第4期地球観測推進部会(第3回) 議事録

1.日時

平成23年7月20日 水曜日 16時00分から18時00分

2.場所

中央合同庁舎7号館(金融庁)13階共用第1特別会議室

3.議題

  1. 平成22年度の我が国における地球観測の実施計画のフォローアップについて(報告)
  2. 地球観測における衛星の重要性
  3. 平成24年度の我が国のおける地球観測の実施方針について
  4. その他

4.出席者

委員

小池(勲)部会長、大垣部会長代理、青木委員、井上委員、小池(俊)委員、沢田委員、高薮委員、佃委員、中澤委員、藤谷委員、堀川委員、本藏委員、安岡委員、和気委員

文部科学省

研究開発局環境エネルギー課 福井環境科学技術推進官、宇宙開発利用課 岩佐宇宙利用推進室長、他。

オブザーバー

内閣府総合科学技術会議事務局 村上 参事官(議題1発表者)、財団法人リモート・センシング技術センター 米山 常務理事(議題2発表者)

5.議事録

【小池(勲)部会長】  

それでは、ただいまより科学技術・学術審議会の研究計画・評価分科会 地球観測推進部会の第4期の第3回会合を開催したいと思います。本日はお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 事務局から出席者の確認をお願いいたします。

【福井推進官】  

本日ご出席の委員の先生が14名で、過半数に達しておりますので、部会は成立となります。

 本部会は部会運営規則により公開とさせていただきます。

 

議題1.平成22年度の我が国における地球観測の実施計画のフォローアップについて(報告)

【小池(勲)部会長】  

 それでは、最初の議題に入ります。議題1は、平成22年度の我が国における地球観測の実施計画のフォローアップについてです。例年同様、内閣府総合科学技術会議の事務局よりご報告をお願いいたしたいと思います。村上参事官、よろしくお願いします。

【村上参事官】  

それでは、平成22年度の我が国における地球観測実施計画のフォローアップの報告をいたします。資料としましては資料1の横長の概要版を使って説明させていただきます。

 まず、1枚開けていただきまして、1ページ目のところに、我が国の地球観測の推進体制について書かれております。フォローアップのことも全体がここに記述されておりまして、この推進体制の中で計画からフォローアップまで、いわゆるPDCAサイクルというふうな形で実施、推進が行われております。

 まず、プランといたしましては地球観測の推進戦略に基づきまして、文部省の地球観測推進部会のほうで、戦略に基づいて方針及び実施計画をつくられるということでございます。これがいわゆるプランに当たるということです。

 その実施計画に基づきまして、各府省がそれぞれを実施する事業を登録いただきまして、その地球観測を実施するということ。これがDO、実行の部分に当たります。そして、各省は1年をかけていろいろと実施していただきました成果を文部科学省のほうに報告し、文科省のほうで取りまとめるということになっております。その報告をもとに総合科学技術会議が結果をフォローアップするということで、いわゆるチェック機能をここで果たしております。

 その結果は、地球観測推進部会に報告されまして、ここで総合的な評価、それから国内外の動向を踏まえまして、今後の地球観測の推進戦略の見直し等、いろいろと検討していただくということになっております。ここの部分がアクションの部分に当たるだろうということで、我が国の地球観測の推進体制というのは、こういった形でPDCAサイクルにのっとって行われているということでございます。本日は、このチェックのところについてお話をしたいと思います。

 続きまして、1枚開けていただきまして2ページ目のほうに、今回のフォローアップの構成が書かれております。地球観測の推進戦略に基づきまして、地球観測推進部会のほうでは、その年度に何を行うかというところを重要な課題として設けまして、実施方針を定められるという仕組みになっております。平成22年度におきましては、気候変動への対応が世界的な政策課題に当たるということでございまして、気候変動に伴う地球環境の変化を具体的、かつ正確に理解するということが非常に重要であると。そのための地球観測を実施すべきだということで、22年度の実施方針が決められております。

 それから、もう一つは、地球観測の推進戦略、これに基づきまして、いわゆる定常的、あるいは継続的な観測も着実に進めるということで、実施方針と推進戦略、この2つをもとにしまして、平成22年度の地球観測の実施計画が練られたということでございます。この実施計画に対しまして得られた成果をフォローアップするということでございます。

 その結果は、縦長のほうの資料1を1枚めくっていただきまして目次のところを見ていただきますと、全体構造がわかるというふうになっております。1.及び2.でフォローアップの趣旨、それから方針等が書かれております。3.のところに進捗状況、今回のフォローアップの結果がここに記載されているというふうになっております。この目次を見ていただきましてもわかりますように、量的にかなり多いものになっておりますけれども、実施計画のところで本年度の焦点を当てるべきところは、地球観測のあり方ということになっておりますので、本日はこのあたりを中心にお話をしたいと思います。また、この地球観測のあり方というところで実施されております事業は、実質的にはこの目次の3.3のところに書いております分野別の推進戦略に基づく観測事業等の推進、この中の結果とかなりオーバーラップしておりますので、この3.1気候変動への対応に必要な観測体制のあり方、このフォローアップを見ていただきますと、ほぼ全容がわかるというふうに思っております。

 では、引き続きまして横長の資料1の3ページ目を開いていただきたいと思います。まず、本年度の地球観測の実施計画の進捗状況でございますが、先ほど述べましたように、本年度、焦点を当てるべきところは気候変動への対応に必要な観測体制のあり方ということで、ここでは3つの課題が大きく設定されております。1つ目は、気候変動のプロセス・メカニズム理解のための地球観測、それから気候変動への適応のための地球観測、それから、分野横断的なデータ共有・統融合という話でございまして、これは一つの研究の流れとしましては、現象を理解するための観測、プロセスを解明する、それから、いわゆるモデル化を支援するために、非常に不確実な現象等をしっかりつかまえてモデル化すると。予測モデルを構築するに当たって必要な情報を与えるというふうなこと。それから、実際の適応策のための地球観測ということ、それから、成果を社会に還元すると。そういった意味で分野横断的なデータの共有と、それをどういうふうにして社会還元するかという形で、3つの大きな課題が設定されております。

 まず1番目の課題でございますけれども、プロセス・メカニズム理解のための地球観測というところでは、取り組むべき課題としては、4つの課題を挙げております。一つは、炭素循環の解明、それから2番目が雲物理・降水過程の解明、3つ目が対流圏大気変化の把握、それから海洋変動の把握ということで、気候変動にかかわる非常に重要な要素がそれぞれ盛り込まれております。

 まず、1番目の結果を申し述べますと、例えば、3ページ目の左上のところにありますように、このプロセス・メカニズム理解のための地球観測、ここでは、雲物理・降水過程の解明ということで、熱帯降雨観測に搭載されたレーダー、あるいは米国の観測装置等を使って、中緯度域の降雨の三次元分布であるとか土壌水分等の観測が実施されているということで、こういった成果が気候変動の理解に資するというふうな結果が得られております。

 それから、3ページ目の右の上ですけれども、これは対流圏大気変化の把握ということで、科学的なメカニズムを明らかにするとともに、さらに科学的な理解がまだまだ十分でないような現象に対しても観測をさらに続けるということでございます。こうした成果はモデル等の構築に資するということになっております。

 それから、下2つ目の課題でございますが、気候変動への適応のための地球観測ということでございます。ここでは大きく2つ、適応を考えるに当たって課題が設定されております。一つは、水循環と風水害という課題。それから、生態系と生物多様性ということでございまして、気候変動に伴いまして、水循環や生態系、生物多様性などが非常に大きな影響を受けるということでございます。そして、その結果は、さまざまな水害、あるいは洪水災害等を引き起こす可能性があるということで、我々の身近な問題になると。それから、農業生産等にも大きな影響を与えますので、我々の社会生活にも大きな影響を与えるということで、こういった課題が設定されております。

 こうした気候変動への適応のための地球観測の中からの成果の一つとして、3ページの左下のところに例を挙げてございます。これは、集中豪雨などの降水事象の監視と発現メカニズムの解明ということでございまして、ここしばらくゲリラ豪雨とか、そういった言葉が頻繁に聞かれますけれども、そういった気候変動と関連するような形でよく見受けられます集中豪雨、そういったものにどう対応するかというふうなことでの観測、そしてそれの適応というところまで研究としては進んでいると思います。これに関しましては、例えば防災科学技術研究所が基礎的な研究をしまして、それを例えば国土交通省は関東地方でありますとか北陸地方、中部・近畿地方、そういったところでそれを実装することによって、その有効性を検証しているということでございます。

 こういった形で基礎的な研究から応用、社会実装という形で気候変動への適応が図られているというふうな、比較的わかりやすい例がこういったところにあらわれているかと思います。

 それから、ほかにも、水循環に関しましては、総合的な水資源管理システムの構築、こういったものも必要であるというふうなことで、そういったことも適応策の研究の一環として行われているというふうな状況がございます。

 それから、3番目の課題としましては、分野横断的なデータ共有・統融合ということで、先ほど述べました大きな課題、メカニズム理解、あるいは適応策のための地球観測、こういったいろいろな観測の成果、こういったものを社会に還元していくというふうなこと、こういったものを社会的に有用な情報に変換することによって、環境問題という複雑ないろいろな要因が絡まっている問題に適用して、それを社会に認知してもらうということが非常に重要であるということで、こういった研究としましては、昨年度はDIASの成果をご紹介したかと思いますけれども、本年度は、例えば3ページ目の右下のところにございますような、産業技術総合研究所が開発しております地球観測グリッド、こういった形でGISデータとさまざまな衛星データとが融合していくということで、ユーザーが手軽に利用できるということができております。

 この右下のところには、東日本大震災におきまして冠水被害、どの程度冠水したかというデータ、こういった形で地球観測データが目視できると。皆さんに感じてもらうことができる形で提供できるという形で、こういった気候変動のための地球観測がさまざまな社会的な要請にもこたえることができるということでございます。単に地球観測のシステム、それ以上の効果が上げられるということで、こういった分野横断的なデータの統融合というのは非常に重要な役割を今後も果たすというふうに考えられます。

