原子力分野の研究開発に関する委員会 核融合研究作業部会(第22回) 議事録

1.日時

平成22年2月22日火曜日 15時~17時

2.場所

文部科学省16階 16F2会議室

3.議題

  1. 核融合研究開発のあり方について
  2. その他

4.出席者

委員

本島主査、疇地委員、石塚委員、香山委員、小森委員、小森委員、髙村委員、常松委員、松田委員、吉田委員

文部科学省

山本核融合科学専門官、河原国際原子力協力官、吉田科学官、山田学術調査官

5.議事録

【本島主査】  どうも、きょうもお忙しい中を集まっていただきましてありがとうございます。第22回の核融合研究作業部会を開催いたします。

 きょうは平成22年2月2日なのですね。今年のIAEA開催国の韓国のG.S.Lee先生のまねではありませんがきれいに4桁そろいました(10.10.10)。いえ、もっとそろっていて第22回。――これはすごいです。やっぱりきょうはかなりの結論を出さないといけないのではないでしょうか。

 それでは、作業部会を始めます。きょうの議事につきましては、引き続き核融合研究開発のあり方につきましてインテンシブなご議論をお願いしたいと考えています。

 委員の先生方の出欠につきましては、大島委員、笹尾委員、東嶋委員、平山委員、堀池委員の5名がご欠席でして、香山先生が少しおくれて来られるようですが、開催させていただきます。

 それでは、配付資料の確認を恒例に従いましてお願いできますでしょうか。

【山本核融合科学専門官】  それでは、配付資料を確認していただきたいと思います。議事次第に配付資料が書いてございますが、それに基づきまして確認をお願いいたします。

 資料1でありますが、「『必要な研究基盤』に関する諮問・検討事項について(ワークシート)」、これは修正・追加提出をいただいたものをまとめたものでございます。

 それから資料2でございますが、「原型炉設計チームのケーススタディーについて」ということで、前回のご議論の中で核融合科学研究所とJAEAそれぞれ、もし自分のところで原型炉設計チームというものをつくるとすればどのようなものが考えられるかというようなことで、それぞれおまとめいただいたものを提出いただいております。それが資料2でございます。

 それから資料3は、「核融合研究推進のロードマップと必要な施策に関する方向感について(案)」でございます。

 それから参考資料としまして、「核融合分野における国際プロジェクト及び国内政策等の主な今後のスケジュール(案)」ということでお配りをしてございます。こういうカラーの1枚のA3の表でございます。

 それからすみません、きょう、千原戦略官でございますが、急な用事で省内を駆け回っておりまして、済み次第出席するということでございますが、ちょっと場合によっては失礼させていただく可能性もございますので、恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

 資料につきましては、もし不足などございましたら、お申し出をいただきたいと思います。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、議事に早速入りたいと思います。お手元の議事次第にありますとおり、(1)のあり方につきましては、1から3まで、必要な研究基盤、原型炉設計チーム、ロードマップ、その3点が少なくともございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、核融合研究開発、最初の議題ですが、まず、ワークシートについて、今、山本専門官よりご説明があったとおりですが、追加提出いただいた委員の先生にご説明を3分から4分でお願いしたいと思います。委員3名より5つのシートの提出がお手元の資料のとおりあるわけです。最初に疇地委員からお願いいたします。よろしいでしょうか。

【疇地委員】  はい。お手元の資料の1ページで、重要な変更について赤字のところで示させていただきました。研究開発の課題についてはFIREXで点火燃焼をを行い、それを基にレーザー核融合実験炉LIFTで正味発電実証をするという、これが今の計画です。LIFTについては、発電をするのに実験炉というのはどういうことかというのはよく聞かれますが、これは名前の問題なので、とりあえず今まで使ってきた名前でお話をさせていただきます。

 それから前回、主査の方から言われた宿題は、レーザーがトカマク原型炉に対してどういうコミットができるのかについてある程度明らかにしていただきたいということだったので、目的について1つつけ加えさせていただいています。第一義的な目的は負荷変動に迅速に対応できるコンパクトな核融合エネルギーの開発ということですけれども、それに加えて、高輝度の中性子源として、ブランケット開発や炉材料開発に活用したらどうか、こういうことをつけ加えさせていただきました。

 次に、2ページの前提となる必要条件、制約条件については、一体何を始めるための必要条件なのかという、松田委員のご質問がございましたので、まずはFIREX-2とLIFTの工学設計開始の条件であると明示をさせていただいています。それに合わせてLIFTの建設開始の条件として、新たに高速点火・燃焼の実証と、その前段階である繰り返し工学試験での炉心プラズマ生成についても明示させていただきました。

 2ページの最後に、繰り返し工学試験とレーザー核融合実験炉からどれだけの中性子が出て来るのかについても明示的に書かせていただいています。繰り返し工学試験は、これは阪大レーザー研での実績に基づく値で、1×10の13乗個/秒、それから実験炉での中性子源としての役割は4×10の18乗個/秒、これは予測に基づいた値です。これは相当な中性子生成数なので、中性子源としても一定程度の役割を果たせるのではないかと思います。

 最後の4ページに蛇足として、大阪大学の学術研究は今後どうしていくのかということをロードマップに書かせていただきました。これは、核融合研のロードマップが、核融合エネルギー開発と学術研究の将来計画のパラレルになっていることに倣っています。この下の矢印が大阪大学の計画を示しており、今まで、高エネルギー密度科学の開拓と核融合学術基盤形成を進めてきて、2011年ぐらいから高エネルギー密度科学の新展開として、このまま真っすぐ伸びていくことになります。他方核融合についてはどこかの時点で開発的な方向にギアをチェンジする必要がある、こう思っています。

 以上です。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、全体を通しての議論はそれぞれの説明が終わった後、もう一度時間をとりたいと思いますが、何か内容についての事実確認またはご意見はありますでしょうか。

【吉田委員】  よろしいですか。

 ブランケット開発や材料研究に活用する中性子源としてということなんですが、これはどれくらいのdpaレートで、これはパルスなので何とも言いにくいかもしれないんですけれども、どれくらいの、ここで個数は書いてありますけれども、置く場所とか評価によってこれはもう極端に違いますよね。

【疇地委員】  わかりました。そうですね。4×10の18乗/秒の場合に、例えば50センチの位置に材料を置いたときには20dpaです。

【吉田委員】  20dpaがどれくらいでかせげるんですか。

【疇地委員】  大きさですか。

【吉田委員】  いや、20dpaというのは。

【疇地委員】  パー・イヤーです。

【吉田委員】  パー・イヤー。これは連続運転を仮定してですか。

【疇地委員】  連続運転を仮定しての数字、連続運転でパルス運転ですけれども。

【吉田委員】  パルスの連続運転を。

【疇地委員】  はい。パルス運転の場合にどういう影響があるかというのは今後検討する課題があります。その検討がOKの場合、IFMIFの相補的な役割を果たせるのではないかと思われることが2点あって、1つは、これは単色の14ミリオン・エレクトロンボルトの中性子源なので、IFMIFでニュートロニクスをいろいろ使って計算をされていることを検証することができるのではないかというのが1つと、もう1つは、非常に小さな材料であれば、もっと近づけて、材料の加速試験を行うことができる可能性があります。

【吉田委員】  はい。パルスということが、現象によるんですけれども、大きく変わる可能性もあるし、まあちょっとこの辺は。ただ、こういう方向を目指しておられるということですね。

【疇地委員】  はい。

【本島主査】  ありがとうございました。ほかにありますでしょうか。

 どうぞ、松田委員。

【松田委員】  目的のところのNIFの10分の1程度の規模でというのは、10分の1程度というのは何の規模ですか。資金規模か、レーザーパワーの規模か、何か。

【疇地委員】  レーザーエネルギーの規模です。で、資金というのはレーザーエネルギーにほぼ比例しますので、そういう意味ではNIFの建設コストのほぼ10分の1ぐらいと。

【本島主査】  この中性子源というアイデアは、長期というかずっと前から検討されてこられたんですか。

【疇地委員】  ええ、材料試験という形ではなくて、産業応用、医療応用ということで検討してきました。

【本島主査】  小型のですね。

【疇地委員】  はい、もう少し小型の中性子源でできることを検討してきました。その先に材料試験やブランケット試験に使うというプロジェクションは今まであったんですけれども、それをもう少し現実化していく方向にやったらどうかと思っています。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、後ほどまたまとめてということで、先に進ませていただきます。

 続きまして、髙村委員、お願いいたします。

【髙村委員】  私は、改訂でそんなに大きく変えたところはございませんけれども、前回の議論で、ちょっと誤解というか、原型炉の設計にウエートを置いたようなとらえ方をされた部分がありますので、そこのところを少し補てんというか、要するに、課題は変わりませんけれども、目的として、例えば1番目には、原型炉のコンセプト・概念設計を確立するとともにその戦略を立てる、そういう研究戦略を立てていき、それから3番目には岡野レポートにある主要R&D9項目を中心に中枢の研究課題を実施すると。この実施の仕方はいろいろ考えられるんですけれども、大学、核融合研、原子力機構で実施する分、あるいは、この、DRSPと呼んでいますけれども、そこ自身で研究を展開する部分も含ませたいという趣旨、そこのところがあまり伝わらなかったので、そこを少し補足させていただきました。

 それで、あとは2ページ目あたりですか、同じことを別の角度から言っていますけれども、前提となる制約条件の2番目に、DRSP内の研究を含め、関連研究機関及び産業界をまとめる、統合という言葉で表現しております。それから、独自の研究施設は共同研究に供するということで、そういうような機能も持たせたらいいのではないだろうか。

 それから、いつまでにどこまでやることが必要かということで、原子力委員会の考え方をとっておりますが、ただ、第4段階核融合開発計画がスタートするまで段階的に規模の拡充を図っていくという必要があるのではないかということをつけ加えました。

 それから問題点の抽出のところでも、さらに若干だめ押しになりますけれども、設計を試みることが主目的ではなく、デモ実現への戦略を立てて、重要課題を実施・統合することにあるということです。あと、2番目に書いてあるのは、前回もお話ししましたけれども、フレキシビリティーを持たせるということです。

 それから3番目、一番最後に書いたことは、エネルギー問題としていろいろ世の中が動いていますので、そういうものを常にウオッチしながら核融合の魅力をアピールしていく必要もあるのではないかということを指摘させていただきました。

 以上です。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 それでは同じように何か、確認の意味もありまして、質問等ありますでしょうか。

 松田委員、どうぞ。

【松田委員】  3番の「主体となる担い手と体制」の(1)のIFERCを発展させJAEAの組織を越える性格を持たせるという記述があるんですが、もうちょっと具体的に、どういうことがJAEAの組織を越えて、もうちょっとわかりやすくご説明いただきたい。

【髙村委員】  必ずしも具体的なイメージを持っているわけではありませんけれども、JAEAの中に完全に組み込まれるという形よりも、バーチャルではなくて、しっかりした予算執行機能を持たせるんだけれども、かといって、それを完全に独立した機構をつくるというのは、こういう時世ですので大変難しいということで、何らかの形で、実務的なオーソライゼーションというか、そういうものはJAEAでやる、あるいはNIFSの場合もあると思うんですけれども、何かうまく工夫して、ある程度JAEAもNIFSも大学もうまく統合できるような、そういうシステムができないかなというのが私の、まあこれは幻想的なことかもしれませんが、我々が知恵を出して何とかそういう、場合によっては新しいものをつくるのか、あるいは知恵を絞って出していくということで。あんまり答えになっていませんけれども、そういう希望的な面も含めています。

【香山委員】  1つよろしければ、これと関連していくと、1と3とのつながりがちょっとよく、理解に苦しむんですけれども、これはむしろ(1)と(3)とつなげれば、IFERCを発展させJAEA並びにNIFSの組織を越えるとかすれば。

【髙村委員】  そういうニュアンスで私は考えておりました。

【香山委員】  そうですか。ただ、これを読むとやはり、困難であればNIFSを担い手とすると書かれているから、明確に。

【髙村委員】  はい、多分、機構単独でそういう機関を新たに立ち上げるということはまだほとんど不可能じゃないかなとは思うんですね。

【香山委員】  理想としては、JAEAの持っている限界を超えたものが欲しい。一方、NIFSの限界を超えたものも欲しい、それでやはり新しい展開をするんだと。むしろそれを明確に書かれたほうがいいと思うんですけれども。

【髙村委員】  いや、趣旨としてはそういうことなんですけれども。

【香山委員】  それからやはり、その後でまた、細かいかもしれないんですけれども、BAとしての狭い意味のIFERCの意味を持たせながら発展させるというのは、普通、発展というのは当然もともとのものの大事な部分は残しながらよりいいものだから、ここの部分は要らないような気がするんですけれども、理想としては非常に、多分同じ理解だと思うんですけれども、表現の上で。

