第7期地球観測推進部会(第1回) 議事録

1.日時

平成29年6月26日(月曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 部会長の選任及び部会長代理の指名(非公開)
  2. 地球観測推進部会の議事運営について(非公開)
  3. イノベーション総合戦略2017について
  4. 第7期地球観測推進部会の活動について
  5. GEO戦略計画作業部会の設置について
  6. 平成29年度「我が国における地球観測の実施計画」の取りまとめについて
  7. 第9回GEOSSアジア太平洋シンポジウム開催結果について
  8. 地球観測連携拠点(温暖化分野)の活動について
  9. 地球観測情報の利用事例に関するヒアリング
  10. その他

4.出席者

委員

赤松委員,上田委員,大垣委員,甲斐沼委員,春日部委員,小池委員,舘委員,中田委員,箕輪委員,村岡委員,若松委員,渡邉委員

文部科学省

大山大臣官房審議官,藤吉環境エネルギー課長,樋口環境科学技術推進官,石橋課長補佐,直井地球観測推進専門官

5.議事録

出席者
【関係省庁】内閣府 田中参事官,環境省 小沼室長補佐

<委員・臨時委員の紹介と出欠状況の確認>
・部会長の選任までは樋口推進官が議事を進行。
・議題(1)(2)は非公開。
・資料1の名簿をもとに,委員の紹介。

議題(1)部会長の選任及び部会長代理の指名(非公開)
科学技術・学術審議会令第6条第3項の規定に基づき,委員の互選により,大垣委員が部会長に選任された。また同第6条第5項の規定に基づき,春日委員が部会長代理に指名された。

議題(2)地球観測推進部会の議事運営について(非公開)
地球観測推進部会運営規則について事務局より説明があり了承された。
以降,運営規則第4条の規定に基づき公開。

【大垣部会長】  それでは議事を進めます。第7期の地球観測推進部会の発足に当たりまして,文部科学省から御挨拶があります。大山審議官,よろしくお願いいたします。
【大山大臣官房審議官】  本日は,大変お忙しい中御出席を賜りまして誠にありがとうございます。担当審議官の大山でございます。このたびは,科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会第7期地球観測推進部会の委員をお引き受けいただきまして,誠にありがとうございます。心より厚くお礼申し上げたいと存じます。
 我が国の地球観測を取り巻く状況につきましては大きく変化をしてございます。平成27年には,持続可能な開発目標(SDGs)をはじめとして,地球温暖化対策に関するパリ協定,そして,仙台防災枠組が採択されております。このような中で,米国のトランプ政権はパリ協定からの離脱を表明し,地球観測衛星を含めまして,環境分野の予算を縮減する方針を示しておりますが,様々な政策決定や研究活動の基礎になります地球観測の重要性はますます高まっていると考えております。
 さて,我が国におきましては,昨年1月に閣議決定された第5期科学技術基本計画で,超スマート社会(Society5.0)を未来の姿として掲げており,気候変動への対応のための地球環境の継続的な観測と,全球地球観測システムGEOSSの構築に貢献することが求められているところでございます。
 前期の第6期地球観測推進部会におきましては,課題解決型の地球観測を推進することとした「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」を策定し,これに基づいた各省庁の地球観測の実施計画と,地球観測の重要性について提言を取りまとめていただいたところでございます。また,GEOSSへの我が国の対応につきましても,精力的に御審議を行っていただきました。
 今期第7期の部会におきましては,昨今の情勢も踏まえながら我が国の地球観測の推進方策を御議論いただきまして,地球観測の実施と,観測情報の社会的課題解決への利用を推進していきたいと考えてございます。また,平成30年には第15回のGEO本会合を我が国で開催することが決定しております。これを成功に導くとともにこの機会を捉えまして,我が国が地球観測分野で世界をけん引していくための戦略的な対応についても,御議論をお願いしたいと考えております。
 私ども文部科学省といたしましては,関係府省庁や関係機関と協力をしまして,地球観測を強力に推進するための議論を委員の皆様から,大所高所から忌憚のない御意見を賜って進められればと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【大垣部会長】  大山審議官,ありがとうございました。

議題(3)イノベーション総合戦略2017について
【大垣部会長】  議題3は,本年6月に閣議決定されたイノベーション総合戦略2017についてであります。内閣府の田中参事官より,資料の説明をお願いいたします。
【田中参事官】  内閣府総合科学技術・イノベーション会議事務局の田中でございます。本日は6月5日に閣議決定されました「科学技術イノベーション総合戦略2017」について,資料3で地球観測との関連を紹介させていただきます。
 2ページ,3ページが総合戦略の概要になっておりますが,総合戦略2017では,第1章の「重点事項」の先頭に掲げておりますとおり,前年度に引き続きましてSociety5.0の実現を最重点に掲げており,これを実現するための施策を重点的に展開していく方針でございます。そのための横断的な取組を記述しておりますのが第2章の(2)の1の赤字部分で,新たな価値やサービスの創出の基となるデータベースの構築と利活用として,Society5.0の11のシステムにおいて,共通に活用可能なデータベースの構築と利活用を先行的に推進することといたしております。そのような先行的に推進するデータベースとして,気象データや地球観測データ,気候変動予測データなどを取り込んだ環境系データベースを掲げております。内閣府で各省で既に整備されているデータベースを基に,論理的に一つのデータベースとして第三者が利用できるようにする取組を始めているところでございます。
 続きまして3ページ,第3章「経済・社会的課題への対応」が地球観測について具体的に記述している部分でございまして,(3)の「地球規模課題への対応と世界の発展への貢献」がこれに当たります。内容については別のページで御紹介をいたします。また,昨年おまとめされました提言の中で,人材の育成に十分な予算という点がございました。その点に関しましては,地球観測に特化しているわけではございませんが,第4章「科学技術イノベーションの基盤的な力の強化」の冒頭に,「知的プロフェッショナルとしての人材の育成・確保と活躍促進」を掲げまして,これまで以上に様々な取組をお願いしていきたいと考えているところでございます。
 続きまして4ページ,第3章の具体的記述でございますが,[C]として「重きを置くべき取組」と書いているところ,これは各省庁による取組を記述している部分でございまして,これについて説明をいたします。
 1の「地球環境情報プラットフォームの構築等」に関しては,新たに農林水産省や海上保安庁にも参加,御協力を頂けることになりました。提言を頂きました地球観測に関する研究開発や観測への予算の確保につきましては,ここでは書かれておりませんが,[B]の「重きを置くべき課題」において,新たに地球観測の継続的な実施並びに観測体制の整備が重要という指摘を書き加えており,具体的にはセンサーの性能向上,地球観測衛星の開発・運用,継続的な地球観測の推進,新たな観測技術の開発,予測モデルシミュレーション技術の高度化などを取り上げております。
 また今回の総合戦略より,新たに生物多様性関連の取組にも触れることといたしまして,生物多様性の保全を促すための生物種の生息状況の調査などを取り上げさせていただいているところでございます。
 2の「社会実装に向けた主な取組」といたしまして,地球環境情報プラットフォームの活用,気候変動の緩和策と影響への適応策を推進するための環境整備,情報基盤の相互連携及び利便性の向上,また,これからこの部会でも議論されます2018年のGEO本会合の日本での開催についても言及しております。
 続いて5ページですが,この図は地球環境情報プラットフォームに係る各省庁の関連施策の関係を模式的に表したものでございます。昨年御登録いただいた施策を基に書いておりますので,農林水産省や海上保安庁の取組までは書けていないという状況でございます。
 最後に6ページを簡単に紹介いたします。これは私どもで想定している地球環境情報プラットフォームのイメージを図にしたものです。一番下の観測・調査を基にデータベースなどが作られ,必要な場合にはデータ解析・モデリングなどを経て,情報提供サービスやアプリケーションサービスにつながり,その活用により一番上にある様々な期待される価値につながっていくというものです。現在のところでは一番下にある観測・調査やデータベースなどは引き続き公的機関による取組が中心となっていくのではないかというイメージを抱いています。
 簡単ではございますが,総合戦略2017について御紹介をさせていただきました。以上です。
【大垣部会長】  ありがとうございました。ただいまの説明について御意見,御質問等ございますでしょうか。
【若松委員】  プラットフォームについて質問したいと思います。宇宙産業ビジョン2030が発表されたこともあり,プラットフォームに関する議論がいろいろと出てきていると思いますが,文部科学省はDIASを中心にやられていて,プラットフォームという考え方では総務省や経産省もそれぞれのロードマップを示されてきているように感じていますが,将来的にはどのような形になっていくのでしょうか。
【田中参事官】  私ども内閣府では,プラットフォームとして11のシステムを掲げております。これに関しては,単に内閣府だけで進めるということではなく,各省庁と連携して進めていくということになりますので,今のところはそれぞれ別々のコンセプトで始まっていくとしても,将来的には必ずしっかりした連携がとられていくものと理解しております。
【若松委員】  是非連携していただければと思います。
【大垣部会長】  ほかはいかがでしょうか。
【赤松委員】  資料6ページの情報提供サービスの中に「農業温暖化ネット」という記載がございます。これは民間の取組にカテゴライズされておりますが,どのようなものか御存じでしたらお教えいただけると。
【田中参事官】  手元に資料を持ってきていないのですが,農林水産省系の研究所などでそういったデータを提供するシステムを動かしていると理解しております。
【赤松委員】  民間の取組と書いてありますが,研究所としての取組ということだと。
【田中参事官】  そうですね,農林水産省の研究機関か若しくはその関係の財団法人などかと。
【赤松委員】  財団法人ですか,分かりました,ありがとうございます。
【春日部会長代理】  御説明ありがとうございました。私がお聞きしたいのは民間との連携なのですが,情報を収集する側の取組に加えて,情報をどう適応し,活用していくかのメカニズムについては,総合戦略2017の中ではどのように議論されて,どのように扱っていらっしゃるでしょうか。
【田中参事官】  私どもや各省庁において観測データを提供,まとめていただいた後,民間でお使いいただくことになれば,それぞれその民間の機関でその使い方について試行錯誤されていくことになると思います。省庁によっては民間との関係について新たにプラットフォームのようなものを設けられて,相互にいろいろな研究をしていくような取組も始まっていると聞いておりますので,そういった形で相互にデータ若しくはその考え方のやりとりなどが進んでいくのではないかと思っております。
【大垣部会長】  よろしいですか。どうもありがとうございました。

