にやっていくような、かなり相当の技術的支援が必要であろうとか、今使っているプロトタイプでの利用を踏まえて考えていく必要があるとか、こういう議論がなされております。
 次のページでございますけれども、このFELとSPring-8という2つと光の施設が播磨にできるわけでございますが、光の性質がかなり違っているので、その違う領域に使うことを、役割分担ということを今後十分に考えていく必要があるのだろうと考えています。こういうことを考えながら、あとこれからの運営体制、運営方針等を検討していくことが必要かと思っています。
 この後ろに補足の資料がついておりますが、この補足の資料については、説明は省略させていただきます。また、別紙で資料3(参考資料)というものがついてございますが、これは先程ご説明のありました評価の案に沿って、その評価案に対してこういうことをやっているというものを並べたものでございますので、後で参考にしていただければと思います。私からは以上です。

【雨宮主査】
 どうもありがとうございました。
 今のご説明に関して少し質疑等行いたいと思いますので、各委員からよろしくお願いいたします。

【潮田委員】
 これは大体どういう人が何人ぐらいでやっているのでしょうか。
 プランニングとか。建設はもちろん土建屋さんがやっているのでしょうけど、デザインとか。

【石川プロジェクトリーダー】
 開発体制というのが資料3(参考資料)の2枚目にございまして、体制としては、こういう体制でつくっています。全体の人数が、これは日々変わっているのですが、今、80人くらい。サイエンティストとエンジニア。あと、アドミニストレーターが若干入ります。

【田島委員】
 ページ29ですけれども、コストの比較がありますよね。
 この総コストというのは、日本のコストとアメリカのコストの比較になっていないのではないですか。この石川さんが比較されたコスト。アメリカの場合は人件費も全部入ったコストだと思うのですけれども、日本の場合、この400億というのは人件費とか、そういうインフラのコストは入っているのですか。

【石川センター長】
 ある程度任期制でやっております。定年制のところは入っていません。

【田島委員】
 本当のコストの比較をされるのなら、そうやってちゃんとやられるべきだし、そうじゃなければそういうコストは比較しないで、とにかく国プロとしてやっている、ということでやられればいいんだけれども、コストパフォーマンス最高とこれで言われると、本当に出してほしいです。もしそれをやられるのだったら。

【神谷委員】
 ただ、多分、直感的には人件費を入れても金額的には安いですよね。ただ、やり方が違いますから。アメリカの場合、半分、人件費ですから。日本の場合はちょっと別のマンパワー、ある程度会社のマンパワーを利用しているというところがありますので、コストの比較というのは非常に難しいところがありますね。

【大竹課長】
 これについては、理化学研究所の定年制職員はあまり割くことができないので、例えば50人ぐらい割いていたとしても、50人で1人1,000万、年間5億ですね。建設期間10年間で50億、そんなものだと思います。それを載せたとしても、ヨーロッパやアメリカよりは多分。それから、建設に必要な、今、お話があったような定員外の職員はこの中に……。

【神谷委員】
 入っている?

【大竹課長】
 はい。

【雨宮主査】
 他にご質問ございますか。

【神谷委員】
 先程プロトタイプの話があって、利用が進んでいると言っていたのですが、具体的にはどんな運転をやって、どういう利用、どの位の数のユーザーの人が使っていますか。最近も何かの記事で見たのですが、ユーザーのプロトタイプの利用は進んでいるようですが、具体的にどの位進んでいるのでしょうか。

【石川プロジェクトリーダー】
 具体的には、今、3グループがもう使っていて、使い方は、いわゆる当ててどうなるかという使い方が多いです、原子分子で。

【神谷委員】
 3グループはほとんど長期の固定ユーザー?

【石川プロジェクトリーダー】
 いえ、1週間とか2週間の単位で入れ替わっている。

【神谷委員】
 年間どの位運転しているのですか。ユーザータイム。
 実際に使っている時間。マシン調整に使っているのではなくて、実際にユーザー利用に使っている時間はどの位ですか?。

【石川プロジェクトリーダー】
 ユーザーに使っている時間は、今のところ、今年だと年間10週間あるかないか。

【神谷委員】
 平成20年度の場合ですか?

【石川センター長】
 はい。

【徳宿委員】
 このプロトタイプを使う人のユーザーのホールみたいなのは、今どこにあるのですか。そのユーザーの実験用のホールというのは、それのどこにあるのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 非常に小さい建物ができておりまして、7ページの4つ写真が並んでいる左下の小さい建物。

【大竹課長】
 大雑把にどれ位のスペースに。

【石川プロジェクトリーダー】
 100平米。12×8メートル。プロトタイプはビームライン1本ですので。

【雨宮主査】
 60メートルの加速器のエンドについているのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 最初は60メートルの加速器のシールドで終わっていたのですが、その後ろに12×8メートルの建物を新しくつくって、そこについています。

【田島委員】
 後でご説明があるのかもしれませんが、X線オプティクスはどういうふうにされているのですか、研究。X線のオプティクス。

【石川プロジェクトリーダー】
 実機ですか。

【田島委員】
 結局、こういう0.6オングストロームのX線を使うというときにX線オプティクスが必要だと思います。それについてのご説明がなかったのですが、これはどういうようにされているのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 X線のオプティクスについては、コヒーレントなX線をそのまま使うということで非常にいいものが必要になるわけです。スペックフリーの。それは今、利用推進研究の中で大阪大学の精密工学がそういう技術を持っています。研磨技術です。アトミックレベルで物を磨く技術。そこと一緒にミラーと、あと結晶の加工という開発を進めているところです。

【潮田委員】
 その関連質問ですが、いつも分からないのですが、こういう大プロジェクトをやるとき、特に国内だと思いますけれども、それの一番いい技術を集めようとするわけでしょう。ある程度広報して募集して、いいのを選んでいるのですか。どうやって決めているのかなと思って、誰がどこに、例えば今の場合、オプティクスのデベロップメントを頼むとか、そういうのはどうやって決めるのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 1つはSPring-8でやっていると、国内にある技術というのは大体見えるわけです。その見えているものの中から一番いいものを拾ってくるというのが1つのやり方です。もう一つは、利用推進研究というのは競争的資金で流しておりますから、そこに応募してくる中からいいものを拾うというのがもう一つのやり方です。その2つのルートでいいものを選んでいます。

【潮田委員】
 ポイントは、まずどうやってその情報をコミュニティに回してベストポッシブルなキャンディデートを探すか、次にもっと大事なのは、誰が選ぶかです。それはどういうふうに決めているのですか。つまり、誰がこういう技術を開発してもらうターゲットを決めているのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 その物によって変わるわけですけれども、基幹的な光源部分で、これはSPring-8の中の技術を組み合わせると、こういうものができますよということなので、かなりイクスクルーシヴというか。

【潮田委員】
 ああ、もう決まっているというか。

【石川プロジェクトリーダー】
 はい。要するにもともとがSPring-8で開発されたもの、新しいものをヨーロッパやアメリカで言われているところに持っていくと、こんなものができますよというところから始まっておりますので、そこはかなりイクスクルーシヴに決まっています。その後ろは、先ほど申しましたように2つのやり方があって、そのSPring-8の中でいろいろ技術をつくっている人たちをピックアップするのと、一般的な競争的環境の中から入ってくる2種類があるわけです。