【髙村委員】  ええ、そうですね。

【本島主査】  関連して吉田先生。

【吉田委員】  この組織もあるんですが、これは実際にここが研究の主体になるんじゃなくて、リーダーシップをとるというところですか、それともオーガナイゼーションをやるような。

【髙村委員】  そこはちょっと私は、単なる設計をやる部隊が集まっているところではなくて、先ほども書きましたけれども、そこが中心になって日本のデモに対する戦略を考えていく。例えばロードマップとか、岡野さんの言っているようなR&Dの項目がほんとうに必要なのかどうか。

【吉田委員】  ただ、それをやるときに、ここはやるというよりか、ここがリーダーシップをとって組織を組むということなんですか。それとも、実際ここが実施本体なのか、それによってえらい規模が違いますよね。

【髙村委員】  そうですね、ただ、そういうソフトというのか、あるいは戦略だけをやるのではなくて、ある程度の研究部隊といいますか、持ったほうがよいと思います。ですから、ある意味、研究所的な機能も持たせると。だけど、そこでやっていることだけがその任務ではなくて、いろいろな大学でやっていること、あるいは産業界でやっていることや、核融合研、JAEAでやっているようなこともそこに全部統合できるように、それでそこで評価して、あるいはデモに関することはそこから予算が流れていくとか、そういうようなものができれば非常にいいんじゃないかなというふうに私は考えているんですけれども。

【松田委員】  これは独法とも相入れない考えだと思うんですよね。いや、チャレンジするならするでいいんですけれども、組織上のイメージがどうしてもわかないんですよ。

【髙村委員】  既存のものではないかもしれませんね。

【松田委員】  うん。

【香山委員】  確かに考えどころだけれども、でもこういう機能が明らかに欠如していると、ある意味では。だから、きちっとしたそういうものが要るというところは共通認識なんですよね。それを具体化するのにどうかという。多分組織論としては、今、松田さんがおっしゃったみたいな問題が起こるかもしれないけれども、まずはこういうものが要るし、そこが単なるセンターになってリーダーがいるだけじゃなくて、それなりの機能も持った、それなりのアクティビティーを持ったものである必要があるというのは非常に大事な点だとは思うんですけれどもね。

【松田委員】  機能を持った新しいものをJAEAとNIFSのほかにつくりなさい、そういうことですか。

【髙村委員】  ですから、じゃあJAEAがあって今の新しいものがあってNIFSがあるというのはなかなか一般的には受け入れられないであろうと。だから、そこを何か……私は具体的にアイデアがあるわけではなくて。

【香山委員】  必要なものを統合したっていいんじゃないですか、こっちへ行く。こっちから持ってきて何かにそういう統合したものをつくったっていいわけで、並べてという意味ではないと思うんですね。

【本島主査】  それではよろしいでしょうか。新しいものをつくる必要があるということでは意見の一致は得られると思いますので、それを報告書にどう書いていくかということだと思います。

 それで、実際に組織というか準組織をつくるときには、ある機関に、今の議論ですと、その機関を超えたものをつくりなさいと指示することになりますから、結構難しことになります。組織は何もないところから立ち上がりませんから。したがって、それはロードマップの議論にも直接関連することになります。

 次に進みたいと思います。常松委員が、これは全部やはり読んでいただいてということにせざるを得ないぐらいに書いていただいていますが、今のところにも関係する部分もありますので、すみませんがコンパクトにご説明をお願い致します。

【常松委員】  はい。

【本島主査】  最後にこのワークシートについては、科学官のほうから少し今後の反映の仕方等も含めて話をしていただけるとありがたいと思うんですが。

 じゃあ、常松委員、お願いします。

【常松委員】  はい。本来、もっと早くお出しするのが、ちょっと私の都合で。

 まず、JT-60SA計画でございます。これは非常にスペシフィックな話で、もともとの計画が、目的に書いてありますように、ITERやトカマク型の原型炉を直接見通すことができる大型超伝導装置として、ITERの技術目標達成のための支援研究、ITERでイニシアチブをとるためのいろいろな研究をするのと、原型炉に向けたITERの補完研究、基本的には非常に高いベータ、逆に言えば、加熱密度とすればITERの数倍のもののプラズマが持ちこたえるかどうかということの研究で、なおそれに付随して実験・運転を主導していくとか、前後しますが、ITERでは国際機関、しかも彼らが主で行うということで、トカマクの組み立て、コアになるところでは、非ホストでは得がたいものを設計統合技術を産業界と協力して、しょせん超伝導トカマクで、サイズは違っても似たようなものだということで、いきなりJT-60から原型炉に飛ぶんじゃないというようなところの補完もやろうと思いますが、それと技術や技能者の育成及び技術継承ということがあります。

 担い手は、BA計画の一環でございますから、JAEA拠点。それから国内重点化装置という側面からもJAEAが拠点とはなりますが、研究そのものはオールジャパンでしかるべき組織を通じてやるということになります。

 規模は、人員、予算と書いてありますが、予算は研究計画の中身が現在、議論中でありましてなかなか出てこないものですから、人数だけ書きました。大体、原子力機構の人が200人、フィジシストが半分から3分の2、残りはいろいろな機械関係とかというのはあるでしょう。国内の共同研究者は、大体原子力機構と同じだったんですが、少しこれは現状より水増ししてあるかな、1.5倍ぐらい、まあ200から250。と同時に、欧州を中心としての200から300ということで、現在の規模、今までの規模からすると二、三倍というところだと思います。それで大体サイクル数が出てくるとは思うんですが、ちょっと予算は何とも今、書きようがないので書いてございません。

 5)以降は、今までにいろいろ言ってございますことなので、要は、ITERの実験をいかにイニシアチブを握るかというのと、原型炉にいかにプラズマ物理をつないでいくかということが5)、6)に書いてございます。

 特に次のページ、8ページですか、2ページですか、それの、「いつまでに、どこまでやることが必要か」というのは、ここが60の建設、運転、それから今後、次に出てきます炉工学、原型炉設計チーム、すべてを通じてのあれなんですが、若手の訓練の場、特に国際的な訓練の場として、線の引いてあるところの後半に書いてありますように、ITER運転への参加や原型炉開発への参加に当たって国際感覚を備えた世界的リーダーとなり得る研究者、技術者、技能者の育成に貢献と。まあ随分ふろしきを広げた言い方になっていますが、これがある意味で現在の我々原子力機構の中でも核融合に1つ課せられた課題ですし、おそらくオールジャパンに対しても同じなんだろうというので、ここを割と強調させていただきました。

 個々の研究技術は、皆さんご存じのとおりでございます。

 以上がSAでございます。

 続けさせていただきまして、次の炉工学、これは岡野先生のロードマップを全部とったわけじゃなくて、特にブランケットと材料に焦点を絞りました。ブランケットという場合にはダイバーターなんかも含みと考えてください。ややこしい機器を含みです。

 目的は、ITERを利用したブランケットなど炉内機器の工学設計の実施及び原型炉に向けた設計技術の確立、それから原型炉に向けた構造材料の基盤データの蓄積及び構造基準などの確立。それと、これが要素技術ですが、そいつを組み合わせた工学設計段階における原型炉R&Dの実施というふうにちょっと広げていますかね。ここはかなりの規模になると思います。

 担い手。JAEAあるいはNIFSを拠点として産業界も含めた、これは大学とかも当然入っていると考えてください。我々の場合、大学というのは、どうもNIFSさんを基点として見るくせがありますので、ここに学術研究が入っているというふうにお考えください。

 人員、予算規模というのは、これもまあどこから出てきた数字というあれじゃないんですが、大体、1980年代後半のCDAからEDAに移るぐらいの時期の規模をここに入れただけです。60人が100人かもしれませんし、ただ、10人ではないという。それから予算もあのころ多分20億から40億ぐらいだったかもしれませんね。ですから、中をとって30億程度とやっただけでありまして、積み上げたわけじゃございません。いわゆるフルサイズのR&Dに行く前夜のところという位置づけをしてございます。

 いつまでにというのが、これはなかなか工学は難しいんですが、前にちょっと座長からご指名でITERとの関係をご説明したときに、この辺はITERを待たずに今すぐにでも走るべきものだろうということをお話ししたと思います。ですから、ITERを利用した工学試験といっても、その準備は今からやっているわけでありまして、2010年ごろから運転開始後の10年後の2030年ごろまでというのは、このプリカーサーになるあろうと。工学設計にここから入ると、実規模大というのが入ってまいります。まあこのぐらいのタイムスケールかなという気がいたします。いわゆる実験炉の場合より若干10年ぐらい長いかなという。あとはどうってことないです。

 以上ですかね、私は。

【本島主査】  もう一つ。

【常松委員】  もう一つありましたか。これは何だっけ……コアチームは前にお話ししましたが、もう一回やったほうが……。

【本島主査】  何か加えたところはないんですか。

【常松委員】  加えたところはありません。線を引いただけです。おそらくそれのエクステンションが資料2の話になります。

 以上でございます。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、引き続いて内容の確認、質問等をお願いしたいと思いますが。

【吉田委員】  幾つかあるんですけれども、最初のJT-60SA計画ですが、目的のところで、非ホスト国には得がたい装置統合技術の産業界を含む蓄積と。そのためにもこれが大事なんだというおっしゃり方をされたんですけれども、ITERへの参画というのはやはりそのことも含まれていて、そのためにどんどん人を派遣するということも、これは入ってきている。ですから……。

【常松委員】  ならないこともあります。

【吉田委員】  だから、あまりこれを強調すると、少し矛盾が来るんじゃないかと思うんですけれども。

【常松委員】  いいえ。なぜかといいますと、要は、割譲分がどうか知らないんですけれども、コントリビューションは10%から20%です。その中で、いかに頑張ってもそれ以上のバックというのは100%ありません。一番の問題は、初期組み立てとコミッショニングとか一連のプロセスにどこまで立ち会えるかですが、フルにはできません。やはりそこだけは自分でやらないならんというので、トカマクの中心になるところは、ニュークリアかノンニュークリアかは別として、LHDも含めて巨大な超伝導施設を自分たちが産業界を含めて組み立てて運転ができるかというところは、いかにITERに人を送っても、これは絶対できます。したがって、BAで60の中へ入れたときに、そこを根幹に入れたというのはそういうことです。これだけはやらないと、現に今のITERでも、今の60でも、装置を組み立てた人がいないんです。今、訓練しているところなんです。このままいって、ITERにいくら参加したって、原型炉を組み立てる人は国内にほとんどいなくなりますし、帰ってきた人間でできるというのは限りません。産業界のご協力がないとこれはできないことですから。そこだけはぜひ強調させていただきたい。

【吉田委員】  言っていることはよくわかるんですけれども、やはりまずはITERに最大限の人を送り込むという努力というのが……。

【常松委員】  送ったって20人です。それが全部組み立てに行くわけじゃないんです。やはり数百人の人間がああいう重量物でハイテクのものを組み立てて運転まで持っていくというのは別の技術で、そこは同じものじゃありませんし、ITERでは絶対に取得できないと私は思います。

【香山委員】  やはり人材育成の中身も違うし、当然、質的な意味でもチームワークという意味でも違ってくるし、それは両方の要素が必要だということでは、いいんじゃないですか、これ。これを書くとITERが魅力が薄れるということじゃないから。

【吉田委員】  いや、それは必要だと思うんですよ。

【香山委員】  むしろ必要だということは強調しておいたほうがいいですね。

【吉田委員】  思うんだけれども、やはりITERというものとの両方が並立して大きなプロジェクトが走るというときに、やはりそれぞれがフルに活用されていると。

【香山委員】  いや、逆にだけど、ITERで十分だというふうに思っている人が多いから、むしろそうでないことをきちんと言うことが大事なんじゃないですか。

【常松委員】  これだけはある意味で中核になるのは国産技術ですよ。ここのところだけは。

【香山委員】  そうですね、ここは大事なところなんですね、国産でもどれだけつくれるかという。

【常松委員】  ええ、例えばエバスコとかフラマトムとかなんか、そんなものに丸投げしてできる問題じゃなくて、中核になるメーカーさんを中心として、一つ一つある意味で技術を思い出すところ、古い60、LHDの組み立てのプロセスをもう一回アプライするところで人がいないんです、ここは。むしろITERにもいないんだけれども。ほんとうにここのところが大変で。

【香山委員】  多分、ITERの議論でもそうだと思うし、BAの議論でもそうだと思いますけれども、一応ドキュメンテーションのヒエラルキーがきちっとできて、論理ができているみたいだけれども、やはりヨーロッパの進め方と、日本ではとても考えられないようなジャンプがあったり、途中が欠けていたりとか矛盾が出たりやはりするんですよね。

