第3期地球観測推進部会(第1回) 議事録

1.日時

平成21年3月27日(金曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. 部会長の選任及び部会長代理の指名について
  2. 地球観測推進部会の議事運営について
  3. 作業部会の設置について
  4. 「平成21年度の我が国における地球観測の実施計画」について
  5. 今後の進め方について
  6. 地球温暖化分野に係る地球観測連携拠点からの報告
  7. その他

4.出席者

委員

小池(勲)部会長、大垣部会長代理、井上委員、小池(俊)委員、杉本委員、高薮委員、瀧澤委員、中静委員、藤谷委員、堀川委員、本蔵委員、和気委員、渡邉委員

文部科学省

田中大臣官房審議官、谷地球・環境科学技術推進室長、北野地球・環境科学技術推進室室長補佐、石川地球・環境科学技術推進室専門職

オブザーバー

原沢内閣府参事官

5.議事録

本回の議事は、部会長の選任、部会長代理の指名があったため、開会から議題2内の地球観測推進部会運営規則の決定までは非公開。

【議題1「部会長の選任及び部会長代理の指名について」】
 科学技術・学術審議会令第条六第3項の規定に基づき、委員の互選により、小池(勲)委員が部会長に選任され、また同第六条第5項の規定に基づき、大垣委員が部会長代理に指名された。

【議題2「研究計画・評価分科会の議事運営等について」】
 当部会の運営規則(案)(資料2)について事務局より説明がなされた。特段の意見等は無く、本案をもって運営規則が決定された。

 以降、運営規則第3条の規定に基づき公開。

 【小池(勲)部会長】
 それでは、これから会議を公開にしたいと思いますので、一般傍聴者の入場を許可したいと思います。はじめに、第3期地球観測推進部会の発足に当たりまして、田中大臣官房審議官から一言ごあいさつをお願いいたします。

【田中大臣官房審議官】
 第3期の地球観測推進部会の発足に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。皆様には地球観測推進部会の委員をお引き受けいただきまして、また本日お忙しい中ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。本地球観測推進部会では、平成16年に総合科学技術会議で策定されました、地球観測の推進戦略に基づきまして、我が国の毎年度の地球観測の実施方針を取りまとめていただくとともに、国際的に検討が進められております、全球地球観測システム、GEOSSでの我が国の貢献などについて、精力的に審議を行ってきていただいております。
 近年、地球温暖化、水資源不足、大規模自然災害の頻発といった地球規模問題に対して国際社会の注目が非常に集まっております。そういった中で、地球環境の変動を広範囲にわたって継続的に把握するための観測システムへの期待がますます高まってきていると考えております。特に、昨年のG8北海道洞爺湖サミットでは、首脳文書においてG8各国は、特に気候変動、水の分野においてGEOSSの取り組みを加速させていくということが盛り込まれてございます。これら、国際的な状況を踏まえまして、引き続き、本地球観測推進部会におきましては、地球規模課題の解決のために、我が国の地球観測の方針をご検討いただきたいと考えております。
 第1に地球規模課題への対応のために、我が国が特に重点的に行うべき観測として何が求められているのか、第2にその観測を行うために、どのようなあり方が最も適正なのかということに重点を置いて、ご検討いただきたいと考えております。また、来年後半には、第5回地球観測サミットの開催が予定されております。それに向けまして、観測データの共有のあり方、GEOSS戦略目標などの検討が既に活発に行われておりますけれども、これらの検討に、我が国がどのように貢献していくべきかということも、あわせてご検討いただきたいと考えております。
 委員の皆様方の忌憚のないご議論を期待いたしまして、私のあいさつとさせていただきます。どうも、ありがとうございました。

【小池(勲)部会長】
 どうも、ありがとうございました。それでは、引き続き議事を進めさせていただきたいと思います。本部会の審議事項の概要について、事務局のほうからご説明をお願いいたします。

【谷室長】
 それでは、資料3をごらんいただければと思います。「地球観測推進部会の概要」でございます。前期から引き続いてご就任いただいております先生方には、ちょっと重複になりますけれども、改めてご紹介をさせていただきます。
 平成16年に、総合科学技術会議(CSTP)のほうでまとめられました「地球観測の推進戦略」というものがございます。この「推進戦略」を踏まえまして、関係府省庁・関係機関の連携・調整を図りつつ、地球観測の推進に関する重要事項を調査審議するということが、地球観測推進部会の目的でございます。平成17年2月に科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会のもとに地球観測推進部会として設置をされてございます。
 調査審議事項は大きく3点ございます。1点目は「我が国における地球観測の実施方針」の策定でございます。これは地球観測の推進、また地球観測体制の整備、あるいは国際的な貢献策等を内容といたします具体的な実施方針を毎年策定いたします。関係府省庁におきましては、概算要求を行うわけでございますけれども、これと整合を持たせた形で、最終的に7月を目途に策定をするということでございます。
 それから、2点目は「我が国における地球観測の実施計画」の取りまとめということでございます。関係府省庁・機関は、1点目の実施方針及び推進戦略を念頭に、それぞれ実施計画を立案し、実際の事業を実施していくということになります。この各府省庁、関係機関における実施計画を束ねて、毎年度末、予算案も踏まえた形でトータルの実施計画の取りまとめをいたします。21年度の実施計画は、本日、後ほどご報告をさせていただくこととしております。
 それから、3点目は、地球観測等事業の進捗状況調査。これは関係府省庁・機関において行われます実施計画に基づく事業の実施状況を事務局のほうで取りまとめ、総合科学技術会議にご報告いたします。既に20年度分につきましては、総合科学技術会議のほうに事務的に報告をさせていただいておるところでございます。総合科学技術会議におきましては、これに対する総合的な評価を実施いたしまして、実施方針に必要なフィードバックを行うということにしております。
 以上が観測部会の概要でございますが、参考に1枚おめくりいただきまして、次のページには、これまでの開催実績を参考までにご紹介をさせていただいております。19年度の実施計画の取りまとめを19年3月に、20年度の実施方針の策定を19年8月夏に、実施計画を20年2月に取りまとめております。21年度の実施方針につきましては、昨年8月の時点で策定をいただいておりまして、今回ご報告をさせていただきます実施計画は、この実施方針に基づいてつくったものでございます。
 それから、地球観測推進部会のもとに2つ作業部会が設置されてきました。全球地球観測システム作業部会と、地球観測に係る国家基幹技術検討作業部会でございます。本作業部会につきましては、後ほど改めてご議論をいただきますけれども、引き続き設置をして、精力的にご議論いただきたいということで、お願いをしたいと思っております。参考になっております「地球観測の推進戦略」、それから全体の「地球観測の推進体制」をおつけしております。以上でございます。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございました。何か、今の事務局のご説明に対して、質問がございますでしょうか。特に今期から新しく委員になられた方、どういうことをやるのかということをご理解いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、また質問があれば後でお受けすることにしまして、議題3に進ませていただきます。議題3は、作業部会の設置です。今、谷室長のほうからご説明がありましたけれども、2つの作業部会が前期に置かれておりました。これを今期も引き続き設置したいと考えておりますので、事務局のほうから、説明をお願いいたします。

【谷室長】
 ありがとうございます。資料4-1、それから4-2を中心にごらんいただければと思っております。
 作業部会につきましては、先ほどお決めいただきました運営規則の第2条に作業部会の設置について記載されており、この第2条を根拠に設置をするというものでございます。
 先ほど申し上げましたとおり、既に第2期に設置をされていたものです。まず資料4-1の全球地球観測システム作業部会のほうでございます。これは、例えば昨年のG8北海道洞爺湖サミットにおいて、GEOSSの取り組みの加速といったようなことが言及をされているところで、地球観測の重要性に関する国際的な認識が高まっているといった背景で設置をされたところでございます。
 調査事項は、2に書いておりますけれども、GEOSS10年実施計画の推進に係る我が国全体の取り組み方策。GEOSSに対して、どういうふうに戦略的に取り組んでいくかということが中心の調査事項でございます。また、我が国が関連して推進しておりますGEOSSのタスクの進捗についても、その状況の把握、それからGEO関係各会合が開催されます前には対応方針というものを定めていくというようなことで、引き続き設置をお願いしたいと思っております。
 それから、資料4-2は地球観測に係る国家基幹技術検討作業部会。設置の趣旨の第2のパラグラフのところにございますが、第3期の科学技術基本計画で示された、国家基幹技術「海洋地球観測探査システム」というものがございます。このシステムにつきまして、システム全体の推進体制、それから管理体制に対する有効性や、効率性といったところの評価を行うために設置をしておるものでございます。
 いずれの作業部会につきましても、設置の期間は本観測部会の設置の期間でございます平成23年1月31日までということでお願いをしたいと思っております。
 雑駁でございますが、以上でございます。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございました。2つの作業部会の設置についてのご説明でしたけれども、何かご質問、コメントはございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、この作業部会の設置を承認していただけたといたします。ありがとうございました。
 それで、作業部会のメンバーに関しては、部会長が指名という形でこれは決めさせていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 それでは、議題4ですけれども、「平成21年度の我が国における地球観測の実施計画」についてでございます。これも、事務局のほうから、説明をお願いいたします。

