原子力分野の研究開発に関する委員会 核融合研究作業部会(第18回) 議事録

1.日時

平成21年7月14日(火曜日) 13時~15時

2.場所

文部科学省18階 研究開発局会議室1

3.議題

  1. 核融合研究開発の今後の方向性について
  2. その他

4.出席者

委員

本島主査、疇地委員、大島委員、香山委員、小森委員、笹尾委員、髙村委員、常松委員、東嶋委員、平山委員、堀池委員、松田委員、吉田委員

文部科学省

千原研究開発戦略官、山本核融合科学専門官、河原国際原子力協力官、吉田科学官、山田学術調査官

5.議事録

【本島主査】  暑い中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。第18回の核融合研究作業部会を開催させていただきます。

 今、東嶋委員と大島委員が少し遅れていらっしゃるということですので、時間も参りましたので、開催させていただきます。

 議事につきましては、お手元の資料にありますように、核融合研究開発の今後の方向性、原型炉、デモ炉を見通しての、もちろん、ITER、幅広いアプローチ活動、サイエンティフィックなベースを持っての活動を踏まえてのことですが、前回の論点整理に向けての議論を踏まえて、さらに深めていただきたい、こういうふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、配付資料の確認をお願いいたします。

【山本核融合科学専門官】  それでは、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に資料が書いてございますので、それをご覧いただきながら、確認していただければと思います。

 資料1でございますが、前回会合における論点整理メモでございます。1枚紙です。

 それから資料2が、ホチキス止めをしてございますが、我が国の核融合研究開発の位置づけ等についてでございます。

 資料3が核融合分野における国際プロジェクト及び国内政策等の主な今後のスケジュール(案)でございます。1枚紙です。

 資料4が、これも1枚紙ですが、今後検討しておくべき事項ということで、たたき台となっておりますが、1枚紙の資料です。

 資料5が第4回ITER理事会報告資料ということで、これはプレスリリースも含んだものをおつけしております。

 参考資料でございますが、エネルギー基本計画の抜粋版というものでございます。

 資料2が1枚紙ですが、第3期科学技術基本計画分野別推進戦略のエネルギー分野より抜粋しましたポンチ絵でございます。

 参考資料3が環境エネルギー技術革新計画<抜粋版>でございます。

 資料4が原子力の革新的技術開発ロードマップの中間取りまとめ、これも抜粋版でございます。

 それから、別途、ピンク色の冊子といいますか、ファイルを机上に置かせていただいておりますが、これはこの作業部会で今までおまとめいただきました報告書、それからフォローアップの概要につきまして、資料として別途配付させていただいております。これにつきましては、今後、会議のたびに使っていきたいと思っておりますので、お帰りの際は残してお帰りいただきますようにお願いいたします。

 以上でございます。

【本島主査】  山本専門官、どうもありがとうございました。お手元の資料を確認いただいたところで議事に入りたいと思います。

 「核融合研究開発の今後の方向性について」が中心ですが、前回の作業部会でご議論いただきました内容につきまして、論点を整理する形で今日資料をつくっていただいております。事務局及び科学官、調査官のご尽力によりまして、資料1の形にまとまっているわけでございます。この議論に入ります前に、前回事務局への宿題としまして我が国のエネルギー政策における核融合の位置づけについて調査していただくことになっておりましたので、千原戦略官から、そのことについてご報告をお願いできますでしょうか。

【千原研究開発戦略官】  承りました。今主査からご指摘のありましたエネルギー戦略における核融合の位置づけについて、少々調べさせていただきましたので、ご紹介を申し上げたいと思います。

 お手元の一連の参考資料がそれでございます。参考資料1から4までお手元に配付させていただいたかと思います。まず最初に参考資料1のエネルギー基本計画でございます。これは日本の全体のエネルギー政策でございますが、平成14年6月にエネルギー政策基本法というのが制定されております。これに基づきまして、経済産業省、資源エネルギー庁が中心となって、参考資料1のエネルギー基本計画を定めるということになっております。これは、少なくとも3年ごとに検討を加えて、もし改定の必要があれば、そのときに適宜改定していくということになっておりまして、これが国全体のエネルギー政策をまとめたものというふうに考えることができるかと思います。

 この基本計画を策定するに当たっては、先ほど申しました基本法に基づきまして、前回のこの会でご紹介した総合資源エネルギー調査会──これは経済産業省、資源エネルギー庁のほうにある調査会でございますが、そこの意見を聞くというようなことになっております。

 早速、参考資料1をめくっていただきますと、核融合の位置づけということで、これは抜粋版でございますが、1枚めくっていただくと、下に25というページが振ってありますけれども、黄色でマーカーをさせていただいております。(7)次世代を支える技術開発・人材育成、ここのところの最後のパラで、ITER計画やこれに関連した幅広いアプローチを初めとする核融合エネルギー技術、原子炉による水素製造技術など、先進的エネルギーに関する研究開発についても、長期的視点から着実に推進すると。そういうような位置づけが載ってございますし、さらに進んで、次の60ページでございますけれども、長期的視野に立って取り組むことが必要な研究開発課題というところで、これについてもITER計画、これに連携した幅広いアプローチを初めとする核融合について着実に推進するほかと、そこのあと省略いたしますが、そういうような位置づけが与えられてございました。

 次は、2番目に、A4横長の参考資料2でございます。今のエネルギー基本計画の記述でございますが、参考資料2のほうは総合科学技術会議のほうでございます。主に科学技術的な視点かと思いますけれども、現在、第3期科学技術基本計画が走っている状況で、今後、第4期に向けての議論が進むということは前回の中でも議論があったかと思いますけれども、その科学技術基本計画の下に、ここにタイトルにありますように、分野別推進戦略というものがまとめられております。その中の1つエネルギー分野の分野別推進戦略で掲げられているのがここに示しました1枚紙でございまして、科学技術基本計画では、ご案内のとおり、戦略重点科学技術、あるいは国家基幹技術、そういったものが特にこの期間で重点的に投資するということで掲げられておりますが、その中のエネルギー分野における戦略重点科学技術というのが、この世界一の省エネ国家ということ。運輸部門を中心とした石油依存からの脱却。そしてもう一つ、戦略の3番目として、基幹エネルギーとしての原子力の推進というふうに戦略が3つ与えられておりまして、その中に全部で14個の戦略重点科学技術があります。ここに掲げた14個のうちの1つで右下でございますけれども、「国際協力で拓く核融合エネルギー:ITER計画」、これが戦略重点科学技術としての位置づけを与えられているというところでございました。

 次に、もう一つ、参考資料3でございます。これはちょうど去年のG8サミット、日本の洞爺湖で行われました洞爺湖サミットでございますが、そのときにちょうど軌を一にするような状況で、2008年、去年、20年5月に環境エネルギー技術革新計画というのが総合科学技術会議で策定されております。これもおめくりいただきますと、抜粋でございますが、6ページのところ、真ん中より下ですが、3、超長期的に実現が期待される技術というところに、下のほうですが、化石燃料に依存しない大規模なエネルギー源である核融合等の技術開発に長期的観点から取り組むという、そんな位置づけをいただいてございます。

 その次のページ、11ページでは、国際連携・国際協力による研究開発というところに核融合も位置づけられております。

 最後のページは、こういった開発に関するポンチ絵が計画についておりまして、別添1というところの一番右下のほう、ちょっと小さいですけれども、丸で囲って、抜本的削減技術というのが2050年から先にありますが、そこに核融合というような位置づけが与えられているという状況でございます。

 さらに、最後でございますが、同じような時期に原子力委員会としても、参考資料4でございますけれども、原子力の革新的技術開発ロードマップ中間取りまとめというのを去年4月にまとめておられます。これにおいても核融合の位置づけがございまして、核融合については長期的観点から取り組む技術開発活動ということで、1枚おめくりいただきまして、16ページのところでございますが、3の下のほうで、「核融合炉技術についてはトカマク型磁気閉じ込め方式を重点的に研究開発しており、その他の炉型については、すぐれた実用化技術候補を探索する基盤的研究の対象としている。」と。2行ぐらい飛んでいただきまして、「また、核融合技術については、国際協力を活用しながら、トカマク方式・ヘリカル方式・レーザー方式による研究開発を進めている。」というような記述。

 また1枚めくっていただきまして、20ページのところでは、長期的観点から取り組む技術開発活動という(3)の中の3で、核融合エネルギーの研究開発ということで位置づけを与えられてございます。

 1枚めくっていただきまして、23ページにはロードマップの概要ということで、マーカーはしておりませんけれども、(3)の下のほう、核融合エネルギーというところでロードマップの概要というものが掲載されております。

 そのほか一番最後のページ、ちょうどひっくり返していただいたところに核融合エネルギーのポンチ絵が掲載されている、そういう状況でございます。

 簡単でございますが、以上です。

【本島主査】  コンパクトな説明をありがとうございました。

 それでは、今ご紹介があった資料4つについて、これはいろいろなところでの委員会等での審議、そこへのアクションということの結果、特に核融合のことが、少しずつという点があるかもしれませんけれども、エクスプリシットに、主張も含めて出てこれるようになっているわけでございます。

 では、ご意見、ご質問等ありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 現在、日本の政府及び社会からどういうふうに核融合研究が見られているかということにも関係いたしますが、たしかこの点については前回の委員会で何人かの方がご指摘になったと思います。香山先生もたしかこういうことをまとめてみたらということをおっしゃっておられたと思いますが、何か今の説明を受けてご意見はありますでしょうか。

【香山委員】  そうですね。確かに最低限のことも書いてあるし、それから、過去の議論の、もう一歩踏み込んだ表現をずっと求めてきているわけですけど、なかなかそこに至らないので、もう一頑張りかなという気がいたしますね。ぜひどこかに具体性も入るように頑張りたいという。

【本島主査】  松田委員、何か。

【松田委員】  この資料を見ますと、核融合が無視されているわけじゃなくて、キーワード的には入っているんですけど、入っているのが、ITER計画と幅広いアプローチ計画、その2つが入っているんですね。だけど、実際に例えば原型炉に向かおうとすると、それ以外にも必要な研究開発があって、そういう点での言及がないと、予算を要求しているときに、この2つはつけますけど、それ以外はだめよというふうになるので、そこあたりが、今度、原型炉に対して、何が必要かという議論が必要で、そういうことを書き込むというのが大事じゃないかなという気がします。

【本島主査】  笹尾委員、お願いします。

【笹尾委員】  非常によくいろいろ調査していただいて、ありがとうございました。

 松田委員のご指摘のとおり、これをほんとうにエネルギー戦略の中に、確固たる位置づけにするためには、さらにもう少し時間がかかるにしても、エネルギー生産の見通しとか、そこまでのいろいろな段階を現在の時点で具体化できるものについては具体的に持っていく。少なくともそういう方向性を打ち出しておくということが今核融合研究の中で重要ではないかなと。非常に行政の立場で、核融合に対していろいろ目配りをしてくださっているという状況の中から、今度はこの委員会も含めて、専門家がその次の具体的な段階というのをまとめておく必要がある。そういう時点に来ているのではないか。エネルギー戦略、環境問題とより寄り添った形でのエネルギー戦略というのが今さらに重要になっているという時点では、もう一歩進めるべきではないかと思います。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 平山先生、核融合とは違う高エネルギーの分野の研究者として、こういった現状について、何かご意見いただけませんでしょうか。

【平山委員】  多分一番わかりにくいところは、ITERとかも含めて、国際協力で進めていっていることとの関連です。実証炉は、国際連携とか国際協力によって進め、原型炉は国内で進めるという、違うスキームになるということです。そこのところのつなぎがわかりにくい。多分何も書かれていないというのは、そこもあるんじゃないかなという気がします。国際協力で全部いくんなら、そのあたりはある面でわかりやすいのかもわからないのですが。一方で、今の研究開発の段階で非常に金がかかるので、とても1国ではできないものを、今度原型炉、実用炉になったときにはまた国内に戻りますよというようなことをどう考えるのかというところがちょっとわかりにくいという気がします。

