原子力分野の研究開発に関する委員会 研究施設等廃棄物作業部会(第8回) 議事録

1.日時

平成23年1月19日(水曜日) 15時~16時30分

2.場所

文部科学省 旧文部省庁舎2階 第2会議室

3.議題

  1. 原子力機構の取組状況について
  2. 日本アイソトープ協会の取組状況について
  3. 原子力研究バックエンド推進センターの取組状況について
  4. 研究施設等廃棄物に係る安全規制の主な検討状況について

4.出席者

委員

山名主査、石榑委員、小佐古委員、五味委員、佐々木委員、白羽委員、辰巳委員、東嶋委員、冨永委員、平山委員、三代委員、森委員

文部科学省

篠崎原子力課長、川口放射性廃棄物企画室長

オブザーバー

津山 日本電機工業会原子力部長
加藤 電気事業連合会原子力部副部長

5.議事録

【山名主査】

  お二人の委員がまだおいでになっておりませんが、定刻でございますので、第8回の研究施設等廃棄物作業部会を開催いたします。小佐古委員におかれましては、遅れておいでになるという連絡を伺っております。まず、本日の議事に入る前に1点お諮りさせていただきますが、本日ご欠席の柴田委員の代理として、日本電機工業会原子力部長の津山雅樹様がおいでになっております。また、高橋委員の代理として、電気事業連合会原子力部副部長の加藤和之様がおいでになっておられます。お二人には、本日、オブザーバーという形で議論に参加していただこう考えておりますが、よろしゅうございますでしょうか。

 

(「異議なし」の声あり)

 

【山名主査】

  ありがとうございます。それでは、まず、前回開催以降、事務局に異動がありましたので、一言ごあいさつをお願いいたします。

【篠崎原子力課長】

  文部科学省の原子力課長の篠崎と申します。昨年7月に原子力課長を拝命いたしましたが、今回初めての出席になりますので、一言だけごあいさつさせていただきたいと思います。日ごろからご多用中、本日、この会議にご出席賜りまして、まことにありがとうございます。研究施設等廃棄物の処分につきましては、前回の作業部会、平成21年11月だったと思いますが、お諮りしましたように、原子力機構が作成しました埋設処分業務の実施に関する計画、いわゆる実施計画と言っておりますが、これを認可したところであります。この実施計画におきましては、当面、埋設施設の概念設計や立地基準・立地手順の作成等を行いまして、それらの結果を踏まえて、平成23年度中、来年度中になりますが、改定することとされております。本日は、これら原子力機構の事業の進捗状況と、それから関係機関、これも非常に多岐にわたりますが、この機関の取り組み状況につきまして、今日、幾つか資料を用意してございますので、各機関から説明を受けまして、委員の皆様にご議論いただければと思っております。研究施設等廃棄物につきましては、私が申し上げるまでもございませんが、研究機関、大学、民間企業、医療機関など多種多様な施設から発生しておりまして、内容も、研究用原子炉から、核燃料物質、放射線発生装置、RIの使用に伴うものまで、非常にさまざまでございます。その中で本作業部会は、各ステークホルダ、専門家、あるいは一般国民の代表としての先生方から大所高所からご意見をいただける貴重な機会だと思っております。この研究施設等廃棄物の円滑な処分の実施に向けまして、引き続き主査の山名先生をはじめとしまして、委員の皆様方のご指導、ご支援をお願い申し上げまして、私の最初のあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございます。

【山名主査】

  ありがとうございました。それでは、本日の議題や配付資料について、事務局よりご説明をお願いいたします。

【川口放射性廃棄物企画室長】

  本日の議題は4つございまして、まず、一つ目は原子力機構の取り組み状況について、二つ目は日本アイソトープ協会の取り組み状況について、三つ目が原子力研究バックエンド推進センターの取り組み状況について、四つ目が研究施設等廃棄物に係る安全規制の主な検討状況についてとなってございます。引き続き、配付資料の確認に入りたいと思います。まず頭に議事次第があって、その次に座席表があります。その次に、資料1として、「埋設事業の実施状況について」という資料がございます。資料2として、「RI協会における処理・処分への取り組みについて」という資料がございます。資料3として、「大学・民間等廃棄物への取り組み状況」という資料がございます。最後に、資料4として、「研究施設等廃棄物に係る安全規制の主な検討状況について」という資料がございます。資料に不足等あれば、挙手をお願いいたしします。

【山名主査】

  よろしいでしょうか。

【山名主査】

  それでは、本日は1時間半の時間を予定しておりますが、早速、一つ目の議題に入りたいと思います。まず、原子力機構の取り組み状況について三代委員からお話をいただきまして、詳細については大澤センター長からお話を伺いたいと思います。三代委員、よろしくお願いします。

【三代委員】

  原子力機構の三代でございます。先ほど篠崎課長からお話がありましたように、前回、平成21年11月2日にこの作業部会を開いていただいて、そのときに原子力機構がつくるべき実施計画について、いろいろお諮りいただきました。その結果、11月13日に主務大臣の文部科学大臣と経済産業大臣から認可をいただいて、今現在、この実施計画に基づいていろいろな作業をやっているところでございます。ちょっと古い話になりますけれども、この実施計画というのはどのようにできているかということをご説明いたしますと、立地を選定するに際して、どのような要素があるのか、それから、どのような手続でやったらいいかという、文書上では立地基準・手順と申しておりますけれども、これを技術的根拠に基づいて十分検討して策定することが必要だという観点から、実施計画の中身は当面実施する事項と埋設事業の全体計画との2章構成となっております。そして、実施計画の認可以降、この基本方針、それから実施計画に基づいて、いろいろ事業を進めているところでございます。具体的には、当面実施する事項に基づいて、概念設計を行う。その概念設計の結果に基づく立地基準・立地手順の案の作成、総費用の精査、輸送・処理の計画調整、理解増進活動のあり方について検討を行ってきております。本日は、この資料1に基づいて、概念設計をはじめ、埋設事業の実施状況について、報告させていただきたいと思います。また、現在、実施計画があるわけですけれども、これにつきましては、概念設計の結果に基づいて、平成23年度までに総費用の見直しを行うということになっております。そして、この実施計画を平成23年度中に変更し、認可を得たいと考えております。この作業部会ではいつも、皆様方から貴重なご意見をいただいております。今回もいろいろなご意見を拝聴して、そして実施計画の変更申請に向けた今後の取り組みに反映していきたいと思っております。それでは、この資料1につきまして埋設事業センターの大澤センター長から説明させますので、よろしくお願いいたします。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】

  それでは、資料1に基づきまして、説明させていただきます。2ページをご覧いただきたいと思います。今、三代のほうから説明させていただいたようなことがここに書かれています。多少重複しますけれども、もう一度説明させていただきます。

  埋設処分は、国が定める基本方針に即して作成し、国の認可をいただきました埋設処分業務の実施に関する計画(以降、実施計画と呼ぶ)、これに沿って進めることとされています。現行の実施計画は平成21年11月13日に認可をいただいたもので、全体計画と当面実施する事項の2章構成になっております。全体計画は、対象廃棄物の種類や量の見込み、埋設施設の規模や能力など、実施計画の認可変更に要する埋設事業の基本的な事項について、取りまとめたものでございます。当面実施する事項については、この図に示しますように、一つ目のくくりとして概念設計の実施、二つ目のくくりとして立地基準及び立地手順案の策定、三つ目のくくりとして総費用の精査等、それから、四つ目のくくりとして輸送・処理に関する調整、五つ目のくくりとして理解増進に向けた活動などに係る業務でありまして、現在、継続して進めているところでございます。本日は、この番号の順番に、進捗の状況につきまして説明させていただきます。

  まず、一つ目の概念設計の実施から説明いたします。次のページをご覧ください。この図は、概念設計の流れを示しています。一番上の、緑の色で示してございますけれども、前提条件となります、廃棄体の種類や放射能インベントリ、それから一般的な立地条件、そして一番右の安全規制要件を設定します。後ほど、廃棄体の種類や放射能インベントリを例に、ご説明します。次に、その一つ下に行きまして、青色で示しますように、廃棄体の受け入れから定置までの手法や、工程の検討を行いまして、必要な施設・設備を抽出します。次に、これを受けまして、図の中段に示してございますけれども、埋設施設や関連設備の構造の詳細な設計と各施設、それから設備の配置設計を行います。これも後ほど具体例を説明いたします。施設の設計に際しましては、主要な施設の耐震設備及び構造強度並びに放射線に関する安全性の確認も実施いたします。安全性の確認につきましても、後ほど説明いたします。これらの設計を経て、埋設施設の建設費等の積算を行います。

  概念設計がまとまった後は、自然環境条件等について想定される範囲で条件を変えて解析等を行い、埋設施設の安全性及び経済性に関する評価・検討を行い、立地基準・手順の策定に反映することとしています。また、概念設計の結果は総費用の精査にも反映させます。前提条件の一つである廃棄体の種類と数量について、どのように設定したかをご説明いたします。次のページをご覧ください。

