原子力分野の研究開発に関する委員会 核融合研究作業部会 タスクフォース(第1回) 議事録

1.日時

平成20年4月18日(金曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省 16F 2会議室

3.議題

  1. 核融合研究作業部会タスクフォースの審議予定について
  2. ITER(イーター)設計レビューについて
  3. その他

4.出席者

委員

 高村座長、平山座長代理、石塚委員

文部科学省

(科学官、学術調査官)
 吉田科学官、山田学術調査官
(事務局)
 松尾研究開発戦略官、山本核融合科学専門官、三木専門官

オブザーバー

 小川 雄一 東京大学教授
 関 昌弘 高度情報科学技術研究機構理事長
 高瀬 雄一 東京大学教授
 福山 淳 京都大学教授

5.議事録

 議事に先立ち科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会原子力分野の研究開発に関する委員会核融合研究作業部会運営規則第2条7項に基づき、平山委員が座長代理に指名された。

(1)核融合研究作業部会タスクフォースの審議予定について

 事務局より、資料1‐1、1‐2、1‐3、1‐4、1‐5、1‐6に基づき、タスクフォースの設置の経緯及び審議予定について説明があった。
 主な審議内容は以下のとおり。

【吉田科学官】
 資料1‐1の検討事項で、1のところに相当する、ベースライン文書の評価、これは現に動いているものですから、まずわかりやすい例題ということでご説明をいただいたと思います。これは、こういうラインで動かしていくということが国としての考え方ということなので、事務的にも必要な事項だろうと思うのですが、この後にある2、3というところも研究者コミュニティーにとって大変大事だと思っております。
 先ほどの図ですと、核融合エネルギーフォーラムのITER(イーター)・BA技術推進委員会は研究の当事者の方々、推進をしていく人たちの意見の集約をしていくということで設立されたもので、これはノンガバメントな、専門家、当事者の方々の集団であろうかと思います。ITER(イーター)・BAが自分の視野の中の50パーセント以上を占めている当事者というか、そういう方々で組織されているのがITER(イーター)・BA技術推進委員会なのですが、このタスクフォースは、そうではなくて、視野の中にはあるけれども、もう少し広い視野の中で考えておられる方を中心に組織されています。後者のほうの方々のサポートというか、評価という形をとるとしても、それは裏返して言えば、サポートを得ていくということが、ITER(イーター)・BAを推進していく上で、今後長期を考えるとぜひ必要と思われます。一部は、ITER(イーター)・BA技術推進委員会と重複している先生にもご参加をいただいているわけですが、そういう先生たちからは、現場のいろいろな問題について状況を詳しく説明をしていただく。それに対して、例えば天文学であるとか高エネルギー、そういったほかのビッグプロジェクトのご経験のある先生たちの、少し違った角度から、ITER(イーター)・BAが視野の中で50パーセント以上頭の中を占めている人じゃない人のご意見を聞くということが、これを健全なプロジェクトとして進めていく上で重要なのだろうと思います。
 そういう意味で、平山先生、それから石塚先生は広く原子力一般の中で核融合を見ていただけると思いますので、そういった委員の先生。それから、今後学術界からも委員を加え、色々な視点から見ていただける方々のご意見をいただきつつということが、このタスクフォースの、ITER(イーター)・BA技術推進委員会とこれをデュアルでやっていくことの、大きな意味と思いますので、その趣旨をご理解いただいて、ご議論いただきたいと思います。

【平山座長代理】
 全体でちょっとわからないところがあるんですが、今までいろいろな作業部会もそうなのですけれども、お金の話というのが全然出てこないのですが、 ITER(イーター)もBAもある枠組みがありますよね。具体的になればなるほど、一般的にお金はどんどん減る方向にはまずいかなくて、細かく技術的なものを認めて進めていくと、一般的には増える方向に進みます。そのあたりというのはどういう枠組みで。要するに、全く同じものをやっても、例えば、最近であれば、材料費がものすごく高騰しているので、我々も非常に困っているのですけれども、銅とか鉄とかそういったものが高騰すれば、全く同じものをつくるのでも費用は膨らみますよね。まして、概念的なことでかなりやったとしても、詰めていけばいくほど、多分お金はどんどん増えていくんじゃないかと思うんですが、そのあたりは全く考えなくて、純粋に出てきた技術的な側面なり、そういったものだけを判断していけばいいのかどうなのかという、ちょっとそこが、今までも参加していてよくわからなかった点があるので。

