第4期 地球環境科学技術委員会(第5回) 議事要旨

1.日時

平成20年2月8日(金曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省 16階 特別会議室

3.議題

  1. 平成20年度予算案について
  2. 研究開発課題の評価の進め方について
  3. 「一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化プロジェクト」事後評価作業部会の設置について
  4. 「地球環境科学技術に関する研究開発の推進方策について」の見直しについて
  5. その他

4.出席者

委員

 小池(勲)主査、石川委員、井上(元)委員、井上(孝)委員、笹野委員、住委員、高村委員、西岡委員、三村委員、山口委員、若林委員(委員11名)

文部科学省

 青山大臣官房審議官、岡村地球・環境科学技術推進室長、西山地球・環境科学技術推進室室長補佐、宮内海洋地球課課長補佐

オブザーバー

(説明者)
 安井至 科学技術振興機構研究開発戦略センター シニアフェロー

5.議事要旨

(1)平成20年度予算案について

 事務局から資料1及び参考資料1~3に基づき、文部科学省における地球環境科学技術分野の平成20年度予算案について説明がなされた。

(2)研究開発課題の評価の進め方について

 事務局から資料2及び参考資料4に基づき、地球環境科学技術分野の平成20年度研究評価計画(案)について説明がなされた。その後質疑応答が行われ、承認された。

 委員からの主な意見は以下のとおり。

 中間評価票の評価のポイントにある「国益からみた評価」という部分は、社会的ニーズ、社会的要請というのを意識するというようにストレートに表した方がよい。国益というと何が国益か分かりにくい部分がある。
 概要の目的、必要性のところで社会的ニーズが書き込まれているので、そこに照らして評価をする。あるいは社会ニーズの変化に応じて変更が必要な点は何か、というような項目を立てた方が評価しやすいのではないか。

(3)「一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化プロジェクト」事後評価作業部会の設置について

 事務局から資料3に基づき、「一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化プロジェクト」事後評価作業部会の設置について説明がなされた。その後質疑応答が行われ、承認された。

(4)「地球環境科学技術に関する研究開発の推進方策について」の見直しについて

 事務局から資料4~6に基づき、最近の国内外の情勢の変化を受けて、国際共同研究と環境対策技術にこれまで以上に取り組んでいく方向で、推進方策の見直しを行うことについての説明がなされた。また、これに関連して科学技術振興機構の安井シニアフェローから、環境技術国際比較調査に関しての報告がなされた。
 今後は、事務局で簡単な見直しの方針のガイドを作り、委員からメールで意見を出してもらう形で進めていく。次回の委員会では、各委員の意見を事務局でまとめたものを基に審議していく。最終的には、8月下旬の研究計画・評価分科会において審議される予定。

