第5期地球観測推進部会(第1回) 議事録

1.日時

平成25年5月7日(火曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省3階2特別会議室

3.議題

  1. 部会長の選任及び部会長代理の指名について
  2. 地球観測推進部会の議事運営について
  3. 北極研究戦略小委員会の設置について
  4. 全球地球観測システム作業部会の設置について
  5. 全球地球観測システム構築に向けた最近の動きについて
  6. 地球環境研究に関する国際的な動きについて
  7. 第5期地球観測推進部会の活動について(「地球観測の推進戦略」の見直し等)
  8. その他

4.出席者

委員

小池(勲)部会長、大垣部会長代理、甲斐沼委員、河宮委員、小池(俊)委員、杉本委員、瀧澤委員、佃委員、深澤委員、藤谷委員、堀川委員、安岡委員、渡邉委員

文部科学省

鬼澤 大臣官房審議官(研究開発担当)、篠崎 環境エネルギー課長、清浦 環境科学技術推進官、畑山 地球観測推進専門、他関係官

5.議事録

<委員・臨時委員の紹介と出欠状況の確認>

・部会長の選任までは清浦推進官が議事を進行。
・部会長の選任、部会長代理の指名、及び運営規則の決定までの間、部会は非公開。
・配布資料について確認。
・資料1の名簿を使用し、委員及び臨時委員の紹介。
・出席委員が13名と過半数に達しており、部会は成立。

議題(1)部会長の選任及び部会長代理の指名について

科学技術・学術審議会令第6条第3項の規定に基づき、委員の互選により、小池勲夫委員が部会長に選任され、また同第六条第5項の規定に基づき、大垣委員が部会長代理に指名された。

議題(2)地球観測推進部会の議事運営について

地球観測推進部会運営規則(資料2)について事務局より説明があり了承された。
以降、運営規則第4条の規程に基づき公開。

 

【小池(勲)部会長】
それでは、これより会議を公開にいたしますので、一般傍聴者の入場を許可したいと思います。よろしくお願いいたします。

(傍聴者入室)

【小池(勲)部会長】
それでは、第5期の地球観測部会の発足に当たりまして、鬼澤大臣官房審議官より御挨拶をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。


【鬼澤審議官】
大臣官房審議官の鬼澤でございます。第5期の地球観測推進部会の発足に当たりまして、一言御挨拶申し述べさせていただきます。
本日は、大変お忙しい中をお集まりいただき、まことにありがとうございます。また、この地球観測推進部会の委員をお引き受けいただきまして、厚く御礼を申し上げます。
この部会におきましては、平成16年に総合科学技術会議で策定されました地球観測の推進戦略に基づきまして、毎年度の地球観測の実施方針を取りまとめていただくとともに、国際的に取り組みが進められております全球地球観測システム(GEOSS)への我が国の貢献などにつきまして、精力的に御審議を行っていただいておりました。
この推進戦略の策定以来、様々な変化がございました。観測技術や地球環境情報の分析技術にも様々な技術革新が起こっております。10年前にはビッグデータという言葉は一般的でもございませんでした。またこの間、日本は大震災も経験いたしました。防災対策と適応策を統合的に考えることの重要性が高まっているわけでございます。
学術界に目を向けますれば、Future Earth(フューチャー・アース)という新しい潮流が出てきております。これは持続可能な地球に関する研究――Trans-disciplinary(トランス・ディシプリナリ)ということで、学際的にまた、ステークホルダーと連携して推進するイニシアチブでございますが、地球観測に関する情報をいかに共有するかというのが1つの重要な要素になってくるものと思われます。
本部会におきましては、推進戦略策定からこれまでの取組を振り返っていただくとともに、我が国の地球観測のあるべき姿につきまして、御検討いただいて、総合科学技術会議に御提示いただくということをお願いしたいと思っております。
また、来年1月には地球観測に関する閣僚級会合が予定されております。この場では、10年実施計画が終了する2015年以降のGEOSSについて、その基本的な方向性が合意されるものと承知しております。この2015年、地球観測に関しまして、節目となる大変大きな年というふうにも言われております。本部会におきましても、国際的な動向を国内の戦略に反映させると同時に、GEOの次の10年の国際的な議論を、日本としてどのようにリードできるかという観点からも御検討いただきたいと考えております。委員の皆様の御忌憚(きたん)のない御議論を期待いたしまして、御挨拶とさせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。

【小池(勲)部会長】
どうもありがとうございました。
それでは、引き続き議事を進めたいと思います。本部会の審議事項の概要について、事務局から説明をお願いいたします。

【清浦推進官】
それでは資料3に基づきまして、「地球観測推進部会の概要」と題している資料ですけれども、説明をさせていただきます。地球観測推進部会につきましては、御案内のとおり、地球観測の推進戦略、平成16年12月に総合科学技術会議において策定された推進戦略でございますけれども、こちらを踏まえて、関係府省庁、機関の緊密な連携・調整のもとで地球観測の推進に関する重要事項を調査・審議するために設置されておりまして、今期で第5期を迎えるということでございます。
3ポツのところでございます。この第5期の地球観測推進部会における検討事項の案といたしましては、推進戦略の見直しに向けた検討。総合科学技術会議における「推進戦略」の見直しに向けて、これまでの観測に係る取り組みについてレビューし、科学技術的、また社会的な状況変化を踏まえた観測の在り方等を検討して総合科学技術会議に報告。
それから2点目といたしまして、全球地球観測システム(GEOSS)10年実施計画以降の取組について検討するというところを挙げさせていただいております。
以上でございます。


【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。
今、今期の検討事項について簡単に御説明いただきましたけれども、これに関して何か御質問ございますか。活動に関してはこの後の議論でもまた出てまいりますので、もしよろしければ、先に進めさせていただきますけれども。それでは、議題の3に移らせていただきます。

議題(3)北極研究戦略小委員会の設置について

【小池(勲)部会長】
議題の3は北極研究戦略小委員会の設置についてです。今期もこれを引き続いて設置したいと考えております。事務局から説明をお願いいたします。


【清浦推進官】
それでは資料4、北極研究戦略小委員会の設置について(案)というペーパーでございますけれども、こちらは運営規則第2条が設置根拠になって設置されております北極研究戦略小委員会を引き続き設置するものでございますが、メンバー、主査については、後日部会長より指名ということになっております。
以上でございます。

【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。
これは前期に引き続いて、継続して設置するものですけれども、何かコメントございますでしょうか。
よろしければ、北極研究戦略小委員会の設置を事務局案のとおり承認することといたします。よろしいですね。

(「異議なし」の声あり)


【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。
それでは、これを当部会として承認させていただきます。北極研究戦略小委員会の委員につきましては、部会長である私からの指名という形で決めさせていただきます。私に一任いただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)


【小池(勲)部会長】
ありがとうございます。

議題(4)全球地球観測システム作業部会の設置について

【小池(勲)部会長】
もう1つ、作業部会の設置があります。議題の4で、全球地球観測システム作業部会の設置についてです。これも、前期もありましたけれども、今期も引き続き設置したいと考えております。事務局の方から御説明をお願いいたします。


【清浦推進官】
こちら、資料5でございますが、全球地球観測システム作業部会の設置ついて(案)という資料でございます。こちらも引き続きの資料でございます。内容については御確認いただければと思います。以上でございます。


【小池(勲)部会長】
これに関してはいかがでしょうか。よろしいですか。
特に御意見がなければ、本作業部会の設置を事務局案どおり承認することとしたいと思います。よろしくお願いいたします。
この作業部会のメンバーについても、先ほどと同じように部会長である私からの指名という形で決めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次に議題の5に移らせて頂きます。