【常松委員】  すみません。

【本島主査】  常松委員、関連してですね。

【常松委員】  おっしゃるとおりで、もともとITERにしろ、BAにしろ、国際協力というのが最初からあったわけじゃなくて、いろいろな紆余曲折で、少なくとも私個人の希望からしますと、国際協力でなんかやりたくなかったというのが前提であります。ITER自身もやっぱり日本に建てたかった。ですが、国際協力でカダラッシュに建てても、ITERは研究だけすれば可能だろうということで、幅広いアプローチとカップルで踏み切ったというところはあるんだと思います。

 ただし、エネルギー源として使うんだったら、必ずいずれは日本に建てないといけない。日本に建てないといけないときに、技術はどこから持ってきてもいいんです。ただ、それを建設するいろいろな社会環境、技術環境というのが整っていないといけないわけであって、それが一体何なのかというのは、実は、ITERから原型炉へのギャップというのは、おそらくJT-60からITERへのギャップより大きいんだと思う。ITERからJT-60、三大トカマクからITERに飛ぶのも結構コンセプトを決め、工学設計で実規模のR&Dをやってというので、10年以上かかっているわけであって、じゃ、ITERから原型炉に何が不足しているかというのはいろいろなところで研究がされてて、もう洗い出しができているという錯覚に陥っているだけであって、問題は技術というのはバランスですから、原型炉のコンセプトというのはまだないに等しいんだろうと。そうすると、いろいろな個々の要素の技術のリストアップはできているんですが、それをどう組み合わせて、どういうバランスでもってブレークスルーをとっておくかというところは、まさに概念設計の根幹でありまして、それがまだできていない。それをどうするかというのを一部は、資料3の真ん中辺に書いてあるんですけど、IFERCでやるんですが、多分詰め切れないところがあるだろう。そうすると、2020年ぐらいに工学設計活動という一種の想定があるんですが、この想定のいい悪いは別として、このスケジュールで2020年に工学設計活動に入る場合に、IFERCの、これだけじゃ多分不足であって、残りのところの技術開発のバランスをどうとるのか。それをだれがやるのか。どういう実施でやるのかというのが、多分ここ、今2009年ですから、ここ5年か10年の間に決めておかないといけないんだろうなと。

 具体的に踏み出すということは、多分そういうことなんだろうと。決して原型炉の概念が既にあって、それに向かって岡野先生のロードマップもかかれているわけじゃなくて、必要なものをリストアップしただけで、それのウエートづけ、組み合わせのやり方、そういうものはこれからだという認識で取り組まざるを得ないんだろうというふうに思っております。かなり個人的な思い入れが入ってございます。

【本島主査】  もう既に資料3についての議論をしていただいているわけですね。

【常松委員】  すみません。これがぱっと目について、一番言いやすかったもので。

【本島主査】  隣にいましたから、それをごらんになっていることがわかりましたので。きょうの議論の核心に触れるご意見をただいま続いてちょうだいした形になりました。

 今、大島委員が来られましたので。きょう初めて出席いただくわけですので、一言ごあいさつをここでいただいてもよろしいでしょうか。

【大島委員】  本日は遅くなりまして失礼いたしました。東京大学の大島といいます。

 私は、出身は原子力工学科で、核融合炉の研究をしていたんですけど、今は情報学環及び生産技術研究所でバイオエンジニアリングの機械系の流体解析をやっております。よろしくお願いいたします。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 私、失念してしまいましたけど、初めてという意味では吉田科学官もきょう初めてでしたね。この際、一言。科学官としてのごあいさつも兼ねてお願いします。

【吉田科学官】  前回都合が合いませんで、欠席をいたしまして、申しわけありませんでした。この作業部会が、できるだけ建設的な報告書がまとまるように裏方として尽力したいと思っております。よろしくお願いします。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 議論をもう少し続けさせていただこうかと思います。確かに原型炉の定義はもちろん、何台つくるかということも政治的な面も含めて当然出てくるわけですが、逆に言うと、実験炉は人類の歴史でつくれるのはたったの1回ではないか、この様に考えることもできます。従って、ITERの存在意義というのは非常に大きいわけですね。原型炉は、ロードマップも含めて長期にわたるスケジュールを、この委員会のチャージとして、また、ミッションの範囲で今の時点でどこまでつくり上げられるかということをこれから今日ご議論していただけると思っております。いかがでしょうか。千原戦略官、どうぞ。

【千原研究開発戦略官】  主査、恐れ入ります。もしよろしければ、原型炉のご議論は、資料を後でご紹介させていただく2、3、4ですね。あと前回のご議論の論点整理メモを資料1でご用意しておりますので、多分、先生方、いろいろ今頭の中でお考えいただいているかと思うんですが、もし差し支えなければ、資料1をご紹介させていただきながら、お考えをいただいたらいいのかなと思いました。

【本島主査】  確かにそのとおりです。では、資料1を事務局のほうで整理してもらっていますので、戦略官、お願いいたします。

【千原研究開発戦略官】  ありがとうございます。大変僣越ながら恐縮でございます。そうしましたら、資料1をごらんいただければと思います。これは前回、前期からの申し送り事項でありました白丸で書いてある最初の4つ、原型炉に向けた戦略的人材育成から始まる4つでございますけれども、これについて前回フリーディスカッションしていただきました。これを事務局のほうで前回貴重なご意見をたくさんいただきましたので、ごく簡単に論点整理という形でまとめさせていただいたものでございますので、前回のご議論を思い出していただきながら、その後のご議論につながるように、簡単にご紹介をさせていただきます。

 最初の原型炉に向けた戦略的人材育成という観点では、ございましたのが、具体的な出口の確保が必要ではないかというご議論でございました。例えば学生に出口が見えていないんじゃないかというようなご指摘でございます。

 また、それに関連して、高校3年から就職に至るまで一貫した核融合を軸としたロールモデルが大事ではないかというご指摘をいただいております。

 3点目、ITER/BAを通じた国際的人材の育成の重要さということで、こういうことは大事だと思っているけど、まだうまく利用できてないのではないか。ITER/BAを通じて国際的人材を育成するだけの利用ができていないのではないかというご指摘をいただいております。

 また、それにも関連しますが、国際性を身につけさせる環境の整備というご指摘で、特に国際的にリーダーシップをとれる人材の教育が必要だというご指摘。また、そのために、海外に出ていろいろな機会に触れるという、長期でなくてもいいし、短期でサマースクールとか、そういうのでもいいし、国際会議のアレンジでもいいし、そういった海外に出る、あるいは海外に触れる機会を学生に与えることが大事ではないかというご議論がございました。

 その次の産業界との連携についてということでは、開発体制をいかに継承していくかということで、最低限、現状維持というのは必要だけれども、今どんどん進んでいく技術というものを体系化していく。そして、体系化した技術を産業界が受け継いで動いていける、そういう体制化、そういった努力が必要だというご指摘をいただいてございます。

 また、実施主体がどうなるかまだ決まっていない。また、技術継承の主体をどうするのか明らかにするべきだということで、例えばここについては、核分裂の世界では、過去技術開発がされて、それを産業界へ持っていくというところで、そのときのご指摘では、なかなかうまくいっていないという問題点をご指摘されて、したがって、そういう過去の例にならって、核融合の場合、どうそれを生かしていくかという議論も必要だというご指摘がございました。

 また、自主性とアウトソーシング、自前でやるところとアウトソーシングするところの仕分けが肝要だというようなご指摘もいただいてございます。

 3番目の白丸ですが、炉工学研究の推進ということで、これはご指摘というよりは、どちらかというと現状こういうふうにしているというようなところ、あるいはご決意という感じでございますけれども、原型炉工学の研究開発及びIFMIF/EVEDAに関する共同研究の公募では対象の絞り込みの議論、あるいは目的の明確化を意識した取り組みを行っておりますというご指摘をいただいております。

 また、核融合研では、原型炉に必要な炉工学研究を戦略的に進める状況を今整備されている。大学とも双方向型の共同研究として取り組めるようにしていきたいというお話がございました。

 先ほど来出ています原型炉に向けてという観点では、4番目の長期的ビジョンに絡むかと思っております。ここについては例えば10年、20年、30年というふうにある程度時期を区切って、また、階層化、期間を分けて考える必要があるのではないかというようなご指摘をいただいております。

 また、一般の国民の方にわかっていただけるようなロードマップが必要であるということで、例えばいつ、だれが、何を開発するのかといった、そういうロードマップが必要ではないかというご指摘をいただきました。

 また、学部学生教育の充実ということでは、なかなか先輩が背中を見せる機会が少なくなっているのではないかというご指摘をいただいております。

 また次ですが、核融合に非常に特有で、緊急に求められている技術について、いかに効率よくピークをつくって、安定した基盤を築くかということが重要だというご指摘をいただきまして、これについて高いピークのためには底辺を広げる必要があろうと。そのためには、NIFSさんでやられている双方向型の共同研究は大事な意味を持っているのではないかというご指摘もいただいてございます。

 その次の点ですが、エネルギー戦略の中での核融合の位置づけと目標を明確にすることが必要な研究開発のスケールの認知につながるというご指摘をいただきまして、これについては、例えば、そういった研究開発のスケールの認知というご議論と実際に勉強する学生さん、またその親御さんが核融合というものを大きなエネルギー戦略の中で認知する観点から人材育成という観点でも非常に大事だというご指摘をいただきました。

 上記4つにカテゴライズできないかなと思いまして、その他と分けましたけれども、ITER/BAの現状認識を適宜図っていくべきであるというご指摘をいただきました。

 その次ですが、一般の国民への認知度を高めるために、わかりやすいネーミングを工夫する必要がある。どうも仲間内でしかわからない言葉遣いをしてしまう嫌いがあるのではないかというご指摘でございます。

 また、審議の結果をどこにどのように発信するかの検討も必要だ。戦略的に考える必要があるということで、これは長期ビジョンに関連するかもしれませんが、このときの議論では科学技術基本計画なのか、原子力政策大綱なのか、そういったところ、どこに発信していくのか。外への発信力が弱いんじゃないかというご指摘をいただきました。

 また、報道、一般学生向けなどへの核融合関係施設のツアーをどこかが運営すると、非常に効果的ではないかというご指摘もいただきました。これに関連して、報道の立場から見ると、どこに行ったら具体的に全貌がわかる取材をできるのか、そういったところがよくわからないというご指摘もいただいてございます。

 最後でございますが、核融合を説明する小学生向けの本をつくるべきではないかというご指摘をいただきました。核分裂のほうでは本はあるけれども、核融合だとなかなかわかりやすい本がない。学会のほうでつくっていただいてはどうかというような、そんな議論もあったと思います。

 簡単ですが、前回の復習でございます。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 非常に多岐にわたる論点が出てきました。その他を入れて、5つの項目に分けて整理すると、こういう形になると、そういうご説明をいただきました。人材、それから産業界、炉工学、長期的ビジョン、こういったことがキーワードになるわけです。これらの項目につきまして、こういったことが抜けているのではないかというふうなこと。また、新たにお気づきになった点があるかと思いますので、そのことを踏まえてもう少し議論を続けていただこうと思いますが、いかがでしょうか。

【吉田科学官】   前回欠席いたしましたので、前回申し上げておくべきだったと思うことを補足させていただきます。この作業部会では、どういうことをやってきたのかということは、ここのピンク色のファイルで出していただいておりますけれども、新たに加わっていただいた委員の方もいらっしゃいますので、大ざっぱに説明させていただきます。ITERとBAを我が国としてどのように推進するかについて,先ず有馬先生の委員会ができまして、大枠を決めました。その後、この作業部会が設置され、先ず大体どのくらいの研究規模が必要なのかを議論しました。ITER/BAの推進は、核融合研究の牽引力となる国際的研究事業ですが。それとあわせて、国内の研究規模がどのくらい必要かということを検討したわけです。大ざっぱに言いますと、この分野の研究に加わっていただく研究者を、倍増しなくてはいけないということが結論されました。

 その次のレポートでは、それだけの人に加わっていただくということを考えたときに、どのようにそういう人材を引き付けてくるのか。また、新たな人を育てるのか。そういう人材育成ということを具体的なテーマにしつつ、だれが何をやるべきかという主語を決めていくという作業をやりました。

