1.地球観測の10年間の成果
2.地球観測を取り巻く現状
3.地球観測実施に当たっての基本的な考え方
1.気候変動に伴う悪影響の探知・原因の特定への貢献
2.地球環境の保全と利活用の両立への貢献
3.災害への備えと対応への貢献
4.食料及び農林水産物の安定的な確保への貢献
5.総合的な水資源管理の実現への貢献
6.エネルギー及び鉱物資源の安定的な確保への貢献
7.健康に暮らせる社会の実現への貢献
8.科学の発展への貢献
1.観測データのアーカイブとデータの統合化・利活用の促進
2.分野間の連携、多様なステークホルダーの関与及び人材育成
3.長期継続的な地球観測の実施
4.地球観測による科学技術イノベーションの推進
5.科学技術外交・国際協力への地球観測の貢献
我が国では、平成16年度に策定された「地球観測の推進戦略」(以下「推進戦略」という。)に基づいて、地球観測事業を推進してきた。推進戦略が策定後10年を迎えたことを受け、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)環境ワーキンググループは、推進戦略策定以降の地球観測等事業の進捗状況のレビューを実施した(「「地球観測の推進戦略」策定以降の我が国の取組状況に基づく地球観測等事業の進捗状況のレビュー」(平成27年6月))。これらを受け、地球観測推進部会(以下「本部会」という。)は、地球観測を取り巻く国内外の動向を踏まえた、今後10年程度を目途とした我が国の地球観測の実施方針を作成することとした。
国際的には、地球観測に関する政府間会合(GEO)が「全球地球観測システム(GEOSS)10年実施計画」の後継となる新たな10年間の計画となる「GEO戦略計画」の検討を進めており、GEOSSの推進に当たり主導的な役割を果たしてきた我が国は、「GEO戦略計画」の実施に向け、我が国の地球観測の充実を図るとともに、地球観測を通じた国際協力についても、これまで以上に強力に推進していく必要がある。
本実施方針は、「はじめに」、「基本認識」、「我が国の地球観測の実施方針の具体化に向けて」、「課題解決型の地球観測」、「共通的・基盤的な取組」、「統合された地球観測の推進体制・組織」の6章で構成する。
なお、本部会では、上記のCSTIのレビューと並行し、我が国の地球観測の取組に当たっての基本的考え方を明確化するとともに、今後10年の中・長期を見据えた実施方針の策定に向けた中間とりまとめを行った(「GEOSS新10年実施計画の検討に向けた我が国の地球観測の方針(中間取りまとめ)」(平成27年1月))。本実施方針の背景となる現状認識や、今後の地球観測の取組に当たっての基本的考え方については、上記の中間取りまとめも参照されたい。
推進戦略が策定されてから10年間の地球観測の成果を振り返ると、観測技術や地球観測データを活用した研究の進展に伴い、地球観測が単なる地球環境の状況把握にとどまらず、様々な分野に活用可能なツールとして進化してきている。例えば、衛星をはじめとする観測体制が整備・強化され、観測データの利用が進むことで、自然災害被害の軽減等に貢献してきている。また、農業、漁業等における観測データの利用が進んだほか、穀物需給の動向分析などの分野にも利用が広がり、経済社会の発展や国民生活の質の向上に貢献してきている。さらに、我が国の地球観測能力を生かし、違法伐採の監視や自然災害による被害状況の把握など、アジア太平洋諸国を中心とした世界各国における社会課題の解決にも貢献している。
このような地球観測の進展に伴い、政府・地方自治体、国際機関、産業界等のステークホルダーの協働により、地球観測データを基礎情報として分野間連携を進め、地球全体の環境保全と開発の持続可能性を追求していく取組が進んできている。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が平成25年から平成26年にかけて公表した第5次評価報告書では、気候システムの温暖化は疑う余地がないことや、人間による影響が温暖化の支配的な要因であった可能性が極めて高いことなどが示された。今後、我が国においても気温の上昇、降水量の変化など様々な気候・気象の変化、海面の上昇、海洋の酸性化などの進行により、国民生活に影響が生ずることが予想されており、精緻かつ継続的な地球観測情報に基づき、気候変動への対策を講じていくことが重要である。
我が国が持続的な成長と社会の発展を目指すため、豊かで質の高い生活を確保することが求められる。また、台風や豪雨、大規模地震、火山噴火などの自然災害のリスクから命を守るためには、モニタリングのための継続的な観測と災害の発生に対応するための機動的な観測に取り組み、気象、地形・地質・地殻変動などの様々な地球観測の知見に立脚して、安全・安心な社会を継続的に実現していくことが重要である。
さらに、情報通信技術の飛躍的な進展により、グローバルな環境においてあらゆるものが瞬時に結びつき、相互に影響を与え合う時代に突入している。地球観測もその例外ではなく、情報化の進展、オープンサイエンスの動向に合わせ、地球観測に関する情報をあらゆるユーザーが利活用できる時代が目前に迫っている。このため、多様なユーザーの要望に応える新しい価値・サービスを創出していかなければならない。また、地球観測にも社会実装の推進、それによる社会便益や新産業創出を目指した取組が求められている。
国際社会に目を向ければ、国連では、貧困と飢餓の終えん、健康と教育の改善、都市の持続可能性向上、気候変動対策、海洋と森林の保護など、幅広い持続可能な開発課題をカバーする「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals (SDGs)」の具体的な目標が平成27年秋に取りまとめられる予定であり、今後SDGsの達成に向けた取組に当たっては、科学的な根拠に基づくガバナンスの構築が求められることから、モニタリング、評価、データ共有が必要であり、このため、地球観測の役割が今までにも増して重要となる。また、GEOは、「GEO戦略計画」(※ア)において、SDGsへの貢献と気候変動への適応・緩和への貢献に加え、現行計画で設定した社会利益分野(SBA)を時代的背景や社会的背景の変化に即して再構築し、ステークホルダーとの連携を一層進める方向で、国際的な地球観測システムの強化を図ろうとしている。さらに、平成27年3月には第3回国連防災世界会議において「仙台防災枠組2015-2030」が採択され、防災・減災における地球観測の役割がより重要となっている。我が国は、国際社会の平和と安定のために積極的に関与するとともに、地球規模の課題に対しても我が国の強みを生かしながら国際社会と協調しつつ対応していくことが求められており、そのために不可欠な地球観測を充実させ、より一層活用していかなければならない。CSTIのレビューでは、今後新たな10年に向けた我が国の国民の安全・安心、経済社会の発展、人類の持続可能性と福祉の確保のための克服すべき課題を踏まえて、本実施方針を策定するとされている。
また、「科学技術イノベーション総合戦略2015」(平成27年6月閣議決定)では、重点的に取り組む施策として、気候変動への適応と緩和のために、大気・海洋・陸域に対する観測データを用いた気候変動のモデル化・シミュレーションによる予測技術を高度化し、それらの情報を統合した地球環境情報プラットフォームを構築していくとされているほか、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の機会を活用し、オールジャパンで科学技術イノベーションを推進していくこととされている。