 その他にも、横長のものの2ページ目を見ていただきますと、本年度集中的に行われた実施計画という以外にも、地球観測等事業の推進でありますとか、それから分野別の推進戦略に基づく地球観測等事業の推進というものがございますけれども、こういったものは縦長の資料1、この中に代表的な、各省庁から上げられてきております情報、あるいは研究成果、そういったもので比較的特徴がつかみやすいものを紹介しておりますので、そちらのほうを見ていただければ結構かと思います。

 また、もう少しそれよりざっと全体をつかむという意味では、先ほど述べましたように、3.1の気候変動への対応に必要な観測体制のあり方のあたりを読んでいただきますと、全体の進捗状況がわかるというふうな構造になっております。

 こうした全体像を総合科学技術会議のほうで検討いたしまして、4ページ目のところに結論と今後の課題という形でまとめさせていただいております。主な結論につきましては、例えば3ページ目の研究成果の報告と、こういったところである程度紹介しておりますので、全体につきまして少しだけ述べておきたいと思います。全体としまして地球観測の推進戦略に基づきまして、ニーズ主導の地球観測システム構築や、それに向けた各省庁の効果的な連携が着実に推進されているという形で進んでいると、現在、我々のほうでは判断しております。また、先ほど述べましたような形で、地球観測の成果、あるいはデータの統融合の成果、こういったものが一部、社会に還元されているということが言えるかと思います。

 それから、こうしたフォローアップに基づきまして、今後の課題というものを抽出した結果が4ページ目の下の段でございます。幾つか課題としてありますのは、まず、戦略的な地球観測の推進が今後とも必要であるということでございまして、特に、全球観測と地上観測データの統合化、あるいは観測点の増加、こういったものが総合研究を推進する上で必要であるということが指摘されるかと思います。

 また、観測ニーズの把握と対応ということでございまして、適応策を考えるということになりますと、さまざまな地球環境の変動、あるいは、自然災害に応答する被災軽減に向けた現象の把握、そういったものを進めながら、それを予測や水資源管理にむすびつけていく必要があると考えております。

 また、3番目の観測データの統合・融合、これにつきましては既にDIASのサービスというものが実施されておりまして、これにつきましてはさまざまな形で情報が発信されております。そういったものを見ていただきますと、地球観測データをいかに有用なデータに変えて、それを発信するかというふうな重要性が指摘されるかと思います。

 それから、データ統融合、あるいは社会への還元という意味につきましては、今回のフォローアップでは幾つかいい成果がご紹介できましたけれども、ほかにもたくさんいい成果がありますが、そういった成果がなかなか表に出てこないのではないかというところが若干懸念されますので、得られた成果につきましては、技術者、研究者の方々がしっかりとアピールしていくということを考えていただきたいと思います。もちろん、データを統融合することによって、全体として出すということもあるかと思いますけれども、いずれにしてもしっかりしたアピールが必要であると思います。

 それから、その他といたしまして、一昨年、昨年においても指摘した事項でございますけれども、観測システムの安定的な運用ということに関しまして、基本的かつ重要な課題でなかなか克服することが難しい問題を指摘しておきたいと思います。一つは、長期的な観測体制の構築ということでございまして、これにつきましては、長期観測にかかわる資金の確保や人材の育成、確保、こういったものが課題であるということがまだまだ続いておるということでございます。それから、そうしたほかにも観測システムの更新、これにも資金の確保、あるいはそれに伴う人材の育成が必要であるということで、こういった基本的かつ重要な課題については、今後ともいろいろな場でアピールしていくことが必要ではないかと思っております。

 以上、平成22年度の地球観測の実施方針のフォローアップについて報告させていただきます。以上でございます。

【小池(勲)部会長】  

ありがとうございました。

 ただいまのご説明に関して何かご質問、コメントございますでしょうか。資料1はかなり膨大なので、なかなかすぐには読んでいただけないと思いますが、いかがでしょうか。

 1つ、主な今後の課題のところで書かれています、DIASとGEO Gridとの連携というのは、これは小池委員が出られていますけれども、いかがでしょうか。

【小池(俊)委員】  

これまでもGEO Gridの会議に私ども出させていただいたり、あるいはDIASの発表会にも代表の方がおいでいただいて紹介をいただいたりはしてきています。

 連携ということで、基本的にシステムが違う中でどういうふうな連携が図れるか、具体的な連携が図れるかというのを考えておるところでございますが、DIASはちょうどこの月から第2期をスタートさせていただきましたので、その中にはデータセンター間の連携強化というものを一つの大きな柱にしております。これは、GEO Gridもそうですし、世界で割と大規模なデータセンター、大規模というのはDIASのように集中型であるとは必ずしも限らなくて、分散型であり、かつ大規模だというセンターと、DIASをつないでいくという、これはシステムとシステムをつなぎますので、ハードウエア、ソフトウエアとも結構大変なんですけれども、それを大きな柱にしておりますので、当然のことながらGEO Gridもそのパートナーの一つというふうに考えております。具体的にどういうふうにシステムとシステムをつなぐかということをここで考えていきたいと思っています。

【小池(勲)部会長】  

ほかによろしいですか。ありがとうございました。

 

議題2.地球観測における衛星の重要性

【小池(勲)部会長】

次の議題に移らせていただきます。議題2は地球観測における衛星の重要性についてです。本日、安岡委員及び財団法人リモート・センシング技術センターの米山理事からそれぞれご説明をいただけるということになっております。

 まず初めに安岡委員のほうからお願いいたします。

【安岡委員】  

ありがとうございます。

 地球観測推進部会は、地球観測全体を取り扱う委員会でございますので、非常に包括的なものの見方をしなければいけないわけですが、その中でもやはり衛星を使った全球レベルでの観測というのが非常に重要な役割を果たすだろう、果たしていかなければいけない、と思います。そのための道筋をどうつくっていったらいいかということで、委員の1人として話題提供をさせていただきたいと思います。やや振りかぶった題名が入っておりますが、10分ほどでご紹介させていただきたいと思います。

 3つの内容についてお話しいたしますが、まず、望ましい社会。我々は一体何を求めているのかということですね。それから、その中でも地球観測が果たす役割というのは一体何なのか。その中で科学技術としてどういうことをやっていかなければいけないか。この3つの視点について話題提供をしたいと思います。

 まず、望ましい社会への道筋ということなんですが、一体我々は、持続可能な社会を実現するということは何をやっているんだろうかと。その中で、ドライビングフォース、プレッシャー、ステイト、インパクト、レスポンスというDPSIRサイクルというのがありますが、そういう視点で地球観測、衛星観測を見直してみたいというのが、ここに書かれた2つのポイントでございます。

 まず、持続可能な社会、釈迦に説法で申しわけありませんけれども、とりあえずまくらとして聞いていただきたいと思います。我々人間が自然界からエネルギーや資源を取ってまいりました。それを人間の生産活動の中で利用して廃棄してきたということがあります。その過程で資源が枯渇し、地球表面も改変されてきました。それが一つの形で、いろいろな形で自然への影響を与えるということが起きてきました。さらにそれは人間にも降りかかってきたわけです。その中にはやはり負の影響というのがあります。負の影響は必ずあるわけですが、何はともあれ、人間から人間に戻る循環を廻すということが非常に重要です。ある意味では、この循環が回れば、我々は持続可能な社会に生きているということが言えるのではないか。例えば、それに対する負の影響としては気候変動もありますし、震災もあるわけです。今回は自然界の中で起きた非常に大きな震災というものが、ある地域の循環を崩したと思います。この絵全体は、空間、それから時間によって対象が変わります。一国を考えるのか、一地域を考えるのか、地球を考えるのかによって違いますし、1年で考えるのか、10年で考えるのか、100年で考えるのかによっても違うと。我々は、これを知るためには、当然、観測をして、そしてプロセスの解明をして、モデル化して、評価して、そして改善をするということが必要になります。これを我々は今やっていると。

 その1丁目1番地が観測であるということになるわけです。当然、これにはいろいろなプロセスがあって、スケールも違いますから、さまざまな観測手段を使わなければいけない。例えば、先ほどもお話ししましたように、気候変動というものだけに限ってそのプロセスを見てみますと、人間活動がある種のドライビングフォース(D)になって、CO2が増えてきた。これはプレッシャー(P)になっているわけです。それによってステイト(S)、気温が上昇してきたということがあり、そのために影響として、例えば夏暑くなるとか、集中豪雨が増えるとか、いろいろなことが言われています。農作物にも影響があります。これがインパクト(I)になります。この絵画の中には、レスポンス(R)が入っておりません。どうやって改善していくかというのは入っておりません。これは最後にお話ししたいと思います。

 この中で地球観測、特に衛星観測がどういう役割を果たしてきたかという一例をご紹介したいと思いますが、例えば、左下にありますCO2の排出量分布、これは国立環境研究所の小田さんたちのグループが行ったものですが、もちろん地上のさまざまなデータ、それからDMSPという衛星の観測のデータから、CO2の排出量を推定したというものです。

 一方、GOSATはCO2の分布そのものを測っていると。これも国立環境研究所の最新のデータを使わせていただいております。さらに海面水温の分布というのが日本の衛星からも出てきている。もちろん気温の上昇というステイトも測っている。ステイトとかプレッシャーというのは衛星で十分に測れる。さらに、それが予測のモデルに入りまして、この右下は東京大学、それから海洋研究開発機構、国立環境研究所が共同で開発したモデルで出した予測結果になりますが、2100年までの気温の上昇を出しています。この中から、例えば真夏日が増えていくということが予測されます。上の赤いグラフは2100年までの真夏日が増えていく状況を示したものです。こういうインパクトが予測できる。さらに、さまざまな、農業分野において、人間の健康において、いろいろなインパクトがあるということは既にいろいろなところで出されています。その中でも地球規模で見るということになりますと、こういう衛星データを使って、さらにそれを同化したような形で予測モデルの精度を上げていくということが必要になります。

 その中で、特に衛星観測は一体どういうところに焦点を合わせるべきかというのが本日の話の各論になります。衛星観測というのが広域性を持っているとか、定期的に測れるというのはもちろん皆さん御存じのとおりで、継続性をこれから担保していかなければいけないという話をしたいと思います。