【潮田委員】
 やはり透明性とか、そういうことがいずれ問題になると思うので、その辺のプロセスはどうやっているかというのをきちんとしておかないと、後で困るかもしれないと思い、今、それで聞いたのです。

【雨宮主査】
 多分、今のこの話は既に(3)の評価のところに、次の説明のところに。
 利用推進研究の現状の説明を聞いた上で、最後の3番目のところで討論するところに行きたいと思います。まずは現状認識ということで(2)まで説明いただいた上で、また議論に入っていきたいと思います。(2)の利用推進研究の現状について、資料に基づいて、これは林室長からよろしくお願いしたいと思います。

【林室長】
 とりあえず枠組みを文部科学省のほうで決めておりますので、その辺について資料4-1、4-2、4-3に基づいてご説明したいと思います。
 資料4-1のほうに利用推進研究の現状についてということで、これは後からご説明いたしますけれども、事前評価のほうでXFELができた後にきちんと成果が出るように、その準備のための技術開発や研究調査、そういうものをきちんとしなさいと、こういうような指摘がなされているということを踏まえまして、文部科学省、研究振興局にX線自由電子レーザー利用推進協議会を平成18年2月に設置しまして、そのもとで利用推進研究の方針・計画を定めて、それに沿って研究課題を公募・選定し、研究を推進しているという状況になっております。
 それで、利用推進研究とは何かということについては、資料4-3、これは利用推進協議会で定められた利用推進方針でございますけれども、2.の利用推進研究について(1)のところで少し書いてありますけれども、XFELの完成後に直ちに本格的な利用研究を実施し、成果を出すためには、そのために想定されるさまざまな問題点の解決に向けた研究開発を進めることが必須だと。こういった研究開発を利用推進研究と位置付けてやっていきますというようなことが書いてありまして、これに基づいてこの利用推進研究を実施しています。
 具体的な枠組みは、全体の主査を立命館大学の太田先生にお願いしまして、その下に利用推進方針を定めるPTと、具体的に研究課題選考・評価をするPTと分けております。それぞれ太田先生と、課題の選考・評価のところはKEKの下村先生にお願いしまして、分けてやっているということになっております。
 詳細については、この4-1の資料の4枚目に委員名簿がございまして、30人程度のメンバーで協議会を立ち上げてやっております。それで、利用推進方針策定PTの中は、ライフサイエンスとナノ・材料と装置側研究者という3グループに分かれておりまして、ライフサイエンスは座長を月原先生、ナノ・材料については座長を坂田先生にお願いして、今いろいろと取り組んでいるところです。そして、利用推進研究評価PTの下に四角囲いで書いてありますけれども、下村先生を主査に10人のメンバーでやっているところです。
 この中で利用推進研究をやっているわけですけれども、この2枚目に利用推進研究の年次計画と進捗状況ということで、平成18年度から新規課題を11課題、採択してやり始めたました。平成19年度にはさらに新規課題を8課題とっていまして、現在、18課題でやっている。
 これはそもそも平成23年の共用を目指して、全体で5年計画でやっておりますけれども、先程の資料4-3の3ページの(5)年次計画の考え方というところに、この5年間を前期3年と後期2年に区分して、前期は個々の要素に関する技術開発を実施し、後期はそれらの技術を統合してシステムを組み上げる、こういう期間に当てるという方針が立っておりますので、それに沿って今年の秋にこの18課題、中間評価をいたしまして課題を再構成して、また来年度から2年間やっていくと、こういうようなことになっております。
 予算的にも18課題が5課題に減るということで、今、5億5,000万かかっているのが3億3,000万位になるというような予定で組んでいるところです。
 具体的にどういう課題があるかというのは、このページの3ページに課題一覧に書いておりまして、それぞれナノの分野、ライフの分野、全体の基盤の分野というようなことでやっているところです。それで、石川先生の配っていただいた資料3の参考資料の20ページからですか、これのもう少し詳しい課題名と内容を書いてありますので、これも参考にしていただければと思いますが、今、こういう形で利用推進研究を進めていると、こういうところでございます。以上です。

【雨宮主査】
 どうもありがとうございます。
 今の林室長からのご説明に関して、ご質問等あればお願いいたします。特になければ、この現状を踏まえて、この計画を評価するという議論に入っていくわけですが、最初に林室長のほうから評価すべき項目についての案に関してご説明いただければと思います。