【松尾研究開発戦略官】
 資料を今日は用意していないのですが、今、ITER(イーター)の中の設計レビューというか、設計をしていまして、これは大きく3つの観点から設計をしています。技術的な視点、それから技術的なスペシフィケーション、それからスケジュールの観点。これは建設10年、運転20年といきますので、10年ということでスケジュール。それから、あとはコストです。コストにつきましては、今、ITER(イーター)機構の作業のプロセスだと、おそらく5月のはじめぐらいに、ITER(イーター)のほうでいろいろなレビューをしたコストについて出てくる予定になってございまして、それを受けて、また核融合エネルギーフォーラムのITER(イーター)・BA技術推進委員会のほうにお諮りをして、そしてまた上げてもらうということになろうかと思います。全体はそうなってございます。
 それで、今大体どんな形かといいますと、基本的には協定上定められたコストについては、キャッシュフローで定められているわけではございません。これは今、平山先生が言われたように、素材の高騰であるとか、技術が進歩して、逆に減る部分もひょっとしたらあるかもしれないし、あるいは、ITER(イーター)をより安全に動かすために、もうちょっとこういったものがあったほうがいいということもあるかもしれません。そういったものについて、今、STAC においてレビューをしておりまして、その技術について、それぞれコストがどのぐらいかかるかというのをレビューしているので、我々として、各極はそれに基づいて、これは受けられる、受けられないというようなコストを含めて評価をするということになろうかと思います。
 ただ、1つ申し上げますと、ITER(イーター)のコストというのは、キャッシュで決まっているわけではなくて、やっぱり35年のプロジェクトですから、レートの違いであるとか、材料費の高騰だとかありますので、ある意味仕事量でございまして、分担金はもちろんキャッシュなのですけれども、仕事量で各極に依頼がいっています。例えば、真空容器であるとか、トロイダルコイルをつくれというような発注がいっていまして、これをある意味、ITER(イーター)のお金、キロIUAということで発注がいっていますので、その中で、例えばどういった素材を調達するかとか、どういった技術でやるかということでコスト、キャッシュがちょっと増えたり減ったりというのはあります。これは協定上、各国が見るということになっておりますので、素材の高騰によるキャッシュの増というのは当然あるわけであります。これは決してコストの増ということではなくて、キャッシュフローが変わるというのは、レートの変動とかもありますので、そういったことで各国が飲み込むということになっております。これが協定上の一般的な原則約束になってございます。現実問題、5月のはじめぐらいには、そのコストも含めたエバリュエーションがITER(イーター)機構のほうから出てくるということになっております。

【石塚委員】
 先ほどのご説明でもありましたし、このタスクフォースのメンバーを引き受けるに当たって、いわゆるご要請がありました政策という観点とか、広い視野とか、幅広いアプローチだとか、マネジメントということがあって、そういう視点から核融合の計画を見ていくということが1つ重要かなという感じで、私も役に立ちたいなという形でお引き受けしたいのですけれども、具体的には、例えば1の設計レビューの評価が出たときに、これはITER(イーター)・BA技術推進委員会から出てくるものを丸ごと渡されて、それで評価してくれと。つまり、マネジメントの観点から評価してくれ、幅広い観点から、政策的な観点から評価してくれと言われるのか、あるいはある程度整理されて、この中の幾つかの項目がありまして、こういうことについては、先ほどの核融合の専門家以外の視点で見てくださいというふうにされているのかというところがあって、視点だけではなかなかうまくいかないのではないかなと思いますので、その点はいかがかと思って。

【松尾研究開発戦略官】
 出し方は、工夫させていただきたいと思いますけれども、おそらくポンと渡してということには、多分ならないと思いますので、そこはある程度整理をして、ある一定の視点を見ていただくということになると思います。そこは少し工夫させていただきます。

【石塚委員】
 ぜひそのようにお願いしたいと思います。

【吉田科学官】
 例としていいかどうかはわかりませんけれども、例えば、アメリカでITER(イーター)の参加を決めながら予算が議会を通らなかったということが起きました。そんなことは多分日本の行政ではないだろうと思うんですけれども、そういったような、何かのクリティカルなイシューがあると、それは大きな問題であればあるほど、やはり広い視点からの判断が求められると思います。具体的にクリティカルなイシューは何かということについては整理をして、議題にかけていくということになると思います。

【松尾研究開発戦略官】
 普通の場面では、普通に設計レビューして淡々とやっていけばいいと思うんですけれども、ほんとうに大きな出来事が政策的にあったときに、それをどっちに我々として進むべきかとか、そういったポイントポイントだと思いますので、通常のときにはあまりお諮りすることもないぐらいのほうが、むしろ我々としてはよろしいんですが、ただそうは言っても、そうでない場面というのも35年も‐もちろん35年というわけじゃないんですけれどもありますので、そういったときに我々が政策判断するに当たっての指針といいますか、指標を求めるということになろうかと思います。

【高村座長】
 今のことを含めて、このタスクフォースを通さずに、作業部会にダイレクトにいく部分と、ある程度ここで議論をした上でいく部分とのすみ分けというんですかね、そこら辺がまだ、具体的なケース・バイ・ケースなのかもしれませんが、何らかの形で何か目安みたいなものがあれば、我々としては判断しやすいと思うんですけれども。

【松尾研究開発戦略官】
 我々が今考えているのは、ITER(イーター)・BAについてのいろいろな出来事というのは、ここでやってもらうのが一番いいかなと。そのほうが機動性に富むかなというのがあります。ただ、じゃあそれが今度は、核融合もほかの重点化で言えば、ヘリカル、レーザー、それから炉工学とありますので、共通的な事項については作業部会でご議論をいただく。例えば、今回も全体の人材の問題であるとか、横割りのことであるとか、そういったものは作業部会でやっていただき、ITER(イーター)・BA固有の問題については、原則こっちでこなしてもらって上げてもらうといったほうが、整理はつくかなという思いはあります。ただ、個々について、どっちに影響があるかということで、ちょっと検討させていただきたいと思っております。

【小川先生】
 吉田先生や皆様のお話で、このタスクフォースの議論の大体の流れを、私なりに理解したつもりですけれども、検討事項の中の1、2、3において、例えば2 で、先ほど吉田先生がお話しされたように、ビッグプロジェクトというものに対して、ITER(イーター)及びBAというのはどういうマネージメントをされているかという観点で、いろいろなコメント及び意見があるだろうということですね。同様な観点で1を見ますと、ITER(イーター)・BA技術推進委員会が行っているITER(イーター)の設計レビューの具体的な作業の内容というよりも、その設計レビューがどういう形でどう行われているのか、その辺のマネージメント的な観点とかの視点、具体的には学会、産業界の意見の集約の仕方が適切であるかどうかについての考えを、この場でご披露しながら意見をまとめるのかなと思っているわけですけれども、よろしいわけでしょうか。