(※ア)本実施方針策定時点での「GEO戦略計画(GEO Strategic Plan 2016-2025: Implementing GEOSS)」案では、以下の8つのSBA案が挙げられている。
1. 災害強靱(きょうじん)性(Disaster Resilience)、2. 食料安全保障・持続可能な農業(Food Security and Sustainable Agriculture)、3. 水資源(Water Resources)、4. エネルギー・鉱物資源(Energy and Mineral Resources)、5. 公衆衛生監視(Public Health Surveillance)、6. 生物多様性・生態系の持続性(Biodiversity and Ecosystem Sustainability)、7. 持続可能な都市開発(Sustainable Urban Development)、8. インフラ・運輸(Infrastructure and Transportation)
推進戦略では、「地球観測」を「地球環境変動の監視・検出や影響予測等の地球環境問題への対応、気象・海象の定常監視、自然災害の監視、地図作成(地理情報の整備)、資源探査・管理、地球科学的な知見の充実等を目的として、大気、海洋、陸域及び地球内部の物理・化学的性状、生態系とその機能に関する観測を行うものであって、全球を観測対象とするもの、または地域を観測対象とするが全球の現象に密接に関係するもの」と定義された。その上で、我が国の地球観測の基本戦略は、人類の持続可能性と福祉を確保するための健全な政策決定に資するものとして、また地球観測に関して先導的な立場にある我が国の役割を考慮し、1)利用ニーズ主導の統合された地球観測システムの構築、2)国際的な地球観測システムの統合化における我が国の独自性の確保とリーダーシップの発揮、3)アジア・オセアニア地域との連携の強化による地球観測体制の確立、の3つからなるものとした。この定義と基本戦略に則しつつ、2.の現状を踏まえれば、今後は、以下の考え方に沿って地球観測を実施すべきである。
1)近年、観測技術が向上し、より広範囲な又は高分解能な観測が可能となってきているが、継続的な地球観測には多額の予算、人員や恒常的な組織が必要となる。このため社会からの要請に基づき、観測方法の特性を踏まえ、観測目的や対象地域を明確にした戦略的な地球観測の推進が、これまで以上に求められる。特に、2.で述べた現状に由来する多様な社会課題に対応するための基盤として、観測データの重要性は増大している。今後は、社会課題の解決に貢献することを強く意識した課題解決型の地球観測を推進するとともに、課題解決に向けて観測データ及びそれに基づく予測データ(以下「観測・予測データ」という。)の産業利用を含めた社会実装を具体的に促進すべきである。
2)課題解決に向けた観測・予測データの利用に当たっては、近年の情報通信分野の技術革新に伴うビッグデータを含む観測・予測データの利用分野の拡大を踏まえ、観測・予測データの体系的な収集や合理的な管理、データの統合や情報の融合により価値を創出し、科学技術イノベーションの推進を図るべきである。また、観測・予測データが課題解決に活用されるためには、観測の実施者だけでなく、観測・予測データの利用者、観測・予測データを情報として受け取る者など様々なステークホルダーの関与が必要であり、これらの者が連携し、地球観測の重要性について相互理解を深めるとともに、将来の地球観測を担う人材の育成に努めることが重要である。
3)地球観測の継続と観測データの有効な活用に当たっては、国民の理解と賛同が必要不可欠である。そのため、地球観測に携わる者は、社会実装を推進するとともに、その成果も用いて、観測の実施目的や国民一人一人の行動につながるまでの道筋を明確に説明し、更に裾野の広い利用開拓にもつながるよう、国民と対話する努力を重ねていくべきである。
4)我が国は、地球観測を通じ、持続可能な社会の構築に貢献していくことを目指すべきである。その際、国際社会における競争と協調の観点も踏まえ、我が国として実施すべき地球観測について検討することとする。特に、国際協調については、今後策定される「GEO戦略計画」も踏まえ、関係各国・機関との連携の下、着実な地球観測の実施に努めるべきである。
5)推進戦略において重視していたアジア・オセアニアに加え、アフリカ・中南米等への対象地域拡大や、地域的課題の解決への地球観測の貢献等が必要であるとともに、世界の気象等に影響を与える北極域における観測を、我が国が主導的に推進することが重要である。
今後10年間の地球観測は、これまでの各種観測を統合して、地球及び人間社会の現状や将来の予測に対する包括的な理解と対応のための基本データを与える重要な社会基盤となるべきであり、より目的意識を明確化し、必要に応じ観測体制や観測項目等の見直し・強化を図ることで、様々な社会課題の解決に貢献することを強く意識した、課題解決型の地球観測を志向していくべきである。特に、観測データを課題解決に結びつける仕組みを構築し、地球観測の成果を産業利用も含めた社会実装につなげることを検討する必要がある。また、データの利活用の推進方策の検討や多様なステークホルダーの関与の促進と人材育成、国際協力の推進等、課題解決型の地球観測を支える共通的・基盤的な取組を推進すべきである。
地球観測がいかに国民生活に利益をもたらすかの視点に立ち、課題解決型の地球観測を実施するに当たっては、観測体制や観測項目等の見直し、強化を図り、観測データの取得から、観測・予測データに基づく知見の創出、情報の発信、人々の行動判断や課題解決に至る一連の道筋を明確にすべきである。
課題解決型の地球観測を推進するためには、理想とする将来像の実現に向けてどのような地球観測に取り組むべきかを考える、いわゆる「バックキャスト型」の推進が求められる。そこで、本部会は、上記第2章の基本認識を踏まえて、「バックキャスト型」の方法により、実施すべき課題解決型の地球観測の内容について検討することとした。
そこでは、「GEOSS新10年実施計画の検討に向けた我が国の地球観測の方針(中間取りまとめ)」を踏まえ、地球観測の課題解決への貢献や我が国が強みを持つ観測分野の更なる強化を念頭に、「活力のある社会の実現」、「防災・減災への貢献」、「将来の環境創造への貢献」の3つの観点から、10年程度先を見据えた理想とする社会の将来像を踏まえた地球観測の在り方を検討した。その上で、これを実現するために、どのような地球観測を行う必要があるか、どのような革新的な観測技術が必要か、長期的な継続が必要な観測は何か等について検討した。その結果明らかとなった今後10年間の地球観測が貢献すべき課題及びその解決に必要な地球観測の内容は第4章に、共通的・基盤的な取組については第5章に、地球観測を我が国全体で推進するための統合された地球観測の推進体制・組織については第6章に述べる。
また、CSTIのレビューが、今後新たな10年に向けた我が国の国民の安全・安心、経済社会の発展、人類の持続可能性と福祉の確保のために克服すべき課題として挙げている、1)喫緊の社会的ニーズへの対応、2)政策課題の解決に向けた地球観測の貢献、3)データ活用の促進とそのための人材育成、4)長期継続的な地球観測の実施、5)分野間の連携及び多様なステークホルダーの関与の促進とそれを担う人材育成、6)科学技術外交・国際協力への地球観測の貢献、7)地球観測による科学技術イノベーションの推進の7つの課題への対応について、7つの課題のうち、1)及び2)への対応については「第4章課題解決型の地球観測」に、3)~7)の課題への対応については「第5章共通的・基盤的な取組」に反映させた。