 それから、衛星観測は非常に学際的な分野です。といいますのは、スペクトルという一番基本的な物理量に基づいて農業、環境、自然探査、いろいろな分野で利用されます。基本的な原理は同じですが、学際的に利用できる、分野横断的に利用できるという意味での特徴を持つと。さらに、世界を国境を越えて測りますから、地球規模での観測には強いわけですが、一方で国境を入れれば、それに国際性が入ってくるということがあります。もう一つ強調したいのは、業際性という、リモート・センシングというのは、例えば、計測とデータ処理と最後の対策まで結びつけられる非常に大きな力を持っています。一番下にパッケージングということが書いてありますけれども、これも後ほど紹介したいと思います。こういういろいろな特性を持っている。それを今、使い切っているだろうかというのが本日の問題提起です。

 例えば、「いぶき」、これは最新のデータを国環研からいただきました。JAXA、環境省、国環研の共同プロジェクトで出しておりまして、これは時系列のデータで、二酸化炭素とメタンをはかっているわけです。これは非常に精度の高い計測をしなければいけない。さらに、このデータが地表面のプロセスモデルとつながって、どこからどういうふうに排出されているのか、吸収されているのかを出すということができるわけです。本日はそのデータを持ってきておりませんけれども、地表面の収支までを出せるようになりつつあるというところです。こういう観測とか予測とか、最後の出口までつなげることをやる一歩をこういうデータが提供しているということは非常に重要だと思います。

 これは春夏秋冬の分布をそれぞれ出したものです。2010年までしかまだ出ておりませんけど、これから2011年、2012年、2013年という形で進めていく必要があるだろうと。特に、これの継続観測が対策技術との結果どうなっていくかということを知りたいということがあるわけですので、継続観測が期待されます。

 もちろん、「だいち」が非常に大きな功績を残しました。残念ながら中止になってしまいましたけれども、例えば地図の作製、それから右下にあります災害の状況把握、これは先ほど、村上参事官からもお話がありましたけれども、非常に高い空間分解能でデータを出している。資源探査、それから地域観測、森林の影響を出すREDDみたいなものにもこれから十分期待される。これはALOS-2、ALOS-3にこれからつながれていくであろうという期待があります。経産省でもASNAROという高解像度の衛星が計画されています。こういうものをラインナップをそろえて継続していくということが非常に重要ではないかと思います。さらに、GCOMという、Global Change Observation Missionという衛星が計画されておりまして、これは国際的な協力のもとでGCOM-Water、GCOM-Climateという形で、シリーズでさまざまなデータを収集するということが期待されています。

 こういう衛星データは、当然、日本だけのものではなくて、アメリカ、欧州も参加しています。これはベンチマークをしたものですけれども、気候変動ですとか水循環ですとか災害ですとか、こういうものに対して協力をしながら、また、競争をしながら、技術の革新を図っていくということが非常に重要ではないかと思います。技術革新によってイノベーションが生まれてくるという気がいたします。もちろん、その間で国際連携が図られている。これも事実でして、GOSATにおきましても国際的な協力がもう既に確立しております。どんどんこれを進めていく必要がある。

 これは同じものを挙げてありますが、先ほどお話ししましたように、やはり広域性、定期性、定期観測性というのはもう皆さん御存じだと思いますが、やはりこれから継続性をいかに担保していくかというのは非常に重要だと思います。国際的にも協力しながら継続性を担保していくということが重要になります。

 業際性、これはちょっと言葉が慣れていないのですけれども、さまざまな事業主体が関与しています。観測するというだけではなくて、計算機を使って処理をする。さらに予測をする。評価をする。それが事業に結びつくというところに効果があるわけです。それを科学技術としていかに進めていくかということがあります。この2つに今、焦点を合わせてお話をいたします。

 実は、下のほうに10ほどテーマを挙げました。これは10年ほど前に私が日本リモート・センシング学会の会長をやっていましたときに、こういうことが将来必要になるということで挙げた項目で、このほとんどが実現されています。その入り口になっています。さらにやっていくとすれば、この上の2つに力点を置かなければいけないだろう、ということで取り上げました。例えば、計測モデルの高精度化、GOSATというのは非常に精度の高い観測が必要になります。これからもさらに精度を上げませんと、例えば、地表面の収支みたいなものは出て参りません。こういうことをどんどん進めていく必要があるだろうと。これがイノベーションにつながるだろうという気がします。

 それから、フィードバックループへの組み込み、これは今までの地球観測というのは、どちらかというと現象解明、さらにはモデル化というところまでつながっていたわけですが、これを望ましい地球につなげていくための対策にいかに結びつけていくか。これはもちろんモデルも評価も入ってくるわけですが、このフィードバックループに入れていくことが非常に重要です。そのためには業際、国際、学際という、際を超えると。従来は際と呼んでいたときには超えられないものというものが多かったわけです。瀬戸際、土俵際、引き際、死に際もありますが、こういう超えられないものをいかに超えるかというのが非常に重要だということで、特に業際に関しては、これを一つ、最後に挙げたいと思います。

 先ほどのDPSIRサイクルの中で、Rというのが先ほどの図に入っていませんでした。例えば、GOSATによってCO2が上昇していくのを継続的に観測できる。それが、例えば電気自動車をこれからどんどん導入していく必要があるだろう。例えば、ソーラーパネルをどんどん世界で普及させていく必要があるだろう。その要素技術は非常に日本が強い。これを例えば普及させるとしたら、こういう地域では、あなたの国では、CO2がどんどん減っていきますよと、こういうフィードバックループですね。この対策技術を施すことによって、いかにCO2が減っていっているかというところまでを含めて観測して、その効果を調べるというところまでを衛星観測が担わなければいけない。地球観測が担わなければいけないと思います。

 もう時間がまいりました。何が変わったか。これは、例えば、第4次の科学技術基本計画、これはこれから出ようとしていますので、「変わったか」という過去形で話してはいけないかもしれませんが、いずれにしましても、課題解決ということに向けてかじを切るということが行われます。グリーンイノベーション、ライフイノベーション、災害・安全という分野に力点を置くということがほぼ決まっていると思います。

 科学技術外交という言葉も既に総合科学技術会議が提唱されて、今、進んでおります。予算もつき始めました。

 さらに、未曾有の震災を受けて、安全のための科学技術。観測から対策に至る。対策は、堤防をつくるだけではなくて、堤防と警報と、この両方が必要なんです。警報の1丁目1番地はやはり観測です。こういうものに対して地球観測、それから衛星観測がどういうふうに使われていくかというのが、やはりこれからの課題ではないかという気がいたします。

 以上です。ありがとうございました。

【小池(勲)部会長】  

ありがとうございました。

 今のお話に関して何かご質問がございますでしょうか。

【井上委員】  

質問というよりもコメントなんですけれども、私はGOSATのチーフサイエンティストをやっておりまして、あまりGOSATのことを言うのははばかられるのですけれども、ちょっと現状を説明させていただきますと、もともと衛星観測が温室効果ガスを必要な精度で測れるかどうかというところで非常に疑問があって、ここでいらっしゃる中澤委員なんかは、非常に高精度の温室効果ガスの測定というところで世界にも貢献される仕事をされているわけですけれども、そういうレベルからすると、とてもだめなのではないかと思ったものを、なぜやろうという気に私、なったかといいますと、実を言いますと、グローバルな観測っていうのがなければ、炭素循環もだめだというふうなことを、その当時、東大にいらした松野先生から言われまして、とにかく衛星で測れるものがあったら、それにチャレンジして、最初はだめでも、そのうち改良していくんだからと、こういうふうなことをおっしゃって、それに元気づけられて始めたという経緯があります。

 そういうふうに衛星というのがすべではないんだけれども、少なくともそれにチャレンジして、そしてそれを改善していけば、どこまで行くかというのが、先ほどの安岡さんのお話の中にもあったかと思うんです。現在、十分とは言いませんけれども、かなり信頼できる、少なくとも相対的な値としては信頼できる精度が出るようになって、それが炭素循環についての理解を深めるというところまで来ていると思うんです。

 総合科学技術会議の報告の中では、継続っていうふうなのが切り離して書いてあるんですけれども、私は、継続的な発展といいますか、発展的継続というものでなければいけないと思うんですね。GOSATの場合で言いますと、この成功をもっと成果あるものにしていくためには、あるいは、5年という観測を10年、15年という、ほんとうに必要なタイムスパンまで広げていくためには、やはり改善しながら発展的な継続をこれからもやっていかなければいけないのではないかと。GOSATの例について言いましたけれども、私は、地球観測については一般的にも言えることだろうと思うので、ちょっと補足的に発言させていただきました。

【小池(勲)部会長】  

ありがとうございます。

 確かに、発展的継続というのは非常にいい言葉だと思います。どの分野でもやはり技術革新で、より得られるものが大きくなれば、それだけ利用価値も増えるということですので。

 この場合、GOSATは5年で、次はどうなるんですか。

【井上委員】  

私たちの今のサイエンスチームは、もう80回近く会議を開いてずっとやってきたのですけれども、今回、今のGOSATで任務を終わるつもりでおります。そして、その次のGOSATの後継機というのは新しい体制でやっていただきたいと思っておりまして、そこの人選なんかも含めて検討したり、あるいは、次の衛星がどういうセンサーであるかということについての検討、これもやらなければいけない。現在、私が把握しているところでは、環境省もJAXAも、そして国環研も、おそらく文科省も継続の方向でまた議論を始めて、その次の、これから2年半あるいは3年後の打上げを目指して議論が進められていくと、こういうふうに思っております。