【松尾研究開発戦略官】
 はい。

【小川先生】
 そうしますと、この後に私のほうから、1に対応するITER(イーター)設計レビューについてご紹介するわけですけれども、私の立場はどちらかというと実施する側でありますので、どういう体制でどういうふうに実施しているかというのを評価される側になろうかと思いますが、そのような観点だと了解でよろしいでしょうか。

【松尾研究開発戦略官】
 実際に、核融合エネルギーフォーラムのほうでレビューしていただいておりますので、そういった形でご紹介をいただきつつ、プロジェクトマネジメントということでご意見もちょうだいいただければと思ってございます。ここはちょっと委員の構成のときにも、中でもいろいろあったわけですけれども、やはり実際にやっておられる先生方にも入っていただかないと、ご意見が集約できないだろうということでお願いをした次第でございます。

【吉田科学官】
 今小川先生言われた、評価ということを言葉通りにとると、よくいろいろなところでやっているS、SSだのという評価をするという意味と思われるかもしれませんが、そうではないのです。もちろんITER(イーター)・BAが進んでいって、建設が終わり、実験のフェーズになると、いわゆる評価ということの必要性がまた出てくるだろうと思うんですが、ここでお願いしようとしているのは、そういうふうな評価ということではなく、むしろ当事者、先ほどの私のラフな言い方だと、頭の中の50パーセント以上を占めている当事者の方と、そうでない方が議論する場というような観点で、ここの役割をとらえていただければいいと思うんです。もしも評価ということがかなり客観的評価というような事態になると、多分委員の構成は少し工夫するとか、そういうことも必要になるかと思います。

【吉田科学官】
 現状を説明していただく方もいないといけない。それはある意味で主観的な観点が必要だから。一方で客観的な観点も必要だろうと。その両方がかみ合わないと、客観ばかりで主観的側面が存在しないと、中身の抜けた議論になって、圧力をかけるようなことになってもいけないと思うのです。

【高村座長】
 もう1点、これはブローダーアプローチも、当然乗るわけですよね。今、ITER(イーター)を例にいろいろ具体的なイメージが描けつつあるんですけれども、ブローダーアプローチに関しては、どうなんでしょうか。これは後から出てくる予定表等についても、一応ITER(イーター)を想定していますよね。ブローダーアプローチに関しては、何かお考えがあるのかどうかということについては。

【松尾研究開発戦略官】
 ブローダーアプローチについては、まだ具体的にちょっと我々の中でもスケジューリングできていないんですけれども、ブローダーアプローチについては、ちょっとスケジュールと合わせて申し上げますと、ブローダーアプローチについては5月に運営委員会、また11月に運営委員会がありまして、それで各事業委員会がございまして、その報告がございますので、状況については適宜タスクフォースのほうにかけさせていただいて、そして報告をしたいと思ってございます。特に多分、アカデミアの先生方、それから産業界のご関心は、サテライトトカマクと、IFMIF、IFERCで何をやるかということでありますので、そういったことについては事業委員会のほうで決めますので、それについて適宜情報を入れて、ご議論いただけるようにしたいとは思ってございます。

(2)ITER(イーター)設計レビューについて

 小川先生より、資料2に基づき、ITER(イーター)設計レビューの審議状況について説明があった。続いて、関先生よりITER(イーター)理事会科学技術諮問委員会(STAC)(第3回)について報告があった。

【高瀬先生】
 STACでは、日本側の意見と違う意見は、あったのでしょうか。日本の主張と相対するような意見を持っていたほかの極があったかどうか。

【関先生】
 科学技術的な観点では、大きな意見の相違はなかったというふうに認識しています。もちろん若干温度差はあって、例えば、データベースは若干不足しているけれども、早目にタングステンを採用したらいいのではないかという極がある一方、若干カーボンのほうにデータベースが豊富なので、そうそう急がずにカーボンをベースにしておいて、必要なR&Dを配置しなさいという、基本的には大きな違いはなかったというふうに認識しています。

【高村座長】
 今のタングステングラファイトの議論というのは、大変私も個人的には非常に関心を持っていたんですけれども、非常に賢明な判断といいますか、STACがきちっと機能しているという強い印象を受けまして、大変満足しています。