第3章に述べた「活力のある社会の実現」、「防災・減災への貢献」及び「将来の環境創造への貢献」の観点から、今後の地球観測が貢献すべき課題として、「1.気候変動に伴う悪影響の探知・原因の特定」、「2.地球環境の保全と利活用の両立」、「3.災害への備えと対応」、「4.安定的な食料や農林水産物の確保」、「5.総合的な水資源管理の実現」、「6.エネルギーや鉱物資源の安定的な確保」、「7.健康に暮らせる社会の実現」、「8.科学の発展」を抽出した。1.~8.のいずれの課題も、広く「活力のある社会の実現」に貢献するものであるが、特に我が国が注力すべき分野やこれまでに強みとしてきた観測の更なる強化のためには、「将来の環境創造への貢献」として1.及び2.の課題に、「防災・減災への貢献」として3.の課題に対応した地球観測が重要である。
今後の地球観測は、人為的な地球環境の変動の把握、気候変動対策の効果把握及び気候変動の予測精度の向上に貢献すべきである。
気候関連の自然災害に対する損失と被害(Loss and Damage)をめぐる今後の議論に科学的な根拠を提供するとともに、持続可能な発展を阻害するような新たなグローバルリスクの検知やマネジメントが可能となることに貢献するべきである。
そのため、今後、気候変動と人間活動に伴う地球環境変動を探知し、その原因を特定できるようにするための観測と、そのデータを詳細に解析する研究開発が必要である。例えば、成層圏オゾンや、気候変動、特に地球温暖化に関連する温室効果ガス及び短寿命気候汚染物質(黒色炭素、メタン、対流圏オゾン等)、エアロゾル(PM2.5等)等の物質の状態を、国際的な協調のもと、引き続き、包括的、継続的に観測し、それらの及ぼす影響と地球温暖化プロセス等の理解を深めることを目指すべきである。また、気候変動に伴う雪氷圏の融解による海面上昇についても、監視が必要である。さらに、気候変動が大気圏(対流圏・成層圏等)や地球表層圏(海洋、陸域、特に雪氷圏・高山帯・沿岸域等)、人間を含む生物圏の環境に与える直接的な影響を把握し、特に地球環境変動とその影響に対する人為的な関与を、観測に基づき実証的・定量的に解明することも引き続き必要である。
今後の地球観測は、グローバル及びローカルな気候変動対策(緩和策・適応策)の効果を定量的に評価し、その結果をよりよい環境の創造に役立てるために活用すべきである。
そのため、(1)で述べた人為的な地球環境の変動の把握に関する知見も踏まえ、衛星、航空機、船舶、地上における温室効果ガス観測のような地球規模の環境変動の監視の要となる地球物理量の継続的な観測に引き続き取り組むとともに、観測データが不足している両極域を含むグローバルかつ高解像度の恒常的な観測体制を構築する必要がある。
また、戦略的な大気組成改善や森林等の炭素管理を通じ、気候変動の緩和策等を的確に講じるためには、温室効果ガス、短寿命気候汚染物質及びエアロゾルに関して、特に温暖化の影響が顕著になりつつある北極域を含む地球規模での三次元大気観測及び地表での吸放出量の観測の実現や、衛星観測等による森林火災の監視、全球植生のバイオマスや一次生産力の監視が必要である。
人為的な気候変動影響の寄与の定量的な推計には、観測に基づく詳細な予測を行うことで、不確実性の低い将来予測情報を創出する必要がある。このため、(1)及び(2)で挙げた観測データをはじめとする知見の蓄積を行う必要がある。また、気候変動の予測精度を向上させることが必要である。
そのため、大気、海洋、陸域生態系等においてこれまでに構築された必要な地球観測網を維持するとともに、開発途上国を中心とした国々の過去の観測記録のデジタル化、古気候プロキシデータの体系的な収集、永続性・堅ろう性のあるアーカイブシステムの構築等を今後強化していく必要がある。あわせて、気候モデルのシミュレーション精度の向上とアンサンブル数の増大も必要である。
今後の地球観測は、地球環境からの恩恵を最大限享受しつつも、その環境が正しく保全され、持続的可能な社会の構築に貢献するものとなるべきである。
海洋は、人類に対して水産資源をはじめとする様々な恩恵をもたらし、気候の調整機能も果たしている。このような人類にとっても自然環境にとっても重要な海洋を保護し、持続的に利用していくためには、全海洋の状況を把握するための効果的かつ継続的な観測が引き続き必要である。そして、地球観測が、人為的な気候変動に伴う海洋環境変動や生態系変動の速やかな探知・原因特定のための研究に資するとともに、科学的根拠に基づいた政策決定や海洋環境の維持と持続可能な利活用に貢献するものとなるべきである。
特に、普及型のpHセンサーやCO2センサーなど各種センサーを始め、海洋内部を自動で容易に精度良く計測する技術、生態系変動や生物多様性の指標を計測する技術、極海域や深海域等での厳しい環境において各種観測データを得る技術の開発を、引き続き進めるべきである。また、既存の船舶、係留ブイ、漂流ブイなどによる全球海洋観測網の整理と必要な観測網の維持、生物化学環境観測への拡張及び北極海や深海域等の観測データが不足している海域での観測網の充実が必要であり、そのために引き続きGEO、ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)、世界気候研究計画(WCRP)等の場を通じた国際協力の推進も引き続き必要である。気候変動がもたらす北極海航路の利用可能性を視野に雪氷・海氷分布の常時把握や将来予測を実施するなど、環境の保全と利用(開発)を両立させ、豊かな社会づくりに貢献する地球観測を強化していくことも必要である。
地球の生物圏は、人間を含む多様な生物と環境の相互作用と、生物間の複雑な関係性から成り立っている。生態系と生物多様性は、人類に重要な資源と環境をもたらすとともに、地球システムの健全な持続のための基盤でもあるため、これらの現状や人間活動の影響による変化等を把握・予測し、その保全に資するための観測を強化することが必要である。また、これらの問題は国境を越えたものでもあるため、生物多様性条約(CBD)の「愛知目標」の達成に向けた取り組み、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)の活動、及びSDGsの目標の一つである生物多様性の損失の阻止への貢献など、国際的な枠組みとの連携による地球観測が推進される必要がある。
そのため、引き続き、適切な環境保全や利活用の取組を推進するため、多様な観測を相互に連携させつつ、陸上や陸水、沿岸、海洋などにおける生態系・生物多様性の状況及び生態系サービスの定量的な把握に資する地球観測を実施する必要がある。
具体的には、各種生態系の機能(一次生産、栄養塩や水循環など)や動態、絶滅危惧種や生物間相互作用などの状況、生態系の成長と撹乱(かくらん)からの回復過程等について、気候変動や人間活動などの影響を含めて解明・予測する必要がある。例えば、サンゴ礁、マングローブ林、海草藻場などは、ローカルな生活に密接に関係する生態系であり、人口密集地域に隣接した沿岸域の富栄養化及び貧酸素化は、その生態系・生物多様性を大きく変えてしまうおそれがある。このため、沿岸域の生態系に関する定期的なモニタリングを今後強化していくことが必要である。
これらの観測を更に進め、生態系・生物多様性と生態系サービス等の保全に効果的につなげるためには、研究機関や大学、観測ネットワークによる現地調査と、航空機や衛星によるリモートセンシングの分野横断的な観測の推進、データと知見の共有促進の強化が必要である。また我が国でこのような横断的観測を推進することは、アジア太平洋地域から地球規模の生態系・生物多様性の現状把握と保全活動に貢献する。
