平成23年2月28日 月曜日 10時00分から12時00分
文部科学省16F特別会議室
小池(勲)部会長、大垣部会長代理、青木委員、東委員、杉本委員、高薮委員、 瀧澤委員、佃委員、中静委員、深澤委員、藤谷委員、堀川委員、安岡委員、渡邉委員
加藤審議官、田口環境エネルギー課長、福井環境科学技術推進官、他
科学技術・学術審議会令第6条第3項の規定に基づき、委員の互選により、小池(勲)委員が部会長に選任され、また、同第6条第5項の規定に基づき、大垣委員が部会長代理に指名された。
資料2について事務局より説明がなされた。特段の意見等はなく、本案を持って運営規則が決定された。
※ 以降、運営規則第4条の規定に基づき公開
【小池部会長】
それでは、第4期の地球観測推進部会の発足に当たりまして、加藤大臣官房審議官からまずごあいさつをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【加藤審議官】
加藤でございます。よろしくお願いします。
本日は、皆様お忙しい中、特に年度末でございますが、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。
地球観測の重要性について、ここで縷々申し上げる必要はないと私は思ってございますが、衛星・地上・海洋観測等の地球観測や情報システムを統合する国際的な取り組みである全球地球観測システム、これをGEOSSといっていますが、10年計画で進めており、そのちょうど中間地点で折り返し地点になってございます。
その取り組みに従って、実社会、実際の社会で使っていただくような貢献ができる成果を生み出す時期に来ていると私どもは考えてございまして、このような状況でございますので、この部会におきましても、我が国の地球観測の方針をご検討いただきたいと考えてございます。
特に、国内に関しましては、地球観測データの共有、あるいは統合化を進めること、それから国内における地球観測の連携拠点といったもののあり方についてご議論いただきたいと思っておりますし、国際的な面では、国際的な地球観測システム統合化に向けて日本のリーダーシップをいかにとっていくかという面、それから国際貢献をどういうふうに考えていくかという面についてご検討いただきたいと思ってございますので、よろしくご審議をお願いいたします。
【小池部会長】
どうもありがとうございました。
それでは、引き続き議事を進めたいと思います。
本部会の審議事項の概要について、事務局からお話をお願いいたします。
【福井推進官】
資料3でございます。「地球観測推進部会の概要」でございます。
参考資料2につけておりますが、総合科学技術会議の意見具申でまとまりました「地球観測の推進戦略」というものが平成16年に出ております。それを踏まえまして、関係府省庁・機関の緊密な連携・調整のもとで、地球観測の推進に関する重要事項を調査審議するため、科学技術・学術審議会にそのような組織を置くということが推進戦略に書かれておりまして、地球観測推進部会を設置したということでございます。ここに書いてありますとおり、平成17年から第1期が始まりまして、今回の期で第4期を迎えておるということでございます。
主な調査審議事項ということで、ここに3つ書かせていただいておりますが、まず、「我が国における地球観測の実施方針」ということで、関係府省・機関の緊密な連携・調整のもと、「推進戦略」を踏まえ、我が国の地球観測体制のあり方というものを毎年度策定しております。この実施方針をもとにして、関係府省庁それぞれ概算要求も行うということもありまして、7月ないしは8月に毎年策定しております。これに関する議論につきましては、5月、6月、7月に数回、この地球観測推進部会を開催させていただきまして、ご議論いただくという形になると思います。ちなみに、平成23年度の実施方針につきましては、参考資料3につけさせていただいております。これは23年度でございますが、また24年度についての議論を4月、5月から開始するということでございます。よろしくお願いいたします。
そのまとまりました実施方針に基づき、各省庁がそれぞれ施策、概算要求等を行います。その概算要求等もまとまり、計画がまとまったところについて、毎年「実施計画」というものを策定しております。これは、実施方針のそれぞれの項目について、関係各省・機関がどのようなことを実際に行っているかということをまとめた形のものになります。物としては大体二十数ページのものになるかと思いますが、参考資料につけております平成23年度の実施方針に基づいたものを、今日たくさん傍聴に来てくださっておりますけれども、そのような関係省庁の方からいろいろお話を伺いながら現在まとめているところでございまして、めどとしては4月ないし5月にはまとめたいと思っておりますので、次回の観測推進部会の際には取りまとめて、皆様にご報告できるかと思っております。
その実施計画に基づきまして、総合科学技術会議のほうでは、この実施計画及び、さらに関係省庁からヒアリング等を行いまして、「フォローアップ」というものを作成してございます。これは、まさに各省庁の取り組みを網羅的に記した上で、今後の課題とか今後やるべきテーマみたいなものを末尾に書いたというものでございます。これに基づいて、また新たな実施方針を策定するという形で進めるということでございます。
一番、資料3の末尾のところに、第3期の地球観測推進部会の成果を記させていただいております。前期におきましては、この実施方針、実施計画という通常のサイクルの上に加えまして、下から2番目のポツでございますけれども、「北極研究検討作業部会報告書-中間とりまとめ-」、これも参考資料4のほうにつけさせてございますが、当部会傘下の北極研究検討作業部会で取りまとめいたしました。この結果を踏まえまして、また後ほどご審議いただきますが、新たな北極研究戦略小委員会を設けるという形になってございます。
この資料3の2枚目のほうは、地球観測の推進戦略の概要をまとめてございます。こういった形で委員の皆様方に審議いただくとともに、地球観測に関するアドホックな話題についても必要であれば審議していただくことになるかと思います。以上でございます。
【小池部会長】
ありがとうございました。今ご説明にありましたように、毎年やらなきゃいけないルーチン的なことはここに書いてあるようにあるのですけれども、それ以外に、幾つか小委員会の活動とかというものが入ってきますので、それもあわせてやるということです。何か今のお話でコメント、質問はございますか。第4期も多分こういう形でやっていくということと思いますけれども。よろしいですか。
もうちょっと具体的な話にならないとなかなか質問しづらいと思いますので、次の議題に移ります。
【小池部会長】
次は、議題3で、「北極研究戦略小委員会の設置について」です。今の話にありましたように北極に関しては報告書が出ておりまして、それに基づいて北極研究戦略小委員会の設置を行いたいということで、事務局のほうから説明をまずお願いしたいと思います。
【福井推進官】
資料4の1枚紙でございます。あと、関連資料といたしましては、参考資料4でございます、前期の部会でまとめていただきました北極研究検討作業部会の報告書でございます。
この報告を受けまして、この報告書の中には、北極環境研究コンソーシアムをつくるのが望ましいという方向性が示されました。これを踏まえまして、我々文部科学省のほうでも平成23年度予算におきまして、北極研究コンソーシアム及び北極研究に取り組むため、予算要求をいたしまして、現在、政府予算案の中に入っておるわけでございます。
というわけでございまして、この北極研究検討作業部会は1つの成果を生み出したわけでございますけれども、今後の北極研究コンソーシアムの活動や今、概算要求の中に入ってございます北極気候変動研究プロジェクトにおきまして、さまざまな大学、あるいは極地研、あるいはJAMSTEC等の共同研究でございますとか、あと、この中間とりまとめに従った研究インフラの整備とかを行うわけでございます。
実際的な活動は、コンソーシアムのほうで、研究者や研究機関の代表者の方が集まって、計画を立てて、それに基づき研究活動を行っていかれるわけでございますが、こういう北極研究のあり方というのをまとめた地球観測推進部会のほうでも、その研究、北極環境研究の活動、あるいはコンソーシアムの活動について、研究の基本方針を示したり、研究の進捗確認・評価・助言を行ったり、そのほか、国側で大きな方針、大きなあり方について議論する必要がありましたら、議論していくために設けたということでございます。先ほど、運営規則のところでも説明を申し上げましたが、そういう何かを調査して、報告書にまとめるという活動ではなく、コンソーシアムの活動を確認・評価するという意味もございまして、今回、小委員会という形で進めさせていただきたいと思っております。
まだコンソーシアムとか北極気候変動研究プロジェクトのほうがいろいろ中身の議論、あるいは組織、進め方の議論をしているところでございますので、そこがまだ固まっていないところではありますが、国側、地球観測推進部会の機関としてこういうものが必要であろうかということで、ここで設置を認めていただければ、この後、人選に入って、あるいはコンソーシアムや研究プロジェクトの内容が固まってきたら、またそこともいろいろ連絡をとりたいと思っております。
本日は、部会を開くという機会でございますので、この小委員会の設置についてお認めいただければと思います。以上でございます。
【小池部会長】