【松尾研究開発戦略官】
 STACが先週の7、8、9とありまして、その後にTBMのワーキンググループが10日に、ございましたので、そのときの議論を少し申し上げます。今、 TBMについては6つのポートがありますので、その取り合いをどうするかというのが議論としてございます。それで、ITER(イーター)の協定によりますれば、ITER(イーター)の全体の枠組みがございまして、その中に大きく2つの仕組みがございます。それはITER(イーター)を建設する、 ITER(イーター)にプロバイドする施設、それから、ITER(イーター)を利用して行う研究活動というのがございまして、背景的知財とかはプロバイドするITER(イーター)の施設でございます。したがって、プロバイドされるITER(イーター)の施設とTBM活動、これはITER(イーター)を用いた研究活動。したがって、これは両方ともITER(イーター)の協定の枠組みの中でございます。ただ、知的財産権ですとか背景的知財については、規定があるのはプロバイドされている施設だけですので、TBMについては、それはITER(イーター)の協定で記載をしている背景的知財、いろいろありますけれども、それとはまた別の取り扱いになるというようなことです。
 したがって、今、ITER(イーター)理事会の下にSTACとかMACとかございますけれども、それとはまた別の運営委員会をつくって、TBMについては枠組みを決めていくというのが、TBMワーキンググループで議論されたようでございまして、それがおそらく理事会なりに出てくるということでございます。したがって、今、ITER(イーター)のほうのマネージメントといいますと、ITER(イーター)理事会があって、コンタクトポイント会合があって、そして科学技術的なSTAC、それからマネージメントのMACというのがあるわけですけれども、それとはまた別にTBMに関するワーキンググループをつくって、ITER(イーター)を利用したTBM活動についてのいろいろな議論をして、プロバイドされる施設はまた別の取り扱いで議論するというようなマネージメントをしていくということが、議論されたようでございます。

【高村座長】
 小川先生の設計書のレビューですけれども、これは大変なお仕事をされているかと私は思います。それで、先ほどの資料2の一番最後に、報告書のベースというふうに書かれているのですけれども、これはITER(イーター)設計評価検討ワーキンググループとして、何らかの形の報告書みたいなものをつくられるという意味でしょうか。この報告書というのは、ちょっとまた別なんでしょうか。その辺のアウトプットというか、せっかくかなりの作業をやられたのは大変貴重だと思うので、これをみんなで共有財産というか、そういうふうにしたほうがいいんじゃないかなと思うのですが、その辺はどういうお考えでしょうか。

【小川先生】
 そのつもりですけれども、まだ細かくは議論しておりませんで、どちらかというと、まずはSTACに対する対応という観点から一生懸命やっているところでございまして、まだ具体的には動いておりません。おっしゃるように、できればそういうことはまとめたいとは思います。

(3)その他

 タスクフォースの今後の審議事項等について検討した。

【高瀬先生】
 ITER(イーター)の設計レビューですが、今後のゴールというか、日程的にデッドラインがどこにあって、そこまでに何を決めなきゃいけないかというのははっきり決まっているんですか。

【松尾研究開発戦略官】
 スケジュール的に言いますと、小川先生のほうでやっていただいている作業は2つありまして、まず1つは、いろいろなITER(イーター)機構からの設計が出てきます。ほんとうの科学的な設計と、あとスケジュールに関連した設計、コストに関連した設計が出てきますので、それについてを評価してもらって ITER(イーター)に返す。STACに行かれる人、あるいはMAC‐CPに出る人にインプットしてもらうというのが1つのチャージであります。したがって、今度のSTACの会議が5月の下旬でありますので、その前には出てきた資料をちょっと読み込んでもらってやっていただく。そして、あとは理事会に向けてやっていただくというのが1つです。
 もう一つは、それは文書にするだけだとあまり意味がないので‐意味がないという言い方はあれなんですけれども、それを実際ITER(イーター)に対して物を申して、日本式に変えてもらわなないといけないわけです。それが目的でありますので、それはSTACであるとかMACであるとか、そういったところで随時我々は物を申していって、日本の仕様に変えてもらうためにそういうことをやってもらって、最終的にはITER(イーター)の決めるスペシフィケーションというのは各極で共用しなければならないので、それについて、これはこういったことで合意をしてもいいよと。ただし、こういったコンサーンがありますねというようなレビューの報告書というんでしょうか、それはある意味、ITER(イーター)理事会の後でも前でも出してもらって、日本政府として ITER(イーター)にしっかりコミットできるような設計になっていると。なってなければ、コンサーンをちゃんと言って、ITER(イーター)に対して物申す、そういったアウトプットをいただくと。したがって、6月くらいかそのぐらいのタイミングには、できれば報告書を出していただきたいという期待を持っている次第でございます。

【高瀬先生】
 例えば、ELMコイルとかですと、1カ月ぐらいで答えが出る話ではないと思います。しかも、真空容器を中に入れるので、これをつけるかつけないかによって、ほかの機器にまで影響するようなものですよね。だから、全極アグリーしましたよ、それで作ってよしとなるのでは、多分タイミング的にそれをやっていたらどんどん遅れてしまうと思いますが。

【小川先生】
 実は4月のときに、ご指摘のような状況になるのではないかという懸念が非常にありました。4月のSTACの議論では、真空容器の調達が遅れるのではないかという話もありましたが、関さんのほうからコメントをお願いします。

【関先生】
 まだSTACだけの議論なので、断定的なことは言えませんけれども、技術上は、5月にはもう少し詰めたものが出ますけれども、R&Dもしないといけないところがあって、セラミックスの絶縁のところなどはまだちょっと厳しい。そういう意味では1年ぐらいかかるだろうと思っています。ただ、まさに真空容器の実際のプロキュアメントをどうするかとか、真空容器の中に入るブランケットとの取り合いはいいのかとか、そういうところは課題になりますので、多分これは STACの中の議論だけですけれども、例えば、真空容器は現状のまま、韓国が受注することになるのですけれども、まず韓国と国際チームが議論を進めるのだろうと思います。それでそういう状態で真空容器もいきなり作り出すわけじゃなくて、鉄板の調達とかいろいろありますから、そういうスケジュールに合わせて、きっとデザインは、およそ1年ぐらいで決着をつけるというふうに、技術的には考えています。そういうようなことを含めて、STACとMACの答申が ITER(イーター)の理事会に6月に上がって、理事会のほうからまた新しくSTACのほうにチャージがおりてくるのではないかなと考えています。