議題(4)第7期地球観測推進部会の活動について
【大垣部会長】  議題4は第7期地球観測推進部会の活動についてであります。事務局から資料の説明をお願いいたします。
【樋口環境科学技術推進官】  資料4-1と4-2に基づいて説明をさせていただきます。まず「主な審議・報告事項」について,これは2年間の事項ですが,一つは毎年度の地球観測の実施計画の取りまとめがございます。もう一つは地球観測に関する政府間会合(GEO)等の国際動向に関する進捗報告です。また,平成30年にはGEO本会合を日本で開催いたしますので,これに向けた検討がございます。さらに,地球観測の推進に関する調査・検討については,昨年度,提言を取りまとめていただきましたが,こういった活動がございます。
 「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」を平成27年8月にこの部会でまとめていただきました。概ね3から5年で見直すことになっておりますが,審議を行う中で必要が出てきた場合には見直しをするという形で対応できればと思っております。また, GEOに関しては,作業部会を設置して調査・検討を行いたいと考えております。
 二つ目は平成29年度のスケジュールでございます。本年度は今回を含めて第4回の開催を予定しております。第4回のところですが,地球観測情報利用の実例を踏まえた利用促進方策の取りまとめというのを書いてございます。これは,関係機関,企業の方を含めまして,活動状況のヒアリングをさせていただき,実例集のようなものをこの部会で集約をしていただければと思っています。その上で,地球観測情報をどのようにすればもっと使っていけるかという方策の取りまとめをこの部会でお願いできればと考えております。
 第1回は部会長の選任,部会長代理の指名,議事運営方針の決定,これは既に終了してございますが,二つ目が作業部会の設置,三つ目が本年度の地球観測の実施計画の取りまとめ,四つ目はGEO関係会合の結果報告,五つ目が関係機関からヒアリングということで,今回は若松先生にお願いをしております。
 第2回は10月6日を予定しており,関係機関からのヒアリングを引き続き行い,GEO関係会合の結果の報告,作業部会の検討状況の報告をさせていただきます。
 第3回は12月頃で,こちらもヒアリングの継続と利用の実例を踏まえた利用促進方策の検討,そしてGEOの関係会合の報告,作業部会の検討状況の報告という形で,最後年明けに第4回でまとめていただきたいと考えております。
 以上でございます。
【大垣部会長】  ありがとうございました。それでは,ただいまの説明に関しまして,御意見,あるいは御質問がございましたらお願いいたします。
【中田委員】  第4回の地球観測情報利用の実例を踏まえた利用促進方策の取りまとめですが,この実例というのは,先ほどの例えばプラットフォーム俯瞰図で見ますと,民間等が新たな価値,期待される価値みたいなものを創出する段階のものも含み,そこに入れ込んでいく情報も含むという理解でよろしいでしょうか。
【樋口環境科学技術推進官】  そこはこれからの議論という形になるかと思いますが,問題意識としては,地球観測の活動はいろいろ行われているわけですが,実際にそれを使って,特にSociety5.0でありますと,社会的な課題の解決につながっているとか経済的な課題の解決につながっている,こういった事例を示していかないといけないのではないかということです。事務局としては,そういった実例の紹介と実際に利用の促進をしていくための取りまとめをお願いしたいと考えております。
【中田委員】  ありがとうございます。
【小池委員】  どうもありがとうございます。先ほど審議官の方からもお話がありましたが,来年,GEOのプレナリーを日本で招聘するということもあって,これは作業部会で議論をされることになると思いますが,この推進部会の中にでもクリアにそれを描いてはいかがでしょうか。日本でプレナリーを開催することは大きく二つの意味があると思います。日本が考えてきたような地球観測並びにその利用の在り方について,世界と協調して考えていくというのと,持続可能な開発目標に本当にどう貢献できるのかは,アジア太平洋会合でもずっと考えてきたことなので,そういうことを来年秋に向けたロードマップとして推進部会でも描いていただけるといいと思います。
【樋口環境科学技術推進官】  ありがとうございます。その意味でこの推進部会の活動にも,GEOの日本開催に向けた検討を入れさせていただいておりまして,作業部会で議論したものをこちらにも報告をさせていただいて,この部会でもしっかり意見を頂きながら進めるという形ではいかがかと思います。
【大垣部会長】  そういうことでよろしいでしょうか。
【小池委員】  何を申し上げたかったかというと,資料4-2について2年分のロードマップがあった方がいいなと,具体的にはそういうことです。
【大垣部会長】  それでは,甲斐沼委員。
【甲斐沼委員】  どうもありがとうございます。先ほどお伺いすればよかったのですが,地球環境情報プラットフォームの俯瞰図として御説明いただいた図について,ブルーとグレーの仕分がよく分からなかったのですが,特にDIASについては三か所,気候変動適応情報プラットフォームもブルーでハイライトしてあり,先ほどの質問と関連しますが,その地球観測情報利用の実例を踏まえて,例えば気候変動適応情報プラットフォームでされている活動についても,どうデータが利用されているかを調べられるのでしょうか。ここに書かれているようないろいろな事例についても,このインタビューの対象になるのかどうかということをお聞きします。
【樋口環境科学技術推進官】  気候変動適応情報プラットフォームは,環境省を中心に始まっている状況かと思います。実際の実例はこれからということかもしれませんが,環境省と連絡をとらせていただきながら,もし実例のヒアリングの対象として御協力いただけるものがあれば,一緒に考えさせていただければと思います。
【大垣部会長】  よろしいでしょうか。それでは,上田委員。
【上田委員】  部会の活動について御紹介いただき,これについては例えば今後,企業活動や自治体への貢献等,ヒアリングとその結果については御説明いただくということですが,これは国内の事例の説明ということになりますでしょうか。国際的な取組はどうなのかということと,もう一つは,プラットフォームの情報提供サービスでは,国内の人の利用を念頭に置いているのか,あるいは英語で情報を提供しているのか,例えば海外からもアクセスして使えるのか,あるいは国内にいる国外の方が使えることまでを想定しているのか,そういったことも教えていただけますでしょうか。
【樋口環境科学技術推進官】  今はまだそこまで厳格に範囲を絞っているわけではありません。国際の話を申し上げると,例えば日本のデータを使って日本の方が,途上国の開発活動に貢献しているといった事例もあるかと思います。こういったものは事例の報告の可能性はあると思っております。海外で海外のデータを使って,海外の役に立っているという事例をこの部会でどれくらい扱っていけるかは,今後考えていければと思っています。
【上田委員】  もう一つ,プラットフォームの情報提供サービスについてですが,例えば研究部門でいうと,日本人の研究者だけではなく,最近では留学生が研究でその情報を使うということもあります。そのときに日本語だけだとアクセスがしづらいといった問題がありますので,そういったアクセスのしやすさも検討いただけると大変助かります。
【田中参事官】  御指摘ありがとうございます。私どもこのプラットフォームの絵を描いた段階では,一番上の期待される価値のところに書いている国内の様々な問題の対応ということをまず意識して考えておりますが,当然,環境の問題は国境のある問題ではございません。世界全体,特に日本であれば東アジアの地域との関連は非常に深いと思っておりますし,いずれはそういったところでも使えることも視野に入れて考えていきたいと思っております。
【春日部会長代理】  国際協力というか国際連携については,個々の研究者はそれぞれの分野で常に国際協力を進めており,そこに膨大なデータが蓄積されているわけです。それをこの地球環境情報プラットフォームの中にどうやって落とし込んでいって,今あるデータをどうやって共有していくか,それをもう少し皆さんで知恵を絞る必要があるのではないか,効率化を図るためにそこはポイントではないかと感じます。
【大垣部会長】  ありがとうございます。実例等を踏まえてという最後のところでそれが生かされてくるかも分かりません。ほかはいかがでしょうか。
【赤松委員】  このヒアリングですが,今回若松委員から民間の事例としての御紹介があると思いますし,私もできれば紹介の機会を頂ければと思っております。今の議論とも少し関係しますが,部会の場でヒアリングを行うことと,全体の取りまとめをするために,部会でのヒアリング以外にもいろいろ集めて整理していくとお考えになっているのか。また,集めた情報はここで別途御紹介いただけるのか,そこら辺の進め方は,どのように考えられているのか教えていただきたい。
【樋口環境科学技術推進官】  まず一つは,この部会でヒアリングをさせていただいてというのはございます。それ以外に,事務局でも実際に使われている事例を集めて調べていきたいと思っており,本部会でも御紹介させていただいて,先生方の御意見を聞いた上で反映させていただきたいと考えております。
【赤松委員】  ありがとうございます。そうすると,ここに我々委員以外の方が来られて,ヒアリングに対応するということも考えられているということですか。
【樋口環境科学技術推進官】  次回以降につきましては,その可能性も含めて考えていきたいと思います。
【赤松委員】  例えば自治体の方とか,そういった方もここに呼ばれてヒアリングをするということもあり得るということでしょうか。
【樋口環境科学技術推進官】  はい,さようでございます。
【赤松委員】  ありがとうございました。
【大垣部会長】  ありがとうございました。ほかにはよろしいですか。
 それでは,基本的には資料4-1のとおり進めることといたします。皆様の御協力を是非お願いしたいと思います。ありがとうございました。