  埋設事業では、平成60年度までに発生が見込まれる廃棄体をトレンチとコンクリートピットに埋設する計画です。この図は、左側がトレンチ埋設をする廃棄体、右側がピットに埋設する廃棄体の内訳を示しています。円の中心に、200リットルドラム缶換算の廃棄体の総量を示しています。トレンチ38万本、ピット22万本で、合計では60万本であります。この円の一番外側ですけれども、一番外側の円は、原子力機構と原子力機構以外の廃棄体の割合を示しています。トレンチの場合は64%、ピットの場合は86%が、原子力機構の廃棄物であります。真ん中の円でありますけれども、真ん中の円は、廃棄体の性状を示してございます。右側のピットの図に凡例を示しています。廃棄体には、可燃物や難燃物を溶融した後、セメントを充填して固めたもの、金属廃棄物や雑固体にセメントを充填して固めたもの、施設の解体等で発生するコンクリート片、廃液をセメント等で固めたものがあります。トレンチでは施設の解体等で発生するコンクリート片が、ピットでは金属の充填固化体と廃液をセメントで固めた固化体が、それぞれ多数を占めていることがわかります。内側の円でございますけれども、埋設に使用する廃棄体容器を示しています。左のトレンチ処分対象廃棄体の図に凡例を示しています。容器は、200リットルドラム缶だけでなく、いわゆる施設の解体等で発生するコンクリート片を収納する1立方メートルの簡易袋状容器、フレキシブルコンテナと呼んでおりますけれども、そのフレキシブルコンテナや、大型の金属廃棄物等を収納する1立方メートルの角型金属容器による埋設も想定しています。トレンチでは62%がフレキシブルコンテナで、ピットでは83%が200リットルドラム缶です。

  次に、どのような放射性物質を前提にしているかをご説明します。次のページをご覧ください。埋設施設の安全性の確認に際しましては、廃棄体に含まれる総放射能、つまり放射能インベントリが必要となります。そこで、トレンチ、ピットのそれぞれの処分方法ごとと、原子炉や核燃料物質収容施設といった施設の種類ごとに廃棄体中の放射能量を求め、それらを集計して廃棄体中の放射能インベントリを算出しております。ここでは、埋設施設の平均放射能濃度がどの程度かをお示しするために、原子炉等規制法に基づく省令であります第2種埋設規則に定められた放射性物質ごとの放射能濃度の上限値と比較しています。表の左には、法律に示されました放射性物質の種類、例えば、コバルト、セシウム、ストロンチウムなどを記載しています。真ん中の緑色に着色した欄は、放射能インベントリと廃棄体の重量から算出した平均放射能濃度、右側には、参考としてその法律に書かれております濃度上限値を示しています。左の表はトレンチ、右の表はピットについて、それぞれ示してございます。この表をご覧いただきますとおわかりいただけますように、私どもが対象としております廃棄体の平均放射能濃度は、濃度上限値よりも相当低い値であることがわかります。

  次に、これまでにご説明した前提条件を用いて行った施設の構造の設計の状況について、ご説明します。次のページをご覧ください。この図は、現在検討していますコンクリートピットの構造の仕様を示したものです。施設に求められる機能は、図の左側に示すように、操業中や管理期間終了後の安全確保ができることの他、ドラム缶や角型の金属容器といった複数の廃棄体容器への対応が可能なことであります。この検討におきましては、1つのピットは、1立方メートル角型金属容器もしくは200リットルドラム缶のどちらかを収納する、36の区画から構成されています。廃棄体をピットに定置する作業では、クレーンを使用することにしています。また、ピットは岩盤内に設置し、安全性の観点から、地下水を通しにくいベントナイトという粘土をまぜた土で上部と側部を覆うとともに、さらに土砂で埋め戻しを行う仕様としております。

  次に、トレンチについてご説明します。次のページをご覧ください。トレンチ埋設施設では、埋設対象の廃棄体の放射濃度が低いために、施設に求められる機能は、ピットの場合と多少異なります。トレンチの場合、簡易袋状容器と角型金属容器、200リットルドラム缶を対象としていますので、同じトレンチ内でこれらの廃棄体が埋設処分できるようにしています。また、トレンチ埋設施設は、地下水の深さよりも上に設置し、最終的には土などで埋め戻しを行う仕様としております。

  次に、ピットやトレンチの配置についての設計について、ご説明いたします。次のページをご覧ください。配置設計では、廃棄物が埋設されたピットやトレンチ施設から放出される放射能を評価し、敷地境界での放射線の量が法律に定める値よりも低くなるように、必要な敷地境界までの距離を算定してございます。さらに、環境保全の観点から、ピットやトレンチの配置のために掘削する土の残土処分量を減らすために、掘削する土をなるべく埋め戻し材として再利用する計画で、これらの掘削した土の置き場の確保に必要な面積も算定しています。また、受入検査施設、管理棟、必要な施設の配置も想定して、全体の配置を検討しています。全体の必要面積としては、現在のところ約100ヘクタールと見積もっています。

  概念設計の実施状況の最後の説明といたしまして、安全性の評価についてご説明申し上げます。次のページをご覧ください。安全性の確認は、原子力安全委員会が定めた安全審査の基本的考え方や規制の法律に基づいて行っています。この評価につきましては、操業期間を含めた管理期間中と、管理期間終了後について行っています。管理期間中の評価は、条件が最も厳しい操業期間中において、周辺監視区域の境界上で最大となる地点で年間1ミリシーベルト以下であることを確認します。管理期間終了後の評価は、さまざまな仮定を置いて埋設地及び周辺で線量を評価し、最も厳しい条件においても管理期間終了後の線量が目安線量、右下の枠内に書いてございますが、そういった値以下であることを確認いたします。

  次に、当面実施する事項の2番目の立地基準と手順の案の策定について、ご説明します。次のページをご覧ください。実施計画では立地基準及び立地手順の検討においては外部有識者の意見を聴取するなど十分な客観性を確保するとしておりまして、この次のページでご説明いたします埋設施設設置に関する技術専門委員会を設置して、検討を進めています。検討は、図中の左側の楕円に示しますように、類似施設の先行事例調査の結果、安全審査指針に示される基本的立地条件、現在取りまとめ中の概念設計の結果、埋設事業の特徴などをもとに、真ん中でございますが、立地基準としては、立地選定に当たり考慮すべき項目、項目ごとの重要性の程度、項目ごとの評価に用いる指標など、また、その下にありますが、立地手順といたしましては、立地の検討対象とする地点を具体化するための手法、立地基準に基づく評価の方法や手順などを審議・検討いただくことにしています。これら審議・検討に当たりましては、図中の吹き出しに示していますように、早急かつ確実な処分の実施に向けて、立地基準については技術的・経済的な根拠を踏まえた検討を行うとともに、立地手順につきましては手続の透明性の確保と公正な選定の実施を大原則として、進めることとしています。

  次に、委員会の概要を示しますので、次のページをご覧ください。本委員会は、原子力安全研究協会処分システム安全研究所長の杤山修氏を委員長に、外部有識者6名と原子力機構より2名の委員の合計9名で構成してございます。本委員会はこれまでに2回開催しておりまして、第1回の委員会では、事業概要や国内外の先行事例をご紹介し、参考材料となる点などについて、議論をしていただきました。第2回の委員会は、埋設施設の概要、検討対象となる地点を基準に基づいて評価する際に用いる手法の事例、事例調査結果の整理などについて、議論をいただきました。委員会の内容につきましては、原子力機構のホームページに掲載してございます。

  次のページをご覧ください。立地基準・手順の検討に資するために、国内外の低レベル放射性廃棄物処分施設、類似施設の地点選定事例について、比較や整理を行いました。この表は、調査対象をまとめたものであります。国内の調査対象としては、低レベル放射性廃棄物処分施設は先行事業者の事例を、それから類似施設といたしましては、地層処分の事例、使用済燃料中間貯蔵施設の事例、産業廃棄物最終処分場の公共関与に関する事例、国際熱核融合実験炉の事例であります。海外の調査事例といたしましては、低・中レベル放射性廃棄物処分施設につきましては、スイス、イギリス、韓国、それから高レベル放射性廃棄物処分施設につきましては、スウェーデン、アメリカなどを事例としております。

  次に、当面実施する事項の3番目の総費用の精査等について、ご説明します。次のページをご覧ください。この図は、埋設事業の総費用の積算の流れを示したものであります。概念設計で得られる埋設施設や設備の構造・配置等から、建築・土木費用等の精査を行うとともに、図の2段目の右のその他費用項目の精査を行って、その結果から得られる、施設建設費、安全審査・設計費、用地取得費、環境等調査費等から、建設費を算出しています。同様に、概念設計で得られる操業費等から、施設の運転・維持等の費用の精査を行うとともに、その他の費用項目の精査から得られる事務所経費等などから、操業費を算出しています。その下のほうになりますが、事業スケジュールに応じて年度ごとの廃棄体受入数や事業工程などを設定し、毎年度の支出額を算出します。その際、右のほうにございますけれども、工程遅延や瑕疵などのリスクも検討しつつ、総合的に総費用を見積もることとしています。現在、概念設計で暫定的に得られている設備の構造や配置に基づく建設費の内訳、それから、運転や維持費等に基づく操業費の内訳を、それぞれ事業期間中の各年度へどう振り分けるかを含めて、精査しているところであります。今後、概念設計の完了をもって見直しを行い、事業スケジュールと整合をとって総費用の積算として確定する予定でございます。