【吉田科学官】
 作業部会のほうで、人材育成ということを最も重要なテーマとして議論しています。人材育成は、こういう長期プロジェクトを進めるということの実質的な意味のほとんどを占めているのだと思うんですが、そういう観点からすると、やはりITER(イーター)というプロジェクトは、日本の核融合のコミュニティにとっては1つのスクールと捉える必要があります。ITER(イーター)を建設して、それから実験をするというとき、実験のアウトプットそのものももちろん必要なのですけれども、同時に、ITER(イーター)という実験炉を設計してつくるというプロセス、そういう現場を体験した人たちが次の世代、デモ炉の世代のリーダーになっていく。そういう、いろいろなノウハウなり知識なり技術なりというものの伝承されていくシステムというものを、しっかりとつくらないといけないだろうと思うんです。
 ITER(イーター)は、今は設計の評価という段階にあるわけですが、今後建設に入っていきますね。現在でもITER(イーター)機構に、日本からも何人かのメンバーが参加して、現地で活躍されているのだと思うんですが、そういう方はいろいろ現場を体験される。もうちょっと広げて考えると、STACに参加されている方、これはわりとシニアの方でありますけれども、それから、今、設計レビューを、小川先生はじめやられています。そういう今のリーダーの方が、そういうことに参加されているわけですけれども、これをもう少し輪を広げてはどうか。小川先生から、いろいろな設計のレビューの結果をネットワークを通じてというふうなお話がありましたけれども、ほかにもSTACに出られている関さんから、今この場ではいろいろ貴重なお話を聞いたんですが、これは学会に広く伝えていくとよい。ITER(イーター)の現場で行われているということを、もっと若い世代に伝えて、議論の渦中に取り込んでいく。そういうシステムをつくる。1つの案ですが、そういうシステムづくりというものの何らかの制度的な可能性とか、そういうふうなものを、例えば作業部会等で議論してはどうかというようなアドバイス等も、このタスクフォースから作業部会のほうに出していただくと良いと思います。
 ITER(イーター)の設計レビューをこの日までにこなしていかないといけないというふうな観点は現場としてはもちろんあるんですが、むしろそういう状況というものは、核融合を進めていく人材のオンリサーチ・エデュケーションの貴重な場でもあるわけで、これをできるだけたくさんの人が体験する必要がある。ITER(イーター)に行っている人だけではなくて、さまざまな形で。今、直接にかかわっておられる先生方の意見をここで聞くことができたわけですが、それは例えば、学会などで発信してもよい。場合によっては、そういうことを研究なり教育のようなものとして、国としてサポートする仕組みをつくるとか、そういうふうなことが案としてはあり得るのではと思います。例えば、そのようなアドバイスを、このタスクフォースから作業部会に上げていただくとかというようなことはあり得るのかなと思います。

【高村座長】
 非常に重要なポイントだと思います。

【小川先生】
 吉田先生がおっしゃったような人材育成という観点まで拡げて、私は考えていませんでした。先ほどのITER(イーター)の設計を、ITER(イーター)・BA技術推進委員会で評価してくださいと文科省から依頼が来たので、委員会の下にワーキンググループをつくって、そこで検討するという体制になったわけです。
 こういうWGをつくるということに関して、去年の秋ぐらいに推進委員会に提案があったとき、私自身は必ずしも賛成しなかったんです。つまり、少人数で厚い報告書を読んで意見をまとめて出してくださいという形にしか見えないんです。私はそのとき、いろいろな経緯があるから、それはこういう形で設置するのは仕方ないという妥協をしましたが、後から時々コミュニティの人から不満が聞こえてきます。ただしそのときにもう一つ言ったのは、このWGメンバーは個人としてまとめなければいけないですけれども、バックにいるソサエティーに広く情報を流して、広くその場で議論して意見を上げさせてくださいと申し上げました。具体的には、産業界は原産協会を中心にやられているし、我々は核融合ネットワークと核融合エネルギーフォーラムの各種クラスターを使ってやっております。
 今、吉田先生はそれをもう一つ昇華させて議論されましたが、上述のようにコミュニティで議論すると若手がそこの場にはいっぱい入ってくるんです。 ITER(イーター)をやりたそうな若手の人たちが、ITER(イーター)はこうあるべきだと一生懸命訴えてくるんです。よく聞く声として、そういう若手の人たちから時々出てくるのが、物理のほうのITPA活動です。ITPAに行っても、日本の意見は割合無視されると。そういうので、日本として是非キチンととした声を上げたいと、若手の人たちが要望しています。そのときに、今回のWGのようなチャンネルを使って上げさせてくれという要望が非常に強い。実は、私はまた5月2日に、このような人たちとテレビ会議を行いますが、その人たちはぜひITER(イーター)に日本側の意見としてこういうのを出させてくれというのをまとめたがっているくらいなのです。
 そういう意味で、広く意見をコミュニティに流すということは非常に重要でして、そうすると、非常に参加の意識が強くなるし、積極性が出てくるし、発言力が強くなる。先ほど吉田先生は、それを人材育成という観点で見ましたけれども、若い人に割合そういう人が多く見えますので、現場サイドからすれば、いろいろな意味での制度設計及びサポートが必要だと思います。会合を開くためのサポートでもよろしいし、ポスドクのようなポストも考えられます。いろいろな意味での金銭的、体制的なサポートをできるだけお願いしておきたいと、個人的に思っています。是非それをやるべきだというのは、色々な人たちから言われています。