【石川専門職】
 それでは、説明いたします。先ほどの部会の概要説明のところにもございましたが、本部会においては毎年、地球観測のあり方を示す実施方針を策定し、関係府省庁・機関はそれに従って地球観測事業を推進するという枠組になっております。関係府省がどのような地球観測事業を行っているかというものを取りまとめたのが、地球観測の実施計画でございます。今回、平成21年度に関係府省庁が行います地球観測事業について取りまとめましたので、ご報告いたします。
 まず、資料5-1のカラーの1枚紙を用いまして、全体構成について説明いたしたいと思います。まず左上の四角ですけれども、これは昨年の8月に策定いたしました「平成21年度の我が国における地球観測の実施方針」の章立てになっております。平成21年度の実施方針においては、平成19年のIPCCのノーベル平和賞受賞や、昨年のG8北海道洞爺湖サミットにおいて、環境・気候変動が主要議題になったことなどを受けまして、気候変動問題を、第1章に「気候変動とその影響を監視・予測するための観測体制の在り方」として、特出しする形で、気候変動に焦点を当てた構成になっております。
 第2章のほうでは、「地球観測の推進戦略」に基づく地球観測等事業の推進ということで、「利用ニーズ主導の統合された地球観測システムの構築」、「国際的な地球観測システムの統合化における我が国の独自性の確保とリーダーシップの発揮」、「科学技術外交の強化による地球観測体制の確立」といったことに対して、平成21年度の地球観測の在り方をまとめております。
 これらの方針を受けまして、関係府省庁が平成21年度に行う事業について、右側の黄色い四角ですけれども、実施計画の第1部として、「地球観測の実施方針に基づく地球観測等事業の推進」といして、それぞれ実施方針に該当する取り組みをまとめております。さらに左下の青い四角の部分が地球観測の推進戦略ですけれども、この推進戦略では、平成16年の時点で、今後10年間を見通した取り組むべき地球観測の課題を、各分野についてまとめており、地球温暖化から地球科学まで、15分野にわたる推進戦略をまとめております。さらに、ニーズにこたえる戦略的な重点化として、5つの重点分野が挙げられております。
 これらの推進戦略に基づく事業につきましては、実施計画の中では第2部の「各分野における地球観測等事業の推進」ということでまとめさせていただきました。実施計画の本体のほうは、資料5-2としてお配りしております。全部で34ページにわたる非常に大部なものですので、個別に1つ1つの説明はいたしませんけれども、ざっと中身を見ていただきますと、まず第1部の第1章として、「気候変動とその影響を監視・予測するための観測」ということで、昨年の実施方針におきまして、重点課題とされております気候変動の観測についてまとめてございます。
 ページをおめくりいただきまして、3ページ以降に第4節「気候変動への対応として求められる具体的な取り組み」として、例えば「温室効果ガスの現状や循環の把握」、「エアロゾルと雲に関する観測」に関する、各府省庁のさまざまな取り組みをまとめています。例えば本年1月に打ち上げられた温室効果ガス観測衛星「いぶき」(GOSAT)による温室効果ガスの観測があります。そうしたことをはじめとした、さまざまな観測を、関係府省庁において進めてございます。
 7ページからは、第2章の「地球観測の基本戦略に基づく地球観測等事業の推進」ということでまとめてございます。関係府省庁・機関の連携を推進するための拠点といたしまして、連携拠点を設置すべしということがもともとの地球観測の推進戦略にうたわれてございますけれども、7ページの下「連携拠点の運営」のところで、現在設置されております地球温暖化分野と地震・火山分野の連携拠点の取組をまとめております。地球温暖化分野の連携拠点につきましては、この後、議題6といたしまして、藤谷委員のほうから、最近の活動状況についてご報告いただくことになっております。
 地震・火山分野につきましては、文部科学省が事務局を務めている地震調査研究推進本部が、地震・火山分野の連携を進めていく拠点として位置づけられてございます。15ページの下のところに書いてございますけれども、この地震調査研究推進本部では、平成21年度からの10年計画といたしまして「新たな地震調査研究の推進について」という、新たな研究計画を策定し、平成21年度以降はこの新しい計画に従って、地震・火山分野の地球観測を推進していくということになっております。地震・火山分野につきましては、今後、本部会におきましても、機会を設けまして、本藏委員にご協力いただいて、状況についてご報告いただきたいと考えております。
 17ページ以降には、地球観測の推進戦略で取り上げられております15の分野それぞれにつきまして、各府省の取り組みについてまとめております。それぞれの個別分野につきまして、冒頭に「平成21年度から以下の取り組みを新たに開始する」という形で、例えば17ページの第1節の地球温暖化のところでは農林水産省の取り組みが書いてございますけれども、新たに始まる取り組みを冒頭に明示する形で書いております。以下は、「各府省庁において引き続き以下の取組を推進する」ということで、継続課題についてまとめてございます。
 非常に雑駁でございますけれども、以上でございます。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございました。かなり濃縮された資料で、それぞれの説明が1行しか書いていないので、表題を見ていただいて、どういうことをやることになっているかということをご理解いただきたいと思いますが、何か質問はございますか。

【井上委員】
 実施方針と実施計画は総合科学技術会議の評価を踏まえて反映させるような格好で進めるというふうになっていると思うんですけれども、いつの時点の評価をいつの時点に反映するのか。21年度の場合にはどういう評価を踏まえてこういうふうになったとか、あるいは22年度についてはどういうプロセスを組むのか、そのあたりをご説明願えますか。

【谷室長】
 次の議題を若干先取りする感じがございますけれども、資料6の2枚目の横の紙になりますが、策定スケジュールをごらんいただければと思います。ご説明させていただきますと、中ほどのオレンジのカラムが地球観測推進部会、当部会のほうでご議論をいただく部分でございます。右側が関係府省、関係機関の動き、左側が総合科学技術会議の部分になります。
 まず平成20年度につきましては、既に事務的に総合科学技術会議のほうへインプットさせていただいており、このフォローアップの結果がまとまりますと、推進部会のほうにインプットされます。このフォローアップの結果、例えばこういう分野の取り組みが弱い、あるいはこういったところが抜けているのではないか、こういったところをもっと加速するべきであるといったような話が出てまいりましたら、それを実施方針の中に盛り込んでいくという形でまとめていただくという形で考えてございます。
 それから、実施方針につきましては、策定後、総合科学技術会議のほうへインプットいたします。総合科学技術会議のほうで例えばS、A、B、Cといったような資源配分方針が出てまいりますけれども、そういった中に反映されるということが期待されるということでございます。こうした形で実施方針、実施計画のそれぞれのインプットまたフィードバックというものがなされるということで考えてございます。

【小池(勲)部会長】
 井上委員、よろしいですか。

【井上委員】
 わかりました。

【小池(勲)部会長】
 1年前の結果がこれにどういうふうに反映されているかというご質問でしたね。

【井上委員】
 そうですね。20年のものを反映したのが今の説明になっているわけですね。

【北野室長補佐】
 今回、21年度の実施方針の策定をしておりまして、今までのやりかたでは、平成21年度の実施方針を作成する場合には、20年度のフォローアップをして21年度の実施方針をつくるということをしておりましたが、これですと20年度の実施計画のフォローアップを行うのが平成20年7月ということになってしまいまして、実施計画を始めてから3カ月しかたっていないという状況でございました。今回の21年度の実施方針を作成するに当たりましては、その前の19年度の評価を踏まえて21年度の実施方針を作成するというプロセスをとらせていただきまして、20年度の実施計画ですので、まだフォローアップはしていないという状況になっております。したがって、先ほど室長のほうから説明をさせていただきましたが、今回22年度の実施方針に当たって、20年度のフォローアップを反映させていくということになっております。