  続きまして、処分単価及び受託契約に係る検討状況について、ご説明申し上げます。次のページをご覧ください。処分単価と受託契約につきましては、所要の調査に基づいて具体化を図ることとしておりまして、現在、この調査や検討を行っているところであります。まず、上段の枠内の契約・料金設定の法制度・税務・会計に関する調査の検討でありますけれども、契約締結に当たって原子力機構や発生者ともに税務・会計処理上の問題が生じないように、費用積算項目や費用配分方法等の調査を行って、その検討を行っています。さらに、その検討内容を踏まえつつ、契約に必要となる事項・内容・条件等の検討では、受託契約形態や契約項目を検討しています。そして、右側の処分単価・契約料金の算定方法の検討では、受託料金の設定方法などを検討しています。これらの検討が終了すれば、検討結果に基づきまして、契約方法・内容・条件等の具体化を図るとともに、処分単価の算定や契約料金の設定を行いまして、受託契約の手続の準備を進めることとしております。

  次に、輸送・処理等に関する事項について、ご説明します。次のページをご覧ください。輸送・処理につきましては、全体として合理的かつ体系的に行われるよう、国及び関係事業者間で事業に関する情報共有や連携・協力を図り、具体的な計画を立てていくことが必要と考えています。そのため、各関係者が一堂に会して情報提供や意見交換できる場として、発生者の方々を対象とした埋設事業に関する説明会を開催しています。第1回につきましては、平成22年1月27日に開催いたしまして、原子力機構からは埋設事業の内容を紹介しました。国からは埋設事業の方針、関係機関であるRI協会とRANDECからはそれぞれの事業への取り組み状況が紹介されました。

  次のページをご覧ください。続きまして、平成22年10月7日に開催した第2回目の説明会では、発生者の方々に事業を着実かつ安全に実施するために、事業許可申請に向けて、対象廃棄物に係る情報把握の必要性について、説明させていただきました。また、今後必要となる廃棄物情報の種類や放射能評価等の方法、情報の使用目的等についてご説明し、発生廃棄物情報の収集に係る今後の予定、今年度中に発生者の方々に事業を依頼し、取り組んでいくことなどをご説明申し上げました。また、本説明会では、原子力機構で取りまとめました廃棄物中の放射能インベントリの評価方法の文献を紹介・配付しておりますし、会場には個別のブースを設けまして、休息時間などに参加者の方々からの質問に対応できるようにいたしました。

  今ご説明した情報収集の内容につきましては、次のページをご覧ください。発生者の方々にお願いする情報収集を予定する項目につきましては、図の中央の枠内に示しておりますように、発生者の事業所で保管している廃棄物及び将来発生が見込まれる廃棄物の内容物、放射能インベントリ等の情報、それから、廃棄物の保管等々の4つの項目であります。今後の予定といたしましては、平成23年度中に一度集計を行いまして、その後、発生者の皆様や関係箇所と調整をしながら、埋設施設の基本設計の実施に向けていきたいと考えております。

  次に、当面実施する事項の最後といたしまして、理解増進に向けた活動等について、ご説明します。次のページをご覧ください。理解増進に向けた活動等の状況といたしましては、大きく分けて2点ございます。ホームページを活用した情報発信や一元的な相談への対応と、埋設事業に関する視聴覚映像などの広報素材の作成に係る活動をしてございます。情報発信・一元的な相談への対応といたしましては、原子力機構が公開しているホームページに埋設事業専用のページを開設いたしまして、基本方針や実施計画はもちろん、これまでに開催いたしました各種の委員会に関する情報について、情報を発信しております。一方、事業に関する問い合わせの専用のページを設けておりまして、ご相談やご質問をいただいた場合には、迅速に回答するように努めているところでございます。また、事業に関する理解増進のため、事業内容を紹介する視聴覚映像やパンフレットなど、広報素材を作成しているところでございます。

  最後に、今後の予定について、次のページをご覧ください。今後の予定でございますけれども、現行の実施計画を平成23年度中に変更する計画であります。現在、それに向けて概念設計を完了させるとともに、その結果に基づく埋設事業の総費用の精査も完了させることとしております。また、さまざまな立地条件について安全性や経済性を評価していくこととしておりまして、これらも踏まえて埋設施設の設置に関する技術専門委員会において立地基準と手順についてご検討いただき、変更する実施計画に反映することとしております。

  私の説明は、以上でございます。

【山名主査】

  ご説明ありがとうございました。それでは、ただいまの件に関しまして、委員の皆様からご質問等ございましたら、お願いいたします。佐々木委員、どうぞ。

【佐々木委員】

  全体として非常にわかりやすい資料をつくっていただいているということは評価したいと思います。お尋ねしたいのは、ここまで既に事務局で検討がなされているのかどうかわかりませんが、13ページの「埋設費用の総費用」の積算というところで一番上に細い四角があって「概念設計」から下へ流れていきますが、2段目の一番右に「その他費用項目の精査」という四角があって、そこから下の「人件費」のところに真っすぐおりる矢印の他に、左の方の「建設費」と「操業費」に分かれていく、いわゆるアロケーションがありますね。この図では、他の「建設・土木等の費用」のところと「運転・維持等の費用」のところは真っ直ぐ下へおりている。それに対して、「その他」のところは、共通費的なものがあってアロケーションが行われると思うのですが、このアロケーションの考え方というか、どういう基準というかルールに基づいてアロケーションをなさろうとしているかをお尋ねしたい。それが1つ。

  それに関連して、14ページとかかわるのですが、14ページの上段に赤い枠があって、その中の一番右に「単価あるいは料金」と書いてありますね。それから、赤の枠の下の薄いブルーのところの右のほうに幾つか四角がありますが、そこで「総費用」という言葉と、その左に処分単価と書いている。これは、電気とかガスとかで料金問題を扱う場合に即して一般論的に言えば、要するに料金には2つの側面がある。いわゆる「総費用」というか、「トータルの費用」、「全体で幾らになるか」という話。これは専門的には「料金レベル」の問題と言いますが、それと、個別の単価、14ページで書いてあるいわゆる「個別料金」というか、専門的には「レートストラクチャー」、日本語では「料金体系」と訳されることが多いですが、要するにレートレベルの問題とレートストラクチャーの問題がある。この2つのことを13~14ページあたりの図で説明されていますが、今後、より詳しく説明するには、できるだけ今の2つのことをきちんと分けて議論をしていただけたら、もっとわかりやすいのではないかと思いました。以上。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】

 まず、13ページのほうのご質問でございますけれども、概念設計から、その下におりてきます建築・土木等費用の精査という部分につきましては、これは技術的なところの部分だけでございまして、その下に行っております建設費の枠の中の施設建設費につきましては、この概念設計から出てくる矢印で見積もってございます。それで、例えば、用地取得費とか、安全審査・設計費だとか、環境等調査費については、その他費用項目の精査から拾い出してこの建設費全体として見積もっていると、こういうプレゼンテーションのつもりで記載してございます。

【佐々木委員】

 ということは、「その他費用項目」の中から――もちろん、「その他」ですからいろいろありますよね。今のご説明は、その中から建設費的なものと操業費的なものを拾い上げて、それをアロケートするということですか。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】

 そうです。建設費と操業費という四角い枠の中がございますが、その一番上の施設建設費と施設操業費につきましては概念設計から出てまいりますけれども、その他につきましては、その他費用項目の精査から持ってきていると、こういうつもりでこれは記載してございます。

【佐々木委員】

 分けられないような「ジョイントコスト」みたいなものもあるのではないかと思います。普通はありますよね。それは、ここではまだ、あまりお考えになられていないと理解したらいいですか。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】

 その辺につきましても、これは雑駁に書き過ぎていますけれども、全体につきましても今検討しておりますので、次回というか、もう少し検討が進みましたら、その辺がわかりやすいような記載ぶりにしたいというふうに考えます。

【佐々木委員】

 一般的に申し上げると、その他の「ジョイントコスト」みたいなものがあって、分けるのがどうしても難しいようなものが最後に残る場合があり得るわけです。それをどうやって分けるのかというときに、これは一つの便法ですが、電気とかガス料金問題のケースでも見られますが、建設費そのもの、あるいは操業費そのものがボリュームとしてそれぞれ固有のコストが大体わかってきますよね。そうすると、そのボリュームが建設費のところは全体の5ぐらいあったと、それから操業費のところは3ぐらいあったとかね。そうしますと、最後に「どうしても分けるのが難しいコスト部分」を5対3みたいな比を用いて分けるという便法が、一般的に行われています。だから、最終的にはおそらくそういう問題は、ここでも残ってくるのではないかと思ってお聞きしました。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】

 ありがとうございました。今のご意見は十分、我々としても反映させていただきたいと思います。それから、14ページにつきましては、コメントということでよろしゅうございますか。