【高村座長】
 ありがとうございました。これはそういうふうに対処された小川先生はじめ、委員会の皆さんの見識にかかっていて、非常に適切な判断だったと私は思っています。非常によかったと思います。ですから、これは文科省としては高く評価していただきたいなと思うんです。例えば、卑近な例でいけば、クラスター活動というのは、そういうところにも寄与しているということで、やはりそれを重要な位置づけとして、予算的にもきちっと配慮していただきたいというのが我々の願いでしょうね。

【関先生】
 ちょっといいですか。そういう観点で申し上げますと、STACは明らかにレビューコミュニティであって、国際チームが設計をして、設計を固めて出してくる裏には、今お話があったITPAとか国際チームと各極のホームチームのメンバーとの議論とか、それから、ある一部の仕事は、国際チームから国内チームにお願いをされるとか、ITPAが受け取るとか、つまり、ベースは全部そういうところにあるんです。だから、そういうところで議論に負けてしまったら、絶対に負けた議論が上に上がってこなくて、負けちゃったんだから、STACに行って頑張ってきてくださいというのは論理が矛盾していると思うんですよ。やはり同じ1つのことを主張するのでも、若手であっても、かなり整然とした理論とバックグラウンドがなければ、まずデザインのところで筋が通りませんから、若い人たちに我々が期待するのは、そういう一番ベースのところで議論をしてきて、こういう考えで設計してほしいというのであれば、そういう考えで合意をつくりあげるところが大事であって、そういう経験を積むための場は、我々としてもできる限りつくっていきたいと思っています。

【高村座長】
 ありがとうございます。ITPAに関しては随分いろいろ申し上げてきたんですけれども、なかなか文科省側としてきちっと受け取っていただいていないんじゃないかと常々思っておりますので、ぜひきちっと高い評価をしていただきたいなと思います。

【松尾研究開発戦略官】
 ITPAについては、多分アメリカ側もどこの国も、国からお金は出ていなくて、競争的資金の中で出ているはずなんです。したがって、ITPAについて、例えば今あるのは、ITER(イーター)機構の中のアースピースを入れるというのがあって、ITER(イーター)機構がちゃんとチャージをしたものを受けるのであれば、多分ITER(イーター)機構からもしっかりお金は出るし、そうでなければ本当に自由な活動としてやってもらうということなんだと思います。
 それからあとは、例えば日本から研究者が行って、STACはさっき関先生が言われたように、上がってきたものを評価するだけですから、上がる前に、技術支援という言い方がいいのかどうかわからないんですけれども、いろいろなコンタクトを、例えば大学の先生、産業界の人たちがITER(イーター)機構とやって、それに自分たちの意見を上げるために、短期間ITER(イーター)機構のほうに行くと。これは多分、産業界も大学の先生も、マンパワーがあって、そんな上げられないよというのはあるかもしれないんだけれども、そういった形でITER(イーター)機構に行って、実際に技術設計をしたいとか、やるというのは、今、実施機関である原子力機構にも実は予算があって、何人かはもう行っていただいているので、できればそういった数を増やさせていただいて、行っていただける人がいれば、旅費とかはつけられるんだと思います。だから、そういった形で、長期タームで行っていただけると。そうすれば、まさにご自身たちがやっている計測であるとか何とかであるとかというのをITER(イーター)の中に入れ込んで設計を上げて、そしてSTACでそれを評価すると。そこで勝たないともちろんあれですけれども、というような俎上に乗れるということだと思います。
 ITPAに関しては、ほんとうに多分いろいろなご議論があって、国としてすごいいい活動だと思っているしあれなんだけれども、多分どの国も、国家としてやるためには、自由な活動をやっていただくというわけにはいかないので、これはやっぱりある一定のミッションがあって初めて先生方にお願いができるということなので、そのミッションをITER(イーター)機構がITPAに出すということは、ITER(イーター)機構からお金が出ることになる。ただそのためには、そのミッションを果たすということになりますから、完全に自由な活動はできないということになるので、その取り合いなんだと思うんです。それは多分どこの極も一緒だと思います。
 自由な研究は、自由なお金でやったほうが先生たちのためにもなると我々は思います。だけど、国からミッションを与えた場合には、しっかりと国に報告をして、そのミッションの中で自由ではない活動をしていただくというのが、やっぱり国費を使う以上の原則だと思います。ITPAの活動については、我々は高く評価しています。そういうことなので、短期の派遣のお金というのはありますので、これは個別にご相談いただければ、何を日本としてITER(イーター)に盛り込むかというのがあれば、これはむしろ我々としてもぜひお願いしたいと思います。

【高瀬先生】
 アメリカは、DOEがITPAをかなり強力にサポートしていると思います。

【松尾研究開発戦略官】
 予算が違いますので……。

【高瀬先生】
 もちろんそれはどうやってとってくるかというと、プリンストンならプリンストン、MITならMIT、そういうところのプロジェクトが、うちの研究は今までやってきたのと同じ研究なんですけれども、こういう理由で、ITPAのこの課題にこれだけ貢献しますよという作文をして、結局、DOEはそれをサポートしているわけなんです。それで先ほどのミッションがというのは、そのミッションをだれが決めるかというと、やっぱり研究者のほうがこういうのが重要だからというところからもともとはきているわけで、上から押しつけられるといっても、やはりもともときているのは、自分たちがこういうことが重要だから、こういうことを明らかにすべしと。それをミッションとして掲げて、それがITPAというか、ITER(イーター)のミッションとかそういうのと合致していれば別に問題ないわけです。