【井上委員】
 わかりました。

【小池(勲)部会長】
 よろしいですか。サイクルが今まではずれていて、かなりタイトなことをやっていたんですけれども、昨年、それを調整しました。今は、きちんと1年経った結果が出て、それを見て次に反映させるという方法でやっているとご理解いただきたいと思います。
 原沢参事官、これに関して何かコメントはございますか。

【原沢内閣府参事官】
 先ほど谷室長のほうから話がありましたように、取りまとめの結果を総合科学技術会議のほうでお受けしまして、今、フォローアップを検討中であります。5月から6月に環境PTを開催いたしまして、そちらでフォローアップの最終的な決定をして、それをまたこちらの部会のほうにお返しするという手続を踏む予定であります。

【小池(勲)部会長】
 よろしいでしょうか。ほかに何かご質問、コメントはございますか。
 この中の第2章の第3節に「科学技術外交の強化による・・・」という項目がございます。また第2節は「国際的な地球観測システムの統合化・・・」という項目がございますが、各省庁がどこに項目を配置するかというのは、各省庁からここに入れてくださいというので来るんですか。それとも事務局のほうでふさわしいところに入れていくという形をとられているんですか。

【石川専門職】
 基本的には、「平成21年度の我が国における地球観測の実施方針」における、それぞれの節、それぞれの文章について、各省庁がこの記述に該当する取り組みはこれであるという形で提出したものをまとめております。

【小池(勲)部会長】
 これを見ていただきますと、重点化しているところと15に分けられるところがあって、再掲の形でかなり重複して出てきていますよね。ですから、もともとの推進戦略のつくり方そのものが、かなり重複した形になってしまっているので、こういうことになってしまうんですけれども。なかなか読みにくいところがあるので大変だとは思います。
 ほかに何かございますでしょうか。どうぞ。

【小池(俊)委員】
 サイクルがうまく回り始めるということで大変結構なことだと思います。気候変動とその影響を監視・予測というものに重点を当てて第1章をまとめ、ほかのものを区分けしたという昨年度の方針はメリハリがあって非常によかったと思います。その上で、2点指摘をさせて頂きたいと思います。1点目は、それぞれの活動がどういうふうにシェアされているかということです。温暖化につきましては、連携拠点が全部把握して、シンポジウム等もやられているとしたら結構だと思うんですが、連携拠点がないところでは今後どうしていくかということを含めて、国内でこういうものを相互にシェアしながら、広く連携をどのように進めるかです。この作業もこの部会の1つの重要な施策であると思います。2点目は、それぞれ非常にすばらしいことをやっていて、この部会のもう1つの役割であるGEOSSへの貢献の部分において、これを国際的にどう発信していくかという部分をぜひ議論する必要があるなと思いました。

【小池(勲)部会長】
 それに関しては、どうしましょうか。次の議題で議論しますか。それとも、今、何か直接これに関してコメントがございましたらお願いします。今言われた点は、国内的に個別の省庁の実施計画が書いてありますけれども、それがどこまで連携されて、お互いにつながっているのかということが1つですね。それと、温暖化に関しては連携拠点ができておりますので、そこが中心になって取りまとめるということがありますけれども、それ以外のところはまだない……、災害はありますか。

【本藏委員】
 地震・火山については次回ぐらいにご説明したいなと思っているんですけれども、各省庁がやっているものについては、全体像は把握できておりまして、個別のプロジェクトについても連携が図れるように、いろいろなところから委員が入っているという形で、関連機関にすべて情報が伝わるような形をとっています。そのあたりについては、次回詳しくご説明いたします。

【小池(勲)部会長】
 温暖化と地震・火山に関しては割合しっかりした組織がございますので、そこを中心に情報の収集と連携が図られているということですけれども、ほかにもたくさんの観測の分野がありますので、なかなかそれに関してはまだ国内のほうは進んでいないというのが1つ。あとはGEOSSに対して、これを国際的にどうやって外に見える形にして、いくかの努力があると思うんですけれども、それは温暖化のほうでそういう取り組みをやられているんでしたら、何かございます? GEOSSに関して国際的にどうやって見えていくかということですけれども、それに関して何かコメントはございますか。

【藤谷委員】
 特には。

【小池(勲)部会長】
 特にないですか。ほかに何かございますでしょうか。
 これは大分前から言われていることですけれども、ここに書いてあるいろいろな観測事業等が、なかなかすべては網羅できていないんです。それで、例えば大学でやっていることがかなり漏れてしまっていて、これは多分大学でやっているんだと思うんですけれども、例えば3ページにODAを使った文部科学省と外務省というのは、今、JICAとJSTのプロジェクトが走っていて、それはここに入ってきているんですね。この東京大学と書いてあるのは、これは沖教授のやられているプロジェクトですか。

【石川専門職】
 そうです。この実施計画自体は、基本的には政府の取り組みとしてまとめてございます。3ページに書かれております東京大学というのは、文部科学省と外務省の共同で始まった新しいプロジェクト(事務局注:地球規模課題対応国際科学技術協力事業)において採択された課題として、政府事業の委託研究という位置づけで書いております。例えば2ページの「データ統合・解析システム」でも東京大学と書いてございますけれども、これも文部科学省の委託研究という形で、ここに書かせていただいております。一方で、それぞれの大学ではそういった政府事業としての委託研究ではなく、それぞれ運営費交付金や科研費等で独自に研究をやっているものもございますけれども、そこまではすべて把握し切れていないというのが現状でございます。

【小池(勲)部会長】
 どうぞ。

【井上委員】
 今のお話なんですけれども、温暖化の連携拠点では、実際に大学も含めて調査されていますよね。集まってきたものを見ると、大学によって非常に濃淡があって、非常に詳しく報告があるところもあれば、さらっと義務的に果たしたというところもあって、それはおそらくここに報告してどんなメリットがあるんだという考え方もあって、そのあたりの全体像が見えない状態で問い合わせがあったからということで、担当者の判断で濃淡がすごくついた状態で報告されているという話ではないかと思うんです。
 おそらくほんとうに我が国のこういう地球観測をうまく進めていくには、大学が持っているポテンシャルとか、そういうものを十分に生かさなければできないと思いますので、その点ではもう少し工夫が必要なのではないかと思っています。

【小池(勲)部会長】
 よろしいですか。

【藤谷委員】
 連携拠点としては、特に大学を中心に情報を集めているというのはございません。ワーキンググループの報告書を出させていただきましたけれども、いろいろな先生方に書いていただいて、それで観測関係の情報をインプットしていただくという形をとっております。全体的なサーベイは我々のところではできないというか、やっておりません。あくまでもワーキンググループを通じて報告を出していただくという形になっております。

【井上委員】
 文科省は集めていらっしゃるんですか。

【小池(勲)部会長】
 昨年、文科省が各大学でのサーベイをやられましたよね。それで、かなり厚いデータベースというか、あれは何でしたっけ。(事務局注:地球環境科学技術委員会第7回資料)

【北野室長補佐】
 あれは観測というよりは、各大学で行っています地球環境科学技術で、緩和策であるとか適応策も含めて調査しておりまして、どういう観測をしているかというのは、ちょっと網羅的に集めたものではございません。ですので、各大学の取り組みでどういう観測をやっているかというのは、我々のほうでも把握はできていないというところでございます。

【本藏委員】
 ちょっとよろしいですか。

【小池(勲)部会長】
 どうぞ。

【本藏委員】
 個別の大学の研究をどういうふうに把握していくのかということは、そんな簡単なことではないと思います。我々は地震・火山・津波等を対応しておりますけれども、そちらのほうは比較的うまくいっているんです。というのは、1つ組織がありまして、科学技術・学術審議会の中に地震と火山については測地学分科会というものがあって、集中的に議論しているんです。今回は、その中の議論で地震と火山はもう分けるのは適切でないというので、合体するという作業もやっているわけです。その中で、年次的に部会が始動して、全体の取りまとめをやっております。具体的には大学関係は東京大学地震研究所が中心になってやっております。
 その中で、運営費交付金として出ているものがあるんです。地震・火山に関する研究、そういうものはすべて把握しておりますし、そこに参加する人たちは、研究レベルで運営費交付金と科研費を区別するのはあまり意味がないので、実質的に科研費レベルも、そういうものも含まれる形で地震研究所の中にある組織で全部把握して、年に一度大々的にシンポジウムをやっているわけです。ですから、そういう形で整理はできるんですが、そういう組織がないと、やはり今言われたように、例えば科研費レベルまでおりていくというのは非常に難しいかなという印象があります。
 私たちの地震・火山・津波にしても、地球観測に関係するところの仕分けは必要だなと思っていて、そういう作業をいずれやらなければいけないなと思うんですけれども、それぞれ目的があっていろいろやっていますので、すべてを網羅することが適当かどうかはちょっと検討が必要かなと思います。