議題(5)全球地球観測システム構築に向けた最近の動きについて

【小池(勲)部会長】
議題の5は、全球地球観測システム構築に向けた最近の動きについてです。事務局から御説明をお願いいたします。


【清浦推進官】
それでは、資料の6でございます。全球地球観測システム(GEOSS)構築における最近の動きについてという資料でございます。
GEOSSの概要につきましては、先生方御承知のことと思いますが、1ポツの方に概要を示させていただいております。紙の、本資料の3ページ目に色刷りでGEOSSについてという紙がございますけれども、2002年の持続可能な開発に関する世界首脳会議、G8のエビアンサミットを経て設立されたGEOSSがそろそろ10年を迎えるということになってございます。
2ポツでございますけれども、GEOに関しましては、10年計画以降のGEOについてどのように取り組んでいくかということにつきまして、3年に1回閣僚級会合を開催しておりますけれども、次回の閣僚級会合、2014年の1月に開催予定でございますが、この会合におきましては、これまでのGEOSSの実績及び成果を明確にいたしまして、GEOSSの存在意義を示すとともに、2015年以降のGEO/GEOSSの継続について大臣から承認を得るという運びになってございます。このため、閣僚級会合の準備作業部会及び2015年以降GEO検討作業部会を設置いたしまして、今、準備に取り組んでいるところでございます。
その次、2.1というところでございますけれども、これまでの議論の状況でございますが、今、GEOにつきましては、GEOの継続、下の丸のところでございます。GEO実施の継続ということが、まずは継続する方向で取り組むべきというところ。
それから次のページでございますけれども、GEOの戦略的目的といたしまして、次の3つに焦点を置いてはどうかと。関連する国連機関等と連携を深める、それからデータアクセスの強化、それから地球観測情報の空白に対応する世界的な取組というところでございます。
それから、これまで設定されておりました社会利益分野(SBA)の在り方につきましては、現在検討されております持続可能な開発テーマとの連携を図るという方向性が議論されております。
それから、新しいGEOSSの10年実施計画の方向性でございますけれども、GEOの中核機能として、これまでにも増してユーザー及び政策決定者との連携を強化するという点。それから、GEOのフレキシブルで機動的な仕組みというのをうまく、今後も活用していくという点。それから開発途上国との連携、特にキャパシティービルディング(能力開発)を強化するという点。それから非営利及び民間部門との連携を強化するという点について議論されてございます。
今後の予定でございますけれども、1月の閣僚級会合に向けまして、実務的には11月ごろに最終文案を取りまとめということを目標に、逆算して、ここに書かれているようなスケジュールで今検討が進められているところでございます。
実際の閣僚級会合の開催スケジュールにつきましては、2.2のところにございますけれども、1月17日にGEOの閣僚級会合をジュネーブにて開催するという予定になってございます。
それから参考資料でございますけれども、一番後ろでございますが、国連機関と連動したGEOのこれまでの発展状況について、少し概略を示しておるところでございます。GEO発足以降、様々な分野での国連機関等とのイニシアチブと連携したプログラムというのが発達してきたというところを示している図でございます。
以上でございます。


【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。
今の事務局からの御説明に関して、御質問あるいはコメントがありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
来年の1月に開かれる閣僚級会議で、GEOを10年、第2期というんですかね。10年の延長を大筋で考えるという趣旨の御発言ですけれども、よろしいでしょうか。
このGEOSSの国際的な今後の進展に関しては、きょうの一番大きな議題であります議題7の、地球観測の推進戦略の見直しに関する議論と密接にかかわりますので、GEOの最近の動きについてのみ、ここでもし御意見があれば頂きたいと思うのですけれども。よろしいですか。


【大垣部会長代理】
1つよろしいですか。


【小池(勲)部会長】
どうぞ。


【大垣部会長代理】
単なる質問なのですけれども、2ページ目の上から2番目の丸のSBA――社会利益分野の在り方について、見直すという表現がありますけれども、これは、具体的にはどんな内容なのでしょうか。


【清浦推進官】
今、GEOSSにおいては9つのSBAという格好で分野が設定されておりますけれども、議論といたしまして、これに、例えば新たにテーマを加えるべきではないかですとか、あるいはテーマを少し統合するべきではないかとか、そういう議論もあるのですけれども、趨勢といたしましては、現在、Sustainable Development Goals(SDGs)自体が検討されておりますので、その検討の状況を踏まえながら、やはりその分野というのも設定していくべきではないかという議論が今主流になっておりまして、それを踏まえた表現でございます。

【大垣部会長代理】
わかりました。ありがとうございます。


【小池(勲)部会長】
私もそこのところがちょっとよくわからないのですけれども、ここに「持続可能な開発テーマとの連携を探るため」というふうに書かれていますけれども、もともとのGEOSSの社会利益分野というのは開発だけではなくて、かなり、人間活動のいろいろなものを含んでいたと思うのですけれども、これは、いわゆる持続可能な開発の方に焦点を当てていくという意味なのでしょうか。

【清浦推進官】
むしろ私の理解では、分野からさかのぼるやり方というよりは、今、地球規模課題、Sustainable Development Goalsに向けてどのような取り組みを行うべきかという、課題の方から入っていって、GEOにおいて、どういう活動をすべきか、という設定をした方がいいのではないかと、そういうふうな議論でございます。


【小池(勲)部会長】
ほかに何かございますか。よろしいですか。

議題(6)地球環境研究に関する国際的な動きについて

【小池(勲)部会長】
それでは、次に議題の6で、これも関連する議題ですけれども、地球環境研究に関する国際的な動きについて、事務局から説明をお願いいたします。


【清浦推進官】
これは、資料といたしまして参考資料5-1、5-2、5-3というふうにつけさせていただいております。順番が前後しますが、まず、参考資料の5-3を見ていただければと思いますけれども、今般のFuture Earthと言われます国際的な動きを踏まえまして、4月26日に、環境エネルギー科学技術委員会のもとに、持続可能な地球環境研究に関する検討作業部会、略してFuture Earth作業部会と呼ばせていただきますが、この作業部会の設置を決定いたしております。ここに配ってあります資料5-1、5-2につきましては、4月26日の環境エネルギー科学技術委員会において配付されている資料でございます。
まず、資料5-1でございますけれども、その委員会におきましては、Future Earthの取り組みが、国際科学会議(ICSU)が主導している取組でございまして、日本では日本学術会議で積極的な対応をしていただいておるところでございますので、日本学術会議の春日副会長にお越しいただきまして、Future Earth全般についての御説明を頂いております。説明につきましては、Future Earthの内容について、かいつまんで、この資料に基づきまして、少し触れさせていただきたいと思います。
最初の2ページ目でございますけれども、これが、Johan・Rockstörmさんが提唱されているPlanetary boundaries(プラネタリー・バウンダリー)という、地球の限界に関する考察のダイアグラムでございますけれども、気候変動だけではなくて生物多様性の分野でございますとか、物質循環のところにもリスクがあるということを示している図でございまして、Future Earthを進めるところの1つの動機づけになっている考え方を示しているものでございます。
その次の4ページ目でございますけれども、Future Earthにつきましては、御承知のとおり、4ページ目の下の四角い青いところでございますが、WCRP、IGBP、DIVERSITAS、IHDPといいました、地球環境問題に関する幾つかの国際的なイニシアチブを統合しようという動きでございまして、2014年、来年の中ごろにフルスタートさせようという計画でございます。
上の図で言いますと、少し輪っかになっているところでございますが、ここにFuture Earthをリードしている幾つかの機関がございます。国際科学会議(ICSU)等の学術コミュニティ、それからファンディング・エージェンシー、それから国連関係の機関が協働いたしまして、気候、物質循環、生物多様性、人間活動を含め、地球の変動を包括的に理解し、地球規模課題の解決に資する研究の総合的な推進を目指すというところでございまして、この目的の達成のため、Trans-disciplinaryなアプローチをするというところがキーワードになっているところでございます。
5ページ目でございますが、Future Earthの研究課題自体が、今後検討されることになるわけでございますが、例示されている話としては、先ほど少し申しましたが、地球システムを包括的に把握するという点、それから政策と科学的知見とをつなぐという考え方、それから持続可能な開発のための目標に向けた進捗の評価を支援するという考え方、それから地球環境に関する情報を統合するという考え方。それからキャパシティービルディングの考え方も入っているというところでございます。
6ページ目のところは今後のタイムライン、スケジュールでございますけれども、ICSUの本部がありますパリに暫定事務局を置いて、1年半の準備期間を経て本格活動に入るというプランでございます。
それから7ページ目、8ページ目、9ページ目あたりは、Future Earthという事柄に対してどのような対応をしてきたか。我が国がどう対応してきたか、特に学術会議の活動を中心に書かれているところでございます。
11ページ目でございます。学術会議におかれても、Future Earthに対応する新しい委員会というのを設置予定であるという御紹介がされております。
それから12ページでございますけれども、そのFuture Earthのキックオフ、ワークショップ、シンポジウムを6月18日に開催するということでございます。
それから、本部事務局、本部機能に関しまして、我が国からの邦人の推薦状況等について記されておるところでございます。
参考資料の5-2を御覧ください。これはFuture Earthのファンディング戦略についてまとめている資料でございますけれども、Future Earthが特徴的でございますのは、このピラミッドがございますけれども、そのピラミッドの赤い線から上が国際的な取組ということでございまして、ブルーの部分は、まさにFuture Earthの本部自体を設置して、そのコーディネーション、調整を行っていくという機能でございます。それから緑色のところでございますけれども、これはもう既に先行して走っているプログラムでもありますけれども、ベルモント・フォーラムというような、各国が協働して地球規模問題に関する研究を進めるための国際共同研究の枠組みでございます。このような、国際的に協働して行うスキームだけでなく、ピラミッドの赤線より下のところでございますけれども、それぞれの国で取り組む、地球環境研究に資する研究についても総合的にエンカレッジしていこうと、そこまで視野に入れた取組でございまして、この中の黄色いところ、各国における戦略的研究、Trans-disciplinaryな研究を加速するという点。これを下支えする下のオレンジ色の部分でございますけれども、各分野の基礎研究でございますとか人材養成、あるいは地球観測を含めた基盤の整備等々を強化していくと。この全体を見ながら、Future Earthという1つのイニシアチブを進めていくという考え方でございます。
以上でございます。