【松尾研究開発戦略官】
 賛成。ぜひ大学の中で、そういうミッションを掲げてやってもらえればいいと思うので。ただ、別枠で予算をとってやるというのはおそらく無理だから、大学の中で競争的資金でやるのは大賛成です。

【高村座長】
 ほかによろしいでしょうか。ベースラインレポートというのは、必ずしもこういうITER(イーター)の設計のハードとか、科学技術的なことだけではなくていろいろなところ、例えば人員の調達とか、いろいろなレベルのものがございますよね。ここで、ITER(イーター)・BA技術推進委員会で ITER(イーター)設計評価検討ワーキンググループというのをつくってありますが、ベースラインレポートというのは、いろいろなレベルのもの、いろいろな観点のものが出てくるわけです。非常に細かいところまでもちろんタッチする必要はないんだと思うんですけれども、上位に位置するものというのは、必ずしもそういう科学技術的なものでないものもありますよね。先ほどMACというのもありました。そこに関しては、どういう対応をとられようとしているのか。

【松尾研究開発戦略官】
 コストとスケジュールについては入っています。

【高村座長】
 それもここでやられる予定ですか。

【松尾研究開発戦略官】
 はい。したがって、ベースラインドキュメントといっても、ITER(イーター)機構から出てくるドキュメントは、技術的な観点と、それから、ちょっとタイミングが遅れてコストとスケジュールが出てきまして、おそらくコストについては、5月の上旬ぐらいを目途に出てきますので、それをまた核融合エネルギーフォーラムのほうにお渡しして、そして設計評価検討ワーキンググループのほうでご審議をいただくということになると思います。
 要するに、いい技術的な評価をしていただいても、コストが合わなければどこかで取り合いをして、その技術を捨ててもらうということをしなきゃいけない、スペックダウンしなければいけないということにもなりますので、いいものをやれば、コストは当然上がってきますから、その取り合いをしてもらうということになります。その中には、おそらく人員というのは、多分明確に何人というよりは、仕事量で出てくるのだと思います。あとは、個別に何人ITER(イーター)機構が抱えるかとかそういうものは、また毎年毎年の人員計画というのが理事会のほうに出てきます。
 また先ほど申し上げたプロジェクトマネージメントというのは、ITER(イーター)機構の中にそういうインテグレーションを抱えるのか、あるいは外注するのかによってまたコストが変わってきますので、そういったものを反映した全体のコストのものが出てくると思います。ただ、これは全部評価できるかというと、評価できない部分もあるかもしれないので、それはコンサーンとして、理事会のほうに提起をするという形になると思います。

【高村座長】
 そうすると、大きいものとしては、今の科学技術的なものと、それから、コストとスケジュールという、その3点ということになるのでしょうか。

【松尾研究開発戦略官】
 はい。その3点だと思います。その中に全部人員とか、それもコストの中に入ってくるというイメージでよろしいかと思います。

【小川先生】
 ちょっと違う観点ですけれども、人員といったときに、今、日本からのITER(イーター)の職員になっている人員というのが、少ないですよね。それを増やさなければいけないですよね、いろいろな戦略的な意味も含めて。今言われているのは、ITER(イーター)サイドがこういうポストにこういう人が欲しいですよ、それに応募してくださいよと。それは自由競争で、ITER(イーター)側が、誰々がいいです、というので選ばれる。そのとき、どうしても日本人が、言葉のハンデも含めていろいろな意味で落とされると聞きます。それをそのまま許容していていいのかという問題がありまして、それに対する対策というのは、ある意味では早急に打たなくてはいけないと思っておりますけれども、それに対して具体的に文科省を含めて何か動こうとしているのか、教えていただければと思います。

【松尾研究開発戦略官】
 なかなかポストの確保というのは難しくて、人員については、トップといいますか、部長以上の人員については、ある程度の数は占めているんだと思います。ただ、全体でいうと、今年のいつかの時点で、150~160名の中で14名なので、約9パーセントぐらいなんです。日本はあと9パーセントぐらいとれますので、その人員を確保したいと思ってございます。やはり一方で、ちゃんとマッチングした人が行くというのがベストだと思うので、できるだけポストにマッチングした人を出せるように、学術界、産業界のほうにお願いをしたいということです。
 あとは日本政府としてとるべき重要なポストって、多分技術とか、ペリフェラルなところをとっても、ただ労働者としてやられても全体を見られないとなると、次に原型炉に移ったときにそれがいいんですかということになりますので、重要なポストについては、できるだけむしろ公募だけではなくて、これはいいのかどうかわかりませんけれども、お願いをして行ってもらうとか、そういったことも逆に考えなければいけないかと思っています。それで、今原子力機構の中では、ただ単にホームページで案内するということではなくて、それを一歩超えて、ITER(イーター)に行きたい人のリストといいますか、可能性のある方をリストアップして、ポストと見合った場合には逆にお願いをするというようなことも、できれば考えたいと思っているところであります。
 それは短期的な問題としてあって、あとは長い目で、長期的にどうするかというのは、人材育成も含めて考えなければいけないので、短期的にはそういったことで、公募だけを一歩超えた、ある一定の中からの公募みたいな形も考えたいと思っております。そういうのを今、やろうとしています。