【小池(勲)部会長】  

ありがとうございました。

 ほかに何かご質問。どうぞ。

【佃委員】  

コメントなんですけれども、いろいろな共有したりとか、あるいは継続というのは非常に大事なことだと思うんです。実際にそれを社会が使っていく、あるいは判断に役立てるというときに、やっぱり一つ重要だと思うのは、国際標準。標準化というのは、計測の段階、あるいはそれを処理する段階、あるいはモデル化する段階、そこで社会が判断すると、やっぱりそこでの標準化の解析プロセスの上で納得しなきゃいけないので、そうするとやっぱりいろいろな段階で標準化というのを、日本イニシアチブでどんどんやっておかないと、結局、終わってしまわないかなというのが非常に危惧されるところで、今後いろいろな衛星が出てきても、常に国際標準なり、あるいはヨーロッパの衛星との比較をするとかっていうときに、どこかでつなぐメカニズムをつくって、やっぱり日本として国際標準というのをちゃんと明確に言っていかないと、継続性という、共有とか、あるいは社会の判断に役立つときに、そこに落とし穴があるんじゃないかなと感じました。

【小池(勲)部会長】  

どうぞ。

【安岡委員】  

補足させていただきます。

 地球観測、特に衛星観測の分野が国際標準という、標準をつくるという意味でやっぱりおくれているというのは、私は事実だと思います。ほかの計測システムというのは、やっぱりそれなりにスタンダードをつくって、みんなである種のプロトコルを決めて、やろうということがあるわけです。地球観測、衛星観測に関して言いますと、そこの部分はまだ第一歩にあるのではないか。これはやっぱり非常に重要なポイントだと思います。

 ただ、言えることは、GOSATを日本が打ち上げたことによって、アメリカがやっぱりOCO-2を、1号機失敗しましたけど、2号機をすぐ打ち上げることを決めましたし、ヨーロッパはCarbonSatを何機も打ち上げるということを言い始めているわけですよね。標準に向けての先鞭を日本が切ったということは胸張っていいのだろうと思います。

 ただ、その後のところで、やっぱりきっちりしたことはやらなければいけないだろうなというのは、本当にそのとおりだという気がします。

【小池(勲)部会長】  

ほかにございますか。はい、どうぞ。

【小池(俊)委員】  

今、安岡先生のお話のあった、地球観測の意義というものが、この国の中の宇宙開発戦略の中でどういうふうに反映されているのかというのは非常に疑問であって、最近行われた戦略本部の専門調査会の中で、相対的に見ると地球観測は非常に低い優先順位に位置づけられているように思います。産業分野に比較してということでございますが。これは、この地球観測の推進戦略をもとに、地球観測推進部会で取り組んでいる内容から見ると、違うベクトルのように思うんですけれども、我々としてはどういうふうに対応していくべきなんでしょうか。

【小池(勲)部会長】  

お答えできますか。

【安岡委員】  

今の私の発表の中身というコンテクストでお答えするということに多分なってしまうと思います。日本の中でさまざまな業際的な役割があって、その役割の中での範囲でやっぱり議論してきたと思います。したがって、例えばこの地球観測推進部会が衛星観測も含めてですけれども、地球観測かくあるべしという議論をかなり大所高所でやってきたという自負はありますけれども、そこと宇宙戦略本部がやっていることが、ちょっと今ずれているという、

【小池(俊)委員】  

いや、大分ずれていると。

【安岡委員】  

そういう印象を私も持っています。この調整は文部科学省なりが、もしくはほかの省庁と一緒になりながら宇宙戦略本部と議論をしていただくということになるのだろうと思います。

 その点に関しては、ここから先は私がお答えする立場にはないような気がいたしますが、そちらにお回ししたほうがよろしいかもしれません。

【小池(勲)部会長】  

事務局、コメントありますか。

【福井推進官】  

 宇宙戦略本部については、こちらに宇宙利用推進室長がおりますけれど、宇宙関係のほうで現在いろいろ対応しているところです。地球観測部会としましても、宇宙開発委員会でありますとか、いろいろなところで、現状の活動とか、ここで先生方にいただいた意見というのをなるべく他の委員会でも取り上げてもらえるように説明はしてきているところでございます。

 今回、特に宇宙関係部門のほうから、この地球観測推進部会でも、リモセン、地球観測、地球観測衛星の重要性についてぜひ取り上げてほしいというようなことがありまして、本日こういう場を設けたということでございます。

 ですので、ちょっと私から申し上げていいのかどうかというのはあるんですけれども、まさに今、先生方がおっしゃっていた意見を、いろいろなところで衛星観測の重要性を話していただければと思っています。我々としても、いろいろな場で戦略本部の場を中心に、地球観測の重要性、特に、私のところは地球観測全体を所管しているわけですけれども、そういうところ、側面からでも支援していけたらと思っています。

 そういう意味を込めて本日こういう場を設けさせていただいたというふうに理解していただければと思います。

【小池(勲)部会長】  

この部会としてできることは、いわゆる行政の中に直接ここから行くというのは、やはり文科省の担当のところを通じてという話になりますよね。また、後はここを取り巻くコミュニティーに対してはこの部会からいろいろな形で発言していくことはできると思いますので、そういう形でこの部会としてはやっていくというふうなことだと思うんですけれども。

 もう一つ、発表していただきたいと思いますので、それを聞いてまた続けて議論をしたいと思います。

 次は、RESTECの米山理事からお願いいたします。

 

議題2. 地球観測における衛星の重要性

【RESTEC 米山常務理事】  

RESTECの米山です。本日はこういうところで発表する機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 資料に基づき、ご説明したいと思います。私どもRESTECというのは、世界初の地球観測衛星LANDSATが米国で打上げられた1972年ですが、それから3年後に設立されました。要するに、これからは衛星のリモート・センシング技術というのが大変重要であるという認識のもとに、利用技術の開発・研究から、利用するためのデータの提供、あるいは研修ということに、いわゆるリモセン技術についてはすべてを扱うということで36年間やってきました。

 本日は、この副題にありますように、「海外における能力開発活動等を通じて」ということで、特に海外の研修、あるいは国内の研修もありますが、こういう研修を通じていかに衛星リモセンが重要であるか、それから、継続性を持って利用されていくことが重要かということについてお話ししたいと思います。

 1ページ目でございますが、実は、ALOSということで言いますと、4月に運用は停止されましたけれども、この3月までの約4年半の間、私どもRESTECはprimary distributorといいますか、主配布機関としてJAXAから指名を受けまして、この4年半、一般配布をやってまいりました。その実績がこの棒グラフで書いてありますが、4年半の実績で約128,700シーンというものを一般に配布してまいりました。ここで赤と青で示していますが、シーン数だけで単純に言いますと、付加価値をつけている、いないという部分もありまして、海外が結構多くございます。特に、最終年度、22年度は海外のほうがシーン数は半分強あったのだろうと思います。

 2ページでございますが、その一般配布実績の中で、ALOSには3つセンサーが積んでありまして、AVNIR-2、PRISM、PALSARと言いますが、さきの2つは光学系でございますが、もう一つ、PALSARはレーダーであります。左側の円グラフを見ていただきますと、実は、圧倒的に光学系のセンサーの利用というのが多く、92%は光学系ということになります。特に海外におきましては、これは全体の中で約40%がAVNIR-2とPRISMということで占められております。

 それから、右側の利用分野別ですが、地図、地形・地質、この分野が約50%、ほぼ半分を占めます。環境、防災という形でいきますが、やはり地図としての使われ方として、ハザードマップ、地形図等ありますが、色々な形での地図として使われるということが多かったと思います。

 次の3ページでございますが、これまで財団において主な海外活動、主に研修ということでやってきました大きなものは上から2つです。JICAの研修は、私ども、もう34年間やっております。これは財団が設立して2年目から初めまして、ずっと毎年、10人から15人を受け入れてやってきております。2つ目のJAXAのパイロットプロジェクトという形で、特にタイとインドネシアを中心に、平成9年度から14年間、ずっと続けてきております。また、色々とFSだとか、その他の調査をしてまいりましたが、具体的なものとしては個々に説明したいと思います。

 4ページ目に地図がありますが、基本的には東南アジアを中心に、あと、中南米というところを相当突っ込んでやってきました。FSの調査をするというのと、それに研修を絡めるというような仕事がほとんどでありました。

 5ページ目に行きまして、先ほどのJICAの話ですが、JICAから私ども、毎年、先ほど受けていると申しましたが、1977年から34年間で55カ国494人が受講しております。このオレンジ色で書いたところの国のそれぞれの人数が、そこに数字で入っております。

 それから、次に、JAXAから受託しておりますインドネシアのパイロットプロジェクトについて触れますと、相手はLAPANという宇宙航空研究所ですが、ここを窓口としまして毎年テーマを選び、それで関係省庁の人を、そのテーマと衛星画像を使っての利用技術を研修していくという形でやっております。赤枠のワーキンググループ1から4までのことを前年はやったことになります。

 7ページですが、土地利用図やDEMの標高データの結果で、これはAVNIR-2、PRISMから作成したものです。

 それから、タイの地理情報・宇宙開発機関であるGISTDAがALOSのサブノートということで、受信をしておりましたので、私どもRESTECが直接GISTDAからALOS受信できるような機能付加をする等、地上局のアップグレードの仕事をしました。それがここに書いてあります。

 次ページの、今後期待される能力開発の分野についてということでありますが、先ほどからのお話にありましたREDDについては非常に注目されておりまして、森林資源の監視ということで、具体的にはブラジルでJICAの案件ですが、違法伐採の監視をPALSAR、即ちSARデータでやっています。要するに、REDDの対象地域がいずれも熱帯雨林といいましょうか、赤道直下の地域でありまして、雨が多い、あるいは被雲率が高いということもありまして、SARを併用することによって森林伐採を監視していこうというとで、REDDについてはPALSARへの期待が非常に高いと思われます。

 また、農業管理ではタイとかガーナ、水稲や小麦作付面積等の把握です。

 災害に関して、東南アジアは災害が多いところでありますから、どの国も大変関心がありまして、これは衛星画像としてはSARも、例えばGLOFといいますか、ブータンの氷河湖決壊洪水にはSARを使いますが、多くは光学系のセンサーも併用するという形になるわけです。

 それから、地形図作成。これはもう世界各国で、ALOSが地図に対して非常に精度が高いということから、25,000分の1の地図、基本図で、特にPRISMですが、あちこちで使われ始めています。

