氏名 疇地 宏
1.第18回核融合研究作業部会でのロードマップ(参考資料)との関連性(批判的であってもよい)において、中長期的プランを時間軸に沿ってご記入下さい。
記入項目:
1)課題:
1.高速点火実証実験第1期(FIREX-1)による核融合点火温度の加熱実証。
2.高速点火実証実験第2期(FIREX-2)による核融合点火・燃焼の実証。
3.レーザー核融合実験炉LIFTによる正味発電実証。
2)目的:
1.2.高速点火というわが国独自の点火方式により、米国立点火施設の1/10程度の規模で点火・燃焼の実証を行う。
3.高速点火方式の特徴であるコンパクトで経済的なエネルギー開発を行う。
3)主体となる担い手と体制(単独、国内協力・連携、国際協力、新たな組織の必要性)
1.FIREX-1は大阪大学レーザーエネルギー学研究センターおよび国内外の研究者
2.3.FIREX-2およびLIFT
主体となる担い手:現大阪大学レーザーエネルギー学研究センターの多数の教職員。
国内協力・連携:適切な研究機関との連携。
国際協力:わが国のリーダーシップ確保のために、一定の国内計画を確保した上での、米欧の主要研究機関との協力。例えば米国ローレンスリバモア国立研究所、英国ラザフォードアプルトン研究所等。前者からは点火実験への強い参加打診があり、後者とは欧州の発電炉HiPERの設計での協力要請を受けているところである。
新組織:FIREX-2やLIFTは一つの大学ではなく全日本の計画として進めるべきであるから、新組織あるいは他機関との強い連携が必要と思われる。
4)規模(人員、予算)
1.FIREX-1:人員25名程度(教員のみ)、建設予算75億円、研究予算約1億円/年
2.FIREX-2:人員60名程度(教員のみ)、建設予算300—400億円
3.レーザー核融合実験炉LIFT:人員120名程度(教員のみ)、建設予算2000-3000億円
5)前提となる必要条件や制約条件
科学・技術的条件:
・ FIREX-1での点火温度の実証。本年から加熱実験を開始、中性子発生数の顕著な増大など、目標達成の見通しを得た。
・ 米国立点火施設NIFでの核融合点火・燃焼の実証。本年から爆縮実験を開始、爆縮の収縮率や中性子発生数など、予想を超える進捗状況である。
仕組み上の条件:
・ 新組織の立ち上げあるいは連携相手との調整。
・ 核融合重点化と核融合研究を進める仕組みの間の整合性確保。
6)いつまでに、どこまでやることが必要か
1.FIREX-1での点火温度実証(2011年度頃)
2.FIREX-2での点火・燃焼実証(2012年度—2018年度頃)
3.レーザー核融合実験炉(2012年度—2031年度頃)
・ 実験炉LIFTの工学設計(2012年度—2015年度頃)
・ 繰り返し工学試験(2016年度—2020年度頃):FIREX-1クラスの未臨界プラズマを一秒に一回発生させる。その間にFIREX-2で検証されるであろう新しい知見を柔軟に取り入れて、よりコンパクトな炉開発を行う。
・ レーザー核融合実験炉LIFT(2021年度—2031年度頃):繰り返し工学試験が成功すれば,それをそのまま拡張して、レーザー核融合実験炉を建設し、2028年ごろに10時間程度の小規模だが正味発電実証を行う。最後の3年は連続運転で1ヶ月の発電を目指す。実験炉の装置完成をもって原型炉の工学設計を開始,発電実証をもって原型炉建設開始の判断を行う。
・ レーザー核融合原型炉(2025年度—2040年度頃):経済性の実証を行う。その後,炉チャンバーを4基に増設し,実用炉とするか,新たに建設するかの判断を行うことになろう。
2.分析に必要な指摘をご記入下さい。
記入項目:
1)依存関係についての留意事項
2)問題点の抽出
2-1)時系列の矛盾
2-2)決定的事項であるにもかかわらず、落ちていること
・核融合重点化と核融合研究を進める仕組みの間の整合性。
・主要なブレークスルーが起きた時への柔軟な対応をロードマップに組み込んでおくこと。
2-3)それらの理由
3.その他(ご自由にお書き下さい)
氏名 石塚 昶雄
1.第18回核融合研究作業部会でのロードマップ(参考資料)との関連性(批判的であってもよい)において、中長期的プランを時間軸に沿ってご記入下さい。
記入項目:
1)課題
現状の組織を超えたオールジャパンによる国内原型炉設計チームの構築
2)目的
1.今世紀中葉に核融合エネルギーが日本のエネルギーの一役を担うようにする。
2.実用炉段階を見据えて、他エネルギー源とコストで同等の競争力を持たせるための重要な場。
3.これまでの枠組を超えて、真に国内原型炉開発を進めていく上で、開発項目の優先順位を行い、集中と選択を行い、原型炉開発の最短ルートを構築する。
4.国内原型炉の設計・開発を担う国内体制を確立し、設計・R&D活動を通じて若い世代への核融合技術の技術継承をスムーズに行う。
5.国内原型炉、実用炉における国内キーマンを育成する。
3)主体となる担い手と体制(単独、国内協力・連携、国際協力、新たな組織の必要性)
体制については3つのオプションがある。
オプション-1:これまでの既得権益を排除し、産官学が結集した新しい組織とする。
オプション-2:産業界に集約する。
オプション-3:オプション-1の組織で進めるが、モノ作りの観点から産業界のサポートは必須であるため、実質 的なジョブ請負を担う受け皿を産業界に設ける。
これらオプションは下記の共通な機能があるものとする。
1.原型炉以降は各国のエネルギー(化石燃料等)自給率により開発時期は違うはず。従って、国際協力によるスケジュール遅延等の影響を排除するため、国内だけの体制とすること。
2.その組織で設計・開発を行うが、将来のキーマンを育成する観点から設計・開発の一部を積極的に大学に委託するものとする。
3.この組織は将来、産業界に完全に移管するものとする。時期は開発の進展に依存。
4)規模(人員、予算)
1.人員:10-15名(当初5年間)
2.予算: 人件費:300M\-380M\、開発費用:別途計上、組織運営費:100-200M\
3.期間:当面は5年間。その時点をホールドポイントとして、組織を継続させるか判断する。
5)前提となる必要条件や制約条件
1.当面の5年間で核融合を原子力長計に載せることができるアウトプットを出すこと。
2.ホールドポイントを節目節目に設け、その時点で目標を達成できない場合は核融合開発撤退も視野に入れた厳しい目標ポイントを設けること。
3.総花的な開発を排除し、原型炉開発に最短で到達できるルートを得るため、開発項目に集中と選択を行う。
4.国も不退転の決意で開発に協力すること。特に各年度の財政状況による予算バラツキを排除するため、当初の5年間は5年債とすること。
6)いつまでに、どこまでやることが必要か