【吉田委員】  私も中の人間としては非常に重要性はわかりますよ。

【香山委員】  だから、やはりそういう意味ではこういうものは国内できちんとやるのが大事だというのは強調したほうがいいですよ。

【吉田委員】  中の人間としては、まさにおっしゃるとおりで、もう賛成なんですが、やはり外から見たときの問題も議論してもいいんじゃないかと。

【常松委員】  だからといったって、ホストをもってこれなかったというのは大きな欠損をしているのであって、じゃあ、最初から非ホストでよかったかというと、そういうことはなくて、ホストをもってくるには、こういった根幹技術とか社会の需要性とか、そういったものを確立されるのが次へのジャンプになるわけですから、やはりホストをもってこれなかったことを補う活動が必要ということを申し上げたい訳です。

【吉田委員】  もう1つよろしいですか。規模が今の二、三倍くらい必要だということなんですが、これはあまり今までお聞きしなかったような気がします。

【常松委員】  二、三倍ぐらいは需要できますという意味で書いているので、予算次第ですね。

【吉田委員】  というか、二、三倍にならなきゃできないということじゃないですね。

【常松委員】  うん、二、三倍ぐらいの人の研究はできるんじゃないかと思っていますが。

【吉田委員】  そうですか。いや、だからその辺が……。

【常松委員】  いや、例えば100人の人しか利用者がなければ100人の人に合わせて運転するだけですが、多分そうはならないんじゃないですか。

【香山委員】  最大有効利用してこれを生かそうと思うと、これぐらいで進むべきであるという主張ですよね。

【常松委員】  うん、このぐらいじゃないですか。

【吉田委員】  あ、これはそういう書き方ですか。

【常松委員】  ええ、多分そうじゃないかと思いますが。いや、ちょっとその辺は、まず大学の先生方の、今までの共同研究者って多分100人かそのくらいだったと思うんですが、それは旅費だとか、それからうちのサイクルの電気代だとか、そんなもので縛られていたんですけれども、多分、今の二、三倍ぐらいは、実験の機会はできるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。

【吉田委員】  この原子力機構の必要人員の200名が二、三倍とおっしゃったんですか。そうじゃなくて……。

【常松委員】  いいえ、そうじゃなくて、これは2倍ぐらいです、物理だけという意味では。

【吉田委員】  物理だけで。国内、共同研究としては……。

【常松委員】  ええ、それから国内も100人から百数十人ぐらいだったと思うんです。

【吉田委員】  だからまあ2倍とかそのくらいに広げられるキャパシティーがあるよということですか。

【常松委員】  ええ、それはひどいときは2サイクル、多いときには3サイクルとか4サイクルでやっていましたから、多分倍ぐらいまでは。で、ヨーロッパとか海外も似たぐらいの数が来るのかなと思えば、これが200なのか300なのか400なのかは知りませんが。

【香山委員】  やはりできればぜひこの中の活動として、工学とかシステムというようなことをやる人をどうやって育てるか、そのためにどれぐらい要るかというのを、後ろの工学とは別にぜひほんとうはちょっと書いていただきたいですね。

【常松委員】  ええ、というか、それも含んでという意味なんですけれども。

【香山委員】  いや、でも、いつも中があいまいになっていて……。

【常松委員】  いや,わかんないんですよ。

【香山委員】  足りないから全部物理に行っちゃうんだよねということによくなるからね。

【常松委員】  いや、そういう意味じゃなくて……。

【香山委員】  やはりどれぐらいの比率で要るというのは書いてほしいですよね。

【常松委員】  非常に感覚的にいけば、物理2なら工学1ぐらいの割合ですね。いろいろな途中のデータをとったりしていますから、常時運転しているときとか。まあ2対1ぐらいですかね。

【松田委員】  SAに関して?

【常松委員】  SAに関しては。いや、SAに関して、だからトカマクのコアになるところに関しては、物理の研究者が2だったら工学1ぐらいのところのデータ、人が要るのかなという気は、もうこれは全く感覚の話です。ですから、これはほんとうに最大キャパシティーかというと、最大キャパシティーはもっとあると思いますが、現実に人数が増えると、なかなか共同の研究というのはできないんですよね。1つのショットに何十人も研究者がぶら下がっちゃうと。ということを考えると、まあ2倍か3倍ぐらいで通年サイクルでやると、結構余裕のある研究はできるかなという。全く積み上げではございません。

【本島主査】  ほかによろしいでしょうか。

 髙村委員、どうぞ。

【髙村委員】  3つの課題をそれぞれに挙げたんですけれども、非常に大事なのは、例えば原型炉戦略設計コアチームと書かれているわけですけれども、戦略をどういう形で組み上げていって、その中で工学の開発研究、それからJT60-SAについても位置づけがより明確になっていって、有機的に歯車がかみ合って進んでいくということが必要だと思うんですけれども、何か分断されるような印象を受けて、全体のアレンジというか、そういうものを……。

【常松委員】  それはコアチームです。それをやるのはコアチームです、戦略も含めて。

【髙村委員】  だけど……はい。

【常松委員】  で、コアチームがリクエストを出すわけで。研究のほうは必ずしもそれに忠実にやるわけじゃなくて、逆転案というのもあるんですが。

【髙村委員】  ええ、それはいいんですけれども。

【常松委員】  ですけれども、ある実験炉というのは、発電炉に近い原型炉をつくるのか、あるいは今ある技術の延長でつくるのか、そういうターゲットをいろいろ考えて決めて、それに従って設計と実規模のR&Dを策定してこのプラズマ研究者と炉工学研究者にそのリクエストを出すという形になります。

【髙村委員】  いや、まあそれはいいんですけれども、その中で、主体となる担い手、先ほど私のところでも議論になった、JAEAとかNIFSを拠点とし、まあ大学、産業界も含めてですね。これをどういうふうに巻き込んでやっていくのか。

【常松委員】  巻き込むというか巻き込まれるふうに努力していただかないと、リクエストを出すだけですから、コアチームのほうは。

【髙村委員】  いや、だけどそれはやっぱりJAEAの傲慢であって。

【常松委員】  いや、JAEAじゃなくて、原型炉は発電をするわけでしょう。発電をするのがターゲットでしょう。そうですよね。それに幾つかの炉型戦略はあるけれども、それを策定するのはコアチームで、別にそれはJAEAがやるとは限らずに、タスクフォース的にやろうが、どういう組織がやろうといいんですけれども、中核になる機関があって、第4段階に入るとすると、中核機関というのが必ず設定されるわけですよね。そこがあるターゲットのあるスコープに対する原型炉の設計と試作開発を行うわけですね。それを全部自分のところでやるんじゃなくて、いろいろな機関にお願いするわけです。

【香山委員】  済みません、それは……いいですか。

【本島主査】 いや、ちょっと手を挙げて発言願いたいんですけれども。すこしお待ちください。

 やはりJAEAとしての常松委員のおっしゃっていることはわかるんですが、こういう総合的な研究はトップダウンとボトムアップの両方をうまく組み合わせないとうまくいきませんので、今のご意見はトップダウンに関するご意見であるということでよろしいですか。

【常松委員】  はい。

【本島主査】  このことは、今後の報告書を含めてロードマップを策定していく上での議論に反映できると思います。

 それでは香山委員、どうぞ。

【香山委員】  今、非常に常松さんは、トップダウンでJAEAの主張だというふうな言い方をされたので、ちょっと意外なんですけれども、むしろ私が見ていたのは、常松さんのご提案というのと髙村先生のご提案というのは、本質的には非常に、まあ重点が違ったり表現方法は違うけれども、むしろ違わない大事な点を言っているんだというふうに見たんですけれども、違うんでしょうか。

【本島主査】  香山先生の得意のくくりかたかもしれませんが。

【香山委員】  いやいや、得意というか、違いますか。違うふうに見えているんでしょうかということだけなんですけれどもね。

【本島主査】  まあそれは今後の議論で明らかにしていただいたらいかがでしょうか。

【髙村委員】  やり方の問題で。

【香山委員】  まあ重要性は同じかなと。

【本島主査】  無理にとは申しませんが、今ここで一緒だと言う必要はないと思いますので。

【香山委員】  あ、そうですか。いや、別だというと、何か屋上屋としか思えませんというだけで。

【本島主査】  よろしいでしょうか。吉田委員。

【吉田委員】  私は、髙村委員とちょっと似たような危惧を持つんですけれども、やはりここでいう国内協力とか連携というもののあり方というんですか、そういうものがやはり相当現状のものとは変わらないとなかなか進まない、こういうテーマでだれかやってくださいとかいうのではなくて、今のような何となく下請のような、そういう関係の協力ではなかなか全体の力がまとまっていかないんじゃないかなと思うんですね。そういう点で、もう少し違うオーライゼーションがあるような気もするんですが。責任を持つところという意味はもちろんあるんですけれども。

【常松委員】  JAEAというのは60とか何か運転の拠点の意味でJAEAと出ましたけれども、コアチームそのものは私はJAEAだともどことも思っていませんし、最初にそこをつくるときにはJAEAの人もいるでしょうし、NIFSの方も大学の方もそのコアチームに入るときというのはあるんだと思うんです。ただ、ボランタリーに、あるいはすべてがイコールウエートでR&Dをやったのでは1つのシステムにはならないから、システムのスコープというのはだれかが設定しないといけないんだろうと思っています。それをどういうふうにやるかというのは、おっしゃるとおり、今までの複数の独立行政法人のやり方ではおそらくうまくいかない。場合によってはもっと契約的に厳しいものになるかもしれないと思います。現に、限られた資金で限られたターゲットを達成しようとすると、メーカーさんと同じような契約ということがあるかもしれないし、あるいはもっといろいろと自由に研究をしていただくという裾野が要る部分だって、当然そういう部分もハイテクのところにはあるんだと思います。だから、決してJAEAが中核で何かやるというのじゃなくて、何らかのコアチームというのを中心に置いて、特に大がかりなものはそこが策定しない限りはできないだろうというふうに申し上げただけで。まあ、ある意味でJAEAの意見というより私個人の意見だととっていただいても結構です。

【本島主査】  よろしいですか。まあ、きょうは結論を出すわけじゃありませんので。

【吉田委員】  いろいろもう少し具体化してくると、また議論ができると思いますので。

【本島主査】  それでは、吉田科学官から一言お願いしたいと思うんですが、ちょっとその前に、先ほど吉田委員が最初におっしゃったJT-60の位置づけについて私も確認しておきたいと思います。目的のところに5項目ありますね。SAは特に4項目めを強調されているのですね。

【常松委員】  いや、強調は別にして……。

【本島主査】  そこを目的としていくとこういうことになる、そういうことなんですね。そういう説明ですね。

【常松委員】  はい。

【本島主査】  だから、例えばITERが20人で10分の1のアクティビティーでゲインも10分の1だというふうにおっしゃったわけではないと思うのですが。

【常松委員】  ええ、違います。

【本島主査】  ドメスティック・エージェンシーとしての責任はきちっと果たし、その上で60SAだということですね。

【常松委員】  ええ。これがないと、多分、原型炉に根幹技術が産業界も含めてつながらないだろうというのが、もともと……。

【本島主査】  それはほかの炉工の技術も全部同じことですね。

【常松委員】  ええ、そうです。それがBAの中にSAを入れた、必ずしも物理だけじゃなくて入れた1つのモチベーションだと思っています。

【吉田科学官】  よろしいですか。

【本島主査】  ええ。今後の全体の取り扱いとかも含めてお願いします。

【吉田科学官】  そうですね。後で資料3に絡んで今後どういうふうに議論をまとめていくかということについて、本日ご議論いただくことになろうかと思うんですけれども、まずワークシートとしていただいたご意見を今後どのようにまとめてゆくかということについて、少し説明をさせていただきたいと思います。

 ワークシートとして前回と本日いろいろ具体的なご意見をいただきましたが、その中にはいろいろなアスペクトのものが含まれています。現在行われているそれぞれの研究プロジェクトの今後の進め方ということもあれば、解決すべき課題でありながら手がついていないもの、例えば岡野さんから出ている9項目であるとか、そういうふうなものをどういうふうにやっていくのかということ。それから、きょうも幾つか議論がありましたように、さまざまな研究をいかに統合していくのか、あるいは合意をどういうふうに形成していくのか、あるいは協力関係をどういうふうにつくるのか、そういった側面のご意見もワークシートとしてちょうだいしています。そのあたりを全体的に見渡しつつ、報告書の中に盛り込んでいきたいと考えています。