【小池(勲)部会長】
 谷室長。

【谷室長】
 各大学での独自の取り組み、あるいは科研費でやっておられるような研究についてどう考えるかということについては、課題であるということは認識しております。先ほど井上委員からもお話がありましたけれども、集めようとしても十分に集まらないのは、それを出したところでどういう役に立つのかというか、これがどう生かされるのかというのがよくわからないということがあると思います。もし集めるとすると、当然何らかの目的を持って、これはこういうふうに使いますというのがはっきりあって、したがって出してください、こういう形で出してくださいという流れになるかと思いますが、そういう意味では、まず網羅的に調べることにどのくらいの意味があるかということについて十分整理がされていない。
 逆に、厳しい財政状況の中で、よりフォーカスして重点化していく必要がある。やはり優先順位ということを念頭に置いて取り組んでいく必要があるという問題意識も他方でございまして、そういう意味からいくと、全体像を確認するということは重要であります。けれども、網羅的に調べるということに対してある種のコストがかかるわけでして、またそれぞれの研究の現場にも負担をかけることになりますので、そのコストとの兼ね合いで考えると、そこまでまだ至っていないというのが現状であります。
 先ほど部会長から地球環境科学技術について大学への調査をしたという話がございましたけれども、これもまさに濃淡が非常にございました。各大学からお出しいただいて、例えば東京大学なんかは相当な数の研究をやられておりますので、それを全部集めると、それだけでも分厚い資料になるということで、実際には、体制や概要などの簡潔なものを中心に出していただいておりました。大学によっては、各研究者の方からまとめて出していただいたものもあって、全体を束ねて確かに1冊になっているんですが、これはこれで我々は分析を事務的にやっておりますけれども、そこから何が言えるかというのは、なかなか難しいと思っております。そういう現状認識であります。
 もう1つ、私が常に思っていますのは、連携であるとか統合であるといったのは、地球環境の世界では非常に重要なキーワードであると思っております。観測の取り組み自身は非常に幅広くされております。各大学で戦略的な国のプロジェクトとしての委託費が出てなされているものもありますし、大学の運営費交付金の中でやられているようなものもございます。そういう意味では、ボトムアップ、トップダウンの取り組みというのは非常に幅広くされております。
 こういったものをどういうふうに方向性を出していくかということについては、例えばデータを共有していく、あるいはネットワークをどんどんつくっていくという方向が1つの目指すべき方向なのかなと思っております。そういった意味では、全体を調べるという方向にいくというよりは、どういった形で連携をしていくか。効率的にそれぞれのポテンシャル、あるいは各地でやっておられる、ある意味でばらばらでやっているものをどうやって面的、あるいはネットワークでつないで、そこから有意なものを取り出していく、あるいはより大きな付加価値をつけていく取り組みという方向にいくことが求められているのと思っております。そういう意味で、例えば重点化をしていく、あるいはこれからの地球観測を考えていく上では、そういったところでのご議論をいただければ大変ありがたいと考えております。

【小池(勲)部会長】
 今出た議論は、次の今後の進め方に深く関係していますので、先にその説明をしていただいて、それでまとめて議論を……、どうぞ。

【杉本委員】
 今、報告書と言われているのは、去年のものなんでしょうか。3年前にこの部会で大学における地球観測がどういうふうに行われているかというのを各大学に問い合わせをして、調査をして、報告書にまとめました。そのとき、私も委員として加わっていて、まとめの作業をやったんですけれども、確かにどういうメリットがあるのかわからないので、すべての情報が上がってこないということが確かにありましたし、その報告書をまとめて何に使うんだということももちろんあるんですけれども、そのときに私が感じたのは、大学の研究者たちはデータを出す側であると同時に、ものすごくデータを欲しがっているニーズ側としてものすごく重要な方が、理系の先生だけではなくて文系の先生たちも含めているんだなということを感じたんです。ですから、データを統合して、ネットワークをしてまとめて出していくだけではなくて、大学側の研究者の人たちが持っているニーズをもっと的確に把握して、それにあわせて、今、国としてどういうデータが求められていて、それがあることによってどういうふうに進んでいけるのかという方向で考えるべきだなと、そのときに思いました。
 ですから、そういう調査はこれまであまりやられていないわけではなくて、何度かはやっているんだということがありますので、それに基づいてニーズという方向からも議論をぜひしていただければと思います。

【小池(勲)部会長】
 はい、どうぞ。

【和気委員】
 経済産業省の委員会に参加している関係で申し上げますと、陸域のエネルギー・鉱物資源のみならず、海洋基本法の制定以降、海底熱床鉱物を含め、現在、わが国としては海洋、海底の鉱物資源開発に相当強く乗り出そうとしているところでもありますので、その部分を、27ページの第8節のエネルギー・鉱物資源に海底の鉱物資源の探査を含めた方針を盛り込んだほうがよろしいんじゃないかと思いますので、ご確認いただきたいと思います。

【石川専門職】
 経済産業省のほうに確認して、盛り込めるようであれば盛り込んでいきたいと思います。

【本藏委員】
 ちょっとよろしいですか。

【小池(勲)部会長】
 はい、どうぞ。

【本藏委員】
 元に戻る議論です。私どもの分野は非常に連携がよくできていると自分でも思っていますけれども、以前に、議論があったときに、連携拠点を各分野でつくろうと。でも、現実にはあまり進んでいないですね。先ほど私が申し上げたように、その分野の全体を統括できるような組織がないと、今言われたような全体像を把握するというのは容易なことではないと思うんです。それを行うのは連携拠点の1つの目的ではないかと思うんです。やはり以前から議論している連携拠点をいろいろな分野で。できていないところは、やはり何らかの形で不十分でもいいからつくらないと、今のようなものには対応できないのではないかという気はいたします。

【小池(勲)部会長】
 連携拠点の問題というのは、この部会でずっと議論していて、なかなか進まないんですけれども、今おっしゃったように、温暖化のように幾つかの省庁にやられていることがまたがっていて、それで集まるメリットが感じられるところは順調にできたわけですけれども。先ほどの大学の話と全く同じだと思うんですけれども、そのメリットが感じられないとなかなか話が進まないというところが多分あると思うので、それぞれのところが参加することによってメリットを感じるというふうにつくらないとなかなか難しい気がいたします。
 先に今後の進め方の話をしていただいて、今の議論も含めてしていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。先ほども一部紹介されましたけれども、室長のほうから。