地球温暖化の進行を抑制するため、森林の現状を精緻に把握するとともに、今後の気候変動や人間活動による森林機能の変化の予測精度の向上に資する観測を行うことが重要である。
そのため、今後の地球観測では、山地から平野に至る広範囲での森林分布、樹種構成、森林構造、温室効果ガス(二酸化炭素、メタン)の吸収と放出、植物バイオマスや土壌への炭素蓄積、水土保全機能等の変化状況を気象環境と併せて継続的に観測するとともに、REDD+(※イ)の取組等を通じ、森林減少・劣化の抑制や森林機能の向上のための対策につなげることが、引き続き必要である。特に、今後の気候変動の下においては、二酸化炭素吸収や水・窒素循環などの森林機能に関する詳細な定点観測を多地点で実施するとともに、航空機や衛星による広域・長期反復観測と、モデル解析を組み合わせることにより、環境変動に対する森林機能の応答及びそれが大気二酸化炭素濃度など地球環境にもたらすフィードバック機構の解明を更に進めるべきである。
これらの長期・複合的な観測をローカルからグローバルまで様々な規模で推進しながら、これらの森林生態系から享受する利益や、森林生態系が損なわれることで生じる損失を定量的に把握するための取組も今後強化することが必要である。そのためにも、前項と同様に、既存の観測ネットワークや研究機関、大学による分野・スケール横断的な観測・データ共有・知見創出の促進等が必要である。我が国におけるこれらの観測・分析体制の強化は、アジアから地球規模での気候変動緩和・適応策の提案・評価・再考プロセスの構築に貢献する。
(※イ)「REDD+」
国連の気候変動枠組条約下で行われている、開発途上国における森林減少・劣化の抑制等による温室効果ガス排出量の削減(REDD:Reducing emissions from deforestation and forest degradation in developing countries)に森林保全や森林経営等の積極的な炭素蓄積増強の要素を加えた取組。
国民及び国際社会を災害から守るためには、地球観測と災害を解析・予測・報知するためのシステムとの効果的連動、災害データと関連観測・予測データのアーカイブ、復旧・復興の監視等を重視すべきである。なお、以下の取組に当たっては、「仙台防災枠組2015-2030」や「仙台防災協力イニシアティブ」を踏まえたものとすべきである。
今後は、災害によるリスクを低減させるため、災害を取り巻く社会要素も含め、現象が起こる又は起こりつつある場所の観測や、多様な観測データを効果的に組み合わせるシステムの確立が必要である。
そのためには、地震、地殻変動、地形変化、火山活動、気象、海象等の観測の着実な実施が、引き続き必要である。また、今後は、実際に被災した地域及び今後被災する可能性の高い地域を抽出し、予防段階及び発災後の地球観測による監視を行うべきである。その際、災害リスクに関する情報を共有し利活用するため、災害に関わる自然現象や災害そのもののシミュレーションモデルを構築するとともに、観測データを確実にアーカイブしていくことも必要である。
また、火山噴火に伴う災害では、災害発生直前までの地表の変動や温度変化などの履歴から火山活動の高まりを把握できる可能性が高い。このように、予兆現象の検出の研究のためには、災害発生前のその地域の観測データも重要である。防災分野で活躍する衛星による観測の継続、災害予測モデルの高度化により、予兆現象の把握や高精度の予測を引き続き推進し、地球観測と災害予測モデルを効果的に連動させるべきである。これにより、今後の早期警戒システムの実現にも貢献する。
さらに、気象衛星「ひまわり」やXバンドマルチパラメータレーダ「XRAIN」等による詳細な観測データを防災・減災研究に役立てる取組を継続させる必要がある。また、高分解能のマイクロ波放射計による積雪量・降雪量観測や、複数衛星の降水観測データを統合して作成する全球降水マップ(GsMAP)の高度化、衛星データ等同化による予報モデルの高度化(数時間後までの降水予測等)といった、新たな観測機器の開発や観測・予測手法の高度化を、地球観測を実施する機関と利用する機関の連携を通じて、今後強化、推進していく必要がある。また、地球観測の成果を、国・地方自治体・個人が災害時に的確に行動するための判断(Behavior Decision Making)の材料として社会に提供する必要がある。
今後は、災害が起ころうとするとき又は進行しつつあるときに被災範囲(人や社会の情報を含む)をリアルタイムに予測・把握し、これらの情報を早期警戒システムに活用するとともに、適切に観測データを処理・加工し、社会に提供することが重要である。このため、今後は、広範囲の情報を同時に観測可能な衛星観測や、狭範囲であるが高解像度の機動的な観測等の観測体制の充実と、予測モデルの構築・高度化が必要である。
また、地球観測によって復旧・復興の状況を監視するとともに、「より良い再建(Build Back Better)」になっているかどうか(復旧・復興事業によって環境が悪化していないか、新たな災害リスクが発生していないかなど)を判定できる基準の策定に貢献する。このため、今後は、復旧・復興段階における「より良く再建すること」の典型的な実例の提示や判定基準策定に地球観測を活用する方法を検討する必要がある。その際、災害そのものや、災害後の復旧・復興の状況などを行政や被災者に対し情報提供することの重要性にも留意すべきである。
現在及び将来にわたって、開発途上国・先進国の区別なく、人類全体が安心して豊かな生活を営むことができる社会を実現するため、気候変動にも適応した形で食料及び農林水産物の安定的な確保を可能とすることに貢献する地球観測を実施すべきである。
そのため、農林水産業の生産性の把握とともに、これまでの推移を基に将来の変化を予測することにも役立つ地球観測としていくべきである。なお、この観測データを有効に活用することで、安定的な食料供給、農林水産業を核とした地域の活性化、地域政策の検討、経済発展にも貢献できる。
具体的には、1)農業においては、農地やその周辺における土地利用・作付け体系、農産物の生産量、有害動植物や病害虫による被害の実態及びその推移、農業生産を支える環境(水や基盤施設等)の実態及びその推移の高頻度、短周期の観測、2)林業においては、森林の分布、樹種、森林蓄積量と成長量、3)水産業においては、水産資源の量や分布、漁場環境、有害生物などの把握のための地球観測が、引き続き必要である。特に、広い空間領域の変化を把握する必要がある森林や水産業等の分野においては、観測空白域を減少させるため、衛星データの活用、温室効果ガスフラックス等に関する既存の観測ネットワークの維持とデータ活用、自動計測技術及びデータ同化技術の開発・高度化等が必要である。また、農業は、農地や家畜・家畜排せつ物から発生するメタンや一酸化二窒素などにより、温室効果ガスの主要な排出源の一つとなっていることから、地球観測・予測データに基づいた排出抑制策の評価が今後必要である。