 それから、まだいただいておりませんけれども、おそらく吉田委員のほうからITER・BA技術推進委員会で検討いただいている、特にトカマクのロードマップの検討の中で出てきた重要項目についての検討の進め方、これについても今後ご意見をちょうだいできると思っていますので、それも盛り込んでいく必要があります。

 それからもう1つは、核融合ネットワークのほうにもご意見をいただきたいというお願いをしておりまして、すでに主要項目についてネットワークの幹事の小川先生、日野先生からメモをちょうだいしていますけれども、その内容を具体的にしたものを近々いただく予定になっていますので、現状の分析、それから今後、特に原型炉に向けたロードマップを書いていく中で必要な施策について検討していきたい、そういうふうに考えております。ワークシートを分析してどのような形にまとめていくかということを、また事務局ともご相談しつつ進めていこうと思いますけれども、その過程で、おそらく個別にご連絡もとりつつ、内容についてお伺いしつつ進めていきたいと思っております。

【本島主査】  では、まだあと3つほど、少なくとも資料は出てくるということと、ここまでの議論を加味して、報告書の作成のスケジュール的なことも、きょう最後にまたお諮りできると思うのですが、まだ形がありませんので、委員の皆様、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 それでは続いて、ケーススタディーについて小森委員、常松委員から資料を提出していただいておりますので、議論に時間をできるだけ使いたいということもありますので、すみませんが5分ぐらいでご説明をそれぞれお願いしたいと思います。

 それではまず小森委員からお願いできますでしょうか。

【小森委員】  はい。前回、出席していなかったため、宿題の答が少し的外れかもしれませんが、ちょっとご説明いたします。

 前にここで発表させていただいた内容をまとめたものに近いものとなっています。〔1〕に、NIFSの計画としまして、4つ書かせていただきました。FFHRは、これまで進めてきたものですから、これを基礎に工学設計に転換していきたいと考えています。それに当たっては、原型炉設計にクリティカルとなる物理・工学的課題を再確認して、その解決に向けた年次計画、ロードマップをつくり、それに沿って研究を実施したいと考えています。下にその例を示しました。先ほども出ましたけれども、トカマクとも共通にできるようなものだけを書かせてもらっています。ほかにヘリカルに固有のもの、特に機械的なものなどがあります。工学的研究につきましては、3)に記載しましたけれども、工学実証研究へ基盤を確立してから進むことになりますが、LHDの実験結果等も反映しながら、設計と工学研究がお互いの結果を取り込みながら、進んでいけるようにしたいと考えています。

 研究の進め方としては、共同利用研ですし、もともと大学と共同でやらなくてはいけない部分がたくさんありますので、核融合研の研究に対して共感いただける先生にご参加いただき、ボトムアップで進めていくという方式でいきたいと考えています。

 他形式、特にトカマクとの関係ですけれども、やはり原型炉のための研究という意味では共通のものがありますので、相補的に進めるほうが効率的と考えていますけれども、さっきのお話で、競争的に進めたほうが良いというお話もありますし、この辺は、判断・調整して研究を実施する必要があると考えています。トカマクとの関係を含め、逆にこの作業部会で、NIFSはこういう研究を行うべきだという勧告を報告書に明記していただければ、我々としてはやりやすい面もあります。このことが2番に書いてあります。当然、トカマクとも、双方向ですので、トカマクの結果ももちろん我々に取り入れるというのが3番になります。

 それから4番ですけれども、前にもご質問があったかもしれませんけれども、我々は基本的にLHDの重水素化、その中で重水素の使用、垂直NBIと閉ダイバータの整備などによりプラズマの高性能化を図るわけですけれども、この結果と、60SAの定常実験、循環エネルギーの問題の結論が出た後、炉形式を決めて、最初の原型炉をつくるべきだと考えています。ですから、炉形式の決定時期としては、我々としては、重水素実験の結果が出てからではないかと。ちょうどそのころにはSAの結果も出てくるのではないかと考えています。

 それから、共同原型炉設計チームにつきましては、〔3〕に書きましたけれども、工学的に共通な研究課題というものを全日本的なチームを組んで分担して進めるというのは可能ではないかと思います。

 原型炉の設計チームということでは、現時点でどちらかを選ぶことなく両方に共通というのはなかなか難しいと思いますので、同時にある程度進めていく必要があると思います。この場合、共通の課題と個々の形式に固有の課題の洗い出しができますので、両者を対比させながら、効率的に行うことができるのではないかと考えています。

 2)の場合は、もちろん共通の設計チームを設けるのが望ましいと考えています。そのためには、やはり自分のところにある程度設計をできるチームを持っていないと、共通チームの仕事は進まないと考えているというのが3)の内容です。

 大体以上になります。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、2つをあわせてということのほうがよいかと思いますので、続いて常松委員からお願いします。

【常松委員】  はい。済みません、ページを振ってないんですが、横長のパワーポイントの絵で、これは前回お話ししたコアチームのところプラスもう少し先まで見たものです。最初のページに、原型炉に向けたリンケージというのがありまして、原型炉段階に、いわゆる今の第3段階からどういう形で移行していくか、あるいはどういう条件が必要かというので、ある程度の概念設計があるだろうと。それからSAと書いてありますが、ともかくトカマクでの高ベータ定常運転に何らかの見通しといいますか、こうすればいいんだろうという目出しができているという。問題はITERなんですが、ここで燃焼制御の実験とかQ≧5の非誘導運転とか統合化技術とかあるんですが、これは多分ここ10年ぐらいにはITERは建設が中心になっていまして、DT燃焼がどうも新しいシナリオで2026年まで本格的なのができないということがありますので、ここは大分後ろに引きずるのだと思います。炉工学R&Dは、先ほど申し上げたように、独立にやるべきブランケット材料関係というのはいつでも走れますし、現実も目出しができている。理論シミュレーションも、追々と現実のプラズマにああいうタービュレンスの理論というのが近づいてくるんだろうと思います。

 こういったものを統合して原型炉のEDAに、BAが終わる10年程度のスケールの後に入ってくるんだろうと。ここにどんなものが必要かというのは、右側に書いたのは思いついて書いただけで、ほかにいっぱいあると思うんですが、プラズマは、何といっても自律性の強い燃焼プラズマというのを60の中での目出し実験あるいはシミュレーション、それからITERでの確証というのをどうとっていくかというのが大事ですよと。定常もヘリカルを含めた定常性のプラズマの特質というのは一体どうなんだ、特にパーティクル関係ですね。こういったものが要るでしょうと。工学に関しては、要素技術というのはロードマップ等でいろいろと挙げられたものがありますし、全体としては、やはり今後を考えると、別に核融合だけではないんですが、プラントの高温化というのが非常に大きな課題になるであろうと思われます。それと同時にというか、それをむしろもっと難しくするように、高温下で、なおかつ中性子環境での材料の開発というものが必要になってくるんだろう。

 ある意味で当然のことを挙げつらっただけでありまして、じゃあこれをどういうふうに組み合わせていくのかですが、過去にどうだったかというのが次のページのITERでの経験、まあ、あんまり役に立つかどうかわからないんですが。ITERの場合は、概念設計というのを3年間ほどやりまして、ここはコアメンバーが1年当たり40人、これは4極だったから40人なので、40人必要だったかというと別問題です。工学設計は、いわゆる中央で設計をし、大規模なR&Dを策定して、その結果を設計にはね返す部隊というのが約200人ほど、中央チームというのはおりました。

【本島主査】  すみません、役に立たないというのは、どういう意味でおっしゃったのでしょうか。ここでの議論でオブビアスだから役に立たないという意味でおっしゃったのね。

【常松委員】  もうちょっとはっきり申し上げますと、概念設計活動というのは必要だったかという、いきなり……。

【本島主査】  どうぞ誤解のないようにお願いいたします。

【常松委員】  というのは、必ずしも概念設計の結果がそのまま工学設計に受け継がれたわけではありませんし、むしろ大型のR&Dというのは工学設計の中で策定されて、概念設計のときに策定されたものとは必ずしも一致していなかった。設計してみたら、思ったところじゃないところに問題があった。例えば真空容器、こんなもの簡単だと思ったけれども意外と難しくて、今のITERの建設も非常に難しいアイテムになっています。ということで、概念設計を経ずに工学設計に入る手だてもあるのかなと。経ずにというとちょっとあれです、かなり規模を縮小してやっていてもできるのではないかという気はいたします。

 その下に、一体こういうことを通じて次の世代、次のフェーズのために何を準備すべきかというのを、思いつくままに書いてみて、はたと気がついたんですが、今、身にしみて感じているのはこの3点、まあ私が感じているだけなんですけれども、基本的には、これを見ますと、要は物よりも人なんです。人をどう育て、どう継承していくかというのが、やはり十数年たちますとそれが非常にクリティカルに欠如と、もう少し別な方向だったらよかったかというのが見えてきたなという気はいたします。当然、現場の人との連携が次の世代の人も必要ですし、現場を通じて継続的な人材育成も必要です。それから数十年の長期にわたる技術開発と技術継承のシステムを構築というのは、これも基本的には人なんじゃないかなという気はいたします。

 じゃあ、具体的に今現在のJT-60、LHD、その先のITER、またその先の原型炉と考えたときに、原型炉戦略設計コアチームというものの役割と人員というのを書きましたけれども、基本的にはBAのIFERCの中で一部これをやることはやります。ただ、非常に小規模です。R&Dも長期的な材料及び、できればその基準の目次ぐらいはつくりたいなと思っておりますし、概念設計は非常に小規模なレベルで行っても次のR&Dに差し支えないように考えなければならないというようなことでございます。そこに4点ほど書いてございます。やはり期待される役割というのは、現在、このコアチームを立ち上げるとして原型の段階の本格的な工学設計・建設に向けての必要な基盤とそれの指導的な、指導的なのか主導的は別として、役割が必要なんだろうと思います。

 この人数なんですが、その下に構成が書いてあるのは、ある1点、ちょうど真ん中に10と書いてありますが、10のところから急速にEDAで立ち上がっています。これの立ち上がっていくこの段階ぐらいの構成を下に書きました。したがいまして、コアメンバーというのは非常に少のうございます。これはもっと40人、50人必要なのかもしれませんが、ここ10年ぐらい、今現在どこにいるかというと、ゼロから2年ぐらいたったところにいるんですかね、BAが始まったところといいますと。ここでは残念ながらほとんどおりません。古い人だけです。したがって、これから10年かかってこの10人ぐらいを育てていって、ほんとうにこの人たちがこれから20年、30年、自分たちが原型炉を引っ張っていくんだという意識を持った人たちを10人ぐらい集め、その人たちが技術支援スタッフとか、研究支援・技術供与と書いてありますが、要は、パートタイムといいますか、そのフェーズ、フェーズでの必要な設計とR&Dを、いろいろな学会、産業界、そういうところから流動的に集合させて進めるという形で考えると、この真ん中からちょっと右側のところの、これがこうなるかもしれませんし、進むにつれ、この下の支援・供与と書いてある人たちがパーマネントに組み込まれてくるんだろうと思っております。それで、あるフェーズになると、今度、おそらくプラント系とかニュークリア系とかそういう人に入れかわってくるんだろうと思っています。大体、こんな感じで200名ぐらいですか。ITERよりもうちょっと多いのかなとも思いますが、これはミニマムです。やり方の形態によりまして、私は、ある程度の中核機関というのが実施者、研究者、技術者を中心としたコアチームという概念でやりました。もう1つの概念は、実際に建設するメーカーさんと一体になったエンジニアリング組織をつくるという別な概念がございます。こちらになると、多分1,000人規模になります。いずれにしろ、資金は両方にまたがって必要なわけでありまして、それをどうするかはあれなんですが、ともかく、コアになる人間、10人のオーダーの人間をこれから教育し育てていって、その人たちをリーダーにするという、この作業が必要だという意味で、戦略チームとかコアチームというふうに書かせていただきました。

 以上です。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、ケーススタディーという名前がついておりますが、大変重要な資料が2つ出てきたわけでありますので、少し時間をとって議論をしていただきたいと思いますが。