【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。
本件についても、議題7で取り扱います地球観測の推進戦略の見直しに関する議論と密接な関係がありますけれども、ただいまの事務局の御説明に関して、御質問あるいはコメント等がありましたら、ここでお願いいたします。
どうぞ。


【安岡委員】
1点質問です。先ほど御説明のあったGEOSSと、このFuture Earthというのは非常に密接に関係するだろうという気がいたします。特に今御説明いただいたFuture Earthの、春日先生が御説明された5ページの一番上にも、「地球システムの変化をモニターし、予測する」という文言があって、これはまさに、GEOSSとかなりリンクしないといけない話になるのですが、このFuture Earthの説明の図で、ファンディングの方といいますか、実行部隊といった方がいいのかもしれませんけれども、GEOSSとのリンクが全然書かれていないような気がするのですが。幸いに、日本ではこの委員会といいますか、環境エネルギー課が両方を所掌するということがあって、多分それほど齟齬は出ないと思うんですけれども、国際的にはどうなのかというのを質問させていただきたいと思います。


【小池(勲)部会長】 いかがですか。


【清浦推進官】
まさしく御指摘のとおりでございまして、主要国でGEOを担当している部局とFuture Earthに取り組んでいる部局が同じところというのは日本ぐらいでございまして、それ以外のところは双方知らないという状況が……、正直言って、特に初期段階はございました。今、徐々にFuture Earthの枠組みを検討している中で、当然、地球環境情報が重要だと、GEOとのリンクが大事だということで、Future Earthの議論の中でGEOとのパートナーシップについては既に議論がなされているという状況でございます。
一方、GEOの議論の中で、Future Earthに関する議論も、全く出ないというわけではないんですけれども、まだ、現段階としては、認知度については必ずしも双方高くないという状況ですので、それに対しては、GEOの関係者もFuture Earthの関係者も問題意識を持っているという状況だと理解しております。


【小池(勲)部会長】
よろしいですか。どうぞ。


【小池(俊)委員】
清浦さんは御担当の行政官で、なかなか言えないこともあるかもしれないので、私がちょっと感じていることを言いますと、Future Earthは、アメリカはNSFがベルモント・フォーラムのメンバーですので大変熱心です。これは今までのGEOの観点からいくと大変いいことで、これまでのGEOSSに対してNSFは非常に冷淡で、GEOSSのためのファンディングというのはほとんどなかったのです。これがFuture Earth、今ものすごく熱心で、次々と考えておりまして、これが地球観測ということとリンクしてくるというのは大変望ましい形態だと思います。
一方、欧州委員会(EC)は、逆にGEOSSに大変熱心で、FP7の枠組みの中でも次々とGEOSSに関連したコールを出しております。ところが、例えばイギリスはベルモント・フォーラムのメンバーですが、このFuture Earthとダブルになってしまうのではないか、要するにオーバーラップしてしまうのではないかという懸念もあるわけです。ここをうまく、アメリカの事情、それからヨーロッパの事情、両方違うのですが、日本はそこをうまくコーディネートされていると思いますので、むしろ率先して、これをうまく調整しながら進めていく役割を担っているのではないかと思います。


【小池(勲)部会長】
ほかにございますか。どうぞ。


【深澤委員】
これは、日本の国内でFuture Earthをどういうぐあいに進めていくかという部分と非常に関係するのですけれども、今、安岡委員、あるいは小池委員からもお話があったのですが、いわゆるGEOSS的な、ガバメンタルなものと、それからFuture Earthと、どういうぐあいに絡ませるかということが非常に大事になると思うんです。それで、春日先生の書いたものでちょっと疑問に思うのは、今、ICSUが持っている大きなプログラムは5つある。本当は5つ、4つなんだろうかな、DIVERSITASとIGBPとIHDP、これはICSUがほとんど中心ですね。で、WCRPはICSUもメンバーのひとつである。それらをまとめた形でESSPがあるという形で5つなわけです。本当にこのDIVERSITAS、IGBP、IHDP、WCRPが、この上に書いてあるように、桃色で、ポンとひとつにかぶせられるのかどうかというのは、非常に微妙な部分があるような気がするんです。その場合、この部会で扱っている地球観測全般に関するものをFuture Earthと、無差別的に幅広く絡ませると、逆にデータフローに混乱が生じるおそれもあるのではないかというのを僕は危惧します。
どういうことかというと、Future Earthで全体的に書いてあること、つまり何を目指すのかというところに関しては、Future Earth、それからGEOSS、更に言うとWCRPも同じですし、WMOもそう。特にWMOでは、GEOSSと非常に関係する、あるいはGEOと非常に関係する、GFCS(Global Framework for Climate Service)があるわけですけれども、それらとどういうぐあいに絡むのかというのは、どういうぐあいに、それぞれが独立だと思って絡み合わせるのかという点にかなり注意をしないと、かなりの混乱を、特にデータフローに引き起こしそうな心配があるというのだけ、ちょっとコメントさせておいてください。


【小池(勲)部会長】
今まであった地球変動のプログラムと、それから今度新しくできるFuture Earthとの関係は、結局これは、一遍、今までのプログラムを閉じて、これを新しく、全体のプログラムとして立ち上げるという形になるのでしょうか。それとも、今深澤委員が言われたみたいに、例えばWCRP自身は残って、その中の、Future Earthのある部分として活動するということになるのか。私が聞いた限りでは、IGBPそのものは、幾つかのコアプログラムがFuture Earthの方に入って、IGBP全体は終了させるというふうに聞いていますけれども。


【清浦推進官】
はい、ESSP自体は既に終了しております。基本的には、その看板は、Future Earthという看板に、基本的にはなっていくという方向性で検討はされているということだと思います。ただ、もちろん、例えばIGBPと言っても、その中に様々なプログラムがございますので、そのうち、どういう新しいものを入れていくかと。どういう統合をしていくか、あるいは存続していくかというのは、まさに今議論されているというふうに理解しております。


【小池(勲)部会長】
ほかにございますか。どうぞ。


【河宮委員】
今のポイントに関してなんですけれども、WCRPに関しては、看板は下ろさないというふうに理解しておりましたが、その理解でよろしいでしょうか。


【小池(勲)部会長】
今、ちょっと書きわけを微妙にされていて、WCRPは別に書いているところがございますけれども、最終的に、何といいましょうか、決定というところの文書を確認しているわけではございません。


【河宮委員】
つまり、看板を下ろすという方向で検討しているけれども、まだ決定ではないという意味でしょうか。


【清浦推進官】
当初、4つ統合するというのでスタートして、その後の議論で、WCRPは少し違うのではないかという議論が出てきているところまでは理解しておりますけれども、最終的な看板の状態がどうなるかというところはまだ把握しておりません。


【河宮委員】
むしろ、やはり別で、降ろさないという方向で検討中だけれども、最終決定ではないという理解でいいですか。


【清浦推進官】
はい。


【小池(勲)部会長】
この辺はかなり、先ほど小池俊雄委員から説明がありましたように、多分これ、アメリカとヨーロッパで大分考え方が違っていて、利害がかなり対立するところがあって、その間でなかなか調整がうまくいかない。日本の場合は、割合と両方が、初めから同じようなところで考えられているので、比較的その意味ではまとまった形で進んでいるということだと思いますけれども。
ほかに何かございますでしょうか。どうぞ。