ありがとうございました。今、この小委員会の性格、どういうことをやるかということに関してご説明いただきましたけれども、これに関しては昨年、議論を始めて、一応こういうものをつくったほうがいいだろうというところまではいって、それを実際の形にしたということですが、何かご質問、コメントはございますか。
【深澤委員】
よろしいですか。
【小池部会長】
どうぞ。
【深澤委員】
この小委員会と、それから作業部会の性格の違いの中で一つ大きなのは、評価・助言というのがございます。これはだれに対する評価と助言になるのでしょうか。
【福井推進官】
基本的には、今回の成果を受けまして、北極気候変動研究プロジェクトというのが実施されると思いますが、そのプロジェクトに対する評価ということになるかと思います。
【小池部会長】
よろしいですか。
進捗状況の確認・助言をしながら、かつまた評価もするということは、その関係が、評価の場合は一応、外部評価と何となく内部評価的なものがあるのですけど、これはどちらかというと内部評価的なものと考えていいのでしょうか。
【福井推進官】
そうですね、まだプロジェクトとコンソーシアムのところがいろいろ動いて検討しているところではございますが、そういう意味では内部的な評価という意味でもあると思います。
【小池部会長】
今、文科省でいろいろなプロジェクトを立ち上げた場合は、必ず評価委員会みたいなのを設けて、それで、そこで中間評価とかをやられていますよね。これは小委員会がそれを兼ねるわけではないと考えてよろしいのですね。
【福井推進官】
そこもまだ検討を進めているところでありますが、そういう意味では検討事項にありますように、大きな基本方針でありますとか進捗確認というところに重きが置かれるということかと思います。この小委員会、「委員会」というふうに名前をつけましておりますように、北極研究がどんどん進捗していけば、将来的には地球観測部会から離れて北極研究全体の委員会に、という議論もありますし、そういう意味での大きな方針を示す委員会というふうに考えていただければと思います。
【小池部会長】
どうぞ。
【青木委員】
質問なのですけれども、参考資料4の10ページのところです。北極評議会のオブザーバーとなることが重要であるというふうにございますが、申請期間はいつまでで、「実績が有力な根拠」とありますが、具体的には何をすればいいんでしょうか。例えば、南極の運営に特権的な地位を持つ協議国になるためには、南極条約の9条にあるように、「科学的基地の設置又は科学的探検隊の派遣のような南極地域における実質的な科学的研究活動の実施」をすることが条件になっています。北極も何かそういうものが明確にあるのであれば、そちらに向かって進めていかなければいけないと思いますので、そのあたりを教えてください。
【小池部会長】
事務局、わかりますか。
【福井推進官】
ここにも書いてございますように、オブザーバーの資格を得るということにつきまして、外務省を中心に今、いろいろな努力をしているところでございまして、つまびらかには我々、存じ上げていないところなのですけども、そういった活動を研究の面からでも支えるということでございます。
【小池部会長】
よろしいですか。
【青木委員】
はい。
【小池部会長】
ほかにございますか。どうぞ。
【安岡委員】
確認ですが、これは地球観測推進部会という観測を中心とした部会の下に置くわけですけれども、当然、北極研究全体をカバーするということでよろしいのですよね。
【福井推進官】
そういう意味で北極研究全体をカバーするという形でございます。
【小池部会長】
これ、案を読むと、最初のパラグラフの最後に、北極に関して継続的な地球観測を実施することは非常に重要であると書いてありますよね。それを受けてその下の話が始まっているので、これだけ読むと、今、安岡委員が話された、質問されたように、北極研究すべてが含まれるということにはちょっと読みにくいような気もするのですけれど。
【福井推進官】
そういう意味では、北極における地球観測から始めていくということでございます。
【小池部会長】
どうぞ。
【楠原課長補佐】
環境エネルギー課の楠原でございます。まずは、昨年度の北極研究検討作業部会におきましてまとめられた報告書の中間とりまとめ、この線で基本方針とするという形で取りかかり始めていくというような形になるかと思います。
この中間とりまとめにおきましては、北極の気候変動に関して、それを中心にまずは研究を進めていきましょうという形になりますので、そこの取りかかりの部分、気候変動というのは地球観測の延長線上で出てきていますので、という形で取りかかりの部分が示されておりますので、そういう位置づけでこの小委員会のやることが地球観測推進部会の範疇に含まれるような形からまず始まりますというふうにお考えいただければと思います。
【小池部会長】
いいですか。
【安岡委員】
私も観測からスタートして、その先には北極研究全体があるということでよろしいと思います。資料4の2ポツの検討事項が「北極研究の基本方針」とありますので、観測からスタートするということは当然ですが、その先にはやっぱり基本戦略として、北極研究全体にスコープがあるのだということがあれば私は非常にいいと思います。
【小池部会長】
3番目のパラグラフに、この中間とりまとめをベースにして検討するということが書いてあって、中間とりまとめはかなりいろんな包括的な北極研究に関することは書かれていますので、多分それまでも、みんな含むというふうに考えるのですね。
ほかに何かございますか。よろしいですか。
【深澤委員】
ちょっといいですか。
【小池部会長】
どうぞ。
【深澤委員】
少し危惧するのは、この資料4の先ほど言った評価とかというのはどういうところかとお尋ねしたのですけれど、検討事項の中に、「北極研究の基本方針」と「北極研究の進捗確認・評価・助言」というのがございます。これは北極研究戦略小委員会の例えば評価・助言というのが、その後、例えば国策とか、こういった場でのどういうところにフィードバックされるのかというところがよく見えないのですけれど。
【福井推進官】
この基本方針、確認・評価といいますのは、中間とりまとめに基づいて行われる北極気候変動研究プロジェクトに対して、こういった確認・評価が行われるということですので、この小委員会で議論したことが今後のプロジェクトのあり方に反映されるということになると思います。
【小池部会長】
どうぞ。
【大垣部会長代理】
今のことに関連して、先ほどのご回答にも関係するのですが、資料2の第2条を見ますと、調査・評価・助言するのはこの部会ですので、小委員会が独立に評価・助言するという形にはなっていないというご説明でよろしいのではないかと思うのですが。だから、小委員会が独立でするとなると非常にわかりにくくなりますが、部会の中の小委員会ですから当然ですが、「ここの部会に対して」というふうに読めますけど、そういう読み方じゃいけませんか。
【福井推進官】
そういう形で結構でございます。そういう意味では、部会への報告とか部会での連携というのはちょっとタイムラグがあるかもしれませんが、最終的には部会からということで結構かと思います。
【小池部会長】
そうしますと、この検討事項の2の「進捗状況の確認」までで、「評価と助言」は残します? それとも外しますか。
【福井推進官】
部会も含めたという形で、このままでいかせていただいたほうがと考えております。
【小池部会長】
そうですか。
じゃあ、小委員会としても助言するのはいい。あと、だから、評価まで、どこまで踏み込むかということはありますね。
【深澤委員】
よろしいですか。
【小池部会長】
はい。
【深澤委員】
最初の、今我々が審議した結果、認めた部会運営規則。今、大垣委員のほうからもご発言がありましたように、そこのところに「評価・助言」というのが入って、それは本部会に対する評価・助言である。
それはそれでいいと思いますので、それで、この資料4が動き出したときに、多分、検討事項のところの北極研究というのが広過ぎるのかなという気がしたのです。ですから、これを特定の、例えば北極気候変動プロジェクトの基本方針とか北極気候変動プロジェクトの進捗確認・評価・助言というぐあいにお書きになったら、多分誤解とか、そのあたりも避けられるのではないかというように思うのですが、いかがでしょう。
【小池部会長】
これは基本的には、そこの中に書かれています「北極環境研究コンソーシアム」という組織ができて、そこのいろんなプロジェクトに対して、その進捗状況を確認したり助言したりするということを考えられているのですよね。
【福井推進官】
そこはそうなのですが、そういう意味では将来的には他の北極研究のプロジェクトみたいなものが出てくるかもしれませんし、そういったことも踏まえて、広目に書いております。最初に設置するときに、敢えてそんなに特定せずに、一度設置したら将来的にいろんなものに対応できるようなという意味も込めて、ここは広目に書かせていただいているというのが趣旨です。
【小池部会長】
そういう含みでこれを承認していただきたいということですけれども、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【小池部会長】
それでは、この設置について、当部会として承認するということにしたいと思います。この北極研究戦略小委員会の委員に関しましては、部会長の指名という形で、後ほど決めさせていただきたいということにしたいと思います。ありがとうございました。
【小池部会長】