 石塚委員、どうぞ。

【石塚委員】  ちょっと基本的なご質問になりますが、IFERCについていろいろ話がありましたけれども、IFERCというのは何が期待できるんですか。

【常松委員】  この10人を育てるぐらいか、この10人の方が原型炉のコンセプトの仕分けをするぐらいかなと。というのは、日欧共同でやるという前提がございましたので、1つの設計に落とし込むのは、おそらくけんかだけしてあんまり意味ないだろうと。基本的に日欧の両方のメンバーが集まって何かをやりなさいというのが枠組みの前提ですから、そういう意味で言えば、できることをやりましょうと。そうすると、原型炉というのは何ですかというのは、今までのあれは発電する炉で、ブランケットを中心にして考えるという炉型戦略をとってきたんですが、ほんとうに必要な設計要件は何ですかというのを分析してみるというのは、概念に無関係にできるんじゃないか。そういうところというのは、ITERが始まる前に国産炉というのはいっぱいありました、FERだとか。そういうとき、何がやっていたかというと、日本の場合はQ=5程度のステディーステートというのがFERのスコープとしてある意味で最初からあったわけです。でも、それが正しいのかどうかというのは、設計している人はだれも見なかったわけです。ITERで4極協力になったときに別のスコープを持ってきたわけですね。そうしたときに、設計要件は何かというのを共通の事項を百何十項目洗い出してスタートしたら、ほとんど1つの概念にまとまったという経験がありますので、似たようなことをやってみれば、何か共通のものが出てくるだろうと。それは次の国産の原型炉あるいは国際協力、何でもいいんですが、次の原型炉の必ずベースになるし、またそのために必要な実規模R&Dの策定のベースにもなるだろうというふうな期待で、それだけをIFERCでやれば、少なくとも10年間の人材育成と基本仕様の策定という、この2つだけができるだろうと思っております。

【石塚委員】  わかりました。

【本島主査】  よろしいですか。

【石塚委員】  はい。

【本島主査】  疇地委員、どうぞ。

【疇地委員】  基本的なことなんですけれども、ヘリカル型、トカマク型それぞれの原型炉設計を同時に進めるということは、ここの委員会のチャージに対する応えとしては正しいのかどうか。私の理解では、トカマク原型炉の設計をするためにNIFSとJAEAの合同チームをつくったらどうであろうか、そういうことが話の前提としてあったと思うんですね。一方で、NIFSの使命の一つとしてヘリカル炉を今後考えていくというのは大変よくわかる姿勢なんですけれども、ヘリカルに特化した部分は所内で検討していただいて、やはり合同チームというのは基本的には合同にしないといけないのではないかと思います。こういう形で出てくるのであれば、今回は出しませんでしたけれども、レーザーの原型炉のチームはどうあるべきかという、それも出さざるを得なくなるわけです。しかしそれはこの委員会のチャージとはおそらく違うと思うので、レーザーについては研究開発の段階で中性子源に使う可能性を申し上げました。ヘリカル炉,トカマク炉の並行設計というのは、すこし趣旨が違うのではないかという気がしています。

【本島主査】  その点については主査としてはっきりとしておかねばならない点だと考えています。ケーススタディーとしてトカマクとヘリカル、磁場閉じ込めについての論点整理につながる話をしていただきましたが、それが大きなプロジェクトとして現在我が国で進んでいるからです。しかし、この作業部会で、トカマクかヘリカルかを拙速に決める予定はありません。今後長期的展望にたてば、最初の原型炉の1号炉を何にするかということは当然考えていく必要がありますが、両方つくるということはできません。しかし、100年後には1,000台、2,000台と核融合炉を作るのですから、レーザー核融合をふくめて唯一の形になるとは今は断言できないのではないでしょうか。

 香山委員。

【香山委員】  よろしいでしょうか。ちょっと今のに関連して、実はきのうNIFSで、ネットワークとフォーラム一緒で、原型炉のワーキンググループとIFMIF、それから低放射化鉄鋼材料を探るグループ、それからブランケット工学という、実は合同でかなり大規模な会合をやりまして……。

【本島主査】  それは大規模そうですね。

【香山委員】  ええ。それで、きょう実はそのまま若手だけで、年寄りがいると邪魔だというので、若手だけで議論をやっているんですよ。で、そこの中でやはり、きのう相良先生からこの構想の説明があって、その中での皆さんの認識としては、これはもちろんNIFSの中で議論されてできている。だけれども、これはNIFSだけではなくて、一応NIFSの中の将来計画の中で、いろいろなネットワークの中の人たちも一緒にこの議論には参加しているということで、一応こういう計画が出ましたという説明があったんですね。ただ、そのとき出ていたのは、いろいろな人の意見があるんですけれども、最終的に座長がまとめた2つのポイントとして言っていたのは、1つはまず、現状でトカマクと比べるとプラズマ性能が極めて違う、隔たりがあるにもかかわらず、ゴールに至る時期が一緒になっている。このギャップをどう埋めるかということがやはりリアリスティックに示される必要があるんじゃないでしょうかと。もちろん、時間がなかったので、説明はそこでされると思いますけれども、それが要るでしょうというのが1つ。もう1つは、やはり特に炉工では非常にまた大きな隔たりがあって、特に共通の炉工は使えるものもあるんですけれども、やはり独自のヘリカル、独自の炉工も非常にあると。それも全部やるような格好でいくと、現状でいくと、これだけで成立させるためには、ものすごく多くの人と資金が要る。単独に、例えばレーザーに関してもやはり同じような認識があるわけですね。それが同じぐらいのタイムスケールで3つがパラにいくということ、独自にやってできそうだという議論はぜひやめて、どこかで3つ全部並べて、日本のキャパシティーとか日本のいろいろな意味でのポテンシャルからいってどの割合でどの計画を走らせられるのかということをぜひ議論する場が欲しいという意見が結構出ていたんです。そういう意味では、先ほどの髙村先生なんかのは、そういうことを包含したご提案かなと思っていたんですけれども。

 ですから、私はやはりきのうの会合からの質問としてぜひお聞かせいただきたいのは、簡単でもいいんですけれども、やはり同じタイムスケール、プラズマの性能の隔たりをキャッチアップして同じゴール、ほとんど同じタイムスケールでやる。それから炉工も完成させるというような意味で、多くの人が持つイメージは、トカマク以上の人材とトカマク以上の資金が必要になってくるのではないでしょうかというような疑問が出たんですが、それについてはどんな感じなんでしょうか。

【本島主査】  では、小森委員、お願いできますか。

【小森委員】  ヘリカル原型炉を想定したとき、プラズマの性能は、重水素実験をやることによって炉心プラズマになりうるか否かを判定できると考えています。工学的研究のほうは、ヘリカル原型炉を想定して概念設計がどこまで進んだかという問題もありますが、不足している問題をトカマクと相補的に進めることにより、負担を軽減することができます。核融合研が全部をやるということでは、もちろんとてもいかないということは承知しております。その辺はやはり相補的にいけたら、現実的な方法としては一番良いだろうと思います。我々の行った部分も、将来トカマク炉が選ばれた場合でも、それに役立つような工学的研究を実施したい、そういう方向で今考えている段階です。

【香山委員】  だからその問題は、プラズマがあるレベルになって出てくるような工学の問題があって、それがないのに16ぐらいで工学実証と言われると、すごく時期的に難しいんじゃないかというような意見がやはりあったんですね。

【小森委員】  トカマクとの関連で、どのぐらいのものを想定して研究を進めれば良いかかということは今後検討できると思っています。我々としては、トカマクとヘリカルが大きく違うとは考えていません。両方式とも磁場閉じ込め方式ですし、同じドーナツ型ですから、最終的な形態としては非常に似通ったものになると考えています。もちろん、いろいろ違うところがあるりますから、お互いに並行してやっているわけですけれども、工学的研究としてはかなり近い部分があるのではないかと考えているということです。

【本島主査】  髙村委員、どうぞ。

【髙村委員】  今の議論も踏まえて、常松委員の書かれた概念設計というのはある意味非常に大事で、常松さんは概念設計をちょっと縮小してもいいんじゃないかというようなお話もあったんですけれども、概念設計のところは、前回も私ちょっと申し上げたんですけれども、先ほど座長がトップダウンとボトムアップということを言われましたけれども、概念設計のところでは結構ボトムアップ的な要素というのが入ってきていいんじゃないかという。それで、若干学術的なところも入ってきていいんじゃないかというふうに思います。これはITERの概念設計の段階でも、私は少なくともそういう経験をしたつもりです。これは大学の立場で入りましたから限界はあったと思うんですけれども、非常に学術的な意味で得るところが多かったと理解しております。

 そういう意味で、概念設計の段階というのは要するに第4段階がスタートするまでぐらいの意味で常松さんも書かれていますよね。私もそれは全くそのとおりだと思うんですけれども、そこの段階では、まあ今のヘリカルの話もある意味入ってきて、トカマクでの概念設計のあり方とか、そういうものと若干切磋琢磨というのかな、そういうところがあってもいいんじゃないかなと私は考えております。そういう意味で概念設計は非常に重要で、コアメンバー10名を育てていくというのも、やはり何かしっかりした競争概念とかそういうターゲットがないと、10名のコアメンバーというのもしっかり育っていかない部分もあるかもしれませんので、やはりそこは非常にちゃんと目的意識というか、そういうものをしっかり持って育てていかなければいけないのではないかなと思っています。

 以上です。

【本島主査】  人についてはやはり大学に期待すべきところが多々あるわけですね。

 ほかにありますでしょうか。その原型炉のイメージについては資料3で、1のロードマップの原型炉とはというところで、吉田科学官が議論・問題提起というか、今後の方向づけをする予定でおりますので、そこに議論をポストポーンしたいとは思います。

 それからレーザーも話をしたいということについては、だめという理由は何もないと思いますので、また機会はつくれると思うんですが。

  松田委員、何か。

【松田委員】  この委員会の目的なんですけれども、今までとあんまり変わらないやり方で続けていくという分には、いろいろなことが出てきてもいいんだけれども、目的が原型炉に向かって計画をつくり、そのための新しい予算といいますか、予算を欲しいというのが報告書の効果としての期待なんだと思うんですね。そうすると、原型炉というのは核融合のファミリーではどうしようとしているのかというのが問われる基本的なところだと思うんですよ。ところが、やはりいろいろ盛りだくさん出てきますね、アイデアもいろいろありますねというと、今までと何も本質的には変わらないですよね。核融合のファミリーはどういうところに力点を置いて進めようとしているかというのがはっきりわからないといけないんだと思うんですよ。そういう意味で、この資料が幾つか出てきた中で、やはり私は整理の上で混乱しちゃうのは、ヘリカルの工学設計をプロジェクトとして進める、こういうことが出てくると、言葉の定義の問題かもしれないんだけれども、私たちのイメージで言うと、トカマクで概念設計すらまだ書かれるかどうかわからない状態なのに、ヘリカルって、もうそういうところまで進んじゃっているのというのが最初に来るんですね。それぐらいばらばらな認識を持って、他の世界に、他のところに予算要求していって、新しい予算が認められるとはとても思えなくなってくるんですよ。だから何か、疇地先生がおっしゃったように、第3段階にかわる大きな計画をやろうとしているのか、あるいはそうじゃなくて、ここ10年ぐらいの話を、何かフェーズを定義して、その目的に向かってこういうもので核融合界が協力して何かやろうとしているか、そのあたりをやはりはっきりさせていかないと、紙は出たけれども役所のほうでは何も拾っていただけないというようなことになりかねないので、ここはこれから多分集約していって、集約していく過程では、文科省の担当の方が説明できるロジックというか、そういう整理の仕方にしていっていただく必要があるなというふうに感じます。

【本島主査】  もう資料3の議論をしたほうがいいかと思いますが、それに入る前に、このお2人の委員のことで特に発言しておきたいということはありますか。

  疇地委員。

【疇地委員】  1点だけ。

 先ほど、概念設計と工学設計の間にギャップがあるとか、あまり概念設計が有効でなかったということを常松委員がおっしゃっいましたが、それに携わった人は同じ人なのかどうかという点と、概念設計と工学設計の間に時間的なギャップがあったのかどうか、その2点をお伺いしたいんですけれども。

【常松委員】  はい。人は同じ人とは限りません。なぜ有効じゃなかったと言ったのは、それはITER特有の理由かもしれません。基本的には概念設計は4極でやって、4極の混乱をおさめるという役割を果たしたけれども、それで何か新しい、ほんとうに建設に必要なR&Dとか何かが決まる前に終わってしまった。工学設計に入って初めて大規模なR&Dを策定して、それは必ずしも設計とは無関係に出てきた部分もかなりありました。それはITERという実験炉の混乱期だったかもしれない。そうすると、原型炉に関しては、概念設計が必要とすると、むしろ設計というよりもスコープですね、ターゲットをどこに置くかという戦略の議論が概念設計にかわるのかなという気はいたします。