議題(5)GEO戦略計画作業部会の設置について
【大垣部会長】  議題の5に移ります。議題5はGEO戦略計画作業部会の設置についてであります。事務局から資料の説明をお願いします。
【樋口環境科学技術推進官】  資料5に基づいて説明をいたします。GEO戦略計画推進作業部会設置についての案でございます。今日議論いただきまして,この部会の設置につきまして,御議決を頂ければと思います。
 設置の趣旨ですが,GEOの閣僚級会合において,平成27年11月に今後10年の取組を定めた10年間の戦略計画が定められております。これを受け,昨年11月に開催されたGEO本会合におきまして,この計画に基づく3年間の取組を定めたワークプログラムが決定されております。また,今後のGEOの優先連携先として,持続可能な開発のための2030アジェンダ,それから気候変動及び温室効果ガス監視,これはパリ協定に関係するものでございます。三つ目が防災,これは仙台防災枠組に関係するもので,この三つが承認されております。今後とも我が国が地球観測において国際的なプレゼンスを示していくためには,有識者,関係府省庁・機関間の連携を一層強化し,我が国が一丸となってGEOにおける議論に対応していく必要がございます。さらには,平成30年の第15回GEO本会合を日本で開催することが決定しておりまして,これに向けてGEOの戦略的活用を一層推進していく必要がございます。
 したがって,第15回GEO本会合の開催準備を含め,戦略計画の実施に関する対応策を機動的に調査するために,この地球観測推進部会の運営規則第3条に基づきまして,部会の下にGEO戦略計画推進作業部会を設置することをお諮りしたいと考えております。
 調査事項については,一つ目が第15回GEO本会合の開催準備に関すること,二つ目が戦略計画の推進に関する我が国全体の取組方策に関すること,三つ目が,我が国が関連するGEOのタスクの進捗状況の把握に関すること,四つ目が,GEOの各種会合への対応に関することでございます。設置期間は,本作業部会の設置が決定された日から平成31年2月14日までとし,その他として,本作業部会の庶務は環境エネルギー課が処理することとしたいと考えております。以上でございます。
【大垣部会長】  ありがとうございました。ただいまの説明に関しまして,御意見あるいは御質問ございましたらよろしくお願いします。いかがでしょうか。作業部会の設置やその内容ですが,特に御意見ないということでよろしいでしょうか。
 それでは,資料5の案のとおり,本部会の下にGEO戦略計画推進作業部会を設置することといたします。作業部会につきましては,本部会運営規則第3条に基づき,部会長である私が事務局と相談しつつ,委員と主査を指名させていただきますので,御承知おきください。よろしくお願いいたします。