 今度は、17回から新たな作業部会で作業いただくわけですけれども、ここの大きなテーマは、時間軸を明らかにして、出口戦略を明らかにすることだと考えています。原型炉ということが先ほどから議論がありますけれども、次につながっていく整合性のとれた計画として、とくに時間軸を意識しつつ、研究の進め方や体制を議論する必要があります。先ほどから平山先生とか、常松委員からもご指摘になっていること、おそらくそういうポイントだろうと思うんですね。

 そういう作業部会の大きな流れをぜひ意識していただきつつ、議論が前のほうに進むように、ぜひご協力いただきたいと思っております。

【本島主査】  ありがとうございました。

 今のご発言は、論点整理のメモを作成されるに当たっての考え方でもあるというふうに理解してよろしいでしょうか。特に1番目の丸の人材育成のところと4番目の長期的ビジョンのところを強調されたと、こういうふうに思って聞いておりましたけれども。

【吉田科学官】  そうです。

【本島主査】  ありがとうございました。

 じゃ、松田委員の手が挙がっておりましたから。

【松田委員】  このポイントを見ていて、先ほどの原型炉の議論とのリンクで考えると、プラズマに関してもインテグレーションできるのが原型炉だというのが、やや抜けているような気がするんですね。つまり、ITERでももちろんプラズマをやるし、長時間運転もやるんだけど、例えばハイベータで、かつ長時間というのは、最初に実現できるのは、バーニングでできるのは原型炉になるんですね。そういうプラズマパフォーマンスもインテグレーションできる段階が原型炉でというのがどこかに入ってないとというふうな目で見ていたんですが、1つ追加すべきかなという気がいたしました。

【本島主査】  そうですね。原型炉は、プラズマのパフォーマンス、プラズマ物理等の集大成であるというご指摘でしたが、原型炉の定義が要るのではないかというご指摘でもありますね。それは大前提ということでここに書かなかったということもあるのですが、確かに原型炉のミッションについてはエクスプリシットに議論を進めたほうが外から見てわかりやすいという面も出てくるかと思います。テークノートさせていただきたいと思います。

 髙村委員。

【髙村委員】  いろいろご意見があるんですけれども、今の松田委員のも含めて、常松委員が言われたIFERCの重要性を私ども、かねがね思っておりますし、長期ビジョン、あるいは原型炉ということを考えていくと、IFERCの役割というのは非常に大きいと思うんですね。何らかの形でもし今期の作業部会が報告書をつくるとすれば、IFERCを充実させていくような方向のまとめができないかなというふうに思っています。そこにはある意味のオール・ジャパン的な意味で、例えば大学からもちろん、核融合研、NIFSからも参画するし、それから産業界のほうからも参画していくというような形で、IFERCを盛り上げていくというような戦略という。そこの中では、当然、今松田委員が言われたようなことも、その中のミッションの1つになっていくわけですので、何とかこれを日本の原型炉に向けての戦略の柱にできないかなというのが私の意見です。

【本島主査】  大変申しわけないんですが、念のためにですが、IFERCのことをちょっと説明いただけませんでしょうか。

【髙村委員】  私が説明するのも……。

【本島主査】  やはりそのほうがいいと思いますので。

【髙村委員】  むしろ常松さんにしていただいたほうが。

【本島主査】  じゃ、念のために。

【常松委員】  幅広いアプローチというのは、ITERと並行して走る相補的なという国際協力の位置づけで、この中に3つプログラムがございます。1つはJT-60を改造してITERとの補完研究をすべきというサテライト・トカマク、これが那珂。六ヶ所に2つございまして、1つがIFMIFの工学設計及び実証活動、R&Dですね。もう一つ、IFERCというのがありまして、これが極めて漠然としております。IFERCの中にまた2つあって、1つは計算機シミュレーションをやるためにスーパーコンピューターを入れて、日欧共同で使いましょうというのがあります。もう一つは、原型炉へのというので、狭い意味でIFERCというのはもともとデモの話をしようと思っていたんですが、ネーミングのところでシミュレーションが……。

【本島主査】  略語の意味もお願いします。

【常松委員】  ごめんなさい。IFERCというのは、International Fusion Energy Research Center。センタープロジェクトって変なんですが、最初、Cがなくて、リサーチでとめていたんですが、発音ができないというので、センターというのが入って、IFERCになったというようなあれなんですけれども、基本的には、原型炉へのプロジェクトというものの全体がそこに入っているんですが、非常に狭い意味で計算機シミュレーションとデモの設計及び基本的なR&Dをやるという、ものすごい狭い意味での協定上の用語です。

 そこで、デモのR&Dというので、大したお金がついていない。10年間で数十億ですので、何をしようかというのを核融合エネルギーフォーラムで非常にご議論いただいて、ジェリネックで、かつ長期的にというので、材料をベースにした基本的なR&Dをというので、日欧双方で合意したというのがございます。

 さて、根幹になる設計はというので、なかなか難しゅうございまして、先ほど概念設計もできてないじゃないかと申し上げたのはそこにありまして、まず日本とヨーロッパで原型炉の概念が違います。1極でやるのでしたら、突っ走ればいいんですけど、国際協力で、しかもバランスをとってやろうとすると、じゃ、設計はどうするのかということがございます。それは、情報交換の2年間が終わりましたので、来年から日欧の共同作業に入ります。どういう共同作業をすべきかというのを、今年の後半から日欧で議論して、決めていくということになると思います。

 ですから、髙村さんがおっしゃるような、いわゆる根幹のところはやっと来年ぐらいから入って、7年間で何かまとまった──ちょっと先走りますが、先ほど資料3を見ていて、工学設計活動というのが2020年ぐらいから始まるのかというんだったら、7年間やれば準備はできるかなということで、原型炉の概念というのは何でどう決まっていくのか。それを決めるためにはどういうものが必要なのか。建設に至るまで一体どれだけの研究と資源が、いわゆる工学設計活動で何をすべきかというシナリオ書きですね。これをここ5年から7年ぐらいの間に決めていくということで、かなり絞られるのであろうと。いわゆるITERで言うとCDA、概念設計段階まで行くかなというのが現状でございます。

 IFMIFの工学設計活動は加速器が半分ぐらいと、ターゲットの、中性子が当たるリチウムのループの模擬試験をするというのと、IFMIFそのものの設計をする。これは非常にクリアです。JT-60の改修も非常にクリアです。問題の原型炉の中核をどうしていくかというのは今後日欧で詰めていきますが、今のところ、じゃ、ここの部会でどうするかということはご議論いただくにしろ、今までのやり方ですと、多分フォーラムのクラスターか、吉田直亮先生のITER/BA技術推進委員会ですか。あそこでご議論いただいた内容を、間にタスクフォースをかませるかどうかは別として、最終的にこちらで何かまとめ、方針を出していただくということになるんですかね。今私が考えているのは、ジョイントワークとフォーラムをどう結びつけるかというところを現在考えているところで、それをここの委員会にどう持ち出すかは、多分事務局のお考えだと思っておりますが……。こんなものでよろしゅうございますかね。

【本島主査】  ありがとうございました。今最後に事務局とおっしゃったのは、文科省という意味ですね。

【常松委員】  ええ。

【香山委員】  よろしいですか。

【本島主査】  ちょっとお待ちください。

 私、髙村先生にご確認ということもあるんですが、先生のご発言は、IFERCは六ヶ所村にできて、1つの大変アカデミックな活動をもする。多分そういう炉工学分野の今後についてのご発言になるかと思いますが。そうすると、大学とのかかわりが非常に重要になります。責任を持って進めるのはJAEAなわけですが、単独では結果が完璧には出ない可能性ももちろんあります。大学、核融合科学研究所と、企業ももちろんですが、一致した形のコントリビューションが必要になると。そういう点で重要だというご指摘だったかと思います。

【髙村委員】  おっしゃるとおりで、JAEAだけというわけではないでしょうけれども、幅広いアプローチの一環としてだけやっていくということであれば、おのずから限界があると思うんですね。そうではなくて、今主査が言われたように、大学とか、産業界も入ってこれるような、そういう仕掛けにしていく必要があるのではないかと。そうでないと、なかなかこういう大きな問題に関しては、片手落ちになってしまうのではないかということで、そういう意味ではおっしゃるとおりだと私は思っています。

【本島主査】  はい。

【常松委員】  ちょっと補足です。

【本島主査】  補足ですね。常松先生、お願いします。

【常松委員】  JAEAだけでやるつもりは全くございません。フォーラムと申し上げたのは、母体をそれで使うというので、現実に──もうちょっと具体的に申し上げますと、例えば7年と申し上げましたが、中核は多分5年ぐらいだと思います。10人ぐらいのコアチームを日欧双方から出すというぐらいの規模かなと。実は、資源がそのぐらいしか今のところありません。ほかの予算を、いずれ入れていくと別で、今、JAEAが幅広いアプローチのIFERC、デモ設計でお預かりしているのは10人ぐらいの、しかもフルタイムじゃなくて、パートタイムです。詳しいことは別ですが。この人間は全国から公募したいと思っています。それで、そのチャンネルとしてフォーラムを使わせてもらおうかというふうに思ってございます。うちだけでやるつもりはありませんし、それから、これは私のかなり個人的な考えですが、30代の方に中核になってほしい。ITER/BAを立ち上げるとき、私も40前でした。ですから、その人たちに手探りでもいいからやってほしい。これはヨーロッパにもその意向は伝えてございます。今後議論になるところだと思います。

【香山委員】  すみません。ちょっとよろしいでしょうか。

【本島主査】  一番近い大学の香山委員。海は挟んでいますけど。

【香山委員】  私が最初にちょっと心配したのは、本来、常松さんが言われたのは、IFERCとは何なのかというあたりだったと思うんですけど、概要の説明、その中で主として今やっていること、今後どうやって運営しようかとかという、非常にいろいろな、それ一つ一つでも非常に複雑な話を一気にされたので、多分混乱しちゃうんじゃないかと実は思っていまして、しかるべきときにきちんとした議論をしていただければいいと思います。

 ただ、私、一番大事だと思うのは、先ほど来のいろいろな今後の開発戦略とも絡むんですけれども、一般にITER/BAというふうに並べて言われますけれども、普通の人はITER、そして次のBAの活動で、何となくITERから原型炉へすっと行けるような印象を皆さん持つ。ITERと匹敵するような規模のしっかりした将来に向けた研究がされていると思っておられる。現実は決してそうではなくて、BAというのはけた違いに小さい活動であるということだし、大事なのは、当初の目標とは途中でどんどんある意味で変質していて、現実がかなり変わってきている。一方、イメージは、どんどんバラ色のほうに移動している。ギャップがどんどん大きくなっているんですね。それはしっかりと認識して、どうしなきゃいけないかという議論をしていただく必要がある。

 髙村さんがおっしゃるように、確かに企業が参加できるような体制とか、そういう運営上の問題もおっしゃる。だけど、運営の議論をする前にほんとうに今やろうとしていることの果たすだけの予算、人員が確保できるのか。そう言うと、ちょっとほど遠い状況なんですね。ですから、そういう意味で、もともとは3つ言っていますJT-60SA、IFERC、IFMIF/EVEDAとなるんですが、かなりバランスがどんどん変わってきているという事実ですし、やむを得ず先ほど言われましたが、IFERCの中で材料を中心にするとおっしゃった。だけど、材料はほんの要素でして、設計のときに重要なイッシューは山ほどある。それは手をつけられない状態というのをもっと考える必要があるというので、ぜひどこかで現実をしっかりと話をしていただいて、それが最初の議論に戻るんですけど、近いところでの予算に反映できるような方法を考えないといけないなというふうに思っています。

【本島主査】  ありがとうございました。

 決して先生のおっしゃったことを要約するつもりはありませんが、BAは原型炉を目指してのメインラインであると。したがって、炉工学の比重が高いわけですから、さらに今よりも強化する必要があるのではないか、こういうご指摘だったと思います。論点整理のメモに落とし込む言葉として、どことどこにどういうキーワードを入れたらいいかというあたりで、今ご指摘いただけませんでしょうか。

【香山委員】  こういう文章、難しい。私、この文章を読むと、大事な点は書かれているなと思ってしまうんですね。結局、間に読んじゃうか、読まないかというのもあるので、その辺はちょっと難しいなと思います。今後、もうちょっと考えて……。