今後の地球観測は、気候変動にも適応した形で、世界の水資源が安定的に供給される社会の構築に貢献するものとなるべきである。そのため、効率的な治水・利水、効果的な水災害の防止を含む、健全な流域水循環と水資源の安定的な利活用の促進が重要である。とりわけ、モンスーンで特徴付けられる世界で最も大規模な水循環の場であるアジアには、世界の約6割の人口が集中しており、活発な社会経済活動が展開されている。アジアモンスーンはこれらの人口や社会経済活動を支える豊かな水資源を提供するが、同時にその大きな季節変動や年々変動によって生じる洪水や渇水による人的、経済的被害は大きい。また、急激な都市化に伴う水環境の劣化も深刻である。さらに、気候の変化はこれら河川、水資源管理を一層困難なものとしている。アフリカではこれらの問題に加え、貧困や越境河川管理という課題を抱えている。これらの諸課題に対応するため、近年「ネクサス」という考え方が国際的に導入され、GEOSS等において、水と食料、エネルギーとの連鎖系を対象とした統合的な観測や計画、管理が提案され、その範囲は健康や生態系サービスなどへも展開され始めている。
このため、降水量、河川流量、地下水位や揚水量、土壌水分量、水質などを地上観測ネットワーク、衛星観測と数値モデルの統合利用によって把握し、治水・利水施設の操作・管理に利用するための地球観測が引き続き必要であると同時に、食料、エネルギー、健康、生物多様性などとの統合的な地球観測の実施とデータの統合的利用手法の開発が重要である。
今後の地球観測は、再生可能エネルギーの利用が進み、化石燃料への依存度が低下することで、温室効果ガス排出抑制の取組が進む社会の構築に貢献するものとなるべきである。また、我が国周辺の海底資源の賦存量を明らかににし、多くのエネルギーや鉱物資源を輸入に頼る我が国において、生物多様性や環境保全に配慮した海底資源の確保・利用に向けた取組が進むことにも貢献するべきである。一方、人口の多い新興国のエネルギー・鉱物資源需要の拡大は更に進んでいる。また、非在来型資源の開発、海域でのCO2地中貯留事業のなども進展しており、幅広く環境リスク低減に対応できる地球観測が必要である。このため、再生可能エネルギーの利活用に資する風況、日射量、海況等の観測や、海底資源等の確保に資する資源の賦存量、海底下の地質などを把握する観測が引き続き必要である。
また、陸域においては、地熱などの再生可能エネルギーや、レアメタル・レアアース等の資源ポテンシャルの評価情報等を広く把握し、資源の安定的確保に貢献することが引き続き重要である。そのため、衛星観測情報や地質情報の整備を進め、環境・災害リスク考慮した健全な資源開発がなされるよう、国際連携も含めた地球観測の推進が必要である。なお、アジア及びアフリカ地域では、広範囲に小規模鉱山開発が進むなど、適切な管理が困難な場合もあるが、これにより環境・災害リスクや健康リスクが増大している。これについては衛星観測による開発の監視が有効であり、我が国が国際的に貢献できる課題であると考えられる。
今後の地球観測は、健康に影響を与える環境因子の状況を把握し、グローバルな問題も含めた環境に由来する健康リスクの低減に貢献すべきである。そのためには、健康に直接・間接的に関わる環境因子を同定するとともに、その適切なモニタリングに基づき、疾患の発生や伝播(でんぱ)過程を予測し対策を推進することが必要である。これに当たっては、データ提供者と利用者の連携強化が必要である。
具体的には、大気汚染物質の濃度やヒートアイランドの実態の把握、感染症の発生状況、媒介生物の出現状況などの把握のための地球観測に引き続き取り組むことが必要である。特に、大気汚染状況の把握等に当たっては、公衆衛生分野では地表付近の状態の把握が必要であることから、地上観測網の整備や大気汚染物質の鉛直方向の分布を明らかにすることが重要である。また、現在、感染症の発生状況や媒介生物等の出現状況を直接観測することが困難であるため、地形、土地利用、土地被覆、水質等の環境因子を観測することで、感染症の発生や媒介生物の出現が見込まれる場所を予測・同定する必要がある。また、データ利用者となる疫学者や現場の公衆衛生担当者との連携により、利用者が必要とする環境因子に関する情報を共有し、適切な空間・時間分解能で観測・予測データを提供することが必要である。
将来起こりうる潜在的な課題の解決には、変動の兆候を早期に発見するとともに、変化を予測し、将来の影響を想定した対応を取る必要があり、そのための観測・予測データと科学的知見の蓄積が重要である。したがって、未知の現象の解明や新たな科学的知見の創出が進み、我が国と世界の科学が健全に発展する将来を目指すため、科学的挑戦への貢献としての地球観測(科学観測)も、現在の利用者(研究者や研究機関を含む)のニーズや、将来発生するニーズの想定等を可能な限り具体的かつ明確にした上で、引き続き推進していく必要がある。
具体的には、エアロゾル・雲・降水相互作用等をはじめとする気候変動のメカニズムや、地球システムを構成する固体地球、陸面、海洋、大気、電離圏・磁気圏の相互作用及びフィードバック、太陽地球系の結合過程等の理解を深め、地球システムの包括的理解に必要な基礎的知見を蓄積するための地球観測に、引き続き取り組む。また、広範囲の情報を正確に把握するための衛星の活用、海洋内部の観測を可能とする観測機器や観測網の構築と維持等が重要である。
また、地球システムの包括的理解のためには、科学観測の計画が適正に策定され評価されるよう、今後は、科学観測の提案から、審査、策定、実行、評価まで、一貫して推進する機能を確立するべきである。その際、取得されたデータや創出された知見の社会での活用を重視することにより、科学的に重要とされる地球観測と、課題解決や政策的な観点から重視される地球観測を結びつける。
さらに、人類共通の科学的知見の蓄積・深化を目指すには、これまで科学的理解に至っていない現象の科学過程を明らかにすることを目的とした観測研究が必要である。なお、データの集積・標準化や統合によるモニタリングとの連携を通じてこの観測研究を強化することも必要である。
挑戦的でもある新たな科学観測に対し所要の予算を措置し、安定・継続した観測体制の確立や新たな観測技術の研究開発を強化し、推進するとともに、次の研究展開に生かすために取得・整備された観測・予測データの適切な管理を継続的に行うことも必要である。
第4章に述べた課題解決型の地球観測の推進には、観測・予測データの体系的な収集、合理的な管理、データの統合・標準化や情報の融合が重要である。特に、観測データを科学的・社会的に有用な情報に変換するためには、自然現象の観測データのみならず、土地利用や社会・経済活動等に関する情報・データを収集し、それらのアーカイブから必要なデータを抽出し、統合解析することが重要である。「科学技術イノベーション総合戦略2015」では、地球環境情報をビッグデータとして捉え、様々な環境問題の解決を目指すため、「地球環境情報プラットフォーム」を2020年度までに構築し、運用することとされている。
我が国では、「データ統合・解析システム(DIAS)」を世界に先駆けて開発してきたことに鑑み、今後はDIASのような永続性・堅ろう性のあるシステムを中核とした地球環境情報プラットフォームを国として整備し、それを十二分に活用していくことが必要である。また、観測データの利活用を促進するため、データのリアルタイムな共有と提供を図れるようユーザーインターフェースの構築を行うとともに、第4章で提示した課題の解決に向けた取組を積極的に推進すべきである。さらに、地球観測に関わる多様なデータをビッグデータとして扱うためのディープラーニング等の最新技術も取り入れ、より高次の情報を抽出し利活用するための研究開発も推進する必要がある。