議題(6)平成29年度「我が国における地球観測の実施計画」の取りまとめについて
【大垣部会長】  それでは議題6に移ります。平成29年度「我が国における地球観測の実施計画」の取りまとめについてであります。事務局から資料の説明をお願いいたします。
【直井地球観測推進専門官】  それでは資料6に基づきまして,説明をさせていただきます。この実施計画は,第6期の地球観測推進部会で策定いただいた「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」に基づいて毎年度作成することになっているものです。平成28年度に初めて作成をしており,平成29年度については既に各省庁に更新依頼して,その修正を反映したものがこの資料6になってございます。
 具体的な内容については,平成28年度の実施計画に対し,プロジェクトの終了などにより項目が削除されているものが12件ございます。資料の中では見え消しの形で削除しておりまして,例えば12ページに少し濃い網かけで示してございますけども,これは環境省のセンサーネットワーク化と自動解析化による陸域生態系の炭素循環変動等の研究に関するものであり,平成28年度でプロジェクトが終了しているために削除されております。これの再掲が32ページと36ページにございます。
 続きまして,22ページの一番上にある文部科学省の施策ですが,これも平成28年度で終了した気候変動リスク情報創生プログラムであり,終了に伴って削除されたものです。これも再掲が68ページにございます。続いて24ページ,これも文部科学省の施策で,これは整理の都合上一つ上の104と同じ内容になっていますので削除しております。少し飛びまして42ページ,これは気象庁の施策で,静止気象衛星の整備等ということですが,ひまわり8号,9号が既に打ち上げられましたので項目を削除しております。ひまわりによる観測についてはほかの項目,例えば一つ上の整理番号の208番の中で気象衛星による観測が入っておりますので,具体的な観測については,ほかの項目の中でされております。64ページは総務省の施策で,これも28年度でプロジェクトが終了していることによる削除でございます。そして最後70ページ,国土地理院の地球地図の整備ですが,これもプロジェクトが28年度で終了しております。
 新規に追加されたものは2件あり,少し薄い色の網かけにしております。一つが40ページの整理番号201番で記載しているデータプラットフォーム拠点形成事業,これが文部科学省の施策として追加されております。もう一つが56ページの整理番号298番,国土交通省の施策が追加になっております。このほか,予算の拡充など修正しているものについては,薄い網かけで修正が入っております。
 結果としまして合計の項目数は449件,このうちの再掲が242件あり,これらが平成29年度の我が国の地球観測の実施計画として取りまとめたものでございます。説明は以上になります。
【大垣部会長】  ありがとうございました。それでは,ただいまの説明について御意見,御質問ありましたらお願いいたします。
【舘委員】  非常に細かくまとめられていると思います。私もこれを初めて見るのですが,やはりその全体の動きといいますか,例えば10年間やっているのであればこれが増えているのか,強化されているのか,また,どう展開していくのかという動きがあるとわかりやすいと思う。事務局は分かっているのかもしれませんが,これでは動きが分かりづらいので,是非そういうまとめ方をしていただくと理解しやすいと思います。
【直井地球観測推進専門官】  御指摘ありがとうございます。まだこの様式でまとめたのが今回2年目でございますので,これからその経年変化というか,全体計画としてどうまとめていったら見やすいかということも含めて,検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
【大垣部会長】  当面ホームページに載るときはまだこの状態でということですね。今のは大変いい御指摘なので今後検討したいと思います。ほかにはいかがですか。
【小池委員】  DIAS第2期の計画の中では,我が国における地球観測の実施計画に掲載されているプロジェクトで取得されたデータのメタデータをDIASで全部アーカイブしようということで,この推進部会が音頭を取って,実施計画に掲載されているプログラムの代表の方々に文部科学省の講堂にお集まりいただいて,説明会でメタデータ登録を呼びかけたんです。正確な数字を覚えていませんが,6割ぐらいがアーカイブされていますが,この現段階においてそのフォローアップみたいなことは文部科学省でお考えかどうか,DIASの関連だと思いますが,お聞かせいただければと思います。
【直井地球観測推進専門官】  御指摘ありがとうございます。第2期のDIASにつきましては御指摘のとおり実施計画に掲載されているもののおよそ6から7割程度の登録がDIASのメタデータとして登録されている状況でございます。昨年策定した平成28年度の実施計画につきましては,DIASにメタデータとしてどのくらい登録されているかという調べを始めておりまして,正確な数字が今記憶にないのですが,再掲を除く236項目のうち半数程度はDIASにメタデータとして登録されていると思います。これに対して残りの項目をどう登録していくかについては今後検討しますが,基本的にはDIASに登録していくようにしたいと考えてございます。
【小池委員】  大変結構なことだと思います。先ほども舘委員からお話がありましたが,全体を俯瞰することがなかなか難しいので,そのメタデータだけでもきちんととっておくと,どういう主体がどこでどんな観測をしていて,そのデータがどう蓄積されているかをちゃんとフォローできるので,大変ですが是非フォローアップをやっていただけるといいと思います。
【大垣部会長】  ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは資料6の案のとおり平成29年度我が国における地球観測の実施計画を取りまとめ,文部科学省のホームページにおいて公表することにいたします。ありがとうございました。

議題(7)第9回GEOSSアジア太平洋シンポジウム開催結果について
【大垣部会長】  それでは次の議題7は第9回GEOSSアジア太平洋シンポジウム開催結果についてであります。事務局から資料の説明をお願いします。
【樋口環境科学技術推進官】  資料7の第9回GEOSSアジア太平洋シンポジウム開催結果について説明させていただきます。
 会議としましては平成29年1月11から13日,最終日は午前中のみで開催しております。場所はお台場の東京国際交流館,目的はアジア太平洋地域におけるGEOSSの普及及び推進に向けた情報交換の場を提供することにより,地域における研究者コミュニティを育成し,アジア太平洋地域特有の環境問題等への共通理解を深めるということで継続的に開催しております。主催はGEO事務局と文部科学省でございます。今回のテーマはアジア太平洋地域における持続可能な開発目標(SDGs)の実施を支援する地球観測という形で開催いたしまして,合計26か国,8国際機関,合わせまして約240名の参加を頂きました。冒頭の開催挨拶では文部科学省より田野瀬政務官から挨拶を頂いております。
 基調講演は二人頂きまして,一人がサンジャースレン・オヨーン世界水パートナーシップ議長,この方は元モンゴルの外務大臣等を務められた要人でございます。二人目が岸輝雄外務省参与,外務大臣科学技術顧問を務めている方です。その後,各国におけるGEOSSの実施報告ということで,ここに挙げた国と機関から地球観測データの利用状況や実施について発表を頂いております。また,グローバルイニシアティブ代表者によるパネルディスカッションも開催いたしまして,SDGs等の地球規模課題と地球観測の役割という形で登壇を頂いております。
 2日目は分科会の議論をいたしました。分科会は「GEOSSアジア水循環イニシアティブ(AWCI)」,「生物多様性観測網ネットワーク(AP-BON)」,「GEO炭素・GHGイニシアティブ」,「アジア太平洋地域における海洋と社会(Blue Planet)」,それから「農業と食料安全保障(Asia-RiCE GEOGLAM)」が開催されております。我が国の研究者が共同議長を務めるなど議論を牽引し,最終的に議論の結果が共同声明に反映されております。
 3日目は分科会の共同議長等によるパネルディスカッションを開催いたしました。モデレータはJSTの大竹特任フェローに務めていただいております。登壇者はライアンGEO事務局長,JICAの宍戸次長,それから5名の共同議長の方でございます。はじめにモデレータからワーキンググループの横断的な課題とGEOの役割について問いかけがありまして,パネリストからは次回シンポジウムでワーキンググループ横断的な課題の議論を行う合同セッションも開催してはどうかとか,各国・機関ごとにSDGsのゴールの優先順位が異なるのではないか,それから,IPCC,フューチャーアースといった国際的な枠組みとの連携・貢献の必要性について言及がございました。これらの議論を踏まえまして,モデレータからはGEOはSDGsの達成に向けた地球観測の良好事例を創出するとともに,政策決定者へのエビデンスの提供のための活動を促進すべきである旨を総括しております。最後にライアンGEO事務局長より観測データの公開・能力強化・観測の統合の重要性について強調しつつ,地球観測に国境はなく,SDGsの達成に向けて各国・機関が実施をリードしていただきたいというコメントがありました。
 また,最終日に「東京宣言2017」という共同宣言を採択しております。次回のシンポジウムに向けて各ワーキンググループの関係者がどういった行動をとるべきか,SDGsの実施において地球観測,開発援助機関がどういう役割を果たすべきか,その重要性は何か,地球観測が政策決定を支援するための衛星,海洋,現場観測の統合の重要性,地球観測データ・情報を利用した研究活動の促進や国連SDGs実施メカニズムとの連携についての提言が盛り込まれております。
 次回のシンポジウムについては,2017年の秋ごろベトナムで開催する予定となっております。以上でございます。
【大垣部会長】  ありがとうございました。それでは,ただいまの説明に関しまして御質問,御意見ありましたらお願いします。いかがでしょうか。
【小池委員】  今年10回を迎えるこのアジア太平洋シンポジウムで日本がリードしてやってきたことに加えて,中国とオーストラリアがアジアオセアニア地区のGEOSSのイニシアティブをやろうということを提案し,日本も協力してこのGEOの枠組みのイニシアティブとしての活動が昨年始まっておりますが,大変いい展開になってきていると思います。もともとはGEOの共同議長国でもある中国が,アジアオセアニア地区のGEOをやろうと言ったわけですが,一方で,アジア太平洋地区ではこのシンポジウムをずっと続けて,具体的にサブスタンスをちゃんと作ってきているわけです。3ページにあります分科会で5つのグループがサブスタンスを作ってきているものと,新しいイニシアティブの提案をどう折り合いを付けるかというのは去年1年間の大きな課題でした。それを文部科学省の皆さんが御苦労され,中国,オーストラリアと韓国も一部入っていただきながら議論を続け,このGEOのアジア太平洋シンポジウムをある意味で核としながら,あるいはその場を効果的に使いながら,アジアオセアニア地区のGEOSSを展開していこうという非常にいい雰囲気が出来上がってきていると思います。以上です。
【大垣部会長】  ありがとうございました。