 今後、こういう目的のためにALOSの後継機はどうしても必要であり、先ほど言ったSARに加えて、やはり光学系のALOS-3というのが不可欠ではないかと思います。私ども、これまでキャパシティビルディングを通じて途上国の関係を色々やってきておりますが、利用というところで私どもは利用技術をそこで研修するという形をとっておりますから、直接彼らがどのように使っていくかというところでの要望を熟知しているつもりなですが、どうしてもALOSの継続に対しての期待は非常に高いということを私どもとしては把握しております。

 また、最近の宇宙インフラのパッケージ輸出という局面から見ましても、利用というところから入っておりますから、まずは衛星ありきというよりも、どうやって使うかというところからパッケージ輸出のチャンスが出るということにもなろうかと思いまして、私どものこういう能力開発ということが役立っていると考えております。

 それから、最近、我どもの感ずることは、今言った要望よりも、衛星ありきで売るというようなことにならないようにしないといけないということを感じます。

 最後に参考で、私どもの意見ではありますが、ALOS-3への期待ということで、これまでのデータ配布、あるいはキャパシティビルディングを通じたユーザーの意見として、4つばかり挙げておりますが、1番目には、継続性ということが非常に重要で、これはぜひやっていただきたい。アメリカのLANDSATは8号が来年打ち上がることになっています。それから、フランスのSPOTは今、5号まで飛んでおりますが、6号、7号を打ち上げることは決まっております。

 2番目にALOSが非常に優秀な衛星であったということもありまして、標高データの精度等も含めて、主として地図に使うには大変に優れた衛星であり、地図のアップデート等海外においてもぜひとも使いたいとの要望があります。特にALOSには3方向視というのがあって、立体視できたということが非常に重要かと思います。

 それから、3番目にやはり観測幅があります。例えば洪水等を見るにしても、10㎞は観測が非常に不十分である。それと、観測の頻度ということにも関係しますが、やはり観測幅はもう少し広い方が良いとの要望があります。

 4番目には、価格レベルの維持も書いてありますが、ここは少し難しい部分もありますが、おそらくALOSが、先ほど申しましたようにたくさん売れたといいますか、配布されて使われたということの一つの要素には、低価格であったからだと思います。SPOTにしても、ほかの高解像度光学衛星等の単価に比べますと何分の1かというような感じで低価格であったというのが、利用を進めるための一つの要素にもなっていたということは事実かと思います。

 以上のようなことで、ALOS-3がここで継続されないと、非常に主としてアジアの国々が多いのですが、困るのではないだろうかと感じております。

 雑駁ですが、以上です。

【小池(勲)部会長】  

ありがとうございました。

 今のお話に関して何かご質問、ご意見ございましたらお願いいたします。はい、どうぞ。

【青木委員】  

質問というよりは、コメントになってしまうと思うんですけれども、質問したい部分ではあるんですけれども、小池委員の先ほどのご意見を強く支持したいと思いますし、先ほど、安岡先生がご報告なさった中にもありましたが、ALOS-3がまだ研究中というのは非常に問題だろうと思うんです。諸外国からも非常に評判の高い国際貢献をしているALOS「だいち」。既にその能力が確かめられていて、環境観測に非常に役立っていて、これからそういうレジームをつくっていく中で、日本が主導権を取るということがすごく日本にとって大事なことであるのに遅れている。こういうことを何とかしなければいけないと思いますので、どこで、どういうところで意見を出していき、どうすればいいのかということは難しいのですけれども、この部会の委員もできる限りいろいろなところでやるべきだと思いますし、今のところどういうふうに努力のほうは進んでいらっしゃるんでしょうかということは、ご質問したいところでもありますし、難しいところもあると思いますし、強くその辺は望んでおりますということは意見として申し上げたいと思います。すみません、ちょっとうまく申し上げられなくて。

【小池(勲)部会長】  

ありがとうございました。

 ほかに何かございますか。はい、どうぞ。

【本藏委員】  

私も意見ですが、災害分野で最近、ALOSのデータは非常に好評で、先ほど、ブータンのお話もありましたけれども、あれは非常にいい成果につながっていると思います。ですから、先ほど言われました、ALOSの次の後継機についても非常に期待が高いのは事実で、やはりそこらあたりはそういうニーズを踏まえて、早急に対応していただきたいと私も思います。

 それから、ちょっとご質問したいんですけれども、一部の国ではALOSのデータ、RESTECでつくられたデータもさることながら、地上局そのものを置いて、ALOSからのデータを受信して、その国でいろいろやりたいというニーズも一部にあるやに聞いているんですね。そのあたりのRESTECの戦略はどんなふうに考えておられるのかということと、もう1点は、安価に使用できるというのは、特に発展途上国においては、これは非常に重要な要素になっていることも事実なんですね。その点は我々もJICA-JSTのプロジェクトを進めていく上では、いつも要望として出てくるんですね。そのあたりの見通しですね。この2点についてお伺いしたいんですが。

【RESTEC 米山常務理事】  

ALOS-3も最終的にはJAXAが打ち上げるものであろうと思いますし、最初のほうのご質問ですが、私どもとしては、地上局をそれぞれの国が持ってやるかやらないかというのも、それを許可する側のJAXA側にあろうかと思いますので、私どもとしては何とも申し上げることはできないのですが、ただ、今、ALOS-2や3について、既に相手国、あちこちの国はわかっていまして、例えば具体的にインドネシアなんかは、もうALOS-2、3をそのまま受信したいというようなことは言ってきております。ただ、まだ具体性がないし、例えば、今まで受信していたGISTDAのタイについては、当然のごとくそう思っております。ですから、他の、主としてアジアの国ですが、皆さんがそういうふうにしたいと思われます。その点で、私どもが戦略的にどうするということにはできませんので、申しわけありません。

 それから、単価の問題につきましては、これは最初、単価決めをするときに色々議論もありましたけれども、私どもとしては、結果としては非常にいいところで、国内外とも単価が決められたというふうに思っております。

【小池(勲)部会長】  

ありがとうございました。

 ほかに何かございますか。

【沢田委員】  

今回のことは特にキャパシティビルディングということでご報告でしたので、私もRESTECの地には何度か入らせていただきましたけれども、研修あるいはキャパシティビルディングに関しては、実務者レベルのものというのと、それから、サイエンティストといいますか、そういうレベルのものもあるようなことを感じているんですけれども、その点で日本のRESTECさんを通しての活動というのは大変あると思うんですが、海外、今、ヨーロッパとかアメリカとか、そういうところもアジアに手を伸ばしながら、いろいろな研修をしてきている。その中での一つの違いというものをどの程度感じておられるのかということが一つと、それから、その要望として、私たちのところでも時々来ていましたのは、マスターとかドクターとか、そういったレベルでの研修というものを今、ヨーロッパのほうでやってくれるけれども、日本ではどうなのかとかということがございましたけれども、そのあたりの海外のキャパシティビルディングの活動との関係、あるいは比較ということでコメントがあればお願いします。

【RESTEC 米山常務理事】  

アジアの国々について申しますと、実は、フランスのEADSとSPOTを一体と考えていいと思うんですが、衛星を売るときにキャパシティビルディングをやるという形でSPOTなんかは、アジアの国、主としてベトナム、タイをやっております。しかしながら、先ほど説明しましたように、JAXAから私どもが受けてパイロットプロジェクトをやっているのはかなり長い間、地道にやっておりまして、その結果についての評価は、多分、SPOTには負けないであろうと思っています。

 それから、リモセン研修に対して、それぞれの派遣されてきた国の人たちが、マスターディグリーとか何かをほしいというような要望はあります。しかし、私どもはそういうことを今、できる立場にまだないので、そういう研修の結果として何かディグリー的に与えることはまだできておりません。ただ、研修修了サーティフィケイトぐらいの形で終わっているということにはなります。

【小池(勲)部会長】  

よろしいですか。

【沢田委員】  

ありがとうございます。そのことで、そういうシステムが、マスターとかドクターとかっていうシステムがもう少しはっきりとあったほうがいいとお感じなんでしょうか。

【RESTEC 米山常務理事】  

はい、そう思います。オランダのITCという、有名なところがありまして、ここではまさに大学と一体になって、そういうディグリーを出しているというふうに聞いております。

【沢田委員】  

ありがとうございます。

【小池(勲)部会長】  

それでは、大分時間が過ぎておりますので次の議題に移らせていただきます。

 

議題3.平成24年度の我が国における地球観測の実施方針について

【小池(勲)部会長】  

議題の3は、平成24年度の我が国における地球観測の実施方針についてです。前回、ご議論いただきまして、その後のメールでの意見照会を踏まえて、今回、事務局より1次案が提出されております。まずは、その1次案のご説明を事務局からお願いします。

【福井推進官】  

ありがとうございます。議題3、平成24年度の我が国における実施方針についてということでございます。

 前回の部会が終了いたしまして、前回、目次案を提示したかと思いますが、事務局にて素案をつくりまして、委員の皆様、あるいはこの地球観測推進部会に関係する関係省庁、関係機関に照会をいたしております。照会したときの文章に加えて、皆様からいただいた意見を本日加えましたのが資料4ということでございます。本日は、章や節別に説明させていただきまして、章、節ごとに議論していただこうと思っております。

 本日、ご議論いただきましたら、さらに修正の上、再度委員の皆様、関係省庁機関に照会を行いまして、その後、メール等々のやり取りとか、そういうことがございますが、そういうところでコメント等のやり取り、あるいは議論はさせていただきまして、次回の部会では決定したいというふうに思っております。

【小池(勲)部会長】  

それでは、各章ごとに簡単にご説明をいただきたいと思いますけれども、あと40分ですので、手短にお願いします。

【福井推進官】  

はい。ありがとうございます。

 では、目次がございまして、第1章第1節、第2節、第3節と、あと第2章、第3章という構成になっています。順を追って簡単に説明させていただきながら議論をしていただければと思っております。