【林室長】
 先程冒頭にご説明したように、この中間評価、まずは今までの事前評価で指摘されている事項について、どういうふうに対応しているかということが主題でもあるということでございましたので、これまでの事前評価で言われている点をまとめて評価すべき項目というものをつくっております。
 それで、参考にしました事前評価につきましては、参考資料1と参考資料2で書いておりますけれども、参考資料1のほう、これは先程少しご紹介しました科学技術・学術審議会で行われた評価の概要となっておりまして、この評価のところでは早期に着手すべきというふうになりつつも、指摘事項のところで最初の○に書いてありますように、計画の実行にあたっては、本中間取りまとめに指摘された事項を適切に反映させることが必要であるということ、特に利用研究の推進体制の確立が重要であるという指摘を受けている。
 2つ飛びまして3番目の○につきましては、本計画は大規模予算を伴う計画であるため、その推進に当たっては、計画的かつ効率的な仕組みが必要である。4番目の○では国民に対する説明責任、こういった大きな指摘事項があった上で、それぞれの文章でいろいろな指摘がされています。それをピックアップしたものを別添に付けてありますけれども、大雑把に言うと、これ位の10個のことが評価の本文の中で指摘がされています。
 簡単にご紹介しますと、最初の○が産業界の連携の観点、2番目の○が、これは運用体制のところにありますけれども、効率的な利用体制や利用計画の運用の話。そして、3番目の○が開発に関しての国内の連携・協力。4番目の○が利用に対する技術開発、要は利用推進研究について、国内外の広範な研究者の参加できる枠組みが必要であると。また、5番目の○としましては、SPring-8やプロトタイプ機をきちんと使って、完成直後からきちんとできるようにしなさいというような話。6番目といたしましては、国内外の関係機関との連携・協力。7番目といたしましても、これは利用推進研究にあたっての有機的かつ強力な推進体制の構築の話。8番目に行きますと、これも運用体制の話になりますけれども、きちんと共用するために利用課題を広く募集し、適切な課題選定。その次としましては、これも運用段階ですけれども、JASRIの有するSPring-8の経験やノウハウなどを活用し、より効率的な運営体制の構築。最後は一般論になりますけれども、放射光や中性施設と相互補完的な役割を担っていくことが求められる。こういうようなことが概ねこの事前評価で指摘をされているところでございます。
 それで、参考資料2といたしましては、これは総合科学技術会議からの指摘事項ということで、我々、科学技術・学術審議会で評価をした後、これは300億円を超える国家的に重要な研究開発ということで、総合科学技術会議でも評価をしております。結論といたしましては、実施することが適当ということにはなっているのですが、指摘事項といたしまして、下に15点位書いてあります。
 これは大雑把に言いますと、指摘事項1.で社会・経済への波及効果についてきちんと説明していくというような事項。2.といたしましては、プロトタイプ機の役割についてきちんとしていくというような事項。3.につきましては、利用研究を推進していくべきというような事項。4.といたしましては、建設・運営に当たっての組織体制に関する事項というようなものが主に評価の指摘事項として指摘されております。
 その後、1年経たちまして、この評価について総合科学技術会議がフォローアップをしまして、これについては概ね指摘事項に沿った対応が図られていると、1年目の段階では判断がされているところで、さらに付言的に以下の指摘ということで、波及効果、国民への説明や利用研究の大幅な強化というようなことが指摘されています。
 この資料の3枚目には、これは毎年やられていますが、総合科学技術会議で、いわゆるS、A、B、C付けと我々が言っているものでの指摘事項です。これも大体繰り返しになりますけれども、利用研究としては最もインパクトがあるのをちゃんと調査利用研究しておくべきだとか、企業との連携を図っていくべきだとか、あと情報発信をしていくべきだ、そういうようなことが書かれているところです。
 こういうようなこれまでの評価で指摘された事項をおまとめいたしまして、資料5の評価すべき案というものをつくっております。これは今までいろいろな観点から指摘がされておりますが、大きく5つに分けておりまして、開発に関するもの、利用研究に関するもの、情報発信に関するもの、運用に関するもの、その他というような大きな5つにまとめておりまして、開発の段階では、最初、これは今までの事前評価とはあまり関係なく、中間評価で一般論を書いてありますけれども、計画の進捗の評価と、特に計画外事象の発生が起きたときの対応の適否なども考慮しながら進捗状況を評価するというような中間評価の一般論を書いた上で、あとは事前評価でいただいたところをまとめて項目にしております。
 それぞれ簡単にご紹介いたしますけれども、開発については2番目の○、計画的かつ効率的な仕組みが構築されているか。もしくは国内外の関連研究機関との連携・協力が図られているか。4番目といたしましては、X線自由電子レーザーの特性をはかるためのシステムを構築しているか。こういうようなことが開発段階のこととして言われていることをまとめたものです。
 利用研究に関しましては5つにまとめておりますけれども、1番目、これは一般論でしっかりと利用研究をしているかというような観点。2番目としましては、その利用研究を進めるにあたってきちんと幅広い分野への対応とか、研究機関の連携体制もしくは機動的に参加できる枠組み、そういうものが構築されているかというような観点。3番目の○は課題です。インパクトのある研究や早期に具体的な成果が見込まれる課題を選定しているかというような観点とか、SPring-8の相乗効果を考えているかというような課題に関する観点。4番目はやり方ですけれども、SPring-8やプロトタイプ機をきちんと使ってやっていますかというような話。5番目は企業との連携の話、そういうものを利用研究の指摘事項として5つにまとめております。
 3番目といたしまして、情報発信でございますけれども、これは大きく3つにまとめていますけれども、一般的に国民にX線自由電子レーザーそのものの意義、目的、さらには予想される成果というのをきちんと発信していますかというような話。2番目としましては、産業界に向けてもしっかりとやっていますかと。3番目としましては、若者の興味・関心を引くようなこともしていますかというようなことをまとめております。
 そして、4番目として運用段階ということになりますけれども、最初に、これができた暁には世界をリードするような研究を推進できるよう、その効率的な利用体制、弾力的な利用計画の運用、こういうものを検討しています。これは運用体制でございますので、今の段階では検討ということになろうかと思いますので、項目としては検討しているかということにしております。
 2番目としましては、共用施設として広く募集し、適切な課題選定を行うというようなことを検討しているか。
 3番目としましては、今までのJASRIのノウハウを活用した効率的な運営やSPring-8とXFELの役割を勘案した相乗効果のある運用を検討しているか。
 4番目としては、施設側の研究者と利用研究者が協力する体制の構築を検討しているか。
 5番目としては、海外との共同研究をやっているか。
 最後にその他で、放射光や中性子、X線自由電子レーザーの相互利用のための枠組み検討をしている。こういうような項目を今までの事前評価等々を踏まえて、今、案としてつくりましたので、ご意見等いただければと思います。

【雨宮主査】
 どうもありがとうございました。
 今、非常に密度高く、これまでのことをまとめていただきましたが、基本的にはこの資料5、評価すべき項目(案)ということですが、今までの事前評価、それから、総合科学技術会議からの指摘事項とか、今までの履歴を考えますと、今ご説明のあったこの資料5の4の点、開発、利用研究、情報発信、運用、その他、その他を入れれば5点ですが、こういう視点で評価していくというのが非常にまとまった1つのくくりであるかと思っております。さらに○で、各項目の中でどういう視点でそれを評価するかということも、この資料5には非常にコンパクトにまとめられているかと私は思っておりますので、もちろんこれ以外の視点ということについても、ここで議論すべきかとは思いますが、今日は、この開発利用研究、この順番に従ってそれぞれこれから議論を進めていければと思っています。
 この資料5の(開発)というところ、ここに○が4つ書かれていますが、先程石川プロジェクトリーダーから説明がありましたけれども、このような視点もしくはこれ以外の視点に基づいてご質問とか、ご意見等をいただくという形で。

【大竹課長】
 大竹でございますが、国家基幹技術ということで進めてまいりました。それで、オンスケジュールでいくことが重要と我々は思っております。それで、各国との比較も出てまいりました。あと、もう一つ入れておいてほしいのはフリクエンシーです。繰り返し度合い、ドイツができると、相当ドイツのFELは強く、何度も取り出せるからいろいろな実験ができる。さらに進むだろうと思っているので、そういうものとの関係で、ユーザーからの期待も含めて、そういうものにちゃんとやるべきかどうかということをご判断いただく。
 それから、利用研究のところは非常に深刻な問題でして、日本ではハードウエアはできるけれども、ソフトウエアは後からついてくるという議論があって、私自身は昨年と今年の3月にスタンフォードとDESYを見せていただいて、双方、やはりユーザーの開拓については相当努力している。理化学研究所も今、建設が軌道に乗っておりますので非常に熱心にその方向をやっているのですが、さらにどう進めたらいいかということについてやはりアドバイスをいただく。それは次の情報発信のところに入ってくると思います。
 その上で、運用の話は検討しているということだということなので、そこについてはユーザーに、特に加速器とバイオとか材料の方というのは、スモールサイエンス、ビッグサイエンスですから、あまりコミュニケーションがないというか、カルチャーも違うので、そういうところを理解した上でどういうところに留意すべきか。SPring-8での、そういう意味での経験はあると思っていますが、そういうところをアドバイスいただけるとありがたい。それに基づきまして、これもまだ予算はあと半分弱位を手当てしなければならないわけですから、その重要性や何かを我々もこの評価をもとにやっていくという、その辺のところをぜひ適切なアドバイスをいただきたいと思います。

【雨宮主査】
 了解いたしました。まずこの開発のことについてご質疑、ご意見ということで議論を進めていきたいと思います。よろしくお願いします。

【神谷委員】
 少しずれるかもしれませんけれども、先程石川さんからもご説明がありましたけれども、このXFELのエンドからビームをSPring-8に入れる話がありますが、意義というのがいまいち見えないのですが、今あるリニアックは要らなくなってしまうのですか。

【石川プロジェクトリーダー】
 要らなくなってしまうわけではなくて、ローエミッタンスビームが入るわけですから、今のSPring-8よりもっとローエミッタンス運転に向かえるだろうと思います。

【神谷委員】
 そうすると要らないわけですよね、今のリニアック。入射器もシンクロトロンも要らなくなってしまうのでは?