【佐々木委員】

 はい。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】

 ありがとうございました。

【山名主査】

 ありがとうございます。その他、何かございますか。石榑委員、どうぞ。

【石榑委員】

 一つ、概念設計の埋設施設、特にトレンチですが、まだ検討中であり、そこまで詰まってないのかもしれないとは思うのですが、物量から考えると、さっきの円グラフでも38万本と結構、多いわけですね。私の質問は、この7ページの図というのはイメージでしょうから、あまりこれでどうこうということではないのですが、廃棄物の性状・形態に応じて、同じトレンチ処分でも違った構造の施設があり得るのでしょうか。あるいは、そういうことを含めてお考えになっているのでしょうか。例えば、産業廃棄物の処分場で言えば安定型と管理型とか、多少違っているわけですね。そういうようなことも含めてお考えでしょうかと、現時点での考えをお尋ねしたい。

【日本原子力研究開発機構(原)】

 埋設センターの原です。私のほうから状況だけご報告します。作業部会でたびたび、遮水シート、有害物対策を検討したいというお話をしてきたとおり、概念設計の中では遮水シートを敷いたようなトレンチ処分の形態も検討しております。平成22年、審査指針の改定があって、その中にも、安全評価の対象ではないけれども、有害物については国もしくは関係機関の定めた規定に準じて考慮しなさいと明記されて、現在、国のほうで、行政庁のほうで検討されていると思いますので、その結果が明確になった時点で、うちの検討も含めて、どうするか定めて決めていきたいということです。内々ではいろいろな形態を検討しております。

【石榑委員】

 いや、質問は、そういう遮水シートを含むようなものと、それがないものと、2種類になる可能性もありますかという。あるいは遮水シート一本でいきますということなのか、そのことも含めてなんですが。

【日本原子力研究開発機構(原)】

 すみません。先ほど4ページにトレンチの廃棄物の性状分類のデータがありましたが、左側のトレンチの真ん中の円の水色の74%は解体から出てくるコンクリート殻でして、これは廃掃法で言う安定5品目に該当しますので、これはトレンチでいいだろうと考えています。また、残りのオレンジ色の部分については、遮水シートを敷いたようなものという概念で検討をしています。

【石榑委員】

 わかりました。

【山名主査】

 よろしゅうございますか。他にいかがでしょうか。それでは、辰巳委員。

【辰巳委員】 

 ありがとうございます。私も、4ページで説明いただいたことと、この絵で、絵というのはすごくわかりやすくて、イメージもわきました。私がすごく疑問に思ったことは、同じレベルのものではないものも、全部一緒に、ひとつの中に入れてしまっていいのか、ということです。おそらく、石榑委員と同じ質問でしょうか。

【石榑委員】

 ちょっと違う。

【辰巳委員】

 ちょっと違いますか。では、私はそのように思いました。それが1つ。それから、12ページに、技術専門委員会で今なさっている内容だろうと思いますが、いろんな事例を調べていますということですが、まだ、その結果がどうだったということではないということですね。この結果がどうなのかというのが欲しいなと思いました。その2つです。

【山名主査】

 お答え願えますでしょうか。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】

 まず、後者のほうからですが、今、こういう事例をご紹介して、この委員会で議論いただいているところであります。その議論の結果につきましても、議事録の形でホームページに公開してございます。今後こういった議論も深めていくことにしておりますけれども、その辺につきましても随時公開していきたいと考えています。

【辰巳委員】

 わかりました。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】

 前段のほうの話につきましては、コメントという受けとめ方でよろしいでしょうか。

【辰巳委員】

 いや、一緒に入れてしまうのですね、ということの確認です。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】

 はい、そうです。

【山名主査】

 よろしいでしょうか。じゃあ、平山委員、どうぞ。

【平山委員】

 1つは、角型の金属容器というのは、大きさは1立方メートルになっていると思いますけど、形状も決まっているのでしょうか。立方体じゃないといけないのか、それとも、体積が同じであれば、直方体とか、そういったこともあり得るのか、どうなのかというのをお聞きしたい。もう1つは、さっきの調査の関係で、大部分の施設はこういうところへ行くのはわかるのですが、ITERは何の観点から類似施設として見られているのかというのがちょっとよくわからないので、ご説明いただければと思います。

【日本原子力研究開発機構(原)】

 角型容器に関しては、ここに表記しているのは約1メートル角の角型容器ということで、実は原子力機構でも、必ずしも1メートルじゃなくて、1メートル・プラスマイナス何十センチというような、いろんなタイプの角型容器があります。それも考慮しながら設計検討はしております。表記上は代表的に1立方メートルということにしていますけれど、おおよそそのぐらいのものはハンドリングできるようにという、これは概念設計段階ですから、将来、立地後、基本設計をやっていく段階でもう少し廃棄体のスペックか決まったら、それに対応できるように当然ブラッシュアップしていくということでございます。今、想定しているのは、そういう条件ということです。類似施設でITERというのも出していますが、これはどっちかというと類似にしてもちょっと離れている研究施設ですが、注目しているのは、ITERの立地基準・手順、手法として、数理学的に優劣を評価するAHP法などが使われていたりして、非常に参考になるのではないかということで、類似施設として入れております。スパコンなんかも同じような評価手法を使ったりして評価していますので、それの代表例として入れて、参考にしているということです。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】

 すみません、ちょっと補足ですが、このITERというのも、ITERそのものを国際的に引っ張り合ったということよりも、今、原が申しましたように、国内の幾つかの誘致希望点があって、そこに対してどのような方法で絞り込んでいったかというところを参考にしたいということから、ITERの例を一つの参考事例として、これも我々は事例として取り入れたということでございます。

【山名主査】

 ありがとうございます。他にございますか。

【白羽委員】

 白羽でございます。今回の料金の決め方についてですが、体系と、あとコストの積算について、ちょっとご質問させていただきたいと思います。処分の方法としてはトレンチとピットと2つあるということの中で、コストの積算については13ページのほうで一括してされていると。トレンチとピット、料金が同じであればこういった積算で構わないと思うのですが、トレンチとピット、それぞれ処分の単価が異なるということであれば、コストの積算もそれぞれ別にされていくと考えるわけですが、料金の決め方についてのお考えを少しお聞かせ願えればと思います。

【山名主査】

 お願いします。

【日本原子力研究開発機構(原)】

 ピット、トレンチの費用設定の仕方というのは、たしか二、三年ほど前、この作業部会の報告書でも、ピット、トレンチで単価を検討して報告されていますが、あの際に、ピット、トレンチ、純粋にそれぞれ建設費が出てくるものと、あるいは人件費とか共通施設は、ピット、トレンチ、両方維持するための費用が出ていて、それをどう案分するかという議論を一度させていただいた記憶があります。共通費用を、ピット、トレンチ、それぞれにかかわる純粋な建設費用割合で分けたり、面積で分けたり、あるいは物量比率で分けたりして、配分をしてピット、トレンチのそれぞれの費用を積算して単価を定めるというやり方をとってきています。今回もその見直し作業をやっているところです。どんな配分比率がいいか、それによってはピット、トレンチの見かけの単価が変わったりしますので、できるだけ合理的な設定になるように、見直し・検討をしているところです。

【白羽委員】

 あと、料金の決め方の中で、今回の事業のコストの構造として建設費の部分がかなりウエートを占めるというふうに推測するわけですけれども、料金の単価の設定のときに、物量当たりの単価、それから、いわゆる資本費相当部分の料金の設定の仕方、これについては何か、もう既にお考えのほうはあるのでしょうか。

【日本原子力研究開発機構(原)】

 総建設費とか操業費の数字は、あるフェーズの段階のものは出てきていまして、今それを精査しているところです。どういう料金を設定するかということについては、公益事業の料金単価の設定方法というんですか、高速道路の料金は、原価補償方式とか、あるいは電気・ガスなんかでは総括原価方式とか、いろいろ先行事例を比較・整理して、今、それを踏まえて埋設料金はどうあるべきかを検討をしているところで、まだ結論を得るところまで至っていません。今後さらに検討をした上で、まとめていきたいと考えています。

【山名主査】

 他にございませんか。1点だけ確認させていただきたいんですが、この作業部会の報告書を出したときに、 最初のコスト評価というのをやりましたね、キャッシュフローを全部出して。あの当時出したものから、今の実施計画のアップ・ツー・デートな状況の中で、大幅に変わっていくとか、かなり前提が変わるというような事態というのはありますか。

【日本原子力研究開発機構(原)】

 基本的にはそう大きくは変わらないと見込んでいます。精査をして、できるだけきちっとした形でもう一度見直して整理するということです。

【山名主査】

 ありがとうございます。それでは、この議題については以上とさせていただきます。

 次の議題でございますが、議題の二つ目、日本アイソトープ協会の取り組み状況について、日本アイソトープ協会の古川修環境整備部長よりご説明をお願いいたします。古川部長、よろしくお願いします。

【日本アイソトープ協会(古川)】

 日本アイソトープ協会の古川でございます。資料2、RI協会における処理・処分への取り組みについてということで、中に図面、または写真が入っていますので、具体的に、RI協会が今検討しております廃棄物の処理の現状、当然そこから廃棄物の処分のほうに結びつくわけですね。あと、RI法の改正がございまして、一部、クリアランスの検討も昨年度からやっておりますので、その具体的な事例につきまして、協会の取り組みについて簡単にご説明させていただきます。