【本島主査】  今後の議論の展開でということでよろしいでしょうか。

【香山委員】  はい。

【本島主査】  じゃ、吉田先生。

【吉田委員】  BAの位置づけを香山先生おっしゃったんですけど、もう一つ大事な点は、BAは、我々、常に意識しておかないといかんのは、BAというのは、日欧で共通的に興味のある、そういうところをやろうということであって、決して原型炉に行くために必要なこと、その全体をやっているわけではない。だから、その辺の注釈なしに、ITER/BA、それが日本の核融合戦略だという形で走ってしまうことにちょっと、さっきもご指摘ありましたけど、ひとり歩きしてしまっている感があるんですね。その辺は常に注意しながら議論していく必要があるのかと思いますね。

 そういう点で、前回のまとめの、これは炉工学に関する推進ということですけど、もちろん炉工学だけじゃないと思うんですが、核融合研では原型炉に必要な炉工学研究とありますけど、これはITER/BAというものが落としているというんですか、そういうものだけでは核融合の開発は進みません。そういうものの中に重要な項目があって、それをやるというような意味合いをもうちょっと強く表現したほうがいいのではないかなという気がいたします。

【香山委員】  今の先生の最初の部分、ちょっと気になったのは、あくまでもこれは日欧の活動であるというふうにおっしゃったんですね。それに対しては、いろいろなところでIAEAとか、国際的に議論する場で、BAというのは日欧ではあるけれども、決して日欧だけの協議でやっている話題でもないし……。

【吉田委員】  出発点はそうですね。

【香山委員】  世界的な核融合コミュニティの中で重要だと思われているものを的確に選んでいると。現実は今日欧のお金でやりますけれども、世界的にほかの人たちも興味を十分持っているし、参加したいということですから……。

【吉田委員】  だけど、その中でどういう項目を取り上げるかということに関しては……。

【香山委員】  ただ、お金の出どころというので日欧だというと、誤解を与えるかもしれないと私は心配していますね。やっていること自身、日欧の興味だけではない。

【吉田委員】  その辺はしっかりと……。

【香山委員】  ただ、非常に限られた範囲でしかやってない。

【吉田委員】  私が申し上げているのは、お金の出どころというよりか、むしろどういうことをカバーする中で研究の中身としてカバーするかという点の議論の出発点。

【香山委員】  むしろ問題は、ちょっと言いたいのは、日本とヨーロッパの立場が違って、日本はほんとうにある意味で純粋に必要なことをやりたいと言っているのに対して、ヨーロッパはちょっと違うかなと思うことがありますというのだけ、ちょっと感じます。

【常松委員】  逆に言いますと、全世界もさることながら、日欧の協力というのは、日本だけではできないということを、相手を説得しつつやらないといけない。当然ITERの参加極に対しても窓は開かれていますから、主要7極を説得しつつ、進めないといけないというのは、まず当面の課題だと思います。日本独自の予算でできるようになればいいんですが、それは先ほどのITERも同じです。今後も何らかの形で国際協力というのは入らざるを得ないんだろうなと。手間はかかっても、パートナーを説得しつつやるということで、当然その前提にはオール・ジャパンのコンセンサスとは言いませんが、議論があって、パートナーを説得しつつやる。非常に手間のかかったやり方をしなければならない。なおかつ、プラス──プラスというか、プラスのほうが多いんですが、これだけでは、おっしゃるように足りませんので、今後どうやってそれを予算化していくかというのは、まず、ニワトリと卵の話になっちゃいますが、原型炉戦略がまだ十分に描かれていないんだろうな。逆に、どうやって描くんだろうかというところで、何となく堂々めぐりに入っちゃっているような気がするんですが……。最後は余計です。

【本島主査】  発散させる方向ですか。収束させる方向ですか。

【吉田科学官】  香山先生がおっしゃるように、議論の順序として、IFERCについての各論に入り過ぎている面もあると思うんですが、これを1つの具体的な例題と考えますと、こういったふうな議論がこの作業部会のメインのイシューになると考えられます。今行うべき研究に対して、原型炉を1つの出口というか、連続な発展形として見据えつつ、どの時期にどういうことをやるべきか、IFERCがどの課題の受け皿になって、核融合研の炉工学研究がどの領域をカバーできるのか。そういったことをぜひ整理していただく必要があります。

 ITER/BA技術推進委員会でそういったITER/BAにかかわる部分について意見集約していただくように制度設計されていますので、そのチャンネルを活用して研究者コミュニティの意見を技術的なレベルにおいて整合性のとれたものとしてまとめていただいて、それに対してどういう施策をすべきかについてこの作業部会でまとめていければと思います。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 吉田科学官の発言をいただきましたので、その次の議論に移らせていただけるかと思います。資料2、3、4でありまして、我が国の核融合研究開発の位置づけ等についての資料、それから、既に議論に出ておりましたが、今後のスケジュール、これは資料3で、あくまでもたたき台として事務局におつくりいただいたものです。

 資料4につきましても、今のIFERCの目的、到達可能点、規模といったことも検討しておくべき事項に入るということになりますけれども、そのたたき台です。前回からの議論、きょうの議論の流れの強力な延長線上にあるということで、戦略官、説明をお願いたします。

【千原研究開発戦略官】  諸先生方には釈迦に説法の資料かもしれませんが、改めてもう一度思い起こすことも含めて、資料2、3、4に基づきまして、ご説明いたします。事務局として言いたいことは、吉田科学官が非常に端的に言っていただきましたので、まさにそのとおりと私も思っております。

 特に前期でまとめていただいた人材育成の報告書では、名あて人が出ていて、国がやるべきことは長期ビジョンということもあったこともありまして、特にそういった原型炉を目指して何をやるのかという議論をやっていかないといけないフェーズに入ってきているのかなというふうにきょうのご議論を聞いても思っているところでございます。

 まず最初に、資料2でございます。これは我が国の核融合研究開発の位置づけ等についてということで、1枚めくっていただきますと、国のいろいろな政策文書で、そういった今後の核融合研究開発の方向性がどう書かれているかを、とりあえず取りまとめてみました。

 まず2ページ目でございますが、平成4年6月の原子力委員会が定めました第三段階核融合研究開発基本計画でございます。そこの抜粋ですが、1.の研究開発の目標ということで、「第三段階の研究開発は」ということで入っていって、これを達成するための研究開発の中核を担う装置としてトカマク型の実験炉を開発する、そういうふうに当時定められました。

 また、研究開発の期間としては、第三段階というのは、今第三段階のフェーズですけれども、平成4年度から開始して、実験炉、ITERでございますが、研究開発が終了し、かつ次期中核装置と考えられる原型炉による研究開発が開始される段階、または第四段階核融合研究開発基本計画の策定が行われた段階のいずれか早い時点において完了するというのが当時平成4年でございます。

 その先、3ページをめくっていただきまして、このことを踏まえながらですけれども、大分時間が過ぎて、平成17年10月には原子力政策大綱、現行のものが原子力委員会によって定められてございます。そこの第4章の中には、このかぎにありますように、今出てきました第三段階計画に基づくITER計画を初めとする核融合エネルギーを取り出す技術システムの研究開発──中略──については、今後とも技術概念や基盤技術の成熟度等を考慮しつつ、長期的視野に立って必要な取り組みを決め、推進することが重要である。そういうような書きぶりが政策大綱には書いてございます。

 その次の4ページをめくっていただきまして、大綱ができた後、ほぼ同じようなタイミングですけれども、17年10月26日、原子力委員会の核融合専門部会で「今後の核融合研究開発の推進方策について」というのが定められております。そこには何が書いてありますかというと、第1章のところで、核融合エネルギー開発においては、地球環境問題の解決への早期貢献を目指し、ITERで科学的・技術的実現性を着実に実証するとともに、原型炉に向けた研究開発を並行して推進することにより、21世紀中葉までに実用化のめどを得るべく研究開発を促進する必要がある、そういうふうにうたわれてございます。

 次の5ページに行っていただきますが、今は専門部会の議論ですけれども、これを受けて、原子力委員会、親会のほうで第三段階計画における今後の核融合研究開発の推進方策についてというものが決められておりまして、当委員会は、中核装置であるITERの建設に向けて具体的な取り組みを進めることになった現時点以降における第三段階計画については、この報告書──今出てきた報告書です──に示された推進方策に基づいて推進されるべきものとするということで、今出てきました、例えば原型炉に向けた研究開発、21世紀中葉までの実用化のめどみたいな、そういったことが今の時点で走っている方向感ということと考えられるかと思っております。

 その後、先ほども出てまいりましたが、具体的にだれが何をやるのかみたいな話でございます。もう一度、先ほど出てきた平成4年の第三段階基本計画──原子力委員会決定ですけれども、これによると、研究開発の分担ということでは、実験炉にかかわる開発試験、研究については、日本原子力研究所が担当する。実験炉以外の研究開発は大学、国立研究機関及び日本原子力研究所が相互の連携協力により進める。これらに当たっては産業界の積極的参加が得られるように十分配慮して研究開発を進めるということでございまして、先ほどあったご議論とも方向感を一にしているのかなというふうに思っております。

 さらに、7ページ目、資料2の最後ですが、先ほど出てまいりました原子力委員会の核融合専門部会の平成17年10月の推進方策によれば、このように研究開発の分担というのが書かれております。簡単に紹介しますが、文科省としては、核融合研究開発による政策、施策の企画実施等を行う。JAEAについては、国内におけるトカマク方式の炉心プラズマ、炉工学、理論、シミュレーション、原型炉の概念設計、要素技術を大学等、産業界との連携のもとに推進する等、中核機関としての役割を果たす。核融合科学研究所は、LHDを用いた学術研究、理論、シミュレーション研究、大阪大学を中心とするレーザー高速点火計画との連携、大学の炉工学研究の取りまとめの役割を果たすことが期待される。大学ほかということで、赤字のところですが、核融合研、原研との連携を含め、共同研究重点化装置を用いた研究への積極的参画、トカマクを含む幅広い核融合炉システムの検討、評価や、炉工学の基礎研究を通じて核融合理工学の学術研究基盤の強化と学生教育を行い、核融合研究開発に寄与することが期待される。下のほうは、原型炉の概念設計の貢献が期待される。産業界のほうでは、ITERを中心とした核融合機器の製造技術の蓄積向上に努めることが期待される。産業界の知見と技術の活用と維持発展の重要性にかんがみ、長期的な研究開発計画のもとで、産業界の積極的な参加が得られるよう配慮して研究開発を進める必要がある。原型炉の設計や核融合の実用化の検討については参画が期待される。

 一応そのような役割分担が定められておりまして、ここにある5者ないし原子力委員会も含めれば6者かもしれませんが、そういった当事者が連携しながら進めることが必要だろうというふうに考えられます。

 資料3でございますが、これはとりあえず今の時点で、先ほど主査もおっしゃったいただいたたたき台として、スケジュール感をぱっと見ていただいてわかりやすい形にちょっとまとめてみました。

 一番上の概念設計図は、今出てきましたそういう推進方策に書かれたことを線表にしたらどうなるかなということでございます。21世紀中葉までに実用化の目途というようなことであるので、第1行目の全体概念図には、例えば2050年代に実用炉へという形で置いてみて、そこから逆算して、例えば原型炉は10年ぐらい前にはフェーズに入っていない。実験炉はこういうフェーズにある。そんな線表であります。

 2段目の黄色の部分は、国際協力の現実に動いているところということで、ITER計画、幅広いアプローチ活動、今ご議論いただいたところについて示させていただきました。

 3番目の濃いブルーのところ、実用化までの想定というのは、核融合エネルギーフォーラム、ITER/BA技術推進委員会で岡野先生を中心としてまとめていただいた、先ほども出てまいりましたロードマップに書かれたことを簡単に落とすと、こういうことを言っていただいているのかな。ここになりますと、先ほど常松委員がおっしゃっていた、例えば工学設計活動を開始というのは2020年ぐらいという形で書いていただいているというふうに承知しております。