【石川プロジェクトリーダー】
 ただ、いろいろなモードがあるので、皆さんローエミッタンスがいいわけではなくて、ハイフラックスをやりたい人もいるので、全く要らなくなってしまうかというと、そうではないのだと思います。もちろんSPring-8に打っているときにはFELには行かないわけです。
 SPring-8は今トップアップオペレーションをやっていますから、最初にインジェクトするときだけではないのです。

【神谷委員】
 それは一遍定常運転に入ってしまえば、ビームは、ほんのちょっとだけ入れればいいと思いますが。

【石川プロジェクトリーダー】
 そこはかなり違う観点のような。また別途議論をするところのような気がしますが。

【雨宮主査】
 FELはそういう目的にも使えるというプラスアルファの話だと思います。

【神谷委員】
 分かりました。ただ、KEKの立場で申し上げれば、予算的に厳しい状況にあるので、もらえるものがあれば、何でももらってこようと思っていますので、もし入射器が不要になるのであれば、もらいたいと思っています。

【家口委員】
 この評価というのは、8月の上旬位にこのメンバーで最終的な判断をするわけですよね。その中で、今日の時点でどれだけ議論して、どれだけ決めないといけなくて、あと何回かある委員会でどういう議論をしていくのかという、そういうスケジュールを。

【雨宮主査】
 全体のスケジュールですね。私は、まずこの資料5で見たときに、まず現実的に開発が行われていて、それに対して適切なコメントを加える。これは大変重要だと思っています。さらに重要なことは、2番目の利用研究というところ、先程大竹課長からもありましたけれども、ここのところをきっちりと必要なコメント、アドバイスをするということになるかと思います。ここは多分、きょうは頭出し程度で、次回以降の主な議論であると。
 情報発信については、これも利用研究とは関係ありますけれども、どういう仕組みをつくって情報発信しているかということをきっちりと認識するという、運用に関しては先の話なので、ただ、できた時点にどういう視点で運用をやるべしというようなことは、やはり今からコメントしておくことはあるかと思いますが、基本的には、今日はこの開発のところと、それから、利用研究のところの議論の頭出しぐらいという形で進めていくことになるのかと考えていますが、これはどういう観点で進めるかということもここで議論すべきなのですが、一応、私は、資料5のここの項目というのは非常に整理されているので、これに沿って考え、これをたたき台にしてというふうには思っています。
 一応、8月の上旬までに四、五回というハイピッチで進みます。今日は第1回目ですから、あと三、四回ということですので、それを踏まえた上で、どういう形で評価しようかということをまた皆さんからもご意見をいただきたい。

【潮田委員】
 こういう議論をするとき、もうプロダクトは何を出さなければいけないか分かっていますから、毎回議論の構造ですか、ストラクチャリングをしていかないと進まないのでは。

【雨宮主査】
 そういう意味では、今日評価すべき項目がこれで観点として出尽くしているのかどうか、それと観点の重い軽いというのがあるわけです。この項目は少し重くしようかとか、ここは軽くてもいいのではないか、そういうような形で、1回目ということもありますので、全体の議論を鳥瞰した上で少しストラクチャーをつくって、それから細かな議論に入っていくという形にするのは必要かと思っています。

【谷口委員】
 先程開発から順番にということだったですけれども、後の利用研究にも両方に関係すると思いますが、まだ始まったばかりで利用者も流動的で、フェーズ1にあると思って、どんどん生き物のように動いていくかもしれない。だけど、現状における利用者の規模とか、少しご説明がありました。そういう人たちが一体全体利用者の立場から、ここに何を期待しているのか、そういうのがある程度見えてきている。これをずっと読みますと、利用者と違う、その筋の一部のプロの人が、こういうことができているのか、ああいうことができているのかと、この経験をもとに非常にうまく集約されると思いますが、しかし、その前に利用者がいなかったら話にならない。
 そういうときに、現在は非常に流動的だとは思いますで、利用者が例えば開発においてどんなことを期待して、現状においてどんなことを期待しているか。あるいは利用研究で、これもどんどん発展していくわけだから、今はそんな最終的なものを、完全版はないと思うのですが、現段階においてどんなことを期待しているのかなと。そういうことに対して、項目について評価していく中で適切にそういうものを積み上げて、あるいは満たしているというような、何に対しての評価という視点、先程課長からも利用者からの期待、なんていう言葉が出ましたけれども、おそらくそういうものに現状においても十分応えているかどうかとか、そういうような視点が少し必要ではないかと思います。

【雨宮主査】
 そういう意味では、もう少し情報量が必要だということなのでしょうかね。

【谷口委員】
 やっている中で足らないところがあれば、現在、どこら辺まで進んでいるだとか、そういう議論になるのではないかとは思いますが、課長の話を聞いていて、確かにそうだなと私も思いました。

【田島委員】
 それから、やり方についてですけれども、私、海外のこういう諮問委員会とか評価委員会もよくやりますけれども、日本と一番違うのは、委員の中でメールのリストをつくって細かい議論やそうではない議論を、要するにここでは四、五回しか集められないわけですから、それを煮詰めていくという作業をここに来てやろうとすると無理がある。それをやってしまうと、結局、お題目程度になってしまう。
 だから、それを乗り越えようとすると、委員の間で、ここの会議も非常に大事ですが、それ以外で意見交換できるような、メールというのがありますから、そういうメールのバンクをつくって意見を交換して、そこでメモをつくり上げていくというのが、これは海外のスタンダードだと思いますが、それをやられたらどうかと。それが1つです。
 もう1つは、項目の中に戦略的な項目と技術的な項目が混じっていると思います。これは性質が違うのですね。だから、技術的な項目については、今、プロジェクトをやってられる方とか、利用研究に乗り出している方とか、ポテンシャルとして乗り出される方に具体的、技術的なことを含めてやるということは大事です。それと、戦略的なことというのは、かなりそれとはまた違うと思います。だから、そこをそういう戦略な、要するにSPring-8の延長ではないわけです。その辺の認識を戦略的に考えないと、適切な評価にならないのではないか。そこを整理というか、戦略的な議論はやらなければいけないのではないかと。

【雨宮主査】
 そうですね。どの項目についても技術的、戦略的な2つの視点があるのかなとは思います。そういう視点はバランスを取りながら進めていきたいと思います。
 他に議論の進め方で、特にこの段階であれば。

【神谷委員】
 先程潮田先生からありましたけれども、人員体制のことも、もう少し詳しい表を出していただくのと、今後の運用フェーズに入っていったときにも、多分、これはやはりまだ相当開発が必要であり、運用に入ったら装置側は全部オーケーということには決してならないと思います。多分、SPring-8よりもっといろいろとやらないといけないことがあると思うので、そこら辺の運用体制というか、要するにマンパワーをどう考えているのかを示して頂きたい。もう1つは、ここで委員会に出せる話なのかどうか分からないですけれども、もう少し予算プロファイルもイメージが分かるようなものを出していただけないか。また、計画外事象の発生にあたるのかどうかわかりませんが、こういう大体こういう大きいプロジェクトでは往々にして予算がオーバーランことがあるわけですけれども、そういうのが、計画外事象の発生になっているのかどうか知らないですけれども、そういうのも少し示していただけたらと思います。

【潮田委員】
 それと似た話なのですけれども、例えば開発のところで、トップクラスの研究者を擁する大学等の関連機関やすぐれた機器メーカーなどの連携・協力が図られているかというのを評価するためには、その協力しているというか、参画している大学なり、研究室なり、企業なりのリストといったものが必要です。その辺、まだ今日これからあるのでしょうけれども、必要なデータをみんなでメールでもいいから、このデータを出してくださいというリストをつくりませんか。