【安岡委員】
これからの議論だと思いますけれども、Future Earthというのは今まで走っていた4つのプログラム、このプログラム自身は皆さんがものすごくエネルギーをかけてつくってきたものですが、ただ、エネルギーをかけてきたわりに、課題解決という出口に向かって解が得られてこなかったということに対する、ノーというものが突きつけられたと、ある意味でそう考えられるわけです。それと同時に、観測したものがもうちょっと出口に近くなるように、全体を少しリシャッフルしましょうという、ノーということのかわりにリシャッフルしましょうと。そうなると、今度は課題解決に向けての観測という、観測の在り方そのものがまた、性格が変わってくる部分があって、ここはよほど注意しないといけないだろうなという気がしています。ただ、課題解決をしなければいけないという世界的な、日本の中でももちろんですけれども、非常に大きなうねりの中で観測をどうやっていったらいいかという、多分、後ほどの議論に非常に深く結びつくので、かなりぎっちりした議論が要るのではないかなという気がしています。


【小池(勲)部会長】
ほかにございますでしょうか。
私も、IGBPの第1期の10年目から次の期に移るときの議論に参加していたのですけれども、やはり、いわゆる研究者のコミュニティを中心にした地球環境変動研究から、出口を明確にしたという話は、もう、2期に移るときに出ていて、それで、IHDPとの連携とか、そういう議論になったのですけれども、それで10年やって、ただやはり、なかなか、今、安岡委員が言われたように、出口のところまでになかなかたどり着けなかったというところがそれぞれの反省点で、それを、全体にまとめてFuture Earthという新しい切り口でやりましょうということになってきたというふうに思いますけれども、ただやはり、地球観測という面から見ると、本当に全て課題解決でいいのかということもありますので、少しこの辺はきちんとした議論が必要だと思います。
どうぞ。


【堀川委員】
私もそれぞれの、Future EarthやGEOの中の活動がどういうふうに関連して動いているのか、詳しく知っているわけではないのですが、昨年の、小池先生も参加されたリオ+20を踏まえた国連の報告書、『The Future We Want』という報告書が出ているかと思うのですけれども、そのことと、このFuture Earthとが絡んでいるというふうにも認識しています。国連システムの中で、地上の開発(人間社会の持続的開発)に向けた課題の取組がいろいろなされていますけれども、実は観測の中でも、特に宇宙からの観測ということが、あまり国連システムの中で認識されていないという状況がありまして、私が今関連しています宇宙空間平和利用委員会の中でも、Space and sustainable developmentという議題をアジェンダに上げて、こういった活動に対して、宇宙からの貢献というのを、より明確にしていくような動きをしておりますので、一応、情報として皆さんに御承知いただければと思います。


【小池(勲)部会長】
ありがとうございます。ほかに、よろしいですか。
それでは、今日の一番の議題は次の議題7ですので、そちらの方に移らせていただきます。

議題(7)第5期地球観測推進部会の活動について

【小池(勲)部会長】
議題7は第5期の地球観測推進部会の活動です。地球観測の推進戦略の見直しについて、事務局から御説明をお願いいたします。


【清浦推進官】
まずは、資料、参考資料4というのがございまして、後ろの方でございますが、「『地球観測の推進戦略』の実施状況のレビューについて」という内閣府のクレジットの資料でございます。よろしいでしょうか。
今回の議論の発端とも言える資料でございますけれども、昨年の12月に、内閣府の方でこのような資料が取りまとめられておりますが、地球観測戦略は、平成16年に今後10年程度を目途として策定され、本年で8年経過したところであり、そのため、以下のとおり文部科学省 科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 地球観測推進部会からの報告を受け、それを踏まえて推進戦略の見直しを検討する、ということになってございます。
1.は推進戦略の策定の経緯ですので省略いたします。2.につきましては、これは総合学術会議と当部会との関係でございますので、こちらの方も省略させていただきます。
この資料におきまして、3.でございますが、推進戦略策定から8年経過した現在、種々の変化が生じているということで、4点ほど例示されてございますが、「ビッグデータ」に代表される技術革新、2015年以降のGEOSSに関する国際的議論、それから、今話題になりましたFuture Earthの動き、それから、地球環境問題と大規模災害への対応がございます。
このペーパーを受けまして、資料7でございますけれども、資料7につきましては、ポイントは、1.、2.は今のペーパーの概要をまとめておりますが、3.でございますけれども、「地球観測推進部会の対応について(案)」というところでございますが、地球観測推進部会においては、推進戦略に基づく我が国のこれまでの取り組み全体について総合的なレビューを行う。レビューに当たっては、技術革新や国内外の状況変化等も踏まえつつ、これまでの成果について評価するとともに、今後、見直すべき点、強化するべき点等について審議する。審議結果は、推進戦略見直しへ向けた「論点整理」として総合科学技術会議に夏ごろまでに報告するという方向で対応してはどうかという案でございます。
スケジュールについては、以下に示しているとおりを考えております。
以上でございます。


【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。今の事務局の説明にありましたけれども、推進戦略はつくられてから8年経ちましたけれども、いろいろな状況変化を踏まえ、見直しを図るということがもともとの文章には書かれておりました。それで8年経ったわけですけれども、先ほど議論いただいた議題5及び議題6での様々な動きも状況変化の1つであると思います。
いずれにせよ、CSTPの方にこちらから何らかのものを上げて、それをもとにCSTPの方で、この推進戦略について、見直しについて検討するということですので、今年の7月ぐらいまでに御議論いただいて、どういうものを上げるかということをする必要がございます。
それで、今日はその第1回ですので、これらの状況変化を踏まえて、地球観測の推進戦略に伴うこれまでの取り組みについて、ここで、どちらかというと取組全体ですね。あまり個々の細かい話ではなくて、取組全体についてのその成果とその課題について、レビューを行うということが必要かと思います。
これからの議論をそういう形で進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。できれば各委員から、どういうふうな形で今までの地球観測の推進が日本として図られてきて、その成果、それから、あるいはその課題についてコメントをいただければと思います。どなたからでも結構ですが、どなたが口火を切っていただける。じゃ、小池先生に。