【疇地委員】  概念設計と工学設計のギャップがITERの特殊事情であるならば、原型炉のときには、過去の経験にとらわれる必要はないわけですね。

【常松委員】  と思っています。実験炉と原型炉では役割が違います。

【本島主査】  概念設計CDAも十分に役に立っているはずですから、まあ常松流のレトリックだと思ったほうがいいんじゃないですか。

【香山委員】  そうですね。

【本島主査】  そういう意味では、10人というのも、どうも常松流のレトリックに思えてしようがありません。

【常松委員】  でも最初から目的をはっきりさせずに40人いたら腐りますよ、明らかに腐ります。

【本島主査】  10人を育てるためにどうするかということだと思うのですが。

 どうぞ。

【香山委員】  いや、実は同じことを申し上げたくて、やはりCDAが、常松さん、ちょっと極端に言い過ぎていて、やはり大変に意義のある行為だというのは間違いないんだし、そういう意味ではちょっと表現は極端だと思います。

 それからもう1つ、確かに10人というのは、10人のリーダーを育てるときに、最初から10人で10人全部リーダーに育つなんて歩留まりのいいことは、大学で人を育てる人は決して言わないです。いくら優秀な素材を手に入れたって、歩留まりなんてそんないいものじゃなくて、リーダーに育つ人は極めて少ないわけですよ。だから、この書き方はもうちょっと、10人でさっと、その人が次の20倍の人を率いて200人のチームをぱっとつくって、またそれが全部機能するなんて、そんなうまいんだと大学の教官って職を失っちゃいますよね。だから、もうちょっと表現はと思います。

【常松委員】  ええ。10人の先生がおられれば、超一流の方1人ずつぐらいはサプライしていただけるというのを念頭に置いたんですが。

【香山委員】  まあいいや。

【本島主査】  香山先生もよくぞ言っていただけました。もうこれ以上やると、常松委員に大学行って教授の仕事してこいというふうなことになってもいけませんので。まあ、そこは役割が明らかに違うわけですから。加えて、産業界にもいろいろ役割の上のご意見ってあると思いますので、それをうまく出し合って、そのためにどうするかの議論をするのがこの作業部会だと言えますので、よろしくお願いします。

 私の今日のまとめではないんですが、今後の議論で、レーザーにもお話をしてもらったときに、これだけ要るんだという部分と、今これができそうだ、まあできない部分もあるけれどもと、それで大分この2つの資料の読み方が違ってくるように思います。だから、小森先生は現有のインフラである今の組織を変えて、こういうことを共同利用機関でやっていきたい、こういう計画と理解していいんですね。

【小森委員】  はい、そうです。

【本島主査】  だから、今の予算でもちろん新たに要求しなければいけないところもあるけれども、ここに書いてあることはできそうな見込みでやっていると、そういうことでよろしいんでしょうかね。そのスタッフ的なこととか、最終的には今後の10年ぐらいでしたら十分やっていける、そういう意味なのでしょうか。

【小森委員】  先ほどの松田先生のご意見ですけれども、言葉遣いの問題が確かにあるかもしれませんが、我々としては、共同利用機関として大学からのボトムアップを集約し、学術的研究として工学の部分を体系化したいということです。原型炉に向けた大規模な予算を必要とするものに対して、同じように進めるのではなく、あくまでも大学共同利用機関として、工学的な基盤を学術研究として固めるという意味で、プロジェクトという言葉を使っています。学術的に体系化された工学研究を使っていただくことにより、原型炉の実現に寄与できればというのがそもそもの考えです。

【本島主査】  ですから、香山委員からのご指摘は当然で、トカマクとの隔たりについては重水素実験で結果は出す予定であるという部分が結構あるわけです。LHDはQ=0.3がノミナル値で、それ以上出れば隔たりという議論はかなり払拭できますし、それから炉工との隔たりも当然認識されてのことだと言えるでしょう。

 常松委員の資料の中で、目立ちますのは、この人の絵ですね、これが非常にインパクトがあると思うのですが、これは今、原子力機構の中で見通しがついているわけではないので、その立ち上げの前半を特に重視したいということだったわけですね。そうしますと、少しこの資料の読み方も違ってきますね。

 それで、松田委員、何か。今、手を挙げておられたようだけど。

【松田委員】  ええ、言葉の定義なんですけれども。

【本島主査】  プロジェクトという言葉ですか?

【松田委員】  いやいや、設計をまとめるということと、ボトムアップでいろいろな知見を集めるというのと、少しよく定義して議論しないといけないと思うのは、アイデアを出すというのはだれでも出せるんですよ。ボトムアップだろうがトップダウンであろうが。それはもういいアイデアを出す人が生き残るわけで。そういう作業と、設計をまとめていくというのは、そのうちのチョイスをやってちゃんと1つに仕上げていくんですね。そういうことをやろうとしておられるのか、いろいろアイデアを集めて設計要件というか、設計の前の段階の準備をするのか、それはどちらかというのははっきりさせないと、ボトムアップでいろいろ意見が出てきます、それを束ねて集めておきますというだけの話なのか、それを1つにまとめていくというのとはえらい違いなんですよ。1つの設計にまとめていくというんだったら、もう優劣つけないといけないし、チョイスというのは当然入るわけで、そこはどっちをやろうとしておられるのかというのははっきりしながら議論したほうがいいと思います。

【小森委員】  プロジェクトとして、ボトムアップの研究を集約していく中で、原型炉に使えるものとそうでないものが分けられていくと考えています。これを確立していくことが我々の基礎的な仕事だと思っています。これは別に我々の独自の考えではありません。前の座長の飯吉先生が、核融合研の工学研究は、今の双方向と同じような手法も取り入れて、もうちょっと全国をまとめていくべきだと発言されています。これに基づいて、我々としても、工学研究をプラズマの研究と同様に進めていきたいと考えています。

【松田委員】  だから選択があるということですか。

【小森委員】  そうです。現在、いろいろたくさんのアイデアが出ていますけれども、それを今の時点で選択するのではなく、ある程度研究を進めた後で、なるべく早く選択すべきだと考えています。

【本島主査】  吉田先生、関連で。

【吉田委員】  はい、関連することなんですけれども、ここで描かれた、この青い色で囲んだこれは大変な作業で、人も要るし、指導力も要るしということだと思うんですが、これは核融合研の中で現在の状態でこれに対応できるというふうにはちょっと思えないんですけれども、どういう体制で。

【小森委員】  先ほどの双方向も含めて、全国の大学の先生方と一緒に協力してやらなければ進められないと考えています。それから私の資料の3ページにありますけれども、核融合研も組織を変えて、このような研究ができるような体制を整える所存です。この検討中の組織の特徴は、ある要素を研究するグループを系にまとめて横糸とし、プロジェクトを縦糸としていることです。結局、人がいないと仕事が進みません。今の我々の体制は、グループをたくさんつくった結果、たこつぼ的な傾向にあると思っています。これはまずいということで、少し系の組織を大きくして、人材を育てやすくしたいと考えています。自分の所属している組織にとらわれずに、もうちょっと大きくいろいろな研究ができるような人を育てる必要があります。育った人材は、プロジェクトという格好で、例えば大型ヘリカル装置計画で活かしたいと考えています。プロジェクトは系にまたがっていて縦糸になるわけです。数値実験と書かれた理論シミュレーションも縦糸になりますし、同じように、核融合工学も縦糸として大きく育てたいと考えています。

【吉田委員】  おっしゃるように、縦糸、横糸っていうのはいいと思うんですけれども、例えば、今の現状の私が思っている感じは、やはり縦糸、横糸の数がまずなかなか足らないというのと、それからやはり太さが足らない。というか、まさに今、現状では、大学のいろいろな研究室とこの核融合研の関係とか原研の関係というのは非常にルーズカップリングなんですね。だから、その今のようなルーズカップリングの状態でほんとうにこういうものが推進できるのかというのは、ちょっと気になる。もう少し……。

【小森委員】  先ほどの常松先生のお話ではありませんが、これが必要だといっても、あなた、これやりなさいということは、核融合研の中でさえもできません。研究の方向を考えて組織も変えて、自主的にその方向に研究者に向いてもらう必要があります。また、関連する大学の先生に共同研究を通して一緒にやっていただかなければ進まないことも自覚しています。

【吉田委員】  やはりやる人の責任というものがあると思うんですね。ですから、例えばこんなこと可能かどうか知りませんけれども、例えば兼任というような形にもう少し強固な関係をつくるとか……。

【小森委員】  大学とですか。

【吉田委員】  やるほうもやりやすい。それからその人の役割も明確になるとか。

【小森委員】  それはそうですね。ですから、その辺は大学の先生が……。

【吉田委員】  何かもう1つ工夫しないとなかなか、今ボトムアップとかいろいろなことを言っているけれども、先に進もうとしたときに体制が脆弱な感じがするんですね。

【小森委員】  我々としては、きちんとしたロードマップをつくることが、その鍵になると考えています。大学の先生、核融合研の研究者に、このロードマップでいけば良い研究ができるという期待感を持っていただければ、かなり参加していただけると思います。また、そのような格好でご協力いただけるのであれば、吉田先生がおっしゃるような、もうちょっとルーズでない共同研究というものもできると思います。ただ、今の時点で言えば、大学の人は自由人ですので、強制的にこれをやってくれというのは我々としてはできませんし、内部に対してもできません……。

【吉田委員】  昔ほど自由じゃないですけどね。

【小森委員】  そこは核融合研の研究のスタンスですから、これは変えられません。その中で我々は頑張るしかないと思っています。

【香山委員】  ちょっと思い出したんですが、きのうの議論でもう1つ忘れていた大事なのが今に絡むんですが、きのう、こういうふうに炉工で非常に大規模なプロジェクトで動くという話が出たときに出た質問の1つが、もともとの核融合科学を研究するというその設立趣旨との整合性がどうなるのでしょうかと。そのときにあるのは、従来の工学の研究でよく出たのは、核融合研として、研究としてやる工学研究というものと、それから全国のそういう核融合研究全体の中枢機関として世話をして一緒にやるというものとを分けてやっておられたんですね。そのときに、今回の中身もどういう格好になるんでしょうかという疑問、質問が出たんです。それで、それに対しては、所長に答えを聞いてくださいという回答だったんですね。

【小森委員】  そうですか。

【香山委員】  ですが、ちょっとその辺がなかなか核融合研独自の研究というところよりはちょっとはみ出してきますよね、これね。それからあと、もともとの趣旨とどうなるんでしょうかというあたりですね。

【小森委員】  そういう意味では、核融合研だけでやるということではなくて、これに共感していただける、全国の大学の先生に加わっていただくことになると思います。

【香山委員】  いや、ポイントは、核融合研の独自であれば、極端なことを言えば、何をやろうととやかく外部が言う話ではない。だけれども、もし全国共同利用の中枢機関としてやるんだとすると、やはり全国的な議論の中で当然そのプライオリティーを議論して、その中でこれをやるということが合意されていくのがしかるべき段取りでしょうから、そういう意味では、ちょっと、もし後者で今のこのプロジェクトなんかが出てくるんだとすると、少しもうちょっと詰めていただく必要があるかなというような話だったというふうに私は受けとめました。

【小森委員】  我々は、議論は必要だと思っています。

【石塚委員】  いいですか。

【本島主査】  はい、産業界から。

【石塚委員】   私のところで、前回私はファクトシートを出して、民間として、組織だってではないんですけれども、議論をし始めて、原型炉コアチームとはどういうものだろうかという議論をし始めているところです。それで、その中でやはり産業界として、民間として何が求められるかというと、やはり求心力なんじゃないか。コアチームとしての求心力をしっかりとやはり持っていただきたいという気持ちがあるわけですね。それは、いろいろな方式もあるかもしれませんし、ITERのプロジェクトがあり、BAがあり、それからいろいろなものがある中で、その中で原型炉をどうつくっていくかですので、やはりそういった求心力のあるチームをつくらなきゃならないというふうに思います。今のボトムアップも非常に重要なのかとも思いますけれども、ほんとうにそれを求心力としてまとめて次のところへ進まなければいけないんじゃないかなと思います。

 なお、きょうのところは皆様のお話を伺って、少し産業界、民間としても、このコアチームのあり方をもう一回議論をしたいと思っておりますので、それによってまたここでご発言をしたいと思っております。

【本島主査】  どうぞよろしくお願いいたします。大変重要なご指摘だったと思います。ボトムアップ、トップダウンとリーダーシップはまた別だというご指摘でもあったと思いますので、いかにリーダーシップを発揮していくということかと思います。

 それでは、資料3で、特にきょうは「原型炉とは」というあたりを中心に残された時間を吉田科学官からお諮りいただこうと思いますけれども、よろしいでしょうか。最後に香山先生、1つだけ聞いていいですか。先生もボトムアップ派でしょうか。そう思ってよろしいですか。