 また、必要な研究基盤ということ出、今の役割分担にも出てまいりましたが、非常に大事な学術基盤、そういったことについて、例えば重点化課題は、トカマク、ヘリカル、レーザー、炉工学ということが重点化課題として挙げられておりますし、また、さらにそれらを支える学術基盤研究というものも非常に大事なアイテムだというふうに思っております。

 最後の紫色といいましょうか、国内政策の主な動きということで、前回のこの会合でもご指摘いただきました、例えば科学技術基本計画の改定のタイミングというのはこういう感じかな。原子力政策大綱、次回の改定というのがいつになるかまだ見えていないというふうに承知しておりますが、おおむね5年ごとに改定してきている。平成17年が前回でございますので、5を足すと22年という数字が見えますが、この改定についてはどうなるか、現時点では定かでないと承知しております。第三段階基本計画がどういうタイミングで改定されるのかというのは、先ほどの文章に出てきたものを仮置きして置いております。次は第四段階に行くと。

 原子力研究開発機構の中目、中計の期間、あるいは核融合研究所、各大学における中目、中計、そういった改定の時期というのもこういうことでございまして、ここら辺を考えながら進める必要があろうかと思っています。なので、先ほど吉田科学官が大変総括的におっしゃっていただきましたように、関係する者がうまく連携協力しながら、今回、例えば全体概念図にある、まだ今のところ、実験炉から原型炉に至るところに何もスケジューリングが入っておりませんが、どういうタイミングで、だれが、何を決断しなくちゃいけないかとか、そういった段取りというか、作戦図というか、そういったものを作業部会のほうでご議論いただくというのは、1つのアイデアというか、大事なアイテムではないかというふうに事務局としては考えているところでございます。

 続きまして、資料4のほうに移らせていただきます。今申し上げたような、いつ、だれが、どこで、どういう判断を、原型炉に行くとすれば検討しておかなければいけないかということを、能力のない事務局で恐縮でございますけれども、例えば少なくとも考えられるアイテムとして、ここに掲げさせていただいたような事項は考えて、それによって、こういう段取りというか、そういうのが定まってくるのかなという、あくまでもたたき台、一例でございます。

 例えば1.全体シナリオという観点では、核融合の閉じ込め方式をどう選定するのかという問題があります。ITER/BA技術検討委員会でご議論いただいたのはトカマク型を1つのケーススタディーということでご議論いただいております。確かにトカマクが今実験炉という形では進んでいるというのは確かでございますが、改めて閉じ込め方式はどうあるべきかという議論。また、それを受けて原型炉の目標の設定とか、あるいはその設定を満たすために必要な技術、あるいはそういう材料の抽出をすることが大事だろうと思いますし、あるいは新たに我が国が独自に取り組むべき研究開発計画をつくらないといけないのではないかというようなことを、事務局として考えた次第であります。

 また、2.として原型炉を設計するに当たっては、前回のご議論でも出た実施主体を決定するというようなこと。あるいは、これは設計に必要だと言われています、核融合の材料照射施設から得られる材料照射データがないと設計ができないというふうにも聞いておりますので、これをどうするか。あるいは、既存の取り組みでは先ほども出てまいりましたけれども、着手できていない研究開発、技術開発の実施をすること。また、ちょっと細かいですが、初期装荷トリチウムの入手をどうするかとか、安全性に関する技術開発、あるいは放射性廃棄物の扱い、技術開発、あるいは社会とか環境安全性の研究、そういったことも必要になってくるのか。

 また、3.として実際の原型炉の建設ということになりますと、社会に対する理解と合意をいただくということが大事ですし、先ほど平山先生からありましたが、国際協力によってどう実施していくのかどうかというような、そういった検討も必要になってまいります。また、立地場所の決定とか、廃棄物の処理の方法、人材の確保、核融合設備に関する法体系、規制法とかも含めた法整備という、そういったことも議論しなければいけないのかなというふうに思っております。

 大変駆け足でございますが、本日既にご議論がスタートしておりますけれども、何らかの参考になればと思っております。以上でございます。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 資料3を見ていただいても、我々は、この一番端の2009年のところにいるわけですから、その時点で40年先までを見通して、どこまで議論できるかということを作業部会でも自律的に自己評価していく必要があるわけですね。大変大きな予算も必要になるということも間違いのないところですので、いかに進めていくかということが非常に重要になってくると思います。検討しておくべき事項が早く定まる必要があります。検討しておくべき事項というのはクリティカルパスですね。そうしますと、必然的に資料3でロードマップにも出てくるということになると思います。

【吉田科学官】  戦略官に理路整然とまとめていただいたので、つけ足すことはあまりないんですけれども……。作業の進め方という観点からすると、このワーキンググループでどのように進めていくのかということについて、既にこの作業部会でもご報告いただいたロードマップの活用が考えられます。岡野さんがまとめられたものですが、これはトカマクを作業仮説としたとき、幾つかのマイルストーンとして、開発に必要なディシジョンをどこでやるべきかが分析されております。これはトカマクを例としたものですけれども、これに絡んで、我が国はさまざまな研究を束として進めていくということが基本的な方針でありますし、また、それだけの力を持っている、研究体制を持っておりますので、そういったものがトカマク研究のロードマップにどのようにリンクしていくのかということを議論していくことが必要だろうと思います。ですから、1つの作業のやり方として岡野さんが分析されたものを1つの定規のようにして、その時間軸の定規の周りにほかの研究なり、要素研究なりがどのように絡むのか。どのタイミングで、どういうふうな研究グループなり研究プロジェクトを立ち上げる必要があるのか。IFERCのようなものがその例だと思うんですけれども、これがどの範囲の研究課題をカバーできて、カバーできないものがあるのかないのか。そういうことを具体的なイメージを持ちつつ、議論していただくことができればと思います。さらに、ヘリカルの研究とか、レーザーの研究、こういうものが束の中でどのような役割を担っているのかということについてもあわせて議論いただくという形で進めてはどうかと思います。

【本島主査】  ありがとうございました。

 山田調査官、発言の幅がどんどん狭くなっていったかもしれませんが、何かありますか。さらに加えることという意味ですが。

【山田調査官】  今は原型炉という出口をゴールから眺めたときに、どういったクリティカルパスがあるかという考え方なんですけど、一方、学術基盤から、下から、根っこから上がってくるということでいろいろな提案というのが出てくると思いますので、おのおのが自主的な戦略をもって進めているものがありますから、そういったこと、だから、現時点から伸ばしていくことと、両方あわせてうまくクロスオーバーするような形で整理できればなと思います。

【本島主査】  ありがとうございました。

【香山委員】  今ので質問してよろしいですか。

【本島主査】  どうぞ。

【香山委員】  今のお二人のお話と絡むんですが、岡野さんのロードマップのときの経緯をちょっと思い出していただくと、もともとロードマップの議論は、核融合フォーラムの中のクラスターのボランティアの活動として始めていたんですね。ボランティアでやれることの限界とか、もちろんそれの趣旨があって、国からのチャージで何か調べるのと違うということで、また違う形の委員会も一方できて、今表に出てきているのは、最後のほうのロードマップですね。そういう意味でいくと、最初ボランティアで始めたときのは、今山田調査官がおっしゃったような、ある意味で、いろいろな学術的にあるものの重要な要素をまとめ上げて1つの方向性を示すというようなのは、従来のクラスター活動でやっていた活動に近いような気がするんですね。

 実は、吉田科学官にお聞きしたかったのは、その辺の2つの、極端に言えば、異なったタイプの活動を今後どういうふうにお考えになるかをお聞きしたかったんです。というのは、今特に、先ほどからお話になったBAなんかに関しては、既にIFERCとか、IFMIF/EVEDAも動き出しているんですけれども、その活動方針を決めるに当たっては、核融合ネットワークとエネルギーフォーラムの中の合同作業部会でいろいろな議論をして、原案を出して、それをベースに決めていただいているんです。一方、実際の作業部会は、国から決められた委員がやっているという格好なわけですね。間もなくJT-60のほうの次の活動に対しても、似たようなことを多分お考えになっていて、動きをご提案になるんだと思うんですけど、そういうときにフォーラムとかの使い方もクラスターの活動を使うやり方と、今あるようなITER/BAの技術推進委員会を使うやり方と、両方あると思うんですけれども、何となく分担みたいなものをどうお考えになっていますでしょうか。

【吉田科学官】  ご質問に対する答えになっているかどうかわかりませんけれども、1つは、ボランティアという言葉が何を意味するかということもあるんだと思うんですね。研究費なり、調査費というふうな費用面のことをおっしゃっているのか、検討するグループを制度化する必要があるということをおっしゃっているのか、そこのところはよくわからないんですけれども、当然のことながら、ロードマップを検討されたのは、まさにその道の専門家であって、専門的な研究の一環としてなさっているので、それをボランティアと呼ぶのがいいのかどうかわからないんですね。

 重要な点は何かというと、専門家の知識をいかに集約して、さまざまな行き渡った検討をする機会がうまくオーガナイズされて、そういうものが大きな計画、あるいは行政にいかに反映されるかという、そういった構造づくりということが大事だろうと思います。そのために、飯吉前主査のもとで本作業部会が構想したのがITER/BA技術推進委員会です。私は、ロードマップ作りなどにかかる経費のことは、とりあえず度外視して申し上げているんですけれども、構造としてはそういう形で意見を集約することになっています。必要なものを企画していく。専門家の立場で提言する。そういう現場の声を行政のほうに聞いていただくチャンネルとして、ITER/BA技術推進委員会を活用していただきたい。作業部会に委員長の吉田先生が出ておられますので、検討内容を適宜報告していただく。あるいは前回やったように、実際に検討された岡野さんに来て話をしていただく。そういうふうな形で進めていけばいいと思います。

 先ほどかなり各論に入りましたけれども、具体的には原型炉に向けた設計作業は、相当なマンパワーをつぎ込んで組織的にやっていかないといけない。まさに研究なわけですね。じゃ、その研究をどこでやるのか、IFERCがいいのかどうか。そういった具体的な案は、トップダウンで決めるのではなくて、専門家が何が一番いいと考えるかだろうと思いますので、トカマクリサーチにかかわるものとしてはITER/BA技術推進委員会から案を出していただく。またその周りに、フォーラムのクラスターがあり、専門家がたくさん集まっておられるので、そういうところとうまく連携をとりながら意見をまとめていただくということかと思います。

【本島主査】  フォーラムのITER/BA技術推進委員会を取りまとめられている吉田委員お願いできますか。

【吉田委員】  はい。フォーラムの。そうなんですが、フォーラム自身の目的は、それぞれの人が個人の資格で参加して、自由に意見を言い合ってということでしょうから、それとITER/BA技術推進委員会の役割というのは、かなり違ったものであることは確かですね。

 ただ、今回まとめられたロードマップに関しては、ある意味では、フォーラムの機能がうまく発揮されたと見るべきで、ボランティアベースで専門家がどんどん研究を進めていったものをベースに、そういう人たちがさらにそれを政策に反映すべく整理し直して提案した、そういうものですから。私は、フォーラムの自律性とITER/BA技術推進委員会の関係はうまく機能しているんじゃないかと思うんですが……。

【香山委員】  私は機能していないと言ったつもりじゃなくて、言い方が悪いのかもしれないですけど、あれはあくまでもっと幅広い全体の人たちがいて、少なくともあれはトカマクで行くとか、目標設定、それから、技術の評価の基準を変えることによって外されたものがいっぱいあるわけですね。それを含めたもっと大きいロードマップとは明らかに異質のものになっている。どっちがいい、悪いということじゃなくて、使命が違うので、そういうものも両方ちゃんとうまくバランスさせて、評価していくような仕組みが要るのではありませんかという。

【吉田委員】  むしろ、今回はもう少し全体像をまとめてみてくださいというような、そういうポイントにもなっているんですね。今のご指摘は。今までトカマクという限定つきでのあれですが、それでは不十分という、そういう指摘だと思います。

 それから、ロードマップを見据えて、ITER/BA、そのほかにもやらなければいけないことがたくさんあるということがわかってきたわけですから、そういうものをどう時間軸を入れてはめ込んでいくか、そういうものを議論してほしい。ITER/BA技術推進委員会においてもそういうことの検討を期待したい、そういうご指摘なんですね。