【雨宮主査】
 そうですね。今のお話を聞いていますと、いろいろ評価したいのだけれども、まだその評価に足る情報が十分に……。

【潮田委員】
 全体像を掴まないといけないので、予算とか、金、人、期間。

【雨宮主査】
 そういう意味では、今日は今後、次回に向けてどういう情報を追加で必要とするかということですね。そこはまた次回に向けて重要なことだと思いますので、それプラスどういう視点をさらにこれに加えるかということですが、そういう意味では、予算に対する情報、開発体制に対する情報をもう少し補足すべきだと。それからあと、谷口委員からは利用者が何を期待しているか、利用者のそういうところの情報ももう少し欲しいと。

【谷口委員】
 現状でですね。どこまで推進協議会と議論されているのかということです。もっと広い意味では、このプロジェクト、進行中だけれども、どういうところを対象にしているかという話に行き着くと思いますが、この範囲でのところを対象として評価するのだという、その範囲に関係してくるのではないかと思います。これを見ると、これは随分、産業界まで全部入っていますけれども、産業界のどういう部分なのかとか、例えばこれは絶対に全国民ではないわけで、そのある部分を対象としているわけで、対象がはっきりすれば、というか、しないと何かミスマッチが起こっても困るということですね。それはこれの計画段階における、こういう国家プロジェクトとして進めるときの理念とか、そういうところから評価、評価と言っても、どういうところを対象に評価する、相手のところですね。評価の範囲ですね。

【雨宮主査】
 利用研究の話ではなくてですね。今の話は、評価の範囲。

【谷口委員】
 そもそもこのXFELの評価といったときに、どの範囲のものを対象として評価をするのか。例えばそれは開発で言えばどんな分野が範囲になるのかとか、今度、この利用研究といった場合、非常に幅が出てきますけれども、そういうところである程度、際限なくということにはならないと思います、現段階で。だから、ある範囲でこういうところを対象に、そういう人たちがどんなことを考えているとか、期待しているとか、そういうことを想定して、この利用研究でこういうふうに整理されていますけれども、こういうものがどこまで検討され煮詰められているかとかです。

【雨宮主査】
 まず、開発に関する評価の範囲というのは、今、このプロトタイプの進捗状況で、実機に向けてやるという段階で必要なコメントが何かということ。
 所期の目標でどういう性能を出すかということが明確になっているわけですから、そのターゲットにちゃんとタイムに行くためには、どういうことをすべきかという評価だと思います。私はそこで割りと整理しやすいと思っていますが、利用研究に関しては、何か利用研究の幅が広過ぎて、どれに絞らなければいけないかというようなカテゴリーでは今回なくて、むしろこれに、この開発に見合った、本当にインパクトのある利用研究をこれから進めていくためには、どういう仕組みが必要だし、どういう情報発信が必要で、どういう運用が必要かということなので、むしろそんなに幅が広がることを心配しなくてもいいのではないかと思っています。

【谷口委員】
 私の印象は、この利用推進協議会の議論の少し詳細が出てくれば、おのずと見えてくるかなと思って話しています。将来、大きい方向に行くのでしょうけれども、現段階はまだ始まったばかりで、フェーズ1だとすると非常に流動性が高い。けれども、少なくともこの利用推進協議会でどういう範囲のことを想定して、どういうふうな議論がなされているのか、その辺で決まってくるのかなと思っています。

【林室長】
 その辺はまた次回。

【雨宮主査】
 ええ、その辺、資料を少し、情報を。

【林室長】
 はい。必要があれば主査を頼んでいる、太田先生とか下村先生に参加していただくというのもあるのではないかと思っています。

【潮田委員】
 それから、プロトタイプはある程度みんな使って見ているわけで、その人たちからの意見というのもかなり大事なのではないかなと思いまして、使いやすいとか、注文ですね。プロトタイプを使ってみての注文というようなこともかなり大事ではないでしょうか。

【田島委員】
 戦略的なことで、先程戦略も大事と申し上げたので申し上げると、X線FELの場合は、今までのいわゆる第3世代までの放射光とかなり違うと思います。もっと極端に言えば、決定的に違うと言ってもいいぐらいだと思います。だから、そこのところが、その本質は何かというところをここで議論するのか、あるいは別途議論して、それをここに反映するのか、そこは主査にお任せすればいいと思いますが、だから、そこが決定的に違うよというところの認識をある程度して、その決定的に違うところをいかに利用に繋げるかというふうにしないと、漫然とした評価になりかねない。

【潮田委員】
 何が決定的に違いますか。

【田島委員】
 いろいろな言い方がありますが、まずコヒーレントな光だし、強度が非常に高い。レーザーです。X線領域のレーザー。それを今度は放射光として使うと思っている方もいっぱいおられると思いますが、これはそういう意味では、かなり使い勝手が悪い。だけど、新しい質の光なので全く違うやり方ができる。全く違うやり方が何なのかということを掘り出さないと……。
 だから、それは私もSLACでそういうチャージを受けて、それに対して若干の回答を出したりしたのですけれども、例えばここにX線アストロノミーの方はおられないわけです。X線のアストロノミーというのはものすごく奥行きの深い学問です。だから、そういうことと、この装置が絡まり合うのかどうか。私は絡まり合うのだと思っていますが、そういうふうな議論とか、例えば。
 だから、それは今までの放射光ではX線天文学に貢献するなんていうことは全くなかったし、多分、あまりないです。だけど、こういう装置はもしかしたらあるかもしれない。例えばです。だから、そういった全く新しい切り口というのを見るためには、この装置が、どこがどう決定的に違って、どこがコモンだという、そういう戦略的な見方をしないと、適切な利用方法が浮かび上がってこないのではないかというのを私は心配しています。

【林室長】
 多分、今の田島委員の意見に対して、今の利用推進研究の体制は、どちらかというと放射光ベースで、いい放射光ができた。それを使うときにどうしようかというベースで考えている部分が大きいのではと思ってはいます。ただ、これはこれで評価していただいた上で、今、先生がおっしゃられたような可能性を指摘してもらって、多分、それをまとめ上げるには、もう少しいろいろな専門家を呼んで議論しないとまとまらないので、この評価部会だけではなかなか難しいかなと思います。それは我々なり、もしくは理研なりに宿題として出してもらって、もっと幅広い利用の方策を専門的にまとめるというようなことを出してもらったほうがいいのかなという感じはしますが、そこは何かいろいろな指摘は、我々が分からないいろいろな可能性はあると思うので、そこの可能性をいろいろ指摘していただいたほうがいいと思います。

【亘理委員】
 その可能性のことで、少し具体的ですけれども、こういった装置が、まずコアが発信部とオプティクス、その次にその利用としてアカデミックな部分が多いと思いますが、その先に産業界とか、実業界とか、医学とか、もう少し泥臭い、そういったものに使えるのかどうかというのが、今、よく分からないけれども、やってみる価値があると思います。もしそういった産業界とか、医学とか、そういった方面へ使えるということになれば、かなりそれだけのお金を投じる価値もあるし、意義もあるかなと思いますが、そういったことは大分先になると思いますが、考えているのかということ。
 それから、例えば産業界のユーザーをルーチンに、この装置で使うかどうか分かりませんけれども、ルーチンに受け入れてお金を取るとか、そういうことは文科省だから少し違うかもしれませんけれども、考えられるのかとか、それ以前に大学共同利用とか、当然あるのでしょうけれども、その辺はどうなのでしょう。