2.2)問題点の抽出でも言及しているが核融合エネルギーを今世紀中葉までにエネルギー源の一役として担うには、核融合エネルギーフォーラムで作成されたロードマップに従って進めること。そのためには2010年度に新組織を立ち上げ早急に実質ジョブを進める必要がある。
尚、上記ロードマップではITER実験結果を反映することがホールドポイントとなっているが、ITERは国際協力ゆえの工程遅延が今後も予想される。従って国内原型炉は国内独自の工程で着々と進める必要があり、ITER建設完了時期に原型炉の工学設計が開始できるようにする必要がある。過去においてJT-60等は装置を徐々に改造し、プラズマ性能を高めた実績がある。従って、ITERの実験結果を待たず、ITER建設の完了と順調な運用を確認できた段階で原型炉開発のR&Dや製造設計へ移行可能と判断できる。
2.分析に必要な指摘をご記入下さい。
記入項目:
1)依存関係についての留意事項
1.開発においてはITER建設段階とJT-60SA建設段階に実施される開発結果は国内原型炉計画に反映させることが必要である。
2.核融合エネルギーフォーラムで検討されたロードマップにおける開発項目はITER及びJT-60SA開発結果を織り込み済みで、抜けている部分だけ摘出されている。仮にITERやJT-60SAの開発進捗が遅延の場合は、別途、国内原型炉用に工程に従って、開発を実施する必要がある。
2)問題点の抽出
2-1)時系列の矛盾
1.核融合炉の実用段階を2050年頃にするには国内原型炉の建設完了、運転開始を2030年後半とする必要がある。従って、建設開始時期、工学設計開始時期は文科省提示のロードマップに比べ、5年程度前倒しが必要である。
2-2)決定的事項であるにもかかわらず、落ちていること
1.核融合炉開発においては、これまでの核分裂炉開発における原型炉→実証炉→商用炉のステップにおける実証炉を省略して原型炉で発電実証を行い、商用炉につなぐ道筋となっている。従って、原型炉の実験段階で発電実証は重要なホールドポイントとして記載する必要がある。
2.上記と同様に長期運転実証が原型炉段階で確立すること必須である。
2-3)それらの理由
1.時系列の矛盾について
核融合エネルギーフォーラムで作成されたロードマップ報告書の第1章に記載されているように、核融合エネルギーが地球温暖化対策に貢献できるようにするためには、2050年位までに商用炉実現の準備を整えておく必要がある。そこから逆算すると、1)設計期間、建設期間ともにR&D期間も考慮して設定しておく必要がある。将来の経済性を考慮すると、例えば高磁場化のためのNb3Alの開発や高熱負荷高応力に耐える材料の開発が求められるが、材料開発は一般に時間を要するため前倒しで実施する必要がある。 2)加えて新たに開発した材料を用いる場合には、実機大のモデルを製作し検証試験も当然必要となるため、その期間も考慮する必要がある。 3)更には, 材料の開発目標を定めるためには, 炉の概念設計を先行して進める必要があり、必ずしも目標の材料が開発できるとは限らないという前提で、ケーススタディを行い、開発計画も含めた具体的なロードマップを策定する必要がある。これらを考慮して2050年から逆算すると文科省提示のロードマップに記載の原型炉の各段階はそれぞれ5年程度前倒しをする必要がある。
2.発電実証について
上述のように核融合エネルギー開発においては実証炉段階を省略しているので原型炉段階で発電実証をホールドポイントとして記載する必要がある。
3.長期運転実証について
商用炉段階で他のエネルギー源とコスト競争力で対等であるためには、炉の稼働率向上が必須で、如何に定期保守を容易・短縮化するかが必須である。これら課題は原型炉段階の運転時期における重要なホールドポイントである。
3.その他(ご自由にお書き下さい)
産業界としては、ITER、JT-60SA建設段階で培った核融合技術を如何にスムーズに国内原型炉に反映することと、若手への技術継承が必須であり役割と考えている。従って、ITER工程遅延で国内の核融合全体計画が結果として遅延することによる核融合技術の途絶えが最悪のシナリオであると認識している。従って、国内原型炉計画を早急に立ち上げることが急務と考えている。
※本ワークシートは、ITER・BA対応検討会での議論をもとに作成したものである。
氏名 香山 晃
1.第18回核融合研究作業部会でのロードマップ(参考資料)との関連性(批判的であってもよい)において、中長期的プランを時間軸に沿ってご記入下さい。
記入項目:
1)課題
材料開発とリンクしたブランケット工学
2)目的
BA活動等を活用し、原型炉設計に向けた基盤を作成する
3)主体となる担い手と体制(単独、国内協力・連携、国際協力、新たな組織の必要性)
JAEAとNIFSの工学部門の参加の下で六か所のBA活動を強化拡大した新たな組織
(国際協力も当然視野に入れる)
4)規模(人員、予算)
コアとなる人員は30人程度。予算は当初は年間10億円規模。
IFMIFの実現と用途の炉工学への拡充を受けて、50人・50億円程度の規模になると考える。
5)前提となる必要条件や制約条件
BA活動との連携協力特にIFERC、IFMIF-EVEDAとの関係が重要。これらの活動やNIFSの双方向活動、共同研究等での実績に加えて、核融合開発以外の競争的資金等での活動や成果も十分に評価し、目的志向を十分に有し、自立力のある研究組織・グループを重用する必要がある。
活動は計画の具体性と実行力の評価を基本として進められるべきであり、「コンペティション」の環境下で行われる必要がある(「最適」の多義性)。そのためには、複数のグループが競い合う状況を作る必要がある。
6)いつまでに、どこまでやることが必要か
BA活動の終了後ITERの終了時期までには原型炉設計活動と呼応して必要な炉工学基盤を確立する必要がある。特にIFMIFを早期に完成させ、IFMIFでのHFTMでのブランケット工学実験なども含めた炉工学基盤の構築は必須である。(IFMIFを単なる材料照射施設と考えることを大きく転換し、炉工学への寄与も期待できる機能設定を考えるべき時期である)
2.分析に必要な指摘をご記入下さい。
記入項目:
1)依存関係についての留意事項
ITERの進捗状況にどの程度依存せざるを得ないかどうか。
設計作業の絞り込み(効率化)にどの部分・どの時期において貢献するかのマイルストーン設定をどうするか、また、過渡期においてどこが必要な工学技術R&Dを担当するか。発散しがちな炉工学研究の合目的性の確保をどのような管理(プロジェクト管理)で行うかの明確化が必要。
2)問題点の抽出
2-1)時系列の矛盾
BA, ITERの進捗状況。 BA以降のR&D(特にIFMIFの導入計画)
2-2)決定的事項であるにもかかわらず、落ちていること
炉工学を担う、若手と産業界の基盤の弱体化(欠如?)