【谷室長】
 それでは、資料6を用いて、22年度の我が国における地球観測の実施方針の検討の進め方についてご議論をいただきたいと思います。
 これまで毎年度実施方針、実施計画ということで取り組んでまいりましたけれども、1番最初に課題と書いておりますところ、これは事務方の問題意識でございます。大きく分けて2点ございます。
 1つは地球観測の推進戦略、先ほど実施計画のところでもご紹介いたしましたけれども、15分野という非常に幅広い分野にわたって観測というものが行われているということがございまして、毎年の方針もそれを踏まえつつ定めてまいりました。ただ、分野が広くて非常に多岐にわたるということがございまして、部会でご議論いただく際にも深い議論をするということがなかなか難しいと感じております。また、先ほど杉本委員からお話がございましたニーズという観点でも、実施する側、あるいは何をやっているかという議論がややそちらに偏っていた感があるかなと思っておりまして、観測ニーズの把握というのは十分にされているのだろうかという問題意識を持っているということでございます。
 したがいまして、22年度の実施方針を策定するに当たりましては、次の優先課題についてのところでございますが、国内外の社会情勢等を踏まえまして、特に優先的に取り組む課題を明示するということで、重点化を図っていただいてはどうかということを考えております。
 21年度の実施方針は参考資料でお配りしておりますし、先生方にご議論いただいたものでございますけれども、そのやや先取りをしておりますが、例えば平成20年のG8の洞爺湖サミット等を踏まえて、気候変動とその影響を監視・予測するための観測というところに焦点を当てて策定をいただいたということがございます。したがって、問題意識の1点目の、やや議論が散漫になってしまうのではないかということについては、重点化を図りたいということがございます。
 それから、2点目の観測ニーズの把握ということでございますが、検討の進め方というところに書かせていただいておりますとおり、いろいろな形でニーズをきちんと把握する取り組みをしてまいりたいと思っております。
 まず1つ目でございますけれども、それぞれ先生方からご専門の分野のニーズについて教えていただきたいということがございます。これは、こういう状況にあって、今、研究のフェーズとしてはここまで広がっていて、次はこういうことになるから、こういったところが重要になる。あるいは、こういったところに観測の空白域があるということであれば、そういった状況、観測の現状といったものを含めて、したがって、こういうニーズにきちんと対応していくべしということを教えていただければと思っております。
 具体的な進め方としましては、頻繁に会合を開いてそういうお話をいただくというのはなかなか難しいかと思いますので、メールベースで、フォーマットに記入していただくような形でご意見をいただきたいということで進めさせていただければと考えております。
 また、実際に関係府省庁、関係機関、連携拠点等とも連携する形で、実際に行政上のニーズでありますとか、国際的な枠組みでの検討あるいは活動に付随しまして、地球観測のニーズというものを吸い上げるということをしてまいりたいと思っております。関係省庁、関係機関、必要に応じて部会でのヒアリングということもあり得るとも思っております。いずれにしましても、そういったニーズをきちんと吸い上げるという活動をいたしまして、その上で今後の課題、また優先的に行うべき観測項目の洗い出しをしてまいりたいと思っております。
 そういった形で、実施方針を策定していただければありがたいと思っておりますが、実際には各府省庁は実施方針をもって概算要求をきちんと考えるということ、また、総合科学技術会議のほうで、先ほど申し上げましたようなS、A、B、Cへの反映といったようなところにも使っていくということにできればと思っております。
 スケジュールにつきましては、先ほど少しご紹介させていただきましたけれども、7月に実施方針を考えておりますが、策定をいただくということで、5月から7月にかけて総合科学技術会議からのフォローアップでありますとか、先ほどのニーズの調査の結果でありますとか、そういったものを集中的にご議論いただくような機会を設けさせていただきたいと思っております。7月に実施方針をまとめますと、この年度末になりますので、その実施方針に基づいて来年のこの時期に実施計画をきちんとつくり上げて、またご報告をさせていただくという全体の流れになろうかと思います。
 実施方針の検討の進め方についての考え方をご説明させていただきました。以上でございます。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございました。今年の実施方針をどういう形で書いていくかということに関しての事務局側の考えが出されましたけれども、これに関してご議論をいただきたいと思います。キーワードは、優先的に取り組むべき課題を特出しするような格好になるわけですか。

【谷室長】
 はい。

【小池(勲)部会長】
 そういう形でめり張りをつけていきたいということと、それぞれの分野でどれが優先的なものなのかということに関しての情報提供を各委員からお願いしたいということだと思いますけれども、いかがでしょうか。どうぞ。

【高薮委員】
 重点化を図るということで、重点化はおそらく総合科学技術会議の重点化と連動するということになるのではないかと思うんですけれども、例えばもし1つの課題について5年なりの継続的な重点化が図られますと、ほかの分野がお留守になる。冒頭に小池先生がおっしゃられたように、地球観測においては継続性の問題が非常に重要だと思いますので、重点化という場合に審議の重点化を図ることは重要だと思いますけれども、各分野を大きく5つなりに分けまして、どちらにしろ1つの分野を毎年検討するというのは学問の進め方や継続性においてあまり意味のあることではないと思いますので、交代で検討していくという取り組みが有効なんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

【谷室長】
 これは、あくまでも事務局として考えているものでございまして、具体的にどういうふうに重点化をするかということは、先生方にご議論いただきたいと思っておりますけれども、切り口として、特定分野に集中するという方向で考えているわけではございません。あるいは、今年はこれ、来年はこれといって回していくということでもありませんし、継続的に腰を据えてやらなければいけない重点的なものも当然あると思います。これまでの実施方針というのは、あれもやります、これもやりますという形で書いてあって、逆に全部やるということはある意味ではめり張りが見えないという形になりますので、例えば予算要求に戦略的に使っていくとか、そういった形でのメリットというのもなかなか生かせないという問題意識がございます。
 したがって、その辺のめり張りを出していただければと思っておりまして、ご指摘のとおり、チャレンジングな部分はございます。あれもやります、これもやりますということで書いていくことは比較的楽ではあるんですけれども、そういうことで、めり張りをつけて重点化をする。重点化されたところは一生懸命できるけれども、それ以外のところは手薄になるというふうにとらえられてしまうと、そういうまとめ方はいかがなものかというご議論も出てくるかもしれないなというのは、ちょっと懸念としてはございます。
 ただ、今までのやり方を踏襲していては、本来の実施方針の目指すものが実現できないのではないかというものがございまして、重点化をするということで、よりその実施方針が機能的なものになると考えて、このような形でお諮りをさせていただいているということでございます。

【中静委員】
 今のお話を聞いて少し心強く思いました。重点化はそれでいいと思うんですが、例えば温暖化の影響を見るモニタリングの場合に、温暖化の影響はいろいろな分野にわたっているわけですが、得やすいデータだけはたくさん出てくるけれども、弱い部分というのはどうしてもあって、その部分というのはかなり基礎的なてこ入れが必要だと思うんです。生態系はまさにそういう部分で、温暖化の影響がたくさん顕在化しているにもかかわらず、しかも個々にはいろいろ観測の事実があるにもかかわらず、それがネットワーク化できていないというように、基本的なものができていない。重点化といった場合に、その分野の重点化だけではなくて、ある程度の底上げというのを考えた重点化をしないと、結局温暖化の実態はわかるけれども、影響は出てこないという話になっていくんだと思うんです。その辺をバランスよく重点化していただかないと、なかなか影響をつかむというところまで上手にいけないというところがあると思います。

【小池(勲)部会長】
 ほかにございますか。どうぞ。

【渡邉委員】
 今までの議論と重なるところがあると思うんですけれども、今のお話を聞いていると、並列的にいろいろ出ていたものの中からピックアップするというような重点化ではなく、どちらかというと構造化させるというようなご説明だったかと思うのです。これとこれはこういうふうに関係しているよとか、これとこれをまとめてこういう方針でいくというようなオーバーアーチングするストラテジーが、今、いろいろなところで必要だと思うので、そういう構造化をする方向で今の重点化を考えるべきではないかと思います。今、中静委員がおっしゃった何か抜けているところもそういう中から出てくるのではないでしょうか。そういう方針のご説明でいいのではないかと思います。

【小池(勲)部会長】
 どうぞ。

【大垣部会長代理】
 部会長代理ではなくて、一委員として発言させていただきますが、今、まさに構造化という言葉で表現されたものを別の私の表現で言いますと、観測ニーズの把握が十分なされていないという課題設定がありますが、ニーズという言葉が非常にあいまいに使われているのではないかと思います。特に地球観測のニーズというと、いろいろな理解のされ方が起きて、例えば3つに分けますと、1つはデータの蓄積をして、世界の中で日本が地球環境全体のデータを把握し、それを発信するという責務があります。それもニーズといえばニーズです。それから、先ほど各大学で研究のニーズがあるという話をしまして、それは個別研究に関する研究のためというか、場合によっては真理探求のためとか、そういうニーズです。3番目は、いわゆる社会ニーズでありまして、地球環境変動に対する適応策に役立てるためのデータとしてのニーズ。
 ここで重点化というか、今、それこそ構造化という言葉を言われたけれども、課題としてニーズの把握をきちんと打ち出して、重点化という言葉が適当かどうかは別にして、その中ではっきりと政策に反映させて、ここから出すという形をとることなのではないかと思います。何となくぼやっとニーズという言葉を使わないほうがいいのではないかというのが提案であります。