【石川プロジェクトリーダー】
 SPring-8では、もう既にやっていることですが、実はこれの始まる前に製薬協と、薬屋さんたちのコンソーシアムがタンパク1分子で、もしその構造が決まったら、薬をつくる上では大変なことになるということで、皆さんから、そういうことができるのだったらぜひやりなさいというお手紙が文部科学省に行っていると。

【亘理委員】
 あまりオープンに使えないというような意見も聞いたりもしますが。

【藤木審議官】
 産業界にぜひ利用してもらいたいというのは、そういう大きな政策を持っています。ただ、こういう国家基幹技術とか、各大学で設置している先端的な研究装置も概ねそうですけれども、産業界の方々からするとなかなか高度過ぎて、どう産業界として使っていいかなかなか分からないという部分が、今日、先生、おられますけれども、そういう方が結構おられて、ただ、使ってみると、「あ、結構、ポテンシャルあるじゃないか」と気付かれる方も結構多いということで、よく我々がこういう先端装置について、できるだけ共用を産業界も含めてやっていこうという、今、大方針を持っていますけれども、そのときに例えばお試し利用とか、トライアルユースとか言っていますが、あるいはもっと産業界が使う部分については、施設保有者側に対してその運転経費は別途別枠で措置するとか、そういういろいろな産業界の方が使いやすいような、いろいろな制度をいろいろ試しています。SPring-8も、最初、非常に使いにくいという話があったのは事実ですけれども、それは徐々に改善されてきていて、今たしか産業界の利用が全体で十数パーセント……。

【林室長】
 20パーセントです。

【藤木審議官】
 2割位が産業界の方が使っていただけるようになっていて、かなりの時間を、今、年間大体5,000時間位ですから、1,000時間分位産業界の方が使っているという感じになってきていますから、このXFELも、多分、今の時点では非常に期待が大きいと思うのですが、一体どんな分野で使うのかというのは、産業界の方は、率直に言って、使い道をこうしようということを考えて計画を持っておられる方はまだ非常に少ないと思います。少ないけれども、ただ、こういう高度施設はみんなそんな状態なので、10年前はSPring-8もまさにそういう状態だったと思います。だけど、そういう意識を持って産業界の方に使っていただくという制度をいろいろつくっていく、工夫していく中で増えてきたと思います。
 だから、このXFELも産業界の方に関心を持っていただくようなシステムをビルトインしていく、制度として運用段階でビルトインしていくというのは大いに考えられることですし、その前に先ほどの利用推進協議会みたいなところでどういう使われ方が望ましいのかみたいなことをじっくり討論し合っていただくということもまた必要かと思いますので、亘理先生のお話からすると、産業界に対する配慮は、文科省は、最近省庁の枠はほとんどありませんから、文科省も産業界に対して非常にポジティブに今考えていますから、産業界との連携は文科省の所掌でないとは全く考えていないので、そこを大いに議論していただいて結構かと思っております。こういうシステムが必要だというご提言があれば、それをぜひここでも出していただければと思っています。

【家口委員】
 産業界ということでコメントさせていただきますけれども、私も先程言いましたように、実際SPring-8を使う機会がありまして、やはり非常に新しい、従来の設備ではできないような分析ができて、それをもとに論文なども書かせていただきました。使えるきっかけとなったのは、お金の支援です。あるいは幾ら窓口は開いていても、その時間を産業界が自分たちのお金だけで買えますかとなると、それは到底無理ですから、何かそこのあたりでお試しができるような仕組みというのを今まで以上に考えてほしいということを思います。
 それから、これに関しては、私個人の意見としては、全く新しいことで、先程田島先生も何かコンセプト自体が違うと言われましたから、それが本当に何かということをもっと、今でも議論されているのでしょうけれども、明確にしていただいて、この利用推進研究課題というのが本当にそれに合っているのかと、そのあたりの議論を我々のほうできっちりしないといけないのかなと思います。そういうのが、新しいことが出てきたら、それが直接ではないかもしれないけれども、間接的に産業界に役立つようなことが出てくるのではないかと私は楽観的に見ています。

【雨宮主査】
 分かりました。今後議論というか、評価を進めていく上で重要になることは、このFELのプロジェクトが実は放射光の延長でないということがすごく重要だし、難しいところですね。第2世代が第3世代になって、第2世代の利用からどうやってエクスタポレートできるか、こういうふうになったらわりと経験に基づいて物が言えるので楽なのですが、さっき田島委員からあったように質が違うと。光が出てみて、その光が出てみて初めて分かってくることもあるわけで、まだ本当に未知なことをやろうとしている。だから、そういうときのエバリュエーションというのは非常に難しい。楽観的過ぎてもだめだし、悲観的なことをやっても何もこういうことはできない。
 そういう意味で、非常に評価する立場も難しいかと思っています。やはり私としては、これは走り出した計画の中間評価ですから、私は走り出したときにどういう問題が指摘されていたかということをしっかりともう一度確認した上で、さらにこの時点で付け加えるべきことをきっちりと伝えるということで、後ろからポンと背をたたくというか、もっと叱咤激励するという形の進め方になるのかと思います。そこでは忌憚のない意見も言うべきだと思っています。どうも今日の議論を見ていて、一通りその説明をいただいたのですが、きっちり評価をするという上では、まだ情報が足りない。
 もしくはこの今日いただいた情報をもう一度じっくり見るという時間も我々にとって必要であるということなので、結果論なのですが、例えば今日のこういう机上配付のものもあらかじめいただいておけば、予習できた委員ももう少しいるかもしれないということもありますので、次回に向けては、今日いただいた資料以外で、補足資料として何が必要かということについて少し、今、この会に出していただくということと、あと議論の進め方なのですが、やはり3回、4回、これから集まっても、それだけでは密度の高い議論は必ずしもできない可能性があるので、メール審議をやるか、確かに外国などですと1泊2日で集中的にやる。
 我々、ここから出ると、いろいろなことが出てきますので、次にまた思い出すというような作業が果たしていいのかとか、いろいろな考え方があると思いますが、文科省のファシリティーの事情もありますから、こんなところで寝泊まりされたのでは迷惑だし、その辺、どういう形で進めるか、なるべく効率よくやるためにはどうすればいいか、まず必要な情報は出していただくのですが、後ろが8月の上旬ということで、トータルで4、5回というのも、まだ詰められていないスケジュールなのですが、今後のスケジュールについて、多分、皆様お忙しいので、回数が多ければ逆に全員が集まる機会が少なくなるということなので、回数を減らしてでも少し1回を長くするかとか、場合によったら半日のことを、あと1、2回、1回ということはないけれども、2回ぐらいするかとか、そんな感じもあり得るかと思うのですが、皆さん委員の意見と、あと文科省側からの縛りと、ちょっとすり合わせたい。

【林室長】
 どこかで合宿すると言われると困るのですけれども、1日長くやる分には、先生方の体力と場所次第と思います。
 私の経験だと、昔、生命倫理の会合を1日議論したという経験もありますので、できない話ではないですけれども。予定が合うときがあれば、1日と言わず3時間とか4時間とか、そういうふうに少し長めにやるというのは現実的だと思います。

