第4期 地球環境科学技術委員会(第3回) 議事要旨

1.日時

平成19年5月16日(水曜日) 15時~17時

2.場所

三菱ビル 地下1階 M1会議室

3.議題

  1. 21世紀気候変動予測革新プログラムの運営計画について
  2. 生物多様性観測・解析・評価に関する研究開発のあり方について
  3. その他

4.出席者

委員

 小池(勲)主査、井上(元)委員、井上(孝)委員、小池(俊)委員、笹野委員、住委員、西岡委員、安岡委員、若林委員(委員9名)

文部科学省

 坂本地球・環境科学技術推進室長、西山地球・環境科学技術推進室長補佐、宮内海洋地球課長補佐

5.議事要旨

(1)21世紀気候変動予測革新プログラムの運営計画について

 事務局から、資料1に基づき、21世紀気候変動予測革新プログラム運営に係る年間スケジュールに関する説明があり、その後質疑応答が行われた。

 主要な議論は以下の通り

【事務局】
 資料1の年間スケジュールは、今後5年間同様のサイクルで回していくということを踏まえて作成した。全体プログラムの調整の事務的な作業は、海洋研究開発機構及び地球科学技術総合推進機構にお願いしている。

【委員】
 気候変動は、変動の事実の方がかなり早く動きつつあるというようなこともあるため、必ずしも計画どおりに進めるのではなく、もっとそれを早めていくというフレキシビリティーをある程度確保しながら進めていく必要がある。

【委員】
 総合科学技術会議でも、このプログラムは最先端を進みながらも、それに対する応用について国民に対してはっきり示してほしいということがいわれている。特に環境省との連携を取りながらやっていくことが重要。

【事務局】
 文部科学省・環境省合同会議は、両制度の連携として、今後の予測実験のシナリオをどうしていくのかということを議論する場になるのではないかと考えている。我が国として、全球モデルを用いた気候変動予測というものをどういうシナリオで行っていくのかというところは非常に大事である。

【委員】
 モデル自体がある種の確率分布を持っており、影響もある程度の不確実性を持たざるを得ない。不確実性があるのは当たり前であり、それをリスクの観点からどう一般社会に説明をすればいいかという問題は非常に大事であるが、研究者は確かな情報しか出したがらないので、研究者の姿勢と一般社会の期待との間のギャップを埋める努力をしていかないといけない。

(2)生物多様性観測・解析・評価に関する研究開発のあり方について

 事務局から参考1、参考2を基に、生態系管理研究領域における今後の施策の展開についての説明があった。その後、井上(孝)委員から参考3に基づき、生態系・生物多様性観測・解析・評価に関する研究開発のあり方についての発表が行われ、質疑応答が行われた。

 主要な議論は以下の通り

【事務局】
 これまでの取組がやや弱く、今後伸ばしていくべき分野として、戦略重点科学技術の「マルチスケールでの生物多様性観測・解析・評価」が有望であると考えている。JSTの戦略的創造研究推進事業の戦略目標として出していくことも考えているので、どういう形で進めていくかを議論していただきたい。

【委員】
 今の日本にとっての緊急性、重要性を考えると、陸域よりも海域の方に注力した方が良いと認識している。海域の汚染・劣化等を考えると、急いだ方が良い。

【委員】
 海洋生態系を考えるときでも、河川等の陸域からの輸送も大事になるので、そこを切り離して、海だけでやるというのは無理があるのではないか。海洋の生態系に重点を置くにしても、そこに影響を与えるものは取り入れないといけない。

【委員】
 生物多様性や生態系の観測をやっていく上で、それらが壊される要因をしっかり押さえるべき。一つは人間活動の海洋生物資源生産への影響、化学物質だけではなく有機汚濁も含めた水質・大気・土壌等の劣化。二つ目は生息場所などの物理的影響。三つ目は生物間の相互作用。

【委員】
 海洋に関しては、生態系や汚染という路線、資源や水産という路線など全く軸足が違うものがあるので、ストラテジーをしっかりしておかないといけない。海洋基本法もできたので、海に関しての2050年ぐらいまでのロングタームの視点を持った上でやる必要がある。

【委員】
 環境にとって最も大事なところは大陸棚。汚染にしても、漁獲資源にしても、沿岸域の浅いところの問題なので、そこをベースにして、様々な技術を応用していくというスタンドポイントに立つと、汚染に対する対策や、漁獲資源の減少、藻場の劣化などの話も入ってくる。海という漠然としたものではなく、具体的に日本として大事な場を設定し、そこでどういった技術を応用すれば、利用・保全がうまくいくのかということを考えると分かりやすくなる。

【委員】
 「里海論」のように、人間が関与する中で環境をよりよくするようにできるはずだというコンセプチュアルなプロジェクトを日本から出しても良いのではないか。瀬戸内海は世界に冠たる生産の海であり、都市域からの富栄養物等が非常に効いているので、そういった場でやるのが良い。また一つの可能性として、東アジアの安定というコンテキストで、日中韓で協力して日本海や東シナ海をテーマにするということも考えられる。

【委員】
 文部科学省がやるプロジェクトとして、何がイノベーションにつながるブレークスルーなのかというのを明確にした方がよい。メタゲノム研究というのは一つの柱になると思うが、例えばこうした遺伝子レベルの情報から非常に幅の広い環境情報まで、データ統合的な考え方は一方で動いているので、そことうまくリンクさせながら、あるいは、21世紀気候変動予測革新プログラムの方で動いているものとどこがリンクできるのかという、科学技術政策の関連性を明確に示すべき。海洋基本法という法的な枠組みの他にも、例えば生物多様性国家戦略の中での位置づけ等、様々な政策との関連をぜひ明らかにしておいてほしい。

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研究開発局海洋地球課地球・環境科学技術推進室

(研究開発局海洋地球課地球・環境科学技術推進室)