【香山委員】  いや僕はどっち派ってことはなくて、やはりボトムアップの重要性もあります。だけど……。

【本島主査】  それはそれで結構です。

【香山委員】  上も必要だとむしろ言いたいですね。

【本島主査】  松田委員はよくお分かりいただけましたでしょうか。

【松田委員】  僕はボトムアップ、トップダウンというのは、サイエンスの議論に関して意味ないと思っているんですよ。ストラクチャーをつくるときにはもちろん意味があるんですけれども、だれがアイデア出すかというのは、そのプロジェクトの中におったって……。

【本島主査】  それはリーダーシップのことでしょうか。

【松田委員】  いやいや、だれがこういうアイデアというかこういう解決法がある、あるいはこういう研究を進めるべきだというのは、だれもが持っているんですよね。

【小森委員】  ただ、その違いは、あなたこの研究やりなさいと言われてやるか、それとも自主的にやるかです。それはかなり違います。

【松田委員】  自主的にやったらプロジェクトなんて成り立たないと思っています。

【小森委員】  成り立たないとおっしゃるでしょうが、そこが違うんです。だから、私のプロジェクトの使い方も、確かに違うと思います。けれども、大学では、LHDもプロジェクトなんです。ちゃんと動かしています。

【本島主査】  では、終わってからお2人で、もう結論が出るまでやっていただく必要がありそうですから。ここはやはりそれぞれが業績を上げてきているのですから、お互いに相手を尊重し合って一日も早く原型炉実現に至ろうということで、皆さんのコンセンサスとしたいと思いますので。

 では、吉田科学官、すみません、時間がちょっと足りなくなってきましたので次回に繰り越さざるを得ないところも結構ありますが、よろしくお願いします。

【吉田科学官】  資料3でご説明します。この作業部会の報告書を6月をめどにまとめていこうということを考えますと、そろそろどういった骨格でまとめていくのかということを議論し始める必要があるかということで、資料3を準備した次第です。これはまだ章立てを定義したものではありませんで、報告書の方向性、どんなふうな大まかな骨格で考えていこうかということで、いただいたワークシートのデータとご提案を盛り込みつつ、こういった骨格に肉づけをしていくということでどうかということでお諮りをしようということであります。

 青字のところに、それぞれのところでどんなことを書きたいのかを述べておりまして、それと同時に、これまでいただいているワークシートからある程度読み取れる部分を、少し小さいフォントの黒字で、これは山田先生にまとめていただいて、項目として入っております。

 まず、この報告書をどういったスコープというか目的で書くのかということでありますけれども、今回の議論のスタートポイントのところでお話があったように、原型炉の建設に至るまでの研究開発のロードマップ、特に時間軸を入れた研究開発の戦略、それが全体の開発研究として整合性がとれていて実行可能なものである、かつ合理的なものであるということを示すということが目的であると考えております。最初のところに述べましたように、目的達成のために必要不可欠な課題を明らかにして、核融合研究という国を挙げた取り組みに研究者、技術者の協力を求める。効果的な組織・体制のあり方を示す、それから研究の進展をチェック・アンド・レビューする具体的な手続きの制度設計を示したい、これらのことを目的にしてはどうかと考えております。

 構成の素案としては、1章、2章という形で、1章のほうが大ざっぱに言いますと現状分析、課題の分析ということで、2章、3ページ以降ですけれども、それが課題に対して必要な施策というものはどういうものか、大体そんなふうな形になるかと考えています。

 まず1でありますけれども、研究推進のロードマップということで、まず1)で「原型炉とは」ということを記述したいと考えています。これについてはいろいろ議論があろうかとは思いますけれども、やはりロードマップを議論する文章を書いたときに、目的地が抽象的だと全くインパクトがありませんので、できるだけ目的地というものを具体的に定義したい。そのための議論は大いにやっていただきたいと考えています。原型炉を定義する目標値というものがいろいろあるかと思うんですけれども、その意味づけ、なぜ核融合研究コミュニティーがそういう目標値を挙げているのかということをエネルギー・環境問題の視点も含めて、その意味を具体的にシャープにする必要があるのかと考えています。

 それから2)は「ITER及びBAの位置づけと役割」ということでありま。これは原型炉に至るまでのロードマップの上に、一番大きな計画として既にレールの上を走っているITER・BAがありますけれども、これは単にレールの上をずっと走っていく、慣性運動してますということではもちろんないわけで、それを具体的なテーマに分節化してチェックポイントを定義して、それぞれが持つ意味を原型炉へ至るロードマップの上に位置づけていく。ダイヤグラム的にいうと、ITERあるいはBAの研究の進展に合わせて、そこからさまざまな補助線が出てきて、それがほかの開発とどのようにリンクしていくのか、そういうふうなイメージのことを分析しておく必要があろうかと考えています。

 それから3)の「国内で解決すべき研究課題」であります。ITER・BAは国際協力でありますけれども、きょう常松委員のほうからもいろいろ議論がありましたように、国内部隊というか、国内でどのような研究のアクティビティーと、それにかかわっていく特に人材面の措置が国内に存在している必要があるのか、それを述べる予定です。それぞれの役割、効果ということを具体的に述べておく必要があるわけで例えばITER・BAがあるんだから、ほかのものはなくてもいいんですねと、こういうふうなことにならないように、核融合研究が我が国のエネルギー開発として成功するためには国内にどういう基盤研究がないといけないのか。研究の前線と後方という言い方もあるかもしれませんけれども、計画の全体像をここで具体的にリストアップしていくことをしたいと考えています。

 それから次のページの4)ですが、「研究推進の整合性」。整合性というのは中身としてはもちろん完結しているものであって、合理的であって、しかも高度であって重層化している、そういうふうな整合性がとれているということが必要なわけでありますけれども、これは上記で網羅した研究が核融合エネルギー開発として完結したものであって、合理的であるということを立証するとともに、核融合以外の方々にもきちんと理解していただけるような記述が必要だろうと考えています。国際的に我が国の核融合研究がトップの水準であるためには、核融合に関連する広範な学術・技術の重厚な知的ストックというものがあるわけであって、そういったふうなものを維持・発展させる必要があるということ。それから、長期展望に基づく大規模で計画的な研究開発と、チャレンジングな独創的な研究、これらを学術研究として重層的に構想する必要がある、そういったことを述べる必要があろうかと思っております。

 それから5)ですけれども、「ロードマップとチェックポイント」ということで、これは上で検討したことをダイヤグラムにして示す。特に研究計画・プロジェクトのそれぞれの連関をチェックポイントで連接する、そういうふうにダイヤグラム化して、核融合研究すべてが一つの束になった研究であるということを理解できるようなものにしたいと考えています。

 それから2の「残された課題と必要な施策」ということでありますけれども、まず1)として、「収斂させるべき研究/展開させるべき研究」としました。本日もいろいろな議論がありましたように、原型炉建設に直結する開発段階に入ろうとしておりますが、これは当然のことながら、研究開発をたくみに収斂させる選択と集中が合理的になされるということが必要であって、それが研究者コミュニティーの合意のもとに進むということが必要であるわけであります。それと同時に、これまでの作業部会でも検討してきたとおり、選択・集中していって研究者コミュニティーが小さくなるということを決して意味しているわけではなくて、今後、この開発に携わる研究者を増やしていかないといけないというわけでありますから、その両面に工夫が必要であるわけです。そのためにはこの分野の研究開発が独立化していくということではなくて、他分野との境界領域を一層ぶ厚くして、連携・融合によって機動的な人材を確保することが必要である。これは前回の報告書でも述べたとおりであります。もちろん、本日議論があったコアの人が必要なことはもちろんでありますけれども、トータルとしての研究人口というものを確保していくことの工夫が必要であろうと考えています。そういった意味で、収斂の他方で展開という戦略をこのコミュニティーは持っていないといけないということを述べる必要があると考えています。

 それから2)でありますけれども、「進路決定の仕組みづくり(そのサポート体制)」ということであります。これはきょうの議論にも大いに関係していますけれども、研究開発のロードマップというのは、まず精密な地形図の上に進路を線引きしたものでないといけないわけで、まず現状の地形の分析が必要であると同時に、選択をしていくというプロセスが必要であるわけです。それは多様に展開している研究開発あるいは他分野のさまざまな知識というものを一つの目標に向けて収斂させるという方向づけを行うということであります。もちろん、現段階では未決定の事項をたくさん我々のコミュニティは持っているので、それらについて、どのような時期にどの基準で判断を行うのかというプロトコルを定めておく必要があると考えています。いつまでも何も決めないでいろいろやっているということではなくて、いつ何どきどのような基準でどのように我々が意思決定をするのか、そういうことをやはり明確に示すということが必要だろうと思います。意思決定は合意形成でないといけないので、それは核融合研究に携わるコミュニティーの協力と支援を受けるような合意のもとでの意思決定がなされるために、そのためのサポート体制と言いましたけれども、意思決定の手続はどうあるべきかということについて述べておきたいと考えています。

 それから3)が、ある意味で本論でありますけれども、研究開発のロードマップ、ダイヤグラムでありますけれども、その上で分析された喫緊の課題について具体的な施策を提示する。ワークシートでいろいろ具体的な提案もいただいていますので、それをできるだけインパクトのあるものにまとめて、このような施策が必要であるかを具体的に記述していきたいと考えています。

 それから最後は、「国の方針と研究現場の関係」ということで、これは、核融合研究は国の長期的な環境・エネルギー戦略のビジョンに基づいて推進される必要がありますけれども、核融合研究に携わるコミュニティの協力と支持を得るものでないと、これを推進することはできないわけなので、この長期計画が固定化・硬直化しないように、研究全体の方針づくりと、研究最前線の状況が常にチェック・アンド・レビューされる、そのような体制のあり方ということを示す、そういうことが必要かと考えています。

 概略、そのようなことでまとめていってはどうかと考えておりますけれども、ほかにどのような項目が必要か、どういった観点が必要かということを含めてご議論いただければと思います。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 山本専門官、ここはほかの委員の先生方が30分ぐらい延長してもいいということでしたら、もう少し議論したいと思うんですが、部屋は大丈夫なんでしょうか。

【山本核融合科学専門官】  大丈夫です。

【本島主査】  あと、できれば15分、場合によっては30分まで延長したいのですが、いかがでしょうか。

 どうもありがとうございました。それで、きょう欠席の委員も多数いらっしゃいますので、やはり次回も含めて時間を使って議論を深めていく必要があるわります。疇地先生は、都合が悪いのですか?

【疇地委員】  ええ、ちょっと都合が。すみません。

【本島主査】  そうですか、困りましたね。じゃあ、少しだけということでいいですか。

【疇地委員】  はい。

【本島主査】  それで、私の不手際もありまして、すみません。あれ、香山先生は、どこか行かれましたか。

【山本核融合科学専門官】  戻られると思いますが。

【本島主査】  そうですよね。

 それでは、疇地先生から発言をしてもらおうと思います。今のロードマップについて、きょう、「原型炉とは」というところをどういうふうに書き込んでいくかということについてはご意見をぜひ出していただきたいと思います。吉田先生の説明のとおり、第1章、ロードマップを見ますと、1)の「原型炉とは」は、起承転結の起になるわけですね。2)は「ITERおよびBA」やはりこれが重要であるということを承で受けて、3)の「国内で解決すべき研究課題」、これは転ということになると思います。そして4)の「整合性」とつながり、これは結論であって、5)の「ロードマップとチェックポイント」が提言になる、こういうふうなイメージで私自身はとらえています。やはり1)「原型炉とは」での充分な議論が必要ですし、2)のところに全日本としてあるとおり、産業界の役割ということがまず最初のところから出てくるわけですね。それから工学研究の推進ということになりますと、ここはやはり文部科学省の予算化の努力の結果として出てくる部分になるはずですから、そういう書き方、読み方になっていきます。マル3が工学ですから、サイエンス、学問としての核融合研究というところは、3)の1の合理的な展開というところに科学技術研究ということが入っているわけですね。そういう理解でいいかと思います。私もなるほどと思いながら聞いておったわけです。あとは、トカマクを代表として共通のもの、それからヘリカル・レーザー、それから計画としてのヘリカル・レーザーの学問的な部分も含めての重要性といったことが適切に書かれてくれば、報告書にインパクトのある形で残るということになるかと思います。

 それでは、疇地先生、すみませんが、何かありますでしょうか、特に言い残しておきたいこと、きょうの議論でですね。まだ議論は継続いたしますので。

【疇地委員】  レーザー核融合のことでよろしいでしょうか。

【本島主査】  ええ、もちろん。逆効果にならないように話してください。

【疇地委員】  今まで磁場核融合の加速計画ということでは、あるステップを飛ばすとか、ある役割のものをこちらに移すとかの検討を経て、ストラテジーがつくられてきたと思います。一方レーザーについても似たような検討をしてきましたが、当然のことながらレーザーの加速計画は磁場とは同じになりません。一番端的な例が、実験炉の役割に発電実証を含めたことです。 ということで、我々が実験炉と呼んでいたものは内容的には原型炉を含むということなので、原型炉の設計チームはこうしたいということは、どこかで少しお話をさせていただきたいと思っています。要約すると、LIFTと呼ばれる実験炉の設計作業を、レーザー研、双方向型共同研究のメンバーと、欧州のハイパーのチームが協力して、開始しようということで、今、話を進めているところでございます。