 委員からの主な意見は以下のとおり。

 国際共同については、例えば気候変動の問題を念頭に置いても、途上国自体が自分たちの力で自分たちの将来を見通すことができるような科学的な力をどう形成するかということが大きなテーマとなる。そうした部分を一緒に協力・研究することを通じて、日本に対する信頼や地位が広がっていくことが外交的な視点であり、そういう意味では、途上国の科学技術に対する能力形成、キャパシティービルデングが大きな目的となるのではないかと思う。
 明らかに時代はアクションの時代に移ってきている。それはキーワードとしてはサステナビリティーのようなコンセプトで、脱温暖化だけではなく、高齢化など総合的な取組が必要。したがって、環境対策技術といっても非常に幅広くなり、他省庁でも様々な取組がなされている。そうした部分を含めて、まず政府全体としての大きな柱があって、その中での文部科学省の役割を明確にしておくのが、制度設計上で非常に大事ではないか。これから文部科学省が何をなすか、ということがまずあって、それを受けて議論していかないといけない。
 各省の状況、政策、方針などをよく理解しながらやっていく必要がある。科学技術の実用化に近いところは、経済産業省、農林水産省などが実施しているが、基礎研究に近いところは本来文部科学省が何をやってもいいはずの領域である。各省の役割分担をそうした研究のフェーズで分けるという考え方もある。
 地球環境問題というのはほぼすべての省庁で取り組まれており、本来であればこれを一本化して、ヒト・モノ・カネをより効率的に使うためにうまくまとめる、連携するというのが大事で、そのために総合科学技術会議でいろいろと議論されているが、なかなか時間がかかることだと思う。したがって当委員会では、文部科学省としての役割は何かということを明確にして、それで進んでいくということしかなく、そういう観点からすると、この資料5の「2.3文部科学省の役割」の書きぶりで方向性が決まるので、ここがもう少しボリュームがあっても良いと思う。文部科学省の役割というのは、やはりアカデミックな集まりであるということと「教育」というキーワード、これに尽きるのではないか。
 観測、予測、対策とあるが、結局そこまでになってしまっている。その結果として、具体的に農村が衰退したり都市が更新したりしているが、そのレビューのプロセスというものがない。それぞれの県市町村レベルの審議会が細々とその対応しているものの、地球環境という大きな視点から客観的にレビューをするプロセスが欠落していて、おそらくどこもやっていない。
 様々なプロジェクトに対して、それが地球環境のサステナビリティーや生物多様性、あるいは低炭素化社会といったものに対してどういう役割を持ち得るか、あるいはどこに問題があるかといったことを専門家の立場からレビューをして、改善が必要な場合には、それなりのコストを社会的な費用でサポートする。そうした、ある程度の権限と費用、社会的責任とが一体となったようなプロセスができると、環境対策技術の抜けている一番大事なところがつながるのではないか。
 環境科学という分野は真実解明のみにとどまる分野ではなく、必ず環境改善に役立つような、環境を変えるような学問でなければならず、基礎・基盤的研究であっても、必ず改善策まで導けるようなものを含んでなければならない。
 今の地球環境問題というのは、国民一人一人が協力しなければならないが、国民に働きかけるときには住民運動などの手間のかかるやり方をしなければならない。文部科学省の場合には、小学校からの教育を持っており、そこと結びつくような応用研究・対策研究といったものを立ち上げることができたら、日本も随分変わると思うので、そうした研究が何かできないのかと思っている。
 地球環境、温暖化、気候変動だけではなく、生態系や水循環といった、ごく身近な問題も含めた環境もカバーするということが非常に重要。
 気候変動の影響が実際に国土など我々の生活に起こり始めているが、生活への影響というのは温暖化だけではなく、防災や生態系や農業の問題など様々なものも含めた、非常に総合的なものになる。しかしながら、そうした観点での研究は、ほとんどされておらず、例えば少子高齢化の社会になり、農業のやり方も変わり、そこに気候変動の影響が起きたら、将来的に何が起こるかということについてはなかなかアプローチできていない。したがって、これだけ温暖化が顕在化してきつつある状況のもとで、他の環境問題も含めた複合的な影響というのを研究するというのはぜひ必要なのではないか。
 また、気候変動研究の成果として将来の社会の姿がだんだん分かってきつつあるということが今の特徴として非常に大きく、特に去年ぐらいから国際的な政治の場でも議論が盛り上がっており、低炭素社会、循環型社会、自然共生社会、あるいは安全・安心の社会など、持続可能な社会と言われているものの将来の社会の姿が見えてきている。そうした将来の社会をどう準備するか、自然科学の研究者が観測をして何かが分かるといったものとは違う話として、将来の日本の国土をどう形成するのかという観点からの研究も非常に重要。
 これまで、気候変動研究をやってきて、そこで分かってきたことというのは、このように研究の分野をもう一遍広げる必要があるということではないかと思う。
 環境対策技術の開発に重点を置いた表題になっているが、やはり社会的ニーズということを議論していくときには、社会が何を求めているのか、実際にその技術を普及していく政策がどういうものか、という点を抜きに議論はできない。技術を使う市民とのインターフェースのあり方、あるいは途上国に技術移転をするときには政策がなければ広がっていかないということもあるので、技術開発に比重を置きつつも、そうした社会科学の研究、一歩進んだ普及のところまで踏み込んでいくものになっていければ良い。

(5)その他

 次回は4月~5月に開催予定。

お問合せ先

研究開発局海洋地球課地球・環境科学技術推進室

(研究開発局海洋地球課地球・環境科学技術推進室)