【本島主査】  疇地委員どうぞ。

【疇地委員】  こういう委員会に出るのは大変久しぶりなので、少しピントがずれているかもしれませんが、今の山田調査官、香山先生のご議論の中で少し気になった点は、平成17年の原子力委員会のときの議論で、トカマク、ヘリカル、レーザーについてはそれぞれ発展段階が異なるので、一律に比較するのではなくて、それぞれの発展段階と物理的な内容に応じて、実験炉なり、原型炉なりの戦略をつくって考えましょうというのが議論の前提にあったと思います。しかしきょうの資料4のお話を見てみると、原型炉について、トカマク、ヘリカル、レーザーで、どれがすぐれているかという選択をどこかでするというふうな書き方がされていますね。そういう理解でよろしいんでしょうか。

 私は、今まで例えばレーザーならレーザーとして、実験炉、原型炉というふうに戦略を立ててやっていけばいいと思っておりましたが、そうではなくて、先ほど本島主査がおっしゃったように、実験炉は人類史上1回のみということから考えると、トカマク以外の方式での実験炉の話はなくて、原型炉のところで再び炉形についての議論を戦わせて決めていくと、この委員会としては考えているということなのでしょうか。それとも、そういうことも含めてどうするかというのをここで議論すると理解したらよろしいんでしょうか。

【本島主査】  資料4の全体シナリオの作成にかかわる今の疇地委員のご指摘は、1.の1に最初に閉じ込め方式の選定が出ているということのご指摘だと思います。しかし、これは私も、検討事項としての理解、作業部会の前提条件の理解としましても、どういうシナリオで決めるかということの検討であると了解しています。先に決めて、それ以外のことをすべてやるという意味で、事務局が整理しているわけではないと考えておりますが、ちょっとそこを確認したいと思います。

【千原研究開発戦略官】  その点もおそらくこの部会でご議論いただくべき項目だと思います。例えば一番最初に何を原型炉として目指すかという議論もあろうかと思いますし、今疇地先生がおっしゃったように、いずれ2番手の原型炉というのがあるのかもしれません。わかりません、そこは。なので、ここの部会での議論にお任せするということだろうと思いますが、単純に先生方の中では一番素人の私めが、一番最初に来る原型炉は何か、そういうセレクションがあるのかなと、個人的には思いましたので、とりあえずこう書かせていただきましたが、失礼がありましたら、そこはお許しいただければ……。

【疇地委員】  いえいえ、そういうことではありません。

【本島主査】  やはり政策として実行していく上では炉型の選定がなければ先に進みませんのでこういう書きぶりになったと、こういう理解でお願いしたいと思います。

 ちょうど関連して、千原戦略官に補足していただいたほうがいいかと思います。常松委員からも原型炉の定義についてはまだ決めていない、トカマクとしても決まっていないという発言があったわけです。3.の2ですが、国際協力ということが当然視野に入ってくるのですが、国際協力でやるときには、実験炉がフランスに行ったということに関連して取り決めがあるわけですね。その点をご紹介いただけますでしょうか。これは非常に大きな要素になると思います。

【千原研究開発戦略官】  私の承知しているところでは、ITERのサイト交渉でございますね。サイト交渉の決着がついたときに、結果としてITERは、フランス、カデラシュに行きましたけれども、次の原型炉を国際協力で建設する場合、ヨーロッパは、日本の提案する候補地を支持するという、そういう合意ができております。

【本島主査】  ありがとうございました。

 長期にわたるビジョンの議論をお願いするためにも、それぞれの研究の現場及び社会とのかかわりで作業をしっかり進めていただきたいと思います。原型炉を世界中で何台かつくるという可能性は現にあるわけですが、その後の実用炉というのは100台単位で、100年とか200年かけてつくっていくわけですから、非常に大きな計画の議論を、これは申すまでもありませんが、原型炉に議論に足を踏み入れるとすることになるということです。

 それでは、資料4について、この後すぐご発言いただきますが、時間が幸いもう少しありますので、全体シナリオ、それから、設計、建設、それぞれに分けて、もう少し議論をお願いしようかと思っております。松田委員、どうぞ。

【松田委員】  多分、この資料3のチャートを見ていて、1つ大きな議論になると思われるのは、第三段階と第四段階の移行時期なんですね。実際の研究活動というのは、こんなふうにシリーズになっていなくて、例えば第三段階が始まったときは第二段階が終わっていたかというと、まだ大型トカマクの実験が続いているときに第三段階が始まっていますね。

 じゃ、第四段階を始める時期はいつかというと、最初の第三段階の基本計画に書いてあるように、1つは、実験炉による研究開発が終了し、かつ、原型炉の研究開発が開始される段階。または第四段階研究開発基本計画の策定が行われた段階、いずれか早い時点と書いてあるんですね。つまり、実験炉による研究開発が終わった段階というと、これで言うとずっと遅くなって、DT運転をITERで20年実験した後、例えばそんなタイミングになっちゃうわけです。一方、後半の文章を読むと、とにかく第四段階というのをつくっちゃえばいつでも始められるというんだけど、一方、世間がうんと、これだったら第四段階に入ったなというのを認めてくれるというか、そういうタイミングじゃないといけないわけですね。

 いろいろなマイルストーンがあると思うんです。ITERが完成したとき、あるいは初プラズマでもいいですけど、幾つかのタイミングがある。そうすると、どこで第四段階と言い始めるかというのは1つの大きなポイントになるというふうな気がします。

【本島主査】  ありがとうございました。

 そうしますと、松田委員の今のご発言を裏返すと、資料2では、これだけの長期はなかなか戦えない段階になっていると、そういうご発言でもありますか。そこまでは裏返りませんか。

【松田委員】  ここは、第三段階は、幅をセットして、あとはあなたたちが考えろよと言っているんですよね。それはだから、我々が今度は考えて、この時期が第四段階として移行するのに適切だと。理由はこれこれしかじかでということを、ちゃんと世間に対して説明できないといけない。そういうことじゃないかというふうに思います。

【本島主査】  資料2で20年ぐらい頑張ってきているわけですね。

【松田委員】  そうです。

【本島主査】  だから、これは実験炉のためにつくったということでもありますから、できるだけ早く次の段階に移る必要があるわけです。

【松田委員】  これをつくられたのは、ちょうどITERのEDA開始のときなんです。そうですね。

【常松委員】  そうです。逆に言うと、これがないとEDAに入れなかった。ですから、ここの工学設計活動というのとトートロジーになるわけで、同義語なんですよ、第四段階というのは。第四段階というのは、工学設計活動に入るということは、かなり実機に向けた活動を設計とR&Dをスタートするということですから、原型炉をつくると決めたときじゃないと、工学設計活動は入れないわけです。工学設計活動イコール建設活動にしたって構わないんですけど、かなりの実規模大の試作というのをやることを覚悟するということは原型炉をつくるということですから、これが第四段階とイコールになるので、それが見えるのがいつかということです。それがここ10年ぐらいで整理できますかというのは、多分頑張り方なんだと思いますけど、少なくともITERのEDAのときは、CDAというのが3年間でできていたんです、それが。だから助かったんですが、原型炉の場合は簡単にいくかなというのは……。

【本島主査】  どうぞ。

【吉田科学官】  私は、よくその事情を承知しているわけじゃないんですけれども、常松さんがおっしゃられたことも大変もっともと思うんですが、三か四かというネーミングであまり縛らない方がクレバーなんじゃないのかなとも思います。まさにおっしゃるとおり、現場の研究者はすべて連続的に物事が進まないといけないわけで、一方どこかでネーミングが行政的な意味で変わればいいと思うんですね。むしろ、ここで重要なことは、研究が連続に続くような具体的な策、あるいは計画書を研究者コミュニティがちゃんと持って、その計画に基づいて公的なお金を使って研究しているという、そういう計画性というか、作戦書の整合性というか、そういうことなんだろうと思うんです。

 その一方で、遠くに旗を立てたいということも大変よくわかるし、前回の作業部会でもそれについては行政の方で鋭意努力をしていただく必要を述べています。旗が立つのと立たないので違うということはもちろんあるだろうと思うんですけれども、しかしながら、どちらが大事かというと、現場できちんとした研究が行われるということが大事なので、あまり頭から三か四かということで大規模な原型炉に向けた試作研究を行うことができないというふうにネガティブに縛らないほうがいいと思います。

【本島主査】  反論があるかと思いますので、代表して松田委員からですね。

【松田委員】  それは非常に大事な話で、三か四かというので、予算のつき方というのががらっと変わります。だから、そこは単にサイエンティフィックに、技術的につながりが出てくればいいというというような問題では全然なくて、そこでは研究開発のレベルを大きくするかどうか。大きくしようとしたら、何かが大きく変わらなかったら、それは不可能ですよ。そこは非常に重要なんだというふうに私は認識しています。

【常松委員】  すみません。同じことなんですけど、それを逆に、まず文部科学省の研究開発局をちゃんと説得できるかが最初なんです。それから、文部科学省が財務省に予算を持っていけるところまで世の中を説得できるかというのがもっと大事なことなんだと思うので、第三段階というのは、それをやって、ある程度の規模の予算を定常的に確保した。コミットメントで。建設はもっと大きなものを確保したということなので、工学設計活動に入れるかというのは、原型炉に向けて本格的な研究をしてもいいという土壌が育っているのかどうかというのを、どうやって行政の方、あるいは社会、政治、財務、そういうところに説得できるかという資料をつくらないといけないわけで、当然、研究の基盤が要るんですが、それを今のBAの規模だけだとちょっと足りないかなというのがあるんですが、ここでもし頑張れれば、早い時期に工学設計活動が見えると、かなりの財政的措置が可能でしょうし、なければ、例えば工学設計活動というふうにネーミングしたところで、ろくな予算がつかない。原型炉はいつまでも概念設計の繰り返しで終わってしまうということになるんだと思うので、研究者の頑張りは必要なんですが、それが黄色いところの予算と人で十分かというところに非常に悩みがあって、実は第3段階に入る前はもうちょっと今のIFERCよりも予算があったことは事実です。

【本島主査】  核心に触れる議論が続いていると僕は思います。文部科学省に対する議論ということになると、一時退席していただかないといけないかもしれないという局面も今後出てくるかもしれませんが、そういうことのないように、主査としては進めさせていただこうと思います。

 ITER/BAではちょっと足りないという発言がさっきありましたが、先ほど吉田委員からのご指摘のように、かなり足りないという面も意見としてはあるというのは、テークノートしておく必要があるのではないか、こういうふうに思います。

【香山委員】  かなり何ですか。

【本島主査】  BAだけでは、全然足りないと。そういう面もあると。

 吉田科学官、反論される必要はありませんね。

【吉田科学官】  まさにおっしゃられたとおり、そういう土壌が醸成されていることこそが大事であって、そういう土壌が醸成されれば四というネーミングをいただいた環境も整うということなんだろうと思います。ですから、まさにITER/BAで足りない部分は何なのかということを具体的にここで列挙していただいて、その要求を上げていく過程の中で、これは四が必要であるということになれば、それは行政サイドに頑張っていただくということなんじゃないかというふうに思います。

【本島主査】  三か四かというのは明らかに階層が違う話にならないといけないと思います。そういう観点では、我々に近い分野といいますか、高エネルギーの分野は100年間研究してきて、ノーベル賞を40人出しておられます。すべて階層化を非常にクレバーに進めてこられた結果だと言えます。我々も階層化を一生懸命していますが、未熟とは申しませんが、うまくできてない面がやはります。なぜなら各階層の完結性を高めるというところの努力がまだまだ足りないというのが私のオブザベーションなのですが、核融合以外の分野からごらんになって、何か有効なコメントをいただけませんでしょうか。それから大島委員、東嶋委員、こういう議論でいいのかということも含めて、発言をお願いいたします。テクニカルな部分は今後フォーラムにお願いしたりすることもあるし、視点を変えるという意味で、それから、この作業部会にワーキンググループをつくるということもあり得ると思いますので、そういったことでいろいろカバーしていきたいと思います。