 2ページ目でございますけれども、最初に、RIって何ですかって、今さらではございますけれども、そういうことと、あと、処理に向けた現状の取り組み、それとクリアランスに対する考え方ということで、今日は進めさせてください。時間が10分ぐらいですので、ちょっと駆け足でございますけれども、よろしくお願いいたします。

 3ページ目でございますけれども、RI協会は全国約2,300の事業所から廃棄物を集めていまして、そこには2種類の廃棄物がございまして、1つは放射線障害防止法の規制の事業所から発生する研究RI廃棄物、また、医療関係のところから出てくる医療RI廃棄物ということで、現在、約14万本を保管しています。廃棄物も、固体から液体、中間処理されたもの、保管体と言っていますけれども、そういうものとかということで、種々雑多な廃棄物があるということでございます。

 じゃあ、この廃棄物の中にどういうような放射性核種が含まれているのかというのが、次のページ、4ページでございます。円グラフが2つございまして、医療と研究で分けてあります。具体的にはこれは過去5年間の集荷時点の核種と放射能を年度ごとに集計して平均値をとったものございまして、左側の研究RI廃棄物というのは、ここの5年間では約170種類ぐらいの核種が含まれております。ただし、それを区分していきますと、このようにトリチウムだとか、カーボンだとか、プロメチウムだとか、何種類かで放射能のほとんどを占めて、残りの4%ぐらいのところに約160核種がひしめき合って入っていて主要核種はほぼ決まってきております。ここの中で特徴的なのは、トリチウム、カーボンとか、硫黄とか、リンというのはヨウ素も含めて、特に生物系の研究機関でございまして、あと、プロメチウムというのは夜光塗料の会社の廃棄物ということで、最近多くなっています。一方、医療関係は、診断等に使われるので核種が非常に限定されておりまして、このような数十核種ということでございます。ですから、こういうような廃棄物の特徴と核種の種類、そういうようなものを生かしながら今後処理をしていくということで、将来の処分に結びつけていくキーポイントでございます。

 次のページ、5ページでございますけれども、現在、RI協会も処理を行っていますが、将来的にはどういう方向に進むのかというのをポンチ絵でかいております。ですから、大きいところは、燃えるもの、燃えないもの、水、あとはコンクリートと金属というようなもので、これで、我々、既に詳細設計をやっておりますけれども、減容・安定化処理装置として、仮焼処理設備というのを検討しております。そこで処理した廃棄物は、コンクリート充填または溶融して、ピット、またはトレンチに持っていきます。その他、現在検討されていますクリアランスに行くものもあるだろうというような区分に大きく分かれています。ですから将来的には、この仮焼処理設備のほうに行きますので、廃棄物のカテゴリー、区分が大きく変わる可能性がございます。

 次のページ、6ページでございますけれども、ここに仮焼処理設備の目的があります。不燃物といいましても、我々の過去の経験から15%から20%ぐらい、梱包材などの燃えるものが入っています。それをそのまま何もしないで埋設するというのは非常に合理的ではございませんので、燃えるものは燃やしてしまう。その他には、動物などもありますので感染性の可能性があるということで、こういうようなものは燃やすことで処理をする。その他、当然いろんなものをまぜて、核種の均一性・代表性をとっていきたい。あともう一つ、RI法のほうでは廃棄体の技術基準がまだ決まってないので、中間的に仮焼処理を通したプロセスだけでとめておいたほうが合理的だろうというようなことで、そういうような目的で設備をつくっております。

  次のページ、7ページでございますけれども、具体的にはこんなようなことを考えているということで、ロータリーキルンと言って、簡単に言えば中に廃棄物を入れて燃やしてしまうというようなことでございます。これの特徴としては、単純なので何を入れても適当に燃えて出てくるということでございます。

  その下の8ページに簡単な図面がございまして、今、詳細設計を進めておりますけれども、こういうようなコーン型のロータリーキルンということで、左のほうから廃棄物を入れて、右のほうに押し出されてきて、最後はガラガラッと落っこちちゃうという構造です。実証試験を現実的にやっております。

  次のページは、9ページでございますけれども、現在、既に詳細設計を進めているプラントのフローでございまして、左のほうから廃棄物が入って、ガスを浄化して、その後、環境中に放出するというような、よくある焼却炉のプロセスでございます。

  10ページのところが写真でございまして、実際に10分の1のスケールの炉をつくりまして、試験をしております。左側の、紙だとか、ガラスだとか、模擬廃棄物をつくって右側の炉の中に入れて、炉の中の状態、または、溶けるまでやりませんから、溶けちゃう前の状態とか、カラーの方は見やすいと思いますけれども、固まっているのが、焼却灰、残渣でございます。光っているのがガラスということで、わかると思います。

  次の11ページでございますけれども、これが実際の写真でございます。我々がやっている試験の写真で、運転状態により、白っぽいものから、ガラスも溶けちゃうとか、いろいろあるので、この辺のデータを蓄積して、今、詳細設計に入っているという段階でございます。現在のところは、当面この形でとめておきます。あとは、クリアランスの話ですけれども、こういう残渣をどういう形でクリアランスしていこうか、または放射能評価をしていこうかというのは、クリアランスだけじゃなくて、埋設処分のほうにも当然きいてくるということでございます。今一番重要なのは、仮焼処理をするにしても、先ほど言ったように事業所によって放射線核種の特徴がございます。それをまず、簡単にというか、コンピュータに全部入っていますので、そういう形で検索していきます。そのときに、クリアランス対象核種であるかとか、揮発性核種であるかとか、放射能、そのときの線量だとか、要するに、そんなようなことをちゃんと区分しながら処理をしていくというようなことは、工夫が必要です。あともう一つは、有害物質の関係がございまして、入っている可能性がありますので、その辺のところも管理していくと。具体的には、例えば遮蔽用の鉛だとか、あと、場合によっては、紙なんかだと、塗料なんかには鉛なんかが入っておりますので、焼却をすれば濃縮するということで、そういうような試験も現在行っております。具体的なクリアランスの残渣の判断ですけれども、まず、残渣が出てきたら、それを磁気選別して、ある程度金属を除いてしまう。その他、破砕処理をするため、粒形をそろえます。これはなぜかといいますと、基本的に測定しやすいようにするということで、比重、粒形をそろえて、測定の精度を上げるためにやります。その後、計量して、測定をして、放射能能濃度が高いものについては、そこではねてしまう。その後、均一性とか代表性をはかるために攪拌をして代表サンプルをとって、ここで本格的な測定をする。最終的にはその測定結果からクリアランスに行くか、放射性廃棄物に行くかと判断することになります。

  基本的に、14ページに図面がありますけれども、今、これも設計に入っておりまして、焼却残渣は左のほうからホッパに入れられて、磁選機で金属を除かれて、その後、ミル――コーヒーミルみたいなものですね。あれで砕かれて1ミリぐらいの粒にして、そしてその後、計量して、測定器ではかって、ここで放射能濃度が高いものははねてしまう。クリアランスの基準でオーケーなものだけ攪拌機のほうに入れて、ある程度の量、大体1トンぐらいですけれども、1トンの量を1バッチとしてここで最終的な測定をするというようなやり方でございます。

  次のページ、15ページに簡単な図面がありますけれども、これは念のための、最初のコンベアのところで測定をします。β線とγ線、これでは核種がわかりません。ここである程度の基準を、クリアランスレベルの大体10倍ぐらいの基準をここではかって、それ以上のものははねてしまうというようなことで、要するに事前チェックのための検出器でございます。

  具体的に、16ページにはプラスチックシンチレータの写真がありまして、今の計算だと大体10のマイナス2乗ベクレル/グラムぐらいの放射能濃度まで測れます。シミュレーションもやっておりまして、クリアランスレベルの大体10分の1ぐらいのところまで測れるということで、その辺りの設定で、来年度、実証試験を続けてやることになります。

  次に、17ページに、これは力仕事でございますけれども、焼却残渣を砕く、ロットミルという破砕機でございます。我々の滝沢研究所にもこれと同じ粉砕機が1台入っております。右側が攪拌機で、リボンミキサーというものですけれども、こういうようなことで設計を始めているということでございます。

  最後になりましたけれども、18ページでございますが、クリアランスに向けて放射能評価が一番肝心ですけれども、クリアランスの検認装置の実証試験を、今年度をかけていろんなことをやっていきたい。それである程度信頼性を高めていくというのが、今年から2年間ぐらいでやるという予定です。そのときに、放射能の評価の仕方、サンプリング、または評価のバッチの考え方、統計的処置、その辺りのところも確立するということです。その他需要なのは、先ほど言ったように、約2,300の事業所がありますから、若干、有害重金属、例えば鉛が一番多いですけれども、そんなようなものが入っている可能性がありますので、そういうものについても、現状の廃棄物でどの程度のものが焼却残渣の中であるのかという試験は、既に今年からやっておりまして、それをどういう形で溶出基準、埋設のための溶出基準をクリアするのかというのは、現在合わせて実施しております。その他、クリアランスの場合ですと、当然、処分場の確保ということが大事なことになりまして、これができなければ何のために苦労してやるのかわからないということで、これは先の話ですけれども何らかの形で措置したいというような、RI廃棄物の処分、放射能評価、またはクリアランスに向けた今後の検討課題は残っているということでございます。駆け足でございましたけれども、以上です。

【山名主査】

 ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に対して、ご質問等ございますか。平山委員、どうぞ。

【平山委員】

 5ページのクリアランスのところで、コンクリート・金属については何か具体的に検討が進んでいるのでしょうか。今のご説明は、多分、左側のほうのものだったと思いますけれども。

【日本アイソトープ協会(古川)】

 5ページのコンクリート・金属等ですか。

【平山委員】

 はい、それのクリアランスをどのようにしていくかというあたりは?