 第1章ですけれども、課題解決型の地球観測ということで、ここでは特に第3パラグラフに、現在議論が行われております第4期科学技術基本計画に関する議論、そこでグリーン・イノベーションの重要性や地球観測の重要性がうたわれているということを記述しています。これは第4期の議論の進み具合によって、ここの記述も若干変わってくるかと思いますが、そういう形で記載しております。

 あと、第1節の気候変動に伴う影響の把握ということですが、これまで気候変動への適応というふうに書いていましたけれども、緩和にもつながる地球観測にも焦点を当てるということで、気候変動への影響の把握という形で整理させていただきました。

 3ページ目の上のほうですけれども、その緩和策として注目されている再生可能エネルギーの活用にも地球観測というのは重要ではないかという記述も加えています。

 あと、1の水循環・風水害で、前回の目次案までは水循環ということで記載しておりましたが、風水害やゲリラ豪雨などの極端現象への取り組みも必要ということで、また、風水害を入れさせていただきました。中身は、中ほどのところには、不確実性の影響評価の必要性とか、そういうことを記述しております。

 4ページでございますけれども、先ほど加えました風水害の軽減ということで、さまざまな観測の必要性ということと、適応策に向けた、ここには先ほど紹介もありました衛星の観測の必要性というのも記述していまして、ここには先ほど、総合科学技術会議からのフォローアップがありましたが、それに対する今後の課題というのは、この部分で受けられるんじゃないかと思います。

 あと、都市における極端気象災害への監視・予測システムの確立ということで、都市における風水害の予測等々重要ではないかということで、ここの項目については新しく記述したところでございます。

 あと、5ページの2の生態系・生物多様性ですが、中ほどのところには、昨年度、日本で開催されましたCOP10に関係しまして、それを受けた行動の記述と、IPBESの話等も書いております。

 あとは、その下でございますが、食料安全保障に関する重要性、それに貢献できるのはリモセンではないか記述しております。

 あと、めくっていただきまして6ページのところには、先ほども話がありましたが、森林炭素モニタリングの重要性、さらにはREDDへの取り組みに貢献できるのではないかというような記述も加えております。

 最後、7ページのところに、新たに食料安全保障ということで、先ほど若干述べましたが、食料安全保障に関してさまざまな衛星データが活用されるのではないかということもコメントがございましたので、ここに書き加えております。

 1章1節については以上でございます。

【小池(勲)部会長】  

ありがとうございました。

 今までのところで何かお気づきの点、ございますでしょうか。

【沢田委員】  

すみません、ちょっとご連絡とかせずにいたのですが、読んでおりまして、REDDとか、それから生物多様性が入っていながら、来年は京都議定書の最終年ですので、何か京都議定書に関して、どこに入れたらいいかちょっと考えていて、場所はまだ見つかっていないのですが、何かそのワードもどこかに最終年ということに関する取り組みということも入っていたほうがいいような気がしました。

【小池(勲)部会長】  

それはどこに入れますか。

【沢田委員】  

多分、頭のところにでもあればいいのかなと思いますけど、そのワードがあるかないかで若干印象が違うかなという気がしております。

【小池(勲)部会長】  

ほかに何かございますでしょうか。

 6ページ目の森林の保全と炭素モニタリングのところで、先ほど出た、いわゆるALOSの後継機の話というのとこれは関係するのですけれども、割合とさらっと書いてあって、衛星観測の継続実施とさらっと書いてあるので、少し、できたら強調したほうがいいかもしれませんね。

【福井推進官】  

わかりました。

【小池(勲)部会長】  

直すときに少し考えてください。

【福井推進官】  

先ほど先生が言われましたが、「だいち」、ALOS-2、ALOS-3に関しましては、あと、災害のところとか、そういったところでまた出てきますが、ここでもじゃあちょっと検討してみたいと思います。

【小池(勲)部会長】  

先ほどのお話の中で、やはり、REDD+とかそっちのほうにもかなり貢献していますので。

【福井推進官】  

そうですね。何回強調してもし過ぎないと思いますので。

【小池(勲)部会長】  

そうですね。確かに、これは毎年毎年の実施方針になるので、そういうプラットフォームのきちんとした整備とかいうことは、どうしてもその観測のための後ろにちょっと控えてしまうような形になってしまうので、ほんとうは先ほどの総合科学技術会議のフォローアップのように、そういう実際の観測を支えるいろいろなプラットフォームとかセンターとかいうものがきちんと整備されていかなければいけないというのは、やっぱりどこかにきちんと書いたほうが良いけれど。ただ、毎年毎年なので、なかなか難しいんですけれども、できたら、そういうのを工夫して、この中に入れていただけるといいと思います。

 ほかに何かございますか。よろしければ、では、次の節をお願いいたします。

【福井推進官】  

第2節 気候変動メカニズムの解明ということで、8ページを見ていただきまして、8ページの下側のほうに温室効果ガス循環の解明としています。炭素循環としたほうがいいというご意見もございましたが、窒素の循環ということもあるかと思いましたので、今、ここでは温室効果ガスという形でまとめております。ご意見があればいただければと思います。

 この8ページの下のほうでは、温室効果ガスの解明のためには、地上、船舶、航空機及び衛星などを活用した広域にわたる温室効果ガスの長期モニタリングが不可欠であり、一層の拡充が必要というような書きぶりも加えています。

 9ページですが、温室効果ガスについて、ここではメタンや一酸化二窒素についての循環の理解が必要と、そういう記述や、あるいは海洋における温室効果ガスの把握も重要であるという記述も加えております。

 その下側ですが、宇宙からの全球の温室効果ガスで続くパラグラフでございますが、GOSATの必要性と、先ほど部会長からもありましたが、「だいち」の成果、あるいはそれを受けて今後、ALOS-2、ALOS-3の推進が必要ということをここでもうたっています。

 その下の雲物理・降水過程の解明でございますが、ここでは航空機観測技術や地上リモート・センシング技術を用いて、エアロゾルによる影響の評価の必要性というものも書き加えています。

 主なところはそういうところです。2節については以上です。

【小池(勲)部会長】  

ありがとうございます。

 今、10ページまでですね。第2節のところですが、何かお気づきの点ございますでしょうか。先ほどありました、表題で温室効果ガス循環の解明となっているのは、これでよろしいですか。ちょっとアバウトな気もしますが。

【中澤委員】  

私は、温室効果ガス循環のほうが正しいと思うんですね。炭素循環といいますと、気候変動の場合、例えば放射強制力60%、あと、残りは別なガスですから、全体を通して温室効果ガスということが繰り返し使われているんですね。やはりそれの循環を解明するということが重要で、実際、例えば一酸化二窒素とかメタン等についてわからないことがかなりあるということがありますので、私は温室効果ガス循環の解明のほうがいいと思います。

【小池(勲)部会長】  

ほかに何かございますでしょうか。

 よろしければ、では、次、お願いします。

【福井推進官】  

次は第3節です。これは今回の東日本大震災を受けまして、新たに設けた節ということで、第3節の名称ですけれども、どういう災害かという対象を明確にするということで、表題を割と具体的に、大規模火災や地震・津波・火山による損失の軽減という形にしました。最初のところにはこの節を設けるに至りまして東日本大震災の話をしていまして、前回、JAXAとJAMSTECから東日本大震災の対応ということをご説明いただきましたので、地球観測がこういう防災とか、その後の被害の分析とか、被害の状況を伝えるということに貢献したという内容が中ほどに書いています。

 この第3節の事項として、災害発生メカニズムの解明が必要だということと、災害情報の正確かつ迅速な把握、及び国際連携が必要ということでございます。災害発生メカニズムの解明のところでは、いただいたコメント等に関して言いますと、海底地殻変動観測をリアルタイムで行う稠密な海底観測ネットワークシステムを構築していくことが必要であるというようなこともございまして、こういうところに書き加えております。災害情報の正確かつ迅速な把握及び国際連携ということで、これは先ほどの「だいち」の話をここでも出しておりまして、「だいち」の観測、今後続くALOS-2、ALOS-3のような、そういう地球観測にリモセンの情報が必要であるので、研究開発の推進が必要であるということですとか、国際災害チャーターとかセンチネルアジアの枠組みを通して、日本の衛星画像のみならず、各国の衛星のデータというのが今回の震災にも提供されたわけですが、そういう取り組みが必要というようなところを書き加えてございます。そういう意味では、割と「だいち」の記述が色濃く書かれた形になっておるのが3節でございます。

【小池(勲)部会長】  

11ページの第3節ですけれども、表題が「大規模火災及び地震・津波・火山による損失の軽減」となっています。ちょっと、内容とあまりマッチングがよくないような気がします。「損失の軽減」というところのタイトルに当たるところはどこになるのですか。

【福井推進官】  

迅速な情報提供とか被害状況の把握というのが、さらなる損失から逃れるということなんですけれども。

【佃委員】  

その大規模火災とか地震、津波、火山で、このメカニズムの解明と、言葉だけで言うと、あと、災害が起こった時点では正確な情報の把握だけで災害が軽減できるかというと、おそらくそうではなくて、一つは、先ほどちょっと出ましたように、予測というところがやっぱり必要で、多分、火災なんかだとどういうふうに広がっていくのかといった情報だとか、地震みたいに1分で現象が変わるとかっていうんじゃなくて、火山なんかもそうだと思うんですけど、刻々と変化していくのをちゃんと見ていくというか、将来予測をして、それでどういう災害になっていくかを知らせて、それに対応するというのと、多分それが1つあって、それで、もっと後に災害が終わって、ある程度、クイックレスポンスが終わって、レスキューオペレーションみたいなのが終わった後は、やはり今度は復旧とか復興とか新たな国土づくりみたいな、あるいは対策技術のようなところに行くときに、先ほどありましたけど、衛星データに基づき地図をつくったりとか、立地、あるいは新たな国づくりにどういうふうにこういう地球観測が役立つかということもあるのではないか、それによって将来の災害が軽減できるという流れもあるのではないかと思います。