【潮田委員】
 予定もさることながら、現場でやっている人のヒアリングというのがかなり大事だと思います。使ってみた人の意見と、それから、現場でやっている人のというのは、また完全に表に出てくる報告と違う場合もあるわけです。その辺が、本当のところを把握するためには大事じゃないかと思いますが、ヒアリングをやるのは難しいか。

【雨宮主査】
 いや、必要な情報の一環ですよね。
 それもどっちも情報かと思います。そういう意味では、利用者という形でしたら、推進委員会の太田主査には来ていただくということが必要かなという気はします。それからあと、具体的に現場の人ということが出ましたけれども……。

【潮田委員】
 どの位ですか。具体的に誰がいるのか分からない。

【林室長】
 石川センター長が、現場のプロジェクトリーダーですけれども。

【石川プロジェクトリーダー】
 利用推進研究の実際にお使いになっている、例えば山内さんとか、あのあたりの先生に来ていただくと、いろいろなことが分かる。
 先程の田島先生の天文のご指摘でございますけれども、この24ページを見ていただくと、実は牧島先生からX線天文でやるというご指摘があります。
 要するにハリーエキサイテッドステートですか、天体にあるようなものができるはずだというご指摘があって、そういうことをやっております。SPring-8が天文に全く関係ないかというと、実はSPring-8はJAXA(ジャクサ)と一緒にロケットに積む望遠鏡の開発をやっておりまして、全く関係がないわけではございません。

【雨宮主査】
 次回までに必要な情報もしくはどういう人からも情報を聞きたいかということについて、今、出していただければと思います。

【徳宿委員】
 開発と利用研究というのがパッと分かれていますけれども、これはやはり、これまで見たことのないような光なので、その間がものすごく大事です。それから、先程からも出ているように、ビームラインのミラーとかの開発もあるだろうし、タンパク質をポトッと落としてワンショットで三次元解析が見えると言っているけれども、その二次元のディテクターが果たしてあるのかとか、そういうところの利用を、実際に物理をやる利用だけではなくて、ビームライン及び測定器の開発というのが、この項目の中だと、この開発利用研究のどっちに入るのか僕にはあまりよく分かっていないというのがまずちょっと違和感を持ったのと、それに対してこのX線レーザー利用推進協議会の資料4-3で、別紙1のところに共通基盤技術をやらなくてはいけないと書いてあって、具体例がワーッと書いてあります。
 これは、非常に重要で、ビームライン、あるいは測定器で、これがなくては多分実験ができないということなのだろうと思いますが、これが今の枠組みだと、この利用研究のほうでやられています。かつ、ここの今の採択の11個、今見ただけなのでよく分からないのですけれども、この開発、これだけ要ると書いてあるけれども、本当にこれだけ開発できているのかというのは、多分、重要な評価のポイントで、先程からの話を聞いていても、ここはしっかりしなくてはだめなところなのではないかなと思います。そういう意味では、SPring-8だけではなくて、きっとDESYでもそんなことを、多分、そういう測定器、世界のどこにもないと思うので、SLACでもDESYでも苦労していることなのだと思いますが、この基盤技術でどんなものがなくてはいけなくて、それに対してどういう協議会の中、あるいは外でどういうところまで見通しがあるのかみたいなのが出してもらえると、評価をするのはやりやすいのではないかと思います。非常に難しいと思いますが。

【潮田委員】
 要素技術のリストというのを出してもらって、その要素技術ごとにどこまで行っていて、スペックは何で、最終スペックは何で、今どこまで行っているというのを要素技術のリストをもらえば、そのことでしょう。

【徳宿委員】
 そうです。ただ、それをこのユーザーのコミュニティでやろうとしているのか、あるいはXFELの中でやろうとしているのか、両方なのか、あるいは他のDESYとかも含めてやろうとしているのかというところも含めて、どうやって進めようとしているのかというのをやっぱり聞いて判断しないといけないのではないかと思います。
 高エネルギーでも二次元のピクセルディテクターとか、今、開発をいっぱいしていますけれども、非常に相関はあって、でも、難しくて、どっちでもなかなかできていないです。

【石川プロジェクトリーダー】
 そのあたりは全くおっしゃるとおりで、我々のディテクターのグループもKEKの新井先生にいろいろ教わってやっているところでございますが、あと、アメリカのFEL関係、あとドイツはマックス・プランクがDESYのディテクター開発をやっているのですが、そういうところとも全部、世界中でやっていて、ようやくできるかなと思います。

【徳宿委員】
 その辺の状況を見せていただけると。インハウスでどれ位手を入れなくてはいけないのか、コミュニティを広くしなくてはいけないとか。

【石川プロジェクトリーダー】
 先程の、要するに施設側でやるのか、利用推進協議会でやるのかというところはかなり難しいところがあり、難しいところがあるというのは枠組みとして施設はここまでやりなさい、要するに、施設が利用の話まで仕切ってしまうと、おまえら勝手なことをやるだろうと言われているわけです。

【徳宿委員】
 ただ、やはり世界で初めてのだから、分けたらできないかもしれない。

【石川プロジェクトリーダー】
 外形的には施設は光を出すところまでやりなさい。後ろはその利用推進協議会がやりなさい、その形で分かれているのですが、もちろんそれではできないから、利用推進協議会に施設も入り込むような形でいろいろなことが進んでいるというのが現状です。ですから、ご指摘があったように、基盤技術とか、リストを付けてございますが、そこにかんでいる機関がどういうものであるかを見ていただくと、「お、これ、施設じゃない」というのが見えるようなリストになっていると思います。

【徳宿委員】
 そういう意味では、資料としては出せるということ。

【神谷委員】
 テクノロジーでどこまで行っているのかという、見通しとか。何人がかわっているとか、また、単なる数だけとかではなくて、現状どこまで行っているのでかの資料があるとよいと思います。さらに、あとちょっとやれば、明日には出来るとか、10年でないと実現できないとか、そういうことが分かるような。

【林室長】
 そこのところ、若干難しいところがありまして、我々も今からこれらの中間評価をしようということで、まさに同じ時期に走っているようで恐縮ですけれども、こちらの利用推進協議会も6月の終わりから7月の頭にかけて、現在の課題の状況をプレヒアリングして、状況をまず把握して、それで秋に中間評価をして課題をまとめていこうという動きもあるので、そことの関係を整理して進めてもらったほうが、お互い何か同じようなことをやるというようなことにならないのかなと思っております。そこはこちらのほうの太田先生、下村先生と我々も相談しないといけないのかなということだと思っております。

【雨宮主査】
 では、その件に関してはそちらと同期しないといけない。それ以外、こちらの部会としてどういう情報、どういう視点でこれから評価の枠組みを積み上げて我々は議論するかということを、今までそういう形で意見を出していただきましたけれども、もう少し補足していただいて、あと議事録をとってあると思いますので、それを少し整理して、それをもとに私、次回の進め方を整理した上で進めたいとは思いますが、今まで以外のこと、もしくは今までのことでも、もう少し強調したい点があれば、繰り返しでも言っていただければと思いますが。