【小池(勲)部会長】
 どうぞ。

【藤谷委員】
 部会長も言われたと思いますが、最初に推進戦略をつくったときのキーワードは、やはり長期継続観測をどういうふうにするかということだったと思います。推進部会に出席して聞いておりますと、基本的な考え方としては長期継続観測という考え方はずっとあるのですが、どうしても重点化の話が行われるときには、非常に個別の施策が前面に出てしまいます。
 だから、今回も重点化を議論する場合には、その基本にはやはり長期継続観測ということを一番基礎に置いておかないといけないと思います。今、いろいろ懸念されていますように、重点化だと日の当たらないところが出てくるんじゃないかとか、そういう懸念が出てくることになると思いますので、ぜひとも長期継続観測というのが一番基礎にあるんだということはお願いしたいと思います。

【小池(勲)部会長】
 私も部会長じゃなくて委員という立場で発言させていただきますけれども、重点化という言葉がちょっと誤解を招きやすいと思うんです。多分一般的には、あるところに非常に集中するという意味で、重点化という意味をとってしまうんですけれども。この場合は、特にいろいろな観測がなされている中でやはり長期的にきちんとやらなきゃいけないものはどれなのか、全部そうだと言われると確かにそうなんですけれども、その中でやはりある程度のランキングは、それぞれやっている方はわかっていると思うんです。それをある程度はっきりさせる。もちろん何年か置きに見直していくということは必要なんですけれども。そうしないと、現状ですと、観測というのはいろいろなところできちんと進めるとは書いてあるんですけれども、きちんと進めるという書き方だけではなかなか予算がとりにくいです。ですから、これは実際の観測をやっている方がきちんと議論して、これとこれとこれは何十年かやる必要があるんだと。その中できちんと議論していただいて、それを出していくということが、今、必要ではないかと私自身は思っています。
 ですから、この部会でほんとうはそういう観測コミュニティーをきちんと議論したものを出していただけると非常に重みがあると思うので、ぜひそういうプロセスをそれぞれとっていただけると、ここで出したものが非常に生きてくると思うんです。そういうことを考えております。
 どうぞ。

【井上委員】
 推進戦略をつくったときに、やっぱり連携拠点というのは1つの大きな柱であって、そこで非常に効率よく総合的に調整しながら観測を進めるという方針だったと思うんです。先ほどの議論からもそれをもっと広げるべきだということから言いましても、連携拠点をつくっているところは、分野として優先するというのは私はいいじゃないかと思うんです。むしろ、そういうことによってほかの分野でもそういう機運が高まるようにするということ。
 もう1つは、重点化と言った場合に、リストラ的な響きがちょっとありまして、ほかを削ってそっちに集めるというものじゃなくて、むしろこの部分を特に強化するという意味ですよね。

【小池(勲)部会長】
 そうです。

【井上委員】
 それは当然優先的な分野というのと、それからいろいろな議論の中でここを強化しなきゃいけないというところをはっきり明示して、各省庁がそれに乗って予算増を図るという構造にすべきだと思うので、ただ、財務省の重点化というのは、おそらくリストラを含めてやれと言っているのではないかと思います。そのあたりのニュアンスを会議の方もいらっしゃるので聞いて、ちょっと考えていくべきではないかと思います。

【小池(勲)部会長】
 はい、どうぞ。

【本藏委員】
 2つあるんですが、1つはちょっと余計なことかもしれませんが、ちょっと心配なのは、先ほどご説明のありましたように、総合科学技術会議のフォローアップを受けますよね。そのときに、もともとのスタートは地球観測の推進戦略ですよね。これは総合科学技術会議から出ているわけで、これが基本になっているので、今のお話はここの部分をいろいろこの部会で重点化という言葉がいいかどうかは別として、もっと効率的なものにしていこうという話なんですけれども、フォローアップされるときに、そのあたりはどんなふうに扱われるのか。フォローアップの基礎になるのが推進戦略であるとするならば、ここの部分は重点化はいいとしても、あまりやっていないのではないかということを言われると、またここで見直さなきゃいかんわけですよね。それが1点心配事なんですけれども、そのことをどなたかご説明いただければ大変ありがたいです。
 もう1点は、重点化という話は、私は賛成でありますけれども、私の印象では、今までの問題はいろいろな分野から推進戦略が出ているものでも、やっぱりばらばらな印象がかなり強いんです。みんな必要だというのはよくわかる。ですが、これがどんなふうに有機的につながっているのかということが希薄だなという感じがあって、今言われた重点化というのは、多分どこかの分野を特筆するということではなくて、構造化と言われましたけれども、まさにこの全体がどんなふうにつながっていて、その中で今の時点でキーポイントになるものは一体何なんだと。例えば、前回温暖化のことをお話ししましたけれども、温暖化となると、そこからいろいろな結びつきが出てきますよね。我々だったら、例えば津波のところは非常に効いてくるわけです。非常に密接に関連していかないといかんということになっていくんですけれども、そういうところは何となく今のところまだ全体として見えていないというのが私の印象なので、一度部会長を中心に、あるいは何人か非常に活躍されている方々でその整理をしていただくとわかりやすくなるのかなという印象を私は持っています。

【小池(勲)部会長】
 フォローアップの件はいかがですか。

【原沢内閣府参事官】
 今いただいたご意見を踏まえましてフォローアップしたいと思うんですが、推進戦略をつくってからこの数年非常に状況の変化が激しいということを念頭に置いていただきたいと思うんですが、1つはやはり温暖化の問題がこれだけ深刻になってきて、それに対して低炭素社会づくりといったような方向へ向かいつつあるという内外の状況の変化もございます。とはいっても、やはり推進戦略では長期継続性のモニタリングということを念頭に置いていますから、そちらとの兼ね合いがあるという中で、推進戦略の中を見直すと言うと変ですけれども、やっていくかというのが多分フォローアップの1つの大きなポイントになってくると思います。
 予算関係もどんどん伸びていくかというと、そういう状況ではございませんで、やはり重点化という言葉にはいろいろな意味があるかと思うんですが、予算面の配慮も内閣府あるいは文科省側でも常に頭に置いておくべき点ではないかと思います。
 ばらばら感があるという省庁連携のような話は、連携拠点の話ですとか、内閣府におきましては、予算要求の際にも省庁連携ということをずっとモットーにしておりますので、そういう面からもフォローアップという形で反映していけるのではないかと思います。
 もう1つは、現在、第3期の科学技術基本計画の見直し、3年目でございますが、進んでおりまして、環境PTの中でも、ここで取り上げられております地球観測についての見直しをやっております。今、まさに出てきましたようなニーズの話ですとか、予算の制約、さらに内外の情勢の変化といったことが議論されておりますので、そういったものも踏まえてフォローアップをやっていきたいと思います。ぜひいろいろなご意見をいただければと思います。

【小池(勲)部会長】
 はい、どうぞ。

【和気委員】
 推進戦略の「戦略」という視点から少し意見をを申し上げたいと思います。国際的なフレームワークの中で、日本がある意味で技術資源ストックが豊か、つまりこれまでの歴史の中で比較優位や国際競争力があるとか、あるいは、国際的により他の国や分野に比べて貢献度が高そうだという、もちろんある程度期待値も含めてですが、そうした戦略的な視点から重点化というか、選択をしていくことを強調してはいかがでしょうか。温暖化問題を重点的に考えることについてはコンセンサスはあると思いますし、是非温暖化問題を重点化してやってほしい、やるべきだというのは、広い意味での国益に資するし、そういう意味での温暖化問題は非常にわかりやすいと思います。
 先ほども申し上げたんですけれども、それ以外にエネルギー問題や鉱物資源問題も、これからそのポテンシャルを含め、重要で機微に触れるな議論をしなければならない中で、海底の問題も出てくるというのはもちろん個人的な意見ですが、我が国の国際的な比較優位がある程度発揮できそうだというふうに国の中でコンセンサスがあれば、それに重点化していけばいいと思います。
 したがって、どれもニーズとしては高いけれども、日本が貢献できるという意味での客観的なコンセンサスがあれば、そこに重点化していくという見方もあるのではないかと思います。

【小池(勲)部会長】
 大事な視点だと思います。小池委員、今、データ統合・解析システムをやられていますけれども、日本のプレゼンスをどうやって出していくかということに関しては、どういうふうにお考えですか。