「GEO戦略計画」の検討に当たっては、地球観測による社会利益はデータ共有なしには成し遂げられないとして、GEOSSとしてデータ等を原則無償かつ無制限に共有することが検討されている。我が国においても、オープンサイエンスの推進の在り方について検討が進み(「我が国におけるオープンサイエンス推進のあり方について~サイエンスの新たな飛躍の時代の幕開け~」(平成27年3月))、公的研究資金による研究成果(論文、研究データ等)の利活用促進・拡大を基本姿勢とすることや、公的研究資金による研究により生成されたデジタル形式の研究データを公開する場合には、提供するデータを自由に利用できるルールを付す必要があることなどが指摘されている。
今後は、このような国内外の動向を踏まえ、地球観測においても、観測・予測データの有効な利活用の観点から、地球観測の分野を中心に国が主導してオープンデータ化の推進と、観測・予測データの共有に取り組む必要がある。そのため、観測実施主体(データホルダー)を中心に、利用促進を図るための体制の確立と強化を推進し、あらゆる人々が容易にアクセスできるデータ・情報の提供を目指す必要がある。
一方、データの積極的な公開を促すためにも、安全保障や産業競争力強化の観点から、公開することがふさわしくないと判断されるものを特定するなどの配慮が必要である。
多様なステークホルダーが観測・予測データを活用し、課題解決のための行動を取ることができるよう、観測・予測データの利活用を促進すべきである。そのため、国として、専門的な観測・予測データ及び社会データの利活用に関する情報提供や技術支援、フィジビリティスタディによる有用事例の拡充等を強化し、推進する必要がある。また、国内外で既に構築されている各種観測ネットワークのデータ及びデータベースを最大限に活用し、観測・予測データのリアルタイムに近い迅速な収集と流通を、我が国全体で目指していくことを検討すべきである。国際的には、GEOの活動に加え、国際科学会議(ICSU)において、世界データシステム(WDS)や科学技術データ委員会(CODATA)が科学研究データの保全や効果的利用のための活動を続けており、我が国に設置されたICSU-WDS国際事務局を中心に、データの利活用を一層推進すべきである。
また、近年の新たな技術革新に対応し、様々な形で観測データの収集や、情報の配信がなされてきている。スマートフォンなどの携帯情報端末は、あらゆる場所で観測データを収集し転送することを可能にし、現場の農業や漁業の従事者など、これまで情報の利用者側であった者が観測者となることも可能であり、今後は、携帯情報端末等を活用した地球観測データの収集及び利活用を推進すべきである。その際、国としては、情報通信技術の利用に困難を抱えるユーザーに対する情報提供等の在り方を検討する必要がある。
地球環境の変化を捉えるためには、現在の観測データのみならず、過去の観測データの蓄積が有効であることは言うまでもない。今後は、過去の電子化されていないデータの数値データ化・アーカイブ化を推進し、既に取得された観測データが最大限活用できるよう配慮すべきである。また、国内外の観測機関、研究機関、研究グループ等から過去データの提供を受け、その数値データ化・アーカイブ化を促進することも重要である。
社会からの多様なニーズに応え、課題解決への道筋を示すためには、社会と研究開発をつなぐ視点での地球観測を強化する必要がある。第4章で述べた課題解決型の地球観測の推進に当たっては、観測実施主体(データホルダー)が、取得したデータの社会での活用先を意識して取り組むことが重要である。また、バックキャストの視点を常に持ち、社会ニーズに対応できる地球観測システムの計画・整備に努めるべきである。
今後、将来の気候変動予測に基づいた適応策の検討等に際しては、自然現象の観測・予測データのみならず、社会・経済の現状や将来シナリオを十分踏まえた情報が必要となり、災害リスクの低減のためには、人口、土地利用、農地開発、産業立地といった社会経済的な情報や、社会インフラの整備の状況等の空間的な把握が必要となる。このように、自然科学と社会科学をつなぐ視点で地球観測の在り方やデータの利活用を考えていくべきである。
国の観測船や衛星のみならず、民間の航空機や船舶を活用して観測データを取得するなど、産業界との連携により、充実した地球観測を目指す。また、観測のみならず利活用に至る社会実装を進めるため、観測データと社会をつなぐための技術開発を、官民が一体となって促進することを検討すべきである。その際、欧州の「コペルニクス計画」等を参考に、官民連携で観測・解析・利活用を行う体制を整備し、アプリケーション開発と現業ユーザーへの普及を促進する必要がある。そのために、利活用まで含めたトータルな社会実装重視への転換が図られるよう、ユーザーの参画を得たアプリケーション開発の実施に、国として具体的に取り組むべきである。
また、「GEO戦略計画」の検討・実施に当たっては、GEOに参画するステークホルダーを拡大するため、国連機関、国際機関、国際開発金融機関、研究資金配分機関及び民間部門等との連携の拡大と強化も目指すこととしている。多様なコミュニティから多様な地球観測の取組が提案されることを念頭に、関係のステークホルダーが会するフォーラム等の場を設け、観測、予測、データ活用等の活動を国として促進していくことも検討すべきである。
長期的かつ安定的に地球観測を継続するためには、地球観測の重要性や有効性が国民に広く理解される必要がある。グローバルな環境変動の影響がローカルな現象として生じ、その対策もローカルに取られることもあることから、地球観測に関わるあらゆる組織・研究者が、国民との対話や、幅広い普及・啓発に継続的に努めるべきである。
その際、今後は、単なる情報発信にとどまることなく、国民との対話・コミュニケーションにより、新たな課題やニーズの発見につなげていくべきである。また、観測・予測データやそれらから創出された情報を利用することを通じ、ユーザーの地球観測の重要性への理解が深まるよう取組を講じるべきであり、そのための分かりやすい情報伝達手段の開発も、今後進めるべきである。
1.の携帯情報端末等を活用した観測データの取得に当たっては、例えば、生物の出現状況の把握など、市民参加型のモニタリングも新たな手法として想定される。このような活動に当たっては、国民の理解増進に加え、国民自ら地球観測に参画するための仕組み作りも重要であり、例えば、地域のコミュニティを活用することなども考えられる。
観測データの取得から利活用まで、データを適切に取り扱い、目的に応じたデータの加工・利用に当たる専門の人材や、地球環境情報を活用して我が国のみならずグローバルな視点から課題解決を支える人材、地球環境情報を教育研究の現場や社会で生かせる人材の育成が重要である。その中で、社会と研究開発をつなぐ地球観測を目指す観点からも、今後は、観測(入り口)とデータを使った課題解決(出口)をつなぐ人材が必要不可欠である。若手人材の減少等により持続的な人材確保が困難となるおそれがある中、長期かつ安定的な地球観測の継続の観点からも、我が国の地球観測に関わるあらゆる者が、実効性の高い人材育成について不断の努力をもって強化、継続していく必要がある。
地球の現状を的確に把握し、災害の予兆をはじめとする地球環境の変化を捉えるとともに、長期的に観測データを蓄積し将来の有用な成果につなげるためには、継続的に高精度な地球観測を実施することが不可欠である。このため、本部会を中心に地球観測を実施する機関が相互に連携し、既存の地球観測の施設、設備、ネットワーク等を最大限活用することにより、恒常的な地球観測体制を確立することを推進すべきである。このとき、研究機関や大学、観測ネットワークが、それぞれに運営する多様な分野の観測サイトにおける取組を相互に連携させることにより、地球観測における新たなシーズの創出と分野横断的計画を推進することが望ましい。