もう一つ、作業部会の設置がございます。議題4が、「全球地球観測システム作業部会の設置」です。これはもう前期に立ち上がっていますけれども、引き続き設置したいということで、事務局のほうからまずご説明をよろしくお願いします。
【福井推進官】
資料のほうは、資料5でございます。部会長からございましたように、これは前期にも設置しておりましたGEOSS、全球地球観測システム作業部会でございます。
GEOSSの概要については後ほど説明申し上げますが、2015年までの10年実施計画の折り返しも過ぎまして、いよいよGEOSSの計画を実現化していくというのと、あと、2015年以降の議論もこれから始まるかと思います。そういう意味では、引き続きこの作業部会を設置させていただきたいということでございます。以上でございます。
【小池部会長】
これは引き続きということですけれども、一応部会が新しくなると、2年置きに設置しなきゃいけないのですね。
【福井推進官】
科学技術・学術審議会が2年の期間ということで、その期ごとに傘下の部会、委員会、作業部会、全部もう一回再設置しなきゃいけないということでございますので、これまであったものも、もう一度設置をここで決めていただくという必要がございます。
【小池部会長】
いかがでしょうか。よろしければ、この作業部会の設置を承認することとしたいと思いますけども。
(「異議なし」の声あり)
【小池部会長】
それで、当部会としてこれを承認することとして、部会のメンバーに関しては、先ほどと同じように部会長のほうからの指名という形でこれも決めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
【小池部会長】
議題5は、「全球地球観測システム構築に向けた最近の動きについて」です。事務局のほうからご説明をお願いします。
【福井推進官】
資料は、資料の6番でございます。それに、「GEOSS構築に向けた最近の動きについて」とございます。あと、関連する参考資料といたしまして、参考資料5から7まででございます。資料6に基づいて説明申し上げます。
GEOSSの概要はここに書いてございますが、改めてここで説明申し上げることでもないかもわかりません。ただ、(2)のところに、GEOSS、国際的な枠組みでございますが、参加国、ここに85カ国と書いてございますが、これも今年1年間で6カ国増えております。あと、61の国際機関・関連組織もこの1年間で3つ増えました。そういう意味では、どんどんその趣旨に賛同して参加する国が増えてきているところかと思います。
2005年から2015年までの10年実施計画を策定しておりまして、この計画は9つの社会利益分野、ここに書いてある9つの分野について地球観測データを生かしていこうという取り組みでございます。
GEOSSに係る経緯でございますが、G8エビアンサミットで10年実施計画の策定、閣僚会議の開始につき合意がありまして、それからこの3回の地球観測サミットを経まして10年実施計画が策定されたということでございます。
サミットの都度、その重要性が取り上げられておりまして、2ページ目のほうに参りますが、昨年11月に閣僚会合が北京でございました。という流れになっております。
3ポツでございますが、GEOSSにおきまして、これまでに既に成果として出ている取り組みについて4つほど挙げてございます。災害における「GEO Supersites」における地震データの提供でありますとか、日本がイニシアティブをとってアジアを中心に水の管理のデータを提供し、それを実際の管理に生かしてもらうというアジア水循環イニシアティブ計画、あるいは森林観測の取り組みでありますとか、あと、ようやくかもしれませんが、各種データを共有し、提供するためのポータルサイト、「GEOSS Common Infrastructure」が構築されまして、これからはこのポータルサイトにどんどんデータを入れていこうという段階になっております。
4ポツですが、GEOの閣僚級会合、本会合でございます。本会合と閣僚級会合は、昨年11月2日から5日に開催されてございます。日本政府のほうからも文部科学省から林大臣政務官が閣僚級会合のほうに参加いたしました。そのときのステートメントにつきましては参考資料6につけさせてございます。
本会合の議題につきましては、2015年の戦略目標の策定及び今後5年間の着実な推進ということで、10年実施計画というものがございましたけれども、それをさらに議論して、かつ、今後評価していきやすいように、それぞれの9つの社会利益分野とその他の5つのシステム構築の分野でどのように達成するのか、達成されたらどういった形で成果が出てくるのかというものをまとめ上げてございます。これが戦略目標でございます。それぞれの分野につきましては、3ページの上のほうに書かせていただいてございます。
あと、データ公開を促進することが重要でございまして、これに関するデータ提供のアクションプランというものもまとまってございます。
あと、(3)でございますが、北京宣言というものをまとめました。この北京宣言につきましては、参考資料7につけさせてございますが、戦略目標を進めていきましょうということであったり、地表・海洋・衛星観測の体制の強化に努めてくださいということであったり、あと、データ登録・提供への取り組みの強化等、3ページ目の(3)に書かれてあるようなことが宣言としてうたわれました。
肝心な今後の課題でございますが、戦略目標で定めました9つの社会利益分野と5つのシステム構築分野について1つ1つ着実に実行していき、評価していくということと、データ共有アクションの着実な実行、ようやく完成しましたデータのプラットフォームである「GEOSS Common Infrastructure」にデータを投入し活用していきましょうという話。あとは、2015年まであと4年ということでございますが、そろそろ10年実施計画以降の議論をGEOSS、GEO事務局の中でも始めていこうということでございます。簡単ですが、以上でございます。
【小池部会長】
ありがとうございました。今、国際的なGEOSSの活動についてご紹介いただきましたけれども、何かこれについて追加されること、あるいは今のご説明についてご質問、コメントがございましたらお願いします。
【深澤委員】
ちょっと追加してよろしいですか。
資料6の2ページ目の、地球観測に関する政府間会合のGEO閣僚会議(2010年・中国)がありますが、多分その前に一つあるのは、GEOSSの進捗状況に関する全体的な評価が初めて行われたのです。その評価の、いろいろな評価の結果があるのですが、それに基づいて閣僚級会合などの北京デクラレーションもかなりそこを意識してつくられているということなのです。
それで、その中で一番重要だったのが、要は現在あるSBA(社会利益分野)、9つのSBAエリアであるのですが、そのSBAエリアだけではGEOSSの目的を直接達成するのがそろそろ難しいのではないか、より重要な場所としてGEOSSのCommon Infrastructureをさらに世界的に活用する方向に行きましょうという議論がその評価の中でされていたというのが北京でのサミットの宣言文に盛り込まれているというのが、補足させていただきたいと思います。
【小池部会長】
ほかに。そちら、ではどうぞ。
【青木委員】
質問なのですけれども、以前、CODATAに委託をして、データの配付方針をつくりつつあったと思うのです。で、その第3版ぐらいまではインターネットなどにも出ていますが、これはもう確定したのでしょうか。それが今回のデータの共有基盤というものになっているのでしょうか。
場所としては、日本が共同議長を務めていたデータ構造のところで議論していたと思うのですけれども、CODATAに委託していたデータの配付方針についてです。
【福井推進官】
あそこの議論は今、データ共有ポリシーということでまとまりまして、そこに全部フリーで供給するデータ、あるいは複製に費用がかかるデータ、あるいは複製以上に費用がかかるデータとか、そういうデータの区分けづけも決まりまして、今後はポリシーを全世界で広めていこうということでございます。
【小池部会長】
よろしいですか。
【青木委員】
はい。
【小池部会長】
ほかにございますか。
【小池部会長】
それでは、これが今日のメインの議題ですけれども、「第4期地球観測推進部会の活動について」でございます。
初めに、地球温暖化分野の連携拠点で、先ほど審議官の話にも、国内的には連携を強めるのとデータの統合、2つが非常に大事だというお話がありましたけれども、連携拠点として既に活動されている地球温暖化分野の連携拠点の藤谷委員から、今の活動状況と、それからその課題のご説明をお願いいたします。
【藤谷委員】
それでは、ご説明いたします。資料7でございます。それから、机上に配付いたしました連携拠点のパンフレット、ワーキンググループ報告書概要版を適宜参照いただければと思います。
連携拠点、あるいは事務局の活動につきましては、これまでもこの部会で適宜報告したわけでございますけれども、今、委員長のほうからお話がございましたように、発足以来ほぼ5年弱経過いたしました。連携拠点をいろいろな他の分野にもつくるという動きもございます。それに対する参考にもなるかということで、簡単にご報告させていただきます。
資料の「1.目的」のところにございますように、地球観測の推進戦略において関係府省・機関の連携を強化するため、連携拠点の設置が提言され、推進部会で温暖化分野の連携拠点について設立が認められてございます。その連携拠点の活動を支援するために、環境省と気象庁の共同で、事務局が国立環境研の中に設置されてございます。