【日本アイソトープ協会(古川)】

 基本的には、廃棄物を出した人のインベントリ、要するに実際の評価に基づいて再度、多分一番多いのはトリチウムとかですので、そういう評価をどういう形で進めていくのか。多分、例えば原子炉でやられているようにすべてをやるのでは大変なので、核種の特徴を生かして、例えばその施設の特徴を生かして、評価していく。評価するのはどうしても必要ですから、そのように考えています。

【山名主査】

 平山委員、よろしゅうございますか。

【平山委員】

 はい。

【山名主査】

 他にございますか。森委員、どうぞ。

【森委員】

 RIの保有量でございますけれども、3ページは平成21年度末の量でございますが、その後、クリアランス制度が整備されてきているわけでございまして、今後、具体的にやらないと数量は決まらないかもわかりませんけれども、イメージ的には今、どの程度をクリアランスとお考えになっているのでしょうか。

【日本アイソトープ協会(古川)】

 特に左側の研究RI廃棄物というのは、実際にやってみないとわからないというのが現実でございます。ただ、少なくとも10%ぐらいは確実にいけるだろうと。ま、それはちょっとわかりません。ただ、医療関係についてはほぼ100%ということで、全体としては多分、30%から40%ぐらいの量になるのかなと。あくまでもわかりませんけれども、そのように考えています。

【山名主査】

 10%というのは、10%がクリアランスになるということですね。

【日本アイソトープ協会(古川)】

 いや、全体の30%ぐらいがクリアランスに行くかもしれませんねと。それの寄与は、医療関係の廃棄物の大部分が寄与していると。

【山名主査】

 そうですか。1点確認させてください。カーボンとトリチウムですが、これは、先ほどの仮焼化して、むしろ気相側に行くといいますか、これがこちら側の処分サイトに入る・入らないでかなり状況が違ってくると思いますが、これはどこに行くとお考えですか。

【日本アイソトープ協会(古川)】

 まさに今おっしゃったとおりで、コントロール・リリースの領域ですね。ただ、カーボンの場合は我々既に試験をやっていまして、こういう仮焼処理の施設は温度が低いものですから、未燃カーボンの中に若干残ってきます。それについては安全評価上どのぐらい残るというのは、我々、データを精査しながら高めていきたいと思っています。

【山名主査】

 ありがとうございます。他にございませんか。辰巳委員、どうぞ。

【辰巳委員】

 5ページがやっぱり気になって、今、点々でかいているところがやっぱりすごく気になりまして、クリアランスと判断されたら、この後はどうなるのですか。もうそれは産業廃棄物ですか。それならそれで、そういうふうに何かあったほうがいいなと思いました。もう1つ、すみません。その前のコンクリートの金属等から、さっきそういうふうにおっしゃったのかな? クリアランスに分けるときの判断基準とか、そういうのは何かあるのかどうかも含めて。

【日本アイソトープ協会(古川)】

 最初のことですけど、クリアランスの下は、当然それは産業廃棄物のほうに入ります。

【辰巳委員】

 というふうに入るのですか。

【日本アイソトープ協会(古川)】

 すべて入ります。判断してクリアランスになれば、産業廃棄物に全部行きます。一般廃棄物には行きません。あともう一つ、コンクリートのほうで2つに分かれるというのは、放射能の濃度というのは決まっておりますので、事業所が申告した濃度によって、どちらに行くかというのは最初にある程度判断ができてしまうということでございます。

【山名主査】

 ありがとうございました。

 それでは、次の議題に移りたいと思います。次は、議題の三つ目でございますが、原子力研究バックエンド推進センターの取り組みについて、森委員よりご説明をお願いします。

【森委員】

 それでは、資料3に基づきまして、ご説明申し上げたいと思います。持ち時間は10分でございますので、手短にご説明申し上げたいと思います。2ページを見ていただくとわかりますが、大学・民間の低レベルの廃棄物の種類というのは大体ここに書いてあるとおりでございまして、大半がウランを使用したことに伴って出てくる廃棄物でございます。

  それから、3ページでございますけれども、発生者の皆さんの要望等、あるいは特徴等でございますが、マル1からマル4までが主な特徴でございまして、先ほど申し上げましたウランの廃棄物が大半ということとか、あるいは、少量の廃棄物のところが多いとか、昭和30年代からお持ちということで早期に搬出を希望されているとか、費用の負担軽減を希望されている、もう既に事業をやめておられるところも多いということでございますので、全国共通の保管・処理施設が必要になってくるだろうと、こういうふうに考えてございます。

  私どもは、そういうことを受けまして、4ページでございますけれども、物流システム事業化調査の検討を平成20年度から平成22年度まで、いわゆる事業化調査をさせていただいております。これは、平成18年の報告書を踏まえて私どものほうとしては大学・民間の発生者の廃棄物の物流調査も行っておりまして、そういうものを受けまして、民間6社から資金あるいは人材の提供・協力を受けて今、申し上げたような調査を行っておりまして、事業計画とか、技術・設備、あるいは情報発信、そういうものについて行ってきたということでございます。

  そのエッセンスをご説明申し上げますが、5ページでございまして、これは私どものほうで物流システムの拠点設備ということで、ここに書いてありますような形の大体の設備、あるいは大きさ等を考えておりまして、全国の100事業所から集めたものを処理することができるのかと。それで、その後、処分場へ持っていくという、ビジネスのモデルの中で設備を検討してございます。その中で特に我々のほうとして、さまざまな発生者から出てくる廃棄物があるということでございまして、そういうことで言いますと、廃棄物としての廃棄体の品質をいいものにしなくちゃいけない。

  より確かに処分をするということから言えば、6ページにございますような開梱・分別の施設を必ず設けたいということで、これによって廃棄体の品質をより高いものにしていきたいと、真ん中にございますような開梱・分別を必ず行いたいと考えてございます。

  そういうことを踏まえて、7ページでございますが、私どものほうで事業評価を行った中で費用構造評価をやってございまして、ここに書いてありますような格好で、約40年事業を行ったときにどのような費用構造になるのかということで検討をしてございます。この場合は、先ほど申し上げました開梱・分別をやるとか、そういうようなことをやりますとどうしても人件費がかかってくるということで、40%を占めるような構造になってくるということでございます。

  それから、8ページでございますが、私どものこういう検討結果については、2009年12月にここにありますようなホームページをつくりまして、全国の80の発生事業者の皆様に情報を提供しようということでご案内申し上げまして、現在までさまざまな活動の内容についてはこのホームページで情報を提供してきているということでございまして、今年の1月5日までに1万件弱のアクセスをいただいているという状況でございます。

  また、その他、9ページでございますけれども、私どもの検討結果については、私たち独自に発生事業者の皆さんへの説明会ということで昨年5月に行いましたし、また、原子力機構が行っている説明会にも参加いたしまして、私どもの調査検討結果について報告させていただいているという状況でございます。

  そういうことで3ヶ年のいわゆる事業化調査を進めてまいりましたので、今後どうするかということでございまして、10ページにございますような形に、今後の概略スケジュールでございますが、まずは事業化調査の段階から事業準備の段階へ移ってまいりたいということでございまして、その後、事業開始のための期間を経て操業に入っていきたいと考えてございます。一番のポイントは立地をどう決めるのかというところでございますので、立地が決まってから6年ぐらいの期間を経て操業へ持っていけるのではないかと考えてございます。

  それから、最後の11ページでございますけれども、私ども廃棄物の処理を行うという立場から考えたときにどういう課題があるかということで、技術的な事項の整備をこれからも行っていただきたい。特にこれは国側の規制の関係のところが多いわけでございますので、ぜひとも推進側からもお願いしていただきたいところでございます。その1つは、ウラン廃棄物の廃棄体の技術基準を決めていただかないと、私どもの取り扱う廃棄物の約7割を占めるウラン廃棄物を処分することができません。それから、さまざまな研究の中でやはり有害物があるということがわかってきておりますので、有害物の扱いについて、これも規制関係省庁でご検討いただいておりますけれども、ぜひとも研究施設等廃棄物の扱いについて決めていただきたい。それから、最近、ウラン廃棄物について加工の皆さんに対してのクリアランスというのができてきたわけでございますけれども、また研究施設については適用されてございませんので、我々のほうの大学・民間のウラン廃棄物についてもぜひクリアランスの適用をするようにしていただきたいと、お願いするところでございます。それから、(2)でございますが、先ほど申し上げましたように、今まで事業調査を進めてきましたけれども、いよいよ事業準備という段階になりますので、そういうことを考えますと、ここにありますような、まず事業開始資金――いわゆる初期資本ですね。そういう問題と、それから建設資金、それをどのように確保していくかと。それから、事業要員をどう確保していくのかと。それから、拠点の一番難しいところかもわかりませんが、立地をどう進めるかと。この3つについて事業準備の段階で進めていきたいと考えてございます。それから最後に、処分と処理は不即不離という状況でございますので、ここはやはり処分をされる原子力機構との間の連携を今まで以上に強化させていただきたいと思っております。以上でございます。