2-3)それらの理由
ITER立地が海外へ行ったこと、核融合開発における人員・研究費の配分が炉工学において顕著であったこと。炉工学自体が基礎基盤に偏重気味であったこと。
3.その他(ご自由にお書き下さい)
当然、同時期での活動が期待される原型炉設計チームの活動に貢献できる、若手を育成し、確保することや優れたプロジェクトマネージャーが必要であり、モノに触れた経験を有することを原則とする他分野かつ、広範な分野のエンジニアの参画など多様であることが望ましい。
氏名 小森 彰夫
1.第18回核融合研究作業部会でのロードマップ(参考資料)との関連性(批判的であってもよい)において、中長期的プランを時間軸に沿ってご記入下さい。
記入項目:
1)課題
個々の研究のロードマップから、統合された全日本のロードマップを作成し、逆に個々の研究のロードマップに反映、また、時間経過とともに、個々のものと統合されたものを調整
2)目的
研究課題の洗い出しと分担化、あるいは、競合化、スケジュールの確定などにより、遅滞なく原型炉を設計・製作
3)主体となる担い手と体制(単独、国内協力・連携、国際協力、新たな組織の必要性)
当初は、個々の組織が、自己の責任で国内協力・連携、国際協力等により、課題を進める。原型炉の形式を決定し、工学設計に入る時点、即ち、第4期中期計画がスタートする頃には、新たな組織を立ち上げ、工学設計・製作を進める必要がある
4)規模(人員、予算)
当初は、個々の組織の人員、予算、新たな組織を立ち上げた後は、適切な人員と予算
5)前提となる必要条件や制約条件
特にない
6)いつまでに、どこまでやることが必要か
第4期中期計画期間中には、工学設計を始める必要、2040年代になるまでには原型炉の稼動
2.分析に必要な指摘をご記入下さい。
記入項目:
1)依存関係についての留意事項
ITERなどに連動、あるいは依存する必要はなく、我が国独自のスケジュールで早期の原型炉実現を目指す
2)問題点の抽出
2-1)時系列の矛盾
2-2)決定的事項であるにもかかわらず、落ちていること
2-3)それらの理由
3.その他(ご自由にお書き下さい)
競争(競合)は、研究の発展には必要であるが、経費を考えると相補的に行う部分も必要
氏名 笹尾 真実子
1.第18回核融合研究作業部会でのロードマップ(参考資料)との関連性(批判的であってもよい)において、中長期的プランを時間軸に沿ってご記入下さい。
記入項目:
1)課題
オールジャパンによるITER・サテライトトカマク実験のための準備・支援研究
2)目的
サテライトトカマク実験開始まで数年、ITER実験開始までは10年近くある.
この間に、必要とされる (1) 物理研究、(2)加熱/プラズマ制御方式の開発、(3)加熱計測機器開発、(4)ブランケット設計、(5)その他を、現有の装置で行う体制を整える.この活動を通してITER・サテライトトカマク実験で活躍する人材を育成する.
3)主体となる担い手と体制(単独、国内協力・連携、国際協力、新たな組織の必要性)
フォーラム活動やネットワーク活動と連携して行う。
4)規模(人員、予算)
1件 100-1000万円/年、年間30件程度、数年までの継続を認める
5)前提となる必要条件や制約条件
採択、中間評価はフォーラム活動やネットワーク活動と連携してヒアリング等を行い、オープンに評価する.結果はITPA等により国際的な評価も得る事を条件とする.
6)いつまでに、どこまでやることが必要か
成果はサテライトトカマク実験およびITERに反映され、これらの実験開始と同時にサテライトトカマク実験およびITER実験に移行する.
2.分析に必要な指摘をご記入下さい。
記入項目:
1)依存関係についての留意事項
これは、LHDやその他の路線のための研究と一部ベクトルは同じ方向を向いているが、あくまでもITER・サテライトトカマク実験をターゲットとしたものである.
2)問題点の抽出
2-1)時系列の矛盾
2-2)決定的事項であるにもかかわらず、落ちていること
2-3)それらの理由
3.その他(ご自由にお書き下さい)
氏名 笹尾 真実子
1.第18回核融合研究作業部会でのロードマップ(参考資料)との関連性(批判的であってもよい)において、中長期的プランを時間軸に沿ってご記入下さい。
記入項目:
1)課題
オールジャパンによるITER・サテライトトカマク実験における共同研究
2)目的
ミッション計画実行とは別に、自由な発想に基づく研究を育て、この活動を通してITER・サテライトトカマク実験においてオールジャパンの人的資源を活用する.