【小池(俊)委員】
 3点ほど申し上げたいんですが、今、和気先生からお話があったように、データ統合・解析システムというのは、現段階では国際的な地球観測のデータを統合化するアクティビティーとしては世界トップだと思います。それは、データを蓄積する容量の観点からも、またそれを取り扱うテクノロジーからも言えると思います。多様な情報を相互にやりとりするためのテクノロジーにかかわるところから、国際的にも重要なのタスクの中でも注目を浴びて、リーダー役としてやっているという意味で、比較優位に進めさせていただいているということが第1点でございます。
 第2点目は、これは先ほどお話があった温暖化との関係で言いますと、21世紀気候変動予測革新プログラム、その前の人・自然・地球共生プロジェクトという日本が進めた温暖化予測にかかわる科学技術の結集したプログラムが非常に大きな成果を上げ、また、今、上げつつあるわけですが、そういうものからより深い科学的な理解、あるいはそれを適応策につなげていくところにこのデータ統合・解析システムは非常に大きな役割を担う必要があると思います。そういう意味で、温暖化の議論と影響評価なり適応策に係る部分の役割というのが、この中でちゃんと実施していかなくてはいけないなと思います。
 3点目は、先ほど大垣先生からもお話がありましたが、国内の問題で、社会へ貢献するニーズという部分で、これはこのプロジェクトが始まって以来いろいろな省庁と連携をしながら社会的価値をどうやって生み出すかということをかなり熱心にやってきまして、幾つか実例が出てきておりますが、先ほど私が申し上げた国内の問題の中で、今回第1章に書かれているさまざまな活動があるんですが、実はデータの分野で見ると、必ずしも連携されていないわけで、これは見ながら自分の仕事かなと思いつつも、要するにデータ統合の中でこれを連携させながら、国内の社会的価値をきちんと出していく役割というものをもう少し明らかに見える形でやっていかないといけないなと思っています。
 そういう意味で、データ統合・解析というのは連携を進める、あるいは先ほど渡邉先生からお話があった構造化する役割にかなり努力していかなければならないと思っています。

【小池(勲)部会長】
 今、いろいろご意見をいただきましたけれども、やはりうまく階層化していって、それで非常に大事なものはとりあえずここだということを見えるような形にするということが大事です。そのために今言われたデータ統合ですとか、それから連携拠点ですとか、そういういろいろなメカニズムがその中でうまく働いてくれば、階層化がきちんとできていくと思います。それで、これはどうやって進めていくことになりますか。かなり大きなタスクですけれども、先ほどの予定ですと、各委員にそれを皆お願いするということになるんでしょうか。

【谷室長】
 大垣委員からニーズについての定義があいまいであるということでしたので、そこは少し整理をした上で、まさに構造化ということで大体共通の理解かなと思っておりますが、構造化のところの骨になる部分が一体何かというのをお聞きするというプロセスをまずお願いしたいと思っております。それぞれの分野における研究面のニーズ、あるいは社会的なニーズからこういうことが骨だということを教えていただいて、それを事務局のほうで取りまとめまして、その上でこういう構造化ということがあり得るのではないでしょうかという案をつくらせていただいて、次回はそれを元にご議論いただくという形で進めさせていただければと思います。

【小池(勲)部会長】
 次の部会までに各委員にヒアリングを行って、それをまとめたいということですね。そういうプロセスをとるということですけれども、それでよろしいでしょうか。結構大変だと思うんですけれども、温暖化は拠点がありますので、多分拠点がそのタスクを引き受けてくれると思うんですけれども、そうでないところは、やはりそれぞれの委員に情報収集、いろいろなことをやっていただかなきゃいけないことになりますので、いろいろご苦労をおかけしますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 ほかにこの件に関して、ご発言はございますでしょうか。よろしいですか。

【高薮委員】
 今、構造化と重点化という2つの言葉が上がって、確かに構造化してからそれが重点化するときに強化すべきところが見えてくるという2段階構造だと思うんですけれども、構造化するということによって、ニーズの吸い上げや重点化について、一度に網羅的にやるのはやっぱり無理だということが伝わってきます。すべて非常に大事そうなんですけれども、これを一遍に見るのは我々にとっても無理だという、あまり現実的でないということがわかりますので、構造化するということ、まずは検討の重点化です。課題の重点化はその次にやってくるものだと思うんですけれども、検討の重点化ということ、これは各年にすべてを評価しなければいけないものなんでしょうか。少しずつ毎年重点化して検討していくという意味の構造化ということはできませんでしょうか。

【小池(勲)部会長】
 それはいかがですか。

【谷室長】
 特に22年度の実施方針の策定に当たっては、結論から申し上げれば22年度の実施方針を策定するに当たって、できれば集中的にご議論をいただいて、1つのあるべき形というものをつくっていただければ大変ありがたいと思っております。時間的に限られておりますし、例えばそれぞれの分野1つ1つ取り上げても、そこで議論すべきことというのは相当あるということは事実としてあろうかと思いますけれども、繰り返しになりますが、大きな全体を見据えてどこが骨かという議論は、できれば集中的にしていただいて、一たんそういう全体のモデルができ上がりましたら、あとは個々の分野について微修正が必要だということについて、その後にまた追加的にご議論をいただくという形でできればと思っております。

【小池(勲)部会長】
 よろしいですか。これは地球観測の場合、非常に多岐の分野にわたりますので、やはり同時にすべてを進行させるというのはなかなか難しいですね。ですから、構造化がきちんとできていけるものからどんどんやっていくということのほうがかなり現実的のような気がしますけれども、全部同時に同じような形までなかなかいかないのではないかと。それは、それぞれの観測の分野の進展の過程が皆それぞれ違いますよね。ですから、その辺はある程度配慮して議論を進めていっていただきたいと思います。
 ほかによろしいでしょうか。それでは次の議題で、地球温暖化分野に係る地球観測連携拠点からの報告ということで、藤谷委員からお願いいたします。

【藤谷委員】
 それでは、私のほうから資料7に基づきましてご説明いたします。
 今、ご議論がございましたように、推進戦略に基づきまして、温暖化分野で連携拠点ができまして、約3年弱たってございます。1の経緯のところにございますように、連携拠点の機能としましては大きく3つぐらいございます。例えば地球観測へのニーズ等の集約に関しましては、昨年推進部会にも提出いたしましたけれども、ワーキンググループ報告書第1号を出してございます。その中でニーズ等の集約をやってございます。それから、実施状況の報告でございますとか、あるいはいろいろな関係府省・機関の情報の収集・分析ということが挙げられてございますが、こういうものを取りまとめてこの部会に報告しなさいということも我々のファンクションにございます。
 そういうことで、連携拠点では分野間連携施策の調査をいろいろ実施いたしました。その中で、特に「観測プラットフォームなどを有効に活用する相互利用」に関する情報の収集と分析をいたしましたので、その結果をご報告するということでございます。
 2にございますように、具体的な連携施策の実施状況調査としましては、これまでこの部会の実施方針等で連携施策として示されてございます「フラックス観測タワーの共同利用」につきまして調査を行いました。具体的には現地調査でございますとか、関係するワークショップ並びにシンポジウムへの参加、研究者に対する個別のヒアリング、あるいは事務局主催のワークショップ等の開催等でございます。
 それで、後でご説明しますが、分野間連携の具体的な取り組み案を作成をいたしました。3にございますように、平成19年度の連携拠点主催のワークショップの中で、陸域炭素循環と生態学の連携についてご議論をいただき、非常に重要だという認識を共有したわけでございます。さらに、実施状況調査によっても、この分野では連携というのが非常に重要だということが明らかになってきましたことから、昨年の12月に分野間連携に関するワークショップ「陸域炭素循環観測と生態系観測の連携」というものを開催いたしました。
 その中で、専門家の方にお集まりいただきまして、今後の方針等についてご議論いただきました。そして、次のページにございます「陸域炭素循環観測と生態系観測の連携に関する取組について」というものを取りまとめさせていただきました。1枚めくっていただきますと、ワークショップの取りまとめがございます。背景といたしましては、先ほどから議論がございましたように、洞爺湖サミットで気候変動問題が非常に重要な課題として取り上げられてございますし、もともと地球観測推進戦略では利用ニーズ主導の地球観測システムの構築の中で「温暖化にかかわる現象解明・影響予測・抑制適応」というのが非常に重要な課題としてあげられており、その中でも、特に「アジア地域の陸域炭素循環と生態系観測の統合」という課題が、今後10年間に取り組むべき重点的な課題・事項の一つとされてございます。そういう意味で、それに非常に関連するということで、連携施策で挙げられている「フラックス観測タワーの共同利用」について分析を行ってございます。
 2にございますように、具体的な取り組み案といたしましては、陸域炭素・水・熱収支に関する温暖化影響と生態系フィードバックを検出するために、以下に示す取り組みにより、陸域炭素循環観測と生態系観測の統合を実現し、連携施策を推進することが必要であるということでございます。そこにございますように、具体的には3つの取り組みを示しております。一つ目は、炭素循環、水循環、生態系、衛星観測を長期的に行うプラットフォームの共同利用。二つ目は、衛星観測との直接的な対比を行うために十分な空間代表性を持つ地上観測網の共同利用。もう1つは、地上・衛星観測データの品質管理と統合解析を総合的かつ長期的に行う体制の確立、でございます。こういうことをやるための具体的なプラットフォームとして、その地図にございますように、国内の幾つかの地点を候補地に上げてございます。それぞれが我が国の代表的な植生を代表する場所でございますので、そういうところでプラットフォームの相互利用ができればいいということでございます。
 このような分野間連携を行いますと、3の効果にございますように、相互比較検証でございますとか、あるいは観測手法の標準化、あるいは観測データが持つ不確実性が低減されるというような、連携の効果があるだろうと考えてございます。観測されたデータを共有して利用促進を図ることにより、我が国の主要な生態系において均質で包括的なデータが継続的に得られることになります。また、衛星観測と直接対比できる地上観測網の共同利用体制整備により、これまで困難であった生物季節や融雪時期等、地球温暖化に対する生態系影響・適応にかかわる重要指標の検出精度が大幅に向上いたします。また、地上観測と衛星観測の統合により、陸域炭素循環・水循環・生物季節等を広域で評価することが可能になります。このようにして、国内で確立しましたプラットフォームの相互連携の手法と体制を国際的な観測ネットワークを利用してアジアへ普及することも出来るようになります。また、陸域炭素循環と生態系観測を統合した地上観測網によるデータは、温暖化に伴う生態系反応やフィードバックを組み込んだモデルによる温暖化影響の予測精度向上に大きく貢献致します。さらに、温暖化影響下における陸域の生態系サービスの脆弱性評価の新たな手法の構築が可能となるという効果も期待されてございます。もう1枚の別紙にございますのは、今述べましたことを少しブレークダウンして、具体的にこういうことをやりましょうということが書いてございます。時間がございませんのでここは省略させていただきますけれども、こういうことを我々は連携拠点としては重点的な取り組みの1つということで、ご提案させていただきます。
 以上でございます。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございました。温暖化に関しては、連携拠点があって、そこがプラットフォームの共有ですとか、データの相互利用、品質管理、その他についての検討を進められて、研究者コミュニティーをうまく束ねるのに非常に役に立っていると思うんですけれども、そこで一番の問題点は何でしょうか。