 普通、よく防災だとそういう書きぶりをしたりするので、もしタイトルが災害の損失の軽減みたいなことだと、この2つだけで地球観測はそれでいいんですかと、ちょっと何か変になっちゃうので。もちろん、地球観測、実際に今、地震が起きた後、東北地方はすごく地殻変動で沈んで、また今、リバウンドして、どのぐらいで数十センチ沈んだのが戻ってくるのか観測していますし、火山なんかだと、すぐ、いろいろ膨らんだりして、それが次にどういう変化をしていくかというのを予測したりとか、多分、メカニズムがわかっただけではだめで、その変化を見ていくには、まさに衛星というのは非常に役立つものですし、あと、将来の対策をするにも、先ほどあった地図づくりとか、これは日本の国内だとちょっと違うかもしれないですけれども、世界を見た場合、そういった軽減といった場合は、やはり地図のないところは地図が一番大事なところもありますので、そういった貢献というのは十分あるのではないかなと思います。

【大垣部会長代理】  

もう既におっしゃっているので、これ、第1章は課題解決型の地球観測という中の第3節ですから、今のご意見の復旧・復興への貢献というようなキーワードが、この火山等の後ろに加わってもいいんじゃないかというか、非常にわかりやすくなるんじゃないかと思います。

【小池(勲)部会長】  

この節に関しては、見出しと中身の再編成をしていただいて、今言われたように、やはり損失の軽減までつながるような話にしないと、これだけだとちょっと、地球観測はそれだけかということになってしまいますので、少し、今、コメントにありましたようなものを取り入れて考えていきたいと思います。

 ほかに何かございますでしょうか。

【井上委員】  

ここの大規模火災というところは、どこに書いてあるかと思うと、「だいち」のところで、役に立ちますということがちょっと書いてあるだけで、違和感がもともとあったんですけれども、ただ、大規模火災というのは非常に重要で、例えば北大の方々がやっていらっしゃるカリマンタンの森林火災、泥炭火災なんかだと、数百メガトンの二酸化炭素が出ていると。こういうふうなのがありながら、一方で先ほどの温室効果ガスの循環のところで、農地の二酸化炭素吸収が非常に重要だというふうに書いてあるんだけど、その量というのは非常に短期的だし、量的にも非常に少なくて、何かすごく大きな違和感を感じるんですよ。

 つまり、いろいろな活動をやっているのと関係なければ、それは無視してもいいんですけれども、日本の研究者グループがかなりやっていることの一部は、小さいけれども、それが大きく書かれていて、一方ではすごく大きな量、ボリュームを持っている仕事が書いてないとか、ちょっと違和感を感じるんですけれども、何とかなりませんでしょうかね。

【小池(勲)部会長】  

いずれにせよ、もう一度、コメントをいただいてこれを書き直しますので。

【福井推進官】  

そうですね。コメントに基づいてですね。確かにコメントをいただけると大変ありがたいと。

【小池(勲)部会長】  

ですから、なるべく本日出していただいて。

【本藏委員】  

私は、原案にコメントしましたけれども、あまりやり出すときりがないというので、最小限にとどめおいたんですが、そういう話になると、地震・津波・火山と地球観測という話になると、地震発生メカニズムの解明で終わったのではほんとうの地球観測を何のためにやっているんですかという話になるので、我々のほかのところでは、要するにモニタリング、一部書かれていますね。リアルタイムで海底地殻変動等を行う海底観測ネットワークシステムを構築だとかいうのが一部書かれているので、それで私はいいのかなとも思っていたのですけれども、モニタリング、それから発生予測につながる部分ですね、それは気象だって同じだと思うんですけれども、シミュレーション技術だとか、そういうところに地球観測データは極めて重要になってくるので、そこまで書くときりがないのですが、せめてモニタリングというのは災害防止で極めて重要な要素なので、それはやっぱりきちんと入れていただきたいなと思います。

【小池(勲)部会長】  

これ、中を分けるとすれば、今、2つの見出しで書かれているんですけれども、先ほどの話ですと、最低3つぐらいはあったほうがいいということですか。

【本藏委員】  

いや、あまりいじらないで済ませようと思えば、発生メカニズムの解明のところをちょっと膨らませて対応できると思います。

【小池(勲)部会長】  

はい、どうぞ。

【藤谷委員】  

この節については、東日本大震災のことに特化するのであれば、地震・津波・火山だけにすべきで、順番から言っても大規模火災が先に出てくるのはおかしいと思います。自然災害というのであれば風水害も入れなければいけない。そのあたりどう考えるのか、整理が必要です。最初は自然災害という話だったので、それなら風水害を入れるべきです。大規模火災は、推進戦略では森林火災の話ですから、少し違うと思います。そのあたりちょっと考え方を整理されたほうがいいと思います。

【小池(勲)部会長】  

これは大規模火災が最初に来ているのは、元の地球観測の全体の中に大規模火災というのが結構大きく取り上げられているので、ここでそれを使ったということだと思います。どうでしょうか。今回の地震・津波、あと火山、これらに特化したような形で書いてしまうか、それともやはりもう少し広げて書くかというところがあると思います。

 ただ、これで実際に書いているのはどちらかというと地震とか津波に中身としてはそれに尽くされているんですね。けれども、タイトルが結構広く書かれているので、その違和感がちょっとあるということですが。

 どうでしょう。今回、これは新しくつけ加えた節ですよね。

【福井推進官】  

はい、そうです。これは大もとの推進戦略には大規模火災という項目があって、地震・津波・火山という項目があるということで、ここで出てこなければ、第3章のところに、例えば大規模火災が落ちたら、そちらに入るという感じになるのかと思うんですけれども。

【小池(勲)部会長】  

分野別ですね。はい、じゃあ、先ほど、井上委員は大規模火災は大事だと。

【井上委員】  

ええ。JICA-JSTで北大の人は随分活発に研究していますし、インドネシアにも、政府にも大きな影響を与えているみたいですから、そういうものをちょっと取り上げておいたほうがいいかと思うんですけれども、ここで大規模火災を取ってしまうと、そういうことはもう書く場所がなくなるんだけれども。炭素循環のほうに入れるか。

【小池(勲)部会長】  

大規模火災はほかに入るところはないんですか。

【福井推進官】  

第3章の分野別推進戦略のところに入ります。

【小池(勲)部会長】  

あるいは、先ほど言われた温暖化のところに書いてもいいわけですよね。

【井上委員】  

ええ、私、そう思いますね。

【小池(勲)部会長】  

むしろ、大規模火災によって出るCO2の放出量というのはすごい膨大な量になるので、やっぱりそれをきちんと評価する必要があるというような形で書けば、そこに入る。

 そうしましたら、今回はどちらかというと東日本大震災を受けた地震・津波、あと火山までは入れて、そこに特化させるという形でこれをまとめたほうが割合とすっきりすると思いますので、そういう形でしたいと思います。それで、大規模火災に関しては温暖化のほうのところに入れるということにします。

 ほかに何かございますでしょうか。

【和気委員】  

地球観測の科学的な知見と災害の問題をリンクさせるときに、重要なのはある種、自然発生メカニズムと、それを受けた人間の行動、あるいはデータをどう認識して次の行動に移すかという、その人的なリンクがうまくいかないと、おそらく災害が大きくなるという、そういう仕組みが当然あり得るんですけれども、その場合に、災害発生メカニズムといった場合には、人間の対応まで含めた議論を必ずしもここではしていないので、むしろ災害情報を正確に、迅速に、とにかく地球観測の使命として発信する、伝達するというシステムを構築するんだというところが、まず最初にこの問題にはあるべきところなんじゃないかと。その後を受けて、災害発生メカニズムを解明していく使命があるような気がして、この順番が、まずはどう正確に、迅速に発信、伝達できるのか。その後の人間行動の分析なり研究は他の分野でいろいろやらなければいけないので、まずは2番目の項目のほうが先のような気がしてならないんですけど、いかがでしょうか。

【小池(勲)部会長】  

はい、どうぞ。

【本藏委員】  

私はちょっと違う考えを持ちますね。例えば、津波の例をとってみますと、津波っていうのは何も知らなくていきなり来て、災害が起こって、じゃあどうしますかということじゃなくて、ほんとうにその災害を防止するためには、どういう津波がなぜある場所で起こるのかということと、どの規模のものが起こり得るのかというような、いわば広い意味のハザード予測、及びもっといくとハザードマップですね。もっと細かくいくと各市町村につくるハザードマップを正確につくり上げておく必要があるんですね。それに基づいた対策というのがあって、それでもなおかつ不十分なり、あるいは人間行動が適切でないがゆえに、より大きな災害になってしまうんですけれども、最初にやっぱりよりどころがあるものは、科学的知見に基づくハザードの予見ですよね。

 やっぱりそこのところが、我々としてはそこがまずしっかりしていないと、幾ら人間行動だけを頑張っても、災害を大きく防ぐことはできないと思います。その重要性はよくわかります。おっしゃっていることの重要性はよくわかりますけれども、普通はハザードマップというものを皆さん大事にしていますね。

【小池(勲)部会長】  

そうすると、やはり、最初のところの災害発生メカニズムの解明というのが非常に重要に。

【本藏委員】  

ええ、それだけだから、そういうことになるので。

【小池(勲)部会長】  

今、言われたような、結局、予測したハザードマップをつくるところまでをここに含めればね。

【本藏委員】  

そうですね。

【小池(勲)部会長】  

けれども、このタイトルだと、ちょっとそうは読めないんですね。だから、今みたいなコメントが出てくるのだと思うのですが。ちょっとタイトルのつけ方も含めて少し考えたほうがいいと思います。

 ほかによろしいでしょうか。それでは、この第3節は大幅に改定をしたいと思います。

 次、第2章、お願いします。

【福井推進官】  

第2章 国内の地球観測システムの統合と国際的な連携の強化です。主にコメントがあり、最初の照会から変わったところを説明いたしますと、13ページですけど、4パラグラフ目に23年度の総合科学技術会議のアクションプランを引用いたしまして、昨年、当部会でも議論していただきましたデータの統合、収集ということについて、この1パラグラフを全部使って書いております。地球観測データの統合化を進め、統合データが全体に占める割合を90%以上に引き上げるということがアクションプランに書かれているわけですが、我が部会ではこれについては地球観測に関する国内のデータの収集を進めていくということです。それの裏づけの記述ということでございます。