議題(8)地球観測連携拠点(温暖化分野)の活動について
【大垣部会長】  議題8は地球観測連携拠点(温暖化分野)の活動についてであります。環境省の小沼室長補佐から資料の説明をお願いいたします。
【小沼室長補佐】  環境省の小沼です。私からは資料8に沿って地球観測連携拠点(温暖化分野)の活動について御紹介させていただきます。こちらの連携拠点は,もともと平成16年に総合科学技術会議で地球観測の推進戦略を取りまとめいただきまして,その中で地球観測の取組については関係省庁や関係する研究機関等が連携しながら進めていくべきで,そのための拠点の整備等も重要であるという提言を受け,温暖化分野につきましては環境省が中心となって平成18年にこの連携拠点を作っております。
 事務局は国立環境研究所に担っていただいております。その中で,観測データ・情報の収集,観測データの標準化,またデータの統合化,分かりやすい情報発信等を行っているところでございます。推進体制としましては,関係省庁,関係機関の連絡会議を設けておりまして,そこで必要な調整をしながら取組を進めていることと,必要に応じて推進委員会から助言を頂き,また,個別のテーマについてはワーキンググループや検討チームを作りながら具体的な検討を進めているところでございます。特に,最近は,平成27年に今後10年の我が国の地球観測の実施方針をお取りまとめいただいておりますし,また同年には気候変動の適応計画が閣議決定されたところでございまして,この連携拠点においても,気候変動影響,適応の分野に焦点を当てて取組を強化しているところでございます。
 その一環として,次のページですが,気候変動適応情報プラットフォームを昨年8月に設置してございます。こちらにつきましては,様々な気候変動影響情報がございますが,関係省庁や研究機関の取組なども含めて,なるべく一元的に集めて分かりやすく発信していくことによって,自治体や民間事業者又は国民などの適応の取組を推進していこうという形で整備を進めているものでございます。特徴としましては,左下の図にあるように,例えば,具体的に都道府県をクリックすると地図情報が出てきて,過去からの気温の変化,将来の気温の変化や米の収量がどう変わっていくか,熱中症の搬送患者数がどう増えてくるか,様々なモデルやシナリオ等に基づいて影響予測の結果なども参照できるようになっております。こういったツールができてまだ1年弱ですが,新しくこの春にも自治体としての適応計画を作っているところもございますけれども,こういった情報を利用いただきながら具体的な取組を進めてもらっているというのが現状でございます。
 次のページでございますが,こういった活動のほかに,今年度から新たに検討チームを設けて,具体的なテーマについて議論をしていきたいと思っております。上の二つは,特に中央環境審議会で気候変動適応策を推進するための科学的知見と気候リスク情報に関する取組の方針を取りまとめいただいたことを受けて,具体的検討を開始したいと考えているものでございます。一つ目の観測・監視の推進に向けた検討チームでは,特に気候変動影響関係の観測については,予算の継続的な確保が課題だということもございまして,まずはこれまでどんな取組がなされてきて,今後どういったところを重点的に進めていくべきかという実行計画のようなものを作っていきたいと考えております。
 二つ目の気候変動予測研究の推進に向けた検討チームですが,これも観測データを使って予測研究をしていく,気候予測もそうですし,その先の影響予測などもやっていくことになるのですけれども,様々な分野で影響予測研究を行っていく上で,その上流となる気候シナリオ等がばらばらだと全体的な評価がしにくいだろうということもございまして,一定程度その上流となる気候シナリオ等の統一化ができればというような課題を感じております。今後影響評価を行っていく上でどういった設定等をしていくのが重要なのかというところを集中的に議論していきたいと思っています。
 三つ目は少し趣向が変わりまして,温室効果ガスの観測分野につきましては,日本としては衛星,地上,航空機,船舶等での統合的な観測を行っておりますし,こういった観測データをパリ協定に基づき各国が提出する温室効果ガスのインベントリ,排出量目録の検証・精緻化に活用していきたいという方針を持っております。こういった考え方について,今後改定が予定されているIPCCのガイドライン,若しくはGEOの活動に,我々の基本戦略をしっかりとインプットしていく,そのために関係省庁と連携しながら取組を進めていくために設けた検討チームでございます。
 このような新たな検討チームと,先ほど申し上げましたプラットフォームのワーキンググループが中心となって,しっかりとこの観測データが社会に活用されるように取組を進めていきたいと思います。私からは以上です。
【大垣部会長】  ありがとうございました。それでは,ただいまの説明に関しまして御質問,御意見ありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
【舘委員】  この気候変動適応情報プラットフォームというのは,このプラットフォーム自身が基盤ツールとして科学データ,例えば二酸化炭素濃度とか極の氷が減っているとか,あるいはほかの気候で温度が上がっているとか,そういう情報を持つのでしょうか。
【小沼室長補佐】  直接的な情報のデータベースというよりは,基本となる情報を基に例えば,GISの地図情報がございますけれども,こういった形に加工して分かりやすく発信していく機能を持っているというものでございます。
【舘委員】  気候変動というと世界のGISをターゲットにしないと気候変動は語れないと思うので,例えば都道府県だけ見ると都道府県の問題あるにしても,世界的な気候変動を見るのであれば,やはりもっと大きな枠組みでないと見られないと思うのですが,そのあたりはどう考えていますか。
【小沼室長補佐】  もちろん基となるデータは様々な研究プロジェクトの気候予測データが中心になり,その中で代表的な4つの気候モデルを使っております。MIROCだとか気象研のモデルを中心に紹介しておりますが,そういったグローバルな予測結果を基にビジュアル化し,更にローカルにダウンスケールした気候情報,さらにはそれを基とした農業や健康などの予測結果などを紹介するような仕組みになっております。
【舘委員】  分かりました。どんどん大きくして,そういう気候変動はここを見れば分かるというようなことにつながっていけるようにお願いしたいと思います。
【箕輪委員】  御説明ありがとうございました。本日御紹介いただきました気候変動のプラットフォームですが,この気候変動というのは我々民間保険会社を含めていろいろな事業会社にとっても影響をもたらす重要な情報元だと思っております。今回の御紹介資料では,研究者や地方公共団体からいろいろとフィードバックを頂いて作ったということですが,事業会社からの意見ですとかヒアリングを行っているのかということと,今後行っていく見込みがあるのかを教えていただければと思います。
【小沼室長補佐】  ありがとうございます。御指摘のとおり民間事業者も一つのユーザーになってくると思っておりますので,そういったところからの情報をきちんと拾い上げていくことは重要なことと思っております。現時点ではまだできたばかりではありますが,事業者の取組事例を紹介いただくページを設けておりまして,保険会社もそうですけれども,適応に資するような保険商品,例えば気候インデックスであるとか天候インデックスの保険なども紹介を頂いているところでございます。このような形で民間事業者が自ら適応の商品なりサービスなりを提供しているものがあれば,紹介できるような形では作っております。また,もっと基礎となる気候や影響の情報をこういうふうに改善してほしいというような声があれば,お問合せを常に受け付けるようにはなっておりますので,そういったところで声を拾っていきたいと思っております。
【大垣部会長】  よろしいですか。ほかにはいかがですか。
【赤松委員】  先ほどの舘委員の御意見にも関係するのですが,このプラットフォームの説明の2ページ目に2020年までにアジア太平洋地域に拡大と書かれているので,これから拡大を図っていかれると思うのですが,これは今の自治体に向けて提供しているものをそのまま拡大するイメージなのか,もう少し違った視点も組み入れながらやられるのか,そのあたりをお教えいただけると。
【小沼室長補佐】  ありがとうございます。2ページ目の上から三つ目に2020年までにアジア太平洋地域に拡大し,アジア太平洋適応情報プラットフォームを構築すると書いてありますが,昨年の気候変動枠組条約のCOPの場で山本環境大臣から気候変動のイニシアティブの一環として,我々としてこういった取組を進めていくということをコミットしたものでございます。
 今御質問がありましたとおり,都道府県情報のような細かいローカルな情報までアジア太平洋地域に広げてやるというのはなかなか難しいと思っておりまして,段階的に進めていくように思っております。アジア太平洋地域でも,環境省のプロジェクトの中で,例えばインドネシアやフィリピン,タイといった幾つかの国で影響評価のプロジェクトを行っているものがございます。このほか,環境省だけではなく,例えばJICAなど,いろいろな省庁や研究機関等で行われているプロジェクト等もございます。最近ではアジア開発銀行(ADB)なども同様の取組を進めていて,情報をもらって協力をしていくという話をしているところでございます。
 従いまして,今はばらばらとして整理されていないような気候リスク情報を,きちんと一元的にまとめて,なるべく分かりやすい形で発信していくということで,できるだけ途上国の行政機関若しくは研究機関の方々が使いやすいような情報を発信していきたいと思っております。
【大垣部会長】  ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。
 それでは,地球観測連携拠点の活動状況については今後も本部会で報告をしていただくことにいたします。ありがとうございました。