3)主体となる担い手と体制(単独、国内協力・連携、国際協力、新たな組織の必要性)
フォーラム活動やネットワーク活動と連携して行う。
4)規模(人員、予算)
1テーマ数人で、主に旅費と消耗品として 300~1000万円/年、年間30件程度、数年までの継続を認める.
5)前提となる必要条件や制約条件
採択、中間評価はフォーラム活動やネットワーク活動と連携してヒアリング等を行い、オープンに評価する.結果はITPA等により国際的な評価も得る事を条件とする.
6)いつまでに、どこまでやることが必要か
サテライトトカマク実験およびITER実験中に行う.
2.分析に必要な指摘をご記入下さい。
記入項目:
1)依存関係についての留意事項
別にミッション計画実行のためのオールジャパンの体制は整備する.
2)問題点の抽出
2-1)時系列の矛盾
LHDやレーザーを始めとする他の方式の成果のチェックポイントがない.
2-2)決定的事項であるにもかかわらず、落ちていること
LHDやレーザーを始めとする他の方式の成果をDEMO設計に生かすルートが落ちている.
2-3)それらの理由
3.その他(ご自由にお書き下さい)
氏名 高村 秀一
1.第18回核融合研究作業部会でのロードマップ(参考資料)との関連性(批判的であってもよい)において、中長期的プランを時間軸に沿ってご記入下さい。
記入項目:
1)課題
我が国における原型炉戦略プロジェクト(DRSP)機構・チームの結成
2)目的
(1)原型炉に関して我が国独自のコンセプト・概念設計を確立する。
(2)研究課題の抽出を行い、短(ITERとも共有)、中、長に分けて明示する。
(3)中枢の研究課題を実施する。
(4)人材育成(グループはリーダーを除いて若手で構成)
(5)近隣・関連分野とも協力し、大学、産業界を巻き込んだ広範な研究活動の展開により研究の活性化をはかる。
3)主体となる担い手と体制(単独、国内協力・連携、国際協力、新たな組織の必要性)
(1)IFERCを発展させ、JAEAの組織を超える性格を持たせる。その中にBAとしての狭い意味のIFERCの機能も持たせる。
(2)DRSPは研究上この活動に関してJAEA、NIFS、大学、産業界を統合し、機構として中枢機能を持たせる。
(3)機構単独での機関設置が困難だれば、組織上NIFSを担い手とするものの、そこからの独立性も確保する。
4)規模(人員、予算)
(1)予算配分については双方向的な機能を持たせ、JAEA、NIFS、大学、産業界の分を取りまとめる。
(2)人員についても双方向的かつ流動性を持たせるように努める。
5)前提となる必要条件や制約条件
(1)トカマク型を基本とするものの、ヘリカル系と慣性をも包含し、多様性を確保する。資源配分は7:2:1.このうち7の中には共通のものを含める。
(2)設計及び統合を行うと共に、課題研究については関連研究機関をまとめる。一方、研究施設を保有することがあってもよい。
6)いつまでに、どこまでやることが必要か
平成17年10月に原子力委員会核融合専門部会が取りまとめた報告書「今後の核融合研究開発の推進方策について」にのっとり判断する。
2.分析に必要な指摘をご記入下さい。
記入項目:
1)依存関係についての留意事項
2)問題点の抽出
設計チームは設計のみを行うのではなく、1~2年程度国内外での実験研究に参画できる柔軟性を持たせる。
3.その他(ご自由にお書き下さい)
エネルギー問題全般の中での核融合の位置づけが変化することもありうるので、核融合エネルギー開発のみに閉じこもることなく、常に広い視野を併せ持つ必要がある。また、社会への発信、国民の意識への浸透などの点も忘れるべきではない。
氏名 常松 俊秀
1.第18回核融合研究作業部会でのロードマップ(参考資料)との関連性(批判的であってもよい)において、中長期的プランを時間軸に沿ってご記入下さい。
記入項目:
1)課題
・原型炉戦略設計コアチーム
2)目的
・原型炉の具体的イメージを作り、設計作業を通じて人材を育成。
・原型炉建設に向けた戦略上の観点から、並行する各要素技術開発に必要な方向性を提言。
3)主体となる担い手と体制(単独、国内協力・連携、国際協力、新たな組織の必要性)
・JAEAあるいはNIFSを拠点とし、産業界も含めた国内協力、連携で実施。
4)規模(人員、予算)
・原型炉戦略設計チームのコアとなる人員は10名程度。
その他、必要に応じて短期、兼務の専門家の流動性を確保。
・予算は年間約5億円程度の見込み。
・但し、原型炉工学設計活動(EDA)移行後は、人員・予算ともに増員・増額が必要。
5)前提となる必要条件や制約条件
・BA活動との連携協力、特にIFERC事業との関係を重視。
・ITER計画とBA活動の本格化を踏まえ、これらと有機的に連携しつつ、我が国独自の事業として実施。
・原型炉工学R&D実施組織との密接な連携が必要。
・原型炉戦略設計コアチームは若手を中心に構成するが、人材育成・確保や技術継承などの視点から世代間のバランスにも配慮が必要。
6)いつまでに、どこまでやることが必要か
・製造設計に到るまでに原型炉の工学設計、工学技術開発、プラント設計などの期間を8-9年と想定すれば、原型炉戦略設計コアチームの活動は2010年頃から2020年頃までの約10年間とし、原型炉の具体的なイメージを確定(概念設計の構築)。
・原型炉概念設計構築に必要なR&Dやコード開発などを一部進めつつ、設計作業を実施。
・この期間は、ITER建設、BA活動を経てITER実験フェーズ及びBA活動終了後における原型炉開発に向けた活動(Post BA)に向けた我が国の推進体制を再構築する重要な時期にあたることから、JT-60SAやITER、テストブランケットモジュール(TBM)などの装置統合技術及びそれを継承する人材の原型炉建設に向けた円滑な移行が不可欠。
・原型炉の工学設計活動(EDA)の本格着手、原型炉工学R&D課題の摘出とその基盤研究など、第四段階核融合研究開発基本計画への移行に必要な基盤構築に指導的な役割を果たす必要。