【山名主査】

 ありがとうございました。それでは、ただいまの件に関しまして、ご質問等お願いいたします。佐々木委員、どうぞ。

【佐々木委員】

 ちょっと変なことをお尋ねしますが、4ページに「3ヶ年の事業化調査」という表がございますが、私の記憶では、以前、2年ぐらい前でしょうか、ご説明していただいたときは、この表の一番左のほうの欄の一番下、「情報発信」というところに「立地の調査」というような項目が入っており、それから、一番右の平成22年度の、ここでは「経済性評価(2)」と書いてあるところに「事業主体」と入っていたのではないかと思ったのですが、「事業主体」と「立地決定」というのは、10ページの現時点ですか、ここのところに書いてあるのね。これは少し時期がずれた、遅れたためというふうに理解したらいいですか。

【森委員】

 はい、おっしゃるとおりでございまして、確かに平成20年度ごろに私どもが最初に思ったときは、3年ぐらい経てばいろいろなことが決まるだろうし、それから、いろいろなことができてくるだろうなと思って検討を開始したところでございます。例えば経済性評価も、今日、絵で構造をお見せしたのは、平成21年度の結果でございまして、よくよく考えると、これだけですべて決めていいのかと。実はまだ、それに対してどういうリスクがあるのかと、事業をやるためにはどういうリスクがあるのかと、そういうことを検討しないといけないというのが平成21年度の最後のほうにわかってきましたので、今年度は実はリスク評価をやって、どういう事態になればコストが何割ぐらい上がるのかというところまで追い詰めてきたわけでございまして、そういう意味で言うと、事業調査としては大体こんなことかなと考えております。それから、立地も確かにおっしゃるようなことで少し遅れておりますけれども、それにかわって、実態的には情報発信、先ほど申し上げたような、まずは発生者の皆さんにちゃんと情報をあげて、やはり皆さんに接触をしていくと、どうやったらいいかわからないとかいうことが結構ございますので、そういう方々に対してこちらから積極的に情報を出していくということが必要じゃないかということで、今やらせていただいているということでございます。そういう意味で言うと、まさに事業準備に入っていくほうがどちらかというと事業主体的に動いていかなければいけないかなと思っております。

【佐々木委員】

 わかりました。

【山名主査】

 五味委員、どうぞ。

【五味委員】

 資料の5ページですけれども、今後、RANDECが物流システムの拠点設備を新規につくられるということですが、そうしますと、今、原子力機構で考えている埋設処分場との関連の中で、おそらく立地の最適化という一つの視点というのが当然必要になってくると思います。でも、全国100箇所程度、集荷しなければならない事業所があると。そうすると、なるべく処理費用を安くしたいという希望があるわけですよね。そうしますと、いわゆる集荷の場所と、今後計画される物流の拠点設備の場所、それから原子力機構の埋設処分場の場所、これがコスト的に一番最適化といいましょうか、安くなるような、そういう選定が当然必要になってくるのかどうかということ、その辺はどうお考えですか。

【森委員】

 まさに私どものほうとしては、発生者の皆さんの負担を一番低くする方法を考えるのが一義だと思っております。今、ご指摘のように。そのときにどのような形に処理と処分というのがあったらいいかとか、そういうのは、今後、具体的な立地な話になったときに検討をしていかなければならないだろうなと思っておりますが、現段階ではまだ、じゃあどれがベストの解かというところまで議論をしているわけではございません。ご意見として、あるいは今後検討をするときにその点を踏まえていきたいと思います。

【五味委員】

 一応連関性を持たせるということ、そういう認識でよろしいですか。

【森委員】

 それは多分必要になると思います。

【山名主査】

 石榑委員。

【石榑委員】

 10ページの事業スケジュール、これはまだご検討中だとは思いますが、お尋ねしたいのは、ここで言っておられる事業の対象となるのは、物量からいってもほとんどがウラン廃棄物と考えてよろしいわけですね。ただ、おそらくトレンチを考えておられると思いますが。私が申し上げたいのは、この表は、横軸、時間の絶対値が入ってないので、いつからかというのはよく見えないわけですが、ただ、一番下のところで言いますと、ここで考えておられる事業というのは、この図でいくと、新公益法人の事業としようとしておられるように見えるわけですね。そうすると、新公益法人の申請というのはあと3年ぐらいしか残っていませんから、横軸が大体見えちゃうわけです。私の質問は、ウラン廃棄物について、本当にここ数年ぐらいでその先が見えてくるのでしょうか。事業の内容が、当面、保管庫をつくってそこで貯蔵しておきますということなのか、あるいはさっきの中を開いて性状をお調べになるということなのか、そのあたりのところがちょっとよく見えないなということです。

【森委員】

 おっしゃるように、非常に工程を引くのが難しいところがありまして、もう一つは、ご指摘のように新公益法人への移行期間というのが法律で決まっておりますので、そうしますと、そちらは場合によると律速になって、あるいはそれは決める必要があれば、決めますけれども、立地はそれによってずれるかもわかりませんね。そこは、今はこういうような理想形みたいな絵を書いてありますけれども、実態に応じて変化してくる可能性は否定できないと思います。それから、大学・民間の廃棄物はおっしゃるように約7割がウランの廃棄物でございますので、やはり発生者の皆さんのことを考えれば、いかに早く持っていってあげるかということです。一つは、先ほどの課題でお願いしたように、技術基準を早く決めていただきたいなというのが、要望でございます。それからもう一つは、といいましても残りの約3割はウランじゃないところがありますので、そこは例えば、研究炉の廃止措置をやっておられるところあります。そういうところのものは処分できるのであれば、そこはやはり事業所によっては早期に処分をお願いしたいというところはありますので、まずはそこから入っていくというような格好になるのではないかと思います。

【石榑委員】

 私どもの経験で言いますと、新公益法人申請ということになると、資金計画とか、相当明確にしないといけないわけです。それもある程度根拠を持って立てないといけないということで、結構いろいろ、我々は今それで非常に苦労しているわけですけれども、そういう問題が必ず伴ってまいりますよということを申し上げたい。

【森委員】

 ありがとうございます。RI協会が先行されておりますので、ぜひそれを参考にさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【山名主査】

 どうぞ。

【津山代理】

 民は私だけのようですので。事業主体について先ほど議論が出ておりますけれども、少しでも早く決まるようにして事業準備に入っていただきたいというのが1つと、二つ目はやっぱり、実は電工会のメンバーではないような会社の方々が製造プロセスの一つとして、過去、もう事業をやめているけれども、トリウムを使っていたとかいうような廃棄物もございますので、少しでも経済負担がかからないような形をとっていただきたい。昨年だと思うんですが、引当金に対する租税の減免お願いもしておるようでございますけれども、その辺もぜひご考慮いただけたらというふうに思います。

【山名主査】

 森さん、コメントということでよろしいでしょうか。

【森委員】

 なるべく早くというお言葉でございますので、そういう形に準備ができたらいいかと思いますので、またいろいろ皆様とご相談させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【山名主査】

 最後に私のほうから基本的な考え方を1点確認させていただきたいのですが、おそらくこれは、ウラン加工事業者のような事業として発生者がきちんと出すものの内容物やスペックをきちっと押さえている能力を持っているところと、弱小事業者として、発生者責任というのは基本ですが、どこまで中のものを保証できるかわからない、というのもあるわけです。お考えの事業は、本来、発生者が持っている内容物に対する責任も一括して引き取ろうと、発生者責任を一括買い取りましょうという事業であるか、そうでないかで、かなり違ってくる。

【森委員】

 原子力政策大綱で廃棄物については発生者責任と明確に書かれておりまして、それを全部、例えば私どもが処理を行う立場になったときに処理責任ですというのは、少々、おこがましいかなと思いますが、とは言いながら、廃棄体として出すと、それは地域の方々に対してそれを受け入れてもらうということ、電力がやっているのとかなり異質な廃棄物の扱いになってくるだろうということから言えば、処理側がかなりのことをできるような、品質管理も含めて、あるいはデータベースも含めて、できるような形にどうしたらいいかということが一番のポイントでして、そこの考えの中から出てきたのがここで言う開梱・分別でして、そういうようなことでぜひやっていきたいと考えております。ですから、例えば大手の事業体の場合ですと、大手の中で自ら品質管理的なものをできるところがあると思いますので、そこはそういうことができるということを確認できれば我々のほうの開梱・分別の負担はかなり減るのではないかと思いますが、まだそこまで最終的に整理はしておりませんが、概念的にはそんなことじゃないかと思います。

【山名主査】

 津山さんがおっしゃったことも含めて、かなり大事なところだと思いますね。こういう事業者がかなり散らばっているものにおいて、廃棄物の安全性をうまく日本全体として保障していくための体系ということですので、今後ともぜひよろしくご検討をお願いいたします。