議題(9)地球観測情報の利用事例に関するヒアリング
【大垣部会長】  次の議題9は地球観測情報の利用事例に関するヒアリングであります。先ほども議題4でありましたが,第7期の本部会の活動として地球観測情報の利用事例を集めることとしておりますので,今回は本部会の若松委員から主に宇宙分野のデータ利用について話題提供をお願いしております。
 それでは,若松委員から説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【若松委員】  改めまして,NTTデータの若松でございます。本日は地球観測情報の利用事例ということで,私どもの取組を御紹介する機会を頂きましてありがとうございます。
 私どもはAW3Dというブランド名で,全世界のデジタル3D地図を世界中に販売するビジネスをやっております。いろいろな方にお使いいただいておりまして,大体半分が国内,半分が海外になります。日本を発信元としてグローバルな展開をやっていることが大分御評価いただきまして,宇宙開発利用大賞の内閣総理大臣賞を頂いたり,今年は日本経済新聞社から優秀製品,優秀サービス賞を頂いたり,いろいろと注目いただいているプロジェクトでございます。今日はこの全世界デジタル3D地図,AW3Dについて御紹介したいと思います。
 左上に小さくURLが書いてありますが,ちょうど先週ホームページをリニューアルいたしましたので,御興味を持たれた方がいらっしゃいましたら,ホームページもごらんいただければと思います。NTTデータは基本的にはITの会社で,コンピュータサービスやコンピュータシステムを販売している会社ですが,衛星画像に関するビジネスも20年来展開しております。最近ではこの3Dに関するプロダクトに注力してやっておりまして,大きく二つの取組がございます。一つ目はJAXAと連携してALOS「だいち」の1号機のデータを全部使わせていただきまして,陸域の3Dデータを全部整理するということをやっております。300万枚ぐらいのデータがあったのですが,それを約2年かけて処理し,全世界を5メートルメッシュの高さデータで整備しております。これは世界をカバーしているデータの中では一番高性能な高さデータだと自負しております。
 もう一つは,アメリカの民間衛星会社であるDigital Globeと契約しておりまして,こちらもDigital Globeの画像を全部使わせていただきまして,共同製品開発パートナーとしていろいろな三次元のものを作って世界中の方々に提供するというサービスをやっております。
 このJAXAの例もそうなんですけれども,今,衛星画像のビジネス業界では全画像提供というのがある意味当たり前になってきておりまして,1シーン幾らで仕入れて,それを処理して販売するのではなく,あるものは全部使わせていただいてそこでできたものをお客様に販売,そのお客様に販売したものの何%かを画像提供元に返すというレベニューシェアのモデルが一般的になってきております。後ほどもう少し詳しいデータをごらんいただきますが,これはサンフランシスコのデータなんですけれども,Digital Globeの画像を大量に使って一つの三次元モデルを作っています。これはとても1枚幾らで仕入れてやっているのではビジネスにならないような世界で,こういったやり方をやらせていただいているという状況です。
 高さデータもいろいろなレベルのものがありますが,全世界を既に整備されているものが5メートルのものでございます。こちらは地滑り地形図の作成や防災目的ですとか,そういったものをいろいろなところで御利用いただいているんですけれども,最近Digital Globeを使うとオーダーメードですが50センチの高さデータが作れるようになってきました。これによっていわゆる広域を全般的に把握するというだけではなく,もう少し建設とか土木の設計に近いような分野でも使われるようになってきたということで,5年前とも大分状況が変わってきているというのを我々もひしひしと感じています。
 都市部で5メートルと50センチの違いをごらんいただきたいと思います。いわゆる衛星から作った高さデータというのは,チョコレートが溶けたようななまってしまったようなものが以前よく見たものですが,最近では輪郭もきっちり出るようなデータがとれるようになっています。これはサンフランシスコの例で先ほどの大量の画像を使ったものですが,これだけデータがあるととても良いものができる。世界中どの地域でもこれだけのものができるわけではないのですが,データは使えば使うほどいいものができるというのが非常に感じているところです。
 こちらも同じサンフランシスコで,ライトスタンドが少し欠けているような有名な野球場があるんですけれども,スタジアムの形が非常によく出ています。こういう居住エリアもすごく輪郭がきっちり出ますし,高速道路みたいな高架橋もしっかりと出てきています。
 あとはこちらを見ていただければ,建物の上にもう一個建物があるような,Multi layers buildingと書いてありますけれども,こういったものも非常によく出ている。あと,こちらは中央分離帯,これ逆に言うと画像だと分からないんですけれども,高さデータにすると中央分離帯もうまく抽出しているところが見てとれます。こういったようなものまでしっかりととれるようになってきているとお考えください。
 こちらは少し見なれた絵で,東京ドームですね。この東京ドームの屋根の特徴的な網目までしっかり出ていますし,周辺の木々も固まりがそれぞれ個別に高さが分かるぐらいまで,こういったものが50センチの分解能,50センチのメッシュサイズでとれるのが今の一番いい衛星画像を使った高さデータというふうにお考えください。
 先ほど海外でもお使いいただいていますというお話をしましたが,約3年強にわたってこのプロジェクトをやっており,300以上のいろいろなプロジェクトがありますし,世界70数か国で利用していただいております。今年の2月からはDigital Globe社の販売網でも私どものデータを売っていただけるようになりましたので,現在代理店が150ぐらい世界中にあるというような状況で,非常に幅広いお客さんに使っていただいていますし,それを実際に販売するチャネルも広がってきたなと思っております。
 本日は利用事例が中心ということで,ここから先はそれぞれのお客様に活用いただいている事例を,主にALOSを使った5メートルメッシュのもので御紹介していきたいと思います。
 まず最初の例は,ICIMODという山岳系の国際機関の方に使っていただいたものです。ネパールで2015年に大きな地震があったのですが,その被害エリアのハザードマップをICIMODさんに作っていただいております。なかなかネパールの山岳域ですと細かい三次元データというのはないんですね。これだけ広い地域をカバーしようと思うと,飛行機を飛ばすのも難しいということで,私どものAW3Dを御評価いただきました。それぞれのエリアの危険性を理解していただいて,今後の復興計画に役立てていただいていると伺っております。
 こちらはベトナムのある国道沿いの土砂災害の事例ですけれども,これを解析されたのは東北学院大学の宮城先生ですが,この先生にはAW3Dを非常に評価いただいておりまして,AW3Dは世界中どのエリアでも均一の精度でデータを提供できますので,これは宮城先生のいろいろな災害に関する知見が世界中のどこでも適応できると。今までは自分の知見はあっても,それを実際に役に立てるだけのデータがなかなか入手できなかったのですが,AW3Dが全世界くまなく整備できているということで,ここの部分も非常に高く評価いただいております。この国道沿いで約1,000か所以上の危険箇所を抽出されたというふうに伺っています。
 こちらはスリランカで起きた災害の前後の比較に使われている例です。AW3DのデータはALOSの1号機なので,2011年までのデータなんですね。ですからちょっと古いのですが,そういう意味で災害前は世界中どこでも全部そろっている。災害前のデータにAW3Dを御利用いただきまして,災害後は実際に現地でヘリコプターを飛ばしていただいて,三次元のデータを作成されたというふうに伺っております。それで災害前,災害後を比較されたというような事例でございます。JICAさんのプロジェクトでやられたと伺っています。
 次は,火山の火砕流のシミュレーションでございます。これは筑波大学さんが解析された結果ですけれども,我々の5メートルのデータを10メートルにリサンプリングして使われていますが,これまでは30メートルのものを使わざるを得なかったのを,私たちのデータを使うことによって非常に精緻なシミュレーションができるようになったと御評価いただいております。実際にその火山がどれだけの規模のものが発生するかというのは,シナリオ別にどのぐらいの時間でどこまで火砕流が広がるかをシミュレーションして,現地の自治体に提供して避難計画等にお役立ていただいているというふうに伺っています。