「2.経過」に、これまでの主な事務局活動を簡単にまとめてございます。平成16年12月に「地球観測の推進戦略」が総合科学技術会議で決定されました。平成17年2月に地球観測推進部会が設置されております。平成18年4月に連携拠点の事務局が設置されてございます。9月に開所式、及び記念セミナーをやってございます。
その後は、毎年ワークショップを開催したり、あるいは国際的なワークショップの支援をしたりしております。さらに、ワーキンググループ報告書を2冊発行するという活動をやってございます。それ以外にも、例えば平成22年2月には温室効果ガスの標準ガス体系に関する専門家会合というのを開催してございます。そういう活動をやってきております。
以下、「3.主な事務局業務」に従いまして、詳しくご説明いたします。
まず、我々の連携拠点の重要なミッションとして地球温暖化に関する各種地球観測のニーズに関する調査がございます。これにつきましては、ワーキンググループ報告書を2冊刊行してございます。第1号が「温室効果ガス・炭素循環および温暖化影響評価に係わる観測」、第2号が「雲・エアロゾル・放射および温暖化影響評価に関する観測」ということで、いずれも大部の報告でございます。これにつきましては以前に部会に提出してございます。なお、それぞれ概要版をつくって刊行してございます。昨年3月に刊行いたしましたワーキンググループ報告書第2号の概要版につきましては、今お手元にございますこの冊子でございますが、これを昨年9月に刊行してございます。
内容でございますが、ワーキンググループ報告書で、観測のニーズを取りまとめまして、いろいろ重要な課題等を抽出しているわけでございます。この概要版では、それらを全部抜き出しまして、各分野でどういう課題が重要かということを簡単にまとめてございます。ただし、各課題の中の優先順位はなかなかつけにくくございますので、15ページに表がまとめてございますけれども、それぞれの優先課題について短期、中期、あるいは長期という形で分類分けして、優先順位というよりも、どれからまず取り組んでいくかというふうに分類してございます。
なお、その表の一番右に、「関係府省・機関の温暖化観測に関する取り組みの現状・今後の計画(取りまとめ結果)」という欄がございますが、これは平成21年度末に連携拠点の関係府省・機関連絡会議にご参加の各機関に対しまして、事務局から依頼いたしましたアンケート結果の内容でございます。アンケート結果は後ろのほう、23ページから29ページございます。アンケート結果のうち、我々が抽出いたしました観測ニーズとの関係の深いものを選び出して一応お示ししております。
したがいまして、この概要版、あるいはワーキンググループ報告書の作成というのは、ニーズを取りまとめるのが非常に重要でございまして、後でも言いますように、いろいろな連携施策の検討、あるいはそういう我々の連携拠点の活動の一般への周知・広報というのは非常に重要な貢献をしていると思います。
資料の3.1の丸2にございますように、ワーキンググループ報告書で取りまとめた観測のニーズを文書として推進部会に提出し、推進部会策定の「実施方針」に、これまでも陸域炭素循環と雪氷について反映することができてございます。
次に、観測プラットフォームの相互利用です。地球観測の推進戦略にも施設や設備の相互利用及び共同運用が書いてございますけれども、それに関しまして、観測施設の現状調査、外部利用等の状況調査、あるいは各種資料の分析、関係者へのヒアリング等を行いました。来年度、これらをもとに観測プラットフォームの相互利用に向けた情報をホームページに掲載する予定であり、これにより観測施設の現状、外部利用等の状況がワンストップサービスで取得可能となり、観測施設の相互利用が促進されることが期待されるということでございます。
それから、「3.3 観測データの管理標準化の検討」でございます。この中の一つとしまして、先ほども言いましたけれども、温室効果ガスの標準ガス体系に関する専門家会合というのを昨年度開催いたしました。さらに今年度、専門家からなるワーキンググループを設置して、連携体制の検討を開始し、今年度末に中間報告案として取りまとめるということでございます。
また、放射観測機器の較正に関する専門家会合というのを今年度開催いたしまして、来年度はワーキンググループを設置する予定にしてございます。そこで連携体制を検討することを予定しております。
これらの活動によりまして、温室効果ガスの観測データ並びに放射観測機器の較正に関する標準化の連携が強化されるだろう。そして、データの標準化が進めば、データの利用がより一層進んで、いろいろな気候変動に関する研究が進展することが期待できるということでございます。
それから、もう一つの連携施策として、WDCGG(温室効果ガス世界資料センター)及びJODC(日本海洋データセンター)へのデータ提供の推進がございます。気象庁がWMOのWDCGGを運営しておられます。それから、海上保安庁がJODCを運営しておられます。そういうところに地球温暖化観測データの一層の提供を推進するように、我々のほうで研究機関、あるいは大学に依頼の文書を出してございます。これにつきましては、今後、個別にデータの提供の推進をお願いすることになっています。
それから、これらの活動をやるために事務局の下にワーキンググループを設置するわけでございますけれども、そこにございますように、それぞれの目的別にワーキンググループを設置してございます。
報告書の第1号作成のために、ワーキンググループを18年度から19年度に設置いたしました。それから、同じく第2号に関連しましたワーキンググループを20年度から21年度に設置しております。それから、後で申しますけれども、気候変動影響統計整備のワーキンググループを今年度設置いたしました。さらに、先程申しました温室効果ガス観測データ標準化のワーキンググループを今年度と来年度設置する予定でございます。
その外の会議と致しまして、地球観測推進委員会(温暖化分野)がございます。これは、連携拠点活動についての助言の機関でございますけれども、この会議の運営支援を行っております。さらに、連携拠点全体の決定機関でございます関係府省・機関連絡会議の運営の支援を行っております。
それから、観測ニーズ等の調査に関して重要な活動と致しまして、ワークショップの開催がございます。平成19年度から毎年やってございます。統一テーマは、「統合された地球温暖化観測を目指して」となっておりますが、そこにございますように、それぞれの年度、いろいろなテーマを設定してやってございます。
例えば、平成19年度は、「観測の長期継続と分野間・機関間連携の視点から」。平成20年度は、「温暖化影響観測の最前線」。21年度は、「雪氷圏における観測の最前線」。22年度は、「森林における観測の最前線」ということでございます。それぞれのテーマについて当該分野の専門家が講演を行うとともに、分野間並びに機関間の連携施策について総合討論を行っております。そして、今後の連携に関する取り組みについて意見を取りまとめ、この取りまとめた意見を、推進部会にも提出しております。そういう連携に関する取組を実施方針等に反映させる道筋としても非常に重要であります。また、一般社会への啓発・広報という意味でもこの活動は非常に重要だと思ってございます。
それから、情報源情報等の収集及び情報発信というのも我々の重要な任務でございますけれども、そこにございますように、推進事務局のホームページを作成して、順次改善を行っておりますし、先ほど出てございますGEOへの貢献の一環としまして、事務局ホームページのコンテンツの幾つかをGEOポータルへ登録してございます。その他、パンフレットの作成、配布をしております。さらに、GEOの総会、GEOSS-APシンポジウム、COP等へ参加いたしまして、連携拠点の展示を行うなどの広報活動をやってございます。
こういう活動をいろいろやっているわけでございますけれども、我々の基本的な目標は、連携を進めるということであります。
連携の種類として、我々の考えますのは2種類ございます。1つは機関間連携でございます。これは基本的に、長期継続観測の実現を図るためでございます。そこにございますように、「地球観測の推進戦略」の中に具体的に文章がございます。「既存及び今後導入される観測について体系的な統合化を図り、関係府省・機関の観測に係る施設や設備の相互利用や共同運用を促し、関係府省・機関の観測体制が相互補完的に強化されることが重要である」と書いてございます。また、平成20年に研究開発能力強化法ができまして、研究開発施設等の共用の促進等も明記されてございます。そういう意味で、これは我々の機関間連携を図る上での非常に重要な根拠ではないかと考えてございます。
それから、もう一つの連携と致しまして分野間連携がございます。これは長期継続観測という側面もございますけれども、それ以外に、新たな研究分野の創出でございますとか、研究のブレークスルー、新たな研究成果を得るなど、そういうことに非常に寄与するのではないかと考えております。
今述べました2つの連携の種類を考えまして、それを具体的にどうするかということをやっているわけでございますけれども、4.2にございます「連携施策の立案過程」として、3つぐらいの筋道を考えてございます。