 また昨年の11月、本島先生にも参加していただいたシンポジウムで、日本と欧州とアメリカのディレクターがそろったので、そこでとにかく国際的な連携協力をしようということでは合意ができたんですね。今、欧州の話をしましたけれども、NIFについては、あす、阪大の総長と懇談をして、阪大のチームをNIFの点火実験に参加できないかという議論もしようと思っています。

 このペーパーについては今見たところですので、また改めてコメントをさせていただきたいと思います。

【本島主査】  さっきもお願いしたように、3)の1のところでしっかり書き込んでいただくか、書き込めるかにかかってくると思うんですね。これはトカマクもそうですし、LHDもそうだと思います。

【松田委員】  最初のときにちょっと発言したことに関係するんですけれども、私の意見はボトムアップの意見です。ボトムアップというのは、今から言うのは、予算をお願いに行くときはいつもボトムアップなんですよ。

 で、これはどこの予算で何を得ようとしているかというので随分違うと思うんですが、例えばどこかにリソースがあって、それをターゲットにするというときに、原子力予算をターゲットにするんだったら、もう当然のことながら、原子力の研究開発のレポートというのは全部踏まえた上で、どこの部分が新しいんだということを言わないといけないんだと思うんですよ。これを見てみると、大部分のことは既に原子力委員会のレポートにカバーされているんですね。チェックポイントも含めて。そこはやはり見直すんだというんだったら見直すという位置づけで書かないといけないし、あそこに触れられていない新たなものをここでやるんだ、それに当たってコンプリヘンシブにやりましたというんだったら、そういうスタンスで書かないといけないし、予算要求する予算の出る枠組みのところにフィットしなかったらだれも拾ってくれないと思うんですよ。だから、そこは何をあてにしてこれを書かれるのかというのは非常に大きなところだと思うんですよ。

 それで、原子力、JAEAも資金的には、もう独法のあれの中で全部予算的には下がっている中にITER・ブロードアプローチが増えていく、それでもうほとんど余裕がないわけですね。じゃあ、ほかにどこか余裕のあるところはありますか。余裕のあるところがあるんだったらそこを目指していくべきだし、また、例えばこういう人材育成のためにというのでキャッチフレーズで挙げるんだったら、原子力人材育成か何か、そんなところに例えば潜り込ませようとするとしますよね、核融合の人材育成か何かに。そうするんだったら、やはり原子力委員会も読めるレポートでないといけないんだと思うんですよ。なぜそれだけ人材育成が必要なのか。何かそういう役所と一体になった一体感でそのレポートを書き上げていかなかったら、核融合のファミリーの中で、あ、こういうふうに計画を考えていますという、それは非常に大事な作業ではあるんだけれども、予算には多分結びつかないという気がして、その辺はお役所のほうも、何かここだったら突破口が開けそうな、そういうものを教えていただきながらやらないとという。

【本島主査】  それは大前提でよろしいのではないでしょうか。

 それで、髙村先生、原子力委員会との関係で何か補足はありますか。当然、今までの議論を踏まえてさらに現状を分析して書くことになるわけですね。それで、実施官庁である文部科学省の中の報告書になるわけですから、この作業部会のアウトプットは実施法案であるということですよね。だから、そこの矛盾を私自身はそれほど心配はしておりませんけれども。それでは原子力委員会の立場でのご発言お願いします。

【髙村委員】 確かに、今、松田委員が言われた点というのは大変重要だと私も思います。方向性というのは、原子力委員会の中できちっと提示されているわけですね。先ほど出た早期実現という観点についてもレポートにきちっと書かれているわけで、それからいろいろな課題についてもレポートの中にはまとめられています。ですから、それらをきちっとリファーしていくというのがまず基本的には大事なことかなと思いますね。それで足りない部分があるとすれば、そこははっきりさせなければいけないし、具体的な、こういう基本的な考え方が提示されているんだけれども、それを実現させる具体的に非常に有効な方法としてこういう……。

【本島主査】  実施法案、つまりロードマップですね。

【髙村委員】  そういう位置づけが明確に見えるような形であればコンシステント、先ほど整合性というのがありましたけれども、原子力委員会の、まあ言ってみれば大綱と本質的には整合性がとれてないといけないというところがありますので、やはりそこは、確かに私もちょっとうっかりしていましたけれども、しっかりとそれを踏まえた形の提案というか、そういうものになっていなければいけないと思います。私も同感です。

【本島主査】  原子力委員会の専門委員会でしたか、メンバーの方もここに何人かいらっしゃいます、委員長がいらっしゃるわけですから充分リンクされが議論ができると思います。

【髙村委員】  もう今は違うと思います。

【本島主査】  いや、そのときのですね。ですから、そこは大所高所で報告書に対するコメントはいただけるものと思っておりました。

 それで、予算についても、それはこれから原子力予算がどうなっていくかというのもわからない面もあるかもしれませんし、枠は枠として境界条件としていろいろ考えながら、ぜひ中身のある議論をしていただいて、続けていただいて報告書にまとめたい、こう思います。

 ほかにございますでしょうか。小森委員。

【小森委員】  ただし、核融合研としては、原子力予算を一緒にとりに行くということはできません。先ほどもお願いしましたけれども、ここで学術研究としての、大学としての役割を言っていただいて、特別研究経費などの大学の枠の中から、我々としては頑張って取るしかないと考えています。大学の共同利用研として、それしか道がないし、それが今の時点ではベストだと思っています。

【髙村委員】  そういう意味では、やはり学術として位置づけられている面がやはり強いんですよね。ここで「原型炉とは」というディフィニションがありますけれども、そこの書き方というのは相当注意しないといけない部分も、そういう面からはね。ヘリカル炉あるいはレーザー核融合に関しては、原型炉を目指すんだということになると、それは長期的に目指すのは別に構わないんですけれども、あくまでも今の段階としては学術的な段階にあるという認識ですので、そこはやはり少し勘案して、少しというかきっちりと勘案した上での文章にしないと、矛盾を来すことになると思います。

【本島主査】  そうですね。

【疇地委員】  よろしいですか、髙村先生とか小森先生の言われることは全くそのとおりだと私も思うんですけれども、それに関しては、17年の原子力委員会のレポートのときに、トカマクの路線がまずあって、それは開発研究としてあって、学術研究としてヘリカル・レーザーというのがあって、どこかの時点でやはりヘリカル・レーザーもチェック・アンド・レビューを受けて次の段階に進むのであると。次の段階というのはやはり原子力予算ですよね、一言で言うと。残った部分は、これはまさに小森先生がプレゼンのときに、前回でしたか前々回に示されていた、核融合研としては12年後に2つに分かれてというか、ということなんですよ。

【小森委員】  ええ、そう思っています。だから、うちが開発研究だと言ったときには少なくともLHDの今の予算よりはかなり縮小した学術予算にしなければいけないということです。それははっきりしています。

【吉田科学官】  ちょっとよろしいですか。

【本島主査】  はい、どうぞ。

【吉田科学官】  ご指摘のとおりで、このレポートの目的である「原型炉とは」、これをどう書くかということで、ここには、国を挙げた取り組みに研究者、技術者の協力を求めるという言い方をしました。あえてそう書いているのは、もちろん、原型炉開発というのは一つのプロジェクトになるわけなので、協力を求めるという言い方もできるけれども、それはある種の契約関係をつくるということでもあるわけですよね。では、それをどういう体制でやっていくのかです。すべてプロジェクトのエンプロイで全部ができるわけではなくて、協力体制を築いてやっていくということにならざるをえないと思います。そのときに、特に大学関係の人たちは学術としての活動、大学のエンプロイとして活動しているわけで、そういう人たちがそういった研究の中にどのように参画していける体制をつくるのかというところが工夫のしどころなんだと思うんですね。

 非常にマクロな言い方をすると、やはり核融合研究というものは原型炉に向かった大きな流れをつくらないといけないわけで、その流れの中に亜流、傍流をつくってはいかんというのが根本だと思うんですね。研究者がいかに主流の中に参加して成果を上げていくか、そういう戦略をいかにつくるかというところが肝要です。ここに意思決定の云々と書いていますけれども、多分に精神的な面もあるかもしれないんだけれども、やはり制度設計が重要です。それぞれの組織の設置目的もいろいろ違うところに属した人たちが参加してやっていくということになりますので。髙村先生のきょうのご提案もかなりアグレッシブな案でしょうかね、イメージがわかないという批判もあるかもしれないけれども、肝心なところなので、

ぜひそういったことを議論していただいて、少なくともどういうことが必要なのかということを出しておく必要があると思うんですけれども。

【本島主査】  主流とおっしゃったけれども、それは一極集中という意味でおっしゃったのではないわけでしょう。だから、一極集中というのは科学も技術も終わりの始まりですからね。

【吉田科学官】  大きな流れ、核融合研究全体が束ねられた方向性という意味でです。

【本島主査】  ええ。ITERに一極集中していたらSAだってつくれなかったわけだから、ブロードアプローチというのは非常に賢明な考え方が出てきたわけです。いや、ITERが日本へ来ていれば、それはまた別だったわけですけれども。ですから、そういう意味で幅広く進めていく段階であるということを、世の中、それから政府にも納得できるような資料にしておかないと危ないんじゃないでしょうかね。

【小森委員】  主流の中でも、段階的に、大規模な開発を行うべきところと、まだ基礎的な研究が必要なところがあると思います。実際そうですよね。その中で、大規模な部分は原子力が担う。小規模で基礎的な、まだ学術的なもの、それが完成したら大規模なところに向かうようなものもあるんだ、その部分は大学が担うんだという格好でないとやっていけないと私は思いますけれども。

【吉田科学官】  流れと言ったのは、このダイヤグラムというふうにも途中で言っていますけれども、さまざまな活動がリンクしているということだと思うんですね。違う方向に行っちゃっているというんじゃなくて、すべてがリンクしているという。

【小森委員】  だから、大学には、まだいろいろな考え方が確かにあるので、それらを我々はある程度進める必要があると。それらの研究をかなり急速進めた上で、取捨選択する必要があると。その中で学術的な見解を出す、それから先はやはり大規模なものに移っていく必要があると思います。今の段階で大規模なものもあると思いますし、いろいろ混じっているんだと、私は個人的に思っています。

【本島主査】  それでは、よろしいでしょうか。山田学術調査官、何か最後に一言ありますか。それで終わりにしたいと思いますが。

【山田学術調査官】  この「原型炉とは」というところから下は、さまざまな、ある意味、天地人といいますか、いろいろな制約条件なりが伴ってくると思うんですけれども、ここのところはそういったところにまずとらわれずに、ほんとうに必要なものを書いていただきたいと思います。

【本島主査】  今までの集めた文章でかなり書けるでしょう。

【山田学術調査官】  はい。

【本島主査】  では山本専門官、きょうはちょっと発散したかもしれませんが、次回に収束に向かうように努力したいと思いますので。

【山本核融合科学専門官】  よろしくお願いします。

【本島主査】  文科省のほうは了解をいただければと思います。

【山本核融合科学専門官】  ありがとうございます。

【本島主査】  今後の予定を最後に。

【山本核融合科学専門官】  そうですね、もちろんこの資料3は今後の文章化といいますか、いろいろまとめていくに当たっての、ある意味でキックオフだと思っていますので、きょうで全部まとまるとは我々も全く思っておりませんでしたが、いずれにしても、この資料3の議論をもう少し深める必要があるかと思いますので、またちょっと日程調整をさせていただきまして、来月になるかと思いますけれども、それから宿題といいますか、核融合ネットワーク、それからITER・BA技術推進委員会にもいろいろご検討を願っておりますので、そういったことも含めて、次回少しこの資料3の議論も進めさせていただければと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。日程は改めて調整させていただきます。

【本島主査】  次回は3時間、時間をとってもらえますか。

【山本核融合科学専門官】  わかりました。

【本島主査】  この種の文部科学省の委員会は2時間という不文律がありますけれども。

【山本核融合科学専門官】  別に決まりがあるわけじゃありませんので。

【本島主査】  ええ。ほかにも報告がありますので、3時間はとりたいと思いますので、よろしくご協力をお願いいたします。

 では、ほかに特に。常松委員、何か最後に。いいですか。

 では、どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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