 では、平山委員からお願いします。

 【平山委員】  関係者の方は自明なのかもわからないんですけれども、原型炉の検討の課題のところにITERとか、ITER/BAとの関係というのが全然ないんですけど、今吉田科学官が言われたみたいに、ITER/BAでできること、そこではできないことみたいなことがはっきりしていないと、今後原型炉を考えていく上で何を新たにしないといけないのかというのが出てこないと思いますし、ITERあるいはITER/BAは、お金にすれば、そんなに生易しい額じゃない金を出しているわけですね。それでできること、できないことを明確にする意味でも、その関係というのは、この検討の中のどこかには入る必要があるのじゃないかなという気がします。

【本島主査】  きょう、最初のタイトルのところでITER/BAを入れるかどうかということは事前の打ち合わせでもありましたけれども、今のご指摘は重要なポイントである、こういうふうに思います。

 大島委員、いかがでしょうか。先ほど常松委員が30代の研究者を充てると言っていましたが、一言足りない言葉がありまして、その中には女性の研究者とか、技術者がしっかり入ってこないといかんというのが少々足りなかったと思うんですが。

【常松委員】  もともと区別してございませんので。

【常松委員】  もともと区別してございませんので。

【本島主査】  今育ってきておりますので、間違いなく活躍できる人がいると思いますが、そのこととは別に、ご発言をお願いしてよろしいでしょうか。

【大島委員】  前回欠席していたので、議論がどういう方向に行っているのかというのが、まだ飲み込めていない状態なんですけど、おそらく今日議論されていたことというのは、核融合の今後の方向性というものの全体について議論されているんじゃないかなというふうに思いました。その中で、技術的なところもあるんでしょうけれども、日本自体がもちろん単独でできるということと、今後、この核融合炉というのは、国際的な協力のもとでやっていくという姿勢は変わらないと思うんですね。なので、その中で日本の位置づけというのがどういうふうに行くのかということと、その中で、国際的にどうやって協力していくのかというのを、すみません、ピント外れなのかもしれないんですけど、議論していくというのも、非常に大事なのかなという。日本自身、非常にすぐれた技術があると思いますので、その中での今後開発していくということと、日本のそういう中でのプレゼンスというのを、しっかりしていくということも大事だと思いますので、それと国際協力の関係というのが、技術的なこと及び全体の中というんですかね。全体というのは技術的及び政治的というか、アドミニストレーティブなことも含めて、議論して方向づけをしていくというのが重要なのかなというふうに感じました。

【本島主査】  どうもありがとうございました。今後の議論にぜひ生かしてまいりたいと思います。

 それでは、東嶋委員、お願いできますでしょうか。

【東嶋委員】  東嶋です。今回まとめていただいた資料で、おおよその大きい時間軸と核融合の国における位置づけというのがよく見えてきたので、ありがとうございました。

 1つ、私自身、この部会でずっと議論を拝聴していまして、こういうものがあったらいいなと思っているものがありまして、1つは、例えばiPS細胞の研究というのを一般の人にわかりやすい、日本地図の上に京大が中心にあって、例えば東大では心臓の再生をやるとか、慶応では神経をやるとか、そういうのがポンチ絵風になっているものがあるんですが、例えばITERはカダラッシュでやるけれども、BAは六ヶ所でやって、そのうち、きょうお話に出た、IFERCとかIFMIFとか、いろいろありましたけど、それも各大学で分担されているところ、JAEAでやっていらっしゃるところ、あると思いますが、核融合にかかわる研究の分担というか、そういうものが、日本地図上に落とすと、現状だれがどこで何人ぐらいの資源を投入してどこら辺まで進んでいるのかというのが、俯瞰図で1つわかったらもっとわかりやすいなと思ったことです。

 資料4についてですけれども、原型炉に向けて全体シナリオをつくっていく作業というのは非常に大切だと思っています。ぜひこれから進めていくべきだと思っております。先ほど第三段階、第四段階という議論もありましたけれども、国民から見て、1つはITERの初プラズマの発生、それが2018年ごろですか。それから、DT運転の開始、2026年ごろというのが一応目標として出ましたので、これが1つのマイルストーンになるかなと思うんですね。どちらか、できたら初プラズマのほう、2018年ぐらいを1つのマイルストーンととらえて、そこから四段階の核融合研究開発基本計画が始められるぐらいの気持ちで、この部会で全体シナリオをつくっていくという方向で進められていったほうがPRもしやすいというんでしょうか。非常にわかりやすいと思います。

 先ほど平山先生からお話がありましたように、現状、進んでいるITER/BAというのがどういうふうな形で今後の原型炉に生かされていくのかということにも非常に関心がありますので、このロードマップの中にぜひITER/BAからの波及成果というんでしょうか、そういうものを矢印で入れていただいて、それがこういった原型炉につながっていって、最終的に2050年代実用炉という形につながるようなロードマップを作成していく作業をぜひ進めていただきたいと思います。

 以上です。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 やはり今ご指摘いただいたことなどを参考にしながら、資料4を、改めてきょうの議論でつくり直すわけですので、早速フィードバックをお願いしたいと思います。資料3もそうですね。

 それで、今後のことに話を移させていただかないといけません。

【平山委員】  ちょっとだけ。

【本島主査】  どうぞ。平山委員。

【平山委員】  この中に、例えば資料4のところの2の2のところにIFMIFの話が出ています。IFMIFで照射データが設計に不可欠だという話がありますが、IFMIFが一体いつできて、いつデータがとれるかというのが、具体的に書かれていない。もしこれが不可欠なデータだとすると、IFMIFができないと進まないという話になってしまいますよね。この点をITER/BAの中ではどういうふうに位置づけているのしょうか。

【香山委員】  いや、多分、実行側としては別の意見があるかもしれないですけれども、我々の知っている範囲では、IFMIFの議論も最初からずっと聞いてはいるんですが、当初はITERの、ちゃんとプラズマの点火する前に少なくともある程度のデータが要るということでスタートしたはずなんです。だんだんとその時期がずれてきているわけですね。DT始まるまでには要るとか。当然どのレベルまでこの照射データで設計とか、安全を担保するかということによって必要な時期は変わるんですけど、今のままでいくと、なかなかITERのどこの段階でできるか、明確でないですね。ねらいはねらいとして。そんなことで……。書きにくいんですね、実際に。

【本島主査】  できる、できないでお答えいただいたほうがいいんじゃないでしょうか。IFMIFは必要なんだけれども、なくてもやるんだということですか。

【常松委員】  すみません。私自身は、なくても、少なくとも建設には取りかかれると思っています。というのは、原型炉でそれだけニュートロンを浴びるのはかなり先の話ですから。要は、コンファメーションでいいような安全確保とか、稼働率のロジックができれば、それは可能なんだと思います。それはひとえにブランケットの設計、一番表面に出てくるところで使う材料だけですから、問題になるのは。というような話であって、そのロジックも固めないといけないと思っています。どこまでおくらせていいかというロジックを固めないといけないと思っています。それは早ければいいに決まっているんですけど。

【本島主査】  ちょっと私も乱暴な言い方をしてしまったのですが、今の議論は原型炉がどういうスペックになるかということに関係するのであって、材料のデータが100%必要なところが、8割とか、7割とか、数字が落ちてきた場合は、最初の原型炉は、原型炉としての役割が終わった後、完全にモスボールにする。こういうスペック、つまり、2回使わない原型炉だと材料開発にはもう少しゆとりが出る。これも1つの戦略なんですね。そういうことを含めて申し上げたので、要る、要らないの議論とは非常に複雑にリンクしてくると。

【常松委員】  その辺は多分ロードマップ、一番最短距離を要点にしているから厳しいということになるので、むしろ主査がおっしゃるとおりに、原型炉をどういうふうに運転していって、どういうふうにして、安全の確保と仕様を満足するかという、今後のロジックで、もう少し定量的に評価しないと、あまり軽々に結論を出すべきじゃないと。ですね、香山先生。

【香山委員】  はい、そうです。

 それと、この取りまとめのほうで、今が時期だと思うので申し上げたいんですが、2番目の原型炉の設計というのは、あくまでたたき台だからこれでいいんですが、一番上の実施主体というのは基本ですね。その次は、大事なところで、3番目にあるんですが、既存の取り組みでは着手できていない技術開発の実施、実はこれは気持ちの中では、ITERでは着手していないとか、ITERの中では対応できない技術というのがいっぱいあるということをここで述べるわけですが、その中で特に大きな問題として、材料とトリチウムという問題が指摘されていて、ですから、それが後ろに2番、4、5だと思うんですね。だから、材料のほうはIFMIFデータだけでというのは片手落ちでして、4、5でトリチウムのほうというのは、トリチウムの入手の問題、その後の取り扱いというふうに2つに分けるんだとすると、材料データというのは、IFMIFによる基本的な照射データの収集、その次は、照射データの統合と評価にかかわる技術開発というような格好で2段構えでやらないとだめだということで、そうすると、構造はしっかりして、あと6、7は安全とかにかかわるそういう問題だということで、ポイントだと思うんですけど、表現というか、順番と組み立てをぜひご検討いただきたいと思います。

【本島主査】  事務局、科学官、調査官、よろしいでしょうか。

【常松委員】  あまりそこは強く要求しないでいただく。今後大分そこは技術的にも、あるいは設計の上でも、検討しないと答えは出ないんじゃないかと思います。

【香山委員】  ですから、検討すべき事項と書いてある

【常松委員】  ええ。いや、そのタイムスケールが、今年いっぱいなんていうタイムスケールではとてもだめだと思うんです。それは急いじゃうと早くやれという答えしか出ませんから、今度答えがなくなってくると思うので……。じゃ、どうすると答えが出るかという議論をまずしていただきたいな。何となく、靴の上からかくようなんですが、初期の段階はしようがないんです。概念をこれからつくっていく段階ですから。ぜひそこのところはしばらくご猶予いただきたいなと思います。少なくとも先ほどの文部科学省のロードマップでは、10年ぐらいありましたから、2年ぐらいいただきたいなと私は思うんですけど、ともかくすぐには答えが出ないと私は思っていますし、出てきた答えは性急過ぎる答えしか出ないんじゃないかと。それをおそれています。

【本島主査】  今のご発言も前向きにとりたいと思います。旗を立てるという話がありましたが、旗を担ぐ必要性もありますし、今までの経験というのが容易でなかったというのは当然理解できることです。 それでは、ほかにご意見はありませんでしょうか。もう一度最後に作業部会をクローズする前に確認させていただきますが、今後のこととしまして、最初に出ておりました電中研の岡野さんのおまとめになったロードマップについて、もう一度ここへ出席を要請して、時間は限られると思いますが、現在の議論とのマッチングを図るということは有意義ではないかと、こういうふうに考えておりますが、いかがでしょうか。

 それから、やはりヘリカル系、レーザー系についても、今責任を持って進めておられるわけですから、こういう原型炉を構想できる、またはしっかり進めていくというお話をいただいた上で、全体のチェックポイントを置くとか、そういうことについてもシナリオが書けてくると思います。ヘリカルについてはどうでしょうか。次回または次々回ぐらいに原型炉に向けての今後の研究の構想、設計活動の構想等の話をしていただいたらどうかと。レーザーについても同じです。まず、小森委員からお願いできますか。

【小森委員】   ヘリカルにつきましてもこの資料4にあります全体シナリオで行けると思います。実施主体は別にしまして、我々としましては、前回申し上げましたように、ヘリカル型の原型炉を目指しています。そういう意味では、工学的に詳細な概念設計を進める中で問題を抽出して学術研究を進めることを考えていますので、資料4に表記されていることと、我々の方針は合致しています。作業部会の中でトカマクと言わず、盛り込めると思います。

【本島主査】  ありがとうございました。次回以降のプログラムをつくるに当たって、今のエンカレッジングな発言を、プログラムに生かしていってもらえればと思います。

 同じくレーザーについていかがでしょうか。

【疇地委員】  はい。レーザーについては、実験炉の検討を今まで進めておりまして、実験炉とはいえ、発電も行う計画といいますか、構想になっておりますので、その話はさせていただきたいなと思っております。