【潮田委員】
 座長から宿題リストというのをリマインダーとして送っていただくと、次に来るまでに考えてくるのだと思います。

【雨宮主査】
 そういう意味では、今、資料5の評価すべき項目というのがありますけれども、これはあくまでも案でたたき台なので、こういう視点で評価すべきということです。これに対するモディフィケーションもしくは何か新たに付け加えるものをまずぜひ視点をいただきたい。それから、そのためにはどういう情報が必要なのか、今ここで既に発言された内容も含めて、どういう情報を出してほしいのか、もしくはどういう人を連れてきてほしいのかということも含めた情報です。
 それからあと、もう一つ、この議論の進め方の難しさと絡まっているのですが、これは今までの放射光とは違って、まだ見ていない光をやるという非常にチャレンジングなもので、こういうチャレンジングなものに対する評価というのは、確実に物事が進むプロジェクトに対する評価とは、少し視点が違うと思います。よく言えばチャレンジング、悪く言えばリスキーなのですけれども、こういうものを評価する我々の知恵として、どういう視点で臨むべきかということについての知恵をいただければと思います。
 私が今議論してきた上で、その3つの項目ですが、それをまた事務局から整理して発信していただく。多分、その宿題の量の多さによって、次回、いつ開くかということが石川プロジェクトリーダー、チームのほうでどれだけの時間が必要かということになりますが、私としては最初に8月上旬までに四、五回と言ったのは、多分、物理的に皆さんがお集まりになるのは難しいのではないかと思いますので、回数を半分に減らしてでも1回の時間を長くするという形で密度濃く、メールも含めて進めるべきかと思っていますので、そういう意味ではメーリングリストと言わず、メールの全員が情報をシェアするということで、そこも準備を整えたいと思います。

【林室長】
 それは事務局のほうでつくってお流しいたします。

【雨宮主査】
 とはいえ、次回の大体の目安をつくって、せっかく皆さん揃っているので、大体の目安を合わせておきたいのですが、いろいろなこんな情報を欲しいというけれども、現状の情報をつくるわけで、ない情報をつくり出すわけではないので、時間としてみれば、どうでしょう、3週間位なのでしょうか、後ろのことを考えると、今、6月の初めですけれども、6月中にはもう1回開けるか、7月の頭に開けるかぐらいにしておかないと収束しにくいので、6月30日の週か、7月7日の週かというあたりが適当かと思いますが、その中で幾つか候補を挙げますと。

【林室長】
 ここに今出席されている方でバツを付けている方がいるかとは思うのですが、例えば7月1日ですと8人集まれる。7月1日の午前中ですね。午前中だから、時間、長くなれないのかもしれないですけれども、あとは7月7日とか8日とか、この辺は比較的集まりがいいということにはなっております。

【雨宮主査】
 そうですか。7、8であれば午後で大丈夫なのですか、皆さん。

【林室長】
 7だと午後が。7月7日でよろしいですか。

【徳宿委員】
 僕は欠席になりますけれども、資料が前もって渡していただければ、それでメールでやれるとは思います。

【林室長】
 あと、亘理先生がだめということになっていますが。

【亘理委員】
 7日、大丈夫です。

【林室長】
 1時とか1時半とか。多分、早く始めたほうが少し時間がとれるのかなという気はします。

【亘理委員】
 なるべく都合を付けます。

【林室長】
 もちろん多少遅れて来るとか、そういうのもあるのだとは思うので、一応、7月7日の午後を目安にします。

【谷口委員】
 時間帯、目安だけ。

【林室長】
 1時位でよろしいですか。1時ということで。

【谷口委員】
 おしまいのところは。

【林室長】
 5時には。では、最大4時間。

【雨宮主査】
 要するに2回分以上位のことをやりたい。

【林室長】
 分わかりました。それだけあれば、宿題をいただいて、返せるものは資料を返して、多少、1往復、2往復やりとりできるかなという感じはします。

【雨宮主査】
 それでは、皆さんにメールをお願いします。先程言った3つの観点以外に、その他という項目を用意しますので、その他で例えばいろいろな、その枠にはまらない意見を言っていただければと思います。1番目、2番目、3番目、事務局、よろしいでしょうか。

【雨宮主査】
 4番目、その他で。

【田島委員】
 1番目が評価視点。2番目はそのための情報。

【雨宮主査】
 3番目は、こういうチャレンジングな、また、悪く言えばリスキーになるようなものをやる上で、評価者としての重要な視点です。コンセプトでもいいです。ちょっとアブストラクトな視点で、4番目はその他という形で。

【田島委員】
 それで、2番目の必要な情報の中に、これは主観的な情報だと思うのですけれども、こういう新しい光をハンドルする上で、今の段階ではできない技術というのはいっぱいある。そういうクリティカルな技術は何かという、要するに、のんべんだらりと言われても我々として評価しにくいので、100も200もあっても多分だめだと思います。どういう技術がクルーシャルかというのを抜き出して、それは向こうのほうから来るので、それを我々が全部うのみにするとは限らないですが、指摘していただけるとありがたいです。
 例えばバイオの場合だと、私は既にある程度知っていますけれども、要するにこういう強い光をやると生体物質は瞬時に壊れてしまう。だから、そういう光の場合に、バイオとしてどうやるかという意味でオーバーサンプリングとか、いろいろ言われているわけです。そういう技術の困難さと現状みたいな、例えばそういうのは細かい技術ではなくて大きな技術だと思うのですけれども、それとか先程申し上げたX線オプティクスというのはやはり、こういう非常に短い波長の場合、難しいわけで、そういう幾つか難しい技術群というのはあるのだと私は思うのですけれども、それの現状みたいのを私としては細かい技術ではなくて、そういうオーバーなものを知りたいです。

【雨宮主査】
 それは2番目の必要な情報の中でまた記述していただければと思います。
 それを取り集めて、また事務局と相談した上で石川プロジェクトリーダー等に情報を送って、次回に臨んでいただくという形にしたいと思いますが、今日の資料も非常に手短な時間で説明していただいたこともありますので、これは帰りの電車の中とか飛行機の中でよく確認していただいて……。
 ここに書かれている情報をまた欲しいというと、評価委員、何も読んでいないで情報をねだっていると、何かそういうような形にはしたくないので、ぜひその辺はよろしくお願いしたいと思います。
 予定の時間が12時ですので、今日は予定どおりに、まだ議論すべきことはたくさんあるというか、むしろこれからが始まりだという感がありますが、もう時間ですので、これから議論したような形で進めていくということにしたいと思います。
 最後に何か事務局のほうからまとめがあれば。

【林室長】
 特にございません。

【石川プロジェクトリーダー】
 プロジェクトのほうから1つよろしいですか。
 今、ある意味で欧米、日本と熾烈な競争をやっているところでございます。もちろんご指摘のようにないものはたくさんある。だけれども、今考えなければいけないのは、プロジェクトができ上がったときにあるもので勝つためには、何をどう組み合わせてやらなければいけないかという視点が非常に大事でございまして、我々はそういうところを目指してやっていこうと思っております。

【神谷委員】
 その具体例を示していただけますか?必死になってやっている、具体例を示していただけるとよいかと思います。

【石川プロジェクトリーダー】
 今、こういうものがアヴェイラブルだから、アヴェイラブルなものを組み合わせてこういうことをやりますという具体例は示します。だけれども、アヴェイラブルでないものをつくってやりなさいと言われても、それは……。

【徳宿委員】
 それはそうだ。

【神谷委員】
 それはそうでしょう。

【雨宮主査】
 そういう視点で、石川さんのほうからまた資料を準備しますということの予告でもあるわけですね。分かりました。
 それでは、今日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。今後もよろしくお願いいたします。

【藤木審議官】
 どうもありがとうございました。

-了-

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研究振興局基礎基盤研究課量子放射線研究推進室

(研究振興局基礎基盤研究課量子放射線研究推進室)