【高瀬先生】
 アプライしたけど落とされているんですか。それとも、アプライする人がそもそもいないんですか。

【松尾研究開発戦略官】
 大体アプライしても、何人かは落とされます。それは多分、やっぱり圧倒的にヨーロッパが近いということもあって、ヨーロッパのほうのアプライの数のほうが多いんです。例えば、数十のポストを公募すると、数百人ヨーロッパのほうからは来ます。これは各国から見ると、ITER(イーター)は給料もいいんですね。日本から見ると、ユーロで払われた場合には損があるのであれなんですけれども。それで、日本の場合は数十のポストを公募すると、おそらく50ポスト公募すると、多分20とか30くらいの人がアプライするんだけれども、ヨーロッパからは50公募したら数百アプライがあるので、そうすると、やっぱりどうしても応募の数に、すごく優秀な人であれば全部いくんですけれども、やっぱり総体的にアプライのパイによりますから、したがって、ポスト指定でこの人ということで日本政府としてプッシュをするとか、そういったことをしないとなかなかポストの確保というのは難しいかなとは感じている次第です。

【高村座長】
 ただ、指定と今言われたんですけれども、そういうことってできるんですか。

【松尾研究開発戦略官】
 基本的にはできません。したがって、さっき言いました指定というのは、ここを是非日本がとりたいということで、リーダーシップでプッシュするというよりは、公募があった場合には、ここは是非日本がとりたいというときには、ちょうどマッチングするような方をぜひ応募していただくように慫慂をして、そこに応募いただくと。決して政治的に圧力をかけるとか、そういうことはITER(イーター)機構をゆがめることになると。やっぱり成功しなければいけない ITER(イーター)ですから、そこはゆがめずに、きちんとした技術を持った方をそこにお願いをするということで、マッチングをさせていくというようなことをしないといけないかなと思います。

【小川先生】
 マッチングという観点でいうと、今の視点、まさにそのとおりなんですけれども、もう一つのお願いしたいのは、日本に残さなければならない技術を獲得に行くという視点です。、数年前、石塚さんも一緒に原子力産業協会のほうで、ITER(イーター)の次を見たときに、ITER(イーター)がヨーロッパにいったので、日本に残さなくちゃいけない技術は何なのかとか、ITER(イーター)からとってこなければならない技術は何なのか、そういう観点で、物事を考えたときに、日本として戦略的にITER(イーター)から獲得すべき項目をキチンとピックアップして、それがとれるようにITER(イーター)に人材派遣をしておくべきであろうと思います。そういうのが非常に重要ですよと、数年前の原産の報告書でもちゃんと書いてあるんです。
 このような課題を検討しなければいけないというだけで原産の報告書は終わっていたんですけれども、幸いなことに最近、岡野さんのロードマップ等検討WG で、デモ炉に向けてどういうロードマップになるかが議論されています。これにより何がクリティカルな問題になっているのかというのがある程度見えてきています。それとITER(イーター)に対して、長い目で見たときに、戦略的にどこにどういう人を配置しなくではいけないかも検討する必要があります。本当に習得しなければならない技術なんだったら、そこのポストがとれないとしても、そこに人を派遣するなどの措置が必要でしょう。このように日本としてどう次に続くデモ炉に関しての人材をITER(イーター)からどう育てていくかというのは、戦略的にちゃんと考えておかなければいけないんだと思いますので、それも是非お願いします。

【松尾研究開発戦略官】
 産業界からのそういう要望もありまして、それで実はロードマップをお願いしたんです。何でロードマップをチャージしたかというと、やはり原型炉に向けて、日本として残さなければいけない技術というのが、今まさに石塚先生、小川先生からあったようにありましたので、そこでクリティカルな技術は何か。そのためのロードマップをつくって、それのための人材を育成というか、確保していって、それを例えば、ITER(イーター)にビジティングリサーチャーでもテクニシャンでも何でもいいんですけれども養成をして、そして将来的にはITER(イーター)の中に入ってもらって、そして戻って日本の原型炉に向かうというようなことにも、ぜひ使わせていただきたいということで、逆にチャージをさせていただいたので、そういった形で活用させていただきます。

【石塚委員】
 今のロードマップと人材のほうについては、まだ今のところ緒についたばかりですけれども、ロードマップをちゃんとつくって原型炉に向けての1つの道筋を作ってくださいというのは、長い間の原子力の産業界のお願いなんで、こういうことについて人材のことが出てくるというのは、非常に意味があると思います。おっしゃるとおり、今の3つありまして、人の量の問題、それから、ポストというのと、ポストと事業者同じかもしれませんけれども、ポストをとる。アドミニストレーションというようなポストをとるというのと、長い目で見た技術、この3つの中で、どういうふうにしてやっていくかということを、ロードマップとあわせてやっていかなければならないのではないかなという気がしております。

【高村座長】
 大変いい議論だと思います。今のようなことを、行政の仕組みにどうやっていくかというところが大変重要なところですね。その辺は、むしろ作業部会で議論すべきことということになりますでしょうかね。

【松尾研究開発戦略官】
 もちろんここで何か議論していただいて、作業部会に上げていってもいいんですけれども。

【石塚委員】
 作業部会というのはなかなか大きくて、できれば粗ごなしでも、この小さなところで少し議論をしたいという感じがするんですけれども。

7.今後の日程等

 事務局より、次回の開催日については5月中旬頃を予定していることの連絡があった。

‐了‐

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