 次が水資源分野で,これはアフリカでの例です。水資源というのは非常に重要な課題でして,きれいな水をどうやって入手するかというのは大きな問題だと考えています。従来90メートルの解像度のデータを使って分析していたものをAW3Dでは5メートルのもので分析していただいております。いわゆる地下水がある地形の特徴をリニアメント解析することによって,どこに井戸水が出る可能性があるかという当たりを付けることができるというふうに伺っています。幾つか試し掘りをする場所をピックアップして,実際に現地に赴いて,掘ってみて水が出たとかそういった業務にお役立ていただいていると伺っています。
 こちらは風力発電のどこに風車を配置したらいいかというシミュレーションです。風車の位置は風の乱流があるとよろしくないということで,乱流を解析するために地形データが必要になります。ここではRIAM-COMPACTという解析ソフトのインプットデータとして私どものAW3Dを使っていただいています。この事例だけではなく,このRIAM-COMPACT向けに私どものデータを使っていただくのは,幾つかの事例が世界中で既に存在しています。
 こちらはもう少し設計用に近くなってきますが,まだまだ新興国ではこれから新しい道路を引くとか新しい鉄道を引くといったプロジェクトがあると思うんですけれども,そこには実際の地図がないとか,高さデータがないという中で,ある程度の傾斜よりも少ない傾斜じゃないと道路も鉄道も引けないものですから,そういったルート選定に私どものデータを使っていただいているという状況でございます。
 こちらは農地の状況の把握です。これは50センチの地形データを使ったものですけれども,いわゆる農作地の傾斜により補助金が変わるということで,補助金の適正さを判断するためにデータを使っていただいております。実際にはこの赤い星から青い星までの断面を見て,適正かどうかということを判断していただいているというふうに伺っています。
 こちらはポリオの感染ルート把握ということで,以前上田委員からも御紹介いただいた事例かと思いますが,WHOがこのデータを使って,実際のポリオの感染ルート把握ということで,従来思っていたところよりもより広いところに下水がたまっていて,ポリオが感染する可能性があるということを把握されたと伺っています。
 こちらは最後の事例になりますが,いわゆる産業界の利用ということで世界中いろいろなところで注目いただいているのが,無線局配置のための電波伝播シミュレーションのために私どものデータを使っていただくというものでございます。こちらは三次元データをより精緻にするために三次元のポリゴンデータを与えて,電波伝播シミュレーションソフト用のデータセットとして販売しております。これは三次元データだけでなくて,土地利用分析ですとかその他幾つかのデータを組み合わせて三次元シミュレーションに必要なデータセットとして御提供しているものでございます。今後5Gの携帯電話網が広がっていくことになると,いろいろなシミュレーションがやり直しになるということで,世界中で注目いただいているデータセットでございます。
 以上,私どもで今までやってきたものをいろいろと御紹介してきたわけですが,衛星データというか,地球観測データはなかなか使われませんねという話をこの場でもさんざん議論を続けてきたと思っております。やはり衛星画像そのものに,いろいろな人たちにアクセスしてほしいというのは望ましいんですけれども,なかなか難しいと思っていて,私どもがこのAW3Dを整備することによって,GISを使える人であれば使ってもらえるというところにまず持ってきました。
 幾つかの分野では先ほど申し上げたように,携帯電話の分野ではそのソフト用のデータセットをカスタマイズして提供しているというところで,ここまで来るとお客さんはデータそのものについては余り知らなくても自分の業務にすぐ使っていただけるようなところまで来るのではないかと。できればもっといろいろな分野でITのサービスとして御提供できれば,本当のエンドユーザーは何も知らなくても自分の業務に役に立てていただけると。これをあらゆる分野で私どもだけでできるかといったら,それはできませんが,そういったことを進めていくことがひいては地球観測データが使われていくことになるのではないかと思っております。
 同じことを見方を変えて説明しますと,今までは衛星画像プロバイダがいて,付加価値を付けてエンドユーザーにというような形でしたが,バリューチェーンは複雑化してきていると思っていまして,プラットフォームの上に衛星画像のことは知らないけれども,エンドユーザーの業務のことをよく知っているサービスプロバイダが別のアプリケーションを作るとか,あとはプラットフォームプロバイダが作ったコンテンツを利用して更に別のコンテンツを作成したり,更に我々のコンテンツを活用したサービスを提供する人たちがだんだん増えてきていますので,そういった方々と協力してNTTデータはプラットフォームプロバイダという位置付けで活動しているというふうに考えています。
 これは最後のスライドですけれども,いろいろな社会問題を解決するために我々ITと現実世界をうまく橋渡ししていって,いろいろな方に活用してもらおうと思っております。データを提供するのではなく,アプリケーションやサービスの形で提供することが重要だと思っています。当然私どもだけではあらゆる分野はカバーできませんので,国内外のいろいろなパートナーの方たちと連携して,より付加価値の高いサービスをグローバルに展開することが私たちの目指しているところでございます。
 見る3Dから使える3Dへと書いていますが,見るだけの3Dってグーグルマップとかグーグルアースがあればそれでいいじゃないかというお客様はたくさんいらっしゃいます。ただし,私たちが言っている3Dは業務に使ってもらえる3Dですというところを一番の売りにしていますし,一番お客さんから評価いただいているところだと思っておりまして,この使える3D地図を展開していきたいと思っております。
 最後に「ただし,日本の衛星が…。」と書いてありますが,残念なことに今私たちのこの3Dのプロダクトにうまく活用できる日本の衛星がないんですね。ALOSは1号機,光学衛星で止まってしまいました。今,レーダー衛星としてのALOSの2号機があるんですけれども,私たちがやっているビジネスには直接使えない。今後予定されている先進光学衛星がどれだけ立体視の画像が撮れるかはまだまだ未知数なところはありますが,少なくとも数年はなかなかたまっていきませんので,私たちが先進光学衛星のデータを使ってビジネスができるのは多分2021年とか2022年ぐらいになると思っています。それまで私たちは何もしないわけにはいかないので,実際には海外の衛星を活用して全世界の三次元データをどうやってアップデートするかとか,より高精細なエリア毎の三次元データをどうやって作っていくか。そういったことを実際のビジネスとして活動を続けているところでございます。以上です。ありがとうございました。
【大垣部会長】  大変興味深いプレゼンテーションをありがとうございました。それでは,ただいまの御説明に関しまして御意見あるいは御質問ありましたらどうぞ。
【中田委員】  パッケージでALOSのデータを買われたと言いましたよね。研究者レベルが単体の画像を購入して,研究に使っているという例を幾つか紹介していただいたと思いますが,幾らぐらいで販売されているんですか。
【若松委員】  ALOSのデータを使った5メートルのメッシュのデータは,幾つかのレベルがあるんですが,一番利用しやすいもので1平方キロメートル当たり500円です。最小購入面積を400平方キロメートルにさせていただいているので,大体20万円ぐらいから御購入いただいております。実際に大学の研究者からもいろいろなお引き合いをいただいておりまして,実は海外の大学の中では,非常にたくさんのデータを使っていただいている大学もありまして,それぞれの大学の皆さん,是非御活用のほど,よろしくお願いいたします。
【中田委員】  どうもありがとうございます。
【大垣部会長】  ほかにはいかがでしょうか。
【小池委員】  その5メートルは全部できているんですか。
【若松委員】  5メートルは全世界できています。
【小池委員】  そうすると注文するとすぐ入手できるのでしょうか。
【若松委員】  実はレベル幾つかあって,一番利用しやすいのがレベル2というプロダクトで,レベル2は少し穴埋めだったりエラー補正をするので2週間から3週間頂いております。ただ,全くゼロから作るわけではございませんので。
【渡邉委員】  非常に興味深いお話をありがとうございました。デジタル3Dの地図ということですから,今日は主に地形の話をされましたけど,そのほかの要素を併せた地図を作っていくということで良いでしょうか。
【若松委員】  これは標高データだけとなっています。
【渡邉委員】  今はそうかもしれませんが,地図とおっしゃるからにはそういう展開の可能性があるのかなと思うのですが。
【若松委員】  それはそうですね。
【渡邉委員】  それが前提なのですが,最後に示された図では,画像のプロバイダからエンドユーザーに向けて矢印があって,間にツーステップ入るようになっています。矢印の向きに関わるのですが,エンドユーザーから考えるとどういうデータが必要で,どういう形で作っていくかというようなフィードバックが必要だと思うのです。そこのところについて,プロバイダさんが入ることによって,そのフィードバックもそこで展開できる可能性もあると思うのですが,その辺はどう考えていらっしゃるのでしょうか。