1つは、先ほど言いましたワーキンググループ報告書を取りまとめて、ニーズを抽出するわけでございますけれども、そのニーズに関するワークショップを開催する。そして、取組を取りまとめて、推進部会へ提出し、毎年度の実施方針に反映していただく。さらにそのフォローアップをする、という道筋でございます。これまでに、例えば陸域炭素循環と生態系観測の連携に関する取り組みについて推進部会に提出いたしまして、平成21年度の実施方針に取り入れられてございます。それから、平成21年度の雪氷圏観測の機関間連携の取り組みについて。これも今年度提出いたしまして、平成23年度の実施方針に反映されてございます。現在は、今年、森林観測のワークショップをやりましたので、その取り組みについて、現在取りまとめ中でございます。可能でございましたら、関係府省・機関連絡会議のご承認を得てから、平成24年度の実施方針に向けて推進部会に提出したいと考えてございます。
それから、第2の道筋でございますけれども、これはワーキンググループ報告書でニーズを取りまとめて、専門家会合をやるという道筋でございます。先ほど言いました温室効果ガスの標準化でございますとか、放射計の較正等の課題につきまして、専門家会合を開催する。そして問題点を抽出して、例えば温室効果ガスにつきましてはワーキンググループを設置する。そこで具体的な連携施策の提案をやろうということでございます。温室効果ガスの標準化につきましては、今年度、ワーキンググループをつくりまして、連携施策を検討し、現在、中間報告を取りまとめ中でございます。放射計につきましては、今年度、専門家会合を開催いたしましたので、来年度はワーキンググループの設置を予定しております。
それから、もう一つ、第3の道筋といたしましては、ワーキンググループ報告書での課題の抽出を受けて、例えば社会情報の統合ということを我々は提案しているわけでございます。それに関する具体的な連携施策につきまして、関係府省・機関連絡会議等から検討の指示をいただきまして、ワーキンググループを設置し、そして連携施策の具体的な提案を行うという道筋でございます。これにつきましては、今年度設置しました気候変動影響統計整備に関するワーキンググループが該当いたします。この1年で気候変動影響統計の整備に関する基本方針案というのを作成しまして、現在、最終的な調整を行っているところでございます。具体的には来年度から統計整備を行うこととしております。こういう形でいろいろな連携施策をやっているわけでございます。
次に、連携拠点の具体的な成果でございますが、具体的な成果は、これまでに述べた第3節にあるわけでございますけれども、波及的な成果として3つぐらいございます。1つは、関連する分野の研究者が一堂に会して議論を実施する機会が持てたということでございます。例えば報告書の作成に関係するWGでは、気象でございますとか海洋、あるいは生態等、そういう関係者が一堂に会して集まり、自由に議論して、報告書を取りまとめる。これまではそういう場はなかなかございませんでした。そういう意味でそれは非常によかったと思っております。
それから、2番目の効果と致しまして、例えば温室効果ガスの標準化、あるいは放射計の較正、これらは観測関係機関だけではできません。標準機関の参加が不可欠でございます。観測機関と標準機関の関係者が一堂に会して議論するということは、なかなかこれまでやっているようでやられておりませんでした。初めて聞いた話とかいうのが結構ございまして、そういう意味で観測機関と標準機関の意思の疎通、情報の共有、連携がこれから進んでいくのではないかと考えてございます。
それから、もう一つの波及効果と致しましては、多様な分野の研究者が集まって議論する機会を設けることが出来たことでございます。たとえば、気候変動影響統計に関するワーキンググループでございます。これは農作物、人間、さらに建築物等の、いろいろ広い分野の方に集まっていただきました。で、「初めて聞いた」とか「なかなかそれはいい話」とか、いろいろございまして、そういう意味で非常にお互いの意思の疎通といいますか、コラボレーションといいますか、それこそ先ほど言いました研究のブレークスルーにつながるような議論がなかなかできたかなと思ってございます。
そういう成果をうけまして、「5.今後への課題」としてまとめさせていただきました。
少し読ませていただきますと、「これまでの節において述べたように、各種連携施策(分野間、機関間)の具体化が進展し、具体的な連携の仕組みが構築されつつある。しかし、「地球観測の推進戦略」にも重要事項として記述されている、長期継続観測を実現するための、研究機関と業務機関の連携については、ワーキンググループ報告書、ワークショップ等で議論は行われているが、未だ、具体的な連携には至っていないのが実情である。今後、研究機関と業務機関の具体的な連携を図ることが、重要なミッションであると考える」。
それから、「また、連携拠点の任務はニーズや観測実施状況の集約、連携の推進を図ることにあるため、個別具体的な連携施策の実現にあたっては、関連する各機関に依存せざるを得ないのが実情である。」ということでございます。以上、簡単にご説明いたしました。
【小池部会長】
ありがとうございました。
今ご説明いただきました温暖化の連携拠点というのは、非常にしっかりした活動をやられていまして、それで、あともう一つ、平成18年、地震と、それから火山分野に関しては、もともと地震調査研究推進本部、それから測地学分科会の事務局で文科省はかなりしっかりした活動を既にやられていたので、それをこちらとしても連携拠点として扱わせてくださいということで、今のところその2つ、連携拠点がございます。
両方とも非常にしっかりした活動をやられている連携拠点なのですけれども、今後、これをどうしていくかということで、前期、第3期の地球観測推進部会では、水分野、それからあと生態系の2つの分野に関して、連携拠点をできたらつくりたいということで作業部会を設置していました。
それで、今の藤谷委員からのご説明も踏まえて、連携拠点のあり方、それから水・生態系の連携拠点を今後、どういうふうに考えていくかということに関してご議論いただければありがたいと思います。
それで、私もこの温暖化の連携拠点には関係しているのですけれども、藤谷委員が言われなかったことで、一つこれの特徴は、研究者だけの拠点ではなくて、それぞれ、先ほどの各府省連携連絡委員会というのがありますね。
【藤谷委員】
お配りしましたパンフレットを開いていただきますと、左側に、連携拠点の全体のストラクチャーの図がございます。ここにございますピンク色のところ全体が地球観測連携拠点(温暖化分野)でございますけど、その中でブルーのところ、地球観測に関する関係府省・機関連絡会議(温暖化分野)が全体を統括している会議でございまして、ここに関係府省・機関が参加している。その横に、グリーンでございますが、これがアドバイザリーボードで、地球観測推進委員会(温暖化分野)で、小池先生に委員長になっていただいてございます。その下に事務局がございまして、事務局の下にいろんなワーキンググループを設置していろいろ活動をする。そういうストラクチャーになってございます。
【小池部会長】
各府省の、実際に研究のマネジメントをやられている方がつながっているというのが非常に大きなところで、研究者だけなら比較的簡単にグループはつくれるのです。ですけれども、各府省のそれぞれの実際に施策をやられている方たちもこの中に入ってやっているということが非常に大事なことだと思います。ただ、研究者の場合は、勝手なことを言って、あれもやりたいこれもやりたいという話になるのですけど、実際にそれがそこの連絡会に上がっていくと、「いや、そんなのはなかなか難しい」という話になるという点はあるのですが、具体化されやすいというところは非常にメリットだと思っています。
それで、今後の連携拠点について、どういうふうに考えるか。何かご意見がございましたらよろしくお願いいたします。安岡委員、お願いします。
【安岡委員】
昨年、前期に地球観測連携拠点の一つの候補として、生物・生態系という分野でつくってはいかがかということで、その作業部会がこの部会のもとに設置されました。私はそこでお世話させていただきました。
昨年、名古屋であった、10月に行われましたCOP10の前ということもありまして、これから生物・生態系の分野においても、こういう連携拠点は非常に重要であろうという議論が行われました。生物分野といいますのは、例えば温暖化と非常に密接な関係がある、それからほかの環境問題とも非常に密接な関係がある非常に重要な分野ではあるのですが、研究なり分野の性格からして、データがどうしても分散化するという傾向があります。場に依存するとか、さまざまな要因でやや小規模にデータが分散化して存在している。そういうものをいかにつなぐかという意味では、非常に重要な役割を果たすことになるだろうと思います。今後の連携ということのキーワードを推進する意味でも、重要な役割を担っていてほしいと思っています。
COP10でデクラレーションがある程度皆さんで合意されて、今後2年間、次のCOP11に向けて加速していくわけですけれども、日本が議長国ということもありまして、この分野に関しては積極的な議論をする必要があるだろう。作業部会の意見でも、全体としてそういう方向でやりましょうということに関しては皆さん、強い支持を持っていた、抱いていたというふうに理解しています。とりあえずご報告です。
【小池部会長】
ほかに何かございますか。どうぞ。
【中静委員】