【小池(俊)委員】
長く関わらせていただいていますので、先に申し上げたいと思います。資料6の3ページ目、経緯。これは世界の流れがございまして、そして、4ページ目ですか、パワーポイントのページ2というのですが、ここを見ると、やはり日本が中心的な役割を担って、地球観測の推進を担ってきたんだなと思います。水の分野、それから、GEO-BONというのは、バイオダイバーシティ・オブ・ネットワークです。それに関してAP-BON、アジア太平洋地域のものとか、J-BONというのができて、それから、その下にFCTとあるのが森林炭素ですけれども、これもJAXAのALOSが中心となって、アジアでまずは立ち上げて、これが世界のプログラム、GFOIというようなものができてきました。
それから、こういうのをアジアの取組を推進するために、アジア太平洋地域のGEOSSのシンポジウムを日本が中心になってずっと主催して、6回を数えております。ということで、地球観測の推進戦略、参考資料2ですけれども、ここに出ている内容をかなり日本は世界の中で進めてきたなという感じを持っています。
ちょっと自分のことであれですが、AfWCCIというのは、アジアに続いてアフリカで越境河川のGEOSSの観測、これはAfriGEOSSというアフリカ全体のGEOSSの一環として、これはやっていますけれども、あす、チュニジア大使がアフリカの21か国の在日大使をお招きして、この講演会をやるというような形で、水と気候に関するそういうことに非常に関心を持って進めているというようなことも進んでおります。
そういう中で、この地球観測の推進戦略ができたのが2004年の12月でしたが、その直前にインドネシア津波地震が起き、その後、東日本大震災とかハイチの震災とか、ニュージーランドとか、こういう大災害が続いておりますし、おととしのタイの水害でサプライチェーンというような災害からいろいろな産業に影響するということも、我々は知ったわけです。この間、GEOSSができて、食料危機というのがございました。バイオエネルギーに使うか、食い物にするかということで大きな議論があって、食料が高騰したことがございます。それに対応するような形でGEO-GLAMという農業の枠組みもできております。それから、鳥インフルを中心とするような感染症も、我々人類にとって非常に大きな危機であるわけです。
そういうのを見直しながら、今後の10年の実施計画を考えようということで、先ほど推進官から御紹介がありましたように、来年の1月にサミットが開催されて、それを議論するということになってきております。そういう中で、我が国の地球観測の推進戦略をどう見直すかということなんですけれども、小池勲夫先生もそうなんですけど、私も、これを策定するのにかかわらせていただいておりましたので、非常に思いがあるんですが、今、清浦推進官からお話のあったことも含めて3点ほどちょっとポイントをまとめたいと思います。
1点目は、この地球観測の推進戦略をつくるときには、重点分野というのを決めまして、気候だとか、水とか、災害とか、そこを確立するんだということをうたいました。それから、この中には、先ほどの課題解決型という議論がありましたが、ニーズ主導の地球観測というのを色濃く書いておりまして、そういう一方で、この地球観測推進戦略の新しい知の創造ということもうたっておりました。
そういうのを考えますと、先ほどFuture Earthという新しい環境科学の枠組みが今、議論されているわけで、この中で分野を連携して、インターリンケージというんですか、分野を連携したインターディシプリナリティといいますが、そういう新しい科学をつくるということ。それから、先ほどもちょっとお話がありましたTrans-disciplinary、科学から社会へ知を受け渡しながら、社会の発展に寄与するというようなことを、もちろんニーズ主導ということはうたわれていたんですけれども、その分野連携だとか、Trans-disciplinaryとかいうことを強く意識したような推進戦略というものが1つ、1点目のポイントではないかと思っています。
それから、2つ目は、これは戦略ですので、どういう戦略かということになるわけですが、1つは、先ほどもちょっと言いました国際的なリーダーシップをとってきたということがございますが、先ほど堀川委員からお話があった昨年のリオ+20でも議論されたように、Sustainable Development Goals(SDGs)にどう貢献するか。これは今、イギリス、インドネシア、リベリアの3か国が中心になってMDGsに続く内容というものを今、提案をどんどん出しながら、国連の中で議論されていますが、これを設定するということはどういうことかというと、これは数値目標ですから、それがモニターできないといけないんです。そして、その改善、インプルーブメントがきちんと把握できないといけないわけで、そういう科学技術というものが求められているということで、このSDGsとリンクした地球観測ということは国際戦略の非常に大きな鍵になると思います。
それから、日本は科学技術外交を推進するということで進めているわけなので、ODAも含めた科学技術外交の中で地球観測を全面的に押し出す。ここでは、この地球観測の推進戦略、平成16年のものではアジア・オセアニアというのはもちろんこの地域ですので特化いたしましたが、私自身は、もっと日本の国際的な生き残りをかけて大胆に踏み出すようなことまで書いていいのではないかと思います。
そういう意味で2点目は、国際戦略をどのようにこの中に盛り込むかということが2点目でございます。
3点目は、これもちょっと手前みそになってしまうかもしれませんが、データの認識ということでございます。実はこの平成16年につくった地球観測の推進戦略の中では、重点の中の項目の1つとして、8番目ですか、データの共有と利用促進というのを色濃くここに書き込みました。これは、私は先見の明(めい)があったのではないかと思います。先ほども話がございましたように、ビッグデータというものが、これは、最初はeサイエンス、要するに計算機科学からデータ科学へ第4の科学をつくるという形で始まりましたけれども、昨年のオバマ大統領の発言以来、これが産業に非常に大きく影響を与えていて、今、新聞にビッグデータという名前が載らない日がないぐらいになっています。そういう意味で、eサイエンス、あるいはeジャスティス、社会の判断を決めるときにこういうものを使いますが、加えて産業のところも含めた形でこのデータの認識というものが変わってきているということで、この地球観測の推進戦略を見直す中でデータの認識というところも1つのポイントかと思います。
以上、3点です。


【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。それでは、ほかに。ほかにというか、続いて御発言いただける方はいらっしゃいませんでしょうか。安岡委員、どうぞ。


【安岡委員】
多少先ほどの話に戻るんですけれども、観測と我々が言ったときに、オブザベーションという言葉を普通に使いますね。もう1つ、観測というか、測定というのに近いのに監視、モニタリングという言葉があって、GEOSSはオブザベーションを使っています。それはかなり意識的に使われたと思っていまして、モニタリングというのは、同じ計測はするんですが、もう施策が決まった、その効果をきちっと調べる。つまり、目的がもうはっきりしてしまっているんですね。発見型の観測ではなくて、制御型の観測になります。GEOSSは発見型ではあるんだけれども、9つのSocietal Benefit Field(SBA)というのを決めて、そのためにということで、ただはかればいいということではないというふうに多分枠を定めたという気がしています。
ただ、これから起きるFuture Earthというのは課題解決を初めに標榜(ひょうぼう)していますから、出口を絞っていますので、そうなると、そこで施策を行って施策のために効果をはかるというための観測というのが主流になってくる。そうなると発見型ではなくなる可能性があるわけです。ここをどう仕分けるか。先ほど小池委員長もおっしゃいましたけど、政策のため、出口だけのための観測でいいのかというのは、まさにそういう話だと思います。そこをうまく切り分ける、戦略的に切り分けていくというのが多分これからの地球観測部会がやらなければいけないことかなと思います。いかにうまくそれを、平たい言葉で言えば妥協するというんでしょうか。もうちょっとサイエンティフィックに言えば、うまく切り分けて目的をそれぞれに明確にしてやっていくということじゃないかという気がします。
以上です。


【小池(勲)部会長】
今の安岡委員の話で、Future Earthの場合の観測というのは、多分モニタリング的なものが非常に強く押し出されるだろうと。それで、もともと地球観測のもとになっていた、例えばIGBPとか、そういうものの観測ももちろんあったわけです。その場合、やはりまだ未知のサイエンティフィックにわからないものが地球システムとしてあると。それを明らかにすることによって役立つ方向に変えていこうという意識がかなり強く働いていたと思うんですね。ですから、地球観測の場合というのは、もう既にわかっていることじゃなくて、地球のシステムでわからないところも、観測によって新しいものを見つけ出していくということも是非含まれないと非常に狭いものになってしまうという気がしますので、その点は非常に大事だと思います。
ほかにございますでしょうか。では、河宮さん。


【河宮委員】
僕、挙げてないんで。また後で。


【小池(勲)部会長】
ごめんなさい。じゃ、どうぞ。


【小池(俊)委員】
ちょっと今のことでよろしいですか。だから、Future Earthがあるんだと思うんですね。サイエンスをやる。課題解決とは言いますけれども、それはサイエンスをやって、その知が社会に行くんだという、そこまでの決意を持ってやるんだということであって、出口が最初からあって、何かやれば答えが出てくるということをやるわけではないので、そこには新しい知の創造というものが不可欠で、そのための観測というのは、この中では正当化されると思います。


【小池(勲)部会長】
ICSUが主導しているということは、多分そういうことなんでしょうね。それに対してガバメントがその果実を拾うという格好に多分なると思うんですけれども。


【小池(俊)委員】
果実を拾うよりも、果実までちゃんと見せろというのが今のFuture Earthへの要求だと思う。ただ、最初につくり方があって、果実をつくるというのではなくて、つくり方はわからないけれども、おいしい果実を見せなさいというところまでを要求しているんだと思います。


【小池(勲)部会長】
ただ、Future Earthの場合は、いわゆるステークホルダーをなるべく初めのところから入れ込むという議論が結構強くされていますね。その辺が今までのいわゆるサイエンティストが中心になってやっていくやり方と多少違うところだと思うんですけれども、ただ、それが本当にうまくいくかどうかというのは今後のやり方だと思いますけれども。


【杉本委員】
まさしく繰り返しになってしまうんですけれども、Future Earthというのは、出口の方からのまさしく観測で、問題を解決するという、その問題が何かということでは、これから多分侃々諤々始まるんでしょうけれども、問題解決型の観測。一方で、地球観測はそれだけでなく、本当に地球のことを知って、まだ誰も知らない何か発見、あるいはこれからの危機に備えるとか、そういう両方の面からの観測は必ず必要であるという視点で書くべきではないかと思います。
私の専門になってしまうんですけれども、どちらの面からも今、ビッグデータサイエンスというのがいろいろな技術の進歩で観測ができるようになって、衛星のデータもすばらしいデータがどんどん出てくるようになってはいるんですけれども、でも、そのデータをちゃんと使いこなして問題解決型の研究に生かしていくためには、やはり地上で地道にやるモニタリング、あるいは観測も決して忘れてはいけない。その視点を是非入れていただきたいと思います。