 1ページめくっていただきまして14ページですが、2番目のパラグラフです。GEOSSへの取り組みがこの章では重要な中身になるかと思いますが、GEOSSでできていますGCIとの連携、例えばDIASの連携ですとか、データ共有原則を尊重していくというところを記述しています。

 あと、14ページの下のほうでございますが、全球気候変動観測システム(GCOS)における衛星観測、地上観測等の重要性という記述がありまして、GCOMシリーズの着実なミッションの遂行をはじめ、国内及び海外の研究と運用の衛星観測によるECVの対応調査を実施し等々、ここでも地球観測衛星の重要性というのを新たに加えています。

 第2章は以上です。

【小池(勲)部会長】  

ありがとうございました。

 何か、第2章。はい、どうぞ。

【大垣部会長代理】  

2点申し上げたいと思いますが、1点は、この構成の問題で、もう1点は、衛星観測のことなんですが、今、ご説明のように、ちょっとわかりにくいので、節を分けてはどうかということで、13ページのほとんどはシステムの統合についてで、13ページの一番下からは、「我が国は」のところは、国際共同研究と国際的データ統合ですか、何かそういう内容ですね。14ページが3番目の内容で、真ん中のところですから、気候変動の分野というのは、国際的約束への貢献とか、そういう感じでしょうかね、見ていると。それから、14ページの一番下、3行のところ、「また」からは、私の言葉で言うと、先ほど安岡委員も使っていましたが、科学技術外交的な形の4つに分かれるんじゃないかなと思いまして、そうしたほうがぱっと見た途端わかるということが1点です。

 もう1点だけちょっと。本日、米山理事も、それから安岡委員からもご説明があったように、衛星観測の重要性というのはきょう確認されたと思いますので、科学技術外交の重要な道具として衛星観測があるのではないか。要するに、科学技術基本計画の、より上位の理念から見ると、科学技術の道具として衛星観測というのは重要な役目があるということを、この最後の14ページ、15ページあたりに書き込んでもいいのではないかなと思いまして、ちょっときょうのお2人のご説明を聞いて、改めて感じたものですから。

【小池(勲)部会長】  

ありがとうございます。

 確かにこれ、2ページちょっとあるのですけど、全然見出しがない。

【福井推進官】  

では、見出しをつけようと思います。

【小池(勲)部会長】  

ええ、ぜひお願いします。

 ほかにございますでしょうか。

【小池(俊)委員】  

今、大垣先生がおっしゃったこと、見出しをつけていただくのはいいかと思いますが、2点ほどございまして、23年度に比べて何が違っているかというと、もともと2章のデータの共有・統融合というものと、3章の国際的なリーダーシップという2つの章があったのを、1つの章にぐちゃっとまとめられたんですね。ちょっと、これ、どうしたらいいんだろうかと思って悩んでいるうちに意見を出すタイミングを失ってしまったんですけれども、補っていただいたところは大変ありがたいと思いますが、やっぱりデータの統融合のところとリーダーシップのところは違うんじゃないかというふうに思うんですね。事柄が。

【小池(勲)部会長】  

確かに。

【小池(俊)委員】  

統融合のところは、実は国内問題も大変大事で、先ほど、メタデータのこともおっしゃいましたけれども、メタデータの、要するに国内の地球観測のデータの統合化ということも大事ですし、分野を超えてデータが使えるようにするということも大事で、そこはことし、23年度の実施方針には明確に書かれていたんですが、今回は国際戦略の中でのデータ統融合というふうに、むしろ重きが置かれているような形もあって、やっぱり2章を1つにまとめているというところに、何か無理があるような気がいたします。それが1点目でございます。

 それから、2点目は、昨年は、これ、議論のプロセスを明確に覚えているんですけれども、23年度の実施方針、きょう資料をお配りいただいておりますが、14ページにありますように、総合科学技術会議では今まさに大垣先生がおっしゃったように、平成20年5月に「科学技術外交の強化に向けて」をまとめていますね。それを受けて、推進戦略におけるアジア・オセアニア地域の連携というものを発展させて、アジア・オセアニア地域のみならず、アフリカ地域など、広く連携を図っていくことが必要であるというのを、わざわざ入れたんですね。去年の議論で。いま、そこはアフリカ等が全部落っこちちゃって、何か随分後退したなという気がしております。

 それから、この中で新興国という言葉をお使いなんですけれども、1900年代に使われている新興国という意味合いは、確かにアフリカの新興国という言葉を使っていましたけれども、2000年代になってからは、今、言っている新興国は、いわゆる中国とかブラジルであって、意味合いが違ってきておりますので、新興国あるいは途上国という書き方が、今は並列ではないんですね。ですから、そういうことも含めて、ここは書き方を変えていったほうがよろしいのではないかと思います。

【小池(勲)部会長】  

新興国と発展途上国という言葉を変えると、今、何が一番問題でしょうか。

【小池(俊)委員】  

具体的に申しますと、例えば、14ページの一番下の行にございますが、「アジアの新興国などの発展途上国においては」ということは、今、あり得ないんですね。新興国はもう発展途上国ではなくなっておりますので。ですから、価値観が違うんです。アジアの新興国を相手にする場合と、いわゆるアジア、アフリカの途上国を相手にする場合では、価値観が明らかに違いますので、それは分けて書く必要があるということになります。

【小池(勲)部会長】  

わかりました。どうでしょうか。今、出たお話は、第2章は国内の大きなことと国際的なことがジョイントしてしまっているので、できたら2つの章に分けたほうがいいというご意見ですけれども。

【福井推進官】  

そうですね、割と多くこの部分にはコメントをいただいて、当初はもう少しあっさり書いていたんですけれども、増えてきたので、見出しをという話から、章を分けてという話になってきているかと思いますので、章を分けるような形でちょっとまたこちらで検討します。

【小池(勲)部会長】  

はい、ありがとうございました。

【小池(俊)委員】  

先ほど、大垣先生からお話のあったことと、最初に私がコメントさせていただいたことは、実は非常に関連していると思います。戦略本部でお考えになっている価値観と、ここで今、大垣先生からお話があった、科学技術外交という価値観は明らかに違っているように思います。経済的な観点に立った宇宙戦略と、それから、科学技術外交という視野に立った宇宙戦略は、私は、違うと。本来そこがマージされていくべきものだと思うんですけれども、現在の考え方はどちらかというと経済的なものにシフトしているように思います。それをこの地球観測の推進部会は、やっぱり明確に主張して、この科学技術外交の立場からこれを推進する必要がある。さらに、この先になるのだと思いますけれども、継続ということがその次の章でありますけれども、その観点から、ちょっとあわせて言いますと、GCOM-Cというのが、実はこの文章の中で6回出ているんですね。だけども、戦略本部の考え方では、ちょっと先送りするという結論を出しておりますし、それから、GCOMシリーズについても見直しをしなければいけないと、ちょっと不明確な書き方になっているんですけれども、やはりこの地球観測の推進部会で考えている考え方と、かなりかけ離れていると思いますので、確かに24年度の実施方針ではありますが、やはり立場を明確に主張していくべきだと思います。

【小池(勲)部会長】  

ありがとうございました。

 よろしいですか。

【福井推進官】  

ありがとうございます。ある意味、大変応援のご意見をいただいたと思っております。

 地球観測の実施方針は、地球観測は大事と思っているグループの報告書ということになるわけですけれども、そこでしっかり書いて、どれだけの武器になるかわかりませんけれども、それを掲げて突撃していくと言うのかわかりませんけれども、まあ、そういうものにしていければと思います。ありがとうございます。

【小池(勲)部会長】  

やはり、きちんと書いてあるものを使わないと、なかなか説得力がないので、よろしくお願いします。

 では、第3章をお願いします。

【福井推進官】  

第3章でございますが、16ページでございます。1点だけです。一番末尾のところに、これまで温暖化の連携拠点、あるいは地震防災のほうでは地震調査研究推進本部が連携拠点という位置づけでございますが、連携拠点に対しての応援というか、さらなる活性化の記述と、今後、新たな連携への期待という記述をぜひという話もございまして、そこを書き加えてございます。それだけです。

【小池(勲)部会長】  

第3章でございますが、何かよろしいでしょうか。

【藤谷委員】  

第3章のタイトルが、「地球観測の長期継続」で終わっているのですが、長期継続をどうするための、何なのかを書かないと、ちょっと具体性がないような気がします。実現方策なのか、施策なのか、何かそういう具体性が要ると思います。

【小池(勲)部会長】  

このタイトル、途中で終わっているような感じなので、最後まで書かないとわかりにくい。

【福井推進官】  

「長期継続の推進」ですか。

【小池(勲)部会長】  

「推進方策」か何か書いたほうがいいですね。

【福井推進官】  

はい。

【小池(勲)部会長】  

それでは、いろいろな意見をいただきましたので、これ、どういう形にしますか。先ほど言われましたけど、一応そちらで、本日出た意見をもとに、なるべく早く書き直していただいて、皆さんにお回しするという形でお願いできますか。

【福井推進官】  

そうですね、はい。あと、言い忘れましたとか、何かそういうことがありましたら、早目にメールでいただいても結構でございます。きょうの意見を踏まえて書き直して、また皆さんに照会しようと思います。

 

【小池(勲)部会長】  

それでは、その他、何か事務局のほうから。

【福井推進官】  

次回開催は、今、皆様にご都合をお伺いして調整しておりますので、近日中にご連絡申し上げますので、よろしくお願いいたします。

 本日の議事録は後日、こちらからメールで委員の皆様にお送りさせていただきますので、修正等ございましたらご指摘ください。最終的にはWebに載せますし、前回の議事録は本日の参考資料にもしてございますので、ご参照いただければと思います。

 あと、毎度のことでございますけれども、旅費、委員手当の確認についての用紙をお手元にお配りしてございますので、ご確認いただきまして、お帰りの際に事務局のほうにご提出ください。

  以上でございます。

【小池(勲)部会長】  

ありがとうございました。

 それでは、これをもちまして第3回の会合を終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

 

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