大気、気象、海洋、水文、土地被覆・利用情報、地図情報、地形・地質・地殻変動情報など、地球環境の現状を正確に記録することで、過去から現在に至る変化過程の把握、将来予測のための初期値の設定など、多様な課題解決に至る基礎的な情報が得られることから、そのための観測を強化する必要がある。一方、予算及び人的資源等に限りがある中、必要な観測体制を維持し、継続的に観測データを取得していくためには、地球観測を実施する機関が中心となってそれぞれの観測の目的を明らかにしつつ、既存の観測項目の必要性や課題解決への貢献度の評価と新たな観測項目の洗い出し等を実施し、今後、我が国が長期継続すべき観測項目を特定することを検討すべきである。その際、重要度の高い定常的観測項目は、関係府省・機関の業務観測の一つとして実施する等の長期継続性を確保する方策を検討すべきである。
全球測位衛星システム(GNSS)や地理情報システム(GIS)による位置情報の測定・利用技術の普及、観測技術や予測精度の向上に伴い、高精度な位置情報の決定が求められている。このため、地球科学分野及び社会・経済活動分野で用いられる地球規模の地理空間情報、及びその根幹となる国際地球基準座標系(ITRF)の整備を、引き続き進めるべきである。
世界をリードする地球観測研究等の推進は、将来にわたる持続可能な社会の実現や、我が国の産業競争力の強化にも貢献するものである。このため、観測・予測精度の向上や観測の安定性の確保、低コスト化に向けた技術開発に、継続して取り組む必要がある。また、新たな課題解決や科学的発見への道を開くため、斬新な着想に基づく新たな観測手法の開発や新たな地球物理量の観測等も、国として引き続き積極的に推進するべきである。
特に、我が国が強みとする衛星や船舶等による観測のための観測機器や衛星システム、探査機、広域物理探査技術、海底ケーブル等によるリアルタイム観測技術等の開発を、今後も着実に推進する必要がある。例えば世界気候研究計画(WCRP)の「Polar Challenge」などの国際的なコンペティションに挑戦し、積極的に技術開発の進展を図ることも有効であると考えられる。なお、地域的な課題解決に当たっては、より精緻な観測・予測データを必要とする場合があることから、データのダウンスケーリング技術やデータ同化技術の高度化も必要である。
保険業においては、天候インデックス保険における商品設計や保険金の支払の決定などにおいて、降水量や気温などの地球観測データが活用されている。また、1.で述べた地理空間情報を活用した地球環境変動への適応や災害リスク軽減等へのきめ細やかな対応や、海底資源開発をはじめとする各種開発に際しての環境アセスメント、災害リスク軽減の実用化を担う民間ビジネスなど、観測・予測データを活用した新たなビジネスが創出される可能性がある。これまでは研究目的や防災等の行政ニーズに対応した地球観測が主流であったが、今後は、気象分野やエネルギー分野をはじめとした多様な事業の用途において、民間による地球観測データの活用も念頭におくことが重要となる。
そのため、民間ビジネスのニーズを踏まえた上で、1.で述べた「地球環境情報プラットフォーム」等の基盤も活用し、地球観測衛星や測地衛星による観測と通信衛星とが連携したデータの利活用など、様々な目的で取得した観測データや既存の観測システムの更なる連携を促すことにより、観測データの統合した利活用の促進を我が国全体で強化していく必要がある。あわせて、低コストで多地点高密度に展開可能な観測技術の確立等を検討すべきである。
気候変動適応策の立案を始め、科学的根拠に基づいた政策決定を行う場合や、地球観測データに基づいて保険金を支払うなど観測データを商用利用する場合には、公正性・透明性のある観測データが必要不可欠である。そのため、特定の者に対する利害関係のない中立性の高い機関が観測データを取得・提供する、あるいはこのような機関がデータの公正性・透明性を保証する仕組みを検討する必要がある。
(4)2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会への貢献
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の機会を日本発の科学技術イノベーションを国内外に発信する機会と捉え、地球観測分野の実施機関も大会の円滑な実施等を支える技術開発や、観測データの取得・提供・利活用の促進に積極的に努める必要がある。
例えば、「科学技術イノベーション総合戦略2015」において大会に向けて取り組むべきプロジェクトとされているゲリラ豪雨・竜巻事前予測の高度化と気象情報の提供を始め、夏季に開催される大会の暑さ対策や、大会を契機とした環境配慮の推進などに、地球観測データや関連技術を活用するべきである。
北極海の高気圧が強まると日本に寒波が襲来するなど、自然環境の影響が及ぶ範囲は地球規模である。また、近年は社会的・経済的環境も、国や地域を越えて地球規模になりつつある。このような背景から、現在、我が国の課題は、グローバル社会の課題と密接不可分となってきていると言える。そこで、日本の利益は世界の平和と安定とともにあるとの認識の下、世界に目を向け、我が国を取り巻く社会との良好な関係を築き上げるための地球観測を推進することは、我が国の安全保障にも資するものである。このため、科学技術外交・国際協力への地球観測の貢献の在り方をより明確化する必要がある。
具体的には、例えば、1.で述べたオープンデータ化の推進を踏まえ、我が国の安全保障上問題のない観測データは、あらゆる人々の行動判断に役立てる目的の下、原則的に全面開示していくなどの国際貢献を推進すべきである。また、今後の地球観測では、観測・計測手法や観測機器、データの処理方法等の世界的な標準化が進むと考えられることから、我が国の地球観測の手法を世界標準にすることなどを含めた検討が必要である。さらに、国際協力関係を構築しつつ、地球規模課題の解決やその基盤となる地球システムの理解を含め、我が国の地球観測及び関連する研究成果等を活用して国際貢献を強化、推進していく必要がある。
そのため、これまでに形成されてきた国際連携の枠組みやシステムを維持発展させるための取組を検討し、推進すべきである。特に、今後策定される「GEO戦略計画」も踏まえ、関係各国・機関との競争と協調のバランスも意識し、我が国単独では得られない観測データや、海外における質の高い情報の入手とデータの更新が継続的に行われるよう、引き続き人的・組織的ネットワークを構築していくことが重要である。また、開発途上国における観測能力の向上を踏まえ、人材育成を含め、各国の能力を活用した連携の方策についても検討すべきである。
また、我が国の国際的プレゼンスの向上や産業創出につなげるため、JICA、世界銀行、アジア開発銀行等とも十分連携して、我が国の優れた地球観測システムと利活用まで含めた技術の国際的普及に戦略的に取り組むべきである。
SDGsの目標の達成に当たっては、第4章で述べた課題解決型の地球観測も大きく貢献できるであろう。例えば、SDGsの具体的な目標として設定される数値目標について、それらを達成するための計画の立案と達成状況のモニタリング及び評価を実施する際に、観測データを活用するべきである。
また、地球規模課題を解決し、持続可能な社会を構築するため、学術の専門家だけでなく、社会の様々なステークホルダーが参画し、研究活動の設計から成果の創出まで協働して行うことを目指す「フューチャー・アース構想」が、国際科学会議(ICSU)を中心に推進されている。同構想の下では、自然科学的な観測データと社会科学的なデータを融合し、真(しん)に社会に役立てる情報としていくことも求められる。同構想への貢献を通じ、社会から求められる地球観測がいかにあるべきか、社会データと観測データの統合や利活用をどのように進めていくか、我が国の地球観測に関わる関係者がそろって検討していく必要がある。