【小池(勲)部会長】
はい。


【河宮委員】
先ほどは失礼しました。私、ふだんは地球温暖化の予測モデルの開発であるとか、そういう仕事にかかわっているので、多少この場は場違いなんですけれども、ただ、場違いとはいえ、観測データを活用して社会に生かし、役立てていくという点では、観測データに基づいた予測というのは重要な1つのコンポーネントになってくるんだろうなと思っています。
実際、温暖化予測の分野でも、これまでは現時点での地球の状態というのは大体わかっていればいいという状態だったんですけれども、そうではなくて、きちんと観測データに基づいたところから出発して予測を行っていかなければならないという雰囲気になってきて、どんどん観測データとの連携の必要性というのは高まってきておりますので、データを活用した社会への貢献という点では、モデル開発の分野の研究者にも用意はあるということは留意していただければなと思います。
そういう意味では、モデル開発そのものをGEOSSの一環として取り上げるというのは文脈として難しいのかもしれませんけれども、中間的な技術、観測データと予測モデルを結ぶ技術としてデータ同化の技術というのは発展してきておりますし、これまでは気象・海洋の分野で専ら使われてきたものではありますけれども、炭素循環の分野でのモデル作成であるとか、データセット作成であるとか、予測なんかにもどんどん取り入れられるようになってきております。
この件については、観測の一分野として捉えられなくはない面もございます。特にデータ同化の技術に関しては、観測網のデザインというところにも実用的に使えるものがありますので、こういう点についてはGEOSSの一環として取り入れることを検討していただければなと思います。また、その際に協力する用意はモデルの開発の側にもあるということは念頭に置いていただければなと思います。
以上です。


【小池(勲)部会長】
ほかにいかがでしょうか。


【藤谷委員】
私も推進戦略をつくるときにかかわらせていただきました。この7、8年の動きを見ていますと、私も連携拠点業務を実施しておりますが、観測についてもそれなりにいろいろ連携も進んでいると思います。その中で、先ほど安岡先生が言われましたモニタリング観測が非常に重要です。それを支えているのが、現状では主に競争的資金です。実際、いろいろな予算要求理由をつけながら何とかファンディングをとって、それを続けているというのが現状だと思いますが、だんだんそれが難しくなってきて、いわゆる観測の基盤となるモニタリングのところをなかなか支えられなくなっている。観測の成果を強調しないと、なかなかファンディングを得られないような状況が最近、特に強くなっています。そのあたりのところを考慮しながら戦略を考えないと、基礎の部分がますます脆弱になります。そのあたりをケアするような話があれば良いと思います。


【小池(勲)部会長】
どうぞ。

【深澤委員】
僕も実はその戦略をつくるときに少し加わっていたんですけれども、それからだんだん話が変わってきて、この間、GCOSの評価もしてきたんですけれど、すごく不思議というか、困ったことは、先ほどから杉本先生もそういうお話をちょっとなさいましたけれども、課題解決型の課題というのは一体何なんだということなんですね。どこかの会社がもうかればいいのか、あるいは日本のGNPが上がればいいのか。そこがよくわからない。ですから、例えばGEOSSで、前の事務局長のアサッシュが東京のGEOSS-APをやったときに、find a winnerということをよく言ったんですけれど、誰がベネフィットを得るのか、それをきちんと定義して見つけろというような話をしていたんです。課題解決型の課題というのは何なのか。もう広く人類の幸福と言うんでしたら、多分何をやっても課題解決になる。それから、今度は我々が持っているビジョン、プロスペクトの問題で、どのくらいの範囲の広さとどのくらいの時空間を広げて見るかによって、課題というのはいろいろ変わってくる。今、藤谷さんがおっしゃったみたいに、ある意味でベーシックな観測、モニターというのは、言ってみれば水道管のようなもので、あるところに蛇口をつくることは、確かにソーシャルベネフィットであるし、課題解決にもなる。でも、そこに至るまでの水道管というのはインフラストラクチャーで、誰も知らない。でも、そこが腐ると水が出せません。つまり、いわゆるベーシックな部分の観測というのはかなり重要になってくる。それと同時にベーシックな観測そのものも、イノベーションがあってどんどん変わっていくわけです。僕は海の方の気候の観測をやっていますけど、同じ観測手法は10年と使われたことがないです。全部変わってきている。それは気象とはちょっと違う部分で、GCOS(のreview)をやっているときにも、大変な論争になったんですけれど、科学的なイノベーションが入らない限り観測手法の変化はない。ですから、実はモニターと言っても、かなりサイエンティフィックな努力の結果であると同時に、新たにサイエンティフィックなものを導き出す。
例えばアルゴというのは、科学的なものなのか、それともモニターなのかと言われたら、これはもともとの発想がモニターで科学をしようということなんですよ、あれは。ですから、(モニターと科学的観測という)2つは切れない。そこから、それと衛星とを絡め合わせると更にいろいろなことができるという話にもなるわけです。だから、課題解決と書くときにはかなり注意をしていただきたいような気がします。ただ、そちらの方向で行かなければいけないのは確かなことではあるんですね。
それから、ビッグデータというものの扱い方なんですけれど、ビッグデータという言葉は、この我々の業界では最近使い始めた。でも、ITの業界では昔から使われている言葉で、ビッグデータというのは、構造化されてないということが最大の特徴です。そうすると、ビッグデータを使うというのは、普通の手法では扱い切れないほどの多量かつ多様性に富んだデータをどのように構造化するのかということだと思うんですね。ですから、構造化に関する、いろいろな動きがあるわけですけれども、例えば日本で今やろうとしているのは何と言いましたっけ。DIASとか、そういうのは、やはり僕はデータをどう構造化するかというところが最終的に重要なことだと思っています。単に大量のデータを扱うというんじゃなくて、今あるデータをどのように構造化するのかという観点というのが多分必要なんでしょうね。
そして、構造化して何をするかということが大変大事なんですけれど、僕はもう年とってしまったから何とも言えませんけど、少なくとも我々が我々の人生を終わったときにもきちんしたものが次に残るかどうか。つまり、科学の成果はもちろん観測から出てくる結果と同時に、それをまた違う目でもう一度再構成すると、同じデータから次の世代が新しいことをできる。そういうような形できちんとデータフローとデータの構造化をしておくという観点から、次の地球観測推進の特にデータの扱いのところは書いていただけると有り難いと思います。
ちょっと取りとめなかったですけれども、よろしくお願いします。


【小池(勲)部会長】
ほかに。どうぞ。

【甲斐沼委員】
私も門外漢で、よくわかってないところがあって、半分質問みたいなことになるかもしれませんが、「Future Earthとは」という春日先生の4枚目のスライドのところで、WCRPとか、DIVERSITASとか、IGBPとか、IHDP、この四角の図はよく見かけるというか、何回か見かけていますが、これをされている例えばIHDPの人とIGBPの人というのは、研究の方向性とか、違っていると思うんです。そうではないのかもしれませんが、私の方では、IHDPの研究に近いのですが、IGBPの研究とは少し離れているように思います。
ただ、そこで政策論議をやっている人と、データを実際にモニタリングサイクルされている人とか、データに関する科学的なことをやっている方とは離れているんですけれども、これは1つに、1つの四角の中に入っていて、今回、それをまた、まとめてFuture Earthということで衣がえされるのか、これも残るのか、ちょっとその辺もよくわかっていません。ただ、今、現状でもちょっとかけ離れたところがある中で、それをどのように、どういう問題点が今まであって、Future Earthという方に持ってくるのか。あるいはここはうまくいったとか、その辺のことももう少し教えていただいて、新しくFuture Earthを立てるときには、じゃ、ここがうまくいかなかったところがあるので、こういうふうに見直しますというようなところを出していただければ有り難いなと思いました。
あと、私の方も、課題解決型の観測とかいう言葉、先ほど問題解決型の観測という言葉を出されたんですけど、問題解決型の観測という言葉自体もちょっとよくわからないところがあって、かなり先ほどの御意見にもありましたけれども、問題解決型というのをもう少し中身がどういうものか。例えば気候変動の方なんですけれども、それだと、対策をするときに、じゃ、2度目標をゴールとして、それにどういうふうな対策をしたからいいのか。あるいは大気中の濃度を450 ppmとか500 ppmに抑えるとかというようなところはどういう対策をしていったらいいのかというのと観測とどうつなげていくのかということも、1つ、もう少し具体的な例として考えられていくのかなとか、あと、適応と緩和策と両方含んだIHDPの方でやられているような研究と、ここで言う地球観測でどういうふうにつながっていくのかというのをもう少し明確に検討していただけたらと考えています。