今の点をフォローアップさせていただきますと、例えばCBDのCOP10が行われたときに、大きなこととしては、2010年までの目標が評価されて、2020年までの目標が策定されたということがございます。それのもとになったのがGBO3といいまして、「Global Biodiversity Outlook」ということで、これは現況がどういうふうになっているかというレポートでございます。それに対応するような形で日本側もJBOという日本の生物多様性はどういうふうになっているかというレポートを出しましたが、やはりこういう生物多様性、あるいは生態系の観測が効果的に統合化されていないので、なかなかレポートとして十分なデータを出すことができなかったという恨みがあります。
それを受けてGEO BONといいますか、GEOSSのほうでもGEO BONという動きがかなり明確な方向が出てきておりますし、CBD側でもIPBESといいまして、IPCCに相当するような機関を設けることで、国連で合意されています。
こういう動きを受けますと、生物多様性、あるいは生態系に関する観測ももう少し充実しないと、それに対して十分なアウトプットができないという可能性があるので、ここはぜひ推進していただきたいと思っています。以上です。
【小池部会長】
ほかにいかがでしょうか。今、推進するためにやはり横にきちんとつながった形で推進していくことが大事だということだと思いますけれども。ほかに何かございますか。
【深澤委員】
いいですか。
【小池部会長】
どうぞ。
【深澤委員】
多様性のほうの連携拠点をつくることは生物系も必要だと非常に思います。
それは安岡委員や中静委員がおっしゃったことと同じなのですが、それは賛成で、いくべきだと思うのですが、あと、今、藤谷委員のほうから指摘された難しさという面。特に、多様性とかというのはほんとうに長期の観測につながるわけですけれど、機関間連携というのがある意味で各機関の経営判断の部分が含まれているのに対して、今度は、今言ったデータの集積とか、あとは分野間の連携というと、かなりボトムアップになる。
ですから、そこの2つを同時に連携拠点が持ったときに、どういう運営方法をすればいいのか。多分、藤谷委員が非常に苦労なさったところだと思うのですけれども、この先、連携拠点を組む際には、特に機関間連携がないと、これから先、例えば研究開発能力強化法なんかを実現するためには絶対必要になってくる。それが実際に今度は分野間連携のボトムアップの部分を支えるところがある。そこの組み合わせを何かうまくできるような方法。
例えば藤谷委員のところでやったのは、気候変動影響統計ワーキンググループをやりましたよね。そういった形のものがもっと広く行われるような方向をやるときに、例えば現存の学会とかといったところをもう少し積極的に取り込むような、そういった形の連携拠点のつくり方というのもかなり必要になってくるのではないかという感じがします。
【小池部会長】
どうぞ。
【安岡委員】
前回の作業部会でも議論いたしました、具体的に何をするかというのが一番問われるところだと思いますが、今ご紹介のあったように、幾つかの機関の連携、それからネットワークの連携、いろんなものがあります。
非常に具体的に多分成果が上げやすいのは、先ほど中静委員からご紹介があった、例えばJ-BONというネットワークがあります。これはGEO BONの下部になります。そういう研究者を中心としたネットワークの事務局的な機能をもって国内と国外の、そういうネットワークの真ん中に位置してハブの機能を果たす。ほかにもJaLTERとかLTERという生物系にはいろんな研究者のネットワークがありますが、そういうところをまとめられるような機能を持つということが1つの方法ではないかと思っています。
【小池部会長】
いかがですか。ほかに、どうぞ。
【杉本委員】
まさしくネットワークの重要性、私もそのとおりだと思います。
それから、ボトムアップということで、大学の研究者のネットワークを活用してということが非常に重要なことではないかと思います。
もう一つ、多様性のほうが、気候変動とか温暖化ですとか、地球観測の中でほかの分野とどういうふうにつながっていくのかというのは少し難しいところがあるのかなと思うのですけれども、生物の分野というのは、生物だけで閉じているわけではなくて、気候変動や物質循環や、そういうものとつながっているということを意識して、ぜひネットワークを広げていくということをやっていくべきではないかと思います。
【小池部会長】
今、お手が挙がりました。どうぞ。
【佃委員】
特に具体的な中身について意見があるわけじゃないのですけども、一つ藤谷委員に現状でお聞かせ願いたいのですが、ある意味で標準化をするという議論は非常に重要だと思いまして、そのときちょっとお話に、いわゆる中身が、国内での連携のためのという意識から、この場では国際連携の、だから国際標準をどうつくっていくかというところも非常に重要で、多分いろんな、こういった観測データがどう役立つかを議論したときに、やはり判断するときに各国ばらばらの観測評価であったり、あるいはそれを抽象化した何らかの評価データであったりすると、その立証をメーキングする、あるいは日本がイニシアティブをとるというか、科学技術外交まで広がって、そういったときに、非常になかなか影響力が発揮できないので、「役立った」と言ってもらえないところもあったりするのかなと思うので、国際標準をどう日本のイニシアティブでつくっていって、今後も観測をこれからやっていく上でも、あるいはほかのところとの連携をしつつうまくつくっていくかというのが非常に大事だろうと思うのですけども、その辺の議論はどのようになっているのでしょうか。
【小池部会長】
藤谷委員、お願いします。
【藤谷委員】
今、佃先生の言われました国際標準の話は、実は推進委員会でもISOとかの動きをどうするのだという話がございます。確かに国際標準としては、ヨーロッパはうまくやって、リードいたします。なかなか日本はいつも出おくれるのですけれども、まず我々がやるのは、国内の連携ではないかと考えております。
例えば、今回言いました温室効果ガスの標準化につきましても、そういう標準ガスをつくれるのは世界でアメリカと日本だけなのです。日本では独自の標準ガス体系がある。一方、国際的にはアメリカがつくったものはWMOが一応標準で採用している。そういう2つの体系がございます。国内でも、例えば気象庁は業務的にはWMOの標準に従っているわけなのです。2つの体系の間の相互比較というのを、これまで非常にボランタリーベースでやってきたものを、もう少し情報共有してやっていきましょうということをまず考えています。
それともう一つ、標準機関ですね。標準機関のほうでも、今後温室効果ガスについては、標準ガスを今後供給していくようなことも目標に掲げてございます。その中には、最終的なゴールには国際標準を目指すということも中間報告に書いてあるわけでして、決して国際的なことを無視しているわけでなくて、目標とはしているのですけど、まずは国内の連携をしようということを考えてございます。
【小池部会長】
ほかにございますか。
国内を優先するか国際的なつながりを先に考えるかというのはなかなか、それぞれの分野ごとに結構違いがあって、もう既にある程度国際的なネットワークができている、例えば温室効果ガスみたいなものはもう国際的なネットワークができていますので、国内のデータが全然はじかれるということはなくて、やはり、今言われましたけど、国内でもちゃんと国際的な基準に合わせてはかっているので、それはそのまま採用されているということです。
ですから、化学物質とかという面は比較的やりやすいのですけど、今出ています生態系とか多様性のほうで、何をその標準とするかというのはなかなか難しいです。ですから、その辺が、データをお互いにつないでいろんなことを考えるときに1つのバリアになってしまう可能性があるということですけど、何か中静さん、ございますか。
【中静委員】
例えばGBOと先ほどご紹介しました世界中の生物多様性の状況をどうやってレポートするかという議論の中で、何を指標にしてそれをはかるのかという議論に関連して、例えばそういう指標づくりをつくる専門家のグループがUNEPの中につくられていたこともありまして、どういう指標が可能かという議論なんかも随分進んだのです。
ただ、それが、日本からのアウトプットがどれぐらいできたかというのもともかくですが、結局、そういう指標に対して、科学的なデータをどれぐらい出せるかということになりますと、ヨーロッパとか日本等の先進国からは結構出せるのですが、途上国から出てこないというような恨みもありまして、今後、そういうことをどうやって進めていくかということは非常に大きな議論になっています。
あるいは、例えば生物に関するデータというのは、標準化しにくいとはいいながらも、時間と場所といるかいないかという基本的なデータでも、グローバルに集めていくと、かなり多くのことがわかってくるということが大分はっきりしてきました。それは今、GBIF(Global Biodiversity Information Facility)というのがGEOSSのGEO-BONと連携して動くことになっていまして、そこでいろんな電子化されたデータがどんどん集められつつあるのですが、その中では日本も非常に貢献していただいています。ですけれども、やっぱり日本のデータがまだ電子化されていないとか、それから日本語のデータであって国際化されていないとか、そういうことが非常に多くて、こういうところも日本の国内的には進めていかなければいけない点として、幾つか問題点は大分はっきりしてきたように思います。
【小池部会長】
今、主に生態系に関していろいろご議論いただきましたけど、水に関しては、前期の作業部会の主査をやられていた方が今日は欠席ですので、どうですか。何か話しますか。
【福井推進官】