【森委員】

 はい、ありがとうございます。

【山名主査】

 ちょっと時間が押しておりまして、不手際で申しわけございませんが、最後の議題に入りたいと思います。最後は、先ほどから議論になっています規制の話でございまして、研究施設等廃棄物に係る安全規制の主な検討状況について、科学技術・学術政策局原子力安全課の方からお願いいたします。

【原子力安全課(松本)】

 原子力安全課の松本と申します。よろしくお願いいたします。資料4に基づきまして、研究施設等廃棄物に係る安全規制の主な検討状況についてということで2点、先ほどからお話出ておりますけれども、RI法におけるクリアランス制度の導入と、原子炉等規制法におけるウラン取扱施設におけるクリアランスレベルの追加に関して、概要を簡単にご説明したいと思います。

  資料の2ページでございますが、放射線障害防止法へのクリアランス制度の導入の経緯でございますが、ご存じの先生方も多いかとは思いますけれども、平成10年ぐらいに原子力委員会のほうでクリアランス制度を導入する方針というのが示されまして、その後、IAEA等での議論も踏まえて、平成16年に原子力安全委員会のほうでクリアランスレベルの、特に原子炉等規制法の関係のクリアランスレベルが策定されたと。平成17年に具体的に原子炉等規制法が改正されまして、クリアランス制度が導入されております。この原子炉等規制法の動きを踏まえまして、文部科学省のほうでも放射線障害防止法へのクリアランス制度の導入について検討を行いまして、その結果として、平成22年5月に放射線障害防止法を改正いたしまして、クリアランス制度を導入したところでございます。ただ、法律のほうはまだ施行しておりませんで、公布日から起算して2年を超えない範囲内の政令で定める日ということにしておりまして、後でご説明いたしますが、今、下部規定のほうを整備しているという状況でございます。RI法へのクリアランス制度の導入の目的でございますが、これは先ほどからお話が出ておりましたので、クリアランスされたものに関して産業廃棄物として処分したり再利用したりすることが合理的であるということで、RI研廃の研究施設等廃棄物の埋設が合理的に行われることが期待されるということで、原子力機構の実施される廃棄物の処分のほうの合理的な推進ということにも貢献するものであろうと考えております。

  4ページでございますが、このクリアランス制度の設定のほうでございますけれども、10マイクロシーベルトを超えないようにということでクリアランスレベルのほうを設定いたしまして、先ほどRI協会のほうからもご説明等ございましたが、事業者のほうでいろいろと実施方法を検討された結果を国のほうで測定及び評価の方法の認可ということで認可をすると。その後、実際に事業者のほうで作業されたものに関して国による測定と評価の結果の確認を行うということで、これは登録機関もRI法に関しては実施できるようにすることにしておりますが、国による測定及び評価の結果の確認という二段階のチェックを行いまして進めるということにしております。クリアランス制度を具体的に適用する放射能濃度の基準でございますが、これは10マイクロシーベルトということにしておりまして、放射線障害防止法施行規則の委任を受けた告示で定める方向にしておりまして、国際基準に沿う形にしているということでございます。当面の間は、先ほどもお話が出ておりましたが、金属くず、コンクリート破片、ガラスくず、それから、RI独自のものとして燃え殻、ばいじんということで、こちらの放射能濃度基準のみを定めることにしておりまして、放射線審議会のほうから答申もいただいたところでございます。今後、具体的にこれを告示で定めるということでございます。それから、次のページでございますが、放射能濃度の測定・評価方法に関する認可基準、こちらも今検討しているところでございまして、放射能濃度の分布の均一性といったところを考慮しつつ、最終的には確認対象物への異物の混入ですとか放射性同位元素による新たな汚染防止ができる管理体制というところに着目をして認可を行っていきたいと、現在、省令を検討しているところでございます。また、放射能濃度の測定・評価方法に関する確認の方法ということでございますが、具体的な確認作業でございますが、まず、申請書による書面上の申請に加えまして、現地にて事業者が行った測定・評価が認可方法どおりに行われたか、記録の確認と対象物の照合、こちらは全数確認をして、それと抜き取りの確認も行うことにしていると。記録確認は全数行いまして、現場確認は、容器の封印ですとか、定められた場所での保管等に関しては全数を確認した上で、収納状況ですとか、放射能濃度に関しては一部を抜き取りで実施するといった方向で検討をしております。続きまして、原子炉等規制法のクリアランス制度でございますが、こちらはもう実際に原子炉等施設に関しては動いているものでございますけれども、ウラン取扱施設におけるクリアランスレベルのほうを追加する作業をいたしましたので、そちらのほうの概要をご説明させていただきます。原子炉等規制法におけるクリアランス制度に関しましては、原電東海の解体ですとか、試験研究用原子炉の解体ということが問題となっているということを踏まえまして、平成17年の原子炉等規制法改正においてクリアランスレベルが導入されているところでございます。文部科学省所管の安全規制に係るものに関しましては、現在、原子力機構の旧JRR-3の改修工事に伴って発生したコンクリートに関して処理をしているというところでございます。次のページでございますが、原子炉等規制法のクリアランス制度のほうも国のチェックは二段階ということになっておりまして、国による測定及び評価の方法の認可と、国による測定及び評価の結果の確認という二段階になっております。原子炉等規制法の確認作業はRI法と異なりまして、登録機関の入る余地はなく、国が直接やることになっております。それから、ウラン取扱施設におけるクリアランスレベル追加の経緯、こちらはご覧いただければ結構かと思いますので、割愛させていただきます。ウラン取扱施設におけるクリアランスレベルの確認でございますけれども、具体的な評価の対象として、JAEAの人形峠の環境センター、ウラン濃縮試験プラントなどを想定いたしまして、主に金属から出るであろうというところも、IAEAのRS-G-1.7等を踏まえまして定めております。結論としてクリアランスレベルは国際基準値(RS-G-1.7)と同じ値をとっておりまして、ウランの核種ごとに定めているという形になってございます。こちらを踏まえまして、現在、次のページでございますが、適当とされた5つのウラン核種についてのクリアランスレベルを追加するための規則の改正のほうを用意しておりまして、もう間もなくでございますけれども、今後、原子力機構の人形峠の環境技術センター、それからJCOが今持っていらっしゃるので、そちらのウラン取扱施設から発生する資材等について申請が行われることが見込まれているという状況でございます。簡単ではございますが、以上でございます。

【山名主査】

 ありがとうございました。それでは、ただいまの点について、ご質問等ございますか。石榑先生、どうぞ。

【石榑委員】

 1点、ちょっとお尋ねしたいのですが、5ページにクリアランスレベルについて書いてありまして、今、ご説明なかったかと思いますが、上から三つ目の黒い丸のところに、放射能濃度は――クリアランスレベルはということだと思いますが、廃棄物の性状ごとに示す予定であるというふうにお書きになっていますが、この意味は、例えば下のほうで、金属くず、コンクリート破片、ガラスくず、これは原子炉等規制法で今対象になっているわけですが、それと、例えばですけど、燃え殻、ばいじん等については、同じ核種であってもクリアランスレベルが異なると。例えばドイツとかスウェーデンはそういう形になっていると思いますが、ここでは、そういうことをおっしゃっているのではないですか。

【原子力安全課(上田)】

 原子力安全課放射線規制室の室長補佐の上田と申します。まず、性状ごとに示すということについては、先般、放射線審議会のほうに答申をさせていただきましたが、金属くず、コンクリート破片、ガラスくず、あと、燃え殻またはばいじんということで、性状ごとにという意味でございます。クリアランスレベルについては……。

【石榑委員】

 じゃあ、少なくとも今回は、核種が決まればそれでという、そういう意味ですね。だから、性状によって分けるというわけではないという、そういうことですね。

【原子力安全課(上田)】

 そうですね。基本、一緒になりますが。

【石榑委員】

 そういう意味ですね。ちょっとそこは誤解を招くような表現にも読み取れます。

【山名主査】

 他にいかがでしょうか。どうぞ。

【辰巳委員】

 いろいろなところに「国による」っていっぱい出てきますけれども、この「国」という言葉が何か、ちょっとよくわからないです。すみませんが、もう少し具体的に、どこのだれがやってくださるのか。認可とか、いろいろありますね。

【原子力安全課(松本)】

 登録機関はまさに他の制度の事例で言うと原子力安全技術センターなどがやってくださる場合もありますが、ここで、特に原子炉等規制法の確認ですとか、そういったものは、ほんとうに私ども職員、原子力安全課の職員がやることになっております。

【辰巳委員】

 わかりました。

【山名主査】

 よろしゅうございますか。それでは、少々時間を超過いたしましたが、これで本日の4つの議題はすべて終了いたします。それでは、事務局のほうから今後の予定等についてご説明をお願いいたします。

【川口放射性廃棄物企画室長】

 次回作業部会の日程等につきましては、また後日事務局よりご連絡させていただきたいと思います。また、本日の議事録につきましては、でき次第、メール等にてご相談させていただきますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。

【山名主査】

それでは、第8回研究施設等廃棄物作業部会はこれで閉会いたします。どうもありがとうございました。

 

-了-

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