【小池(勲)部会長】
実は昨年、平成25年度の我が国における地球観測実施方針というのを7月30日に決めているんですけど、この第1章は、課題解決型の地球観測ということになっていまして、昨年、課題解決型ということでまとめたんですね。結局、そのときの議論では、やはりこれは第4期の科学技術基本計画で地球観測・予測等をというのの、それを我が国が取り組むべき課題を明確に設定してやりなさいというのが書かれていて、それを受けて、昨年はこういう議論をして、いわゆる日本が非常に大事だと考える施策に対して、その施策の解決、それを課題と考えて、それを解決するための地球観測というとらえ方で議論をいたしました。
ですから、ただ、そこでも書いてありますけれど、結局、課題というのをかなり幅広くとっていて、先ほど言いました、やることによって新しいことがわかってくることもそれに含まれると。あとは、地球のいろんな環境変動の場合、非常にスパンが長いものが多いので、長期的なものをきちんとやらなきゃいけないというような議論をしております。ですので、課題とかというのはある程度そういう議論を経てやられていると考えています。
それと、あと、先ほど御質問にありました例えばIGBPとIHDPがどこまでうまくいっているかということですけど、私も中に入っていていろいろ見ていた感じでは、成功例は幾つかあったと。ただ、全部が成功例だったかどうかは、かなり疑問がある。やはりもともとの考え方がなかなか違う。もともと違うところがあって、分野によっては割合と話がつながりやすい。
私は1つ、IGBPの中の最後のLOICZという沿岸域の問題が入っていたんですけど、その場合、いわゆる漁業統計とか、漁業経済の専門家と、いわゆる水産学、それから、そっちの方の人たちというのはかなり話がうまく合って、必要な情報というのはそれでうまくつながっていたと思います。ですから、結構分野によって、うまくいった分野となかなか難しかった分野があったように思います。ただ、方向とすると、みんなもやはり出口を、ただデータをとる、あるいはサイエンティフィックな興味だけでやるんじゃなくて、出口をきちんとそちらに向けなきゃいけないという意識としては皆さん持っていられたと思います。
ほかにございますでしょうか。どうぞ。


【瀧澤委員】
ありがとうございます。先生方におっしゃっていただいたことは賛成することばかりで、うなずいていたんですけれども、ちょっと違う、全く別の視点で少し考えていることがあります。全く的外れでしたら、是非御指摘を頂きたいんですが、先ほど深澤先生のコメントにありましたけれども、一体誰の便益のためにやるのかというと、当然人類の未来のためにということが最大の目標であると私は思いますけれども、一方で、Future Earthのようなモニタリングをベースとした世界的な観測網がこれから発達していったときに、観測機器そのもの技術について興味があります。
先日、ある科学雑誌を読んでいて、面白いなと思いましたのは、あるアメリカの民間企業なんですけれども、海洋観測のデータのためのグライダーをつくって、その企業が観測する研究者を選定するプログラムをやっているというのです。民間企業主導で観測をするというような動きがあるようでございます。そういった動きがこれからどの程度広がりをもったものになるかというのはわかりませんけれども、私がそれを聞いたときに思い出しましたのは次のようなことです。先端医療機器の分野で、日本は非常に高い検査技術を持っているにもかかわらず、大学の先生方が使うものが押しなべて海外のものを使っているという現状があって、国内の企業が歯がゆい思いをしているという話がありまして、そういったことと考え合わせますと、地球観測に関しましても、世界的な観測の需要が高まる中で、民間の力を取り入れていくような動きを促進するために、こちら側から発信するということがあってもいいのかなと感じているところでございます。よろしくお願いいたします。


【小池(勲)部会長】
今のことに関しては、関係する方は結構いらっしゃるような気がしますけれども、こういう機器の開発、確かに分野によりますね。結構物理的な方は、大体自分

たちでみんな機器を開発されてやられている場合が多いような気がしますけれども、いかがですか。


【深澤委員】
物理の方でも、機器の開発は、最近は研究者が直接開発に携わるというよりも、要求を出したりすることはありますけれど、基本的には非常に小さい民間の会社を使うことが多いですね。


【小池(勲)部会長】
ほかに。どうぞ、では、渡邉さん。


【渡邉委員】
私ももう皆さんが御指摘になったところの繰り返しになるのですけれど、大きな流れはともかくとして、この見直しで忘れてはいけない視点を改めて振り返って幾つか申し述べたいと思います。
1つは、これも御指摘がありましたように、観測の対象によって、極めて地域性の強いものだとか、測定方法の個別的なものだとかあります。こういうものの取扱いは前期で議論しましたけど、そのケアというか、それをどういうふうに取りまとめていくかというのを常に忘れないようにしないといけないなと思っています。私が主に対象にしている農業関係のところでも、非常にローカルな観測方法だったりするし、今までのデータが随分蓄積されているのであるので、それをうまく生かして構造化するというようなスタイルで取り込んでいくことも一方で忘れてはいけないなと思います。
今ちょっと触れた継続性についても、この10年程度のタイムテーブルに載せた戦略の中ではとても大事だと思うのですけれども、長期にわたって、どう使われるかわからなくても、やっぱりこれは測らないといけないみたいなところをどのくらい見据えられるかも大事かなと思います。
前回に定めた戦略の農業関係のところに書いてあるものは、今後の10年の計画ところにも必ず載ってくるようなことが書いてあって、そういうのと今度の10年、特徴ある部分とどういうふうに整理するかの議論が当然必要かと思います。
それから、出口のところでは、この間さまざまな観測が進んで、課題解決の一つになりますけど、デイリーのオペレーションに随分寄与している部分があるので、これまでの観測でどういうふうに改善できたか、何が測られれば更に改善できるかという、果物という表現もありましたけれども、絵が必要なのだろうと感じました。そこら辺が皆さんの繰り返しになりましたけれども、忘れてはいけないポイントかなと思って述べさせていただきました。
それから、もう1つは、ちょっと違った視点の話です。出口の問題になるといろいろな目的の話だったり、国際的にナーバスな問題に触れざるを得ないところもあるかもしれませんけど、狭い意味のモニタリングに限って言えば、国際的に協調できるところは多いと思います。こういうことを継続的にやる、日本が主導的に担うことは、科学技術外交という言葉もありますが、モニタリング外交と呼べるような、世界協調の大事な基盤を形成するセカンドトラックに対して非常に重要な役割になるのではないか、次の10年間はとくに大事ではないかと思います。そこのところは少し強調してやってもいいのかなと感じております。
以上です。


【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。


【大垣部会長代理】
私自身が水の関連の社会の問題、技術開発というような問題解決型の分野をずっとやってきた立場から見ますと、実は問題解決型、あるいは課題解決型というのは、そこへの道筋を見せるということであって、地球観測の一部のデータによって直接どこかの健康状態がよくなるとか、どこかの水がないところが解決するというようなことはあり得ないわけで、そういう問題解決そのものをやっている側から見れば当然で、それで地球観測の重要性というのは十分認識されていますので、地球観測の方であまりにも「問題解決型」という言葉、あるいは社会問題・課題解決型という言葉に縛られる必要はないと思います。
ただ、重要なことは、例えば観測の時間的、あるいは空間的な解像度がどんどん技術的に上がってきているとか、そういうことによって、非常にミクロなところの場所の情報が得られるようになるとか、どんどん進歩しているわけですね。そういうものがどう社会のいろいろな問題に関係しているかというような、今までの8年間なら、8年間の技術開発、あるいは科学の進歩と、社会的なニーズとを合わせて、地球観測のサイエンスとニーズとの翻訳をするというか、シナリオづくりをするということが、この過去のレビューをやって、そこを今までの成果をどう見せるかというか、説明するかということが次の戦略の見直しのところに影響するんではないか、あるいは役立つんではないかというふうにちょっと感じていますので、感想ですけれども。