前期に水分野と生態系の作業部会を設置しておりましたけれども、期が変わったということで、改めて設置する必要があります。ただ、本日の議論を受けまして設置するという作業に入ろうかと思っておったところでございます。
先ほどいろいろな方々からご意見をいただきまして、そういう意味では、今期につきましても、水及び生態系の作業部会を設置するということで進めていきたいと思います。その際に、また部会を開くというのはタイミングを逸することもあるかもしれませんので、設置する際には、委員の皆様に連絡させていただくということでございます。
また、委員につきましては、ほかの作業部会と同様に、部会長からご指名いただくという形になろうかと思います。引き続きの議論になるかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
【小池部会長】
事務局としては、北極のように、今回、小委員会を設置するということではなくて、次期、次の回ぐらいにできたら設置したいという話だと思いますけれども、それでよろしいですか。
【福井推進官】
それよりも、ちょっと早い形で、次期の会合になるのか、またそれよりも早く動き出す必要があるのでございましたら書面という形になるかもわかりませんけれども、そういう意味では、今日、連携拠点についてのご議論をいただいた中では、設置していくことについては大体ご賛同いただけたかと思っておりますので、時期との兼ね合いで書面になるのか、次期会合になるのかはまたお知らせいたします。
【小池部会長】
ありがとうございました。作業部会を設置する方向でなるべく早く検討を進めることを考えるということだと思います。
それでは、連携拠点に関しては以上の議論といたしまして、引き続きまして、「地球環境情報統融合プログラム」及び「国内の地球観測システム統合に向けた具体的な進め方」について、事務局のほうからご説明をお願いします。
【湯本専門官】
それでは、資料8に基づきまして、まず地球環境情報統融合プログラムについてご説明いたします。
この地球環境情報統融合プログラムは、平成23年度から始めました事業でございますが、これは平成18年度10月から行ってまいりました国家基幹技術「海洋地球観測探査システム」の一つでありましたデータ統合・解析システムが平成22年度、今年度をもちまして終了いたしまして、それの後継事業に位置づけられるものでございます。
概要につきましては、そちらに書かせていただいてございますけれども、最終的な目標としましては、ここでは「地球環境情報」というふうに言葉を用いていますが、地球観測データ、衛星や海洋観測、あるいはそれぞれ陸上で行われる観測データ、それのほかに地球シミュレーターを用いまして行われておりました気候予測、気候変動の予測のデータも含めてございまして、「地球環境情報」と呼んでございますけれども、それの世界的なハブとなります中核的な基盤としてデータ統合・解析システムの高度化・拡張を図っていくものとしてございます。
実施期間としましては、平成23年度から27年度までの5年間を計画してございます。
具体的な中身につきまして、2点挙げさせていただいていますけども、1つは、地球環境情報を統融合するための基盤を整備するもの。これをいわゆるDIASの高度化・拡張として実施いたします。もう1点の観点としましては、このデータ統合・解析システムを長期・安定的に運用していこうというための体制の構築を目指すものでして、これをDIASの利用促進という性格で推進しようと考えてございます。
DIASの高度化・拡張につきましては、そちら、青い枠組みのところに書かせていただいていまして、四角でそれぞれ実施する項目について書かせていただいております。
まず、「大容量データの蓄積、統合解析等に係わる技術」につきましては、これまでデータ統合・解析システムの研究開発の中でも実施してまいりましたけれども、それの技術の高度化を図るということ。あるいは、「データの分野横断的な利用を促進するための相互流通性機能の拡張」をするということです。
3点目は、「共有性の高いデータの入力、保持、提供のための機能の整備」。さらに、「データの検索・統合解析・可視化等基本的なツールの研究開発」を継続して実施するということです。
最後に、「我が国の地球観測のデータの統合化の推進」と位置づけていまして、これは平成23年度科学技術重要施策アクションプランというものが総合科学技術会議の中で昨年取りまとめられましたけれども、その施策パッケージがございました。この中に地球観測データの統合化がうたわれていまして、その部分を担うというものでございます。
運用体制のほうですけれども、こちらにつきましては、本格運用に向けて、さまざまなことについて検討しなければいけないという点がございます。1つはデータポリシー。先ほどもDIASの中でも出てきてございましたけれども、データの提供側の考え方を踏まえて利用促進するということも必要になります。その際、データポリシーを共有しながら進めなければいけないということや、データ統合・解析システムを利用するに当たってのさまざまな利用規定といったものも検討しなければいけないということです。
あと、2点目としましては、ほかの研究開発事業におけるDIASの利用支援もこの中で含めていきたいと考えてございます。文部科学省では、気候変動適応に関係します研究開発事業を行っています。21世紀気候変動予測革新プログラムや気候変動適応研究推進プログラムといった事業、新たに23年度から、またこれに関係しますような事業が始まりますけれども、その事業の実施者がデータの統合・解析の必要性を感じたときに、データ統合・解析システムを利用していただくことになってございますが、そのときの利用支援をするというものです。利用支援をしながら試験的な運用もこの中で実施していきたいということです。
最後に、運用機関への引き継ぎと書いてございますけれども、この地球環境情報統融合プログラム、23年度から27年度まで5年間実施しますが、これに並行いたしまして、データ統合・解析システムの実利用に関します検討会というものを文部科学省に別途設置いたしまして、そちらで検討を進めていただく。実際にDIASを運用するためには、どういう体制が望ましいのか等の検討が行われるわけですけれども、それと連携させて、この事業は進みます。その検討会で、ここが運用機関としてふさわしいであろうという候補機関が挙げられて、それが運用機関となった場合に、そちらのほうに、これまでの運用のための検討の知見、ノウハウを引き継いでいただくということを予定してございます。
期待される成果については縷々書いてございますけれども、本事業についての概要については以上です。
【小池部会長】
ありがとうございました。何かこれについてご質問はございますか。
一つ、私のほうから。先ほど長期運用体制の構築のところの、他の研究開発事業におけるDIASの利用支援ということを言われていましたけど、もともとDIASというのは、文科省だけではなくて、いろんな日本の全体の地球観測に対する支援をするということですよね。ですから、その話が文科省だけに限るというのは何かすごく狭いような気がするのですけど、できたらいろんな省庁に働きかけて使ってもらわないと、いつまでたっても話が広がっていかないような気がしますが、その点はいかがお考えですか。
【湯本専門官】
申しわけございません。説明のほうで、ほかの研究開発事業ということで文部科学省の例として出させていただきましたけども、実際にこれまでもデータ統合・解析システムを利用して研究開発をされている事業というのは、例えば環境省さんの事業の中でも行われていますので、それらも含めてということになります。ただ、メインとしまして今、現時点で利用したいと要望が上がっているものとして挙げたということでございます。
【小池部会長】
いかがでしょうか。よろしいですか。
では、これに関して、これはこういうものが今年からスタートするということですね。
それから、もう一つ、国内の資料9があります。「国内の地球観測システム統合に向けた具体的な進め方」で、これは前から議論しているものですね。
【福井推進官】
はい。
【小池部会長】
お願いします。
【福井推進官】
資料9でございます。そういう意味では、内容的には先ほどの部会長の質問に関係してくるかと思うのですけれども、この資料、前回の地球観測推進部会でご議論いただきまして、その後、委員の方々からメールベースでさまざまなご意見をいただきまして、修正したものを今回、改めて資料としてつけさせてございます。そういう意味では、昨年8月に決定したものでございます。
先ほど、湯本のほうからDIASの新しいプログラムの説明がございましたが、この紙に基づいて、前回の地球観測推進部会では、まずは観測データを統合していきましょう、アクションプランでも統合を進めるという話がありましたわけですけれども、観測データの統合を進めていく上で、まずメタデータを収集していきましょうということを議論したと思います。
そういう意味では、そういう文部科学省にかかわらず、関係省庁、農水省、水産庁、経産省、林野庁、国土交通省といろいろあるかと思いますが、そういう関係省庁、あるいは関係研究機関からメタデータをまず集めていこうという取り組みを、先ほど説明のありましたDIASの中でも進めていくということでございます。
そういう意味では、メタデータに関する説明会をこういう関係省庁・機関、大学等の地球観測事業者に対して行いまして、現在のDIASで採用しているメタデータのフォーマットを説明することになると思います。地球観測事業者の皆さんといろいろ議論していきながら、皆さんが納得できるというか、合意できるメタデータフォーマットをつくり上げるという作業がございまして、そういった議論、ヒアリング等を行いながら、そういうフォーマットをつけていくということかと思います。