・本格的な活動を開始するにあたっては、原型炉工学R&D実施組織やBA活動IFERC事業原型炉設計・R&D調整センターなどと相互連携することが特に有効。
2.分析に必要な指摘をご記入下さい。
記入項目:
1)依存関係についての留意事項
・JT-60SAやITERでの研究開発活動、テストブランケットモジュール(TBM)の実機製作やITERでの実装試験、IFMIFの建設着手など、核融合エネルギー開発に関連する要素技術開発と密接に連携して実施。
・ITER計画、BA活動やTBM、更にはPost BAの進捗状況に依存せざるを得ない面と、逆にこれらを促進する役割の両面に留意。
・設計作業を通じて抽出されうる必要な工学技術R&Dの適切な役割分担と実施枠組みの構築、および全体を適切に調整する機能の構築。
・資金や人員の円滑な流れを確保する制度の構築。
・第四段階核融合研究開発基本計画に向けた産学官の実施体制ビジョンの構築と共有。
2)問題点の抽出
2-1)時系列の矛盾
・ITERの進捗状況に伴う原型炉概念設計作業自身への波及は少ないものの、原型炉工学設計活動(EDA)への移行については国の判断を踏まえた対応が必要。
2-2)決定的事項であるにもかかわらず、落ちていること
・建設・製作に実地経験がない若手を、経験を培う場が乏しい中、どのように育成するか。
2-3)それらの理由
・核融合エネルギー開発は世代を跨る長期的な研究開発であるにも拘わらず、JT-60、LHD、ITER EDA規模の建設・製作活動がなくなったこと、など。
・JT-60SAでの設計・製作・建設を通じた実地経験で若手人材の訓練と育成は、JT-60SA計画の大きな狙いの一つ。
3.その他(ご自由にお書き下さい)
氏名 平山 英夫
1.第18回核融合研究作業部会でのロードマップ(参考資料)との関連性(批判的であってもよい)において、中長期的プランを時間軸に沿ってご記入下さい。
記入項目:
1)課題
2)目的
3)主体となる担い手と体制(単独、国内協力・連携、国際協力、新たな組織の必要性)
4)規模(人員、予算)
5)前提となる必要条件や制約条件
6)いつまでに、どこまでやることが必要か
2.分析に必要な指摘をご記入下さい。
記入項目:
1)依存関係についての留意事項
2)問題点の抽出
2-1)時系列の矛盾
2-2)決定的事項であるにもかかわらず、落ちていること
2-3)それらの理由
3.その他(ご自由にお書き下さい)
原型炉を見据えたロードマップということであれば、当然のことながら、どの様な方式を採用するのかということを決める必要が出てくると思います。方式の決定は、核融合のコミュニティの中で行うことになると思いますが、そのような体制はあるのでしょうか。
3つの方式で原型炉の設計を進めるのか、それとも設計チームを組織する段階の前には、方式の決定を行うのでしょうか。どの段階で、どの様な体制で、どの様なやり方で決定するのかを、産業界を含めたコミュニティで決めておく必要があるのではないでしょうか。
文責 堀池
1.第18回核融合研究作業部会でのロードマップ(参考資料)との関連性(批判的であってもよい)において、中長期的プランを時間軸に沿ってご記入下さい。
記入項目:
1)課題
全日本体制による原型炉工学設計活動の構築
2)目的
ITERの建設に並行して、核融合エネルギー利用の基礎学理となる工学基盤を整備し、原型炉設計に必要な技術、不可欠な要素研究の成立性を見積り評価するとともに、より実現性の高い設計概念の採用を可能とする基盤研究の推進体制を確立する。また、その活動を通じて人材育成を図る。このときBA活動における国際チームによる原型炉設計作業とは別に、日本型原型炉の設計検討を独自に進める体制を整備し、この作業を通じて原型炉の建設においてコアとなる人材の育成を図る。
3)主体となる担い手と体制(単独、国内協力・連携、国際協力、新たな組織の必要性)
既存研究機関を拠点とし、その周りにある大学研究者の活動を広く取り込みながら、全日本的な体制を組織して協力連携の下に進める。
全日本の中には産業界の一定且つ継続的な関与が可能な枠組みとする。育成した人材の一部は大学や企業に戻し、設計チームが進める概念設計を、広く関係者が十分に評価ができる体制を構築する。
原型炉概念設計は将来計画の指針を示す役割を果たす。よって他の大型プロジェクトとは別枠の予算を確保することが望ましい。例えば産官学の参加により、「原型炉設計組合」を構築する。将来的には、この組織が原型炉の発注母体の核を構成するなど。
4)規模(人員、予算)
一つの概念について、コアとなる人員は、概念設計段階(2010年から約5年)で10名、その後の工学設計段階(10年)では設計統合、工学開発活動調整に20名程度。厳選された工学課題のR&D数課題に各5名、計30名程度。予算は人件費を除いてBA期間中の2014年までは5億/年、その後、30億x10年。
米国ARIESチームがひとつの例。ARIESチームはコア研究者が数名あって、継続的に安定的な予算をDOEのベースプログラムから得ており、米国内に渡るバーチャルチームを構成して大学や産業界に設計タスクを発注している。
ただしここで言う1名は1年間100%のエフォートで専従する人間数で、工学設計などをはじめとして、5%,10%の低エフォートで進めないと効率が下がる場合が非常に多いと想定され、その場合はエフォートに準じた総員数が必要となる。また設計実施母体として、およそ50%以上は産業界の知見やノウハウを導入して進めることになるものと推定される。
5)前提となる必要条件や制約条件
BA活動期間中は、概念設計活動をIFERCがBA部分はタスクを発行して実施するとともに、国内設計部分の活動を別枠で重点的に進める。BAに国際共同部分があって共同で原型炉設計R&D作業を行っているほかに、BAの外で、それぞれの極には国内部分があり、日欧が異なるコンセプトの原型炉を目指しており、共通でない部分が多く存在する。特に、R&Dの必要な超伝導、ダイバータ、トリチウムなどはBA外で開発されるので、その部分については特段の留意が必要である。