【藤谷委員】
 昨年、ワーキンググループの報告書をまとめさせていただきましたが、最初は小池先生に主査をお願いしております推進委員会からのいろいろなリクエストでワーキンググループの報告書をまとめましたが、報告書がこの推進部会の正式資料になったということで、非常に報告書のステータスが上がりました。そういう意味で非常にインパクトがありました。来年度末を目途に第2号の報告書をつくる準備をしているわけですけれども、ぜひともまた次の報告書も推進部会の正式資料に上げていただくと、我々は非常に仕事が進めやすいなと思っております。
 そうでないと、先ほどの議論にありましたように、こういうことをやって、どういうメリットがあるのだと、関係の皆さんは思われますので、やればメリットがあるというところをできるだけ見える化したいと思っています。
 以上でございます。

【小池(勲)部会長】
 ここに上げて、そのメリットがどこへ上がっていくかということをまた少しここで議論しなければいけませんけれども、やはりここは地球観測を全部取りまとめるところですので、ここに上がってきたものがある程度プラットフォームの共有ですとか、連携化ですとか、施策のほうにうまく活きていけるように、その資料が使われていくことが必要ですね。ですから、いろいろな努力はなされているので、それをどうやって、観測の充実ですとか、長期化ですとか、そういう方向につなげていけるかということをぜひここでも議論したほうがいいと思います。私もこの温暖化の連携拠点のほうでは関係していて、それで気がついたことは、やはりこういう各大学と国研のコラボレーションがうまくいっているところは非常に観測がスムーズにいっていて、そういうものがないとやはりなかなか難しいという印象があります。先ほど地震とか火山の場合は東大の地震研が……。

【本藏委員】
 大学関係です。

【小池(勲)部会長】
 拠点になって、それでやられていて、それが制度化されているというところが非常に大きいですね。それで、温暖化とか地球観測のいろいろな部分というのは、やはりまだなかなか制度的なものとしてできていないので、やっていても皆ボランティアベースになってしまうんです。ですから、それを続けていくのに皆さん非常に苦労されているということがありますので、せっかく連携してきちんとやっているところに関しては、それをどこかがサポートしていくような手段をうまく考えていけば、せっかくできたプラットフォームのようなものの連携がきちんと継続されると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

【谷室長】
 いろいろな、例えば温暖化の連携拠点等での取り組みの中で出てきた、こういったところを特に強化してやるべきといったものが、実施方針にきちんと盛り込まれて、そこでプライオリティーが高く扱われるということが具体的な施策化につながっていくものだと考えております。そういうことで、今回野心的なところもありますけれども、そういうプライオリティーづけをある程度できないでしょうかというふうにお諮りをしているところでございますので、ぜひそういう形で事務局としても努力をしてまいりたいと思っております。

【小池(勲)部会長】
 ただいまの温暖化の連携拠点の報告は、それでよろしいですか。何かご質問はございますか。
 なければ、その他で何か事務局のほうでございますでしょうか。

【谷室長】
 では、事務的な連絡でございますが、次回でございますが、先ほど申し上げたとおり、先生方にそれぞれお聞きする部分もございますので、次回の開催としては5月ないし6月を目途で考えてございます。今、先生方のご都合をお聞きしておりますけれども、決まりましたら、また改めてお知らせいたします。
 以上でございます。

【小池(勲)部会長】
 次回までにヒアリングを行うということですけれども、事務局のほうにお願いなんですけれども、なるべく早くどういうことを聞かれるかということを出していただいて、それで委員の方それぞれだけで返事するのはなかなか難しいことも幾つかあると思うので、なるべく周囲あるいはコミュニティーと相談できるぐらいの時間はとっていただきたいと思います。1週間で答えてくださいと言われると本人の責任で全部答えなければいけなくなってしまい、先生方が大変だと思うので、ぜひ時間を十分とってやれるようにお願いしたいと思います。

【谷室長】
 わかりました。

【小池(勲)部会長】
 ほかに何かございますでしょうか。どうぞ。

【瀧澤委員】
 皆様のお話を伺っていて、蛇足的に感じたことを言わせていただくんですけれども、この国には資源があると思うんです。資源というのは、やはり世界中に散らばって、地をはうような努力をして観測をしていらっしゃる先生方お1人お1人、ここにいらっしゃる方も多くの方がそういう経験をされてきていると思うんですけれども。ただ、お話を伺っている中で感じたのは、それがおそらくいろいろな分野にまたがっているために、研究者の中の人と人との間の文化というものが違っていて、今、それを急に1つにまとめるというのはなかなか難しいことかと思うんです。
 先ほど本藏委員がおっしゃっていたように、連携の中で下からの声をどんどん吸い上げてきて、それが1つ1つが島になっていって、先ほど渡邉委員がおっしゃっていたような構造化されていくものができてくるんだと思うんです。もちろん上からトップダウン式にこういう方向をやりましょうという方向を示すことも重要ですし、そういう分散型の下からの声を自然に吸い上げていくような文化的なものというか、皆さんもちろん方向としては地球環境をよくしていこうという究極の方向が一緒なわけですから、そこに向かって分散というか、個々人の研究者の方の希望とか夢とか、そういうものもちゃんと反映できるような仕組みが、急にできるというのは難しいと思うんですけれども、やはり一番の資源は人なんだということを念頭に入れて、議論していただければいいのかなと感じました。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございました。
 それでは、よろしいですね。それでは、これで地球観測推進部会の第1回会合を閉会したいと思います。本日はどうもありがとうございました。

お問合せ先

研究開発局海洋地球課地球・環境科学技術推進室

電話番号:03-6734-4143
ファクシミリ番号:03-6734-4147

(研究開発局海洋地球課地球・環境科学技術推進室)