【小池(勲)部会長】
どうぞ。


【佃委員】
あまり整理されない方の話なので申し訳ないんですけれども、戦略的な重点化という項目の中で3つほど挙げられて、国民の安心・安全の確保、2番目に、経済社会の発展、国民生活の質の向上、3つ目に、国際社会への貢献という重点化するための観点ということが方針に挙げられてわけですけれども、1番目の国民の安全・安心というと誰が使うかというと、国が使う。ガバメントのデシジョンメーキングに役立つというところがあって、それについては一定程度、私の関係している地震なんかだといろんな観測をして、気象庁の最終的な震度の情報に変えたりとかして、どういう被害が出るというところまで最終的に対策に持っていくと理解している。何度か大きな地震被害を繰り返してきたんで、地震観測というそのものの重要性と、国がこれをやるということをもう決定してやっている。そういう1つの流れ、メカニズムがあると思うんですね。
それと比較すると、いわゆる環境問題で、じゃ、国がデシジョンメーキングするときに、こういう観測はもう国としてずっとやっていくんですと。それは、その観測情報を得て、こういう指標に変えて、その指標に基づくとこんなことがこうなっているから、これをこういうふうに対策に生かすんですというストーリーにどういうふうに結びつけていくかというのが重要だと思います。
そのときに当然、グローバルな視点というのに当然なるので、そのときの国際標準、そこでいかに日本がイニシアチブをとれるかみたいなところもかなり重要になってくるので、どこかで国として、これは観測を継続していきますという、そのときに、先ほどの繰り返しで、どういうことに役立つというのが多少ないと、それはこういう指標にかえて、こういうふうにデシジョンメーカーが見れば判断できる材料になりますというような流れを具体的に見せていく作業というのは今後、やはりまだまだ続けていく必要があるんではないかなと。ちょっと抽象的で申し訳ございません。
2番目の経済社会の発展とか、国民生活という意味と、先ほど言った利用促進ということとビッグデータの話と絡めて言いますと、今、国ではいろいろなオープンデータ、オープンガバメントというんですか、データをどんどんオープンにしていきましょうと、各省庁もそういうデータをオープン化する。オープンの中身は、一次的に得たデータというのは当然そのために利用されている。いろんな白書で統計データが出てくる、いろんなものが出てくる。それは目的を達成。それを2次利用させるということがオープンデータで、それになってくると、それは利用者が決めるのであって、あるいは民間の人がこの水のデータとこの植生のデータを組み合わせて作況予測を自分たちはビジネスとして、できるような環境をつくってやるということで、そのときに今度、利用者とどういうデータを用意すれば、どういうフォーマット、どういうつくり方をすれば利用してもらえるのかというと、コミュニケーションというか、マッチング、そのところをちょっと頑張ってやらないと、データをここへ貯めていますので、御自由にどうぞと言っても、なかなか利用促進はされないので、ある程度データの統合化の部分で共通、国際標準化というのがそこで重要になってくると思いますけれども、そういったところとの努力もまだまだ必要なのでその辺も、今後にとってそういうところもちょっとやるべきことではないかなと思います。当然のように、そのときに日本がイニシアチブをとって国際貢献していくというのも、国として継続的にやるという考え方を明確にすることも必要じゃないかと思います。
以上でございます。


【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。今のことで最後に、ちょっと小池俊雄委員の方から、DIASでかなりそれを目指していると思いますけれども、ちょっとコメントをいただけますか。


【小池(俊)委員】
この部会のイニシアチブとして、昨年の5月30日に、この部会の、我が国の観測の実施方針に、実施計画に登録されている155の地球観測データのまずはメタデータを皆さんが見られるようにして、そして、検索できるようにしようと。そして、その先には、ユーザーがデータにアクセスできるようにしようということで、小池勲夫、前ですけれども、部会長のリーダーシップのもとに、文部科学省と私どもが進めているDIASで各事業、プロジェクト主体の方々にお集まりいただきまして、アクションを起こしました。
大きく3つのグループがありまして、1つは、データはとっているけれども、メタデータとか、あるいは公開もまだしてないというグループ、それから、データは非常に大規模なデータがあって、アーカイブもしているんだけども、メタデータとかいうものはつくっていないというグループ。それから、データをアーカイブし、メタデータもつくって、公開できる用意があるということのグループと、3つの大きなグループがございました。
一番最後が一番やりやすくて、特にJAMSTECは非常にきちっとつくっておられて、この最後のグループは全部で37事業主体があった、プロジェクトがあったんですが、その30がDIASで検索できるようにもうなっております。
それから、最初のグループですね。データはあるんだけど、公開も登録もまだしてないというグループは、私どもDIASでつくりましたメタデータ登録システムを使って登録してくださいとやって、今3割が登録が済んだところです。是非残りもということで、文部科学省と私ども共同でデータを出しまして進めているというところで、まだ途上です。
最後の、大容量のデータがあるんですが、その情報がまだ使えるようになっていないというところが、これは結構国の機関が多いんです。JAXAは今、私どもと一緒になって、それを何とか読めるようにしようという形でコーディネーションを始めていますが、幾つかの国の機関の場合はなかなか動きにくい部分もあって、これを何とか、そういうデータが読めるようにする。読めるというのは、まずはどんなデータがあるのがわかるようにする。先ほどコミュニケーションをちゃんとできないといけないというのが佃先生の方からございましたが、そういう機能を是非、それは47プロジェクトがあるんですけれども、これが国立極地研とJAXA以外はまだなかなか手がついていないというような状況でございますので、是非御協力を頂きながら進めていきたいと思います。

【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。今日は、最初ですので全般的な、委員がお持ちの御意見を頂きましたけれども、あと、3回、予定されております。6月までに、今頂いた意見をまとめて、あと、それに見出しのようなものをつけていただいて、ある程度どういう形でCSTPに報告を上げるかという骨格のようなものは事務局につくっていただきたいと考えています。6月のときに、それをもとに議論をしていただきたいと思います。
ありがとうございました。それでは、もう1つ、議題がありますけれども、推進戦略に基づいて毎年、我が国における地球観測の実施方針をこの部会で選定して、議論して決めておりますけれども、その取扱いについて、事務局の方から説明をお願いいたします。


【清浦推進官】
こちらに関しましては、特に資料の方は御用意しておりませんけれども、推進戦略におきましては、観測部会におきまして、我が国の地球観測の推進、観測体制の整備、国際的な貢献等を内容とする実施方針を毎年、策定することとなっております。もちろんこの推進戦略の見直しによって、来年度以降の取扱いについては変わる可能性もあるのではないかなと思ってございます。
ただし、本年度作成する予定の平成26年度の実施方針につきましては、現時点で推進戦略が策定されていないということですので、例年どおり策定することとしたいと考えております。
以上です。

【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。今の御発言のように、平成26年度の方針については、平成25年度の方針を基本的には事務局が修正することを基本として、次回の部会で事務局から案を提示するということにしたいということですけれども、いかがですか。これは毎年毎年、この部会で7月の末までに決めてやらなければいけないタスクですけれども、今、方針そのものの見直しの議論が始まろうとしておりますので、暫定的に昨年のものを必要なところを改定して進めるという形にしたいということですけれども、そういう形でよろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、最後になりますけれども、本期の地球観測部会での審議事項について、もし何かほかに御意見等がございましたら、まだちょっと時間がございますので、必要なら御発言をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。

議題(8)その他

【小池(勲)部会長】
それでは、事務局から、ほかに何かございますでしょうか。

【清浦推進官】
まずは、先ほど少し御紹介、議論の中でありましたが、Future Earthに関する作業部会というのが今、並行的にちょっと立ち上がって、そこでの議論も進んでおる状況でございます。そういう状況ですので、この地球観測推進部会の方での議論については、Future Earthの作業部会の方にもちろんフィードバックすることといたしまして、作業部会の方の議論についても、こちらの方に適宜フィードバックさせていただくということで情報の共有をさせていただいていただきたいと考えております。
本日の議事録は後日、事務局よりメールで委員の皆様にお送りさせていただきます。修正等あれば、御指摘いただきたいと思います。最終的には、文部科学省のウェブページに掲載することで公表させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
今後の予定につきましては、机上の配付資料でもお配りしておりますけれども、次回につきましては、6月17日、13時からを予定しております。1週間前ほどにメールで開催の御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
以上です。


【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。
それでは、ほかになければ、これで地球観測部会の第1回の会合を終了したいと思います。本日はどうもありがとうございました。

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(研究開発局環境エネルギー課)