BA活動との連携協力時に留意すること
現時点では原型炉の役割から目標まで、日欧の間はもとより、国内においてもスペクトルの広がりがある。どこが日本にとっての最適なのか、わが国の必要とする核融合像を考え、国内における複数の設計をベースに検討し、日本の原型炉戦略としてまとめた上で、IFERCなどにおけるEUとの設計協議に臨み、日欧で原型炉案を切磋琢磨することが重要。
予算制約条件
学術的な多様性、基盤工学の広がり、技術選択のために、当初は複数の概念を検討する必要がある。一方、概念間で共通する部分、類似する部分は一ヶ所で開発すること、あるいはR&Dと設計の評価を通じて段階的に装置コンセプトを絞込むなどして、予算の肥大化を防ぐ手当を講ずる。
国際協力
日欧での背景となる文化・設計思想の差などから、BAでは必ずしも一つの原型炉に統一するのを前提にはできないし、また国内でも複数案が存在するが、それらを無理にまとめるような条件は付加せず、一定の競争的環境の下で開発を進めることが長期的な視点から重要と考える。例:原子炉の発展段階で、最初に実用化されたのは英黒鉛減速炉であるが、後発の米軽水炉が現在の主流になっており、民間の原子炉メーカーやユーザーの選択までを含めた社会的経済的な選択の余地を残す配慮を最初からしておく方が、核融合の実用化過程での全体な合理化に繋がると推定される。
6)いつまでに、どこまでやることが必要か
ITERでの連続核燃焼試験計画に並行して、炉心からのエネルギー取り出しのための工学基盤構築のための作業が実施されなければ、原型炉設計建設段階へ移行できない。一方、BAがITER運転開始前に終了することや、欧州との合意に基づく研究開発のみしか実施しないことを考慮する必要がある。またBAおよびITER調達活動の終了による技術、人材の散逸も防止する必要がある。このため、ITER計画の帰趨にかかわらず、2010年代中葉からこの原型炉計画に着手する必要性が非常に高い。この計画はITERでのプラズマ試験、TBM試験を補完する意味も含み終了時期はITERでの核燃焼プラズマ試験を想定した2020年代中葉となる。この時期までに、
・目的とする一原型炉の建設設計に必要な技術選択を行う
・原型炉の建設設計の基本となる主要装置のコンセプトを決定する
・原型炉製造設計への移行に必要な(最低限の?)完成度の工学設計を終える。
・原型炉と核融合エネルギーの意義、安全性と環境特性、その開発の必要性と重大性を国民に説明可能な技術コンテンツと評価結果を示す。
ことが必要である。
特に重要な課題は、装置工学、ブランケット工学、ダイバータ工学、燃料工学、材料工学、の5分野である。
1)装置工学:超伝導磁石、ブランケット保守、加熱電流駆動、の設計概念の検討
2)ブランケット工学:核融合炉模擬環境でのモジュール試験。特に、BA後のIFMIF-EVEDA施設を利用したbeam on target試験による高フラックス照射試験。
3)ダイバータ工学:10MW/m2レベルの高温除熱機器概念の選択と成立性評価。
4)燃料工学:熱媒体トリチウム制御、リチウム6濃縮、初期トリチウム
5)材料工学:炉構成材料の技術基準確立と信頼性確保
以上は、設計と並行してR&Dによる確認が必要で、R&D装置の設計製作を可能とする基礎学術基盤と知見がなければ、原型炉概念を特定して具体的な設計活動に持ち込むことができない。また並行して設計基準の整備、核融合炉規制の研究を進めておくことが重要で、そのためには今すぐにでもITERに基準と安全規制の将来の担い手候補を送り込んでおくことが非常に重要である。
進め方
BAでの開発を中心に2010年代中葉までカバーし、その後はBA施設を生かしつつ中性子研究を中核とする炉工学研究を進めるなかで、トリチウム管理技術、規制工学開発までカバーする。IFMIFは、加速器を低エネルギー側から段階的に整備しつつ、中性子工学関連開発を低線量時期に行うことで、原型炉向けの工学基盤装置として整備する。中性子工学は原子力関連研究以外では出てこないエネルギー研究としての大型プロジェクトを位置づける重要キーワードである。
JT-60SAでのプラズマ開発は、ITERを補填する必要性が、今後益々高くなる。また2010年代中葉にはJETがシャットダウンするので、JT-60SAの国際拠点としての重要性はますます高くなることも考慮し、JT-60SAでのプラズマ開発を原型炉のEDA相当開発が終了するまで引っ張ることが重要である。また高プラズマ熱流束ダイバータ試験はJT-60SAで実施することで効率的な開発が可能となる。
2.分析に必要な指摘をご記入下さい。
記入項目:
1)依存関係についての留意事項
● ITERの進捗状況に依存して原型炉の概念設計作業まで細かく変更する必要があるか。
原型炉はITERと並行して行う活動であるためITERの進捗状況には本質的に依存しない。一方、BAには、その補完、後継活動として依存性がある。
● 設計作業において明らかとされる必要な工学技術R&Dを実施する体制をどうするか。
JAEAだけでの実施は困難であろうから、全日本的協力枠組みの整備あるいは組織の再編が必要。なお、組織再編をせずに現状組織体制のままで全日本的協力で実施する場合には、原型炉に向けたR&D全体を調整する仕組み(WBSを書ける機能)は絶対に必要で、それがなければR&D全体を網羅できずに穴ができる懸念がある(やりたい研究だけが実施される可能性がある)。
前述で提案した国内原型炉設計組合は、その調整が可能な能力を持つべきである。
2)問題点の抽出
2-1)時系列の矛盾
ITER工程との間の開発順序としての整合性を確認する必要がある。
強く留意すべきは、地球環境問題への対応策に対する国の長期計画に対しては、時系列上大きな矛盾があることである。すなわち、もしも温暖化ガス排出抑制が2050年までにほとんど完了した場合、その時点でわが国の一次エネルギー需要は現在と比べても大幅に減少しており、またエネルギー代替も終了しているため、核融合エネルギーの2050年以降投入を前提とした原型炉計画は必要性が希薄となる。核融合研究は、国の環境政策との整合性を取る必要がある。