事業を始めるタイミングとしましては、大体5月、6月以降ぐらいかと思いまして、メタデータの収集につきましては、9月とか10月とか、そういう形で行っていければと思っております。そういった形で、地球観測システムの統合という意味では、メタデータによるデータ統合からかかり始めていこうと考えております。以上でございます。
【小池部会長】
ありがとうございました。今まで出ていたのと大きく変わったところはないですね。
【福井推進官】
大きく変わったところはございません。(1)でございますと、例えば具体的なフォーラムの話が出ていまして、そういったところが加えられているだけでございます。
【小池部会長】
これは初めに出たときに、言い方がかなり強い言い方をしていたので、ほんとうにそんなことができるのかという議論があったのを覚えておりますけれども、今、具体的な方策で書かれているやり方で当面は進めていきたいということだと思います。
これは、当面は我が国における地球観測の実施計画に記載されているものを扱うと。そこに上がってこないものに関してはすぐにはなかなか入れられないわけですね。
【福井推進官】
そのとおりでございます。実施計画の中に上がっているところすべてとしてもなかなか大変な作業かと思いますので、大どころから徐々にやっていければ。まずはとりかかることが重要かと思っています。
【小池部会長】
これは前にも議論が出ましたけど、大学のデータはほとんど入ってこないので、その辺を、すぐには難しいと思うのですが、この地球観測事業者の中に大学でわりあいと大きなお金を取ってやっているところは入れていかないと。この中には極地研は入っているのですよね。
【福井推進官】
入っています。あと、そういう意味では、主要な大学は実施計画の中に入っていますので。
【小池部会長】
そうですか。
【福井推進官】
行く行くは、集めやすいところからやっていって、実績をつくってということでございます。
【小池部会長】
これは、こちらから多分積極的に働きかけないと、皆さん、まずこれを知りませんから、知らないものには出しようがないという話になってしまうので、どういうルートで大学に働きかければいいのか。杉本さん、何かいいアイデアはありますか。
【杉本委員】
1つは、先ほどの生態系のところでも出ていたネットワークを利用するということです。そういうもの、あるいは学会の関係を利用して、大きなお金を取ってやっているということに加えて、ネットワークとしてそれぞれ個別にやっているところはデータを提供しやすいのではないかと思います。
【田口課長】
よろしゅうございますか。
【小池部会長】
どうぞ。
【田口課長】
今のネットワークに関係いたしますと、23年度の新規の事業で、大学間のDIASの利用に関するネットワークを構築しようと思ってございまして、大学のほうのデータ、利用とデータとある意味で一体のところがございますので、このDIASというシステムを中心に、利用のネットワークができれば、データ提供のネットワークも、自然にとは申し上げませんが、徐々に形成されていくのではないかと思います。4月ぐらいから、おそらくネットワークへの参加の公募を開始できると思いますが、そういった利用のほうとデータを集めるのと一体的にその辺の大学のネットワークづくりは進めていきたいと考えております。
【小池部会長】
それは非常にいいプログラムだと思いますので、なるべく大学が「こちらとしてはそういう意図でやっているのだ」ということを理解していただいて、積極的にそれに加わってもらうというように働きかけをぜひよろしくお願いします。
【田口課長】
今現在、公募要項を作成しているところでございますが、あんまり閉鎖的になってもしようがないので、いかに皆さんに趣旨をわかって、かつコミットメントもしてもらうというような工夫をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【小池部会長】
ほかにございますか。
【深澤委員】
いいですか。
【小池部会長】
どうぞ。
【深澤委員】
この、特に3番、4番のところは非常に重要な部分だと思うのですけれども、一応年次計画的なものは頭の中におありになるのですか。それだけ教えてください。
【小池部会長】
どうですか。
【福井推進官】
先ほど申し上げましたように、この6月からメタデータのフォーマットについて議論を開始して、データを収集していくということで、アクションプランのほうには2020年までに地球観測のデータを90%統合する。先ほど部会長がおっしゃった強い表現というのはそこであったわけなのですけれども、そこに向けて、今年度始めてどれぐらいできるかということはありますが、そういった中で、2020年にかなりの部分ができるような形でいきたいと思っています。
【田口課長】
ちょっと補足させていただきます。
【小池部会長】
どうぞ。
【田口課長】
DIASの事業自体が今年度で一回切れてしまうので、要するに来年度の契約とセットでその辺の年次計画を詰めていくということになりますので、若干今、タイミング的にやりにくいところで、少し具体的な計画の作成はおくれていると理解していただければと思います。いずれにせよ、次の事業が始まりましたら、そういったメタデータの収集についても、ある程度スケジュールをきちっとやって、ロードマップみたいなのをつくってやっていかなきゃいけないと認識しております。
【小池部会長】
これは実際に作業をされるほうのこともありますので、ある程度きちんとスケジュールは決まっていないとなかなかやりにくいところがありますので、よろしくお願いいたします。
【小池部会長】
ちょっと時間が押してしまいましたので、「その他」に入りたいと思いますけれども、その他、事務局から何かございますか。
【福井推進官】
加藤審議官のほうから宇宙開発戦略本部についてのご紹介を。
【加藤審議官】
戦略本部は、総理をヘッドとしまして関係大臣が入っている本部、会議体でございますけども、日本の宇宙戦略全体をここで決めるという形になってございますが、その下に専門調査会という形で有識者が集まりまして、検討をしてございます。これは昨年末に始まりまして、1枚目の上にございます「検討事項」は、抜粋でございますのでこれだけではございませんけれども、ポイントはこういうことかと思いますが、今年度中までに検討をして、来年度半ばまでにある程度の結論を出すという形で現在、活動しております。
私どもとしては、今日ご議論いただいたような地球観測に関しては、地球観測衛星を打ち上げて観測することが非常に重要だということを訴えてまいりたいと思ってございます。
【福井推進官】
続きまして、最後のほうに入れてございますが、「GEOSSアジア太平洋シンポジウム」です。場所を示したカラー1枚紙と、あと「全体プログラム」というものでございます。
アジアにおけるGEOSS構築の取り組みを紹介するというものでございまして、これは毎年やってございまして、昨年はインドネシアだったのですが、今年は第5回ということで、東京で開催します。
日時は、3月16日から18日で、場所は東京ステーションコンファレンス、東京駅からすぐそばということで、便利な形になってございます。
テーマは、「アジア太平洋地域におけるデータの共有及びデータ統合の構築に向けて」でございます。
分科会では、アジア水循環イニシアティブ、アジア太平洋生物多様性ネットワークAP-BON、あと、Forest Carbon Tracking、海洋観測と気候ということで、海洋のところでは今日もいらっしゃいます深澤委員にお世話になっているところでございます。
アウトリーチ活動と今後のGEOに向けての話に向けても非常に重要な会議かと思いますので、ぜひ皆さん、場所もよろしいのでご出席していただければと思います。以上でございます。
【小池部会長】
ほかにございませんか。よろしいですか。
今の審議官のご説明、それからシンポジウム、何かご質問はございますか。よろしいですか。
それでは、事務局のほうから連絡事項はございますか。
【福井推進官】
次の地球観測推進部会の開催につきましては、またこちらで検討の上、委員の皆様のご都合を伺い、決定したいと思っております。
【小池部会長】
ありがとうございました。ほかにございますか。
【杉本委員】
この委員会で、大学の先生をどのように取り込んでいくかということをずっと申し上げてきたのですけれども、少しずつこういう動きが出てきたのは、例えばDIASの後継プログラムとか、大変うれしく思っております。
それで、例えば北極域の研究に関しても、コンソーシアムというのができますけれども、それはこれまで機関とか府省とか、研究機関が最初にやって、そこからプログラムを立てていくということではなくて、研究者の集まりがまずあって、そこが具体的ないろんな計画を立てていきましょうという趣旨でできたものですが、そういう意味で、今までと全く違うものだと認識しております。
そういうものが1つのモデルのケースとなって、研究を府省あるいは研究機関と一緒にやっていける、やっていくことによって、よい成果が出るということを非常に期待したいと思います。
【小池部会長】
ありがとうございました。
ほかになければ、これで地球観測推進部会の第1回の会合を終わりにしたいと思います。
どうもありがとうございました。
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