資料2−2

核融合エネルギーの実現に向けた取組体制について(依頼事項)

核融合エネルギーフォーラム議長
佐藤 文隆 殿

平成19年10月18日
文部科学省研究開発局研究開発戦略官
松尾 泰樹

 ITER(イーター)計画について、間もなく協定発効が見込まれ、本格的にプロジェクトが開始されつつあるところです。

 このような中、「今後の核融合研究開発の推進方策について」(平成17年10月26日、原子力委員会核融合専門部会、以下、専門部会という)において、核融合エネルギーについては「21世紀中葉までに実用化の目処を得るべく研究開発を促進する必要がある」旨指摘されています。

 本年6月に、文部科学省科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会原子力分野の研究開発に関する委員会核融合研究作業部会(以下、作業部会という)において「ITER(イーター)計画、幅広いアプローチをはじめとする我が国の核融合研究の推進方策について」(平成19年6月27日)が報告され、ITER(イーター)計画及び幅広いアプローチの実施において、産業界との連携、産業界への技術の蓄積の必要性について指摘されています。
 ITER(イーター)計画は、当初10年の建設期では、まさに産業界の協力が不可欠であり、更に実用化に向けては今後の技術開発戦略に関する産業界の認識の共有化を図り、その上で現在どのような連携・協力のあり方が必要か検討することが重要と考えられます。
 つきましては、「21世紀中葉までに核融合エネルギーの実用化の目処を得る」ことを目標とした一つのケーススタディとして、産学官の協力の在り方も含め、今後我が国が確保すべき核となる技術及び技術開発戦略について、年内を目処にご検討いただきますようお願いいたします。

 また、専門部会報告書において、「これまでの核融合研究においては、大学での中小規模の実験装置での萌芽的、革新的研究が、このような若手研究者・技術者育成には大変有効に機能し」、「共同研究や日米科学技術協力事業等の国際協力等も、若手研究者・技術者の活躍の舞台として有意義であった」一方で、「産業界では、核融合に関する受注の減少から、技術者の大部分が核融合分野から他の分野に移動しており、技術の維持・継承が難しくなっている」ところ、「将来の核融合研究開発を担うためのバランスのとれた人材の育成が急務であり、そのために大学等の教育機関における研究教育のほか、研究所や産業界における実施教育は極めて重要」であると指摘されています。
 実用化という将来を見据えた人材育成については、作業部会においても検討課題としており、人材が補強されるべき分野や確保・継承されるべき分野、またはそのための国内の人材育成のあり方などについて意見を集約・検討いただきますようお願いいたします。

(了)