【本島主査】  次回のプログラム、議事次第を次回以降つくっていく上で必ずそういう時間をつくらせていただきたいと思います。

 堀池委員、どうぞ。

【堀池委員】  私、岡野さんのグループに入って議論してきましたので、一応、去年のときにロードマップをつくるときに、ここの2の3に書いてあるようなことも含めて、大ざっぱな手順書みたいなものは、大体前回でリストアップはできていると。ただ、前回のときに非常に締め切りが忙しかったものですから、あまりよく考える時間がなくて、手順でいくとこうだねというふうな順番になっている項目が多いものですから、少しお時間をいただいて、その辺をもう一回再度議論させていただくことによって、2の3とか、4とか、5、6ぐらいまで含めたような、もう少し体系的な考え方というのはわりあい比較的早く提示できるのではないかというふうに思います。

【常松委員】  すみません。そのとき一度申し上げたんですけど、もともとの前提が原型炉というのが商用炉にかなり近くないと、日本はなかなか支持が得られないだろうという暗黙の了解があってやっていますので、もしそこをある程度緩めると、先ほどの材料の話とか技術開発の話が、場合によってはクリティカルパスが逆転するというか、かなり変わる可能性がある。そういったことも少し検討しないとなかなか、こんなきついやつでほんとうにできるのという、逆に不信感をあおるようなことになるのではないかというのをおそれています。

 やっぱりそちらのターゲットの幅というのがある程度要るのではないか。原型炉の役割でしたっけ。というところのある程度の幅の検討が要るのかなというのを、昨今、痛切に感じているところなんですが。

【本島主査】  今のご指摘は、場合によってはJAEAからも出したいということにつながるわけですか。

【常松委員】  いやいや、全くそういうことではありません。

【本島主査】  むしろ、そうしてもらったほうがいいのではありませんか。

【常松委員】  というか、だれがやろうといいんですけれども、あのロードマップをつくったときの前提をきちっと理解した上で見ないと、これがないからこれができないんだというネガティブにとらえるおそれが逆に出てくる。例えば材料の専門家からすると、こんな短兵急に材料の開発をするのかと見られるのは、逆に、足を引っ張られるのではないかというおそれを昨今いろいろ持っておりまして……。したがって、原型炉というのは一体何なんですか。どの程度の幅だと受容されるんでしょうかということが、ある程度頭にないといかんのではないかと思っています。作業は当然私どもがやりますけど。

【本島主査】  きょう、常松委員からは今の原型炉とは何ですかという発言は多分5回ぐらい出てきたと思いますので。

【堀池委員】  ちょっといいですか。

【本島主査】  どうぞ。

【堀池委員】  前のときは、千原さんの前の松尾戦略官の時代に21世紀中葉期につくるとすれば、どういう手順になるか考えろという、そういう条件がついていたと思うので、だから、その辺は前回のときにはそういう条件では……。

【常松委員】  いや、それもITERプラスアルファの技術なのか、かなりアドバンストなやつで、稼働率を60%以上にするとか、そういうことを考えるのか、稼働率が下がっても実験的要素が入ってもいいのか。先ほどのプラズマの研究まで入れる原型炉とするのかで大分ピクチャーが変わってくるはずで、そうすると、ニュートロンは、大体少なくなってくるわけで、材料は楽になってくるんですよ。という振れ幅を入れてなかったというふうに理解しているんです。

【堀池委員】  そのとおりです。

【香山委員】  技術の進歩の予測のところで結構違いがあって……。ただ、私は前も申し上げたんですけれども、もし可能なら時間的に許せば、今の構想炉のプログラムで技術をどう見てどうやってつくろうとしているかというあたりを例として示していただくと、非常にいい題材になると思っているんですけどね。

【常松委員】  非常にコンサバティブな原型炉になるんじゃないですか。

【香山委員】  より近いところでできるといって、技術のソフトのあたりが……。

【常松委員】  そのかわり2台要るとか、そういうことも出てくるかもしれない。実用炉が。

【香山委員】  私が言いたいのは、高速炉のプログラムをそのままフュージョンに移しかえて判断という意味じゃないんですけど。ただ、あれだけかっちり決まりましたよ、できますよという言い方をしているところでどうなっているかというのは、いいケーススタディーになりましたね。

【堀池委員】  僕はあまり参考になるように思いませんけどね。

【常松委員】  私もそうなんですけど。ちょっと幅を広げて考えてみませんかということ。

【吉田委員】  今幅とおっしゃったんですが、最終目標は2050年前後の実用化のめどをつけるということ……。

【常松委員】  それは変わらない。

【吉田委員】  それは変えないという範囲で、どこまでそれがフレキシブルになるかと。現状の開発段階をにらんだときの。そういう意味ですね。そこをちょっと確認しておきたい。

【常松委員】  ですから、出力がどのくらいかというのと、コストもありますし、それから稼働率をどのくらいと見るかとか、そういうところをかなり商用炉に近い形で、ロードマップをお考えになったというふうに理解しています。

【吉田委員】  だから、実証炉というか、それに近い形をもう少し、昔で言うデモ炉なんですかね。その前の段階のことでということですね。

【堀池委員】  だから、そのときに2050年と言わなくて、高速炉が増えるころには……。

【香山委員】  そんなに話を振らしたらいかんですよ。

【堀池委員】  というような言い方にしておいてもらったほうがいいと思います。

【松田委員】  でも、高速炉、いつできるかわからないじゃない。

【堀池委員】  あの辺まで今シフトしてずれていきますから。

【常松委員】  いや、2050年はいろいろなところに数字が出ていますから、それを動かす必要はなくて、むしろターゲットをどこまで緩められるのかなという。それで、発電をする。それがどこまでペイする発電かどうかというところに振れ幅があるんだろうと思っています。

【吉田委員】  今の先生の発言、ちょっと気になるんですが……。

【堀池委員】  いや、これを入れないで言ったんです。

【吉田委員】  ロードマップの岡野先生のご主張は、その段階までにやっておかないと、ほんとうに核融合炉というのは少しずつつくっていく。トリチウムをためながらつくっていくので、ほんとうに21世紀のエネルギー源として成立しなくなる。皆さんから振り返られなくなる可能性がある。そういう視点からおっしゃっていたような気がするんですけど。

【常松委員】  そうだと思います。だから、それは別に否定するものでもありませんが……。

【吉田委員】  その辺はあまりぶれないように。

【常松委員】  あまりそれが不自然だとすれば、逆にどの程度緩められて、どういうふうに今後売っていくかなという。2100年に100台じゃなくて、10台じゃだめかという。そういうのだと、一体何が問題になるんだろうということになると、ちょっと幅が広がり過ぎるんですが、あまりにもターゲットをきつく見過ぎているのではないかな。何でかというと、ヨーロッパが逆の考えをしていますので、これからそこの埋め合わせを私はしないといけないわけで、ということを考えますと、日本側のロードマップも少し幅を持って考えたら、一体、そこは何が──全くそれでもスケールが変わってくるだけなのか。かなり技術のプライオリティーに逆転が起きてくるのかというのは見ておくべきではないかという議論をしております。

【本島主査】  大変申しわけありませんが、先ほど来岡野さんがいないとできない議論が結構出てきましたので、きょうの議論を次回に続けるということに関して、今日の議論のポイントをお伝えして岡野さんにプレゼンをお願いし、あと1人か2人の方に一種のコメンテーターをお願いして、常松委員、吉田委員、香山委員などが今ご発言になっていた問題点を議論いただくことによって岡野先生方のおつくりになったロードマップが変わり得ることをここでもう一度議論してみたらどうかと思います。

 もう一つは、一緒にヘリカルとレーザーを時間的に審議できるかどうかは検討いたしますけれども、十分な時間をとって、構想を示していただくということは必要です。そこでは、実験のデータベース、研究の実績に基づいて話をしていただくということは当然だと思いますので、そういうことで検討させていただきたいと思います。

  そうしますと、今後の予定について、戦略官、お願いいたします。

【千原研究開発戦略官】  恐れ入ります。今主査からご指摘いただいたようなことで、次回以降のこの部会でのアジェンダを決めさせていただきまして、またお諮りしたいというふうに思っております。すみません。時間を超過して恐縮ですが……。

【本島主査】  次回は9月ということでよろしいですね。

【千原研究開発戦略官】  ええ。9月を予定させていただきたいと思います。

【本島主査】  では、ITER理事会の報告をお願いいたします。

【千原研究開発戦略官】  簡単に理事会の結果、前回の部会でも長期の問題とともに、短期の問題もレポートするようにということで、ほんとうに簡単にいきます。

 資料5でございます。ことし6月17、18日に水戸で第4回の理事会がございました。ポイントは、ほんとうにはしょらせていただきますが、お手元の下の大きい数字で3というページですね。パワーポイントの資料でいくと5ページ目ですけれども、スケジュール等についてというところです。ご案内のように、去年6月の青森の第2回理事会のときに、そのときのレファレンススケジュールということで、2018年までにITERを完全に建設させて、初プラズマを目指すということで暫定的に合意しておりましたが、その後、いろいろな議論がございまして、ITER機構ができ上がっていろいろ勉強したとか、各極も勉強したとか、そういった進捗、また、世界にある主要なトカマクがそうしているということで、ここにありますように、2018年末までに最初のプラズマを発生というのは、スケジュールは変えませんが、このプラズマを発生するときまでには必要最低限の装置、例えば建屋は当然ですが、あと真空容器、あるいはコイル、そういった初プラズマを出すために必要な機器だけまず完成させて、それで様子を見て、うまくいったらその次の段階、中のインベッセルコンポーネントを組み入れていくという、そういう2.にある段階的なアプローチをとりましょうということが今回、今後の作業のベースとしてスケジュールをするということが決まりました。

 また、その下にありますように、先ほど東嶋委員がおっしゃったように、2026年に重水素とトリチウムを使った運転を始めるということがITER機構が発足して初めて世の中に公表されたというところでございます。この点が今回の理事会の大きなポイントです。

 今、実は別途コストの精査とか、そういったこともやっておりまして、ベースラインドキュメントと呼ばれていますコスト、スケジュール、スコープですね、そういったものを含めたことを11月のITER理事会で合意しようという方向感で今後作業するということが今回の2番目のポイントでございます。

 最後のほうに今回のプレスリリースもつけておりまして、ページを振ってなくて恐縮ですけど、後ろから3枚目の英語のプレスリリースが製本ですけれども、それの2段落目に今申し上げたようなことのエッセンスが入っております。

 簡単ですが、以上でございます。

【本島主査】  どうもありがとうございました。11月に向けて、コストについては正念場を迎える、こういうことですね。

【東嶋委員】  ちょっとよろしいですか。

【本島主査】  どうぞ。

【東嶋委員】  すみません、超過しているのに。

 初めて2026年にこういったことをやるというようなある程度明確なスケジュールの発表があったんですけれども、私自身フォローしてなくて申しわけありませんが、これについてある程度新聞やテレビに報道があったのでしょうか。あったとしたら、その資料もつけていただきたかった。

 それから、このプレスリリースも英文を訳したものだけなんでしょうか。もうちょっと説明がある、こういう機会にこそITERとかBAがどういうものであるかというのをわかってもらう機会なので、もうちょっとわかりやすい、全体がわかるようなプレスリリースがあったのかどうか、お伺いしたいと思います。

【千原研究開発戦略官】  報道は何社かしていただきましたので、後で先生方にお送りさせていただきます。

 それから、プレスリリースのときは、実は全体の説明資料はつけておりませんでした。大変申しわけございません。ITER理事会が終わって直後にできるだけ早く理事会の結果をお伝えするということもあって、仮訳をつくるので精いっぱいで、それで簡単な、そういう意味では、今後ろについている英文と和文と、あと簡単に今回こういう議論がありましたという、表紙をつけたぐらいでございました。今後、こういう発表をするときに、もともとのバックグラウンドとか、そういったことの資料を充実させるように注意したいと思います。ありがとうございます。

【本島主査】  開会式のときはテレビも入っておりましたね。そういうこともぜひよろしく。

【千原研究開発戦略官】  恐れ入ります。

【本島主査】  それではほかにありますでしょうか。

 長時間の議論、どうもありがとうございました。次回までにまた事務局及び科学官、調査官で議論の方向性をブラッシュアップしていただくことになっておりますので、次回もよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

 

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