【若松委員】  私どもも当然エンドのお客さんもすごく重視していて,いろいろなコミュニケートをしていますが,一番重要なのがこちらのサービスプロバイダと書いているものです。例えばそれぞれの業務向けのシミュレーションソフトを作っている人ですとか,先ほど風車や電波伝播とかお話ししましたが,彼らが一番エンドのお客さんのことも知っていれば,いわゆるコンピュータ系のこともよく御存じなので,非常にうまくコミュニケーションしてお客さんに一番いいデータをどうしたら提供できるかというディスカッションができるパートナーになっていると思っています。当然エンドユーザーからのフィードバックもあるのですが,それ以上にこのサービスプロバイダが私たちにとって重要なパートナーになっていて,それぞれの分野ごとにサービスプロバイダをどうやって見つけるか,若しくは自分たちで勉強して自らサービスプロバイダになるかということをそれぞれの分野で考えているところでございます。
【渡邉委員】  私自身はどちらかというと地球観測の最前線ではなくエンドユーザーに近いコミュニティで仕事をしているのですが,先ほど内閣府から御説明があったプラットフォームの俯瞰図でも基本的に矢印は下から上なのです。ですが,今の世の中の動きとしては,このSociety5.0を実現するための観測,フィードバックの在り方を皆さん考えていて,フューチャー・アースなどもそういう流れかと思うので,その矢印の展開がこれから大事なところと思っています。実際にやっていらっしゃることは,そういうところをプロモートすることになるかと思い,その関連として質問させていただいたということです。ありがとうございました。
【大垣部会長】  ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
【甲斐沼委員】  同じような質問で恐縮ですが,最後におっしゃったのはエンドユーザーが知らなくても利用できるような形に持っていきたいということで,私の方で興味があるのは温暖化のことをやっているので風車の設置だとか地滑りとか温暖化影響を予測するのにこういうデータがあれば非常に有効だと思います。そのときに実際このデータを利用したい人が特別な知識がなくても利用できるような形で提供されるのか,それともサービスプロバイダを養成してくださって,その方が間に入ってこういうデータを利用できるようになるのか,その辺どういったプロセスでデータを利用できるのかを教えていただければ。
【若松委員】  ここで言うサービスプロバイダが分野毎にうまくいるといいのですが,今は必ずしもそうなっていません。私どもが提供しているのはいわゆるGISデータなので,人工衛星のことは分からなくてもGISは使えますという方たちは,私たちと直接お話しさせていただいてデータを御購入いただいているという形になっています。
【甲斐沼委員】  取りあえずGISが分かれば何とか使えると。
【若松委員】  そうですね。今,大体そこまでは持ってこれたかなと思っています。
【大垣部会長】  ありがとうございました。春日委員。
【春日部会長代理】  本当にすごく感動して拝見していたのですが,一つはその画像データを処理するのにある程度の時間と労力がかかるので,どのくらいの頻度で画像データがアップデートされるのか,それがないと変化が追えないと思うので。もう一つはこちらの利用を拒否する国なども政治的にあるのでしょうか。
【若松委員】  まず1点目ですが,JAXAの衛星はALOSの1号機のデータを使っているので2011年に運用が停止していまして,アップデートできないデータです。過去のデータを使って全世界を整備したという状況です。Digital Globeの衛星は今も運用している衛星ですが,注文ベースで御注文いただいたところを作りますので,全世界のアップデートをするのにちょうど適した衛星が今はないという状況です。
 提供国に関してですが,本当はリモセン法が整備されて,ある基準の下に仕切るようになるといいなと思っていたのですが,今はまだなってなくて,自主規制という形でJAXAに御相談しながら,提供の可否を判断しています。
【大垣部会長】  よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。
【赤松委員】  民間主導でここまで持ってこられたというのは,同じ民間の人間として本当にすばらしいことだと思います。これから御社はこのプラットフォームプロバイダとして,あるいはサービスプロバイダの方に入りながらこれを進めていかれると思うのですが,これをもっとブーストアップするために,産官学それぞれに対して何かこうして欲しいといった御意見はございますでしょうか。
【若松委員】  なかなか難しいんですけれども,プラットフォームの議論はもうずっとし続けていて,そのタイミングではもう海外はいろいろなプラットフォームが民間ベースで立ち上がってしまっています。私たちもDigital Globeと密に連携しているところがあって,Digital Globeのプラットフォームと我々の処理アプリケーションを組み合わせています。そうすると彼らの大量データが使いやすくなるので,それが我々にとってもメリットがあります。また,別の会社やいろいろなアルゴリズムについてもどんどん取り込んでいます。そこでまた組み合わせたプロダクトを作って世の中に出せるように囲い込み戦略が進行しているんですね。大分日本は遅れてしまったと思っていて,そこをどうやって巻き返すのか,ビジネスの場では実際にそういうことも感じてしまっています。
 海外の衛星プロバイダ主導のプラットフォームの議論は,もっとビジネスベースで進んでいるので,研究のためのいろいろなグローバルデータはまた別の話かもしれないのですが,こういう高分解能の世界は大分ビジネスベースの話が進んでいるので,そこに対して日本の立ち位置を相当うまく考える必要があるだろうなと思っています。
【赤松委員】  ありがとうございます。大変貴重な御意見だったと思います。私も民間の立場ではそこら辺はひしひしと感じることがあって,ただ,そういう意味でDigital Globeの門下に下るのは,もう少し何とかしたいなと,日本の民間としてもう少し頑張りたいなと思っているところもあります。そういう意味で今年議論していく中で,どうやってその仕組みを産官学連携の中で組み立てられるのかということを一回真剣に議論してみたいなと思っているところです。
【若松委員】  私も気持ちは一緒ですので。
【赤松委員】  ありがとうございます。
【大垣部会長】  ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
 私から一つよろしいですか。その加工したデータの権利の保護はどうなっているのですか。
【若松委員】  これはJAXAもDigital Globeも同じように権利を持ち合って,それに対する売上げもシェアしているという形ですね。
【大垣部会長】  購入した後,二次加工でまた売るところはコントロールが利かない形になるんですか。
【若松委員】  完全にデータをそのまま再販するのではなく,それを加工していろいろ展開するのは自由にしていただけるような形になっています。
【舘委員】  補足させていただきますと,もともとALOS-1の画像データは我々が取得したデータで,ALOS-1の画像データから標高を抽出するというソフトウエアは民間の技術協力も含み我々が開発をしています。その技術を使ってALOS-1の画像データ全部の処理をされたのがNTTデータなので,我々の技術を使ったロイヤリティーという形でJAXAに入るという仕組みかと思います。
【若松委員】  ありがとうございます。
【大垣部会長】  ありがとうございます。ほかにはございませんか,よろしいでしょうか。
 それでは,本日の若松委員の御説明と本日の議論につきましては,今後の事例の取りまとめに反映していただきたいと思います。若松さん,どうもありがとうございました。

議題(10)その他
【大垣部会長】  本日予定されている議題は以上です。そのほか委員の皆様から何か御発言はございますでしょうか。特にないようでしたら,事務局から連絡事項をお願いいたします。
【直井地球観測推進専門官】  連絡事項をさせていただきます。本日の公開部分の議事録につきましては,後日事務局よりメールで委員の皆様にお送りいたします。各委員に御確認いただいた後,文部科学省のホームページで公表させていただきます。旅費の書類をお配りしている方は内容を御確認いただき,そのまま机の上に残しておいてください。次回第2回の部会は,10月6日金曜日13時を予定しております。開催案内につきましては改めて連絡させていただく予定です。以上です。
【大垣部会長】  それでは,以上をもちまして地球観測推進部会の第1回の会合を閉会といたします。本日はどうも長時間ありがとうございました。


お問合せ先

研究開発局環境エネルギー課

メールアドレス:kankyou@mext.go.jp

(研究開発局環境エネルギー課)