現在のロードマップに沿って進むには、燃焼プラズマが試験できるITERでは誘導電流での300-500秒の燃焼を確認し、高ベータ・定常はJT-60SAで十分な長時間放電を確認したことで、定常燃焼プラズマである原型炉に進むことを前提とすることとなる。
ダイバータとブランケットについては、原型炉に匹敵する熱負荷と中性子負荷を同時に試験できる装置は存在しないので、要素試験とシミュレーションを積み重ねて設計する.このため初期の原型炉においては、ダイバータとブランケットの定期交換を前提に設計建設することを広く国民に理解してもらうよう、説明することが非常に重要である。
2-2)決定的事項であるにもかかわらず、落ちていること
● 上記を前提とするには、シミュレーション研究を併用せざるを得ないが、現状では人材 と開発費が非常に不足しており、人材育成もままならない。(大型計算機だけあればシミュレーション研究が進むわけではない。)
● 超電導コイルの仕様が原型炉の設計を大きく変えるが、原型炉に向けたNb3Alコイルの 研究計画がほぼないに等しい。いまのままであれば、原型炉もNb3Snにせざるを得ず、低磁場に起因した大型化(高建設コスト)が予想される。
● 原型炉設計に沿ったブランケットやダイバータの試験を実施する「炉工学総合試験装置」(非核的装置)の計画は核融合エネルギーフォーラムのロードマップで指摘されており、具体化が望まれる。
● 原型炉段階に進む時点ではLi6濃縮技術の実用化についての知見が重要となるが、現在の研究規模は小さく、同位体濃縮についての方針決定が必要である。
● 設計基準をまとめていくための取り組みが存在しない。また並行して核融合炉規制の研究を進めておくことが重要で、そのためには今すぐにでもITERに基準と安全規制の将来の担い手候補を送り込んでおくことが非常に重要である。
2-3)それらの理由
ロードマップに沿った概念設計作業や原型炉に向けたR&Dを開始するための決定が何もなされていないために、該当する予算枠もない。BAでできるR&Dは非常に限定的である。
これらの原型炉向けR&Dに、科研費は性格的にも規模的にも期間的にもなじまない。科研費では産業界への外注作業が困難であることも留意すべきである。
3.その他(ご自由にお書き下さい)
産業界は、ロードマップに沿った原型炉への取り組みがなされつつあることを明確にすることを要請している。ITERの結果が出るまで何もせずに待つのでなく、概念設計程度は前倒しで実施すべきで、そのための「新段階」に入ることを、なんらかの形で宣言するなど何らかの意志表明をすべきである。5年程度の期間に原型炉の主概念を決めてその実現に必須のR&Dを絞り込み、2010年代後半からは、それらのR&Dへ十分な予算配分を行って効果的なR&Dを進めたい。
氏名 松田 愼三郎
1.第18回核融合研究作業部会でのロードマップ(参考資料)との関連性(批判的であってもよい)において、中長期的プランを時間軸に沿ってご記入下さい。
記入項目:
1)課題
原型炉政策課題
2)目的
社会に受け入れられる、原型炉の各段階に入るための政策課題を明確にする。
3)主体となる担い手と体制(単独、国内協力・連携、国際協力、新たな組織の必要性)
原子力委員会、総合科学技術会議、科学技術・学術審議会
4)規模(人員、予算)
5)前提となる必要条件や制約条件
21世紀中葉に核融合エネルギーの市場参入
6)いつまでに、どこまでやることが必要か
第1段階に入るために、何時までに核融合方式を一つに絞るかを明示すること。第1段階で直ちに一方式に絞る必要は無いが、方式を絞ることを第2段階に入る条件とすること。即ち、核融合炉の方式を絞って集中投資することが社会的理解を得るために必要条件。
2.分析に必要な指摘をご記入下さい。
記入項目:
1)依存関係についての留意事項
原型炉第1段階にはいるためには核融合界が第2段階に入る条件を覚悟すること。複数の組織で進めていた開発を一つの組織に纏め、絞った方式に集中すること。
第2段階に入るためには予算規模から判断して第4段階核融合基本計画に入る必要がある。
2)問題点の抽出
2-1)時系列の矛盾
いつまでも各方式の計画が続くことの矛盾。昭和40年代の考えがいつまでも社会に通じない。各方式の重要技術的課題を同定し、段階展開比較評価する。例えば、ヘリカル方式を仮に採用するとした場合、ITERの次に本当に発電炉を構想し得るのか、シナリオと各装置の技術的評価が必要。
2-2)決定的事項であるにもかかわらず、落ちていること
今の研究体制がいつまでも続くことの幻想を除くこと。関係機関の近未来の統合構想まで考えたうえで、移行期間にあるべき現在をどうすべきかを検討すべき。
2-3)それらの理由
必要な人材の確保を考えると、統合以外の方向は見いだせない。また、外に対しては核融合界が真剣に核融合エネルギーの実現を考えている証左となる。
3.その他(ご自由にお書き下さい)
原型炉段階に入ることを国として認めるためには少なくとも科学者の意見が一致していないといけない。
氏名 松田 愼三郎
1.第18回核融合研究作業部会でのロードマップ(参考資料)との関連性(批判的であってもよい)において、中長期的プランを時間軸に沿ってご記入下さい。
記入項目:
1)課題 原型炉計画の実施
原型炉実現に至る技術課題
2)目的
核融合エネルギーの実現(商用実現の技術的実証)
3)主体となる担い手と体制(単独、国内協力・連携、国際協力、新たな組織の必要性)
我が国単独を基本とするが、国際協力を一部取り入れる。他国も独自に原型炉の建設に向かうという前提である。そのような前提の下で、相互に成果を交換する意味での国際協力は積極的に推進すべき。 理由は、各国は1種類の原型炉しか建設できないが、原型炉にはそれぞれの特徴を有する数種類のものが考えられるが、一国では複数の原型炉を作ろうとしても資金的に困難が予想されるからである。