さらに、第4章2.で言及した「仙台防災枠組2015-2030」や、平成27年末に予定されている国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で合意される予定の平成32年以降の世界の気候変動・温暖化対策に関する新たな国際枠組みの実現においても、科学技術の貢献が求められており、これらの国際的な取組の状況を踏まえた地球観測の実施を検討すべきである。例えば、防災・減災への貢献の観点からは、高密度観測網を持つ日本ならではの研究成果を他国の防災・減災に役立てることや、GEOをはじめとする国際協働事業や各国の機関による災害データの収集に協力することにより、我が国の国際貢献を果たすことが必要である。
現在の国際情勢も踏まえ、これまで我が国の地球観測が重点的に貢献してきたアジア・太平洋地域に加え、アフリカ、中南米等への対象地域拡大や、地域的課題の解決への地球観測の貢献等の内容・人材育成等、戦略の再検討を行うべきである。その際、我が国の大学等の教育研究機関、研修機関等も活用しつつ、各国現地において人材育成を行うことも現地国への支援等の観点から必要である。その一つとして、地球規模課題と科学技術水準の向上を目的として、開発途上国と共同で進める地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)を、地球観測の観点から推進、支援すべきである 。
また、我が国は、平成25年に北極担当大使を任命するとともに、北極評議会のオブザーバー資格を得ている。今後は、気候変動がもたらす北極海航路の利用可能性を視野に、北極圏諸国との連携を強化し、我が国としても北極圏における地球観測を推進すべきである。
(※ウ)「北極評議会」
北極圏に係る共通の課題(特に持続可能な開発,環境保護等)に関し、先住民社会等の関与を得つつ、北極圏8か国(カナダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデン及び米国)間の協力・調和・交流を促進することを目的として、1996年に設立されたハイレベルの政府間協議体(なお、軍事・安全保障事項を扱わないことが明確に確認されている)。
「GEO戦略計画」に対しては、設定される社会利益分野の課題に対し、我が国の地球観測の貢献を明確に示していく必要がある。例えば、現在利用者との連携で進めている「センチネル・アジア」や「アジア水循環イニシアティブ」、「アジア太平洋地域生物多様性観測ネットワーク」のような我が国の取組をグッドプラクティスとして示しつつ、このような活動を後押しするとともに「ブルー・プラネット・イニシアティブ」のような全球的な社会利益分野横断型の活動に積極的に参画し、更なるGEOSSの発展を目指していくべきである。
また、新たな知見の創出に当たってはグローバルなモニタリングが不可欠であり、基盤的な地理空間情報も活用しつつ、各国・各機関・各観測ネットワークとのデータの共有や統合・標準化での連携を通じて、活動を強化する必要がある。そのために、我が国の主導の下、アジア・太平洋地域において開催している「GEOSSアジア太平洋シンポジウム」を活用する。これらの活動を通じ、各国の協力の下で実施すべき観測項目を特定し、実施していくことが重要である。
CSTIのレビューに基づき、本実施方針は、これまで推進戦略の下で策定してきた「実施方針」に代わるものとし、国内外の地球観測の動向や社会情勢の変化に対応して、おおむね3年~5年程度を目安に、本部会が中心となって見直しを行う。また、推進戦略の下で毎年策定してきた「実施計画」については、本実施方針の下で、関係各府省・機関が引き続き毎年策定する。本部会は、必要に応じ、本実施方針とそれに基づく事業の進捗状況についてCSTIに報告を行う。
本部会は、推進戦略に基づき、今後も地球観測の総合的な推進組織としての役割を担っていく。そのため、本部会は、本実施方針に基づき、観測から課題解決に至る取組を総合的に俯瞰(ふかん)しその道筋を明示しつつ、CSTI及び関係府省庁との連携を強化して、地球観測とそのデータの統合的利用を促進するとともに、産業・市民生活への貢献、観測データの公開の在り方などを議論し、提言していく。その際、後述する関係府省庁連絡会等も積極的に活用するなど、ステークホルダーも含めた地球観測に携わる者全体の連携の強化や、適切な枠組みの構築と役割分担を明確化することが必要である。
関係府省庁において取り組まれている地球観測関連施策の現状や今後の施策の展望等について情報を共有し、意見を交換することで、より効果的・効率的な計画の策定や施策の展開ができると考えられる。そのために、CSTI事務局と本部会事務局が共同で地球観測の推進及び利用に関する関係府省庁連絡会を設置し、関係府省庁がそれぞれのニーズに応じて策定する計画を効果的に連携させる。
また、地球温暖化分野に関しては、既に推進戦略の下に地球観測連携拠点を設置しているが、他の分野に関しても必要に応じ推進組織を設置し、関係省庁、関係機関による国内外の連携を一層強化する。
附属資料
・「地球観測の推進戦略」のレビューについて
・全球地球観測システム(GEOSS)新10年実施計画の検討に関する最近の動きについて
・第6期地球観測推進部会の活動について
・全球地球観測システムにおけるGEO戦略計画の検討状況(報告)
・我が国の地球観測の実施方針に反映すべき目標案ついて
・我が国の地球観測の実施方針の骨子について
・我が国の地球観測の実施方針について
部会長 |
大垣 眞一郎 |
公益財団法人水道技術研究センター理事長 |
部会長代理 |
春日 文子 |
国立医薬品食品衛生研究所安全情報部長 |
|
赤松 幸生 |
国際航業株式会社調査研究開発部部長 |
|
岩谷 忠幸 |
特定非営利活動法人気象キャスターネットワーク事務局長 |
|
上田 佳代 |
京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻准教授 |
|
沖 大幹 |
東京大学生産技術研究所教授 |
|
甲斐沼 美紀子 |
国立研究開発法人国立環境研究所 社会環境システム研究センターフェロー |
|
河野 健 |
国立研究開発法人海洋研究開発機構地球環境観測研究開発センター長 |
|
小池 俊雄 |
東京大学大学院工学系研究科教授 |
|
佐藤 薫 |
東京大学大学院理学系研究科教授 |
|
高村 ゆかり |
名古屋大学大学院環境学研究科教授 |
|
寶 馨 |
京都大学防災研究所所長・教授 |
|
佃 栄吉 |
国立研究開発法人産業技術総合研究所理事 |
|
中田 薫 |
国立研究開発法人水産総合研究センター研究推進部研究主幹 |
|
浜崎 敬 |
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構理事 |
|
箕輪 由美子 |
三井住友海上火災保険株式会社 金融ソリューション部・ARTチーム課長代理 |
|
村岡 裕由 |
岐阜大学流域圏科学研究センターシニア教授 |
|
六川 修一 |
東京大学大学院工学系研究科教授 |
|
若松 健司 |
株式会社NTTデータ公共システム事業本部 e-コミュニティ事業部第三営業担当部長 |
|
渡邉 紹裕 |
京都大学大学院地球環境学堂教授 |
平成27年8月現在
メールアドレス:kankyou@mext.go.jp
-- 登録:平成27年09月 --