下記第2段階以降の開発の主体は核融合研究開発機構。我が国の全日本的協力などという曖昧な概念の構想は意味がない。何処が主体になろうとも、その主体が人材を広く求めることはあたりまえのこと。それを越えての連携という場合に、組織として独立のままという概念であるならば、司令塔の組織以外の法人は契約を通じてプロジェクトの目的に応じて傘下になければいけない。
4)規模(人員、予算)
1兆円規模。人員はその中で考える。人員と予算を分けて考えるべきではない。
第1段階: 設計年間10億円、R&D費年間50億円 5年間 合計300億円
第2段階:設計費年間20~30億円、R&D費年間100~150億円 5~6年間 合計1000億円
第3段階:建設費 8500億円
全体資金をどのように割り振るかはフレキシブルに考えられる。ただし、工程とリンクする。
以上の中にはITER・BAの活動費、SAの建設・運転費、IFMIFの建設・運転費は含まれない。
5)前提となる必要条件や制約条件
事業主体を早期に同定する。事業主体に人を集めるか、契約により事業の一部を外部に委託するかは原型炉の開発段階による。
6)いつまでに、どこまでやることが必要か
2030年代のうちに発電の実証まで行う。このためには、3段階を踏む。
第1段階:原型炉概念設計段階
概念設計と長期間の研究開発が必要なR&D
第2段階:原型炉詳細設計段階
原型炉基本仕様の決定と詳細設計、及び建設開始に必要なR&D
第3段階:原型炉建設段階
発注仕様書の決定と、発注、製作、組み立て及び完成までの試験
第4段階:原型炉運転段階
総合試験の開始、発電の実証までの段階
その後の信頼性、経済性向上を目的とした改良試験
2.分析に必要な指摘をご記入下さい。
記入項目:
1)依存関係についての留意事項
2)問題点の抽出
2-1)時系列の矛盾
2-2)決定的事項であるにもかかわらず、落ちていること
企業の参画が必須条件となる。原型炉計画を国の政策として打ち立てことにより、将来の見通し(建設へのコミット)を立てること、或いは企業から参加の人件費に十分な利益を付加するか、企業に発注するR&Dの規模が人の派遣をカバーするだけの規模であるか、いずれかの配慮がない場合には、どのように要請しても実効はない。
2-3)それらの理由
原子力開発(原発)の受注の下で、核融合に先行投資していた時代と、現在とでは企業の経営環境が全く異なっている。今後は各段階に於いて企業に適正なメリットが確保できるものでなければならない。
3.その他(ご自由にお書き下さい)
燃料のトリチウムを確保するためのTBRが確保できるか否かは炉型の選択に大きな影響を与える。大きなTBRを確保できるブランケットシステムが構想できる場合は問題がないが、おそらく、トリチウム確保に必要なTBRをぎりぎりのところで実現できる程度であろう。その場合、高Q・定常・高β運転の実現が原型炉に於いてはじめて実現することを考慮すると、加熱・電流駆動装置に適切な尤度を持たせる必要があろう。このためのポートの占有率はTBRの確保に制約を与えるであろう。
ITERの定常運転に於いてどこまで信頼性が高い外挿可能な成果を得るかは原型炉の加熱電流駆動システムの尤度の確保に大きな影響を与える。
氏名 吉田 直亮
1.第18回核融合研究作業部会でのロードマップ(参考資料)との関連性(批判的であってもよい)において、中長期的プランを時間軸に沿ってご記入下さい。
記入項目:
1)課題
先進ダイバータ材料の開発
2)目的
ITERにおいては核燃焼段階でのダイバータ板にタングステンを使うことが基本的な方針となってきた。しかし一方では、現状のタングステン材料ではELMなどの厳しい熱負荷やヘリウムプラズマや中性子による照射損傷に十分耐えられない可能性を示唆する研究結果も相次いで報告されている。このような状況を踏まえて、現状のタングステン材料の抜本的な見直しと、ITERおよび原型炉のダイバータ板として使用できる先進的なタングステン材料を開発することを目的とする。
3)主体となる担い手と体制(単独、国内協力・連携、国際協力、新たな組織の必要性)
核融合炉開発をめざした総合工学に取り組むNIFSを拠点機関とし、当機関の全国共同利用のシステムを活用することによってJAEA、大学、メーカーの連携で行う。
4)規模(人員、予算)
コアとなる人員は4-5名程度。特に、材料メーカーからの参加が重要である。
初期投資として2億円程度、年間経費として5千万円程度が見込まれる。
5)前提となる必要条件や制約条件
炉設計活動との強いリンクおよび材料メーカーなど産業界との共同開発が前提となる。
6)いつまでに、どこまでやることが必要か
既存タングステン材料のITER用ダイバータアーマー材としての総合的評価と改良指針の決定(先行的開発研究を実施)(2年程度)
新材料の試作、評価(3年程度)
この研究を2016年頃までに完了し、研究成果の評価を経て、実用化に向けた開発段階に移行する。
2.分析に必要な指摘をご記入下さい。
記入項目:
1)依存関係についての留意事項
材料が受ける影響はダイバータプラズマのパラメータに依存するため、材料側から材料の健全性を保障するためのプラズマ負荷の限界値を提示し、プラズマ制御側の工夫を求めることも必要である。
材料メーカーの開発意欲(将来に向けても投資効果が期待できること)
2)問題点の抽出
2-1)時系列の矛盾
ITERの進捗状況。
2026年までの製品化を目指すためには厳しい開発工程の管理が必要である。
2-2)決定的事項であるにもかかわらず、落ちていること
現状ではITER参加極間でタングステン材料に関する問題意識に差が有る。効率的な開発を進めITERのリスクを低減するためには、国際協力のプログラムとして発展させる努力も必要であろう。
2-3)それらの理由
タングステンのプラズマ照射効果や中性子照射効果に関する研究は我が国が先行する状況であり、他国において問題認識に時間的な遅れが生じている。
3.その他(ご自由にお書き下さい)
材料メーカーやこれまで積極的に核融合研究に携わっていない高融点金属の専門家との協力関係を積極的に構築することが肝要である。
研究開発局研究開発戦略官付